以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、半導体装置100の一例を示す平面図である。本例の半導体装置100は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等のトランジスタを含むトランジスタ部70、および、FWD(Free Wheel Diode)等のダイオードを含むダイオード部80を有する半導体チップである。図1においてはチップ端部周辺のチップ表面を示しており、他の領域を省略している。
また、図1においては半導体装置100における半導体基板の活性領域を示すが、半導体装置100は、活性領域を囲んで耐圧構造部を有してよい。活性領域は、半導体装置100をオン状態に制御した場合に電流が流れる領域を指す。耐圧構造部は、半導体基板の表面側の電界集中を緩和する。耐圧構造部は、例えばガードリング、フィールドプレート、リサーフおよびこれらを組み合わせた構造を有する。
本例の半導体装置100は、チップの表面側において、ゲート電極50、エミッタ電極52、ゲートトレンチ部40、ダミートレンチ部30、エミッタトレンチ部60、ウェル領域17、エミッタ領域12、ベース領域14、コンタクト領域15、コンタクトホール54およびゲートコンタクトホール55を有する。エミッタ電極52は、第1表面側電極の一例であり、ゲート電極50は第2表面側電極の一例である。
ゲートトレンチ部40、ダミートレンチ部30、エミッタトレンチ部60、ウェル領域17、エミッタ領域12、ベース領域14およびコンタクト領域15は、半導体基板の表面側の内部に形成され、エミッタ電極52およびゲート電極50は、半導体基板の表面の上方に設けられる。
エミッタ電極52およびゲート電極50と、半導体基板の表面との間には層間絶縁膜が形成されるが、図1では省略している。コンタクトホール54およびゲートコンタクトホール55は、当該層間絶縁膜を貫通して形成される。エミッタ電極52は、コンタクトホール54を通って半導体基板と接触する。ゲート電極50は、ゲートコンタクトホール55を通って半導体基板と接触する。
エミッタ電極52およびゲート電極50は、金属を含む材料で形成される。例えば、各電極の少なくとも一部の領域はアルミまたはアルミシリコン合金で形成される。各電極は、下層にチタンやチタン化合物等のバリアメタルを有してよく、アルミとバリアメタルの間にタングステンを埋め込んだプラグを含む材料で形成される領域を有してもよい。
1以上のゲートトレンチ部40および1以上のダミートレンチ部30は、トランジスタ部70の領域において所定の配列方向に沿って所定の間隔で配列される。ダミートレンチ部30は、半導体基板の表面において予め定められた延伸方向に延伸して形成される。本例におけるダミートレンチ部30は直線形状を有しており、上述した配列方向とは垂直な方向に延伸して形成される。
ゲートトレンチ部40は、対向部41および突出部43を有する。対向部41は、ダミートレンチ部30と対向する範囲において、上述した延伸方向に延伸して形成される。つまり、対向部41は、ダミートレンチ部30と平行に形成される。突出部43は、対向部41から更に延伸して、ダミートレンチ部30と対向しない範囲に形成される。本例において、ダミートレンチ部30の両側に設けられた2つの対向部41が、1つの突出部43により接続される。突出部43の少なくとも一部は曲線形状を有してよい。
突出部43を覆う絶縁層に、ゲートコンタクトホール55が形成される。ゲートコンタクトホール55は、突出部43において対向部41から最も離れた領域に対応して形成されてよい。本例の突出部43は、対向部41から最も離れた領域において、対向部41とは直交する方向に延伸する部分を有する。ゲートコンタクトホール55は、突出部43の当該部分に対応して形成されてよい。
エミッタトレンチ部60は、ダイオード部80の領域に設けられる。エミッタトレンチ部60は、ゲートトレンチ部40と同様の形状を有してよい。ただし、エミッタトレンチ部60の延伸方向における長さは、ゲートトレンチ部40よりも短くてよい。本例のエミッタトレンチ部60の長さは、ダミートレンチ部30と同一である。
ゲート電極50は、突出部43の一部を覆って形成される。ゲート電極50は、突出部43においてゲートコンタクトホール55が設けられた部分を覆って形成される。本例のゲート電極50は、対向部41、ダミートレンチ部30およびエミッタトレンチ部60の上方には形成されない。
エミッタ電極52は、ゲートトレンチ部40、ダミートレンチ部30、エミッタトレンチ部60、ウェル領域17、エミッタ領域12、ベース領域14およびコンタクト領域15の上方に形成される。本例のエミッタ電極52は、ウェル領域17およびゲートトレンチ部40の一部を覆って形成される。
ウェル領域17は、ゲート電極50が設けられる側の半導体基板の端部から、所定の範囲で形成される。ウェル領域17の拡散深さは、ゲートトレンチ部40、ダミートレンチ部30、エミッタトレンチ部60の深さよりも深くてよい。ダミートレンチ部30、エミッタトレンチ部60および対向部41の、ゲート電極50側の一部の領域はウェル領域17に形成される。ダミートレンチ部30の延伸方向の端の底は、ウェル領域17に覆われていてよい。
