JP2009075159A - シュリンクラベル及びラベル付き容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 滑り性を維持しつつ、加熱収縮時の白化防止性、粉吹き防止性、ラベル同士の粘着防止性に優れたシュリンクラベルを提供することを課題としている。
【解決手段】 ラベル基材の少なくとも1面側にコーティング層が形成されているシュリンクラベルであって、前記コーティング層が、ガラス転移温度(Tg)が60〜150℃の高Tgアクリル樹脂と、ガラス転移温度(Tg)が5〜45℃の低Tgアクリル樹脂と、ワックスとを含んでなり、前記高Tgアクリル樹脂と前記低Tgアクリル樹脂との重量比が、高Tgアクリル樹脂/低Tgアクリル樹脂=90/10〜25/75であるシュリンクラベルを提供する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、シュリンクラベル及びラベル付き容器に関する。
従来、プラスチックボトル等の容器が自動販売機(ベンダー)内の設置台から滑り出ず、商品取り出し口に出てこないという現象を解決し得るものとして、滑り性を有するプラスチックラベルが知られている。より詳しくは、このプラスチックラベルは、ワックスを含むコーティング組成物がラベル基材に塗布されているものであり、容器に装着され、容器に滑り性を付与するものである。容器に滑り性を付与するこの種のプラスチックラベルのなかで、加熱収縮により容器に装着されるシュリンクラベルとしては、例えば、ワックスとしてフッ素樹脂粉末を含んだコーティング組成物が塗布されたシュリンクラベルが提案されている(特許文献1)。
ところが、特許文献1のごとくフッ素樹脂粉末を含むコーティング組成物が塗布されてコーティング層が形成されたシュリンクラベルにあっては、滑り性を有するものの、シュリンクラベルの製造工程やシュリンクラベルを容器に装着させる工程において、シュリンクラベル表面にあるコーティング層が機械部品(例えばニップロール等)と物理的に接触することにより、コーティング層中の樹脂やフッ素樹脂粉末などのワックスが擦り取られ、粉吹きという現象が起きる問題がある。
そこで、例えばガラス転移温度(Tg)が60℃以上といった、比較的Tgの高いアクリル樹脂を含むコーティング組成物が塗布されたシュリンクラベルが提案されている(特許文献2、特許文献3)。しかし、特許文献2や特許文献3のごとく、比較的Tgの高いアクリル系樹脂を含むコーティング組成物が塗布されたシュリンクラベルでは、このシュリンクラベルを加熱収縮により容器に装着させた際、シュリンクラベルの透明性が失われる白化という現象が生じる問題がある。
シュリンクラベルの加熱収縮時の白化を防ぐためには、Tgが50℃以下といった、比較的Tgの低いアクリル樹脂を含むコーティング組成物を用いる必要がある一方で、比較的Tgの低いアクリル樹脂を含むコーティング組成物を用いた場合、シュリンクラベルの粉吹きという現象が生じやすくなる。さらには、比較的Tgの低いアクリル樹脂を含むコーティング組成物を用いたシュリンクラベルでは、シュリンクラベル同士が粘着しやすくなる。粘着しやすくなることにより、例えば、コーティング層が形成されたフィルム状のシュリンクラベルが巻かれて保管されている間に、シュリンクラベル同士が粘着して剥がれなくなったり、また、例えば、シュリンクラベルを装着した容器同士がベンダー内で密着することにより粘着し、容器がベンダー内から出てこなかったりするといった問題が生じ得る。
即ち、比較的Tgの低いアクリル樹脂をコーティング組成物の配合成分として選択すると、シュリンクラベル収縮時の白化が生じにくくなるものの、シュリンクラベルの粉吹きやシュリンクラベル同士の粘着が生じやすくなる。一方、比較的Tgの高いアクリル樹脂をコーティング組成物の配合成分として選択すると、シュリンクラベルの粉吹きやシュリンクラベル同士の粘着が生じにくくなるものの、シュリンクラベル収縮時の白化が生じやすくなる。また、中間のTg(例えば50℃)を有するアクリル樹脂をコーティング組成物の配合成分として選択しても、シュリンクラベルの粉吹きが生じやすく、ラベル同士の粘着も生じやすい。
