JP6486282B2 - 防水布帛およびこれを用いた繊維製品 - Google Patents

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Description

本発明は、防水布帛に関するものである。特に低温環境においても使用可能な防水布帛に関するものである。
合羽やスキーウエアー、ウインドブレーカーなどの衣服をはじめ、テント、靴材など雨などの水の浸入を防止するための素材として防水布帛は様々なものに使用されている。
防水布帛は、繊維布帛の片面あるいは両面に防水性のある樹脂膜が積層されており、防水性だけではなく、衣服内の湿気を通過させ、衣服内のムレや水の結露を抑制するために透湿性をも有する樹脂膜が繊維布帛に積層された構成のものが知られている。(特許文献1、特許文献2)
このような防水布帛は、様々な環境下で使用されており、スキーウエアーなどのウインタースポーツでは−15℃〜5℃程度、また、真夏の作業着では30〜50℃程度の環境下で使用されることがある。さらに冷凍庫内や南極や北極さらに標高が高い山岳等では−40℃程度の環境下で使用されることもある。
このような種々の環境の中で、特に低温環境下で用いられる場合には、防水布帛の硬化が懸念される。
低温環境下で使用される防水衣服としては、空気緩衝材料の体に向いたその内側に透湿性と防水性を有する多孔質ポリテトラフルオロエチレン膜を有するものが知られている。(特許文献3)
しかしながら、低温環境下における防水布帛の硬化や防水性の低下については検討されておらず、また、この技術は、裏材や中綿に関するものである。
特開昭55−80583号公報 特開平11−124774号公報 特開平8−302506号公報
樹脂膜を有する防水布帛では、−40℃程度の低温環境下において、樹脂そのものが硬化することもあるが、さらに防水布帛の防水性をも低下するおそれがあることもわかってきた。これは、衣服等に用いられている防水布帛の樹脂膜が低温環境下で柔軟性を失い硬化し、衣服を着た着用者が動くことにより樹脂膜が割れてしまうことや、防水布帛に付着した水が凍り、生成された氷により防水布帛が硬化し、さらにその状態で、衣服等として着用していると生成した氷が割れ、その角等で樹脂膜が傷つき防水性が低下することが原因になっているのではないかと推測される。
また、防水布帛を衣服等の繊維製品の表地として用いるものであって、繊維製品の内側(身体側)に繊維布帛を有するものは、繊維布帛が衣服の内側であるため低温の影響を受けにくく、低温環境下であっても、風合いの硬化などの問題は生じないと思われていたが、−40℃程度の低温環境下では風合いが硬化するおそれがある。
したがって、本発明では、樹脂膜を含む防水布帛において、−40℃以下の極寒低温環境下においても、防水布帛の風合いの硬化を抑制し、また、防水性の低下を抑制することができる防水布帛を提供することを目的としている。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討の結果、本発明をするに至った。
すなわち、本発明は、以下の構成(1)〜(7)を有している。
(1)ガラス転移点が−30℃未満であるウレタン樹脂膜の少なくとも片面に繊維布帛が積層されてなる防水布帛であって、
前記ウレタン樹脂膜が、主としてエーテル系ウレタン樹脂からなることを特徴とする防水布帛。
(2)前記防水布帛が繊維製品の表地として用いられるものであることを特徴とする前記(1)に記載の防水布帛。
(3)繊維製品としたときに当該繊維製品の内側に使用される前記繊維布帛の水のピックアップ量が100g/m以下であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の防水布帛。
(4)前記ウレタン樹脂膜が無孔質膜であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の防水布帛。
(5)前記ウレタン樹脂膜が接着剤を介して前記繊維布帛と接着されていることを特徴とする前記(1)〜(4)のずれかに記載の防水布帛。
(6)前記接着剤が、エーテル系ウレタン樹脂であることを特徴とする前記(5)に記載の防水布帛。
(7)前記接着剤に用いられるウレタン樹脂のガラス転移点が−30℃未満であることを特徴とする前記(5)または(6)に記載の繊維布帛。
(8)前記(1)〜(7)のいずれかに記載の防水布帛を表地として用いた繊維製品。
本発明の防水布帛は、低温環境下においても、防水布帛の風合いの硬化を抑制し、また、防水性を維持することができる防水布帛を提供することができる。
本発明の防水布帛をウインドブレーカー、コート、ジャケット、ヤッケ、アノラック、スキーウエアー、スノーボードウエアー、合羽、作業服、テント、寝袋、帽子、靴などの繊維製品に用いれば、低温環境下においても、繊維製品の風合いの硬化を抑制し、また、防水性の低下を抑制することができる。
本発明の防水布帛は、ガラス転移点(Tg)が−30℃未満であるウレタン樹脂膜の少なくとも片面に繊維布帛が積層されてなる防水布帛であって、
