WO2016104445A1 - コーティング剤組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明によるコーティング剤組成物は、優れた撥水性や滑水性、また良好な塗布作業性、耐摩耗性、貯蔵安定性を備えたものであり、特に自動車の車体や電車車両の金属面、塗装面または樹脂面などに撥水性、滑水性、光沢、耐久性、防汚性を与えるための薄膜コーティング層を形成する上で有用なものである。 具体的には、次の(A)~(D)を含んでなるコーティング剤組成物: (A)加水分解性シリコーンレジン 100質量部 (B)硬化触媒 0.1~50質量部 (C)有機溶媒 100~5000質量部 (D)25℃における粘度が特定の範囲にある、分子鎖の両末端にそれぞれアルコキシシリル基を1つ以上有するジメチルポリシロキサン 10~150質量部、を提供する。

Description

コーティング剤組成物
本発明はコーティング剤組成物に関し、特に自動車の車体や電車車両の金属面、塗装面または樹脂面などに光沢、撥水性、耐久性、及び/又は防汚性を与えるための薄膜コーティング層を得ることができるコーティング剤組成物に関する。
従来より自動車車体の塗装鋼板などに対して、保護及び美観向上を目的として固形、半固形または液状のコーティング剤組成物を塗布、施工することが実施されてきた。このようなコーティング剤組成物として例えば、湿気硬化性オルガノポリシロキサンと有機溶媒と硬化触媒に、揮発性オルガノポリシロキサンオイルおよび揮発性ジメチルポリシロキサンを添加した組成物(特許文献1)や、高粘度のシリコーンガムを添加した組成物(特許文献2)が知られている。しかしながらこれら組成物は、非反応性のオルガノポリシロキサンオイルが経時によって揮発散逸してしまうため、長期にわたり撥水性を発揮することが困難であった。
前記問題を解決するために、湿気硬化性シリコーンオリゴマー、有機溶媒、硬化触媒、分子中に反応性官能基を有するシリコーンオイルとから成る組成物が種々提案されている。特許文献3には、分子鎖両末端にカルビノール基、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基(シラノール基)等から選ばれる反応性基を有する反応性シリコーンオイルを用いる例が開示されており、また特許文献4及び特許文献5には分子鎖の一方の末端にアルコキシシリル基を有する反応性シリコーンオイルを用いる例が開示されている。さらに特許文献6には、分子の側鎖にカルビノール基やアミノ基を有する反応性シリコーンオイルを用いる例が提案されており、特許文献7にはフッ素含有のアルコキシシランを含んでなる例が提案されている。
特開平10-36771号公報 特開2013-194058号公報 特開2008-75021号公報 特開2006-45507号公報 特開2007-161989号公報 特開2010-31074号公報 国際公開WO1996/000758のパンフレット
しかしながらこれらの組成物はいずれも、組成物の貯蔵安定性が不充分であったり、ムラなく塗布することが困難であったり、撥水性と水滑落性(滑水性)の特性が両立できるものではなかった。
斯様に、従来の薄膜コーティング剤組成物では必要とする特性を満たすことが困難であったところ、本発明ではこれら特性を改善するため鋭意検討した結果、以下構成のコーティング剤組成物を用いることにより、これを達成できることを見いだした。すなわち、次の(A)~(D)を含んでなるコーティング剤組成物を用いることである(第一の実施態様)。
(A)加水分解性シリコーンレジン 100質量部に対し
(B)硬化触媒 0.1~50質量部
(C)有機溶媒 100~5000質量部
(D)分子鎖の両末端にそれぞれアルコキシシリル基を1つ以上有するジメチルポリシロキサン 10~150質量部
ここで、(D)の25℃における粘度は100~100,000mPa・sである。
また本発明は以下の実施態様も含む。
第二の実施態様は、前記(A)成分が、下記構造式(1)で表されるアルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物である、前記第一の実施態様に記載のコーティング剤組成物に関する。
1 x-Si(OR24-x (1)
(ここでR1及びR2はそれぞれ独立して、炭素数が1~8の、置換基を有しても良い脂肪族、脂環族または芳香族炭化水素基であり、xは0~3の整数である。)
第三の実施態様は、前記(A)成分において、式(1)中のxが0または1を含むものである、前記第二の実施態様に記載のコーティング剤組成物に関する。
第四の実施態様は、前記(D)成分が下記構造式(2)で表される前記第一乃至第三のいずれかの実施態様に記載のコーティング剤組成物に関する。
(R3O)a4 3-aSiO-(SiR56O)m-Si(R7O)b8 3-b (2)
