JP5940794B2 - 自動二輪車の車体フレーム - Google Patents
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近年、車両の軽量化が求められる中、軽量化を図りつつ、その剛性を高めることができる車体フレームが求められている。
メインフレームは、ヘッドパイプから直線的に車両後方へ延びる直線部と、この直線部の後端から湾曲しながら下方延びる湾曲部とからなり、リヤフレームは、湾曲部の車幅方向左面に先端が接合され後方へ延びる左リヤフレームと、湾曲部の車幅方向右面に先端が接合され後方へ延びる右リヤフレームとからなり、平面視で、メインフレームの後面と左リヤフレーム前部の内面と右リヤフレーム前部の内面とに略矩形状の補強メンバーが渡され、この補強メンバーの前縁が湾曲部の後面に接合され、補強メンバーの左右縁が左右のリヤフレームの内面に接合されることを特徴とする。
請求項7に係る発明は、メインフレームは、一対の略コ字状断面を有するメンバから構成される角筒形状の中空プレスフレームであって、メインフレームにフレーム前上部が上接合部で接合され、ピボットフレーム部にフレーム前下がり部が下接合部で接合され、湾曲部の内部に、この湾曲部の長手方向に直交するように補強部材が渡され、補強部材は、上接合部に配置されると共に、上接合部と下接合部との間に配置されることを特徴とする。
すなわち、本発明によれば、軽量化を図りつつ、その剛性を高めることができるプレス成形品で構成される車体フレームが提供される。
図1に示すように、自動二輪車10は、車両長手方向に延びる車体フレーム11と、この車体フレーム11に懸架されるエンジン12と、車体フレーム11の前部に設けられ、前輪13を操向自在に支持する前輪操向装置15と、車体フレーム11の後部下部に設けられ、後輪14を揺動自在に支持する後輪懸架装置16とを主要素とする。
エンジン12の上方に燃料タンク41が配置され、この燃料タンク41の後方に乗員が座るシート42が配置される。シート42の後部下方にリヤフェンダ43が設けられ、車両後端の上部にテールライト44が配置される。
図2に示すように、車体フレーム11は、ヘッドパイプ21と、このヘッドパイプ21から車両後方に延びるメインフレーム22と、このメインフレーム22の前端から斜め下後方へ延びてエンジン(図1、符号12)の前部を支持するダウンフレーム26と、メインフレーム22から後方へ延びるリヤフレーム23とからなる。
図3に示すように、メインフレーム22は、略コ字断面となるようにプレス成形した左メンバー71Lに、同じく、プレス成形した右メンバー71Rを合わせ、一体化してなる角筒状の中空フレームである。
リヤフレーム23Lは、車両内側に位置する左のインナ85Lに、車両外側から左のアウタ88Lを合わせることで製造される。すると、図5に示すリヤフレーム23Lが得られる。
好ましくは、左のアウタ88Lは、車体中心側へ窪ませたビード87を有する。このビード87によって、リヤフレーム23Lの前上部83Lの剛性を向上させることができる。
図7に示すように、リヤフレーム23Lの前下がり部84Lは、前述した前上部(図6、符号83L)と同様に、車両中心側が開口するチャンネル状の左のアウタ88Lと、この開口を塞ぐようにして左のアウタ88Lに合わせられる平板状の左のインナー85Lと、この左のインナー85Lと左のアウタ88Lとを接合する溶着部97、98とからなる中空フレームである。
フレーム前下がり部84L、84Rの先端部に、下側方接合部96L、96Rが設けられ、これらの下側方接合部96L、96Rがピボットフレーム部24に接合される。
メインフレーム22とリヤフレーム23Lとの接合部73、74に、補強メンバー77、78を渡すことで、大きな荷重の掛かる接合部73、74を補強できる。
図8に示すように、メインフレームの湾曲部28と左右のリヤフレーム23L、23Rとに上補強メンバー77が接合される。上補強メンバー77は、平面部101と、この平面部101の前部を折り曲げた前フランジ部102と、平面部101の車幅方向左右部を各々折り曲げた左右のフランジ部103L、103Rとからなる。
左のリヤフレームの前上部の下端83Lbと、左のフランジ部の下端103Lbとが高さ方向で略同一となる位置に、上補強メンバー77が配置される。同様に、右のリヤフレームの前上部の下端83Rbと、右のフランジ部の下端103Rbとが高さ方向で略同一となる位置に、上補強メンバー77が配置される。この上補強メンバー77は、メインフレームの後面35と左右のリヤフレームの前上部83L、83Rとに接合される。左右のフランジ部において、リヤフレームの前上部の上端に較べより大きな荷重の掛かる前上部の下端83Lb、83Rbに上補強メンバー77を渡すことで、接合部73の強度アップを図ることができる。