前記ウレタン樹脂膜が、主としてエーテル系ウレタン樹脂からなる。
また、防水布帛が衣服等の繊維製品の表地として用いると好ましい。本発明の防水布帛は、衣服等の繊維製品の表地として用いられることにより、従来公知の防水布帛とは異なり、−20℃、−30℃、−40℃以下、さらには−50℃程度の低温環境下であっても防水布帛の風合いの硬化を抑制しつつ、防水性の低下も抑制する効果を発揮することができる。
特に、本発明では、防水布帛が衣服等の繊維製品の表地として用いるものであって、繊維製品の内側(身体側)に繊維布帛を有するものに対し、特に風合いの硬化を抑制し、防水性の低下を抑制することができる。
本発明の防水布帛のこれらの効果が発揮できる下限は、−70℃程度である。−70℃以下の環境下で使用する繊維製品に用いる場合には、繊維製品の裏地や表地と裏地の間の中間層として、本発明の防水布帛を用いてもよい。
<ウレタン樹脂膜>
本発明のウレタン樹脂膜は、Tgが−30℃未満である。より低温環境下においても、防水布帛の風合いの硬化を抑制するとの観点からは、好ましくは−40℃以下がよい。さらに好ましくは−50℃以下がよい。
なお、本発明においてTgは、示差走査熱量測定法(DSC)にて測定したものである。
また、前記ウレタン樹脂膜は、主としてエーテル系ウレタン樹脂からなる。主としてとは、ウレタン樹脂膜を形成するウレタン樹脂の内、質量比で50%以上がエーテル系ウレタン樹脂からなることを意味する。
エーテル系ウレタン樹脂としては、ウレタン樹脂の原料として用いるポリオールにポリエーテルポリオールを用いたものをいい、ポリエーテルエステルポリオールやこれらの変性体を用いたものであってもよい。好ましくは、ポリオールにエステルが含まれないポリエーテルポリオールを用いたものが好ましい。
また、本発明の目的を逸脱しない範囲で、ウレタン樹脂膜は、エーテル系ウレタン樹脂とエステル系ウレタン樹脂とを配合したものであってもよい。ただし、エステル系ウレタン樹脂の配合割合は、ウレタン樹脂膜中質量比で50%未満である。
また、ウレタン樹脂膜として透湿性を有するものを用いる場合には、ポリオールとしてオキシエチレン基含有高分子ジオールを用いたものが好ましい。
ウレタン樹脂膜には、顔料、制電剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、消臭剤、酸化防止剤、吸湿剤、吸湿発熱材、難燃剤等が含まれていてもよい。
ウレタン樹脂膜の形状は、無孔質膜であっても多孔質膜であってもよい。多孔質膜の場合は、湿式法によって形成されたものであっても、乾式発泡法により形成されたものであってもよい。また、無孔質膜を複数積層したものであっても、多孔質膜を複数積層したものであっても、多孔質膜と無孔質膜を組み合わせたものであってもよい。
防水布帛の低温環境下での風合い硬化抑制の観点からは、ウレタン樹脂膜は無孔質が好ましい。無孔質のウレタン樹脂膜の場合は、樹脂膜中に水が含まれた状態で、低温環境にさらされた場合においても、風合いの硬化が発生し難い。
また、防水布帛の低温環境下での防水性の低下を抑制するとの観点からはウレタン樹脂膜は多孔質が好ましい。多孔質のウレタン樹脂膜の場合、低温環境下にさらされた場合においても防水性の低下が発生しにくい。
より具体的には低温環境下においても、衣服を着用し、作業やスポーツを行っていると、人体から気体状の汗が放出される。その汗が多孔質の膜を通過している間に、低温環境により液化し水となり、さらに固化し氷となり、多孔質膜の気孔を埋めてしまう。そのため、気体の汗の通り道であった気孔が塞がれ、透湿性が低下し、更に、行き場を失った気体状の汗により、衣服内での結露が助長され、多孔質のウレタン樹脂膜中又はその表面に氷が生成され、風合いが硬化し、また、その氷で樹脂膜が傷つき防水性が低下するおそれがある。
なお、本発明の目的を逸脱しない範囲であれば、多孔質ポリテトラフルオロエチレン膜にウレタン樹脂膜を積層したものと繊維布帛を積層したものであってもよい。この場合は、上記の理由により、多孔質ポリテトラフルオロエチレンの気孔をウレタン樹脂で埋めてしまい、膜全体として無孔質としたものが好ましい。
ウレタン樹脂膜の厚みは、1〜200μmが好ましい。
ウレタン樹脂膜が、無孔質の場合には、3〜100μm程度であるものがよく、より好ましくは3〜80μm、さらに好ましくは5〜50μmである。無孔質膜の厚みが1μm未満であると十分な防水性能を発揮することができないおそれがあり、200μmを超えると得られる防水布帛の風合が硬くなる。
ウレタン樹脂膜が、多孔質の場合には、10〜150μm程度であるものがよく、より好ましくは20〜100μmである。10μm未満であると十分な防水性を発揮できないおそれがある。特に、低温環境下で用いられた場合、防水性の維持との観点から15μm以上であるとよい。また、150μmを上回ると防水布帛の風合いが硬くなるおそれがある。