突出部43は、全体がウェル領域17に形成されてよい。半導体基板は第1導電型を有し、ウェル領域17は半導体基板とは異なる第2導電型を有する。本例の半導体基板はN-型であり、ウェル領域17はP+型である。本例においては、第1導電型をN型として、第2導電型をP型として説明する。ただし、第1および第2導電型は逆の導電型であってもよい。
各トレンチ部に挟まれる領域には、ベース領域14が形成される。ベース領域14は、ウェル領域17よりも不純物濃度の低い第2導電型である。本例のベース領域14はP-型である。
ベース領域14の表面には、ベース領域14よりも不純物濃度の高い第2導電型のコンタクト領域15が形成される。本例のコンタクト領域15はP+型である。また、トランジスタ部70においては、コンタクト領域15の表面の一部に、半導体基板よりも不純物濃度が高い第1導電型のエミッタ領域12が選択的に形成される。本例のエミッタ領域12はN+型である。
コンタクト領域15およびエミッタ領域12のそれぞれは、隣接する一方のトレンチ部から、他方のトレンチ部まで形成される。トランジスタ部70の1以上のコンタクト領域15および1以上のエミッタ領域12は、各トレンチ部に挟まれる領域において、トレンチ部の延伸方向に沿って交互に半導体基板の表面に露出するように形成される。
トランジスタ部70において、コンタクトホール54は、コンタクト領域15、エミッタ領域12およびダミートレンチ部30の各領域の上方に形成される。エミッタ領域12とエミッタ電極52との接触面積を最大化すべく、コンタクトホール54は、隣接する一方のトレンチ部から、他方のトレンチ部まで形成される。また、コンタクトホール54は、エミッタ領域12の表面の全範囲を露出させるように形成されてよい。また、コンタクトホール54は、コンタクト領域15の表面の全範囲も露出させるように形成されてよい。ただし、コンタクトホール54は、ベース領域14およびウェル領域17に対応する領域には形成されない。
また、コンタクトホール54は、エミッタ領域12に対向する範囲のゲートトレンチ部40の上方にも形成される。本例のコンタクトホール54は、エミッタ領域12およびコンタクト領域15に対向する範囲のゲートトレンチ部40を露出させる。なお、後述するようにゲートトレンチ部40のトレンチ内の上端に、トレンチ内の電極とエミッタ電極52とを絶縁する絶縁部が形成される。
また、コンタクトホール54は、エミッタ領域12に対向する範囲のダミートレンチ部30を露出させるように形成される。本例のコンタクトホール54は、エミッタ領域12およびコンタクト領域15に対向する範囲のダミートレンチ部30を露出させる。エミッタ電極52は、露出したダミートレンチ部30の内部の電極と接触する。
また、ダイオード部80において、コンタクトホール54は、コンタクト領域15、ベース領域14およびエミッタトレンチ部60の各領域の上方に形成される。本例のコンタクトホール54は、複数のベース領域14のうち、最もゲート電極50に近いベース領域14に対しては形成されない。本例においてトランジスタ部70のコンタクトホール54と、ダイオード部80のコンタクトホール54とは、各トレンチ部の延伸方向において同一の長さを有する。
ダイオード部80において、コンタクト領域15およびベース領域14と、エミッタ電極52との接触面積を最大化すべく、コンタクトホール54は、隣接する一方のトレンチ部から、他方のトレンチ部まで形成される。ただし、コンタクトホール54は、ベース領域14およびウェル領域17に対応する領域には形成されない。本例のトランジスタ部70のコンタクトホール54と、ダイオード部80のコンタクトホール54とは一体に形成されている。
図2は、図1におけるa-a'断面の一例を示す図である。本例の半導体装置100は、当該断面において、半導体基板10、エミッタ電極52およびコレクタ電極24を有する。エミッタ電極52は、半導体基板10の表面に形成される。エミッタ電極52は、エミッタ端子53と電気的に接続される。
コレクタ電極24は、半導体基板10の裏面に形成される。コレクタ電極24は、コレクタ端子と電気的に接続される。エミッタ電極52およびコレクタ電極24は、金属等の導電材料で形成される。また本明細書において、基板、層、領域等の各部材のエミッタ電極52側の面を表面、コレクタ電極24側の面を裏面または底部と称する。また、エミッタ電極52とコレクタ電極24とを結ぶ方向を深さ方向と称する。
半導体基板10は、シリコン基板であってよく、炭化シリコン基板、窒化物半導体基板等であってもよい。半導体基板10の表面側には、P-型のベース領域14が形成される。また、N+型のエミッタ領域12が、ベース領域14の表面側における一部の領域に選択的に形成される。
また、半導体基板10は、N+型の蓄積領域16、N-型のドリフト領域18、N-型のバッファ領域20、P+型のコレクタ領域22、および、N+型のカソード領域82を更に有する。蓄積領域16は、ベース領域14の裏面側に形成される。蓄積領域16の不純物濃度は、ドリフト領域18の不純物濃度よりも高い。