図9にて、下方へ折り曲げた左右のフランジ部103L、103Rは、左右のリヤフレーム23L、23Rへ接合される。
上補強メンバー77の左右縁107L、107Rが左右のリヤフレームの内面105L、105Rに接合される。
このような構造であれば、上補強メンバー77が平板部のみの場合に較べて、上補強メンバー76の剛性が格段に高まる。加えて、これら3辺のフランジ部108を湾曲部の後面38と左右のリヤフレームの内面105L、105Rに当てることで、接合作業の際、補強メンバー76がずれ難くなる。結果、接合に係る作業が容易になる。
図12に示すように、補強メンバーのうちの下補強メンバー78は、平面部111と、この平面部111の前縁を斜め上方へピボットフレーム部24の後面39に沿うように延びる前フランジ部112と、平面部101の車幅方向左右縁から下方へ延びる左右のフランジ部113L、113Rと、平面部101の後縁から下方へ延びる後フランジ部114とからなる。
平面部111、前フランジ部112、左右のフランジ部113L、113R及び後フランジ部114は、1枚の金属板をプレスにて曲げ加工することで製造可能である。
この下補強メンバー76に加えて、下補強メンバー76よりも車両後方位置にて左右のフレーム前下がり部84L、84Rには、クロスメンバー121が渡される。
図13に示すように、左右のリヤフレーム23L、23Rの内面に、左右のフランジ部113L、113Rが各々溶接される。平面部111には、上に凸となるように凸ビード122が複数条(この例では4条)形成される。これらの凸ビード122は、図表裏方向、すなわち車両前後方向に延びる。
平面部111に複数の凸ビード122を形成することで、板厚を上げることなく所定の剛性が得られる。結果、車体フレームの軽量化に資する。
このような構造であれば、下補強メンバー78が平板部のみの場合に較べて、下補強メンバー78の剛性が格段に高まる。加えて、これらのフランジ部118をピボットフレーム部の後面39と左右のリヤフレームの内面115L、115Rに当てることで、接合作業の際、補強メンバー76がずれ難くなる。結果、接合に係る作業が容易になる。
図14に示すように、左右のフレームの前下がり部84L、84Rに、車幅方向に延びるクロスメンバー121が渡されている。左右のフレームの前下がり部84L、84Rにおいて、左右のアウタ88L、88Rは、車幅方向外方に凸となるチャンネル部86、86を有する。これらの左右のアウタ88L、88Rに車幅方向内方から接合される左右のインナ85L、85Rは、クロスメンバー121の外面に接合される部分以外では、車幅方向内方に凸となるチャンネル部186、186を有する。
クロスメンバー121は、左右のインナ85L、85Rのチャネル部186、186の上面186a、186aに渡すように設けられるので、クロスメンバー121をセットする際の、車幅方向の位置決め作業が容易になる。
図2にて、メインフレーム22の後面とリヤフレーム23前部とに略矩形状の上補強メンバー77と下補強メンバー78とが渡される。
メインフレーム22とリヤフレーム23との接合箇所は、リヤフレーム23側の捩れ力が集中的に加わる。そこで、この箇所に上補強メンバー77を溶接することで、捩れ力に耐える剛性を確保するようにした。
すなわち、本発明によれば、軽量化を図りつつ、その剛性を高めることができるプレス成形品で構成される車体フレーム11が提供される。
また、上補強部材51に加えて、メインフレームの内部に設けられている下補強部材52は、リヤフレーム23がメインフレーム22へ接合される上側方接合部95L、95Rと下側方接合部96L、96Rとの間に接合される。すなわち、補強部材50は、フレーム前上部83L、83Rの上側方接合部95L、95Rに配置されると共に、上側方接合部95L、95Rとフレーム前下がり部84L、84Rの下側方接合部96L、96Rとの間に配置される。
Claims (7)
- ヘッドパイプ(21)から後方へ延びるメインフレーム(22)及びこのメインフレーム(22)から後方へ延びるリヤフレーム(23)を備えた自動二輪車の車体フレームにおいて、