また、ウレタン樹脂膜と繊維布帛の積層は、接着剤を用い積層していてもよい。接着剤は、ウレタン樹脂膜と繊維布帛の間に点状、線状、格子状、全面ベタ状などに介在させてウレタン樹脂膜と繊維布帛を貼り合せて積層することができる。防水性の観点からは接着剤が全面ベタ状に介在しているものが好ましい。また、繊維布帛とウレタン樹脂膜の間に氷が生成されることを抑制する観点からもウレタン樹脂膜と繊維布帛間の全面ベタ状に接着剤を有し防水布帛が構成されているとよい。
接着剤は、イソシアネート系、エポキシ系、オキサゾリン系などを用いることができるが、イソシアネート系、特にウレタン系接着剤を用いるとよい。
また、接着剤を全面ベタ状に介在させウレタン樹脂膜と繊維布帛を積層させる場合には、エーテル系ウレタン樹脂が好ましく、特に好ましくは上記ウレタン樹脂膜と同様にTgが−30℃未満のエーテル系ウレタン樹脂が好ましい。より好ましくはTgが−40℃以下、さらに好ましくは−50℃以下がよい。
接着剤のTgが−30℃未満のエーテル系ウレタン樹脂であれば低温環境下での防水布帛の硬化を抑制し、また、防水性の低下も抑制する。
接着剤は、一液型、二液型いずれであってもよく、また、湿気硬化型のホットメルトタイプのものであってもよい。
<繊維布帛>
本発明の防水布帛に有用な繊維布帛の素材は、ポリエステル、ナイロン、アクリル、ポリウレタン、アセテート、レーヨン、ポリ乳酸、アラミド、ポリイミドなどの化学繊維、綿、麻、絹、羊毛等の天然繊維やこれらの混繊、混紡、交織品であってもよく、特に限定されるものではない。また、それらは織物、編物、不織布等いかなる形態であってもよい。
特に、本発明の防水布帛が衣服等の繊維製品の表地として用いるものであって、衣服などの繊維製品としたときに当該繊維製品の外側(身体とは反対側)に使用される前記繊維布帛の水のピックアップ率は10%未満が好ましく、5%未満がより好ましく、3%未満がさらに好ましく、1%未満がさらにより好ましい。下限は0%が好ましい。
水のピックアップ率を10%未満とすることにより、繊維布帛への水の含浸を抑制し、0℃以下の低温環境下で繊維布帛に氷が発生することを抑止することにより風合いの硬化や防水性の低下を抑制する。0℃以下の環境で使用される場合は、液体の水が衣服の外側に付着する機会がないと考えられる場合もあるが、日中気温が上昇し雪や氷が解けて生じた水が衣服を構成する繊維布帛に付着したり、温かい事務所やテントの中と冷たい外の出入りや、冷たい冷凍庫の中と暑い外(雨が降っている場合もある)との出入りの繰り返しにより、繊維布帛に液体の水が付着し、その水が凍ってしまうおそれがある。
水のピックアップが10%未満の繊維布帛としては、ポリエステルやウールなど疎水性の素材を用いることが好ましい。また、繊維布帛にフッ素系、シリコン系、パラフィン系などの撥水剤を付与することにより繊維布帛の水のピックアップ率を10%未満とすることが好ましい。より好ましくは、ポリエステル、ナイロン、アラミド、ポリイミド、ウールに撥水加工を施したものがよい。特に好ましくは、前記の撥水剤を付与したポリエステルがよい。
また、繊維布帛の水のピックアップを10%未満とするとの観点からは、繊維布帛のはっ水度が3級以上であると好ましく、4級以上がより好ましく、5級が更に好ましい。
さらに、より低温環境下での風合いの硬化を抑制するとの観点または防水性の低下を抑制する観点からは、本発明の防水布帛が衣服等の繊維製品の表地として用いられるものであって、衣服などの繊維製品としたときに当該繊維製品の内側(身体側)に使用される前記繊維布帛の水のピックアップ量100g/m以下であると好ましい。より好ましくは70g/m以下、さらに好ましくは50g/m以下、さらにより好ましくは30g/m以下であるとよい。
水のピックアップ量が100g/m超の繊維布帛を用いると、繊維布帛に結露した汗が大量に含まれ、この汗に起因する水が低温環境下で凍ってしまい繊維布帛を硬化してしまうおそれがある。また、このとき生成された氷が付着した状態で、作業や運動を続けると、この氷の角で、樹脂膜が傷つき防水性が低下するおそれがある。
つまり−30℃を下回るような低温環境下では、衣服等の繊維製品の内側であっても、人体から発する汗が、衣服内の表地側付近で気体の状態から、結露(液化)し、液化した水が凍って防水布帛の内側に氷が付着し、風合いが硬化したり、その氷が付着した状態での作業により、氷の角で樹脂膜が傷つき防水性が低下するおそれがある。
繊維製品の内側に使用される繊維布帛は、繊維製品の外側に用いられる繊維布帛と同様に、繊維布帛に、フッ素系、シリコン系、パラフィン系などの撥水剤を付与することにより、繊維布帛のピックアップ量を低下させ、身体等から発せられる汗が繊維製品の内側で結露し、凍結することを抑制してもよい。
