JP4401052B2 - 重合体組成物及びその熱収縮フィルム - Google Patents

重合体組成物及びその熱収縮フィルム Download PDF

Info

Publication number
JP4401052B2
JP4401052B2 JP2001384638A JP2001384638A JP4401052B2 JP 4401052 B2 JP4401052 B2 JP 4401052B2 JP 2001384638 A JP2001384638 A JP 2001384638A JP 2001384638 A JP2001384638 A JP 2001384638A JP 4401052 B2 JP4401052 B2 JP 4401052B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
copolymer
aromatic hydrocarbon
vinyl aromatic
weight
block
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2001384638A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003128861A (ja
JP2003128861A5 (ja
Inventor
進 星
淳一 吉田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Chemicals Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Chemicals Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Chemicals Corp filed Critical Asahi Kasei Chemicals Corp
Priority to JP2001384638A priority Critical patent/JP4401052B2/ja
Publication of JP2003128861A publication Critical patent/JP2003128861A/ja
Publication of JP2003128861A5 publication Critical patent/JP2003128861A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4401052B2 publication Critical patent/JP4401052B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、透明性、剛性、自然収縮性、低温収縮性、温水融着性及び耐衝撃性に優れた熱収縮性フィルム用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ビニル芳香族炭化水素含有量が比較的高い、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなるブロック共重合体は、透明性、耐衝撃性等の特性を利用して射出成形用途、シート、フィルム等の押し出し成形用途等に使用されている。とりわけビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなるブロック共重合体樹脂を用いた熱収縮性フィルムは、従来使用されている塩化ビニル樹脂の残留モノマーや可塑剤の残留及び焼却時の塩化水素の発生の問題もないため、食品包装やキャップシール、ラベル等に利用されている。熱収縮性フィルムに必要な特性として自然収縮性、低温収縮性、透明性、機械強度、包装機械適性等の要求がある。
【0003】
これまで、これらの特性の向上と良好な物性バランスを得るため種々の検討がなされてきた。例えば特開昭57−34921号公報には熱収縮性を改良するため、スチレン−ブタジエンブロック共重合体を融点範囲内で余熱した後、延伸して熱収縮フィルムの製造方法が、特開昭58−108112号公報には収縮特性を改良するため、スチレン・ブタジエンブロック共重合体の2軸延伸フィルムに特定の配向緩和応力を保持させたスチレン系樹脂収縮フィルムが記載されている。
【0004】
特開昭59−221348号公報には機械特性、光学特性、延伸特性及び耐クラック特性等に優れる組成物を得るため、脂肪族不飽和カルボン酸系誘導体含有量が5−80重量%で、ビカット軟化点が90℃を超えないビニル芳香族炭化水素−脂肪族不飽和カルボン酸系誘導体共重合体とビニル芳香族炭化水素と共役ジエンのブロックからなる共重合体との組成物が記載されている。
特開昭60−224520号公報には収縮特性、耐環境破壊性に優れた熱収縮性フィルムを得るため、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなるブロック共重合体のセグメントに特定のTgを有する熱収縮性フィルムが、特開昭60−224522号公報には収縮特性、耐環境破壊性に優れた熱収縮性フィルムを得るため、特定構造のビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなるブロック共重合体の組成物からなる熱収縮性フィルムが記載されている。
【0005】
特開昭61−25819号公報には低温収縮性、光学特性、耐クラック特性、寸法安定性等に優れる収縮フィルムを得るため、ビニル芳香族炭化水素含有量が95〜20重量%で、ビカット軟化点が90℃を超えないビニル芳香族炭化水素−脂肪族不飽和カルボン酸系誘導体共重合体とビニル芳香族炭化水素と共役ジエンのブロックからなる共重合体との組成物を延伸した低温収縮性フィルムが記載されている。
【0006】
特開平4−52129号公報には室温での自然収縮性を改良するため、スチレン系炭化水素と共役ジエン炭化水素からなるブロック共重合体とスチレン系炭化水素を含有した特定Tgのランダム共重合体の組成物からなるポリスチレン系熱収縮フィルムが、特開平5−104630号公報にはフィルムの経時安定性と耐衝撃性に優れた透明性熱収縮性フィルムを得るため、ビカット軟化点が105℃を超えないビニル芳香族炭化水素−脂肪族不飽和カルボン酸系誘導体共重合体とビニル芳香族炭化水素と共役ジエンのブロックからなる共重合体との組成物で、特定の熱収縮力を特徴とする熱収縮性硬質フィルムが記載されている。
【0007】
特開平6−220278号公報には透明性、剛性及び低温面衝撃性をバランスさせた組成物を得るため、特定構造と分子量分布を有するビニル芳香族炭化水素と共役ジエンのブロックからなる共重合体とビニル芳香族炭化水素−(メタ)アクリル酸エステル共重合体樹脂との組成物が、特開平7−216187号公報には透明性と耐衝撃性に優れた樹脂組成物を得るため、特定構造のビニル芳香族炭化水素ブロックビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの共重合体ブロックを有するブロック共重合体とビニル芳香族炭化水素と(メタ)アクリル酸エステルの共重合体を含有する透明高強度樹脂組成物が記載されている。
【0008】
しかしながら、これらのビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなるブロック共重合体又は該ブロック共重合体とビニル芳香族炭化水素−脂肪族不飽和カルボン酸系誘導体共重合体の組成物は、自然収縮性、低温収縮性、剛性、透明性及び耐衝撃性のバランスが十分ではなく、これらの文献にはそれらを改良する方法に関して開示されておらず、依然として市場での問題点が指摘されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、熱収縮性フィルム用途において、透明性、剛性、自然収縮性、低温収縮性、温水融着性及び耐衝撃性等の物性バランスに優れた重合体組成物の提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、
