JP2007253341A - ハードコート転写材および転写物 - Google Patents

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Abstract

【課題】各種被転写基材の製品最表層に効果的かつ簡便に低コストでハードコート機能を効率的に与えることができ、コーティング加工時に設備汚染性がないハードコート転写材およびそれを用いた、特に引っかき抵抗性、耐スチール磨耗性および耐RCA磨耗性に優れた転写物を提供する。
【解決手段】ベースフィルム(1)の片面に離型層(2)、ハードコート層(3)、プライマー層(4)、ヒートシール層(5)を順次形成したハードコート転写材において、離型層(2)が25℃における針入度が10以下のワックス類を主成分とするものであり、ハードコート層(3)が紫外線若しくは電子線硬化型樹脂であるハードコート転写材。またこのハードコート転写材を被転写基材に転写し、離型層(2)の少なくとも一部が製品最表層になるようにした転写物。
【選択図】 図1

Description

本発明は、内外装建材、自動車内外装用成型部品、家電製品、化粧品容器、カード、汎用パッケージ、工芸品民芸品などの表面にハードコート処理を施すためのハードコート転写材と、このハードコート転写材を用いて表面をハードコート処理した転写物に関するものである。より詳しくは、ベースフィルム上にワックス類の離型層と紫外線若しくは電子線硬化型樹脂とを設けたハードコート転写材を用い、特に耐スチールウール磨耗性および耐RCA磨耗性に優れた転写物を得るものである。
従来から、成型物表面に保護層を形成する方法としては、剥離層を有する基体シート上に保護層が形成された転写材を成型物表面に接着させた後、基体シートを剥離する転写方法がある。
成型体や絵柄等の保護層を構成する樹脂としては、一般に熱硬化性樹脂や紫外線若しくは電子線硬化型樹脂、さらにはその両方の機能を持つ樹脂が使用されている。
特開2001−105794号公報 特開2000−85299号公報 特開平9−30197号公報
しかしながら、特許文献1の表面保護層転写材は、転写表面が電離放射線硬化樹脂であるため、鉛筆引っかき抵抗性は良好だが滑り性が悪いため、耐スチールウール磨耗性および耐RCA磨耗性が弱いという問題がある。
また、特許文献2の剥離補助層に用いられるバルサム、シェラック等の天然樹脂類、モンタンワックス類、パラフィン系ワックス類は、樹脂自体が柔らかいという特性をもつので、転写表面が傷付きやすいという問題がある。
さらに、特許文献3では、シリコーン樹脂層を形成した転写材が提案されているが、シリコーン樹脂は、コーティング加工において加工設備に残存しやすく、その他の商品の加工に悪影響を及ぼすという問題がある。
したがって、この発明は、上記のような問題点を解消するため、滑り性かつ鉛筆引っかき抵抗性の優れた機能性を各種基材に付与でき、コーティング加工時の設備汚染性のないハードコート転写材とその転写物を提供することを目的とする。
本発明のハードコート転写材は、上記問題点を解消するためになされたものであり、ベースフィルム(1)の片面に離型層(2)、ハードコート層(3)、プライマー層(4)、ヒートシール層(5)を順次形成したハードコート転写材において、離型層(2)が25℃における針入度が10以下のワックス類を主成分とするもので、かつハードコート層(3)が、紫外線若しくは電子線硬化型樹脂であることを特徴とするハードコート転写材である。
好ましくは、上記発明において、離型層(2)のワックス類がポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス又はカルナバワックスの単独または、それらの2種以上の混合物を主成分とすることを特徴とするハードコート転写材である。
また、上記発明のハードコート転写材を基材に転写した時、その最表層には離型層(2)の少なくとも一部が存在することを特徴とする転写物である。
本発明のハードコート転写材によって得られた転写物は、転写最表層を薄膜の非常に滑りやすい成分で構成し、またその下層には、高硬度の層が積層されているため、滑り性と高硬度を併せ持つ。またコーティング加工時の設備汚染性のないハードコート性を有する。本発明は、内外装建材、自動車内外装用成型部品、家電製品、化粧品容器、カード、汎用パッケージ、工芸品民芸品などの成型物表面を保護するハードコート性を付与する用途などに用いることができる。
