JP2000328216A - 高耐食性めっき鋼板 - Google Patents
高耐食性めっき鋼板Info
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Abstract
種熱器具等に使用される耐熱性、耐食性に優れたを溶融
Alめっき鋼板を提供する。 【解決手段】 重量%で、Mg:3〜10%、Si:1
〜15%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物か
らなり、必要に応じCa,Znを含有する溶融Al−M
g−Si系めっき層を鋼板表面に形成した溶融Al基め
っき鋼板であって、該めっき層が、少なくとも「Al
相」,「Mg2 Si相」からなり、「Mg2Si相」の
長径が10μm以下である金属組織を有することを特徴
とする高耐食性めっき鋼板。
Description
融アルミ系めっき鋼板に関するものである。
としてAlめっき鋼板は建材分野で幅広く用いられてい
る。また近年の環境規制強化に対応するため、従来燃料
タンク用材料として用いられて来た鉛を必須として含有
するPb−Sn合金めっき鋼板、すなわちターンめっき
鋼板(特公昭57−61833号公報)を他のめっき鋼
板に置き換える傾向が強まっており、Alめっき鋼板の
適用が検討されている。
食環境では腐食生成物が安定化して優れた耐食性を示す
のに対し、常に湿潤状態にさらされる環境でのめっき溶
出速度は極めて速く、容易に鋼板腐食に至ってしまい充
分な耐食性を発揮しない。さらにAlめっき鋼板はアル
カリ環境での腐食が著しく、塗膜下のようにアルカリ雰
囲気になりやすい部位では膨れを容易に誘発し、しかも
それが伝播しブリスターを引き起こしてしまうという欠
点があった。
との界面にAl−Fe−Siを主成分とする脆い合金層
を有しており、加工時に地鉄まで貫通しためっき割れが
生じやすいといった問題があった。このめっき割れによ
り露出した地鉄は腐食の際のカソードとして作用するた
め腐食起点として作用し、まためっき割れに沿って腐食
が伝播するため耐食性が著しく劣化する。
るため塗装を100μm以上の厚塗りにして対応する方
法や、特開昭62−120494号公報に開示されてい
るように、めっき鋼板に付与するクロメート層を増加し
耐食性を向上させる技術が開示されている。ところがこ
れらの方策では塗装のための大がかりな設備投資が必要
であったり、クロメートが環境に与える悪影響を考慮す
るとその使用量を増加するのは得策ではない。また、A
l−Siめっきの耐食性改善のためにMgを添加するこ
とも検討されており、例えば特公平1−20224号公
報に記載されているように、Si:3.0〜13%、M
g:0.5〜8.0%、残部Alおよび不可避的不純物
を含んだめっき鋼板の製造例が開示されている。この開
示例での最適なMgの添加量は0.5〜3%と記されて
いるが、本発明者らの詳細な研究ではMg3%以下では
耐食性向上効果は殆ど発揮されず、より適正な組成にコ
ントロールする必要があることが明らかになった。
2,1960の41〜44頁にはAlにMgを0.5
%、5%、10%添加したAl−Mg合金めっきの耐食
性に関して触れられており、加工無しの平板の状態での
暴露試験での裸耐食性はMgが0.5%では不十分であ
るがMgを5、10%とすることで向上することが述べ
られれいる。しかし一般的には無加工状態でめっき鋼板
を用いることは非常に少なく、加工後にも安定した耐食
性を発揮するためのSi並びにMgの濃度の適正範囲、
さらにはめっき組織の構造に関しては一切触れられてい
ない。
諸問題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、AlにMg
並びにSiを適正範囲で添加しその組織形態を抑制する
ことで加工の有無、塗装の有無、使用環境を問わず安定
した防錆能を発揮する高耐食性めっき鋼板の提供が可能
であることを見出し本発明に至った。すなわち、本発明
は、めっき組成、構造において、次のような構成を有す
る。 (1)重量%で、Mg:3〜10%、Si:1〜15%
を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなる溶
