JP2000058920A - 半導体およびその製造方法 - Google Patents

半導体およびその製造方法

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JP2000058920A JP21460299A JP21460299A JP2000058920A JP 2000058920 A JP2000058920 A JP 2000058920A JP 21460299 A JP21460299 A JP 21460299A JP 21460299 A JP21460299 A JP 21460299A JP 2000058920 A JP2000058920 A JP 2000058920A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 合金偏析による構造劣化を受けにくく、光電
特性の優れた高インジウム量の活性領域の成長が可能な
半導体構造を提供する。 【解決手段】 本発明にかかる半導体構造は、核形成層
と、前記核形成層上に成長させた厚いInGaN層と、
前記厚いInGaN層上に形成した活性層と、を備え
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は半導体分野に関す
る。より詳細には、この発明は青色発光素子において使
用することができる第III−V族窒化物半導体膜に関す
る。
【0002】この発明は、発光ダイオード(LED)及
びダイオードレーザを含む短波長可視光発光光電素子を
形成するために使用することができる基板上に形成され
たIII−V族窒化物膜を提供するものである。
【0003】この発明は、青色、緑色、あるいは均一赤
色発光のための適したバンドギャップを提供する、厚い
InGaN層上に発光デバイスへテロ構造を成長させる
ための方法を提供するものである。
【0004】この発明は格子のずれを防ぐ安定なInG
aN構造を提供するものである。
【0005】この発明は、他のIII−V族半導体と共に
InGaNを組み込むことができる、トランジスタなど
の他の電子素子を提供するものである。
【0006】III−V族窒化物は、周期表のIII族からの
元素、すなわち、ガリウム、インジウム及びアルミニウ
ムと、V族からの元素、すなわち、窒素を含む。これら
の材料は基板上に蒸着され、LED及びレーザダイオー
ドなどの光電素子のための層状構造を形成する。得られ
た素子は広い範囲の波長において可視光を発光すること
ができる。
【0007】光電素子の性能は、基板上に形成されたII
I−V族窒化物膜の品質に依存する。III−V族窒化物膜
の重要な構造特性は、各層間の格子のずれであり、発光
の品質に影響する。特に、異なる材料間で起こる格子の
ずれにより、転位、クラック、あるいは合金の不均一性
などの結晶欠陥が生じることがあり、これにより材料の
光電品質が低下する。
【0008】III−V族窒化半導体、GaN、AlN及
びInNは可視光エミッタにおいて使用されている。と
いうのは、これらの材料は広いバンドギャップにより特
徴付けられ、そのような特性は短波長可視光発光におい
ては必要であるからである。III−V族窒化物はまた強
い化学結合を形成し、これにより、材料が非常に安定
し、高い電流密度、強い光照射下での劣化に耐える。
【0009】
【従来の技術】III−V族窒化物化合物系光電素子のほ
とんどにおいて、異なるバンドギャップエネルギーと屈
折率を有する一連の層を成長させる必要がある。活性層
のバンドギャップエネルギーは発光ダイオードまたはレ
ーザから発光される光の波長を決定する。さらに、異な
る組成の層の間のエネルギーバンドと屈折率の不連続性
により、光学的な閉じ込め及びキャリヤの閉じ込めが提
供される。青色スペクトル領域の光を生成する約2.7
eVのバンドギャップを有する層を得るためには、In
GaN合金を使用することができる。GaNのバンドギ
ャップエネルギーは3.4eVであるが、InNのバン
ドギャップエネルギーは1.9eVである。そのため、
InxGa1-xN合金は可視スペクトルにまで及ぶ。この
場合、青色発光を得るには、In組成xは約30%であ
り、すなわち、In0.3Ga0.7Nが必要である。緑色発
光では50%、赤色発光では100%、すなわちInN
が必要である。
【0010】これまでのところ、そのような高In量の
InGaN合金をGaN上で成長させるのは、金属−有
機化学気相成長(MOCVD)などの従来の技術を用い
ては、不可能ではないが、困難であった。とりわけ、こ
れらの従来の技術を用いる場合、InGaN合金活性領
域は偏析する傾向がある。インジウム量が増加すると発
