JP4121748B2 - 熱収縮性フィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、良好な熱収縮性、耐自然収縮性を有し、かつミシン目切れ性の良好な熱収縮性(多層)フィルムおよび熱収縮性ラベルに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、容器の収縮包装や収縮ラベルとして用いられる熱収縮性フィルムには、熱収縮性や収縮後の仕上がりがよく、廃棄の際にもポリ塩化ビニルのような環境汚染問題のない点から、スチレン−ブタジエン系ブロック共重合体を成形したフィルムが用いられている。
また、リビングアニオン重合により、有機溶媒中でアルキルリチウムを開始剤としてビニル芳香族炭化水素と共役ジエンをブロック共重合させると、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの質量比あるいは添加方法を変えるなどの方法によって共重合体の構造を多様化でき、種々の物性を有するブロック共重合体が得られることが知られており、以下のようにこれらを用いた熱収縮性フィルムが知られている。
例えば、特開昭59−49938号公報には、スチレン−ブタジエンブロック共重合体と他のスチレン−ブタジエン共重合体、ポリスチレン系重合体、ゴム変性スチレン系重合体からなる特定のポリスチレン組成物をインフレーション法で,かつ単一操作で分子配向を促進させることにより、高抗張力耐衝撃性、伸度を有し透明で高光沢の包装材料として好適な熱収縮性フィルムが得られることが記載されている。
また、特開平7−144365号公報には、全重合体中のブタジエンブロックが4〜35%であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体、またはこれとポリスチレン系重合体との混合物を、特定の条件で延伸した2軸延伸フィルムであり0℃における縦方向の引張破断伸度10%以上である、耐破断性、収縮特性及び剛性に優れたスチレン系収縮フィルムが記載されている。
しかしながら、従来用いられているスチレン系の熱収縮性ラベルでは、良好な熱収縮性能と耐自然収縮性を有するものの、使用後のラベルを剥がす際のミシン目切れ性については満足出来るレベルにはなくその改善が望まれていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような状況を踏まえ、良好な収縮性能と耐自然収縮性を有し、かつミシン目切れ性の良好な熱収縮性(多層)フィルムおよび熱収縮性ラベルを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンのブロック共重合体を主体とするブロック共重合体組成物からなるフィルムを延伸してなり、縦方向の引裂エネルギーが15×10-3J以上50×10 -3 J以下である熱収縮フィルムが良好な収縮性能と耐自然収縮性を有し、かつミシン目切れ性の良好な熱収縮性(多層)フィルムおよび熱収縮性ラベルを与えることを見出し本発明を完成するに到った。
【0005】
すなわち本発明は、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンのブロック共体を主体とするブロック共重合体組成物からなるフィルムを延伸してなり、縦方向の引裂エネルギーが15×10-3J以上50×10 -3 J以下であるミシン目切れ性の良好な熱収縮(多層)フィルムおよび熱収縮性ラベルである。
本発明のブロック共重合体組成物は下記の(a)を主体とし、下記の(b)ビニル芳香族炭化水素系重合体を含有する熱収縮性(多層)フィルムおよび熱収縮性ラベルである。
(a)ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの質量比が50/50〜90/10、
ビニル芳香族炭化水素のブロック率が85%以下であるビニル芳香族炭化水素と共役ジエンのブロック共重合体、(b)下記の(i)〜(v)から選ばれた少なくとも一種のビニル芳香族炭化水素系重合体、
(i)(a)とは異なるビニル芳香族炭化水素と共役ジエンのブロック共重合体(ii)ビニル芳香族炭化水素重合体
(iii)ビニル芳香族炭化水素と(メタ)アクリル酸からなる共重合体
(iv)ビニル芳香族炭化水素と(メタ)アクリル酸エステルからなる共重合体(v)ゴム変性スチレン系重合体
(但し、前記(iii)及び(iv)においてビニル芳香族炭化水素とこのビニル芳香族炭化水素と共重合しているコモノマーの質量比は5〜99:95〜1である。)
また、本発明は少なくとも一つの層が上記のブロック共重合体組成物で形成されている熱収縮性多層フィルムおよび熱収縮性ラベルである。