1. 有機リチウム化合物を開始剤として製造したビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなる共重合体であり、共重合体のビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの重量比が85/15〜95/5、共重合体に組み込まれているビニル芳香族炭化水素のブロック率が10〜80重量%で、ビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの数平均分子量が0.5万〜6.0万で、ビカット軟化温度が50〜88℃の範囲である共重合体(I)と、少なくとも1個のプラスチック性重合体セグメントAと少なくとも1個のエラストマー性重合体セグメントBを有し、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとの重量比が65/35〜82/18であるブロック共重合体で、該ブロック共重合体の動的粘弾性の関数tanδのピークが70〜125℃に少なくとも1つ有するブロック共重合体(II)とからなる組成物で、該組成物のビカット軟化温度が60〜83℃の範囲であり、共重合体(I)とブロック共重合体(II)の重量比が10/90〜90/10である重合体組成物、
【0011】
2.有機リチウム化合物を開始剤として製造したビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなる共重合体であり、共重合体のビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの重量比が85/15〜95/5、共重合体に組み込まれているビニル芳香族炭化水素のブロック率が10〜80重量%で、ビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの数平均分子量が0.5万〜6.0万で、ビカット軟化温度が50〜88℃の範囲である共重合体(I)と、少なくとも1個のプラスチック性重合体セグメントAと少なくとも1個のエラストマー性重合体セグメントBを有し、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとの重量比が65/35〜82/18であるブロック共重合体で、該ブロック共重合体の動的粘弾性の関数tanδのピークが70〜125℃に少なくとも1つ有するブロック共重合体(II)、およびスチレン含有量が70〜90重量%、アクリル酸n−ブチル含有量が30〜10重量%からなるスチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体(III)とからなる組成物で、該組成物のビカット軟化温度が60〜83℃の範囲であり、共重合体(I)、ブロック共重合体(II)およびスチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体(III)の重量比は、合計量を100重量%として、(I)が10〜80重量%、(II)が10〜80重量%、および(III)が5〜50重量%の範囲からなる重合体組成物、
3.1.又は2.の重合体組成物を延伸してなり、延伸方向における65℃の熱収縮率が10〜60%、延伸方向における引張弾性率が7000〜30000Kg/cm2である熱収縮性フィルム、及び
4.共重合体(I)が、該共重合体に組み込まれているビニル芳香族炭化水素のブロック率が15〜75重量%で、ビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの数平均分子量が0.8万〜5.0万で、ビカット軟化温度が55〜85℃の範囲であることを特徴とする1.または2.に記載の重合体組成物に関する。
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で使用する共重合体(I)は有機リチウム化合物を触媒として製造したビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなる共重合体で、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの重量比は85/15〜95/5、好ましくは87/13〜92/18である。ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの比が85/15以上の場合には剛性に優れ、95/5以下の場合には耐衝撃性が向上する。共重合体(I)の共重合体に組み込まれているビニル芳香族炭化水素のブロック率は10〜80重量%、好ましくは15〜75重量%である。ブロック率が10重量%以上では温水融着性に優れ、80重量%以下で低温収縮性が優れる。
【0013】
共重合体(I)の共重合体に組み込まれているビニル芳香族炭化水素のブロック率の測定は、ブロック共重合体を四酸化オスミウムを触媒としてターシャリーブチルハイドロパーオキサイドにより酸化分解する方法(I.M.KOLTHOFF,etal.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の方法)により得たビニル芳香族炭化水素重合体ブロック成分(但し平均重合度が約30以下のビニル芳香族炭化水素重合体成分は除かれている)を用いて、次の式から求めた値を云う。
【0014】
ブロック率(重量%)=(ブロック共重合体中のビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの重量/ブロック共重合体中の全ビニル芳香族炭化水素の重量)×100
共重合体(I)のビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの数分子量は0.5万〜6.0万、好ましくは0.8万〜5.0万、更に好ましくは1.0万〜4.5万である。芳香族炭化水素重合体ブロックの分子量は共重合体(I)を製造する際の触媒量及び共役ジエンとビニル芳香族炭化水素の重量比等を変えることによりコントロールすることができる。共重合体(I)のビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの数分子量が0.5万以上では温水融着性に優れ、6.0万以下の場合に自然収縮性に優れる。
【0015】
共重合体(I)のビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの数分子量は、ブロック率の定量に用いたものと同一成分のものをゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で、分子量を特定するものである。分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)用の単分散ポリスチレンをGPCにより、そのピークカウント数と単分散ポリスチレンの数平均分子量との検量線を作成し、常法(例えば「ゲルクロマトグラフィー<基礎編>」講談社発行)に従って算出する。
【0016】