光波長がより長くなり、InGaN合金は不安定にな
る。不安定になると、InGaN合金はIn−リッチ領
域及びGa−リッチ領域に分離するあるいは偏析し、そ
のためInGaN合金組成が均一でなくなり、それによ
り活性領域のバンドギャップエネルギーも均一でなくな
る。
【0011】この不均一組成によりエレクトロルミネセ
ンス(EL)のスペクトルがブロードになる。すなわ
ち、ブロードな範囲の波長が発光される。例えば、In
量が10〜20%に対応する紫色LEDのスペクトル発
光幅(390〜420nm)は10〜15nmと同じく
らい狭くなるかもしれない。しかし、In量が〜30%
に対応する青色LED(430〜470nm)ではスペ
クトル発光幅は20〜30nmに増加する。In量が〜
50%に対応する緑色LED(500〜530nm)で
はスペクトル発光幅は40〜50nmに増加する。
【0012】緑色LEDのスペクトル純度が悪いと、付
加混合してよりブロードな色のパレットを生成するのに
純粋な色が必要なフルカラーディスプレイにおける適用
が制限される。同様に、そのようなブロードなスペクト
ル発光幅は、レーザダイオード構造に対しブロードな利
得スペクトルとなる。利得スペクトルがブロードになる
と、ピーク利得は減少し、そのため、レーザ発振閾値に
達するのが困難となる。このため、これらの従来技術を
用いて形成する場合、青色及び緑色III−V族窒化物レ
ーザダイオードの性能は、紫色発光III−V族窒化物レ
ーザダイオードデバイスに比べ悪くなる。実際、真青色
窒化物レーザはいまだに立証されていない。緑色窒化物
レーザダイオードは、必要なIn量がより多いので、よ
り困難である。
【0013】青色及び緑色LEDのスペクトル純度を改
善するために、及び真青色または緑色III−V族窒化物
レーザダイオードの開発を促進するために、均一な合金
濃度を有する高インジウム量のInGaN合金の成長が
必要である。合金の偏析問題も解決しなければならな
い。そのため、インジウム量が50%に達したとしても
合金濃度は一定である。現在のところ、合金の偏析によ
り窒化物レーザのIn量は20%未満の値に制限され
る。これは紫色及び近紫外発光に対応する。この短波長
は光記録には理想的であるが、投写型ディスプレイ及び
海底通信などへの適用には、長波長、すなわち青色−緑
色−赤色が必要である。
【0014】GaNのバンドギャップは3.4eVであ
り、InNのバンドギャップは1.9eVであるので、
前記従来のLED構造200において青色発光を得るた
めには、約30%のIn組成を有するIII−V族合金が
必要である。しかしながら、GaN及びInNは非常に
大きな格子のずれを有するので、高In量のInGaN
合金の相分離を引き起こすことがある。このように、こ
れまでは、従来の成長技術を用いて、優れた光電品質を
有する、In量が20%を超えるInGaN合金を形成
するのは大変困難であった。このように、III−V族窒
化物層上に成長させたInGaNを用いた、有効な純青
色、緑色、または赤色発光構造を作製するのは、非常に
困難であることがわかっている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】発明者らは、これらの
問題は合金の偏析を引き起こすこともあるGaNとIn
N間の10%を超える格子のずれにより起こることを見
出した。このように、均一合金のxの量が20%よりも
高いInxGa1-xN合金は、MOCVDなどの従来技術
を用いて達することは困難である。
【0016】このように、前記従来構造の問題を避ける
ように、InGaNを他のIII−V族窒化物と共に使用
するのは好都合であろう。
【0017】
【課題を解決するための手段】このように、この発明は
厚いInGaN層を組み込んだ新規半導体構造を提供す
る。本発明の改良層構造では、転位フィルタ及び側面の
n−コンタクト層の両方として、厚いInGaN層が通
常デバイス構造に組み入れられている厚いGaN層にと
って代わる。厚いInGaN層を蒸着させると、デバイ
スヘテロ構造の成長のために使用される典型的なGaN
テンプレートに比べ大きな格子パラメータの確立が可能
となる。その結果、厚いInGaN層上に成長させた高
インジウム量のヘテロ構造活性領域では、従来のGaN
上に成長させた高インジウム量のへテロ構造に比べ、ず
れ歪みが小さくなる。そのため、デバイスは合金偏析に
よる構造劣化を受けにくくなる。このように、厚いIn
GaN構造により、改善された構造特性及び光電特性を
有する高インジウム量の活性領域の成長が可能となる。
InGaN合金の偏析に関する障害を克服することによ