このように、どのTgのアクリル樹脂をコーティング組成物の配合成分として選択しても、シュリンクラベルにおいては、加熱収縮時の白化の抑制、粉吹きの抑制、ラベル同士の粘着抑制を全て達成することは困難である。そこで、これら全ての性能を満足させ得るシュリンクラベルが要望されている。
特開2002−327149号公報 特開2005−266747号公報 特開2005−345794号公報
本発明は、上記問題点及び要望に鑑み、滑り性を維持しつつ、加熱収縮時の白化防止性、粉吹き防止性、ラベル同士の粘着防止性に優れたシュリンクラベルを提供することを課題とする。
上記課題を解決すべく、本発明に係るシュリンクラベルは、ラベル基材の少なくとも1面側にコーティング層が形成されているシュリンクラベルであって、前記コーティング層が、ガラス転移温度(Tg)が60〜150℃の高Tgアクリル樹脂と、ガラス転移温度(Tg)が5〜45℃の低Tgアクリル樹脂と、ワックスとを含んでなり、前記高Tgアクリル樹脂と前記低Tgアクリル樹脂との重量比が、高Tgアクリル樹脂/低Tgアクリル樹脂=90/10〜25/75であることを特徴とする。
上記構成からなるシュリンクラベルによれば、前記コーティング層に、ガラス転移温度(Tg)が60〜150℃の高Tgアクリル樹脂が含まれているため、摩耗に対して前記コーティング層の耐性(塗膜強度)を高めることができる。また、前記コーティング層を軟化しにくくすることができる。このため、シュリンクラベルの粉吹き、ラベル同士の粘着を抑制できる。
また、前記コーティング層に、ガラス転移温度(Tg)が5〜45℃の低Tgアクリル樹脂が含まれているため、シュリンクラベルが加熱収縮する際に、前記コーティング層がシュリンクラベルのラベル基材の収縮に追随して収縮することができ、収縮後に前記コーティング層に細かいひび割れ、シワ等が発生するのを抑制し、シュリンクラベルの収縮後の白化を抑制することができる。
さらに、前記高Tgアクリル樹脂と前記低Tgアクリル樹脂との重量比が、高Tgアクリル樹脂/低Tgアクリル樹脂=90/10〜25/75であるため、前記コーティング層の摩耗に対する耐性を高め、前記コーティング層を軟化しにくくする作用と前記コーティング層に細かいひび割れ、シワ等が発生するのを抑制する作用とを適度に保つことができる。
加えて、前記コーティング層にワックスが含まれているため、前記コーティング層が他材と接触したときの接触面積を減らすことができ、シュリンクラベルの滑り性が良好となる。この滑り性が良好となることにより、さらにシュリンクラベルの粉吹きを抑制できる。
また、本発明に係るシュリンクラベルは、前記コーティング層がセルロース樹脂を含んでなることが好ましい。前記コーティング層がセルロース樹脂を含んでなることにより、前記コーティング層の塗膜強度をさらに高めることができ、前記コーティング層をさらに軟化しにくくすることができる。
また、本発明に係るシュリンクラベルは、前記コーティング層が液状滑剤を含んでなることが好ましい。前記コーティング層が液状滑剤を含んでなることにより、前記コーティング層のすべり性と耐摩耗性とが向上する。
また、本発明に係るシュリンクラベルは、前記コーティング層の厚みが0.05〜0.5μmであり、前記ワックスの平均粒子径が0.2〜2μmであり、かつ、前記コーティング層の厚みが前記ワックスの平均粒子径より小さいことが好ましい。
前記コーティング層の厚みが0.05μm以上であることにより、コーティング組成物がラベル基材に塗布された場合の塗布ムラに影響されることなく、前記コーティング層がラベル基材上に確実に形成されるという利点があり、0.5μm以下であることにより、ラベル同士が粘着しにくくなり、コーティング層自体の破壊による粉吹きも低減されやすく、収縮時の白化が起こりにくくなるという利点がある。
また、前記ワックスの平均粒子径が0.2μm以上であることにより、シュリンクラベルの滑り性がより向上するという利点があり、2μm以下であることにより、ワックスが剥落すること、または、ワックス破壊されて粉吹きが起こることが抑制され得るという利点がある。
さらに、前記コーティング層の厚みが前記ワックスの平均粒子径より小さいことにより、ワックスが前記コーティング層から露出し、前記コーティング層が他材と接触したときの接触面積をさらに減らすことができるという利点がある。