蓄積領域16は、隣接するトレンチ間に形成される。例えばトランジスタ部70において蓄積領域16は、ダミートレンチ部30およびゲートトレンチ部40の間に形成される。蓄積領域16は、ダミートレンチ部30およびゲートトレンチ部40の間の全領域を覆うように設けられてよい。蓄積領域16を設けることで、キャリア注入促進効果(IE効果)を高めて、オン電圧を低減することができる。
ドリフト領域18は、蓄積領域16の裏面側に形成される。バッファ領域20は、ドリフト領域18の裏面側に形成される。バッファ領域20の不純物濃度は、ドリフト領域18の不純物濃度よりも高い。バッファ領域20は、ベース領域14の裏面側から広がる空乏層が、コレクタ領域22およびカソード領域82に到達することを防ぐフィールドストップ層として機能してよい。
コレクタ領域22は、トランジスタ部70の領域において、バッファ領域20の裏面側に形成される。カソード領域82は、ダイオード部80の領域において、バッファ領域20の裏面側に形成される。また、コレクタ領域22およびカソード領域82の裏面にはコレクタ電極24が設けられる。
半導体基板10の表面側には、1以上のゲートトレンチ部40、1以上のダミートレンチ部30、および、1以上のエミッタトレンチ部60が形成される。各トレンチ部は、半導体基板10の表面から、ベース領域14を貫通して、ドリフト領域18に到達する。本例においてゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30は、半導体基板10の表面から、エミッタ領域12、ベース領域14および蓄積領域16を貫通して、ドリフト領域18に到達する。また、エミッタトレンチ部60は、半導体基板10の表面から、ベース領域14および蓄積領域16を貫通して、ドリフト領域18に到達する。
ゲートトレンチ部40は、半導体基板10の表面側に形成されたゲートトレンチ、絶縁膜42、ゲート導電部44およびゲート絶縁部37を有する。絶縁膜42は、ゲートトレンチの内壁を覆って形成される。絶縁膜42は、ゲートトレンチの内壁の半導体を酸化または窒化して形成してよい。ゲート導電部44は、ゲートトレンチの内部において絶縁膜42よりも内側に形成される。つまり絶縁膜42は、ゲート導電部44と半導体基板10とを絶縁する。ゲート導電部44は、ポリシリコン等の導電材料で形成される。
ゲート絶縁部37は、ゲートトレンチの内部においてゲート導電部44の上方に形成され、ゲート導電部44とエミッタ電極52とを絶縁する。本例においてゲート導電部44のゲートトレンチ開口側の端面は、半導体基板10の表面よりも、半導体基板10の内部側に設けられる。ここで半導体基板10の表面は、エミッタ領域12の表面を指してよい。また、ゲート導電部44のゲートトレンチ開口側の端面を、ゲート導電部44の表面と称する場合がある。
ゲート絶縁部37は、ゲート導電部44の表面よりも上側において、ゲートトレンチ内部に充填される。ゲート絶縁部37は、ゲート導電部44の表面全体を覆って設けられる。ゲート絶縁部37のゲートトレンチ開口側の端面の少なくとも一部は、半導体基板10の表面と同じ高さに設けられる。なお、ゲート絶縁部37のゲートトレンチ側の端面を、ゲート絶縁部37の表面と称する場合がある。
ゲート絶縁部37の表面は、エミッタ電極52と接触する。ゲート絶縁部37とエミッタ電極52との間には、他の導電部材または絶縁部材が介在しないことが好ましい。このように、ゲート絶縁部37をゲートトレンチ内に形成することで、半導体基板10の表面の凹凸を低減することができる。
また、ゲート絶縁部37の表面全体が、半導体基板10の表面と同一面に形成されてよい。この場合、半導体基板10の表面の凹凸を更に低減できる。従って、半導体基板10の表面の上方に積層する構造を容易に形成できる。また、半導体装置100の微細化が容易になる。
ゲート絶縁部37は、例えば酸化シリコン、窒化シリコン、または、その他の絶縁材料を含む。ゲート絶縁部37の深さ方向における厚みは、絶縁膜42のゲートトレンチ底部における厚みよりも大きくてよい。
ゲート導電部44は、少なくとも隣接するベース領域14と対向する領域を含む。それぞれのゲート導電部44は、ゲート端子51に電気的に接続される。本例では、図1に示したように突出部43においてゲート導電部44がゲート電極50と電気的に接続する。また、ゲート電極50がゲート端子51に電気的に接続する。ゲート端子51を介してゲート導電部44に所定の電圧が印加されると、ベース領域14のうちゲートトレンチに接する界面の表層にチャネルが形成される。
ダミートレンチ部30は、半導体基板10の表面側に形成されたダミートレンチ、絶縁膜32およびダミー導電部34を有する。絶縁膜32は、ダミートレンチの内壁を覆って形成される。
ダミー導電部34は、ダミートレンチの内部に形成され、且つ、絶縁膜32よりも内側に形成される。絶縁膜32は、ダミー導電部34と半導体基板10とを絶縁する。ダミー導電部34は、ゲート導電部44と同一の材料で形成されてよい。例えばダミー導電部34は、ポリシリコン等の導電材料で形成される。ダミー導電部34は、深さ方向においてゲート導電部44と同一の長さを有してよい。