り、InGaN層の組成の不均一性が改善され、そのた
め青色、緑色、均一赤色LEDのスペクトル発光がより
純粋なものとなる。同様に、可視窒化物レーザダイオー
ドの利得スペクトルもまた、より鋭くなり、そのため、
低閾値のために、ピーク利得がより大きくなる。さら
に、厚いInGaN層の利点は、側面のコンタクト層と
しての優れた機能である。これはInGaNのバンドギ
ャップエネルギーがより低いことによるものであり、バ
ンドギャップエネルギーが低いと接触抵抗が低減し、電
子の移動度及び濃度が高くなる。
【0018】
【発明の実施の形態】図1は本発明の1つの実施の形態
にかかる多層LED構造300を図示したものである。
とりわけ、図1は厚いInGaN層上に成長させたLE
Dヘテロ構造を図示したものであり、この厚いInGa
N層により、偏析しない高In量のInGaN合金活性
領域が実現でき、より明るく、スペクトルがより純粋な
光を発光することができる。図1に示すように、LED
300は単結晶基板305を含み、この基板は例えばサ
ファイア、炭化珪素あるいはスピネルなどの、周知のあ
るいは最近開発された基板材料で形成されてもよい。サ
ファイアの場合、光電素子にはA−及びC−配向単結晶
サファイアが好ましい。基板305の厚さは典型的には
数百μm、すなわち100〜500μmである。
【0019】核形成層としても知られているバッファ層
310を基板305上に形成する。バッファ層310は
主に湿潤層として機能し、サファイア基板の滑らかで均
一な被複を促進する。バッファ層310は典型的にはG
aN、InGaN、AlNまたはAlGaNのいずれか
で形成される。バッファ層310の厚さは典型的には約
100〜500オングストロームである。バッファ層3
10の格子配向は基板の格子配向に実質的に整合させる
べきである。バッファ層310は典型的には薄いアモル
ファス層として蒸着される。バッファ層310は典型的
には低温で蒸着され、その後、固相エピタキシープロセ
スにより結晶化させ、通常、その温度は構造の他の層の
ために上昇させる温度と一致する。しかしながら、周知
のあるいは最近開発された方法を用いて前記バッファ層
310を形成することもできる。
【0020】バッファ層310は複数の層として形成し
てもよい。例えば、図2は第2のバッファ層312を有
する図1のLED構造300を図示したものである。2
つのバッファ層310と312は異なる合金濃度を有す
ること、あるいは異なる条件下で蒸着することが可能で
あり、滑らかな膜の成長を促進し、大きな格子のずれを
許容することができる。残りの層305,320,33
0,340は図1において形成した層と同一である。
【0021】その後、厚いInGaN層320をバッフ
ァ層310上に蒸着させる。厚いInGaN層320は
n−型ドープされ、その厚さは典型的には0.5μm〜
100μmの間である。その後、厚いInGaN層32
0上にInGaN活性層330を蒸着する。InGaN
活性層330は青色、緑色、及び均一黄色または赤色L
EDを形成するために使用することができる。InGa
N活性層330の厚さは典型的には約10〜100オン
グストロームである。
【0022】インジウム量が約20%までの比較的偏析
しないInGaN膜は厚いGaN上に成長させることが
できるが、インジウム量が約30%の厚いInGaN層
上にInGaN膜を成長させることによりインジウム量
を例えば50%に拡大させることができる。というの
は、格子のずれの大きさが同等であるからである。In
GaN活性層330はこのように高インジウム量へテロ
構造活性量域であり、GaN上に直接成長させたInG
aN膜に比べ、格子のずれ歪みが小さい。格子のずれを
減少させることにより、InGaN合金の相分離は最小
に抑えられ、これにより最も重要な活性領域材料の光電
品質が保持される。
【0023】その後、第1のIII−V族窒化物層340
をInGaN活性層330上に形成する。第2のIII−
V族窒化物層350を前記第1のIII−V族窒化物層3
40上に形成する。第1のIII−V族窒化物層340と
第2のIII−V族窒化物層350はp−型ドープであ
る。これらの層のために使用される典型的なIII−V族
窒化物としては、GaN、InGaN、AlGaNまた
はAlInGaNが挙げられる。第1のIII−V族窒化
物層340は典型的には第2のIII−V窒化物層350
よりも高いバンドギャップエネルギーを有し、そのため
より良好に活性領域への注入電子を閉じ込めることがで
きる。p−電極360を第2のIII−V族窒化物層35
0上に形成する。第2のIII−V族窒化物層350はコ
ンタクト層として機能し、そのため、高p−型ドープで
