明 細 書
熱収縮性多層フィルム 技術分野
[0001] 本発明は、ペットボトル等のシュリンクラベル用の熱収縮フィルムとして好適に用い られ、油性インクでの印刷後の物性低下の少な!/、耐印刷性に優れた、更には収縮性 等の低温加工性、機械的強度、実用収縮性、端材のリサイクル性、層間密着性に優 れた多層熱収縮性フィルムに関する。
背景技術
[0002] ペットボトル等の容器包装に使用される熱収縮フィルムとして、ゴム状弾性体分散ポ リスチレン系樹脂を中間層とし、表裏層(内外層)としてスチレン系炭化水素と共役ジ ェン系炭化水素からなるブロック共重合体を積層した熱収縮性ポリスチレン系フィル ムは、その透明性、自然収縮性、耐熱融着性、収縮仕上がり性が優れることから、い くつかの提案がなされている。
[0003] 例えば、下記特許文献 1には、単膜では得られなかった熱収縮性と自然収縮性、フ イルムの腰強度に優れた熱収縮性多層フィルムを得るために、中間層に耐衝撃性ポ リスチレン樹脂を用い、表裏層にスチレンとブタジエンとからなるスチレン一ブタジェ ン共重合体を用い、更に熱収縮率と自然収縮率等を規定した、熱収縮性多層フィル ムが開示されている。
[0004] 下記特許文献 2には、自然収縮率を低ぐ耐熱融着性、透明性、収縮仕上がり性を 向上させた熱収縮性ポリスチレン積層フィルムを得るために、中間層にスチレン系モ ノマーと(メタ)アクリル酸エステル系モノマーからなるスチレン系共重合体の連続相 にゴム状弾性体を分散粒子として含有した樹脂を用い、表裏層にスチレン系炭化水 素と共役ジェン系炭化水素とからなるブロック共重合体等を用い、更に中間層と表裏 層(又は両外層)の樹脂のビカット軟化温度と延伸したフィルムの熱収縮率を規定し た、熱収縮性ポリスチレン積層フィルムが開示されてレ、る。
[0005] 下記特許文献 3には、自然収縮率を低ぐ耐熱融着性、透明性、収縮仕上がり性を 向上させた熱収縮性ポリスチレン積層フィルムを得るために、中間層にゴム状弾性体
分散ポリスチレン系樹脂を用い、表裏層にスチレン系炭化水素と共役ジェン系炭化 水素とからなるブロック共重合体、又はこのブロック共重合体にスチレン系重合体を 配合してなる混合重合体等を主成分に用い、更に表裏層の共役ジェン系炭化水素 量と延伸したフィルムの熱収縮率を規定した、熱収縮性ポリスチレン積層フィルムが 開示されている。
[0006] 下記特許文献 4には、自然収縮率を低く、耐熱融着性、透明性、収縮仕上がり性を 向上させた熱収縮性ポリスチレン積層フィルムを得るために、中間層にゴム状弾性体 分散ポリスチレン系樹脂にスチレン系炭化水素と共役ジェン系炭化水素とからなるブ ロック共重合体を混合した樹脂を用い、表裏層にスチレン系炭化水素と共役ジェン 系炭化水素とからなるブロック共重合体を主成分とした樹脂を用い、更に延伸したフ イルムの熱収縮率を規定した、熱収縮性ポリスチレン積層フィルムが開示されて!/、る
〇
[0007] しかしながら、特許文献 1に記載のものにおいては、中間層に耐衝撃性ポリスチレ ン樹脂を用いておりフィルムは不透明なものとなり、容器等へラッピングした場合、内 容物が見えな!/、等意匠性が悪化したものとなる。
[0008] また、特許文献 2〜4に記載のものにおいては、中間層や表裏層に用いられている ゴム状弾性体分散ポリスチレン系樹脂、又はスチレン系モノマーと (メタ)アクリル酸ェ ステル系モノマーからなるスチレン系共重合体の連続相にゴム状弾性体を分散粒子 として含有した樹脂は、その透明性を優れたものにするため、実質的にゴム状弾性体 とスチレン系共重合体の連続相の屈折率を合わせる工夫を施している。その組成は スチレンーメタクリル酸メチル(MMA)—アクリル酸ブチル(BA)の原料構成で、スチ レン含量が 46〜56重量%、(メタ)アクリル酸エステル含量が 54〜44重量%というよ うに、(メタ)アクリル酸エステル含量が高いものとなっている。また(メタ)アクリル酸ェ ステル中のアクリル酸ブチル含量が 8〜; 10重量%で、それ以外の大部分はメタクリル 酸メチルである。ペットボトル等の容器包装に使用される熱収縮性ポリスチレン積層 フィルムは意匠性、内容物表示、宣伝等からグラビア印刷を施されるのが一般的であ る。 (メタ)アクリル酸エステル含量の割合が多い共重合体は、油性印刷インクで印刷 を施した場合、印刷インクに用いられる溶剤(一般的には、酢酸ェチル等のエステル
類とイソプロピルアルコール等のアルコール類)に比較的に侵されやすぐこの(メタ) アクリル酸エステル含量の割合が多い共重合体を表裏層(又は内外層)や中間層に 用いたフィルムでは、印刷した後のフィルム巻き取り時に破断、あるいは印刷面の表 面肌荒れによる外観不良等を起こす場合があり、改善が望まれている。
[0009] また、近年、ペットボトルに代表されるプラスチック容器のリサイクルの観点から、ラ ベルにミシン目を入れるなどして、ラベルを引裂きやすくし、ボトルとラベルの分別を 容易にするための工夫がなされているが、特許文献 2〜4に記載のあるゴム状弾性体 分散粒子を含み、且つ連続層に (メタ)アクリル酸エステルを多量に含む樹脂を中間 層とし、スチレン系単量体と共役ジェン系単量体からなるブロック共重合体を主体と する表裏層からなる熱収縮性多層フィルムを使用したラベルでは、引裂き時に層間 剥離を起こしてしまうため、ボトルとラベルを分離しづらいという課題があり、層間密着 性の改良が望まれている。
[0010] 特許文献 1 :特開平 9 272182号公報
特許文献 2:特開平 11 291413号公報
特許文献 3:特開 2000— 932号公報
特許文献 4 :特開 2001— 1466号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0011] 本発明は、油性インクでの印刷後の物性低下が少ない耐印刷性に優れた、更には 収縮性等の低温加工性、機械的強度、実用収縮性、端材のリサイクル性、層間密着 性に優れた多層熱収縮性フィルムの提供を目的とする。
課題を解決するための手段
[0012] 本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、中間層の樹脂として、特定組成のスチレン 系単量体とアクリル酸 n ブチルからなる共重合体の連続相に、特定組成のスチレン 系単量体一共役ジェン系単量体ブロック共重合体からなるゴム状弾性体を原料とす る成分を分散粒子として含有させることにより、実質的に連続層樹脂とゴム状弾性体 の屈折率の差が大きく異なる領域において、分散粒子中に抱き込まれた樹脂(以下 、オタルード樹脂とする)の量及びグラフト量、及び分散粒子のゴム架橋度、さらには