また、本発明に係るラベル付き容器は、ラベル基材の少なくとも1面側にコーティング層が形成されているシュリンクラベルであって、前記コーティング層が、ガラス転移温度(Tg)が60〜150℃の高Tgアクリル樹脂と、ガラス転移温度(Tg)が5〜45℃の低Tgアクリル樹脂と、ワックスとを含んでなり、前記高Tgアクリル樹脂と前記低Tgアクリル樹脂との重量比が、高Tgアクリル樹脂/低Tgアクリル樹脂=90/10〜25/75であるシュリンクラベルが、前記コーティング層が外側となるように装着されていることを特徴とする。
本発明に係るシュリンクラベルは、滑り性を維持しつつ、加熱収縮時の白化防止性、粉吹き防止性、ラベル同士の粘着防止性に優れるという効果を奏する。
以下、本発明に係るシュリンクラベル1の実施形態について図面を参照しながら説明する。
本実施形態のシュリンクラベル1は、図1に示すように、ラベルの基体をなすラベル基材3と、該ラベル基材3の表面に形成されたコーティング層2とで構成されている。
前記ラベル基材3は、通常、フィルム状のものである。また、前記ラベル基材3の材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、スチレン−ブタジエンブロック共重合体等のスチレン系樹脂、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、塩化ビニル樹脂などのプラスチックが挙げられる。前記ラベル基材3としては、1種又は2種以上の材料で形成されているものが例示でき、単層又は複層で形成されているものが例示できる。これらのラベル基材3は、熱収縮可能であれば、一軸又は二軸延伸フィルムのいずれの態様のものであってもよい。
好ましいラベル基材3としては、90℃の熱水に10秒間浸漬した場合の主延伸方向の収縮率が50%以上であるものが挙げられ、より好ましくは、さらに、90℃の熱水に10秒間浸漬した場合の、主延伸方向と直交する方向の収縮率が−3〜15%のものが挙げられる。また、好ましいラベル基材3としては、単層又は複層でなる熱収縮性の、スチレン系樹脂フィルム、ポリエステルフィルム、環状ポリオレフィンフィルム、及び、前記ポリエステルフィルムに不織布を積層したフィルムなどが挙げられる。なお、ラベル基材3は市販のものを用いることができる。
前記ラベル基材3の厚みとしては、特に限定されるものではなく、シュリンクラベルとした際の取扱性、作業性等を損なわない範囲で選択でき、例えば、10〜200μmが挙げられ、好ましくは20〜80μm、より好ましくは30〜60μmが挙げられる。
前記コーティング層2は前記ラベル基材3の少なくとも1面側に形成されている。本実施形態のシュリンクラベル1は、滑り性を維持しつつ、粉吹き防止性、ラベル同士の粘着防止性をより発揮させる点において、形成された前記コーティング層2を外側にして容器に装着されていることが好ましい。
前記コーティング層2の厚みとしては、例えば、0.05〜5μmが挙げられる。なお、シュリンクラベル1の粉吹きを抑制させる点において、前記コーティング層2の厚みは小さいほうが好ましく、また、シュリンクラベル1に滑り性を付与する点において、前記ワックスの平均粒子径の方が前記コーティング層2の厚みより大きいことが好ましい。従って、前記ワックスの平均粒子径との関係を考慮すると、前記コーティング層2の厚みとしては0.05〜0.5μmがより好ましい。
前記コーティング層2は、ガラス転移温度(Tg)が60〜150℃の高Tgアクリル樹脂と、ガラス転移温度(Tg)が5〜45℃の低Tgアクリル樹脂と、ワックスとを含んでいる。他に、滑り性を維持しつつ、加熱収縮時の白化防止性、粉吹き防止性、ラベル同士の粘着防止性をより発揮させる点において、セルロース樹脂を含んでいることが好ましい。また、滑り性を維持しつつ、加熱収縮時の白化防止性、粉吹き防止性、ラベル同士の粘着防止性をより発揮させる点において、液状滑剤を含んでいることが好ましい。
また、前記高Tgアクリル樹脂と前記低Tgアクリル樹脂との重量比は、高Tgアクリル樹脂/低Tgアクリル樹脂=90/10〜25/75の範囲である。