ここで、R3及びR7はそれぞれ独立して炭素数が1~3のアルキル基であり、R4及びR8はそれぞれ独立して炭素数が1~6のアルキル基、炭素数が1~6のハロアルキル基、炭素数が1~6のアリル基から選ばれる官能基であり、R5及びR6はそれぞれ独立して置換基を有しても良い炭素数が1~4のアルキル基または置換基を有しても良いフェニル基であり、a及びbはそれぞれ独立して1~3の整数であり、mは10~1500の整数を表す。
第五の実施態様は、前記構造式(2)で示される(D)成分のa及びbがそれぞれ独立して2または3であり、R3及びR7がともにメチル基である、前記第四の実施態様に記載のコーティング剤組成物に関する。
第六の実施態様は、前記第一乃至第五のいずれかの実施態様に記載のコーティング剤組成物が、自動車外装鋼板に適用されるものである、コーティング剤組成物に関する。
第七の実施態様は、前記第一乃至第五のいずれかの実施態様に記載のコーティング剤組成物を基材表面に適用し、(C)有機溶剤の揮散と共に、前記(A)成分及び前記(D)成分を含む反応成分を基材上で架橋反応させることで硬化塗膜を形成する、コーティング層形成方法に関する。
第八の実施態様は、前記第七の実施態様に記載のコーティング層形成方法により形成されたコーティング層に関する。
第九の実施態様は、前記第八の実施態様に記載のコーティング層の硬化膜厚が、0.01~100μmである、コーティング層に関する。
本発明のコーティング剤組成物を用いることにより、自動車外装等の鋼板への施工性が良好で、撥水性、及び/又は滑水性が優れた薄膜コーティング層を施与することができる。
以下より本発明の詳細について説明する。
本発明のコーティング剤組成物に含まれる(A)成分は、加水分解性シリコーンレジンである。ここで、加水分解性シリコーンレジンとは、多官能アルコキシシラン化合物を酸、塩基または有機錫化合物、有機チタン化合物等の公知の触媒により部分的に加水分解、脱アルコール縮合(本発明中では部分加水分解縮合とも言う)させてなる化合物であって、分子鎖末端や側鎖等に前記アルコキシシラン化合物由来の加水分解性基を有し、直鎖または3次元網目構造となっているシリコーン化合物である。当該化合物として典型的には、下記構造式(1)で表されるアルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物である。
1 x-Si(OR24-x    (1)
ここでR1、R2はそれぞれ独立して、例えば炭素数が1~8の、好ましくは炭素数が1~4の、より好ましくは炭素数が1~3の、置換基を有しても良い脂肪族、脂環族または芳香族炭化水素基であり、xは0~3の整数、好適には0,1を含むものであり、特に好適には1を含むものである。より好ましくは、xは0~3のいずれかの整数であり、好適には0又は1であり、特に好適には1である。置換基としては、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル基、アミノ基、イミノ基、ニトロ基、メルカプト基、ビニル基、カルボキシル基などを挙げることができる。
当該(A)成分の製法としては、上記構造式(1)で示される化合物に公知の加水分解触媒を加え、水分の存在下で加温しながら攪拌することにより部分加水分解縮合を起こさせることで得ることができる。当該加水分解触媒としては、例えば、ジブチルスズビストリエトキシシリケート、ジブチルスズジメトキサイド、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ブチルスズトリ-2-エチルヘキソエート、鉛-2-エチルオクトエート、鉄-2-エチルヘキソエート、コバルト-2-エチルヘキソエート、マンガン-2-エチルヘキソエート、亜鉛-2-エチルヘキソエート、カプリル酸第1スズ、ナフテン酸スズ、オレイン酸スズ、ブチル酸スズ、ナフテン酸スズ、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸亜鉛などの有機酸カルボン酸の金属塩;テトラブチルチタネート、テトラ-2-エチルヘキシルチタネート、トリエタノールアミンチタネート、テトラ(イソプロペニルオキシ)チタネートなどの有機チタン酸エステル;オルガノシロキシチタン、β-カルボニルチタンなどの有機チタン化合物;アルコキシアルミニウム化合物;ベンジルトリエチルアンモニウムアセテートなどの第4級アンモニウム塩;酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、しゅう酸リチウムなどのアルカリ金属の低級脂肪酸塩;ジメチルヒドロキシアミン、ジエチルヒドロキシアミンなどのジアルキルヒドロキシルアミンなどを挙げることができる。ここで上記構造式において、xが0又は1の場合には、当該化合物の重合体は直鎖となった場合に側鎖中に(OR2)で示されるアルコキシ基を有することとなり、あるいは重合体は直鎖構造とならず三次元架橋体を構成し、その構造中に部分的にアルコキシ基を含有することとなる。当該化合物としてxが2,3のものを含んでいてもよいが、当該(A)成分の構造中に効果的にアルコキシ基を追加するためには、xが0または1のものであることが好ましい。