本発明のハードコート転写材において用いるベースフィルム(1)としては、特に制限はなく、充分な自己保持性を有する通常の転写箔に用いられるものであればいずれも用いることができる。例えばポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルムなどの合成樹脂フィルムやセルロースアセテートフィルムなどの人造樹脂フィルム、セロハン紙、グラシン紙などの洋紙、和紙などのフィルム状物、あるいはこれらの複合フィルム状物もしくは複合シート状物などがあげられる。加工面にコロナ処理、アンカーコート等の処理を施したフィルムを用いることもできる。又離型層を形成する反対面に易滑コート、耐熱コート等の処理を施したフィルムを用いることもできる。ベースフィルム(1)の厚さとしては、特に制限はなく、通常4〜100μmの範囲、好ましくは9〜75μmの範囲、より好ましくは25〜50μmの範囲の厚さのフィルムを用いることがカールやシワ、亀裂などのないハードコート転写材の製造ができる点から好ましい。
本発明のハードコート転写材において用いる離型層(2)の樹脂としては、25℃における針入度10以下のワックス類を主成分とするものである。好ましくは、ワックス類が硬度の高い、ポリエチレンワックス又はポリプロピレンワックスなどの合成ワックス、更にはカルナバワックスなどの天然ワックスを主成分とするものである。更に好ましくは、水分散系の前記各種ワックスを用いることが加工安定性や加工環境の面で好ましい。針入度が10より大きくなると離型層(3)が軟らかくなり、耐摩耗性が劣化するので好ましくない。ここで言う針入度とは、物質の硬度を示す値であり針入度の値が小さいものほど硬いことを表す。この測定は、日本工業規格(JIS K−2235)で規定された試験方法に基づいたものである。更に詳しくは、規定装置で規定温度下に定められた針に100gの荷重をかけ、5秒間で試料に何ミリメーター進入するかを求め、この10倍の数値で表したものである。
離型層(2)の形成方法としては特に限定されず、例えば、リバースロールコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、コンマコーター、バーコーター、エアドクターコーター等一般的なコーティング方法により前記ベースフィルム(1)上に塗布、乾燥させて形成できる。離型層(2)の厚みは0.01〜2.0μm、より好ましくは0.05〜1.0μmであることが好ましい。0.01μm未満の場合、離型性や滑り性が悪くなるので好ましくない。また1.0μmを超えると鉛筆硬度が落ちる等の物性劣化や、塗膜の透明性が悪くなり外観異常が発生しやすいので好ましくない。
本発明のハードコート転写材において用いるハードコート層(3)の樹脂としては、得られるハードコート層の表面硬度の硬さの点から、紫外線硬化型、若しくは電子線硬化型樹脂が用いられる。例えばウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、不飽和ポリエステル、その他特殊アクリレートなどの樹脂が挙げられる。これらの樹脂の単独または混合物を主成分としたものを必要に応じて溶剤に溶解させた塗剤が好適に用いられる。
ハードコート層(3)の形成方法としては特に限定されず、例えば、リバースロールコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、コンマコーター、バーコーター、エアドクターコーター等一般的なコーティング方法により前記離型層(2)上に塗布、乾燥、紫外線若しくは電子線照射により硬化させる。ハードコート層(3)の厚みは0.5〜20.0μm、より好ましくは1.0〜10.0μmであることが好ましい。0.5μm未満の場合、硬化が不十分となり必要な硬度が得られない等の問題があり好ましくない。また20.0μmを超えると塗膜のワレやカールの発生、硬化不良が生じるなど好ましくない。
本発明のハードコート転写材において用いるプライマー層(4)の樹脂としては、ハードコート層(3)とヒートシール層(5)の密着性向上のために用いられるものであり、その目的が達成できれば特に制限はない。例えばポリエステル系樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、尿素−メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ニトロセルロース系樹脂を単独またはこれらの混合物を主成分とした樹脂を有機溶剤に溶解させた塗剤が好適に用いられる。
プライマー層(4)の形成方法としては特に限定されず、例えば、リバースロールコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、コンマコーター、バーコーター、エアドクターコーター等一般的なコーティング方法により前記ハードコート層(3)上に塗布、乾燥、紫外線若しくは電子線照射、熱硬化、エージングなどにより硬化させて形成したものを用いることができる。プライマー層(4)の厚みは0.1〜5.0μm、より好ましくは0.5〜3.0μmであることが好ましい。0.1μm未満の場合、ハードコート層(3)との密着性が悪くなることがあるので好ましくない。また5.0μmを超えても密着性等のさらなる向上は見られず、コスト高になり好ましくない。
