JP2003231945A - 耐食性に優れたAl−Zn系めっき鋼板 - Google Patents
耐食性に優れたAl−Zn系めっき鋼板Info
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- JP2003231945A JP2003231945A JP2002033531A JP2002033531A JP2003231945A JP 2003231945 A JP2003231945 A JP 2003231945A JP 2002033531 A JP2002033531 A JP 2002033531A JP 2002033531 A JP2002033531 A JP 2002033531A JP 2003231945 A JP2003231945 A JP 2003231945A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 平面耐食性と端面耐食性を両立する表面処理
鋼板を提供する。 【解決手段】 質量%で、Cr:3%以上を含有する鋼
の表面に、Zn:10%以上、Si:0.5〜15%、
Cr:0.05%以上、残部Al及び不可避的不純物か
らなるAl−Zn系めっき層を含有する耐食性に優れた
Al−Zn系めっき鋼板。必要により、鋼中にMo,C
u,Mn,Niをめっき層にMg,Sn,Ca,ミッシ
ュメタル等を添加することも可能である。 【効果】 Cr含有鋼を使用することで、鋼素地のCr
がめっき層へ拡散して平面、端面の耐食性が共に優れ
る。
鋼板を提供する。 【解決手段】 質量%で、Cr:3%以上を含有する鋼
の表面に、Zn:10%以上、Si:0.5〜15%、
Cr:0.05%以上、残部Al及び不可避的不純物か
らなるAl−Zn系めっき層を含有する耐食性に優れた
Al−Zn系めっき鋼板。必要により、鋼中にMo,C
u,Mn,Niをめっき層にMg,Sn,Ca,ミッシ
ュメタル等を添加することも可能である。 【効果】 Cr含有鋼を使用することで、鋼素地のCr
がめっき層へ拡散して平面、端面の耐食性が共に優れ
る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、屋根壁等の金属建
材、家庭用、産業用電気器具、自動車の外板、排気系部
材、ガソリンタンク材に使用される耐食性に優れた表面
処理鋼板に関するものである。
材、家庭用、産業用電気器具、自動車の外板、排気系部
材、ガソリンタンク材に使用される耐食性に優れた表面
処理鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】表面処理鋼板としては、Zn,Zn−A
l,Al−Si,Pb−Sn,Sn,Cr,Niめっき
等があり、その優れた耐食性や耐熱性、美麗な外観等か
ら、前記したような自動車部品、建材、電気器具、容器
材料等に広範に使用されている。めっき種は用途によっ
て異なり、犠牲防食性が要求される用途にはZn,Zn
−Alめっき、耐熱性用途にはAl−Siめっき、半田
性用途にはPb−Snめっき、容器用にはSn,Crめ
っき等の使い分けがなされている。
l,Al−Si,Pb−Sn,Sn,Cr,Niめっき
等があり、その優れた耐食性や耐熱性、美麗な外観等か
ら、前記したような自動車部品、建材、電気器具、容器
材料等に広範に使用されている。めっき種は用途によっ
て異なり、犠牲防食性が要求される用途にはZn,Zn
−Alめっき、耐熱性用途にはAl−Siめっき、半田
性用途にはPb−Snめっき、容器用にはSn,Crめ
っき等の使い分けがなされている。
【0003】この中で最も使用量の多いのはZn、Zn
−Al系めっきである。これは地鉄が露出した際に、露
出した鉄を防食する犠牲防食機能を有するめっき金属が
Znのみのためである。但し、Znめっき自体の腐食速
度は比較的大きいという問題点がある。Zn−Al系と
することで、めっきの腐食速度は小さくなるが、逆に鉄
