JP2004182944A - 樹脂組成物及びシュリンクフィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】耐自然収縮性、低温収縮性に優れ、また剛性、透明性、成形加工性等の物性バランスにも優れたシュリンクフィルムに適した芳香族ビニル系化合物ーアクリル酸エステル化合物系組成物およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】芳香族ビニル系化合物とアクリル酸エステル化合物を単量体としてリビングラジカル重合させて、60〜90質量%の芳香族ビニル系化合物および10〜40質量%のアクリル酸エステル化合物からなる共重合体ブロック部を少なくとも一つ有するブロック共重合体を含有する樹脂組成物およびその製造方法。
【解決手段】芳香族ビニル系化合物とアクリル酸エステル化合物を単量体としてリビングラジカル重合させて、60〜90質量%の芳香族ビニル系化合物および10〜40質量%のアクリル酸エステル化合物からなる共重合体ブロック部を少なくとも一つ有するブロック共重合体を含有する樹脂組成物およびその製造方法。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、芳香族ビニル系化合物とアクリル酸エステル化合物を単量体成分としてリビングラジカル重合により製造された特定構造のブロック共重合体を含有する芳香族ビニル系化合物−アクリル酸エステル化合物系樹脂組成物、及びこの樹脂組成物を必須成分とし、低温における収縮特性に優れ、また常温域での経時的寸法変化(以下、自然収縮性とする)が改良され、更に高透明性、高光沢性、優れた機械的強度、外観特性、成形加工性を有するシュリンクフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、収縮包装用シュリンクフィルムとしては、収縮性、機械的強度及び透明性等からポリ塩化ビニル樹脂を素材としたシュリンクフィルムが多用されてきたが、廃棄物の焼却時に発生する塩化水素ガスによる環境問題や塩素ガスによる焼却炉の腐食問題等から、スチレンーブタジエンブロック共重合体系シュリンクフィルムへ移行しつつある。そこで近年のPETボトルの登場とともに低温収縮性を付与し、機械物性を向上したシュリンクフィルムとして、スチレンーブタジエンブロック共重合体にポリスチレンを配合する方法(例えば、特許文献1参照。)や、ブタジエン含量の異なるスチレンーブタジエンブロック共重合体を混合したシュリンクフィルム(例えば、特許文献2参照。)、さらにスチレンーブタジエンブロック共重合体のスチレン含量や重合度を調整したブロック共重合体を用いたシュリンクフィルム等が開発されている。
しかし、このようなスチレンーブタジエンブロック共重合体系シュリンクフィルムは、フィルム中のゴム成分が高いため、延伸成膜後の剛性や透明性に劣り、低温収縮性はある程度実現しているものの自然収縮性が発生するものしか得られないのが現状である。
【0003】
そこで剛性と透明性を兼備し、収縮特性、特に低温収縮性を達成しつつ自然収縮性を改良したシュリンクフィルムを得る試みとして、スチレン、(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよびブタジエン系ゴム質重合体からなる混合溶液を重合させて得られるゴム変性熱可塑性樹脂を一成分とするシュリンクフィルムが開発されている(例えば、特許文献3〜5参照。)。さらに、ゴム質重合体にスチレン系モノマーと(メタ)アクリル酸エステルとをグラフト重合して得られるゴム変性熱可塑性樹脂を中間層とし、スチレンーブタジエンブロック共重合体を主成分とした特定組成の樹脂を表裏層とした積層フィルムを延伸して得られるシュリンクフィルムが開発されている(例えば、特許文献6参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特公平2−55218号公報
【特許文献2】
特公昭55−5544号公報
【特許文献3】
特開平8−34861号公報
【特許文献4】
特開平9−29838号公報
【特許文献5】
特開平11−236457号公報
【特許文献6】
特開平11−188818号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしこのようなゴム変性熱可塑性樹脂を一成分とするシュリンクフィルムについても、自然収縮性の抑制は未だ不充分で、低温収縮性もまだ改良の余地があり、また剛性、透明性、成形加工性等の物性バランスにも問題があり、市場要求を十分に満足するにはいたっていない。
【0006】
【発明を解決するための手段】
本発明者らは、かかる現状に鑑み、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、リビングラジカル重合により芳香族ビニル系化合物とアクリル酸エステル化合物を単量体成分として製造されるブロック共重合体を主成分とする樹脂組成物を原料とするフィルムを延伸することにより、自然収縮性が抑制されつつ低温収縮性に優れ、さらに剛性、耐衝撃性、透明性、外観特性、成形加工性等の物性バランスが良好なシュリンクフィルムが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、芳香族ビニル系化合物とアクリル酸エステル化合物を単量体としてリビングラジカル重合させて、60〜90質量%の芳香族ビニル系化合物および10〜40質量%のアクリル酸エステル化合物からなる共重合体ブロック部を少なくとも一つ有するブロック共重合体を含有する樹脂組成物であって、(1)該樹脂組成物中の芳香族ビニル系化合物単位の含有量が20〜80質量%であり、
(2)該樹脂組成物のガラス転移温度が40〜80℃の範囲にあり、
(3)該樹脂組成物の分子量分布(重量平均分子量をMw、数平均分子量をMnとした時のMw/Mn)が2.0以上、5.0以下である芳香族ビニル系化合物−アクリル酸エステル化合物系樹脂組成物に関するものである。
さらに本発明は、該ブロック共重合体を必須成分とする樹脂成分から構成されることを特徴とするシュリンクフィルムに関するものである。
【発明実施の形態】
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明を構成する芳香族ビニル系化合物−アクリル酸エステル化合物系樹脂組成物は、芳香族ビニル系化合物とアクリル酸エステル化合物を単量体としてリビングラジカル重合させて得られるブロック共重合体を含有する。
ここで芳香族ビニル系化合物としては、例えばスチレンの他、α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレンなどのα−アルキル置換スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2、4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、p−tert−ブチルスチレンのような核アルキル置換スチレン、o−クロルスチレン、m−クロルスチレン、p−クロルスチレン、p−ブロモスチレン、2−メチル−1、4−クロルスチレン、2、4−ジブロモスチレン等のような核ハロゲン化スチレン、ビニルナフタレン等が挙げられ、更にこれらの1種または2種以上の混合物を用いることもできる。代表的な芳香族ビニル系化合物としては、スチレンの単独もしくは、その一部をスチレン以外の上記芳香族ビニル系化合物で置き換えた化合物である。
【0008】
またアクリル酸エステル化合物としては、具体的にはアクリル酸メトキシエチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸トリデシル、アクリル酸パルミチン、アクリル酸ペンタデシル、アクリル酸ステアリルなどが挙げられ、炭素数4以上のアルキルアルコールとアクリル酸とのエステル化合物が好ましく用いられる。特に好ましくはアクリル酸n−ブチル等が挙げられる。
【0009】
本発明の芳香族ビニル系化合物及びアクリル酸エステル化合物系樹脂組成物
は、芳香族ビニル系化合物とアクリル酸エステル化合物を単量体としてリビングラジカル重合させて得られるが、単量体として芳香族ビニル系化合物及びアクリル酸エステル化合物以外に、これらと共重合可能な化合物を第3の単量体として用いてもよい。
芳香族ビニル系化合物及びアクリル酸エステル化合物と共重合可能な化合物としては、例えばアクリロニトリル、メタクリルニトリル、フマロニトリル、マレオニトリル、αークロロアクリロニトリル等のシアン化ビニルや、メタクリル酸メチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸エステル化合物、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミドなどのマレイミド化合物、メタクリル酸、アクリル酸、無水マレイン酸、酢酸ビニル、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
【0010】
本発明の芳香族ビニル系化合物−アクリル酸エステル化合物系樹脂組成物は、芳香族ビニル系化合物とアクリル酸エステル化合物を単量体に用いてリビングラジカル重合により製造される。一般にラジカル重合は、重合速度が速く、ラジカル同士のカップリング反応等による停止反応が起こりやすいため制御が難しい。しかしリビングラジカル重合では、停止反応が起こり難く、分子量分布の狭い(重量平均分子量をMw、数平均分子量をMnとした時のMw/Mnが1.1〜1.5程度)重合体が得られる。
【0011】
重合体の分子量はモノマーと開始剤の仕込み比によって自由にコントロールでき、更に第1のモノマーが消費された後に第2のモノマーを重合系に添加することでブロック共重合体を合成することもできる。なお、リビング重合は狭義においては、末端が常に活性を持ちつづけて分子鎖が生長していく重合のことをいうが、一般には、末端が不活性化されたものと活性化されたものが平衡状態にありながら生長していく擬リビング重合も含まれる。本発明における定義も後者である。
【0012】
リビングラジカル重合は近年様々なグループで積極的に研究がなされており、例えば、コバルトポルフィリン錯体を用いるもの、ニトロキシフリーラジカルなどのようなラジカルキャッピング剤を用いるもの、有機ハロゲン化合物等を開始剤とし遷移金属錯体を触媒とする「原子移動ラジカル重合」などが知られている。本発明のリビングラジカル重合は、上記方法のうちどれを使用するかは特に制限はないが、ニトロキシフリーラジカルなどのようなラジカルキャッピング剤を用いる方法が好ましい。
【0013】
ラジカルキャッピング剤を用いるリビングラジカル重合法は、ラジカル発生剤とラジカルキャッピング剤を併用して重合する。ラジカル発生剤とラジカルキャッピング剤との反応生成物が重合開始剤となって付加重合性モノマーの重合が進行すると考えられる。両者の併用割合は特に限定されないが、ラジカル発生剤1モルに対してラジカルキャッピング剤を0.1〜10モル用いるのが好ましく、特に好ましくはラジカル発生剤1モルに対してラジカルキャッピング剤を1〜1.5モル、更に好ましくはラジカル発生剤1モルに対してラジカルキャッピング剤を1.1〜1.4モル用いるのが好適である。
【0014】
ラジカル発生剤としては、種々の化合物を用いることができるが、好ましくは、重合温度条件下で、ラジカルを発生しうるパーオキサイドが挙げられる。パーオキサイドとしては、限定はされないが、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、イソブチロイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3、5、5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−クミルパーオキサイド、α、α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2、5−ジメチル−2、5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2、5−ジメチル−2、5ージ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキサイド類、2、2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2、2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、1、1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3、3、5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4、4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バリレート等のパーオキシケタール類、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−メトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等のパーオキシカーボネート類、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシピパレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシ2ーエチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ3、5、5ートリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジーt−ブチルジパーオキシイソフタレート、2、5ージメチルー2、5ージ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等のパーオキシエステル類、アセチルアセトンパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、3、3、5ートリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、クメンハイドロパーオキサイド、ジーイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、2、5ージメチルヘキサン2、5ージハイドロパーオキサイド、1、1、3、3ーテトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、2塩基酸のポリアシルパーオキサイド類、2塩基酸とポリオールとのポリパーオキシエステル類が挙げられる。この中では、ベンゾイルパーオキサイドが好ましく用いられる。
【0015】
また、パーオキサイドの代わりにラジカル発生性アゾ化合物等もラジカル発生剤として用いることが出来る。ラジカル発生性アゾ化合物としては、例えばアゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。
【0016】
ラジカルキャッピング剤としては、ラジカル補足性の化合物であれば特に制限はないが、一般に知られる安定なニトロキシフリーラジカル(=N−O・)等を用いることができる。具体的なニトロキシフリーラジカル化合物としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピぺリジニルオキシラジカル(TEMPO)、2,2,6,6−テトラエチル−1−ピぺリジニルオキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−4−オキソ−1−ピぺリジニルオキシラジカル(OH−TEMPO)、2,2,5,5−テトラメチル−1−ピロリジニルオキシラジカル、1,1,3,3−テトラメチル−2−イソインドリニルオキシラジカル等の環状ヒドロキシアミンからのニトロキシフリーラジカルや、N,N−ジ−t−ブチルアミンオキシラジカル等が挙げられる。このようなニトロキシフリーラジカル化合物の中で、2,2,6,6−置換−1−ピぺリジニルオキシラジカルや2,2,5,5−置換−1−ピロリジニルオキシラジカル等のような環状ヒドロキシアミンからのニトロキシフリーラジカルが好ましく用いられる。この場合、置換基としてはメチル基やエチル基等の炭素数4以下のアルキル基が適当である。
【0017】
これらのニトロキシフリーラジカルの中でも特に、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピぺリジニルオキシラジカル(TEMPO)、2,2,6,6−テトラメチル−4−オキソ−1−ピぺリジニルオキシラジカル(OH−TEMPO)等の環状ヒドロキシアミンからのニトロキシフリーラジカルが、本発明のラジカルキャッピング剤として好ましく用いられ、なお好ましくは2,2,6,6−テトラメチル−4−オキソ−1−ピぺリジニルオキシラジカル(OH−TEMPO)が挙げられる。
また上記ニトロキシフリーラジカルの代わりにガルビノキシルフリーラジカル等の安定なフリーラジカルを、本発明のラジカルキャッピング剤として用いることも可能である。
【0018】
なお本発明においては、モノマーの重合反応速度を促進させるために重合加速剤を触媒量添加することが可能である。
重合加速剤としては、例えば、Macromolecules,28,8453−8455(1995)、Macromolecules,27,7228−7229(1994)、Macromolecules,30,4272−4277(1997)、Die angewandte Makromoleculare Chemie,267,52−56(1999)、Die angewandte Makromoleculare Chemie,270,42−48(1999)、Tetrahedron,53,15225−15236(1997)等に記載されている公知の化合物を使用することができる。
【0019】
中でも重合加速剤としては、有機スルホン酸化合物、酸無水物、過酸化物、から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。有機スルホン酸化合物としてはカンファースルホン酸等が挙げられ、酸無水物としては無水酢酸、無水安息香酸等が挙げられる。過酸化物を重合加速剤として用いる場合は、前述のラジカル発生剤で用いられた化合物とは異種の過酸化物を使用するのがよい。重合加速剤として用いられる過酸化物としては、ジクミルパーオキシド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。これら重合加速剤の中でも、有機スルホン酸化合物及び/又は過酸化物が好ましく用いられ、特に好ましくは有機スルホン酸化合物が挙げられる。重合加速剤の使用量は、ラジカル発生剤に対するモル比として、ラジカル発生剤:重合加速剤=0.7:1〜10:1となる範囲が好ましく、ラジカル発生剤:重合加速剤=0.7:1〜4:1となる範囲が特に好ましい。
【0020】
本発明で用いられるリビングラジカル重合で用いられる溶媒、重合温度等の重合条件は、特に限定されるものではない。重合は無溶媒または各種の溶剤中で行うことができる。無溶媒で重合するほうが重合速度が高く生産性が向上するので好ましい。
しかし溶媒を使うと重合液中の単量体濃度および生成した共重合体濃度が低くなるので、重合速度が制御の容易な程度にまで低くなって重合反応の暴走を防止することができるうえに、重合液の粘度が下がって重合液の均一な混合、さらには重合液の移動が容易になり製造プロセスとしての操作性が向上する。溶媒を使用する場合、具体的な溶媒としてはベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、アセトン、イソプロピルベンゼン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、アニソール、クロロホルム、酢酸エチルなどの有機溶剤が挙げられ、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
【0021】
なお重合液中の有機溶剤濃度が高くなる過ぎると、重合速度が低すぎて生産性が低下してしまい好ましくない。また、溶剤の回収エネルギーが大となり経済性も劣ってくる。従って反応槽での有機溶剤の濃度は重合液の総量100質量部に対し通常5〜50質量部の範囲で使用されるのが好ましい。溶剤は比較的高粘度となる重合転化率となってから添加してもよく、重合前から添加しておいてもよい。重合前から添加しておくほうが、品質の均一性、重合温度制御の点で好ましい。
重合温度は50〜180℃の温度範囲とすることが、高い重合速度及び重合速度の制御が容易な点から好ましく、特に好ましい重合温度は90〜150℃であり、なお好ましい温度範囲は110〜140℃である。
【0022】
本発明の芳香族ビニル系化合物−アクリル酸エステル化合物系樹脂組成物は、芳香族ビニル系化合物とアクリル酸エステル化合物を単量体としてリビングラジカル重合させて得られるブロック共重合体を含有し、そのブロック共重合体には、60〜90質量%の芳香族ビニル系化合物および10〜40質量%のアクリル酸エステル化合物からなる共重合体ブロック部を少なくとも一つ有する。該共重合体ブロック部は、自然収縮性を抑制しつつも低温収縮性の付与されたシュリンクフィルムを得るために必須の構造である。該共重合体ブロック部の芳香族ビニル系化合物が60質量%未満の場合は、得られるシュリンクフィルムの自然収縮性が抑制されず、芳香族ビニル系化合物が90質量%を超える場合は、シュリンクフィルムの低温収縮性が不十分となり、好ましくない。なお該共重合体ブロック部の芳香族ビニル系化合物が70〜85質量%であると、自然収縮性を抑制効果と低温収縮性のバランスが良好であり、一層好ましい。
【0023】
