WO2020158004A1 - 層転写装置 - Google Patents
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Abstract
多層フィルムが加熱部材および加圧部材からの圧力によってダメージを受けるのを抑制することを目的とする。層転写装置(1)は、筐体本体(21)と、筐体本体(21)に対して着脱可能であって、多層フィルム(F)の供給リール(31)と巻取リール(35)とを備えるフィルムカートリッジ(200)と、多層フィルム(F)およびシート(S)を加熱する加熱部材(61)と、加熱部材(61)との間で多層フィルム(F)およびシート(S)を挟む加圧部材(51)と、加熱部材(61)および加圧部材(51)の状態を、多層フィルム(F)を挟んだ圧接状態と、加熱部材(61)および加圧部材(51)の少なくとも1つが多層フィルム(F)から離れた離間状態とに切り替える切替機構(70)を備える。
Description
本発明は、シートに形成されたトナー像の上に転写層を転写する層転写装置に関する。
従来、層転写装置として、多層フィルムが巻回された供給リールと、多層フィルムを巻き取るための巻取リールと、多層フィルムおよびシートを加熱する加熱部材と、加熱部材との間で多層フィルムおよびシートを挟む加圧部材と、を備えたものが知られている(特許文献1参照)。
ところで、転写層の転写を行わない状況において、加熱部材と加圧部材の状態が常に多層フィルムを挟んだ状態としておくと、多層フィルムに圧力がかかり続け、多層フィルムがダメージを受けるおそれがある。
前記課題を解決するため、本発明に係る層転写装置は、シートのトナー像が形成された面に、転写層を有する多層フィルムを重ね、前記トナー像の上に前記転写層を転写する層転写装置であって、筐体本体と、前記筐体本体に対して着脱可能なフィルムカートリッジであって、前記多層フィルムが巻回される供給リールと、前記多層フィルムを巻き取るための巻取リールとを備えるフィルムカートリッジと、前記多層フィルムおよび前記シートを加熱する加熱部材と、前記加熱部材との間で前記多層フィルムおよび前記シートを挟む加圧部材と、前記加熱部材および前記加圧部材の状態を、前記加熱部材および前記加圧部材で前記多層フィルムを挟んだ圧接状態と、前記加熱部材および前記加圧部材の少なくとも1つが前記多層フィルムから離れた離間状態とに切り替える切替機構と、を備える。
この構成によれば、加熱部材および加圧部材の状態を、切替機構によって、離間状態とすることができるので、多層フィルムが各部材からの圧力によってダメージを受けるのを抑制することができる。
また、前記層転写装置は、前記巻取リールを駆動する駆動源と、前記供給リールからの前記多層フィルムの引き出しを規制する規制状態と、前記規制を解除する解除状態とに切替可能な規制切替手段と、制御部と、を備え、前記加熱部材は、前記多層フィルムおよび前記シートを加熱する加熱ローラであり、前記加圧部材は、前記加熱ローラとの間で前記多層フィルムおよび前記シートを挟んだ状態で回転することで前記多層フィルムと前記シートを搬送する加圧ローラであり、前記制御部は、前記駆動源の駆動中に、前記シート上において前記トナー像が形成されたトナー領域が、前記加熱ローラと前記加圧ローラの間の層転写位置に存在しない場合に、前記規制切替手段を前記規制状態にし、前記駆動源の駆動中に、前記トナー領域が、前記層転写位置に存在する場合に、前記規制切替手段を前記解除状態にしてもよい。
これによれば、トナー領域が加熱ローラと加圧ローラの間に存在しない場合には、規制切替手段によって供給リールからの多層フィルムの引き出しが規制されるので、多層フィルムが無駄に搬送されるのを抑制することができる。
また、前記制御部は、前記転写層の転写の指令を受けると、前記規制切替手段が前記規制状態にある状態で、前記駆動源を駆動してもよい。
これによれば、例えば規制切替手段が解除状態にある状態で駆動源を駆動する方法に比べ、多層フィルムが無駄に搬送されるのを抑制することができる。
また、前記シートの搬送方向において前記加熱ローラの上流側に配置される上流側搬送部材を備え、前記制御部は、前記シートの先端が前記上流側搬送部材を通過してから、前記トナー領域が前記層転写位置に到達するまでの間に、前記規制切替手段を前記解除状態にする規制解除処理を実行してもよい。
これによれば、例えばシートの先端が上流側搬送部材を通過する前に規制切替手段を解除状態にする方法に比べ、多層フィルムが無駄に搬送されるのを抑制することができる。
また、前記制御部は、前記トナー領域から前記シートの後端までの距離が前記トナー領域から前記シートの先端までの距離よりも小さい場合に、前記シートの先端が前記層転写位置を通過した後に、前記規制解除処理を実行してもよい。
これによれば、例えばシートの先端が層転写位置を通過する前に規制切替手段を解除状態にする方法に比べ、多層フィルムが無駄に搬送されるのを抑制することができる。
また、前記層転写装置は、前記シートの後端までの距離が前記シートの先端までの距離よりも小さいトナー領域に対して前記転写層を転写するための後端転写指令を前記制御部に出力可能な操作部を備え、前記制御部は、前記後端転写指令を受けると、前記規制解除処理を実行してもよい。
また、前記層転写装置は、前記シートの搬送方向において前記加熱ローラの下流側に配置される下流側搬送部材を備え、前記制御部は、前記トナー領域が前記層転写位置を通過してから前記シートの後端が前記下流側搬送部材に到達するまでの間に、前記規制切替手段を前記規制状態にする層転写後規制処理を実行してもよい。
これによれば、例えばシートの後端が下流側搬送部材を通過した後に規制処理を実行する方法に比べ、多層フィルムが無駄に搬送されるのを抑制することができる。
また、前記制御部は、前記トナー領域から前記シートの先端までの距離が前記トナー領域から前記シートの後端までの距離よりも小さい場合に、前記シートの後端が前記層転写位置に到達する前に、前記層転写後規制処理を実行してもよい。
これによれば、例えばシートの後端が層転写位置を通過した後に規制処理を実行する方法に比べ、多層フィルムが無駄に搬送されるのを抑制することができる。
また、前記層転写装置は、前記シートの先端までの距離が前記シートの後端までの距離よりも小さいトナー領域に対して前記転写層を転写するための先端転写指令を前記制御部に出力可能な操作部を備え、前記制御部は、前記先端転写指令を受けると、前記層転写後規制処理を実行してもよい。
また、前記層転写装置は、前記シートの搬送方向において前記加熱ローラの上流側に配置され、前記シートの先端の通過を検知可能なシート検知センサを備え、前記制御部は、前記トナー領域から前記シートの先端までの距離が前記トナー領域から前記シートの後端までの距離よりも小さい場合に、前記シート検知センサによって前記シートの先端を検知したタイミングに基づいて、前記層転写後規制処理を開始してもよい。
トナー領域からシートの先端までの距離がトナー領域からシートの後端までの距離よりも小さい場合において、例えばシートの後端を検知したタイミングに基づいて層転写後規制処理を開始する場合には、トナー領域が層転写位置を通過した後にシートの後端が検知され、層転写後規制処理の開始が遅れるおそれがある。これに対し、前述した構成では、シートの先端を検知したタイミングに基づいて層転写後規制処理の開始タイミングを決めるので、例えばトナー領域が層転写位置を通過した直後に層転写後規制処理を開始することができ、多層フィルムが無駄に搬送されるのを抑制することができる。
また、前記層転写装置は、前記シートの搬送方向において前記加熱ローラの上流側に配置され、前記シートの後端の通過を検知可能なシート検知センサを備え、前記制御部は、前記トナー領域が前記シートの後端側に位置する場合に、前記シート検知センサによって前記シートの後端を検知したタイミングに基づいて、前記層転写後規制処理を開始してもよい。
トナー領域がシートの後端側に位置する場合には、トナー領域が層転写位置を通過し終わる前にシートの後端が検知されるので、後端を検知したタイミングに基づいて層転写後規制処理を良好に行うことができる。また、例えば先端を検知したタイミングに基づいて層転写後規制処理を開始する方法に比べ、シート検知センサでの検知から層転写後規制処理の開始までの時間を短くできるので、層転写後規制処理の開始タイミングに誤差が生じるのを抑えることができる。
また、前記層転写装置は、前記シートの搬送方向において前記加熱ローラの下流側に配置され、前記シートから離れる方向に前記多層フィルムを案内する剥離ローラを備え、前記制御部は、前記トナー領域が前記剥離ローラを通過した後に、前記層転写後規制処理を開始してもよい。
これによれば、トナー領域から多層フィルムを剥離し終わった後に、層転写後規制処理を行うので、剥離不良を抑制することができる。
また、前記制御部は、前記層転写後規制処理の後に、前記駆動源を停止させてもよい。
これによれば、例えば層転写後規制処理の前に駆動源を停止させる方法に比べ、多層フィルムが無駄に搬送されるのを抑制することができる。
また、前記規制切替手段は、前記切替機構を備え、前記制御部は、前記切替機構を前記離間状態とすることで、前記規制切替手段を前記規制状態にし、前記切替機構を前記圧接状態とすることで、前記規制切替手段を前記解除状態にしてもよい。
これによれば、切替機構を離間状態とすることで、各ローラの少なくとも一方が多層フィルムから離れるので、多層フィルムの無駄な搬送を抑制することができる。
また、前記規制切替手段は、前記駆動源の駆動力を前記加圧ローラまたは前記加熱ローラに伝達する伝達状態と、前記加圧ローラまたは前記加熱ローラへの駆動力の伝達を遮断する遮断状態とを切り替える伝達切替機構を備え、前記制御部は、前記伝達切替機構を前記遮断状態とすることで、前記規制切替手段を前記規制状態にし、前記伝達切替機構を前記伝達状態とすることで、前記規制切替手段を前記解除状態にしてもよい。
これによれば、伝達切替機構を遮断状態とすることで、多層フィルムが搬送されなくなるので、多層フィルムの無駄な搬送を抑制することができる。
また、前記制御部は、前記加熱ローラと前記加圧ローラとで前記多層フィルムを挟み始めてから、前記シートの先端が前記層転写位置に到達するまでの間に、前記伝達切替機構を前記遮断状態から前記伝達状態に切り替えてもよい。
例えば加熱ローラと加圧ローラとで多層フィルムを挟み始めるよりも前に遮断状態から伝達状態に切り替える場合には、挟み始めた瞬間に多層フィルムが搬送され、無駄になる。これに対し、前述した構成では、加熱ローラと加圧ローラとで多層フィルムを挟み始めた後に遮断状態から伝達状態に切り替えるので、多層フィルムの無駄な搬送を抑制することができる。
また、前記制御部は、前記トナー領域から前記シートの後端までの距離が前記トナー領域から前記シートの先端までの距離よりも小さい場合には、前記シートの先端が前記層転写位置を通過した後に、前記切替機構による前記離間状態から前記圧接状態への切替を開始し、前記加熱ローラと前記加圧ローラとで前記多層フィルムおよび前記シートを挟み始める前に、前記伝達切替機構を前記遮断状態から前記伝達状態に切り替えてもよい。
例えば加熱ローラと加圧ローラとで多層フィルムおよびシートを挟み始めたときに、各ローラが停止している場合には、停止した各ローラがシートの搬送の抵抗となる。これに対し、前述した構成では、加熱ローラと加圧ローラとで多層フィルムおよびシートを挟み始める前に各ローラを駆動させるため、シートの搬送をスムーズに行うことができる。
また、前記層転写装置は、前記切替機構が前記離間状態であることを検知する状態検知センサを備え、前記制御部は、前記状態検知センサの出力変化に応じて前記伝達切替機構を前記遮断状態から前記伝達状態に切り替えてもよい。
また、前記制御部は、前記シートの後端が前記層転写位置を通過した後であって、かつ、前記切替機構が前記離間状態になる前に、前記伝達切替機構による前記伝達状態から前記遮断状態への切り替えを開始してもよい。
また、前記制御部は、前記トナー領域から前記シートの先端までの距離が前記トナー領域から前記シートの後端までの距離よりも小さい場合には、前記シートの後端が前記層転写位置を通過する前から前記切替機構による前記圧接状態から前記離間状態への切り替えを開始し、前記圧接状態から前記離間状態への切り替えの開始後に、前記伝達切替機構を前記伝達状態から前記遮断状態に切り替えてもよい。
例えば圧接状態から離間状態への切り替えを開始する前に、伝達切替機構を伝達状態から遮断状態に切り替える方法では、各ローラでシートおよび多層フィルムを挟んだ状態で各ローラの回転が止められ、各ローラがシートの搬送の抵抗となる。これに対し、前述した構成では、圧接状態から離間状態への切り替えの開始後に、伝達状態から遮断状態に切り替えるため、各ローラがシートの搬送の抵抗となるのを抑えることができ、シートの搬送をスムーズに行うことができる。
また、前記規制切替手段は、前記供給リールに加わる負荷トルクと前記巻取リールに加わる駆動トルクとの関係を変更可能なトルク変更手段を備え、前記制御部は、前記負荷トルクを前記駆動トルクよりも大きくすることで、前記規制切替手段を前記規制状態にし、前記負荷トルクを前記駆動トルクよりも小さくすることで、前記規制切替手段を前記解除状態にしてもよい。
これによれば、負荷トルクを駆動トルクよりも大きくすることで多層フィルムの搬送を止めることができ、負荷トルクを駆動トルクよりも小さくすることでシートおよび多層フィルムの搬送をスムーズに行うことができる。
また、前記トルク変更手段は、前記供給リールに負荷トルクを付与する負荷付与手段を有し、前記制御部は、前記負荷付与手段から前記供給リールに負荷トルクを付与することで、前記負荷トルクを前記駆動トルクよりも大きくし、前記負荷付与手段から前記供給リールへの負荷トルクの付与を解除することで、前記負荷トルクを前記駆動トルクよりも小さくしてもよい。
また、前記制御部は、前記トナー領域が前記層転写位置を通過してから前記シートの後端が前記層転写位置に到達する前に、前記切替機構による前記圧接状態から前記離間状態への切り替えを開始し、前記圧接状態から前記離間状態への切り替えを開始してから前記離間状態になるまでの間に、前記負荷トルクを前記駆動トルクよりも大きくしてもよい。
例えば切替機構が離間状態になった後に負荷トルクを駆動トルクよりも大きくする場合と比べ、多層フィルムを止めるタイミングを早めることができるので、多層フィルムの無駄な搬送を抑制することができる。
また、前記制御部は、前記トナー領域から前記シートの後端までの距離が前記トナー領域から前記シートの先端までの距離よりも小さい場合には、前記加熱ローラと前記加圧ローラとで前記多層フィルムおよび前記シートを挟み始める前に、前記伝達切替機構を前記遮断状態から前記伝達状態に切り替え、前記加熱ローラと前記加圧ローラとで前記多層フィルムおよび前記シートを挟んだ後に、前記負荷トルクを前記駆動トルクよりも小さくしてもよい。
シートの搬送を止めないように、加熱ローラと加圧ローラとで多層フィルムおよびシートを挟み始める前から各ローラを駆動する場合において、加熱ローラと加圧ローラとで多層フィルムおよびシートを挟み始める前に負荷トルクを駆動トルクよりも小さくすると、各ローラで多層フィルムおよびシートを挟んだ瞬間から多層フィルムおよびシートが搬送されてしまい、その分多層フィルムが無駄になる。これに対し、前述した構成では、各ローラで多層フィルムおよびシートを挟んだ後に負荷トルクを駆動トルクよりも小さくするので、多層フィルムの無駄な搬送を抑制することができる。
また、前記層転写装置は、前記切替機構が前記離間状態であることを検知する状態検知センサを備え、前記制御部は、前記状態検知センサの出力変化に応じて前記負荷トルクを前記駆動トルクよりも小さくしてもよい。
また、前記制御部は、前記シートの後端が前記層転写位置を通過してから前記切替機構による前記圧接状態から前記離間状態への切り替えを開始し、前記切替機構が前記離間状態になる前に、前記負荷トルクを前記駆動トルクよりも大きくしてもよい。
例えば切替機構が離間状態になった後に負荷トルクを駆動トルクよりも大きくする場合には、ローラが多層フィルムから離れてから負荷トルクが大きくなるまでの間において、多層フィルムが無駄に搬送されてしまう。これに対し、前述した構成では、切替機構が離間状態になる前、例えばローラが多層フィルムから離れる前に、負荷トルクを駆動トルクよりも大きくするので、多層フィルムの無駄な搬送を抑制することができる。
また、前記規制切替手段は、前記切替機構を備え、前記制御部は、前記切替機構を前記離間状態とすることで、前記規制切替手段を前記規制状態にし、前記切替機構を前記圧接状態とすることで、前記規制切替手段を前記解除状態にし、搬送方向において所定長さのシートに前記転写層を転写する場合において、前記切替機構を前記圧接状態にしている時間である層搬送時間を、前記所定長さのシートのうちトナー像が形成可能な領域全体が前記層転写位置を通過するのにかかる時間以上の第1時間とする通常処理を実行可能な通常モードと、前記層搬送時間を、前記第1時間よりも短い第2時間とする節約転写処理を実行可能な層節約モードと、を実行可能であってもよい。
これによれば、層節約モードを実行することで、通常モードよりも多層フィルムの無駄な搬送を抑制することができる。
また、前記層転写装置は、前記通常モードと前記層節約モードを選択可能な操作部を備え、前記制御部は、前記操作部からの信号に基づいて前記通常モードまたは前記層節約モードを実行してもよい。
例えばトナー領域を解析する機能を層転写装置に持たせる場合に比べ、層転写装置を簡易に構成することができる。
また、前記制御部は、前記層節約モードとして、前記トナー領域から前記シートの先端までの距離が前記トナー領域から前記シートの後端までの距離よりも小さい場合に、少なくとも前記トナー領域が前記層転写位置を通過する間、前記切替機構を前記圧接状態にした後、前記シートの後端が前記層転写位置を通過する前から前記切替機構を前記離間状態に切り替える先端転写モードと、前記トナー領域から前記シートの後端までの距離が前記トナー領域から前記シートの先端までの距離よりも小さい場合に、前記シートの先端が前記層転写位置を通過してから前記切替機構を前記圧接状態に切り替え、少なくとも前記トナー領域が前記層転写位置を通過する間、前記切替機構を前記圧接状態にする後端転写モードと、を実行可能であってもよい。
これによれば、トナー領域の位置に応じて、多層フィルムの無駄な搬送を抑制することができる。
また、前記層転写装置は、前記シートの搬送方向において前記加熱ローラの上流側に配置される上流側搬送部材と、前記シートの搬送方向において前記上流側搬送部材の上流側に配置され、前記シートの搬送方向の長さを検知可能なシート検知センサと、を備え、前記制御部は、前記後端転写モードにおいて、前記シートの搬送方向の長さが前記所定長さ以上であると判断すると、前記シートの先端が前記層転写位置を通過してから前記切替機構を前記圧接状態に切り替え、前記後端転写モードにおいて、前記シートの搬送方向の長さが前記所定長さ未満であると判断すると、前記シートの後端が前記上流側搬送部材を通過する前のタイミングであって、かつ、前記所定長さ以上であると判断した場合よりも早いタイミングで、前記切替機構を前記圧接状態に切り替えてもよい。
これによれば、小サイズのシートが、上流側搬送部材で送り出された後、止まってしまうのを抑えることができるので、小サイズのシートをスムーズに搬送することができる。
また、前記層転写装置は、前記シートの搬送方向において前記加熱ローラの下流側に配置される下流側搬送部材と、前記シートの搬送方向において前記加熱ローラの上流側に配置され、前記シートの搬送方向の長さを検知可能なシート検知センサと、を備え、前記制御部は、前記先端転写モードにおいて、前記シートの搬送方向の長さが前記所定長さ以上であると判断すると、前記シートの後端が前記層転写位置を通過する前から前記切替機構を前記離間状態に切り替え、前記先端転写モードにおいて、前記シートの搬送方向の長さが前記所定長さ未満であると判断すると、前記シートの先端が前記下流側搬送部材に到達した後のタイミングであって、かつ、前記所定長さ以上であると判断した場合よりも遅いタイミングで、前記切替機構を前記離間状態に切り替えてもよい。
これによれば、小サイズのシートが層転写装置内に残るのを抑制することができる。
また、前記制御部は、前記節約転写処理において、トナー像を有する第1トナー領域と、トナー像が存在しない非トナー領域と、トナー像を有する第2トナー領域とが、この順で前記層転写位置を通過する場合には、少なくとも前記第1トナー領域が前記層転写位置を通過する間、前記切替機構を前記圧接状態にし、前記第1トナー領域が前記層転写位置を通過した後、前記切替機構を前記離間状態にし、少なくとも前記第2トナー領域が前記層転写位置を通過する間、前記切替機構を前記圧接状態にしてもよい。
これによれば、シートの先端と後端にトナー領域が離れて存在する場合であっても、多層フィルムの無駄な搬送を抑制しながら、層転写を良好に行うことができる。
また、前記層転写装置は、前記シートの搬送方向において前記加熱ローラの下流側に配置され、前記シートから離れる方向に前記多層フィルムを案内する剥離ローラを備え、前記制御部は、前記非トナー領域の前記搬送方向の長さをX、前記シートの搬送速度をV、前記圧接状態から前記離間状態を経て再び前記圧接状態に切り替えるための最短時間をt、前記層転写位置から前記剥離ローラまでの長さをLとして、
X > V・t + L
という実行可能条件を満たした場合に、前記節約転写処理を実行してもよい。
X > V・t + L
という実行可能条件を満たした場合に、前記節約転写処理を実行してもよい。
これによれば、第1トナー領域に転写した転写層から支持層をきれいに剥離させることができるとともに、第2トナー領域が層転写位置に到達する前に切替機構を圧接状態にして、第2トナー領域に対して良好に転写層を転写することができる。
また、前記制御部は、第1シートの次に第2シートを連続して搬送する場合には、前記非トナー領域の前記搬送方向の長さXを、前記第1シートの後端側の第1非トナー領域の搬送方向の長さX1と、前記第2シートの先端側の第2非トナー領域の搬送方向の長さX2と、前記第1シートと前記第2シートの間隔Y1とを足し合わせて算出してもよい。
これによれば、複数枚のシートに対して層転写を連続して行う場合にも、節約転写処理を良好に行うことができる。
また、前記制御部は、前記実行可能条件を満たさないと判断した場合には、前記シートを搬送する搬送機構を制御することで、前記第1シートと前記第2シートの間隔Y1を大きくする、または、前記シートの搬送速度Vを小さくする調整処理を実行してもよい。
これによれば、層転写を連続して行う場合において、節約転写処理を実行できる可能性を高めることができる。
また、前記制御部は、前記調整処理において、前記第2シートの搬送開始タイミングを、前記実行可能条件を満たさないと判断した場合よりも遅らせることで、前記第1シートと前記第2シートの間隔Y1を大きくしてもよい。
また、前記切替機構は、前記加熱ローラを移動させることで、前記圧接状態と前記離間状態とに切替可能であってもよい。
また、前記駆動源の駆動力は、前記加圧ローラに伝達されていてもよい。
例えば移動可能な加熱ローラに駆動源を繋げる構造に比べ、構造を簡易化することができる。
また、前記層転写装置は、前記巻取リールに駆動力を付与する駆動源と、制御部と、を備え、前記加熱部材および前記加圧部材は、前記多層フィルムと前記シートを挟んだ状態で回転することで前記多層フィルムと前記シートを搬送する2つのローラであり、前記制御部は、前記2つのローラの状態を前記離間状態から前記圧接状態に切り替える第1切替制御と、前記2つのローラの状態を前記圧接状態から前記離間状態に切り替える第2切替制御と、を実行可能であり、前記第1切替制御および前記第2切替制御のうち少なくとも一方を、前記駆動源の駆動力が前記巻取リールに伝達されているときに実行してもよい。
巻取リールに駆動力が伝達されていない状態では、多層フィルムにテンションがかかっていないため、この状態において、2つのローラの状態を切り替えると、ローラと巻取リール間で多層フィルムが弛むおそれがある。これに対し、巻取リールに駆動力が伝達されているときに2つのローラの状態を切り替えることで、テンションがかかった多層フィルムに対してローラが接触・離間するため、多層フィルムが弛んでしまうのを抑制することができる。
また、前記制御部は、前記駆動源の駆動力が前記巻取リールに伝達されているときに、前記第1切替制御を実行してもよい。
また、前記制御部は、前記駆動源の駆動力が前記巻取リールに伝達されているときに、前記第2切替制御を実行してもよい。
また、前記層転写装置は、前記供給リールに負荷トルクを付与する負荷付与手段と、前記駆動源から前記巻取リールに加わる駆動トルクを所定値以下に制限する制限手段と、を備え、前記制御部は、前記第1切替制御によって前記2つのローラの状態が前記圧接状態であり、かつ、前記負荷トルクが前記駆動トルクよりも小さいことを条件として、前記2つのローラを回転させてもよい。
これによれば、例えば負荷トルクが駆動トルクよりも大きい場合に各ローラを回転させる形態に比べ、供給リールとローラ間の多層フィルムにかかる張力が大きくなりすぎるのを抑制することができる。
また、前記層転写装置は、前記供給リールに負荷トルクを付与する負荷付与手段と、前記駆動源から前記巻取リールに加わる駆動トルクを所定値以下に制限する制限手段と、を備え、前記制御部は、前記2つのローラの状態が前記圧接状態であるとともに回転中であり、かつ、前記負荷トルクが前記駆動トルクよりも小さいことを条件として、前記2つのローラを停止させ、かつ、前記第2切替制御を実行してもよい。
これによれば、例えば負荷トルクが駆動トルクよりも大きい場合に回転中の各ローラを停止させる形態では、停止前の状況において、供給リールとローラ間の多層フィルムにかかる張力が大きくなりすぎてしまうが、前述した構成によれば、このような現象が生じるのを抑制することができる。
また、前記負荷付与手段は、前記供給リールの回転軸方向端部に設けられ、前記供給リールを回転可能に支持する部材との間で摩擦力を発生させることで前記供給リールに前記負荷トルクを付与する第1付与手段を備えていてもよい。
また、前記制限手段は、トルクリミッタであってもよい。
また、前記層転写装置は、前記駆動源から駆動力が付与されることで、前記シートを搬送する搬送手段と、前記負荷トルクまたは前記駆動トルクの大きさを変更する変更手段と、を備え、前記制御部は、前記負荷トルクが前記駆動トルク以上となるように前記変更手段を制御するトルク変更制御を実行可能であり、前記2つのローラの状態が前記離間状態である場合には、前記駆動源を駆動する前に、前記トルク変更制御を実行してもよい。
これによれば、2つのローラの状態が離間状態であるときに、駆動源を駆動してシートを搬送する場合において、駆動源を駆動する前にトルク変更制御を実行することで、駆動源の駆動を開始する際に、負荷トルクが駆動トルク以上となる。そのため、駆動源から駆動力が伝達される巻取リールが回転しないので、多層フィルムが巻取リールに無駄に巻き取られることを抑制することができる。
また、前記制御部は、前記トルク変更制御において、前記負荷トルクを前記駆動トルクよりも大きくしてもよい。
このように負荷トルクを駆動トルクよりも大きくすることで、巻取リールをより確実に止めておくことができるので、多層フィルムが巻取リールに無駄に巻き取られることをより確実に抑制することができる。
また、前記負荷付与手段は、前記駆動トルクよりも小さな第1負荷トルクを前記供給リールに付与する第1付与手段と、前記駆動トルクから前記第1負荷トルクを引いた値よりも大きな第2負荷トルクを前記供給リールに付与する第2付与手段と、を備え、前記変更手段は、前記第2付与手段と前記供給リールの接続状態を変更可能であり、前記制御部は、前記トルク変更制御において、前記変更手段を制御することで前記第2付与手段を前記供給リールに接続させてもよい。
これによれば、トルク変更制御において、第2付与手段を供給リールに接続させることで、供給リールにかかる負荷トルクが、第1負荷トルクと第2負荷トルクとを足した値となるので、負荷トルクを駆動トルクよりも大きくすることができる。
また、前記第2付与手段は、トルクリミッタであってもよい。
また、前記変更手段は、電磁クラッチであってもよい。
また、前記層転写装置は、前記ローラに前記駆動源からの駆動力を伝達させる伝達機構と、前記伝達機構の状態を、前記ローラに駆動力を伝達させる伝達状態と、前記ローラへの駆動力の伝達を遮断する遮断状態とに切替可能な伝達切替手段を備え、前記制御部は、前記変更手段を制御することで前記第2付与手段と前記供給リールとの接続を切った後に、前記伝達切替手段を制御して前記伝達機構の状態を前記遮断状態から前記伝達状態に切り替えてもよい。
また、前記巻取リールの周速は、前記ローラの周速よりも大きくてもよい。
これによれば、2つのローラでシートと多層フィルムを搬送する際において、ローラと巻取リール間で多層フィルムが弛むのを抑制することができる。
また、前記2つのローラのうち一方のローラは、前記多層フィルムおよび前記シートを加熱する加熱ローラであり、前記切替機構は、前記加熱ローラを前記多層フィルムから離すことで、前記2つのローラの状態を前記離間状態にしてもよい。
また、前記筐体本体は、前記フィルムカートリッジを着脱するための開口を有し、前記層転写装置は、前記筐体本体の前記開口を閉じる閉位置と前記開口を開放する開位置との間で移動可能なカバーと、ソレノイドであって、前記カバーを前記閉位置でロックするロック位置と、前記ロックを解除する非ロック位置との間で移動可能なプランジャと、前記プランジャを、内方位置と前記内方位置よりも外方に位置する外方位置との間で移動可能に支持するハウジングと、通電により磁力を発生するコイルと、前記内方位置に位置する前記プランジャを、前記外方位置へ向かうのを規制する磁力で保持する永久磁石と、を有するソレノイドと、前記外方位置に位置する前記プランジャを、前記内方位置へ向かうのを規制する保持力で保持する保持部材と、を備え、前記プランジャは、前記外方位置において前記コイルに第1電流が流れた場合に、前記コイルの第1磁力によって前記保持部材の保持力に抗して前記内方位置に向けて移動し、前記内方位置において前記コイルに前記第1電流とは逆向きの第2電流が流れた場合に、前記コイルの前記第1磁力とは逆向きの第2磁力によって前記永久磁石の磁力に抗して前記外方位置に向けて移動可能となっていてもよい。
この構成によれば、コイルに通電し続けなくても、プランジャの位置をロック位置または非ロック位置に保持することができるので、例えば、プランジャをロック位置から非ロック位置に切り替えた後に電源がOFFにされた場合であっても、永久磁石または保持部材によってプランジャを非ロック位置に保持することができる。そのため、プランジャ(可動部材)が非ロック位置に位置する状態で、電源がOFFされたとしても、ユーザがカバーを開けることができる。
また、前記保持部材は、前記プランジャを前記外方位置に向けて付勢するバネと、前記バネの付勢力による前記プランジャの移動を規制する規制部と、を備え、前記プランジャは、前記外方位置において前記コイルに第1電流が流れた場合に、前記コイルの前記第1磁力によって前記バネの付勢力に抗して前記内方位置に向けて移動し、前記内方位置に到達した後、前記永久磁石によって前記内方位置に保持され、前記内方位置において前記コイルに前記第2電流が流れた場合に、前記コイルの前記第2磁力によって前記永久磁石の磁力が打ち消されることで、前記バネによって前記外方位置に向けて移動し、前記外方位置に到達した後、前記バネと前記規制部とによって前記外方位置に保持されるように構成されていてもよい。
また、前記プランジャは、前記内方位置において前記ロック位置に位置し、前記外方位置において前記非ロック位置に位置していてもよい。
また、前記プランジャの移動に連動して移動するスライド部材を備え、前記カバーは、前記閉位置に位置する状態において、前記筐体本体に係合可能な係合位置と、前記筐体本体から外れる非係合位置とに移動可能なロックレバーを備え、前記スライド部材は、前記プランジャが前記ロック位置に位置するときに、前記ロックレバーの前記係合位置から前記非係合位置に向かう移動を規制し、前記プランジャが前記非ロック位置に位置するときに、前記ロックレバーの前記係合位置から前記非係合位置に向かう移動を許容するように構成されていてもよい。
また、前記層転写装置は、前記プランジャと前記スライド部材とに連結される、回動可能な第1回動部材を備え、前記第1回動部材の回動軸から前記第1回動部材と前記プランジャの連結部分までの距離は、前記回動軸から前記第1回動部材と前記スライド部材の連結部分までの距離よりも小さくてもよい。
これによれば、プランジャのストローク量が小さくてもスライド部材のストローク量を大きくすることができるので、ロックレバーの移動の規制・解除をより良好に行うことができる。
また、前記層転写装置は、第1位置と第2位置との間で回動可能な第2回動部材を備え、前記第2回動部材は、前記ロックレバーが前記係合位置から前記非係合位置に向けて移動する際に、前記ロックレバーと係合して、前記第1位置から前記第2位置へ移動可能であり、前記スライド部材は、前記プランジャが前記ロック位置に位置するときに、前記第2回動部材と接触することで、前記第2回動部材の前記第1位置から前記第2位置に向かう移動を規制し、前記プランジャが前記非ロック位置に位置するときに、前記第2回動部材から離れることで、前記第2回動部材の前記第1位置から前記第2位置に向かう移動を許容するように構成されていてもよい。
