JP2000192990A - ハイドロリックシリンダ - Google Patents

ハイドロリックシリンダ

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JP2000192990A
JP2000192990A JP36307799A JP36307799A JP2000192990A JP 2000192990 A JP2000192990 A JP 2000192990A JP 36307799 A JP36307799 A JP 36307799A JP 36307799 A JP36307799 A JP 36307799A JP 2000192990 A JP2000192990 A JP 2000192990A
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piston
master cylinder
guide sleeve
hydraulic cylinder
housing
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Adler Dieter
アドラー ディーター
Prosch Gerhardt
プロシュ ゲールハルト
Wilhelm Siegurt
ヴィルヘルム ジーグルト
Eckert Wilfried
エッケルト ヴィルフリート
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LuK Lamellen und Kupplungsbau GmbH
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LuK Lamellen und Kupplungsbau GmbH
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 リザーバと圧力室との間に圧力差が生じた場
合に有効となる流れ接続を有するマスタシリンダを構成
部分に関して最適化する。 【解決手段】 ピストン4が一次シール部材11と二次
シール部材12とを介してシールされており、ハウジン
グ2内に方向付けられて挿入されたガイドスリーブ5の
付設部33が、ピストンをニュートラル位置で取り囲ん
でおり、二次シール部材のシールリップがピストンに密
に接触しており、一次シール部材とガイドスリーブとの
間にスペーサディスク16が方向付けられて配置されて
おり、該スペーサディスクが、流入接続部8に接続され
た通過部17を有しており、該通過部がピストンとスペ
ーサディスクとの間の環状ギャップ23に開口してお
り、該環状ギャップに、ピストンのニュートラル位置で
シールリップ13とピストンとの間の流入横断面が続い
ており、該流入横断面が圧力室10に接続されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両の液圧式もし
くはハイドロリック式に操作されるクラッチまたはブレ
ーキに用いられるマスタシリンダに関する。自動車技術
においては、動力により操作され得る装置を液圧的な力
もしくはハイドロリック的な力によって操作することが
しばしば汎用されている。このためには、いわゆる「マ
スタシリンダ」が必要とされる。このマスタシリンダは
「作業シリンダ」とも呼ばれ、機械的な力をハイドロリ
ック的な力に変換する。マスタシリンダは圧力管路を介
して、操作したい装置、たとえばスレーブシリンダ(従
動シリンダ)に接続されている。
【0002】本発明はさらに液圧シリンダもしくはハイ
ドロリックシリンダ、特に自動車のハイドロリックユニ
ットに用いられるマスタシリンダであって、シリンダ室
を有するシリンダハウジングと、シリンダ室内に密に案
内された、軸方向運動可能なピストンとが設けられてい
て、該ピストンが、シリンダ室に対して閉じられた、ポ
ット状に形成されたブシュを有しており、該ブシュ内に
内部体が配置されており、該内部体が、球状のボールヘ
ッドを収容するためのほぼ球面状の切欠きを有してお
り、球状のボールヘッドが、シリンダハウジングから突
出した旋回可能なピストンロッドと一体に結合されてい
る形式のものに関する。
【0003】
【従来の技術】作業シリンダはプラスチックから製造さ
れたハウジングを有しており、このハウジングは、たと
えば孔によって形成された盲孔として形成された円筒状
の圧力室を有している。この圧力室は流入接続部と圧力
接続部とに接続されていて、軸方向移動可能に挿入され
たピストンを収容するために働く。ハウジング内には、
軸方向で圧力室に対してずらされてガイドスリーブが導
入されている。このガイドスリーブはピストンをニュー
トラル位置で取り囲んでいる。ピストンには、旋回可能
に枢着されたピストンロッドが配置されており、このピ
ストンロッドはマニュアル操作されるべきペダル装置に
対する結合部を形成している。
【0004】ドイツ連邦共和国特許出願公開第3816
608号明細書に基づき、冒頭で述べた形式の作業シリ
ンダが公知である。この公知の作業シリンダのハウジン
グ内には、短いガイドスリーブが挿入されている。この
ガイドスリーブの長さはピストンの長手方向延在長さの
30%よりも小さい値を有している。ピストンをニュー
トラル位置でさらに支持するために、公知の作業シリン
ダは付加的に、薄板ポットと呼ばれる付加的な保持エレ
メントを備えており、この保持エレメントはピストンを
外部で取り囲んでいる。ピストンもしくはガイドスリー
ブをシールするために、公知の作業シリンダは合計3つ
のシール部材を有している。ハウジング内には、外側で
一次シール部材が嵌め込まれており、この一次シール部
材の半径方向内側のシールリップはピストンの外周面に
密に接触する。この一次シール部材には、ガイドスリー
ブの方向でディスクが前置されており、このディスクは
一次シール部材のパッキン背面に向けられた側に、全周
にわたって分配された半径方向の複数の通路を備えてい
る。これらの通路を介して、ピストンのニュートラル位
置では、リザーバと作業シリンダの圧力室との間に圧力
差が生じた場合に、圧力媒体が後流する(nachst
roemen)ようになっている。
【0005】流入接続部を起点として、ガイドスリーブ
の半径方向に段付けされた区分により形成された環状ギ
ャップを介して流れ接続が形成されている。この半径方
向に段付けされた区分は、一次シール部材のパッキン背
面にまで延びている。この半径方向に段付けされた区分
には、中間ディスクに設けられた半径方向の通路が続い
ており、圧力媒体はこの通路を通過した後に、ピストン
に設けられた軸方向の切欠きを介して圧力室に流入する
ことができる。ディスクに設けられた半径方向の通路が