の犠牲防食作用は弱まる。一般にZnめっきの耐食性を
向上させるような元素は、犠牲防食効果を劣化させる傾
向にあり、めっき自体の耐食性と端面の鉄の防食性とは
二律背反の関係にある。めっき自体の耐食性に優れるA
l−Siめっき、Pb−Snめっき、Sn,Crめっき
等はいずれも露出した地鉄を保護する作用は有していな
い。
−Al系めっきである。これは地鉄が露出した際に、露
出した鉄を防食する犠牲防食機能を有するめっき金属が
Znのみのためである。但し、Znめっき自体の腐食速
度は比較的大きいという問題点がある。Zn−Al系と
することで、めっきの腐食速度は小さくなるが、逆に鉄
の犠牲防食作用は弱まる。一般にZnめっきの耐食性を
向上させるような元素は、犠牲防食効果を劣化させる傾
向にあり、めっき自体の耐食性と端面の鉄の防食性とは
二律背反の関係にある。めっき自体の耐食性に優れるA
l−Siめっき、Pb−Snめっき、Sn,Crめっき
等はいずれも露出した地鉄を保護する作用は有していな
い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、この問題を解
決するために、鋼板へのCr添加が検討されてきた。め
っき自体の耐食性に優れるAl−Siめっきの母材とし
てCr含有鋼を使用することで、鋼板の腐食電位がめっ
き層よりも貴となってAl−Siめっきは鋼素地を犠牲
防食するようになる。このような知見は、特開昭63−
47356号公報及び特開昭64−28349号公報に
記載されている。しかし、めっき種がAl−Siの場
合、めっき層と鋼素地の電位が逆転するには鋼中に5〜
10%のCrを添加する必要があった。必要量は環境に
より異なるが、例えば、自動車排気系の内面環境では5
%、建材等の暴露環境では10%が必要とされている。
鋼中Cr量が増大すると、当然Crのメタルコストが必
要で、更に、Crにより熱延性、酸洗性、めっき性等が
低下するため製造コストが増大するという問題があっ
た。このため、特に建材として使用する際には高価な材
料となり、その使用が制限されてきた。
決するために、鋼板へのCr添加が検討されてきた。め
っき自体の耐食性に優れるAl−Siめっきの母材とし
てCr含有鋼を使用することで、鋼板の腐食電位がめっ
き層よりも貴となってAl−Siめっきは鋼素地を犠牲
防食するようになる。このような知見は、特開昭63−
47356号公報及び特開昭64−28349号公報に
記載されている。しかし、めっき種がAl−Siの場
合、めっき層と鋼素地の電位が逆転するには鋼中に5〜
10%のCrを添加する必要があった。必要量は環境に
より異なるが、例えば、自動車排気系の内面環境では5
%、建材等の暴露環境では10%が必要とされている。
鋼中Cr量が増大すると、当然Crのメタルコストが必
要で、更に、Crにより熱延性、酸洗性、めっき性等が
低下するため製造コストが増大するという問題があっ
た。このため、特に建材として使用する際には高価な材
料となり、その使用が制限されてきた。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、平面耐食性、
端面耐食性を両立する素材を比較的安価に製造すること
を可能とするものである。本発明者らは、Cr含有鋼の
Al−Siめっきを開発する過程で、以下の知見を得
た。すなわち、Cr含有鋼にAl−Siめっきを施す
と、Al−Siめっき自体の耐食性も向上しているとい
う結果が得られ、この原因を調査したところ、鋼中Cr
が溶融めっき過程でAl−Siめっき層中へ約0.1%
拡散しており、このCrにより腐食生成物が安定化して
いた。そこで、めっき層へCrを添加すべく種々検討し
たが、Al−Siめっき浴中におけるCrの溶解度は低
く、0.1%以上の量を得ることはできなかった。
端面耐食性を両立する素材を比較的安価に製造すること
を可能とするものである。本発明者らは、Cr含有鋼の
Al−Siめっきを開発する過程で、以下の知見を得
た。すなわち、Cr含有鋼にAl−Siめっきを施す