【0006】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の熱収縮性フィルム、熱収縮性ラベルを構成するブロック共重合体を主体とするブロック共重合体組成物に用いられる各種成分は下記に示す通りである。
【0007】
本発明で使用される(a)ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンのブロック共重合体に用いられるビニル芳香族炭化水素としては、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等を挙げることができるが、特に一般的にはスチレンが挙げられる。
【0008】
本発明で使用される(a)のブロック共重合体の製造に用いられる共役ジエンとしては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられるが、特に一般的なものとしては、1,3−ブタジエン、イソプレンが挙げられる。
【0009】
前記のビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの質量比は、50/50〜90/10であり、好ましくは70/30〜85/15である。ビニル芳香族炭化水素の質量比が50質量%未満ではフィルムの剛性が、90質量%を超えるとフィルム製造時の延伸温度が高くなり、またフィルムの熱収縮性が劣るので実用に供せない。
【0010】
本発明で用いるブロック共重合体の構造および各ブロック部分の構造は、特に限定されない。ブロック共重合体の構造としては、ビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロック、共役ジエンを主体とする重合体ブロックからなる例えば直線型、星型等のブロック共重合体がある。また、ビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックあるいは共役ジエンを主体とする重合体ブロック中に共重合されているビニル芳香族炭化水素は重合体ブロック中に均一に分布していても、テーパー(漸減)状に分布していてもよい。
【0011】
(a)のブロック共重合体のビニル芳香族炭化水素のブロック率は85%以下であり、特に好ましくは25〜85%である。ブロック率が25%未満であるとフィルムの剛性が低下し、85%を超えると熱収縮性が低下するきらいがある。
なお、ビニル芳香族炭化水素のブロック率は次式により求めたものである。即ち、ブロック率(%)=(W1/W0)×100である。
ここでW1は共重合体中のビニル芳香族炭化水素のブロック重合鎖の質量、W0はブロック共重合体中のビニル芳香族炭化水素の全質量を示す。また、前記式中のW1は、ブロック共重合体を公知文献「ラバーケミストリー アンド テクノロジー(Y.TANAKA,et.al.,RUBBERCHEMISTRY AND TECHNOLOGY)」58,16頁(1985)に記載の方法でオゾン分解し、得られたビニル芳香族炭化水素重合体成分をゲルパーミエーションクロマトグラフ(以下GPCと略す)測定して、クロマトグラムに対応する分子量を、標準ポリスチレン及びスチレンオリゴマーを用いて作成した検量線から求め、数平均分子量3,000を超えるものをピーク面積より定量して求めた。検出器として波長を254nmに設定した紫外分光検出器を使用した。
【0012】
本発明で使用される(a)のブロック共重合体の数平均分子量は40,000〜500,000が好ましく、特に好ましくは80,000〜300,000である。40,000未満ではブロック共重合体組成物の十分な剛性と耐衝撃性が得られず、また、500,000を越えると加工性が低下する。なお、本発明におけるブロック共重合体の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(以下GPCと略す)を用いて常法に従って求めた。
【0013】
次に、本発明の(a)のブロック共重合体の製造について説明する。(a)のブロック共重合体は、有機溶媒中、有機リチウム化合物を開始剤としてビニル芳香族炭化水素及び共役ジエンのモノマーを重合することにより製造できる。有機溶媒としてはブタン、ペンタン、ヘキサン、イソペンタン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、あるいはベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素などが使用できる。
【0014】
