WO2014196354A1 - 金属ナノワイヤ含有組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
(1)金属ナノワイヤ、バインダー、界面活性剤、及び溶媒を含有し、前記バインダーが下記のバインダー(A)及びバインダー(B)を含有することを特徴とする金属ナノワイヤ含有組成物、
バインダー(A):多糖類
バインダー(B):水性ポリエステル樹脂、水性ポリウレタン樹脂、水性アクリル樹脂及び水性エポキシ樹脂から選ばれる少なくとも1種、
(2)バインダー(B)が、水性ポリエステル樹脂であることを特徴とする、(1)に記載の金属ナノワイヤ含有組成物、
(3)バインダー(A)が、ヒドロキシプロピルグアーガム及びその誘導体、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びその誘導体、並びに、メチルセルロース及びその誘導体、から選ばれる、何れか1種であることを特徴とする、(1)又は(2)に記載の金属ナノワイヤ含有組成物、
(4)バインダー(A)が、(メタ)アクリル酸エステルをグラフト重合した多糖類の誘導体であることを特徴とする、(1)~(3)のいずれか1項に記載の金属ナノワイヤ含有組成物、
(5)金属ナノワイヤを、金属ナノワイヤ含有組成物全質量100部に対して多くても質量比で10部を含有し、バインダーを、金属ナノワイヤ100部に対して質量比で10~400部を含有し、界面活性剤を金属ナノワイヤ100部に対して質量比で0.05~10部を含有することを特徴とする、(1)~(4)のいずれか1項に記載の金属ナノワイヤ含有組成物、
(6)バインダー(A)と、バインダー(B)と、の質量比が、バインダー(A)/バインダー(B)=25/75~75/25であることを特徴とする、(1)~(5)のいずれか1項に記載の金属ナノワイヤ含有組成物、
(7)バインダー(B)が、(メタ)アクリル酸エステルをグラフト重合した、水性ポリエステル樹脂であることを特徴とする、(1)~(6)のいずれか1項に記載の金属ナノワイヤ含有組成物、
(8)更に、シランカップリング剤を含有することを特徴とする、(1)~(7)のいずれか1項に記載の金属ナノワイヤ含有組成物、
(9)更に、ポリイソシアネート化合物を含有することを特徴とする、(1)~(7)のいずれか1項に記載の金属ナノワイヤ含有組成物、
(10)更に、光重合開始剤及び/又は熱重合開始剤、並びに、重合性モノマー及び/又はマクロモノマーを含有することを特徴とする、(1)~(7)のいずれか1項に記載の金属ナノワイヤ含有組成物。
(11)透明導電膜用であることを特徴とする(1)~(10)のいずれか1項に記載の金属ナノワイヤ含有組成物。
(12)更に、アルカリ型増粘剤またはウレタン型増粘剤を含有することを特徴とする、(1)~(7)のいずれか1項に記載の金属ナノワイヤ含有組成物。
(13)金属ナノワイヤが銀ナノワイヤである(1)~(12)のいずれか1項に記載の金属ナノワイヤ含有組成物。
(14)銀ナノワイヤが、N置換アクリルアミド含有重合体をワイヤ成長制御剤として、銀化合物をポリオール中において25~180℃で反応させる工程を含む製造方法で製造されたものである、(13)に記載の金属ナノワイヤ含有組成物。
(15)(1)~(14)のいずれか1項に記載の金属ナノワイヤ含有組成物によって形成された金属ナノワイヤ含有塗膜。
(16)基板と、該基板上に形成された(15)の金属ナノワイヤ含有塗膜と、を含む透明導電体。
なお、「(メタ)アクリル」とは「アクリルおよびメタクリル」を表すものであり、以下も同様に略することがある。
本発明における金属ナノワイヤ含有組成物とは、金属ナノワイヤと、バインダーと、界面活性剤と、溶媒を含有し、前記バインダーがバインダー(A):多糖類、並びに、バインダー(B):水性ポリエステル樹脂、水性ポリウレタン樹脂、水性アクリル樹脂、水性エポキシ樹脂から選ばれる少なくとも1種、を含有し、さらに必要に応じて適宜その他の成分を含有してなる組成物である。本発明の金属ナノワイヤにおける金属としては、金、銀、銅、ニッケル、プラチナ、パラジウム、コバルト、すず、鉛等が挙げられる。また、これらの金属の合金、金属化合物、あるいはめっき処理した金属も本発明の金属ナノワイヤに利用することができる。金属化合物としては、金属酸化物が挙げられ、めっき処理された金属としては例えば金めっきされた銀などが挙げられる。これらの金属のうちでも銀がより好ましい。以下、本発明の金属ナノワイヤの代表として、銀ナノワイヤを用いる場合について説明する。他の金属ナノワイヤを用いる場合には以下の説明において「銀ナノワイヤ」を「金属ナノワイヤ」と読み替えて使用すればよい。
本発明における「銀ナノワイヤ」とは、断面直径が1μm未満であり、アスペクト比(長軸長/直径)が10以上である、断面直径がナノレベルのワイヤ状の銀構造体である。
本発明の銀ナノワイヤ含有組成物は、バインダーとして、バインダー(A)多糖類、並びに、バインダー(B)水性ポリエステル樹脂、水性ポリウレタン樹脂、水性アクリル樹脂及び水性エポキシ樹脂から選ばれる少なくとも1種、を含有する。また、本発明の銀ナノワイヤ含有組成物は、その特性を損なわない範囲で、上記バインダー(A)、バインダー(B)以外の任意のバインダーを含んでも良い。