前記アクリル樹脂としては、例えば、アクリル酸及び/又はメタクリル酸などを反応させて得られるアクリル酸及び/又はメタクリル酸のエステル化合物などを重合させたものが挙げられる。また、溶媒に溶解または分散可能なものが用いられ得る。前記アクリル樹脂は、所定のTg値を有するものであれば、市販のものが用いられ得る。
前記高Tgアクリル樹脂の分子量は、10000〜150000が好ましく、20000〜100000がさらに好ましい。分子量が10000以上であることにより、また、20000以上であることによりさらに、コーティング層2の塗膜強度がより適度に保たれ、粉吹きを抑制し得る。分子量が150000以下であることにより、また、100000以下であることによりさらに、コーティング組成物の粘度が上昇しすぎず、コーティングにおいてかぶり等といった現象がより起こりにくくなり得る。
前記低Tgアクリル樹脂の分子量は、4000〜200000が好ましく、5000〜150000がさらに好ましい。分子量が4000以上であることにより、また、5000以上であることによりさらに、コーティング層2の塗膜強度がより適度に保たれ、粉吹きを抑制し得る。分子量が200000以下であることにより、また、150000以下であることによりさらに、コーティング組成物の粘度が上昇しすぎず、コーティングにおいてかぶり等といった現象がより起こりにくくなり得る。
より具体的には、アクリル樹脂としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル等の(メタ)アクリル酸アルキルや、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキル、(メタ)アクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸アリールなどのアクリル系モノマーの単重合体またはこれらアクリル系モノマーのうち少なくとも1種を用いた共重合体を挙げることができる。
前記アクリル樹脂には、他に、スチレン;グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有ビニルモノマー;N−メチロール(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有ビニルモノマー;(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル;ビニルアルコール;アリルアルコール;2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル;2−ヒドロキシエチルアリルエーテル等のヒドロキシアルキルアリルエーテル;メチロール化(メタ)アクリルアミドなどが前記アクリル樹脂の特性を損ねない範囲で構成モノマーとして用いられ得る。
前記高Tgアクリル樹脂および前記低Tgアクリル樹脂は、前記アクリル樹脂のうち、ガラス転移温度(Tg)が所定の値であるものを選択することにより得られるものである。即ち、アクリル樹脂のうち、ガラス転移温度(Tg)が60〜150℃のアクリル樹脂が前記高Tgアクリル樹脂であり、また、アクリル樹脂のうち、ガラス転移温度(Tg)が5〜45℃のアクリル樹脂が前記低Tgアクリル樹脂である。なお、前記アクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、アクリル樹脂の構成単位であるアクリル系モノマーの種類、重合度等に影響を受け、様々な値を取り得る。
前記ガラス転移温度(Tg)は、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製 EXSTAR−6000を用いて、昇温速度 10℃/min、空気雰囲気下で測定し、JIS K 7121に準じ、中間点ガラス転移温度に基づいて決定した。
前記コーティング層2に含まれている高Tgアクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)が、仮に60℃未満である場合、コーティング層2の塗膜強度が低下し、粉吹きが生じやすくなるおそれがある。また、仮に150℃を超える場合、コーティング層2をグラビア印刷で形成する際に、コーティング層2の組成物が溶解しているインキパンにおいて、有機溶剤等が蒸発することに伴い、膜が張られた状態(皮張り)が生じやすくなり、カスレ、ツーツー汚れ、ピンホールなどが生じやすくなる等、取り扱いの点において問題が生じるおそれがある。