あり、バンドギャップエネルギーがより低いことが好ま
しい。これにより、金属電極360との界面においてシ
ョットキー(Schottky)障壁が低くなる。n−電極37
0を厚いInGaN層320上に形成する。前記層31
0,320,330,340及び350は全て、従来の
あるいは最近開発されたどの技術、例えば、分子線エピ
タキシー、水素化物気相エピタキシーあるいはMOCV
D、により形成してもよい。
【0024】この分野において周知なように、LED構
造300内に複数の閉じ込め層(confinement layer)
及びコンタクト層を設けることができる。第1及び第2
のIII−V族窒化物層340及び350は例示に過ぎ
ず、LED構造内で形成してもよいIII−V族窒化物層
の数を限定するものではない。
【0025】動作中は、正(順方向)バイアスがp−電
極360とn−電極370との間に印加される。伝導帯
の電子が厚いn−ドープInGaN層320からInG
aN活性層330中のより低いエネルギー状態に流れ
る。p−電極360に印加された電流により、第1及び
第2のIII−V族窒化物層350,340の価電子帯の
正孔がInGaN活性層330に流れ込む。このよう
に、n−ドープInGaN層320からの電子が、In
GaN活性層330において、p−ドープIII−V族窒
化物層340,350からの正孔と結合する。活性層3
30において正孔と電子が再結合すると、InGaN活
性領域のバンドギャップエネルギーと等価の光子エネル
ギーを有する光の発光が起こる。この場合、活性領域の
バンドギャップが約2.7eVであれば、青色領域のス
ペクトルの光が発光される。インジウム量のより高い活
性領域では、より長波長(緑−赤色)の光が発光され
る。厚いInGaN層320とIII−V族窒化物層34
0,350は閉じ込め層として機能し、電子と正孔をエ
ネルギーのより低いInGaN活性層330に誘導し、
活性領域330で再結合する電子と正孔の数が最大にな
るようにする。光は全ての方向に発光される。
【0026】図3は本発明の他の実施の形態にかかるレ
ーザダイオード構造400を示したものである。この実
施の形態においては、従来のGaN層の代わりに、厚い
InGaN層420が形成される。これにより、レーザ
へテロ構造を成長させるために、格子パラメータがより
大きいテンプレートを確立する。このため、組成の均一
な高インジウム量のInGaN合金活性領域が実現でき
る。このように、明るく、スペクトルの純粋な光が発光
される。レーザダイオードへテロ構造480は全て厚い
InGaN層420上に成長させる。
【0027】レーザダイオード400には基板405が
含まれる。この基板は周知のあるいは最近開発された基
板材料、例えばサファイア、炭化珪素またはスピネルな
どのいずれの材料により形成してもよい。基板の厚さは
典型的には約100〜500μmである。
【0028】バッファ層410を基板405上に形成す
る。バッファ層410は主に湿潤層として機能し、サフ
ァイア基板405が滑らかにかつ均一に被覆されるよう
にする。バッファ層410は、核形成層としても知られ
ており、典型的にはGaN、InGaN、AlNまたは
AlGaNのいずれかで形成される。バッファ層410
の厚さは典型的には、約100〜500オングストロー
ムである。バッファ層410の格子配向はサファイア基
板405の格子配向に実質的に整合されるべきである。
バッファ層410は典型的にはアモルファス薄層として
蒸着される。バッファ層410は典型的には低温で蒸着
され、その後、固相エピタキシープロセスにより結晶化
される。しかしながら、蒸着バッファ層410を形成す
るためには周知のあるいは最近開発された方法のいずれ
も用いることができる。
【0029】バッファ層410はまた複数の層として形
成してもよい。例えば、多層バッファ層は基板405上
に順に形成してもよい。2以上のバッファ層は異なる合
金濃度を有し、または異なる条件下で蒸着させることが
でき、このため、膜の成長を円滑にし、大きな格子のず
れを許容することができる。
【0030】その後、厚いInGaN層420をバッフ
ァ層410上に形成する。厚いInGaN層420はn
−型ドープされ、その厚さは典型的には0.5μm〜1
00μmである。厚いInGaN層420を形成した
後、素子のへテロ構造を形成する。この発明に従い素子
のへテロ構造を形成する場合、n−型クラッド層を最初
に形成する。n−クラッド層は厚いInGaN層420
上に形成された第1のIII−V族窒化物層430であ
る。第1のIII−V族窒化物層430はn−型ドープさ
れ、その厚さは約0.2から2μmである。その後、複