本発明において、(A)多糖類とは、多糖及びその誘導体を言う。多糖の具体例としては、デンプン、プルラン、グアーガム、セルロース、キトサン及びローカストビーンガム、並びに、それらの酵素分解物等を挙げることができる。また、多糖の誘導体の具体例としては、多糖に、メチル、エチル、プロピル等のアルキル基、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル等のヒドロキシアルキル基、カルボキシメチル、カルボキシエチル等のカルボキシアルキル基、およびその金属塩、の少なくともひとつを導入した部分エーテル化多糖の誘導体;多糖や部分エーテル化多糖の誘導体に、(メタ)アクリル酸エステルをグラフト重合した多糖の誘導体や部分エーテル化多糖の誘導体等が挙げられる。これらの中でも、ヒドロキシプロピルグアーガム及びその誘導体であるヒドロキシプロピルグアーガム類、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びその誘導体であるヒドロキシプロピルメチルセルロース類並びにメチルセルロース及びその誘導体であるメチルセルロース類、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、グアーガム、ヒドロキシエチルグアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、これらに(メタ)アクリル酸エステルをグラフト重合したものが好ましく、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルグアーガム、これらに(メタ)アクリル酸エステルをグラフト重合したものがより好ましく、(メタ)アクリル酸エステルをグラフト重合したメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルグアーガムがさらに好ましい。これらは1種で又は2種以上を組合せて用いることができる。
水性ポリエステル樹脂は水性のポリエステル樹脂であればよく、具体例としては、多価カルボン酸およびそのエステル形成性誘導体と、ポリオールおよびそのエステル形成性誘導体と、の重縮合物が挙げられる。また、水性ポリエステル樹脂には、水性ポリエステル樹脂からの誘導体も含まれる。水性ポリエステル樹脂の誘導体の具体例としては、水性ポリエステルに(メタ)アクリル酸エステルをグラフト重合した、(メタ)アクリル変性水性ポリエステル樹脂が挙げられる。水性ポリエステル樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステルをグラフト重合した水性ポリエステル樹脂が水性ポリエステル樹脂に比べ、耐水性、耐アルコール性が向上し、(メタ)アクリル酸エステルでグラフト重合された多糖類と併用した場合、銀ナノワイヤ含有組成物の塗工適性、銀ナノワイヤ含有組成物を塗布した塗膜の耐水性、耐アルコール性が向上するため好ましい。水性ポリエステル樹脂の好ましい態様としての(メタ)アクリルエステルグラフト重合した水性ポリエステル樹脂は、上記に記載した多糖類に(メタ)アクリル酸エステルをグラフト重合するような従来公知の方法によって(メタ)アクリル酸エステルを水性ポリエステル樹脂にグラフト重合することにより得ることができる。
水性ポリウレタン樹脂は、水系溶媒あるいは水系分散媒に、溶解あるいは分散しうるポリウレタン樹脂であれば、特に限定はなく用いることができる。水性ポリウレタン樹脂の具体例として、ジイソシアネートと、ポリオールと、を重付加反応させ、さらに、中和および鎖伸長し、水性化したもの等を挙げることができる。上記のジイソシアネートの具体例としては、テトラメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート類、2,4-トリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類等が挙げられる。上記のポリオールの具体例としては、エチレングリコールおよびジエチレングリコール等のポリエチレングリコール、プロピレングリコール等のポリプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、水添ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物等の低分子量グリコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリエーテル類、エチレングリコールとアジピン酸などの縮合物であるポリエステル類、2,2-ジメチロールプロピオン酸等のポリヒドロキシカルボン酸類、ポリカプロラクトン等が挙げられる。上記の中和剤の具体例として、塩酸等の無機酸、酢酸、乳酸等の有機酸、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等のアミン類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等が挙げられる。鎖伸長剤の具体例として、エチレングリコール、プロピレングリコール等のポリオール類、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ピペラジン、イソホロンジアミン、メチルジエタノールアミン等のジアミン類、水等がある。