 前記部分加水分解縮合物は、例えば、構造式(1)で表されるようなアルコキシシラン化合物分子の2~50分子からなる部分加水分解縮合物であり、好ましい態様としては、2~30分子の部分加水分解縮合物であり、より好ましい態様としては、2~20分子の部分加水分解縮合物であり、さらに好ましい態様としては、2~4分子、6~10分子、或いは10~20分子の部分加水分解縮合物から選ばれる1種以上である。
当該(A)成分は、組成物中で主要な撥水・滑水・防汚機能を奏する成分である。当該化合物としては、上記式(1)の化合物の部分加水分解縮合物に該当するものであれば適宜市販品を用いることができ、たとえばX-40-9225、X-40-9227、X-40-9246、X-40-9250、KR-500、KC-89S、KR-401N、KR-510、KR-9216、KR-213(以上、信越化学社製品)、XC96-B0446、XR31-B1410、XR31-B2733、XR31-B2230、TSR165、XR31-B6667、XR31-B1763(以上、モメンティブパフォーマンス社製品)、SILRES MSE100、SILRES H44(旭化成ワッカー社製品)等を挙げることができ、これらは単独で用いても複数種を併用しても構わない。本発明に好適には、上記式中R1及びR2がそれぞれ独立して、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基から選ばれる置換基であることが望ましく、特に好適にはそれぞれがメチル基であることであり、市販品ではKC-89S、KR-500、X-40-9225等がこれに相当する。製造時のハンドリング性の観点から、当該(A)成分は、25℃において、例えば0.1~1000mPa・s、好ましくは0.5~500mPa・s、より好ましくは1~100mPa・s程度の粘度のものを用いることが好ましい。
本発明の(B)成分は硬化触媒であって、前記(A)成分に含まれる加水分解性基(Si-OR2)や、後述の(D)成分に含まれるアルコキシシリル基(Si-OR3,Si-OR7)を空気中の湿気などと反応させて縮合反応させるための化合物である。
当該(B)成分としては公知の化合物を用いることができ、有機スズ化合物、有機チタニウム化合物、有機ジルコニウム化合物、有機アルミニウム化合物のような有機金属化合物;塩酸、硫酸等の無機酸類;p-トルエンスルホン酸や各種脂肪族または芳香族カルボン酸等の有機酸類;アンモニア、水酸化ナトリウム等の無機塩基類;及びトリブチルアミン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン-5(DBN)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7(DBU)等の有機塩基類等から適宜選択して用いることができる。本発明において好適には、有機スズ化合物、有機チタニウム化合物、有機アルミニウム系化合物から選ばれる有機金属化合物が望ましく、具体的にはジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジオクテート、ジオクチル錫ジアセテート、ジブチル錫ビスアセチルアセテート、ジオクチル錫ビスアセチルラウレート、テトラブチルチタネート、テトラノニルチタネート、テトラキスエチレングリコールメチルエーテルチタネート、テトラキスエチレングリコールエチルエーテルチタネート、ビス(アセチルアセトニル)ジプロピルチタネート、アセチルアセトンアルミニウム、及びアルミニウムトリスエチルアセトアセテート等を例示することができ、これらは単独で用いても複数種を併用しても構わない。
当該(B)成分の組成量は、前記(A)成分100質量部に対して0.1~50質量部の範囲、好ましくは1~35質量部、より好ましくは3~30質量部、更に好ましくは5~25質量部である。当該組成量以上であれば、本発明のコーティング剤組成物は硬化に問題が生じることもなく、他方で当該組成量以下であれば、常温(25℃)での貯蔵性が良好となる。
本発明の(C)成分は有機溶媒であって、前記(A)、(B)成分及び後述の(D)成分を均一に溶解し、希釈して薄膜を形成させる上で必要な成分である。当該成分は、前記の各成分を均一に溶解または希釈できるものであれば特に制限は無いが、本発明のコーティング剤組成物を塗布してコーティング層を形成する際の作業性の観点から、ある程度揮発性の高い化合物、好ましくは沸点が180℃以下であるもの、混合物にあっては初留点が180℃以下であるものが好適である。具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、エチルエーテル、THF、1,4-ジオキサン、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、tert-ブタノール、アセトニトリル、n-ヘキサン、n-ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、トリクレン、テトラクロロエタン、ガソリン、石油エーテル、ナフテン系石油蒸留溶媒、パラフィン系石油蒸留溶媒、イソパラフィン系石油蒸留溶媒等を挙げることができ、これらは単独で用いても複数種を併用しても構わない。本発明においては、臭気等の作業環境及び安全性の観点から、酢酸エステル系化合物、炭素数が2以上のアルコール系化合物、ケトン系化合物、飽和脂肪族炭化水素化合物やナフテン系石油蒸留溶媒などが特に好適である。