ピストンに設けられた軸方向の切欠きと対応しているの
で、ディスクの、方向付けられた組込み、つまり所定の
向きでの組込みが必ず必要となる。半径方向の通路がガ
イドスリーブの方向に向けられてしまうような、ディス
クの誤組付けが行われると、圧力媒体がリザーバから流
入接続部を介して自動的に後流することが阻止されてし
まう。二次シール部材としては、ガイドスリーブに端面
側で挿入された溝付きリングパッキンが使用される。こ
の溝付きリングパッキンに設けられた内側のシールリッ
プはピストンに密に支持されている。さらに、ガイドス
リーブとハウジング壁との間の環状ギャップをシールす
るために、シールリングが設けられており、このシール
リングはガイドスリーブに設けられた環状溝に嵌め込ま
れていて、ハウジング壁に密に接触している。
【0006】冒頭で述べた形式のハイドロリックシリン
ダはさらに、ドイツ連邦共和国特許出願公開第1962
0580号明細書に基づき公知である。このマスタシリ
ンダとして形成されたハイドロリックシリンダは、複数
の部分から形成されたピストンを有している。ポット状
に形成された、圧力室に対して閉じられたブシュには、
内部体が挿入されており、この内部体はピストンロッド
ヘッドを収容するための球欠状、つまりざる底球面状の
切欠きを有している。内部体を位置固定するためには、
ブシュがピストンロッド側に、半径方向内側に向けられ
た縁曲げフランジを備えており、この縁曲げフランジは
内部体の組付け後に一体成形される。このような構造は
ピストンを製造するための複数の組付けステップを必要
とする。
【0007】ドイツ連邦共和国特許出願公開第1960
8132号明細書に基づき、ハイドロリックシリンダ、
特に自動車のハイドロリック装置に用いられるマスタシ
リンダが公知である。この公知のマスタシリンダでは、
ピストン自体が球面状の切欠きを有しており、この切欠
きにピストンロッドの球状のボールヘッドが圧入され
る。球面状の切欠きの開口範囲は、ピストン壁に対して
所定の間隔を有しているので、球状のボールヘッドを圧
入することができる。ピストンが引っ張られて、シリン
ダハウジングに設けられたストッパに当接される際の引
張力において、ピストンロッドの球状のボールヘッドが
球面状の切欠きから引き抜かれることを阻止するために
は、リングが設けられており、このリングはシリンダ壁
と、切欠きの端範囲との間に圧入される。
【0008】このようなピストンでは、球面状の切欠き
が直接にピストンに加工成形されており、かつピストン
壁と球面状の切欠きとの間に環状室が形成されなければ
ならないという理由から、製造に大きな手間がかかる。
さらに、球状のボールヘッドが球面状の切欠き内に遊び
なく嵌合することが保証されていない。なぜならば、挿
入されたリングは単に環状室を埋めるだけであって、切
欠きの外壁に加えられるプレロードもしくは予荷重を形
成するものではないからである。なぜならば、切欠きの
端範囲の変形が可能となるような個所が設けられていな
いからである。
【0009】上記ドイツ連邦共和国特許出願公開第19
608132号明細書に記載の別の実施例では、ピスト
ンが自体公知の形式で、2つのハイドロリック回路のた
めの複動ピストンとして形成されている。この場合、球
状のボールヘッドはピストンに設けられた半球面状の切
欠きにしか接触していないので、ピストンロッドに引張
力が加えられると、ピストンロッドが切欠きから持ち上
がってしまう。したがって、ピストンはシリンダ室内に
設けられたばねによってのみ、出発位置へ戻される。
【0010】さらにドイツ連邦共和国特許出願公開第4
405581号明細書に基づき、ハイドロリック装置に
用いられるマスタシリンダが公知である。この公知のマ
スタシリンダでは、ピストン内室の深部に支承部材が設
けられている。この支承部材は球面状の切欠きを有して
おり、この切欠き内にピストンロッドのボールヘッドが
挿入されている。支承部材はこの場合、この支承部材が
一度ピストン内に圧入された後では、取外しや分解がも
はや不可能となるような深さでピストンに挿入されてい
る。さらにこの場合にも、ピストンの製造には極めて大
きな手間がかかる。なぜならば、ピストンの内室が、極
めて手間のかかる加工を必要としているからであり、し
かもこの場合、ピストン内室のさらに深部には、支承部
材の突起を係止させるための溝も必要となるので、なお
さらである。さらに、支承部材に設けられた球面状の切
欠きの端範囲は、この端範囲が弾性的に撓むことのでき
るような規定された範囲を有していないので、許容誤差
に対しても、高い要求が課せられなければならない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、公知
の装置の欠点を考慮して、圧力媒体のリザーバと圧力室
との間に圧力差が生じた場合に有効となる流れ接続を有
する、構成部分に関して最適化されたマスタシリンダを
提供することである。さらに、作業シリンダが、確実な
機能を保証する簡単な組付けを可能にすることが望まし
い。本発明の別の課題は、公知の手段の欠点を回避し、
製造および組付けの点で好都合であって、しかも僅かな
手間をかけるだけで組み立てることのできるようなハイ
ドロリックシリンダ、特にマスタシリンダを提供するこ
とである。個々の構成部分は後作業なしに完全に前製作
され得ることが望ましい。さらに、ハイドロリックシリ
ンダ、特にマスタシリンダは大量生産のために適してい
ることが望ましい。
【0012】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に本発明の構成では、車両のハイドロリック式に操作さ
れるクラッチまたはブレーキに用いられるマスタシリン
ダであって、当該マスタシリンダが、プラスチックから
成るハウジングを有していて、該ハウジングが、流入接
続部と、圧力接続部と、盲孔として形成された圧力室と
を備えており、当該マスタシリンダが、圧力室内に軸方
向移動可能に挿入されたピストンを有していて、該ピス
トンが、位置不動に配置されかつ軸方向で互いに相対的
にずらされた2つのシール部材、つまり一次シール部材
と二次シール部材とを介して、シールされており、当該
マスタシリンダが、ピストンに旋回可能に枢着されたピ
ストンロッドを有しており、当該マスタシリンダが、プ
ラスチックから製造されたガイドスリーブを有してい
て、該ガイドスリーブが前記ハウジング内に挿入されて
いる形式のものにおいて、ガイドスリーブに設けられ
た、軸方向でハウジングから突出した付設部が、ピスト
ンをニュートラル位置で取り囲んでおり、該ニュートラ
ル位置で圧力室の最大容積が生ぜしめられており、ガイ
ドスリーブがハウジング内に、方向付けられて(所定の
向きで)挿入されていて、圧力室側にピストンに対して