分散粒子径を規定した樹脂を用いることにより、透明性と機械的強度のバランスに優 れた、且つ油性インクでの印刷後の物性低下が少な!/、耐印刷性に優れた、さらには 層間密着性に優れた多層熱収縮性フィルムが得られることを見出し、本発明を完成 するに至った。
すなわち、本発明は、次の構成を有する。
(1)スチレン系単量体と共役ジェン系単量体からなるブロック共重合体樹脂 ωを主 成分とする両外層と、スチレン系単量体とアクリル酸 η—ブチルからなるスチレン系共 重合体の連続相にゴム状弾性体 (b)を原料とする成分を分散粒子として含有する樹 脂(c)を主成分とする中間層を含む積層フィルムを少なくとも 1軸に延伸してなる熱収 縮性多層フィルムであって、該ゴム状弾性体(b)が、スチレン系単量体 20〜45重量 %と共役ジェン系単量体 80〜55重量%とからなるブロック共重合体であり、該樹脂( c)中の該ゴム状弾性体 (b)の含有量が 3〜20重量%であり、該樹脂(c)の連続相の 樹脂組成力 スチレン系単量体 78〜93重量0 /0とアクリル酸 n—ブチル 22〜7重量0 /0 力もなり、該樹脂(c)のビカット軟化温度が 60〜85°Cである熱収縮性多層フィルム。
(2)前記樹脂(a) 、スチレン系単量体 65〜85重量%と共役ジェン系単量体 35〜 15重量%からなる、ビカット軟化温度が 65〜85°Cのブロック共重合体樹脂である(1 )に記載の熱収縮性多層フィルム。
(3)前記中間層が、前記樹脂 (c) 100重量部に対して可塑剤 0. 0;!〜 4重量部を含 有する(1)又は(2)に記載の熱収縮性多層フィルム。
(4)前記中間層に含まれる可塑剤が流動パラフィンである(3)に記載の熱収縮性多 層フィルム。
(5)前記樹脂 (c)が、 25°Cでのメチルェチルケトン不溶分/不溶分中のゴム状弾性 体(b)の比が 1. 3〜3. 2、メチルェチルケトンによる膨潤指数が 2· 5〜5. 5で、且つ 分散粒子の平均粒子径が 0. 2〜; 1. 3 mである(1)〜(4)のいずれか一項に記載 の熱収縮性多層フィルム。
(6)前記樹脂(c)が、 25°Cにおいて酢酸ェチル 40重量0 /0とイソプロピルアルコール 60重量%からなる溶剤に 10分浸漬した後の溶剤膨潤率が 12重量%未満である(1) 〜(5)の!/、ずれか一項に記載の熱収縮性多層フィルム。
(7)前記樹脂(c)において、分散粒子の屈折率が 1. 540〜; 1. 585であり、該樹脂( c)の連続相と分散粒子の屈折率の差の絶対値が 0. 025以下である(1)〜(6)のい ずれか一項に記載の熱収縮性多層フィルム。
(8)前記中間層の樹脂が、前記樹脂 (c) 100重量部に対し、前記樹脂 (a)を 0. 0;!〜 100重量部混合されたものであり、且つ該樹脂 (c)と該樹脂(a)の屈折率の差の絶対 値が 0. 03以下である(1)〜(7)の!/、ずれか一項に記載の熱収縮性多層フィルム。
(9)主延伸方向の延伸倍率が 3〜8倍、主延伸方向の直交方向の延伸倍率が;!〜 2 倍で、主延伸方向の 75°C熱水中 10秒の収縮率が 10%以上、 90°C熱水中 10秒の 収縮率 /75°C熱水中 10秒の収縮率の比が 7以下である(1)〜(8)の!/、ずれか一項 に記載の熱収縮性多層フィルム。
(10) (1)〜(9)のいずれか一項に記載の熱収縮性多層フィルムを熱収縮装着した 谷器。
発明の効果
[0014] 本発明の熱収縮性多層フィルムは、油性インクでの印刷後の物性低下が少なく耐 印刷性に優れており、更には収縮性等の低温加工性、機械的強度、実用収縮性、 端材のリサイクル性、層間密着性に優れる。また、本発明の熱収縮性多層フィルムは 、特に低温収縮性に優れることから、例えば耐熱性に劣るペットボトル (ァセブティック 用など)やポリエチレンボトルなどに対しても、ボトルを変形させることなぐ装着が可 能である。
発明を実施するための最良の形態
[0015] 以下、本発明を詳細に説明する。
[0016] 本発明で、両外層に使用するスチレン系単量体と共役ジェン系単量体からなるブ ロック共重合体樹脂(a)とは、有機溶媒中、有機リチウム化合物を開始剤としてスチレ ン系単量体及び共役ジェン系単量体を重合することにより得るものである。
[0017] 樹脂(a)に用いられるスチレン系単量体としては、スチレン、 α—メチルスチレン、 o ーメチルスチレン、 m—メチルスチレン、 p—メチルスチレンなどがある力 特に一般 的なものとしてはスチレンが挙げられる。これらは 1種のみならず 2種以上混合して使 用してもよい。
[0018] 共役ジェンとしては、一対の共役二重結合を有するジォレフインであり、例えば 1 , 3 ブタジエン、 2 メチルー 1 , 3 ブタジエン(イソプレン)、 2, 3 ジメチルー 1 , 3— ブタジエン、 1 , 3—ペンタジェン、 1 , 3—へキサジェンなどである力 S、これらは 1種の みならず 2種以上混合使用してもよい。特に好適には 1 , 3 ブタジエン、イソプレン であり、ブロック共重合体中の 1 , 3—ブタジエンとイソプレンの重量比は、 97/3〜2 0/80カ好まし <、より好まし < (ま 90/10〜25/75、更に好まし < (ま 85/15〜30/ 70である。この範囲にすることにより、フィッシュアイの少ない共重合体が得られる。
[0019] 樹脂(a)の構造及び各ブロック部分の構造は特に限定されな!/、。ブロック共重合の 構造としては、例えば直線型、星型等がある。また各ブロック部分の構造としては、例 えば完全対称ブロック、非対象ブロック、テトラブロック、テーパードブロック、ランダム ブロック等がある。これらのブロック共重合体は 1種のみならず 2種以上を混合して両 外層材として使用してもよい。