前記メインフレーム(22)は、前記ヘッドパイプ(21)から直線的に車両後方へ延びる直線部(27)と、この直線部(27)の後端から湾曲しながら下方へ延びる湾曲部(28)とからなり、
前記リヤフレーム(23)は、前記湾曲部(28)の車幅方向左面に先端が接合され後方へ延びる左リヤフレーム(23L)と、前記湾曲部(28)の車幅方向右面に先端が接合され後方へ延びる右リヤフレーム(23R)とからなり、
平面視で、前記メインフレーム(22)の後面と前記左リヤフレーム(23L)前部の内面と前記右リヤフレーム(23R)前部の内面とに略矩形状の補強メンバー(76)が渡され、この補強メンバー(76)の前縁が前記湾曲部(28)の後面に接合され、前記補強メンバー(76)の左右縁が前記左右のリヤフレーム(23L、23R)の内面に接合されることを特徴とする自動二輪車の車体フレーム。 - 前記補強メンバー(76)は、少なくとも前記前縁と前記左右縁との3辺が折り曲げられてフランジ部(108)とされ、このフランジ部(108)が前記接合に供されることを特徴とする請求項1記載の自動二輪車の車体フレーム。
- 前記左右一対のリヤフレーム(23L、23R)は、車体側面視で、フレーム後部(82L、82R)と、このフレーム後部(82L、82R)の前端から前方へ延びるフレーム前上部(83L、83R)と、前記フレーム後部(82L、82R)の前端から前方へ斜め下へ延びるフレーム前下がり部(84L、84R)とからなり、側面視で前部が開放した略Y字状を呈し、
前記メインフレーム(22)は、前記湾曲部(28)の下端に更にピボットフレーム部(24)を含み、
前記湾曲部(28)に前記フレーム前上部(83L、83R)が接合され、前記ピボットフレーム部(24)に前記フレーム前下がり部(84L、84R)が接合されることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の自動二輪車の車体フレーム。 - 前記補強メンバー(76)は、前記フレーム前上部(83L、83R)の前部に付設される上補強メンバー(77)と、前記フレーム前下がり部(84L、84R)の前部に付設される下補強メンバー(78)とからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の自動二輪車の車体フレーム。
- 前記メインフレーム(22)は、左縦壁部(61L)と、この左縦壁部(61L)の上下端から車幅方向中心側へ延びる天井部(65L)及び底面部(66L)と、前記天井部(65L)から上に延びるフランジ状の左上張出部(67L)及び前記底面部(66L)から下に延びるフランジ状の左下張出部(68L)とからなる左メンバー(71L)と、右縦壁部(61R)と、この右縦壁部(61R)の上下端から車幅方向中心側へ延びる天井部(65R)及び底面部(66R)と、前記天井部(65R)から上に延びるフランジ状の右上張出部(67R)及び前記底面部(66R)から下に延びるフランジ状の右下張出部(68R)とからなる右メンバー(71R)とからなり、前記左上張出部(67L)と前記右上張出部(67R)とを接合し、前記左下張出部(68L)と前記右下張出部(68R)とを接合してなる中空フレームであり、
前記補強メンバー(76)に、前記左上張出部(67L)及び前記右上張出部(67R)を収納する切欠き形状の凹部(100)が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の自動二輪車の車体フレーム。 - 左右の前記フレーム前下がり部(84L、84R)に、前記下補強メンバー(78)よりも車両後方位置に、車幅方向に延びるクロスメンバー(121)が渡されていることを特徴とする請求項3記載の自動二輪車の車体フレーム。
- 前記メインフレーム(22)は、一対の略コ字状断面を有するメンバから構成される角筒形状の中空プレスフレームであって、
前記メインフレーム(22)に前記フレーム前上部(83L、83R)が上接合部(73)で接合され、前記ピボットフレーム部に前記フレーム前下がり部(84L、84R)が下接合部(74)で接合され、
前記湾曲部(28)の内部に、この湾曲部(28)の長手方向に直交するように補強部材(51、52)が渡され、
前記補強部材(51、52)は、前記上接合部(73)に配置されると共に、前記上接合部(73)と前記下接合部(74)との間に配置されることを特徴とする請求項3記載の自動二輪車の車体フレーム。
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