これによれば、ロックレバーの動作に連動する第2回動部材を、ロックレバーとスライド部材との間に介在させるので、ロックレバーを大型化することなく、ロックレバーの移動を第2回動部材およびスライド部材で良好に規制することができる。
また、前記層転写装置は、前記ロックレバーが前記係合位置に位置することを検知する第1センサと、制御部と、を備え、前記制御部は、前記プランジャを前記ロック位置から前記非ロック位置に移動させることを決定した場合には、前記第1センサからの信号に基づいて前記ロックレバーが前記係合位置に位置すると判断した場合に限り、前記コイルに前記第2電流を流す指令を出力するように構成されていてもよい。
プランジャをロック位置から非ロック位置へ移動させる際に、ユーザがロックレバーを係合位置から非係合位置に動かそうとした場合には、ユーザの力がロックレバーを介してスライド部材に伝わり、バネの付勢力を使ってスライド部材を動かせない場合がある。これに対し、前述した構成では、ロックレバーが係合位置に位置する場合に限って、第2電流をコイルに流すため、バネによってスライド部材を確実に動かすことができる。
また、前記制御部は、前記プランジャを前記ロック位置から前記非ロック位置に移動させることを決定した場合において、前記第1センサからの信号に基づいて前記ロックレバーが前記係合位置に位置していないと判断した場合には、エラーを報知するように構成されていてもよい。
これによれば、スライド部材がバネの付勢力で動かせない場合には、エラーを報知するので、ユーザにカバーのロック解除ができないことを気づかせることができる。
また、前記層転写装置は、前記プランジャの位置を検知する第2センサと、制御部と、を備え、前記制御部は、前記コイルに前記第1電流を流す指令を出力したにも関わらず、前記第2センサからの信号に基づいて、前記プランジャが前記ロック位置に位置していないと判断した場合には、エラーを報知するように構成されていてもよい。
これによれば、カバーをロックすべき場合(第1電流を流す指令を出力した場合)なのに、回路の故障などによってカバーをロックできない場合には、第2センサで検知してエラーを報知するので、カバーをロックすべき場合においてユーザが誤ってカバーを開けてしまうのを抑制することができる。
また、前記層転写装置は、前記筐体本体内の温度を検知する温度センサと、制御部と、を備え、前記制御部は、前記コイルに通電することで、前記プランジャを前記非ロック位置から前記ロック位置へ移動させる第1通電処理と、前記コイルに前記第1通電処理とは異なる処理で通電することで、前記プランジャを前記ロック位置から前記非ロック位置へ移動させる第2通電処理と、を実行可能であり、前記温度が第1温度以上である場合に、前記第1通電処理を実行し、前記温度が第2温度未満である場合に、前記第2通電処理を実行してもよい。
これによれば、温度が第1温度以上である場合には、カバーがロックされるので、ユーザが筐体本体内の高温の部材に触れてしまうのを抑制することができる。
また、前記層転写装置は、前記転写層をシート上のトナー像に転写する層転写処理を実行可能な制御部を備え、前記制御部は、前記層転写処理を開始する場合には、前記筐体本体内の温度に関係なく、前記コイルに通電して、前記プランジャを前記非ロック位置から前記ロック位置へ移動させるように構成されていてもよい。
これによれば、層転写処理を開始するときには、筐体本体内の温度に関わらず、カバーがロックされるので、例えば層転写処理中にカバーが開けられることによって、ユーザが誤って回転中の部材に触れてしまうのを抑制することができる。
また、前記筐体本体は、前記フィルムカートリッジを着脱するための開口を有し、前記層転写装置は、前記筐体本体の前記開口を閉じる閉位置と前記開口を開放する開位置との間で移動可能なカバーと、前記カバーを前記閉位置でロックするロック位置と、前記ロックを解除する非ロック位置との間で移動可能なラックギヤと、前記ラックギヤと噛み合う切替ギヤと、通電により、前記切替ギヤを所定の方向に回転させる第1駆動力と前記切替ギヤを前記所定の方向とは逆向きに回転させる第2駆動力を発生するステッピングモータと、を備え、前記ラックギヤは、前記非ロック位置において前記ステッピングモータが前記第1駆動力を発生した場合に、前記ロック位置に向けて移動し、前記ロック位置において前記ステッピングモータが前記第2駆動力を発生した場合に、前記非ロック位置に向けて移動してもよい。
この構成によれば、ステッピングモータに通電し続けなくても、ラックギヤの位置をロック位置または非ロック位置に保持することができるので、例えば、ラックギヤをロック位置から非ロック位置に切り替えた後に電源がOFFにされた場合であっても、ラックギヤを非ロック位置に保持することができる。そのため、ラックギヤ(可動部材)が非ロック位置に位置する状態で、電源がOFFされたとしても、ユーザがカバーを開けることができる。
また、前記筐体本体は、前記フィルムカートリッジが前記供給リールの回転軸に直交する方向に着脱可能であり、前記フィルムカートリッジを着脱するための開口を有し、前記層転写装置は、前記開口を開放する開位置と、前記開口を閉じる閉位置との間で移動可能なカバーと、前記加熱部材を覆う保護位置と、前記保護位置から退避した退避位置との間で移動可能なシャッタと、を備え、前記加熱部材は、前記筐体本体に設けられ、前記加圧部材は、前記カバーに設けられ、前記シャッタは、前記カバーが前記開位置に位置するときに前記保護位置に位置していてもよい。
この構成によれば、カバーが開位置に位置するときにシャッタが保護位置に位置するので、フィルムカートリッジの交換時などにおいてユーザが加熱部材に触れるのを抑えることができる。
また、前記シャッタは、前記切替機構が前記離間状態から前記圧接状態に切り替わる動作に連動して、前記保護位置から前記退避位置に移動し、前記切替機構が前記圧接状態から前記離間状態に切り替わる動作に連動して、前記退避位置から前記保護位置に移動するように構成されていてもよい。
これによれば、切替機構とシャッタの駆動源を同一の駆動源とすることができる。
また、前記層転写装置は、前記多層フィルムを前記シートの搬送方向に沿って案内する2つの案内軸を備えていてもよい。2つの案内軸は、前記供給リールの回転軸に沿った軸方向と前記フィルムカートリッジの着脱方向とに交差する前記搬送方向において前記加熱部材の上流側と下流側に配置され、前記シャッタは、前記2つの案内軸間の多層フィルムと間隔を開けた位置において、当該多層フィルムに沿って移動してもよい。
これによれば、シャッタが多層フィルムと干渉するのを抑えることができる。
また、前記フィルムカートリッジは、前記退避位置に位置する前記シャッタが入る凹部を有していてもよい。
これによれば、シャッタが保護位置から退避位置に移動する際に、シャッタが凹部に入ることでフィルムカートリッジに干渉しないので、シャッタをスムーズに動かすことができる。
また、前記層転写装置は、前記加熱部材を回転可能に支持するベアリングを備え、前記シャッタは、前記ベアリングに接触することで、前記軸方向に位置決めされてもよい。
これによれば、ベアリングをシャッタの軸方向の位置決めに利用することができる。
また、前記シャッタは、前記軸方向に長い矩形状であり、前記軸方向の両端部にそれぞれ切欠きを有し、2つの前記切欠きの間の第1部位で、前記加熱部材を覆うとともに、前記切欠きを挟んで前記第1部位とは反対側に位置する第2部位で、前記切替機構から力を受けることで前記切替機構と連動するように構成されていてもよい。
これによれば、切替機構から第2部位に加わる力が第1部位に伝わるのを切欠きによって抑えることができるので、第1部位が変形するのを抑えることができる。
また、前記シャッタが前記保護位置に位置するときに、前記ベアリングが前記切欠きの中に入っていてもよい。
これによれば、切替機構からの力を受ける第2部位を、ベアリングよりも外側に配置することができる。
また、前記シャッタは、第1シャッタと、第2シャッタと、を備え、前記第1シャッタおよび前記第2シャッタは、前記搬送方向に沿って互いに近づく方向と、離れる方向とに移動可能であってもよい。
これによれば、1つのシャッタを保護位置と退避位置との間で移動させる構造に比べ、第1シャッタおよび第2シャッタのそれぞれのストロークを小さくすることができる。
また、前記搬送方向は、水平面に対して傾斜した方向であり、前記第1シャッタは、前記第2シャッタよりも上に位置し、かつ、前記第1シャッタおよび前記第2シャッタが前記保護位置に位置するときに前記第1シャッタの移動方向において前記第2シャッタと間隔を開けて配置され、前記第2シャッタは、前記第1シャッタよりも前記開口の近くに位置し、水平方向に投影したときに前記第1シャッタに重なっていてもよい。
これによれば、第1シャッタおよび第2シャッタの移動方向の長さおよびストロークを小さくしつつ、カバーを開いてユーザが水平方向から筐体本体の内部を覗いたときに第1シャッタと第2シャッタの隙間から加熱部材を視認できなくすることができる。
また、前記層転写装置は、前記加圧部材を覆う被覆位置と、前記被覆位置から退避した開放位置との間で移動可能な加圧側シャッタを備え、前記加圧側シャッタは、前記カバーが開く動作に連動して前記開放位置から前記被覆位置に移動し、前記カバーが閉まる動作に連動して前記被覆位置から前記開放位置に移動するように構成されていてもよい。
これによれば、フィルムカートリッジの交換時などにおいて、ユーザが加熱された加圧部材に触れるのを抑えることができる。
本発明の第1実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明においては、まず、層転写装置の全体構成を簡単に説明した後、本願発明の特徴部分の構成について説明する。
以下の説明において、方向は、図1に示す方向で説明する。すなわち、図1の右側を「前」とし、図1の左側を「後」とし、図1の紙面手前側を「左」とし、図1の紙面奥側を「右」とする。また、図1の上下を「上下」とする。
以下の説明において、方向は、図1に示す方向で説明する。すなわち、図1の右側を「前」とし、図1の左側を「後」とし、図1の紙面手前側を「左」とし、図1の紙面奥側を「右」とする。また、図1の上下を「上下」とする。
図1(a)に示すように、層転写装置1は、例えばレーザプリンタ等の画像形成装置でシートSにトナー像を形成した後、シートSのトナー像の上にアルミニウム等の箔を転写するための装置である。つまり、層転写装置1は、シートSのトナー像の上に箔を転写することで、シートSに箔の画像を形成している。層転写装置1は、筐体2と、シートトレイ3と、搬送機構の一例としてのシート搬送部10と、フィルム供給部30と、転写部50とを備えている。
筐体2は、樹脂などからなり、筐体本体21と、カバー22とを備えている。筐体本体21は、上部に開口21A(図2参照)を有している。開口21Aは、筐体本体21に後述するフィルムユニットFUを着脱するための開口である。カバー22は、開口21Aを開閉するための部材である。カバー22の後端部は、筐体本体21に回動可能に支持されている。カバー22は、開口21Aを閉じる閉位置(図1(a)の位置)と、開口21Aを開放する開位置(図2の位置)との間で回動可能となっている。
シートトレイ3は、用紙、OHPフィルム等のシートSが載置されるトレイである。シートトレイ3は、筐体2の後部に設けられている。なお、シートSは、トナー像が形成された面を下向きにしてシートトレイ3上に載置される。
シート搬送部10は、シート供給機構11と、シート排出機構12とを備えている。シート供給機構11は、シートトレイ3上のシートSを一枚ずつ転写部50に向けて搬送する機構である。シート供給機構11は、ピックアップローラ11Aと、リタードローラ11Bと、上流側搬送部材の一例としての上流側搬送ローラ11Cとを備えている。
ピックアップローラ11Aは、シートトレイ3上のシートSを転写部50に向けて供給するためのローラである。リタードローラ11Bは、ピックアップローラ11Aによって搬送されるシートSを1枚に分離するためのローラである。
リタードローラ11Bは、ピックアップローラ11Aの上に配置されている。リタードローラ11Bは、ピックアップローラ11Aで送り出されるシートSの上に重なっているシートSをシートトレイ3に向けて戻す方向に回転可能となっている。
上流側搬送ローラ11Cは、2つのローラからなり、これらのローラの間でシートSを挟んだ状態で各ローラが回転することで、シートSを搬送可能となっている。上流側搬送ローラ11Cは、ピックアップローラ11Aと転写部50との間に配置され、ピックアップローラ11Aで送り出されるシートSを転写部50に搬送する。
シート排出機構12は、転写部50を通過したシートSを筐体2の外部に排出する機構である。シート排出機構12は、下流側搬送部材の一例としての下流側搬送ローラ12Aと、排出ローラ12Bとを備えている。
下流側搬送ローラ12Aおよび排出ローラ12Bは、それぞれ、2つのローラからなり、これらのローラの間でシートSを挟んだ状態で各ローラが回転することで、シートSを搬送可能となっている。下流側搬送ローラ12Aは、転写部50と排出ローラ12Bとの間に配置され、転写部50から送り出されるシートSを排出ローラ12Bに搬送する。排出ローラ12Bは、シートSの搬送方向において下流側搬送ローラ12Aの下流側に配置され、下流側搬送ローラ12Aで送り出されるシートSを筐体2の外に排出する。
フィルム供給部30は、シート供給機構11から搬送されたシートSに重ねるように多層フィルムFを供給する部分である。フィルム供給部30は、フィルムユニットFUと、駆動源の一例としてのメインモータ80を備えている。
フィルムユニットFUは、図2に示すように、後述する供給リール31の軸方向に直交する方向において、開口21Aを通過して筐体本体21に着脱可能となっている。フィルムユニットFUは、供給リール31と、巻取リール35と、第1案内軸41と、第2案内軸42と、第3案内軸43とを備えている。フィルムユニットFUの供給リール31には、多層フィルムFが巻回されている。
図1(b)に示すように、多層フィルムFは、複数の層からなるフィルムである。詳しくは、多層フィルムFは、支持層F1と、被支持層F2とを有する。支持層F1は、高分子材料からなるテープ状の透明な基材であり、被支持層F2を支持している。被支持層F2は、例えば、剥離層F21と、転写層F22と、接着層F23とを有する。剥離層F21は、支持層F1から転写層F22を剥離しやすくするための層であり、支持層F1と転写層F22との間に配置されている。剥離層F21は、支持層F1から剥離しやすい透明な材料、例えばワックス系樹脂を含んでいる。
転写層F22は、トナー像に転写される層であり、箔を含んでいる。箔とは、金、銀、銅、アルミニウム等の金属であって薄く延された金属である。また、転写層F22は、金色、銀色、赤色などの着色材料と、熱可塑性樹脂とを含む。転写層F22は、剥離層F21と接着層F23との間に配置されている。
接着層F23は、転写層F22をトナー像に接着しやすくするための層である。接着層F23は、後述する転写部50によって加熱されたトナー像に付着しやすい材料、例えば塩化ビニル系樹脂やアクリル系樹脂を含んでいる。
供給リール31は、樹脂などからなり、多層フィルムFが巻回される供給軸部31Aを有している。供給軸部31Aには、多層フィルムFの一端が固定されている。
巻取リール35は、樹脂などからなり、多層フィルムFを巻き取るための巻取軸部35Aを有している。巻取軸部35Aには、多層フィルムFの他端が固定されている。
なお、図1等においては、便宜上、供給リール31および巻取リール35の両方に多層フィルムFが最大に巻回された状態を図示することとする。実際には、フィルムユニットFUが新品の状態においては、供給リール31に巻回されたロール状の多層フィルムFの径は最大となっており、巻取リール35には多層フィルムFが巻回されていない、もしくは、巻取リール35に巻回されたロール状の多層フィルムFの径は最小となっている。また、フィルムユニットFUの寿命時(多層フィルムFを使い切ったとき)においては、巻取リール35に巻回されたロール状の多層フィルムFの径は最大となり、供給リール31には多層フィルムFが巻回されていない、もしくは、供給リール31に巻回されたロール状の多層フィルムFの径は最小となる。
第1案内軸41は、供給リール31から引き出される多層フィルムFの進行方向を変更するための軸である。第1案内軸41は、樹脂などからなっている。
第2案内軸42は、第1案内軸41で案内された多層フィルムFの進行方向を変更するための軸である。第2案内軸42は、樹脂などからなっている。
第3案内軸43は、第2案内軸42で案内された多層フィルムFの進行方向を変更して巻取リール35に案内する軸である。第3案内軸43は、樹脂などからなっている。
第1案内軸41は、トナー像を下にした状態で搬送されるシートSに対して、供給リール31から引き出された多層フィルムFを下から重ねるように案内している。第1案内軸41は、供給リール31から引き出された多層フィルムFの搬送方向を変えて、シートSの搬送方向と略平行に多層フィルムFを案内する。
第2案内軸42は、転写部50を通過した多層フィルムFと接触し、転写部50を通過した多層フィルムFの搬送方向をシートSの搬送方向とは異なる方向に変更することで、多層フィルムFをシートSから離れる方向に案内する剥離ローラである。転写部50を通過してシートSと重なった状態で搬送された多層フィルムFは、第2案内軸42を通過する際にシートSとは異なる方向に案内され、シートSから剥離される。
転写部50は、シートSと多層フィルムFを重ねた状態で加熱および加圧することで、シートSに形成されたトナー像の上に転写層F22を転写するための部分である。転写部50は、加圧部材の一例としての加圧ローラ51と、加熱部材の一例としての加熱ローラ61と、切替機構70とを備えている。転写部50は、加圧ローラ51と加熱ローラ61のニップ部において、シートSと多層フィルムFを重ねて加熱および加圧する。
加圧ローラ51は、円筒状の芯金の周囲をシリコンゴムからなるゴム層で被覆したローラである。加圧ローラ51は、多層フィルムFの上側に配置され、シートSの裏面(トナー像が形成された面と反対側の面)と接触可能となっている。
加圧ローラ51は、両端部がカバー22に回転可能に支持されている。加圧ローラ51は、加熱ローラ61との間でシートSおよび多層フィルムFを挟み、メインモータ80によって回転駆動されることで加熱ローラ61を従動回転させる。このように加圧ローラ51と加熱ローラ61との間でシートSおよび多層フィルムFを挟んだ状態で、加圧ローラ51および加熱ローラ61が回転することで、シートSおよび多層フィルムFが搬送される。
加熱ローラ61は、円筒状に形成された金属管の内部にヒータを配置したローラであり、多層フィルムFおよびシートSを加熱している。加熱ローラ61は、多層フィルムFの下側に配置され、多層フィルムFと接触している。
切替機構70は、加圧ローラ51および加熱ローラ61の状態を、加圧ローラ51と加熱ローラ61で多層フィルムFを挟んだ圧接状態と、少なくとも1つのローラが多層フィルムFから離れた離間状態とに切り替えるための機構である。本実施形態では、切替機構70は、加熱ローラ61を、図6に実線で示す圧接位置と、図6に仮想線で示す離間位置との間で移動させることで、加熱ローラ61を多層フィルムFに対して接触・離間させている。つまり、切替機構70は、加熱ローラ61を多層フィルムFから離すことで、加圧ローラ51および加熱ローラ61の状態を、離間状態にする。また、切替機構70は、加熱ローラ61を多層フィルムFに圧接させることで、加圧ローラ51および加熱ローラ61の状態を、圧接状態にする。
このように構成された層転写装置1では、シートSの表面を下向きにしてシートトレイ3に載置されたシートSが、シート供給機構11により一枚ずつ転写部50に向けて搬送される。シートSは、転写部50のシート搬送方向における上流側で、供給リール31から供給された多層フィルムFと重ねられ、シートSのトナー像と多層フィルムFが接触した状態で転写部50に搬送される。
転写部50においては、シートSと多層フィルムFが加圧ローラ51と加熱ローラ61の間のニップ部を通過する際に、加熱ローラ61と加圧ローラ51により加熱および加圧され、トナー像の上に転写層F22が転写される。なお、以下の説明では、トナー像への転写層F22の転写を、単に「層転写」とも称する。
層転写が行われた後、シートSと多層フィルムFは密着した状態で第2案内軸42まで搬送される。シートSと多層フィルムFが第2案内軸42を通過すると、多層フィルムFの搬送方向がシートSの搬送方向と異なる方向に変わるため、シートSから多層フィルムFが剥離される。
シートSから剥離された多層フィルムFは、巻取リール35に巻き取られていく。一方、多層フィルムFが剥離されたシートSは、シート排出機構12によって、箔が転写された表面を下に向けた状態で、筐体2の外部に排出される。
図3に示すように、フィルムユニットFUは、樹脂などからなるホルダ100と、ホルダ100に着脱可能なフィルムカートリッジ200とを備えている。フィルムカートリッジ200は、前述した多層フィルムFが巻回された供給リール31および巻取リール35と、供給ケース32とを備えている。
供給リール31(詳しくは、供給ケース32)および巻取リール35は、ホルダ100に対して、供給リール31の軸方向に直交する方向に着脱可能となっている。そして、フィルムカートリッジ200は、ホルダ100に取り付けられた状態において、筐体本体21に着脱可能となっている。
供給ケース32は、供給リール31を収容する中空のケースである。供給ケース32は、樹脂などからなり、略円筒状の外周壁32Aと、外周壁32Aの両端に設けられる略円板状の2つの側壁32Bとを有する。供給リール31は、供給ケース32の各側壁32Bに回転可能に支持されている。
ホルダ100は、ベースフレーム110と、ベースフレーム110に回動可能(移動可能)に支持される規制フレーム120とを有している。ベースフレーム110は、第1保持部111と、第2保持部112と、2つの連結部113と、2つの取手114とを有している。
第1保持部111は、供給ケース32を保持する部位である。第1保持部111は、供給ケース32を介して供給リール31を保持している。第1保持部111は、断面視略円弧状の外周壁111Aと、2つの側壁111Bとを有する。
外周壁111Aは、供給ケース32の外周面に沿って配置されている。各側壁111Bは、供給リール31の軸方向において、外周壁111Aの各端部に配置されている。
各側壁111Bは、供給ケース32の着脱時に供給ケース32をガイドする着脱ガイドGを有している。2つのうち一方の側壁111Bには、ギヤ機構130が設けられている。ギヤ機構130は、筐体本体21に設けられる供給側トルクリミッタTL2(図6参照)の負荷を供給リール31に付与するための機構である。なお、ギヤ機構130の構造については、後で説明する。
第2保持部112は、巻取リール35を保持する部位である。詳しくは、第2保持部112は、規制フレーム120とともに、中空のケースを構成しており、中空のケース内に巻取リール35を収容している。
2つの連結部113は、第1保持部111と第2保持部112とを連結する部位である。詳しくは、各連結部113は、供給リール31の軸方向に間隔を開けて配置されている。
このように連結部113が形成されることで、ホルダ100は、供給リール31の軸方向に直交する直交方向に貫通する貫通穴100Aを有している。各取手114は、各連結部113の上に配置されている。各取手114は、ホルダ100のうち巻取リール35の軸方向両端にそれぞれ配置されている。
供給リール31は、軸方向の一端に供給ギヤ31Gを有している。供給ギヤ31Gは、供給ケース32に形成された切欠から外部に露出している。供給ギヤ31Gは、フィルムカートリッジ200がホルダ100に取り付けられた状態において、前述したギヤ機構130と噛み合うように構成されている。
巻取リール35は、前述した巻取軸部35Aと、2つのフランジ35Bと、巻取ギヤ35Cとを有している。フランジ35Bは、巻取軸部35Aに巻回される多層フィルムFの幅方向の移動を規制するための部位である。フランジ35Bは、巻取軸部35Aよりも大径の円板状に形成されており、巻取軸部35Aの両端部に設けられている。
巻取ギヤ35Cは、層転写装置1に設けられるメインモータ80から駆動力を受け、駆動力を巻取軸部35Aに伝達するためのギヤである。巻取ギヤ35Cは、軸方向において、フランジ35Bの外側に配置されている。巻取ギヤ35Cは、巻取軸部35Aと同軸に配置されている。
図4に示すように、供給リール31に負荷を付与するためのギヤ機構130は、フレームギヤ131と、ギヤ列132とを備えている。フレームギヤ131は、筐体本体21に設けられる筐体ギヤ21Gと噛み合うギヤである。フレームギヤ131は、筐体ギヤ21Gを介して後述する供給側トルクリミッタTL2などに連結されている。
ギヤ列132は、フレームギヤ131と供給ギヤ31Gを連結するギヤ列である。ギヤ列132は、第1ギヤ133と、第2ギヤ134とを備えている。第1ギヤ133は、フレームギヤ131に噛み合っている。第2ギヤ134は、2段ギヤであり、大径ギヤ部134Aと、小径ギヤ部134Bとを有する。
大径ギヤ部134Aは、小径ギヤ部134Bよりも大径のギヤである。大径ギヤ部134Aは、第1ギヤ133に噛み合っている。小径ギヤ部134Bは、供給ギヤ31Gに噛み合っている。
図5に示すように、供給リール31の軸方向の他端には、第1負荷付与機構310が設けられている。第1負荷付与機構310は、供給リール31を回転可能に支持する供給ケース32との間で摩擦力を発生させることで供給リール31に第1負荷トルクLT1を付与する機構である。
第1負荷付与機構310は、供給リール31に固定される固定部材311と、固定部材311に対して軸方向に移動可能な可動部材312と、固定部材311と可動部材312との間に配置されるコイルバネ313と、供給ケース32に固定される摩擦パッド314とを備えている。
固定部材311は、円筒状に形成された供給軸部31Aに嵌合されることで、供給軸部31Aに固定されている。可動部材312は、固定部材311によって軸方向に移動可能に支持されている。
そして、可動部材312は、コイルバネ313によって摩擦パッド314に付勢されている。これにより、供給リール31が回転すると、可動部材312と摩擦パッド314との間で摩擦力が生じるので、第1負荷付与機構310によって供給リール31に第1負荷トルクLT1が付与される。
図6に示すように、メインモータ80は、前述したように巻取リール35および加圧ローラ51に駆動力を付与する他、シート搬送部10にも駆動力を付与している。ここで、図6においては、便宜上、層転写装置1の構成を簡略化して図示している。
層転写装置1は、メインモータ80の駆動力を巻取リール35に伝達するための構成として、巻取側トルクリミッタTL1と、ギヤG1とを主に備えている。巻取側トルクリミッタTL1は、メインモータ80から巻取リール35に加わる駆動トルクDTを所定値以下に制限する機能を有している。
巻取側トルクリミッタTL1は、図示せぬギヤを介してメインモータ80に連結されている。また、巻取側トルクリミッタTL1は、ギヤG1を介して巻取ギヤ35Cに連結されている。
層転写装置1は、メインモータ80の駆動力をシート搬送部10に伝達するための構成として、ピックアップクラッチC1と、ギヤG2とを主に備えている。ピックアップクラッチC1は、メインモータ80からピックアップローラ11Aへの駆動力の伝達を切り替えるための電磁クラッチである。
ピックアップクラッチC1は、図示せぬギヤを介してメインモータ80に連結されている。また、ピックアップクラッチC1は、ギヤG2を介してピックアップローラ11Aに連結されている。なお、シート搬送部10を構成する各ローラのうち、ピックアップローラ11A以外のローラは、図示せぬギヤを介してメインモータ80に連結されている。
層転写装置1は、メインモータ80の駆動力を加圧ローラ51に伝達するための構成として、伝達機構TMと、伝達切替機構の一例としてのローラクラッチC5とを主に備えている。伝達機構TMは、メインモータ80からの駆動力を加圧ローラ51に伝達させる機構である。伝達機構TMは、ローラクラッチC5から加圧ローラ51へ駆動力を伝達するためのギヤG3と、メインモータ80からローラクラッチC5へ駆動力を伝達するための図示せぬギヤとを備えている。
ローラクラッチC5は、伝達機構TMの状態を、加圧ローラ51に駆動力を伝達させる伝達状態と、加圧ローラ51への駆動力の伝達を遮断する遮断状態とに切替可能な電磁クラッチである。
層転写装置1は、供給側トルクリミッタTL2と、リールクラッチC2と、接離モータ90と、操作部の一例としてのタッチパネルTPと、制御部300とをさらに備えている。
供給側トルクリミッタTL2は、第2負荷トルクLT2を供給リール31に付与するための部材である。ここで、第2負荷トルクLT2は、巻取リール35に加わる駆動トルクDTから前述した第1負荷トルクLT1を引いた値よりも大きな値に設定されている。また、前述した第1負荷トルクLT1は、巻取リール35に加わる駆動トルクDTよりも小さな値に設定されている。本実施形態において、負荷付与手段は、供給側トルクリミッタTL2で構成されている。そして、この負荷付与手段と、リールクラッチC2とによって、供給リール31に加わる負荷トルクLTと巻取リール35に加わる駆動トルクDTとの関係を変更可能なトルク変更手段が構成されている。
供給側トルクリミッタTL2は、リールクラッチC2に連結されている。リールクラッチC2は、供給側トルクリミッタTL2と供給リール31の接続状態を変更可能とする電磁クラッチである。リールクラッチC2が供給側トルクリミッタTL2と供給リール31の接続状態を変更することで、供給リール31に付与される負荷トルクLTの大きさが変更されるようになっている。詳しくは、供給側トルクリミッタTL2と供給リール31との接続が切れた状態においては、供給リール31に付与される負荷トルクLTは、第1負荷トルクLT1となり、駆動トルクDTよりも小さな値となる。また、供給側トルクリミッタTL2と供給リール31とが接続された状態においては、供給リール31に付与される負荷トルクLTは、第1負荷トルクLT1に第2負荷トルクLT2を加えた値となり、駆動トルクDTよりも大きな値となる。
リールクラッチC2は、筐体ギヤ21Gと前述したギヤ機構130(図示略)を介して供給ギヤ31Gに連結されている。また、筐体ギヤ21Gは、検知ギヤG4と噛み合っている。検知ギヤG4は、複数のスリットが形成された回転板を有するギヤである。回転板の各スリットは、図示せぬロータリエンコーダによって検出されることで、供給リール31の回転速度を検出することが可能となっている。
接離モータ90は、切替機構70を駆動して、加圧ローラ51および加熱ローラ61の状態を、圧接状態と離間状態とに切り替えるためのモータである。また、切替機構70の近傍には、切替機構70が離間状態であることを検知する、状態検知センサの一例としての離間センサSAが設けられている。ここで、離間センサSAとしては、例えば光センサなどを用いることができる。
また、ピックアップローラ11Aと上流側搬送ローラ11Cとの間には、転写部50に向けて搬送されるシートSの通過を検知する、シート検知センサの一例としての第1シートセンサSS1が設けられている。さらに、下流側搬送ローラ12Aと排出ローラ12Bとの間には、転写部50から送り出されるシートSの通過を検知する第2シートセンサSS2が設けられている。
ここで、第1シートセンサSS1および第2シートセンサSS2としては、例えば、シートSが接触することで回動するレバーと、レバーの位置を検知する光センサとからなるセンサを用いることができる。このような構成とすることで、第1シートセンサSS1および第2シートセンサSS2のそれぞれにおいて、シートSの先端が通過したこと、シートSの後端が通過したことを検知することが可能となっている。
また、第1シートセンサSS1は、シートSと接触することで第1姿勢となり、シートSから外れることで第2姿勢となるため、シートSが第1シートセンサSS1を通過する間、第1シートセンサSS1は第1姿勢に保たれる。第1姿勢に保持されている時間は、シートSの搬送方向の長さに対応しているため、第1シートセンサSS1は、シートSの搬送方向の長さも検知可能となっている。
なお、加圧ローラ51と加熱ローラ61との間でシートSおよび多層フィルムFを搬送しているときに、各ローラ51,61と巻取リール35との間で多層フィルムFが弛まないように、巻取リール35、詳しくは巻取軸部35Aの周速は、加圧ローラ51の周速よりも大きくなるように設定されている。詳しくは、周速の関係が前述の関係となるように、メインモータ80の駆動力を加圧ローラ51に伝達する伝達機構TMと、メインモータ80の駆動力を巻取リール35に伝達する機構が構成されている。
なお、各ローラ51,61で多層フィルムFを挟んでいる状態では、巻取軸部35Aの回転は加圧ローラの周速に規制されるので、層転写中においては、巻取軸部35Aの実際の周速と加圧ローラ51の実際の周速は略同じである。そのため、前述した巻取軸部35Aの周速とは、仮に各ローラ51,61が離間状態で、かつ、負荷トルクLTが駆動トルクDTよりも小さい関係であるときの仮想の周速をいう。なお、実際の制御においては、巻取軸部35Aの周速がこのような仮想の周速になることはない。