と、Al−Siめっき自体の耐食性も向上しているとい
う結果が得られ、この原因を調査したところ、鋼中Cr
が溶融めっき過程でAl−Siめっき層中へ約0.1%
拡散しており、このCrにより腐食生成物が安定化して
いた。そこで、めっき層へCrを添加すべく種々検討し
たが、Al−Siめっき浴中におけるCrの溶解度は低
く、0.1%以上の量を得ることはできなかった。
【0006】しかし、更に検討を続け、第三元素を加え
ることでめっき層中のCrの溶解度が上昇することを見
出した。これは、Znが特に効果的であり、Cr鋼にA
l−Zn−Siめっきをすることでめっき層へのCr拡
散が容易になった。前述したように、Al−Siめっき
とAl−Zn−Siめっきとを比較すると、耐食性の低
いZnの分だけ後者の方が平面部の耐食性は劣位にある
が、Cr含有鋼を使用することで、めっき層中へのCr
拡散量が増大して、耐食性は却って向上するとの知見も
得られた。本発明は以上の知見を元に構成されたもので
ある。なお、浴中にCrを添加するという手段もあり、
これも効果的であるが、Al−Zn−Siめっき浴にお
いてもCrの溶解度は低く、鋼素地へCrを添加した方
がめっき層中のCr濃度を高く確保できる。
ることでめっき層中のCrの溶解度が上昇することを見
出した。これは、Znが特に効果的であり、Cr鋼にA
l−Zn−Siめっきをすることでめっき層へのCr拡
散が容易になった。前述したように、Al−Siめっき
とAl−Zn−Siめっきとを比較すると、耐食性の低
いZnの分だけ後者の方が平面部の耐食性は劣位にある
が、Cr含有鋼を使用することで、めっき層中へのCr
拡散量が増大して、耐食性は却って向上するとの知見も
得られた。本発明は以上の知見を元に構成されたもので
ある。なお、浴中にCrを添加するという手段もあり、
これも効果的であるが、Al−Zn−Siめっき浴にお
いてもCrの溶解度は低く、鋼素地へCrを添加した方
がめっき層中のCr濃度を高く確保できる。
【0007】次に、本発明を詳細に説明する。まず鋼成
分の限定理由を説明する。先述したように、本発明はC
r含有鋼を使用して、鋼中からめっき層へCrを拡散さ
せるもので、その効果は鋼中Cr量が多いほど顕著に現
れるが、効果を発現させるには鋼中への3%以上のCr
添加が必要である。これ以外に更なる耐食性向上を狙っ
てMo,Ni,Mn,Cu等を添加することも可能であ
る。しかし、効果が飽和すること、コスト増大となるこ
とから添加の上限はそれぞれ、3%,20%,3%,1
%以下が望ましい。
分の限定理由を説明する。先述したように、本発明はC
r含有鋼を使用して、鋼中からめっき層へCrを拡散さ
せるもので、その効果は鋼中Cr量が多いほど顕著に現
れるが、効果を発現させるには鋼中への3%以上のCr
添加が必要である。これ以外に更なる耐食性向上を狙っ
てMo,Ni,Mn,Cu等を添加することも可能であ
る。しかし、効果が飽和すること、コスト増大となるこ
とから添加の上限はそれぞれ、3%,20%,3%,1
%以下が望ましい。
【0008】次に、めっき層の組成であるが、ベースは
Alであり、これにSi,Znを添加するものとする。
このときSiは鋼板とめっき層の界面に生成する金属間
化合物層(通常合金層と称する)の成長を抑制して鋼板
の加工性を向上させる効果が大きい。その作用を得るに
は0.5%以上必要で、過剰の添加は凝固時に粗大なS
i初晶を形成して耐食性、加工性を阻害するため15%
を上限とする。Znは本発明において重要で、Crの固
溶限を拡大する効果がある。この効果を奏するには10
%以上が必要である。このとき当然想像されるように、
CrはZn中に偏在する傾向がある。Al−Zn−Si
めっき層において、Al相,Zn相,Si相が存在し、
通常腐食はZn相から始まるが、CrがZn中に偏在す
るため、このZnの腐食速度が非常に低下しているもの
と推定している。
Alであり、これにSi,Znを添加するものとする。
このときSiは鋼板とめっき層の界面に生成する金属間