開いた環状の切欠きを備えており、該切欠きが二次シー
ル部材を収容するために働くようになっており、該二次
シール部材のパッキン背面が、ガイドスリーブに設けら
れた肩部に支持されており、二次シール部材に設けられ
た半径方向内側のシールリップがピストンに密に接触し
ており、一次シール部材とガイドスリーブとの間にスペ
ーサディスクが、方向付けられて(所定の向きで)配置
されており、該スペーサディスクが、流入接続部に接続
された、半径方向に向けられた少なくとも1つの通過部
を有しており、該通過部が半径方向内側で、ピストンと
スペーサディスクとの間の環状ギャップに開口してお
り、該環状ギャップに、ピストンのニュートラル位置
で、一次シール部材に設けられた半径方向内側のシール
リップと、ピストンとの間の流入横断面が続いており、
該流入横断面が圧力室に接続されているようにした。
【0013】
【発明の効果】本発明によるマスタシリンダは、軸方向
でハウジングから突出したガイドスリーブを有してお
り、このガイドスリーブは、別の付加的な構成部分を使
用することなしにピストンをニュートラル位置において
完全に取り囲んでいる。さらに、マスタシリンダのハウ
ジング内におけるガイドスリーブの方向付けられた組込
み、つまり所定の向きでの組込みが設定されており、こ
れによりガイドスリーブに組み込まれた終端ストッパが
可能となると同時に、操作時にピストンロッド出口の範
囲におけるピストンロッドとガイドスリーブとの間のコ
ンタクトもしくは接触が阻止される。圧力室側で段状に
形成されたガイドスリーブは二次シール部材の収容を可
能にすると同時に、マスタシリンダの一次シール部材と
ガイドスリーブとの間に挿入されているスペーサディス
クのセンタリングをも可能にする。スペーサディスクは
半径方向に向けられた複数の通過部もしくは切欠きを有
しており、これらの通過部もしくは切欠きはスペーサデ
ィスクの組込み位置において、流入接続部と対応する。
スペーサディスクがガイドスリーブ内でセンタリングさ
れた組込み位置を有することに基づき、誤組付け、つま
りリザーバと圧力室との間に圧力差が生じた場合もしく
は圧力室内に真空が生じた場合に、マスタシリンダの機
能のために必要とされる、リザーバから流入接続部を介
して圧力室へ流入する圧力媒体の自動的な後流(補給
流)を阻止するような誤組付けは行われなくなる。スペ
ーサディスクの構成に関しては、組込み位置においてピ
ストンと、スペーサディスクの内壁との間に環状ギャッ
プが生ぜしめられる。さらに、ピストンのニュートラル
位置では、一次シール部材の半径方向内側のシールリッ
プと、ピストンの外周面との間に所定の流入横断面が生
ぜしめられる。この流入横断面はやはり圧力媒体リザー
バと圧力室との間に圧力差が生じた場合に自動的な圧力
媒体流を形成するために必要となる。
【0014】請求項2〜請求項9には、請求項1に記載
の本発明によるマスタシリンダの別の有利な改良形が記
載されている。
【0015】方向付けられた組込み位置もしくは所定の
組込み向きを得るために、本発明の有利な構成では、ス
ペーサディスクが少なくとも片側で半径方向に段付けさ
れており、この場合、段付けされた区分が、組込み位置
においてガイドスリーブに設けられた端面側の切欠きに
突入して係合するようになっている。スペーサディスク
のこのような形状デザインに基づき、誤組付けが有効に
阻止される。スペーサディスクの組込み状態は、組付け
の完了したマスタシリンダにおいても検知可能である。
なぜならば、ガイドスリーブに設けられた半径方向の付
設部が、スペーサディスクの適正な組込み位置において
のみマスタシリンダの片側の端面と整合するようになっ
ているからである。
【0016】ピストンの構造に関しては、ピストンが、
圧力室に対して閉じられた、ポット状に形成された鋼ブ
シュを有しており、この鋼ブシュ内に2つのプラスチッ
ク半割シェルが嵌め込まれており、これらの半割シェル
は鋼ブシュの開かれた側に設けられた、半径方向内側に
向けられた縁曲げ部もしくはフランジにより位置固定さ
れている。プラスチックから成るこれらの半割シェルは
球欠状もしくはざる底球面状の切欠きを備えており、こ
の切欠き内には、ピストンロッドのボールヘッドが形状
接続的に、つまり嵌合に基づく係合により保持されてい
る。ピストン内部にピストンロッドを組み付けるために
は、次のような組付けステップが設定されている。片側
の端部でヒンジを介して互いに結合されたプラスチック
製の半割シェルもしくは保持シェルを拡開させた後に、
ピストンロッドのボールヘッドが軸方向で、両保持シェ
ルに設けられたざる底球面状の切欠き内に導入される。
引き続き、鋼ピストンブシュが両半割シェルに被せら
れ、次いで全ての構成部分を位置固定するためにブシュ
の端面側の縁曲げが行われる。
【0017】ピストンのニュートラル位置において、つ
まり圧力媒体リザーバと圧力室との間に圧力差が生じた
場合に、流入接続部から、つまり圧力媒体リザーバから
圧力室へのスムーズな流れ接続を得るために、本発明の
さらに別の有利な構成では、一次シール部材とピストン
との間に環状ギャップが生ぜしめられるようになってい
る。本発明によれば、ピストンは一方の終端位置におい
て、圧力室の最大容積が生じるまで移動させられてい
る。このときに、一次シール部材に設けられた半径方向
内側のシールリップに対するピストンの軸方向ずれが生
ぜしめられ、これにより環状ギャップが形成される。こ
れによって、圧力媒体は圧力媒体リザーバから流入接続
部と、スペーサディスクに設けられた半径方向の切欠き
(通過部)とを介してピストンに向かって流入し、さら
にピストンにより変向されて軸方向でスペーサディスク
の第1の環状ギャップを通過し、そして一次シール部材
の半径方向内側のシールリップとピストンとの間に生ぜ
しめられる第2の環状ギャップを介して、圧力室に流入
することができるので有利である。このような流れ通路
は、たとえば温度もしくは熱による容積補償の場合に、
圧力室から圧力媒体リザーバへの逆の圧力媒体流を実現
するためにも利用され得る。
【0018】択一的にまたは付加的に、本発明のさらに
別の有利な構成では、ピストンの、圧力室に向けられた
端区分が、全周にわたって分配されて配置された軸方向
に延びる複数の長手方向溝を備えている。これらの長手
方向溝は、一次シール部材に設けられた半径方向内側の
シールリップがピストンに接触している場合でも、ピス
トンのニュートラル位置における圧力媒体流を保証す
る。このようなピストン位置は、たとえばピストンのニ
ュートラル位置において各構成部分の間に不都合な公差
位置が生じた場合に生じ得る。これらの長手方向溝の有
効性は、これらの長手方向溝が、ピストン軸部スリーブ
の肉厚さに等しいか、またはそれよりも大きく設定され
