JP2000095170A - 自動二輪車のフレーム構造、及び自動二輪車のフレーム製造方法 - Google Patents

自動二輪車のフレーム構造、及び自動二輪車のフレーム製造方法

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JP2000095170A
JP2000095170A JP27235098A JP27235098A JP2000095170A JP 2000095170 A JP2000095170 A JP 2000095170A JP 27235098 A JP27235098 A JP 27235098A JP 27235098 A JP27235098 A JP 27235098A JP 2000095170 A JP2000095170 A JP 2000095170A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プレス加工された金属板材を接合一体化し
て、排気量の大きい自動二輪車のフレームを作りたい。 【解決手段】 プレス加工された一対の凹状に形成され
た金属板材を接合して一体化した自動二輪車のフレーム
において、一対の金属板材を、下向きに開放された断面
視凹状のアッパメンバ31と、上向きに開放された断面
視凹状の下側のロアメンバ32とで構成し、アッパメン
バ31とロアメンバ32の上下に突合せる両側端部に
は、外側方に突出し、相互に上下に重なるフランジ部3
1c,32cを備え、該フランジ部31c,32cを溶
接で接合し、前端部にヘッドパイプ22を接合し、上面
が略々平坦なメインフレーム30を形成し、フレーム3
0は、自動二輪車の略々全長にわたる長さを有し、前後
において車幅方向の幅に異なる部分を有する自動二輪車
のフレーム構造。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プレス加工された
金属板材を接合、一体化する構造の自動二輪車の車体フ
レーム構造の改良、及びプレス加工された金属板材を接
合、一体化して自動二輪車のフレームを得る製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】鋼板素材をプレス加工して形成した一対
のメンバを溶接して一体化し、自動二輪車のフレームを
構成する技術として、従来下記の技術が開示されてい
る。実開昭61−133486号公報、及び特開昭58
−49582号公報に開示された技術は、プレス加工さ
れた側面視略々V字状で、断面視凹状の左右一対のメン
バを、各メンバの上下端縁部に上下に突出したフランジ
部を、左右に重ね合わせて突合せ、該フランジ部相互を
溶接し、一体化し、フレームを得る構造である。実公昭
61−22072号公報に開示された技術は、側面視が
略々T字状で、断面視凹状の左右一対のメンバを、各メ
ンバの上下端縁部に上下に突出したフランジ部を重ね合
せ、該フランジ部相互を溶接し、一体化し、フレームを
得る構造である。
【0003】以上の従来のフレーム構造は、極く小排気
量のエンジンを搭載し、極く小型、軽量の自動二輪車の
フレームであり、前者、即ち、実開昭61−13348
6号公報、特開昭58−49582号公報開示の自動二
輪車は、側面視V字状のフレームの上位の前端部にヘッ
ドパイプを、又上位の後端部にはシートを配置し、V字
状の谷の部分にエンジン、伝動ケースを一体化したパワ
ーユニットをスイング動可能に取り付ける式のフレーム
である。一方、実公昭61−22072号公報開示のフ
レーム形状は、側面視T字状で単純形状で、上述と同様
の極く小排気量、極く小型、軽量の自動二輪車に用いる
フレームである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、排気量があ
る程度大きい自動二輪車、或いは大型の自動二輪車で
は、フレームを複数のパイプ材を溶接等して形成するケ
ースが多く、フレームの構成部品が極めて多いこと、パ
イプ材の曲げ加工が煩雑であること、溶接箇所が多いこ
と、フレームの構造が複雑であること等、フレームの製
作上コストが高くなる傾向にあり、又フレームの重量も
大きくなる。そこで、従来のフレーム構造の簡素化、製
作の容易化、軽量化、コストダウンを図るため、上記し
た従来技術のフレーム構造を採用して、排気量がある程
度大きい、或いは排気量の大きい自動二輪車で、その略
々全長にわたり略々水平方向に延びるバックボーン構造
のフレームを得ようとした場合、次のような課題が生じ
る。
【0005】先ず、左右のプレス加工メンバの上下に突
出したフランジ部を左右に配置して突合せ、フランジ部
相互を溶接するので、得られたフレームの上下にフラン
ジ部が突出することとなる。このため、フレーム上面の
幅方向の中央部に全長にわたり突起が突出し、フレーム
上面に自動二輪車の補機類を配置するに際し制約を受
け、又外観上重要な構成部品である燃料タンク、シート
を設置する場合において、これ等の設置に制約を受け、
フレーム上に直接燃料タンクやシートを設置することが
難しくなることから、これ等部品の取付スティ類やブラ
ケット類を必要とし、フレーム構造が複雑化し、又フレ
ーム構成部品が多くなり、この結果、溶接箇所も多く、
フレーム製作上コスト的に不利である。
【0006】本発明は、以上の課題を解決するためにな
されたもので、その目的とする処は、簡素な構造で高い
剛性、強度を得ることが可能であり、排気量の大きい自
動二輪車に適用し得る金属プレス加工素材の溶接等によ
る接合一体化構造のフレーム、特にメインフレームを含
むフレームを得ることができ、しかも、製作が容易で、
構成部品が少なくてすみ、コストダウンを図ることがで
きるとともに、軽量化にも資する自動二輪車のフレーム
構造を提供することにある。又本発明の他の目的とする
処は、簡易な手法で、安価に自動二輪車のフレームを製
作することを可能とした自動二輪車のフレーム製造方法
を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に請求項1は、プレス加工された一対の凹状に形成され
た金属板材を接合して一体化した自動二輪車のフレーム
において、一対の金属板材を、下向きに開放された断面
視凹状のアッパメンバと、上向きに開放された断面視凹
状の下側のロアメンバとで構成し、アッパメンバとロア