本発明に用いるビニル芳香族炭化水素としてはスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、1,1−ジフェニルエチレンなどがあるが、特に一般的なものはスチレンが挙げられる。これらは1種のみならず2種以上混合使用してもよい。共役ジエンとしては、1対の共役二重結合を有するジオレフィンであり、例えば1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどであるが、好ましくは1,3−ブタジエン及び/又はイソプレンである。
【0017】
共重合体(I)のビカット軟化温度は50〜88℃、好ましくは55〜85℃、更に好ましくは60〜80℃の範囲である。ビカット軟化温度が50℃以上で温水融着性に優れ、88℃以下の場合には低温収縮性に優れる。
本発明で使用するブロック共重合体(II)のプラスチック性重合体セグメントAは少なくとも1個、好ましくは2個以上のプラスチック性重合体セグメントAと少なくとも1個のエラストマー性重合体セグメントBを有し、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとの重量比が65/35〜82/18、好ましくは67/33〜80/20、更に好ましくは67/33〜78/22である。ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの比が65/35以上の場合には剛性が優れ、82/18以下の場合に耐衝撃性が優れる。
【0018】
プラスチック性重合体セグメントAのビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの重量比は、75/25〜100/0であり、好ましくは80/20〜100/0である。エラストマー性重合体セグメントBのビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの重量比は0/100以上、75/25未満である。ブロック共重合体(II)の動的粘弾性の関数tanδのピーク温度は70〜125℃の範囲、好ましくは75〜120℃の範囲、更に好ましくは80〜115℃の範囲に少なくとも1つのtanδピークが必要である。tanδのピーク温度が70℃以上では温水融着性が向上し、125℃以下では自然収縮性が優れる。
【0019】
動的粘弾性の関数tanδは例えば(株)レオロジ製粘弾性測定解析装置DVE−V4或いは東洋ボールドウイン社製レオバイブロンDDV−3型等より測定した値であり、ピークを示す温度とはtanδの値の温度に対する変化量の第1次微分値が零となる温度を云う。このtanδのピーク温度はプラスチック性重合体セグメントAとエラストマー性重合体セグメントBのビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの重量比、ブロック共重合体の分子量等によって調整される。
【0020】
本発明に使用する共重合体(I)及びブロック共重合体(II)のビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとの共重合体部分におけるビニル芳香族炭化水素は重合体連鎖中に均一に分布していても、テーパー(漸減)状に分布していてもよい。また、該共重合体部分はビニル芳香族炭化水素が均一に分布している部分及び/又はテーパー状に分布している部分が複数個共存してもよい。該共重合体部分はビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの重量、重量比、重合反応性比等を変えることによりコントロールすることができる。
【0021】
具体的な方法としては、(イ)ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとの混合物を連続的に重合系に供給して重合する、及び/又は(ロ)極性化合物或はランダム化剤を使用してビニル芳香族炭化水素と共役ジエンを共重合する等の方法が採用できる。
極性化合物やランダム化剤としては、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のエーテル類、トリエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン等のアミン類、チオエーテル類、ホスフィン類、ホスホルアミド類、アルキルベンゼンスルホン酸塩、カリウムやナトリウムのアルコキシド等が挙げられる。ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの共重合体部分の共役ジエン重合体のミクロ構造は、極性化合物等を所定量添加することによって調整することができる。
【0022】
本発明で使用する共重合体(I)のポリマー構造は、本発明で規定した要件を満足する範囲であれば特に規定はなく、ビニル芳香族炭化水素ブロックが分子鎖中に不規則に存在するような構造或いはビニル芳香族炭化水素ブロックが分子鎖の例えば両末端に特定して存在するような構造であっても良い。
共重合体(I)の共重合体構造として、下記の一般式で表すことができる。
(A'−B')n 、A'−(B'−A')n 、B'−(A'−B’)n+1
(上式において、nは1以上の整数、一般的には1〜5である。)で表される線状ブロック共重合体、
【0023】
或いは一般式、
[(A'−B')km+2−X 、[(A'−B')k−A']m+2−X
[(B'−A')km+2−X 、[(B'−A')k−B']m+2−X
(上式において、A'はビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなる重合体セグメントでビニル芳香族炭化水素含有量が85重量%を超え、100重量%以下である重合体セグメント、B'はビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなる重合体セグメントでビニル芳香族炭化水素含有量が75重量%を超え、95重量%未満の重合体セグメントであり、A'及びB'のビニル芳香族炭化水素含有量(重量%)はA'>B'である。Xは例えば四塩化ケイ素、四塩化スズ、1,3ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、エポキシ化大豆油等のカップリング剤の残基または多官能有機リチウム化合物等の開始剤の残基を示す。k及びmは1〜5の整数である。)
で表されるラジアル共重合体、或いはこれらの共重合体の任意のポリマー構造の混合物が使用できる。
【0024】
本発明で使用するブロック共重合体(II)のポリマー構造は一般式で表される。
(A−B)n 、A−(B−A)n 、B−(A−B)n+1
(上式において、nは1以上の整数、一般的には1〜5である。)で表される線状共重合体、
或いは一般式、
[(A−B)km+2−X 、[(A−B)k−A]m+2−X
[(B−A)km+2−X 、[(B−A)k−B]m+2−X
(上式において、Aはプラスチック性重合体セグメントAで、Bはエラストマー性重合体セグメントBである。Xは例えば四塩化ケイ素、四塩化スズ、1,3ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、エポキシ化大豆油等のカップリング剤の残基または多官能有機リチウム化合物等の開始剤の残基を示す。k及びmは1〜5の整数である。)
で表されるラジアルブロック共重合体、或いはこれらのブロック共重合体の任意のポリマー構造の混合物が使用できる。
【0025】
これらの共重合体(I)及びブロック共重合体(II)の分子量は、重合に使用する触媒量により任意に調整できるが成形加工性の点から、メルトフローインデックス(JISK−6870により測定。条件はG条件で温度200℃、荷重5Kg)が0.1〜50g/10min、好ましくは1〜20g/10minである。本発明で使用する共重合体(I)及びブロック共重合体(II)は、炭化水素溶媒中、有機リチウム化合物を開始剤としてビニル芳香族炭化水素及び共役ジエンを重合することにより製造される。