有機リチウム化合物は、分子中に1個以上のリチウム原子が結合した化合物であり、例えばエチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウムのような単官能有機リチウム化合物、ヘキサメチレンジリチウム、ブタジエニルジリチウム、イソプレニルジリチウムのような多官能有機リチウム化合物等が使用できる。
【0015】
本発明に用いられるビニル芳香族炭化水素及び共役ジエンは、前記したものを使用することができ、それぞれ1種又は2種以上を選んで重合に用いることができる。そして、前記の有機リチウム化合物を開始剤とするリビングアニオン重合では、重合反応に供したビニル芳香族炭化水素及び共役ジエンはほぼ全量が重合体に転化する。
【0016】
本発明において(a)のブロック共重合体の分子量は、モノマーの全添加量に対する開始剤の添加量により制御できる。
また、(a)のブロック共重合体のオゾン分解後のビニル芳香族炭化水素ブロックの分子量は、開始剤と単量体の比、及びビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの比により制御できる。
【0017】
(a)のブロック共重合体のビニル芳香族炭化水素のブロック率は、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンを共重合させる際のランダム化剤の添加量により制御できる。ランダム化剤としては主としてテトラヒドロフラン(THF)が用いられるが、その他のエーテル類やアミン類、チオエーテル類、ホスホルアミド、アルキルベンゼンスルホン酸塩、カリウム又はナトリウムのアルコキシド等も使用できる。
【0018】
ランダム化剤の適当なエーテル類としてはTHFの他にジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等が挙げられる。アミン類としては第三級アミン、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミンの他、環状アミン等も使用できる。その他にトリフェニルホスフィン、ヘキサメチルホスホルアミド、アルキルベンゼンスルホン酸カリウム又はナトリウム、カリウム又はナトリウムブトキシド等もランダム化剤として用いることができる。
【0019】
ランダム化剤の添加量としては、全仕込みモノマー100質量部に対し、0.001〜10質量部が好ましい。添加時期は重合反応の開始前でも良いし、共重合鎖の重合前でも良い。また必要に応じ追加添加することもできる。
【0020】
その他、機械的にビニル芳香族炭化水素と共役ジエンを重合缶に連続フィードするか、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンを重合缶に交互に少量ずつ分添することによってもブロック率は制御できる。
【0021】
このようにして得られたブロック共重合体は、水、アルコール、二酸化炭素などの重合停止剤を、活性末端を不活性化させるのに充分な量を添加することにより、不活性化される。得られたブロック共重合体溶液より共重合体を回収する方法としては、メタノール等の貧溶媒により析出させる方法、加熱ロール等により溶媒を蒸発させて析出させる方法(ドラムドライヤー法)、濃縮器により溶液を濃縮した後にベント式押出機で溶媒を除去する方法、溶液を水に分散させ、水蒸気を吹き込んで溶媒を加熱除去して共重合体を回収する方法(スチームストリッピング法)等、任意の方法が採用できる。
【0022】
本発明で使用する(b)の重合体は、下記の(i)〜(v)から選ばれた少なくとも一種のビニル芳香族炭化水素系重合体であることが好ましい。
(i)(a)とは異なるビニル芳香族炭化水素と共役ジエンのブロック共重合体
(ii)ビニル芳香族炭化水素重合体
(iii)ビニル芳香族炭化水素と(メタ)アクリル酸からなる共重合体
(iv)ビニル芳香族炭化水素と(メタ)アクリル酸エステルからなる共重合体
(v)ゴム変性スチレン系重合体
(但し、前記(iii)及び(iv)においてビニル芳香族炭化水素とこのビニル芳香族炭化水素と共重合しているコモノマーの質量比は5〜99:95〜1である。)
【0023】
(i)の(a)とは異なるビニル芳香族炭化水素と共役ジエンのブロック共重合体としては、上記に示した(a)のビニル芳香族炭化水素と共役ジエンのブロック共重合体以外の任意のビニル芳香族炭化水素−共役ジエンブロック共重合体が用いられる。
【0024】
(ii)のビニル芳香族炭化水素重合体としては、前記のビニル芳香族炭化水素の単独重合体または2種以上の共重合体が用いられる。特に一般的なものとしてポリスチレンが挙げられる。