本実施形態では、前述したトルク変更手段(供給側トルクリミッタTL2、第1負荷付与機構310およびリールクラッチC2)と、切替機構70と、伝達切替機構(ローラクラッチC5)とによって、規制切替手段が構成されている。規制切替手段は、供給リール31からの多層フィルムFの引き出しを規制する規制状態と、規制を解除する解除状態とに切替可能となっている。
詳しくは、規制切替手段は、切替機構70が離間状態である場合には、ローラクラッチC5の状態に関わらず、リールクラッチC2が接続されてLT>DTになると規制状態となり、リールクラッチC2が切断されてLT<DTになると解除状態となる。また、規制切替手段は、切替機構70が圧接状態であり、かつ、リールクラッチC2が切断されてLT<DTになる場合には、ローラクラッチC5が切断、つまり遮断状態となることで規制状態となり、ローラクラッチC5が接続、つまり伝達状態となることで解除状態となる。また、規制切替手段は、リールクラッチC2が接続されてLT>DTとなり、かつ、ローラクラッチC5が接続されている場合には、切替機構70が離間状態となることで規制状態となり、切替機構70が圧接状態となることで解除状態となる。
タッチパネルTPは、ユーザによって操作されるボタンなどを表示するパネルである。詳しくは、タッチパネルTPは、層転写の処理を全面転写モードで行うための第1ボタンB1と、層転写の処理を先端転写モードで行うための第2ボタンB2と、層転写の処理を後端転写モードで行うための第3ボタンB3とを、表示する。
ここで、全面転写モードとは、シートSの全体(詳しくは、画像形成が可能な領域の全体)にわたって形成されたトナー領域TA(図7(a)参照)に対して層転写を行うモードである。ここで、トナー領域TAは、文字や図形などのトナー像が形成される領域である。
先端転写モードとは、シートSの先端までの距離がシートSの後端までの距離よりも小さいトナー領域TAに対して転写層F22を転写するモードである。本実施形態では、先端転写モードにおいて、シートSの搬送方向の中央よりも先端側に形成されたトナー領域TAに対して転写層F22を転写することとする。
後端転写モードとは、シートSの後端までの距離がシートSの先端までの距離よりも小さいトナー領域TAに対して転写層F22を転写するモードである。本実施形態では、後端転写モードにおいて、シートSの搬送方向の中央よりも後端側に形成されたトナー領域TAに対して転写層F22を転写することとする。
ユーザは、タッチパネルTPに表示されたボタンB1~B3を選択することで、各モードを選択することが可能となっている。ユーザが第1ボタンB1を選択した場合には、タッチパネルTPは、全面転写モードで層転写を実行させるための全面転写指令を制御部300に出力する。
ユーザが第2ボタンB2を選択した場合には、タッチパネルTPは、先端転写モードで層転写を実行させるための先端転写指令を制御部300に出力する。ユーザが第3ボタンB3を選択した場合には、タッチパネルTPは、後端転写モードで層転写を実行させるための後端転写指令を制御部300に出力する。なお、タッチパネルTPは、図1に示すように、例えばカバー22の上面に設けられている。
制御部300は、CPU、RAM、ROMおよび入出力回路を備えており、ROM等に記憶されたプログラムやデータに基づいて各種演算処理を行うことによって、制御を実行する。制御部300は、タッチパネルTPから出力されてくる指令に基づいて、前述した各モードで層転写を実行可能となっている。
制御部300は、各モードにおいて、メインモータ80の駆動中であって、かつ、トナー領域TAが加熱ローラ61と加圧ローラ51の間の層転写位置に存在しない場合に、規制切替手段を規制状態にする制御を実行する。また、制御部300は、各モードにおいて、メインモータ80の駆動中であって、かつ、シートS上のトナー領域TAが、層転写位置に存在する場合に、規制切替手段を解除状態にする制御を実行する。
図7(a)~(d)に示すように、各モードにおいて大きく異なる点は、加熱ローラ61の位置を切り替えるタイミングである。なお、加熱ローラ61は、層転写を実行していない初期状態において、離間位置に位置している。
図7(a)に示すように、全面転写モードの前半の制御(トナー領域TAへの層転写前の制御)において、制御部300は、シートSの先端が加熱ローラ61と加圧ローラ51の間の層転写位置に到達する前に、加熱ローラ61を離間位置から圧接位置に移動させる。また、図7(b)に示すように、全面転写モードの後半の制御(トナー領域TAへの層転写後の制御)において、制御部300は、シートSの後端が層転写位置を通過した後に、加熱ローラ61を圧接位置から離間位置に移動させる。
先端転写モードの前半の制御は、全面転写モードの前半の制御(図7(a)参照)と同じである。図7(c)に示すように、先端転写モードの後半の制御において、制御部300は、全面転写モードとは異なり、シートSの後端が層転写位置を通過する前に、加熱ローラ61を圧接位置から離間位置に移動させる。
図7(d)に示すように、後端転写モードの前半の制御において、制御部300は、全面転写モードとは異なり、シートSの先端が層転写位置を通過した後に、加熱ローラ61を離間位置から圧接位置に移動させる。なお、後端転写モードの後半の制御は、全面転写モードの後半の制御(図7(b)参照)と同じである。
このように各モードにおいて加熱ローラ61の移動タイミングが異なることで、規制切替手段の状態が切り替わるタイミングが異なっている。厳密には、加熱ローラ61の移動タイミングの他、各クラッチC2,C5の切り替えも併せて行うことで、規制切替手段の状態が切り替わるタイミングが異なっている。
次に、制御部300の動作について、詳細に説明する。制御部300は、層転写装置1の電源が投入された後、図8に示す処理を繰り返し実行している。
図8に示す処理において、制御部300は、まず、全面転写指令があるか否かを判断する(S101)。ステップS101において全面転写指令があると判断した場合には(Yes)、制御部300は、全面転写処理を実行して(S102)、本処理を終了する。
ステップS101において全面転写指令がないと判断した場合には(No)、制御部300は、先端転写指令があるか否かを判断する(S103)。ステップS103において先端転写指令があると判断した場合には(Yes)、制御部300は、先端転写処理を実行して(S104)、本処理を終了する。
ステップS103において先端転写指令がないと判断した場合には(No)、制御部300は、後端転写指令があるか否かを判断する(S105)。ステップS105において後端転写指令があると判断した場合には(Yes)、制御部300は、後端転写処理を実行して(S106)、本処理を終了する。ステップS105において後端転写指令がないと判断した場合には(No)、制御部300は、本処理を終了する。
次に、図9および図12を参照して、全面転写処理について説明する。
図9に示す全面転写処理において、制御部300は、加熱ローラ61内のヒータをONにした後(S2、図12の時刻t1)、リールクラッチC2を接続する(S3、時刻t2)。ここで、図12の時刻t1~t2間は、便宜上、短い時間間隔で図示しているが、実際には、ヒータをONにしてから加熱ローラ61の温度がある程度目標温度に近くなったときに、リールクラッチC2を接続する。なお、図12は、各部材の動作タイミングの順序を誇張して図示しているため、時間間隔については実際の時間間隔とは異なっている。
図9に示す全面転写処理において、制御部300は、加熱ローラ61内のヒータをONにした後(S2、図12の時刻t1)、リールクラッチC2を接続する(S3、時刻t2)。ここで、図12の時刻t1~t2間は、便宜上、短い時間間隔で図示しているが、実際には、ヒータをONにしてから加熱ローラ61の温度がある程度目標温度に近くなったときに、リールクラッチC2を接続する。なお、図12は、各部材の動作タイミングの順序を誇張して図示しているため、時間間隔については実際の時間間隔とは異なっている。
ステップS3においてリールクラッチC2を接続すると、負荷トルクLTが、LT1+LT2となり、駆動トルクDTよりも大きくなる。ステップS3の後、制御部300は、メインモータ80をONにする(S4、時刻t3)。つまり、制御部300は、全面転写転写の指令を受けると、規制切替手段が規制状態にある状態で、メインモータ80を駆動する。メインモータ80をONにすると、メインモータ80の駆動力が巻取側トルクリミッタTL1を介して巻取リール35に伝達される。これにより、巻取リール35に駆動トルクDTが加わるが、ステップS3の処理によって、LT>DTとなっているため、負荷トルクLTによって供給リール31からの多層フィルムFの引き出しが規制される。そのため、駆動トルクDTが加わった巻取リール35によって多層フィルムFが引っ張られるが、供給リール31および巻取リール35の回転が止まっているため、多層フィルムFは、搬送されることなく、所定のテンションが加わった状態で止まっている。
ステップS4の後、制御部300は、ピックアップクラッチC1を接続することで、シートSの供給を実行する(S5、時刻t4)。詳しくは、制御部300は、1枚のシートSをピックアップローラ11Aで搬送するのに必要な時間αだけピックアップクラッチC1に電流を流すことで、ピックアップローラ11Aを所定時間だけ駆動させる。なお、ピックアップローラ11Aの駆動の停止は、第1シートセンサSS1でシートSの先端を検知したタイミングに基づいて決めてもよい。
ステップS5の後、制御部300は、接離モータ90をONにして、加熱ローラ61を離間位置から圧接位置へ移動させる第1切替制御を開始する(S6、時刻t6)。詳しくは、制御部300は、第1切替制御において、加熱ローラ61の移動に必要な時間βだけ接離モータ90に電流を流す。なお、制御部300は、後述する第2切替制御も第1切替制御と同様に行う。
ステップS6の後、詳しくは加熱ローラ61が圧接位置に移動した後、制御部300は、リールクラッチC2を切断する(S7、時刻t8)。これにより、加圧ローラ51および加熱ローラ61が圧接状態になった後に、負荷トルクLTが、LT1となって、駆動トルクDTよりも小さくなる。ここで、加圧ローラ51および加熱ローラ61が圧接状態になる前に、LT<DTにしてしまうと、巻取リール35が回転し始めて、多層フィルムFが無駄に搬送されてしまう。そのため、前述したように、加圧ローラ51および加熱ローラ61が圧接状態になった後、つまり加圧ローラ51と加熱ローラ61との間で多層フィルムFを挟んだ後に、LT<DTとすることで、巻取リール35が回転し始めるのを規制することができ、多層フィルムFの無駄な搬送が抑えられる。
ステップS7の後、制御部300は、ローラクラッチC5を接続する(S8、時刻t9)。これにより、メインモータ80から加圧ローラ51に駆動力が伝達されて、加圧ローラ51および加熱ローラ61が回転するので、多層フィルムFの搬送が開始される。
ここで、ステップS8の処理は、加熱ローラ61と加圧ローラ51とで多層フィルムFを挟み始めてから、シートSの先端が層転写位置に到達するまでの間に行うのが好ましい。本実施形態では、ステップS8の処理を、加熱ローラ61が圧接位置に位置してから、シートSの先端が層転写位置に到達するまでの間に行っている。
ここで、ステップS6~S8の処理は、シートSの先端が上流側搬送ローラ11Cを通過してから、トナー領域TAが層転写位置に到達するまでの間に、規制切替手段を解除状態にする規制解除処理に相当する。規制解除処理は、多層フィルムFを搬送するための処理であるため、シートSが、加圧ローラ51と加熱ローラ61の間の層転写位置に到達する時刻t10の直前で行うのがよい。そのため、第1シートセンサSS1でシートSの先端を検知したタイミング(時刻t5)に基づいて、ステップS6~S8の各処理を行うタイミングを決めればよい。
なお、ステップS6~S8の各処理を行うタイミングは、略同時のタイミングで行うのが好ましい。また、ステップS6~S8の各処理を行うタイミングは、本実施形態とは異なる順序で行ってもよいし、同時に行ってもよい。
なお、リールクラッチC2の切断のタイミングは、例えば、接離モータ90をONするタイミング(時刻t6)や、離間センサSAから加熱ローラ61が離間位置に位置しないことを示す信号を受けたタイミング(時刻t7)に基づいて決めることもできる。ここで、離間センサSAは、加熱ローラ61が離間位置に位置する間、第1信号(例えばLow信号)を出力し、加熱ローラ61が離間位置から移動し始めた直後に第2信号(例えばHigh信号)を出力する。そのため、加熱ローラ61が圧接位置に到達するタイミングは、接離モータ90の駆動中の時間βの間であって、離間センサSAから第2信号を受けた後のタイミングになるので、前述した各タイミング(時刻t6,t7)に基づいて、リールクラッチC2の切断のタイミングを決めてもよい。
ステップS8の後、制御部300は、トナー領域TA上のトナー像への層転写が完了したか否かを判断する(S9)。具体的には、制御部300は、第1シートセンサSS1でシートSの後端を検知(時刻t11)してからの経過時間に基づいて、層転写が完了したかを判断する。ここで、層転写の完了のタイミングは、シートSのトナー領域TAの後端が層転写位置を通過したタイミングや、シートSの後端が層転写位置を通過したタイミングや、シートSのトナー領域TAの後端が、剥離ローラとしての第2案内軸42(図1参照)を通過したタイミングなどとすることができる。
なお、本実施形態では、層転写の完了のタイミングを、シートSのトナー領域TAの後端が第2案内軸42を通過した後のタイミング、具体的には、シートSの後端が層転写位置を通過した時刻t12から所定時間後のタイミング(時刻t13)とする。このように層転写の完了のタイミングを設定することで、シートSのトナー像からの多層フィルムFの剥離が完了する前に多層フィルムFが止まることが抑制されるので、多層フィルムFをトナー像から良好に剥離することができる。
ステップS9において層転写が完了したと判断した場合には(Yes)、制御部300は、ローラクラッチC5を切断するとともに、接離モータ90をONにして、加熱ローラ61を圧接位置から離間位置へ移動させる第2切替制御を開始する(S10、時刻t13)。なお、本実施形態では、ローラクラッチC5の切断と接離モータ90のONを同時に行うこととするが、本発明はこれに限定されず、異なるタイミングで行ってもよい。
ステップS10においてローラクラッチC5を切断すると、メインモータ80から加圧ローラ51への駆動力の伝達が切れるので、加圧ローラ51および加熱ローラ61が停止して、多層フィルムFの搬送が止められる。また、ステップS10において接離モータ90をONにすると、加熱ローラ61の圧接位置から離間位置への移動が開始される。
つまり、制御部300は、シートSの後端が層転写位置を通過した後であって(時刻t12の後)、かつ、切替機構70が離間状態になる前、つまり加熱ローラ61が離間位置に到達する前に、ローラクラッチC5による伝達状態から遮断状態への切り替えを開始する。
ステップS10の後、詳しくは加熱ローラ61の離間位置への移動を開始してから離間位置に到達する前(好ましくは加熱ローラ61が多層フィルムFから離れる前)までの間に、制御部300は、リールクラッチC2を接続する(S11、時刻t14)。これにより、リールクラッチC2を接続する前の状態では、加圧ローラ51と加熱ローラ61との間で多層フィルムFを挟んでいることで、多層フィルムFの搬送が止められている。
そして、リールクラッチC2の接続後は、負荷トルクLTが、LT1+LT2となって、駆動トルクDTよりも大きくなる。そのため、リールクラッチC2の接続後に、加熱ローラ61が多層フィルムFから離れても、大きな負荷トルクLTによって、巻取リール35が回転することが規制され、多層フィルムFは搬送されることなく、所定のテンションが加わった状態で止まっている。
ここで、ステップS10,S11の処理は、トナー領域TAが層転写位置を通過してからシートSの後端が下流側搬送ローラ12Aに到達するまでの間に、規制切替手段を規制状態にする層転写後規制処理に相当する。なお、ステップS10,S11の層転写後規制処理は、第1シートセンサSS1でシートSの後端を検知したタイミング(時刻t11)に基づいて行えばよい。ここで、ステップS10,S11の処理を、シートSの先端を検知したタイミング(時刻t5)に基づいて行うこともできるが、シートSの後端を検知したタイミング(時刻t11)の方がステップS10,S11の処理を行うタイミングに近いため、シートSの後端を検知したタイミング(時刻t11)に基づいてステップS10,S11の処理を行うことで、より精度のよいタイミングで各処理を行うことができる。
ステップS11の後、制御部300は、ヒータをOFFにする(S12、時刻t16)。ステップS12の後、制御部300は、メインモータ80をOFFにする(S13、時刻t17)。ステップS13の後、制御部300は、リールクラッチC2を切断して(S14、時刻t18)、本処理を終了する。なお、ステップS12~S14の処理は、第2シートセンサSS2でシートSの後端を検知したタイミング(時刻t15)に基づいて行えばよい。
次に、図10および図13を参照して、先端転写処理について説明する。先端転写処理は、後半の一部の処理が全面転写処理と異なるだけで、その他の処理は全面転写処理と同様であるため、同じ処理については同一の符号を付し、説明を省略する。
図10に示す先端転写処理において、制御部300は、ステップS1~S8の処理を行った後、シートSの先端側に位置するトナー領域TA上のトナー像への層転写が完了したか否かを判断する(S31)。ここで、トナー像への層転写の完了の判断は、例えば、第1シートセンサSS1でシートSの先端を検知したタイミング、詳しくは先端を検知してからの経過時間に基づいて行えばよい。本実施形態では、シートSの後端が層転写位置に到達する前、例えばシートSの搬送方向の中央が層転写位置に到達したときに、層転写完了と判断することとする。
ステップS31において層転写が完了したと判断した場合には(Yes)、制御部300は、ステップS32~S34に示す層転写後規制処理を開始する。詳しくは、ステップS32において、制御部300は、第2切替制御を開始して、加熱ローラ61の圧接位置から離間位置への移動を開始する(S32)。詳しくは、制御部300は、トナー領域TAが層転写位置を通過した後(時刻t31の後)であって、かつ、シートSの後端が層転写位置を通過する前(時刻t12よりも前)に、切替機構70による圧接状態から離間状態への切り替えを開始する(時刻t32)。
ステップS32の後、詳しくは、圧接状態から離間状態への切り替えを開始してから離間状態になるまでの間(時刻t32~t33間)に、制御部300は、リールクラッチC2を接続してLT>DTとする(S33)。なお、本実施形態では、ステップS31,S32の処理を略同時に行うこととする。
ステップS33の後、制御部300は、ローラクラッチC5を切断して加圧ローラ51の回転を止めることで、多層フィルムFの搬送を停止させる(S34,t34)。ステップS32~S34に示す層転写後規制処理の後、制御部300は、ステップS12~S14の処理を実行して、本処理を終了する。つまり、制御部300は、層転写後規制処理の後に、メインモータ80を停止させる(S13)。
次に、図11および図14を参照して、後端転写処理について説明する。後端転写処理は、前半の一部の処理が全面転写処理と異なるだけで、その他の処理は全面転写処理と同様であるため、同じ処理については同一の符号を付し、説明を省略する。
図11に示す後端転写処理において、制御部300は、ステップS1~S5の処理を行った後、第1切替制御を開始して、加熱ローラ61の離間位置から圧接位置への移動を開始する(S51)。詳しくは、制御部300は、シートSの先端が層転写位置を通過した後(時刻t10の後)に、切替機構70による離間状態から圧接状態への切替を開始する(時刻t51)。つまり、制御部300は、シートSの先端が層転写位置を通過した後に、ステップS51~S53に示す規制解除処理を実行する。
ステップS51の後、制御部300は、ローラクラッチC5を接続して加圧ローラ51を回転させる(S52)。詳しくは、ステップS52において、制御部300は、加熱ローラ61と加圧ローラ51とで多層フィルムFおよびシートSを挟み始める前に、ローラクラッチC5を切断状態(遮断状態)から接続状態(伝達状態)に切り替える(時刻t52)。より詳しくは、制御部300は、離間センサSAの出力変化に応じてローラクラッチC5を切断状態から接続状態に切り替える。
ステップS52の後、制御部300は、リールクラッチC2を切断してLT<DTとする(S53)。詳しくは、制御部300は、加熱ローラ61と加圧ローラ51とで多層フィルムFおよびシートSを挟んだ後(時刻t53の後)に、LT<DTとする(時刻t54)。より詳しくは、制御部300は、離間センサSAの出力変化に応じてLT<DTとする。
ステップS53の後、制御部300は、シートSの後端側に位置するトナー領域TA上のトナー像への層転写が完了したか否かを判断する(S54)。ここで、層転写の完了の判断は、全面転写処理での層転写の完了判断と同様に行えばよい。
ステップS54において層転写が完了したと判断した場合には(Yes)、制御部300は、ステップS10~S14の処理を実行して、本処理を終了する。
以上、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
トナー領域TAが加熱ローラ61と加圧ローラ51の間に存在しない場合には、規制切替手段によって供給リール31からの多層フィルムFの引き出しが規制されるので、多層フィルムFが無駄に搬送されるのを抑制することができる。
トナー領域TAが加熱ローラ61と加圧ローラ51の間に存在しない場合には、規制切替手段によって供給リール31からの多層フィルムFの引き出しが規制されるので、多層フィルムFが無駄に搬送されるのを抑制することができる。
規制切替手段が規制状態にある状態でメインモータ80を駆動するので、例えば規制切替手段が解除状態にある状態でメインモータを駆動する方法に比べ、多層フィルムFが無駄に搬送されるのを抑制することができる。
シートSの先端が上流側搬送ローラ11Cを通過してから、トナー領域TAが層転写位置に到達するまでの間に、規制切替手段を解除状態にするので、例えばシートの先端が上流側搬送ローラを通過する前に規制切替手段を解除状態にする方法に比べ、多層フィルムFが無駄に搬送されるのを抑制することができる。
後端転写処理において、シートSの先端が層転写位置を通過した後に、規制切替手段を解除状態にするので、例えばシートの先端が層転写位置を通過する前に規制切替手段を解除状態にする方法に比べ、多層フィルムFが無駄に搬送されるのを抑制することができる。
トナー領域TAが層転写位置を通過してからシートSの後端が下流側搬送ローラ12Aに到達するまでの間に、規制切替手段を規制状態にするので、例えばシートの後端が下流側搬送ローラを通過した後に規制処理を実行する方法に比べ、多層フィルムFが無駄に搬送されるのを抑制することができる。
先端転写処理において、シートSの後端が層転写位置に到達する前に、規制切替手段を規制状態にするので、例えばシートの後端が層転写位置を通過した後に規制切替手段を規制状態にする方法に比べ、多層フィルムFが無駄に搬送されるのを抑制することができる。
先端転写処理において、例えば第1シートセンサによってシートの後端を検知したタイミング(図13、時刻t11)に基づいて層転写後規制処理を開始(時刻t32)する場合には、トナー領域TAが層転写位置を通過した後にシートSの後端が検知され、その後に層転写後規制処理を開始しなければならないので、層転写後規制処理の開始が遅れるおそれがある。これに対し、前述した構成では、第1シートセンサSS1によってシートSの先端を検知したタイミング(時刻t5)に基づいて層転写後規制処理の開始タイミング(時刻t32)を決めるので、例えばトナー領域TAが層転写位置を通過した直後に層転写後規制処理を開始することが可能となり、多層フィルムFが無駄に搬送されるのを抑制することができる。
後端転写処理においては、トナー領域TAが層転写位置を通過し終わる前(時刻t12の前)にシートSの後端が検知されるので(時刻t11)、後端を検知したタイミングに基づいて層転写後規制処理を良好に行うことができる。また、後端転写処理において、例えば先端を検知したタイミングに基づいて層転写後規制処理を開始する方法に比べ、第1シートセンサSS1での検知から層転写後規制処理の開始までの時間を短くできるので、層転写後規制処理の開始タイミングに誤差が生じるのを抑えることができる。
トナー領域TAが剥離ローラである第2案内軸42を通過した後に、層転写後規制処理を開始するので、トナー領域TAから多層フィルムFを良好に剥離させることができ、剥離不良を抑制することができる。
層転写後規制処理の後にメインモータ80を停止させるので、例えば層転写後規制処理の前にメインモータ80を停止させる方法に比べ、多層フィルムFが無駄に搬送されるのを抑制することができる。
LT>DTで、かつ、加圧ローラ51の回転中において、切替機構70を離間状態とすることで、加熱ローラ61が多層フィルムFから離れるので、多層フィルムFの無駄な搬送を抑制することができる。
切替機構70が圧接状態である場合に、ローラクラッチC5を切断することで、多層フィルムFが搬送されなくなるので、多層フィルムFの無駄な搬送を抑制することができる。
先端転写処理において、例えば加熱ローラと加圧ローラとで多層フィルムを挟み始めるよりも前にローラクラッチを切断状態から接続状態に切り替える場合には、挟み始めた瞬間に多層フィルムが搬送され、無駄になる。これに対し、本実施形態では、先端転写処理において、加熱ローラ61と加圧ローラ51とで多層フィルムFを挟み始めた後にローラクラッチを切断状態から接続状態に切り替えるので、多層フィルムFの無駄な搬送を抑制することができる。
後端転写処理において、例えば加熱ローラと加圧ローラとで多層フィルムおよびシートを挟み始めたときに、各ローラが停止している場合には、停止した各ローラがシートの搬送の抵抗となる。これに対し、本実施形態では、後端転写処理において、加熱ローラ61と加圧ローラ51とで多層フィルムFおよびシートSを挟み始める前に各ローラ61,51を駆動させるため、シートSの搬送をスムーズに行うことができる。
先端転写処理において、例えば圧接状態から離間状態への切り替えを開始する前に、ローラクラッチを切断する方法では、各ローラでシートおよび多層フィルムを挟んだ状態で各ローラの回転が止められ、各ローラがシートの搬送の抵抗となる。これに対し、本実施形態では、先端転写処理において、圧接状態から離間状態への切り替えの開始後に、ローラクラッチC5を切断するため、各ローラ61,51がシートSの搬送の抵抗となるのを抑えることができ、シートSの搬送をスムーズに行うことができる。
負荷トルクLTを駆動トルクDTよりも大きくすることで多層フィルムFの搬送を止めることができる。また、負荷トルクLTを駆動トルクDTよりも小さくすることでシートSおよび多層フィルムFの搬送をスムーズに行うことができる。
圧接状態から離間状態への切り替えを開始してから離間状態になるまでの間に、LT>DTとすることで、例えば切替機構が離間状態になった後にLT>DTとする場合と比べ、多層フィルムFを止めるタイミングを早めることができるので、多層フィルムFの無駄な搬送を抑制することができる。
例えば、先端転写処理において、シートの搬送を止めないように、加熱ローラと加圧ローラとで多層フィルムおよびシートを挟み始める前から各ローラを駆動する場合において、加熱ローラと加圧ローラとで多層フィルムおよびシートを挟み始める前に負荷トルクを駆動トルクよりも小さくすると、各ローラで多層フィルムおよびシートを挟んだ瞬間から多層フィルムおよびシートが搬送されてしまい、その分多層フィルムが無駄になる。これに対し、本実施形態では、各ローラ61,51で多層フィルムFおよびシートSを挟んだ後に負荷トルクLTを駆動トルクDTよりも小さくするので、多層フィルムFの無駄な搬送を抑制することができる。
例えば、切替機構が離間状態になった後に負荷トルクを駆動トルクよりも大きくする場合には、ローラが多層フィルムから離れてから負荷トルクが大きくなるまでの間において、多層フィルムが無駄に搬送されてしまう。これに対し、本実施形態では、切替機構70が離間状態になる前、詳しくは加熱ローラ61が多層フィルムFから離れる前に、負荷トルクLTを駆動トルクDTよりも大きくするので、多層フィルムFの無駄な搬送を抑制することができる。
メインモータ80の駆動力を加圧ローラ51に伝達するように構成したので、例えば移動可能な加熱ローラにメインモータを繋げる構造に比べ、構造を簡易化することができる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。以下の説明においては、前記実施形態と略同様の構造となる部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。
前記実施形態では、レーザプリンタ等の画像形成装置とは別の装置として層転写装置1を構成したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図15に示すように、層転写装置1は、画像形成装置としてのレーザプリンタPTと一体に構成されていてもよい。
図15に示すように、レーザプリンタPTは、シートSを収容するシートトレイPT1と、シートSを供給する供給部PT2と、供給部PT2から送られてくるシートSにトナー像を形成する画像形成部PT3と、シートS上にトナー像を定着させる定着装置PT4と、トナー像が定着されたシートSを、レーザプリンタPTの外、または、層転写装置1に向けて搬送する搬送機構PT5とを備えている。
層転写装置1は、前記実施形態と同様に構成される、フィルムユニットFU、加圧ローラ51、加熱ローラ61および切替機構70を備える。そして、層転写装置1は、図6に簡略的に示した構成と同様の構成となっている。
レーザプリンタPTは、図16に示すタッチパネルTPを備えている。タッチパネルTPは、層転写の処理を通常モードで行うための通常ボタンB4と、層転写の処理を層節約モードで行うための層節約ボタンB5とを、表示する。ユーザは、タッチパネルTPに表示されたボタンB4,B5を選択することで、各モードを選択することが可能となっている。ユーザが各ボタンB4,B5を選択した場合には、タッチパネルTPは、選択されたモードで層転写を実行させるための指令を制御部300に出力する。
ここで、通常モードとは、図17(a)に示すように、搬送方向において所定長さのシートSに転写層F22を転写する場合において、切替機構70を圧接状態にしている時間である層搬送時間を、所定長さのシートSのうちトナー像が形成可能な画像形成領域全体が層転写位置を通過するのにかかる時間以上の第1時間T1とする通常処理を実行可能なモードである。本実施形態では、第1時間T1を、シートSが層転写位置を通過する時間Tαよりも長い時間とする。
また、層節約モードとは、図17(b)に示すように、前述した層搬送時間を、第1時間T1よりも短い第2時間T2とする節約転写処理を実行可能なモードである。ここで、節約転写処理とは、トナー像を有する第1トナー領域と、トナー像が存在しない非トナー領域と、トナー像を有する第2トナー領域とが、この順で層転写位置を通過する場合において、少なくとも第1トナー領域が層転写位置を通過する間、切替機構70を圧接状態にし、第1トナー領域が層転写位置を通過した後、切替機構70を離間状態にし、少なくとも第2トナー領域が層転写位置を通過する間、切替機構70を圧接状態にする処理である。
図17(b)には、1枚のシートSに2つのトナー領域TAが離れて形成されている例を示す。この場合、層節約モードにおいて、1つ目のトナー領域TAが層転写位置を通過する時間T21の間と、2つ目のトナー領域TAが層転写位置を通過する時間T22の間だけ切替機構70を圧接状態にしている。そのため、この場合には、層搬送時間である第2時間T2は、T21+T22となる。
また、図18(a)に示すように、複数枚のシートSに対して連続して層転写を行う場合(以下、「連続転写」ともいう。)には、通常モードでは、最初のシートSが層転写位置に到達してから最後のシートSが層転写位置を抜けるまでの間、切替機構70を圧接状態にする。ここで、連続転写とは、所定の間隔で搬送する複数枚のシートSに対して連続して層転写を行うことをいう。
また、図18(b)に示すように、連続転写を層節約モードで行う場合には、各シートS上のトナー領域TAが層転写位置を通過する間だけ、切替機構70を圧接状態にする。ここで、図18(b)では、各シートSの画像形成領域全体にトナー領域TAが設定されている例を示す。
次に、制御部300の動作について説明する。制御部300は、レーザプリンタPTの電源が投入された後、図19に示す処理を繰り返し実行している。
図19に示す処理において、制御部300は、まず、印刷転写指令があるか否かを判断する(S201)。ここで、印刷転写指令は、レーザプリンタPTで印刷を行った後、シートSを層転写装置1に搬送して、層転写装置1において層転写を行うための指令である。ステップS201において印刷転写指令がないと判断した場合には(No)、制御部300は、本処理を終了する。
ステップS201において印刷転写指令があると判断した場合には(Yes)、制御部300は、タッチパネルTPからの信号に基づいて、通常モードが選択されているか否かを判断する(S202)。なお、制御部300は、印刷転写指令を受けると、公知の印刷処理を実行して、シートSにトナー像を形成するとともに、トナー像が形成されたシートSを層転写装置1に搬送する。