化合物層(通常合金層と称する)の成長を抑制して鋼板
の加工性を向上させる効果が大きい。その作用を得るに
は0.5%以上必要で、過剰の添加は凝固時に粗大なS
i初晶を形成して耐食性、加工性を阻害するため15%
を上限とする。Znは本発明において重要で、Crの固
溶限を拡大する効果がある。この効果を奏するには10
%以上が必要である。このとき当然想像されるように、
CrはZn中に偏在する傾向がある。Al−Zn−Si
めっき層において、Al相,Zn相,Si相が存在し、
通常腐食はZn相から始まるが、CrがZn中に偏在す
るため、このZnの腐食速度が非常に低下しているもの
と推定している。
【0009】めっき層にはその他の元素として、Mg,
Ca,ミッシュメタル,Sn,Be,Ti,Zr等を添
加することも可能である。これらの元素はめっき層の耐
食性を更に高める効果を有する。添加量はCa,ミッシ
ュメタル,Be,Ti,Zrの場合0.1%以下が好ま
しく、Mg,Snは5%以下の添加が好ましい。更に、
これら以外に鋼中から拡散するMo,Ni,Mn,C
u,Feを含有することも可能である。
Ca,ミッシュメタル,Sn,Be,Ti,Zr等を添
加することも可能である。これらの元素はめっき層の耐
食性を更に高める効果を有する。添加量はCa,ミッシ
ュメタル,Be,Ti,Zrの場合0.1%以下が好ま
しく、Mg,Snは5%以下の添加が好ましい。更に、
これら以外に鋼中から拡散するMo,Ni,Mn,C
u,Feを含有することも可能である。
【0010】本発明において製造法は特に限定するもの
ではないが、鋼中Crの拡散による効果を狙ったもの
で、溶融めっき法が好ましい。溶融めっきにおいて、N
i,Fe等のプレめっきが知られているが、これらの方
法はCr含有鋼への溶融めっきを容易にするため、適用
も可能である。Crプレめっきを施して更にめっき層中
のCr量を増大させることも可能である。また、鋼板表
面にクロメート、樹脂被覆、リン酸塩系無機皮膜等の後
処理皮膜を設けることも本発明の趣旨を損なうものでは
ない。これら皮膜は、初期防錆、加工性、溶接性等を向
上させる効果を有する。本発明のめっき付着量は両面6
0〜250g/m2 程度が可能であり、通常のAl系め
っきと同様である。通常、55%Al−Zn−Siめっ
き鋼板はガルバリュームと呼ばれ、独特のスパングル外
観を有することが知られている。本発明の鋼板も同様の
スパングル外観を呈する。めっき後の冷却速度等を利用
してスパングル系を小さくするような処理を施すことも
可能である。
ではないが、鋼中Crの拡散による効果を狙ったもの
で、溶融めっき法が好ましい。溶融めっきにおいて、N
i,Fe等のプレめっきが知られているが、これらの方
法はCr含有鋼への溶融めっきを容易にするため、適用
も可能である。Crプレめっきを施して更にめっき層中
のCr量を増大させることも可能である。また、鋼板表
面にクロメート、樹脂被覆、リン酸塩系無機皮膜等の後
処理皮膜を設けることも本発明の趣旨を損なうものでは
ない。これら皮膜は、初期防錆、加工性、溶接性等を向
上させる効果を有する。本発明のめっき付着量は両面6
0〜250g/m2 程度が可能であり、通常のAl系め
っきと同様である。通常、55%Al−Zn−Siめっ
き鋼板はガルバリュームと呼ばれ、独特のスパングル外
観を有することが知られている。本発明の鋼板も同様の
スパングル外観を呈する。めっき後の冷却速度等を利用
してスパングル系を小さくするような処理を施すことも
可能である。
【0011】次に、実施例により本発明をさらに詳細に
説明する。
説明する。
【実施例】(実施例1)表1に示す成分の鋼を通常の転
炉−真空脱ガス処理により溶製し、鋼片とした後、通常
の条件で熱間圧延、酸洗、冷間圧延を行い、板厚0.8
mmの冷延鋼板を得た。これらの鋼板にNOF−RFタ
イプの溶融めっきラインでAl−Zn−Si系めっきを
施した。鋼Gを使用した時は、ワット浴で約1g/m2
のNiプレめっきを施し、他のCr含有鋼はNOF、R