メンバの上下に突合せる両側端部には、外側方に突出
し、相互に上下に重なるフランジ部を備え、該フランジ
部を溶接で接合し、前端部にヘッドパイプを接合し、上
面が略々平坦なメインフレームを形成したことを特徴と
する。
【0008】請求項1では、自動二輪車のバックボーン
構造のメインフレームを、プレス加工した金属板材で、
所期の剛性、強度を確保しつつ、簡易に、安価に得るこ
とができ、メインフレームも、上面が略々平坦なので、
補機類や燃料タンク、シート等の構成部品を、そのま
ま、或いは簡素なスティ類やブラケット類で取付、支持
することができ、更にフレームは、上下のプレス加工板
材を上下に接合した構造なので、軽量化が図れ、又メイ
ンフレームに接合するヘッドパイプ、エンジンハンガ、
或いは取り付ける補機類や燃料タンク、シートに必要な
前部の幅、後部の幅に容易に設定することが可能であ
る。
【0009】請求項2は、請求項1記載において、メイ
ンフレームのロアメンバには、プレス加工で形成したフ
レームのサブメンバを垂下するように接合した。請求項
2では、車体のメインフレームを構成するメンバ以外の
フレームのサブメンバをプレス加工で形成し、メインフ
レームメンバのロアメンバに溶接等するので、車体構成
部品の構成、製作が簡易であり、自動二輪車の車体を軽
量、且つ安価に製作することができる。
【0010】請求項3は、請求項1記載において、メイ
ンフレームのアッパメンバ、又はロアメンバの一方のフ
ランジ部の外側端部を折り曲げ、他方のフランジ部の先
端部を該折り曲げ部で覆うようにした。請求項3では、
フランジ部の外側端部の折り曲げ部で、フランジ部の剛
性、強度を高めることができ、剛性、強度アップの構造
も簡素であり、フランジ部の加工に、先端部の曲げ加工
を追加するだけで良い。
【0011】請求項4は、請求項1記載において、メイ
ンフレームのアッパメンバ、ロアメンバとの間の一部に
は、リヤクッションユニットの取付部を構成するクロス
メンバを横架するように介設した。アッパメンバと、ロ
アメンバとの接合構造体からなるメインフレームの、ア
ッパメンバとロアメンバの一部間に、リヤクッションユ
ニットを取り付けるクロスメンバーを横架して介装した
ので、クロスメンバーの取付構造が簡素であり、メイン
フレームのリヤクッションユニットの取付部の剛性、強
度を高めることができる。
【0012】請求項5は、請求項1記載において、メイ
ンフレームのアッパメンバの上面の一部には、燃料タン
ク、及びシート取付部をプレス加工で一体に形成した。
請求項5では、メインフレームの上面に、燃料タンク、
及びシート取付部を別個のメンバを用いることなく形成
することができるので、フレーム構造の簡素化、フレー
ム構成部品の部品点数の削減、溶接等の工数の削減、コ
ストダウンを図ることができる。
【0013】請求項6は、プレス加工された一対の凹状
に形成された金属板材を接合して一体化した自動二輪車
のフレームの製造方法において、両側端部にフランジ部
を突設し、前後に長い断面視凹状のロアメンバの側壁部
分に、フレームのサブメンバを垂下するように溶接する
工程と、該工程後、下向きに開放され、両側端部にフラ
ンジ部を突設した断面視凹状のアッパメンバを、ロアメ
ンバ上に重ね合せ、重ね合せられたフランジ部相互を溶
接してメインフレームを製作する工程とからなることを
特徴とする。
【0014】請求項6では、上向き凹状のロアメンバの
側壁部分にフレームのサブメンバを予め溶接し、メイン
フレームの下方メンバーを接合、一体化した後、下向き
凹状のアッパメンバをフランジ部相互を重ね合わせて溶
接し、一体化するので、軽量で扱い易いロアメンバーの
状態で該ロアメンバーを治具等に保持させ、これにプレ
ス加工の軽量なサブメンバーを下方から突合せて溶接
し、爾後、アッパメンバを重ねて溶接することとなり、
溶接作業におけるフレームメンバーの取扱の容易化、セ
ットの容易化、及び溶接の容易化が図れ、フレームを簡
易な手法で製作ができる。従って、自動二輪車のフレー
ムのコストダウンにも資することができ、又下位のロア
メンバにサブメンバを、謂わば吊り下げるように予め溶
接しておくので、ロアメンバとサブメンバとの溶接、配
置の自由度が高くなる。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を添付図に基
づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見る
ものとする。図1は本発明にかかるフレーム構造を採用
した自動二輪車の一例を示す外観側面図、図2は図1の
平面図である。図1、図2に従って自動二輪車の概略を
説明すると、自動二輪車1は、後に詳細に説明するフレ
ーム21の前端部のヘッドパイプ22を介して、フロン
トフォーク3により前輪2を操向自在に支持する。フレ
ーム21の中間部下部から後方に延出したスイングアー
ム4を介して後輪5を支持し、スイングアーム4の後部
とフレーム21との間には、後輪懸架用のリヤクッショ
ンユニット6,6を左右に介設する。
【0016】フレーム21の前部上には燃料タンク7を
設置し、フレーム21のこれの後方上には乗員跨乗用の
シート8を設置し、フレーム21の燃料タンク7下方位
置には、エンジン9を搭載し、エンジン9の下部後部の
ミッションケース10の一側方にはドライブスプロケッ
ト10aを配置し、後輪5の同側に設けたドリブンスプ
ロケット5aとチエン10で連結し、後輪5を駆動す
る。フロントフォーク3の前部の上部にはヘッドライト
12を設置し、ヘッドライト12の直後で、フロントフ
ォーク3の上端部のトップブリッジ上には、バー式のハ
ンドル13を設置し、ハンドル13の前方にはメータユ
ニット14を設置する。
【0017】前記したシート7の前部の下方の左右に
は、サイドカウル15,15を配置してこの部分の側部
を覆い、シート7の前後方向中間部〜後方の部分の側部
をリヤカウル16,16で覆い、リヤカウル16,16
の後部には、リヤフェンダ17を後下方に傾斜するよう
に設置した。尚、前輪2の上半部をフロントフェンダ2
aで覆う。シート8は前後に長いタンデム式とし、シー
ト後部の下部の左右には後席乗員把持用、及び自動二輪
車のメインスタンド起立時に手掛かりとするリヤグリッ
プ18を設置し、リヤグリップ18は、図2で明示した
ように平面視が略U字形である。尚、エンジン9のシリ