合InGaN活性層及び導波路(waveguide)435を
InGaN層420上に形成する。この複合導波路の総
厚は0.05〜0.4μmである。導波路にはInGa
N量子井戸活性領域437が含まれる。この量子井戸活
性領域437は厚さが典型的には約10から100オン
グストロームの量子井戸を含む。InGaN活性領域4
37は単一井戸構造あるいは多重井戸構造をとってもよ
い。このように、活性層435は導波路として作用し、
その構造と共に活性領域437を含む。活性領域437
内で利得が発生し、その結果、発光が得られる。
【0031】第2のIII−V族窒化物層440をInG
aN活性層435上に形成する。前記第2のIII−V族
窒化物層440上に、第3のIII−V族窒化物層450
を形成する。第2及び第3のIII−V族窒化物層440
と450はどちらもp−型ドープされる。第2のIII−
V族窒化物層440はp−型クラッド層として機能し、
その厚さは典型的には0.2μmから2μmである。第
3のIII−V族窒化物層450により、ヘテロ構造のp
−側に接触するように、抵抗が最小の金属電極を形成さ
せるのが容易になる。この窒化物層の厚さは典型的には
0.01〜2μmである。第1、第2及び第3のIII−
V族窒化物層430,440及び450はそれぞれ、G
aN,AlGaN、InGaNおよび/またはAlIn
GaNにより形成してもよい。
【0032】p−電極460を第3のIII−V族窒化物
層450上に形成し、n−電極470を厚いInGaN
層420上に形成する。III−V族窒化物層440と4
30は全て、光及び電気の閉じ込め層として機能する。
これらの材料は、厚いInGaN活性層435に比べ、
バンドギャップエネルギーがより高いこと、屈折率がよ
り低いことにより特徴づけられる。前記層410,42
0,430,435,437,440,450は全て周
知のあるいは最近開発された技術、例えば分子線エピタ
キシー、水素化物気相エピタキシーまたはMOCVDに
より形成してもよい。
【0033】レーザダイオード構造400内には、多重
閉じ込め及びコンタクト層を設けることができる。この
ように、第1、第2及び第3のIII−V族窒化物層43
0,440及び450は例示にすぎず、レーザダイオー
ド構造400内で形成してもよいIII−V族層の数を制
限するものではない。
【0034】動作中、正(順方向)バイアスをp−電極
460とn−電極470間に印加する。伝導帯の電子が
n−ドープ層420,430からInGaN活性領域4
37のよりエネルギーの低い状態に流れる。III−V族
窒化物層450,440の価電子帯の正孔はp−ドープ
層450,440からInGaN活性領域437に流れ
込む。活性層435中で正孔と電子が再結合すると、発
光が起きる。青色レーザの場合、InGaN活性層43
5のバンドギャップエネルギーは2.7eVであり、そ
のため、青色領域のスペクトル、すなわち、λ〜470
nmの光が発光される。現在のところ、厚いGaN層上
に成長させたヘテロ構造では、InGaN活性領域の合
金偏析のため、そのような長波長を達成することはでき
なかった。
【0035】前記発光ダイオード300とレーザダイオ
ード400は長波長の動作に適している。このように、
このヘテロ構造を構成する他の層は従来の厚いGaN層
上に成長させたより波長の短い構造のために使用される
ものとは異なっていてもよい。例えば、従来の構造で
は、注入されたキャリヤを閉じ込め、横向きの導波路を
形成するためには、Alが5〜20%のAlGaN合金
が必要である。従来の構造ではAlGaN層が必要であ
り、このため、クラッキングによる重大な問題及びp−
型ドーピング(受容体活性化エネルギーはAl量に伴い
増加する)に関連する重大な問題が生じている。
【0036】これとは対照的に、本発明にかかるより長
波長の、高インジウム量の活性化領域構造では、光閉じ
込め及びキャリヤ閉じ込めのためにAlGaNの高いバ
ンドギャップ及び低い屈折率が必要ない。その代わり
に、低いアルミニウム量AlGaN、GaN、あるいは
InGaNでさえ充分な閉じ込め機能を発揮する。この
ように、より長い波長では、ヘテロ構造全体が従来の構
造よりも低いバンドギャップの合金を使用することがで
きる。これらのバンドギャップがより低い合金はまた、
p−ドーピングの容易性、オーミック接触(オーム接
触)の形成の点でも有利である。
【0037】格子のずれを減少させる前記アプローチに
より高インジウム量InGaNの品質を向上させること
ができる事実上の実験的証拠がある。例えば、K.ヒラ
マツ(Hiramatsu)らによる「GaNとAlGaN上にM
OCVDにより成長させたInGaNの組成引き抜き効