該ブロック共重合体の構造は、芳香族ビニル系化合物が60〜90質量%の芳香族ビニル系化合物と10〜40質量%のアクリル酸エステル化合物の共重合体ブロック部を少なくとも1つ有するのであれば特に制限はなく、線状のジブロック共重合体やトリブロック共重合体、或いはブロック数が4以上のマルチブロック共重合体、またはこれらのブロック共重合体の片末端が結合した星形の共重合体等があげられる。これらの中でも好ましいブロック共重合体構造としては、線状のジブロック共重合体やトリブロック共重合体等が挙げられ、具体的には、一般式A−B−C、C−B−C、B−C−A、B−A−C、B−C、C−A、A−B−C−A、A−B−C−B、C−B−C−B、C−B−C−A、B−C−A−B,B−C−A−C、B−A−C−A(式中、Aは芳香族ビニル系化合物重合体ブロックを表し、Bは1〜50質量%の芳香族ビニル系化合物および50〜99質量%のアクリル酸エステル化合物からなる芳香族ビニル系化合物とアクリル酸エステル化合物の共重合体ブロックを表し、Cは60〜90質量%の芳香族ビニル系化合物および10〜40質量%のアクリル酸エステル化合物からなる芳香族ビニル系化合物とアクリル酸エステル化合物の共重合体ブロックを表す。)で表されるブロック共重合体等が挙げられ、これらの片末端が結合した星形の共重合体等でも構わない。
これらの中でも、特に好ましいブロック共重合体の構造としては、一般式 A−B−C で表されるトリブロック共重合体が挙げられる。
【0024】
ここでB部はシュリンクフィルムの衝撃強度を高める効果を有し,B部の芳香族ビニル系化合物が15〜35質量%の範囲にあると、シュリンクフィルムの衝撃強度を高める効果が特に大きくなり、好ましい。B部の芳香族ビニル系化合物が50質量%を超えると、シュリンクフィルムの衝撃強度が低下する場合があり、好ましくない。またA部はシュリンクフィルムの剛性を高める効果を有し,A部が無いとシュリンクフィルムの剛性が低下する場合があり、好ましくない。
【0025】
本発明の芳香族ビニル系化合物−アクリル酸エステル化合物系樹脂組成物の製造方法は、塊状重合、懸濁重合、塊状−懸濁重合、溶液重合、乳化重合、連続重合等、公知の重合方法を用いることが出来る。好ましくは塊状重合、塊状−懸濁重合等が用いられる。
【0026】
本発明の芳香族ビニル系化合物−アクリル酸エステル化合物系樹脂組成物をリビングラジカル重合によって製造するには、樹脂組成物中に含有されるブロック共重合体部が目的のブロック構造を有するように、所定量のモノマーを逐次添加して重合を進めればよい。逐次添加するモノマーは単独であっても2種以上の混合物であってもよく、溶媒で希釈されていてもよい。添加すべきモノマーの量は、初めに仕込んだラジカル発生剤の量を考慮しながら、添加前の重合液中に残存している未反応モノマー量と目的とするブロック部の結合モノマー組成から決定することができる。またモノマーの添加方法は必要量を一括で添加しても、或いは幾つかの回数に分割して添加しても良く、さらに必要量をある期間に渡って連続的に添加してもよい。なお目的のブロック共重合体が星形の共重合体である場合は、必要量のモノマーを全量仕込んで重合を進めた後、活性化されたポリマー鎖の片末端を結合させる化合物を添加して反応させればよい。 活性化されたポリマー鎖片末端を結合させる化合物としては、ジビニルベンゼンのような重合性2重結合を複数有する有機化合物等が挙げられる。
【0027】
本発明の樹脂組成物を製造する事例として、例えば、上記一般式A−B−Cで表されるトリブロック共重合体部を含有する樹脂組成物を製造する場合を以下に説明する。
まず1段目重合としてAブロック部を重合するが、これには目的の分子量が得られるように仕込み量を決定した上で、芳香族ビニル系化合物、ラジカル発生剤、ラジカルキャッピング剤、及び必要に応じて溶媒及び重合加速剤を溶解し、所定温度で重合を進める。芳香族ビニル系化合物とラジカル発生剤の仕込み量の比としては、好ましくは芳香族ビニル系化合物/ラジカル発生剤=500/1〜2000/1(モル比)、更に好ましくは芳香族ビニル系化合物/ラジカル発生剤=800/1〜1700/1(モル比)、特に好ましくは芳香族ビニル系化合物/ラジカル発生剤=900/1〜1500/1(モル比)の範囲が挙げられる。1段目重合の終点は特に制限はないが、重合液中の固形分濃度として40%以上に達した時点で所定量のモノマーを新たに重合系に添加して、2段目重合に入るのが好ましい。
【0028】
この時添加するモノマーの量は、2段目重合で合成するBブロック部が目的とする芳香族ビニル系化合物含有量となるように、1段目重合で反応せずに残った芳香族ビニル系化合物の量を基準にして適宜決めればよい。またアクリル酸エステル化合物単独或いは、必要に応じて芳香族ビニル系化合物等のような他のモノマーや溶媒とアクリル酸エステル化合物との混合物として添加すればよい。 なお、1段目重合で反応せずに残った芳香族ビニル系化合物の量と、仕込むべきアクリル酸エステル化合物の量としては、好ましくは芳香族ビニル系化合物/アクリル酸エステル化合物=1/99〜50/50(質量比)、更に好ましくは芳香族ビニル系化合物/アクリル酸エステル化合物=10/85〜35/65(質量比)の範囲が挙げられる。モノマーを添加して2段目重合を所定温度で継続した後、3段目重合のために所定量のモノマーを新たに重合系に添加する。
【0029】
この2段目重合の終点も特に制限はないが、重合液中の固形分濃度として、好ましくは30%以上、さらに好ましくは40%以上に達した時点で所定量のモノマーを新たに重合系に添加して、3段目重合に入るのが良い。またこの時添加するモノマーの量は、3段目重合で合成するCブロック部が目的とする芳香族ビニル系化合物含有量となるように、2段目重合で反応せずに残ったモノマーの量を基準にして適宜決めればよい。また芳香族ビニル系化合物単独或いは、必要に応じて芳香族ビニル系化合物等のような他のモノマーや溶媒とアクリル酸エステル化合物との混合物として添加すればよい。なお、2段目重合で反応せずに残った芳香族ビニル系化合物の量と、仕込むべきアクリル酸エステル化合物の量としては、好ましくは芳香族ビニル系化合物/アクリル酸エステル化合物=60/40〜90/10(質量比)、更に好ましくは芳香族ビニル系化合物/アクリル酸エステル化合物=70/30〜85/15(質量比)の範囲が挙げられる。
【0030】
こうして再度モノマーを添加して3段目重合を所定温度で継続することにより、一般式A−B−Cで表されるトリブロック共重合体部を含有する本発明の樹脂組成物を得ることができる。この3段目重合の終点も特に制限はないが、重合液中の固形分濃度として40%以上に達した時点を終点とすることが好ましい。
なお重合形態は、塊状重合、懸濁重合、塊状−懸濁重合、溶液重合、乳化重合、連続重合等、公知の重合方法を用いることが出来るが、塊状重合或いは溶液重合で行うことが望ましい。
溶液重合の場合、3段目重合の終点は重合液中の固形分濃度として95%以上に達した時点を終点とすることがなお好ましく、塊状重合の場合は、3段目重合の終点は重合液中の固形分濃度として40%以上に達した時点を終点とすることが好ましく、75%以上に達した時点を終点とすることが更に好ましい。
さらに塊状−懸濁重合を用いることも可能であり、この場合塊状重合から懸濁重合へ移行する時期に特に制限はないが、3段目重合における固形分濃度が40%以上に達した時点とするのが好ましく、懸濁重合へ移行した後は、懸濁液滴中の固形分濃度が95%以上に達した時点を3段目重合の終点とすることが好ましい。
【0031】
ところでリビングラジカル重合は、活性化されたポリマー鎖片末端は不活性化されたポリマー鎖片末端と平衡状態を保ちながら重合が進行する擬リビング重合であるが、一部の活性化された片末端については不均化或いは再結合等の停止反応を起こすことがあり、本発明のようなモノマーを逐次添加してブロック重合する場合、モノマー添加の時点で停止反応が起きやすい。
従って本発明の芳香族ビニル系化合物−アクリル酸エステル化合物系樹脂組成物は目的のブロック共重合体だけでなく、途中で重合が停止した所謂”deadpolymer”を含有し、特に”dead polymer”として、目的のブロック共重合体よりも少ないブロック数を有するブロック共重合体等を含有する。このため本発明の樹脂組成物は、重量平均分子量をMw、数平均分子量をMnとした時のMw/Mnが2.0以上、5.0以下であり、広い分子量分布を有すが、これにより本発明の樹脂組成物は成形加工性に優れるという長所を持つことになった。Mw/Mnが2.0未満であると成形加工性に劣り、好ましくない。一方、Mw/Mnの上限値としては、5.0を超えると高分子量成分及び低分子量成分が多くなり、シュリンクフィルムの外観特性に悪影響を及ぼすことがありうることから、5.0以下が好ましい。そしてMw/Mnの範囲が2.0以上4.0以下であると、外観特性の良好なシュリンクフィルムが得られ特に好ましく、Mw/Mnの範囲が2.0以上3.0以下であると、優れた外観特性、透明性、低温収縮性、抑制された自然収縮性を有する物性バランスの良いシュリンクフィルムが得られ、なお好ましい。
なお目的のブロック共重合体よりも少ないブロック数を有するブロック共重合体とは、目的のブロック共重合体が例えばトリブロック共重合体であるならば、ジブロック共重合体やモノブロック(共)重合体であり、目的のブロック共重合体が例えばジブロック共重合体であるならば、モノブロック(共)重合体を指す。
【0032】
本発明の芳香族ビニル系化合物−アクリル酸エステル化合物系樹脂組成物におけるブロック共重合体の含有割合には特に制限は無いが、10%以上あればよく、好ましくは50%以上である。ブロック共重合体の含有割合は、クロマトグラフィーにより、目的のブロック共重合体よりも少ないブロック数を有するブロック共重合体を分離して測定してもよく、或いは溶媒分別法によって目的のブロック共重合体よりも少ないブロック数を有するブロック共重合体を除去して測定してもよい。クロマトグラフィーによりブロック共重合体の含有割合を測定する場合は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー(TLC)などいずれを用いてもよいが、好ましくは高速液体クロマトグラフィー(HPLC)が使用される。
【0033】
HPLCでは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)、溶媒グラジエント法吸着クロマトグラフィー、分別溶解クロマトグラフィー、相分離クロマトグラフィー、臨界吸着点液体クロマトグラフィー(LC−CAP)、超臨界流体を移動層に用いたLC−CAP等が挙げられるが、好ましくはGPCが用いられる。GPCによりブロック共重合体の含有割合を測定するには、まずクロマトグラム上の各成分に由来するピークを波形分離する。そして波形分離して得られたブロック共重合体のピーク面積の全クロマトグラム面積に対する割合を、芳香族ビニル系化合物−アクリル酸エステル化合物系樹脂組成物におけるブロック共重合体の含有割合とすればよい。
溶媒分別法によりブロック共重合体の含有割合を測定する場合は、シクロヘキサン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、トルエン、メタノール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル等の溶媒を1種或いは複数種用いて、液−液相分離或いは沈殿させることによりブロック共重合体を分取して、含有割合を算出すればよい。
【0034】
このように、本発明の芳香族ビニル系化合物−アクリル酸エステル化合物系樹脂組成物は、芳香族ビニル系化合物とアクリル酸エステル化合物を単量体としてリビングラジカル重合させて得られるブロック共重合体を含有するが、前述のように、目的のブロック共重合体だけでなく、途中で重合が停止した結果、目的のブロック共重合体よりも少ないブロック数を有するブロック共重合体も、”dead polymer”として含有されるようになる。このため本発明の芳香族ビニル系化合物−アクリル酸エステル化合物系樹脂組成物は、”dead polymer”も含めて、次の成分(イ)〜(ハ)から構成されるものが、該樹脂組成物の分子量分布が広くなり、成形加工性に特に優れるようになるため、特に好ましい。
【0035】
(イ)一般式 A−B−C
(式中、Aは芳香族ビニル系化合物重合体ブロックを表し、Bは1〜50質量%の芳香族ビニル系化合物および50〜99質量%のアクリル酸エステル化合物からなる芳香族ビニル系化合物とアクリル酸エステル化合物の共重合体ブロックを表し、Cは60〜90質量%の芳香族ビニル系化合物および10〜40質量%のアクリル酸エステル化合物からなる芳香族ビニル系化合物とアクリル酸エステル化合物の共重合体ブロックを表す。)で表されるトリブロック共重合体。
(ロ)一般式 A−B
(式中、Aは芳香族ビニル系化合物重合体ブロックを表し、Bは1〜50質量%の芳香族ビニル系化合物および50〜99質量%のアクリル酸エステル化合物からなる芳香族ビニル系化合物とアクリル酸エステル化合物の共重合体ブロックを表す。)で表されるジブロック共重合体。
(ハ)一般式 A
(式中、Aは芳香族ビニル系化合物重合体を表す)で表される芳香族ビニル系化合物単独重合体。
【0036】
成分(イ)〜(ハ)の割合には特に制限は無いが、トリブロック共重合体(イ)及びジブロック共重合体(ロ)の合計が成分(イ)〜(ハ)の全体に対して10質量%以上あればよく、好ましくは50質量%以上あればよい。成分(イ)〜(ハ)の割合の好ましい質量範囲としては(イ)/(ロ)/(ハ)=5〜85/5〜85/10〜90、特に好ましい範囲としては、(イ)/(ロ)/(ハ)=10〜60/10〜60/10〜50等が挙げられる。なお成分(イ)〜(ハ)の割合は前述のように、クロマトグラムの波形分離による方法や、或いは溶媒分別による方法等によって求められる。
また全樹脂組成物中のA、B、及びCの割合も特に制限は無いが、好ましい質量範囲としてはA/B/C=5〜40/10〜50/10〜85、特に好ましい範囲としては、(イ)/(ロ)/(ハ)=10〜20/15〜30/50〜70等が挙げられる。
【0037】
さらに全樹脂組成物中のA、B及びCの各ブロック部の分子量も特に制限は無いが、好ましい分子量の範囲としては、Aが35000〜70000、Bが25000〜130000、Cが70000〜180000の範囲、特に好ましくはAが40000〜65000、Bが30000〜65000、Cが140000〜175000の範囲が挙げられる。なおここでいう分子量とは、Aブロック部については、1段目重合としてAブロック部を重合して終点を迎えたときに生成している重合体の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)によるピークトップ分子量の値をいい、Bブロック部については、2段目重合としてBブロック部を重合して終点を迎えた時に生成している共重合体のGPCによるピークトップ分子量の値と、1段目重合としてAブロック部を重合して終点を迎えたときに生成している重合体のGPCによるピークトップ分子量の値の差をいう。そしてCブロック部については、3段目重合としてCブロック部を重合して終点を迎えた時に生成している共重合体のGPCによるピークトップ分子量の値と、2段目重合としてBブロック部を重合して終点を迎えたときに生成している共重合体のGPCによるピークトップ分子量の値の差をいう。
【0038】
また、本発明の芳香族ビニル系化合物−アクリル酸エステル化合物系樹脂組成物は、全樹脂組成物中の芳香族ビニル系化合物の含有量が20〜80質量%であり、好ましくは50〜80質量%である。全樹脂組成物中の芳香族ビニル系化合物の含有量が20質量%未満の場合は、得られるシュリンクフィルムの剛性が充分でなく、全樹脂組成物中の芳香族ビニル系化合物の含有量が80質量%を超える場合は、シュリンクフィルムの衝撃強度が不十分となり、好ましくない。
そして、本発明の芳香族ビニル系化合物−アクリル酸エステル化合物系樹脂組成物は40〜80℃の範囲、更に好ましくは45〜70℃の範囲にガラス転移温度を有する。該樹脂組成物のガラス転移温度が40℃未満の場合は、得られるシュリンクフィルムの自然収縮性が大きく好ましくない。一方ガラス転移温度が80℃%を超える場合は、低温収縮性が不十分となり、好ましくない。
【0039】
なお本発明の芳香族ビニル系化合物−アクリル酸エステル化合物系樹脂組成物は、−60〜10℃の範囲にもう1つのガラス転移温度を有すると、得られるシュリンクフィルムの衝撃強度が向上するため好ましく、−40〜10℃の範囲にもう1つのガラス転移温度を有すると、一層好ましい。ところで、本発明の該樹脂組成物のガラス転移温度は測定方法に特に制限はないが、DSCや動的粘弾性等の公知の方法で測定され、好ましくはDSCが用いられる。
【0040】
また、本発明の芳香族ビニル系化合物−アクリル酸エステル化合物系樹脂組成物には、一般的に知られている添加剤、即ち、既知の酸化防止剤、例えば2、6ージーtert−ブチルー4ーメチルフェノール、2ー(1ーメチルシクロヘキシル)4、6ージメチルフェノール、2、2’ーメチレンービス(4ーエチルー6ーtertーブチルフェノール)、4、4’ーチオビスー(6ーtertーブチルー3ーメチルフェノール)、ジラウリルチオジプロピオネート、トリス(ジーノニルヘニル)ホスファイトやカルシウム、錫などの無機安定剤;既知の紫外線吸収剤、例えばp−tert−ブチルフェニルサリシレート、2、2’ージヒドロキシー4ーメトキシベンゾフェノヘン、2ー(2’ーヒドロキシー4’−n−オクトキシフェニル)ベンゾチアゾール;既知の難燃剤、例えば酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、硼酸亜鉛、トリクレジルホスフェート、塩素化パラフィン、テトラブロモブタン、ヘキサブロモブタン、テトラブロモビスフェノールA;既知の帯電防止剤、例えばステアロアミドプロピルジメチルーβーヒドロキシエチルアンモニウムニトレート;既知の着色剤、例えば酸化チタン、カーボンブラック、その他の無機あるいは有機顔料;既知の充填剤、例えば炭酸カルシウム、クレー、シリカ、ガラス繊維、ガラス球、カーボン繊維、補強用エラストマーとしてMBS、SBR,SBS,SIS,あるいはそれらの水添物等を必要に応じて添加することができるが、これらに限られるものではない。さらにこれらの添加剤を樹脂に配合する際に添加剤を単独で配合してもよいし複数の種類の添加剤を配合してもよい。さらに他の樹脂とブレンドして成形に供することもできる。また、これらの添加剤は、重合プロセスの途中段階で添加してもよい。
またシュリンクフィルムの表面の特性を改質するためにスチレン系樹脂やアクリル樹脂などで用いられている改質剤をシュリンクフィルムの表面に塗布することができる。
【0041】
更に本発明の芳香族ビニル系化合物−アクリル酸エステル化合物系樹脂組成物に対しては、目的に応じて種種の可塑剤及び滑剤を添加することが可能である。可塑剤としては、公知のものがいずれも使用できる。例えばジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等のフタル酸系や、ジ−n−ブチルアジペート、ジ−(2−エチルヘキシルアジペート)等のアジピン酸系、アセチルトリ−n−ブチルシトレート等のクエン酸系、ジ−n−ブチルセバケート、ジ−(2−エチルヘキシル)セバケート等のセバシン酸系、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化脂肪酸エステル等のエポキシ系、またコハク酸、グルタル酸、アジピン酸等の二塩基酸と、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール等の分子量200以下の2価アルコールからなるポリエステル系、等が挙げられる。
【0042】
また滑剤としては、公知のものがいずれも使用できる。例えば、金属石鹸系、炭化水素系の流動パラフィン、ポリエチレンワックス等や、脂肪酸系の高級脂肪酸、オキシ脂肪酸等や、エステル系のグリセリド、エステルワックス等や、脂肪酸アミド系の脂肪酸アミド、ビス脂肪酸アミド等や、脂肪酸ケトン系、複合滑剤系等が挙げられる。
具体例としては、パラフィンワックス、ステアリン酸、硬化油、ステアロアミド、エチレンビスステアリルアミド、n−ブチルステアレート、ケトンワックス、オクチルアルコール、ラウリルアルコール、ヒドロキシステアリン酸トリグリセリド、ポリシロキサン、アルキル燐酸エステル等がある。
可塑剤及び滑剤の添加方法は特に制限されない。
【0043】
本発明の芳香族ビニル系化合物−アクリル酸エステル化合物系樹脂組成物からシュリンクフィルムを製造する方法としては、特に限定されるものではないが、以下に説明する製造方法が好ましい。即ち、本発明の芳香族ビニル系化合物−アクリル酸エステル化合物系樹脂組成物を必須成分とし、その他に必要に応じて、既知の添加剤を配合した樹脂成分を溶融混練後押出し、少なくとも一方向に延伸する方法が挙げられる。これによって、単層のシュリンクフィルムが得られる。 なお樹脂成分として、必須成分である本発明の芳香族ビニル系化合物−アクリル酸エステル化合物系樹脂組成物の他に、スチレンとブタジエンのブロック共重合樹脂等を含有させ、さらに必要に応じて既知の添加剤を配合したものを用いてシュリンクフィルムとしても差し支えない。
【0044】
また本発明の芳香族ビニル系化合物−アクリル酸エステル化合物系樹脂組成物を必須成分とし、その他に必要に応じて、既知の添加剤を配合した樹脂成分を溶融混練後押出し、少なくとも一方向に延伸すると共に、その両表面に第2の樹脂を主成分とする表面層を形成させる方法により、多層のシュリンクフィルムを得てもよい。この場合、第2の樹脂としては、芳香族ビニル系化合物と共役ジエンからなるブロック共重合体を主体とする樹脂成分等が用いられ、好ましくは、スチレンとブタジエンの質量比が90/10〜60/40であるスチレンとブタジエンからなるブロック共重合体等が用いられる。また内層となる樹脂成分として、必須成分である本発明の芳香族ビニル系化合物−アクリル酸エステル化合物系樹脂組成物の他に、スチレンとブタジエンのブロック共重合樹脂等を含有させ、さらに必要に応じて既知の添加剤を配合したものを用いても差し支えない。