[0020] 樹脂(a)において、スチレン系単量体を主体とするブロックの数平均分子量は、好 まし <は5000以上、より好まし <は 7000〜; 100000、更に好まし <は 10000〜8000 0程度である。また共役ジェンを主体とするブロックの数平均分子量は、好ましくは 50 00— 200000,より好まし <は 7000〜; 100000、更に好まし <は 10000〜; 100000 程度である。更にブロック共重合体全体の数平均分子量は、好ましくは 20000〜50 0000、より好まし <は 20000〜400000、更に好まし <は 30000〜300000である。 かかる範囲の分子量を有するブロック共重合体を用いることにより、機械的強度や加 ェ性、低温収縮性に優れるシート、フィルムを得やすくなる。特に好ましいブロック共 重合体は、成形加工の点からメルトフローレート(200°C、荷重 49N)が 0. l ~50g/ 10分、好ましくは l〜20g/10分である。なお、数平均分子量はポリスチレン換算で 、ゲルパーミエーシヨンクロマトグラフィー(以下、 GPCと呼ぶ)で測定できる。
[0021] 樹脂(a)のブロック共重合体の構成成分の組成は、機械的強度、弾性率、押出機 内でのゲル生成の観点力、らスチレン系単量体 65〜85重量%と共役ジェン系単量体 35〜; 15重量%が好ましい。より好ましくはスチレン系単量体 68〜82重量%と共役ジ ェン系単量体 32〜; 18重量0 /0、更に好ましくはスチレン系単量体 70〜80重量%と共 役ジェン系単量体 30〜20重量%である。
[0022] 樹脂(a)のビカット軟化温度は、フィルムの自然収縮性 (保管時に収縮してしまうこと )の低下、フィルム同士のブロッキングの観点から 65〜85°Cが好ましい。より好ましく は 67〜83°C、更に好ましくは 70〜81°Cである。樹脂(a)のビカット軟化温度はスチ レン系単量体量と共役ジェン単量体の重量比、あるいはブロック構造を調整すること で変化させること力 Sできる。また、両外層には、主成分とする樹脂(a)を 70重量%以 上含有すればよぐそれ以外に必要に応じて本発明の目的を損なわない範囲で、ス チレン系重合体、スチレン系共重合体、スチレン系単量体一共役ジェン系単量体共 重合エラストマ一類、又は中間層に使用される樹脂 (c)等を 30重量%以下で配合し てもよい。
[0023] 本発明で、中間層の主成分である樹脂(c)とは、スチレン系単量体とアクリル酸 η— ブチルからなるスチレン系共重合体の連続相にゴム状弾性体 (b)を原料とする成分 を分散粒子として含有する樹脂である。
[0024] 樹脂(c)の連続相の組成は、スチレン系単量体 78〜93重量0 /0とアクリル酸 n—ブ チル 22〜7重量0 /0、好ましくはスチレン系単量体 80〜91重量%とアクリル酸 n—ブ チル 20〜9重量0 /0、より好ましくはスチレン系単量体 8;!〜 90重量0 /0とアクリル酸 n— ブチル 19〜10重量%である。上記組成とすることで、得られる熱収縮性多層フィル ムが油性印刷インクでの印刷後の物性低下の少なぐ表面外観変化の少ない優れた 耐印刷性と、表裏層と中間層の優れた密着性を得ることができる。樹脂 )中の連続 相に使用するスチレン系単量体としては、スチレン、 α—メチルスチレン、 ο—メチル スチレン、 m—メチルスチレン、 p—メチルスチレンなどがある力 特に一般的なものと してはスチレンが挙げられる。これらは 1種のみならず 2種以上混合して使用してもよ い。また、スチレン系単量体と共重合可能な単量体として、アクリロニトリル、メタクリル 酸、メタクリル酸メチル等を、連続層のうち 5重量%以内の比率で共重合させてもよい 。なお後述に詳しいが、その際得られる樹脂(c)が、 25°Cにおいて溶剤(酢酸ェチル 40重量%とイソプロピルアルコール 60重量%)への 10分浸漬後の、溶剤膨潤率が 1 2重量%未満であることが好ましレ、。
[0025] 本発明で、樹脂 (c)に含まれる分散粒子は、原料とするゴム状弾性体 (b)とこれに 付加されるグラフト樹脂、及び粒子中に包含されるオタルード樹脂により構成される。
[0026] 本発明で、ゴム状弾性体 (b)とは、スチレン系単量体 20〜45重量%と共役ジェン 系単量体 80〜55重量0 /0、好ましくはスチレン系単量体 24〜38重量%と共役ジェン 系単量体 76〜62重量%、より好ましくはスチレン系単量体 28〜36重量%と共役ジ ェン系単量体 72〜64重量%力、らなるブロック共重合体である。スチレン系単量体が 20重量%未満で、共役ジェン系単量体が 80重量%を超える場合は、機械的強度に は優れるが、樹脂(c)の連続相、すなわちスチレン系単量体とアクリル酸 n—ブチル 共重合体とゴム状弾性体 (b)を原料とする分散粒子との屈折率の差が大きくなり過ぎ て、透明性に劣り好ましくない (曇り度が大きくなる)。一方、スチレン系単量体が 45 重量%を超え、共役ジェン系単量体が 55重量%未満の場合は、透明性は向上する 力 連続相の樹脂との相溶性が高まり、分散粒子径が小さぐ且つ機械的強度に優 れるサラミ構造又はコアシェル構造を呈することが困難となり、機械的強度に劣り好ま しくない。
[0027] ゴム状弾性体 (b)に使用するスチレン系単量体及び共役ジェン系単量体は、樹脂
(a)に用いる単量体と同様のものを使用できる。ゴム状弾性体 (b)の構造は特に限定 されないが、樹脂 (b)を原料とする樹脂 (c)中の分散粒子の屈折率、分散粒子の構 造、粒子径を制御する上で、スチレン系単量体を主体とするブロック、及び共役ジェ ン系単量体を主体とするブロックをそれぞれ、少なくとも 1以上有するブロック共重合 であることが望ましい。ここでいうスチレン系単量体を主体とするブロックとは、そのブ ロック構造中に、スチレン系単量体を 80重量%以上含有するブロックのことである。 同様に、共役ジェン系単量体を主体とするブロックとは、そのブロック構造中に、共役 ジェン系単量体を 80重量%以上含有するブロックのことである。
[0028] 樹脂 )中のゴム状弾性体 (b)の含有量は、 3〜20重量%、好ましくは 5〜; 18重量 %、より好ましくは 8〜; 16重量%である。 3重量%未満では機械的強度が劣り好ましく ない。一方、 20重量%を超える場合は、剛性が低くなり過ぎて好ましくない。
[0029] 本発明で、中間層に使用する樹脂(c)のビカット軟化温度は、 60〜85°C、好ましく は 65〜83°C、より好ましくは 68〜80°Cである。 60°C未満では得られる熱収縮性多 層フィルムは、比較的気温の高い時期に保管時において収縮してしまう、いわゆる自 然収縮率が高いフィルムとなり、熱収縮性フィルムとして使用できない場合がある。更