【0026】
本発明に用いるビニル芳香族炭化水素としてはスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、1,1−ジフェニルエチレンなどがあるが、特に一般的なものはスチレンが挙げられる。これらは1種のみならず2種以上混合使用してもよい。
共役ジエンとしては、1対の共役二重結合を有するジオレフィンであり、例えば1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどであるが、好ましくは1,3−ブタジエン及び/又はイソプレンである。
【0027】
本発明の共重合体(I)及びブロック共重合体(II)において、共役ジエンとして、ブタジエンとイソプレンを併用すると、熱成形・加工等におけるゲル生成の少ない組成物を得ることができる。ブタジエンとイソプレンの重量比は、3/97〜90/10、好ましくは5/95〜85/15、更に好ましくは10/90〜80/20である。ブタジエンとイソプレンを併用する場合、共重合体(I)及びブロック共重合体(II)の共役ジエンとしてブタジエンとイソプレンを併用しても良いし、共重合体(I)又はブロック共重合体(II)のいずれかの共役ジエンとしてブタジエンとイソプレンを併用しても良い。
【0028】
特に、ブタジエンとイソプレンの重量比が、90/10〜45/55とブタジエン比率が多い場合は低温耐衝撃性良好な組成物を得ることができ、45/55〜3/97とイソプレン比率が多い場合は極めてゲル生成が少ない組成物を得ることができる。
炭化水素溶媒としてはブタン、ペンタン、ヘキサン、イソペンタン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、或はベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素等が使用できる。これらは1種のみならず2種以上混合使用してもよい。
【0029】
有機リチウム化合物は、分子中に一個以上のリチウム原子を結合した有機モノリチウム化合物、有機ジリチウム化合物、有機ポリリチウム化合物である。これらの具体例としては、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、ヘキサメチレンジリチウム、ブタジエニルジリチウム、イソプレニルジリチウム等が挙げられる。これらは1種のみならず2種以上混合使用してもよい。
【0030】
本発明で使用する共重合体(I)及びブロック共重合体(II)を製造する際の重合温度は一般的に−10℃〜150℃、好ましくは40℃〜120℃である。重合に要する時間は条件によって異なるが、通常は10時間以内であり、特に好適には0.5〜5時間である。また、重合系の雰囲気は窒素ガスなどの不活性ガスなどをもって置換するのが望ましい。
重合圧力は、上記重合温度範囲でモノマー及び溶媒を液層に維持するに充分な圧力の範囲で行えばよく、特に制限されるものではない。更に重合系内には触媒及びリビングポリマーを不活性化させるような不純物、例えば水、酸素、炭酸ガス等が混入しないよう留意する必要がある。
【0031】
本発明の共重合体(I)とブロック共重合体(II)からなる組成物のビカット軟化温度は60〜83℃、好ましくは65〜80℃、更に好ましくは67〜77℃である。ビカット軟化温度が60℃以上では温水融着性に優れ、83℃以下の場合に低温収縮性が優れる。本発明の重合体組成物の重量比は10/90〜90/10、好ましくは20/80〜80/20である。共重合体(I)とブロック共重合体(II)の重量比が本発明の範囲内の場合、耐衝撃性及び剛性のバランスが取れるため好ましい。
【0032】
本発明に使用するスチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体(III)中のスチレン含有量は70〜90重量%、好ましくは75〜90、更に好ましくは80〜88重量%である。スチレン含有量が70重量%以上、或いは90重量%以下の場合には、ビニル芳香族炭化水素−共役ジエンブロック共重合体との組成物の透明性が優れる。
スチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体(III)の製造方法は、スチレン系樹脂製造の公知の方法、例えば、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等を用いることができる。スチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体(III)のメルトフローレート(以後MFRと記す)[JISK−6870に準拠し、G条件(温度200℃、荷重5Kg)で測定]は成形加工の点から0.1〜20g/10min、好ましくは1〜10g/10minが推奨される。
本発明の共重合体(I)、ブロック共重合体(II)およびスチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体(III)からなる組成物のビカット軟化温度は60〜83℃、好ましくは65〜80℃、更に好ましくは67〜77℃である。ビカット軟化温度が60℃以上では温水融着性に優れ、83℃以下の場合低温収縮性に優れる。
【0033】
本発明の共重合体(I)、ブロック共重合体(II)およびスチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体(III)からなる組成物の重量比は(I)、(II)および(III)の合計量を100重量%として、(I)が10〜80重量%、(II)が10〜80重量%、および(III)が5〜50重量%、好ましくは(I)が15〜75重量%、(II)が15〜75重量%、および(III)が5〜40重量%の範囲である。共重合体(I)とブロック共重合体(II)とスチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体(III)の重量比が本発明の範囲内で、耐衝撃性、剛性及び低温収縮性のバランスが優れる。
本発明の重合体組成物には安定剤として2−t−アミル−6−〔1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル〕−4−t−アミルフェニルアクリレートを重合体組成物100重量部に対して0.05〜3重量部、更に好ましくは0.1〜2重量部添加することによって、ゲル抑制効果を得ることができる。
【0034】
本発明の重合体組成物にはn−オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ビス〔(オクチルチオ)メチル〕−o−クレゾール、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン等のフェノール系安定剤の少なくとも1種を(I)と(II)の合計100重量部に対して0.05〜3重量部、トリス−(ノニルフェニル)フォスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、2−〔〔2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ[d、f][1,3,2]ジオキサフォスフェフィン−6−イル〕オキシ〕−N,N−ビス〔2−〔〔2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ[d、f][1,3,2]ジオキサフォスフェフィン−6−イル〕オキシ〕−エチル〕−エタンアミン、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト等の有機ホスフェート系、有機ホスファイト系安定剤の少なくとも1種をブロック共重合体100重量部に対して0.05〜3重量部添加することができる。