F条件を最適化することで良好な外観のめっきが可能で
あった。めっき表面に2〜4mm程度のスパングルが発
生していた。このときのめっき浴の組成は42%Zn−
2%Siで、鋼板、浴中機器から溶解するFeが約1%
検出された。浴中Cr量は0.03%であった。このC
rは浴中機器の溶解に起因するものと思われる。また浴
温は610℃とした。めっき後、ガスワイピングで付着
量を両面150g/m2 に調整し、冷却した。こうして
製造した鋼板の特性を次に示す方法で評価した。評価結
果を表2にまとめる。
炉−真空脱ガス処理により溶製し、鋼片とした後、通常
の条件で熱間圧延、酸洗、冷間圧延を行い、板厚0.8
mmの冷延鋼板を得た。これらの鋼板にNOF−RFタ
イプの溶融めっきラインでAl−Zn−Si系めっきを
施した。鋼Gを使用した時は、ワット浴で約1g/m2
のNiプレめっきを施し、他のCr含有鋼はNOF、R
F条件を最適化することで良好な外観のめっきが可能で
あった。めっき表面に2〜4mm程度のスパングルが発
生していた。このときのめっき浴の組成は42%Zn−
2%Siで、鋼板、浴中機器から溶解するFeが約1%
検出された。浴中Cr量は0.03%であった。このC
rは浴中機器の溶解に起因するものと思われる。また浴
温は610℃とした。めっき後、ガスワイピングで付着
量を両面150g/m2 に調整し、冷却した。こうして
製造した鋼板の特性を次に示す方法で評価した。評価結
果を表2にまとめる。
【0012】
【表1】
【0013】(1)めっき層組成分析方法
寸法50×50mmの試料の両面を3%NaOH+1%
AlCl3 ・6H2 O溶液(質量%)中で電流密度20
mA/cm2 で対極をステンレス鋼として電解剥離し
た。電位が急に立ち上がったところで電流密度を順次半
分に低下させ、最終的に1mA/cm2 まで低下させ、
合金層の電位を示したところで電解を停止した。電解液
に不溶の残滓については、鋼板から丁寧に脱脂綿で拭い
取り、脱脂綿ごと分析液として採取した。次に、この分
析液を濾過し、本溶解残滓は10%塩酸中で溶解させ
た。濾液と溶解液とをあわせて、定量分析をICP(誘
導結合プラズマ発光分光分析法)で行った。なお、鋼板
に後処理が施されているときは、Cr,Si等に誤差が
でるため、表面を軽くペーパー研磨した後剥離するとよ
い。電解剥離はガラス成分の溶解を防ぐため、ガラス容
器ではなくアクリル樹脂等の容器中で行う必要がある。
AlCl3 ・6H2 O溶液(質量%)中で電流密度20
mA/cm2 で対極をステンレス鋼として電解剥離し
た。電位が急に立ち上がったところで電流密度を順次半
分に低下させ、最終的に1mA/cm2 まで低下させ、
合金層の電位を示したところで電解を停止した。電解液
に不溶の残滓については、鋼板から丁寧に脱脂綿で拭い
取り、脱脂綿ごと分析液として採取した。次に、この分
析液を濾過し、本溶解残滓は10%塩酸中で溶解させ
た。濾液と溶解液とをあわせて、定量分析をICP(誘
導結合プラズマ発光分光分析法)で行った。なお、鋼板
に後処理が施されているときは、Cr,Si等に誤差が
でるため、表面を軽くペーパー研磨した後剥離するとよ
い。電解剥離はガラス成分の溶解を防ぐため、ガラス容
器ではなくアクリル樹脂等の容器中で行う必要がある。
【0014】(2)塩害耐食性
寸法70×150mmの試料に対してJIS Z 23
71に準拠した塩水噴霧試験を30日行い、腐食生成物
を剥離して腐食減量を測定した。この腐食減量の表示は
めっき片面に対しての値である。 〔評価基準〕 ◎:腐食減量10g/m2 以下 ○:腐食減量15g/m2 未満 △:腐食減量15〜35g/m2 ×:腐食減量35g/m2 超
71に準拠した塩水噴霧試験を30日行い、腐食生成物
を剥離して腐食減量を測定した。この腐食減量の表示は
めっき片面に対しての値である。 〔評価基準〕 ◎:腐食減量10g/m2 以下 ○:腐食減量15g/m2 未満 △:腐食減量15〜35g/m2 ×:腐食減量35g/m2 超