には樹脂(C)の生産時に樹脂の冷却が難しくなり、生産性が低下する場合があり好ま しくない。一方、 85°Cを超える場合は、低温での加工性が低下すると共に、低温収 縮性が著しく低下して好ましくない。また、本発明において、中間層の樹脂(c)はビカ ット軟化温度の異なる、 2種類以上の樹脂を混合して使用してもよい。ビカット軟化温 度の異なる樹脂を使用することで得られたフィルムを加熱収縮させる際、加熱温度に 対して緩やかに収縮させることが可能となり、容器に装着する際の仕上がりに優れる フィルムとすることができる。ただし、その際も、樹脂(c)のビカット軟化温度、連続層 の樹脂組成、ゴム状分散粒子を構成するゴム状弾性体 (b)の含有量が本発明の範 囲にあることが肝要である。樹脂(c)のビカット軟化温度は、連続層のスチレン単量体 とアクリル酸 n ブチルの重量比を制御することにより、変化させること力 Sできる。
[0030] 樹脂 (c)への可塑剤の混合は、ビカット軟化温度を一定に保つ場合、アクリル酸 n ブチルの導入量を低減でき、耐溶剤性を向上させる効果がある。しかし、添加し過 ぎると長時間の押出、成形時に、押出機のダイス出口部に目ャ二となって可塑剤が 析出し、製品に混入する場合があり好ましくない。可塑剤の添加量は、樹脂 ) 100 重量部に対し、好ましくは、 0〜4重量部、より好ましくは 0. 0;!〜 4重量部、更に好ま しくは 0. 02〜3重量部である。可塑剤としては、流動パラフィン、エポキシ化大豆油、 エポキシ化アマ二油、アジピン酸ビス(2—ェチルへキシル)等が挙げられる力 S、流動 ノ ラフィンが特に好ましい。
[0031] 樹脂 (c)は、 25°Cでのメチルェチルケトン不溶分/不溶分中のゴム状弾性体の比 が 1 · 3〜3. 2であることカ好ましい。より好ましくは 1. 5〜3. 0、更により好ましくは 1 . 6〜2. 5である。この比率はゴム状分散粒子(ゴム状弾性体 (b) +オタルード樹脂 +グラフト樹脂)が不溶分中のゴム状弾性体 (b)に対して、どの程度増加したかを表 す指標で、一般的にはゴム状弾性体と連続相の樹脂との相溶性が良いほど、この比 率は大きくなる。この比率を上記範囲とすることで、ゴム状分散粒子と連続層の屈折 率の差が小さくなり、より透明性に優れたものとすることができ、さらにはゴム状分散粒 子の形態がいわゆるサラミ構造又はコアシェル構造を安定してとることが容易となり、 より機械的強度に優れたものとすることができる。なお、メチルェチルケトン不溶分は 、樹脂製造時の重合開始剤量、連鎖移動剤量等でゴム状弾性体へのグラフト量を制
徒 Pすることにより、変ィ匕させること力 sでさる。
[0032] メチルェチルケトン不溶分の測定は、樹脂(c) lgを沈殿管に精秤し、メチルェチル ケトン 20mlに 25°Cで 1時間かけて溶解させた後、 10°C以下、 20000rpmで 1時間 遠心分離を行レ、 (日立社製、 himac CR20 ローター 46を使用)、上澄み液をデカ ンテーシヨン (沈殿管を約 45° 傾け、約 3秒間保持)により除いた後、乾燥器で、大気 圧下で 160°C、 45分乾燥し、その後、真空で 160°C、 15分乾燥し、メチルェチルケト ン不溶分の重量を測定した(乾燥後重量)。なお、乾燥前のメチルェチルケトンを含 む不溶分の重量を乾燥前重量として測定した。
[0033] メチルェチルケトン不溶分中のゴム状弾性体は、樹脂 lg中のゴム状弾性体の量と して、 lg X原料溶液中の仕込みゴム状弾性体含有率/重合終了後の重合液中の 固形分含有率で、算出した。例えば、原料溶液中の仕込みゴム状弾性体含有率 12 重量%、重合終了後の重合液中の固形分含有率 80重量%の場合、樹脂 lg中のゴ ム状弹性体は、 1 X (12/100) / (80/100) = 0. 15gとなる。
[0034] 樹脂(c)はメチルェチルケトンによる膨潤指数が 2· 5〜5. 5であることが好ましい。
より好ましくは 2· 7〜5. 1、更に好ましくは 3· 0〜4. 8である。膨潤指数はゴム状分 散粒子の架橋度合いを表す指標で、数値が小さいほど架橋が多い。この膨潤指数を 上記範囲とすることで、ゴム状分散粒子が適度に架橋した、より機械強度に優れ、且 つゴム粒子の変形による概観変化の少ない、より透明性、概観に優れたフィルムを得 ること力 Sできる。なお、膨潤指数は樹脂製造時の未反応単量体類を脱気させる際の 温度を変化させ、架橋度を制御することで変化させることができる。
[0035] メチルェチルケトンによる膨潤指数は、上述の乾燥前重量/乾燥後重量の比で算 し/
[0036] 樹脂 (c)のゴム状分散粒子の平均粒子径は、透明性、概観、機械的強度の観点か ら 0· 2〜; ! · 3 mであることが好ましい。より好ましくは 0. 2〜; ! · 0 m、更により好ま しくは 0. 5〜; 1. 0 mである。樹脂の平均粒子径の測定は、超薄切片法による透過 型電子顕微鏡写真を撮り、写真中の粒子を 1000個の粒子径を測定して次の式で求 めた。
平均粒子径 =∑ (ni X Di4) /∑ (ni X Di3)
(ただし、 niは粒子径 Diを有するゴム粒子の個数である。また Diは粒子の長径と短径 の平均値で求めた。 )平均粒子径はゴム状弾性体 (b)の種類や分子量にも依存する 1 樹脂 (C)製造時の開始剤量、連鎖移動剤量又は重合時の攪拌機の回転数によ り制御すること力 Sできる。また、本発明において異なる粒子径分布をもつ、 2種類以上 の樹脂 (c)を中間層樹脂として使用することも可能である。たとえば、平均粒子径の 小さいものと、平均粒子径の大きいものを製造し、製膜の際に混合して使用すること により、フィルムの透明性と機械的強度の両方に優れたフィルムを得ることも可能であ る。ただし、その際も平均粒子径が上記範囲であることが好ましい。
