JP2007016282A - アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼材及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】加工部の耐食性に優れ、生産時の歩留まりが良く、且つ高い生産効率にて低コストで生産することができるアルミニウム−亜鉛合金めっき鋼材を提供する。
【解決手段】鋼材の表面にアルミニウムを25〜70質量%含有するアルミニウム−亜鉛合金めっき皮膜が形成されている。前記鋼材は構成成分として硫化銅を含有すると共に前記めっき皮膜には硫化銅が含有されている。かかるアルミニウム−亜鉛めっき合金鋼材は硫化銅を含有する鋼材をめっき浴に浸漬することで鋼材から硫化銅を溶出させてこれを鋼材に付着するめっき融液に含有させることで容易に製造することができる。まためっき皮膜中における硫化銅はめっき融液が凝固する際の凝固核として機能し、これによりめっき皮膜に現出するスパングルの微細化がなされ、加工時の耐食性が向上する。
【選択図】なし

Description

本発明は、建材、家電製品、自動車等の分野で使用されるアルミニウム−亜鉛合金めっき鋼材に関するものである。
下地の防食を目的とする亜鉛系めっきが施された鋼材は、従来、幅広く利用されている。特にアルミニウムを25〜70質量%の範囲で含有するアルミニウム−亜鉛合金めっき鋼材(特許文献1参照)は、通常の亜鉛系めっきに比べて耐食性及び耐熱性が高く、且つ美麗なスパングルを有し、建材、家電製品向けを主な対象として使用量が増大しつつあり、近年、塗装鋼板の下地としての使用量も増えている。
このようなアルミニウム−亜鉛合金めっき皮膜の特徴としては、亜鉛リッチ相中にアルミニウムリッチ相からなる樹枝状結晶(デンドライト)が発達した組成となっていることと、鉄−アルミニウム−亜鉛−ケイ素からなる厚い合金相が下地である鋼材とめっき皮膜との界面で成長することとが挙げられる。
このようなめっき鋼材の使用上の問題としては、通常の亜鉛めっき鋼に比べて加工部耐食性が悪いことが挙げられる。例えばT曲げ等のような厳しい加工を行うと、曲げ加工部においてめっき皮膜に大きなクラックが発生しやすくなる。この発生したクラックはめっき皮膜の厚み方向に貫通して下地鋼材を露出させ、鋼に比べて卑なめっき皮膜の溶出が促進されてしまう。このとき亜鉛めっき鋼材の場合は亜鉛に由来する保護性の防食生成物の形成により腐食の進行が抑制されるが、アルミニウムを25〜70質量%の範囲で含有するアルミニウム−亜鉛合金めっき鋼材の場合には保護性の腐食生成物が形成されにくく、めっき皮膜の溶出が進行して下地の鋼材の溶出すなわち赤錆の発生に至り、結果として加工部の耐食性が低下してしまうものである。
このようなめっき皮膜の加工部耐食性の改善を図るため、めっき皮膜にMo、W、Nb、Ta、V、Cr等の金属元素を添加したり(特許文献2参照)、めっき皮膜にTiB2、AlB2、及びAlB12等の化合物を含有させたりすること(特許文献3参照)などが提案されているが、これらの方法ではいずれも金属元素や化合物等をめっき浴中に添加することが必要となり、めっき浴中における難溶性のドロスの発生を増大させ、このドロスに起因するめっき皮膜の表面欠陥の発生が増大してしまうという問題があり、このため歩留まりの低下を招いてしまうものである。
また、めっき処理後のめっき鋼材に熱処理を施すことにより加工部耐食性を改善すること(特許文献4参照)も提案されているが、この場合はめっき処理後に加熱のためのバッチ焼鈍を行う必要があり、生産効率の低下や生産コストの増大といった問題が生じてしまう。
特公昭46−7161号公報 特開平9−256132号公報 特開2004−115908号公報 特開2002−249862号公報
本発明は上記の点に鑑みて為されたものであり、加工部の耐食性に優れ、生産時の歩留まりが良く、且つ高い生産効率にて低コストで生産することができるアルミニウム−亜鉛合金めっき鋼材を提供することを目的とするものである。