水性アクリル樹脂としては、水系溶媒あるいは水系分散媒に、溶解あるいは分散しうるアクリル樹脂であれば、特に限定はなく用いることができる。水性アクリル樹脂の具体例としては、(メタ)アクリル酸エステル類とアニオン性の重合性モノマーとの共重合体である、アニオン性の水性アクリル樹脂や、(メタ)アクリル酸エステル類とカチオン性の重合性モノマーとの共重合体である、カチオン性の水性アクリル樹脂が挙げられる。アニオン性の水性アクリル樹脂は、アニオン性基の一部、又は全てをカリウム、ナトリウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン等のアミン化合物等で中和されていても良い。カチオン性の水性アクリル樹脂は、カチオン性基の一部、又は全てを、塩酸、燐酸等の無機酸、酢酸、乳酸、ホスホン酸類等の有機酸等で中和されていてもよい。(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を組合せて用いることができる。アニオン性の水性アクリル樹脂に用いることのできるアニオン性の重合性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等の不飽和モノカルボン酸類;マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸類;ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸等の不飽和スルホン酸類;ビニルホスホン酸、α-フェニルビニルホスホン酸等の不飽和ホスホン酸類が挙げられる。また、カチオン型水性アクリル樹脂に用いることのできるカチオン性の重合性モノマーとしては、N,N-ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のN,N-ジアルキルアミノ(ヒドロキシ)アルキル(メタ)アクリレート類;N,N-ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等のN,N-ジアルキルアミノ(ヒドロキシ)アルキル(メタ)アクリルアミド類;アリルアミン、ジアリルアミンおよびこれらの塩や第4級化物等が挙げられる。
水性エポキシ樹脂としては、水系溶媒あるいは水系分散媒に、溶解あるいは分散しうるエポキシ樹脂であれば、特に限定はなく用いることができ、公知の方法で得られる、あるいは市販品の水性エポキシ樹脂であれば特に限りはなく用いることができる。水性エポキシ樹脂の具体例としては、a)ビスフェノール型エポキシオリゴマー、b)ビスフェノール型エポキシオリゴマーと、脂肪酸およびその誘導体、脂肪酸アミド、不飽和基含有アミン類、のいずれかと反応させた変性エポキシ樹脂、c)ビスフェノール型エポキシオリゴマーとポリアルキレングリコールジグリシジルエーテルとの混合物にビスフェノールAを反応させた変性エポキシ樹脂、のいずれかを原料として、前記a)~c)原料樹脂中のエポキシ基にアミン化合物を反応させ、導入したアミン基の一部を酸で中和して水溶化または水分散性化した水性エポキシ樹脂が挙げられる。また、前記a)~c)原料樹脂存在下で、アニオン性モノマーを重合し、アニオン性基の一部、又は全てをカリウム、ナトリウム等のアルカリ金属、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン等のアミン化合物等で中和して水溶化または水分散性化した水性エポキシ樹脂が挙げられる。さらには、前記a)~c)原料樹脂存在下で、カチオン型重合性モノマーを重合し、カチオン性基の一部、又は全てを、塩酸、燐酸等の無機酸、酢酸、乳酸等の有機酸等で中和して水溶化または水分散性化した水性エポキシ樹脂が挙げられる。
本発明の界面活性剤は、界面活性機能を有する化合物であればよく、銀ナノワイヤの銀ナノワイヤ含有組成物中での分散性を向上させ、銀ナノワイヤ含有組成物の保存安定性や、銀ナノワイヤ含有組成物を塗布して得られる塗膜の導電性、透明性、濁度に寄与すると考えられる。界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を組合せて用いることができる。銀ナノワイヤ組成物の保存安定性、塗膜の導電性、耐久性の観点から、界面活性剤として、ノニオン性界面活性剤が好ましい。