[0037] 樹脂(c)は、 25°Cの溶剤(酢酸ェチル 40重量%とイソプロピルアルコール 60重量 %)に 10分間浸漬した後に、溶剤膨潤率が 12重量%未満であることが好ましい。より 好ましくは 10重量%以下である。溶剤膨潤率は、直径 25mm φ、厚み 0. 8mmの円 盤状の試料を用いて測定する。溶剤膨潤率は印刷用インクに含まれる溶剤に対する 耐溶剤性を表す指標で、数値が小さ!/、ほど耐溶剤性が高!/、。一般にフィルムに印刷 を施す際、両外層に比較的インク溶剤に強い樹脂を被覆しても、溶剤のしみこみ等 で溶剤が中間層に到達し、中間層材料の耐溶剤性が、フィルムの物性、概観に影響 を及ぼす場合がある。両外層の厚みが薄い程、これらは顕著である。樹脂(c)の溶剤 膨潤率を上記範囲とすることで、印刷を施した際にも、物性低下がより少なぐ薄いフ イルムを印刷しながら巻き取る場合でも破断することのない、また印刷後の表面荒れ などによる概観変化のより少ないフィルムとすることができる。なお、インクの溶剤には 一般的にエステル系やアルコール系の溶剤が用いられる。特にエステル系では酢酸 ェチルが、アルコール系ではイソプロピルアルコールが多用されている。
[0038] 本発明で、樹脂 (c)の連続相と樹脂 (c)の分散粒子の屈折率の差の絶対値は透明 性の観点から、 0. 025以下であることが好ましい。より好ましくは 0. 02以下である。
[0039] 樹脂(c)の連続層の屈折率は連続層に使用するスチレン系単量体量及びアタリノレ 酸 n—ブチル単量体量を調整することで変化させることができる。連続層の屈折率の 測定は、上述のメチルェチルケトン不溶分の測定の際に行った遠心分離後の上澄 み液を、メタノール中に再沈殿させた後濾別して連続層樹脂を回収し、これを乾燥後 、 0. 2mmの厚みに成型してアッペ屈折計を用いて温度 25°Cで測定した。
[0040] 樹脂(c)の分散粒子の屈折率は、原料となるゴム状弾性体 (b)のスチレン系単量体 量及び共役ジェン系単量体量、さらには分散粒子中のグラフト樹脂量及びオタルー ド樹脂量を制御することで変化させること力できる。通常はスチレン系単量体量を増 カロさせれば連続相との屈折率の差を小さくできる力 S、スチレン系単量体量には機械 的強度の点で制限があるため、グラフト樹脂量及びオタルード樹脂量等を制御するこ とにより屈折率を変化させるのが好ましい。分散粒子の屈折率は 1. 540- 1. 585で あること力《好ましい。より好ましくは 1. 550- 1. 580、更に好ましくは 1. 551 - 1. 57 5、更により好ましくは 1. 555- 1. 570である。樹脂(c)の分散粒子の屈折率の測定 は、上述のメチルェチルケトン不溶分を回収し、これを乾燥後、 0. 2mmの厚みに成 型してアッペ屈折計を用いて温度 25°Cで測定した。
[0041] 中間層への樹脂(a)の混合は、主成分とする樹脂 (c) 100重量部に対して好ましく は 0. 01〜; 100重量部、より好ましくは 0. ;!〜 80重量部である。樹脂(c)への樹脂(a )の混合は、中間層と両外層との密着性をより高め、熱収縮性多層フィルムの引裂き 性をより優れたものとする効果がある。中間層に混合する樹脂(a)は両外層に使用す るものと同一のものでもよいし、異なるものでもよい。さらには 2種類以上を混合したも のでもよい。
[0042] また樹脂(c)と樹脂(a)との屈折率の差の絶対値は、 0. 03以下であることが好まし い。より好ましくは 0. 02以下である。多層フィルムの製造において、表裏層樹脂(a) を含むフィルムの端材の中間層へのリサイクルは一般的に行われており、この端材の リサイクル性の可否が生産性に大きく影響する。樹脂 (c)と樹脂 (a)の屈折率の差を 上記範囲とすることで、端材をリサイクルしても透明性低下のより少ない、リサイクル性 に優れたフィルムとすることができる。
[0043] また、中間層には、樹脂(a)以外にも必要に応じて本発明の目的を損なわない範 囲で、スチレン系重合体、スチレン系共重合体、スチレン系単量体一共役ジェン系 単量体共重合エラストマ一類等を配合してもよレ、。これらの添加量は主成分とする樹 脂(c) 100重量部に対し 30重量部以内であることが好ましい。この際も本発明の趣 旨から、中間層を構成する樹脂と表裏層を構成する樹脂との屈折率の差が 0. 03以 下であることが好ましい。
[0044] 樹脂(c)において、メルトフローレートは、好ましく 0. 5〜30g/10分、より好ましく は 2〜20g/10分、更に好ましくは 3〜15g/10分である。メルトフローレートをこれ らの範囲内にすることにより、本発明のフィルムから、低温加工で厚み斑の少ない高 倍率延伸フィルムが得られる。またその熱収縮においても均一な収縮特性を有し、更 には得られたフィルムの機械的強度も優れたものとなり好ましい。
[0045] 本発明に用いられる樹脂(c)の製造方法は、スチレン系樹脂を製造する公知の方 法の内、例えば、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等を用いるこ とができる力 分散粒子のオタルード樹脂量、グラフト樹脂量、分散粒子径を制御す る上で、またフィルムにした際に黄味がより小さくなるため、塊状重合法、溶液重合法 が好ましい。
[0046] 本発明の熱収縮性多層フィルムは、フラット法、チューブラー法等公知の方法によ つて製造すること力できる。例えばフラット法の場合では、複数の押出機を用いて樹 脂を溶融し、 Tダイスから共押出し、引き取りロールで引き取り、縦方向にロール延伸 をし、横方向にテンター延伸をし、ァニールし、冷却して、巻き取り機にて巻き取るこ とによりフィルムを得る方法が例示できる。延伸温度としては、特に制限はなぐ一般 的には 70〜; 110°Cの範囲である。フィルムの延伸倍率は、好ましくは主延伸方向の 延伸が 3〜8倍、主延伸方向の直交方向の延伸が;!〜 2倍で、より好ましくは主延伸 方向の延伸力 〜6倍、主延伸方向の直交方向の延伸が 1. 05-1. 5倍である。延 伸後のフィルムは印刷を施された後、主延伸方向が円周方向になるように円筒状に センターシールされ、さらに適宜長にカットして熱収縮性ラベルとされる。これを容器 にゆるく被覆し、熱風又は蒸気のトンネル内で加熱収縮させ、容器に密着させること で熱収縮性フィルムとして利用される。延伸倍率を上記範囲とすることで、厚み斑の より小さいフィルムが得られ、さらに熱収縮後のボトルとの密着性、高さ方向にゆがみ のない、より意匠性に優れたフィルムとすることができる。