果及びTEMによるキャラクタリゼーション」と題す
る、窒化物リサーチ2のMRSインターネットジャーナ
ル、第6項目(1997)(Hiramatsu)では、InG
aN層の構造の質は、その上にエピタキシャル蒸着させ
るInGaN層の表面に強く依存することが示唆されて
いる。例えば、ヒラマツによれば、InGaNを厚いG
aNまたはAlGaN層上に成長させる場合、InGa
Nの構造の質は、層が厚くなるほど、あるいは高インジ
ウム量で成長させるほど、大きく劣化することが開示さ
れている。特に、格子のひずみが大きい場合、合金は相
偏析を受けた。これにより、青色及び緑色のレーザダイ
オードがないこと、緑色LEDのスペクトル純度が悪い
ことが説明される。
【0038】より重要なことは、ヒラマツが、非常に薄
いGaN、AlNまたはAlGaNバッファ(核形成)
層上に直接成長させたInGaNは優れた構造特性及び
光電特性を示したことを示唆したことである。これによ
り、InGaNの偏析は格子のずれによるものであり、
InGaN合金に関連する混和性ギャップによるもので
はないことが示唆される。このように、より格子パラメ
ータがより大きいエピタキシーテンプレートを確立する
ことにより、高インジウム量InGaN合金への整合が
良好になり、相偏析を防ぐことができる。その結果、G
aNよりも、InGaN上では高品質、高インジウム量
のInGaN層を成長させ、青色、緑色(及び均一な黄
色あるいは赤色)LEDおよびレーザーダイオードの活
性領域を形成することができる。インジウム量が約20
%までのInGaN膜は以前から厚いGaN上に成長さ
せることができたが、この発明によれば、インジウム量
が約30%のInGaN層上にそのようなInGaN膜
を成長させることにより、InGaN膜のインジウム量
を、例えば50%まで拡大することができる。なぜな
ら、格子のずれの大きさが同等であるからである。
【0039】前記本発明にかかるレーザダイオード構造
は小型レーザ構造を必要とするどのような装置にも適用
することができる。そのような装置としては、例えば、
高解像度レーザプリント装置、デジタルプリンタ、ディ
スプレイ装置、投写型ディスプレイ、高密度光記憶装
置、光ファイバ通信装置、及び海底通信装置(海水は青
色−緑色スペクトルにおいて最も透光性がある)などが
挙げられる。高密度光記憶装置としては、磁気−光記憶
装置、例えばCD−ROM及びDVDが挙げられ、この
場合、データは磁気−光ディスク上に保存される。光フ
ァイバ通信装置としては、光ファイバエミッタ及びリピ
ータが挙げられる。本発明にかかるLED構造はまた、
小型LED構造を必要とするどのような装置にも適用で
き、そのような装置としては照明装置、フルカラーディ
スプレイなどが挙げられる。フルカラーディスプレイに
は、フルカラーディスプレイ用のモノリシック集積ピク
セルが含まれる。
【0040】図4はレーザプリント装置に組み込まれた
本発明の1つの実施の形態にかかるレーザダイオード構
造を示したものである。図4には、ラスター出力スキャ
ナ(ROS)620と、用紙供給630と、印刷モジュ
ール640と、フィニッシャー650とを含むプリンタ
610が図示されている。レーザダイオード構造660
はROS620内に組み込まれ、有効な走査光学を提供
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の1つの実施の形態にかかるLEDの
構造を示した図である。
【図2】 本発明の他の実施の形態にかかる図1のLE
D構造を示した図である。
【図3】 本発明の他の実施の形態にかかるダイオード
レーザの構造を示した図である。
【図4】 複写印刷システムに組み込んだ本発明の1つ
の実施の形態にかかるレーザダイオード構造を示した図
である。
【符号の説明】
305 基板、310 バッファ層、320 厚いIn
GaN層、330 InGaN活性層、340 第1の
III−V族窒化物層、350 第2のIII−V族窒化物
層、360 p−電極、370 n−電極。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 核形成層と、 前記核形成層上に成長させた厚いInGaN層と、 前記厚いInGaN層上に形成した活性層と、 を備えることを特徴とする半導体。
  2. 【請求項2】 核形成層を形成する工程と、 前記核形成層上に厚いInGaN層を形成する工程と、 前記厚いInGaN層上に活性層を形成する工程と、 を含むことを特徴とする半導体の形成方法。
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