また、反対に上記の水のピックアップ量100g/m以下の範囲内で、吸水性や吸湿性を有する繊維布帛や繊維素材を用い、衣服内の湿度を低下させたり、気体状で繊維布帛に汗を吸収させたり、結露した液体状の汗を繊維布帛上で速やかに拡散させることによりウレタン樹脂膜を傷つけるような厚みのある氷の生成を抑制したり、吸湿による発熱効果を利用するなどして、繊維製品の内側での水の結露、凍結及びウレタン樹脂膜の損傷を抑制してもよい。なお、吸水性や吸湿性を有する繊維布帛は、繊維自体に吸水性や吸湿性を有するものを用いても良いし、繊維に親水性化合物や吸湿性化合物などを付与し、吸水性や吸湿性を繊維布帛に付与してもよい。また、吸湿性と撥水性を有する繊維布帛を用いてもよい。
なお、水のピックアップ率及びピックアップ量とは、乾燥した繊維布帛の質量(A)の質量を測定した後、水に10秒程度当該繊維布帛を浸漬し、直ちにマングルで絞る作業を2回行い、2回目のマングルで絞った後の繊維布帛の質量(B)を求め、下記式(1)及び式(2)により求めたものである。
ピックアップ率(%)=(B(g)−A(g))/A(g)×100・・・・・(1)
ピックアップ量(g/m)=(B(g)−A(g))/A(g)×繊維布帛の目付(g/m)・・・・・(2)
また、繊維布帛には、染色、捺染をはじめ、制電加工、抗菌防臭加工、制菌加工、紫外線遮蔽加工、赤外線吸収加工、赤外線反射剤などを施してもよい。
本発明の防水布帛の防水性は、耐水圧が1000mm以上であるとよい。防水性の観点からは、耐水圧は3000mm以上が好ましく、より好ましくは5000mm以上、さらに好ましくは10000mm以上、さらにより好ましくは20000mm以上がよい。
ここで、耐水圧とは、JIS L1092−2009耐水度試験(静水圧法) A法(低水圧法)またはB法(高水圧法)に準じた方法で測定した値をいう。なお、水圧をかけることにより試験片が伸びる場合には、試験片の上にナイロンタフタ(2.54cm当りのタテ糸とヨコ糸の密度の合計が210本程度のもの)を重ねて、試験機に取り付けて測定を行った。また、B法で測定したものは、A法と比較しやすくするため単位をA法のmmに換算したものである。
また、−50℃の環境で10分間放置し、揉んだ後の耐水圧が1000mm以上であるとよい。−50℃の環境で10分間放置し、揉むことにより、耐水圧が維持できれば、低温環境下で、防水布帛を用いて製造された衣服等を着用し、作業やスポーツをした場合においても、防水性の低下を抑制することができる。防水性の観点より好ましくは、揉んだ後の耐水圧は3000mm以上が好ましく、より好ましくは5000mm以上、さらに好ましくは10000mm以上、さらにより好ましくは20000mm以上がよい。
なお、−50℃の環境で10分間放置し、揉んだ後とは、以下の二通りの方法で評価した。
(1)タテ20cm×ヨコ20cmの試料を温度−50℃に設定した環境試験槽(タバイエスペック株式会社製、PSL−4SPH)に入れ、10分間放置した後、試料を二つ折りにし、手袋をした手で手と手の間隔を約5cmとなるように試料を掴み、環境試験槽内で上下に20回もみを加える。その後、環境試験槽から試料を取り出し、常温で24時間放置した後、前記のJIS L1092−2009 A法(低水圧法)またはB法(高水圧法)に準じた方法で耐水圧を測定する。
(2)試験用の試料を環境試験槽に入れる前に5分間、水に浸漬した後、試料の表面に付着している水滴をタオルで軽く拭き取り除去する処理をおこなった以外は上記(1)と同様に環境試験槽で処理して耐水圧を測定する。なお、水に浸漬させる際に試料が浮く場合には、試料の上に100gの重りを置いて試料全体を水に浸漬するようにした。
また、本発明の防水布帛は、透湿性をも有する透湿性防水布帛であるとよい。透湿性は、塩化カルシウム法 JIS L1099−2012 A−1法及び酢酸カリウム法 JIS L1099−2012 B−1法にて測定したもので、塩化カルシウム法による透湿度が2000g/m・24hrs以上および/または酢酸カリウム法による透湿度が2000g/m・24hrs以上であるとよい。より好ましくは、塩化カルシウム法による透湿度が5000g/m・24hrs以上および/または酢酸カリウム法による透湿度が5000g/m・24hrs以上であるとよい。さらに好ましくは塩化カルシウム法による透湿度が10000g/m・24hrs以上および/または酢酸カリウム法による透湿度が10000g/m・24hrs以上であるとよい。
上限は、塩化カルシウム法による透湿度が20000g/m・24hrs程度であり、酢酸カリウム法による透湿度では50000g/m・24hrs程度である。これらの上限値を超えると、防水性が不足したり、ウレタン樹脂膜中に取り込まれた水分が、低温下では凍結してしまい、防水性布帛の風合いが硬化してしまったり、ウレタン樹脂膜が損傷するおそれがある。
なお、透湿度は、塩化カルシウム法、酢酸カルシウム法ともに、24時間当りの透湿量に換算したものである。
また、本発明の防水布帛は、ウレタン樹脂膜の少なくとも片面に繊維布帛が積層されてなるものであればよいが、衣服等の繊維製品としたときに、表地として用いられるものであるとよく、また、繊維製品の内側(身体側)に繊維布帛を有していると好ましい。繊維製品の内側(身体側)に前記の好ましい繊維布帛を有していることにより低温環境での水の凍結に起因する防水性の低下を抑制することができる。