[0047] フィルムの収縮率は、好ましくは 75°C熱水中 10秒の収縮率が主延伸方向 10%以 上、主延伸方向の 90°C熱水中 10秒の収縮率 /75°C熱水中 10秒の収縮率の比が 7以下、より好ましくは 75°C熱水中 10秒の収縮率が主延伸方向 15%以上、主延伸 方向の 90°C熱水中 10秒の収縮率 /75°C熱水中 10秒の収縮率の比が 6以下、更に
より好ましくは 75°C熱水中 10秒の収縮率が主延伸方向 20%以上、主延伸方向の 9 0°C熱水中 10秒の収縮率 /75°C熱水中 10秒の収縮率の比が 4以下である。上記 範囲とすることで、容器に加熱収縮させる際、容器の口部や外径が細くなつた、いわ ゆるくびれ部分への密着性により優れ、さらには収縮斑によるしわの少ない、より意匠 性に優れたフィルムとすることができる。
[0048] 本発明の熱収縮性多層フィルムは、フィルム全体に対する中間層の厚さの比率は 、フィルムの耐自然収縮性、伸び、透明性、概観の観点から 55〜90%であることが 好ましい。より好ましくは 60〜85%、更により好ましくは 65〜85%である。フィルム全 体の厚さは、 20〜70〃、好ましくは 30〜60〃111の範囲で選ばれる。
[0049] 中間層及び両外層に用いる樹脂には、 2—〔1一(2 ヒドロキシー 3, 5 ジー t一 ペンチルフエ二ノレ)ェチル〕 4, 6 ジ t—ペンチルフエニルアタリレート、 2-t- ブチルー 6—(3— t ブチルー 2 ヒドロキシー5 メチルベンジル)ー4 メチルフエ ニルアタリレート、 2, 4 ビス〔(ォクチルチオ)メチル〕 o クレゾール、 3, 4 ジヒド ロー 2, 5, 7, 8 テトラメチノレー 2—(4, 8, 12 トリメチノレトリデシノレ) 2H べンゾ ピラン 6—オールから選ばれる少なくとも 1種の安定剤を、中間層及び両外層のそ れぞれの樹脂組成物 100重量部に対して、 0. 02〜3重量部、更に好ましくは 0. 05 〜2重量部添加することによって、シート、フィルムを押出機で作成する時に発生する フィッシュアイを抑制することができる。また、 n ォクタデシル 3—(3, 5—ジ tーブ チルー 4ーヒドロキシフエニル)プロピオネート、 2, 4 ビス〔(ォクチルチオ)メチル〕 o クレゾール、テトラキス〔メチレン一 3— (3, 5—ジ一 t ブチノレ一 4—ヒドロキシフエ ニル)プロピオネート〕メタン、 1 , 3, 5 トリメチノレー 2, 4, 6 トリス(3, 5 ジ一 t ブ チルー 4ーヒドロキシベンジル)ベンゼン等のフエノール系安定剤の少なくとも 1種を、 樹脂 100重量部に対して、 0. 02〜3重量部、トリス—(ノユルフェニル)ホスファイト、 2, 2 メチレンビス(4, 6 ジ一 t ブチルフエ二ノレ)ォクチルホスファイト、トリス(2, 4 ージー t ブチルフエニル)ホスファイト等の有機ホスフェート系安定剤の少なくとも 1 種を、中間層及び両外層のそれぞれの樹脂組成物 100重量部に対して、 0. 02〜3 重量部添加することができる。
[0050] 中間層及び両外層に用いる樹脂には、好適な添加剤として、クマロン インデン樹
脂、テルペン樹脂、オイル等の軟化剤、可塑剤が挙げられる。また各種の安定剤、顔 料、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、滑剤等も添加できる。なお、ブロッキング防止 剤、帯電防止剤、滑剤としては、例えば脂肪酸アミド、エチレンビスステアロアミド、ソ ルビタンモノステアレート、脂肪酸アルコールの飽和脂肪酸エステル、ペンタエリスリト ール脂肪酸エステル等、また紫外線吸収剤としては、 p— t ブチルフエニルサリシレ ート、 2—(2,ーヒドロキシ 5, 一メチルフエ二ノレ)ベンゾトリァゾール、 2—(2,ーヒドロ キシ一 3'— t ブチル 5'—メチルフエ二ル)一 5 クロ口べンゾトリァゾーノレ、 2, 5 ビス [5'— t ブチルベンゾォキサゾリルー(2) ]チォフェン等、 「プラスチック及 びゴム用添加剤実用便覧」(化学工業社)に記載された化合物が使用できる。これら は、一般的に 0. 0;!〜 5重量%、好ましくは 0. 05〜3重量%の範囲で用いられる。な お、帯電防止剤ゃ滑材などはフィルム製膜時に表面に塗布してもよい。
[0051] 本発明でいう容器とは、各種プラスチックボトル、ガラスボトルはもとより、各種成形 容器、その他本発明の熱収縮性フィルムが適用できる全ての容器をいう。しかし、耐 熱性に乏しい容器や高温は避けたい中味商品が充填された容器への適用が本発明 のフィルムの特性を最も生かすとレ、う点からは好まし!/、。
実施例
[0052] 次に本発明を実施例及び比較例により、詳しく説明するが、本発明はこれら実施例 に限定されるものではない。
<測定方法 ·評価方法 >
本発明では、下記の測定法、評価方法を用いた。
(1)ビカット軟化温度の測定
ASTM D— 1525に準拠して測定した。荷重は 9. 8N、昇温速度を 2°C/分とし た。
(2)メルトフローレート(MFR)の測定
ISO 1133に準拠して測定した(200。じ、荷重 49N)。
(3)屈折率の測定
アッペ屈折計((株)ァタゴ社製 DR— M2)を用いて JIS K7015に準拠して、 25 °Cで測定した。
(4)樹脂(c)中の流動パラフィンの測定
試料調製:共重合体 2gをメチルェチルケトン 15mlに溶解後、エタノールを 15mlカロ え、更に溶解する。上澄み液を 10ml採取し、テトラヒドロフラン (THF) 10mlを加え 攪拌、測定した。
機器:高速液体クロマトグラフ HLC— 802A、カラム:日本分光 Finepak GEL 101 2本、溶媒:テトラヒドロフラン (THF)、温度:カラム恒温槽 38°C、RI検出器 38°C、脱揮槽 45°C、流速: 0. 6ml/分、注入量: 500 1。
(5)溶剤膨潤率の測定
中間層に用いた樹脂組成物から、圧縮成形機で直径 25mm φ、厚み 0. 8mmの 円盤状の試験片を作成し、 25°Cの溶剤(酢酸ェチルとイソプルピルアルコールの比 率 40/60)に 10分間宙吊りに浸漬し、次式により溶剤膨潤率を測定した。
溶剤膨潤率(%) = [ (W2/W1) 1] X 100
W1:浸漬前の試験片重量、 W2:浸漬後の試験片重量
(6)引張破壊呼び歪測定用の印刷フィルム作成方法