【0035】
本発明の重合体組成物には、目的に応じて種々の重合体及び添加剤を添加することができる。好適な重合体としては、ビニル芳香族炭化水素含有量が10〜50重量%のビニル芳香族炭化水素と共役ジエンのブロック共重合体エラストマーやゴム変性耐衝撃性ポリスチレン、非ゴム変性ポリスチレン、スチレン・アクリル酸エステル共重合体、ポリエチレンテレフタレート等であり、これらの重合体を1〜95重量%、好ましくは3〜90重量%添加することができる。
【0036】
好適な添加剤としては、クマロン−インデン樹脂、テルペン樹脂、オイル等の軟化剤、可塑剤が挙げられる。又各種の安定剤、顔料、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、滑剤等も添加できる。
尚、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、滑剤としては、例えば脂肪酸アマイド、エチレンビスステアロアミド、ソルビタンモノステアレート、脂肪酸アルコールの飽和脂肪酸エステル、ペンタエリストール脂肪酸エステル等、又紫外線吸収剤としては、p−t−ブチルフェニルサリシレート、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,5−ビス−[5’−t−ブチルベンゾオキサゾリル−(2)]チオフェン等、「プラスチックおよびゴム用添加剤実用便覧」(化学工業社)に記載された化合物が使用できる。これらは、一般的に0.01〜5重量%、好ましくは0.05〜3重量%の範囲で用いられる。
【0037】
本発明の重合体組成物から熱収縮性の1軸又は2軸延伸フィルムを得るには、重合体組成物を通常のTダイ又は環状ダイからフラット状又はチューブ状に150〜250℃、好ましくは170〜220℃で押出成形し、得られた未延伸物を実質的に1軸延伸又は2軸延伸する。
例えば1軸延伸の場合、フィルム、シート状の場合はカレンダーロール等で押出方向に、或いはテンター等で押出方向と直交する方向に延伸し、チューブ状の場合はチューブの押出方向又は円周方向に延伸する。2軸延伸の場合、フィルム・シート状の場合には押出フィルム又はシートを金属ロール等で縦方向に延伸した後、テンター等で横方向に延伸し、チューブ状の場合にはチューブの押出方向及びチューブの円周方向、即ちチューブ軸と直角をなす方向にそれぞれ同時に、或いは別々に延伸する。
【0038】
本発明においては、延伸温度60〜110℃、好ましくは80〜100℃で、縦方向及び/又は横方向に延伸倍率1.5〜8倍、好ましくは2〜6倍に延伸するのが好ましい。延伸温度が60℃以上の場合には延伸時に破断を生ぜず所望の熱収縮性フィルムが得られやすく、110℃以下の場合は収縮特性の良好な物が得られる。
延伸倍率は用途によって必要とする収縮率に対応するように上記範囲内で選定されるが、延伸倍率が1.5倍以上の場合は熱収縮率が大きいため熱収縮包装用として好ましく、又8倍以下の延伸倍率は延伸加工工程における安定生産上好ましい。
【0039】
2軸延伸の場合、縦方向及び横方向における延伸倍率は同一であっても、異なっていてもよい。1軸延伸又は2軸延伸の熱収縮性フィルムは、次いで必要に応じて60〜105℃、好ましくは80〜95℃で短時間、例えば3〜60秒間、好ましくは10〜40秒間熱処理して室温下における自然収縮を防止する手段を実施することも可能である。
このようにして得られた熱収縮性のフィルムを熱収縮性包装用素材や熱収縮性ラベル用素材として使用するには、延伸方向における65℃の熱収縮率が10〜80%、好ましくは15〜70%である。延伸方向における熱収縮率が10%以上の場合は収縮特性が良いため収縮包装工程において該工程を高温かつ均一に調整したり、長時間加熱する必要がなく、高温で変色や変質を生じるような様な物品の包装が不可能となったり収縮包装処理能力が低下することがないため好ましく、80%以下の場合にはフィルムの自然収縮率が小さくなるため好ましい。
【0040】
尚、本発明において65℃の熱収縮率は低温収縮性の尺度であり、1軸延伸又は2軸延伸フィルムを65℃の熱水、シリコーンオイル、グリセリン等の成形品の特性を阻害しない熱媒体中に1分間浸漬したときの成形品の各延伸方向における熱収縮率である。更に、本発明の1軸延伸または2軸延伸フィルムは、延伸方向における引張弾性率が7000〜30000Kg/cm2、好ましくは10000〜25000Kg/cm2であることが熱収縮包装材として必要である。
【0041】
延伸方向における引張弾性率が7000Kg/cm2以上の場合は収縮包装工程においてヘタリを生じないため正常な包装ができ好ましく、30000Kg/cm2以下の場合にはフィルムの耐衝撃性が低下せず好ましい。
本発明の1軸延伸又は2軸延伸フィルムを熱収縮性包装材として使用する場合、目的の熱収縮率を達成するために130〜300℃、好ましくは150〜250℃の温度で数秒から数分、好ましくは1〜60秒加熱して熱収縮させることができる。
【0042】
本発明の熱収縮性フィルムは少なくとも3層構造を有する多層積層体であっても良い。多層積層体としての使用形態は、例えば特公平3−5306号公報に開示されている形態が具体例として挙げられる。本発明のブロック共重合体組成物は中間層及び両外層に用いても良いが、好ましくは中間層に使用することである。好ましい多層フィルムの形態は共重合体(I)とブロック共重合体(II)の組成物或いは共重合体(I)とブロック共重合体(II)とスチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体(III)の組成物を中間層とし、両外層にビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなるブロック共重合体(内層成分とは異なり、必要に応じてGPPS、HIPSを0.1〜20重量%添加しても良い)から形成される。
【0043】
多層フィルムの厚さは20〜200μm、好ましくは30〜100μmで、内層と両表層との厚みの割合は5/95〜45/55、好ましくは10/90〜35/65である。また、多層フィルムとして自然収縮性、低温収縮性及び剛性を得るための多層フィルム中の好ましいビニル芳香族炭化水素量とスチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体の合計量は、多層フィルム全体の合計量を100重量%として、70〜95重量%、好ましくは75〜92重量%である。
【0044】
本発明の重合体組成物からなる熱収縮性フィルムは、従来の塩化ビニル樹脂系のものに比べ衛生上優れたものであり、その特性を生かして種々の用途、例えば生鮮食品、菓子類の包装、衣類、文具等の包装等に利用できる。特に好ましい用途としては、本発明の重合体組成物の1軸延伸フィルムに文字や図案を印刷した後、プラスチック成形品や金属製品、ガラス容器、磁器等の被包装体表面に熱収縮により密着させて使用する、いわゆる熱収縮性ラベル用素材としての利用が挙げられる。
【0045】
取り分け、本発明の1軸延伸熱収縮性フィルムは低温収縮性、剛性及び自然収縮性に優れるため、高温に加熱すると変形を生じる様なプラスチック成形品の熱収縮性ラベル素材の他、熱膨張率や吸水性等が本発明のブロック共重合体とは極めて異なる材質、例えば金属、磁器、ガラス、紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィン系樹脂、ポリメタクリル酸エステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂から選ばれる少なくとも1種を構成素材として用いた容器の熱収縮性ラベル素材として好適に利用できる。