【0025】
(iii)のビニル芳香族炭化水素と(メタ)アクリル酸からなる共重合体は、前記のビニル芳香族炭化水素と(メタ)アクリル酸を重合することによって得られるが、重合には各モノマーをそれぞれ1種または2種以上選んで用いることができる。
(メタ)アクリル酸としては、アクリル酸、メタクリル酸が挙げられる。
【0026】
(iv)のビニル芳香族炭化水素と(メタ)アクリル酸エステルからなる共重合体は、前記のビニル芳香族炭化水素と(メタ)アクリル酸エステルを重合することにより得られるが、重合には各モノマーをそれぞれ1種または2種以上選んで用いることができる。
【0027】
(メタ)アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチル(またはn−ブチルアクリレートと記す)、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸(2−エチル)ヘキシル、メタクリル酸メチル(またはメチルメタクリレートと記す)、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸(2−ヒドロキシ)エチル等が挙げられる。
【0028】
前記(iii)または(iv)の共重合体は、ビニル芳香族炭化水素と(メタ)アクリル酸またはビニル芳香族炭化水素と(メタ)アクリル酸エステルの質量比が5〜99:95〜1、好ましくは40〜99:60〜1、さらに好ましくは70〜99:30〜1であるモノマー混合物を重合して得られる。
【0029】
(v)のゴム変性スチレン系重合体は、ビニル芳香族炭化水素もしくはこれと共重合可能なモノマーと各種エラストマーとの混合物を重合することによって得られる。ビニル芳香族炭化水素としては、前記(a)のブロック共重合体の製造で説明したものが用いられ、これと共重合可能なモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル等が用いられる。また、エラストマーとしては、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンブロック共重合体エラストマー、クロロプレンゴム、天然ゴムなどが用いられる。特に好ましいゴム変性スチレン系重合体としては、耐衝撃性ゴム変性スチレン樹脂(HIPS)が挙げられる。
【0030】
本発明において、(a)のブロック共重合体と(b)(i)〜(v)の重合体の質量比は組成物全体を100として20〜99.01:0.99〜80である。(a)のブロック共重合体が20質量部未満であると熱収縮性フィルムの収縮性が低下する。
【0031】
本発明のブロック共重合体組成物には、必要に応じて種々の添加剤を配合することができる。添加剤としては、各種安定剤、加工助剤、耐光性向上剤、軟化剤、可塑剤、帯電防止剤、防曇剤、鉱油、フィラー、顔料、難燃剤、滑剤等が挙げられる。
【0032】
上記の安定剤としては、2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール等のフェノール系酸化防止剤、トリスノニルフェニルフォスファイト等の燐系酸化防止剤等が挙げられる。加工助剤、耐光性向上剤、軟化剤、可塑剤、帯電防止剤、防曇剤、鉱油、フィラー、顔料、難燃剤等は、一般的な公知のものが挙げられる。
また、滑剤としては、メチルフェニルポリシロキサン、脂肪酸、脂肪酸グリセリンエステル、脂肪酸アマイド、炭化水素系ワックス等が挙げられる。
【0033】
本発明のブロック共重合体組成物は、(a)と(b)を混合することによって得られ、その混合方法は特に規定はないが、例えばヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、Vブレンダー等でドライブレンドしてもよく、更に押出機で溶融化してペレット化してもよい。あるいは、各重合体の製造時、重合開始前、重合反応途中、重合体の後処理等の段階で、添加してもよい。
必要に応じて添加剤を配合する場合は、例えば前記(a)と(b)にこれら添加剤を更に所定の割合で配合し、前記と同様の混合方法によることができる。
【0034】
本発明の熱収縮性フィルムは、上記の組成物を用い、公知の方法、たとえばTダイ法、チューブラ法で押し出したシート、フィルムを一軸、二軸あるいは多軸に延伸することによって得られる。
【0035】