ンダ後方に配置された気化器19は、サイドカバー15
の隠された後方の空間に配置される不図示のエアクリー
ナに接続されている。又図2において20は、自動二輪
車1の後部の一側方の後方、且つ外側方に延出されたマ
フラーである。
【0018】図3は本発明にかかるフレームの外観側面
図である。フレーム21は、自動二輪車の略々全長にわ
たる長さで、前後に長いメインフレーム30と、メイン
フレーム30の前端部〜前部の中間部の両側に、後下傾
するように溶接したフロントメンバ40と、メインフレ
ーム30の中間部に若干後下傾するように垂下したミド
ルメンバ50と、メインフレーム30の後部〜ミドルメ
ンバ50の下部とを繋ぐように配置したリヤメンバ70
とからなる。リヤメンバ70と前方のミドルメンバ50
と上方のメインフレーム30とで構成される略三角形の
空間23内に、不図示のエアクリーナを配置する。又メ
インフレーム30の前端部には、ヘッドパイプ22を若
干前下傾するように備える。メインフレーム30の上面
は、前部〜中間部が若干下方に弯曲し、中間部と前後部
とで高さに違いがあり、後部が一段高くなるように形成
したが、上面は略々平坦であり、略々水平に近い状態で
前後方向に延出する。メインフレーム30の後部には、
前記したシート8の後部を取付、支持するスティ81が
下方に垂下するように設けられている。
【0019】図4は図3の平面図である。メインフレー
ム30は、図で示したように前部30aの幅W1が幅狭
で、後部30cの幅W2が幅広に形成され、中間部30
bは、この間を一体に繋ぐように、後方に向かって幅が
斬増する。
【0020】図5はフレーム21の構成メンバの分解斜
視図である。メインフレーム30は、断面形状が下向き
凹状のアッパメンバ31、及び断面形状が上向き凹状の
ロアメンバ32とからなり、上下で対称形状をなす。各
前端部には、ヘッドパイプ22の上部の後半部が嵌まる
弧状の凹部31a(ロアメンバ32には表されていない
が、同様に凹部を備える)を備える。これ等のアッパメ
ンバ31、ロアメンバ32は、例えば、鋼板素材のプレ
ス加工で成形する。アッパメンバ31、ロアメンバ32
の左右の側壁部31b,32bの対向する両端部には、
各外側方に折曲して突出するフランジ部31c,32c
を、夫々一体に設ける。
【0021】アッパメンバ31の上面31dは略々平坦
で、前部の前後方向中間部で、幅方向中間部には、前後
に離間して電装品の取付ボス部31e,31fをプレス
加工で一体成形して設ける。又上面31dの後部取付ボ
ス部31fの直後には、断面が凹状の電装品取付スティ
33を溶接し、この電装品取付スティ33を上面31d
上に、その幅一杯に横断するように起立、設置する。
【0022】又アッパメンバ31の上面31dの前後方
向中間部で、幅方向中間部には、燃料タンク7、及びシ
ート8の取付スティ34を設ける。この取付スティ34
は、上面31dを上方に膨出させ、且つ後部を切り欠い
て形成し、燃料タンク7の後部下面に設けた不図示の取
付片を取付孔34aを介してネジ止めし、又シート8の
前部の下面に設けた不図示の舌片状の取付片を切欠34
bに嵌め込んで、シート前部をメインフレーム30の上
面に支持する。この取付スティ34は、アッパメンバ3
1の上面31dに対し、プレス加工で下方から膨出する
ようにして形成するので、メインフレームの構成部材と
は別個の部材を必要とせず、且つアッパメンバ31を成
形する工程で同時に成形することができ、部品点数の削
減、別部品を溶接する必要がないことから製作が容易で
あり、又別部品を取り付ける必要がないことから軽量化
が図れる。このことは、上記した電装品の取付ボス部3
1e,31fにおいても、同様である。
【0023】アッパメンバ31の中間後部、及びロアメ
ンバ32の各中間後部の上下で対称部分の両側壁部31
b,32bには、両側に突出したフランジ部31c,3
2cを含んで、夫々対称的に、アッパメンバ31側が下
向き、ロアメンバ32側が上向きの弧状の凹部31g,
32gを一体に設ける。アッパメンバ31、ロアメンバ
32を上下で重ね合せ、フランジ部31c,32c相互
を突合せて重ね合わせ、溶接する際、凹部31g,32
gは円形となり、この間に、両端部でリヤクッションユ
ニット6の上端部を取付、支持する軸状のクロスメンバ
35を介在させて溶接し、メインフレーム30と一体化
する。このリヤクッションユニットの取付、支持用のク
ロスメンバ35の横架するような介装で、メインフレー
ム30のこの部分の剛性、強度を高められる。
【0024】この際、正面視凹状のリヤカウル取付ステ
ィ36を上面31d上に配置し、取付スティ36の左右
の側壁36aの下端部をクロスメンバ35の両端寄り部
上半部に溶接し、又前後の突出片36b,36bをアッ
パメンバ31の上面31dのこの部分に溶接する。尚、
アッパメンバ31のこの部分の上面には、上方へ膨出す
る取付ベースを一体にプレス加工で形成しておき、この
部分の上面に前後の突出片36b,36bを溶接する。
【0025】アッパメンバ31の上面31dの後部に
は、前後方向に長さを有する凹状のリブ37を複数個プ
レス加工で形成しておき、剛性を高めた。又上面31d
の後部には、その前部に左右2個、後部に1個のリヤグ
リップ取付孔39…(…は複数を表す。以下同じ)を備
える。一方、ロアメンバ32の中間部の側部には、エン
ジン補機類の取付スティ38を前後に設けた取付片38
a,38aで溶接する。
【0026】フロントメンバ40は、図3に示したよう
に、ヘッドチューブ22後半部、メインフレーム30の
前半部の前端部、及び上縁部を繋ぐものである。フロン
トメンバ40は、所謂ダウンチューブの上半部に相当す
る構造で、鋼板素材をプレス加工した得た側面視略
「く」字形の左右のメンバ41,41からなる。左右の
各板状部41aの上下を内方に折曲し、各板状部の全体
の断面が凹状である。各板状部41aの各下壁片41b
には、内方への凸片41cを夫々備え、各板状部41a
の上縁部には、この面よりも内方にZ字形に折曲して突
出した上壁片41fを夫々備える。又各板状部41aの
先部には、対称的に外側方へ膨出円形部42を夫々備
え、各膨出円形部42には、燃料タンク7の前部を取り
付けるパイプ状の取付スティ43を貫通する取付孔43
aを夫々備える。
【0027】又各板状部41aの中間部には、略々三角
形の軽量化用の窓44を夫々備え、窓44の周縁部には