【0015】(3)塗装後耐食性
寸法70×150mmの試料をメラミン系黒色塗装20
μmを行い、140℃で20分焼付けた。その後クロス
カットを入れ、塩水噴霧試験に供した。80日後の外観
を目視観察した。 〔評価基準〕 ◎:赤錆発生無し ○:クロスカット以外からの赤錆発生無し △:赤錆発生率5%以下 ×:赤錆発生率5%超
μmを行い、140℃で20分焼付けた。その後クロス
カットを入れ、塩水噴霧試験に供した。80日後の外観
を目視観察した。 〔評価基準〕 ◎:赤錆発生無し ○:クロスカット以外からの赤錆発生無し △:赤錆発生率5%以下 ×:赤錆発生率5%超
【0016】(4)屋外暴露試験
寸法50×200mmに剪断し、南面30°にて屋外暴
露試験を行った。3ヶ月経過後の端面からの赤錆発生
率、表面の変色状況を観察した。 〔評価基準〕 ○:端面からの赤錆発生率20%未満 △:端面からの赤錆発生率20〜60% ×:端面からの赤錆発生率60%超
露試験を行った。3ヶ月経過後の端面からの赤錆発生
率、表面の変色状況を観察した。 〔評価基準〕 ○:端面からの赤錆発生率20%未満 △:端面からの赤錆発生率20〜60% ×:端面からの赤錆発生率60%超
【0017】
【表2】
【0018】表2のNo.1,2は比較例であり、N
o.3〜9が実施例である。No.1,2のように鋼素
地のCr量が少ない場合には、めっき層へのCr拡散が
少なく、耐食性は劣位である。しかし、鋼中Cr量が増
大するにつれて安定した耐食性を発揮する。鋼中へCr
を添加するため、クロスカット、端面といった鋼素地が
露出した箇所からの腐食も緩やかとなり、総合的に極め
て優れた耐食性を発揮する。
o.3〜9が実施例である。No.1,2のように鋼素
地のCr量が少ない場合には、めっき層へのCr拡散が
少なく、耐食性は劣位である。しかし、鋼中Cr量が増
大するにつれて安定した耐食性を発揮する。鋼中へCr
を添加するため、クロスカット、端面といった鋼素地が
露出した箇所からの腐食も緩やかとなり、総合的に極め
て優れた耐食性を発揮する。
【0019】(実施例2)実施例1に示した鋼A,Dを
使用してめっき浴組成を変えてめっきを行った。このと
きの浴成分と耐食性評価結果を表3にまとめる。いずれ
の浴も表示していないが不可避的不純物としてFeを1
〜3%含有していた。このときの耐食性の評価方法及び
基準も実施例1と同一である。
使用してめっき浴組成を変えてめっきを行った。このと
きの浴成分と耐食性評価結果を表3にまとめる。いずれ
の浴も表示していないが不可避的不純物としてFeを1
〜3%含有していた。このときの耐食性の評価方法及び
基準も実施例1と同一である。
【0020】
【表3】
【0021】No.1,2,4,6,7,9,11が比
較例、No.3,5,8,10,12が実施例である。
めっき浴へのCrの溶解度は低く、かつめっき層中Cr
濃度は浴中濃度よりも低下するため、Cr含有鋼を用い
ずにめっき層中Cr量を0.1%以上にするのは困難で
ある。また、Cr含有鋼を使用しないと平面の耐食性に
は優れるが、端面からの鋼素地の赤錆発生を抑制し難
い。No.1,2のようにZn量が低いと浴中のCr溶
解度が低い傾向にある。またNo.6のようにSiを大
量に添加するのも耐食性上好ましくない。No.4,
7,9,11のようにCr含有鋼を使用しないと端面の
耐食性に劣る。Cr含有鋼を使用し、浴中にCrを添加
すると良好な平面、端面ともに良好な耐食性を示す。め
っき浴に、更にTi,Zr,ミッシュメタルを添加する
ことも可能である。
較例、No.3,5,8,10,12が実施例である。
めっき浴へのCrの溶解度は低く、かつめっき層中Cr
濃度は浴中濃度よりも低下するため、Cr含有鋼を用い
ずにめっき層中Cr量を0.1%以上にするのは困難で
ある。また、Cr含有鋼を使用しないと平面の耐食性に
は優れるが、端面からの鋼素地の赤錆発生を抑制し難
い。No.1,2のようにZn量が低いと浴中のCr溶
解度が低い傾向にある。またNo.6のようにSiを大