共押出で得た厚さ約 300 mの多層シート(表 2、外層/中間層/外層の厚みの 比率 15/70/15)をバッチ式テンター(東洋精機社製 EX6— S 1 )で、樹脂(c)のビ カット軟化温度 + 20°Cの温度で 3分間加熱後、シート押出方向の直交方向に 5倍、 シート押出方向に 1. 2倍延伸し、厚み約 50 mのフィルムを得た(印刷前フィルム) 。このフィルムの片面に塗料をバーコ一ター(RDS # 5:ウエット時に約 10 mにレべ リング)を用いて 1回塗布し、 35°Cで 3時間、 1 · 3kPa (10mmHg)の減圧下で乾燥 後、所望の大きさの評価用試験片を切り出した(印刷後フィルム)。
なお、塗布用インクは、東洋インキ社製塗料 SY390を 72重量部と酢酸ェチル /ィ ソプロピルアルコールを 28重量部混合したものを用い、 28重量部の酢酸ェチル /ィ ソプロピルアルコールの比率は、混合後の酢酸ェチル /イソプロピルアルコールの 比率が 40/60になるように調製した。
(7)曇度の測定
(6)で得られた約 50 μ mの延伸フィルム(印刷前フィルム)を、流動パラフィンを満 たした光路長 10mmの光学セル内に浸漬し、積分球式光線透過率測定装置を用い
、JIS K7105に準拠して測定した。
(8)引張破壊呼び歪の測定
(6)で得られた評価用試験片(印刷後フィルム)を用いて JIS K7127に準拠して、 25°Cで測定した。なお、引張速度は 50mm/分で、試験片形状はタイプ 5を用い、 主延伸の直交方向に引張試験をした。印刷前後の引張破壊呼び歪の保持率を次式 より算出した。
印刷前後の引張破壊呼び歪の保持率(%) = (E2/E1) X 100
E1:印刷前の引張破壊呼び歪、 E2 :印刷後の引張破壊呼び歪
(9)印刷後の外観変化の判定
(6)で得られた印刷前フィルムと印刷後フィルムの表面外観変化を目視により下記 の基準で判定した。印刷前フィルムに比し、
◎ (優):変化が見られない
〇(良):かすかに変化が見られる
X (不良):変化が見られる
(10)収縮率の測定
(6)で得られた未処理のフィルムを、 75°C、 90°Cの熱水に 10秒間浸漬し、主延伸 方向の収縮率を次式により算出した。
収縮率(%) = [1— (L2/L1) ] X 100
L1:浸漬前の長さ、 L2:浸漬後の長さ。
(11)低温加工性の判定方法
(6)で得られた厚さ約 300 H mのシートをバッチ式テンターで 2軸に延伸した時の、 延伸性を評価したもので、樹脂(c)のビカット軟化温度 + 20°Cの温度で 3分間加熱し 、シート押出方向の直交方向に 5倍、シート押出方向に 1. 2倍延伸した 5枚のフィノレ ムを測定し、下記の方法で低温加工性を判定した。
◎ (優):破れが全くなぐ延伸されたフィルムの有効部分 (エッジ部を除く)の厚み斑 Xが— 10 % < X < + 10 %に延伸できた場合
〇(良):破れが全くなぐやや不均一で厚み斑 Xが— 30%≤X≤— 10%又は + 1 0%≤X≤ + 30%の場合
X (不良):破れがある場合、又は厚み斑 Xが Xく— 30%又は X〉+ 30%の場合
(12)実用収縮性の判定方法
ァセブティック用 PETボトルに水を入れてキャップをした後、フィルム(6)で得られた 未処理のフィルムから切り出した所定の大きさの封筒状フィルムをこれにかぶせ、 80 °Cの蒸気トンネルに 10秒間通して装着し、下記の方法で判定した。
◎ (優):非常に仕上がり外観が良い
〇(良):仕上がり外観が良好
X (不良):収縮不足、あるいはしわが入り仕上がり外観が不良
(13)端材のリサイクル性
端材のリサイクル性を見るために、中間層の主成分である樹脂(c)に両外層の主成 分である樹脂 (a)を添加した樹脂を中間層の樹脂として、多層フィルムを作成し、流 動パラフィンの液に浸漬し曇度を測定、判定した。
◎ (優):曇度の低下が殆ど無い
〇(良):曇度の低下が僅かにある
Χ (不良):曇度の低下が大きい。
(14)樹脂押出時のダイス出口の汚れ判定方法
30mm φ短軸シート押出機で連続 4時間押出し後にダイス (Tダイ)樹脂出口のォ ィル汚れを目視により下記の基準で判定した。
◎ (優):付着が殆ど無い
〇(良):付着が僅かにある
X (不良):付着が激しい。
(15)層間密着性の判定
両外層に使用した樹脂と中間層に使用した樹脂をそれぞれ、縦横 250mm、厚さ 0 . 3mmに圧縮成型したシートを厚さ 0. 6mmのスぺーサー内に重ね合わせ、 200°C で、予熱 1分、加圧 30秒圧縮成型することで圧着させた。その際、一部をマスキング フィルムで覆い圧着させずにつかみ代を作成した。圧着体を、圧着面の幅 20mm、 長さ 100mm、つかみ代の長さが 60mmになるように切り出し、試験片とした。この試 験片の中間層に使用した樹脂側のつかみ代と両外層に使用した樹脂側のつかみ代
を引張試験機の上下チャックでそれぞれつかみ、速度 100mm/minで圧着体の剥 離試験を実施した。層間密着性を下記の基準で判定した。
◎ (優):まったく剥離せず、材料が破断した
〇(良):一部剥離したが、材料が破断した
X (不良):圧着面が完全に剥離し、材料の破断が起こらなかった
(16)自然収縮率の測定
(6)で得られた未処理のフィルムを、 100mm四方に切り出し、 40°C雰囲気の恒温 槽内に一週間静置し、主延伸方向の収縮率を次式により算出した値を自然収縮率と した。
収縮率(%) = [1— (L2/L1) ] X 100
L1:静置前の長さ、 L2:静置後の長さ。
<樹脂 (c)の製造〉
実施例及び比較例にお!/、ては、ゴム状弾性体 (b)を連続相中に含有する樹脂(c) として、表 1に示す樹脂 A1〜樹脂 A12を作製して用いた。
[0053] 表 1に樹脂(c)の組成、性状及び可塑剤の添加量を示す。
(樹脂 A1の製造)
樹脂 A1は、次のようにして製造した。