内方に折曲した縁部44aを設け、剛性を高めた。各板
状部41aには、後下傾する下部延出部41dを夫々備
え、この部分の断面形状も、左右で対称的な凹状とし、
上述の下壁片41bはそのままこの部分の下方まで延長
する。板状部41aの側面視略「く」字形の後縁部に
は、各内方、且つ後方に折曲したZ字形の後壁片41e
を夫々備える。各下部延出部41dの下部には、上下に
離間して取付孔45,45を夫々備え、下部延出部41
d間にパイプ材からなるクロスメンバ46,46を通
す。
【0028】ミドルメンバ50は、図3に示したよう
に、メインフレーム30の中間部から下方に垂下するよ
うに設けられるものである。メインメンバ51、及びサ
ブメンバ61からなり、これ等は、鋼板素材のプレス加
工で得る。メインメンバ51は、平面視が凹状で後方へ
の深さが大きく、上下に長さが長く、左右の側壁部51
b,51b、後壁部51aを備え、後壁部51aの上部
を切り欠いて二股部51c,51cを備える。二股部5
1c,51cは、溶接面積を稼ぐように若干前後方向に
長く形成されており、側壁部51b,51bの下部51
d,51dは、上下にある程度の高さを有するように、
略逆L字形に前方に膨出する。
【0029】メインメンバ51の各側壁部51bの各下
部51dの上方部には、凹状断面形状に沿って、断面視
凹状の補強用ガセット52を内張りするように溶接して
一体化する。この部分の両側部に、前記したスイングア
ーム4の前端部のピボットを、回動自在に支持する支持
管54を、貫通して取り付ける取付孔53を形成する。
又メインメンバ51の各側壁部51bの各下部51dに
は、前部の上部にエンジン9の取付用の取付孔55を左
右対称的に設け、各下部51dの後部には、スタンド取
付用のクロスメンバ57を取り付ける取付孔56を夫々
設ける。又各側壁部51bの前記した取付孔55の上方
の部分を夫々前方に突出させ、この各突出部51eに
は、対称的にエンジン9の取付用の取付孔58を設け
る。
【0030】サブメンバ61は、高さ方向の長さにおい
て、前記したメインメンバ51の取付孔54の上方から
二股部51c間の長さを有し、メインメンバ51の深さ
に対し、浅い断面凹状をなす。後壁部61aの両側部か
ら前方に折曲した側壁部61b,61bは突出量が小さ
く、上部61cは前方に屈曲して曲り、天井部を構成
し、前記したロアメンバ32の底面32dの下面に突き
当てる。又後壁部61aの下端部の幅方向中央部には、
逆凹状の欠部61dを備える。以上のサブメンバ61
は、メインメンバ51の前方から嵌め込み、溶接する。
【0031】70はリヤメンバで、図3で示すようにメ
インフレーム30の後部とミドルメンバー50の下部と
を繋ぐものである。リヤメンバ70は、メインメンバ7
1とサブメンバ74とで構成し、これ等は鋼板素材のプ
レス加工で得る。メインメンバ71は側面視「弓」形を
なし、断面形状は深さが大きい凹状で、後壁部71a、
左右の側壁部71bからなり、各側壁部71bの各中間
部には、左右のサイドカウル15の取付ボス部72を一
体に設け、この部分に取付孔72aを備え、又これの下
方にサイドカウル取付孔72bを備える。
【0032】メインメンバ71の前方に突出した各側壁
部71bの各下部71cには、左右で対称的な前方に開
く凹状の二股部73を夫々設ける。この二股部73は、
ミドルメンバ50の、前記した支持管54の両側突出部
を挟むようにしてミドルメンバ50のメインメンバ51
のこの部分の側壁部51bに溶接する。サブメンバ74
は、後壁部74a、及びこれの両側部から前方に折曲し
た左右の側壁部74bを有し、断面形状が凹状である。
凹状の深さが、メインメンバ71よりも小さく、且つ図
3に示すように、二股部73の上方からサイドカウル1
5の取付ボス部72の間の長さを有する。サブメンバ7
4を、メインメンバ71の二股部73の上方からサイド
カウル15の取付ボス部72の間の側壁部71b間に嵌
め込み、側壁部71b、74bを溶接し、双方を一体化
する。これにより、リヤメンバ70のこの部分は閉断面
構造となり、剛性、強度を高めた。
【0033】次に、図6〜図9でメインフレーム30と
フロントメンバ40、ミドルメンバ50、及びリヤメン
バ70の接合構造を説明する。図6は図3の6−6線拡
大断面図である。アッパメンバ31とロアメンバ32と
は、対向するフランジ部31c,32cを上下に重ね合
わせ、例えばスポット溶接等で所定の部位を溶接し、一
体的に接合し、閉断面構造の中空なメインフレーム30
を形成する。溶接部をaで示した。前記した左右のフロ
ントメンバ40は、左右のメンバ41,41の板状部4
1a,41a上縁部の上壁片41f,41fを、上記し
たメインフレーム30のロアメンバ32の左右の側壁部
32b,32bに外側から当て、スポット溶接等で接合
する。
【0034】前記した膨出円形部42,42に設けた取
付孔42a,42a間に、パイプ状取付スティ43を貫
通し、このスティ43と各取付孔42a,42a周辺部
とをミグ溶接等で接合し、取付スティ43を一体的に架
設する。溶接箇所をbで示した。板状部41a,41a
の前端部は、ヘッドパイプ22の外周部にミグ溶接等で
接合する。又板状部41a,41aの下壁部41b,4
1bの端部相互を突合せ、これの下面にガセット47を
当てがい、このガセット47と下壁部41b,41bの
外端部とをミグ溶接等で接合し、溶接部をcで示した。
ガセット47の前端部は、ヘッドパイプ22の下部後半
部周にミグ溶接等で接合する。
【0035】ところで、アッパメンバ31の両側に突出
したフランジ部31c,31cであるが、ロアメンバ3
2のフランジ部32c,32cよりも外側方への突出量
を大きくし、その各先端部を下方に折曲し、この部分の
断面を略逆L字形の折曲部31hとする。実施例では、
メインフレーム30のアッパメンバ31の燃料タンク下
方のフランジ部が下方に折曲している。これにより、下
部のロアメンバ32のフランジ部32c,32cの外端
部は隠され、且つ、折曲部31hにより剛性が高くな
り、アッパメンバ31、従ってこれと一体的に接合する
ロアメンバ32を含むメインフレーム30全体の剛性、
強度を高めることができる。
【0036】図7は図3の7−7線拡大断面図である。
前記したようにアッパメンバ31とロアメンバ32とは
フランジ部31c,32cで溶接されており、ロアメン