また、衣服等の外側(身体の反対側)に繊維布帛を有さない場合は、防水布帛の外側の表面に水が付着した場合においても、容易に防水布帛の表面から脱落し、風合いの硬化の抑制、防水性の低下の抑制の観点から好ましい。
また、衣服等の繊維製品としたときに、表地として用いられるものであって、繊維製品の外側(身体の反対側)に前記繊維布帛を有していると、ウレタン樹脂膜が物理的な擦過等により損傷することを抑止しながら、低温環境での水の凍結に起因する防水性の低下を抑制することができる。
特に好ましくは、ウレタン樹脂膜の両面に繊維布帛が積層されていることが好ましい。ウレタン樹脂膜の両面に前記の繊維布帛が積層されていることにより、ウレタン樹脂膜の損傷を防ぐと共に、より低温環境での防水布帛の風合いの硬化、水の凍結に起因する防水布帛の防水性の低下も抑制することができる。
ウレタン樹脂膜の両面に繊維布帛が積層されている場合、それぞれの面に積層されている繊維布帛は、同じ繊維布帛であってもよいし、異なる繊維布帛であってもよい。好ましくは、衣服(繊維製品)の内側に用いられるもの、衣服(繊維製品)の外側に用いられるものそれぞれの前記の好ましい条件に適合した繊維布帛を用いているものが好ましい。
また、ウレタン樹脂膜の一方の面のみに繊維布帛が積層されている場合には、ウレタン樹脂膜の繊維布帛の積層されていない面に、顔料、球状粒子、鱗片状粒子、不定形粒子、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、撥水剤、抗菌剤、吸湿剤などを添加した樹脂を、点状、線状、格子状、幾何学柄状等任意の形状で付与し、ウレタン樹脂膜面に意匠性、吸湿性などの機能性、または耐擦過性を付与してもよい。
<繊維製品>
次に、本発明の防水布帛を、衣服等の表地として用いた繊維製品について説明を行う。なお、本発明は以下に説明する繊維製品に限定されるものではない。また、以下の説明では先に説明した部分は一部説明を省略する。
本発明の繊維製品とは、本発明の防水布帛を表地として少なくとも一部に用い、縫製や融着等の2次加工され製造された繊維製品をいう。具体的にはウインドブレーカー、コート、ジャケット、ヤッケ、アノラック、スキーウエアー、スノーボードウエアー、合羽、作業服、テント、寝袋、帽子、靴などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
本発明の繊維製品には、他の布帛からなる裏地を用いたものであってもよく、また、表地と裏地の間に、羽毛やワタなどの中綿層を設けたものであってもよい。また、本発明の防水布帛と同様の構造を有する布帛を表地、裏地、中綿として用いたものであってもよい。
本発明の繊維製品において、表地に用いる本発明の防水布帛は、繊維製品の外側(身体等に対し外側)に繊維布帛を用いても、また、繊維製品の内側(身体側)に繊維布帛を用いたものであってもよい。なお、外側に繊維布帛を用いず外側を樹脂膜とする場合には、耐摩耗性に優れたウレタン樹脂を用いて形成されたものであるとよい。外側を繊維布帛とする場合には、繊維布帛は撥水性を有しているものが好ましく、特に前記の繊維布帛を外側として用いるときの好ましい条件を満たす繊維布帛を用いるとよい。
また、繊維製品の内側(身体側)に繊維布帛を用いる場合には、前記の繊維布帛を内側として用いるときの好ましい条件を満たす繊維布帛を用いるとよい。本発明では、特に内側(身体側)に繊維布帛を有する防水布帛において、風合いの硬化を抑制し、防水性の低下を抑制する効果を発揮する。
なお、ウレタン樹脂膜の両面に繊維布帛を積層したものを用いて製造された繊維製品であってもよい。
次に本発明の好ましい一製造方法に従い、ウレタン樹脂膜の両面に繊維布帛が積層された防水布帛を例にさらに詳細に本発明を説明する。なお、本発明は以下に説明する製造方法で得られるものに限定されるものではない。また、以下の説明では先に説明した部分は一部説明を省略する。
<防水布帛の製造方法>
まず、離型紙上に前記のエーテル系ウレタン樹脂の樹脂溶液を塗布した後、50〜130℃にて乾燥し、必要に応じ120〜170℃で熱処理し、無孔質のウレタン樹脂膜を形成する。
この際、公知の発泡技術、例えば、塗布するウレタン樹脂に空気を混在させたり、また、ウレタン樹脂内に発泡剤を添加することにより多孔質のウレタン樹脂膜を形成することもできる。
ウレタン樹脂膜を形成後、接着剤を含む樹脂溶液を得られたウレタン樹脂膜上に塗布し、50〜130℃で乾燥後、接着剤を塗布したウレタン樹脂膜面に繊維布帛1を積層し、必要に応じ、ニップあるいは加熱ロールを用いてニップし、貼り合わせるドライラミネート法によって製造できる。
また、接着剤を含む樹脂溶液を乾燥せずに繊維布帛1を貼り合わせるウエットラミネート法によっても製造できる。
繊維布帛1は、精練、染色、捺染をはじめ、制電加工、撥水加工、抗菌防臭加工、制菌加工、紫外線遮蔽加工、カレンダー加工など必要に応じ施してあってもよい。得られる防水布帛を繊維製品の表地と用いた場合に、繊維布帛1を衣服等の繊維製品の外側(身体と反対側)に用いる場合には、撥水加工を施すとよい。また、繊維布帛1を衣服等の内側(身体側)として用いる場合には、親水加工、吸湿加工、または撥水加工を行うとよい。