前記コーティング層2に含まれている低Tgアクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)が、仮に5℃未満である場合、コーティング層2の耐熱性が低下し、ラベル同士が粘着するブロッキングが生じやすくなるおそれがある。また、仮に45℃を超える場合、前記コーティング層2に配合されていてもシュリンクラベル1の収縮時の白化を抑制できないおそれがある。
前記高Tgアクリル樹脂と前記低Tgアクリル樹脂との重量比において、高Tgアクリル樹脂/低Tgアクリル樹脂=90/10よりも高Tgアクリル樹脂の重量比が大きい場合、シュリンクラベル1が加熱収縮した際にシュリンクラベル1の透明性が失われ、白化するおそれがある。
前記高Tgアクリル樹脂と前記低Tgアクリル樹脂との重量比において、高Tgアクリル樹脂/低Tgアクリル樹脂=25/75よりも低Tgアクリル樹脂の重量比が大きい場合、コーティング層2の塗膜強度が低下し、粉吹きが生じやすくなるおそれがある。
前記ワックスとしては、通常、平均粒子径が0.1〜30μmの粉体状のものが挙げられる。また、通常、コーティング層2の厚みよりも平均粒子径の大きいものが挙げられる。前記ワックスは、通常、コーティング層2を形成させる組成物に含まれ得る有機溶剤に溶解しない。なお、シュリンクラベル1の粉吹きをより抑制させる点において、前記ワックスの平均粒子径は小さい方が好ましいが、シュリンクラベル1に滑り性を付与する点において、通常、前記コーティング層2の厚みより大きいため、前記コーティング層2の厚みとの関係を考慮し、0.2〜2μmがより好ましい。なお、前記ワックスとしては、例えば、市販のものを用いることができる。また、ビーズミルなどを用いて、市販のワックスを粉砕したものを用いることもできる。
前記ワックスとしては、マイクロクリスタリンワックス、酸化マイクロクリスタリンワックス、パラフィン、酸化パラフィン、モンタンワックスなどの鉱物系ワックス;ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、酸化ポリプロピレンワックス、塩素化ポリエチレンワックス、塩素化ポリプロピレンワックス、エチレン−アクリル酸共重合体ワックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体ワックス、ポリカーボネートワックスなどの合成ワックス;漆ロウ、密ロウ、白ロウ、木蝋、鯨蝋、ワセリン、ラノリン、カルナバワックス、ケーンワックス、キャンデリラワックス、セラックワックス、ライスワックス、シュガーワックスなどの天然ワックス等が挙げられる。前記ワックスとしては、前記アクリル樹脂とのぬれ性がよく、ワックス粒子の硬度が比較的高いという点で、酸化ポリエチレンワックス、酸化ポリプロピレンワックスが好ましい。
前記コーティング層2に含まれ得る前記セルロース樹脂としては、セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、ニトロセルロース、酢酸セルロース、メチルセルロース等が挙げられる。コーティング層2の塗膜強度を向上させ得る点において、前記セルロース樹脂としては、セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)が好ましい。なお、セルロース樹脂は、市販のものが用いられ得る。
前記液状滑剤は、5〜35℃程度の室温で流動性のあるものである。前記液状滑剤としては、例えば、フッ素オイル、流動パラフィン、シリコーンオイルなどが挙げられる。なかでもシリコーンオイルが好ましい。シリコーンオイルとしては、例えば、アミノ変性シリコーンなどの変性シリコーンを用いることもできる。また、前記液状滑剤としてマシンオイル、ミシンオイル等を用いることもできる。前記コーティング層が液状滑剤を含んでなることにより、前記コーティング層のすべり性と耐摩耗性とが向上する。