本発明における当該(C)成分の組成量は、前記(A)成分100質量部に対して100~5000質量部の範囲、好ましくは500~4000質量部の範囲、更に好ましくは1000~3500質量部の範囲、特に好ましくは2000~3000質量部の範囲にあることである。当該組成量以上であれば、本発明のコーティング剤組成物は揮発性が下がったり、それにより塗工時の作業性が低下することもなく、また薄膜での塗工が困難になるということもない。他方で当該組成量以下であれば、溶液は希薄になりすぎることもなく、均質な塗膜の形成が可能となる。
本発明の(D)成分は、分子鎖の両末端にそれぞれアルコキシシリル基を1つ以上有するジメチルポリシロキサンであって、当該成分の25℃における粘度が100~100,000mPa・sの範囲にあるものである。当該成分は本発明のコーティング剤組成物中にあって、基材に塗工された際、縮合反応により架橋して硬化皮膜を形成すると同時に、潤滑作用を発現し、乾拭き時の拭き取り性(作業性)の向上に寄与し、また硬化後の撥水性、滑水性にも作用する成分である。なお、当該アルコキシシリル基中のアルキル基は、炭素数が1~3のアルキル基であってもよく、好ましくは炭素数が1または2のアルキル基であり、より好ましくはメチル基である。
従来、自動車外装鋼板の撥水防汚等に用いられてきたコーティング剤組成物にも、アルコキシシリル基を有するジメチルポリシロキサンが用いられてきたが、そのような化合物は分子鎖の片末端のみにアルコキシシリル基を有するものであったり(特許文献4及び5)、或いは分子鎖の両末端に加水分解性基を有するものにあっては当該加水分解性基がヒドロキシル基であるもの(特許文献3及び特開2008-138074号公報参照)等であり、またその流動特性についても粘度(SI単位系でN・s/m2=Pa・sとして表される)を特定したものは無かった。これらに対し本発明では、分子鎖の両末端にアルコキシシリル基を有し、なおかつ25℃における粘度が100~100,000mPa・sの範囲にあるものを用いた点が特徴となっているものである。このような材料を用いることで、従来のコーティング剤組成物では成し得なかった撥水性、滑水性の耐久性と、優れた施工性の両立を達成することができる。
本発明における当該(D)成分の望ましい化学構造は以下の構造式(2)に示すものである。
(R3O)a4 3-aSiO-(SiR56O)m-Si(R7O)b8 3-b
                               (2)
ここで、R3及びR7はそれぞれ独立して炭素数が1~3のアルキル基であり、R4及びR8はそれぞれ独立して炭素数が1~6のアルキル基、ハロアルキル基、アリル基から選ばれる官能基であり、R5及びR6はそれぞれ独立して置換基を有しても良い炭素数が1~4のアルキル基、または置換基を有しても良いフェニル基であり、a,bはそれぞれ独立して1~3の整数、好ましくは2または3であり、mは10~1500の整数を表す。置換基としては、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル基、アミノ基、イミノ基、ニトロ基、メルカプト基、ビニル基、カルボキシル基などを挙げることができる。
当該(D)成分の調製方法として例えば、重合度あるいは平均分子量が公知の、HO-(SiR56O)m-Hで示される両末端ヒドロキシ変性オルガノポリシロキサン(シリコーンオイル)に対し、R3O及びR7Oに対応する加水分解性基を2~4個と、R4及びR8に対応するアルキル基を0~3個有し、当該加水分解性基とアルキル基の合計が4となるアルキルアルコキシシラン化合物を、加水分解縮合反応させることにより得ることができる。ここで前記アルキルアルコキシシラン化合物が加水分解性基を2個、アルキル基を2個有する化合物である場合には、得られる(D)成分のaの値は1となり、アルキルアルコキシシラン化合物が加水分解性基を4個有する化合物である場合には、同(D)成分のaの値は3となる。
より具体的には、本発明における当該(D)成分は、分子鎖末端がシラノールであるジメチルシリコーンオイルに、複数の加水分解性シリル基を有する化合物(ポリアルコキシシリル化合物等)を加え、有機金属化合物等からなる加水分解反応触媒と、必要により酸等と共に反応させることにより適宜得ることができる。当該ポリアルコキシシリル化合物としては、メチルトリメトキシシラン等が好ましく、当該加水分解反応触媒としては、ジヘキシルアミン等が好ましく、酸としては、2-エチルヘキサン酸等が好ましい。