本発明に係るアルミニウム−亜鉛合金めっき鋼材は、鋼材の表面にアルミニウムを25〜70質量%含有するアルミニウム−亜鉛合金めっき皮膜が形成されたアルミニウム−亜鉛合金めっき鋼材であって、前記鋼材中に構成成分として硫化銅が含有されていると共に前記めっき皮膜中に硫化銅が含有されていることを特徴とするものである。かかるアルミニウム−亜鉛めっき合金鋼材は硫化銅を含有する鋼材をめっき浴に浸漬することで鋼材から硫化銅を溶出させて鋼材に付着するめっき融液に含有させることで容易に製造することができ、鋼材が浸漬されるめっき浴に直接硫化銅を含有させる必要がなくなり、めっき浴におけるドロスの発生が抑制される。まためっき皮膜中における硫化銅はめっき融液が凝固する際の凝固核として機能し、これによりめっき皮膜に現出するスパングルの微細化がなされる。
上記アルミニウム−亜鉛合金めっき皮膜中における硫化銅の含有率は0.0001質量%以上であることが好ましい。これによりめっき皮膜に現出するスパングルの微細化が更に促進される。
上記アルミニウム−亜鉛合金めっき皮膜に現出するスパングルの平均粒径は400μm以下であることが好ましい。
また、上記めっき皮膜中の硫化銅の含有率をA質量%、上記鋼材中の硫化銅の含有率をB質量%とした場合、前記A及びBが下記式(1)に示す関係を満たすことが好ましい。このようにすると、鋼材から所望量の硫化銅を溶出させて容易にめっき皮膜中に含有させることができるものである。
0.0001≦A/B≦0.1…(1)
また、上記めっき皮膜中の硫化銅の平均粒径は0.005〜5μmの範囲であることが好ましい。これによりめっき皮膜に現出するスパングルの更なる微細化を為すことができるものである。
本発明に係るアルミニウム−亜鉛合金めっき鋼材の製造方法は、アルミニウムを25〜70質量%含有する溶融アルミニウム−亜鉛合金めっき浴中に、構成成分として硫化銅を含有する鋼材を浸漬することを特徴とするものである。これにより、鋼材をめっき浴に浸漬した際には鋼材から硫化銅が溶出され、この硫化銅が鋼材に付着するめっき融液に含有されることとなり、鋼材が浸漬されるめっき浴に不純物が含有されないためにめっき浴におけるドロスの発生が抑制される。また鋼材に付着しためっき融液中の硫化銅はめっき融液が冷却される際に凝固核として機能し、これにより鋼材に形成されるめっき皮膜に現出するスパングルの微細化がなされる。
本発明によれば、鋼材に形成されるアルミニウム−亜鉛合金めっき皮膜に現出するスパングルが微細化されることから高い加工部耐食性を有し、しかもかかるスパングルの微細化は鋼材が浸漬されるめっき浴中に硫化銅を加えることなく達成することができて、めっき浴中のドロスの発生を抑制してめっき皮膜の表面欠陥の発生を防止することができ、歩留まりを向上することができると共に生産コストを低減することができて、生産効率が高いものである。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼材(以下、めっき鋼材という)の下地材となる鋼材については、熱間圧延材、冷間圧延材等の適宜のものを用いることができ、またその形状も線状、板状等の適宜の形状のものを用いることができる。
本発明では、この鋼材としては、構成成分として硫化銅が含有されているものを用いる。この硫化銅は一価の硫化銅(Cu2S)であるが、二価の硫化銅(CuS)が混在しているなどして化学両論比が正確に2:1となっていなくても良い。
鋼材中の硫化銅の含有量は特に制限されないが、めっき鋼材の良好な加工性を維持するためには鋼材中の銅の含有率を0.001〜0.3質量%の範囲とすることが好ましく、まためっき鋼材の良好な溶接性を確保するためにはめっき鋼材中の硫黄の含有率を0.001〜0.03質量%の範囲となるようにすることが好ましい。また、鋼材中の他の成分の組成も特に制限されないが、Crを0.001〜25質量%の含有率で含有し、Cを0.001〜0.3質量%の範囲で含有することも好ましい。このような鋼材は、例えば硫化銅を前記のような所望範囲で含有する鋼材原料を熱間圧延することで得ることができ、この場合の熱間圧延時の加熱温度は1200℃以下とすることが好ましい。