ステップS202において通常モードが選択されていると判断した場合には(Yes)、制御部300は、通常モードを実行する(S203)。また、ステップS202において通常モードが選択されていないと判断した場合には(No)、制御部300は、層節約モードが選択されていると判断して、層節約モードを実行する(S204)。
図20に示す通常モードにおいて、制御部300は、連続転写を実行するか否か、つまり印刷転写指令で複数枚のシートSに対して印刷・層転写の指示がなされているか否かを判断する(S211)。ステップS211において連続転写を実行しないと判断した場合には(No)、制御部300は、前記実施形態と同様の全面転写処理(図9の処理)を実行する。
ステップS211において連続転写を実行すると判断した場合には(Yes)、制御部300は、最初のシートSが層転写位置に到達してから最後のシートSが層転写位置を抜けるまでの間、切替機構70を圧接状態にする(S212)。なお、ステップS212において、切替機構70を離間状態から圧接状態に切り替えるタイミングは、全面転写処理の前半の処理と同じタイミングで行えばよい。また、ステップS212において、切替機構70を圧接状態から離間状態に切り替えるタイミングは、全面転写処理の後半の処理と同じタイミングで行えばよい。
詳しくは、最初のシートSが層転写位置に到達するまでの間、制御部300は、前述したステップS2~S8の処理を実行する。ステップS8の後、制御部300は、最後のシートSが層転写位置を抜けるまでの間、何もしない。そして、最後のシートSが層転写位置を抜けた後、制御部300は、前述したステップS10~S14の処理を実行する。
次に、図21を参照して、層節約モードについて説明する。なお、制御部300は、層節約モードにおいて、印刷転写指令に含まれる画像の情報に基づいて、トナー像を有するトナー領域と、トナー像を有さない非トナー領域とを設定するように構成されている。具体的には、制御部300は、例えば1枚のシートSの搬送方向における所定の第1範囲にトナー像が形成されると判断した場合には、第1範囲を第1トナー領域として設定する。また、制御部300は、第1範囲から離れた第2範囲にトナー像が形成されると判断した場合には、第2範囲を第2トナー領域として設定する。さらに、制御部300は、第1範囲と第2範囲の間の範囲である第3範囲にトナー像が形成されないと判断した場合には、第3範囲を非トナー領域として設定する。
層節約モードにおいて、制御部300は、まず、連続転写を実行するか否かを判断する(S221)。ステップS221において連続転写を実行しないと判断した場合には(No)、制御部300は、1枚のシートSに対する層転写において、節約転写処理の実行可能要件を満たすか否かを判断する(S222)。
具体的に、制御部300は、ステップS222において、以下の式(1)を満たすか否かを判断する。
X > V・t+L+α ・・・(1)
X:非トナー領域の搬送方向の長さ
V:シートSの搬送速度
t:圧接状態から離間状態を経て再び圧接状態に切り替えるための最短時間
L:層転写位置から第2案内軸42までの長さ
α:設計バラツキ(部品寸法公差による速度バラツキ、距離のバラツキ、加熱ローラ61の圧接タイミング、離間タイミングのバラツキを含む。)
X > V・t+L+α ・・・(1)
X:非トナー領域の搬送方向の長さ
V:シートSの搬送速度
t:圧接状態から離間状態を経て再び圧接状態に切り替えるための最短時間
L:層転写位置から第2案内軸42までの長さ
α:設計バラツキ(部品寸法公差による速度バラツキ、距離のバラツキ、加熱ローラ61の圧接タイミング、離間タイミングのバラツキを含む。)
ステップS222において実行可能要件を満たすと判断した場合には(Yes)、制御部300は、節約転写処理を実行する(S223)。ステップS222において実行可能要件を満たさないと判断した場合には(No)、制御部300は、前述した全面転写処理(図9の処理)を実行する(S102)。
ステップS221において連続転写を実行すると判断した場合には(Yes)、制御部300は、連続転写において、節約転写処理の実行可能要件を満たすか否かを判断する(S224)。詳しくは、制御部300は、ステップS224において、前述した式(1)におけるXを、以下の式(2)に基づいて算出する。
X = X1+Y1+X2 ・・・(2)
X1:第1シートの後端側の第1非トナー領域の搬送方向の長さ
X2:第1シートの次に搬送される第2シートの先端側の第2非トナー領域の搬送方向の長さ
Y1:第1シートと第2シートの間隔
X = X1+Y1+X2 ・・・(2)
X1:第1シートの後端側の第1非トナー領域の搬送方向の長さ
X2:第1シートの次に搬送される第2シートの先端側の第2非トナー領域の搬送方向の長さ
Y1:第1シートと第2シートの間隔
ステップS224において実行可能要件を満たすと判断した場合には(Yes)、制御部300は、節約転写処理を実行する(S226)。ステップS224において実行可能要件を満たさないと判断した場合には(No)、制御部300は、シート搬送部10を制御することで、第1シートと第2シートの間隔Y1を大きくする調整処理を実行した後に(S225)、節約転写処理を実行する(S226)。
詳しくは、制御部300は、調整処理において、第2シートの搬送開始タイミング(ピックアップローラ11AでのシートSの供給タイミング)を、実行可能条件を満たさないと判断した場合よりも遅らせることで、第1シートと第2シートの間隔Y1を大きくする。なお、調整処理において、シート搬送部10を制御することで、シートSの搬送速度Vを小さくしてもよい。
この形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
層節約モードを実行することで、通常モードよりも多層フィルムFの無駄な搬送を抑制することができる。
層節約モードを実行することで、通常モードよりも多層フィルムFの無駄な搬送を抑制することができる。
1枚のシートSに2つのトナー領域が離れて存在する場合であっても、層節約モードを実行することで、多層フィルムFの無駄な搬送を抑制しながら、層転写を良好に行うことができる。
1枚のシートSに対して層転写を行う場合において、式(1)を満たした場合に節約転写処理を実行するので、第1トナー領域に転写した転写層F22から支持層F1をきれいに剥離させることができるとともに、第2トナー領域が層転写位置に到達する前に切替機構70を圧接状態にして、第2トナー領域に対して良好に転写層F22を転写することができる。
複数枚のシートSに対して層転写を連続して行う場合において、X=X1+Y1+X2としたので、複数枚のシートSに対して層転写を連続して行う場合にも、節約転写処理を良好に行うことができる。
複数枚のシートSに対して層転写を連続して行う際に、節約転写処理の実行可能条件を満たさない場合には、調整処理が実行されるので、層転写を連続して行う場合において、節約転写処理を実行できる可能性を高めることができる。
なお、制御部300は、層節約モードとして、図22に示す先端転写処理を実行する先端転写モードと、図23に示す後端転写処理を実行する後端転写モードと、を実行可能であってもよい。ここで、図22、図23に示す先端転写処理および後端転写処理は、前述した図10、図11に示す先端転写処理および後端転写処理を一部変更したものであるため、同様の処理には同一の符号を付して説明を省略する。
図22に示す先端転写処理において、制御部300は、前述したステップS2~S8の処理を実行した後、シートSの搬送方向の長さが所定長さ以上であるか否かを判断する(S301)。ここで、所定長さは、上流側搬送ローラ11Cと下流側搬送ローラ12Aのローラピッチ以上の長さである。
ステップS301において所定長さ以上であると判断した場合には(Yes)、制御部300は、前述したステップS31~S34,S12~S14の処理を実行する。つまり、制御部300は、先端転写モードにおいて、シートSの搬送方向の長さが所定長さ以上であると判断すると、シートSの後端が層転写位置を通過する前のタイミングであって、前記実施形態で示したタイミング(ステップS31で層転写が完了したと判断したタイミング)で、切替機構70を離間状態に切り替える(S32)。
ステップS301において所定長さ未満であると判断した場合には(No)、制御部300は、シートSの先端が下流側搬送ローラ12Aに到達したか否かを判断する(S302)。ステップS302において到達したと判断すると(Yes)、制御部300は、切替機構70を離間状態に切り替える(S32)。詳しくは、制御部300は、シートSの搬送方向の長さが所定長さ未満であると判断した場合には(S302:Yes)、シートSの先端が下流側搬送ローラ12Aに到達した後のタイミングであって、かつ、所定長さ以上であると判断した場合よりも遅いタイミングで、切替機構70を離間状態に切り替える(S32)。
図23に示す後端転写処理において、制御部300は、前述したステップS2~S5の処理を実行した後、シートSの搬送方向の長さが所定長さ以上であるか否かを判断する(S311)。ここで、所定長さは、上流側搬送ローラ11Cと下流側搬送ローラ12Aのローラピッチである。
ステップS311において所定長さ以上であると判断した場合には(Yes)、制御部300は、前述したステップS51~S54,S10~S14の処理を実行する。つまり、制御部300は、後端転写モードにおいて、シートSの搬送方向の長さが所定長さ以上であると判断すると、シートSの先端が層転写位置を通過した後の所定のタイミングで、切替機構70を圧接状態に切り替える(S51)。
ステップS311において所定長さ未満であると判断した場合には(No)、制御部300は、シートSの後端が上流側搬送ローラ11Cを通過する前のタイミングであって、かつ、所定長さ以上であると判断した場合よりも早いタイミングで、切替機構70を圧接状態に切り替える(S312)。ステップS312の後、制御部300は、前述したステップS52~S54,S10~S14の処理を実行する。
以上、この形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
層節約モードとして先端転写モードと後端転写モードを実行するので、トナー領域TAの位置に応じて、多層フィルムFの無駄な搬送を抑制することができる。
層節約モードとして先端転写モードと後端転写モードを実行するので、トナー領域TAの位置に応じて、多層フィルムFの無駄な搬送を抑制することができる。
後端転写モードにおいて、ステップS312の処理を実行することで、小サイズのシートSが、上流側搬送ローラ11Cで送り出された後、止まってしまうのを抑えることができるので、小サイズのシートSをスムーズに搬送することができる。
先端転写モードにおいて、ステップS302でYesと判断するタイミングで切替機構70を離間状態とするので、小サイズのシートSの先端が下流側搬送ローラ12Aに到達する前に切替機構70が離間状態となることによって小サイズのシートSが層転写装置1内に残ってしまうのを抑制することができる。
前記実施形態では、加熱ローラ61を多層フィルムFから離間させることで切替機構70を離間状態にしたが、本発明はこれに限定されず、例えば、加圧ローラを多層フィルムから離間させる、または、加熱ローラと加圧ローラの両方を多層フィルムから離間させることで、切替機構を離間状態としてもよい。
前記実施形態では、操作部の一例としてタッチパネルTPを例示したが、本発明はこれに限定されず、操作部は、例えばユーザの操作によって押圧位置と解除位置に移動可能な押しボタン(スイッチ)などであってもよい。
前記実施形態では、操作部からの信号に基づいて制御部が各モードを実行するように構成したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、画像形成装置と層転写装置が一体に構成される場合には、印刷転写指令に含まれる画像データに基づいて制御部がシート上のトナー領域の大きさや位置を判断し、トナー領域の大きさや位置に基づいて各モードを選択してもよい。
前記実施形態では、状態検知センサとして光センサを例示したが、本発明はこれに限定されず、状態検知センサは、例えば、切替機構に連動するレバーと、レバーの位置を検知する光センサとで構成してもよい。
前記実施形態では、シート検知センサを、レバーと、レバーの位置を検知する光センサとで構成したが、本発明はこれに限定されず、シート検知センサは、例えば、光センサのみで構成されていてもよい。
前記実施形態では、多層フィルムFの搬送を止めるために、LT>DTとする構成としたが、本発明はこれに限定されず、LT≧DTとする構成としてもよい。
前記実施形態では、トルク変更手段として、供給リール31に付与する負荷トルクLTを変更するリールクラッチC2および供給側トルクリミッタTL2を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、トルク変更手段は、駆動トルクの大きさを変更するものであってもよい。例えば、巻取リールを駆動するためのモータを、メインモータとは別の専用モータとし、この専用モータをトルク変更手段としてもよい。この場合、専用モータの駆動・停止を切り替えることで、負荷トルクLTと駆動トルクDTの関係を、LT<DTとLT=DTとすることができる。
また、トルク変更手段は、供給リール31に係合して供給リール31の回転を止める係合位置と、供給リール31から外れて供給リール31の回転を許可する退避位置との間で移動可能な部材としてもよい。つまり、供給リールの回転をロック・解除可能な機械的なロック機構であってもよい。
なお、ローラクラッチC5およびピックアップクラッチC1の代わりに、加圧ローラ51を回転させるための専用のモータと、ピックアップローラ11Aを回転させるための専用のモータを設けてもよい。
前記実施形態では、伝達切替機構として、ローラクラッチC5を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、加圧ローラまたは加熱ローラに駆動力を伝達するための伝達機構の所定のギヤに噛み合う位置と、所定のギヤから外れる位置との間で揺動する振子ギヤなどであってもよい。
前記実施形態では、箔を含む転写層F22を例示したが、本発明はこれに限定されず、転写層は、例えば、箔や着色材料を含まず、熱可塑性樹脂から形成されていてもよい。
前記実施形態では、多層フィルムFを4層で構成したが、本発明はこれに限定されず、多層フィルムは、転写層と支持層を有していれば、層の数はいくつであってもよい。
前記実施形態では、フィルムカートリッジ200をホルダ100を介して筐体本体21に着脱可能としたが、本発明はこれに限定されず、フィルムカートリッジが筐体本体に直接着脱可能であってもよい。
前記した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。
次に、本発明の第2実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明においては、まず、層転写装置の全体構成を簡単に説明した後、本願発明の特徴部分の構成について説明する。
以下の説明において、方向は、図24に示す方向で説明する。すなわち、図24の右側を「前」とし、図24の左側を「後」とし、図24の紙面手前側を「左」とし、図24の紙面奥側を「右」とする。また、図24の上下を「上下」とする。
以下の説明において、方向は、図24に示す方向で説明する。すなわち、図24の右側を「前」とし、図24の左側を「後」とし、図24の紙面手前側を「左」とし、図24の紙面奥側を「右」とする。また、図24の上下を「上下」とする。
図24(a)に示すように、層転写装置1は、例えばレーザプリンタ等の画像形成装置でシートSにトナー像を形成した後、シートSのトナー像の上にアルミニウム等の箔を転写するための装置である。つまり、層転写装置1は、シートSのトナー像の上に箔を転写することで、シートSに箔の画像を形成している。層転写装置1は、筐体2と、シートトレイ3と、搬送手段の一例としてのシート搬送部10と、フィルム供給部30と、転写部50とを備えている。
筐体2は、樹脂などからなり、筐体本体21と、カバー22とを備えている。筐体本体21は、上部に開口21A(図25参照)を有している。開口21Aは、筐体本体21に後述するフィルムユニットFUを着脱するための開口である。カバー22は、開口21Aを開閉するための部材である。カバー22の後端部は、筐体本体21に回動可能に支持されている。カバー22は、開口21Aを閉じる閉位置(図24(a)の位置)と、開口21Aを開放する開位置(図25の位置)との間で回動可能となっている。
シートトレイ3は、用紙、OHPフィルム等のシートSが載置されるトレイである。シートトレイ3は、筐体2の後部に設けられている。なお、シートSは、トナー像が形成された面を下向きにしてシートトレイ3上に載置される。
シート搬送部10は、シート供給機構11と、シート排出機構12とを備えている。シート供給機構11は、シートトレイ3上のシートSを一枚ずつ転写部50に向けて搬送する機構である。シート供給機構11は、ピックアップローラ11Aと、リタードローラ11Bと、上流側搬送ローラ11Cとを備えている。
ピックアップローラ11Aは、シートトレイ3上のシートSを転写部50に向けて供給するためのローラである。リタードローラ11Bは、ピックアップローラ11Aによって搬送されるシートSを1枚に分離するためのローラである。
リタードローラ11Bは、ピックアップローラ11Aの上に配置されている。リタードローラ11Bは、ピックアップローラ11Aで送り出されるシートSの上に重なっているシートSをシートトレイ3に向けて戻す方向に回転可能となっている。
上流側搬送ローラ11Cは、2つのローラからなり、これらのローラの間でシートSを挟んだ状態で各ローラが回転することで、シートSを搬送可能となっている。上流側搬送ローラ11Cは、ピックアップローラ11Aと転写部50との間に配置され、ピックアップローラ11Aで送り出されるシートSを転写部50に搬送する。
シート排出機構12は、転写部50を通過したシートSを筐体2の外部に排出する機構である。シート排出機構12は、下流側搬送ローラ12Aと、排出ローラ12Bとを備えている。
下流側搬送ローラ12Aおよび排出ローラ12Bは、それぞれ、2つのローラからなり、これらのローラの間でシートSを挟んだ状態で各ローラが回転することで、シートSを搬送可能となっている。下流側搬送ローラ12Aは、転写部50と排出ローラ12Bとの間に配置され、転写部50から送り出されるシートSを排出ローラ12Bに搬送する。排出ローラ12Bは、シートSの搬送方向において下流側搬送ローラ12Aの下流側に配置され、下流側搬送ローラ12Aで送り出されるシートSを筐体2の外に排出する。
フィルム供給部30は、シート供給機構11から搬送されたシートSに重ねるように多層フィルムFを供給する部分である。フィルム供給部30は、フィルムユニットFUと、駆動源の一例としてのメインモータ80を備えている。
フィルムユニットFUは、図25に示すように、後述する供給リール31の軸方向に直交する方向において、開口21Aを通過して筐体本体21に着脱可能となっている。フィルムユニットFUは、供給リール31と、巻取リール35と、第1案内軸41と、第2案内軸42と、第3案内軸43とを備えている。フィルムユニットFUの供給リール31には、多層フィルムFが巻回されている。
図24(b)に示すように、多層フィルムFは、複数の層からなるフィルムである。詳しくは、多層フィルムFは、支持層F1と、被支持層F2とを有する。支持層F1は、高分子材料からなるテープ状の透明な基材であり、被支持層F2を支持している。被支持層F2は、例えば、剥離層F21と、転写層F22と、接着層F23とを有する。剥離層F21は、支持層F1から転写層F22を剥離しやすくするための層であり、支持層F1と転写層F22との間に配置されている。剥離層F21は、支持層F1から剥離しやすい透明な材料、例えばワックス系樹脂を含んでいる。
転写層F22は、トナー像に転写される層であり、箔を含んでいる。箔とは、金、銀、銅、アルミニウム等の金属であって薄く延された金属である。また、転写層F22は、金色、銀色、赤色などの着色材料と、熱可塑性樹脂とを含む。転写層F22は、剥離層F21と接着層F23との間に配置されている。
接着層F23は、転写層F22をトナー像に接着しやすくするための層である。接着層F23は、後述する転写部50によって加熱されたトナー像に付着しやすい材料、例えば塩化ビニル系樹脂やアクリル系樹脂を含んでいる。
供給リール31は、樹脂などからなり、多層フィルムFが巻回される供給軸部31Aを有している。供給軸部31Aには、多層フィルムFの一端が固定されている。
巻取リール35は、樹脂などからなり、多層フィルムFを巻き取るための巻取軸部35Aを有している。巻取軸部35Aには、多層フィルムFの他端が固定されている。
なお、図24等においては、便宜上、供給リール31および巻取リール35の両方に多層フィルムFが最大に巻回された状態を図示することとする。実際には、フィルムユニットFUが新品の状態においては、供給リール31に巻回されたロール状の多層フィルムFの径は最大となっており、巻取リール35には多層フィルムFが巻回されていない、もしくは、巻取リール35に巻回されたロール状の多層フィルムFの径は最小となっている。また、フィルムユニットFUの寿命時(多層フィルムFを使い切ったとき)においては、巻取リール35に巻回されたロール状の多層フィルムFの径は最大となり、供給リール31には多層フィルムFが巻回されていない、もしくは、供給リール31に巻回されたロール状の多層フィルムFの径は最小となる。
第1案内軸41は、供給リール31から引き出される多層フィルムFの進行方向を変更するための軸である。第1案内軸41は、樹脂などからなっている。
第2案内軸42は、第1案内軸41で案内された多層フィルムFの進行方向を変更するための軸である。第2案内軸42は、樹脂などからなっている。
第3案内軸43は、第2案内軸42で案内された多層フィルムFの進行方向を変更して巻取リール35に案内する軸である。第3案内軸43は、樹脂などからなっている。
第1案内軸41は、トナー像を下にした状態で搬送されるシートSに対して、供給リール31から引き出された多層フィルムFを下から重ねるように案内している。第1案内軸41は、供給リール31から引き出された多層フィルムFの搬送方向を変えて、シートSの搬送方向と略平行に多層フィルムFを案内する。
第2案内軸42は、転写部50を通過した多層フィルムFと接触し、転写部50を通過した多層フィルムFの搬送方向をシートSの搬送方向とは異なる方向に変更している。転写部50を通過してシートSと重なった状態で搬送された多層フィルムFは、第2案内軸42を通過する際にシートSとは異なる方向に案内され、シートSから剥離される。
転写部50は、シートSと多層フィルムFを重ねた状態で加熱および加圧することで、シートSに形成されたトナー像の上に転写層F22を転写するための部分である。転写部50は、加圧ローラ51と、加熱ローラ61と、切替機構70とを備えている。転写部50は、加圧ローラ51と加熱ローラ61のニップ部において、シートSと多層フィルムFを重ねて加熱および加圧する。
加圧ローラ51は、円筒状の芯金の周囲をシリコンゴムからなるゴム層で被覆したローラである。加圧ローラ51は、多層フィルムFの上側に配置され、シートSの裏面(トナー像が形成された面と反対側の面)と接触可能となっている。
加圧ローラ51は、両端部がカバー22に回転可能に支持されている。加圧ローラ51は、加熱ローラ61との間でシートSおよび多層フィルムFを挟み、メインモータ80によって回転駆動されることで加熱ローラ61を従動回転させる。このように加圧ローラ51と加熱ローラ61との間でシートSおよび多層フィルムFを挟んだ状態で、加圧ローラ51および加熱ローラ61が回転することで、シートSおよび多層フィルムFが搬送される。
加熱ローラ61は、円筒状に形成された金属管の内部にヒータを配置したローラであり、多層フィルムFおよびシートSを加熱している。加熱ローラ61は、多層フィルムFの下側に配置され、多層フィルムFと接触している。
切替機構70は、加圧ローラ51および加熱ローラ61の状態を、加圧ローラ51と加熱ローラ61で多層フィルムFを挟んだ圧接状態と、少なくとも1つのローラが多層フィルムFから離れた離間状態とに切り替えるための機構である。本実施形態では、切替機構70は、加熱ローラ61を、図29に実線で示す圧接位置と、図29に仮想線で示す離間位置との間で移動させることで、加熱ローラ61を多層フィルムFに対して接触・離間させている。つまり、切替機構70は、加熱ローラ61を多層フィルムFから離すことで、加圧ローラ51および加熱ローラ61の状態を、離間状態にする。また、切替機構70は、加熱ローラ61を多層フィルムFに圧接させることで、加圧ローラ51および加熱ローラ61の状態を、圧接状態にする。
このように構成された層転写装置1では、シートSの表面を下向きにしてシートトレイ3に載置されたシートSが、シート供給機構11により一枚ずつ転写部50に向けて搬送される。シートSは、転写部50のシート搬送方向における上流側で、供給リール31から供給された多層フィルムFと重ねられ、シートSのトナー像と多層フィルムFが接触した状態で転写部50に搬送される。
転写部50においては、シートSと多層フィルムFが加圧ローラ51と加熱ローラ61の間のニップ部を通過する際に、加熱ローラ61と加圧ローラ51により加熱および加圧され、トナー像の上に転写層F22が転写される。なお、以下の説明では、トナー像への転写層F22の転写を、単に「層転写」とも称する。
層転写が行われた後、シートSと多層フィルムFは密着した状態で第2案内軸42まで搬送される。シートSと多層フィルムFが第2案内軸42を通過すると、多層フィルムFの搬送方向がシートSの搬送方向と異なる方向に変わるため、シートSから多層フィルムFが剥離される。
シートSから剥離された多層フィルムFは、巻取リール35に巻き取られていく。一方、多層フィルムFが剥離されたシートSは、シート排出機構12によって、箔が転写された表面を下に向けた状態で、筐体2の外部に排出される。
図26に示すように、フィルムユニットFUは、樹脂などからなるホルダ100と、ホルダ100に着脱可能なフィルムカートリッジ200とを備えている。フィルムカートリッジ200は、前述した多層フィルムFが巻回された供給リール31および巻取リール35と、供給ケース32とを備えている。
供給リール31(詳しくは、供給ケース32)および巻取リール35は、ホルダ100に対して、供給リール31の軸方向に直交する方向に着脱可能となっている。そして、フィルムカートリッジ200は、ホルダ100に取り付けられた状態において、筐体本体21に着脱可能となっている。
供給ケース32は、供給リール31を収容する中空のケースである。供給ケース32は、樹脂などからなり、略円筒状の外周壁32Aと、外周壁32Aの両端に設けられる略円板状の2つの側壁32Bとを有する。供給リール31は、供給ケース32の各側壁32Bに回転可能に支持されている。
ホルダ100は、ベースフレーム110と、ベースフレーム110に回動可能(移動可能)に支持される規制フレーム120とを有している。ベースフレーム110は、第1保持部111と、第2保持部112と、2つの連結部113と、2つの取手114とを有している。
第1保持部111は、供給ケース32を保持する部位である。第1保持部111は、供給ケース32を介して供給リール31を保持している。第1保持部111は、断面視略円弧状の外周壁111Aと、2つの側壁111Bとを有する。
外周壁111Aは、供給ケース32の外周面に沿って配置されている。各側壁111Bは、供給リール31の軸方向において、外周壁111Aの各端部に配置されている。
各側壁111Bは、供給ケース32の着脱時に供給ケース32をガイドする着脱ガイドGを有している。2つのうち一方の側壁111Bには、ギヤ機構130が設けられている。ギヤ機構130は、筐体本体21に設けられる供給側トルクリミッタTL2(図29参照)の負荷を供給リール31に付与するための機構である。なお、ギヤ機構130の構造については、後で説明する。
第2保持部112は、巻取リール35を保持する部位である。詳しくは、第2保持部112は、規制フレーム120とともに、中空のケースを構成しており、中空のケース内に巻取リール35を収容している。
2つの連結部113は、第1保持部111と第2保持部112とを連結する部位である。詳しくは、各連結部113は、供給リール31の軸方向に間隔を開けて配置されている。
このように連結部113が形成されることで、ホルダ100は、供給リール31の軸方向に直交する直交方向に貫通する貫通穴100Aを有している。各取手114は、各連結部113の上に配置されている。各取手114は、ホルダ100のうち巻取リール35の軸方向両端にそれぞれ配置されている。
供給リール31は、軸方向の一端に供給ギヤ31Gを有している。供給ギヤ31Gは、供給ケース32に形成された切欠から外部に露出している。供給ギヤ31Gは、フィルムカートリッジ200がホルダ100に取り付けられた状態において、前述したギヤ機構130と噛み合うように構成されている。
巻取リール35は、前述した巻取軸部35Aと、2つのフランジ35Bと、巻取ギヤ35Cとを有している。フランジ35Bは、巻取軸部35Aに巻回される多層フィルムFの幅方向の移動を規制するための部位である。フランジ35Bは、巻取軸部35Aよりも大径の円板状に形成されており、巻取軸部35Aの両端部に設けられている。
巻取ギヤ35Cは、層転写装置1に設けられるメインモータ80から駆動力を受け、駆動力を巻取軸部35Aに伝達するためのギヤである。巻取ギヤ35Cは、軸方向において、フランジ35Bの外側に配置されている。巻取ギヤ35Cは、巻取軸部35Aと同軸に配置されている。
図27に示すように、供給リール31に負荷を付与するためのギヤ機構130は、フレームギヤ131と、ギヤ列132とを備えている。フレームギヤ131は、筐体本体21に設けられる筐体ギヤ21Gと噛み合うギヤである。フレームギヤ131は、筐体ギヤ21Gを介して後述する供給側トルクリミッタTL2などに連結されている。
ギヤ列132は、フレームギヤ131と供給ギヤ31Gを連結するギヤ列である。ギヤ列132は、第1ギヤ133と、第2ギヤ134とを備えている。第1ギヤ133は、フレームギヤ131に噛み合っている。第2ギヤ134は、2段ギヤであり、大径ギヤ部134Aと、小径ギヤ部134Bとを有する。
大径ギヤ部134Aは、小径ギヤ部134Bよりも大径のギヤである。大径ギヤ部134Aは、第1ギヤ133に噛み合っている。小径ギヤ部134Bは、供給ギヤ31Gに噛み合っている。
図28に示すように、供給リール31の軸方向の他端には、第1付与手段の一例としての第1負荷付与機構310が設けられている。第1負荷付与機構310は、供給リール31を回転可能に支持する供給ケース32との間で摩擦力を発生させることで供給リール31に第1負荷トルクLT1を付与する機構である。
第1負荷付与機構310は、供給リール31に固定される固定部材311と、固定部材311に対して軸方向に移動可能な可動部材312と、固定部材311と可動部材312との間に配置されるコイルバネ313と、供給ケース32に固定される摩擦パッド314とを備えている。
固定部材311は、円筒状に形成された供給軸部31Aに嵌合されることで、供給軸部31Aに固定されている。可動部材312は、固定部材311によって軸方向に移動可能に支持されている。
そして、可動部材312は、コイルバネ313によって摩擦パッド314に付勢されている。これにより、供給リール31が回転すると、可動部材312と摩擦パッド314との間で摩擦力が生じるので、第1負荷付与機構310によって供給リール31に第1負荷トルクLT1が付与される。
図29に示すように、メインモータ80は、前述したように巻取リール35および加圧ローラ51に駆動力を付与する他、シート搬送部10にも駆動力を付与している。ここで、図29においては、便宜上、層転写装置1の構成を簡略化して図示している。
層転写装置1は、メインモータ80の駆動力を巻取リール35に伝達するための構成として、制限手段の一例としての巻取側トルクリミッタTL1と、ギヤG1とを主に備えている。巻取側トルクリミッタTL1は、メインモータ80から巻取リール35に加わる駆動トルクDTを所定値以下に制限する機能を有している。
巻取側トルクリミッタTL1は、図示せぬギヤを介してメインモータ80に連結されている。また、巻取側トルクリミッタTL1は、ギヤG1を介して巻取ギヤ35Cに連結されている。
層転写装置1は、メインモータ80の駆動力をシート搬送部10に伝達するための構成として、ピックアップクラッチC1と、ギヤG2とを主に備えている。ピックアップクラッチC1は、メインモータ80からピックアップローラ11Aへの駆動力の伝達を切り替えるための電磁クラッチである。
ピックアップクラッチC1は、図示せぬギヤを介してメインモータ80に連結されている。また、ピックアップクラッチC1は、ギヤG2を介してピックアップローラ11Aに連結されている。なお、シート搬送部10を構成する各ローラのうち、ピックアップローラ11A以外のローラは、図示せぬギヤを介してメインモータ80に連結されている。
層転写装置1は、メインモータ80の駆動力を加圧ローラ51に伝達するための構成として、伝達機構TMと、伝達切替手段の一例としてのローラクラッチC5とを主に備えている。伝達機構TMは、メインモータ80からの駆動力を加圧ローラ51に伝達させる機構である。伝達機構TMは、ローラクラッチC5から加圧ローラ51へ駆動力を伝達するためのギヤG3と、メインモータ80からローラクラッチC5へ駆動力を伝達するための図示せぬギヤとを備えている。