当該(D)成分においてより望ましくは、上記構造式(2)中分子鎖両末端のR3及びR7それぞれが独立してメチル基、エチル基から選ばれるいずれかのアルキル基であり、R4及びR8はそれぞれが独立してメチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基から選ばれるいずれかのアルキル基であり、R5及びR6はそれぞれが独立してメチル基、エチル基、フェニル基から選ばれるいずれかの炭化水素基であり、a及びbがそれぞれ独立して2または3の整数であり、mが25~1250の範囲にある構造の化合物である。またその粘度は100~100,000mPa・sの範囲にあるものであり、より好適には250~50,000mPa・s、さらに好適には500~30,000mPa・sの範囲にあることが望ましい。当該粘度が100mPa・s以上であれば、コーティング層の撥水性が低下することもない。一方で100,000mPa・s以下であれば、コーティング層形成時の作業性が低下することもなく、また滑水性も低下することはない。なおここでいう粘度とは、JIS Z 8803(EHD型粘度計、25℃1分間、東機産業社製品)に準拠した測定方法により測定した値を表す。
本発明における当該(D)成分の好適な組成量は、前記(A)成分100質量部に対して10~150質量部の範囲、好ましくは15~120質量部、さらに好ましくは20~100質量部の範囲にあることである。当該組成量以上であれば、滑水性に問題が生じることもなく、他方で当該組成量以下であれば、作業性が低下する虞もないので好ましい。
その他本発明のコーティング剤組成物においては、その特性を毀損しない範囲で適宜に任意の添加成分を加えることができる。たとえば、非反応性シリコーンオイル、(D)成分とは異なる構造を有する反応性シリコーンオイル、アルコキシシラン化合物、シランカップリング剤等の密着付与剤、老化防止剤、防錆剤、着色剤、界面活性剤、レオロジー調整剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、蛍光剤、研磨剤、香料、充填剤等の成分を選択することができる。
本発明のコーティング剤組成物は、各種金属、ガラス、セラミックス、樹脂等の基材に対して適用することができるが、金属鋼板や塗装が施された金属鋼板、あるいはガラス面への適用が好適であり、特に自動車の外装に用いられている塗装鋼板(本発明中では自動車外装鋼板ともいう)への利用が好適である。
本発明のコーティング剤組成物の適用手段としては特段限定するものではなく、当該組成物を含浸させた繊維を用いた手塗り、刷毛塗り、自動機を用いた機械塗布等、適宜任意の適用手段を用いることができる。本発明において特に好ましくは、以下方法での適用である。すなわち本発明のコーティング剤組成物を、乾燥したスポンジやウェス等の繊維に適量含浸させ、これを手で基材表面に薄く塗り広げ、自然乾燥または乾燥機等を用いた強制乾燥により揮発成分を揮散させる、という方法である。この際、組成物中に含まれる反応成分である(A)及び(D)成分は、触媒(B)の作用により加水分解反応が進行し、揮発成分の揮散と同時、もしくは揮散に追従して基材上で架橋し、硬化塗膜を形成することとなる。
本発明のコーティング剤組成物によるコーティング層は、本発明のコーティング剤組成物に含まれる反応成分としての(A)成分及び(D)成分が(B)の硬化触媒の存在下で反応して得られる硬化物から構成される。当該硬化物は、(A)加水分解性シリコーンレジンが(D)のジメチルポリシロキサンで架橋したものである。
また、本発明のコーティング剤組成物によるコーティング層は、薄膜となることが好適であり、概ね0.01~100μm、好ましくは0.05~75μm、より好ましくは0.1~50μmの範囲の膜厚とすることが好ましい。コーティング層が当該範囲にあることで、良好な撥水性、滑水性、塗工時の作業性と、耐久性、美観を両立することができる。上記自然乾燥は、室温(25℃)にて、例えば、1~30日、好ましくは、5~20日、より好ましくは10~20日間静置することによって行われる。また乾燥機等を用いた強制乾燥は、例えば、40~200℃、好ましくは、50~150℃、より好ましくは、60~120℃にて、例えば、1~48時間、好ましくは、4~24時間、より好ましくは8~12時間乾燥することによって行われる。
本発明のコーティング剤組成物による優れた特性を有した塗膜形成の機構は以下のようなものであると考えられる。すなわち前記(A)成分が基材上で縮合反応によって架橋することにより撥水、滑水性を発揮する強固な塗膜を形成する。さらに前記(D)成分も相互に縮合反応を行うことにより架橋構造を形成するのであるが、ここで前記(A)成分の架橋塗膜中にもアルコキシシリル基が残存しており、これが前記(D)成分とも架橋を行うことにより塗膜は緻密で滑らかなものとなり、乾拭きのしやすさ等の作業性向上に繋がるものになると考えられる。