離型紙に塗布するウレタン樹脂の樹脂溶液とは、前記のエーテル系ウレタン樹脂と溶媒としてジメチルホルムアミド(以下、DMF)、トルエン、メチルエチルケトンなどの有機溶媒を主体とするものが好ましく選択される。また、一部本発明の目的を逸脱しない範囲でエステル系ウレタン樹脂を配合してもよい。
前記ウレタン樹脂溶液中には、前記と同様に顔料などの着色剤、ポリイソシアネート系架橋剤、触媒、酸化防止剤、紫外線吸収剤、吸湿剤、難燃剤、消臭剤なども添加してもよい。
このウレタン樹脂の樹脂溶液は、離型紙上にナイフコータ、バーコータ、コンマコータなどを用いて塗布する。
また、離型紙上に得られた無孔質のウレタン樹脂膜上への接着剤の塗布は、前記の接着剤を含む樹脂溶液をナイフコータ、バーコータ、コンマコータ、グラビアコータなどを用いて、点状、線状、格子状、全面ベタ状に接着剤を塗布する。
前記の接着剤を含む樹脂溶液は、ジメチルホルムアミド(以下、DMF)、トルエン、メチルエチルケトンなどの有機溶媒で溶解させたものであってもよいし、ホットメルト型の樹脂であれば、加熱溶解したものであってもよい。
接着剤を含む樹脂溶液の中には、架橋剤や触媒、酸化防止剤、紫外線吸収剤、吸湿剤、難燃剤、消臭剤なども添加してもよい。
また、無孔質膜を接着剤を介し繊維布帛1に積層した後、必要に応じ50〜100℃でエージングを12〜72時間行い、離型紙を剥離する。
次に、無孔質のウレタン樹脂の前記繊維布帛1が積層されていない面に、接着剤を含む樹脂溶液を塗布する。前記と同様に50〜130℃で乾燥後、繊維布帛2と貼り合わせるドライラミネート法によって製造できる。
また、接着剤を含む樹脂溶液を乾燥せずに繊維布帛を貼り合わせるウエットラミネート法によっても製造できる。
その後、前記と同様に無孔質膜を接着剤を介し繊維布帛2に積層した後、必要に応じ50〜100℃でエージングを12〜72時間行い、ウレタン樹脂膜の両面に繊維布帛が積層された防水布帛を得ることができる。
繊維布帛2は、繊維布帛1と同様に精練、染色、捺染をはじめ、制電加工、撥水加工、抗菌防臭加工、制菌加工、紫外線遮蔽加工、カレンダー加工などを必要に応じ施してあってもよい。得られる防水布帛を繊維製品の表地として用いた場合に、繊維布帛1を衣服等の繊維製品の外側に用いる場合には、撥水加工を施すとよい。また、繊維布帛1を衣服等の内側として用いる場合には、親水加工、吸湿加工、および/または撥水加工を行うとよい。
必要に応じエージングされたウレタン樹脂膜の両面に繊維布帛が積層された防水布帛は、ウレタン樹脂膜に繊維布帛を積層した後に、染色、捺染をはじめ、制電加工、撥水加工、抗菌防臭加工、制菌加工、紫外線遮蔽加工、カレンダー加工などを必要に応じ施してもよい。
なお、衣服等の繊維製品の外側に用いられる繊維布帛にあらかじめ撥水加工が施されていない場合には、ウレタン樹脂膜に積層した後、撥水加工を施すとよい。また、衣服等の内側として用いられる繊維布帛にあらかじめ親水加工、吸湿加工、または撥水加工を施してない場合は、ウレタン樹脂膜に積層した後、親水加工、吸湿加工、または撥水加工を行うとよい。
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。また、例中の「部」は質量部である。
以下の実施例における評価は次の方法によった。
A ピックアップ率及びピックアップ量
水のピックアップ率及びピックアップ量は、乾燥した繊維布帛の質量(A)を測定した後、当該繊維布帛を水に10秒程度浸漬し、直ちにマングルで絞る作業を2回行い、2回目のマングルで絞った後の繊維布帛の質量(B)を求め、下記式(1)及び式(2)にて求めたものである。また、目付とは、JIS L1096−2010 標準状態における単位面積当たりの質量 A法(JIS法)をいう。
ピックアップ率(%)=(B(g)−A(g))/A(g)×100・・・・・(1)
ピックアップ量(g/m)=(B(g)−A(g))/A(g)×目付(g/m)・・・・・(2)
なお、マングルは、ゴム部の材質 ニトリルブタジエンゴム(NBR)、硬度80度、巻厚み12.5cm、直径150mm、面圧1750kpa(17.9kg/cm)のものを用いた。
B 透湿度
塩化カルシウム法 JIS L1099−2012 A−1法にて測定した。
酢酸カリウム法 JIS L1099−2012 B−1法にて測定した。
なお、いずれの透湿度も24時間当りの透湿量に換算した。
C 耐水圧
JIS L1092−2009 耐水度試験(静水圧法) A法(低水圧法)またはB法(高水圧法)に準じた方法で測定した。
水圧をかけることにより試験片が伸びる場合には、試験片の上にナイロンタフタ(2.54cm当りのタテ糸とヨコ糸の密度の合計が210本程度のもの)を重ねて、試験機に取り付けて測定を行った。
C−1:−50℃の環境下で揉んだ後の耐水圧1