さらに、多層のシュリンクフィルムとして、芳香族ビニル系化合物と共役ジエンからなるブロック共重合体を主体とする樹脂成分で形成された層を内層とし、本発明の芳香族ビニル系化合物−アクリル酸エステル化合物系樹脂組成物を必須成分とする樹脂成分を主体とする層を外層とすることも可能である。
【0045】
後者の多層のシュリンクフィルムの製造方法においては、具体的には共押出し次いで延伸する方法、予め成膜したフィルムを押出しと同時に熱ラミネートし、次いで延伸する方法、別々に押出し、成膜したシートをラミネートして得られる原反を延伸するか、或いは別々に押出し延伸して得られたフィルムをラミネートする方法等が挙げられる。
上記単層及び多層のシュリンクフィルムの製造において、原料組成物から単層或いは多層シュリンクフィルムを製造する際の押出温度は、製造方法によって異なり、特に制限されるものではないが、通常、190〜250℃、中でも200〜230℃であることが好ましい。
また上記単層及び多層のシュリンクフィルムの製造における延伸方法としては、特に制限されるものではなく、1軸或いは2軸に、同時或いは逐次に延伸する方法が好ましい。
【0046】
得られるシュリンクフィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、10〜250μmであることが好ましい。即ち、10μm以上にすることにより衝撃性が良好となり、また収縮特性を調整することが容易になる。 一方250μm以下にすることにより、透明性が顕著になる。
なお、芳香族ビニル系化合物と共役ジエンからなるブロック共重合体を主体とする樹脂成分においては、前記のリビングラジカル重合させて得られるブロック共重合体で述べたのと同様の芳香族ビニル系化合物を用いることができる。また共役ジエンとしては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどあげられるが、特に一般的なものとしては、1,3−ブタジエン、イソプレンが挙げられる。
【0047】
【実施例】
以下に実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。尚、実施例および比較例において示すデータは、下記方法に従って測定した。
スチレン−アクリル酸エステル化合物系ブロック共重合体を含有する樹脂組成物の分子量および分子量分布は、GPC法により、標準ポリスチレンで検量線を作成することで、次の条件で測定した。
溶媒(移動相):THF、脱気装置:ERMA社製ERC−3310、ポンプ:日本分光社製PU−980,流速1.0ml/min、オートサンプラ:東ソー社製AS−8020、カラムオーブン:日立製作所製L−5030、設定温度40℃、カラム構成:東ソー社製TSKgurdcolumn MP(×L)6.0mmID×4.0cm 1本、および東ソー社製TSK−GEL MULTIPORE HXL−M 7.8mmID×30.0cm 2本、計3本、検出器:RI 日立製作所製L−3350、データ処理:SIC480データステーション。
【0048】
スチレン−アクリル酸エステル化合物系ブロック共重合体を含有する樹脂組成物のガラス転移点は、セイコー電子工業社製DSC装置「DSC−200」およびTAステーション「SSC−5000」を使用し、スチレン−アクリル酸エステル化合物系ブロック共重合体を試料に用いて、次の条件で測定した。
室温から130℃まで昇温し、その温度で約10分間保持し、20〜25℃/分の冷却速度で−130℃まで冷却し、その温度で約10分間保持した後、再度130℃まで10℃/分の昇温速度で昇温し(n=1)、その温度で約10分間保持し、20〜25℃/分の冷却速度で−130℃まで冷却し、その温度で約10分間保持した後、130℃まで10℃/分の昇温速度で昇温し(n=2)、2度の測定結果の平均値を記録した。
【0049】
また、実施例1〜3及び比較例1〜5については、重合で得られた樹脂組成物からシートを成形する方法はプレス成形によった。即ち、ペレット状の樹脂を210℃で7分間予熱した後、同温度で3分間プレスして厚み400μmのシートを得た。さらにこのシートから延伸フィルムを得る方法は、次の様に行なった。即ち、得られたシートからダンベル型試験片を打ち抜き、この試験片を引張試験機により80℃の雰囲気下、延伸速度60mm/minで5倍に延伸(1軸延伸)した。その後5倍に延伸された状態で2分間室温下で冷却して、80μmの延伸フィルムを得た。
全光線透過率およびHAZEの測定は、シートを試料に用いて、JIS−K7105に準拠した。
加熱収縮率は、延伸フィルム(シュリンクフィルム)を80℃の温水バスに10秒間浸漬し、収縮率を測定した。なお加熱収縮率とは、収縮した長さを元の寸法で割った値から算出される百分率(%)である。
自然収縮率は、延伸フィルム(シュリンクフィルム)を40℃の雰囲気の恒温槽に7日間放置し、収縮した長さを元の寸法で割った値から算出される百分率 (%)として求めた。
【0050】
【実施例1】
〈1段目スチレン重合(スチレン重合体ブロックAの合成)〉
1Lセパラブルフラスコを窒素置換した後、スチレン600g(5.77mol)、過酸化ベンゾイル1.39g(0.0057mol)、2,2,6,6−テトラメチル−4−オキソ−1−ピぺリジニルオキシラジカル(以下、OH−TEMPOと略す)1.283g(0.0075mol)、カンファースルホン酸0.87g(0.0037mol)を窒素ガス雰囲気下において仕込み、130℃で140分間加熱して重合した。その後室温まで急冷して重合反応を停止させた。スチレンの重合率は58%であった(この時の重合液中の固形分濃度58質量%)。重合反応溶液中に存在するポリスチレンの数平均分子量Mnは41000、重量平均分子量Mwは58700、ピークトップ分子量は57300であり、分子量分布Mw/Mnは1.43であった。
【0051】
〈2段目スチレン/アクリル酸n−ブチル(=18/82:質量比)共重合(結合スチレン1〜50質量%であるスチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体ブロックBの合成)〉
新たに窒素置換した1Lセパラブルフラスコを用意し、1段目スチレン重合で得られた重合反応溶液210g(スチレンモノマー87g(0.84mol)及びポリスチレン123gから構成される)とアクリル酸n−ブチル390g(3.0mol)を窒素ガス雰囲気下で仕込み、よく溶解させた後、130℃で360分間加熱して重合した。その後室温まで急冷して重合反応を停止させた。2段目スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合反応におけるスチレンの重合率は47%、アクリル酸n−ブチルでの重合率は39%であった(この時の重合液中の固形分濃度56質量%)。この重合反応溶液中に存在するスチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体の数平均分子量Mnは68200、重量平均分子量Mwは131000、ピークトップ分子量は116500であり、分子量分布Mw/Mnは1.92であった。
【0052】
〈3段目スチレン/アクリル酸n−ブチル(=76/24:質量比)共重合(結合スチレン60〜90質量%であるスチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体ブロックCの合成)〉
新たに窒素置換した1Lセパラブルフラスコを用意し、2段目スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合で得られた重合反応溶液250g(スチレンモノマー12g(0.84mol)、アクリル酸n−ブチル99g(0.77mol)及びスチレン/アクリル酸n−ブチルからなる共重合体139gから構成される)とスチレン300g(2.9mol)を窒素ガス雰囲気下で仕込み、よく溶解させた後、130℃で195分間加熱して重合した。その後室温まで急冷して重合反応を停止させた。3段目スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合反応におけるスチレンの重合率は45%、アクリル酸n−ブチルでの重合率は39%であった(この時の重合液中の固形分濃度58質量%)。この重合反応溶液中に存在するスチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体の数平均分子量Mnは118200、重量平均分子量Mwは249300、ピークトップ分子量は263900であり、分子量分布Mw/Mnは2.11であった。
【0053】
またGPCのクロマトグラムから波形分離処理を行なうことで、得られたスチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体の中のブロック共重合体の含有割合を求めた。その結果、スチレンブロック−スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体ブロックからなるジブロック共重合体(成分(ロ):A−B)が41質量%、スチレンブロック−スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体ブロック−スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体ブロックからなるトリブロック共重合体(成分(イ):A−B−C)が19質量%であり、残りの40質量%がホモポリスチレン(成分(ハ):A)であることが分かった。
この3段目スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合反応溶液を240℃で2時間真空下で乾燥することにより、スチレン−アクリル酸n−ブチル系ブロック共重合体を含有する樹脂組成物の固形分を得た。この固形分を粉砕後、20mm単軸押出機によりペレット化した。
【0054】
次いで、得られたペレット状の樹脂をプレス成形して厚み400μmのシートを得た。このシートからダンベル型試験片を打ち抜き、この試験片を80℃で1軸延伸し、延伸フィルムを得た。
各種分析値、シート及びシュリンクフィルムの物性評価結果を表1、表2に示す。なお各重合溶液における単量体の重合率は、ガスクロマトグラフィーにより未反応単量体を定量することで求めた。また表1記載の成分(イ)〜(ロ)の構造は、各重合溶液における単量体の重合率及び各段階の重合における原料仕込み量から算出した。
【0055】
【実施例2】
〈1段目スチレン重合(スチレン重合体ブロックAの合成)〉
1Lセパラブルフラスコを窒素置換した後、スチレン600g(5.77mol)、過酸化ベンゾイル1.39g(0.0057mol)、2,2,6,6−テトラメチル−4−オキソ−1−ピぺリジニルオキシラジカル(以下、OH−TEMPOと略す)1.283g(0.0075mol)、無水酢酸0.76g(0.0075mol)を窒素ガス雰囲気下において仕込み、130℃で200分間加熱して重合した。その後室温まで急冷して重合反応を停止させた。スチレンの重合率は49%であった(この時の重合液中の固形分濃度49質量%)。重合反応溶液中に存在するポリスチレンの数平均分子量Mnは35100、重量平均分子量Mwは45600、ピークトップ分子量は44500であり、分子量分布Mw/Mnは1.3であった。
【0056】
〈2段目スチレン/アクリル酸n−ブチル(=22/78:質量比)共重合(結合スチレン1〜50質量%であるスチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体ブロックBの合成)〉
新たに窒素置換した1Lセパラブルフラスコを用意し、1段目スチレン重合で得られた重合反応溶液210g(スチレンモノマー108g(1.0mol)及びポリスチレン102gから構成される)とアクリル酸n−ブチル390g(3.0mol)を窒素ガス雰囲気下で仕込み、よく溶解させた後、130℃で480分間加熱して重合した。その後室温まで急冷して重合反応を停止させた。2段目スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合反応におけるスチレンの重合率は20%、アクリル酸n−ブチルでの重合率は19%であった(この時の重合液中の固形分濃度33質量%)。この重合反応溶液中に存在するスチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体の数平均分子量Mnは53100、重量平均分子量Mwは73400、ピークトップ分子量は75600であり、分子量分布Mw/Mnは1.38であった。
【0057】
〈3段目スチレン/アクリル酸n−ブチル(=71/29:質量比)共重合(結合スチレン60〜90質量%であるスチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体ブロックCの合成)〉
新たに窒素置換した1Lセパラブルフラスコを用意し、2段目スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合で得られた重合反応溶液250g(スチレンモノマー27g(0.26mol)、アクリル酸n−ブチル132g(1.0mol)及びスチレン/アクリル酸n−ブチルからなる共重合体91gから構成される)とスチレン300g(2.9mol)、無水酢酸0.11g(0.0011mol)を窒素ガス雰囲気下で仕込み、よく溶解させた後、130℃で255分間加熱して重合した。その後室温まで急冷して重合反応を停止させた。3段目スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合反応におけるスチレンの重合率は50%、アクリル酸n−ブチルの重合率は42%であった(この時の重合液中の固形分濃度56質量%)。この重合反応溶液中に存在するスチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体の数平均分子量Mnは104400、重量平均分子量Mwは215500、ピークトップ分子量は224300であり、分子量分布Mw/Mnは2.06であった。
【0058】
またGPCのクロマトグラムから波形分離処理を行なうことで、得られたスチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体の中のブロック共重合体の含有割合を求めた。その結果、スチレンブロック−スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体ブロックからなるジブロック共重合体(成分(ロ):A−B)が34質量%、スチレンブロック−スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体ブロック−スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体ブロックからなるトリブロック共重合体(成分(イ):A−B−C)が48質量%であり、残りの18質量%がホモポリスチレン(成分(ハ):A)であることが分かった。
この3段目スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合反応溶液を実施例1と同様に処理し、延伸フィルムを得た。
各種分析値、シート及びシュリンクフィルムの物性評価結果を表1、表2に示す。なお各重合溶液における単量体の重合率、表1記載の成分(イ)〜(ロ)の構造は、実施例1と同様に算出した。
【0059】
【実施例3】
〈1段目スチレン重合(スチレン重合体ブロックAの合成)〉
1Lセパラブルフラスコを窒素置換した後、スチレン600g(5.77mol)、過酸化ベンゾイル1.39g(0.0057mol)、2,2,6,6−テトラメチル−4−オキソ−1−ピぺリジニルオキシラジカル(以下、OH−TEMPOと略す)1.283g(0.0075mol)、ジクミルパーオキサイド0.4g(0.0015mol)を窒素ガス雰囲気下において仕込み、130℃で150分間加熱して重合した。その後室温まで急冷して重合反応を停止させた。スチレンの重合率は59%であった(この時の重合液中の固形分濃度59質量%)。重合反応溶液中に存在するポリスチレンの数平均分子量Mnは41500、重量平均分子量Mwは58500、ピークトップ分子量は57000であり、分子量分布Mw/Mnは1.4であった。
【0060】
〈2段目スチレン/アクリル酸n−ブチル(=18/82:質量比)共重合(結合スチレン1〜50質量%であるスチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体ブロックBの合成)〉
新たに窒素置換した1Lセパラブルフラスコを用意し、1段目スチレン重合で得られた重合反応溶液210g(スチレンモノマー86g(0.83mol)及びポリスチレン124gから構成される)とアクリル酸n−ブチル390g(3.05mol)を窒素ガス雰囲気下で仕込み、よく溶解させた後、130℃で480分間加熱して重合した。その後室温まで急冷して重合反応を停止させた。2段目スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合反応におけるスチレンの重合率は48%、アクリル酸n−ブチルでの重合率は39%であった(この時の重合液中の固形分濃度53質量%)。この重合反応溶液中に存在するスチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体の数平均分子量Mnは68500、重量平均分子量Mwは130000、ピークトップ分子量は115000であり、分子量分布Mw/Mnは1.9であった。
【0061】
〈3段目スチレン/アクリル酸n−ブチル(=76/24:質量比)共重合(結合スチレン60〜90質量%であるスチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体ブロックCの合成)〉
新たに窒素置換した1Lセパラブルフラスコを用意し、2段目スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合で得られた重合反応溶液250g(スチレンモノマー19g(0.18mol)、アクリル酸n−ブチル100g(0.78mol)及びスチレン/アクリル酸n−ブチルからなる共重合体131gから構成される)とスチレン300g(2.9mol)を窒素ガス雰囲気下で仕込み、よく溶解させた後、130℃で260分間加熱して重合した。その後室温まで急冷して重合反応を停止させた。3段目スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合反応におけるスチレンの重合率は50%、アクリル酸n−ブチルの重合率は41%であった。(この時の重合液中の固形分濃度60質量%)。この重合反応溶液中に存在するスチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体の数平均分子量Mnは118500、重量平均分子量Mwは250000、ピークトップ分子量は268000であり、分子量分布Mw/Mnは2.11であった。
【0062】
またGPCのクロマトグラムから波形分離処理を行なうことで、得られたスチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体の中のブロック共重合体の含有割合を求めた。その結果、スチレンブロック−スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体ブロックからなるジブロック共重合体(成分(ロ):A−B)が40質量%、スチレンブロック−スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体ブロック−スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体ブロックからなるトリブロック共重合体(成分(イ):A−B−C)が20質量%であり、残りの40質量%がホモポリスチレン(成分(ハ):A)であることが分かった。
この3段目スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合反応溶液を実施例1と同様に処理し、延伸フィルムを得た。
各種分析値、シート及びシュリンクフィルムの物性評価結果を表1、表2に示す。なお各重合溶液における単量体の重合率、表1記載の成分(イ)〜(ロ)の構造は、実施例1と同様に算出した。
【0063】
【実施例4】
実施例1のペレット状の樹脂を内層材とし、スチレン単位を84質量%有するスチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体を外層材に用いて、層比(%)を表/中間/表層=10/80/10として、多層のシュリンクフィルムを作成した。多層フィルムは、まず各層に対応する重合体又は重合体組成物を別々の押出機で溶融し、Tダイ内で多層化し、厚さ0.3mmのシートを成形した。その後、東洋製作所社製の二軸延伸装置を用い、温度80℃で5倍に横一軸延伸することによって延伸フイルム作成した。
シート及びシュリンクフィルムの物性評価結果を表2に示す。
なお、スチレン単位を84質量%有するスチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体は下記のようにして調製した。