ローラクラッチC5は、伝達機構TMの状態を、加圧ローラ51に駆動力を伝達させる伝達状態と、加圧ローラ51への駆動力の伝達を遮断する遮断状態とに切替可能な電磁クラッチである。
層転写装置1は、第2付与手段の一例としての供給側トルクリミッタTL2と、変更手段の一例としてのリールクラッチC2と、接離モータ90と、制御部300とをさらに備えている。
供給側トルクリミッタTL2は、第2負荷トルクLT2を供給リール31に付与するための部材である。ここで、第2負荷トルクLT2は、巻取リール35に加わる駆動トルクDTから前述した第1負荷トルクLT1を引いた値よりも大きな値に設定されている。また、前述した第1負荷トルクLT1は、巻取リール35に加わる駆動トルクDTよりも小さな値に設定されている。本実施形態において、負荷付与手段は、供給側トルクリミッタTL2と、前述した第1負荷付与機構310とで構成されている。
供給側トルクリミッタTL2は、リールクラッチC2に連結されている。リールクラッチC2は、供給側トルクリミッタTL2と供給リール31の接続状態を変更可能とする電磁クラッチである。リールクラッチC2が供給側トルクリミッタTL2と供給リール31の接続状態を変更することで、供給リール31に付与される負荷トルクLTの大きさが変更されるようになっている。詳しくは、供給側トルクリミッタTL2と供給リール31との接続が切れた状態においては、供給リール31に付与される負荷トルクLTは、第1負荷トルクLT1となり、駆動トルクDTよりも小さな値となる。また、供給側トルクリミッタTL2と供給リール31とが接続された状態においては、供給リール31に付与される負荷トルクLTは、第1負荷トルクLT1に第2負荷トルクLT2を加えた値となり、駆動トルクDTよりも大きな値となる。
リールクラッチC2は、筐体ギヤ21Gと前述したギヤ機構130(図示略)を介して供給ギヤ31Gに連結されている。また、筐体ギヤ21Gは、検知ギヤG4と噛み合っている。検知ギヤG4は、複数のスリットが形成された回転板を有するギヤである。回転板の各スリットは、図示せぬロータリエンコーダによって検出されることで、供給リール31の回転速度を検出することが可能となっている。
接離モータ90は、切替機構70を駆動して、加圧ローラ51および加熱ローラ61の状態を、圧接状態と離間状態とに切り替えるためのモータである。また、切替機構70の近傍には、切替機構70が離間状態であることを検知する離間センサSAが設けられている。ここで、離間センサSAとしては、例えば光センサなどを用いることができる。
また、ピックアップローラ11Aと上流側搬送ローラ11Cとの間には、転写部50に向けて搬送されるシートSの通過を検知する第1シートセンサSS1が設けられている。さらに、下流側搬送ローラ12Aと排出ローラ12Bとの間には、転写部50から送り出されるシートSの通過を検知する第2シートセンサSS2が設けられている。
ここで、第1シートセンサSS1および第2シートセンサSS2としては、例えば、シートSが接触することで回動するレバーと、レバーの位置を検知する光センサとからなるセンサを用いることができる。このような構成とすることで、第1シートセンサSS1および第2シートセンサSS2のそれぞれにおいて、シートSの先端が通過したこと、シートSの後端が通過したことを検知することが可能となっている。
なお、加圧ローラ51と加熱ローラ61との間でシートSおよび多層フィルムFを搬送しているときに、各ローラ51,61と巻取リール35との間で多層フィルムFが弛まないように、巻取リール35、詳しくは巻取軸部35Aの周速は、加圧ローラ51の周速よりも大きくなるように設定されている。詳しくは、周速の関係が前述の関係となるように、メインモータ80の駆動力を加圧ローラ51に伝達する伝達機構TMと、メインモータ80の駆動力を巻取リール35に伝達する機構が構成されている。
なお、各ローラ51,61で多層フィルムFを挟んでいる状態では、巻取軸部35Aの回転は加圧ローラの周速に規制されるので、層転写中においては、巻取軸部35Aの実際の周速と加圧ローラ51の実際の周速は略同じである。そのため、前述した巻取軸部35Aの周速とは、仮に各ローラ51,61が離間状態で、かつ、負荷トルクLTが駆動トルクDTよりも小さい関係であるときの仮想の周速をいう。なお、実際の制御においては、巻取軸部35Aの周速がこのような仮想の周速になることはない。
制御部300は、CPU、RAM、ROMおよび入出力回路を備えており、ROM等に記憶されたプログラムやデータに基づいて各種演算処理を行うことによって、制御を実行する。具体的に、制御部300は、加圧ローラ51および加熱ローラ61の状態を離間状態から圧接状態に切り替える第1切替制御と、加圧ローラ51および加熱ローラ61の状態を圧接状態から離間状態に切り替える第2切替制御とを、メインモータ80の駆動力が巻取リール35に伝達されているときに実行する機能を有している。
制御部300は、第1切替制御によって加圧ローラ51および加熱ローラ61の状態が圧接状態であり、かつ、負荷トルクLTが駆動トルクDTよりも小さいことを条件として、加圧ローラ51および加熱ローラ61を回転させる機能を有している。また、制御部300は、加圧ローラ51および加熱ローラ61の状態が圧接状態であるとともに回転中であり、かつ、負荷トルクLTが駆動トルクDTよりも小さいことを条件として、加圧ローラ51および加熱ローラ61を停止させ、かつ、第2切替制御を実行する機能を有している。
さらに、制御部300は、リールクラッチC2を制御することで、負荷トルクLTを変更するトルク変更制御を実行する機能を有している。詳しくは、トルク変更制御において、制御部300がリールクラッチC2を接続すると、供給側トルクリミッタTL2と供給リール31が接続されてLT=LT1+LT2となり、負荷トルクLTが駆動トルクDTよりも大きくなる。また、トルク変更制御において、制御部300がリールクラッチC2を切ると、供給側トルクリミッタTL2と供給リール31との接続が切られてLT=LT1となり、負荷トルクLTが駆動トルクDTよりも小さくなる。
また、制御部300は、加圧ローラ51および加熱ローラ61の状態が離間状態である場合には、メインモータ80を駆動する前に、トルク変更制御を実行して、リールクラッチC2を接続することで、LT>DTとする機能を有している。さらに、制御部300は、リールクラッチC2を切った後に、ローラクラッチC5を制御して伝達機構TMの状態を遮断状態から伝達状態に切り替える機能を有している。
次に、制御部300の動作について、図30および図31を参照して詳細に説明する。なお、層転写を実行していない初期状態においては、加熱ローラ61は離間位置に位置している。また、図30の処理は、層転写装置1の電源が投入された後、繰り返し実行される。
図30に示す処理において、制御部300は、まず、層転写指令があるか否かを判断する(S1)。ここで、層転写指令は、例えば筐体2に設置された操作パネルをユーザが操作することによって、操作パネルから制御部300に出力される。
ステップS1において層転写指令がないと判断した場合には(No)、制御部300は、本処理を終了する。ステップS1において層転写指令があると判断した場合には(Yes)、制御部300は、加熱ローラ61内のヒータをONにした後(S2、図31の時刻t1)、リールクラッチC2を接続する(S3、時刻t2)。ここで、図31の時刻t1~t2間は、便宜上、短い時間間隔で図示しているが、実際には、ヒータをONにしてから加熱ローラ61の温度がある程度目標温度に近くなったときに、リールクラッチC2を接続する。なお、図31は、各部材の動作タイミングの順序を誇張して図示しているため、時間間隔については実際の時間間隔とは異なっている。
ステップS3においてリールクラッチC2を接続すると、負荷トルクLTが、LT1+LT2となり、駆動トルクDTよりも大きくなる。ステップS3の後、制御部300は、メインモータ80をONにする(S4、時刻t3)。メインモータ80をONにすると、メインモータ80の駆動力が巻取側トルクリミッタTL1を介して巻取リール35に伝達される。これにより、巻取リール35に駆動トルクDTが加わるが、ステップS3の処理によって、LT>DTとなっているため、負荷トルクLTによって供給リール31からの多層フィルムFの引き出しが規制される。そのため、駆動トルクDTが加わった巻取リール35によって多層フィルムFが引っ張られるが、供給リール31および巻取リール35の回転が止まっているため、多層フィルムFは、搬送されることなく、所定のテンションが加わった状態で止まっている。
ステップS4の後、制御部300は、ピックアップクラッチC1を接続することで、シートSの供給を実行する(S5、時刻t4)。詳しくは、制御部300は、1枚のシートSをピックアップローラ11Aで搬送するのに必要な時間αだけピックアップクラッチC1に電流を流すことで、ピックアップローラ11Aを所定時間だけ駆動させる。なお、ピックアップローラ11Aの駆動の停止は、第1シートセンサSS1でシートSの先端を検知したタイミングに基づいて決めてもよい。
ステップS5の後、制御部300は、接離モータ90をONにして第1切替制御を開始することで、加熱ローラ61の離間位置から圧接位置への移動を開始する(S6、時刻t6)。詳しくは、制御部300は、第1切替制御において、加熱ローラ61の移動に必要な時間βだけ接離モータ90に電流を流す。なお、制御部300は、後述する第2切替制御も第1切替制御と同様に行う。
ステップS6の後、詳しくは加熱ローラ61が圧接位置に移動した後、制御部300は、リールクラッチC2を切断する(S7、時刻t8)。これにより、加圧ローラ51および加熱ローラ61が圧接状態になった後に、負荷トルクLTが、LT1となって、駆動トルクDTよりも小さくなる。ここで、加圧ローラ51および加熱ローラ61が圧接状態になる前に、LT<DTにしてしまうと、巻取リール35が回転し始めて、多層フィルムFが無駄に搬送されてしまう。そのため、前述したように、加圧ローラ51および加熱ローラ61が圧接状態になった後、つまり加圧ローラ51と加熱ローラ61との間で多層フィルムFを挟んだ後に、LT<DTとすることで、巻取リール35が回転し始めるのを規制することができ、多層フィルムFの無駄な搬送が抑えられる。
ステップS7の後、制御部300は、ローラクラッチC5を接続する(S8、時刻t9)。これにより、メインモータ80から加圧ローラ51に駆動力が伝達されて、加圧ローラ51および加熱ローラ61が回転するので、多層フィルムFの搬送が開始される。
ここで、ステップS6~S8の処理は、多層フィルムFを搬送するための処理であるため、シートSが、加圧ローラ51と加熱ローラ61の間の層転写位置に到達する時刻t10の直前で行うのがよい。そのため、第1シートセンサSS1でシートSの先端を検知したタイミング(時刻t5)に基づいて、ステップS6~S8の各処理を行うタイミングを決めればよい。
なお、ステップS6~S8の各処理を行うタイミングは、略同時のタイミングで行うのが好ましい。また、ステップS6~S8の各処理を行うタイミングは、本実施形態とは異なる順序で行ってもよいし、同時に行ってもよい。
なお、リールクラッチC2の切断のタイミングは、例えば、接離モータ90をONするタイミング(時刻t6)や、離間センサSAから加熱ローラ61が離間位置に位置しないことを示す信号を受けたタイミング(時刻t7)に基づいて決めることもできる。ここで、離間センサSAは、加熱ローラ61が離間位置に位置する間、第1信号(例えばLow信号)を出力し、加熱ローラ61が離間位置から移動し始めた直後に第2信号(例えばHigh信号)を出力する。そのため、加熱ローラ61が圧接位置に到達するタイミングは、接離モータ90の駆動中の時間βの間であって、離間センサSAから第2信号を受けた後のタイミングになるので、前述した各タイミング(時刻t6,t7)に基づいて、リールクラッチC2の切断のタイミングを決めてもよい。
ステップS8の後、制御部300は、トナー像への層転写が完了したか否かを判断する(S9)。具体的には、制御部300は、第1シートセンサSS1でシートSの後端を検知(時刻t11)してからの経過時間に基づいて、層転写が完了したかを判断する。ここで、層転写の完了のタイミングは、シートSのトナー像の後端が層転写位置を通過したタイミングや、シートSの後端が層転写位置を通過したタイミングや、シートSのトナー像の後端が、剥離ローラとしての第2案内軸42(図24参照)を通過したタイミングなどとすることができる。
なお、本実施形態では、層転写の完了のタイミングを、シートSのトナー像の後端が第2案内軸42を通過したタイミング、具体的には、シートSの後端が層転写位置を通過した時刻t12から所定時間後のタイミング(時刻t13)とする。このように層転写の完了のタイミングを設定することで、シートSのトナー像からの多層フィルムFの剥離が完了する前に多層フィルムFが止まることが抑制されるので、多層フィルムFをトナー像から良好に剥離することができる。
ステップS9において層転写が完了したと判断した場合には(Yes)、制御部300は、ローラクラッチC5を切断するとともに、接離モータ90をONにして第2切替制御を開始する(S10、時刻t13)。なお、本実施形態では、ローラクラッチC5の切断と接離モータ90のONを同時に行うこととするが、本発明はこれに限定されず、異なるタイミングで行ってもよい。
ステップS10においてローラクラッチC5を切断すると、メインモータ80から加圧ローラ51への駆動力の伝達が切れるので、加圧ローラ51および加熱ローラ61が停止して、多層フィルムFの搬送が止められる。また、ステップS10において接離モータ90をONにすると、加熱ローラ61の圧接位置から離間位置への移動が開始される。
ステップS10の後、詳しくは加熱ローラ61の離間位置への移動を開始してから加熱ローラ61が多層フィルムFから離れる前までの間に、制御部300は、リールクラッチC2を接続する(S11、時刻t14)。これにより、リールクラッチC2を接続する前の状態では、加圧ローラ51と加熱ローラ61との間で多層フィルムFを挟んでいることで、多層フィルムFの搬送が止められている。
そして、リールクラッチC2の接続後は、負荷トルクLTが、LT1+LT2となって、駆動トルクDTよりも大きくなる。そのため、リールクラッチC2の接続後に、加熱ローラ61が多層フィルムFから離れても、大きな負荷トルクLTによって、巻取リール35が回転することが規制され、多層フィルムFは搬送されることなく、所定のテンションが加わった状態で止まっている。
なお、ステップS10,S11の処理は、第1シートセンサSS1でシートSの後端を検知したタイミング(時刻t11)に基づいて行えばよい。ここで、ステップS10,S11の処理を、シートSの先端を検知したタイミング(時刻t5)に基づいて行うこともできるが、シートSの後端を検知したタイミング(時刻t11)の方がステップS10,S11の処理を行うタイミングに近いため、シートSの後端を検知したタイミング(時刻t11)に基づいてステップS10,S11の処理を行うことで、より精度のよいタイミングで各処理を行うことができる。
ステップS11の後、制御部300は、ヒータをOFFにする(S12、時刻t16)。ステップS12の後、制御部300は、メインモータ80をOFFにする(S13、時刻t17)。ステップS13の後、制御部300は、リールクラッチC2を切断して(S14、時刻t18)、本処理を終了する。なお、ステップS12~S14の処理は、第2シートセンサSS2でシートSの後端を検知したタイミング(時刻t15)に基づいて行えばよい。
次に、図29の構成をさらに簡略化した図32~図34を参照して、各部材の動きを説明する。
図32(a)に示すように、制御部300が層転写指令を受けていないときには、各部材は止まっている。特に、加熱ローラ61は、初期位置である離間位置に位置している。制御部300が層転写指令を受けると、図32(b)に示すように、制御部300は、リールクラッチC2を接続する。これにより、負荷である供給側トルクリミッタTL2が供給リール31に接続されて、負荷トルクLTが、LT1+LT2となる。
図32(a)に示すように、制御部300が層転写指令を受けていないときには、各部材は止まっている。特に、加熱ローラ61は、初期位置である離間位置に位置している。制御部300が層転写指令を受けると、図32(b)に示すように、制御部300は、リールクラッチC2を接続する。これにより、負荷である供給側トルクリミッタTL2が供給リール31に接続されて、負荷トルクLTが、LT1+LT2となる。
その後、図32(c)に示すように、制御部300がメインモータ80を駆動すると、シート搬送部10のうちピックアップローラ11A以外の各ローラ(11B,11C,12A,12B)に駆動力が伝達されて、各ローラが回転する。また、メインモータ80の駆動力は、巻取リール35にも伝達されるが、負荷トルクLTがLT1+LT2と大きいため、巻取リール35は回転せずに、供給リール31と巻取リール35の間で多層フィルムFが張られるだけで、多層フィルムFは搬送されない。
その後、図32(d)に示すように、制御部300がピックアップクラッチC1を接続すると、ピックアップローラ11Aに駆動力が伝達されて、ピックアップローラ11Aが回転する。これにより、シートSの供給が開始される。その後、シートSの先端が層転写位置にある程度近づくと、制御部300は、加熱ローラ61を加圧ローラ51に圧接させる。
その後、図33(a)に示すように、制御部300がリールクラッチC2を切断すると、負荷トルクLTが、LT1となって、駆動トルクDTよりも小さくなる。しかし、この際、各ローラ51,61間で多層フィルムFが挟まれているので、多層フィルムFは、巻取リール35で巻き取られずに、各ローラ51,61と巻取リール35の間で張られるだけで、搬送されることはない。
その後、図33(b)に示すように、シートSが層転写位置に到達する直前になると、制御部300は、ローラクラッチC5を接続する。これにより、メインモータ80の駆動力が加圧ローラ51に伝達されるので、各ローラ51,61が回転し、各ローラ51,61によって多層フィルムFおよびシートSが搬送される。そして、各ローラ51,61によって多層フィルムFおよびシートSを搬送している最中に、層転写が行われる。各ローラ51,61によって搬送される多層フィルムFは、巻取リール35によって巻き取られていく。
その後、図33(c)に示すように、層転写が完了すると、制御部300は、ローラクラッチC5を切断する。これにより、各ローラ51,61の回転が止まるので、多層フィルムFの搬送が止められる。また、制御部300は、ローラクラッチC5の切断と同時に加熱ローラ61の圧接位置から離間位置への移動を開始する。
その後、図33(d)に示すように、制御部300は、加熱ローラ61と加圧ローラ51の圧接が解除される前に、リールクラッチC2を接続して、負荷トルクLTを駆動トルクDTよりも大きくする。これにより、加熱ローラ61が圧接位置から離間位置に移動するまでの間と、加熱ローラ61が多層フィルムFから離れてから図34(a)に示す離間位置に到達するまでの間の両方の期間において、多層フィルムFの搬送を止めておくことができる。
その後、図34(b)に示すように、制御部300は、リールクラッチC2を接続したままの状態で、メインモータ80をOFFにする。そして、最後に、制御部300がリールクラッチC2を切断することで、層転写装置1が図32(a)に示す初期状態に戻る。
以上、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
巻取リール35に駆動力が伝達されているときに2つのローラ51,61の状態を切り替えることで、テンションがかかった多層フィルムFに対して加熱ローラ61が接触・離間するため、多層フィルムFが弛んでしまうのを抑制することができる。
巻取リール35に駆動力が伝達されているときに2つのローラ51,61の状態を切り替えることで、テンションがかかった多層フィルムFに対して加熱ローラ61が接触・離間するため、多層フィルムFが弛んでしまうのを抑制することができる。
2つのローラ51,61の状態が圧接状態であり、かつ、負荷トルクLTが駆動トルクDTよりも小さいことを条件として、2つのローラ51,61を回転させるので、例えば負荷トルクが駆動トルクよりも大きい場合に各ローラを回転させる形態に比べ、供給リール31と各ローラ51,61間の多層フィルムFにかかる張力が大きくなりすぎるのを抑制することができる。
本実施形態では、2つのローラ51,61の状態が圧接状態であるとともに回転中であり、かつ、負荷トルクLTが駆動トルクDTよりも小さいことを条件として、2つのローラ51,61を停止させ、かつ、第2切替制御を実行している。つまり、多層フィルムFの搬送を止める際において、負荷トルクLTを駆動トルクDTよりも大きくする前に、2つのローラ51,61を停止させ、かつ、第2切替制御を実行している。これに対し、例えば多層フィルムの搬送を止める際において、負荷トルクを駆動トルクよりも大きくした後に、回転中の各ローラを停止・離間させる形態では、停止前の状況において、供給リールとローラ間の多層フィルムにかかる張力が大きくなりすぎてしまう。本実施形態では、このような現象が生じることを抑えることができる。
シートSの搬送を開始する場合において、メインモータ80を駆動する前に、負荷トルクLTを駆動トルクDTよりも大きくするので、多層フィルムFが巻取リール35に無駄に巻き取られることを抑制することができる。
巻取リール35の周速を加圧ローラ51の周速よりも大きくしたので、2つのローラ51,61でシートSと多層フィルムFを搬送する際において、各ローラ51,61と巻取リール35の間で多層フィルムFが弛むのを抑制することができる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
前記実施形態では、第1切替制御と第2切替制御の両方を、メインモータ80の駆動力が巻取リール35に伝達されているときに実行したが、本発明はこれに限定されず、第1切替制御および第2切替制御のうち少なくとも一方を、駆動源の駆動力が巻取リールに伝達されているときに実行すればよい。
前記実施形態では、多層フィルムFの搬送を止めるために、LT>DTとする構成としたが、本発明はこれに限定されず、LT≧DTとする構成としてもよい。
前記実施形態では、変更手段として、供給リール31に付与する負荷トルクLTを変更するリールクラッチC2を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、変更手段は、駆動トルクの大きさを変更するものであってもよい。例えば、巻取リールを駆動するためのモータを、メインモータとは別の専用モータとし、この専用モータを変更手段としてもよい。この場合、専用モータの駆動・停止を切り替えることで、負荷トルクLTと駆動トルクDTの関係を、LT<DTとLT=DTとすることができる。なお、この場合、負荷付与手段は、第1付与手段のみで構成することができる。
また、変更手段は、供給リール31に係合して供給リール31の回転を止める係合位置と、供給リール31から外れて供給リール31の回転を許可する退避位置との間で移動可能な部材としてもよい。つまり、供給リールの回転をロック・解除可能な機械的なロック機構であってもよい。この場合、ロック機構は、変更手段を構成するとともに、第2付与手段も構成する。
前記実施形態では、制限手段として巻取側トルクリミッタTL1を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、巻取リールを駆動するためのモータを、メインモータとは別の専用モータとし、この専用モータの能力を制限することで、専用モータを制限手段としてもよい。
前記実施形態では、第1付与手段として第1負荷付与機構310を例示したが、本発明はこれに限定されず、第1付与手段は、例えば、第2付与手段としての供給側トルクリミッタTL2よりも制限値の小さなトルクリミッタなどであってもよい。この場合、第1付与手段と供給リールとの接続状態を切り替えるクラッチと、第2付与手段と供給リールとの接続状態を切り替えるクラッチを設けて、2種類の負荷トルクを切り替えるようにしてもよい。
また、第2付与手段は、供給側トルクリミッタTL2に限らず、例えば、第1負荷付与機構310のように摩擦力を利用して供給リール31にブレーキ力を付与するものであってもよい。
なお、ローラクラッチC5およびピックアップクラッチC1の代わりに、加圧ローラ51を回転させるための専用のモータと、ピックアップローラ11Aを回転させるための専用のモータを設けてもよい。
前記実施形態では、伝達切替手段として、ローラクラッチC5を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、伝達機構の所定のギヤに噛み合う位置と、所定のギヤから外れる位置との間で揺動する振子ギヤなどであってもよい。
前記実施形態では、箔を含む転写層F22を例示したが、本発明はこれに限定されず、転写層は、例えば、箔や着色材料を含まず、熱可塑性樹脂から形成されていてもよい。
前記実施形態では、多層フィルムFを4層で構成したが、本発明はこれに限定されず、多層フィルムは、転写層と支持層を有していれば、層の数はいくつであってもよい。
前記実施形態では、レーザプリンタ等の画像形成装置とは別の装置として層転写装置1を構成したが、本発明はこれに限定されず、層転写装置は画像形成装置と一体に構成されていてもよい。
前記実施形態では、フィルムカートリッジ200をホルダ100を介して筐体本体21に着脱可能としたが、本発明はこれに限定されず、フィルムカートリッジが筐体本体に直接着脱可能であってもよい。
前記した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。
次に本発明の第3実施形態について図面を参照して説明する。
本発明の第3実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明においては、まず、層転写装置の全体構成を簡単に説明した後、本願発明の特徴部分の構成について説明する。
以下の説明において、方向は、図35に示す方向で説明する。すなわち、図35の右側を「前」とし、図35の左側を「後」とし、図35の紙面手前側を「左」とし、図35の紙面奥側を「右」とする。また、図35の上下を「上下」とする。
本発明の第3実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明においては、まず、層転写装置の全体構成を簡単に説明した後、本願発明の特徴部分の構成について説明する。
以下の説明において、方向は、図35に示す方向で説明する。すなわち、図35の右側を「前」とし、図35の左側を「後」とし、図35の紙面手前側を「左」とし、図35の紙面奥側を「右」とする。また、図35の上下を「上下」とする。
図35に示すように、層転写装置1は、例えばレーザプリンタ等の画像形成装置でシートSにトナー像を形成した後、シートSのトナー像の上に金箔等の箔を転写するための装置である。つまり、層転写装置1は、シートSのトナー像の上に箔を転写することで、シートSに箔の画像を形成している。層転写装置1は、筐体2と、シートトレイ3と、シート搬送部10と、フィルム供給部30と、転写部50とを備えている。
筐体2は、樹脂などからなり、筐体本体21と、カバー22とを備えている。筐体本体21は、上部に開口21A(図36参照)を有している。開口21Aは、筐体本体21に後述するフィルムユニットFUを着脱するための開口である。カバー22は、開口21Aを開閉するための部材である。カバー22の後端部は、筐体本体21に回動可能に支持されている。カバー22は、開口21Aを閉じる閉位置(図35の位置)と、開口21Aを開放する開位置(図36の位置)との間で回動可能となっている。
カバー22は、筐体本体21に係合可能なロックレバー81を備えている。ロックレバー81は、カバー22の前端部に位置している。なお、ロックレバー81については、後で詳述する。
シートトレイ3は、用紙、OHPフィルム等のシートSが載置されるトレイである。シートトレイ3は、筐体2の後部に設けられている。なお、シートSは、トナー像が形成された面を下向きにしてシートトレイ3上に載置される。
シート搬送部10は、シート供給機構11と、シート排出機構12とを備えている。シート供給機構11は、シートトレイ3上のシートSを一枚ずつ転写部50に向けて搬送する機構である。シート供給機構11は、ピックアップローラと搬送ローラを備えている。
シート排出機構12は、転写部50を通過したシートSを筐体2の外部に排出する機構である。シート排出機構12は、複数の搬送ローラを備えている。
フィルム供給部30は、シート供給機構11から搬送されたシートSに重ねるように多層フィルムFを供給する部分である。フィルム供給部30は、フィルムユニットFUと、図示せぬモータ等の駆動源を備えている。
フィルムユニットFUは、図36に示すように、後述する供給リール31の軸方向に直交する方向において、開口21Aを通過して筐体本体21に着脱可能となっている。フィルムユニットFUは、供給リール31と、巻取リール35とを備えている。供給リール31には、多層フィルムFが巻回されている。
多層フィルムFは、複数の層からなるフィルムである。詳しくは、多層フィルムFは、
支持層と、被支持層とを有する。支持層は、高分子材料からなるテープ状の透明な基材であり、被支持層を支持している。被支持層は、例えば、剥離層と、転写層と、接着層とを有する。剥離層は、支持層から転写層を剥離しやすくするための層であり、支持層と転写層との間に配置されている。剥離層は、支持層から剥離しやすい透明な材料、例えばワックス系樹脂を含んでいる。
支持層と、被支持層とを有する。支持層は、高分子材料からなるテープ状の透明な基材であり、被支持層を支持している。被支持層は、例えば、剥離層と、転写層と、接着層とを有する。剥離層は、支持層から転写層を剥離しやすくするための層であり、支持層と転写層との間に配置されている。剥離層は、支持層から剥離しやすい透明な材料、例えばワックス系樹脂を含んでいる。
転写層は、トナー像に転写される層であり、箔を含んでいる。箔とは、金、銀、銅、アルミニウム等の金属であって薄く延された金属である。また、転写層は、金色、銀色、赤色などの着色材料と、熱可塑性樹脂とを含む。転写層は、剥離層と接着層との間に配置されている。接着層は、転写層をトナー像に接着しやすくするための層である。接着層は、後述する転写部50によって加熱されたトナー像に付着しやすい材料、例えば塩化ビニル系樹脂やアクリル系樹脂を含んでいる。
供給リール31は、樹脂などからなり、多層フィルムFが巻回される供給軸部31Aを有している。供給軸部31Aには、多層フィルムFの一端が固定されている。多層フィルムFは、支持層を外側、被支持層を内側にして、供給リール31に巻回されている。
巻取リール35は、樹脂などからなり、多層フィルムFを巻き取るための巻取軸部35Aを有している。巻取軸部35Aには、多層フィルムFの他端が固定されている。多層フィルムFは、支持層を外側、被支持層を内側にして、巻取リール35に巻回されている。
なお、図35等においては、便宜上、供給リール31および巻取リール35の両方に多層フィルムFが最大に巻回された状態を図示することとする。実際には、フィルムユニットFUが新品の状態においては、供給リール31に巻回されたロール状の多層フィルムFの径は最大となっており、巻取リール35には多層フィルムFが巻回されていない、もしくは、巻取リール35に巻回されたロール状の多層フィルムFの径は最小となっている。また、フィルムユニットFUの寿命時(多層フィルムFを使い切ったとき)においては、巻取リール35に巻回されたロール状の多層フィルムFの径は最大となり、供給リール31には多層フィルムFが巻回されていない、もしくは、供給リール31に巻回されたロール状の多層フィルムFの径は最小となる。
フィルムユニットFUを層転写装置1に装着した状態において、巻取リール35は、図示せぬ駆動源によって図示反時計回りに回転駆動される。巻取リール35が回転すると、供給リール31に巻回された多層フィルムFが引き出され、引き出された多層フィルムFが巻取リール35に巻き取られていく。詳しくは、箔転写中において、後述する加圧ローラ51と加熱ローラ61によって多層フィルムFが送り出されることで、供給リール31から多層フィルムFが引き出される。そして、加圧ローラ51と加熱ローラ61から送り出された多層フィルムFが、巻取リール35に巻き取られていく。
転写部50は、シートSと多層フィルムFを重ねた状態で加熱および加圧することで、シートSに形成されたトナー像の上に転写層を転写するための部分である。転写部50は、加圧ローラ51と、加熱ローラ61とを備えている。転写部50は、加圧ローラ51と加熱ローラ61のニップ部において、シートSと多層フィルムFを重ねて加熱および加圧する。
加圧ローラ51は、円筒状の芯金の周囲をシリコンゴムからなるゴム層で被覆したローラである。加圧ローラ51は、多層フィルムFの上側に配置され、シートSの裏面(トナー像が形成された面と反対側の面)と接触可能となっている。
加圧ローラ51は、両端部がカバー22に回転可能に支持されている。加圧ローラ51は、加熱ローラ61との間でシートSおよび多層フィルムFを挟み、図示せぬ駆動源によって回転駆動されることで加熱ローラ61を従動回転させる。