本発明の銀ナノワイヤ含有組成物は、溶媒を含有する。溶媒は銀ナノワイヤの分散媒であるとともに、銀ナノワイヤ含有組成物中の他の成分を溶解させ、成膜時に蒸発することで均一な塗膜を形成する。本発明において、溶媒として、水、アルコール類が挙げられる。アルコール類の具体例としては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチルプロパノール、1,1-ジメチルエタノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1-メトキシ-2-プロパノールジエチレングリコール、グリセリン、テルピネオール、エチルジエチレングリコール等が挙げられる。銀ナノワイヤ組成物の保存安定性、塗膜の導電性の観点から、本発明においては、溶媒として、水、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオールが好ましい。これらは1種で又は2種以上を組合せて用いることができる。
本発明の銀ナノワイヤ含有組成物には、銀ナノワイヤ含有組成物を塗布した塗膜と基板との密着性、塗膜の耐摩擦性、耐水性、耐アルコール性を向上させる目的で、更にシランカップリング剤を含有することができる。シランカップリング剤としては、1分子中にアルコキシシラン基と反応性官能基を有する化合物であれば特に限定されない。反応性官能基の具体例としては、エポキシ基、ビニル基、アクリル基、アミノ基、メルカプト基等が挙げられる。シランカップリング剤の具体例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシランおよびn-オクチルトリエトキシシラン等のアルキルアルコキシシラン、およびポリエーテル変性アルコキシシラン等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を組合せて用いることができる。
本発明の銀ナノワイヤ含有組成物には、銀ナノワイヤ含有組成物を塗布した塗膜と基板との密着性、塗膜の耐摩擦性、耐水性、耐アルコール性を向上させる目的で、更にポリイソシアネート化合物を含有することができる。ポリイソシアネート化合物としては、1分子中にイソシアネート基を2個以上有する化合物であれば特に限定されない。ポリイソシアネート化合物の具体例としては、トリメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシネート、および、これらジイソシアネート単量体のアダクト体、ビューレット体、イソシアヌレート体等の多量体が挙げられる。また、必要に応じてこれらポリイソシアネート化合物のイソシアネート基を、ε-カプロラクタム、フェノール、クレゾール、オキシム、アルコール等の化合物でブロックしたブロックイソシアネートを使用することもできる。これらは1種又は2種以上を組合せて用いることができる。
本発明の銀ナノワイヤ含有組成物には、銀ナノワイヤ含有組成物を塗布した塗膜と基板との密着性、塗膜の耐摩擦性、耐水性、耐アルコール性を向上させる目的で、更に光重合開始剤及び/又は熱重合開始剤、並びに、重合性モノマー及び/又はマクロモノマー、を含有できる。
光重合開始剤としては、光による重合開始剤であれば特に限定されない。光重合開始剤の具体例としては、ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-(4-モルホリニル)-1-プロパノン、キサントン、アントラキノン、2-メチルアントラキノン等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を組合せて用いることができる。
熱重合開始剤としては、熱による重合開始剤であれば特に限定されない。熱重合開始剤の具体例としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩類;t-ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等の過酸化物類;過硫酸塩類や過酸化物類と亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、チオ硫酸塩、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、硫酸第一鉄、硫酸第一鉄アンモニウム、ブドウ糖、アスコルビン酸等の還元剤との組み合わせによるレドックス開始剤;2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオン酸)ジメチル、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩等のアゾ化合物類、が挙げられる。これらは1種又は2種以上を組合せて用いることができる。