[0054] 攪拌機付き原料容器にスチレン 82. 1重量部、アクリル酸 n ブチル 7. 9重量部、 スチレン ブタジエンブロック共重合体(ブタジエン成分 62重量%) 3. 75重量部、ェ チルベンゼン 4重量部、流動パラフィン(ェクソン.モービル社製、商品名プライムォ 一ノレ N382) 2. 25重量部、ノルマルドデシルメルカプタン 0· 005重量部を投入し、ス チレン ブタジエンブロック共重合体を完全に溶解した。この原料溶液を、攪拌機付 き層流型反応器 (容量 1. 5リットル)を 3基直列に連結した重合装置に 0. 6リットル/ hrの速度で供給し、第 1段反応器の反応温度 110〜; 120°C、第 2段の反応器の反応 温度 120°C〜 130°C、第 3段の反応器の反応温度 130°C〜 150°Cで重合を行った。 得られた重合溶液を 2段ベント付き脱揮押出機に連続的に供給し、押出機の温度 20 0〜240°C、 1段ベント及び 2段ベントを 2. OkPaの減圧下で、未反応単量体、溶媒を 回収し、樹脂を得た。最終重合溶液の固形分は約 75重量%で、流動パラフィンの脱
揮時のロス率は 25%であった。得られた樹脂を、遠心分離機にてオタルード樹脂を 含むゴム状弾性体成分を分離し、ゴム状弾性体成分を含まな!/、連続相の樹脂を取り 出した。この樹脂の組成を日本電子社製、 JNM— LA400を使用し、 13C— NMRで 測定し、それぞれの単量体の結合単位に起因するスペクトルピークの面積比より共 重合組成を算出した。
(樹脂 A2〜A12の製造)
樹脂 A2〜A12の製造は、樹脂 A1と同様に実施した力 S、表 1の樹脂組成、ゴム平 均粒子径、 MFRを得るために、単量体の比率、第 1反応器の攪拌機の回転数、ェチ ルベンゼンの量、重合開始剤、連鎖移動剤(ノルマルドデシルメルカブタン)、重合温 度等を適宜調整した。
<樹脂 ω及びゴム状弾性体 (b)の製造〉
実施例及び比較例においては、ブロック共重合体(a)として表 2に示すゴム成分 E 〜Fを用い、ゴム状弾性体 (b)として表 1に示すゴム成分 A〜Dを用いた。
上記ゴム成分 A〜Fは、シクロへキサンあるいは n—へキサン中で、スチレン系単量 体と共役ジェン系単量体とをブチルリチウムを重合開始剤として重合して得た。 <多層フィルムの作製〉
実施例及び比較例で用いた多層フィルムは、表 2に示す中間層樹脂(樹脂 A1〜A 12)と両外層樹脂(ゴム成分 E〜F)を用い、それぞれの原料を別々の押出機で溶融 押出し、ダイ内で合流させて、外層/中間層/外層の 3層構造からなる厚さ約 300 mのシートをまず作成し、その後このシートを用いて樹脂(c)のビカット軟化温度 + 20°Cの温度で 3分間加熱し、シート押出方向に 1. 2倍、シート押出方向の直交方向 に 5倍延伸した厚さ約 50 mの評価用フィルムを作成した。外層/中間層/外層の 厚みの比率は全て、 15/70/15とした。端材のリサイクル性を見るために、中間層 樹脂として樹脂(c) 100重量部に対し、樹脂(a)を実施例 8、比較例 5では 15重量部 、実施例 9では 30重量部添加したものを使用した。評価結果を表 2に示す。
[実施例;!〜 9]
表 2から、実施例の多層フィルムは、印刷後の物性低下が少なく耐印刷性に優れて おり(印刷後の引張破壊呼び歪の保持率、外観変化)、更には透明性、低温加工性
、実用収縮性、端材のリサイクル性、層間密着性に優れていることがわかる。
[比較例 1]
中間層に用いた樹脂 A9は、連続相のアクリル酸 n—ブチルの含量が 25重量%と 多いため、溶剤膨潤率が 16. 3%と高ぐ得られたフィルムは印刷後の物性低下が大 きぐさらには外観変化が大きいため実用的でない。
[比較例 2]
中間層に用いた樹脂 A10は、ビカット軟化温度が 59°Cと低いため、自然収縮率が 大きぐ実用的でない。また流動パラフィンを 6重量部と多く含むため、ダイス汚れが 激しく好ましくない。
[比較例 3]
中間層に用いた樹脂 Al lは、ゴム状弾性体としてポリブタジエンを使用しており、ゴ ム状弾性体を原料とする分散粒子と連続相との屈折率の差が大きぐ曇度が大きぐ 透明性に劣る。
[比較例 4]
中間層に用いた樹脂 A12は、(メタ)アクリル酸エステルの含量を多くしたもので、曇 度が小さぐ透明性に優れる力 印刷後の引張破壊呼び歪の保持率が低ぐ且つ印 刷後の外観が劣る。さらには、層間密着性に劣る。
[比較例 5]
比較例 5で、中間層の樹脂 A12に両外層のゴム成分 Eを添加したものを中間層の 樹脂とした以外は同様である。比較例 5と同様に印刷後の引張破壊呼び歪の保持率 が低ぐ且つ印刷後の外観が劣り、更には樹脂 A12とゴム成分 Eとの屈折率の差から 、透明性が劣り、端材のリサイクル性に劣る。
[表 1]
ゴム成分 B : ゴム吠弹性体 スチレン (S)—フ *タ' /(Β)7*η? 共重合体 (S/B=38/62) 屈折率=1.547 ゴム成分 C : ゴム状弾性体 スチレ (S)—?'タ' <B)フ * ; ^共重合体 <S/B=22/78> 屈折率 =L 535 ゴム成分 D : ゴム状彈性体 ポリブタジエン 屈折率 4.520
S t=スチレン、 B A =アク リル酸 n—ブチル、 !^ 八 メタクリル酸メチル
*2 :樹脂 (C) の樹脂 1 00重量部に対する流動パラフィンの添加都数
*3: メチルェチルケトン不溶分ノ不溶分中のゴム状弾性体 (b) の比
*4:坩脂 ( c ) 中の分散粒子の屈折率
*5:速続相榭脂の屈折率:流動パラフィン添加品は、 速続相に流動パラフィンを含む。
*6: (樹脂 (c) の分散粒子の屈折率)一 mm (c) の連統相の屈折率) の差の絶対値
〕0057
表 2
*1:外層/中間層/外層の厚みの比率は、 全て 1 5/70/1 5。
中間層は、 実施例 8、 実施例 9、 比較例 5を除いた他の実施例及び比較例は全て、 樹脂 (c) のみ使用。
端材の中間層へのリサイクル性を見るため、 実施例 8、 及ぴ比較例 5は两外装のゴム成分 Eを中間層 100重 ft都に対し, 1 5靈量郁、 実施例 9は 两外眉のゴム成分 Fを 30重!:都添加した。
ゴム成分 E :スチレン(S)—ブタジエン): B)ブロック共重合体 (S/B=77/23) 屈折率 =1.579
ゴム成分 F : スチレン (S)—ブタジエン (B)ブロック Λ重合体 (S B=70/30) 屈折率 =L573
産業上の利用可能性
本発明の熱収縮性多層フィルムは、油性インクでの印刷後の物性低下が少な!/、耐 印刷性に優れた、更には収縮性等の低温加工性、機械的強度、実用収縮性、端材 のリサイクル性、層間密着性に優れた特徴を生力もて、ペットボトル等の食品飲料用 容器包装材料のシュリンクフィルム、又は発泡容器等へのラミネートフィルム用途等 に好適に利用できる。