3L反応容器中に重合溶媒である、150ppmのテトラヒドロフランを含有するシクロヘキサン1199gとスチレンモノマー197g(1.89mol)を仕込んだ。内温を50℃にした後、この中に重合触媒溶液であるn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液3.6mL(n−ブチルリチウム0.0042mol)を加え、スチレンモノマーをアニオン重合させた。スチレンモノマーが完全に消費された後、反応系の内温を80℃にして、75.3gのブタジエン(1.39mol)を添加し、引き続きこれをアニオン共重合反応させた。ブタジエンが完全に消費された後、引き続きスチレンモノマー197g(1.89mol)を一括添加し、アニオン重合を完結させた。最後に全ての重合活性末端を水により失活させて、GPC法による重量平均分子量が12万で、ブタジエン含有率が16wt%である、ポリスチレンブロック部、スチレンとブタジエンのテーパーブロック部、ポリスチレンブロック部の3つのブロック部を持つトリブロック共重合体を含む重合液を得た。この重合液を大量のメタノール中に注いで固形分を析出させ、得られた固形分を真空乾燥した後に単軸押出機によりペレット化することで、トリブロック共重合体の樹脂を得た。
【0064】
【実施例5】
実施例1のペレット状の樹脂を外層材とし、実施例4のスチレン単位を84質量%有するスチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体を内層材に用いて、層比(%)を表/中間/表層=10/80/10として、多層のシュリンクフィルムを作成した。多層フィルムは、まず各層に対応する重合体又は重合体組成物を別々の押出機で溶融し、Tダイ内で多層化し、厚さ0.3mmのシートを成形した。その後、東洋製作所社製の二軸延伸装置を用い、温度80℃で5倍に横一軸延伸することによって延伸フイルム作成した。
シート及びシュリンクフィルムの物性評価結果を表2に示す。
【0065】
【比較例1】
〈1段目スチレン重合(ポリスチレンの合成)〉
1Lセパラブルフラスコを窒素置換した後、スチレン600g(5.77mol)、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.09g(0.0003mol)を窒素ガス雰囲気下において仕込み、130℃で125分間加熱して重合した。その後室温まで急冷して重合反応を停止させた。スチレンの重合率は51%であった(この時の重合液中の固形分濃度51質量%)。重合反応溶液中に存在するポリスチレンの数平均分子量Mnは167700、重量平均分子量Mwは305300、ピークトップ分子量は302000であり、分子量分布Mw/Mnは1.82であった。
【0066】
〈2段目スチレン/アクリル酸n−ブチル(=53/47:質量比)共重合(表3における、ポリ(スチレン−co−アクリル酸n−ブチル)の合成)〉
新たに窒素置換した1Lセパラブルフラスコを用意し、1段目スチレン重合で得られた重合反応溶液420g(スチレンモノマー206g(1.98mol)及びポリスチレン214gから構成される)とアクリル酸n−ブチル180g(1.41mol)を窒素ガス雰囲気下で仕込み、よく溶解させた後、130℃で90分間加熱して重合した。その後室温まで急冷して重合反応を停止させた。2段目スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合反応におけるスチレンの重合率は32%、アクリル酸n−ブチルでの重合率は35%であった(この時の重合液中の固形分濃度57質量%)。この重合反応溶液中に存在するスチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体の数平均分子量Mnは164300、重量平均分子量Mwは309800、ピークトップ分子量は288000であり、分子量分布Mw/Mnは1.89であった。
この2段目スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合反応溶液を実施例1と同様に処理し、シートを得た。しかしこのシートは大変脆く、ダンベル型試験片を打ち抜くことはできたものの、この試験片を80℃で1軸延伸することはできず、延伸フィルムを得ることは出来なかった。
各種分析値、シートの物性評価結果を表3、表4に示す。なお各重合溶液における単量体の重合率、表3記載の構成成分の構造は、実施例1と同様に算出した。
【0067】
【比較例2】
〈1段目スチレン重合(ポリスチレンの合成)〉
1Lセパラブルフラスコを窒素置換した後、スチレン600g(5.77mol)、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.09g(0.0003mol)を窒素ガス雰囲気下において仕込み、130℃で125分間加熱して重合した。その後室温まで急冷して重合反応を停止させた。スチレンの重合率は51%であった(この時の重合液中の固形分濃度51質量%)。重合反応溶液中に存在するポリスチレンの数平均分子量Mnは165000、重量平均分子量Mwは310000、ピークトップ分子量は307000であり、分子量分布Mw/Mnは1.88であった。
【0068】
〈2段目スチレン/アクリル酸n−ブチル(=20/80:質量比)共重合(表5における、ポリ(スチレン−co−アクリル酸n−ブチル)▲1▼の合成)〉
新たに窒素置換した1Lセパラブルフラスコを用意し、1段目スチレン重合で得られた重合反応溶液210g(スチレンモノマー103g(0.99mol)及びポリスチレン107gから構成される)とアクリル酸n−ブチル412g(3.22mol)を窒素ガス雰囲気下で仕込み、よく溶解させた後、130℃で90分間加熱して重合した。その後室温まで急冷して重合反応を停止させた。2段目スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合反応におけるスチレンの重合率は38%、アクリル酸n−ブチルでの重合率は36%であった(この時の重合液中の固形分濃度47質量%)。この重合反応溶液中に存在するスチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体の数平均分子量Mnは151000、重量平均分子量Mwは320000、ピークトップ分子量は297000であり、分子量分布Mw/Mnは2.11であった。
【0069】
〈3段目スチレン/アクリル酸n−ブチル(=75/25:質量比)共重合(表5における、ポリ(スチレン−co−アクリル酸n−ブチル)▲2▼の合成)〉
新たに窒素置換した1Lセパラブルフラスコを用意し、2段目スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合で得られた重合反応溶液250g(スチレンモノマー26g(0.25mol)、アクリル酸n−ブチル106g(0.83mol)、ポリスチレン43g、及びスチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体75gから構成される)とスチレン292g(2.8mol)を窒素ガス雰囲気下で仕込み、よく溶解させた後、130℃で95分間加熱して重合した。その後室温まで急冷して重合反応を停止させた。3段目スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合反応におけるスチレンの重合率は41%、アクリル酸n−ブチルでの重合率は39%であった(この時の重合液中の固形分濃度54質量%)。この重合反応溶液中に存在するスチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体の数平均分子量Mnは150000、重量平均分子量Mwは325000、ピークトップ分子量は300000であり、分子量分布Mw/Mnは2.17であった。
この3段目スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合反応溶液を実施例1と同様に処理し、シートを得た。しかしこのシートは大変脆く、ダンベル型試験片を打ち抜くことはできたものの、この試験片を80℃で1軸延伸することはできず、延伸フィルムを得ることは出来なかった。
各種分析値、シートの物性評価結果を表5、表6に示す。なお各重合溶液における単量体の重合率、表5記載の構成成分の構造は、実施例1と同様に算出した。
【0070】
【比較例3】
〈スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合(表3における、ポリ(スチレン−co−アクリル酸n−ブチル)の合成)〉
窒素置換した1Lセパラブルフラスコを用意し、スチレン420g(4.04mol)、アクリル酸n−ブチル180g(1.41mol)、過酸化ベンゾイル0.445g(0.0018mol)、2,2,6,6−テトラメチル−4−オキソ−1−ピぺリジニルオキシラジカル(以下、OH−TEMPOと略す)0.411g(0.0024mol)を窒素ガス雰囲気下において仕込み、130℃で260分間加熱して重合した。その後室温まで急冷して重合反応を停止させた。このスチレン/アクリル酸n−ブチル共重合反応におけるスチレンの重合率は57%、アクリル酸n−ブチルの重合率は50%であった(この時の重合液中の固形分濃度55質量%)。この重合反応溶液中に存在するスチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体の数平均分子量Mnは97700、重量平均分子量Mwは136000、ピークトップ分子量は154000であり、分子量分布Mw/Mnは1.39であった。
このスチレン/アクリル酸n−ブチル共重合反応溶液を実施例1と同様に処理し、延伸フィルムを得た。
各種分析値、シート及びシュリンクフィルムの物性評価結果を表3、表4に示す。なお各重合溶液における単量体の重合率、表3記載の構成成分の構造は、実施例1と同様に算出した。
【0071】
【比較例4】
〈1段目スチレン重合(スチレン重合体ブロックAの合成)〉
1Lセパラブルフラスコを窒素置換した後、スチレン600g(5.77mol)、過酸化ベンゾイル1.39g(0.0057mol)、2,2,6,6−テトラメチル−4−オキソ−1−ピぺリジニルオキシラジカル(以下、OH−TEMPOと略す)1.283g(0.0075mol)、カンファースルホン酸0.87g(0.0037mol)を窒素ガス雰囲気下において仕込み、130℃で140分間加熱して重合した。その後室温まで急冷して重合反応を停止させた。スチレンの重合率は58%であった(この時の重合液中の固形分濃度58質量%)。重合反応溶液中に存在するポリスチレンの数平均分子量Mnは40900、重量平均分子量Mwは58500、ピークトップ分子量は57000であり、分子量分布Mw/Mnは1.43であった。
【0072】
〈2段目スチレン/アクリル酸n−ブチル(=18/82:質量比)共重合(結合スチレン1〜50質量量%であるスチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体ブロックBの合成)〉
新たに窒素置換した1Lセパラブルフラスコを用意し、1段目スチレン重合で得られた重合反応溶液210g(スチレンモノマー87g(0.84mol)及びポリスチレン123gから構成される)とアクリル酸n−ブチル390g(3.0mol)を窒素ガス雰囲気下で仕込み、よく溶解させた後、130℃で360分間加熱して重合した。その後室温まで急冷して重合反応を停止させた。2段目スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合反応におけるスチレンの重合率は47%、アクリル酸n−ブチルでの重合率は39%であった(この時の重合液中の固形分濃度56質量%)。この重合反応溶液中に存在するスチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体の数平均分子量Mnは68100、重量平均分子量Mwは131000、ピークトップ分子量は116300であり、分子量分布Mw/Mnは1.92であった。
またGPCのクロマトグラムから波形分離処理を行なうことで、得られたスチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体の中のブロック共重合体の含有割合を求めた。その結果、スチレンブロック−スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体ブロックからなるジブロック共重合体(成分(ロ):A−B)が53質量%、ホモポリスチレン(成分(ハ):A)が47質量%であることが分かった。
【0073】
この2段目スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合反応溶液を240℃で2時間真空下で乾燥することにより、スチレン−アクリル酸n−ブチル系ブロック共重合体を含有する樹脂組成物の固形分を得た。この固形分を粉砕後、20mm単軸押出機によりペレット化した。
次いで、得られたペレット状の樹脂をプレス成形して厚み400μmのシートを得た。このシートからダンベル型試験片を打ち抜き、この試験片を80℃で1軸延伸し、延伸フィルムを得た。
各種分析値、シート及びシュリンクフィルムの物性評価結果を表1、表2に示す。なお各重合溶液における単量体の重合率は、ガスクロマトグラフィーにより未反応単量体を定量することで求めた。また表1記載の成分(ロ)〜(ハ)の構造は、各重合溶液における単量体の重合率及び各段階の重合における原料仕込み量から算出した。
【0074】
【比較例5】
〈スチレン及びブタジエンからなるブロック共重合体の合成〉
3L反応容器中に重合溶媒である、150ppmのテトラヒドロフランを含有するシクロヘキサン1256gとスチレンモノマー92g(0.88mol)を仕込んだ。内温を50℃にした後、この中に重合触媒溶液であるn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液3.2mL(n−ブチルリチウム0.00365mol)を加え、スチレンモノマーをアニオン重合させた。 スチレンモノマーが完全に消費された後、反応系の内温を80℃にして、86gのブタジエン(1.59mol)とスチレンモノマー124g(1.19mol)を一括添加し、引き続きこれをアニオン共重合反応させた。 ブタジエンとスチレンモノマーが完全に消費された後、引き続きスチレンモノマー92g(0.88mol)を一括添加し、アニオン重合を完結さた。最後に全ての重合活性末端を水により失活させて、GPC法による重量平均分子量が13.4万で、ブタジエン含有率が22wt%である、ポリスチレンブロック部、スチレンとブタジエンのテーパーブロック部、ポリスチレンブロック部の3つのブロック部を持つトリブロック共重合体を含む重合液を得た。
【0075】
この重合液は大量のメタノール中に注いで固形分を析出させ、得られた固形分を真空乾燥した後に単軸押出機によりペレット化することで、トリブロック共重合体の樹脂を得た。得られたペレット状の樹脂はプレス成形して厚み400μmのシートを得た。このシートからダンベル型試験片を打ち抜き、この試験片を80℃で1軸延伸し、延伸フィルムを得た。
各種分析値、シート及びシュリンクフィルムの物性評価結果を表3、表4に示す。
【0076】
【表1】
【0077】
【表2】
【0078】
【表3】
【0079】
【表4】
【0080】
【表5】
【0081】
【表6】
【0082】
実施例1〜3は、本発明の芳香族ビニル系化合物とアクリル酸エステル化合物を単量体としてリビングラジカル重合させて得られるブロック共重合体を含有する樹脂組成物及びそれらを用いた単層のシート及び延伸フィルム(シュリンクフィルム)の特性を示した。得られた樹脂組成物は透明性に優れ、延伸フィルムの加熱収縮性も良好で、自然収縮性が低いことが分かる。
一方比較例1では、リビングラジカル重合でなく、従来から一般に知られる過酸化物を開始剤に用いたラジカル重合によりポリスチレンを重合した後で、さらにその重合溶液にアクリル酸n−ブチルを加えてスチレン/アクリル酸n−ブチル共重合を行なって得た、ポリスチレンとスチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体の混合物の特性を示した。リビングラジカル重合でないためブロック共重合体が生成せず、その結果、得られた樹脂組成物は透明性が著しく不良であり、また強度が不十分であるため、延伸フィルムに加工することが出来なかった。
【0083】
比較例2では、実施例1と同様、ポリスチレンを重合した後でさらにその重合溶液にアクリル酸n−ブチルを加えてスチレン/アクリル酸n−ブチル共重合を行ない、引き続き重合溶液にスチレンを加えてスチレン/アクリル酸n−ブチル共重合を再度行なったが、リビングラジカル重合でなく、従来から一般に知られる過酸化物を開始剤に用いたラジカル重合によって得たポリスチレンと2種のスチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体(表5において、ポリ(スチレン−co−アクリル酸n−ブチル)▲1▼および▲2▼と呼ぶ)を含有する混合物の特性を示した。やはりリビングラジカル重合でないためブロック共重合体が生成せず、その結果、得られた樹脂組成物は透明性が著しく不良であり、また強度が不十分であるため、延伸フィルムに加工することが出来なかった。
また比較例3では、スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合をリビングラジカル重合して得た、スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体の特性を示した。延伸フィルムの加熱収縮性及び耐自然収縮性は比較的良好であるが、分子量分布が低く成形加工性が不良であるため、透明性、特にHAZE値が高く、曇った外観のシートしか得られないことが分かる。
【0084】
比較例4では、実施例1と同様、芳香族ビニル系化合物とアクリル酸エステル化合物を単量体としてリビングラジカル重合させてブロック共重合体を含有する樹脂組成物ではあるが、本発明の必須成分の結合芳香族ビニル系化合物が60〜90質量%の芳香族ビニル系化合物とアクリル酸エステル化合物の共重合体ブロック部を持たず、かつ分子量分布が2.0未満である樹脂組成物及びそれを用いた単層のシート及び延伸フィルム(シュリンクフィルム)の特性を示した。得られた樹脂組成物は、分子量分布が低く成形加工性が不良であるため、透明性、特にHAZE値が高く、曇った外観のシートしか得られずない。また延伸フィルムの加熱収縮性も不良であることが分かる。
さらに比較例5では、アニオン重合で得られるスチレンとブタジエンからなるブロック共重合体の特性を示した。延伸フィルムの加熱収縮性及び耐自然収縮性のバランスが、本発明の芳香族ビニル系化合物とアクリル酸エステル化合物を単量体としてリビングラジカル重合させて得られるブロック共重合体を含有する樹脂組成物よりも劣ることが分かる。
実施例4〜5は、本発明の芳香族ビニル系化合物とアクリル酸エステル化合物を単量体としてリビングラジカル重合させて得られるブロック共重合体を含有する樹脂組成物、とスチレンとブタジエンからなるブロック共重合体を用いた、多層のシート及び延伸フィルム(シュリンクフィルム)の特性を示した。多層化しても、本発明の樹脂組成物からなるシートは透明性に優れ、延伸フィルムの加熱収縮性も良好で、自然収縮性が低いことが分かる。
【0085】
【発明の効果】
以上の通り、本発明によれば、リビングラジカル重合により芳香族ビニル系化合物とアクリル酸エステル化合物を単量体成分として製造されるブロック共重合体を主成分とする樹脂組成物を必須成分とする樹脂成分を用いると、透明性、外観特性、成形加工性に優れ、さらに低温収縮性を付与しつつ自然収縮抑止性も良好なシュリンクフィルムが得られる。
【産業上の利用分野】
本発明は、芳香族ビニル系化合物とアクリル酸エステル化合物を単量体成分としてリビングラジカル重合により製造された特定構造のブロック共重合体を含有する芳香族ビニル系化合物−アクリル酸エステル化合物系樹脂組成物、及びこの樹脂組成物を必須成分とし、低温における収縮特性に優れ、また常温域での経時的寸法変化(以下、自然収縮性とする)が改良され、更に高透明性、高光沢性、優れた機械的強度、外観特性、成形加工性を有するシュリンクフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、収縮包装用シュリンクフィルムとしては、収縮性、機械的強度及び透明性等からポリ塩化ビニル樹脂を素材としたシュリンクフィルムが多用されてきたが、廃棄物の焼却時に発生する塩化水素ガスによる環境問題や塩素ガスによる焼却炉の腐食問題等から、スチレンーブタジエンブロック共重合体系シュリンクフィルムへ移行しつつある。そこで近年のPETボトルの登場とともに低温収縮性を付与し、機械物性を向上したシュリンクフィルムとして、スチレンーブタジエンブロック共重合体にポリスチレンを配合する方法(例えば、特許文献1参照。)や、ブタジエン含量の異なるスチレンーブタジエンブロック共重合体を混合したシュリンクフィルム(例えば、特許文献2参照。)、さらにスチレンーブタジエンブロック共重合体のスチレン含量や重合度を調整したブロック共重合体を用いたシュリンクフィルム等が開発されている。
しかし、このようなスチレンーブタジエンブロック共重合体系シュリンクフィルムは、フィルム中のゴム成分が高いため、延伸成膜後の剛性や透明性に劣り、低温収縮性はある程度実現しているものの自然収縮性が発生するものしか得られないのが現状である。
【0003】
そこで剛性と透明性を兼備し、収縮特性、特に低温収縮性を達成しつつ自然収縮性を改良したシュリンクフィルムを得る試みとして、スチレン、(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよびブタジエン系ゴム質重合体からなる混合溶液を重合させて得られるゴム変性熱可塑性樹脂を一成分とするシュリンクフィルムが開発されている(例えば、特許文献3〜5参照。)。さらに、ゴム質重合体にスチレン系モノマーと(メタ)アクリル酸エステルとをグラフト重合して得られるゴム変性熱可塑性樹脂を中間層とし、スチレンーブタジエンブロック共重合体を主成分とした特定組成の樹脂を表裏層とした積層フィルムを延伸して得られるシュリンクフィルムが開発されている(例えば、特許文献6参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特公平2−55218号公報