エミッタ電極52は、ダミートレンチの内部においてダミー導電部34と接触する。ダミートレンチの内部とは、ダミートレンチの開口を含む。つまり、ダミー導電部34のダミートレンチの開口側の端面の少なくとも一部は、半導体基板10の表面と同じ高さであり、エミッタ電極52は、半導体基板10の表面と同じ高さのダミー導電部34の当該端面と接触してよい。なお、ダミー導電部34のダミートレンチの開口側の端面を、ダミー導電部34の表面と称する場合がある。
本例の半導体装置100においては、ダミー導電部34とエミッタ電極52とが直接接触する。つまり、ダミー導電部34とエミッタ電極52との間に、ポリシリコン等の他の導電材料を設けない。このため、半導体基板10の表面の凹凸を低減することができる。また、ダミー導電部34の表面全体が、半導体基板10の表面と同一の高さであってよい。この場合、半導体基板10の表面の凹凸を更に低減できる。従って、半導体基板10の表面の上方に積層する構造を容易に形成できる。
また、半導体装置100は、ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30の間のメサ領域におけるエミッタ領域12の表面に絶縁膜を有さなくてよい。つまり、メサ領域におけるエミッタ領域12の表面が、すべてエミッタ電極52に接触してよい。ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30の上方に絶縁膜を設ける場合、当該絶縁膜がメサ領域のエミッタ領域12の表面の一部を覆ってしまう。また、絶縁膜のサイズは製造ばらつきを有する。このため、半導体装置を微細化してメサ幅を小さくすることが困難になる。これに対して半導体装置100によれば、メサ領域におけるエミッタ領域12の表面に絶縁膜を設けなくてよいので、半導体装置100をより微細化することができる。
なお、ゲートトレンチ部40のゲートトレンチは、ダミートレンチ部30のダミートレンチよりも深い位置まで形成されてよい。これにより、ゲート導電部44とダミー導電部34とを同一のプロセスで同一の長さに形成しても、ゲートトレンチ内にはゲート絶縁部37を設ける空間を確保しつつ、ダミートレンチ内にダミー導電部34を充填することができる。
また、半導体基板10の表面側において、ゲートトレンチの開口幅W2は、ダミートレンチの開口幅W1より大きい。ここで開口幅とは、開口が有する幅のうち最大の幅を指してよい。開口が円形状の場合、開口幅は円形状の直径を指す。ゲートトレンチの開口幅W2を大きくすることで、同一のエッチング工程でゲートトレンチおよびダミートレンチを形成した場合に、ゲートトレンチの長さをダミートレンチよりも長くすることができる。このため、長さの異なるゲートトレンチおよびダミートレンチを容易に形成することができる。
また、図2の例では、ダミー導電部34の表面は、ダミートレンチの開口と同じ位置に設けられていた。他の例では、ダミー導電部34の表面は、ダミートレンチの開口よりも半導体基板10の内部の深い位置に設けられてもよい。この場合、エミッタ電極52は、ダミートレンチの内部まで形成されて、ダミー導電部34の表面と接触する。
また、絶縁膜32は、ダミートレンチの基板表面側の端部近傍には形成されなくてもよい。これにより、ダミートレンチの側壁には、エミッタ領域12の少なくとも一部が露出する。絶縁膜32は、ダミートレンチの内壁の半導体を酸化または窒化して形成し、ダミートレンチ内に所定の厚みのダミー導電部34を形成した後に、ダミー導電部34により覆われていない酸化または窒化膜を除去することで形成してよい。
この場合、エミッタ電極52は、ダミートレンチ内のダミー導電部34の表面とも接触し、且つ、ダミートレンチの側壁においてエミッタ領域12とも接触する。これにより、エミッタ領域12とエミッタ電極52との接触面積を拡大して、コンタクト抵抗を下げることができる。
本例の半導体装置100によれば、ダミートレンチ部30を設けることで、ドリフト領域へのIE効果を高めてオン電圧を低減することができる。また、ゲートトレンチ内にゲート絶縁部37を設けることで、半導体基板10の表面における凹凸を低減することができる。また、エミッタ電極52とダミー導電部34とが直接接触することで、半導体基板10の表面における凹凸を低減することができる。このため、半導体装置100を容易に微細化できる。
本例においてゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30は、図2に示すように所定の配列方向において交互に配置される。また、各トレンチ部は一定の間隔で配置されてよい。ただし、各トレンチの配置は上記の例に限定されない。2つのダミートレンチ部30の間に複数のゲートトレンチ部40が配置されてよい。また、それぞれのダミートレンチ部30の間に設けられるゲートトレンチ部40の数は一定でなくともよい。