前記コーティング層2は、本発明の効果を損わない範囲内において、他に添加剤を含有していてもよい。前記添加剤としては、例えば、固体状滑剤、消泡剤、潤滑剤、アマイド系沈降防止剤などの沈降防止剤、界面活性剤などの分散安定剤、つや消し剤、体質顔料、着色剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤などが挙げられる。
前記固体状滑剤としては、例えば、シリカ、タルク、雲母、カオリン、ベントナイト、クレー、黒鉛、フッ化黒鉛、カーボンブラックなどの粒子;酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、チタン酸カルシウム、リン酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ガラス、アルミナ、金属などでなる無機物粒子;ステアリルアルコール等の高級アルコール、ステアリン酸等の高級脂肪酸、ステアリン酸ブチル等の高級脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等の脂肪酸と多価アルコールの部分エステル、ステアリン酸アミド、エチレンビスステアリルアミド等の高級脂肪酸アミド、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム等の高級脂肪酸の塩(金属石けん)、ポリアセタール、ポリ(メタ)アクリル酸金属塩、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸アミド、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、デンプン、セルロースなどでなる有機物粒子などが挙げられる。前記固体状滑剤は、前記液状滑剤と併用され得る。
本実施形態のシュリンクラベル1は、例えば、所望の倍率で延伸処理が施されたラベル基材3の表面に、コーティング層2を形成させるためのコーティング組成物をグラビア印刷、フレキソ印刷などの印刷方法によって塗布することにより製造できる。コーティング層2を形成させるためのコーティング組成物中には有機溶剤が含まれ得る。この有機溶剤はコーティング組成物がラベル基材3に塗布されたあと、乾燥により揮発させることで除去させることができる。
前記コーティング組成物は、例えば、前記高Tgアクリル樹脂と前記低Tgアクリル樹脂とワックスと前記有機溶剤とを混合することにより調製できる。また、前記コーティング組成物に前記セルロース樹脂を配合することもできる。さらに、前記添加剤を配合することもできる。
前記コーティング組成物には、前記高Tgアクリル樹脂と前記低Tgアクリル樹脂との合計量100重量部に対して、通常、前記ワックスを0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜10重量部、前記セルロース樹脂を1〜40重量部、好ましくは5〜30重量部、前記液状滑剤を0.1〜20重量部、好ましくは1〜15重量部、より好ましくは2〜10重量部配合することができる。前記有機溶剤は前記コーティング組成物中に、通常、60〜90重量%配合できる。
前記有機溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n−プロピルなどの酢酸エステル類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、メチルエチルケトンなどのケトン類、トルエンなどの芳香族炭化水素類を用いることができる。
本実施形態のラベル付き容器は、例えば、図2に示すように、容器4にシュリンクラベル1が装着されている。容器4の材質は特に限定されず、形状も特に限定されない。シュリンクラベル1は、通常、コーティング層2が外面側となるように容器に装着されている。また、シュリンクラベル1は、通常、ラベル基材3の主延伸方向(通常、幅方向)が周方向となるように筒状に丸められて両端辺が溶剤等で接着されている。なお、良好な接着性を得るためには、接着部分にはコーティング層2が形成されていないことが好ましい。コーティング層2は必ずしもラベル全面に形成されている必要はなく、ラベルのデザインに合わせてラベル基材3の所望の部分に形成され得る。