本発明の熱収縮性フィルムは、少なくとも一つの層が上記の(a)ブロック共重合体を主体とするブロック共重合体組成物で形成されていることが必要であるが、本発明の熱収縮性フィルムが熱収縮性多層フィルムである場合には、少なくとも一層が上記のブロック共重合体を主体とするブロック共重合体組成物であり、少なくとも1つの層または二層である場合の他層が下記の()から形成された層であることが好ましい。
)下記の(i’)〜(v’)から選ばれた少なくとも一種のビニル芳香族炭化水素系重合体、
(i’)ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンのブロック共重合体
(ii’)ビニル芳香族炭化水素重合体
(iii’)ビニル芳香族炭化水素と(メタ)アクリル酸からなる共重合体
(iv’)ビニル芳香族炭化水素と(メタ)アクリル酸エステルからなる共重合体
(v’)ゴム変性スチレン系重合体
(但し、前記(iii’)及び(iv’)においてビニル芳香族炭化水素とこのビニル芳香族炭化水素と共重合しているコモノマーの質量比は5〜99:95〜1である。)
なお、()の(i’)は(a)と同じものでもよく(b)の(i)と同様のものでもよい。また、()の(ii’)〜(v’)の重合体は(b)の(ii)〜(v)の重合体と同様のものが用いられる。また、()の重合体は上記の(b)の重合体と同一でも異なっていてもよい。
内層または二層である場合の他層は、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、ポリスチレン、スチレン−n−ブチルアクリレート共重合体、スチレン−n−ブチルアクリレート−メチルメタクリレート共重合体、耐衝撃性ゴム変性スチレン系樹脂(HIPS)、MBS樹脂、MBAS樹脂から選ばれた少なくとも1種の重合体成分で形成された層であることが更に好ましい。
【0036】
なお、MBS樹脂、MBAS樹脂は、まずポリブタジエン又はブタジエンを主成分とするスチレンとの共重合体ゴムラテックスを公知の乳化重合法で製造する。この際に、架橋剤や連鎖移動剤を使用してもよい。次に、MBS樹脂は、このゴムラテックスにスチレン、メチルメタクリレート及び/又はアルキルアクリレートを、MBAS樹脂はスチレン、メチルメタクリレート、アクリロニトリル及び/又はアルキルアクリレートを添加し、グラフト重合を行うことによって得られる。MBS樹脂、MBAS樹脂に使用されるアルキルアクリレートは、前記の(iii)ビニル芳香族炭化水素と(メタ)アクリル酸エステルからなる共重合体で述べたアルキルアクリレートが挙げられる。
【0037】
本発明の熱収縮性多層フィルムは、表裏層用、中間層(内層)用に上記の樹脂を各々押出機で溶融し、それをダイ内又はフィードブロック等で多層化後、一軸、二軸あるいは多軸に延伸することによって得られる。
熱収縮性フィルム及び熱収縮性多層フィルムで用いられるダイは、Tダイ、環状ダイ等公知のものが使用できる。一軸延伸の例としては、押し出されたシートをテンターで押し出し方向と直交する方向に延伸する方法、押し出されたチューブ状フィルムを円周方向に延伸する方法等が挙げられる。二軸延伸の例としては、押し出されたシートをロールで押し出し方向に延伸した後、テンター等で押し出し方向と直交する方向に延伸する方法、押し出されたチューブ状フィルムを押し出し方向及び円周方向に同時又は別々に延伸する方法等が挙げられる。なお、多層フィルムにおいては内層としては一層である必要はなく、二層以上であっても勿論よい。
【0038】
本発明において、延伸温度は60〜120℃が好ましい。60℃未満では延伸時にフィルムが破断してしまい、また、120℃を越える場合は良好な収縮特性が得られないため好ましくない。特に好ましいのは、フィルムを構成する組成物のガラス転移温度(Tg)に対して、Tg+5℃〜Tg+20℃の範囲である。多層フィルムの場合は、Tgが最も低い層の重合体組成物のTgに対して、Tg+5℃〜Tg+20℃の範囲が特に好ましい。
なお、ガラス転移温度(Tg)は損失弾性率のピークの温度から求めたものである。
延伸倍率は、特に制限はないが、1.5〜8倍が好ましい。1.5倍未満では熱収縮性が不足してしまい、また、8倍を越える場合は延伸が難しいため好ましくない。これらのフィルムを熱収縮性ラベルや包装材料として使用する場合、熱収縮率は70℃10秒間で10%以上であることが好ましい。熱収縮率が10%未満では収縮時に高温が必要となるため、被覆される物品に悪影響を与えてしまう怖れがある。好ましい熱収縮率は同温度で15%以上である。また、自然収縮率が40℃7日間で2.5%以下であることが好ましい。また、フィルムの厚さは10〜300μmが好適である。
【0039】