融Al−Mg−Si系めっき層を鋼板表面に形成した溶
融Al基めっき鋼板であって、該めっき層が、少なくと
も「Al相」,「Mg2 Si相」からなり、「Mg2 S
i相」の長径が10μm以下である金属組織を有するこ
とを特徴とする高耐食性めっき鋼板。
i:1〜15%、Ca:0.01〜2%を含有し、残部
がAlおよび不可避的不純物からなる溶融Al−Mg−
Si系めっき層を鋼板表面に形成した溶融Al基めっき
鋼板であって、該めっき層が、少なくとも「Al相」,
「Mg2 Si相」からなり、「Mg2 Si相」の長径が
10μm以下である金属組織を有することを特徴とする
高耐食性めっき鋼板。
i:1〜15%、Ca:0.01〜2%、Zn:3〜2
5%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からな
る溶融Al−Mg−Si−Zn系めっき層を鋼板表面に
形成した溶融Al基めっき鋼板であって、該めっき層
が、少なくとも「Al相」,「Mg2 Si相」と「Mg
2 Zn相」からなり、「Mg2 Si相」の長径が10μ
m以下である金属組織を有することを特徴とする高耐食
性めっき鋼板。 (4)めっき表面から観察出来る加工後のめっき相割れ
が、塊状のMg2 Si相を通過することを特徴とする前
記(1)〜(3)に記載の高耐食性めっき鋼板である。
gを添加することは一般的に行なわれており、例えば建
材に用いられている5000系Al合金ではMgを4〜
6%添加して耐食性の向上を図っている。またMg添加
鋳物(AC7A)でもMgを3〜6%添加してある。し
かし、いずれの場合でもSiは0.2%以下に抑制され
ているが、これはMgとSiを同時に添加した結果とし
て析出する金属間化合物であるMg2 Siが加工性を劣
化させてしまうためである。
にはMg2 Siの析出量を最小限度に抑える必要があ
り、耐食性の向上効果にもおのずと限界があった。本発
明者らが鋭意検討した結果、めっき皮膜として用いる場
合には、Mg2 Siの析出量並びに形状を制御すること
で、無加工状態での耐食性を向上出来るだけでなく、加
工により発生するめっき割れの悪影響を最小限に抑えら
れることが出来ることが明らかなった。
鋼板は、Mg:3〜10重量%、Si:1〜15重量
%、残部がAlおよび不可避的不純物からなる溶融Al
−Mg−Si系めっき層を鋼板表面に形成した溶融Al
基めっき鋼板であって、当該めっき層が、少なくとも
「Al相」,「Mg2 Si相」からなり、「Mg2 Si
相」の長径が10μm以下である金属組織を有する高耐
食性めっき鋼板を提供するものである。
けて研磨し観察した場合の組織の摸式図を示す。ここで
「Mg2 Si相」とは、多層形をした塊状や最も白く見
えるAlマトリクスの中やその周辺に微細な形態をして
いる組織である。本発明に従う溶融Al−Mg−Si系
めっき層は特定の金属組織を有する点に特徴があるが、
まず当該めっき鋼板の基本的なめっき組成から説明す
る。
性を向上させる作用を供する。Mgの添加は0.5%以
上で塩水環境での耐食性向上効果があるが、大気暴露等
での環境でも安定した耐食性を発揮するためには3%以
上の添加が必要である。またMgの添加量が3%を超え
る段階から「塊状のMg2 Si相」の析出が開始し、M
g添加量とともにその量は増加する。他方Mgの添加量
を増大して行くと徐々に浴の粘度が上昇し操業性を劣化
させると同時に、10%を超えると耐食性が劣化する。
これらのことを考慮すると好ましいMg含有量は3〜1
0%である。
に劣るFe−Al系合金層が生成し、加工時のめっき割
れを誘発するため十分な加工性が得られない。同時にS
iが1%未満であると「塊状のMg2 Si相」の析出が
起こらない。6%を超えることがより好ましい。一方で
Si含有率が15%を超えると耐食性が極端に劣化す
る。これらの理由からめっき層中Si含有率は1〜15
%に設定した。これらの知見からめっき層中に「塊状の
Mg2 Si相」が生じ、全ての環境で優れた耐食性を発
揮するための適正Mg含有率は3〜10%、適正Si含
有率は1〜15重量%である。さらに、Caが0.01
%以上の添加により製造時に問題となる外観不良を改善
することが可能であり、その効果は2%で飽和するため