以下、実施例により本発明の効果を詳説するが、これら実施例は本発明の態様の限定を意図するものでは無い。
本発明の被膜形成組成物の特性は、以下方法による実施例、比較例にて評価検討を行った。また本発明の実施例、比較例にて評価したコーティング剤組成物に含まれる構成成分は、表1並びに2に示す材料を用い、それぞれの組成は、同表中に記載の質量比で調製を行った。
[施工性評価方法]
表1及び2中に示した各実施例及び比較例の組成物約2mlをティッシュペーパーに染み込ませ、黒色塗装板(材質:SPCC-SD鋼板、規格:JIS-G-3141、寸法:0.8mm×70mm×150mm、化成電着後片面にアミノアルキド黒色塗装をしたもの、アサヒビーテクノ社製品)に手で薄く塗布した。この塗装板を、25℃の室内で10分間静置した後、該塗装板上に残った余剰分の各組成物を乾いたマイクロファイバー布で拭き取り試験片とした。この際、拭き取りが軽くムラ無く行えるものを○、わずかにムラが発生したり、拭き取りの抵抗が重く拭き取りが困難であるものを△、ムラの発生が顕著であったり、全く拭き取れないものを×として表中に記した。
[撥水性・滑水性評価方法]
前記施工性評価を行ったものと同じ方法で組成物が塗布された試験片を作成し、これをさらに25℃室内で2週間静置して養生し、各組成物がコーティングされた試験片を得た(試験片の大きさ:70mm×150mm、組成物コーティングの膜厚:0.05μm程度)。この試験片に精製水を1滴(約0.005ml)滴下して、水の接触角を接触角計(DM-500、協和界面科学社製品)を用いて測定し、撥水性の評価を行った。撥水性として望ましい接触角は、概ね100°以上の値である。また同じ試験片に精製水を1滴(約0.05ml)滴下したものを水平な状態から徐々に傾斜をつけて行き、水滴が流れ始めた角度を水滑落角として滑水性(水滑落性)の評価を行った。滑水性として望ましい水滑落角は、概ね30°以下の値である。
[貯蔵安定性評価方法]
表1中に示した実施例2及び5の組成物について、これらの組成物を100mlガラス瓶にそれぞれ50gずつ入れ密封し、40℃に設定した恒温乾燥炉で1ヶ月貯蔵したのち、前記方法による施工性、水接触角及び水滑落角の測定を行い、貯蔵安定性の特性を評価した。
[耐摩耗性評価方法]
表1中に示した実施例5の組成物について、前記撥水性・滑水性評価を行ったものと同じ方法で試験片を作成した(試験片の大きさ:70mm×150mm、組成物コーティングの膜厚:0.05μm程度)。当該試験片上の組成物が塗布された面に対し、簡易摩擦試験機(井本製作所製品)を用いて30回/分の速度、100mmの移動距離、荷重300gにて摩擦物を設置し、200回ストロークさせることにより摩耗を行い、摩耗後の表面の水接触角と水滑落角を前記と同じ方法で測定した。ここで当該試験に用いた摩擦物は、幅が40mmの乾燥した清浄な布帛(セルロース/木綿複合繊維からなる吸水布、スリーボンド社製品「スリーボンド6644E」)に蒸留水を充分に含ませたものを直径20mmのステンレスの円柱に巻き付けたものとし、摺動する方向と直交する方向に円柱の軸が向くよう設置して、当該摩擦物を摺動した。
[(D)成分の調製]
本発明の実施例及び比較例に用いた(D)成分は、以下の手順で合成した。
合成例1(D-1)
粘度25℃における粘度が1,000mPa・sで、分子鎖の両末端にそれぞれシラノール基を1つずつ含有するジメチルシリコーンオイル(S-1)100gをフラスコに仕込み、メチルトリメトキシシラン4gを加えて5分間攪拌した後、触媒としてジヘキシルアミン0.044gと、2-エチルヘキサン酸0.044gを加え、60℃で2時間攪拌し反応させた。シラノール基の存在が無くなったことをFT-IR測定により確認し、両末端にジメトキシシリル基を持った粘度1,080mPa・sのジメチルポリシロキサン(D-1)を得た。
合成例2(D-2)
粘度25℃における粘度が5,100mPa・sで、分子鎖の両末端にそれぞれシラノール基を1つずつ含有するジメチルシリコーンオイル(S-2)100gをフラスコに仕込み、メチルトリメトキシシラン4gを加えて5分間攪拌した後、触媒としてジヘキシルアミン0.04gと、2-エチルヘキサン酸0.04gを加え、60℃で2時間攪拌し反応させた。シラノール基の存在が無くなったことをFT-IR測定により確認し、両末端にジメトキシシリル基を持った粘度6,200mPa・sのジメチルポリシロキサン(D-2)を得た。
合成例3(D-3)
粘度25℃における粘度が21,300mPa・sで、分子鎖の両末端にそれぞれシラノール基を1つずつ含有するジメチルシリコーンオイル(S-4)100gをフラスコに仕込み、メチルトリメトキシシラン4gを加えて5分間攪拌した後、触媒としてジヘキシルアミン0.04gと、2-エチルヘキサン酸0.04gを加え、60℃で2時間攪拌し反応させた。シラノール基の存在が無くなったことをFT-IR測定により確認し、両末端にジメトキシシリル基を持った粘度26,300mPa・sのジメチルポリシロキサン(D-3)を得た。