ている長手方向延在長さを有することにより改善され
る。
【0019】本発明のさらに別の有利な構成では、ガイ
ドスリーブが、方向付けられた所定の組込み位置でしか
組込み可能でない。このためには、たとえばガイドスリ
ーブに設けられた、半径方向外側に向けられた付設部も
しくは突起が適しており、その場合、この付設部もしく
は突起はハウジングに設けられた1つの長手方向溝に突
入して係合する。択一的には逆の配置形式を設定するこ
ともできる。その場合には、ハウジングに、半径方向内
側に向けれた突起が設けられていて、この突起が、ガイ
ドスリーブに設けられた1つの長手方向溝内に係合する
ようになる。方向付けられた組込み位置に基づき、クラ
ッチペダルのための規定された終端ストッパが可能とな
る。さらに、このような組込みは、旋回運動可能に配置
された、ガイドスリーブから進出したピストンロッドの
ための、ガイドスリーブに長手方向スリットとして形成
された端面側の切欠きもしくは開口のために必要とな
る。これによって、ピストンロッドは作業シリンダの操
作時にガイドスリーブと接触しなくなる。
【0020】本発明のさらに別の有利な構成では、ガイ
ドスリーブが端部側に、半径方向内側に向けられたフラ
ンジを備えており、このフランジがピストンのための引
抜き防止装置を形成している。これによって、マスタシ
リンダの前組付けされた状態において、ピストンはピス
トンロッドと共に作業シリンダのハウジング内に位置固
定されている。さらに、組み込まれた状態において、ク
ラッチペダルのペダルストロークが、操作方向とは反対
の方向で制限されている。
【0021】ハウジング内でのガイドスリーブの、シー
ルされた耐久性の良い固定を得るためには、これらの構
成部分、つまりハウジングとガイドスリーブとが、着脱
不能に固定されている。このためには、特に振動溶接ま
たは超音波溶接が適当である。
【0022】本発明の上記課題はさらに、ピストンが、
内部体とピストンロッドとから成る前組付け可能なユニ
ットを有していて、このユニットが、ブシュ内に挿入可
能であることにより解決される。組付け時、つまり内部
体の終端位置では、この内部体が、自動的に作用するス
ナップ結合によって前記ブシュ内に位置固定されてい
る。これによって、組付けステップが減じられたことに
基づき、ピストンの簡単にされた製造もしくは組付けが
得られ、このような組付けは、特に大量生産のためにコ
スト的に大きな利点を提供する。
【0023】請求項11〜請求項22には、請求項10
に記載の本発明によるハイドロリックシリンダの別の有
利な構成が記載されている。
【0024】ブシュの構成に関しては、ブシュの、ピス
トンロッド寄りの端部が、内側に向けられた複数の突起
または内側に向けられた環状の1つのフランジを有して
いる。フランジの形状付与および位置調整に関しては、
一方ではブシュ内への内部体のスムーズな導入が保証さ
れており、他方では内部体の、弾性的に形成されかつ半
径方向でプレロードもしくは予荷重をかけられた区分に
対する十分なカバーリングが形成されている。これによ
って、後作業を必要としないスナップ結合を用いて、耐
久性の良い自動的な固定が実現されている。
【0025】組付けステップを簡単にするか、もしくは
減少させるためには、鋼薄板から深絞り成形法により製
造されたブシュが、フランジと共に前製作されている。
すなわち、これまでのピストンに比べて、内部体が位置
固定されるフランジを、内部体の組付け後に縁曲げによ
り閉じることが不要となる。
【0026】組付けを改善するためには、ブシュの、ピ
ストンロッド寄りの端部が、その他の範囲より大きな内
径を有する範囲を有している。
【0027】内部体が、ピストンロッドの方向で前記球
面状の切欠きを超えてスリーブを有していると有利であ
る。このスリーブは内部体と一体に製造されていて、外
周面に複数の隆起部または1つの環状肩部を有している
と有利である。この隆起部または環状肩部を用いて、内
部体をブシュの前記突起または前記フランジと作用結合
することができる。隆起部または環状肩部はこの場合、
円錐状に傾けられた複数の面または円錐状に傾けられた
1つの環状面を有しており、この面または環状面はピス
トンの長手方向軸線と共に、前記球面状の切欠きの方向
に傾けられた鈍角の角度を成していて、前記突起または
フランジのためのストッパ面として働く。このような円
錐状の面もしくは環状面に基づき、内部体を固く緊定す
るための軸方向成分と、スリーブを、ひいてはボールヘ
ッドを前記切欠き内に固持する半径方向成分とを有する
緊定力を形成することができる。
【0028】前記隆起部または前記環状肩部の外周面は
1つまたは複数の円錐台形状の外周面を有しており、こ
の外周面は前記球面状の切欠きの方向にテーパしてい
て、ピストンの長手方向軸線と共に鋭角の角度を成して
いる。これにより、急激な変形が必要となることなし
に、内部体を前記突起または環状のフランジに押し通す
ことができるので有利である。
【0029】さらに、前記隆起部または前記環状肩部
と、前記球面状の切欠きとの間では、内部体の外周面に
くびれ部が設けられているので、弾性変形が可能となる
範囲が提供される。これにより、簡単な組付けが保証さ
れており、しかも球状のボールヘッドが球面状の切欠き
内にひっかかることなしに、前記隆起部または前記環状
肩部にある程度の半径方向緊定力を永続的に加えること
ができるようになる。それにもかかわらず、ボールヘッ
ドの固い嵌合が保証されている。また、前記球面状の切
欠きが、スリーブに面した側の半部に、他方の半部の半
径よりも大きな半径を有する少なくとも1つの範囲を有
していることによっても、同様の効果が得られる。これ
により、球面状の切欠きの上記範囲もばね弾性的に変位
することができるので、球面状の切欠き内へのボールヘ
ッドの一層容易な導入が保証されており、それにもかか
わらず組付け完了後には、遊びなしの嵌合が確保されて
いる。
【0030】内部体が2つの半割シェルから成っている
と、内部体を特に好都合に製造し、かつ組み付けること
ができる。この場合、両半割シェルは互いに等しい形状
に形成されていて、ピストンの長手方向中心軸線を通っ
て延びる分割平面を有している。半割シェルはこの場
合、少なくとも1つのピン状の突起を有している。この
ピン状の突起は対応する他方の半割シェルに設けられた
開口内に圧入することができるので、ボールヘッドの挿
入後に両半割シェルは互いに接して固定される。なぜな
らば、半割シェル1つ当たりに1つのピンと1つの開口
とが設けられている場合には、全体で1つの二重結合が
形成されるからである。
【0031】スリーブが、前記球面状の切欠きの、前記
隆起部もしくは前記環状肩部とは反対の側に少なくとも
1つの延長エレメントあるいはまた延長縁部を有してい