本発明のハードコート転写材において用いるヒートシール層(5)は、熱圧着、インモールド成型などの熱により融解して基材に転写させるためのものである。この樹脂としては、特に制限はなく、通常の転写材に用いられる樹脂から適宜選択し用いられる。例えばポリエステル−イソシアネート系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、スチレンーブタジエン系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル系樹脂、エチレンー酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ゴム系樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂など有機溶剤系樹脂、エマルジョン系樹脂の単独またはこれらの混合物を主成分とする樹脂から各種被転写基材に対して適宜選択採用される。
ヒートシール層(5)の形成方法としては特に限定されず、例えば、リバースロールコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、コンマコーター、バーコーター、エアドクターコーター等一般的なコーティング方法により前記プライマー層(4)上に塗布、乾燥させて形成したものを用いることができる。ヒートシール層(5)の厚みは0.3〜10.0μm、より好ましくは0.5〜5.0μmであることが好ましい。0.3μm未満の場合、各種被転写基材との接着や密着が不十分などの問題があり好ましくない。また10.0μmを超えると希望のハードコート性が不十分となり、またコスト高となり好ましくない。
本発明の被転写基材としては、材質を限定されることはないが、特に樹脂成型品、ゴム製品、金属製品、木工製品もしくは各種材質からなる複合製品などを挙げることができる。これらは、透明、半透明、不透明のいずれでもよい。また、被転写基材は、着色されていても、着色されていなくてもよい。樹脂としては、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、AN樹脂など汎用樹脂を挙げることができる。またポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、ポリフェニレンオキシド・ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、超高分子量ポリスチレン樹脂などの汎用エンジジアリング樹脂やポリスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイト系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリイミド樹脂、液晶ポリエステル樹脂、ポリアリル系耐熱樹脂などのスーパーエンジニアリング樹脂を使用することもできる。さらにガラス繊維や無機フィラーなどの補強材を添加した複合樹脂も使用できる。
本発明のハードコート転写材と本発明の転写物の転写方法としては、特に制限はなく、ロール転写、アップダウン転写、ブロー転写、インモールド転写等の公知の転写方法により簡単に転写を行うことができる。
以下に実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム上に、針入度8のポリエチレンワックスの水分散体をグラビアコーティング法にて塗布、乾燥して厚さ0.1μmの離型層を形成した。この離型層上に紫外線硬化性のウレタンアクリレート系樹脂からなる溶液をグラビアコーティング法にて塗布、乾燥、紫外線照射して厚さ5.0μmのハードコート層を形成した。このハードコート層上にポリエステル樹脂とポリイソシアネート樹脂からなる溶液をグラビアコーティング法にて塗布、乾燥して厚さ1.0μmのプライマー層を形成した。さらにプライマー層上に酢酸ビニル系樹脂からなる溶液をグラビアコーティング法にて塗布、乾燥して厚さ1.5μmのヒートシール層を形成し、本発明のハードコート転写材を得た。さらに、このハードコート転写材を用いロール転写機にて200℃でアクリル板に転写を行って本発明の転写物を得た。
実施例1の構成から離型層を針入度5のポリプロピレンワックスの水分散体にて形成した以外は、実施例1と同様にして本発明のハードコート転写材を得た。そして、実施例1と同様の転写方法で本発明の転写物を得た。