重合性モノマー及びマクロモノマーとしては、可視光、または紫外線や電子線のような電離放射線の照射により直接または開始剤の作用を受けて重合反応を生じるモノマー及びマクロモノマーであれば、特に限定されない。1分子中に1個の官能基を有する重合性モノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシ-ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ-トリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アリルアルコール、グリセロールモノ(メタ)アリルエーテル等の(メタ)アリル化合物;スチレン、メチルスチレン、ブチルスチレン等の芳香族ビニル類;酢酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類;(メタ)アクリルアミド、N-シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N-フェニル(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド類が挙げられる。また、1分子中に2個以上の官能基を有する重合性モノマーの具体例としては、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタエリスリトール、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。マクロモノマーの具体例としては、1分子あたり平均1個以上重合性不飽和基を有する重合性ウレタンアクリレート樹脂、重合性ポリウレタン樹脂、重合性アクリル樹脂、重合性エポキシ樹脂、重合性ポリエステル樹脂、を用いることができる。これらは1種又は2種以上を組合せて用いることができる。
走査型電子顕微鏡(SEM;日本電子(株)製、JSM-5610LV)を用い、100個の銀ナノワイヤを観察し、その算術平均値から銀ナノワイヤの直径を求めた。
走査型電子顕微鏡(SEM;日本電子(株)製、JSM-5610LV)を用い、100個の銀ナノワイヤを観察し、その算術平均値から銀ナノワイヤの長軸長を求めた。
銀ナノワイヤ含有組成物が充填された試験管を試験管立てに立て、暗所、室温で一か月間静置した後、銀ナノワイヤ含有組成物全体の高さと発生した上澄み部の高さを計測し、下記式で算出した上澄み発生率の値を評価した。さらに、手で試験管を10往復震盪した際の銀ナノワイヤの再分散性の状態を目視で判定した。ここで上澄みとは、銀ナノワイヤが沈降することで濃度が下がり、目視で透明~半透明の希薄な銀ナノワイヤ含有組成物となった部分を指す。
上澄み部のみの高さ/銀ナノワイヤ含有組成物全体の高さ×100=上澄み発生率(%)
評価基準
◎:上澄み発生率5%未満、かつ、再分散性良好
○:上澄み発生率5%以上25%未満、かつ、再分散性良好
○△:上澄み発生率25%以上、かつ、再分散性良好
△:上澄み発生率25%以上、かつ、再分散性不良
×:ほとんどが上澄みとなり銀ナノワイヤが下部に沈殿している、かつ、再分散性不良
銀ナノワイヤ含有組成物を純水又はエタノールで銀ナノワイヤ含有量が0.2質量%となるように希釈調製し、PET基板A4100(東洋紡社製)(以下、PET基板と略することがある)上に、バーコーター#4を用いて塗布した後、銀ナノワイヤ含有組成物の塗工適性を目視で判定した。
◎:弾きは認められない。
○:基板の端部にわずかに弾きが認められる。
△:基板の各所にはっきりと弾きが認められる。
×:弾きにより造膜不能。
前記塗工適性評価に用いた銀ナノワイヤ含有組成物のPET基板塗布物を、110℃の乾燥機内で3分間乾燥する、又は、110℃の乾燥機内で3分間乾燥した後、紫外線照射装置UV1501C-SZ(セルエンジニアリング(株)製)を用いて、PET基板上に、上方から500mJ/cm2の条件でUV光を照射することで、銀ナノワイヤ含有塗膜を調製した。銀ナノワイヤを塗布したPET基板上の異なる10部位の表面電気抵抗(Ω/□)を測定し、その算術平均値から銀ナノワイヤ含有塗膜の平均表面電気抵抗を求めた。前記塗工適性評価に用いた銀ナノワイヤ含有組成物のPET基板塗布物は、塗布した銀ナノワイヤ含有組成物中の銀ナノワイヤ含有量が一定であることから、塗膜中の銀ナノワイヤ含有量も一定と考えられる。そのため、前記銀ナノワイヤ含有塗膜の平均表面電気抵抗の値を比較することで、同一含有量を有する銀ナノワイヤ含有塗膜の導電性を比較することができ、平均表面電気抵抗の値が低い方が、銀ナノワイヤ含有塗膜の導電性が高い。表面電気抵抗の測定方法は、四探針法を用いた。四探針測定法(JIS K 7194に準拠)には、Loresta-GP MCP-T610(三菱化学(株)製)を用いた。
前記平均表面電気抵抗評価に用いた銀ナノワイヤ含有組成物を塗布したPET基板上の異なる10部位の表面電気抵抗(Ω/□)を測定し、その変動係数を求めた。変動係数は、銀ナノワイヤ含有塗膜の同一塗膜内で異なる10部位の表面電気抵抗(Ω/□)の標準偏差を、上記平均表面電気抵抗(Ω/□)で除したものであり、その値が小さい方が、銀ナノワイヤ含有塗膜の表面電気抵抗の均一性が高い。表面電気抵抗の測定方法は、四探針法を用いた。四探針測定法(JIS K 7194に準拠)には、Loresta-GP MCP-T610(三菱化学(株)製)を用いた。
未塗工のPET基板と、前記平均表面電気抵抗評価に用いた銀ナノワイヤ含有組成物を塗布したPET基板の全光線透過率を測定し、その差から銀ナノワイヤ含有塗膜によるPET基板の全光線透過率変化量を求めた。全光線透過率変化量は一般に負の値を有し、その絶対値が低い方が、銀ナノワイヤ含有塗膜の透明性が高い。測定には、NDH5000(日本電色工業(株)製)を用いた。