加熱ローラ61は、円筒状に形成された金属管の内部にヒータを配置したローラであり、多層フィルムFおよびシートSを加熱している。加熱ローラ61は、多層フィルムFの下側に配置され、多層フィルムFと接触している。
なお、本実施形態では、加熱ローラ61を多層フィルムFに対して接触・離間させるための切替機構70によって加熱ローラ61を移動させている。切替機構70は、カバー22を閉じている状態においては、シートSが転写部50に供給されるタイミングに合わせて加熱ローラ61を、多層フィルムFに接触する接触位置に移動させている。また、切替機構70は、カバー22が開けられた場合や、転写部50においてシートSに箔転写を行わない場合には、加熱ローラ61を、多層フィルムFから離間する離間位置に位置させている。
このように構成された層転写装置1では、シートSの表面を下向きにしてシートトレイ3に載置されたシートSが、シート供給機構11により一枚ずつ転写部50に向けて搬送される。シートSは、転写部50のシート搬送方向における上流側で、供給リール31から供給された多層フィルムFと重ねられ、シートSのトナー像と多層フィルムFが接触した状態で転写部50に搬送される。
転写部50においては、シートSと多層フィルムFが加圧ローラ51と加熱ローラ61の間のニップ部を通過する際に、加熱ローラ61と加圧ローラ51により加熱および加圧され、トナー像の上に箔が転写される。転写部50の下流側において、多層フィルムFは、シートSから剥離される。
シートSから剥離された多層フィルムFは、巻取リール35に巻き取られていく。一方、多層フィルムFが剥離されたシートSは、シート排出機構12によって、箔が転写された表面を下に向けた状態で、筐体2の外部に排出される。
層転写装置1は、温度センサSaと、制御部300とをさらに備えている。温度センサSaは、筐体本体21内の温度を検知するセンサである。
制御部300は、CPU、RAM、ROMおよび入出力回路を備えており、ROM等に記憶されたプログラムやデータに基づいて各種演算処理を行うことによって、制御を実行する。なお、制御部300の動作については、後で詳述する。
図37に示すように、ロックレバー81は、円筒状のシャフト82の両端に1つずつ設けられている。シャフト82は、カバー22に回動可能に支持されている。シャフト82の軸方向中央部には、ユーザによって操作されるハンドル83が設けられている。各ロックレバー81およびハンドル83は、シャフト82に固定されている。これにより、ユーザがハンドル83を回動させると、シャフト82とともに各ロックレバー81が回動するようになっている。
図38(a)に示すように、ロックレバー81は、先端部がフック形状となっており、先端部が筐体本体21に設けられるロックピンRPに係合可能となっている。ロックレバー81は、カバー22が閉位置に位置する状態において、ロックピンRPに係合可能な係合位置(図38(a)の位置)と、ロックピンRPから外れる非係合位置(図38(c)の位置)とに移動可能となっている。
筐体本体21は、第1センサSbと、第2回動部材84と、第2センサScとをさらに備えている。第1センサSbは、ロックレバー81が係合位置に位置することを検知するためのセンサである。
第1センサSbは、ロックレバー81の先端部に接触可能なアーム部Sb1を有している。第1センサSbは、アーム部Sb1が図38(a)の位置に位置するときに、ロックレバー81が係合位置に位置することを示す信号を出力し、アーム部Sb1が図38(a)の位置から少しでもずれているときにロックレバー81が係合位置に位置しないことを示す信号を出力する機能を有している。
ここで、ロックレバー81の先端部は、例えばロックレバー81の中央部に比べ、ロックレバー81の回動中心から離れている。これにより、ロックレバー81の先端部は、ロックレバー81が所定量回動したときにおいて、中央部よりも移動量が大きい。そのため、第1センサSbのアーム部Sb1をロックレバー81の先端部に接触可能な位置に配置することで、ロックレバー81が係合位置から僅かに動いた場合であっても、ロックレバー81が係合位置に位置していないことを示す信号を第1センサSbから出力することが可能となっている。
第2回動部材84は、図38(a)に示す第1位置と、図38(c)に示す第2位置との間で回動可能となっている。第2回動部材84は、ロックレバー81に接触可能な第1ボス84Aと、後述するスライド部材92に接触可能な第2ボス84B(図38(b)参照)とを有している。第2回動部材84は、ロックレバー81が係合位置から非係合位置に向けて移動する際に、ロックレバー81が第1ボス84Aに係合することで、第1位置から第2位置へ移動可能となっている。
詳しくは、ロックレバー81は、第1ボス84Aと接触可能な第1面81Aおよび第2面81Bを有している。第1面81Aは、第2面81Bよりもロックレバー81の回動中心の近くに位置している。第2面81Bは、第1面81Aから第1面81Aとは異なる角度で延びている。ロックレバー81が所定角度回動したときにおいて、第1面81Aによって第1ボス84Aを押し出す量は、第2面81Bによって第1ボス84Aを押し出す量よりも大きくなるように、第1面81Aおよび第2面81Bの角度が設定されている。
第2回動部材84は、図示せぬトーションバネによってロックレバー81に向けて付勢されている。これにより、ロックレバー81が非係合位置から係合位置に移動する際に、第2回動部材84は、第1ボス84Aが第1面81Aまたは第2面81Bで支えられながら、トーションバネの付勢力によって第2位置から第1位置に移動する。
スライド部材92は、図38(a),(b)に示すロック位置と、図38(c)に示す非ロック位置との間で直線的に移動可能となっている。図38(b)に示すように、スライド部材92は、ロック位置において、第2回動部材84の第2ボス84Bと接触することで、第2回動部材84の第1位置から前記第2位置に向かう移動を規制している。また、図38(c)に示すように、スライド部材92は、非ロック位置において、第2回動部材84の第2ボス84Bから離れることで、第2回動部材84の第1位置から第2位置に向かう移動を許容している。
これにより、スライド部材92は、ロック位置において、ロックレバー81の係合位置から非係合位置に向かう移動を、第2回動部材84を介して規制している。また、スライド部材92は、非ロック位置において、ロックレバー81の係合位置から非係合位置に向かう移動を許容している。
図38(a)に示すように、スライド部材92がロック位置に位置し、かつ、ロックレバー81が係合位置に位置するときには、第2回動部材84の第2ボス84Bとスライド部材92の間には、隙間が空いている。これにより、スライド部材92をロック位置と非ロック位置との間で直動させるときに、第2ボス84Bがスライド部材92の直動の妨げとならず、スライド部材92をスムーズに動かすことが可能となっている。また、このような隙間が形成されることで、係合位置に位置するロックレバー81は、ユーザの操作によって僅かに回動することが可能となっている。なお、このようにロックレバー81が係合位置から僅かに動いた場合には、前述したように、ロックレバー81が係合位置に位置していないことを示す信号を第1センサSbから出力される。
第2センサScは、スライド部材92の位置を検知するためのセンサである。なお、スライド部材92は、後述するプランジャ91Aと連動しているため、第2センサScは、スライド部材92の位置を検知することで、プランジャ91Aの位置も間接的に検知している。第2センサScは、光センサであり、光を出射する発光部Sc1と、発光部Sc1からの光を受光可能な受光部Sc2とを有している。スライド部材92は、ロック位置において、発光部Sc1と受光部Sc2との間に位置する被検知部92Aを有している。被検知部92Aは、スライド部材92がロック位置から非ロック位置に移動すると、発光部Sc1と受光部Sc2との間から外れるように構成されている。
第2センサScは、発光部Sc1の光が被検知部92Aで遮られることで受光部Sc2に光が入力されていないときに、スライド部材92がロック位置に位置することを示す信号を出力する。また、第2センサScは、発光部Sc1と受光部Sc2との間から被検知部92Aが外れることで受光部Sc2に光が入力されているときに、スライド部材92がロック位置に位置していないことを示す信号を出力する。詳しくは、第2センサScは、スライド部材92が、ロック位置から所定距離だけ非ロック位置側にずれた位置(光が被検知部92Aから外れた位置)から非ロック位置までの間の各位置において、ロック位置に位置していないことを示す信号を出力する。
図39に示すように、筐体本体21は、ロックレバー81が係合位置から非係合位置に向けて移動することを規制または許容するためのロックレバー規制機構900をさらに備えている。ロックレバー規制機構900は、ソレノイド91と、前述したスライド部材92と、第1回動部材93とを備えている。図40(a)に示すように、ソレノイド91は、磁性体からなるプランジャ91Aと、プランジャ91Aを移動可能に支持するハウジング91Bと、ハウジング91B内に設けられるコイル91Cおよび永久磁石91Dと、を備えている。
図40(a)に示すように、プランジャ91Aは、円柱状に形成され、実線で示す内方位置と、二点鎖線で示す、内方位置と前記内方位置よりも外方に位置する外方位置との間で軸方向に移動可能となっている。プランジャ91Aの一端部には、第1回動部材93(図39参照)と係合可能な係合溝A1が形成されている。なお、本実施形態では、後述するように、プランジャ91Aが内方位置に位置するときにカバー22が閉位置でロックされ、プランジャ91Aが外方位置に位置するときにカバー22のロックが解除されることとする。つまり、本実施形態では、プランジャ91Aは、内方位置においてロック位置に位置し、外方位置において非ロック位置に位置する。
永久磁石91Dは、プランジャ91Aをロック位置に保持する磁力を発生している(図40(b)参照)。つまり、永久磁石91Dは、コイル91Cに通電されていないときに、内方位置に位置するプランジャ91Aを、外方位置へ向かうのを規制する磁力で保持する。
コイル91Cは、通電により磁力を発生する部材である。コイル91Cは、第1電流が流されたときに、図40(a)に示すような所定の向きの第1磁力を発生し、この第1磁力と永久磁石91Dの磁力とを合わせた合力によって、プランジャ91Aをロック位置に移動させることが可能となっている。また、コイル91Cは、第1電流とは逆向きの第2電流が流されたときに、図40(c)に示すような、所定の向きとは反対向きの第2磁力を発生し、永久磁石91Dの磁力を打ち消すことが可能となっている。
図39および図41に示すように、第1回動部材93は、図39に示すロック位置と、図41に示す非ロック位置との間で、回動可能となっている。第1回動部材93は、プランジャ91Aの係合溝A1に係合する係合片93Aを有している。第1回動部材93は、係合片93Aが係合溝A1に係合することで、プランジャ91Aに連結され、プランジャ91Aと連動可能となっている。
第1回動部材93および第2回動部材84は、同一の回動軸XRを中心に回動可能となっている。第1回動部材93は、回動軸XRからスライド部材92に向けて延びている。第1回動部材93のスライド部材92側の端部には、長孔形状の係合穴93Bが形成されている。
スライド部材92は、第1回動部材93の係合穴93Bに係合する第1突起92Bを有している。スライド部材92は、第1突起92Bが係合穴93Bに係合することで、第1回動部材93に連結され、第1回動部材93と連動可能となっている。これにより、第1回動部材93とスライド部材92は、プランジャ91Aの移動に連動して、それぞれのロック位置または非ロック位置に移動可能となっている。
そして、プランジャ91A、スライド部材92および第1回動部材93がそれぞれ図39に示すロック位置に位置するときには、ロックレバー81が係合位置から非係合位置に移動することが規制されるので、カバー22は閉位置でロックされる。また、スライド部材92および第1回動部材93がそれぞれ図41に示す非ロック位置に位置するときには、ロックレバー81が係合位置から非係合位置に移動することが許容されるので、カバー22の閉位置へのロックが解除される。
スライド部材92は、筐体本体21に形成された長孔21Hに係合する第2突起92Cをさらに有している。スライド部材92は、バネの一例としてのコイルバネ94によって非ロック位置に向けて付勢されている。つまり、コイルバネ94は、スライド部材92および第1回動部材93を介してプランジャ91Aを非ロック位置(外方位置)に向けて付勢している。コイルバネ94は、一端が筐体本体21に設けられるバネ支持部21Sで支持され、他端がスライド部材92に接触している。
スライド部材92は、非ロック位置において、コイルバネ94の付勢力によって、第2突起92Cが長孔21Hの一端に接触することで、非ロック位置に保持される。つまり、長孔21H、詳しくは長孔21Hが形成される筐体本体21のフレームは、コイルバネ94の付勢力によるプランジャ91Aの移動を規制する規制部に相当する。また、コイルバネ94と、長孔21H、詳しくは長孔21Hが形成される筐体本体21のフレームは、ソレノイド91のコイル91Cに通電されていないときにスライド部材92を非ロック位置に保持する。つまり、コイルバネ94と長孔21Hは、外方位置に位置するプランジャ91Aを、内方位置へ向かうのを規制する保持力で保持する保持部材に相当する。
第1回動部材93の回動軸XRから第1回動部材93とプランジャ91Aの連結部分(係合片93A)までの距離は、回動軸XRから第1回動部材93とスライド部材92の連結部分(第1突起92B)までの距離よりも小さい。これにより、プランジャ91Aのストロークに対して、スライド部材92のストロークを大きくすることが可能となっている。
以上のように構成されるロックレバー規制機構900の動作について説明する。
図40(c)に示すように、プランジャ91Aが非ロック位置に位置する状態において、コイル91Cに第1電流が流れると、コイル91Cの第1磁力と永久磁石91Dの磁力の合力によってプランジャ91Aが図40(a)に示すロック位置に向けて移動する。この際、プランジャ91Aは、図41に示すスライド部材92および第1回動部材93を介して伝わってくるコイルバネ94の付勢力に抗して移動する。
図40(c)に示すように、プランジャ91Aが非ロック位置に位置する状態において、コイル91Cに第1電流が流れると、コイル91Cの第1磁力と永久磁石91Dの磁力の合力によってプランジャ91Aが図40(a)に示すロック位置に向けて移動する。この際、プランジャ91Aは、図41に示すスライド部材92および第1回動部材93を介して伝わってくるコイルバネ94の付勢力に抗して移動する。
プランジャ91Aが図40(a)に示すロック位置に到達した後、コイル91Cへの通電を切ると、図40(b)に示すように、永久磁石91Dによってプランジャ91Aがロック位置に保持される。詳しくは、永久磁石91Dによってプランジャ91Aをロック位置に保持する力は、コイルバネ94の付勢力よりも大きく設定されており、これにより、プランジャ91A、スライド部材92および第1回動部材93が、図39に示すロック位置に保持される。
図40(b)に示すように、プランジャ91Aがロック位置に保持された状態において、コイル91Cに第1電流とは逆向きの第2電流が流れると、図40(c)に示すように、コイル91Cの第1磁力とは逆向きの第2磁力によって永久磁石91Dの磁力が打ち消される。これにより、コイルバネ94によってプランジャ91A、スライド部材92および第1回動部材93がロック位置から非ロック位置に向けて移動する。プランジャ91A、スライド部材92および第1回動部材93が非ロック位置に到達した後は、スライド部材92の第2突起92Cが長孔21Hの一端に接触することで、プランジャ91A、スライド部材92および第1回動部材93が非ロック位置に保持される。なお、この状態において、コイル91Cの通電を切っても、永久磁石91Dのみではコイルバネ94の付勢力に打ち負けてプランジャ91Aをロック位置に引き込むことができないため、プランジャ91A、スライド部材92および第1回動部材93が非ロック位置に保持される。
次に、制御部300の動作について図42~図44を参照して説明する。制御部300は、層転写装置1の電源がONされている間、常時図42に示す処理を繰り返し実行している。
図42に示す処理において、制御部300は、まず、温度センサSaから受ける信号に基づき、筐体本体21内の温度を検出する(S401)。ステップS401の後、制御部300は、温度が所定温度以上であるか否かを判断する(S402)。
ステップS402において温度が所定温度以上であると判断した場合には(Yes)、制御部300は、第2センサScからの信号に基づいて、スライド部材92が非ロック位置に位置するか否かを判断する(S403)。
ステップS403においてスライド部材92が非ロック位置に位置すると判断した場合には(Yes)、制御部300は、第1通電処理を実行して(S404)、ステップS407の処理に進む。ここで、第1通電処理は、コイル91Cに通電することで、プランジャ91A等を非ロック位置からロック位置へ移動させる処理である。なお、第1通電処理については、後で詳述する。ステップS403においてスライド部材92が非ロック位置に位置しないと判断した場合には(No)、制御部300は、ステップS404を飛ばしてステップS407の処理に進む。
ステップS402において温度が所定温度未満であると判断した場合には(No)、制御部300は、第2センサScからの信号に基づいて、スライド部材92がロック位置に位置するか否かを判断する(S405)。ステップS405においてスライド部材92がロック位置に位置すると判断した場合には(Yes)、制御部300は、第2通電処理を実行して(S406)、ステップS407の処理に進む。ここで、第2通電処理は、コイル91Cに第1通電処理とは異なる処理で通電することで、プランジャ91A等をロック位置から非ロック位置へ移動させる処理である。なお、第2通電処理については、後で詳述する。ステップS405においてスライド部材92がロック位置に位置しないと判断した場合には(No)、制御部300は、ステップS406を飛ばしてステップS407の処理に進む。ここで、所定温度は、第1温度と第2温度の一例である。つまり、本実施形態では、第1温度と第2温度を、同じ値に設定している。なお、第1温度と第2温度は、これに限定されず、それぞれ異なる温度としてもよい。例えば、第2温度を第1温度よりも低い値に設定し、筐体本体21内の温度が第1温度以上となった場合に第1通電処理を実行し、第1通電処理を実行した後、第1温度以上であった筐体本体21内の温度が第2温度未満になった場合に第2通電処理を実行するようにしてもよい。
ステップS407において、制御部300は、層転写指令があるか否かを判断する。ステップS407において層転写指令がないと判断した場合には(No)、制御部300は、本処理を終了する。
ステップS407において層転写指令があると判断した場合には(Yes)、制御部300は、第2センサScからの信号に基づいて、スライド部材92が非ロック位置に位置するか否かを判断する(S408)。ステップS408においてスライド部材92が非ロック位置に位置すると判断した場合には(Yes)、制御部300は、第1通電処理を実行して、スライド部材92等を非ロック位置からロック位置に移動させる(S409)。
ステップS409の後、または、ステップS408でNoと判断した場合には、制御部300は、層転写処理を実行して(S410)、本処理を終了する。層転写処理において、制御部300は、シート搬送部10、フィルム供給部30および転写部50を制御することで、シートS上のトナー像に多層フィルムFの転写層を転写させる。
制御部300は、層転写指令を受けることで層転写処理を開始する場合には、ステップS408,S409の処理を実行することで、コイル91Cに第1電流を流す指令を出力したにも関わらずスライド部材92がロック位置に移動しない異常が発生している場合を除き、スライド部材92等を必ずロック位置に位置させる制御を実行する。つまり、制御部300は、層転写処理を開始する場合において、スライド部材92等がロック位置に位置しない場合には、筐体本体21内の温度に関係なく、コイル91Cに通電して、スライド部材92等を非ロック位置からロック位置へ移動させる。
図43に示す第1通電処理において、制御部300は、まず、コイル91Cに第1電流を流す指令を出力することで、コイル91Cに第1電流を流す(S421)。ステップS421の後、制御部300は、第2センサScから信号を取得して(S422)、この信号に基づいてスライド部材92がロック位置に位置するか否かを判断する(S423)。
ステップS423においてスライド部材92がロック位置に位置していないと判断した場合には(No)、制御部300は、エラーを報知して(S424)、本処理を終了する。つまり、制御部300は、コイル91Cに第1電流を流す指令を出力したにも関わらず(S421)、第2センサScからの信号に基づいて、スライド部材92(プランジャ91A)がロック位置に位置していないと判断した場合には(S423:No)、エラーを報知する(S424)。
ここで、制御部300がコイル91Cに第1電流を流す指令を出力したにも関わらず、スライド部材92がロック位置に移動しない異常が発生する原因としては、例えば、コイル91Cに電流を供給する回路の故障などが挙げられる。この場合、第1通電処理によってロックレバー規制機構900をロック状態にすべきであるのに、ロック状態にすることができないため、制御部300は、例えば「カバー22のロックを正常に行えませんでしたので、カバー22を開けないでください。」などといった、カバー22を開けないことをユーザに促すエラーメッセージを、画像や音声などによってユーザに報知する。
ステップS423においてスライド部材92がロック位置に位置すると判断した場合には(Yes)、ロックレバー規制機構900を正常にロック状態にすることができているので、制御部300は、エラーを報知することなく、第1通電処理を終了する。
図44に示す第2通電処理において、制御部300は、まず、第1センサSbから信号を取得して(S431)、この信号に基づいてロックレバー81が係合位置に位置するか否かを判断する(S432)。ステップS432においてロックレバー81が係合位置に位置していないと判断した場合には(No)、制御部300は、エラーを報知して(S436)、第2通電処理を終了する。つまり、制御部300は、スライド部材92等をロック位置から非ロック位置に移動させることを決定した場合(本実施形態では、図42に示すステップS402でNoと判断し、かつ、ステップS405でYesと判断した場合)において、第1センサSbからの信号に基づいてロックレバー81が係合位置に位置していないと判断した場合には、エラーを報知する。
ここで、ロックレバー81が係合位置に位置していない原因としては、例えば図38(b)に示すように、ユーザの操作によって、ロックレバー81が係合位置から僅かに傾いて第2回動部材84がスライド部材92に強く押し付けられていることが挙げられる。この場合には、コイル91Cに第2電流を流しても、スライド部材92が第2回動部材84との摩擦で動かないことがある。そのため、制御部300は、例えば「カバー22のロックを解除できないおそれがあるので、ハンドル83の操作をやめて、ハンドル83の向きを正しい向きに直してください。」などのエラーメッセージを、画像や音声などによってユーザに報知する。
ステップS432においてロックレバー81が係合位置に位置すると判断した場合には(Yes)、制御部300は、コイル91Cに第2電流を流す指令を出力することで、コイル91Cに第2電流を流す(S433)。つまり、制御部300は、スライド部材92等をロック位置から非ロック位置に移動させることを決定した場合には、第1センサSbからの信号に基づいてロックレバー81が係合位置に位置すると判断した場合に限り、コイル91Cに第2電流を流す指令を出力する。ステップS433において、制御部300は、コイル91Cに第1電流を流す指令を出力する処理とは異なる、コイル91Cに第2電流を流す指令を出力する処理で、コイル91Cに通電する。
ステップS433の後、制御部300は、第2センサScから信号を取得して(S434)、この信号に基づいてスライド部材92が非ロック位置に位置するか否かを判断する(S435)。ステップS435においてスライド部材92が非ロック位置に位置していないと判断した場合には(No)、制御部300は、エラーを報知して(S436)、第2通電処理を終了する。
ここで、制御部300がコイル91Cに第2電流を流す指令を出力したにも関わらず、スライド部材92が非ロック位置に移動しない異常が発生する原因としては、例えば、コイル91Cに電流を供給する回路の故障などが挙げられる。そのため、ステップS435でNoと判断した場合には、制御部300は、例えば「カバー22のロックの解除を正常に行えませんでした。」などのエラーメッセージを、画像や音声などによってユーザに報知する。
ステップS435においてスライド部材92が非ロック位置に位置していると判断した場合には(Yes)、ロックレバー規制機構900を正常にロック解除状態にすることができているので、制御部300は、エラーを報知することなく、第2通電処理を終了する。
次に、制御部300およびロックレバー規制機構900の動作の一例について説明する。
筐体本体21内の温度が所定温度以上である場合には、制御部300は、ステップS403,S404の処理を実行することで、ロックレバー規制機構900をロック状態にする。詳しくは、制御部300は、筐体本体21内の温度が所定温度以上で、かつ、スライド部材92等が非ロック位置である場合には、第1通電処理を実行する。
筐体本体21内の温度が所定温度以上である場合には、制御部300は、ステップS403,S404の処理を実行することで、ロックレバー規制機構900をロック状態にする。詳しくは、制御部300は、筐体本体21内の温度が所定温度以上で、かつ、スライド部材92等が非ロック位置である場合には、第1通電処理を実行する。
これにより、図40(a)に示すように、コイル91Cに第1電流が流れるので、コイル91Cと永久磁石91Dの磁力によって、プランジャ91Aがロック位置に移動し、プランジャ91Aに連動して、スライド部材92等が図38(a)に示すロック位置に移動する。
スライド部材92等がロック位置に移動すると、制御部300は、ステップS3においてNoと判断するので、それ以後は、第1通電処理を実行しない。このように第1通電処理を実行しない状態、つまりコイル91Cへの通電を行わない状態では、永久磁石91Dによってプランジャ91A等がロック位置に保持されるので(図40(b)参照)、ロックレバー規制機構900がロック状態に維持される。
その後、筐体本体21内の温度が所定温度未満になると、制御部300は、ステップS405でYesと判断して、第2通電処理を実行する(S406)。これにより、図40(c)に示すように、コイル91Cに第2電流が流れるので、永久磁石91Dの磁力がコイル91Cの磁力で打ち消され、スライド部材92等が、コイルバネ94(図39参照)の付勢力によって、図38(c)に示す非ロック位置に移動して、ロックレバー81が係合位置から非係合位置に移動可能となる。
このようにスライド部材92等が非ロック位置に移動した後は、層転写装置1の電源がOFFされても、スライド部材92等は非ロック位置に位置したままの状態となる。つまり、図40(c)の状態から、コイル91Cへの通電が切れても、永久磁石91Dの磁力だけでは、コイルバネ94(図39参照)の付勢力に抗して、プランジャ91Aをロック位置へ引き込むことができないため、プランジャ91A等が非ロック位置に保持される。そのため、スライド部材92等の位置をロック位置から非ロック位置に切り替えた後に電源がOFFされても、コイルバネ94および長孔21Hによってスライド部材92等が非ロック位置に保持されるので、ユーザがカバー22を開けることができる。
以上、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
コイル91Cに通電し続けなくても、スライド部材92等をロック位置または非ロック位置に保持することができるので、スライド部材92等が非ロック位置に位置する状態で、電源がOFFされたとしても、ユーザがカバー22を開けることができる。
コイル91Cに通電し続けなくても、スライド部材92等をロック位置または非ロック位置に保持することができるので、スライド部材92等が非ロック位置に位置する状態で、電源がOFFされたとしても、ユーザがカバー22を開けることができる。
第1回動部材93の回動軸XRから第1回動部材93とプランジャ91Aの連結部分までの距離を、回動軸XRから第1回動部材93とスライド部材92の連結部分までの距離よりも小さくすることで、プランジャ91Aのストローク量に対してスライド部材92のストローク量を大きくすることができるので、ロックレバー81の移動の規制・解除をより良好に行うことができる。
ロックレバー81の動作に連動する第2回動部材84を、ロックレバー81とスライド部材92の間に介在させるので、ロックレバー81を大型化することなく、ロックレバー81の移動を第2回動部材84およびスライド部材92で良好に規制することができる。
ロックレバー81が係合位置に位置する場合に限って、制御部300が第2電流をコイル91Cに流す指令を出力するので、コイルバネ94によってスライド部材92を確実に非ロック位置に移動させることができる。
ロックレバー81が係合位置に位置していない場合、つまり、スライド部材92がコイルバネ94の付勢力で動かせない場合には、エラーを報知するので、ユーザにカバー22のロック解除ができないことを気づかせることができる。
カバー22をロックすべき場合(第1電流を流す指令を出力した場合)なのに、回路の故障などによってカバー22をロックできない場合には、第2センサScで検知してエラーを報知するので、カバー22をロックすべき場合においてユーザが誤ってカバー22を開けてしまうのを抑制することができる。
筐体本体21内の温度が所定温度以上である場合には、カバー22がロックされるので、ユーザが筐体本体21内の高温の部材に触れてしまうのを抑制することができる。
層転写処理を開始するときには、筐体本体21内の温度に関わらず、カバー22がロックされるので、例えば層転写処理中にカバー22が開けられることによって、ユーザが誤って回転中の部材に触れてしまうのを抑制することができる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。以下の説明においては、前記実施形態と略同様の構造となる部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。
前記実施形態では、ロックレバー81および第2回動部材84の回動を規制するためのロックレバー規制機構を、プランジャ91A、スライド部材92および第1回動部材93で構成したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図45に示すように、ロックレバー規制機構として、実線で示すロック位置と、二点鎖線で示す非ロック位置との間で移動可能なラックギヤ210を備えた機構を用いてもよい。
具体的に、この形態に係るロックレバー規制機構200Aは、ラックギヤ210と、ステッピングモータ220と、ラックギヤ210と噛み合う切替ギヤ231と、ステッピングモータ220の駆動力を切替ギヤ231に伝達するギヤ232とで構成されている。ステッピングモータ220は、通電により、切替ギヤ231を所定の方向に回転させる第1駆動力と、切替ギヤ231を所定の方向とは逆向きに回転させる第2駆動力とを発生することが可能となっている。
ラックギヤ210は、非ロック位置においてステッピングモータ220が第1駆動力を発生した場合に、ロック位置に向けて移動する。また、ラックギヤ210は、ロック位置においてステッピングモータ220が第2駆動力を発生した場合に、非ロック位置に向けて移動する。この形態でも、ステッピングモータ220に通電されていないときに、ラックギヤ210の位置がロック位置または非ロック位置に保持されるので、例えば、ラックギヤ210をロック位置から非ロック位置に切り替えた後に電源がOFFにされた場合であっても、ラックギヤ210を非ロック位置に保持することができる。そのため、ラックギヤ210が非ロック位置に位置する状態で、電源がOFFされたとしても、ユーザがカバーを開けることができる。
なお、この形態では、ラックギヤ210は、磁性体でなくてもよい。
なお、カバー22を閉位置にロックまたはロックを解除するための機構は、前記実施形態で例示したようなソレノイドのプランジャのみで構成されていてもよい。この場合、プランジャを、カバーに形成した穴に抜き差しすることで、カバーのロック・解除を行うことができる。また、この場合、プランジャを図40(b)の位置から図40(c)の位置へ移動させるバネは、プランジャと、ソレノイドのハウジングとの間に設ければよい。
また、ロックレバー規制機構は、前記実施形態のような第1回動部材93を省いて、プランジャと、プランジャの先端に固定されるスライド部材とから構成することもできる。
前記実施形態では、永久磁石91Dの磁力によってプランジャ91A等をロック位置に保持し、コイルバネ94の付勢力などによってプランジャ91A等を非ロック位置に保持したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、これとは逆に、永久磁石の磁力によってプランジャ等を非ロック位置に保持し、コイルバネの付勢力などによってプランジャ等をロック位置に保持してもよい。つまり、プランジャは、内方位置において非ロック位置に位置し、外方位置においてロック位置に位置するように構成されていてもよい。