本発明の実施例及び比較例に用いたコーティング剤組成物は、常温(25℃)下で(C)成分を攪拌し、ここに(A)成分と(D)成分またはその比較成分(D’)を順次投入し、ここに(B)成分を投入して約10分間攪拌を続けることにより調製した。
下記表の実施例及び比較例で調製した各組成物に含まれる原料は以下の通り。
(A)加水分解性シリコーンレジン
・KS-89S:前記構造式(1)において、R1、R2がいずれもメチル基、x=1で、2~4分子の部分加水分解縮合物であって、25℃での粘度が粘度5mPa・sである化合物、信越化学工業社製品
・KR-500:前記構造式(1)において、R1、R2がいずれもメチル基、x=1で、6~10分子の部分加水分解縮合物であって、25℃での粘度が粘度25mPa・sである化合物、信越化学工業社製品
・X-40-9225:前記構造式(1)において、R1、R2がいずれもメチル基、x=1で、10~20分子の部分加水分解縮合物であって、25℃での粘度が粘度80mPa・sである化合物、信越化学工業社製品
(B)硬化触媒
D25:チタンアルコキシド系触媒、信越化学工業社製品
DX9740:有機アルミニウム系触媒、信越化学工業社製品
(C)有機溶媒
エクソールD30:脱芳香族化ナフテン系炭化水素混合溶媒、初留点145℃、東燃ゼネラル石油社製品
n-ブチルアルコール:試薬
(D)分子鎖の両末端にそれぞれアルコキシシリル基を1つ以上有するジメチルポリシロキサン、及びその比較成分
・D-1:前記合成例1にて合成した化合物、前記構造式(2)においてR3~R8がいずれもメチル基、a=b=2,m=300~400であるもの
・D-2:前記合成例2にて合成した化合物、前記構造式(2)においてR3~R8がいずれもメチル基、a=b=2,m=640~740であるもの
・D-3:前記合成例3にて合成した化合物、前記構造式(2)においてR3~R8がいずれもメチル基、a=b=2,m=1000~1200であるもの
・S-1:下記構造式で示され、式中のm=300~400で、25℃における粘度が1,000mPa・sである化合物
 (HO)(CH32SiO-(Si(CH32O)m-Si(CH32(OH)
・S-2:下記構造式で示され、式中のm=640~740で、25℃における粘度が5,100mPa・sである化合物
 (HO)(CH32SiO-(Si(CH32O)m-Si(CH32(OH)
・KF9701:下記構造式で示され、式中のm=約40で、25℃における粘度が約40mPa・sである化合物(信越化学工業社製品)
 (HO)(CH32SiO-(Si(CH32O)m-Si(CH32(OH)
・KF6003:一般式 HO(CH22O(CH23-(Si(CH32O)m-(CH23O(CH22OHで示され、上記式中のm=約70~75で、25℃における粘度が約100mPa・sである化合物(信越化学工業社製品)
・X-22-170DX:一般式 HO(CH22O(CH23-(Si(CH32O)m-Si(CH33で示され、上記式中のm=約75~85、25℃における動粘度が75mm2/sである化合物(信越化学工業社製品)
・X-24-9011:片末端トリメトキシ変性のポリジメチルシロキサン、25℃における動粘度が20mm2/sである化合物(信越化学工業社製品)
・S-3:下記構造式(2)で示され、式中のm=2~5で、25℃における粘度が10mPa・sである化合物
 (CH3O)3SiO-(Si(CH32O)m-Si(OCH33
・S-4:下記構造式で示され、m=1,000~1,200で、25℃における粘度が21,300mPa・sである化合物
 (HO)(CH32SiO-(Si(CH32O)m-Si(CH32(OH)
・KBM7103:トリフルオロプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製品)
・KBM3103:n-デシルトリメトキシシラン(信越化学工業社製品)
・KBM13:メチルトリメトキシシラン(信越化学工業社製品)
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
注)成分(A)~(D)の含有量及び合計の含有量の単位は全て「質量部」である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
注)成分(A)~(D)及び(D’)の含有量及び合計の含有量の単位は全て「質量部」である。
表1の結果からは、(A)~(D)の各構成を所定の組成比で含む本発明の組成物は、いずれも施工性が良好であり、撥水性と滑水性も共に所定の特性を満たすものであることが確認できた。(D)成分を所定の組成量範囲で変化させた実施例1~4はいずれも各特性は良好なものであった。