バ32の側壁部32bの一方に、前述のエンジン補機類
の取付スティ38を、スポット溶接等で接合する。溶接
箇所をdで示した。取付スティ38は前後の取付片38
aを含んで断面形状が略々Z字形をなし、上部の取付片
38aをロアメンバ32の側壁部32bの一方に溶接
し、ロアメンバ32の下方に垂下した本体部38bに
は、補機類取付用のウエルドナット38cを備える。
【0037】図8は図3の8−8線拡大断面図である。
この部分はリヤクッションユニットの支持部材である軸
状のクロスメンバ35の取付部である。メインフレーム
30のこの部分の幅は、前述したように前部に対して幅
広であり、アッパメンバ31、ロアメンバ32のフラン
ジ部のこの部分を対称的に弧状の凹部31g,32gと
し、凹部31g,32g間でクロスメンバ35の両端部
を挟み込み、端部周縁とクロスメンバ35との間をミグ
溶接等し、溶接箇所をeで示した。これにより、アッパ
メンバ31とロアメンバ32のこの部分間に、クロスメ
ンバ35が横架するように架設されて一体的に介在さ
れ、メインフレーム30のこの部分の剛性、強度を高め
ることができる。クロスメンバ35の両端部35a,3
5aは小径で、この部分に左右のリヤクッションユニッ
ト6,6の上端の取付ボス部6aを各取付、支持する。
【0038】ロアメンバ31の下側には、この部分から
後方にかけて、前記したリヤメンバ70のメインメンバ
71後部が接合されておいる。具体的は、メインメンバ
71の後部の後壁部71aがロアメンバ31の下面31
dの下方に若干隙間をもって位置し、メインメンバ71
の左右の側壁部71b,71bがロアメンバ32の側壁
部32b,32bの外側から重なり、側壁部71b,3
2b相互をスポット溶接等で接合し、リヤメンバ70の
メインメンバ71の後部をメインフレーム30に接合、
一体化した。溶接箇所をfで示した。
【0039】図9は図3の9−9線拡大断面図である。
メインフレーム30のアッパメンバ31のこの部分の上
面31dには、前記したように左右2個の凹状のリブ3
7,37が前後方向に形成されておいる。ロアメンバ3
2の後部の左右の側壁部32b,32bの外側部には、
前記したシート取付スティ81,81が溶接されてお
り、取付スティ81,81は左右分割構造で、鋼板素材
のプレス加工で得る。このスティ81,81は断面形状
が略々Z字形類似の形状で、左右の単体81A,81B
で上下方向の長さが異なる。このスティ81,81は、
上部81a,81aをロアメンバ32の左右の側壁部3
2b,32bの後部外側に配置し、スポット溶接等で接
合し、溶接箇所をgで示した。
【0040】図10は図3の矢視10方向から見た拡大
図である。ガセット47の正面視の形状は図10に示す
通りで、フロントメンバ40の左右のメンバ41,41
に設けた前記膨出円形部42,42の取付孔42a,4
2aに前記した燃料タンク前部の取付スティ43を左右
に貫通させ、接合部をミグ溶接等で接合し、接合箇所を
bで示し、スティ43の両端部43a,43aはフロン
トメンバ40の左右に突出する。又ガセット47の後端
部部の溶接箇所は、前記したようにcである。
【0041】左右のメンバ41,41の各下壁片41
b,41bは、その下半部の対向する端部相互を突合
せ、突き合せ部をミグ溶接等で接合する。溶接箇所をh
で示した。この部分は、前方に前輪2が位置し、前輪2
のクッション動に起因する上下動に際し、前方への溶接
による張り出し部が生じないように配慮し、前輪のクッ
ションストロークを確保するように構成した。又各下壁
片41b,41bの上部に設けた凸片41c,41c
は、前後に重ね合せ、スポット溶接等で接合し、溶接箇
所をiで示した。この手法においても、溶接部分は前方
に突出することが無く、上記と同様に前輪のクッション
ストロークを確保するように構成した。
【0042】図11は図3の11−11線拡大断面図で
ある。この部分は、フロントメンバ40の下部を示して
おり、フロントメンバ40の前側となる左右のメンバ4
1,41の各下壁片41b,41bは、実際には図のよ
うにこの部分を前後に重ね合わせ、重ね合わせた外側端
縁部を溶接hする。後部となる後壁片41e,41e相
互は、フランジ状なので左右に重ね合せ、スポット溶接
等で接合し、接合箇所をkで示した。又この部分には、
取付孔を介して、前記した上下2本のパイプ状のクロス
メンバ46を左右に貫通し、取付孔外周辺部とクロスメ
ンバ46とをミグ溶接等で接合し、接合箇所をjで示し
た。
【0043】クロスメンバ46,46は、図3に鎖線で
示したエンジン前部ハンガー82の前部をボルト83で
結合し、このエンジンハンガー82の後部をエンジン9
のクランクケースの前部にボルト結合し、エンジン9を
フロントメンバ40に取付、支持する。この際、フロン
トメンバ40は、左右のプレス加工板材の断面形状凹状
の溶接、接合構造体であり、全体として閉断面構造なの
で、剛性が高く、重量物であるエンジン前部の支持を強
固、確実に行うことができる。又左右のメンバ41,4
1を突合せて溶接し、クロスメンバ46,46を通して
溶接する構造なので、構造が簡素で、製作も容易であ
る。
【0044】図12は図3の12−12線拡大断面図で
ある。ミドルメンバ50のメインメンバ51は、後壁部
51a、左右に側壁部51b,51bを備え、前記した
ように鋼板素材のプレス加工で形成し、図のように奥行
が深い。これの内側にサブメンバ61を配置し、サブメ
ンバ61は同様に後壁部61a、左右の側壁部61b,
61bを備えて同様に鋼板素材のプレス加工で形成し、
奥行は浅い。メインメンバ51の内側にサブメンバ61
を嵌め込み、サブメンバ61の後壁部61aとメインメ
ンバ51aとの間に、前後方向に空間を設け、左右(内
外)に重なった側壁部61b,51b相互をスポット溶
接等で接合し、溶接箇所をmで示した。
【0045】ミドルメンバ50は、上記により閉断面構
造体となり、しかも凹状構造物を嵌め込んで左右の部分
を溶接したので、高い剛性が得られ、エンジン9の後部
ハンガー、及びスイングアーム4の支持構造体として必
要、且つ十分の剛性、強度を確保することができる。以
上で形成したミドルメンバ50のメインメンバ51の側
壁部51b,51bに形成した前記の突出部51e間
に、エンジン9の後部のミッションケース10の上部1
0bを挟み込み、取付孔58,58にボルト84を通