ダイオード部80は、トランジスタ部70と隣接した領域に設けられる。ダイオード部80は、トランジスタ部70と同一層のベース領域14、蓄積領域16、ドリフト領域18およびバッファ領域20を有する。ダイオード部80のバッファ領域20の裏面側にはカソード領域82が設けられる。また、ダイオード部80は、1以上のエミッタトレンチ部60を有する。また、ダイオード部80には、エミッタ領域12が形成されない。
エミッタトレンチ部60は、ベース領域14の表面側からベース領域14および蓄積領域16を貫通して、ドリフト領域18まで到達して形成される。それぞれのエミッタトレンチ部60は、ダミートレンチ部30と同様に、絶縁膜62およびエミッタ導電部64を有する。エミッタトレンチ部60は、ダミートレンチ部30と同一の構造を有してよい。
つまり、エミッタ導電部64の表面は、エミッタ電極52と接触する。また、エミッタトレンチ部60のエミッタトレンチは、ゲートトレンチ部40のゲートトレンチよりも浅く形成されてよい。エミッタトレンチの幅は、ゲートトレンチの幅よりも小さくてよい。
また、本例におけるトランジスタ部70におけるトレンチ部の間隔と、ダイオード部80におけるエミッタトレンチ部60の間隔とは同一である。図2に示すように、トランジスタ部70においてゲートトレンチ部40とダミートレンチ部30とが交互に配置されている場合、ゲートトレンチ部40とダミートレンチ部30との間隔と、エミッタトレンチ部60どうしの間隔とが同一であってよい。
図3は、図1におけるb-b'断面の一例を示す図である。本例の半導体装置100は、当該断面において、半導体基板10、層間絶縁膜26、エミッタ電極52およびコレクタ電極24を有する。層間絶縁膜26は、ゲート電極50およびエミッタ電極52と、半導体基板10との間に形成される。層間絶縁膜26には、コンタクトホール54およびゲートコンタクトホール55が形成される。
コンタクトホール54は、半導体基板10の表面において、エミッタ領域12およびコンタクト領域15の少なくとも一部を露出させる。エミッタ電極52は、コンタクトホール54を通過して、エミッタ領域12およびコンタクト領域15と接触する。
ゲートコンタクトホール55は、半導体基板10の表面において、ゲートトレンチ部40の突出部43の少なくとも一部を露出させる。本例において、ゲートコンタクトホール55により露出するゲートトレンチ部40には、ゲート絶縁部37が形成されない。つまり、ゲートコンタクトホール55により、ゲート導電部44の表面の少なくとも一部が露出する。ゲート電極50は、ゲートコンタクトホール55を通って、ゲート導電部44の表面と接触する。
ゲートコンタクトホール55により露出するゲートトレンチ部40は、図2に示したダミートレンチ部30と同一の構造を有してよい。例えば、突出部43の一部において、ゲート導電部44のゲートトレンチの開口側の端面(本例では表面)の少なくとも一部は、半導体基板10の表面と同じ高さである。ゲート導電部44の表面全体が、半導体基板10の表面と同一の高さであってもよい。
また、ゲートコンタクトホール55により露出するゲートトレンチ部40のゲートトレンチは、対向部41におけるゲートトレンチ部40のゲートトレンチよりも、浅くてよい。つまり、対向部41のゲートトレンチは、突出部の一部のゲートトレンチよりも深い。ゲートコンタクトホール55により露出するゲートトレンチ部40のゲートトレンチは、ダミートレンチと同一の深さまで形成されてよい。また、ゲートコンタクトホール55により露出するゲートトレンチ部40のゲートトレンチは、ダミートレンチと同一の幅を有してよい。このような構成により、半導体基板10の表面の凹凸を低減することができる。
図4は、半導体装置100の製造方法の一例を説明する図である。図3では、製造工程のうち、ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30を形成する工程を示している。ただし、半導体装置100の製造方法は本例に限定されない。まず、ドリフト領域18と同一の導電型(本例ではN-型として説明する)の半導体基板10を準備する。
次に、トレンチ形成段階S300において、半導体基板10の表面に所定のパターンのエッチングマスクを設け、ゲートトレンチ45およびダミートレンチ31を形成する。ゲートトレンチ45は、ダミートレンチ31よりも深くまで形成してよい。この場合、ゲートトレンチ45を形成するためのマスク開口の幅を、ダミートレンチ31を形成するためのマスク開口の幅よりも大きくすることで、同一のプロセスで深さの異なるゲートトレンチ45およびダミートレンチ31を形成できる。次に、絶縁膜形成段階S302において、ゲートトレンチ45およびダミートレンチ31の内壁に絶縁膜42および絶縁膜32を形成する。