【特許文献2】
特公昭55−5544号公報
【特許文献3】
特開平8−34861号公報
【特許文献4】
特開平9−29838号公報
【特許文献5】
特開平11−236457号公報
【特許文献6】
特開平11−188818号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしこのようなゴム変性熱可塑性樹脂を一成分とするシュリンクフィルムについても、自然収縮性の抑制は未だ不充分で、低温収縮性もまだ改良の余地があり、また剛性、透明性、成形加工性等の物性バランスにも問題があり、市場要求を十分に満足するにはいたっていない。
【0006】
【発明を解決するための手段】
本発明者らは、かかる現状に鑑み、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、リビングラジカル重合により芳香族ビニル系化合物とアクリル酸エステル化合物を単量体成分として製造されるブロック共重合体を主成分とする樹脂組成物を原料とするフィルムを延伸することにより、自然収縮性が抑制されつつ低温収縮性に優れ、さらに剛性、耐衝撃性、透明性、外観特性、成形加工性等の物性バランスが良好なシュリンクフィルムが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、芳香族ビニル系化合物とアクリル酸エステル化合物を単量体としてリビングラジカル重合させて、60〜90質量%の芳香族ビニル系化合物および10〜40質量%のアクリル酸エステル化合物からなる共重合体ブロック部を少なくとも一つ有するブロック共重合体を含有する樹脂組成物であって、(1)該樹脂組成物中の芳香族ビニル系化合物単位の含有量が20〜80質量%であり、
(2)該樹脂組成物のガラス転移温度が40〜80℃の範囲にあり、
(3)該樹脂組成物の分子量分布(重量平均分子量をMw、数平均分子量をMnとした時のMw/Mn)が2.0以上、5.0以下である芳香族ビニル系化合物−アクリル酸エステル化合物系樹脂組成物に関するものである。
さらに本発明は、該ブロック共重合体を必須成分とする樹脂成分から構成されることを特徴とするシュリンクフィルムに関するものである。
【発明実施の形態】
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明を構成する芳香族ビニル系化合物−アクリル酸エステル化合物系樹脂組成物は、芳香族ビニル系化合物とアクリル酸エステル化合物を単量体としてリビングラジカル重合させて得られるブロック共重合体を含有する。
ここで芳香族ビニル系化合物としては、例えばスチレンの他、α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレンなどのα−アルキル置換スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2、4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、p−tert−ブチルスチレンのような核アルキル置換スチレン、o−クロルスチレン、m−クロルスチレン、p−クロルスチレン、p−ブロモスチレン、2−メチル−1、4−クロルスチレン、2、4−ジブロモスチレン等のような核ハロゲン化スチレン、ビニルナフタレン等が挙げられ、更にこれらの1種または2種以上の混合物を用いることもできる。代表的な芳香族ビニル系化合物としては、スチレンの単独もしくは、その一部をスチレン以外の上記芳香族ビニル系化合物で置き換えた化合物である。
【0008】
またアクリル酸エステル化合物としては、具体的にはアクリル酸メトキシエチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸トリデシル、アクリル酸パルミチン、アクリル酸ペンタデシル、アクリル酸ステアリルなどが挙げられ、炭素数4以上のアルキルアルコールとアクリル酸とのエステル化合物が好ましく用いられる。特に好ましくはアクリル酸n−ブチル等が挙げられる。
【0009】
本発明の芳香族ビニル系化合物及びアクリル酸エステル化合物系樹脂組成物
は、芳香族ビニル系化合物とアクリル酸エステル化合物を単量体としてリビングラジカル重合させて得られるが、単量体として芳香族ビニル系化合物及びアクリル酸エステル化合物以外に、これらと共重合可能な化合物を第3の単量体として用いてもよい。
芳香族ビニル系化合物及びアクリル酸エステル化合物と共重合可能な化合物としては、例えばアクリロニトリル、メタクリルニトリル、フマロニトリル、マレオニトリル、αークロロアクリロニトリル等のシアン化ビニルや、メタクリル酸メチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸エステル化合物、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミドなどのマレイミド化合物、メタクリル酸、アクリル酸、無水マレイン酸、酢酸ビニル、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
【0010】
本発明の芳香族ビニル系化合物−アクリル酸エステル化合物系樹脂組成物は、芳香族ビニル系化合物とアクリル酸エステル化合物を単量体に用いてリビングラジカル重合により製造される。一般にラジカル重合は、重合速度が速く、ラジカル同士のカップリング反応等による停止反応が起こりやすいため制御が難しい。しかしリビングラジカル重合では、停止反応が起こり難く、分子量分布の狭い(重量平均分子量をMw、数平均分子量をMnとした時のMw/Mnが1.1〜1.5程度)重合体が得られる。
【0011】
重合体の分子量はモノマーと開始剤の仕込み比によって自由にコントロールでき、更に第1のモノマーが消費された後に第2のモノマーを重合系に添加することでブロック共重合体を合成することもできる。なお、リビング重合は狭義においては、末端が常に活性を持ちつづけて分子鎖が生長していく重合のことをいうが、一般には、末端が不活性化されたものと活性化されたものが平衡状態にありながら生長していく擬リビング重合も含まれる。本発明における定義も後者である。
【0012】
リビングラジカル重合は近年様々なグループで積極的に研究がなされており、例えば、コバルトポルフィリン錯体を用いるもの、ニトロキシフリーラジカルなどのようなラジカルキャッピング剤を用いるもの、有機ハロゲン化合物等を開始剤とし遷移金属錯体を触媒とする「原子移動ラジカル重合」などが知られている。本発明のリビングラジカル重合は、上記方法のうちどれを使用するかは特に制限はないが、ニトロキシフリーラジカルなどのようなラジカルキャッピング剤を用いる方法が好ましい。
【0013】
ラジカルキャッピング剤を用いるリビングラジカル重合法は、ラジカル発生剤とラジカルキャッピング剤を併用して重合する。ラジカル発生剤とラジカルキャッピング剤との反応生成物が重合開始剤となって付加重合性モノマーの重合が進行すると考えられる。両者の併用割合は特に限定されないが、ラジカル発生剤1モルに対してラジカルキャッピング剤を0.1〜10モル用いるのが好ましく、特に好ましくはラジカル発生剤1モルに対してラジカルキャッピング剤を1〜1.5モル、更に好ましくはラジカル発生剤1モルに対してラジカルキャッピング剤を1.1〜1.4モル用いるのが好適である。
【0014】
ラジカル発生剤としては、種々の化合物を用いることができるが、好ましくは、重合温度条件下で、ラジカルを発生しうるパーオキサイドが挙げられる。パーオキサイドとしては、限定はされないが、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、イソブチロイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3、5、5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−クミルパーオキサイド、α、α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2、5−ジメチル−2、5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2、5−ジメチル−2、5ージ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキサイド類、2、2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2、2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、1、1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3、3、5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4、4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バリレート等のパーオキシケタール類、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−メトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等のパーオキシカーボネート類、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシピパレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシ2ーエチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ3、5、5ートリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジーt−ブチルジパーオキシイソフタレート、2、5ージメチルー2、5ージ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等のパーオキシエステル類、アセチルアセトンパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、3、3、5ートリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、クメンハイドロパーオキサイド、ジーイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、2、5ージメチルヘキサン2、5ージハイドロパーオキサイド、1、1、3、3ーテトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、2塩基酸のポリアシルパーオキサイド類、2塩基酸とポリオールとのポリパーオキシエステル類が挙げられる。この中では、ベンゾイルパーオキサイドが好ましく用いられる。
【0015】
また、パーオキサイドの代わりにラジカル発生性アゾ化合物等もラジカル発生剤として用いることが出来る。ラジカル発生性アゾ化合物としては、例えばアゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。
【0016】
ラジカルキャッピング剤としては、ラジカル補足性の化合物であれば特に制限はないが、一般に知られる安定なニトロキシフリーラジカル(=N−O・)等を用いることができる。具体的なニトロキシフリーラジカル化合物としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピぺリジニルオキシラジカル(TEMPO)、2,2,6,6−テトラエチル−1−ピぺリジニルオキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−4−オキソ−1−ピぺリジニルオキシラジカル(OH−TEMPO)、2,2,5,5−テトラメチル−1−ピロリジニルオキシラジカル、1,1,3,3−テトラメチル−2−イソインドリニルオキシラジカル等の環状ヒドロキシアミンからのニトロキシフリーラジカルや、N,N−ジ−t−ブチルアミンオキシラジカル等が挙げられる。このようなニトロキシフリーラジカル化合物の中で、2,2,6,6−置換−1−ピぺリジニルオキシラジカルや2,2,5,5−置換−1−ピロリジニルオキシラジカル等のような環状ヒドロキシアミンからのニトロキシフリーラジカルが好ましく用いられる。この場合、置換基としてはメチル基やエチル基等の炭素数4以下のアルキル基が適当である。
【0017】
これらのニトロキシフリーラジカルの中でも特に、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピぺリジニルオキシラジカル(TEMPO)、2,2,6,6−テトラメチル−4−オキソ−1−ピぺリジニルオキシラジカル(OH−TEMPO)等の環状ヒドロキシアミンからのニトロキシフリーラジカルが、本発明のラジカルキャッピング剤として好ましく用いられ、なお好ましくは2,2,6,6−テトラメチル−4−オキソ−1−ピぺリジニルオキシラジカル(OH−TEMPO)が挙げられる。
また上記ニトロキシフリーラジカルの代わりにガルビノキシルフリーラジカル等の安定なフリーラジカルを、本発明のラジカルキャッピング剤として用いることも可能である。
【0018】
なお本発明においては、モノマーの重合反応速度を促進させるために重合加速剤を触媒量添加することが可能である。
重合加速剤としては、例えば、Macromolecules,28,8453−8455(1995)、Macromolecules,27,7228−7229(1994)、Macromolecules,30,4272−4277(1997)、Die angewandte Makromoleculare Chemie,267,52−56(1999)、Die angewandte Makromoleculare Chemie,270,42−48(1999)、Tetrahedron,53,15225−15236(1997)等に記載されている公知の化合物を使用することができる。
【0019】
中でも重合加速剤としては、有機スルホン酸化合物、酸無水物、過酸化物、から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。有機スルホン酸化合物としてはカンファースルホン酸等が挙げられ、酸無水物としては無水酢酸、無水安息香酸等が挙げられる。過酸化物を重合加速剤として用いる場合は、前述のラジカル発生剤で用いられた化合物とは異種の過酸化物を使用するのがよい。重合加速剤として用いられる過酸化物としては、ジクミルパーオキシド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。これら重合加速剤の中でも、有機スルホン酸化合物及び/又は過酸化物が好ましく用いられ、特に好ましくは有機スルホン酸化合物が挙げられる。重合加速剤の使用量は、ラジカル発生剤に対するモル比として、ラジカル発生剤:重合加速剤=0.7:1〜10:1となる範囲が好ましく、ラジカル発生剤:重合加速剤=0.7:1〜4:1となる範囲が特に好ましい。
【0020】
本発明で用いられるリビングラジカル重合で用いられる溶媒、重合温度等の重合条件は、特に限定されるものではない。重合は無溶媒または各種の溶剤中で行うことができる。無溶媒で重合するほうが重合速度が高く生産性が向上するので好ましい。
しかし溶媒を使うと重合液中の単量体濃度および生成した共重合体濃度が低くなるので、重合速度が制御の容易な程度にまで低くなって重合反応の暴走を防止することができるうえに、重合液の粘度が下がって重合液の均一な混合、さらには重合液の移動が容易になり製造プロセスとしての操作性が向上する。溶媒を使用する場合、具体的な溶媒としてはベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、アセトン、イソプロピルベンゼン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、アニソール、クロロホルム、酢酸エチルなどの有機溶剤が挙げられ、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
【0021】
なお重合液中の有機溶剤濃度が高くなる過ぎると、重合速度が低すぎて生産性が低下してしまい好ましくない。また、溶剤の回収エネルギーが大となり経済性も劣ってくる。従って反応槽での有機溶剤の濃度は重合液の総量100質量部に対し通常5〜50質量部の範囲で使用されるのが好ましい。溶剤は比較的高粘度となる重合転化率となってから添加してもよく、重合前から添加しておいてもよい。重合前から添加しておくほうが、品質の均一性、重合温度制御の点で好ましい。
重合温度は50〜180℃の温度範囲とすることが、高い重合速度及び重合速度の制御が容易な点から好ましく、特に好ましい重合温度は90〜150℃であり、なお好ましい温度範囲は110〜140℃である。
【0022】
本発明の芳香族ビニル系化合物−アクリル酸エステル化合物系樹脂組成物は、芳香族ビニル系化合物とアクリル酸エステル化合物を単量体としてリビングラジカル重合させて得られるブロック共重合体を含有し、そのブロック共重合体には、60〜90質量%の芳香族ビニル系化合物および10〜40質量%のアクリル酸エステル化合物からなる共重合体ブロック部を少なくとも一つ有する。該共重合体ブロック部は、自然収縮性を抑制しつつも低温収縮性の付与されたシュリンクフィルムを得るために必須の構造である。該共重合体ブロック部の芳香族ビニル系化合物が60質量%未満の場合は、得られるシュリンクフィルムの自然収縮性が抑制されず、芳香族ビニル系化合物が90質量%を超える場合は、シュリンクフィルムの低温収縮性が不十分となり、好ましくない。なお該共重合体ブロック部の芳香族ビニル系化合物が70〜85質量%であると、自然収縮性を抑制効果と低温収縮性のバランスが良好であり、一層好ましい。
【0023】
該ブロック共重合体の構造は、芳香族ビニル系化合物が60〜90質量%の芳香族ビニル系化合物と10〜40質量%のアクリル酸エステル化合物の共重合体ブロック部を少なくとも1つ有するのであれば特に制限はなく、線状のジブロック共重合体やトリブロック共重合体、或いはブロック数が4以上のマルチブロック共重合体、またはこれらのブロック共重合体の片末端が結合した星形の共重合体等があげられる。これらの中でも好ましいブロック共重合体構造としては、線状のジブロック共重合体やトリブロック共重合体等が挙げられ、具体的には、一般式A−B−C、C−B−C、B−C−A、B−A−C、B−C、C−A、A−B−C−A、A−B−C−B、C−B−C−B、C−B−C−A、B−C−A−B,B−C−A−C、B−A−C−A(式中、Aは芳香族ビニル系化合物重合体ブロックを表し、Bは1〜50質量%の芳香族ビニル系化合物および50〜99質量%のアクリル酸エステル化合物からなる芳香族ビニル系化合物とアクリル酸エステル化合物の共重合体ブロックを表し、Cは60〜90質量%の芳香族ビニル系化合物および10〜40質量%のアクリル酸エステル化合物からなる芳香族ビニル系化合物とアクリル酸エステル化合物の共重合体ブロックを表す。)で表されるブロック共重合体等が挙げられ、これらの片末端が結合した星形の共重合体等でも構わない。
これらの中でも、特に好ましいブロック共重合体の構造としては、一般式 A−B−C で表されるトリブロック共重合体が挙げられる。
【0024】
ここでB部はシュリンクフィルムの衝撃強度を高める効果を有し,B部の芳香族ビニル系化合物が15〜35質量%の範囲にあると、シュリンクフィルムの衝撃強度を高める効果が特に大きくなり、好ましい。B部の芳香族ビニル系化合物が50質量%を超えると、シュリンクフィルムの衝撃強度が低下する場合があり、好ましくない。またA部はシュリンクフィルムの剛性を高める効果を有し,A部が無いとシュリンクフィルムの剛性が低下する場合があり、好ましくない。
【0025】
本発明の芳香族ビニル系化合物−アクリル酸エステル化合物系樹脂組成物の製造方法は、塊状重合、懸濁重合、塊状−懸濁重合、溶液重合、乳化重合、連続重合等、公知の重合方法を用いることが出来る。好ましくは塊状重合、塊状−懸濁重合等が用いられる。
【0026】
本発明の芳香族ビニル系化合物−アクリル酸エステル化合物系樹脂組成物をリビングラジカル重合によって製造するには、樹脂組成物中に含有されるブロック共重合体部が目的のブロック構造を有するように、所定量のモノマーを逐次添加して重合を進めればよい。逐次添加するモノマーは単独であっても2種以上の混合物であってもよく、溶媒で希釈されていてもよい。添加すべきモノマーの量は、初めに仕込んだラジカル発生剤の量を考慮しながら、添加前の重合液中に残存している未反応モノマー量と目的とするブロック部の結合モノマー組成から決定することができる。またモノマーの添加方法は必要量を一括で添加しても、或いは幾つかの回数に分割して添加しても良く、さらに必要量をある期間に渡って連続的に添加してもよい。なお目的のブロック共重合体が星形の共重合体である場合は、必要量のモノマーを全量仕込んで重合を進めた後、活性化されたポリマー鎖の片末端を結合させる化合物を添加して反応させればよい。 活性化されたポリマー鎖片末端を結合させる化合物としては、ジビニルベンゼンのような重合性2重結合を複数有する有機化合物等が挙げられる。
【0027】
本発明の樹脂組成物を製造する事例として、例えば、上記一般式A−B−Cで表されるトリブロック共重合体部を含有する樹脂組成物を製造する場合を以下に説明する。
まず1段目重合としてAブロック部を重合するが、これには目的の分子量が得られるように仕込み量を決定した上で、芳香族ビニル系化合物、ラジカル発生剤、ラジカルキャッピング剤、及び必要に応じて溶媒及び重合加速剤を溶解し、所定温度で重合を進める。芳香族ビニル系化合物とラジカル発生剤の仕込み量の比としては、好ましくは芳香族ビニル系化合物/ラジカル発生剤=500/1〜2000/1(モル比)、更に好ましくは芳香族ビニル系化合物/ラジカル発生剤=800/1〜1700/1(モル比)、特に好ましくは芳香族ビニル系化合物/ラジカル発生剤=900/1〜1500/1(モル比)の範囲が挙げられる。1段目重合の終点は特に制限はないが、重合液中の固形分濃度として40%以上に達した時点で所定量のモノマーを新たに重合系に添加して、2段目重合に入るのが好ましい。