本発明の熱収縮性フィルムは、縦方向の引裂エネルギーが15×10-3J以上となるように、本発明のブロック共重合体またはそれを主体とするブロック共重合体組成物を選択し、上記に示した延伸条件の範囲で適宜選択した条件で延伸することにより得ることが出来る。縦方向の引裂エネルギーは15×10-3J以上50×10-3J以下である。
【0040】
本発明の熱収縮性フィルム及び熱収縮性多層フィルムの用途としては、熱収縮性ラベル、熱収縮性キャップシール等が特に好適であるが、その他、包装フィルム等にも適宜利用することができる。
熱収縮性ラベルは、公知の方法により作製することができ、例えば延伸フィルムを延伸した方向を円周方向にして、溶剤シールすることにより作製することができる。
【0041】
本発明のミシン目とはミシン目線状の連続した小孔群であり、熱収縮性ラベルを例に示せば、多数の切り込みが熱収縮ラベルの収縮率の高い方向と直交する方向に刻設されたミシン目であり、熱収縮ラベルで被覆された容器から使用後にラベルを分離する際にその脱離を容易にするために設けられるミシン目線状の連続した小孔群である。
また、本発明においてミシン目切れ性が良好であるとは、ミシン目の刻設された熱収縮性フィルムまたは熱収縮性ラベルをミシン目に沿って引き裂き(本願実施例のミシン目切れ性の評価方法を参照)、切れ目がミシン目から外れないことをいう。
本発明の熱収縮性フィルムまたは熱収縮性多層フィルムが熱収縮性ラベルとして用いられる場合の容器は、特に限定されないがポリエチレンテレフタレート(PETと略称される)製の容器、ガラス製の容器、またはアルミニウム製の容器等が好ましく用いられる。
【0042】
【実施例】
次に実施例をもって本発明を更に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0043】
実施例1〜2、実験例1〜3及び比較例1〜4
表1に示した(a)のビニル芳香族炭化水素−共役ジエンブロック共重合体、表2に示した(b)のビニル芳香族炭化水素系重合体をそれぞれ表4〜5の配合処方に従ってヘンシェルミキサーで混合後、押出機で溶融しペレット化することによってブロック共重合体組成物を製造した。なお、フィルムは、まず温度210℃で厚さ0.3mmのシートを押出成形し、その後、東洋精機製作所製の二軸延伸装置を用い表4〜5に示した延伸温度で5倍に横一軸延伸することによって延伸フィルム作成した。
【0044】
表4〜5に各成分の配合量(質量部)とともに物性を示した。
【0045】
実施例3〜4、実験例4〜6及び比較例5〜7
(イ)熱収縮性多層フィルムに用いた成分
成分(a):表1に示すとおりのビニル芳香族炭化水素−共役ジエンブロック共重合体を用いた。
【0046】
【表1】
Figure 0004121748
【0047】
成分(b):表2に示すとおりのビニル芳香族炭化水素系重合体を用いた。
【0048】
【表2】
Figure 0004121748
【0049】
成分(d):表3に示す通りのビニル芳香族炭化水素系重合体を用いた。
【0050】
【表3】
Figure 0004121748
【0051】
(ロ)フィルムの製造
表1に示した(a)ビニル芳香族炭化水素−共役ジエンブロック共重合体、表2に示した(b)ビニル芳香族炭化水素系重合体、並びに表3に示した(d)ビニル芳香族炭化水素系重合体を用いて、表6〜7に示した各層の原料重合体の配合量(質量部)、層比(%)で熱収縮性多層フィルムを作成した。
フィルムは、まず各層に対応する重合体又は重合体組成物を別々の押出機で溶融し、Tダイ内で多層化し、厚さ0.3mmのシートを成形した。その後、東洋精機製作所製の二軸延伸装置を用い表6〜7に示した延伸温度で5倍に横一軸延伸することによって延伸フィルム作成した。
【0052】
表6〜7に各層の原料重合体の配合量(質量部)、層比(%)とともに物性を示した。
【0053】
なお、ブロック共重合体(組成物)及びフィルムの各物性は下記の方法によった。
(1)縦方向の引裂エネルギーの測定法
上記延伸フィルムを、JISK−7128の直角形引裂試験片の形に切り出した(フィルムの縦方向が試験片の長手方向になるようにした)後、10mm/分の速さで、引裂試験を行い(横軸:つかみ具の移動距離、縦軸:測定荷重)、縦軸−横軸−引裂試験の曲線で囲まれる面積をエネルギーとした。
(2)ガラス転移温度(Tg)
重合体組成物のガラス転移温度(Tg)は、損失弾性率を以下の手順に従い動的粘弾性法により測定し、そのピーク温度から求めた。
(i)各重合体ペレットを200〜250℃の条件で加熱プレスし、厚さ0.1〜0.5mmのシートを作製した。
(ii)このシートから適当な大きさの試験片を切り出し、23℃、50%RH室内に24時間以上保管した後、下記装置aを用いて該試験片である重合体に固有な損失弾性率を、温度を変化させながら測定した。