一方、上記鋼材にアルミニウム−亜鉛合金めっき皮膜(以下、めっき皮膜という)を形成するためのアルミニウム−亜鉛合金めっき融液(以下、めっき融液という)としては、アルミニウム−亜鉛合金からなるものを用いるものであり、具体的には、25〜70質量%のアルミニウムを含有すると共に、更に好ましくはアルミニウムの含有量に対して0.5〜10質量%のケイ素を含有し、残部は本質的に亜鉛からなるものを用いるものである。本質的にとは、めっき鋼材の耐食性、塗膜等との密着性等の特性を損なわない他の物質、例えば従来から合金めっきのための溶融金属浴に許容されている不純物や、他の意識的な添加物が存在しても良いことを示すものである。ここで、前記ケイ素を含有させることで、鋼材にめっき皮膜を形成するにあたり、鋼材表面とめっき皮膜との界面における、もろい鉄含有合金層が形成されることを抑制して、鋼材表面とめっき皮膜との密着性を向上することができる。このときケイ素の含有率の上限を10質量%としたのは、この値を超えるともろい鉄含有層の形成を抑制する効果が飽和すると共に、めっき皮膜の加工性の低下を招くおそれがあるからである。
上記鋼材に対して上記めっき融液によりめっき処理を施すにあたっては、鋼材の表面のスケールを予め除去しておくことが好ましく、またアルカリ水溶液により脱脂した後に酸洗浄を施すことも好ましい。また鋼材に対してめっき前処理として無酸化炉−還元炉方式や全還元炉方式などによる鋼材表面の清浄化処理及び焼鈍処理を施したり、フラックス法による鋼材表面の清浄化処理を施したりしておくことも好ましい。
めっき処理は、このような鋼材を、加熱溶融させためっき融液を満たしためっき浴中に浸漬することにより行うことができる。このとき鋼材として長尺な線材や板材を用いる場合には、このような鋼材を長手方向に連続的に搬送しながらめっき浴を通過させることによりめっき処理を行うことができる。
そして、めっき浴から引き出された鋼材に対して、必要に応じてエアーの噴射による空気絞りを施したり、ロール間を通過させることによるロール絞りを施したり、この鋼材に振動を付与したりするなどして、鋼材に付着するめっき融液の量を調整した後、冷却することでめっき融液を凝固させて、鋼材の表面にアルミニウムを25〜70質量%、ケイ素をアルミニウム量に対して0.5〜10質量%含有するめっき皮膜を形成し、これによりめっき鋼材を得ることができる。
このようなめっき処理の過程においては、めっき鋼材をめっき浴に浸漬させた際に鋼材の表層部分がこの鋼材に付着するめっき融液中に溶出するに伴って鋼材から硫化銅も溶出し、これが鋼材に付着しためっき融液中に含まれることとなる。そしてこのめっき融液中の硫化銅はめっき融液の凝固の際に凝固核として作用し、これによりめっき皮膜に形成されるスパングルが微細化する。そしてこのようにスパングルが微細化することによって、めっき鋼材の加工部耐食性が向上するものである。このようにスパングルの微細化により加工部耐食性が向上する理由は必ずしも明確ではないが、めっき鋼材に曲げ加工を施した際に、スパングルの粒径が小さい場合にはめっき皮膜に形成されるクラックの深さが小さくなる傾向があり、このため加工時にめっき皮膜にその厚み方向に貫通するクラックの発生が抑制され、これにより下地である鋼材が露出することが抑制されることが影響しているものと推察される。
ここで、上記硫化銅は一価の硫化銅(Cu2S)であるが、二価の硫化銅(CuS)が混在しているなどして化学両論比が正確に2:1となっていなくても良い。