ると、スリーブに設けられた前記突起または前記環状の
フランジが前記傾けられた面または前記円錐状の環状面
と相まって衝撃的に負荷されることなく、この延長エレ
メントまたは延長縁部はシリンダハウジングに設けられ
たストッパと相まって、ピストンのための終端ストッパ
を形成することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を図
面につき詳しく説明する。
【0033】図1には、プラスチックから製造されたマ
スタシリンダ1の縦断面図が示されている。作業シリン
ダとも呼ばれるマスタシリンダ1はハウジング2を有し
ており、このハウジング2は半径方向で段付けされた、
十分に円筒状の収容部3を備えている。この収容部3は
盲孔と呼ぶこともできる。収容部3の、最も小さな内径
を有する第1の区分はピストン4を案内するために働
く。収容部3の、最も大きな内径を有する区分には、ガ
イドスリーブ5が挿入されている。収容部3の前記両区
分の間には、段部ジャンプ6と呼ばれる半径方向の段部
が形成されている。この段部の寸法はガイドスリーブ5
の肉厚さと合致している。これによって、ガイドスリー
ブ5と収容部3の最小直径範囲との間には、合致した等
しい内径が得られる。このような内径の合致は、ハウジ
ング2内部でのピストン4の位置とは無関係にピストン
4を正確に案内することを保証する。ハウジング2を固
定するためには、ハウジング2が2つの固定用ラグ7を
備えており、両固定用ラグ7に設けられた孔は、ねじを
収容するために働き、これらのねじを用いてハウジング
2を、たとえばペダル装置に固定することができる。さ
らに、ハウジング2は、圧力媒体リザーバに接続されて
いる流入接続部8と、圧力接続部9とを有しており、こ
の圧力接続部9には圧力管路が接続可能である。
【0034】収容部3の最も小さな直径を有する範囲
は、圧力室10を形成している。この圧力室10はハウ
ジング2の壁と、さらに軸方向片側でピストン4の端面
とによって仕切られている。ピストン4をシールするた
めには、マスタシリンダ1が一次シール部材11と二次
シール部材12とを有しており、両シール部材はそれぞ
れ溝付きリングパッキンとして形成されている。一次シ
ール部材11は外側で、ハウジング2の内壁に設けられ
た、圧力室10に対して半径方向に段付けされた範囲に
案内されている。マスタシリンダ1が操作されると、一
次シール部材11に設けられた半径方向内側のシールリ
ップ13がピストン4の外周面14に密に接触する。一
次シール部材11のパッキン背面15はスペーサディス
ク16に支持されている。このスペーサディスク16は
軸方向に、つまりガイドスリーブ5の方向に向けられた
側に歯付けされて形成されている。これにより、半径方
向の複数の通過部17が得られる。これらの通過部17
の位置は流入接続部8に対応している。スペーサディス
ク16の歯付けされた区分はさらに、軸方向に突出した
付設部18を形成している。この付設部18は、ガイド
スリーブ5に設けられた端面側の切欠き19内にセンタ
リングされている。付設部18に対して軸方向でずらさ
れて、ガイドスリーブ5の切欠き19はさらに、二次シ
ール部材12を収容するためにも働く。二次シール部材
12のパッキン背面20はガイドスリーブ5に設けられ
た肩部21に支持されている。
【0035】図1に示したピストン4の位置はニュート
ラル位置に相当しており、このニュートラル位置は、切
換分離クラッチが連結された状態で生ぜしめられる。こ
のピストン位置では、圧力室10内に生じる圧力が、大
気圧にほぼ相当している。一次シール部材11の半径方
向内側のシールリップ13と、ピストン4との間の軸方
向にずらされた位置に基づき、両構成部分、つまりシー
ルリップ13とピストン4との間には環状ギャップ22
が生ぜしめられる。これによって、必要に応じて、つま
り圧力媒体補償が必要となった場合に、圧力媒体は流入
接続部8からスペーサディスク16の通過部17と、ピ
ストン4の外周面14とスペーサディスク16の内壁と
の間に形成された環状ギャップ23とを介して、一次シ
ール部材11の方向に流れることができ、そして環状ギ
ャップ22を介して圧力室10に流入する。前記環状ギ
ャップ22に対して付加的にまたは択一的に、本発明は
ピストン4に設けられた長手方向溝24をも包含する。
ピストン4の周面側に規定された長さ範囲で導入された
これらの長手方向溝24は、やはり圧力媒体リザーバか
ら圧力室10への圧力媒体のスムーズな後流れ(補給
流)を可能にする。長手方向溝24の長さ寸法に関して
は、これらの長手方向溝24をピストン軸部スリーブ2
5の肉厚さに等しく形成するか、またはピストン軸部ス
リーブ25の肉厚さよりも大きく形成することが考えら
れる。
【0036】ガイドスリーブ5のためには、方向付けら
れた組込み位置が規定されている。このためには、ガイ
ドスリーブ5に長手方向溝34が設けられており、この
長手方向溝34には、ハウジング2に設けられた、半径
方向外側に向けられた付設部35が嵌入されている。図
1に示したピストン4のニュートラル位置では、ピスト
ン4がガイドスリーブ5によって十分に取り囲まれてい
る。このためには、ガイドスリーブ5が付設部33を備
えており、この付設部33は軸方向でハウジング2を超
えて突出している。
【0037】ピストン4は複数の部分から形成されてい
て、プラスチックから製造された2つの保持シェル26
a,26bを有している。両保持シェル26a,26b
は鋼から製造されたピストン軸部スリーブ25により取
り囲まれている。両保持シェル26a,26bの、圧力
室10とは反対の側の端部は、1つの球欠状もしくはざ
る底球面状の収容部27を形成しており、この収容部2
7にはピストンロッド29のボールヘッド28が形状接
続的に、つまり嵌合に基づく係合により保持されてい
る。ピストン4のための引出し防止手段を形成するため
に、ガイドスリーブ5は端面側で、半径方向内側に向け
られたフランジ30を形成している。
【0038】図2には、有利にはプラスチックから製造
されたスペーサディスク16が単独で三次元的な斜視図
で示されている。ディスク背面としては、環状ディスク
31が使用されており、この環状ディスク31には、軸
方向片側に向けられた複数のウェブ32もしくは突起が
続いている。これらのウェブ32は全周にわたって対称
的に配置されていて、それぞれ半径方向に向けられた通
過部17を形成している。さらに図2から判るように、
これらのウェブ32は半径方向で段付けされていて、こ
れにより付設部18が形成されている。これらの付設部
18により、スペーサディスク16はガイドスリーブ5
に設けられた切欠き19内で所定の組込み位置にセンタ
リングされている。