一方で表2の結果からは、(D)成分を含まない比較例1は施工性が悪く、撥水性、滑水性共に不十分であることが確認できた。また(D)成分として所定の化学構造を満たさないものを用いた組成物のうち、低分子のシラン化合物で代替した比較例2,3では、いずれも施工性、撥水性、滑水性が不十分なものであった。(D)成分として分子鎖の片末端、または両末端がカルビノールであるポリジメチルシロキサンで代替した比較例4、5も比較例2,3と同様に、いずれの特性も不十分なものであり、末端がアルコキシシリルであるが片末端のみのものである比較例6は、滑水性こそ良好であったが、その他の特性が不十分なものであった。(D)成分として両末端がアルコキシシリルであってもその粘度が所定の値に満たないもので代替した比較例7~9は、施工性、滑水性は良好であるものの、撥水性が不十分なものであった。(D)成分として、分子鎖の両末端がシラノールであるもので代替した比較例10~15は、その粘度が所定の範囲にあるもの(比較例11~15)、所定の範囲にないもの(比較例10)、いずれも撥水性は所定の性能を満たすものであったが、施工性は不十分であり、滑水性に関しても実施例15を除いては所定の特性を満たしていなかった。(D)成分の組成量が所定の範囲未満である比較例16は施工性、撥水性は所定の性能を満たすものであったが、滑水性が不十分なものであることが確認できた。
耐摩耗試験を行った後の実施例5の組成物では、水接触角は105°、水滑落角は26°となっており(表中に記載せず)、試験前と同様の高い撥水性・滑水性を示した。これより、本発明の組成物は耐摩耗性に優れた薄膜コーティング層を形成しうることが確認できた。また貯蔵安定性の評価を行った後の実施例2及び5の組成物では(表中に記載せず)、いずれも貯蔵前の状態と同等の結果が得られた。このことから、本発明の組成物は長期貯蔵が可能となる、良好な貯蔵安定性を有することが確認できた。
本発明のコーティング剤組成物は、優れた撥水性や滑水性、また良好な塗布作業性、耐摩耗性、貯蔵安定性を備えたものであり、特に自動車の車体や電車車両の金属面、塗装面または樹脂面などに撥水性、滑水性、光沢、耐久性、防汚性を与えるための薄膜コーティング層を形成する上で好適に用いることのできる、有用なものである。

Claims (9)

  1. 次の(A)~(D)を含んでなるコーティング剤組成物:
    (A)加水分解性シリコーンレジン 100質量部
    (B)硬化触媒 0.1~50質量部
    (C)有機溶媒 100~5000質量部
    (D)分子鎖の両末端にそれぞれアルコキシシリル基を1つ以上有するジメチルポリシロキサン 10~150質量部
    ここで、(D)の25℃における粘度は100~100,000mPa・sである。
  2. 前記(A)成分が、下記構造式(1)で表されるアルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物である、前記請求項1に記載のコーティング剤組成物。
    1 x-Si(OR24-x  (1)
    (ここでR1及びR2はそれぞれ独立して、炭素数が1~8の、置換基を有しても良い脂肪族、脂環族または芳香族炭化水素基であり、xは0~3の整数である。)
  3. 前記(A)成分において、前記構造式(1)中のxが0または1を含むものである、前記請求項2に記載のコーティング剤組成物。
  4. 前記(D)成分が下記構造式(2)で表される、前記請求項1~3のいずれか1項に記載のコーティング剤組成物。
    (R3O)a4 3-aSiO-(SiR56O)m-Si(R7O)b8 3-b  (2)
    (ここで、R3及びR7はそれぞれ独立して炭素数が1~3のアルキル基であり、R4及びR8はそれぞれ独立して炭素数が1~6のアルキル基、炭素数が1~6のハロアルキル基、炭素数が1~6のアリル基から選ばれる官能基であり、R5及びR6はそれぞれ独立して置換基を有しても良い炭素数が1~4のアルキル基または置換基を有しても良いフェニル基であり、a及びbはそれぞれ独立して1~3の整数であり、mは10~1500の整数を表す。)
  5. 前記構造式(2)で示される(D)成分のa及びbがそれぞれ独立して、2または3であり、R3及びR7がともにメチル基である、前記請求項4に記載のコーティング剤組成物。
  6. 前記コーティング剤組成物が、自動車外装鋼板に適用されるものである、前記請求項1~5のいずれか1項に記載のコーティング剤組成物。
  7. 前記請求項1~5のいずれか1項に記載のコーティング剤組成物を基材表面に適用し、(C)有機溶剤の揮散と共に、前記(A)成分及び前記(D)成分を含む反応成分を基材上で架橋反応させることで硬化塗膜を形成する、コーティング層形成方法。
  8. 前記請求項7に記載のコーティング層形成方法により形成されたコーティング層。
  9. 前記請求項8に記載のコーティング層の硬化膜厚が、0.01~100μmである、コーティング層。
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