また、このようにめっき皮膜に現出するスパングルを微細化するにあたり、めっき浴中にはこのスパングルの微細化のための添加物を含有させる必要がなく、このような添加物によりめっき浴にドロスが発生したりすることを防止することができて製品の歩留まりを向上することができ、また、スパングルの微細化のための特殊なバッチ焼鈍等の後処理も不要となって、生産効率の上昇や生産コストの低減を図ることもできる。
上記めっき皮膜に形成されるスパングルの粒径は小さいほど加工部耐食性の向上に寄与するものであり、特にこのスパングルの平均粒径が400μm以下であれば、加工部の耐食性を著しく向上することができる。このときのスパングルの平均粒径の下限は特に制限されないが、50μm程度までが好適である。
上記のようにスパングルの微細化により加工部耐食性を向上させるためには、めっき皮膜中に含有される硫化銅の含有量が0.0001質量%以上であることが好ましい。この含有量の上限は特に制限されないが、めっき皮膜自体の耐食性への悪影響を考慮すると0.2%以下であることが好ましい。
また上記めっき皮膜中に含有される硫化銅は、その平均粒径が0.005〜5μmの範囲であることが好ましく、前記平均粒径が0.005μm以上となることでスパングルの粒径の微細化が特に促進され、また前記平均粒径を5μm以下とすることでめっき皮膜中の硫化銅が腐食の起点となることが抑制されることとなり、これにより特に優れた加工部耐食性が付与されるものとなる。
更に、めっき皮膜中の硫化銅の含有率をA質量%、下地である鋼材中の硫化銅の含有率をB質量%とした場合、このA及びBの値は下記式(1)に示す関係を満たすようにすることが好ましい。このようにすると鋼材から所望量の硫化銅を溶出させて容易にめっき皮膜中に含有させることができ
0.0001≦A/B≦0.1…(1)
このようにして鋼材にめっき処理を施すにあたっては、めっき浴に浸漬させる際の鋼材の温度、めっき浴の温度、めっき浴への浸漬時間、鋼材に付着しためっき融液を凝固させるための冷却速度等の条件は適宜に調整されるものであるが、例えばめっき浴に浸漬させる際の鋼材の温度は400〜680℃の範囲、めっき浴の温度は590〜700℃の範囲、めっき浴への浸漬時間は1〜10秒の範囲、めっき後の鋼材の冷却速度は2〜100℃/秒の範囲とすることができる。
ここで、鋼材をめっき浴に浸漬させた際には鋼材中の硫化銅はその粒径がほぼ維持された状態でめっき融液に供給されることとなり、そのため、めっき皮膜中における硫化銅の粒径を所望の範囲に制御するには、鋼材中の硫化銅の粒径を制御すればよい。この場合、例えば鋼材をめっき浴に浸漬する前に焼鈍処理を施す際の焼鈍温度を制御することで鋼材中の硫化銅の粒径を変更し、それによりめっき皮膜中の硫化銅の粒径を制御することができる。例えば前記粒径を小さくするためには焼鈍温度を高くし、前記粒径を大きくするためには焼鈍温度を低くするものである。また、めっき皮膜中の硫化銅の含有量を所定の範囲に制御するためには、鋼材のめっき浴への浸漬時間やめっき浴温を変更することにより制御することができる。例えば前記含有量を増大させる場合には浸漬時間を増大させたり浴温を上げたりし、前記含有量を低減させる場合には浸漬時間を低減させたり浴温を下げるようにすれば良い。
また、上記のようなめっき鋼材に対しては、更にめっき皮膜の形成後、クロメート処理、リン酸塩処理、クロメートフリー化成処理等を施しても良く、また更にロールコータ塗装、粉体塗装、カチオン電着塗装、アニオン電着塗装、静電塗装等の適宜の手法による塗装を施しても良い。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明する。
(実施例1〜13、比較例1,2)
下地となる鋼材としては、種々の割合で硫化銅を含有し、或いは硫化銅を含有しないものとを用い、またその形状としては表1に示す板厚を有する長尺の板材又は表1に示す線径を有する長尺の線材を用いた。
このような鋼材を50℃の10%NaOH水溶液にて脱脂した後、5%HCl水溶液にて酸洗した。次いで鋼材の温度が580〜650℃の状態で、600〜680℃のめっき浴(溶融アルミニウム−亜鉛合金めっき浴)に2秒間浸漬させ、次いで15℃/秒の冷却速度で300℃まで冷却することで、両面付着量150g/m2のめっき皮膜を形成した。