【0028】
この時添加するモノマーの量は、2段目重合で合成するBブロック部が目的とする芳香族ビニル系化合物含有量となるように、1段目重合で反応せずに残った芳香族ビニル系化合物の量を基準にして適宜決めればよい。またアクリル酸エステル化合物単独或いは、必要に応じて芳香族ビニル系化合物等のような他のモノマーや溶媒とアクリル酸エステル化合物との混合物として添加すればよい。 なお、1段目重合で反応せずに残った芳香族ビニル系化合物の量と、仕込むべきアクリル酸エステル化合物の量としては、好ましくは芳香族ビニル系化合物/アクリル酸エステル化合物=1/99〜50/50(質量比)、更に好ましくは芳香族ビニル系化合物/アクリル酸エステル化合物=10/85〜35/65(質量比)の範囲が挙げられる。モノマーを添加して2段目重合を所定温度で継続した後、3段目重合のために所定量のモノマーを新たに重合系に添加する。
【0029】
この2段目重合の終点も特に制限はないが、重合液中の固形分濃度として、好ましくは30%以上、さらに好ましくは40%以上に達した時点で所定量のモノマーを新たに重合系に添加して、3段目重合に入るのが良い。またこの時添加するモノマーの量は、3段目重合で合成するCブロック部が目的とする芳香族ビニル系化合物含有量となるように、2段目重合で反応せずに残ったモノマーの量を基準にして適宜決めればよい。また芳香族ビニル系化合物単独或いは、必要に応じて芳香族ビニル系化合物等のような他のモノマーや溶媒とアクリル酸エステル化合物との混合物として添加すればよい。なお、2段目重合で反応せずに残った芳香族ビニル系化合物の量と、仕込むべきアクリル酸エステル化合物の量としては、好ましくは芳香族ビニル系化合物/アクリル酸エステル化合物=60/40〜90/10(質量比)、更に好ましくは芳香族ビニル系化合物/アクリル酸エステル化合物=70/30〜85/15(質量比)の範囲が挙げられる。
【0030】
こうして再度モノマーを添加して3段目重合を所定温度で継続することにより、一般式A−B−Cで表されるトリブロック共重合体部を含有する本発明の樹脂組成物を得ることができる。この3段目重合の終点も特に制限はないが、重合液中の固形分濃度として40%以上に達した時点を終点とすることが好ましい。
なお重合形態は、塊状重合、懸濁重合、塊状−懸濁重合、溶液重合、乳化重合、連続重合等、公知の重合方法を用いることが出来るが、塊状重合或いは溶液重合で行うことが望ましい。
溶液重合の場合、3段目重合の終点は重合液中の固形分濃度として95%以上に達した時点を終点とすることがなお好ましく、塊状重合の場合は、3段目重合の終点は重合液中の固形分濃度として40%以上に達した時点を終点とすることが好ましく、75%以上に達した時点を終点とすることが更に好ましい。
さらに塊状−懸濁重合を用いることも可能であり、この場合塊状重合から懸濁重合へ移行する時期に特に制限はないが、3段目重合における固形分濃度が40%以上に達した時点とするのが好ましく、懸濁重合へ移行した後は、懸濁液滴中の固形分濃度が95%以上に達した時点を3段目重合の終点とすることが好ましい。
【0031】
ところでリビングラジカル重合は、活性化されたポリマー鎖片末端は不活性化されたポリマー鎖片末端と平衡状態を保ちながら重合が進行する擬リビング重合であるが、一部の活性化された片末端については不均化或いは再結合等の停止反応を起こすことがあり、本発明のようなモノマーを逐次添加してブロック重合する場合、モノマー添加の時点で停止反応が起きやすい。
従って本発明の芳香族ビニル系化合物−アクリル酸エステル化合物系樹脂組成物は目的のブロック共重合体だけでなく、途中で重合が停止した所謂”deadpolymer”を含有し、特に”dead polymer”として、目的のブロック共重合体よりも少ないブロック数を有するブロック共重合体等を含有する。このため本発明の樹脂組成物は、重量平均分子量をMw、数平均分子量をMnとした時のMw/Mnが2.0以上、5.0以下であり、広い分子量分布を有すが、これにより本発明の樹脂組成物は成形加工性に優れるという長所を持つことになった。Mw/Mnが2.0未満であると成形加工性に劣り、好ましくない。一方、Mw/Mnの上限値としては、5.0を超えると高分子量成分及び低分子量成分が多くなり、シュリンクフィルムの外観特性に悪影響を及ぼすことがありうることから、5.0以下が好ましい。そしてMw/Mnの範囲が2.0以上4.0以下であると、外観特性の良好なシュリンクフィルムが得られ特に好ましく、Mw/Mnの範囲が2.0以上3.0以下であると、優れた外観特性、透明性、低温収縮性、抑制された自然収縮性を有する物性バランスの良いシュリンクフィルムが得られ、なお好ましい。
なお目的のブロック共重合体よりも少ないブロック数を有するブロック共重合体とは、目的のブロック共重合体が例えばトリブロック共重合体であるならば、ジブロック共重合体やモノブロック(共)重合体であり、目的のブロック共重合体が例えばジブロック共重合体であるならば、モノブロック(共)重合体を指す。
【0032】
本発明の芳香族ビニル系化合物−アクリル酸エステル化合物系樹脂組成物におけるブロック共重合体の含有割合には特に制限は無いが、10%以上あればよく、好ましくは50%以上である。ブロック共重合体の含有割合は、クロマトグラフィーにより、目的のブロック共重合体よりも少ないブロック数を有するブロック共重合体を分離して測定してもよく、或いは溶媒分別法によって目的のブロック共重合体よりも少ないブロック数を有するブロック共重合体を除去して測定してもよい。クロマトグラフィーによりブロック共重合体の含有割合を測定する場合は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー(TLC)などいずれを用いてもよいが、好ましくは高速液体クロマトグラフィー(HPLC)が使用される。
【0033】
HPLCでは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)、溶媒グラジエント法吸着クロマトグラフィー、分別溶解クロマトグラフィー、相分離クロマトグラフィー、臨界吸着点液体クロマトグラフィー(LC−CAP)、超臨界流体を移動層に用いたLC−CAP等が挙げられるが、好ましくはGPCが用いられる。GPCによりブロック共重合体の含有割合を測定するには、まずクロマトグラム上の各成分に由来するピークを波形分離する。そして波形分離して得られたブロック共重合体のピーク面積の全クロマトグラム面積に対する割合を、芳香族ビニル系化合物−アクリル酸エステル化合物系樹脂組成物におけるブロック共重合体の含有割合とすればよい。
溶媒分別法によりブロック共重合体の含有割合を測定する場合は、シクロヘキサン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、トルエン、メタノール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル等の溶媒を1種或いは複数種用いて、液−液相分離或いは沈殿させることによりブロック共重合体を分取して、含有割合を算出すればよい。
【0034】
このように、本発明の芳香族ビニル系化合物−アクリル酸エステル化合物系樹脂組成物は、芳香族ビニル系化合物とアクリル酸エステル化合物を単量体としてリビングラジカル重合させて得られるブロック共重合体を含有するが、前述のように、目的のブロック共重合体だけでなく、途中で重合が停止した結果、目的のブロック共重合体よりも少ないブロック数を有するブロック共重合体も、”dead polymer”として含有されるようになる。このため本発明の芳香族ビニル系化合物−アクリル酸エステル化合物系樹脂組成物は、”dead polymer”も含めて、次の成分(イ)〜(ハ)から構成されるものが、該樹脂組成物の分子量分布が広くなり、成形加工性に特に優れるようになるため、特に好ましい。
【0035】
(イ)一般式 A−B−C
(式中、Aは芳香族ビニル系化合物重合体ブロックを表し、Bは1〜50質量%の芳香族ビニル系化合物および50〜99質量%のアクリル酸エステル化合物からなる芳香族ビニル系化合物とアクリル酸エステル化合物の共重合体ブロックを表し、Cは60〜90質量%の芳香族ビニル系化合物および10〜40質量%のアクリル酸エステル化合物からなる芳香族ビニル系化合物とアクリル酸エステル化合物の共重合体ブロックを表す。)で表されるトリブロック共重合体。
(ロ)一般式 A−B
(式中、Aは芳香族ビニル系化合物重合体ブロックを表し、Bは1〜50質量%の芳香族ビニル系化合物および50〜99質量%のアクリル酸エステル化合物からなる芳香族ビニル系化合物とアクリル酸エステル化合物の共重合体ブロックを表す。)で表されるジブロック共重合体。
(ハ)一般式 A
(式中、Aは芳香族ビニル系化合物重合体を表す)で表される芳香族ビニル系化合物単独重合体。
【0036】
成分(イ)〜(ハ)の割合には特に制限は無いが、トリブロック共重合体(イ)及びジブロック共重合体(ロ)の合計が成分(イ)〜(ハ)の全体に対して10質量%以上あればよく、好ましくは50質量%以上あればよい。成分(イ)〜(ハ)の割合の好ましい質量範囲としては(イ)/(ロ)/(ハ)=5〜85/5〜85/10〜90、特に好ましい範囲としては、(イ)/(ロ)/(ハ)=10〜60/10〜60/10〜50等が挙げられる。なお成分(イ)〜(ハ)の割合は前述のように、クロマトグラムの波形分離による方法や、或いは溶媒分別による方法等によって求められる。
また全樹脂組成物中のA、B、及びCの割合も特に制限は無いが、好ましい質量範囲としてはA/B/C=5〜40/10〜50/10〜85、特に好ましい範囲としては、(イ)/(ロ)/(ハ)=10〜20/15〜30/50〜70等が挙げられる。
【0037】
さらに全樹脂組成物中のA、B及びCの各ブロック部の分子量も特に制限は無いが、好ましい分子量の範囲としては、Aが35000〜70000、Bが25000〜130000、Cが70000〜180000の範囲、特に好ましくはAが40000〜65000、Bが30000〜65000、Cが140000〜175000の範囲が挙げられる。なおここでいう分子量とは、Aブロック部については、1段目重合としてAブロック部を重合して終点を迎えたときに生成している重合体の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)によるピークトップ分子量の値をいい、Bブロック部については、2段目重合としてBブロック部を重合して終点を迎えた時に生成している共重合体のGPCによるピークトップ分子量の値と、1段目重合としてAブロック部を重合して終点を迎えたときに生成している重合体のGPCによるピークトップ分子量の値の差をいう。そしてCブロック部については、3段目重合としてCブロック部を重合して終点を迎えた時に生成している共重合体のGPCによるピークトップ分子量の値と、2段目重合としてBブロック部を重合して終点を迎えたときに生成している共重合体のGPCによるピークトップ分子量の値の差をいう。
【0038】
また、本発明の芳香族ビニル系化合物−アクリル酸エステル化合物系樹脂組成物は、全樹脂組成物中の芳香族ビニル系化合物の含有量が20〜80質量%であり、好ましくは50〜80質量%である。全樹脂組成物中の芳香族ビニル系化合物の含有量が20質量%未満の場合は、得られるシュリンクフィルムの剛性が充分でなく、全樹脂組成物中の芳香族ビニル系化合物の含有量が80質量%を超える場合は、シュリンクフィルムの衝撃強度が不十分となり、好ましくない。
そして、本発明の芳香族ビニル系化合物−アクリル酸エステル化合物系樹脂組成物は40〜80℃の範囲、更に好ましくは45〜70℃の範囲にガラス転移温度を有する。該樹脂組成物のガラス転移温度が40℃未満の場合は、得られるシュリンクフィルムの自然収縮性が大きく好ましくない。一方ガラス転移温度が80℃%を超える場合は、低温収縮性が不十分となり、好ましくない。
【0039】
なお本発明の芳香族ビニル系化合物−アクリル酸エステル化合物系樹脂組成物は、−60〜10℃の範囲にもう1つのガラス転移温度を有すると、得られるシュリンクフィルムの衝撃強度が向上するため好ましく、−40〜10℃の範囲にもう1つのガラス転移温度を有すると、一層好ましい。ところで、本発明の該樹脂組成物のガラス転移温度は測定方法に特に制限はないが、DSCや動的粘弾性等の公知の方法で測定され、好ましくはDSCが用いられる。
【0040】
また、本発明の芳香族ビニル系化合物−アクリル酸エステル化合物系樹脂組成物には、一般的に知られている添加剤、即ち、既知の酸化防止剤、例えば2、6ージーtert−ブチルー4ーメチルフェノール、2ー(1ーメチルシクロヘキシル)4、6ージメチルフェノール、2、2’ーメチレンービス(4ーエチルー6ーtertーブチルフェノール)、4、4’ーチオビスー(6ーtertーブチルー3ーメチルフェノール)、ジラウリルチオジプロピオネート、トリス(ジーノニルヘニル)ホスファイトやカルシウム、錫などの無機安定剤;既知の紫外線吸収剤、例えばp−tert−ブチルフェニルサリシレート、2、2’ージヒドロキシー4ーメトキシベンゾフェノヘン、2ー(2’ーヒドロキシー4’−n−オクトキシフェニル)ベンゾチアゾール;既知の難燃剤、例えば酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、硼酸亜鉛、トリクレジルホスフェート、塩素化パラフィン、テトラブロモブタン、ヘキサブロモブタン、テトラブロモビスフェノールA;既知の帯電防止剤、例えばステアロアミドプロピルジメチルーβーヒドロキシエチルアンモニウムニトレート;既知の着色剤、例えば酸化チタン、カーボンブラック、その他の無機あるいは有機顔料;既知の充填剤、例えば炭酸カルシウム、クレー、シリカ、ガラス繊維、ガラス球、カーボン繊維、補強用エラストマーとしてMBS、SBR,SBS,SIS,あるいはそれらの水添物等を必要に応じて添加することができるが、これらに限られるものではない。さらにこれらの添加剤を樹脂に配合する際に添加剤を単独で配合してもよいし複数の種類の添加剤を配合してもよい。さらに他の樹脂とブレンドして成形に供することもできる。また、これらの添加剤は、重合プロセスの途中段階で添加してもよい。
またシュリンクフィルムの表面の特性を改質するためにスチレン系樹脂やアクリル樹脂などで用いられている改質剤をシュリンクフィルムの表面に塗布することができる。
【0041】
更に本発明の芳香族ビニル系化合物−アクリル酸エステル化合物系樹脂組成物に対しては、目的に応じて種種の可塑剤及び滑剤を添加することが可能である。可塑剤としては、公知のものがいずれも使用できる。例えばジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等のフタル酸系や、ジ−n−ブチルアジペート、ジ−(2−エチルヘキシルアジペート)等のアジピン酸系、アセチルトリ−n−ブチルシトレート等のクエン酸系、ジ−n−ブチルセバケート、ジ−(2−エチルヘキシル)セバケート等のセバシン酸系、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化脂肪酸エステル等のエポキシ系、またコハク酸、グルタル酸、アジピン酸等の二塩基酸と、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール等の分子量200以下の2価アルコールからなるポリエステル系、等が挙げられる。
【0042】
また滑剤としては、公知のものがいずれも使用できる。例えば、金属石鹸系、炭化水素系の流動パラフィン、ポリエチレンワックス等や、脂肪酸系の高級脂肪酸、オキシ脂肪酸等や、エステル系のグリセリド、エステルワックス等や、脂肪酸アミド系の脂肪酸アミド、ビス脂肪酸アミド等や、脂肪酸ケトン系、複合滑剤系等が挙げられる。
具体例としては、パラフィンワックス、ステアリン酸、硬化油、ステアロアミド、エチレンビスステアリルアミド、n−ブチルステアレート、ケトンワックス、オクチルアルコール、ラウリルアルコール、ヒドロキシステアリン酸トリグリセリド、ポリシロキサン、アルキル燐酸エステル等がある。
可塑剤及び滑剤の添加方法は特に制限されない。
【0043】
本発明の芳香族ビニル系化合物−アクリル酸エステル化合物系樹脂組成物からシュリンクフィルムを製造する方法としては、特に限定されるものではないが、以下に説明する製造方法が好ましい。即ち、本発明の芳香族ビニル系化合物−アクリル酸エステル化合物系樹脂組成物を必須成分とし、その他に必要に応じて、既知の添加剤を配合した樹脂成分を溶融混練後押出し、少なくとも一方向に延伸する方法が挙げられる。これによって、単層のシュリンクフィルムが得られる。 なお樹脂成分として、必須成分である本発明の芳香族ビニル系化合物−アクリル酸エステル化合物系樹脂組成物の他に、スチレンとブタジエンのブロック共重合樹脂等を含有させ、さらに必要に応じて既知の添加剤を配合したものを用いてシュリンクフィルムとしても差し支えない。
【0044】
また本発明の芳香族ビニル系化合物−アクリル酸エステル化合物系樹脂組成物を必須成分とし、その他に必要に応じて、既知の添加剤を配合した樹脂成分を溶融混練後押出し、少なくとも一方向に延伸すると共に、その両表面に第2の樹脂を主成分とする表面層を形成させる方法により、多層のシュリンクフィルムを得てもよい。この場合、第2の樹脂としては、芳香族ビニル系化合物と共役ジエンからなるブロック共重合体を主体とする樹脂成分等が用いられ、好ましくは、スチレンとブタジエンの質量比が90/10〜60/40であるスチレンとブタジエンからなるブロック共重合体等が用いられる。また内層となる樹脂成分として、必須成分である本発明の芳香族ビニル系化合物−アクリル酸エステル化合物系樹脂組成物の他に、スチレンとブタジエンのブロック共重合樹脂等を含有させ、さらに必要に応じて既知の添加剤を配合したものを用いても差し支えない。
さらに、多層のシュリンクフィルムとして、芳香族ビニル系化合物と共役ジエンからなるブロック共重合体を主体とする樹脂成分で形成された層を内層とし、本発明の芳香族ビニル系化合物−アクリル酸エステル化合物系樹脂組成物を必須成分とする樹脂成分を主体とする層を外層とすることも可能である。
【0045】
後者の多層のシュリンクフィルムの製造方法においては、具体的には共押出し次いで延伸する方法、予め成膜したフィルムを押出しと同時に熱ラミネートし、次いで延伸する方法、別々に押出し、成膜したシートをラミネートして得られる原反を延伸するか、或いは別々に押出し延伸して得られたフィルムをラミネートする方法等が挙げられる。
上記単層及び多層のシュリンクフィルムの製造において、原料組成物から単層或いは多層シュリンクフィルムを製造する際の押出温度は、製造方法によって異なり、特に制限されるものではないが、通常、190〜250℃、中でも200〜230℃であることが好ましい。
また上記単層及び多層のシュリンクフィルムの製造における延伸方法としては、特に制限されるものではなく、1軸或いは2軸に、同時或いは逐次に延伸する方法が好ましい。
【0046】
得られるシュリンクフィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、10〜250μmであることが好ましい。即ち、10μm以上にすることにより衝撃性が良好となり、また収縮特性を調整することが容易になる。 一方250μm以下にすることにより、透明性が顕著になる。
なお、芳香族ビニル系化合物と共役ジエンからなるブロック共重合体を主体とする樹脂成分においては、前記のリビングラジカル重合させて得られるブロック共重合体で述べたのと同様の芳香族ビニル系化合物を用いることができる。また共役ジエンとしては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどあげられるが、特に一般的なものとしては、1,3−ブタジエン、イソプレンが挙げられる。
【0047】
【実施例】
以下に実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。尚、実施例および比較例において示すデータは、下記方法に従って測定した。
スチレン−アクリル酸エステル化合物系ブロック共重合体を含有する樹脂組成物の分子量および分子量分布は、GPC法により、標準ポリスチレンで検量線を作成することで、次の条件で測定した。
溶媒(移動相):THF、脱気装置:ERMA社製ERC−3310、ポンプ:日本分光社製PU−980,流速1.0ml/min、オートサンプラ:東ソー社製AS−8020、カラムオーブン:日立製作所製L−5030、設定温度40℃、カラム構成:東ソー社製TSKgurdcolumn MP(×L)6.0mmID×4.0cm 1本、および東ソー社製TSK−GEL MULTIPORE HXL−M 7.8mmID×30.0cm 2本、計3本、検出器:RI 日立製作所製L−3350、データ処理:SIC480データステーション。
【0048】
スチレン−アクリル酸エステル化合物系ブロック共重合体を含有する樹脂組成物のガラス転移点は、セイコー電子工業社製DSC装置「DSC−200」およびTAステーション「SSC−5000」を使用し、スチレン−アクリル酸エステル化合物系ブロック共重合体を試料に用いて、次の条件で測定した。
室温から130℃まで昇温し、その温度で約10分間保持し、20〜25℃/分の冷却速度で−130℃まで冷却し、その温度で約10分間保持した後、再度130℃まで10℃/分の昇温速度で昇温し(n=1)、その温度で約10分間保持し、20〜25℃/分の冷却速度で−130℃まで冷却し、その温度で約10分間保持した後、130℃まで10℃/分の昇温速度で昇温し(n=2)、2度の測定結果の平均値を記録した。
【0049】