上限を2%とする。
存在するとZnの腐食生成物の安定化により、めっき層
や露出地鉄表面上にZn腐食生成物からなる強固な保護
皮膜を形成するため耐食性が向上する。3%未満である
とその効果は乏しく、より好ましくは11%以上であ
る。また、25%を超えるとZnの溶解が増大するため
耐食性を悪化させる。よってZnはめっき層中に3〜2
5%存在することが好ましい。
が、「Mg2 Si相」は各種製造条件により、その長径
はサブμmから数十μmまで形態は変化するが、長径が
10μmを超えるとMg2 Si相は極端に脆くなるため
加工性が悪化する。よって、Mg2 Si相の長径は10
μm以下に制御することが必要である。また、めっき層
中にMg2 Znが存在する。これは、めっきや地鉄表面
上に安定な腐食生成物を形成し、より強固な防食皮膜と
なるため、めっき層中に存在することが望ましい。上記
の他にも、めっき層中組織としてCa2 Si相、FeA
lSi相、Si相、Zn相等が存在することもありうる
が、いずれの状態となってもよく、本発明の趣旨を損な
うものではない。
のようにAlめっき鋼板は、加工時に地鉄まで貫通した
めっき割れが生じやすく、これにより耐食性が著しく劣
化するといった欠点があった。これはめっき割れにより
露出した地鉄は腐食の際のカソードとして作用し腐食起
点となり、まためっき割れに沿って腐食が伝播するため
である。ところが、図2に示すように「塊状のMg2 S
i相」を通過するようにめっき割れが生じた場合には、
露出した地鉄は腐食起点として作用しないし、腐食の伝
播も極端に遅くなる。この理由は不明であるが、腐食環
境下に曝された時に、「塊状のMg2 Si相」から溶出
したMgとSiの作用により地鉄上での酸素還元反応が
抑制されたためと考えている。すなわち、従来は加工性
を劣化させるためAl合金では回避されていた塊状Mg
2 Siを積極的に晶出させ平板での耐食性を向上させる
と同時に、加工時の割れ、すなわち、地鉄の露出箇所を
Mg2 Siを起点として発生させることにより、腐食に
弱点となる地鉄露出箇所を無害化するところに本発明の
特徴がある。
に関しての限定は特に行わず、どのような鋼種に対して
も耐食性向上効果を有する。鋼種としては、Ti、N
b、B等を添加したIF鋼、Alキルド鋼、Cr含有
鋼、ステンレス鋼、ハイテンに加え、耐熱性を狙うTi
添加鋼、合金化抑制効果を狙うfree−N添加鋼等を
使用することも可能である。建材用途には、Alキルド
系、あるいはステンレス系が、また、排気系用途には、
Ti−IF、Ti添加鋼が、家電用途には、Alキルド
系、free−N添加鋼系が、燃料タンク用途には、B
添加IF鋼の適用がそれぞれ望ましい。
鋼板の製造方法は必ずしも限定されるものではないが、
発明者らの現在までの検討において最良と考えられるも
のを以下に説明する。すなわち、連続溶融めっき設備に
おいてMg:3〜10%、Si:1〜15%、残部がA
lおよび不可避的不純物からなる溶融めっき浴とし、こ
の浴の浴温を融点以上で好ましくは670℃以下とし、
かつ、めっき後の冷却速度を10℃/sec以上、好ま
しくは20℃/sec以上に制御して鋼板表面に溶融め
っきを施せば、前述した本発明に従う金属組織のめっき
層をもつ耐食性良好な溶融Al−Mg−Si系鋼板を工
業的に製造することができる。より好ましくは、鋼板が
めっき浴から目付制御のためにワイピングされる付近の
酸素濃度を0.1%以下の雰囲気制御を行うか、浴中に
0.1%程度のCaを添加することが望ましい。
可能であるが、Mg添加により浴粘度が上昇することを
考慮すると600℃以上で操業するのが好ましく、また
上限値は添加したMgの酸化反応抑制する意味で670
℃以下で操業するのが好ましい。また、冷却速度に関し
ては、5〜50℃/secでは冷却速度が遅くなるに従
い塊状のMg2 Siが粗大化する。本発明に従う金属組
織を得るためには、15℃/secの冷却速度で操業す
る必要がある。また、上限値は特に限定するものではな
く、早い方が好ましいがミスト冷却等により極端に冷却
速度を上昇させると外観の劣化を引き起こす。
25%N2 からなる還元ガス中で750℃で30秒間還
元、焼鈍し700℃に冷却後630℃に保持されためっ