次に、導電部形成段階S304において、ゲートトレンチ45およびダミートレンチ31の内部に導電材料を充填して、ゲート導電部44およびダミー導電部34を形成する。本例では、同一の長さのゲート導電部44およびダミー導電部34を同一の工程で形成する。本例では、ダミー導電部34は、ダミートレンチ31の全体に充填される。ただし、ポリシリコン等の導電材料のオーバーエッチングにより、ダミー導電部34の上面は、ゲート導電部44と同様に若干基板内部側に凹状に凹む。また、ゲート絶縁膜42も、導電材料を半導体基板10の表面よりさらに深くエッチングする時に、若干エッチングされる。若干とは、ゲート絶縁膜42とゲート導電部44を形成する導電材料とのエッチング選択比で決まる程度である。これにより、ゲート絶縁膜42の上端は、半導体基板10の表面より深い位置に設けられる場合がある。この場合に、ゲート絶縁膜42の上端より上部で、ゲートトレンチ45の側壁に半導体基板10が露出することがある。ゲートトレンチ45は、ダミートレンチ31よりも深いので、ゲートトレンチ45の内部における上端近傍には、深さD1の空間が残っている。深さD1は、ゲート導電部44の表面のうち最も深い位置にある部分と、半導体基板10の表面との深さ方向における距離を指す。
次に、半導体基板の表面側からP型不純物を注入して、1100度程度の温度で2時間程度の熱処理を行い、半導体基板10の表面全体に、トレンチよりも浅いP型ベース領域14を形成する。次に、半導体基板10の表面側からN型不純物を注入して、ベース領域14より深く、トレンチよりも浅いN型蓄積領域16を形成する。例えば、加速電圧2.8MeV、5.0×1012/cm2程度でリンをイオン注入することで、N型蓄積領域16を形成する。
次に、エミッタ領域12に対応する部分が開口したマスクを用いて、半導体基板10の表面側からN型不純物を選択的に注入する。これにより、P型ベース領域14の内部にN+型エミッタ領域12を選択的に形成する。
次に、絶縁膜形成工程S306において、半導体基板10の表面に絶縁膜29を形成する。絶縁膜29の厚さT1は、ゲートトレンチ45の内部における空間の深さD1よりも大きいことが好ましい。また、絶縁膜29は、ゲートトレンチの側壁で半導体基板10と直接接してもよい。これにより、ゲートトレンチ側壁のゲート絶縁膜上面に、周知のバーズビークが形成されることを防ぐことができる。
次に、絶縁膜除去工程S308において、所定の層間絶縁パターンを残して絶縁膜を除去する。このとき、ゲートトレンチ45の内部に絶縁膜が残るように絶縁膜を除去する。これにより、層間絶縁膜26およびゲート絶縁部37を形成する。なお、S308においては、CMPにより半導体基板10の表面と同一の高さまで絶縁膜を研磨してよい。この場合、ゲート絶縁部37の表面全体が、半導体基板10の表面と同一の高さになる。
また、S308においては、エッチングにより絶縁膜を除去してもよい。このとき図4に示すように、ゲート絶縁部37の一部が、ゲートトレンチ45の開口の縁部近傍における半導体基板10の表面にも形成される場合がある。この場合、ゲート絶縁部37は、絶縁膜42の端面を覆うように設けられ、絶縁膜42を保護する保護部としても機能できる。ただし、半導体基板10の表面における凹凸をできるだけ小さくするべく、ゲート絶縁部37の表面の少なくとも一部は、半導体基板10の表面と同一の高さに設けられることが好ましい。
次に、電極形成工程S310において、半導体基板10の表面に、金属を含むエミッタ電極52を形成する。エミッタ電極52は、ダミー導電部34の表面と接触する。また、エミッタ電極52は、ゲート絶縁部37の表面およびエミッタ領域12とも接触する。これにより、半導体基板10の表面側におけるトレンチおよび電極等の構造を形成できる。
次に、半導体基板10の裏面側から例えば1.0×1014/cm2程度でセレンをイオン注入した後、900度程度の温度で2時間程度の熱処理を行う。これにより、半導体基板10の裏面側にN+型のバッファ領域20を形成する。残った半導体基板10のN-型の領域がドリフト領域18になる。拡散係数の大きいセレンを用いることで、深い位置にバッファ領域20を形成できる。また、バッファ領域20を形成する前に、半導体基板10を研磨して、厚みを調整してもよい。
セレンのイオン注入に代えて、プロトンを異なるドーズ量で複数回イオン注入することで、N+型バッファ領域20を形成してもおい。これにより、不純物濃度が基板表面側から基板裏面側に向けて不純物濃度が増加するバッファ領域20を形成できる。
次に、半導体基板10の裏面側から例えば1.0×1013/cm2以上、4.0×1013/cm2以下のドーズ量でP型不純物をイオン注入する。これにより、半導体基板10の裏面側に、バッファ領域20よりも薄いP+型コレクタ領域22を形成する。P型不純物のドーズ量が1.0×1013/cm2未満の場合、コレクタ領域とコレクタ電極とがオーミック接合できないので、好ましくない。また、ダイオード部80においては、カソード領域82を形成する。そして、半導体基板10の裏面側にコレクタ電極24等を適宜形成する。
図5は、a-a'断面における半導体装置100の他の構造例を示す図である。本例におけるダミートレンチ部30は、図1から図4において説明したダミートレンチ部30の構成に対して、ダミー絶縁部38を更に有する。ダミー導電部34は、ダミートレンチの底部から、ダミートレンチの中間部分まで形成される。ダミー絶縁部38は、ダミートレンチの内部においてダミー導電部34の上方に形成される。