装置a:レオメトリクス社製 固体粘弾性測定装置 RSA2(設定温度範囲:室温〜130℃、設定昇温速度:4℃/分、測定周波数:1Hz)
(3)熱収縮率:70℃の温水中に10秒間浸漬し、次式より算出した。
熱収縮率(%)={(L1−L2)/L1}×100、
但し、L1:浸漬前の長さ(延伸方向)、L2:70℃の温水中に10秒間浸漬した収縮後の長さ(延伸方向)
(4)自然収縮率:フィルムの自然収縮率は以下の方法で測定した。
(α)熱収縮率を測定した延伸フィルムと同じ条件で作製した延伸フィルムから縦方向が約75mm、横方向が約400mmの試験片を切り出した。
(β)この試験片の横方向に300.0mm間隔の標線を付けた。
(γ)延伸フィルムを40℃の環境試験機内で保管した。
(δ)7日の保管後フィルムを取り出し、標線間の距離L(mm)をノギスを用いて0.1mm単位まで測定した。
(η)下記の式により自然収縮率(%)を算出した。
自然収縮率=(300.0−L)/300.0×100
【0054】
(5)ミシン目切れ性
得られたフィルムに、カット0.7mm、ブリッジ1.4mmで縦方向にミシン目を入れた後、そのフィルムを台上に置き、ミシン目の片側を手で押さえて、反対側を指で掴んで、台と平行に引き裂いた時の状態を下記の基準で評価した。
○: ミシン目に沿って切れる
△: 途中でミシン目からずれる
×: ミシン目通りに切れない
【0055】
表4〜7に示した結果より、本発明の熱収縮性フィルムは、ミシン目切れ性に優れることがわかる。
【0056】
【表4】
Figure 0004121748
【0057】
【表5】
Figure 0004121748
【0058】
【表6】
Figure 0004121748
【0059】
【表7】
Figure 0004121748
【0060】
【発明の効果】
本発明のブロック共重合体組成物を用いた熱収縮性フィルムは、熱収縮性、自然収縮性に優れ、更にミシン目切れ性が良好なので、これらのフィルムは各種印刷を施したラベルやキャップシール等種々の包装用フィルムとして好適に用いることが出来る。

Claims (8)

  1. ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンのブロック共重合体(a)と、次に示すビニル芳香族 炭化水素系重合体(b)とを含むブロック共重合体組成物からなるフィルムを、その共重合体組成物のガラス転移点(Tg)に対してTg+5℃〜Tg+20℃の範囲の温度で延伸してなり、縦方向の引裂エネルギーが15×10-3J以上50×10-3J以下であることを特徴とする熱収縮性フィルム。
    (b)とは、次の3種の炭化水素系重合体を示す。
    (1)(a)とは異なるビニル芳香族炭化水素と共役ジエンのブロック共重合体。
    (2)ビニル芳香族炭化水素重合体。
    (3)ゴム変性スチレン系重合体。
  2. ブロック共重合体が(a)ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの質量比が50/50〜90/10、ビニル芳香族炭化水素のブロック率が85%以下であるビニル芳香族炭化水素と共役ジエンのブロック共重合体であることを特徴とする請求項1記載の熱収縮性フィルム。
  3. (a)と(b)の質量比が組成物全体を100として20〜99.01:0.99〜80であることを特徴とする請求項1または2記載の熱収縮性フィルム。
  4. 少なくとも1つの層が請求項1〜3のいずれか1項記載のブロック共重合体組成物で形成され、Tgが最も低い層の重合体組成物のTgに対して、Tg+5℃〜Tg+20℃の範囲で延伸してなり、縦方向の引裂エネルギーが15×10-3J以上50×10-3J以下であることを特徴とする熱収縮性多層フィルム。
  5. 三層以上である場合の少なくとも1つの内層または二層である場合の他層が(d)ビニル芳香族炭化水素系重合体から形成された層であることを特徴とする請求項4記載の熱収縮性多層フィルム。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項記載の熱収縮性フィルムまたは熱収縮性多層フィルムからなることを特徴とする熱収縮性ラベル
  7. 請求項1〜5のいずれか1項記載の熱収縮性フィルムまたは熱収縮性多層フィルムからなることを特徴とするミシン目入り熱収縮性ラベル。
  8. 請求項6または7記載の熱収縮性ラベルで被覆された容器。
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