【0046】
尚、本発明の熱収縮性フィルムが利用できるプラスチック容器を構成する材質としては、上記の樹脂の他、ポリスチレン、ゴム変性耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、スチレン−ブチルアクリレート共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、メタクリル酸エステル−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS)、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等を挙げることができる。
【0047】
これらのプラスチック容器は2種以上の樹脂類の混合物でも、積層体であってもよい。尚、本発明の重合体組成物を1軸延伸して得た熱収縮性フィルムを熱収縮性ラベル用素材として使用する場合、延伸方向と直交する方向における65℃の熱収縮率は10%未満、好ましくは5%以下である。従って、本発明において熱収縮性ラベル様として1軸延伸するとは、延伸方向における65℃の熱収縮率が10〜60%で延伸方向と直交する方向の熱収縮率が10%未満になる様に延伸処理を施すことを云う。尚、本発明においてフィルムの厚さは一般的に10〜300μm、好ましくは30〜100μmの範囲に調整される。
【0048】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施例を説明するが、これらは本発明の範囲を制限するものではない。
表1に共重合体(I)、表2にブロック共重合体(II)、表3に実施例、比較例に使用したスチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体(III)を示した。共重合体(I)とブロック共重合体(II)はシクロヘキサン溶媒中n−ブチルリチウムを触媒とし、テトラメチルエチレンジアミンをランダム化剤として、表1に示したスチレン含量(重量%)、ブロック率(重量%)、スチレンブロック数平均分子量及びビカット軟化温度(℃)を有する共重合体(I)と表2に示したスチレン含量(重量%)、tanδのピーク温度を有するブロック共重合体(II)を製造した。
【0049】
スチレン含有量はスチレンとブタジエンの添加量で、ブロック率及びスチレン重合体ブロックの数平均分子量はスチレンとブタジエンの共重合比と共重合量で、ビカット軟化温度はスチレンとブタジエンの共重合比と共重合量及びブロック共重合体の分子量で、tanδのピーク温度はセグメントAとセグメントBのスチレン含量、量比及びブロック共重合体の分子量で調整した。
ビカット軟化温度の測定は、厚さ3mmに圧縮成形したものを試験片とし、ASTM D−1525に準じて測定(荷重:1Kg、昇温速度:2℃/min)した。
【0050】
tanδのピーク温度は粘弾性測定解析装置DVE−V4((株)レオロジ製)を用い、測定条件は周波数30ヘルツ、昇温速度は2℃/minで−100〜140℃の範囲、試料は厚さ約2mm、幅約0.5mmの圧縮成形品を用いて測定した。
ブロック共重合体A−1は次のように製造した。
攪拌機付きオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下でスチレン17.2重量部と1,3−ブタジエン2.8重量部を含むシクロヘキサン溶液にn−ブチルリチウムを0.047重量部、テトラメチルエチレンジアミンを0.03重量部添加し、75℃で15分間連続添加して重合した後、5分間保持した。
【0051】
次にスチレン17.2重量部と1,3−ブタジエン2.8重量部を含むシクロヘキサン溶液を連続的に添加して75℃で15分間重合した後、5分間保持する工程を繰り返し4回行った。その後、重合器にメタノールをn−ブチルリチウムに対して0.9倍モル添加して重合を停止し、安定剤として2−t−アミル−6−〔1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル〕−4−t−アミルフェニルアクリレートを共重合体100重量部に対して0.6重量部を加えた後、脱溶媒してブロック共重合体を得た。
【0052】
また、スチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体C−1は、撹拌器付き10Lオートクレーブに、スチレンとアクリル酸n−ブチルを表3に示す比率で5kg添加し、同時にエチルベンゼン0.3kgと、MFRを調整するため1,1ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサンを所定量仕込み、110〜150℃で2〜10時間重合後、ベント押出機で未反応のスチレン、アクリル酸n−ブチル、エチルベンゼンを回収して製造した。因みに、C−1のMFRは3.0であった。
【0053】
【実施例1〜8、比較例1〜5】
フィルム性能の測定は、表4および5に示した共重合体、ブロック共重合体およびスチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体の種類と量の組成物を40mm押出機を用いて200℃で厚さ0.25mmのシート状に成形し、その後5倍にテンターで横軸に1軸延伸して厚さ約60μmのフィルムを得た。
得られた熱収縮性フィルムのフィルム性能を表4および5に示した。本発明のブロック共重合体組成物を用いた延伸フィルム性能は引張弾性率で表される剛性、65℃収縮率で表される低温収縮性、自然収縮性、パンクチャー衝撃強度で表される耐衝撃性、温水融着性、Hazeで表される透明性に優れていることが分かる。尚、表4および5に示したシート、フィルム性能は下記の方法で行った。
【0054】
(1)引張弾性率:JIS K−6732に準拠し、延伸方向の値を示した。単位はKg/cm2
(2)65℃収縮率:延伸フィルムを65℃のシリコーンオイル中に1分間浸漬し、次式により算出した。熱収縮率(%)=(L−L1)/L×100、L:収縮前の長さ、L1:収縮後の長さ。
(3)自然収縮率:80℃で測定した収縮率が40%の延伸フィルムを35℃で5日間放置し、次式により算出した。自然収縮率(%)=(L2−L3)/L2×100、L2:放置前の長さ、L3:放置後の長さ。自然収縮率が小さいほど、自然収縮性は優れる。
【0055】
(4)パンクチャー衝撃強度:JIS P−8134に準拠、単位はKg・cm。
(5)温水融着性:延伸フィルムを直径約8cmのガラス瓶に巻き付け、65℃温水中に3本俵積みで5分間放置し、フィルムの融着状態を目視判定した。判定基準は◎は全く融着していない、○は僅かに融着しているがすぐ離れる、×は融着してすぐには離れない。
(6)Haze:延伸前のシート表面に流動パラフィンを塗布し、ASTM
D1003に準拠して測定した。
【0056】
【表1】
Figure 0004401052
【0057】
【表2】
Figure 0004401052
【0058】
【表3】
Figure 0004401052
【0059】
【表4】
Figure 0004401052
【0060】
【表5】
Figure 0004401052
【0061】
【発明の効果】
本発明の重合体組成物から得られた熱収縮性フィルムは、透明で剛性、自然収縮性、低温収縮性、温水融着性及び耐衝撃性に優れる。このため、フィルムの薄肉化と寸法安定性及び低温収縮性を同時に達成でき、飲料容器包装やキャップシール及び各種ラベル等に好適に利用できる。