タテ20cm×ヨコ20cmの試料を温度が−50℃に設定した環境試験槽(タバイエスペック株式会社製、PSL−4SPH)に入れ、広げた状態で10分間放置した後、試料を二つ折りにし、手袋をした手で、手と手の間隔を約5cmとなるように試料を掴み、環境試験槽内で上下に20回もみを加える。その後、環境試験槽から試料を取り出し、常温で24時間放置した後、前記のJIS L1092−2009 A法(低水圧法)またはB法(高水圧法)に準じた方法で耐水圧を測定する。
C−2:−50℃の環境で揉んだ後の耐水圧2
試験用の試料を−50℃に設定した環境試験槽に入れる前に、5分間水に浸漬した後、試料の表面に付着している水滴をタオルで除去する前処理をおこなった以外は上記(1)と同様にして耐水圧を測定した。なお、水に浸漬させる際に試料が浮く場合には、試料の上に100gの重りを置いて試料全体を水に浸漬するようにした。
D 風合い
風合いは、上記C−1、C−2の条件で試料を10分間放置した後、それぞれの試料を環境試験槽の中で手袋をした手で触って評価した。常温のときと比べ、同等の場合を○、やや硬くなったものを△、衣服としては用いることが困難と思われるほど硬化したものは×と評価した。
D 撥水性
JIS L1092−2009 スプレー試験に準じて繊維布帛1のはっ水度を測定した。
(実施例1)
ポリエステル製平織物(たて糸84デシテッス/72フィラメント、よこ糸たて糸84デシテッス/72フィラメント。目付120g/m)を分散染料で黒色に染色し、フッ素系撥水剤アサヒガードAG―E081(旭硝子(株)製)の3%水溶液を用い撥水加工したものを繊維布帛1として用いた。この繊維布帛1は、衣服として用いた場合、表地であって身体とは反対側(外側)に用いられるものである。なお、繊維布帛1のピックアップ率は1%未満であった。
次に、離型紙上に下記樹脂溶液をコンマコ−タを用い、スリット0.07mmで塗布し、120℃にて乾燥して、厚さ13μmの無孔質のウレタン樹脂膜を得た。
樹脂溶液(無孔質のウレタン樹脂膜作製用)
エ−テル系ポリウレタン樹脂(固形分30%;Tg:−50℃) 100部
メチルエチルケトン 60部
白色顔料 8部
次に接着剤用の下記樹脂溶液をコンマコ−タを用いスリット0.08mmで上記無孔質のウレタン樹脂膜全面にベタ状に塗布した。次に120℃で2分間乾燥した。
樹脂溶液(接着剤用)
エ−テル系ポリウレタン樹脂(固形分45%;Tg:−50℃) 100部
トルエン 50部
イソシアネ−ト系架橋剤 9部
有機錫系触媒 1部
この接着剤表面に繊維布帛1を重ね合わせて熱圧着により貼り合わせた(ドライラミネート)。
更に、離型紙を剥離し、繊維布帛1が積層されていない無孔質のウレタン樹脂膜面に上記と同様の接着剤用の樹脂溶液をコンマコ−タを用いスリット0.08mmで、上記無孔質膜上の全面にベタ状に塗布した。次に120℃で2分間乾燥した。
この接着剤を塗布したウレタン樹脂膜面に繊維布帛2(ナイロン製ハーフトリコット;18デシテックス/7フィラメント;酸性染料でグレーに染色;目付36g/m;ピックアップ量23g/m)を重ね合わせて繊維布帛2を熱圧着により貼り合わせた(ドライラミネート)後、70℃で48時間エージングした。
次に、150℃で30秒間仕上げセットを行い、ウレタン樹脂膜の両面に繊維布帛が積層されている防水布帛を得た。なお、繊維布帛2は、衣服の表地として用いた場合、身体側(衣服の内側)に用いられるものである。
得られた防水布帛の物性等を表1に記載した。
比較例1
実施例1と同様の繊維布帛1の片面に、下記樹脂溶液をコンマコ−タを用い、スリット0.10mmで塗布し、水中に浸漬し凝固させ、脱溶媒、水洗、乾燥し、厚さ50μmの多孔質のウレタン樹脂膜を形成した。その後、150℃で30秒間乾燥を行い、多孔質のウレタン樹脂膜の片面に繊維布帛が積層した防水布帛を得た。この繊維布帛1は、実施例1と同様に、衣服の表地として用いた場合、身体とは反対側(衣服の外側)に用いられるものである。
樹脂溶液(多孔質のウレタン樹脂膜作製用)
エステル系ポリウレタン樹脂(固形分25%;Tg:−15℃) 100部
メチルエチルケトン 50部
白色顔料 8部
次に、繊維布帛1が積層されていない多孔質のウレタン樹脂膜面に実施例1と同様の繊維布帛2を実施例1と同様にし、積層し、防水布帛を得た。なお、繊維布帛2は、衣服の表地として用いた場合、身体側(衣服の内側)に用いられるものである。
得られた防水布帛の物性等を表1に記載した。
比較例2
繊維布帛2として、ピックアップ量が104g/mのポリエステル製天竺(83デシテックス/72フィラメント;目付155g/m)を用いた。なお、繊維布帛2は、衣服の表地として用いた場合、身体側(衣服の内側)に用いられるものである。
繊維布帛2として上記のものを用いた以外は、実施例1と同様にして防水布帛を得た。
得られた防水布帛の物性等を表1に記載した。
実施例2