未塗工のPET基板と、前記平均表面電気抵抗評価に用いた銀ナノワイヤ含有組成物を塗布したPET基板のヘイズを測定し、その差から銀ナノワイヤ含有塗膜によるPET基板のヘイズ変化量を求めた。ヘイズ変化量が低い方が、銀ナノワイヤ含有塗膜の濁度が低い。測定には、NDH5000(日本電色工業(株)製)を用いた。
前記平均表面電気抵抗評価に用いた銀ナノワイヤ含有組成物を塗布したPET基板上に、乾いた不織布を載せ、100g/cm2の荷重を掛けてフィルムを横断するように10回往復させ、試験前と比較して、表面電気抵抗の変化率を求めた。
◎:変化率が0%以上5%未満。
○:変化率が5%以上50%未満。
△:変化率が50%以上500%未満。
×:変化率が500%以上。
前記平均表面電気抵抗評価に用いた銀ナノワイヤ含有組成物を塗布したPET基板上に、純水を湿らせた不織布を載せ、100g/cm2の荷重を掛けてフィルムを横断するように10回往復させ、試験前と比較して、表面電気抵抗の変化率を求めた。
◎:変化率が0%以上10%未満。
○:変化率が10%以上100%未満。
△:変化率が100%以上500%未満。
×:変化率が500%以上。
前記平均表面電気抵抗評価に用いた銀ナノワイヤ含有組成物を塗布したPET基板上に、2-プロパノールを湿らせた不織布を載せ、100g/cm2の荷重を掛けてフィルムを横断するように10回往復させ、試験前と比較して、表面電気抵抗の変化率を求めた。
◎:変化率が0%以上20%未満。
○:変化率が20%以上200%未満。
△:変化率が200%以上1000%未満。
×:変化率が1000%以上。
前記平均表面電気抵抗評価に用いた銀ナノワイヤ含有組成物を塗布したPET基板に、JIS K5400に記載されている碁盤目試験に準じて25マス(5X5)の碁盤目を作成し、セロハンテープを用いた剥離試験を行い、銀ナノワイヤ含有塗膜の基板密着性を評価した。
◎:剥離が全く無い。
○:1個以上10個未満の剥離が見られる。
△:10個以上50個未満の剥離が見られる。
×:50個以上の剥離が見られる。
遮光下において、攪拌装置、温度計、窒素導入管を備えた四口フラスコ(以下、「攪拌装置、温度計、窒素導入管を備えた四口フラスコ)を「四つ口フラスコ」と略する)に窒素を送入しながら、銀ナノワイヤ成長制御剤として重量平均分子量50万のN-(2-ヒドロキシエチル)アクリルアミド重合体1.04質量部と、エチレングリコール97.9質量部とを加え、120℃で攪拌し溶解させた。
ここに、エチレングリコール10.0質量部と塩化アンモニウム0.0064質量部とを加え、140℃に昇温し、15分間攪拌した。さらにエチレングリコール40.0質量部と硝酸銀1.02質量部とを加え、140℃で45分間攪拌し、銀ナノワイヤを作成した。得られた銀ナノワイヤ分散液に大過剰の純水を加え、銀ナノワイヤ成分を濾別し、残渣を水に再分散させた。この操作を複数回繰り返すことで銀ナノワイヤ成分を精製し、銀ナノワイヤ含有量17.5質量%の銀ナノワイヤ分散液(1)を調製した。得られた銀ナノワイヤは平均長軸長24μm、平均直径71nmであった。
銀ナノワイヤ分散液(1)の調製と同様に、銀ナノワイヤ成長制御剤として重量平均分子量4万のビニルピロリドン重合体(関東化学(株)品、製品名 ポリビニルピロリドン K=30)1.11質量部と、エチレングリコール147.7質量部を加え、25℃で攪拌し溶解させた。ここに、塩化ナトリウム0.0186質量部と硝酸銀1.13質量部を加え、25℃で15分間攪拌した後、5分間で150℃まで昇温し、さらに30分間攪拌し、銀ナノワイヤを作成した。得られた銀ナノワイヤ分散液に大過剰の純水を加え、銀ナノワイヤ成分を濾別し、残渣を水に再分散させた。この操作を複数回繰り返すことで銀ナノワイヤ成分を精製し、銀ナノワイヤ含有量5.0質量%の銀ナノワイヤ分散液(2)を調製した。得られた銀ナノワイヤは平均長軸長14μm、平均直径155nmであった。
四つ口フラスコにヒドロキシプロピルグアーガム(三晶(株)品、製品名 HP-8)20質量部、純水980質量部を仕込んだ後、室温で6時間攪拌し、ヒドロキシプロピルグアーガム分散液である2.0質量%であるバインダー(A-1)を調製した。
四つ口フラスコに、窒素ガスを通しながら、テレフタル酸ジメチル106質量部、イソフタル酸ジメチル78質量部、5-スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム18質量部、エチレングリコール124質量部、無水酢酸ナトリウム0.8質量部を仕込んだ後、攪拌しながら150℃まで昇温した。生成するメタノールを反応系外に留去しながら、さらに180℃まで昇温し、3時間攪拌した。テトラ-n-ブチルチタネート0.2質量部を添加し、攪拌しながら230℃まで昇温し、10hPaの減圧下で、生成するエチレングリコールを反応系外に留去しながら、7時間攪拌した後、180℃まで冷却した。無水トリメリット酸1質量部を添加し、3時間攪拌した後、室温まで冷却することで、水性ポリエステル樹脂(B-1)を合成した。