【0039】図3〜図5には、符号101で液圧シリン
ダもしくはハイドロリックシリンダが示されている。こ
のハイドロリックシリンダ101はシリンダ室103を
備えたシリンダハウジング102を有している。シリン
ダ室103の内部には、ピストン104が軸方向運動可
能に支承されていて、シリンダハウジング102に挿入
されたシール部材105によってシールされている。符
号106で示したピストンロッドは、ほぼ球状のボール
ヘッド107を有しており、このボールヘッド107は
球面状の切欠き108内に支承されている。ピストン1
04はブシュ109を有しており、このブシュ109内
には内部体110が支承されている。有利には金属から
製造されているブシュ109は、ピストンロッド106
とは反対の側の端部ではポット状に閉鎖されていて、他
方の端部では内側に向けられた環状のフランジ111を
有している。このフランジ111は縁曲げにより形成さ
れていると有利である。内部体110は1つの部分から
一体に製造されていてもよいが、この実施例では半割シ
ェル112から成っており、両半割シェル112は有利
には互いに同一に形成されていて、プラスチックから製
造されている。しかし説明を簡単にする目的で、以下に
おいては内部体を専ら一体のものとして説明する。この
場合、実施例による内部体の特徴はそれぞれ半分ずつ半
割シェルにも該当する。
【0040】特に図4および図5から判るように、内部
体は球面状の切欠き108を有しており、この切欠き1
08には、ピストンロッド106の方向でスリーブ11
3が続いている(各半割シェル112にそれぞれ1つの
スリーブ半部が設けられている)。このスリーブ113
の外周面は環状肩部114を有しており、この環状肩部
114はやはり各半割シェル112に半分ずつ設けられ
ている。環状肩部114は球面状の切欠き108とは反
対の側に、円錐台形状に傾けられた環状面115を有し
ており、この環状面115はピストンの長手方向軸線と
共に鈍角の角度αを形成している。すなわち、環状面1
15の傾斜は比較的急峻である。環状肩部114の外周
面は円錐台形状の外周面116を有しており、この外周
面116は球面状の切欠き108の方向にテーパしてい
る、つまり先細りになっている(角度βにより示す)。
環状肩部114と球面状の切欠き108との間ではスリ
ーブ113の外周面に、くびれ部117が設けられてい
るので、内部体110の外周面は広い範囲で、球面状の
切欠き108の内側形状に適合されている。さらに内部
体110はスリーブ113の範囲と、球面状の切欠き1
08の部分範囲とに、複数のスリット118もしくは切
込みを有しており、これらのスリット118もしくは切
込みはピストン104の長手方向軸線に対して平行に向
けられていて、特に図5から判るように両半割シェルに
跨るようにも形成されているので、この場所では分離継
ぎ目に、両半割シェルにそれぞれ半分ずつ加工成形され
たスリットが形成されている。さらに、内部体110
は、球面状の切欠き108から見てピストンロッド10
6とは反対の側の範囲でほぼ十字形に形成されているの
で、半割シェル112の裏側には複数のウェブ119が
設けられている。この場合、これらのウェブ119と、
半割シェルの分離平面を形成する面の端範囲とは、ブシ
ュ109の内壁に支持されており、その端面側の端部で
はブシュ109のポット状の底部に接触している。これ
により、重量が最小限に抑えられると同時に良好な支持
が保証されている。
【0041】さらに、球面状の切欠き108は、スリー
ブ113に隣接している、符号120で示した半部にお
いて、その他の切欠き部分よりも大きな半径を有する少
なくとも1つの範囲を有している。スリーブ113はさ
らにその内周面に、球面状の切欠き108とスリーブ端
部との間で、円錐台形状に形成された開口を有してお
り、この場合、スリーブ113の内周面は球面状の切欠
き108の方向に先細りになっている。スリーブ113
はさらに延長エレメント121と呼ばれる環状の延長部
を有しており、この延長部は環状肩部114の、球面状
の切欠き108とは反対の側に軸方向に延びている。
【0042】ピストンおよび内部体の本発明による構成
により、ピストンの特に好都合でかつ簡単な製造が得ら
れる。ピストンロッド106はその球状のボールヘッド
107で外部からスリーブ113に圧入され、この場
合、スリーブ113および球面状の切欠き108の大部
分はスリット118に基づき、ボールヘッド107が球
面状の切欠き108内にまで進入する程度に延伸するこ
とができる。内部体110が2つの半割シェルから成っ
ていると、ピストンロッドの組付けが一層簡単となる。
なぜならば、ボールヘッド107が両半割シェルの間に
挿入され、次いで両半割シェルが押し合わされるだけで
済むからである。引き続き、内部体110もしくは両半
割シェル112から形成された内部体は、既にフランジ
111を有しているブシュ109に押し込まれる。この
ことは、ブシュ109の開いた方の端部が、直径の増大
させられた範囲を有していて、かつ内部体の大部分がフ
ランジ111を通過し得る程度にしかフランジ111が
内方に突入していないことにより容易となる。このフラ
ンジ111を通じて環状肩部114、ひいては内部体1
10の残りの部分をブシュ109内に押し込むか、もし
くは圧入することができる。なぜならば、外周面116
が円錐台形状に形成されていて、通過時に押し合わされ
て収縮するからである。この場合、スリット118が収
縮を可能にする。環状肩部114、ひいては内部体11
0は、最後に環状面115でフランジ111の内面に係
止され、このときにスナップ結合部122を形成する。
耐久性の良い確実な固定を得るために、環状面115
は、ピストンロッド106に引張力が加えられた場合で
も、内部体110がブシュ109内に確実に固持される
ような角度だけ傾けられている。もちろん、環状面11
5がある程度の傾斜を有することは、ピストンロッド1
06に引張力が発生した場合に球面状の切欠き108の
端範囲が押し合わされるという理由からも好都合であ
る。
【0043】球面状の切欠き108と環状肩部114と
の間のくびれ部117は、この範囲が弾性的であるの
で、球面状の切欠き108がボールヘッド107に接触
した後でもスリーブ113をまだ押し合わせることがで
きることを確保している。球面状の切欠き108の半部
120が比較的大きな半径を有する範囲を有しているこ
とに基づき、もしくは球面状の切欠き内の球面中心点
が、より深く設置されていることに基づき、この範囲も
環状肩部114の押合わせ時に、まだ少しだけばね弾性
的に撓むことができる。延長部もしくは延長エレメント
121は、ピストン104が、シリンダハウジングに設
けられたその終端ストッパに当接するまで引き出された