前記容器の材質としては、通常、プラスチックが挙げられる。より具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、高密度ポリエチレン(HDPE)やポリプロピレン(PP)等のオレフィンなどが挙げられる。材質がポリエステルであるこれらのプラスチックボトルとしては、通常、ブロー成形などにより得られるものを挙げることができる。また、容器の材質としては、他にガラス、金属、セラミック等を挙げることができる。
前記容器の形状としては、例えば、横断面が略四角形等の多角形、横断面が円形の円筒形状等が挙げられる。
本実施形態のラベル付き容器は、例えば、コーティング層2側を外面とする筒状のシュリンクラベル1を自動ラベル装着装置に供給し、必要な長さに切断した後、通常内容物を充填した容器4に外嵌し、所定温度の熱風トンネルやスチームトンネルを通過させたり、赤外線等の輻射熱で加熱して熱収縮させたりすることにより製造できる。
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
ラベル基材として、熱収縮性スチレン系フィルム(厚み50μm:グンゼ製、商品名「GMVS」)を用い、表1の実施例1に示す組成のコーティング層を形成させるため、固形分20重量%、有機溶剤80重量%のコーティング組成物を調製し、コーティング層の厚みが0.3μmとなるようにコーティング組成物をグラビア印刷によりラベル基材に塗布し、乾燥して、コーティング層を有するシュリンクラベルを製造した。なお、ワックスは、クラリアントジャパン社製 商品名「Ceridust3620」をビーズミルによって粉砕したものを用い、その平均粒子径は下記に示すワックスの平均粒子径の測定法に基づいて測定した。
得られたシュリンクラベルを、ベースフィルムの幅方向が周方向となるように筒状に丸めて両端部をテトラヒドロフランにより溶着し、長尺筒状のシュリンクラベル連続体を得た。このシュリンクラベル連続体を自動ラベル装着装置に供給し、各ラベルに切断した後、コーヒーをホット充填(温度85℃)した断面略四角型で、内容積500mlのPETボトルに外嵌し、スチームトンネル(温度90℃)を通過させて熱収縮させることにより、図2に示されるラベル付き容器を製造した。
<ワックスの平均粒子径の測定法>
粒子状のワックスを酢酸エチル中に分散させ、日機装株式会社製 「MICROTRAC MT3000II」を用いて平均粒子径を測定した。平均粒子径は体積平均を用い、その際のD50%の値を用いた。
<コーティング層の厚みの測定法>
コーティング層の厚みは、キーエンス製 超深度形状測定顕微鏡 「VK−8500」を用いて測定した。具体的には、熱収縮させる前のシュリンクラベルを用い、コーティング層のある部分とない部分の厚みの差を測定した。3点の測定で得られた値の平均値をコーティング層の厚みとした。
Figure 2009075159
(実施例2〜13)
コーティング層を形成させるための組成物をそれぞれ表1の実施例2〜13の配合とした点以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜13の各シュリンクラベル、各ラベル付き容器を製造した。
(比較例1〜4)
コーティング層を形成させるための組成物をそれぞれ表1の比較例1〜4の配合とした点以外は、実施例1と同様にして、比較例1〜4の各シュリンクラベル、各ラベル付き容器を製造した。
<粉吹き防止性>
粉吹き防止性は、次に示す学振試験により評価した。具体的には、実施例1〜13、比較例1〜4で製造したシュリンクラベルのコーティング層同士を接触面積1cm2で接触させ、荷重500gをかけながら、距離120mmを往復運動(200回 速度 30cpm)させ、コーティング層の表面状態を次の基準で評価した。装置は、東洋精機製作所社製 染色堅ロウ度用摩擦試験機を用いた。結果を表1に示す。
なお、評価基準は以下の通りである。
◎:塗膜に傷がつかない。もしくは、塗膜表面に目視で確認できる傷が
往復60〜200回で発生する。
○:塗膜表面に目視で確認できる傷が、往復40〜60回未満で発生する。
△:塗膜表面に目視で確認できる傷が、往復20〜40回未満で発生する。
×:塗膜表面に目視で確認できる傷が、往復1〜20回未満で発生する。