また、実施形態におけるコイルバネ94の代わりにスライド部材92を非ロック位置に移動させる磁力を発生するソレノイドを設けてもよい。この形態であっても、一方のソレノイドに第1電流を流し、他方のソレノイドに第2電流を流すことで、プランジャ等をロック位置に移動させることができる。また、この状態において、各ソレノイドの通電を切ると、一方のソレノイドの永久磁石によってプランジャ等をロック位置に保持することができる。同様に、各ソレノイドに前述とは逆の電流を流すことで、プランジャ等を非ロック位置に移動させることができ、その後、通電を切ると、他方のソレノイドの永久磁石によってプランジャ等を非ロック位置に保持することができる。
前記実施形態では、第2回動部材84をスライド部材92に接触させることで、ロックレバー81の移動を規制したが、本発明はこれに限定されず、第2回動部材84を設けずに、ロックレバー81をスライド部材92に接触させることで、ロックレバー81の移動を規制してもよい。
前記実施形態では、カバー22を回動可能にしたが、本発明はこれに限定されず、カバー22をスライド移動可能にしてもよい。
前記実施形態では、バネとしてコイルバネ94を例示したが、本発明はこれに限定されず、バネは、例えばトーションバネや板バネなどであってもよい。
前記実施形態では、規制部として長孔21Hを例示したが、本発明はこれに限定されず、規制部は、例えば突起などであってもよい。
前記実施形態では、ロックレバー81の動きに連動するアーム部Sb1を備える第1センサSbを例示したが、本発明はこれに限定されず、第1センサは、例えば、光センサであってもよい。また、前記実施形態では、第1センサSbを、ロックレバー81の位置を検出できる位置に設けたが、本発明はこれに限定されず、ロックレバー81と連動する部材(例えば第2回動部材84)の位置を検出できる位置に第1センサを設けてもよい。
前記実施形態では、第2センサScとして光センサを例示したが、本発明はこれに限定されず、第2センサは、例えば、前記実施形態の第1センサSbのような接触式のセンサなどであってもよい。また、前記実施形態では、第2センサScを、スライド部材92の位置を検出することで、プランジャ91Aの位置を間接的に検知するように構成したが、本発明はこれに限定されず、第2センサは、プランジャ91Aの位置を直接検知するセンサであってもよいし、第1回動部材93の位置を検出するセンサであってもよい。
前記実施形態では、第1センサSbとして、ロックレバー81が係合位置に位置するときと、位置しないときの両方のときに信号を出力するセンサを例示したが、本発明はこれに限定されず、ロックレバー81が係合位置に位置するときと、位置しないときのうち、一方のときには信号を出力し、他方のときには信号を出力しないセンサであってもよい。第2センサも、同様に、スライド部材92がロック位置に位置するときと、位置しないときのうち、一方のときには信号を出力し、他方のときには信号を出力しないセンサであってもよい。
前記実施形態では、レーザプリンタ等の画像形成装置とは別の装置として層転写装置1を構成したが、本発明はこれに限定されず、層転写装置は画像形成装置と一体に構成されていてもよい。
前記実施形態では、箔を含む転写層を例示したが、本発明はこれに限定されず、転写層は、例えば、箔や着色材料を含まず、熱可塑性樹脂から形成されていてもよい。
前記実施形態では、多層フィルムFを4層で構成したが、本発明はこれに限定されず、多層フィルムは、転写層と支持層を有していれば、層の数はいくつであってもよい。
なお、フィルムユニットFUは、例えば第1実施形態と同様に、ホルダ100と、フィルムカートリッジ200とで構成されていてもよい。また、フィルムカートリッジは、ホルダを介して筐体本体に着脱可能であってもよいし、筐体本体に直接着脱可能であってもよい。
前記した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。
次に、本発明の第4実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明においては、まず、層転写装置の全体構成を簡単に説明した後、本願発明の特徴部分の構成について説明する。
以下の説明において、方向は、図46に示す方向で説明する。すなわち、図46の右側を「前」とし、図46の左側を「後」とし、図46の紙面手前側を「左」とし、図46の紙面奥側を「右」とする。また、図46の上下を「上下」とする。
以下の説明において、方向は、図46に示す方向で説明する。すなわち、図46の右側を「前」とし、図46の左側を「後」とし、図46の紙面手前側を「左」とし、図46の紙面奥側を「右」とする。また、図46の上下を「上下」とする。
図46(a)に示すように、層転写装置1は、例えばレーザプリンタ等の画像形成装置でシートSにトナー像を形成した後、シートSのトナー像の上にアルミニウム等の箔を転写するための装置である。つまり、層転写装置1は、シートSのトナー像の上に箔を転写することで、シートSに箔の画像を形成している。層転写装置1は、筐体2と、シートトレイ3と、シート搬送部10と、フィルム供給部30と、転写部50とを備えている。
筐体2は、樹脂などからなり、筐体本体21と、カバー22とを備えている。筐体本体21は、上部に開口21A(図47参照)を有している。開口21Aは、筐体本体21に後述するフィルムユニットFUを着脱するための開口である。カバー22は、開口21Aを開閉するための部材である。カバー22の後端部は、筐体本体21に回動可能に支持されている。カバー22は、開口21Aを閉じる閉位置(図46(a)の位置)と、開口21Aを開放する開位置(図47の位置)との間で回動可能となっている。
シートトレイ3は、用紙、OHPフィルム等のシートSが載置されるトレイである。シートトレイ3は、筐体2の後部に設けられている。なお、シートSは、トナー像が形成された面を下向きにしてシートトレイ3上に載置される。
シート搬送部10は、シート供給機構11と、シート排出機構12とを備えている。シート供給機構11は、シートトレイ3上のシートSを一枚ずつ転写部50に向けて搬送する機構である。シート供給機構11は、ピックアップローラと、リタードローラと、搬送ローラとを備えている。
シート排出機構12は、転写部50を通過したシートSを筐体2の外部に排出する機構である。シート排出機構12は、複数の搬送ローラを備えている。
フィルム供給部30は、シート供給機構11から搬送されたシートSに重ねるように多層フィルムFを供給する部分である。フィルム供給部30は、フィルムユニットFUと、駆動源の一例としてのメインモータ80を備えている。
フィルムユニットFUは、図47に示すように、後述する供給リール31の回転軸に直交する方向において、開口21Aを通過して筐体本体21に着脱可能となっている。フィルムユニットFUは、供給リール31と、巻取リール35と、第1案内軸41と、第2案内軸42と、第3案内軸43とを備えている。フィルムユニットFUの供給リール31には、多層フィルムFが巻回されている。
図46(b)に示すように、多層フィルムFは、複数の層からなるフィルムである。詳しくは、多層フィルムFは、支持層F1と、被支持層F2とを有する。支持層F1は、高分子材料からなるテープ状の透明な基材であり、被支持層F2を支持している。被支持層F2は、例えば、剥離層F21と、転写層F22と、接着層F23とを有する。剥離層F21は、支持層F1から転写層F22を剥離しやすくするための層であり、支持層F1と転写層F22との間に配置されている。剥離層F21は、支持層F1から剥離しやすい透明な材料、例えばワックス系樹脂を含んでいる。
転写層F22は、トナー像に転写される層であり、箔を含んでいる。箔とは、金、銀、銅、アルミニウム等の金属であって薄く延された金属である。また、転写層F22は、金色、銀色、赤色などの着色材料と、熱可塑性樹脂とを含む。転写層F22は、剥離層F21と接着層F23との間に配置されている。
接着層F23は、転写層F22をトナー像に接着しやすくするための層である。接着層F23は、後述する転写部50によって加熱されたトナー像に付着しやすい材料、例えば塩化ビニル系樹脂やアクリル系樹脂を含んでいる。
供給リール31は、樹脂などからなり、多層フィルムFが巻回される供給軸部31Aを有している。供給軸部31Aには、多層フィルムFの一端が固定されている。
巻取リール35は、樹脂などからなり、多層フィルムFを巻き取るための巻取軸部35Aを有している。巻取軸部35Aには、多層フィルムFの他端が固定されている。
なお、図46等においては、便宜上、供給リール31および巻取リール35の両方に多層フィルムFが最大に巻回された状態を図示することとする。実際には、フィルムユニットFUが新品の状態においては、供給リール31に巻回されたロール状の多層フィルムFの径は最大となっており、巻取リール35には多層フィルムFが巻回されていない、もしくは、巻取リール35に巻回されたロール状の多層フィルムFの径は最小となっている。また、フィルムユニットFUの寿命時(多層フィルムFを使い切ったとき)においては、巻取リール35に巻回されたロール状の多層フィルムFの径は最大となり、供給リール31には多層フィルムFが巻回されていない、もしくは、供給リール31に巻回されたロール状の多層フィルムFの径は最小となる。
第1案内軸41は、供給リール31から引き出される多層フィルムFの進行方向を変更するための軸である。第1案内軸41は、樹脂などからなっている。
第2案内軸42は、第1案内軸41で案内された多層フィルムFの進行方向を変更するための軸である。第2案内軸42は、樹脂などからなっている。
第1案内軸41は、シートSの搬送方向において、転写部50、詳しくは後述する加熱ローラ61の上流側に配置されている。第2案内軸42は、シートSの搬送方向において、転写部50、詳しくは後述する加熱ローラ61の下流側に配置されている。第1案内軸41および第2案内軸42は、多層フィルムFをシートSの搬送方向に沿って案内している。ここで、シートSの搬送方向は、供給リール31の回転軸に沿った軸方向とフィルムユニットFUの着脱方向とに直交(交差)している。
第3案内軸43は、第2案内軸42で案内された多層フィルムFの進行方向を変更して巻取リール35に案内する軸である。第3案内軸43は、樹脂などからなっている。
第1案内軸41は、トナー像を下にした状態で搬送されるシートSに対して、供給リール31から引き出された多層フィルムFを下から重ねるように案内している。第1案内軸41は、供給リール31から引き出された多層フィルムFの搬送方向を変えて、シートSの搬送方向と略平行に多層フィルムFを案内する。
第2案内軸42は、転写部50を通過した多層フィルムFと接触し、転写部50を通過した多層フィルムFの搬送方向をシートSの搬送方向とは異なる方向に変更している。転写部50を通過してシートSと重なった状態で搬送された多層フィルムFは、第2案内軸42を通過する際にシートSとは異なる方向に案内され、シートSから剥離される。
転写部50は、シートSと多層フィルムFを重ねた状態で加熱および加圧することで、シートSに形成されたトナー像の上に転写層F22を転写するための部分である。転写部50は、加圧部材の一例としての加圧ローラ51と、加熱部材の一例としての加熱ローラ61と、切替機構70とを備えている。転写部50は、加圧ローラ51と加熱ローラ61のニップ部において、シートSと多層フィルムFを重ねて加熱および加圧する。
加圧ローラ51は、円筒状の芯金の周囲をシリコンゴムからなるゴム層で被覆したローラである。加圧ローラ51は、多層フィルムFの上側に配置され、シートSの裏面(トナー像が形成された面と反対側の面)と接触可能となっている。
加圧ローラ51は、両端部がカバー22に回転可能に支持されている。加圧ローラ51は、加熱ローラ61との間でシートSおよび多層フィルムFを挟み、メインモータ80によって回転駆動されることで加熱ローラ61を従動回転させる。このように加圧ローラ51と加熱ローラ61との間でシートSおよび多層フィルムFを挟んだ状態で、加圧ローラ51および加熱ローラ61が回転することで、シートSおよび多層フィルムFが搬送される。
加熱ローラ61は、円筒状に形成された金属管の内部にヒータを配置したローラであり、多層フィルムFおよびシートSを加熱している。加熱ローラ61は、多層フィルムFの下側に配置され、多層フィルムFと接触している。加熱ローラ61は、切替機構70を介して筐体本体21に設けられている。
切替機構70は、加圧ローラ51および加熱ローラ61の状態を、加圧ローラ51と加熱ローラ61で多層フィルムFを挟んだ圧接状態と、加圧ローラ51および加熱ローラ61の少なくとも1つが多層フィルムFから離れた離間状態とに切り替えるための機構である。本実施形態では、切替機構70は、加熱ローラ61を、図49(a)に示す圧接位置と、図49(b)に示す離間位置との間で移動させることで、加熱ローラ61を多層フィルムFに対して接触・離間させている。つまり、切替機構70は、加熱ローラ61を多層フィルムFから離すことで、加圧ローラ51および加熱ローラ61の状態を、離間状態にする。また、切替機構70は、加熱ローラ61を多層フィルムFに圧接させることで、加圧ローラ51および加熱ローラ61の状態を、圧接状態にする。
このように構成された層転写装置1では、シートSの表面を下向きにしてシートトレイ3に載置されたシートSが、シート供給機構11により一枚ずつ転写部50に向けて搬送される。シートSは、転写部50のシート搬送方向における上流側で、供給リール31から供給された多層フィルムFと重ねられ、シートSのトナー像と多層フィルムFが接触した状態で転写部50に搬送される。
転写部50においては、シートSと多層フィルムFが加圧ローラ51と加熱ローラ61の間のニップ部を通過する際に、加熱ローラ61と加圧ローラ51により加熱および加圧され、トナー像の上に転写層F22が転写される。なお、以下の説明では、トナー像への転写層F22の転写を、単に「層転写」とも称する。
層転写が行われた後、シートSと多層フィルムFは密着した状態で第2案内軸42まで搬送される。シートSと多層フィルムFが第2案内軸42を通過すると、多層フィルムFの搬送方向がシートSの搬送方向と異なる方向に変わるため、シートSから多層フィルムFが剥離される。
シートSから剥離された多層フィルムFは、巻取リール35に巻き取られていく。一方、多層フィルムFが剥離されたシートSは、シート排出機構12によって、箔が転写された表面を下に向けた状態で、筐体2の外部に排出される。
筐体本体21には、ロック機構RMと、温度センサSaと、制御部300とがさらに設けられている。ロック機構RMは、カバー22を閉位置にロックするための機構である。ロック機構RMは、通電によって、カバー22を閉位置にロックするロック状態と、カバー22の閉位置へのロックを解除するアンロック状態とに切替可能となっている。
ここで、ロック機構RMとしては、例えば、進退可能なプランジャを備えたキープソレノイドと、プランジャを付勢するバネと、を備えた構成とすることができる。プランジャは、カバー22に形成された穴に係合するロック位置と、カバー22に形成された穴から外れるアンロック位置とに移動可能となっている。プランジャは、バネによってロック位置に付勢されている。キープソレノイドは、通電によりプランジャをアンロック位置に移動させるコイルと、プランジャをアンロック位置で保持するための永久磁石を備えている。
制御部300は、CPU、RAM、ROMおよび入出力回路を備えており、ROMに記憶されたプログラムやデータに基づいて各種演算処理を行うことによって、制御を実行する。制御部300は、温度センサSaで検出した温度が所定温度以上である場合に、ロック機構RMをロック状態にする。また、制御部300は、温度センサSaで検出した温度が所定温度未満である場合に、ロック機構RMをアンロック状態にする。
制御部300は、シートSが転写部50に供給されるタイミングに合わせて加熱ローラ61が圧接位置に移動するように、切替機構70を制御する。制御部300は、転写部50においてシートSに箔転写を行わない場合には、加熱ローラ61が多層フィルムFから離間する離間位置に位置するように、切替機構70を制御する。このように制御部300が切替機構70を制御することで、カバー22が開位置に位置するときには、必ず、加熱ローラ61が離間位置に位置して、切替機構70が離間状態となるようになっている。
図48に示すように、フィルムユニットFUは、樹脂などからなるホルダ100と、ホルダ100に着脱可能なフィルムカートリッジ200とを備えている。フィルムカートリッジ200は、前述した多層フィルムFが巻回された供給リール31および巻取リール35と、供給ケース32とを備えている。
供給リール31(詳しくは、供給ケース32)および巻取リール35は、ホルダ100に対して、供給リール31の軸方向に直交する方向に着脱可能となっている。そして、フィルムカートリッジ200は、ホルダ100に取り付けられた状態において、筐体本体21に着脱可能となっている。
供給ケース32は、供給リール31を収容する中空のケースである。供給ケース32は、樹脂などからなり、略円筒状の外周壁32Aと、外周壁32Aの両端に設けられる略円板状の2つの側壁32Bとを有する。供給リール31は、供給ケース32の各側壁32Bに回転可能に支持されている。
ホルダ100は、ベースフレーム110と、ベースフレーム110に回動可能(移動可能)に支持される規制フレーム120とを有している。ベースフレーム110は、第1保持部111と、第2保持部112と、2つの連結部113と、2つの取手114とを有している。
第1保持部111は、供給ケース32を保持する部位である。第1保持部111は、供給ケース32を介して供給リール31を保持している。
第2保持部112は、巻取リール35を保持する部位である。詳しくは、第2保持部112は、規制フレーム120とともに、中空のケースを構成しており、中空のケース内に巻取リール35を収容している。
2つの連結部113は、第1保持部111と第2保持部112とを連結する部位である。詳しくは、各連結部113は、供給リール31の軸方向に間隔を開けて配置されている。
このように連結部113が形成されることで、ホルダ100は、供給リール31の軸方向に直交する直交方向に貫通する貫通穴100Aを有している。各取手114は、各連結部113の上に配置されている。各取手114は、ホルダ100のうち巻取リール35の軸方向両端にそれぞれ配置されている。
図49(a),(b)に示すように、層転写装置1は、シャッタの一例としての第1シャッタQ1および第2シャッタQ2をさらに備えている。第1シャッタQ1および第2シャッタQ2は、それぞれ、加熱ローラ61を加圧ローラ51側から覆う保護位置(図49(b)の位置)と、保護位置から退避した退避位置(図49(a)の位置)との間で移動可能となっている。つまり、第1シャッタQ1および第2シャッタQ2は、シートSの搬送方向に沿って互いに近づく方向と、離れる方向とに移動可能となっている。
第1シャッタQ1および第2シャッタQ2は、切替機構70が離間状態から圧接状態に切り替わる動作に連動して、保護位置から退避位置に移動するように構成されている。また、第1シャッタQ1および第2シャッタQ2は、切替機構70が圧接状態から離間状態に切り替わる動作に連動して、退避位置から保護位置に移動するように構成されている。なお、各シャッタQ1,Q2と切替機構70とが連動する構造については、後で詳述する。
ここで、切替機構70は、前述したように、制御部300によって制御されることで、カバー22が開位置に位置するときには、必ず離間状態となっている。そのため、第1シャッタQ1および第2シャッタQ2は、カバー22が開位置に位置するときには、保護位置に位置する。
第1シャッタQ1および第2シャッタQ2は、第1案内軸41と第2案内軸42の間の多層フィルムFと間隔を開けた位置において、当該多層フィルムFに沿って移動可能となっている。
フィルムユニットFUは、退避位置に位置する第1シャッタQ1が入る第1凹部V1と、退避位置に位置する第2シャッタQ2が入る第2凹部V2とを有している。第1凹部V1は、フィルムユニットFUを構成するホルダ100の第1保持部111に形成されている。第2凹部V2は、フィルムユニットFUを構成するホルダ100の第2保持部112に形成されている。
図49(b)に示すように、シートSの搬送方向は、水平面に対して傾斜した方向となっている(図46も参照)。第1シャッタQ1は、第2シャッタQ2よりも上に位置している。詳しくは、各シャッタQ1,Q2が退避位置に位置するときに、第1シャッタQ1の全体が、第2シャッタQ2よりも上に位置している。また、各シャッタQ1,Q2が保護位置に位置するときには、第1シャッタQ1の一部が、第2シャッタQ2よりも上に位置している。各シャッタQ1,Q2が保護位置に位置するときには、第1シャッタQ1は、当該第1シャッタQ1の移動方向において第2シャッタQ2と間隔Dを開けて配置されている。
第2シャッタQ2は、第1シャッタQ1よりも開口21A(図47参照)の近くに位置している。言い換えると、カバー22が閉位置であるときにおける加熱ローラ61の回転軸と加圧ローラ51の回転軸を結んだ線に沿う方向において、第2シャッタQ2は、第1シャッタQ1よりも加圧ローラ51の近くに位置している。
第2シャッタQ2の上端は、鉛直方向において、第1シャッタQ1の下端よりも上に位置している。これにより、第2シャッタQ2は、水平方向に投影したときに第1シャッタに重なっている。
図50に示すように、第1シャッタQ1は、軸方向に長い矩形状であり、軸方向の両端部にそれぞれ切欠きQ10を有している。また、第1シャッタQ1は、軸方向の中央に第1部位Q11を有し、軸方向の両端部にそれぞれ第2部位Q12と第3部位Q13を有している。
第1部位Q11は、加熱ローラ61を覆うための部位であり、2つの切欠きQ10の間に位置する。第2部位Q12は、切欠きQ10を挟んで第1部位Q11とは反対側に位置する。
言い換えると、第1シャッタQ1は、当該第1シャッタQ1の移動方向において第1部位Q11よりも短い第3部位Q13を、第1部位Q11の軸方向の両端に有している。そして、第2部位Q12は、第3部位Q13を介して第1部位Q11に接続されている。
第2部位Q12は、第3部位Q13に接続されるベース部Q121と、ベース部Q121の第3部位Q13とは反対側の端部から下側(加熱ローラ61側)に延びるフランジ部Q122とを有している。フランジ部Q122には、切替機構70と接触可能なピンP1が設けられている。
ピンP1は、フランジ部Q122から軸方向内側に突出しており、ベース部Q121の下側に配置されている。第2部位Q12は、ピンP1を介して切替機構70から力を受けるようになっている。詳しくは、第2部位Q12は、第1シャッタQ1を保護位置から退避位置に移動させるための力を、切替機構70から受ける。
第1シャッタQ1の軸方向の両端部には、固定部材FX1およびバネSP1がそれぞれ設けられている。固定部材FX1は、例えば樹脂からなり、ベース部Q121に固定されている。
バネSP1は、第1シャッタQ1を退避位置から保護位置に向けて付勢するバネである。バネSP1は、固定部材FX1に取り付けられており、固定部材FX1を介して第1シャッタQ1の第2部位Q12を付勢する。
図51に示すように、第2シャッタQ2は、第1シャッタQ1と略同様の構造となっている。具体的に、第2シャッタQ2は、第1シャッタQ1の各部位(Q10~Q13,Q121,Q122,P1)と略同様に構成される、切欠きQ20、第1部位Q21、第2部位Q22、第3部位Q23、ベース部Q221、フランジ部Q222およびピンP2を有している。
また、第2シャッタQ2の軸方向の両端部には、固定部材FX2およびバネSP2がそれぞれ設けられている。固定部材FX2およびバネSP2は、第1シャッタQ1に設ける固定部材FX1およびバネSP1と略同様の構成となっている。
図52(a)に示すように、筐体本体21は、バネSP1,バネSP2を支持するバネ支持部SSA,SSBを有している。バネSP1は、バネ支持部SSAと固定部材FX1との間に配置されている。バネSP2は、バネ支持部SSBと固定部材FX2との間に配置されている。
切替機構70は、軸方向の両端部に、楔形状の押圧部71を有している。押圧部71は、第1シャッタQ1のピンP1を押圧する第1押圧面71Aと、第2シャッタQ2のピンP2を押圧する第2押圧面71Bとを有している。
押圧部71の先端は、第1押圧面71Aと第2押圧面71Bの境界となっている。押圧部71の先端は、図52(b)に示すように、各シャッタQ1,Q2が保護位置に位置するときに、各ピンP1,P2の間に位置している。そして、切替機構70が、図52(b)に示す離間状態から図52(a)に示す圧接状態に切り替わると、各押圧面71A,71Bによって各ピンP1,P2を押し広げることで、各シャッタQ1,Q2が各バネSP1,SP2の付勢力に抗して退避位置に移動するようになっている。
なお、各シャッタQ1,Q2の軸方向の各端部は、筐体本体21に設けられる図示せぬガイドによって、スライド可能に支持されている。
図53に示すように、筐体本体21は、加熱ローラ61の一端と他端を回転可能に支持する2つのベアリングBRを備えている。各シャッタQ1,Q2は、ベアリングBRに接触することで、軸方向に位置決めされている。
詳しくは、各シャッタQ1,Q2の第1部位Q11,Q21の軸方向の長さは、2つのベアリングBRの軸方向の間隔と略同じ、詳しくは若干小さくなっている。そして、図54(b)に示すように、各シャッタQ1,Q2が保護位置に位置するときに、ベアリングBRが切欠きQ10,Q20の中に入るようになっている。
ここで、ベアリングBRは、加熱ローラ61を回転可能に支持する円筒状のベース部BR1と、ベース部BR1の外周面から突出する突出部BR2とを有している。突出部BR2は、加圧ローラ51のシャフトに係合する係合溝BR21を有している。
各シャッタQ1,Q2が保護位置に位置する状態では、図53に二点鎖線で示すように、各第1部位Q11,Q21が2つのベアリングBRの間に配置される。この際、例えば第1シャッタQ1が、軸方向に動くと、第1部位Q11がベアリングBRと接触するので、第1シャッタQ1の軸方向の位置が規制されて、位置決めされる。なお、第2シャッタQ2についても同様の効果を得ることができる。
図55(a)に示すように、カバー22は、加圧側シャッタ機構400を備えている。加圧側シャッタ機構400は、加圧側シャッタ410と、第1リンク420と、第2リンク430と、第3リンク440とを備えている。
加圧側シャッタ410は、加圧ローラ51を加熱ローラ61側から覆う被覆位置(図55(b)の位置)と、被覆位置から退避した開放位置(図55(a)の位置)との間で回動可能となっている。加圧側シャッタ410は、各リンク420~430によって、カバー22の開閉動作に連動するように構成されている。
詳しくは、加圧側シャッタ410は、カバー22が開く動作に連動して開放位置から被覆位置に移動する。また、加圧側シャッタ410は、カバー22が閉まる動作に連動して被覆位置から開放位置に移動する。
加圧側シャッタ410は、加圧ローラ51の外周面の略半分を覆う略半円筒状の部材であり、加圧ローラ51のシャフト51Aに回動可能に支持されている。加圧側シャッタ410は、図55(a)に示すように、カバー22が閉位置のときに、加圧ローラ51の上に配置されている。カバー22が閉位置のときに、加圧側シャッタ410の周方向における一端部411は、他端部412よりもカバー22の回動軸22Xから遠い位置に位置する。
第1リンク420の一端部421は、第1軸AX1を介して加圧側シャッタ410の一端部411に回動可能に連結されている。第1リンク420は、第1軸AX1から回動軸22Xに向けて延びている。第1リンク420の他端部422は、第2軸AX2を介して第2リンク430の一端部431に回動可能に連結されている。
第2リンク430は、第2軸AX2から回動軸22Xに向けて延びている。第2リンク430の他端部432は、第3軸AX3を介して第3リンク440の一端部441に回動可能に連結されている。詳しくは、第2リンク430の他端部432には、第3軸AX3に係合する長孔が形成されている。第3リンク440は、第3軸AX3から回動軸22Xに向けて延びている。
カバー22が閉位置に位置するときに、第3リンク440の他端部442は、筐体本体21に設けられた係合部21Eの下に配置されている。これにより、カバー22を閉位置から開位置に向けて回動させる際に、第3リンク440の他端部442が係合部21Eに下から係合することが可能となっている。
第2リンク430および第3リンク440は、それぞれ、カバー22に固定される固定軸XF1,XF2によって回動可能に支持されている。なお、第1軸AX1、第2軸AX2および第3軸AX3は、それぞれ、カバー22には固定されておらず、カバー22に対して移動可能となっている。
以上のように加圧側シャッタ機構400が構成されることで、ユーザがカバー22を閉位置から開位置に向けて回動させると、第3リンク440の他端部442が係合部21Eに係合して、第3リンク440が図示反時計回りに回動する。これにより、第3リンク440に連結された第2リンク430が図示時計回りに回動し、第2リンク430に連結された第1リンク420が回動軸22Xに向けて移動しながら図示反時計回りに回動する。
そのため、第1リンク420に連結された加圧側シャッタ410が、図示反時計回りに回動して、開放位置から被覆位置に移動する。なお、カバー22を開位置から閉位置に回動させるときの動作は、各部材が前述した動作とは逆の動作で動くことで、加圧側シャッタ410が、被覆位置から開放位置に移動する。
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
カバー22が開位置に位置するときには各シャッタQ1,Q2が保護位置に位置するので、フィルムユニットFUの交換時などにおいてユーザが加熱ローラ61に触れるのを抑えることができる。
カバー22が開位置に位置するときには各シャッタQ1,Q2が保護位置に位置するので、フィルムユニットFUの交換時などにおいてユーザが加熱ローラ61に触れるのを抑えることができる。
各シャッタQ1,Q2が切替機構70の動作に連動して移動するので、各シャッタQ1,Q2と切替機構70の駆動源を同一の駆動源、例えばメインモータ80とすることができる。
各シャッタQ1,Q2が、2つの案内軸41,42間の多層フィルムFと間隔を開けた位置において、当該多層フィルムFに沿って移動するので、各シャッタQ1,Q2が多層フィルムFと干渉するのを抑えることができる。
各シャッタQ1,Q2が保護位置から退避位置に移動する際に、各シャッタQ1,Q2が各凹部V1,V2に入ることでフィルムユニットFUに干渉しないので、各シャッタQ1,Q2をスムーズに動かすことができる。
各シャッタQ1,Q2がベアリングBRに接触することで軸方向に位置決めされるので、ベアリングBRとは別の位置決め部材を設ける構造と比べ、構造を簡易化することができる。
切替機構70から各シャッタQ1,Q2の第2部位Q12,Q22に加わる力が第1部位Q11,Q21に伝わるのを切欠きQ10,Q20によって抑えることができるので、第1部位Q11,Q21が変形するのを抑えることができる。
各シャッタQ1,Q2が保護位置に位置するときにベアリングBRが切欠きQ10,Q20の中に入るので、切替機構70からの力を受ける第2部位Q12,Q22をベアリングBRよりも外側に配置することができる。また、切欠きQ10,Q20、詳しくは第1部位Q11,Q21の軸方向の両端をベアリングBRに近接させるので、加熱ローラ61のうち2つのベアリングBR間に位置する部位を良好に覆うことができる。
加熱ローラ61を覆うシャッタを2つのシャッタQ1,Q2で構成したので、例えば1つのシャッタで加熱ローラ61を覆う構造に比べ、各シャッタQ1,Q2のそれぞれのストロークを小さくすることができる。
各シャッタQ1,Q2が保護位置に位置するときに各シャッタQ1,Q2を搬送方向において間隔Dを開けて配置したので、各シャッタQ1,Q2の移動方向の長さを極力小さくすることができるとともに、各シャッタQ1,Q2のストロークを小さくすることができる。
第2シャッタQ2を水平方向に投影したときに第1シャッタQ1に重なるように配置したので、ユーザがカバー22を開いて水平方向から筐体本体21の内部を覗いたときに各シャッタQ1,Q2の隙間から加熱ローラ61を視認できなくすることができる。
カバー22が開く動作に連動して加圧ローラ51を覆う加圧側シャッタ410を設けたので、フィルムユニットFUの交換時などにおいて、ユーザが加熱された加圧ローラ51に触れるのを抑えることができる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。以下の説明においては、前記実施形態と略同様の構造となる部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。
前記実施形態では、加熱部材として円筒状の加熱ローラ61を例示したが、本発明はこれに限定されず、加熱部材は、例えば、ヒータによって加熱される板状の部材であってもよい。また、加圧部材としては、加圧ローラ51に限らず、例えば、無端状のベルトなどであってもよい。