繊維布帛1として、実施例1で用いたポリエステル平織物に、撥水剤としてNT−X620(米国 NANO−TEX社製)の3%水溶液を用いて撥水加工を行ったもの用いた。繊維布帛1のピックアップ率1.8%であった。繊維布帛1として上記のものを用いた以外は実施例1と同様にし、防水布帛を得た。得られた防水布帛の物性等を表1に記載した。
実施例3
繊維布帛1として、ポリエステル製ツイル(たて糸84デシテッス/72フィラメント;よこ糸たて糸167デシテッス/36フィラメント;目付200g/m)を分散染料で黄色に染色し、フッ素系撥水剤アサヒガードAG―E081(旭硝子(株)製)の3%水溶液を用い撥水加工したものを用いた。この繊維布帛1は、衣服として用いた場合、表地であって身体とは反対側(外側)に用いられるものである。なお、繊維布帛1のピックアップ率は1%未満であった。
繊維布帛2として、ピックアップ量が24g/mのポリエステル製天竺(22デシテックス/24フィラメント;目付50g/m)を用いた。なお、繊維布帛2は、衣服の表地として用いた場合、身体側(衣服の内側)に用いられるものである。
繊維布帛1及び繊維布帛2として上記のものを用いた以外は、実施例1と同様にして防水布帛を得た。
得られた防水布帛の物性等を表1に記載した。
実施例4
繊維布帛1として、ナイロン製リップストップタフタ(たて糸26デシテッス/20フィラメント;よこ糸たて糸26デシテッス/20フィラメント;目付80g/m)を酸性染料で赤色に染色し、フッ素系撥水剤アサヒガードAG―E081(旭硝子(株)製)の3%水溶液を用い撥水加工したものを用いた。この繊維布帛1は、衣服として用いた場合、表地であって身体とは反対側(外側)に用いられるものである。なお、繊維布帛1のピックアップ率は1%未満であった。
繊維布帛2として、ピックアップ量が7g/mのナイロン製ハーフトリコット(目付が10g/m;酸性染料でグレーに染色)を用いた。なお、繊維布帛2は、衣服の表地として用いた場合、身体側(衣服の内側)に用いられるものである。
繊維布帛1及び繊維布帛2として上記のものを用いた以外は、実施例1と同様にして防水布帛を得た。
得られた防水布帛の物性等を表1に記載した。
Figure 0006486282
実施例での結果より、ガラス転移点が−30℃未満であるエーテル系のウレタン樹脂を用いて得られたウレタン樹脂膜を用いた実施例1〜4は、−50℃の環境下においても風合いが硬化せず、衣服等の繊維製品として用いることができた。
これに対し、ガラス転移点が−30℃以上のエステル系のウレタン樹脂を用いた比較例1では、−50℃の環境下では風合いが著しく硬化し、衣服等の繊維製品として用いることができるのものではなかった。
また、衣服として繊維製品の内側(身体側)に使用される繊維布帛の水のピックアップが100g/m未満の実施例1〜4では、−50℃の環境下において、多少風合いは硬化するものの衣服等の繊維製品として用いることができるものであった。
これに対し、水のピックアップ量が、100g/mの超える比較例2では、風合いが著しく硬化し、衣服等の繊維製品として用いることができるのものではなかった。さらに、常温に戻して耐水圧を測定したところ防水性が大きく低下していた。

Claims (9)

  1. ガラス転移点が−30℃未満であるウレタン樹脂膜の少なくとも片面に繊維布帛が積層されてなる防水布帛であって、
    前記ウレタン樹脂膜が、主としてエーテル系ウレタン樹脂からなり、
    繊維製品としたときに当該繊維製品の内側に使用される前記繊維布帛の水のピックアップ量が50g/m 以下であることを特徴とする防水布帛。
  2. 前記ガラス転移点が−50℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の防水布帛。
  3. 透湿性を有し、塩化カルシウム法による透湿度が2000g/m ・24hrs以上および/または酢酸カリウム法による透湿度が2000g/m ・24hrs以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の防水布帛。
  4. 前記防水布帛が繊維製品の表地として用いられるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の防水布帛。
  5. 前記ウレタン樹脂膜が無孔質膜であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の防水布帛。
  6. 前記ウレタン樹脂膜が接着剤を介して前記繊維布帛と接着されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の防水布帛。
  7. 前記接着剤が、エーテル系ウレタン樹脂であることを特徴とする請求項6に記載の防水布帛。
  8. 前記接着剤に用いられるウレタン樹脂のガラス転移点が−30℃未満であることを特徴とする請求項またはに記載の防水布帛。
  9. 請求項1〜のいずれか一項に記載の防水布帛を表地として用いた繊維製品。
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