ダミー絶縁部38は、貫通孔36を有する。エミッタ電極52の一部は、ダミー絶縁部38の貫通孔36を通ってダミー導電部34の表面に接触する。エミッタ電極52は、貫通孔36の内部に設けられたプラグ部を有してよい。プラグ部は、半導体基板10の表面の上方に形成されたエミッタ電極52の領域と同一の材料で形成されてよく、異なる材料で形成されてもよい。一例として、プラグ部はタングステンを含む材料で形成され、プラグ部以外のエミッタ電極52はタングステンを含まない材料で形成される。プラグ部をタングステンを含む材料で形成することで、微細な貫通孔36の内部にもプラグ部を容易に形成することができる。
ダミー絶縁部38の表面の少なくとも一部は、半導体基板10の表面と同一の高さに設けられる。ダミー絶縁部38の表面の全体が、半導体基板10の表面と同一の高さに設けられてもよい。このような構成によっても、半導体基板10の表面の凹凸を低減することができる。
なお本例のダミートレンチ部30は、貫通孔36を除いて、ゲートトレンチ部40と同一の形状を有してよい。ダミートレンチの深さおよび幅は、ゲートトレンチの深さおよび幅と同一であってよい。ダミー導電部34は、ゲート導電部44と深さ方向において同一の長さを有してよい。ゲート絶縁部37とダミー絶縁部38は、深さ方向において同一の長さを有してよい。ダミー絶縁部38は、ゲート絶縁部37と同一のプロセスで形成されてよい。
図6は、半導体装置100の表面配置の一例を示す図である。半導体装置100は、活性領域102および外側領域105を有する。活性領域102は、例えば半導体装置100を駆動したときに電流が流れる領域である。活性領域102には、複数のメイントランジスタ部104およびダイオード部106が設けられる。メイントランジスタ部104は、トランジスタ部70を含んでよい。ダイオード部106は、ダイオード部80を含む。
複数のメイントランジスタ部104は並列に設けられ、ゲート、エミッタ、コレクタの各端子には同一の電位が印加される。複数のダイオード部106は並列に設けられ、エミッタ(アノード)、カソードの各端子には同一の電位が印加される。
メイントランジスタ部104およびダイオード部106は、所定の配列方向に沿って交互に配列されてよい。また、上述した配列方向と直交する方向に、複数のメイントランジスタ部104が配列されてよい。また、上述した配列方向と直交する方向に、複数のダイオード部106が配列されてよい。2つのメイントランジスタ部104の間、および、2つのダイオード部106の間には、ゲート電位を伝送するゲートランナーが設けられてよい。
外側領域105は、活性領域102の外側に設けられる。活性領域102の外側とは、活性領域102により囲まれておらず、且つ、活性領域102の中心よりも半導体基板10の端部に近い領域を指す。外側領域105は、活性領域102を囲んでいてもよい。外側領域105の更に外側には、エッジ終端構造部109等が設けられてよい。また、活性領域102のウェル領域17と、外側領域105のウェル領域とは分離している。
活性領域102には、センストランジスタ部108が設けられてよい。センストランジスタ部108は、メイントランジスタ部104に流れる電流を検出する。例えばセンストランジスタ部108には、メイントランジスタ部104に流れるメイン電流に比例し、且つ、メイン電流よりも小さい電流が流れる。例えばセンストランジスタ部108は、メイントランジスタ部104と並列に接続され、同一のゲート電位が入力される。ただし、センストランジスタ部108には、メイントランジスタ部104に接続される抵抗よりも大きな抵抗が接続される。
図1から図5において説明したゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30は、メイントランジスタ部104およびセンストランジスタ部108の少なくとも一方に形成される。図1から図5において説明したゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30は、メイントランジスタ部104に形成され、センストランジスタ部108には形成されなくともよい。図1から図5において説明したゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30は、メイントランジスタ部104およびセンストランジスタ部108の両方に形成されることが好ましい。
センストランジスタ部108に隣接して、ゲートパッド103を形成してよい。ゲートパッド103は、ゲート端子51として機能してよい。ゲートパッド103の面積は、センストランジスタ部108の面積より大きくてよい。ゲートパッド103、センストランジスタ部108は、いずれも、メイントランジスタ部104と対向する位置に設けられる。
図7は、比較例に係る半導体装置200の構成を示す図である。半導体装置200は、トランジスタ部270およびダイオード部280を有する。また半導体装置200の表面側には、ゲート電極250、エミッタ電極252、ゲートトレンチ部240、ダミートレンチ部230、エミッタトレンチ部260、ウェル領域217、エミッタ領域212、ベース領域214、コンタクト領域215、コンタクトホール226、228、249、254およびポリシリコン層221、225、248を有する。