し、ミッションケース10のこの部分10bを取付、支
持する。
【0046】図13は図3の矢視13方向から見た拡大
図である。ミドルメンバ50のメインメンバ51の支持
管54の取付部の後面からリヤメンバ70のメインメン
バ71の左右の二股部73を、支持管54を二股部で挟
むように差込む。左右の二股部73の上下の部分73
a,73aを上述のメインメンバ51のこの部分の側壁
部51b,51bに重ね合せ、スポット溶接等で溶接
し、溶接箇所を図3のnで示した。支持管54の両端部
54a,54aは、側壁部51d,51dの二股部7
3,73の部分から外側方に突出し、スイングアーム4
の前端部を回動可能に支持する。
【0047】又支持管54を設置した部分のメインメン
バ51の後壁部51a、左右の側壁部51b,51bに
は、重なり合うように断面凹状の補強用ガセット52を
当てがって溶接し、スイングアーム支持部分を補強し
た。リヤメンバ70のメインメンバ71の後壁部71a
下端部には延出片71dを設け、これをスポット溶接等
でメインメンバ51の後壁部51a下部に接合し、溶接
箇所をpで示した。又メインメンバ51の下部51dの
には、前記したスタンド取付用のクロスメンバ57が取
付孔56を介して左右に貫通するように設置され、下部
51dとクロスメンバ57とはミグ溶接等で接合し、溶
接箇所をqで示した。これ等の支持管54、スタンド取
付用クロスメンバ57は、何れもメインメンバの下方
部、下部間に横架されており、サブメンバ61がこの部
分には配置されていないが、これ等の部材が補強梁とし
ても機能し、この部分の剛性、強度を高める。
【0048】図14は図3の矢視14方向から見た拡大
図である。ミドルメンバ50のサブメンバ61の凹状の
切欠部61dの左右の下端部は、支持管54の上面に突
き当て、ミグ溶接等で接合し、溶接箇所をrで示した。
【0049】図15は、本発明にかかる自動二輪車のフ
レーム製造方法を工程順に示した説明図である。(a)
はロアメンバとサブメンバの組付手前の図で、サブメン
バとして図ではミドルメンバ70のメインメンバ71と
ロアメンバ32との溶接を示した。メインメンバ71の
上部に設けた二股部51c,51c間に、ロアメンバ3
2の下方に下面32d、左右の側壁部32b,32bか
らなる凹状となった部分を嵌め込む。
【0050】(b)は嵌め込んだ状態、及び溶接工程を
示し、二股部51c,51cの内側に左右の側壁部32
b,32bが左右に重なる。一方の二股部51c、側壁
部32bの各内外側からスポット溶接の電極部G,Gを
押し当て、加圧し、通電してこの部分を溶接する。溶接
箇所をsで示した。図では右側の溶接を示したが、左側
も同様に溶接する。これにより、ロアメンバ32の下方
に、垂下するようにサブメンバ71を溶接し、接合、一
体化する。左右を溶接した状態は(c)に示した通りで
ある。
【0051】(c)はロアメンバ32にサブメンバであ
るミドルメンバのメインメンバ71を垂下するように溶
接した状態で、アッパメンバ31を用意する。アッパメ
ンバ31を矢印のように上からロアメンバ32に重ね合
わせる。(d)はアッパメンバ31をロアメンバ32上
に重ね合せた状態を示し、ロアメンバ32のフランジ部
32c,32c上にアッパメンバ31のフランジ部31
c,31cが重なる。爾後、縦向きに配置したスポット
溶接の電極部G,Gを、フランジ部31c,32cを挟
み込むようにして加圧し、通電して溶接する。溶接は左
右のフランジ部に対して行う。溶接箇所をaで示した。
【0052】以上により、(e)に示すように、サブメ
ンバ51を予めロアメンバ32に垂下するように溶接
し、爾後上からアッパメンバ31をロアメンバ32上に
重ね合せ、フランジ部31c,32c相互をスポット溶
接等し、下方にサブメンバ51を垂下するように接合し
たメインフレーム30を得る。得られたメインフレーム
30を(e)で示した。尚、アッパメンバ31のフラン
ジ部31c,31cの各先端部に折曲部31hを夫々設
け、剛性アップとロアメンバ32のフランジ部32c端
部を隠蔽した。
【0053】本発明のフレーム製造方法においては、ア
ッパメンバ、ロアメンバを、これ等の両端部に設けたフ
ランジ部を上下に重ねて溶接し、閉断面構造体のメイン
フレームを製作するに際し、ロアメンバに予め下方に吊
り下げ、垂下するサブメンバを溶接しておくので、軽量
で取り扱い易いロアメンバと、同様に軽量で取り扱い易
いサブメンバとの溶接が、組付、治具等の関係で容易で
ある。ロアメンバにサブメンバを溶接した後、アッパメ
ンバをロアメンバ上に重ね、この際、アッパメンバ自体
は、ロアメンバと一体化されていないので軽量であり、
取り扱い易く、ロアメンバへのセットも容易であり、溶
接もフランジ部のみで良く、この点においてもフレーム
製作が容易である。従って、フレームを簡易な手法で製
作ができる。これにより、自動二輪車のフレームのコス
トダウンにも資することができる。又下位のロアメンバ
にサブメンバを、謂わば吊り下げるように予め溶接して
おくので、ロアメンバとサブメンバとの溶接、配置の自
由度が高くなる。
【0054】図16は、メインフレームに物入れを設け
た状態を示す要部の縦断側面図である。メインフレーム
30は、凹状断面の上下のアッパメンバ31、ロアメン
バ32のフランジ部31c,32cを介した接合構造体
であり、後部は前記したように幅広である。従って、後
部には、上下方向にある程度の高さをもった空間90を
得ることができる。そこで、この空間90内を物入れ、
例えば、薄手の物品である工具入れ等として利用するこ
とができる。アッパメンバ31の上面31dの後部に棚
部付きの開口部91を設け、この部分を端部のヒンジ9
3で開閉自在としたリッド92で覆い、物入れ部分とし
て利用した。
【0055】図17は、物入れの他の実施例を示す要部
の縦断面図である。前記したようにアッパメンバ31
は、プレス加工で成形するので、アッパメンバ31の後
部の一部に上方への膨出部131dを形成する。これに
より、空間90の高さは大きくなり、膨出部131dの
上面に前記と同様に棚部付きの開口部91を設け、この
部分を端部のヒンジ93で開閉自在としたリッド92で
覆い、物入れ部分として利用した。この実施例によれ
ば、厚手の高さがある物品の物入れとして利用すること
ができる。
【0056】以上、実施例を詳述したが、溶接手法は前