実施例1の構成から離型層を針入度1のカルナバワックスの水分散体にて形成した以外は、実施例1と同様にして本発明のハードコート転写材を得た。そして、実施例1と同様の転写方法で本発明の転写物を得た。
実施例1の構成から離型層の膜厚を0.05μmとした以外は実施例1と同様にして、本発明のハードコート転写材を得た。そして、実施例1と同様の転写方法で本発明の転写物を得た。
実施例1の構成からハードコート層の膜厚を3.0μmとした以外は実施例1と同様にして、本発明のハードコート転写材を得た。そして、実施例1と同様の転写方法で本発明の転写物を得た。
(比較例1)
実施例1の構成から離型層を除いた以外は実施例1と同様にして比較例1の転写材を得た。そして、実施例1と同様の転写方法で比較例1の転写物を得た。
(比較例2)
実施例1の構成から離型層を針入度12のパラフィン系ワックスの水分散体にて形成した以外は、実施例1と同様にして比較例2の転写材を得た。そして、実施例1と同様の転写方法で比較例2の転写物を得た。
(比較例3)
実施例1の構成から離型層をシリコーン樹脂層で形成した以外は実施例1と同様にして比較例3の転写材を得た。そして、実施例1と同様の転写方法で比較例3の転写物を得た。
上記の実施例1〜5および比較例1〜3で得られた転写物について、それぞれ鉛筆引っかき試験、スチールウール磨耗試験、RCA磨耗試験を行い、傷つきにくさを測定した。また、それぞれの転写材の加工時のクリーン設備汚染性について確認した。結果を表1に示す。
(イ)鉛筆引っかき試験の評価方法
得られた転写物を塗膜用引っかき試験機(JISK5401)を用い、各種硬度の鉛筆で転写物の表面皮膜を引っかき、表面皮膜に傷がつかない場合の鉛筆の硬度記号を鉛筆硬度とした。
(ロ)スチールウール磨耗試験の評価方法
学振型磨耗試験機にスチールウール(ボンスター#0000、日本スチールウール社製)をセットし、得られた転写物を500g荷重、200往復にて擦り、転写表面の傷つき度合いを目視により観察し、下記の評価基準に基づいて評価した。
◎:転写表面の傷つきが観察されない。
○:転写表面の傷つきがほとんど観察されない。
△:転写表面の傷つきが観察された。
×:ハードコート層の一部に剥れが観察された。
(ハ)RCA磨耗試験の評価方法
RCA磨耗試験機を用い、得られた転写物を点接触で表面に傷がつくまで擦り続け、傷が確認できるまでの擦り回数を測定した。擦り回数が300回に達しても傷がつかないものについては、試験を中止し、測定値を「300回以上」と記すものとした。
(ニ)設備汚染性の評価方法
加工後の設備洗浄/清掃に要した時間にて汚染性を評価した。設備とは、塗工用シリンダー、液溜め容器、循環ポンプやロール等のことである。
○:1時間以内(容易に洗浄/清掃できる)
△:1〜3時間(洗浄/清掃が困難)
×:3時間以上(洗浄/清掃が非常に困難)
実施例1の転写表面をFT−IRで分析した結果、ワックスの存在が認められた。比較例1も同様に分析したが転写表面はハードコート層であった。上記結果の様に、実施例1は、転写表面に比較例1にはない針入度の小さいワックスが存在する為、耐スチールウール磨耗性、RCA磨耗性が良好である。
本発明のハードコート転写材によれば、内外装建材、自動車内外装用成型部品、家電製品、化粧品容器、カード、汎用パッケージ、工芸品民芸品などの表面にハードコート機能を容易に付与でき、特に引っかき抵抗性、耐スチール磨耗性および耐RCA磨耗性に優れた転写物を得ることができ、またコーティング加工時の設備汚染性がないため、本発明は産業上極めて有用なものとなる。
本発明のハードコート転写材の実施形態の一例を示す概略断面図である。
本発明のハードコート転写物の実施形態の一例を示す概略断面図である。
符号の説明
1、ベースフィルム
2、離型層
3、ハードコート層
4、プライマー層
5、ヒートシール層
6、被転写基材

Claims (3)

  1. ベースフィルム(1)の片面に離型層(2)、ハードコート層(3)、プライマー層(4)とヒートシール層(5)を順次形成したハードコート転写材において、離型層(2)が25℃における針入度が10以下のワックス類を主成分とするものであり、かつハードコート層(3)が紫外線若しくは電子線硬化型樹脂であることを特徴とするハードコート転写材。
  2. 離型層(2)のワックス類がポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス又はカルナバワックスの単独または、それらの2種以上の混合物を主成分とすることを特徴とする請求項1記載のハードコート転写材。
  3. 請求項1〜2記載のハードコート転写材を基材に転写した時、その最表層には離型層(2)の少なくとも一部が存在することを特徴とする転写物。
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