量に添加するのも耐食性上好ましくない。No.4,
7,9,11のようにCr含有鋼を使用しないと端面の
耐食性に劣る。Cr含有鋼を使用し、浴中にCrを添加
すると良好な平面、端面ともに良好な耐食性を示す。め
っき浴に、更にTi,Zr,ミッシュメタルを添加する
ことも可能である。
【0022】
【発明の効果】以上述べたように、本発明は、平面耐食
性、端面耐食性に優れた表面処理鋼板を従来よりも安価
に製造することを可能とする。この鋼板は建材をはじめ
として各種用途で使用可能であり、産業上の寄与は大き
い。
性、端面耐食性に優れた表面処理鋼板を従来よりも安価
に製造することを可能とする。この鋼板は建材をはじめ
として各種用途で使用可能であり、産業上の寄与は大き
い。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
C23C 2/06 C23C 2/06
2/12 2/12
2/26 2/26
2/40 2/40
28/00 28/00 C
(72)発明者 伊崎 輝明
福岡県北九州市戸畑区飛幡町1−1 新日
本製鐵株式会社八幡製鐵所内
(72)発明者 黒崎 將夫
千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式
会社技術開発本部内
Fターム(参考) 4K027 AA02 AA23 AB05 AB26 AB44
AB48 AC82 AE03
4K044 AA02 AB02 BA10 BA15 BA17
BA21 BB03 BC02 CA11 CA53
CA62
Claims (4)
- 【請求項1】 質量%で、Cr:3%以上を含有する鋼
の表面に、Zn:10%以上、Si:0.5〜15%、
Cr:0.05%以上、残部Al及び不可避的不純物か
らなるAl−Zn系めっき層を含有することを特徴とす
る耐食性に優れたAl−Zn系めっき鋼板。 - 【請求項2】 鋼板中に、更にMo:3%以下、Ni:
20%以下、Mn:3%、Cu:1%以下の1または2
種以上の元素を含有することを特徴とする請求項1に記
載の耐食性に優れたAl−Zn系めっき鋼板。 - 【請求項3】 めっき層中に、更にMg,Ca,ミッシ
ュメタル、Sn、Be,Ti,Zrの1または2種以上
の元素を含有することを特徴とする請求項1または2に
記載の耐食性に優れたAl−Zn系めっき鋼板。 - 【請求項4】 鋼板の最表面に、後処理皮膜を有するこ
とを特徴とする請求項1〜3に記載の耐食性に優れたA
l−Zn系めっき鋼板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002033531A JP2003231945A (ja) | 2002-02-12 | 2002-02-12 | 耐食性に優れたAl−Zn系めっき鋼板 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002033531A JP2003231945A (ja) | 2002-02-12 | 2002-02-12 | 耐食性に優れたAl−Zn系めっき鋼板 |
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ID=27776303
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JP2002033531A Withdrawn JP2003231945A (ja) | 2002-02-12 | 2002-02-12 | 耐食性に優れたAl−Zn系めっき鋼板 |
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-
2002
- 2002-02-12 JP JP2002033531A patent/JP2003231945A/ja not_active Withdrawn
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