また、実施例1〜3及び比較例1〜5については、重合で得られた樹脂組成物からシートを成形する方法はプレス成形によった。即ち、ペレット状の樹脂を210℃で7分間予熱した後、同温度で3分間プレスして厚み400μmのシートを得た。さらにこのシートから延伸フィルムを得る方法は、次の様に行なった。即ち、得られたシートからダンベル型試験片を打ち抜き、この試験片を引張試験機により80℃の雰囲気下、延伸速度60mm/minで5倍に延伸(1軸延伸)した。その後5倍に延伸された状態で2分間室温下で冷却して、80μmの延伸フィルムを得た。
全光線透過率およびHAZEの測定は、シートを試料に用いて、JIS−K7105に準拠した。
加熱収縮率は、延伸フィルム(シュリンクフィルム)を80℃の温水バスに10秒間浸漬し、収縮率を測定した。なお加熱収縮率とは、収縮した長さを元の寸法で割った値から算出される百分率(%)である。
自然収縮率は、延伸フィルム(シュリンクフィルム)を40℃の雰囲気の恒温槽に7日間放置し、収縮した長さを元の寸法で割った値から算出される百分率 (%)として求めた。
【0050】
【実施例1】
〈1段目スチレン重合(スチレン重合体ブロックAの合成)〉
1Lセパラブルフラスコを窒素置換した後、スチレン600g(5.77mol)、過酸化ベンゾイル1.39g(0.0057mol)、2,2,6,6−テトラメチル−4−オキソ−1−ピぺリジニルオキシラジカル(以下、OH−TEMPOと略す)1.283g(0.0075mol)、カンファースルホン酸0.87g(0.0037mol)を窒素ガス雰囲気下において仕込み、130℃で140分間加熱して重合した。その後室温まで急冷して重合反応を停止させた。スチレンの重合率は58%であった(この時の重合液中の固形分濃度58質量%)。重合反応溶液中に存在するポリスチレンの数平均分子量Mnは41000、重量平均分子量Mwは58700、ピークトップ分子量は57300であり、分子量分布Mw/Mnは1.43であった。
【0051】
〈2段目スチレン/アクリル酸n−ブチル(=18/82:質量比)共重合(結合スチレン1〜50質量%であるスチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体ブロックBの合成)〉
新たに窒素置換した1Lセパラブルフラスコを用意し、1段目スチレン重合で得られた重合反応溶液210g(スチレンモノマー87g(0.84mol)及びポリスチレン123gから構成される)とアクリル酸n−ブチル390g(3.0mol)を窒素ガス雰囲気下で仕込み、よく溶解させた後、130℃で360分間加熱して重合した。その後室温まで急冷して重合反応を停止させた。2段目スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合反応におけるスチレンの重合率は47%、アクリル酸n−ブチルでの重合率は39%であった(この時の重合液中の固形分濃度56質量%)。この重合反応溶液中に存在するスチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体の数平均分子量Mnは68200、重量平均分子量Mwは131000、ピークトップ分子量は116500であり、分子量分布Mw/Mnは1.92であった。
【0052】
〈3段目スチレン/アクリル酸n−ブチル(=76/24:質量比)共重合(結合スチレン60〜90質量%であるスチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体ブロックCの合成)〉
新たに窒素置換した1Lセパラブルフラスコを用意し、2段目スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合で得られた重合反応溶液250g(スチレンモノマー12g(0.84mol)、アクリル酸n−ブチル99g(0.77mol)及びスチレン/アクリル酸n−ブチルからなる共重合体139gから構成される)とスチレン300g(2.9mol)を窒素ガス雰囲気下で仕込み、よく溶解させた後、130℃で195分間加熱して重合した。その後室温まで急冷して重合反応を停止させた。3段目スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合反応におけるスチレンの重合率は45%、アクリル酸n−ブチルでの重合率は39%であった(この時の重合液中の固形分濃度58質量%)。この重合反応溶液中に存在するスチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体の数平均分子量Mnは118200、重量平均分子量Mwは249300、ピークトップ分子量は263900であり、分子量分布Mw/Mnは2.11であった。
【0053】
またGPCのクロマトグラムから波形分離処理を行なうことで、得られたスチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体の中のブロック共重合体の含有割合を求めた。その結果、スチレンブロック−スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体ブロックからなるジブロック共重合体(成分(ロ):A−B)が41質量%、スチレンブロック−スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体ブロック−スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体ブロックからなるトリブロック共重合体(成分(イ):A−B−C)が19質量%であり、残りの40質量%がホモポリスチレン(成分(ハ):A)であることが分かった。
この3段目スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合反応溶液を240℃で2時間真空下で乾燥することにより、スチレン−アクリル酸n−ブチル系ブロック共重合体を含有する樹脂組成物の固形分を得た。この固形分を粉砕後、20mm単軸押出機によりペレット化した。
【0054】
次いで、得られたペレット状の樹脂をプレス成形して厚み400μmのシートを得た。このシートからダンベル型試験片を打ち抜き、この試験片を80℃で1軸延伸し、延伸フィルムを得た。
各種分析値、シート及びシュリンクフィルムの物性評価結果を表1、表2に示す。なお各重合溶液における単量体の重合率は、ガスクロマトグラフィーにより未反応単量体を定量することで求めた。また表1記載の成分(イ)〜(ロ)の構造は、各重合溶液における単量体の重合率及び各段階の重合における原料仕込み量から算出した。
【0055】
【実施例2】
〈1段目スチレン重合(スチレン重合体ブロックAの合成)〉
1Lセパラブルフラスコを窒素置換した後、スチレン600g(5.77mol)、過酸化ベンゾイル1.39g(0.0057mol)、2,2,6,6−テトラメチル−4−オキソ−1−ピぺリジニルオキシラジカル(以下、OH−TEMPOと略す)1.283g(0.0075mol)、無水酢酸0.76g(0.0075mol)を窒素ガス雰囲気下において仕込み、130℃で200分間加熱して重合した。その後室温まで急冷して重合反応を停止させた。スチレンの重合率は49%であった(この時の重合液中の固形分濃度49質量%)。重合反応溶液中に存在するポリスチレンの数平均分子量Mnは35100、重量平均分子量Mwは45600、ピークトップ分子量は44500であり、分子量分布Mw/Mnは1.3であった。
【0056】
〈2段目スチレン/アクリル酸n−ブチル(=22/78:質量比)共重合(結合スチレン1〜50質量%であるスチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体ブロックBの合成)〉
新たに窒素置換した1Lセパラブルフラスコを用意し、1段目スチレン重合で得られた重合反応溶液210g(スチレンモノマー108g(1.0mol)及びポリスチレン102gから構成される)とアクリル酸n−ブチル390g(3.0mol)を窒素ガス雰囲気下で仕込み、よく溶解させた後、130℃で480分間加熱して重合した。その後室温まで急冷して重合反応を停止させた。2段目スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合反応におけるスチレンの重合率は20%、アクリル酸n−ブチルでの重合率は19%であった(この時の重合液中の固形分濃度33質量%)。この重合反応溶液中に存在するスチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体の数平均分子量Mnは53100、重量平均分子量Mwは73400、ピークトップ分子量は75600であり、分子量分布Mw/Mnは1.38であった。
【0057】
〈3段目スチレン/アクリル酸n−ブチル(=71/29:質量比)共重合(結合スチレン60〜90質量%であるスチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体ブロックCの合成)〉
新たに窒素置換した1Lセパラブルフラスコを用意し、2段目スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合で得られた重合反応溶液250g(スチレンモノマー27g(0.26mol)、アクリル酸n−ブチル132g(1.0mol)及びスチレン/アクリル酸n−ブチルからなる共重合体91gから構成される)とスチレン300g(2.9mol)、無水酢酸0.11g(0.0011mol)を窒素ガス雰囲気下で仕込み、よく溶解させた後、130℃で255分間加熱して重合した。その後室温まで急冷して重合反応を停止させた。3段目スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合反応におけるスチレンの重合率は50%、アクリル酸n−ブチルの重合率は42%であった(この時の重合液中の固形分濃度56質量%)。この重合反応溶液中に存在するスチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体の数平均分子量Mnは104400、重量平均分子量Mwは215500、ピークトップ分子量は224300であり、分子量分布Mw/Mnは2.06であった。
【0058】
またGPCのクロマトグラムから波形分離処理を行なうことで、得られたスチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体の中のブロック共重合体の含有割合を求めた。その結果、スチレンブロック−スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体ブロックからなるジブロック共重合体(成分(ロ):A−B)が34質量%、スチレンブロック−スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体ブロック−スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体ブロックからなるトリブロック共重合体(成分(イ):A−B−C)が48質量%であり、残りの18質量%がホモポリスチレン(成分(ハ):A)であることが分かった。
この3段目スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合反応溶液を実施例1と同様に処理し、延伸フィルムを得た。
各種分析値、シート及びシュリンクフィルムの物性評価結果を表1、表2に示す。なお各重合溶液における単量体の重合率、表1記載の成分(イ)〜(ロ)の構造は、実施例1と同様に算出した。
【0059】
【実施例3】
〈1段目スチレン重合(スチレン重合体ブロックAの合成)〉
1Lセパラブルフラスコを窒素置換した後、スチレン600g(5.77mol)、過酸化ベンゾイル1.39g(0.0057mol)、2,2,6,6−テトラメチル−4−オキソ−1−ピぺリジニルオキシラジカル(以下、OH−TEMPOと略す)1.283g(0.0075mol)、ジクミルパーオキサイド0.4g(0.0015mol)を窒素ガス雰囲気下において仕込み、130℃で150分間加熱して重合した。その後室温まで急冷して重合反応を停止させた。スチレンの重合率は59%であった(この時の重合液中の固形分濃度59質量%)。重合反応溶液中に存在するポリスチレンの数平均分子量Mnは41500、重量平均分子量Mwは58500、ピークトップ分子量は57000であり、分子量分布Mw/Mnは1.4であった。
【0060】
〈2段目スチレン/アクリル酸n−ブチル(=18/82:質量比)共重合(結合スチレン1〜50質量%であるスチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体ブロックBの合成)〉
新たに窒素置換した1Lセパラブルフラスコを用意し、1段目スチレン重合で得られた重合反応溶液210g(スチレンモノマー86g(0.83mol)及びポリスチレン124gから構成される)とアクリル酸n−ブチル390g(3.05mol)を窒素ガス雰囲気下で仕込み、よく溶解させた後、130℃で480分間加熱して重合した。その後室温まで急冷して重合反応を停止させた。2段目スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合反応におけるスチレンの重合率は48%、アクリル酸n−ブチルでの重合率は39%であった(この時の重合液中の固形分濃度53質量%)。この重合反応溶液中に存在するスチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体の数平均分子量Mnは68500、重量平均分子量Mwは130000、ピークトップ分子量は115000であり、分子量分布Mw/Mnは1.9であった。
【0061】
〈3段目スチレン/アクリル酸n−ブチル(=76/24:質量比)共重合(結合スチレン60〜90質量%であるスチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体ブロックCの合成)〉
新たに窒素置換した1Lセパラブルフラスコを用意し、2段目スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合で得られた重合反応溶液250g(スチレンモノマー19g(0.18mol)、アクリル酸n−ブチル100g(0.78mol)及びスチレン/アクリル酸n−ブチルからなる共重合体131gから構成される)とスチレン300g(2.9mol)を窒素ガス雰囲気下で仕込み、よく溶解させた後、130℃で260分間加熱して重合した。その後室温まで急冷して重合反応を停止させた。3段目スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合反応におけるスチレンの重合率は50%、アクリル酸n−ブチルの重合率は41%であった。(この時の重合液中の固形分濃度60質量%)。この重合反応溶液中に存在するスチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体の数平均分子量Mnは118500、重量平均分子量Mwは250000、ピークトップ分子量は268000であり、分子量分布Mw/Mnは2.11であった。
【0062】
またGPCのクロマトグラムから波形分離処理を行なうことで、得られたスチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体の中のブロック共重合体の含有割合を求めた。その結果、スチレンブロック−スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体ブロックからなるジブロック共重合体(成分(ロ):A−B)が40質量%、スチレンブロック−スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体ブロック−スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体ブロックからなるトリブロック共重合体(成分(イ):A−B−C)が20質量%であり、残りの40質量%がホモポリスチレン(成分(ハ):A)であることが分かった。
この3段目スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合反応溶液を実施例1と同様に処理し、延伸フィルムを得た。
各種分析値、シート及びシュリンクフィルムの物性評価結果を表1、表2に示す。なお各重合溶液における単量体の重合率、表1記載の成分(イ)〜(ロ)の構造は、実施例1と同様に算出した。
【0063】
【実施例4】
実施例1のペレット状の樹脂を内層材とし、スチレン単位を84質量%有するスチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体を外層材に用いて、層比(%)を表/中間/表層=10/80/10として、多層のシュリンクフィルムを作成した。多層フィルムは、まず各層に対応する重合体又は重合体組成物を別々の押出機で溶融し、Tダイ内で多層化し、厚さ0.3mmのシートを成形した。その後、東洋製作所社製の二軸延伸装置を用い、温度80℃で5倍に横一軸延伸することによって延伸フイルム作成した。
シート及びシュリンクフィルムの物性評価結果を表2に示す。
なお、スチレン単位を84質量%有するスチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体は下記のようにして調製した。
3L反応容器中に重合溶媒である、150ppmのテトラヒドロフランを含有するシクロヘキサン1199gとスチレンモノマー197g(1.89mol)を仕込んだ。内温を50℃にした後、この中に重合触媒溶液であるn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液3.6mL(n−ブチルリチウム0.0042mol)を加え、スチレンモノマーをアニオン重合させた。スチレンモノマーが完全に消費された後、反応系の内温を80℃にして、75.3gのブタジエン(1.39mol)を添加し、引き続きこれをアニオン共重合反応させた。ブタジエンが完全に消費された後、引き続きスチレンモノマー197g(1.89mol)を一括添加し、アニオン重合を完結させた。最後に全ての重合活性末端を水により失活させて、GPC法による重量平均分子量が12万で、ブタジエン含有率が16wt%である、ポリスチレンブロック部、スチレンとブタジエンのテーパーブロック部、ポリスチレンブロック部の3つのブロック部を持つトリブロック共重合体を含む重合液を得た。この重合液を大量のメタノール中に注いで固形分を析出させ、得られた固形分を真空乾燥した後に単軸押出機によりペレット化することで、トリブロック共重合体の樹脂を得た。
【0064】
【実施例5】
実施例1のペレット状の樹脂を外層材とし、実施例4のスチレン単位を84質量%有するスチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体を内層材に用いて、層比(%)を表/中間/表層=10/80/10として、多層のシュリンクフィルムを作成した。多層フィルムは、まず各層に対応する重合体又は重合体組成物を別々の押出機で溶融し、Tダイ内で多層化し、厚さ0.3mmのシートを成形した。その後、東洋製作所社製の二軸延伸装置を用い、温度80℃で5倍に横一軸延伸することによって延伸フイルム作成した。
シート及びシュリンクフィルムの物性評価結果を表2に示す。
【0065】
【比較例1】
〈1段目スチレン重合(ポリスチレンの合成)〉
1Lセパラブルフラスコを窒素置換した後、スチレン600g(5.77mol)、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.09g(0.0003mol)を窒素ガス雰囲気下において仕込み、130℃で125分間加熱して重合した。その後室温まで急冷して重合反応を停止させた。スチレンの重合率は51%であった(この時の重合液中の固形分濃度51質量%)。重合反応溶液中に存在するポリスチレンの数平均分子量Mnは167700、重量平均分子量Mwは305300、ピークトップ分子量は302000であり、分子量分布Mw/Mnは1.82であった。
【0066】
〈2段目スチレン/アクリル酸n−ブチル(=53/47:質量比)共重合(表3における、ポリ(スチレン−co−アクリル酸n−ブチル)の合成)〉
新たに窒素置換した1Lセパラブルフラスコを用意し、1段目スチレン重合で得られた重合反応溶液420g(スチレンモノマー206g(1.98mol)及びポリスチレン214gから構成される)とアクリル酸n−ブチル180g(1.41mol)を窒素ガス雰囲気下で仕込み、よく溶解させた後、130℃で90分間加熱して重合した。その後室温まで急冷して重合反応を停止させた。2段目スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合反応におけるスチレンの重合率は32%、アクリル酸n−ブチルでの重合率は35%であった(この時の重合液中の固形分濃度57質量%)。この重合反応溶液中に存在するスチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体の数平均分子量Mnは164300、重量平均分子量Mwは309800、ピークトップ分子量は288000であり、分子量分布Mw/Mnは1.89であった。
この2段目スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合反応溶液を実施例1と同様に処理し、シートを得た。しかしこのシートは大変脆く、ダンベル型試験片を打ち抜くことはできたものの、この試験片を80℃で1軸延伸することはできず、延伸フィルムを得ることは出来なかった。
各種分析値、シートの物性評価結果を表3、表4に示す。なお各重合溶液における単量体の重合率、表3記載の構成成分の構造は、実施例1と同様に算出した。
【0067】
【比較例2】