四つ口フラスコに、オレイン酸とリノール酸の不飽和脂肪酸混合物(日油(株)品、製品名 NAA-300)を578質量部、トリエチレンテトラミン(東ソー(株)品、製品名 TETA)を146質量部仕込み、窒素気流下に2時間かけて175℃まで温度を上げた。さらに175℃で7時間以上保温して、内容物の酸価が5以下になるまで同温度で反応を続けた。冷却後、ブチルセロソルブで固形分80%になるように希釈して、脂肪酸アミド溶液(1)を得た。
四つ口フラスコに、オレイン酸とリノール酸の不飽和脂肪酸混合物(日油(株)品、製品名 NAA-300)を578質量部と、ジエチレントリアミン(東ソー(株)品、製品名 DETA)103質量部を仕込み、窒素気流下に2時間かけて175℃まで温度を上げた。さらに175℃で7時間以上保温して、内容物の酸価が5以下になるまで同温度で反応を続けた。冷却後、ブチルセロソルブで固形分80%になるように希釈して、脂肪酸アミド溶液(2)を得た。
四つ口フラスコに、ビスフェノールA型エポキシオリゴマー(DIC(株)品、製品名 エピクロン7050、エポキシ当量1980)73.9質量部、ビスフェノールA型エポキシオリゴマー(DIC(株)品、製品名 エピクロン4050、エポキシ当量950)58.4質量部、ブチルセロソルブ56.7質量部を仕込み、窒素気流下100℃で溶解させた後に、ポリオキシプロピレンジグリシジルエーテル(ナガセケムテック(株)品、製品名 デナコールEX-920)4.5質量部、ブチルセロソルブ1.9質量部を加えて混合した。次に反応装置内の温度を90℃まで冷却して、ジアリルアミン1.2質量部を加えて15分間反応させ、次いで、脂肪酸アミド溶液(1)21.1質量部、脂肪酸アミド溶液(2)39.5質量部、ブチルセロソルブ9.1質量部を加え90℃で2時間反応させ、脂肪酸アミド変性エポキシ樹脂を得た。
ついで反応装置内の温度を90℃に維持した状態で、アクリル酸12.3質量部、スチレン4.2質量部、アクリル酸ブチル4.2質量部、ブチルセロソルブ8.9質量部および有機過酸化物系開始剤(化薬アクゾ(株)品、製品名 カヤエステルO)1.7質量部からなる混合物を30分かけて滴下し2時間反応させた。85℃に冷却後、トリエチルアミン15.5質量部および純水272質量部を順に添加混合することにより、中和して水中に分散して不揮発分35.0%、pH9.5の水性エポキシ樹脂分散液であるバインダー(B-6)を合成した。
四つ口フラスコに、17.5質量%の銀ナノワイヤ分散液(1)2.857質量部、バインダー(A)として、バインダー(A-4)26.25質量部、バインダー(B)として、バインダー(B-5)0.75質量部、界面活性剤として、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(日本乳化剤(株)品、製品名 ニューコール2308)0.01質量部、溶媒として純水70.133質量部を仕込んだ後、均一な分散液になるまで攪拌し、銀ナノワイヤ含有組成物を調製した。表5に実施例1の銀ナノワイヤ含有組成物の各成分の濃度、質量比を示す。基板への塗布は、純水で2.5倍に希釈し、銀ナノワイヤ含有量を0.2質量%としたものを用いた。また、表8に、実施例1の銀ナノワイヤ含有組成物の沈降性試験結果(「保存安定性」)、塗工適性試験結果、及び銀ナノワイヤ含有塗膜の各物性の評価結果を示す。
実施例1において各成分を表2~4のように変えて仕込んだ以外は、実施例1と同様にして、銀ナノワイヤ含有組成物を得た。その他の成分として、実施例29にはシランカップリング剤を、実施例30にはポリイソシアネート化合物を、実施例31にはアルカリ型増粘剤が、実施例32にはウレタン型増粘剤を、実施例34には光重合開始剤と重合性マクロモノマーを、それぞれ添加した。表5~7に実施例2~35の銀ナノワイヤ含有組成物の各成分の濃度、質量比を示す。基板への塗布は実施例33と34の銀ナノワイヤ含有組成物はエタノールで、それ以外の実施例では純水で、それぞれ銀ナノワイヤ含有量が0.2質量%となるように希釈したものを用いた。実施例34の銀ナノワイヤ含有組成物は、塗工適性評価に用いた銀ナノワイヤ含有組成物のPET基板塗布物を、110℃の乾燥機内で3分間乾燥した後、紫外線照射装置UV1501C-SZ(セルエンジニア(株)製)を用いて、PET基板上に、上方から500mJ/cm2の条件でUV光を照射することで、銀ナノワイヤ含有塗膜を調製し、それ以外の実施例では、110℃の乾燥機内で3分間乾燥することで、銀ナノワイヤ含有塗膜を調製した。また、表8~10に、実施例2~35で得られた銀ナノワイヤ含有組成物の沈降性試験結果、塗工適性試験結果、及び銀ナノワイヤ含有塗膜の物性の評価結果を示す。
実施例1において各成分を表3のように変えて仕込んだ以外は、実施例1と同様にして、銀ナノワイヤ含有組成物を得た。表6に比較例1~6で得られた銀ナノワイヤ含有組成物の各成分の濃度、質量比を示す。基板への塗布は、純水で銀ナノワイヤ含有量が0.2質量%となるように希釈したものを用いた。また、表9に、比較例1~6で得られた銀ナノワイヤ含有組成物の沈降性試験結果(「保存安定性」)、塗工適性試験結果、及び銀ナノワイヤ含有塗膜の各物性の評価結果を示す。