記したスポット溶接、ミグ溶接に限られることはなく、
抵抗溶接としてはシーム溶接、レーザ溶接等任意の溶接
手法を用いてフレームを接合することができ、実施例の
溶接手法に限られるものではない。又フレーム構成部材
を、鋼板素材のプレス加工として説明したが、アルミニ
ウムの板材をプレス加工して構成部材を形成しても良
く、構成部材の素材は、溶接可能であり、剛性が得られ
ることを条件として、使用可能な金属板材のプレス加工
素材を用いることができる。
【0057】
【発明の効果】本発明は上記構成により次の効果を発揮
する。請求項1は、プレス加工された一対の凹状に形成
された金属板材を接合して一体化した自動二輪車のフレ
ームにおいて、一対の金属板材を、下向きに開放された
断面視凹状のアッパメンバと、上向きに開放された断面
視凹状の下側のロアメンバとで構成し、アッパメンバと
ロアメンバの上下に突合せる両側端部には、外側方に突
出し、相互に上下に重なるフランジ部を備え、該フラン
ジ部を溶接で接合し、前端部にヘッドパイプを接合し、
上面が略々平坦なメインフレームを形成したので、先
ず、バックボーン構造のメインフレームを、プレス加工
した金属板材で、軽量化を図りつつ、必要とする剛性、
強度を確保しつつ、簡易に、安価に得ることができる。
【0058】特に本発明では、バックボーン形式のフレ
ームをプレス加工のアッパメンバ、ロアメンバとの上下
のフランジ部による接合一体化構造体なので、アルミニ
ウム材の引き抜き等による閉断面パイプ構造体と異な
り、自動二輪車の長さ方向の対して、車幅方向の幅を任
意に設定して形成することができ、必要とするメインフ
レームを製作容易に、安価に得ることができる。又メイ
ンフレームは、上面が略々平坦なので、補機類や燃料タ
ンク、シート等の構成部品の取付部分を直接アッパメン
バに形成することができ、補機類や部品取付部分を別個
の部材や、これの溶接等を必要とすることなく設置する
ことができ、この点からもメインフレームの構造、製作
の簡易化、部品点数の削減、軽量化、コストダウンを図
ることができる。又メインフレームが平坦なので、補機
類や部品の取付、支持部材は、簡素なスティ類やブラケ
ット類で足り、これのアッパメンバ、ロアメンバへの取
付、支持構造も簡素なもので足りる。
【0059】又メインフレームは、上下のプレス加工板
材を上下に接合した構造なので、メインフレームに接合
するヘッドパイプ、エンジンハンガ、或いは取り付ける
補機類や燃料タンク、シートに必要な前部の幅、後部の
幅と、夫々の部分の幅を異ならせることが可能であり、
メインフレームに取り付けるこれ等のフレーム部材の構
造の簡素化、溶接等の容易化が図れ、前後で幅を異なら
せたメインフレームを容易に得ることができ、前後で幅
が異なる部分を有するフレームを容易に得ることがで
き、フレーム全体としての構造も簡素であり、製作の容
易化、コストダウンを図ることができ、且つ、メインフ
レームは中空閉断面構造体となり、しかも、溶接等する
フランジ部が左右に張り出してこの部分で溶接等して接
合一体化する構造なので、排気量が大きい自動二輪車の
メインフレームとして、高い剛性、強度を確保した自動
二輪車のメインフレームを得ることができる。
【0060】請求項2は、請求項1において、メインフ
レームのロアメンバには、プレス加工で形成したフレー
ムのサブメンバを垂下するように接合したので、請求項
1の効果に加えるに、車体のメインフレームを構成する
メンバ以外のフレームのサブメンバをプレス加工で形成
し、メインフレームメンバのロアメンバに溶接等ことに
より、車体構成部品の構成、フレーム構造の簡素化が図
れる。又メインフレーム、サブフレームともに、プレス
加工した板材を溶接等で接合、一体化する構造なので、
フレームの製作が簡易であり、高剛性、高強度を有する
自動二輪車の車体を、軽量、且つ安価に製作することが
できる。
【0061】請求項3は、請求項1において、メインフ
レームのアッパメンバ、又はロアメンバの一方のフラン
ジ部の外側端部を折り曲げ、他方のフランジ部の先端部
を該折り曲げ部で覆うようにしたので、請求項1の効果
に加えるに、アッパメンバ、ロアメンバの一方のフラン
ジ部の外側端部は、他方の外側端部の折り曲げ部で隠さ
れ、フレームの一部が露出する可能性のあるメインフレ
ームの外観性が向上し、又自動二輪車全体の組立に際
し、メインフレームのエッジ部が隠れるので、組立性の
点においても好ましい。特に本発明では、折り曲げ部で
フランジ部の剛性、強度を一層高めることができ、剛
性、強度アップの構造も、フランジ部の外側端部に折り
曲げ部を設けるという簡素な手法、構成で実現すること
ができ、上記効果を、フランジ部の加工に際し、先端部
の曲げ加工を追加するだけ実現することができる。
【0062】請求項4は、請求項1において、メインフ
レームのアッパメンバ、ロアメンバとの間の一部には、
リヤクッションユニットの取付部を構成するクロスメン
バを横架するように介設したので、自動二輪車の略々全
長にわたる長さのアッパメンバと、ロアメンバとの接合
構造体からなるメインフレームの、アッパメンバとロア
メンバの一部間に、リヤクッションユニットを取り付け
るクロスメンバーを横架して介装することとなり、請求
項1の効果に加えるに、メインフレームの長さを自動二
輪車の略々全長にわたるような長さに形成しながら、メ
インフレームの剛性、強度をリヤクッションユニットの
取付用クロスメンバを用いつつ高めることができ、余分
な剛性、強度向上のための部材を必要とすることなく、
メインフレームの剛性、強度を高めることができる。又
クロスメンバーの取付構造がアッパメンバ、ロアメンバ
間に挟み込めんで溶接等すれば良く、リヤクッションユ
ニットの取付部材の取付構造が簡素であり、取り付けも
アッパメンバ、ロアメンバの溶接等と同時に行え、製作
上も有利であり、更にアッパメンバ、ロアメンバと溶接
等で一体化することで、メインフレームのリヤクッショ
ンユニットの取付部の剛性、強度を高めることができ
る。
【0063】請求項5は、請求項1において、メインフ
レームのアッパメンバの上面の一部には、燃料タンク、
及びシート取付部をプレス加工で一体に形成したので、
請求項1の効果に加えるに、メインフレームの上面に、
燃料タンク、及びシート取付部をメインフレームとは別
個の部材を用いることなく形成することができる。従っ
て、メインフレームの構造の簡素化、メインフレームの