前記実施形態では、シャッタを2つのシャッタQ1,Q2で構成したが、本発明はこれに限定されず、1つのシャッタを備える構成としてもよい。また、シャッタは、直線的に移動可能に構成することに限らず、例えば、円弧状のシャッタであって、加熱ローラの周囲を回動可能なシャッタとしてもよい。
また、加圧側シャッタは、前記実施形態のように回動可能に構成することに限らず、例えば、直線的に移動可能としてもよい。
前記実施形態では、箔を含む転写層F22を例示したが、本発明はこれに限定されず、転写層は、例えば、箔や着色材料を含まず、熱可塑性樹脂から形成されていてもよい。
前記実施形態では、多層フィルムFを4層で構成したが、本発明はこれに限定されず、多層フィルムは、転写層と支持層を有していれば、層の数はいくつであってもよい。
前記実施形態では、レーザプリンタ等の画像形成装置とは別の装置として層転写装置1を構成したが、本発明はこれに限定されず、層転写装置は画像形成装置と一体に構成されていてもよい。
前記実施形態では、フィルムユニットFUを、ホルダ100とフィルムカートリッジ200とを備える構成としたが、本発明はこれに限定されず、フィルムユニットは、例えば、前記実施形態のようなフィルムカートリッジ200のみから構成されていてもよい。この場合、前記実施形態に係るホルダ100を筐体本体21に一体に設けることで、フィルムカートリッジ200からなるフィルムユニットが、筐体本体21に着脱可能となる。
前記実施形態では、シャッタQ1,Q2を、切替機構70の動作に連動して移動させる構成としたが、本発明はこれに限定されず、シャッタは、切替機構に連動せずに、専用のシャッタ移動機構によって移動するように構成されていてもよい。なお、シャッタ移動機構は、例えば、カバーの開閉動作に連動してシャッタを移動させるように構成されていてもよい。
前記した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。
Claims (75)
- シートのトナー像が形成された面に、転写層を有する多層フィルムを重ね、前記トナー像の上に前記転写層を転写する層転写装置であって、
筐体本体と、
前記筐体本体に対して着脱可能なフィルムカートリッジであって、前記多層フィルムが巻回される供給リールと、前記多層フィルムを巻き取るための巻取リールとを備えるフィルムカートリッジと、
前記多層フィルムおよび前記シートを加熱する加熱部材と、
前記加熱部材との間で前記多層フィルムおよび前記シートを挟む加圧部材と、
前記加熱部材および前記加圧部材の状態を、前記加熱部材および前記加圧部材で前記多層フィルムを挟んだ圧接状態と、前記加熱部材および前記加圧部材の少なくとも1つが前記多層フィルムから離れた離間状態とに切り替える切替機構と、を備えることを特徴とする層転写装置。 - 前記巻取リールを駆動する駆動源と、
前記供給リールからの前記多層フィルムの引き出しを規制する規制状態と、前記規制を解除する解除状態とに切替可能な規制切替手段と、
制御部と、を備え、
前記加熱部材は、前記多層フィルムおよび前記シートを加熱する加熱ローラであり、
前記加圧部材は、前記加熱ローラとの間で前記多層フィルムおよび前記シートを挟んだ状態で回転することで前記多層フィルムと前記シートを搬送する加圧ローラであり、
前記制御部は、
前記駆動源の駆動中に、前記シート上において前記トナー像が形成されたトナー領域が、前記加熱ローラと前記加圧ローラの間の層転写位置に存在しない場合に、前記規制切替手段を前記規制状態にし、
前記駆動源の駆動中に、前記トナー領域が、前記層転写位置に存在する場合に、前記規制切替手段を前記解除状態にすることを特徴とする請求項1に記載の層転写装置。 - 前記制御部は、前記転写層の転写の指令を受けると、前記規制切替手段が前記規制状態にある状態で、前記駆動源を駆動することを特徴とする請求項2に記載の層転写装置。
- 前記シートの搬送方向において前記加熱ローラの上流側に配置される上流側搬送部材を備え、
前記制御部は、前記シートの先端が前記上流側搬送部材を通過してから、前記トナー領域が前記層転写位置に到達するまでの間に、前記規制切替手段を前記解除状態にする規制解除処理を実行することを特徴とする請求項3に記載の層転写装置。 - 前記制御部は、前記トナー領域から前記シートの後端までの距離が前記トナー領域から前記シートの先端までの距離よりも小さい場合に、前記シートの先端が前記層転写位置を通過した後に、前記規制解除処理を実行することを特徴とする請求項4に記載の層転写装置。
- 前記シートの後端までの距離が前記シートの先端までの距離よりも小さいトナー領域に対して前記転写層を転写するための後端転写指令を前記制御部に出力可能な操作部を備え、
前記制御部は、前記後端転写指令を受けると、前記規制解除処理を実行することを特徴とする請求項5に記載の層転写装置。 - 前記シートの搬送方向において前記加熱ローラの下流側に配置される下流側搬送部材を備え、
前記制御部は、前記トナー領域が前記層転写位置を通過してから前記シートの後端が前記下流側搬送部材に到達するまでの間に、前記規制切替手段を前記規制状態にする層転写後規制処理を実行することを特徴とする請求項3から請求項6のいずれか1項に記載の層転写装置。 - 前記制御部は、前記トナー領域から前記シートの先端までの距離が前記トナー領域から前記シートの後端までの距離よりも小さい場合に、前記シートの後端が前記層転写位置に到達する前に、前記層転写後規制処理を実行することを特徴とする請求項7に記載の層転写装置。
- 前記シートの先端までの距離が前記シートの後端までの距離よりも小さいトナー領域に対して前記転写層を転写するための先端転写指令を前記制御部に出力可能な操作部を備え、
前記制御部は、前記先端転写指令を受けると、前記層転写後規制処理を実行することを特徴とする請求項8に記載の層転写装置。 - 前記シートの搬送方向において前記加熱ローラの上流側に配置され、前記シートの先端の通過を検知可能なシート検知センサを備え、
前記制御部は、前記トナー領域から前記シートの先端までの距離が前記トナー領域から前記シートの後端までの距離よりも小さい場合に、前記シート検知センサによって前記シートの先端を検知したタイミングに基づいて、前記層転写後規制処理を開始することを特徴とする請求項8または請求項9に記載の層転写装置。 - 前記シートの搬送方向において前記加熱ローラの上流側に配置され、前記シートの後端の通過を検知可能なシート検知センサを備え、
前記制御部は、前記トナー領域が前記シートの後端側に位置する場合に、前記シート検知センサによって前記シートの後端を検知したタイミングに基づいて、前記層転写後規制処理を開始することを特徴とする請求項7から請求項10のいずれか1項に記載の層転写装置。 - 前記シートの搬送方向において前記加熱ローラの下流側に配置され、前記シートから離れる方向に前記多層フィルムを案内する剥離ローラを備え、
前記制御部は、前記トナー領域が前記剥離ローラを通過した後に、前記層転写後規制処理を開始することを特徴とする請求項7から請求項11のいずれか1項に記載の層転写装置。 - 前記制御部は、前記層転写後規制処理の後に、前記駆動源を停止させることを特徴とする請求項7から請求項12のいずれか1項に記載の層転写装置。
- 前記規制切替手段は、前記切替機構を備え、
前記制御部は、
前記切替機構を前記離間状態とすることで、前記規制切替手段を前記規制状態にし、
前記切替機構を前記圧接状態とすることで、前記規制切替手段を前記解除状態にすることを特徴とする請求項7から請求項13のいずれか1項に記載の層転写装置。 - 前記規制切替手段は、
前記駆動源の駆動力を前記加圧ローラまたは前記加熱ローラに伝達する伝達状態と、前記加圧ローラまたは前記加熱ローラへの駆動力の伝達を遮断する遮断状態とを切り替える伝達切替機構を備え、
前記制御部は、
前記伝達切替機構を前記遮断状態とすることで、前記規制切替手段を前記規制状態にし、
前記伝達切替機構を前記伝達状態とすることで、前記規制切替手段を前記解除状態にすることを特徴とする請求項14に記載の層転写装置。 - 前記制御部は、前記加熱ローラと前記加圧ローラとで前記多層フィルムを挟み始めてから、前記シートの先端が前記層転写位置に到達するまでの間に、前記伝達切替機構を前記遮断状態から前記伝達状態に切り替えることを特徴とする請求項15に記載の層転写装置。
- 前記制御部は、
前記トナー領域から前記シートの後端までの距離が前記トナー領域から前記シートの先端までの距離よりも小さい場合には、
前記シートの先端が前記層転写位置を通過した後に、前記切替機構による前記離間状態から前記圧接状態への切替を開始し、
前記加熱ローラと前記加圧ローラとで前記多層フィルムおよび前記シートを挟み始める前に、前記伝達切替機構を前記遮断状態から前記伝達状態に切り替えることを特徴とする請求項15に記載の層転写装置。 - 前記切替機構が前記離間状態であることを検知する状態検知センサを備え、
前記制御部は、前記状態検知センサの出力変化に応じて前記伝達切替機構を前記遮断状態から前記伝達状態に切り替えることを特徴とする請求項17に記載の層転写装置。 - 前記制御部は、
前記シートの後端が前記層転写位置を通過した後であって、かつ、前記切替機構が前記離間状態になる前に、前記伝達切替機構による前記伝達状態から前記遮断状態への切り替えを開始することを特徴とする請求項15から請求項18のいずれか1項に記載の層転写装置。 - 前記制御部は、
前記トナー領域から前記シートの先端までの距離が前記トナー領域から前記シートの後端までの距離よりも小さい場合には、
前記シートの後端が前記層転写位置を通過する前から前記切替機構による前記圧接状態から前記離間状態への切り替えを開始し、
前記圧接状態から前記離間状態への切り替えの開始後に、前記伝達切替機構を前記伝達状態から前記遮断状態に切り替えることを特徴とする請求項15から請求項19のいずれか1項に記載の層転写装置。 - 前記規制切替手段は、
前記供給リールに加わる負荷トルクと前記巻取リールに加わる駆動トルクとの関係を変更可能なトルク変更手段を備え、
前記制御部は、
前記負荷トルクを前記駆動トルクよりも大きくすることで、前記規制切替手段を前記規制状態にし、
前記負荷トルクを前記駆動トルクよりも小さくすることで、前記規制切替手段を前記解除状態にすることを特徴とする請求項15から請求項20のいずれか1項に記載の層転写装置。 - 前記トルク変更手段は、前記供給リールに負荷トルクを付与する負荷付与手段を有し、
前記制御部は、
前記負荷付与手段から前記供給リールに負荷トルクを付与することで、前記負荷トルクを前記駆動トルクよりも大きくし、
前記負荷付与手段から前記供給リールへの負荷トルクの付与を解除することで、前記負荷トルクを前記駆動トルクよりも小さくすることを特徴とする請求項21に記載の層転写装置。 - 前記制御部は、
前記トナー領域が前記層転写位置を通過してから前記シートの後端が前記層転写位置に到達する前に、前記切替機構による前記圧接状態から前記離間状態への切り替えを開始し、
前記圧接状態から前記離間状態への切り替えを開始してから前記離間状態になるまでの間に、前記負荷トルクを前記駆動トルクよりも大きくすることを特徴とする請求項21または請求項22に記載の層転写装置。 - 前記制御部は、
前記トナー領域から前記シートの後端までの距離が前記トナー領域から前記シートの先端までの距離よりも小さい場合には、
前記加熱ローラと前記加圧ローラとで前記多層フィルムおよび前記シートを挟み始める前に、前記伝達切替機構を前記遮断状態から前記伝達状態に切り替え、
前記加熱ローラと前記加圧ローラとで前記多層フィルムおよび前記シートを挟んだ後に、前記負荷トルクを前記駆動トルクよりも小さくすることを特徴とする請求項21から請求項23のいずれか1項に記載の層転写装置。 - 前記切替機構が前記離間状態であることを検知する状態検知センサを備え、
前記制御部は、前記状態検知センサの出力変化に応じて前記負荷トルクを前記駆動トルクよりも小さくすることを特徴とする請求項24に記載の層転写装置。 - 前記制御部は、
前記シートの後端が前記層転写位置を通過してから前記切替機構による前記圧接状態から前記離間状態への切り替えを開始し、前記切替機構が前記離間状態になる前に、前記負荷トルクを前記駆動トルクよりも大きくすることを特徴とする請求項21から請求項25のいずれか1項に記載の層転写装置。 - 前記規制切替手段は、前記切替機構を備え、
前記制御部は、
前記切替機構を前記離間状態とすることで、前記規制切替手段を前記規制状態にし、
前記切替機構を前記圧接状態とすることで、前記規制切替手段を前記解除状態にし、
搬送方向において所定長さのシートに前記転写層を転写する場合において、
前記切替機構を前記圧接状態にしている時間である層搬送時間を、前記所定長さのシートのうちトナー像が形成可能な領域全体が前記層転写位置を通過するのにかかる時間以上の第1時間とする通常処理を実行可能な通常モードと、
前記層搬送時間を、前記第1時間よりも短い第2時間とする節約転写処理を実行可能な層節約モードと、を実行可能であることを特徴とする請求項2に記載の層転写装置。 - 前記通常モードと前記層節約モードを選択可能な操作部を備え、
前記制御部は、前記操作部からの信号に基づいて前記通常モードまたは前記層節約モードを実行することを特徴とする請求項27に記載の層転写装置。 - 前記制御部は、
前記層節約モードとして、
前記トナー領域から前記シートの先端までの距離が前記トナー領域から前記シートの後端までの距離よりも小さい場合に、少なくとも前記トナー領域が前記層転写位置を通過する間、前記切替機構を前記圧接状態にした後、前記シートの後端が前記層転写位置を通過する前から前記切替機構を前記離間状態に切り替える先端転写モードと、
前記トナー領域から前記シートの後端までの距離が前記トナー領域から前記シートの先端までの距離よりも小さい場合に、前記シートの先端が前記層転写位置を通過してから前記切替機構を前記圧接状態に切り替え、少なくとも前記トナー領域が前記層転写位置を通過する間、前記切替機構を前記圧接状態にする後端転写モードと、を実行可能であることを特徴とする請求項27または請求項28に記載の層転写装置。 - 前記シートの搬送方向において前記加熱ローラの上流側に配置される上流側搬送部材と、
前記シートの搬送方向において前記上流側搬送部材の上流側に配置され、前記シートの搬送方向の長さを検知可能なシート検知センサと、を備え、
前記制御部は、
前記後端転写モードにおいて、前記シートの搬送方向の長さが所定長さ以上であると判断すると、前記シートの先端が前記層転写位置を通過してから前記切替機構を前記圧接状態に切り替え、
前記後端転写モードにおいて、前記シートの搬送方向の長さが前記所定長さ未満であると判断すると、前記シートの後端が前記上流側搬送部材を通過する前のタイミングであって、かつ、前記所定長さ以上であると判断した場合よりも早いタイミングで、前記切替機構を前記圧接状態に切り替えることを特徴とする請求項29に記載の層転写装置。 - 前記シートの搬送方向において前記加熱ローラの下流側に配置される下流側搬送部材と、
前記シートの搬送方向において前記加熱ローラの上流側に配置され、前記シートの搬送方向の長さを検知可能なシート検知センサと、を備え、
前記制御部は、
前記先端転写モードにおいて、前記シートの搬送方向の長さが前記所定長さ以上であると判断すると、前記シートの後端が前記層転写位置を通過する前から前記切替機構を前記離間状態に切り替え、
前記先端転写モードにおいて、前記シートの搬送方向の長さが前記所定長さ未満であると判断すると、前記シートの先端が前記下流側搬送部材に到達した後のタイミングであって、かつ、前記所定長さ以上であると判断した場合よりも遅いタイミングで、前記切替機構を前記離間状態に切り替えることを特徴とする請求項29または請求項30に記載の層転写装置。 - 前記制御部は、
前記節約転写処理において、
トナー像を有する第1トナー領域と、トナー像が存在しない非トナー領域と、トナー像を有する第2トナー領域とが、この順で前記層転写位置を通過する場合には、少なくとも前記第1トナー領域が前記層転写位置を通過する間、前記切替機構を前記圧接状態にし、前記第1トナー領域が前記層転写位置を通過した後、前記切替機構を前記離間状態にし、少なくとも前記第2トナー領域が前記層転写位置を通過する間、前記切替機構を前記圧接状態にすることを特徴とする請求項27または請求項28に記載の層転写装置。 - 前記シートの搬送方向において前記加熱ローラの下流側に配置され、前記シートから離れる方向に前記多層フィルムを案内する剥離ローラを備え、
前記制御部は、
前記非トナー領域の前記搬送方向の長さをX、前記シートの搬送速度をV、前記圧接状態から前記離間状態を経て再び前記圧接状態に切り替えるための最短時間をt、前記層転写位置から前記剥離ローラまでの長さをLとして、
X > V・t + L
という実行可能条件を満たした場合に、前記節約転写処理を実行することを特徴とする請求項32に記載の層転写装置。 - 前記制御部は、
第1シートの次に第2シートを連続して搬送する場合には、
前記非トナー領域の前記搬送方向の長さXを、前記第1シートの後端側の第1非トナー領域の搬送方向の長さX1と、前記第2シートの先端側の第2非トナー領域の搬送方向の長さX2と、前記第1シートと前記第2シートの間隔Y1とを足し合わせて算出することを特徴とする請求項33に記載の層転写装置。 - 前記制御部は、
前記実行可能条件を満たさないと判断した場合には、前記シートを搬送する搬送機構を制御することで、前記第1シートと前記第2シートの間隔Y1を大きくする、または、前記シートの搬送速度Vを小さくする調整処理を実行することを特徴とする請求項34に記載の層転写装置。 - 前記制御部は、前記調整処理において、前記第2シートの搬送開始タイミングを、前記実行可能条件を満たさないと判断した場合よりも遅らせることで、前記第1シートと前記第2シートの間隔Y1を大きくすることを特徴とする請求項35に記載の層転写装置。
- 前記切替機構は、前記加熱ローラを移動させることで、前記圧接状態と前記離間状態とに切替可能であることを特徴とする請求項27から請求項36のいずれか1項に記載の層転写装置。
- 前記駆動源の駆動力は、前記加圧ローラに伝達されることを特徴とする請求項37に記載の層転写装置。
- 前記巻取リールに駆動力を付与する駆動源と、
制御部と、を備え、
前記加熱部材および前記加圧部材は、前記多層フィルムと前記シートを挟んだ状態で回転することで前記多層フィルムと前記シートを搬送する2つのローラであり、
前記制御部は、
前記2つのローラの状態を前記離間状態から前記圧接状態に切り替える第1切替制御と、
前記2つのローラの状態を前記圧接状態から前記離間状態に切り替える第2切替制御と、を実行可能であり、
前記第1切替制御および前記第2切替制御のうち少なくとも一方を、前記駆動源の駆動力が前記巻取リールに伝達されているときに実行することを特徴とする請求項1に記載の層転写装置。 - 前記制御部は、前記駆動源の駆動力が前記巻取リールに伝達されているときに、前記第1切替制御を実行することを特徴とする請求項39に記載の層転写装置。
- 前記制御部は、前記駆動源の駆動力が前記巻取リールに伝達されているときに、前記第2切替制御を実行することを特徴とする請求項39または請求項40に記載の層転写装置。
- 前記供給リールに負荷トルクを付与する負荷付与手段と、
前記駆動源から前記巻取リールに加わる駆動トルクを所定値以下に制限する制限手段と、を備え、
前記制御部は、前記第1切替制御によって前記2つのローラの状態が前記圧接状態であり、かつ、前記負荷トルクが前記駆動トルクよりも小さいことを条件として、前記2つのローラを回転させることを特徴とする請求項39から請求項41のいずれか1項に記載の層転写装置。 - 前記供給リールに負荷トルクを付与する負荷付与手段と、
前記駆動源から前記巻取リールに加わる駆動トルクを所定値以下に制限する制限手段と、を備え、
前記制御部は、前記2つのローラの状態が前記圧接状態であるとともに回転中であり、かつ、前記負荷トルクが前記駆動トルクよりも小さいことを条件として、前記2つのローラを停止させ、かつ、前記第2切替制御を実行することを特徴とする請求項39から請求項42のいずれか1項に記載の層転写装置。 - 前記負荷付与手段は、前記供給リールの回転軸方向端部に設けられ、前記供給リールを回転可能に支持する部材との間で摩擦力を発生させることで前記供給リールに前記負荷トルクを付与する第1付与手段を備えることを特徴とする請求項42または請求項43に記載の層転写装置。
- 前記制限手段は、トルクリミッタであることを特徴とする請求項42から請求項44のいずれか1項に記載の層転写装置。
- 前記駆動源から駆動力が付与されることで、前記シートを搬送する搬送手段と、
前記負荷トルクまたは前記駆動トルクの大きさを変更する変更手段と、を備え、
前記制御部は、
前記負荷トルクが前記駆動トルク以上となるように前記変更手段を制御するトルク変更制御を実行可能であり、
前記2つのローラの状態が前記離間状態である場合には、前記駆動源を駆動する前に、前記トルク変更制御を実行することを特徴とする請求項42から請求項45のいずれか1項に記載の層転写装置。 - 前記制御部は、前記トルク変更制御において、前記負荷トルクを前記駆動トルクよりも大きくすることを特徴とする請求項46に記載の層転写装置。
- 前記負荷付与手段は、
前記駆動トルクよりも小さな第1負荷トルクを前記供給リールに付与する第1付与手段と、
前記駆動トルクから前記第1負荷トルクを引いた値よりも大きな第2負荷トルクを前記供給リールに付与する第2付与手段と、を備え、
前記変更手段は、前記第2付与手段と前記供給リールの接続状態を変更可能であり、
前記制御部は、前記トルク変更制御において、前記変更手段を制御することで前記第2付与手段を前記供給リールに接続させることを特徴とする請求項47に記載の層転写装置。 - 前記第2付与手段は、トルクリミッタであることを特徴とする請求項48に記載の層転写装置。
- 前記変更手段は、電磁クラッチであることを特徴とする請求項48または請求項49に記載の層転写装置。
- 前記ローラに前記駆動源からの駆動力を伝達させる伝達機構と、
前記伝達機構の状態を、前記ローラに駆動力を伝達させる伝達状態と、前記ローラへの駆動力の伝達を遮断する遮断状態とに切替可能な伝達切替手段を備え、
前記制御部は、
前記変更手段を制御することで前記第2付与手段と前記供給リールとの接続を切った後に、前記伝達切替手段を制御して前記伝達機構の状態を前記遮断状態から前記伝達状態に切り替えることを特徴とする請求項48から請求項50のいずれか1項に記載の層転写装置。 - 前記巻取リールの周速は、前記ローラの周速よりも大きいことを特徴とする請求項39から請求項51のいずれか1項に記載の層転写装置。
- 前記2つのローラのうち一方のローラは、前記多層フィルムおよび前記シートを加熱する加熱ローラであり、
前記切替機構は、前記加熱ローラを前記多層フィルムから離すことで、前記2つのローラの状態を前記離間状態にすることを特徴とする請求項39から請求項52のいずれか1項に記載の層転写装置。 - 前記筐体本体は、前記フィルムカートリッジを着脱するための開口を有し、
前記筐体本体の前記開口を閉じる閉位置と前記開口を開放する開位置との間で移動可能なカバーと、
ソレノイドであって、
前記カバーを前記閉位置でロックするロック位置と、前記ロックを解除する非ロック位置との間で移動可能なプランジャと、
前記プランジャを、内方位置と前記内方位置よりも外方に位置する外方位置との間で移動可能に支持するハウジングと、
通電により磁力を発生するコイルと、
前記内方位置に位置する前記プランジャを、前記外方位置へ向かうのを規制する磁力で保持する永久磁石と、を有するソレノイドと、
前記外方位置に位置する前記プランジャを、前記内方位置へ向かうのを規制する保持力で保持する保持部材と、を備え、
前記プランジャは、
前記外方位置において前記コイルに第1電流が流れた場合に、前記コイルの第1磁力によって前記保持部材の保持力に抗して前記内方位置に向けて移動し、
前記内方位置において前記コイルに前記第1電流とは逆向きの第2電流が流れた場合に、前記コイルの前記第1磁力とは逆向きの第2磁力によって前記永久磁石の磁力に抗して前記外方位置に向けて移動可能となることを特徴とする請求項1に記載の層転写装置。 - 前記保持部材は、前記プランジャを前記外方位置に向けて付勢するバネと、前記バネの付勢力による前記プランジャの移動を規制する規制部と、を備え、
前記プランジャは、
前記外方位置において前記コイルに第1電流が流れた場合に、前記コイルの前記第1磁力によって前記バネの付勢力に抗して前記内方位置に向けて移動し、前記内方位置に到達した後、前記永久磁石によって前記内方位置に保持され、
前記内方位置において前記コイルに前記第2電流が流れた場合に、前記コイルの前記第2磁力によって前記永久磁石の磁力が打ち消されることで、前記バネによって前記外方位置に向けて移動し、前記外方位置に到達した後、前記バネと前記規制部とによって前記外方位置に保持されることを特徴とする請求項54に記載の層転写装置。 - 前記プランジャは、
前記内方位置において前記ロック位置に位置し、
前記外方位置において前記非ロック位置に位置することを特徴とする請求項54に記載の層転写装置。 - 前記プランジャの移動に連動して移動するスライド部材を備え、
前記カバーは、前記閉位置に位置する状態において、前記筐体本体に係合可能な係合位置と、前記筐体本体から外れる非係合位置とに移動可能なロックレバーを備え、
前記スライド部材は、
前記プランジャが前記ロック位置に位置するときに、前記ロックレバーの前記係合位置から前記非係合位置に向かう移動を規制し、
前記プランジャが前記非ロック位置に位置するときに、前記ロックレバーの前記係合位置から前記非係合位置に向かう移動を許容することを特徴とする請求項54から請求項56のいずれか1項に記載の層転写装置。 - 前記プランジャと前記スライド部材とに連結される、回動可能な第1回動部材を備え、
前記第1回動部材の回動軸から前記第1回動部材と前記プランジャの連結部分までの距離は、前記回動軸から前記第1回動部材と前記スライド部材の連結部分までの距離よりも小さいことを特徴とする請求項57に記載の層転写装置。 - 第1位置と第2位置との間で回動可能な第2回動部材を備え、
前記第2回動部材は、前記ロックレバーが前記係合位置から前記非係合位置に向けて移動する際に、前記ロックレバーと係合して、前記第1位置から前記第2位置へ移動可能であり、
前記スライド部材は、
前記プランジャが前記ロック位置に位置するときに、前記第2回動部材と接触することで、前記第2回動部材の前記第1位置から前記第2位置に向かう移動を規制し、
前記プランジャが前記非ロック位置に位置するときに、前記第2回動部材から離れることで、前記第2回動部材の前記第1位置から前記第2位置に向かう移動を許容することを特徴とする請求項57または請求項58に記載の層転写装置。 - 前記ロックレバーが前記係合位置に位置することを検知する第1センサと、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記プランジャを前記ロック位置から前記非ロック位置に移動させることを決定した場合には、前記第1センサからの信号に基づいて前記ロックレバーが前記係合位置に位置すると判断した場合に限り、前記コイルに前記第2電流を流す指令を出力することを特徴とする請求項57から請求項59のいずれか1項に記載の層転写装置。 - 前記制御部は、
前記プランジャを前記ロック位置から前記非ロック位置に移動させることを決定した場合において、前記第1センサからの信号に基づいて前記ロックレバーが前記係合位置に位置していないと判断した場合には、エラーを報知することを特徴とする請求項60に記載の層転写装置。 - 前記プランジャの位置を検知する第2センサと、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記コイルに前記第1電流を流す指令を出力したにも関わらず、前記第2センサからの信号に基づいて、前記プランジャが前記ロック位置に位置していないと判断した場合には、エラーを報知することを特徴とする請求項54から請求項61のいずれか1項に記載の層転写装置。 - 前記筐体本体内の温度を検知する温度センサと、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記コイルに通電することで、前記プランジャを前記非ロック位置から前記ロック位置へ移動させる第1通電処理と、
前記コイルに前記第1通電処理とは異なる処理で通電することで、前記プランジャを前記ロック位置から前記非ロック位置へ移動させる第2通電処理と、を実行可能であり、
前記温度が第1温度以上である場合に、前記第1通電処理を実行し、
前記温度が第2温度未満である場合に、前記第2通電処理を実行することを特徴とする請求項54から請求項62のいずれか1項に記載の層転写装置。 - 前記転写層をシート上のトナー像に転写する層転写処理を実行可能な制御部を備え、
前記制御部は、
前記層転写処理を開始する場合には、前記筐体本体内の温度に関係なく、前記コイルに通電して、前記プランジャを前記非ロック位置から前記ロック位置へ移動させることを特徴とする請求項54から請求項63のいずれか1項に記載の層転写装置。 - 前記筐体本体は、前記フィルムカートリッジを着脱するための開口を有し、
前記筐体本体の前記開口を閉じる閉位置と前記開口を開放する開位置との間で移動可能なカバーと、
前記カバーを前記閉位置でロックするロック位置と、前記ロックを解除する非ロック位置との間で移動可能なラックギヤと、
前記ラックギヤと噛み合う切替ギヤと、
通電により、前記切替ギヤを所定の方向に回転させる第1駆動力と前記切替ギヤを前記所定の方向とは逆向きに回転させる第2駆動力を発生するステッピングモータと、を備え、
前記ラックギヤは、
前記非ロック位置において前記ステッピングモータが前記第1駆動力を発生した場合に、前記ロック位置に向けて移動し、
前記ロック位置において前記ステッピングモータが前記第2駆動力を発生した場合に、前記非ロック位置に向けて移動することを特徴とする請求項1に記載の層転写装置。 - 前記筐体本体は、前記フィルムカートリッジが前記供給リールの回転軸に直交する方向に着脱可能であり、前記フィルムカートリッジを着脱するための開口を有し、
前記開口を開放する開位置と、前記開口を閉じる閉位置との間で移動可能なカバーと、
前記加熱部材を覆う保護位置と、前記保護位置から退避した退避位置との間で移動可能なシャッタと、を備え、
前記加熱部材は、前記筐体本体に設けられ、
前記加圧部材は、前記カバーに設けられ、
前記シャッタは、前記カバーが前記開位置に位置するときに前記保護位置に位置することを特徴とする請求項1に記載の層転写装置。 - 前記シャッタは、
前記切替機構が前記離間状態から前記圧接状態に切り替わる動作に連動して、前記保護位置から前記退避位置に移動し、
前記切替機構が前記圧接状態から前記離間状態に切り替わる動作に連動して、前記退避位置から前記保護位置に移動することを特徴とする請求項66に記載の層転写装置。 - 前記供給リールの回転軸に沿った軸方向と前記フィルムカートリッジの着脱方向とに交差する前記シートの搬送方向において前記加熱部材の上流側と下流側に配置され、前記多層フィルムを前記搬送方向に沿って案内する2つの案内軸を備え、
前記シャッタは、前記2つの案内軸間の多層フィルムと間隔を開けた位置において、当該多層フィルムに沿って移動することを特徴とする請求項67に記載の層転写装置。 - 前記フィルムカートリッジは、前記退避位置に位置する前記シャッタが入る凹部を有することを特徴とする請求項68に記載の層転写装置。
- 前記加熱部材を回転可能に支持するベアリングを備え、
前記シャッタは、前記ベアリングに接触することで、前記軸方向に位置決めされることを特徴とする請求項68または請求項69に記載の層転写装置。 - 前記シャッタは、
前記軸方向に長い矩形状であり、
前記軸方向の両端部にそれぞれ切欠きを有し、
2つの前記切欠きの間の第1部位で、前記加熱部材を覆うとともに、前記切欠きを挟んで前記第1部位とは反対側に位置する第2部位で、前記切替機構から力を受けることで前記切替機構と連動することを特徴とする請求項70に記載の層転写装置。 - 前記シャッタが前記保護位置に位置するときに、前記ベアリングが前記切欠きの中に入っていることを特徴とする請求項71に記載の層転写装置。
- 前記シャッタは、第1シャッタと、第2シャッタと、を備え、
前記第1シャッタおよび前記第2シャッタは、前記搬送方向に沿って互いに近づく方向と、離れる方向とに移動可能であることを特徴とする請求項68から請求項72のいずれか1項に記載の層転写装置。 - 前記搬送方向は、水平面に対して傾斜した方向であり、
前記第1シャッタは、前記第2シャッタよりも上に位置し、かつ、前記第1シャッタおよび前記第2シャッタが前記保護位置に位置するときに前記第1シャッタの移動方向において前記第2シャッタと間隔を開けて配置され、
前記第2シャッタは、前記第1シャッタよりも前記開口の近くに位置し、水平方向に投影したときに前記第1シャッタに重なることを特徴とする請求項73に記載の層転写装置。 - 前記加圧部材を覆う被覆位置と、前記被覆位置から退避した開放位置との間で移動可能な加圧側シャッタを備え、
前記加圧側シャッタは、
前記カバーが開く動作に連動して前記開放位置から前記被覆位置に移動し、
前記カバーが閉まる動作に連動して前記被覆位置から前記開放位置に移動することを特徴とする請求項66から請求項74のいずれか1項に記載の層転写装置。
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