ポリオキシエチレンアルキルエーテル:日本乳化剤(株)品、製品名 ニューコール2308ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル:日本乳化剤(株)品、製品名 ニューコール714
アルキルイミダゾリン:花王(株)品、製品名 ホモゲノールL-95
シランカップリング剤:3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業(株)品、製品名 KBM-403
ポリイソシアネート化合物:旭化成ケミカルズ(株)品、製品名 デュラネートWB40-100
アルカリ型増粘剤:DIC(株)品、製品名 ボンコートHV-E
ウレタン型増粘剤:(株)ADEKA品、製品名 アデカノールUH-540
光重合開始剤:1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、BASFジャパン(株)品、製品名 イルガキュア2959
重合性マクロマー:重合性ウレタンアクリレート樹脂、新中村化学工業(株)品、製品名 UA7200
Claims (16)
- 金属ナノワイヤ、バインダー、界面活性剤及び溶媒を含有し、
バインダーが下記のバインダー(A)及びバインダー(B)を含有することを特徴とする金属ナノワイヤ含有組成物、
バインダー(A):多糖類
バインダー(B):水性ポリエステル樹脂、水性ポリウレタン樹脂、水性アクリル樹脂及び水性エポキシ樹脂から選ばれる少なくとも1種。 - バインダー(B)が、水性ポリエステル樹脂であることを特徴とする、請求項1に記載の金属ナノワイヤ含有組成物。
- バインダー(A)が、ヒドロキシプロピルグアーガム及びその誘導体、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びその誘導体、並びに、メチルセルロース及びその誘導体から選ばれる、いずれか1種であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の金属ナノワイヤ含有組成物。
- バインダー(A)が、(メタ)アクリル酸エステルをグラフト重合した多糖類であることを含有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の金属ナノワイヤ含有組成物。
- 金属ナノワイヤを、金属ナノワイヤ含有組成物全質量100部に対して多くても質量比で10部を含有し、バインダーを、金属ナノワイヤ100部に対して質量比で10~400部を含有し、界面活性剤を金属ナノワイヤ100部に対して質量比で0.05~10部を含有することを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の金属ナノワイヤ含有組成物。
- バインダー(A)と、バインダー(B)と、の質量比が、バインダー(A)/バインダー(B)=25/75~75/25であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の金属ナノワイヤ含有組成物。
- バインダー(B)が、(メタ)アクリル酸エステルをグラフト重合した水性ポリエステル樹脂であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の金属ナノワイヤ含有組成物。
- 更に、シランカップリング剤を含有することを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の金属ナノワイヤ含有組成物。
- 更に、ポリイソシアネート化合物を含有することを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の金属ナノワイヤ含有組成物。
- 更に、光重合開始剤及び/又は熱重合開始剤並びに重合性モノマー及び/又はマクロモノマーを含有することを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の金属ナノワイヤ含有組成物。
- 透明導電膜用であることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の金属ナノワイヤ含有組成物。
- 更に、アルカリ型増粘剤またはウレタン型増粘剤を含有することを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の金属ナノワイヤ含有組成物。
- 金属ナノワイヤが銀ナノワイヤである請求項1~12のいずれか1項に記載の金属ナノワイヤ含有組成物。
- 銀ナノワイヤが、N置換アクリルアミド含有重合体をワイヤ成長制御剤として、銀化合物をポリオール中において25~180℃で反応させる工程を含む製造方法で製造されたものである、請求項13に記載の金属ナノワイヤ含有組成物。
- 請求項1~14のいずれか1項に記載の金属ナノワイヤ含有組成物によって形成された金属ナノワイヤ含有塗膜。
- 基板と、該基板上に形成された請求項15の金属ナノワイヤ含有塗膜と、を含む透明導電体。
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