構成部品の部品点数の削減、溶接等の工数の削減を図る
ことができ、又部品が少なくなることから、トータルと
して自動二輪車のフレームの軽量化、コストダウンを図
ることができる。
【0064】請求項6は、プレス加工された一対の凹状
に形成された金属板材を接合して一体化した自動二輪車
のフレームの製造方法において、両側端部にフランジ部
を突設し、前後に長い断面視凹状のロアメンバの側壁部
分に、フレームのサブメンバを垂下するように溶接する
工程と、該工程後、下向きに開放され、両側端部にフラ
ンジ部を突設した断面視凹状のアッパメンバを、ロアメ
ンバ上に重ね合せ、重ね合せられたフランジ部相互を溶
接してメインフレームを製作する工程で自動二輪車のフ
レームを製造するので、アッパメンバ、ロアメンバを、
これ等の両端部に設けたフランジ部を上下に重ねて溶接
し、閉断面構造体のメインフレームを製作するに際し、
ロアメンバに予め下方に吊り下げ、垂下するサブメンバ
を溶接しておくので、軽量で取り扱い易いロアメンバ
と、同様に軽量で取り扱い易いサブメンバとの溶接が、
組付、治具等の関係で容易である。
【0065】又ロアメンバにサブメンバを溶接した後、
アッパメンバをロアメンバ上に重ね、この際、アッパメ
ンバ自体は、ロアメンバと一体化されていないので軽量
であり、取り扱い易く、ロアメンバへのセットも容易で
ある。そして溶接は、アッパメンバ、ロアメンバの夫々
上下に配置されたフランジ部のみで良く、この点におい
てもフレーム製作が容易である。従って、フレームを簡
易な手法で製作ができる。これにより、自動二輪車のフ
レームのコストダウンにも資することができる。又下位
のロアメンバにサブメンバを、謂わば吊り下げるように
予め溶接しておくので、ロアメンバとサブメンバとの溶
接、配置の自由度が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるフレーム構造を採用した自動二
輪車の一例を示す外観側面図
【図2】図1の平面図
【図3】本発明にかかるフレームの外観側面図
【図4】図3の平面図
【図5】フレーム構成メンバの分解斜視図
【図6】図3の6−6線拡大断面図
【図7】図3の7−7線拡大断面図
【図8】図3の8−8線拡大断面図
【図9】図3の9−9線拡大断面図
【図10】図3の矢視10方向から見た拡大図
【図11】図3の11−11線拡大断面図
【図12】図3の12−12線拡大断面図
【図13】図3の矢視13方向から見た図
【図14】図3の矢視14方向から見た図
【図15】(a)〜(e)はフレームの製造工程を示す
説明図で、(a)はロアメンバとサブメンバの組付手前
の図、(b)はロアメンバとサブメンバを組み付け、溶
接する図、(c)はアッパメンバの組付手前の図、
(d)はアッパメンバ、ロアメンバを溶接する図、
(e)は溶接後の図
【図16】メインフレームに物入れを設けた状態を示す
要部の縦断側面図
【図17】メインフレームに物入れを設けた状態の他の
実施例を示す要部の縦断側面図
【符号の説明】
1…自動二輪車、 30…メインフレーム、 22…ヘ
ッドパイプ、 31…アッパメンバ、 32…ロアメン
バ、 31b,32b…フランジ部、 31c…フラン
ジ部外側端部の折曲部、 34…燃料タンク、シートの
取付部、 35…リヤクッションユニット取付用のクロ
スメンバ、 40、50、70…サブメンバ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3D011 AF01 AF02 AF03 AF04 AH01 AK03 AK04 AK12 AK14 AK15 AK22 AK23 AK33 AL13 AL37 AL51 3D012 BD04

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プレス加工された一対の凹状に形成され
    た金属板材を接合して一体化した自動二輪車のフレーム
    において、 前記一対の金属板材を、下向きに開放された断面視凹状
    のアッパメンバと、上向きに開放された断面視凹状の下
    側のロアメンバとで構成し、 前記アッパメンバとロアメンバの上下に突合せる両側端
    部には、外側方に突出し、相互に上下に重なるフランジ
    部を備え、該フランジ部を溶接で接合し、前端部にヘッ
    ドパイプを接合し、上面が略々平坦なメインフレームを
    形成した、 ことを特徴とする自動二輪車のフレーム構造。
  2. 【請求項2】 前記メインフレームのロアメンバには、
    プレス加工で形成したフレームのサブメンバを垂下する
    ように接合したことを特徴とする請求項1に記載の自動
    二輪車のフレーム構造。
  3. 【請求項3】 前記メインフレームのアッパメンバ、又
    はロアメンバの一方のフランジ部の外側端部を折り曲
    げ、他方のフランジ部の先端部を該折り曲げ部で覆うよ
    うにしたことを特徴とする請求項1に記載の自動二輪車
    のフレーム構造。
  4. 【請求項4】 前記メインフレームのアッパメンバ、ロ
    アメンバとの間の一部には、リヤクッションユニットの
    取付部を構成するクロスメンバを横架するように介設し
    たことを特徴とする請求項1に記載の自動二輪車のフレ
    ーム構造。
  5. 【請求項5】 前記メインフレームのアッパメンバの上
    面の一部には、燃料タンク、及びシート取付部をプレス
    加工で一体に形成したことを特徴とする請求項1に記載
    の自動二輪車のフレーム構造。
  6. 【請求項6】 プレス加工された一対の凹状に形成され
    た金属板材を接合して一体化した自動二輪車のフレーム
    の製造方法において、 両側端部にフランジ部を突設し、前後に長い断面視凹状
    のロアメンバの側壁部分に、フレームのサブメンバを垂
    下するように溶接する工程と、 前記工程後、下向きに開放され、両側端部にフランジ部
    を突設した断面視凹状のアッパメンバを、前記ロアメン
    バ上に重ね合せ、重ね合せられたフランジ部相互を溶接
    してメインフレームを製作する工程と、 からなることを特徴とする自動二輪車のフレーム製造方
    法。
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