〈1段目スチレン重合(ポリスチレンの合成)〉
1Lセパラブルフラスコを窒素置換した後、スチレン600g(5.77mol)、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.09g(0.0003mol)を窒素ガス雰囲気下において仕込み、130℃で125分間加熱して重合した。その後室温まで急冷して重合反応を停止させた。スチレンの重合率は51%であった(この時の重合液中の固形分濃度51質量%)。重合反応溶液中に存在するポリスチレンの数平均分子量Mnは165000、重量平均分子量Mwは310000、ピークトップ分子量は307000であり、分子量分布Mw/Mnは1.88であった。
【0068】
〈2段目スチレン/アクリル酸n−ブチル(=20/80:質量比)共重合(表5における、ポリ(スチレン−co−アクリル酸n−ブチル)▲1▼の合成)〉
新たに窒素置換した1Lセパラブルフラスコを用意し、1段目スチレン重合で得られた重合反応溶液210g(スチレンモノマー103g(0.99mol)及びポリスチレン107gから構成される)とアクリル酸n−ブチル412g(3.22mol)を窒素ガス雰囲気下で仕込み、よく溶解させた後、130℃で90分間加熱して重合した。その後室温まで急冷して重合反応を停止させた。2段目スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合反応におけるスチレンの重合率は38%、アクリル酸n−ブチルでの重合率は36%であった(この時の重合液中の固形分濃度47質量%)。この重合反応溶液中に存在するスチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体の数平均分子量Mnは151000、重量平均分子量Mwは320000、ピークトップ分子量は297000であり、分子量分布Mw/Mnは2.11であった。
【0069】
〈3段目スチレン/アクリル酸n−ブチル(=75/25:質量比)共重合(表5における、ポリ(スチレン−co−アクリル酸n−ブチル)▲2▼の合成)〉
新たに窒素置換した1Lセパラブルフラスコを用意し、2段目スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合で得られた重合反応溶液250g(スチレンモノマー26g(0.25mol)、アクリル酸n−ブチル106g(0.83mol)、ポリスチレン43g、及びスチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体75gから構成される)とスチレン292g(2.8mol)を窒素ガス雰囲気下で仕込み、よく溶解させた後、130℃で95分間加熱して重合した。その後室温まで急冷して重合反応を停止させた。3段目スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合反応におけるスチレンの重合率は41%、アクリル酸n−ブチルでの重合率は39%であった(この時の重合液中の固形分濃度54質量%)。この重合反応溶液中に存在するスチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体の数平均分子量Mnは150000、重量平均分子量Mwは325000、ピークトップ分子量は300000であり、分子量分布Mw/Mnは2.17であった。
この3段目スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合反応溶液を実施例1と同様に処理し、シートを得た。しかしこのシートは大変脆く、ダンベル型試験片を打ち抜くことはできたものの、この試験片を80℃で1軸延伸することはできず、延伸フィルムを得ることは出来なかった。
各種分析値、シートの物性評価結果を表5、表6に示す。なお各重合溶液における単量体の重合率、表5記載の構成成分の構造は、実施例1と同様に算出した。
【0070】
【比較例3】
〈スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合(表3における、ポリ(スチレン−co−アクリル酸n−ブチル)の合成)〉
窒素置換した1Lセパラブルフラスコを用意し、スチレン420g(4.04mol)、アクリル酸n−ブチル180g(1.41mol)、過酸化ベンゾイル0.445g(0.0018mol)、2,2,6,6−テトラメチル−4−オキソ−1−ピぺリジニルオキシラジカル(以下、OH−TEMPOと略す)0.411g(0.0024mol)を窒素ガス雰囲気下において仕込み、130℃で260分間加熱して重合した。その後室温まで急冷して重合反応を停止させた。このスチレン/アクリル酸n−ブチル共重合反応におけるスチレンの重合率は57%、アクリル酸n−ブチルの重合率は50%であった(この時の重合液中の固形分濃度55質量%)。この重合反応溶液中に存在するスチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体の数平均分子量Mnは97700、重量平均分子量Mwは136000、ピークトップ分子量は154000であり、分子量分布Mw/Mnは1.39であった。
このスチレン/アクリル酸n−ブチル共重合反応溶液を実施例1と同様に処理し、延伸フィルムを得た。
各種分析値、シート及びシュリンクフィルムの物性評価結果を表3、表4に示す。なお各重合溶液における単量体の重合率、表3記載の構成成分の構造は、実施例1と同様に算出した。
【0071】
【比較例4】
〈1段目スチレン重合(スチレン重合体ブロックAの合成)〉
1Lセパラブルフラスコを窒素置換した後、スチレン600g(5.77mol)、過酸化ベンゾイル1.39g(0.0057mol)、2,2,6,6−テトラメチル−4−オキソ−1−ピぺリジニルオキシラジカル(以下、OH−TEMPOと略す)1.283g(0.0075mol)、カンファースルホン酸0.87g(0.0037mol)を窒素ガス雰囲気下において仕込み、130℃で140分間加熱して重合した。その後室温まで急冷して重合反応を停止させた。スチレンの重合率は58%であった(この時の重合液中の固形分濃度58質量%)。重合反応溶液中に存在するポリスチレンの数平均分子量Mnは40900、重量平均分子量Mwは58500、ピークトップ分子量は57000であり、分子量分布Mw/Mnは1.43であった。
【0072】
〈2段目スチレン/アクリル酸n−ブチル(=18/82:質量比)共重合(結合スチレン1〜50質量量%であるスチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体ブロックBの合成)〉
新たに窒素置換した1Lセパラブルフラスコを用意し、1段目スチレン重合で得られた重合反応溶液210g(スチレンモノマー87g(0.84mol)及びポリスチレン123gから構成される)とアクリル酸n−ブチル390g(3.0mol)を窒素ガス雰囲気下で仕込み、よく溶解させた後、130℃で360分間加熱して重合した。その後室温まで急冷して重合反応を停止させた。2段目スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合反応におけるスチレンの重合率は47%、アクリル酸n−ブチルでの重合率は39%であった(この時の重合液中の固形分濃度56質量%)。この重合反応溶液中に存在するスチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体の数平均分子量Mnは68100、重量平均分子量Mwは131000、ピークトップ分子量は116300であり、分子量分布Mw/Mnは1.92であった。
またGPCのクロマトグラムから波形分離処理を行なうことで、得られたスチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体の中のブロック共重合体の含有割合を求めた。その結果、スチレンブロック−スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体ブロックからなるジブロック共重合体(成分(ロ):A−B)が53質量%、ホモポリスチレン(成分(ハ):A)が47質量%であることが分かった。
【0073】
この2段目スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合反応溶液を240℃で2時間真空下で乾燥することにより、スチレン−アクリル酸n−ブチル系ブロック共重合体を含有する樹脂組成物の固形分を得た。この固形分を粉砕後、20mm単軸押出機によりペレット化した。
次いで、得られたペレット状の樹脂をプレス成形して厚み400μmのシートを得た。このシートからダンベル型試験片を打ち抜き、この試験片を80℃で1軸延伸し、延伸フィルムを得た。
各種分析値、シート及びシュリンクフィルムの物性評価結果を表1、表2に示す。なお各重合溶液における単量体の重合率は、ガスクロマトグラフィーにより未反応単量体を定量することで求めた。また表1記載の成分(ロ)〜(ハ)の構造は、各重合溶液における単量体の重合率及び各段階の重合における原料仕込み量から算出した。
【0074】
【比較例5】
〈スチレン及びブタジエンからなるブロック共重合体の合成〉
3L反応容器中に重合溶媒である、150ppmのテトラヒドロフランを含有するシクロヘキサン1256gとスチレンモノマー92g(0.88mol)を仕込んだ。内温を50℃にした後、この中に重合触媒溶液であるn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液3.2mL(n−ブチルリチウム0.00365mol)を加え、スチレンモノマーをアニオン重合させた。 スチレンモノマーが完全に消費された後、反応系の内温を80℃にして、86gのブタジエン(1.59mol)とスチレンモノマー124g(1.19mol)を一括添加し、引き続きこれをアニオン共重合反応させた。 ブタジエンとスチレンモノマーが完全に消費された後、引き続きスチレンモノマー92g(0.88mol)を一括添加し、アニオン重合を完結さた。最後に全ての重合活性末端を水により失活させて、GPC法による重量平均分子量が13.4万で、ブタジエン含有率が22wt%である、ポリスチレンブロック部、スチレンとブタジエンのテーパーブロック部、ポリスチレンブロック部の3つのブロック部を持つトリブロック共重合体を含む重合液を得た。
【0075】
この重合液は大量のメタノール中に注いで固形分を析出させ、得られた固形分を真空乾燥した後に単軸押出機によりペレット化することで、トリブロック共重合体の樹脂を得た。得られたペレット状の樹脂はプレス成形して厚み400μmのシートを得た。このシートからダンベル型試験片を打ち抜き、この試験片を80℃で1軸延伸し、延伸フィルムを得た。
各種分析値、シート及びシュリンクフィルムの物性評価結果を表3、表4に示す。
【0076】
【表1】
【0077】
【表2】
【0078】
【表3】
【0079】
【表4】
【0080】
【表5】
【0081】
【表6】
【0082】
実施例1〜3は、本発明の芳香族ビニル系化合物とアクリル酸エステル化合物を単量体としてリビングラジカル重合させて得られるブロック共重合体を含有する樹脂組成物及びそれらを用いた単層のシート及び延伸フィルム(シュリンクフィルム)の特性を示した。得られた樹脂組成物は透明性に優れ、延伸フィルムの加熱収縮性も良好で、自然収縮性が低いことが分かる。
一方比較例1では、リビングラジカル重合でなく、従来から一般に知られる過酸化物を開始剤に用いたラジカル重合によりポリスチレンを重合した後で、さらにその重合溶液にアクリル酸n−ブチルを加えてスチレン/アクリル酸n−ブチル共重合を行なって得た、ポリスチレンとスチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体の混合物の特性を示した。リビングラジカル重合でないためブロック共重合体が生成せず、その結果、得られた樹脂組成物は透明性が著しく不良であり、また強度が不十分であるため、延伸フィルムに加工することが出来なかった。
【0083】
比較例2では、実施例1と同様、ポリスチレンを重合した後でさらにその重合溶液にアクリル酸n−ブチルを加えてスチレン/アクリル酸n−ブチル共重合を行ない、引き続き重合溶液にスチレンを加えてスチレン/アクリル酸n−ブチル共重合を再度行なったが、リビングラジカル重合でなく、従来から一般に知られる過酸化物を開始剤に用いたラジカル重合によって得たポリスチレンと2種のスチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体(表5において、ポリ(スチレン−co−アクリル酸n−ブチル)▲1▼および▲2▼と呼ぶ)を含有する混合物の特性を示した。やはりリビングラジカル重合でないためブロック共重合体が生成せず、その結果、得られた樹脂組成物は透明性が著しく不良であり、また強度が不十分であるため、延伸フィルムに加工することが出来なかった。
また比較例3では、スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合をリビングラジカル重合して得た、スチレン/アクリル酸n−ブチル共重合体の特性を示した。延伸フィルムの加熱収縮性及び耐自然収縮性は比較的良好であるが、分子量分布が低く成形加工性が不良であるため、透明性、特にHAZE値が高く、曇った外観のシートしか得られないことが分かる。
【0084】
比較例4では、実施例1と同様、芳香族ビニル系化合物とアクリル酸エステル化合物を単量体としてリビングラジカル重合させてブロック共重合体を含有する樹脂組成物ではあるが、本発明の必須成分の結合芳香族ビニル系化合物が60〜90質量%の芳香族ビニル系化合物とアクリル酸エステル化合物の共重合体ブロック部を持たず、かつ分子量分布が2.0未満である樹脂組成物及びそれを用いた単層のシート及び延伸フィルム(シュリンクフィルム)の特性を示した。得られた樹脂組成物は、分子量分布が低く成形加工性が不良であるため、透明性、特にHAZE値が高く、曇った外観のシートしか得られずない。また延伸フィルムの加熱収縮性も不良であることが分かる。
さらに比較例5では、アニオン重合で得られるスチレンとブタジエンからなるブロック共重合体の特性を示した。延伸フィルムの加熱収縮性及び耐自然収縮性のバランスが、本発明の芳香族ビニル系化合物とアクリル酸エステル化合物を単量体としてリビングラジカル重合させて得られるブロック共重合体を含有する樹脂組成物よりも劣ることが分かる。
実施例4〜5は、本発明の芳香族ビニル系化合物とアクリル酸エステル化合物を単量体としてリビングラジカル重合させて得られるブロック共重合体を含有する樹脂組成物、とスチレンとブタジエンからなるブロック共重合体を用いた、多層のシート及び延伸フィルム(シュリンクフィルム)の特性を示した。多層化しても、本発明の樹脂組成物からなるシートは透明性に優れ、延伸フィルムの加熱収縮性も良好で、自然収縮性が低いことが分かる。
【0085】
【発明の効果】
以上の通り、本発明によれば、リビングラジカル重合により芳香族ビニル系化合物とアクリル酸エステル化合物を単量体成分として製造されるブロック共重合体を主成分とする樹脂組成物を必須成分とする樹脂成分を用いると、透明性、外観特性、成形加工性に優れ、さらに低温収縮性を付与しつつ自然収縮抑止性も良好なシュリンクフィルムが得られる。
Claims (16)
- 芳香族ビニル系化合物とアクリル酸エステル化合物を単量体としてリビングラジカル重合させて、60〜90質量%の芳香族ビニル系化合物および10〜40質量%のアクリル酸エステル化合物からなる共重合体ブロック部を少なくとも一つ有するブロック共重合体を含有する樹脂組成物であって、
(1)該樹脂組成物中の芳香族ビニル系化合物単位の含有量が20〜80質量%であり、
(2)該樹脂組成物のガラス転移温度が40〜80℃の範囲にあり、
(3)該樹脂組成物の分子量分布(重量平均分子量をMw、数平均分子量をMnとした時のMw/Mn)が2.0以上、5.0以下である芳香族ビニル系化合物−アクリル酸エステル化合物系樹脂組成物。 - ブロック共重合体が一般式 A−B−C
(式中、Aは芳香族ビニル系化合物重合体ブロックを表し、Bは1〜50質量%の芳香族ビニル系化合物および50〜99質量%のアクリル酸エステル化合物からなる芳香族ビニル系化合物とアクリル酸エステル化合物の共重合体ブロックを表し、Cは60〜90質量%の芳香族ビニル系化合物および10〜40質量%のアクリル酸エステル化合物からなる芳香族ビニル系化合物とアクリル酸エステル化合物の共重合体ブロックを表す。)で表されるトリブロック共重合体であることを特徴とする請求項1記載の芳香族ビニル系化合物−アクリル酸エステル化合物系樹脂組成物。 - ブロック共重合体が下記成分(イ)〜(ハ)から構成されることを特徴とする請求項1記載の芳香族ビニル系化合物−アクリル酸エステル化合物系樹脂組成物。
(イ)一般式 A−B−C
(式中、Aは芳香族ビニル系化合物重合体ブロックを表し、Bは1〜50質量%の芳香族ビニル系化合物および50〜99質量%のアクリル酸エステル化合物からなる芳香族ビニル系化合物とアクリル酸エステル化合物の共重合体ブロックを表し、Cは60〜90質量%の芳香族ビニル系化合物および10〜40質量%のアクリル酸エステル化合物からなる芳香族ビニル系化合物とアクリル酸エステル化合物の共重合体ブロックを表す。)で表されるトリブロック共重合体。
(ロ)一般式 A−B
(式中、Aは芳香族ビニル系化合物重合体ブロックを表し、Bは1〜50質量%の芳香族ビニル系化合物および50〜99質量%のアクリル酸エステル化合物からなる芳香族ビニル系化合物とアクリル酸エステル化合物の共重合体ブロックを表す。)で表されるジブロック共重合体。
(ハ)一般式 A
(式中、Aは芳香族ビニル系化合物重合体を表す)で表される芳香族ビニル系化合物単独重合体。 - 樹脂組成物が−60〜10℃の温度範囲にもう一つのガラス転移点を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の芳香族ビニル系化合物−アクリル酸エステル化合物系樹脂組成物。
- 芳香族ビニル系化合物がスチレンであり、アクリル酸エステル化合物がアクリル酸n−ブチルであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の芳香族ビニル系化合物−アクリル酸エステル化合物系樹脂組成物。
- リビングラジカル重合がラジカルキャッピング剤とラジカル発生剤を併用したリビングラジカル重合であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の芳香族ビニル系化合物−アクリル酸エステル化合物系樹脂組成物。
- リビングラジカル重合がラジカルキャッピング剤とラジカル発生剤と重合加速剤を併用したリビングラジカル重合であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の芳香族ビニル系化合物−アクリル酸エステル化合物系樹脂組成物。
- ラジカルキャッピング剤が環状ヒドロキシアミンからのニトロキシフリーラジカルであることを特徴とする請求項6または7に記載の芳香族ビニル系化合物−アクリル酸エステル化合物系樹脂組成物。
- ラジカル発生剤がパーオキシド或いはアゾ化合物であることを特徴とする請求項6または7に記載の芳香族ビニル系化合物−アクリル酸エステル化合物系樹脂組成物。
- 重合加速剤が、有機スルホン酸化合物、酸無水物、過酸化物、から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項7に記載の芳香族ビニル系化合物−アクリル酸エステル化合物系樹脂組成物。
- 請求項1〜10のいずれか一項に記載の芳香族ビニル系化合物−アクリル酸エステル化合物系樹脂組成物を必須成分とする樹脂成分から構成されることを特徴とするシュリンクフィルム。
- 請求項1〜10のいずれか一項に記載の芳香族ビニル系化合物−アクリル酸エステル化合物系樹脂組成物を必須成分とする樹脂成分Aを主体とする層を少なくとも1層有し、芳香族ビニル系化合物と共役ジエンからなるブロック共重合体を主体とする樹脂成分Bで形成された層を少なくとも1層を有することを特徴とする多層シュリンクフィルム。
- 樹脂成分Bが、スチレンとブタジエンからなるブロック共重合体で、スチレンとブタジエンの質量比が90/10〜60/40であることを特徴とする請求項12に記載の多層シュリンクフィルム。
- 表裏層が請求項12記載の樹脂成分Aで形成され、中間層が、請求項12又は13記載の樹脂成分Bで形成されたことを特徴とする多層シュリンクフィルム。
- 表裏層が請求項12又は13記載の樹脂成分Bで形成され、中間層が、請求項12記載の樹脂成分Aで形成されたことを特徴とする多層シュリンクフィルム。
- (a)芳香族ビニル系化合物、ラジカルキャッピング剤、ラジカル発生剤、必要に応じて重合加速剤、及び必要に応じて溶媒を含む溶液を加熱してリビングラジカル重合させて得られる、芳香族ビニル系化合物重合体ブロックが生成した溶液に、
(b)アクリル酸エステル化合物、必要に応じて芳香族ビニル系化合物及びアクリル酸エステル化合物以外の共重合可能な単量体、及び必要に応じて溶媒を添加してリビングラジカル重合を継続し、これにより得られる1〜50質量%の芳香族ビニル系化合物および50〜99質量%のアクリル酸エステル化合物からなる芳香族ビニル系化合物とアクリル酸エステル化合物の共重合体ブロックが生成した溶液に対して、さらに、
(c)アクリル酸エステル化合物、必要に応じて芳香族ビニル系化合物及びアクリル酸エステル化合物以外の共重合可能な単量体、及び必要に応じて溶媒を添加してビングラジカル重合を継続することで、芳香族ビニル系化合物が60〜90質量%の芳香族ビニル系化合物と10〜40質量%のアクリル酸エステル化合物の共重合体ブロックを生成させることを特徴とする芳香族ビニル系化合物−アクリル酸エステル化合物系樹脂組成物の製造方法。
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