<白化防止性>
白化防止性は、熱収縮後のヘイズ値を測定することにより評価した。具体的には、実施例1〜13、比較例1〜4で製造したシュリンクラベルを90℃の熱水に浸漬し50%収縮させたフィルムのヘイズ値をJIS K7105に基づき、積分球式ヘイズメーターで測定し、全光線透過量に対する拡散光線透過量の割合を測定した。結果を表1に示す。
なお、評価基準は以下の通りである。
○:ヘイズ値が25未満である。
△:ヘイズ値が25以上50未満である。
×:ヘイズ値が50以上である。
<滑り性>
滑り性は下記の方法にて摩擦係数を測定することで評価した。具体的には、実施例1〜13、比較例1〜4で製造したシュリンクラベルのコーティング剤層同士を重ね合わせて、JIS K 7125に準拠して滑り速度100mm/minで滑らせ、摩擦係数を測定した。装置は、東洋精機製作所社製 摩擦測定機 TRを用いた。結果を表1に示す。
なお、評価基準は以下の通りである。
○:動摩擦係数が0.5以下である。
×:動摩擦係数が0.5より大きい。
<粘着防止性>
粘着防止性は、下記に示す熱融着性により評価した。実施例1〜13、比較例1〜4で製造したシュリンクラベルを切り出して2つの試験片(各、幅15mm)とし、コーティング層同士を重ね合わせて、圧力0.3MPaの条件下、温度85℃で180秒間加圧した。
その試験片の、180°剥離強度を剥離速度 200mm/minで島津製作所社製 オートグラフ 商品名「AG−IS 500N」を用いて測定した。結果を表1に示す。
なお、評価基準は以下の通りである。
○:2N/15mm未満である。
×:2N/15mm以上である。
表1から以下のことが認識できる。比較例4に示されるように、アクリル樹脂としてTgが50℃のアクリル樹脂のみがコーティング層に含まれている場合は、粉吹き防止性が低く、粘着防止性も低いことが認識できる。従って、比較例4のシュリンクラベルが装着されたラベル付き容器では、シュリンクラベルの粉吹きが発生しやすく、シュリンクラベル同士の粘着が生じやすいと考えられる。これに対して、実施例1〜13に示されるように、Tgが60〜150℃の高Tgアクリル樹脂とTgが5〜45℃の低Tgアクリル樹脂とがコーティング層に含まれている場合は、白化防止性、粉吹き防止性、粘着防止性に優れていることが認識できる。従って、各実施例のシュリンクラベルが装着されたラベル付き容器では、シュリンクラベル収縮時の白化が生じにくく、シュリンクラベルの粉吹きが発生しにくく、シュリンクラベル同士の粘着も生じにくいと考えられる。
一実施形態のシュリンクラベルを示す断面図。 一実施形態のラベル付き容器を示す概略図。
符号の説明
1・・・シュリンクラベル
2・・・コーティング層
3・・・ラベル基材
4・・・容器
5・・・ラベル付き容器

Claims (5)

  1. ラベル基材(3)の少なくとも1面側にコーティング層(2)が形成されているシュリンクラベルであって、前記コーティング層(2)が、ガラス転移温度(Tg)が60〜150℃の高Tgアクリル樹脂と、ガラス転移温度(Tg)が5〜45℃の低Tgアクリル樹脂と、ワックスとを含んでなり、前記高Tgアクリル樹脂と前記低Tgアクリル樹脂との重量比が、高Tgアクリル樹脂/低Tgアクリル樹脂=90/10〜25/75であることを特徴とするシュリンクラベル(1)。
  2. 前記コーティング層(2)がセルロース樹脂を含んでなる請求項1に記載のシュリンクラベル(1)。
  3. 前記コーティング層(2)が液状滑剤を含んでなる請求項1または2記載のシュリンクラベル(1)。
  4. 前記コーティング層(2)の厚みが0.05〜0.5μmであり、前記ワックスの平均粒子径が0.2〜2μmであり、かつ、前記コーティング層(2)の厚みが前記ワックスの平均粒子径より小さい請求項1〜3のいずれか1項に記載のシュリンクラベル(1)。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載されたシュリンクラベル(1)が、前記コーティング層(2)が外側となるように装着されたラベル付き容器(5)。
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