場合に、縁部もしくはブシュが、この終端ストッパに当
接しないようにするために働く。なぜならば、これによ
ってスリーブ内での内部体の固持が損なわれる恐れがあ
るからである。すなわち、このハイドロリックシリンダ
が、自動車のハイドロリックユニットのためのマスタシ
リンダとして、たとえばクラッチを操作するために使用
される場合、ピストンはその終端ストッパに当接するま
で引き出される。なぜならば、車両の運転者がクラッチ
ペダルから足を離したときにピストンロッドには、ばね
の作用に基づき引張力が加えられ得るからである。
【0044】本発明は図示の実施例に限定されるもので
はない。それどころか、本発明の枠内で多数の変化形お
よび改良形が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるマスタシリンダの縦断面図であ
る。
【図2】組込み位置において一次シール部材とガイドス
リーブとの間に挿入される、本発明によるスペーサディ
スクの斜視図である。
【図3】本発明の別の実施例によるハイドロリックシリ
ンダ、特に自動車のハイドロリックユニットに用いられ
るマスタシリンダの縦断面図である。
【図4】図3に示したハイドロリックシリンダのピスト
ンを示す断面図である。
【図5】ピストンの内部体の半割シェルを示す断面図で
ある。
【符号の説明】
1 マスタシリンダ、 2 ハウジング、 3 収容
部、 4 ピストン、5 ガイドスリーブ、 6 段部
ジャンプ、 7 固定用ラグ、 8 流入接続部、 9
圧力接続部、 10 圧力室、 11 一次シール部
材、 12 二次シール部材、 13 シールリップ、
14 外周面、 15 パッキン背面、 16 スペ
ーサディスク、 17 通過部、 18 付設部、 1
9 切欠き、 20 パッキン背面、 21 肩部、
22 環状ギャップ、 23 環状ギャップ、 24
長手方向溝、 25 ピストン軸部スリーブ、 26
a,26b 保持シェル、 27 収容部、 28 ボ
ールヘッド、 29 ピストンロッド、 30 フラン
ジ、 31 環状ディスク、 32 ウェブ、 33付
設部、 34 長手方向溝、 35 付設部、 101
ハイドロリックシリンダ、 102 シリンダハウジ
ング、 103 シリンダ室、 104 ピストン、
105 シール部材、 106 ピストンロッド、 1
07 ボールヘッド、 108 切欠き、 109 ブ
シュ、 110 内部体、 111フランジ、 112
半割シェル、 113 スリーブ、 114 環状肩
部、115 環状面、 116 外周面、 117 く
びれ部、 118 スリット、 119 ウェブ、 1
20 半部、 121 延長エレメント、 122スナ
ップ結合部
フロントページの続き (72)発明者 ディーター アドラー ドイツ連邦共和国 ヘルツォーゲンアウラ ッハ カール−ブレーガー−シュトラーセ 34 (72)発明者 ゲールハルト プロシュ ドイツ連邦共和国 ヘーヒシュタット/ア イシュ マイゼンシュトラーセ 14 (72)発明者 ジーグルト ヴィルヘルム ドイツ連邦共和国 エルランゲン ツィー ゲルガッセ 8 (72)発明者 ヴィルフリート エッケルト ドイツ連邦共和国 ヘーヒシュタット/ア イシュ ドロッセルシュトラーセ 21

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両のハイドロリック式に操作されるク
    ラッチまたはブレーキに用いられるマスタシリンダであ
    って、 当該マスタシリンダが、プラスチックから成るハウジン
    グを有していて、該ハウジングが、流入接続部と、圧力
    接続部と、盲孔として形成された圧力室とを備えてお
    り、 当該マスタシリンダが、圧力室内に軸方向移動可能に挿
    入されたピストンを有していて、該ピストンが、位置不
    動に配置されかつ軸方向で互いに相対的にずらされた2
    つのシール部材、つまり一次シール部材と二次シール部
    材とを介して、シールされており、 当該マスタシリンダが、ピストンに旋回可能に枢着され
    たピストンロッドを有しており、 当該マスタシリンダが、プラスチックから製造されたガ
    イドスリーブを有していて、該ガイドスリーブが前記ハ
    ウジング内に挿入されている形式のものにおいて、 ガイドスリーブに設けられた、軸方向でハウジングから
    突出した付設部が、ピストンをニュートラル位置で取り
    囲んでおり、該ニュートラル位置で圧力室の最大容積が
    生ぜしめられており、 ガイドスリーブがハウジング内に、方向付けられて挿入
    されていて、圧力室側にピストンに対して開いた環状の
    切欠きを備えており、 該切欠きが二次シール部材を収容するために働くように
    なっており、該二次シール部材のパッキン背面が、ガイ
    ドスリーブに設けられた肩部に支持されており、二次シ
    ール部材に設けられた半径方向内側のシールリップがピ
    ストンに密に接触しており、 一次シール部材とガイドスリーブとの間にスペーサディ
    スクが、方向付けられて配置されており、 該スペーサディスクが、流入接続部に接続された、半径
    方向に向けられた少なくとも1つの通過部を有してお
    り、該通過部が半径方向内側で、ピストンとスペーサデ
    ィスクとの間の環状ギャップに開口しており、該環状ギ
    ャップに、ピストンのニュートラル位置で、一次シール
    部材に設けられた半径方向内側のシールリップと、ピス
    トンとの間の流入横断面が続いており、該流入横断面が
    圧力室に接続されていることを特徴とするマスタシリン
    ダ。
  2. 【請求項2】 スペーサディスクがガイドスリーブにセ
    ンタリングされており、このためにスペーサディスクに
    設けられた、軸方向に突出した付設部が、ガイドスリー
    ブに設けられた切欠きに嵌め込まれている、請求項1記
    載のマスタシリンダ。
  3. 【請求項3】 ピストンが、圧力室に対して閉じられ
    た、ポット状に形成されたピストン軸部スリーブを有し
    ており、該ピストン軸部スリーブ内に、プラスチックか
    ら成る半割シェルが挿入されている、請求項1または2
    記載のマスタシリンダ。
  4. 【請求項4】 前記半割シェルが、ピストンロッドのボ
    ールヘッドを形状接続的に、つまり嵌合に基づく係合に
    より取り付けるために球欠状もしくはざる底球面状の収
    容部を形成している、請求項1から3までのいずれか1
    項記載のマスタシリンダ。
  5. 【請求項5】 ピストンのニュートラル位置で一次シー
    ル部材の半径方向内側のシールリップとピストンとの間