き浴に浸漬し溶融めっきを行なった。上記浴中に3.5
秒浸漬後N2 ガスワイピングでめっき付着量を片面当た
り30g/m2 に調整し、めっき浴組成とほぼ同一組成
のAl−Si−Mg合金めっき鋼板を作成した。めっき
浴組成は0≦Si(wt%)≦20、並びに0≦Mg
(wt%)≦20、0≦Ca(wt%)≦2、0≦Zn
(wt%)≦30の範囲で変化させた。得られためっき
鋼板は重量法でめっき付着量、並びに化学分析で組成を
分析すると同時に、めっき鋼板の任意の箇所のめっき層
の表面をわずかな傾斜(1〜15°)を付けて研磨した
後、光学顕微鏡で500倍の組織を観察した。
るようにクロメート処理を行なった後、ブランク径16
0mmΦの試験片に鉱油を主成分とする防錆油を1.5
g/m2 塗布したのち、ポンチ径78mmΦで押し付け
荷重5kgf/cm2 で45mmの深絞り成形を行なっ
た。このとき絞り成形されたサンプルのめっき剥離を目
視で確認すると同時に、側壁部から10×10mmの試
片を切り出し、傾斜研磨後、光学顕微鏡でめっき割れの
状況を観察した。
成樹脂を20μm塗装し、腐食評価用サンプルを作成し
た。腐食評価用サンプルは50℃の5%温塩水に30日
浸漬したのちエッジ部からの膨れ状況並びに赤錆びの発
生有無で耐食性を評価した。上記加工・腐食試験結果を
表1に示す。表から明らかなように、めっき組成が適正
範囲に調整されその組織が制御された場合には、良好な
耐食性を示すが、Mg2 Siの粒径、Si並びにMgの
いずれの元素でも適正範囲をはずれると充分な塗装後耐
食性が維持出来なくなる。
−Mg系合金めっきを用いることによって、従来のAl
めっき鋼板の問題点が解消され、いかなる環境でも優れ
た耐食性を発揮するめっき鋼板が提供できるようになっ
た。また、本発明のAl−Si−Mg系合金めっき鋼板
は、めっき割れ部に対しても従来よりも高い耐食性を維
持するので加工後の耐食性にも極めて優れる。したがっ
て、本発明の産業上の価値は極めて高いものであるとい
える。
属組織で「Al相」,「微細なMg2 Si相」,「塊状
のMg2 Si相」が混在する形態を示す模式図である。
工後の金属組織で加工後のめっき割れが「塊状のMg2
Si相」を通過する様子を示す図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 重量%で、 Mg:3〜10%、 Si:1〜15% を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなる溶
融Al−Mg−Si系めっき層を鋼板表面に形成した溶
融Al基めっき鋼板であって、該めっき層が、少なくと
も「Al相」,「Mg2 Si相」からなり、「Mg2 S
i相」の長径が10μm以下である金属組織を有するこ
とを特徴とする高耐食性めっき鋼板。 - 【請求項2】 重量%で、 Mg:3〜10%、 Si:1〜15%、 Ca:0.01〜2% を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなる溶
融Al−Mg−Si系めっき層を鋼板表面に形成した溶
融Al基めっき鋼板であって、該めっき層が、少なくと
も「Al相」,「Mg2 Si相」からなり、「Mg2 S
i相」の長径が10μm以下である金属組織を有するこ
とを特徴とする高耐食性めっき鋼板。 - 【請求項3】 重量%で、 Mg:3〜10%、 Si:1〜15%、 Ca:0.01〜2%、 Zn:3〜25% を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなる溶
融Al−Mg−Si−Zn系めっき層を鋼板表面に形成
した溶融Al基めっき鋼板であって、該めっき層が、少
なくとも「Al相」,「Mg2 Si相」と「Mg2 Zn
相」からなり、「Mg2 Si相」の長径が10μm以下
である金属組織を有することを特徴とする高耐食性めっ
き鋼板。 - 【請求項4】 めっき表面から観察出来る加工後のめっ
き相割れが、塊状のMg2 Si相を通過することを特徴
とする請求項1〜3に記載の高耐食性めっき鋼板。
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