図8は、図7におけるc-c'断面を示す。半導体装置200は、当該断面において、半導体基板210、エミッタ電極252、絶縁部238およびコレクタ電極224を有する。エミッタ電極252は、エミッタ端子253に電気的に接続される。
半導体基板210には、ゲートトレンチ部240、ダミートレンチ部230、エミッタトレンチ部260、エミッタ領域212、ベース領域214、蓄積領域216、ドリフト領域218、バッファ領域220、コレクタ領域222およびカソード領域282が形成される。ゲートトレンチ部240は絶縁膜242およびゲート導電部244を有する。ゲート導電部244は、ゲート端子251に電気的に接続される。ダミートレンチ部230は、絶縁膜232およびダミー導電部234を有する。エミッタトレンチ部260は、絶縁膜262およびエミッタ導電部264を有する。
絶縁部238は、半導体基板10の表面において、ゲートトレンチ部240、ダミートレンチ部230およびエミッタトレンチ部60のそれぞれを覆って設けられる。ただし、絶縁部238は、ゲートトレンチ部240およびダミートレンチ部230の間のメサ領域におけるエミッタ領域212の表面の少なくとも一部を露出させる。エミッタ電極252は、当該エミッタ領域212の表面と接触する。
絶縁部238に覆われないエミッタ領域212の面積は、絶縁部238の製造ばらつきにより変化する。このため、エミッタ領域212の少なくとも一部を露出させるには、絶縁部238の製造ばらつきを考慮しなければならない。特に本例では、メサ領域の両側に絶縁部238が形成されるので、メサ領域の幅は両側の絶縁部238のばらつきの影響を受ける。このため、半導体装置200を微細化するとエミッタ領域212を確実に露出させることが困難なので、半導体装置200を微細化することが難しい。これに対して半導体装置100によれば、半導体基板10の表面上においてゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30を覆う絶縁膜を設けないので、半導体装置100を微細化してもエミッタ領域12とエミッタ電極52とを接触させることができる。
また、半導体装置200では、半導体基板210の表面において絶縁部238をパターニングする。このため、半導体基板210の表面には凹凸が形成される。これに対して半導体装置100は、半導体基板10の表面に絶縁部238を設けないので、半導体基板10の表面の凹凸を低減できる。
図9は、図7におけるd-d'断面を示す。半導体装置200は、当該断面において、半導体基板210、エミッタ電極252、ゲート電極250、コレクタ電極224、ポリシリコン層221、ポリシリコン層248および絶縁部238を備える。
ポリシリコン層221およびポリシリコン層248は、半導体基板210の表面に形成され、各トレンチ内の導電部と、エミッタ電極252またはゲート電極250とを接続する。半導体装置200は、半導体基板210の表面に選択的にポリシリコン層221およびポリシリコン層248を有する。このため、半導体基板210の表面に凹凸が生じてしまい、絶縁部238等の半導体基板210の表面の上方に形成される層の形成が容易ではなくなる。
これに対して半導体装置100によれば、エミッタ電極52およびゲート電極50が、各トレンチ内の導電部と直接接触するので、半導体基板10の表面にポリシリコン層を設けなくともよい。このため、半導体基板10の表面の凹凸を低減することができる。
図10は、オン電圧Vonと、ターンオフ損失Eoffとの関係を示す。半導体装置100および半導体装置200のそれぞれについて、オン電圧Vonを変化させた時のターンオフ損失Eoffを示している。各例に示すように、オン電圧Vonと、ターンオフ損失Eoffはトレードオフの関係を有する。
上述したように半導体装置200は、絶縁部238の製造ばらつきを考慮すると、微細化することが難しい。このため、図10における半導体装置200のメサ領域の幅(ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30の距離)は1μm程度である。これに対して半導体装置100は、絶縁部238を有さないので微細化が容易である。図10における半導体装置100のメサ領域の幅は0.3μm程度である。このため、半導体装置100は、オン抵抗を低下させて、Von-Eoffの関係を改善することができる。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、請求の範囲の記載から明らかである。
なお、請求の範囲または明細書における「上」および「上方」と、「下」および「下方」とは、互いに逆の方向を指す。ただし、「上」および「上方」の用語は、重力方向と逆向きの方向に限定されない。また、「下」および「下方」の用語は、重力方向に限定されない。例えば、電気機器に実装された半導体装置において、ゲート電極等が、半導体基板の地面側の表面に配置されるような場合であっても、当該半導体装置が本発明に含まれうることは明らかである。