このようにして得られためっき鋼材に対して、エメリー紙研磨とバフ研磨を行った後に、表面を非水溶媒中で電解エッチングすることでめっき皮膜を除去すると共に鋼材とめっき皮膜の界面に存在する硫化銅の粒子を残存させた。次いでエッチング後の表面にカーボンレプリカ膜を蒸着した後、これを化学研磨により剥離して溶媒中でシートメッシュ上に掬い取り、レプリカ試料を得た。そして、このレプリカ試料を透過型電子顕微鏡により倍率20000倍で観察して硫化銅の粒径を測定し、その平均粒径を10視野における測定結果に基づき導出した。
また、めっき皮膜と下地鋼材のそれぞれ切片をバフ研磨により厚み100μmまで研磨した後、イオンミリングにより更に薄膜化し、それぞれにつき硫化銅を透過型電子顕微鏡にてEDS(エネルギー分散型X線分光)による成分分析および電子線回折による構造解析を行って同定し、これによりめっき皮膜中の硫化銅の含有率を導出すると共に、めっき皮膜中と鋼材中における硫化銅の含有率の比率(A/B)を導出した。
また、得られためっき鋼材に対して3T曲げ加工を行った後、曲げ加工部分以外をシールした状態で、JIS Z 2371に準拠した塩水噴霧試験を4000時間行った。そして、試験後の曲げ加工部分における赤錆の発生を観察し、この曲げ加工部分の露出面積に対する赤錆発生部の面積の割合(赤錆発生率)により、加工部耐食性を下記の基準で評価した。
◎:加工部の赤錆発生率0%
○:加工部の赤錆発生率5%以下
×:加工部の赤錆発生率5%超
以上の結果を下記表1に示す。
Figure 2007016282
この結果によれば、めっき皮膜中の硫化銅の含有量が増大するとスパングルが微細化する傾向が現れ、また硫化銅の粒径が小さいものほどスパングルの微細化がなされることが確認された。そしてこれらスパングルの微細化がなされためっき皮膜を有するめっき鋼材は加工部耐食性に優れていることが確認された。

Claims (6)

  1. 鋼材の表面にアルミニウムを25〜70質量%含有するアルミニウム−亜鉛合金めっき皮膜が形成されたアルミニウム−亜鉛合金めっき鋼材であって、前記鋼材中に構成成分として硫化銅が含有されていると共に前記めっき皮膜に硫化銅が含有されていることを特徴とするアルミニウム−亜鉛合金めっき鋼材。
  2. 上記アルミニウム−亜鉛合金めっき皮膜中における硫化銅の含有率が0.0001質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム−亜鉛合金めっき鋼材。
  3. 上記アルミニウムー亜鉛合金めっき皮膜に現出するスパングルの平均粒径が400μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のアルミニウム−亜鉛合金めっき鋼材。
  4. 上記めっき皮膜中の硫化銅の含有率をA質量%、上記鋼材中の硫化銅の含有率をB質量%とした場合、前記A及びBが下記式(1)に示す関係を満たすことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のアルミニウム−亜鉛合金めっき鋼材。
    0.0001≦A/B≦0.1…(1)
  5. 上記めっき皮膜中の硫化銅の平均粒径が0.005〜5μmの範囲であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のアルミニウム−亜鉛合金めっき鋼材。
  6. アルミニウムを25〜70質量%、ケイ素をアルミニウム量に対して0.5〜10質量%含有する溶融アルミニウム−亜鉛合金めっき浴中に、構成成分として硫化銅を含有する鋼材を浸漬することを特徴とするアルミニウム−亜鉛合金めっき鋼材の製造方法。
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