Claims (3)

  1. 有機リチウム化合物を開始剤として製造したビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなる共重合体であり、共重合体のビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの重量比が85/15〜95/5、共重合体に組み込まれているビニル芳香族炭化水素のブロック率が15〜75重量%で、ビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの数平均分子量が0.5万〜3.3万で、ビカット軟化温度が55〜85℃の範囲である共重合体(I)と、少なくとも1個のプラスチック性重合体セグメントAと少なくとも1個のエラストマー性重合体セグメントBを有し、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとの重量比が65/35〜82/18であるブロック共重合体で、該ブロック共重合体の動的粘弾性の関数tanδのピークが70〜125℃に少なくとも1つ有するブロック共重合体(II)とからなる組成物で、該組成物のビカット軟化温度が60〜83℃の範囲であり、共重合体(I)とブロック共重合体(II)の重量比が10/90〜90/10である重合体組成物。
  2. 有機リチウム化合物を開始剤として製造したビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなる共重合体であり、共重合体のビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの重量比が85/15〜95/5、共重合体に組み込まれているビニル芳香族炭化水素のブロック率が15〜75重量%で、ビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの数平均分子量が0.5万〜3.3万で、ビカット軟化温度が55〜85℃の範囲である共重合体(I)と、少なくとも1個のプラスチック性重合体セグメントAと少なくとも1個のエラストマー性重合体セグメントBを有し、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとの重量比が65/35〜82/18であるブロック共重合体で、該ブロック共重合体の動的粘弾性の関数tanδのピークが70〜125℃に少なくとも1つ有するブロック共重合体(II)および、スチレン含有量が70〜90重量%、アクリル酸n−ブチル含有量が30〜10重量%からなるスチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体(III)とからなる組成物で、該組成物のビカット軟化温度が60〜83℃の範囲であり、共重合体(I)、ブロック共重合体(II)およびスチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体(III)の重量比は、合計量を100重量%として、(I)が10〜80重量%、(II)が10〜80重量%、および(III)が5〜50重量%の範囲からなる重合体組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の重合体組成物を延伸してなり、延伸方向における65℃の熱収縮率が10〜60%、延伸方向における引張弾性率が7000〜30000Kg/cm2である熱収縮性フィルム。
JP2001384638A 2001-08-10 2001-12-18 重合体組成物及びその熱収縮フィルム Expired - Fee Related JP4401052B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001384638A JP4401052B2 (ja) 2001-08-10 2001-12-18 重合体組成物及びその熱収縮フィルム