    に、流入接続部から圧力室への流れ接続を確保する環状
    ギャップが形成されるように、一次シール部材が前記ハ
    ウジング内に配置されている、請求項1から4までのい
    ずれか1項記載のマスタシリンダ。
  6. 【請求項6】 ピストンの圧力室側の端区分が、全周に
    わたって分配されて配置された複数の長手方向溝を備え
    ており、該長手方向溝の長手方向延在長さが、ピストン
    軸部スリーブの肉厚さに等しいか、またはそれよりも大
    きく形成されている、請求項1から5までのいずれか1
    項記載のマスタシリンダ。
  7. 【請求項7】 ガイドスリーブが、方向付けられた組込
    み位置を得るために外側に長手方向溝を備えており、該
    長手方向溝内に、前記ハウジングに設けられた付設部が
    形状接続的に、つまり嵌合に基づき係合している、請求
    項1から6までのいずれか1項記載のマスタシリンダ。
  8. 【請求項8】 ガイドスリーブが、端部側に半径方向内
    側に向けられたフランジを有しており、該フランジが、
    ピストンのための引抜き防止手段を成している、請求項
    1から7までのいずれか1項記載のマスタシリンダ。
  9. 【請求項9】 ガイドスリーブが、振動溶接または超音
    波溶接によって前記ハウジングに解離不能に結合されて
    いる、請求項1から8までのいずれか1項記載のマスタ
    シリンダ。
  10. 【請求項10】 ハイドロリックシリンダ、特に自動車
    のハイドロリック装置に用いられるマスタシリンダであ
    って、シリンダ室を有するシリンダハウジングと、シリ
    ンダ室内に密に案内された、軸方向運動可能なピストン
    とが設けられていて、該ピストンが、シリンダ室に対し
    て閉じられた、ポット状に形成されたブシュを有してお
    り、該ブシュ内に内部体が配置されており、該内部体
    が、球状のボールヘッドを収容するためにほぼ球面状の
    切欠きを有しており、球状のボールヘッドが、シリンダ
    ハウジングから突出した、旋回可能なピストンロッドと
    一体に結合されている形式のものにおいて、内部体とピ
    ストンロッドとから成る前組付け可能なユニットが、前
    記ブシュ内に挿入可能であって、スナップ結合部によっ
    て固定されていることを特徴とするハイドロリックシリ
    ンダ。
  11. 【請求項11】 前記ブシュの、ピストンロッド寄りの
    端部が、内側に向けられた複数の突起または内側に向け
    られた1つの環状のフランジを有している、請求項10
    記載のハイドロリックシリンダ。
  12. 【請求項12】 鋼薄板から深絞り成形法により製造さ
    れた前記ブシュが、非切削加工により一体成形された前
    記フランジを含めて、予め製作されている、請求項10
    または11記載のハイドロリックシリンダ。
  13. 【請求項13】 前記ブシュの、ピストンロッド寄りの
    端部が、その他の範囲よりも大きな内径を有する範囲を
    有している、請求項10から12までのいずれか1項記
    載のハイドロリックシリンダ。
  14. 【請求項14】 内部体が、ポット状の閉鎖部と、前記
    突起または前記フランジとによって前記ブシュの内部に
    位置固定可能である、請求項10から13までのいずれ
    か1項記載のハイドロリックシリンダ。
  15. 【請求項15】 内部体が、ピストンロッドの方向で前
    記球面状の切欠きを超えてスリーブの形で延長されてい
    て、外周面に複数の隆起部または1つの環状肩部を有し
    ており、該隆起部または環状肩部が、前記突起または前
    記フランジと作用結合されている、請求項10から14
    までのいずれか1項記載のハイドロリックシリンダ。
  16. 【請求項16】 前記隆起部または前記環状肩部が、円
    錐状に傾けられた複数の面または円錐状に傾けられた1
    つの環状面を有しており、該面または該環状面が、ピス
    トンの長手方向軸線と共に、前記球面状の切欠きの方向
    に傾けられた鈍角の角度を形成していて、前記突起また
    は前記フランジのためのストッパ面として働くようにな
    っている、請求項10から15までのいずれか1項記載
    のハイドロリックシリンダ。
  17. 【請求項17】 前記隆起部または前記環状肩部の外周
    面が、1つまたは複数の円錐台形状の外周面を有してお
    り、該外周面が、前記球面状の切欠きの方向に先細りに
    なっていて、ピストンの長手方向軸線と共に鋭角の角度
    を成している、請求項10から16までのいずれか1項
    記載のハイドロリックシリンダ。
  18. 【請求項18】 前記隆起部または前記環状肩部と、前
    記球面状の切欠きとの間で、内部体の外周面にくびれ部
    が設けられている、請求項10から17までのいずれか
    1項記載のハイドロリックシリンダ。
  19. 【請求項19】 前記スリーブの範囲と、前記球面状の
    切欠きの部分範囲とに、複数のスリットが設けられてお
    り、該スリットが、ピストンの長手方向軸線に対してほ
    ぼ平行に延びている、請求項10から18までのいずれ
    か1項記載のハイドロリックシリンダ。
  20. 【請求項20】 前記球面状の切欠きが、前記スリーブ
    寄りの半部に、他方の半部の半径よりも大きな半径を有
    する少なくとも1つの範囲を有している、請求項10か
    ら19までのいずれか1項記載のハイドロリックシリン
    ダ。
  21. 【請求項21】 内部体が半割シェルを有しており、該
    半割シェルが、互いに接して固定可能であり、分割平面
    が、有利には前記球面状の切欠きの中心点を通って延び
    ている、請求項10から20までのいずれか1項記載の
    ハイドロリックシリンダ。
  22. 【請求項22】 前記スリーブが、前記隆起部もしくは
    前記環状肩部の、前記球面状の切欠きとは反対の側に、
    少なくとも1つの延長エレメントを有しており、内部体
    が前記ブシュに挿入されると、該延長エレメントが、前
    記ブシュに設けられた前記突起または前記フランジを軸
    方向で超えて突出するようになっている、請求項10か
    ら21までのいずれか1項記載のハイドロリックシリン
    ダ。
  23. 【請求項23】 本明細書中に開示されている特徴を有
    することを特徴とする発明。
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