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001-243775 2001-08-10
JP2001243775 2001-08-10
JP2001384638A JP4401052B2 (ja) 2001-08-10 2001-12-18 重合体組成物及びその熱収縮フィルム

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2003128861A JP2003128861A (ja) 2003-05-08
JP2003128861A5 JP2003128861A5 (ja) 2005-07-28
JP4401052B2 true JP4401052B2 (ja) 2010-01-20

Family

ID=26620372

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001384638A Expired - Fee Related JP4401052B2 (ja) 2001-08-10 2001-12-18 重合体組成物及びその熱収縮フィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4401052B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008013113A1 (fr) * 2006-07-26 2008-01-31 Gunze Limited Film multicouche thermorétractable à base de styrène et son procédé de production
TWI638847B (zh) 2015-02-09 2018-10-21 旭化成股份有限公司 Block copolymer composition, molding material, resin composition, and molded body
KR102535021B1 (ko) * 2019-01-24 2023-05-26 아사히 가세이 가부시키가이샤 블록 공중합체 조성물, 성형품, 성형품의 제조 방법 및 성형품의 헤이즈값을 조정하는 방법

Also Published As

Publication number Publication date
JP2003128861A (ja) 2003-05-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4530669B2 (ja) ブロック共重合体及びその組成物
JP5534642B2 (ja) ブロック共重合体水添物、又はそのシート、フィルム
JP4838254B2 (ja) ブロック共重合体及び熱収縮性フィルムの製造方法
JP2005105032A (ja) 重合体組成物からなる熱収縮性フィルム
JP4919713B2 (ja) ブロック共重合体水添物組成物、そのシート・フィルム及び熱収縮性フィルム
JP4425602B2 (ja) ブロック共重合体水添物、又はフィルム
JP4587528B2 (ja) ブロック共重合体組成物及び熱収縮性フィルム
JP3338298B2 (ja) 熱収縮性フィルム
JP4401052B2 (ja) 重合体組成物及びその熱収縮フィルム
JP4841060B2 (ja) ブロック共重合体及びその組成物
JP4791021B2 (ja) 水添共重合体及びその組成物
JP4381747B2 (ja) ブロック共重合体及びその熱収縮性フィルム
JP3496794B2 (ja) 熱収縮性フィルム
JP2008260797A (ja) ブロック共重合体及びそれを含む熱収縮性フィルム
JP4761690B2 (ja) 熱収縮性フィルム
JP2004091712A (ja) 熱収縮フィルム
JP2007008984A (ja) ブロック共重合体水添物、ブロック共重合体水添物組成物及びそれらの熱収縮性フィルム
JP5057752B2 (ja) 熱収縮性フィルム
JP2007030411A (ja) 熱収縮性積層フィルム
JP5057753B2 (ja) 熱収縮性フィルム
JP4121748B2 (ja) 熱収縮性フィルム
JP5344782B2 (ja) 水添ブロック共重合体組成物
JP4753574B2 (ja) 熱収縮フィルム
JP4274645B2 (ja) 多層樹脂シート及び多層樹脂成形体
JP2007016134A (ja) ブロック共重合体水添物、ブロック共重合体水添物組成物及びそれらの熱収縮性フィルム

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20041216

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041216

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20061206

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20061226

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070223

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20070223

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20070327

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070521

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070629

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20070705

A912 Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20070803

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20091027

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4401052

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121106

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121106

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131106

Year of fee payment: 4

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees