JP4893289B2 - カード用転写保護フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、カード上に形成されるオーバーコートに関するものであり、詳しくはカード表面の耐スクラッチ性・耐磨耗性に加え耐溶剤性および溶剤に浸漬した後のカードと転写層の密着性にも優れた保護フィルムに関するものである。
熱転写に適したカードとして、例えば、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂からなる単層あるいは複数層からなるカードが挙げられる。
このカード基材の任意箇所に設けられた磁気ストライプと、カード基材の表面側と裏面側に設けられるコーティング層又はフィルム状シート等の被覆層とから、その主要部が構成されているものが知られている。
ここで、熱転写層が形成された転写フィルムをカード等の形状をした熱軟化性の基体面上へ転写する転写法は公知であり、例えば、ポリ塩化ビニル製磁気カード表面にサーマルリボンを用いて印字または印画した後、この印字面をスクラッチや摩耗から守るための保護層として利用されている。
前記転写法には、加熱手段と加圧手段を備えた装置、例えばラミ機のラミローラーの間に、転写フィルム側を加熱したロールと接触させ、基体と転写フィルムを互いに重ねた状態で挿通して転写を行う。この際、不要となる転写層に元から付いていたベースフィルムの剥離除去も行われる。
上記加熱手段は、通常、熱伝導性に優れかつ圧力を伝え易い金属からなるロール状物で構成されており、一方、加圧手段は加熱手段の圧力を基体に均一に伝えるためシリコーンゴム等の弾性材料からなるロールもしくは盤状物で構成されている。
また上記加熱手段の表面温度は、転写に際し転写フィルムを十分に基体に接着させる必要があるので基体の軟化点付近の適宜な温度に設定されている。
このような転写法に用いる樹脂成型品などの被転写体上に装飾性を有する転写層を転写するための転写シートは、各種の用途に用いられている。
一般に、転写シートは支持体シート上に転写層を設けたものからなり、転写層は支持体側から見て被転写体表面に転写層を接着させるための接着層とこの接着層の上に設けられた絵柄などからなる装飾層および被転写体上に転写された装飾層を保護するための硬質塗膜層などから構成されている。
ここで、転写後の樹脂成型品の表面にある硬質塗膜層の主成分として以下のものが知られている。
電離放射線架橋型樹脂中に不定多角形状のα−アルミナ粒子を減摩剤として分散させたもの(特許文献1)や架橋型樹脂から成るもの(特許文献2)である。
特開平3−76698号公報 特開平8−207500号公報
硬質塗膜層の主成分として、特許文献1の電離放射線架橋型樹脂から成る樹脂は耐擦傷性や耐薬品性に優れているが塗工時に難点がある。それは保護層中にα−アルミナ粉体などの無機材料を添加した塗料を塗工する際、例えばグラビアロールコートを用いて塗工する場合には、グラビアロールやドクターブレードを磨耗させたり傷を付けたりするという問題である。さらに無機粉末を添加した塗膜は白濁して透明性が低下して、転写箔としての意匠が不充分となる。
また特許文献2の架橋型樹脂から成る樹脂でも硬化方法は完全な熱硬化ではなく最終的に電子線(EB)で行っており工程数が増えるという欠点がある。
そこで本発明では非架橋型樹脂により、カード上に熱転写される転写層の耐スクラッチ性、耐磨耗性、特に耐薬品性に優れたカード用保護層転写フィルムを簡易に提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、第1の支持体の上に、
少なくとも接着層と保護層とがこの順で積層されてなる転写層を有する転写保護フィルムにおいて、
前記保護層および前記接着層は非架橋型熱可塑性のアクリル樹脂とポリ塩化ビニル樹脂からなり、かつ前記アクリル樹脂と前記ポリ塩化ビニル樹脂の重量比でポリ塩化ビニル樹脂を20%以上、前記アクリル樹脂を50%より多く含有し、
前記保護層は、前記ポリ塩化ビニル樹脂の平均重合度が2000以下であり、かつ前記アクリル樹脂と前記ポリ塩化ビニル樹脂の中に微粉末状のPTFE変性ポリエチレンワックスからなる滑剤を含有し、
前記接着層は、前記非架橋型熱可塑性のアクリル樹脂の分子量が30000〜60000であることを特徴とする転写保護フィルムである。
請求項2の発明は、前記第1の支持体の少なくとも片面に
前記転写層を熱転写により形成することを特徴とする請求項1記載の転写保護フィルムである。
請求項3の発明は、第1の支持体の上に、
保護層を形成し、
さらにその上に接着層を形成して転写層とする工程を含み、
前記保護層および前記接着層は非架橋型熱可塑性のアクリル樹脂とポリ塩化ビニル樹脂からなり、かつ前記アクリル樹脂と前記ポリ塩化ビニル樹脂の重量比でポリ塩化ビニル樹脂を20%以上、前記アクリル樹脂を50%より多く含有し、
前記保護層は、前記ポリ塩化ビニル樹脂の平均重合度が2000以下であり、かつ前記アクリル樹脂と前記ポリ塩化ビニル樹脂の中に微粉末状のPTFE変性ポリエチレンワックスからなる滑剤を含有し、
前記接着層は、前記非架橋型熱可塑性のアクリル樹脂の分子量が30000〜60000であることを特徴とする転写保護フィルムの作製方法である。
請求項4の発明は、請求項の作製方法により作製した請求項1記載の転写保護フィルムである。
以上から、本発明の転写保護フィルムをカード基板上に熱転写することにより、耐スクラッチ性や耐磨耗性が向上し、カード表面上にキズが付くのを防止することが出来るだけでなく耐溶剤性や溶剤浸漬後の密着性にも優れた転写箔を簡易な方法で提供することが可能となる。
本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、転写保護フィルム(20)の一実施形態を示すものであり、支持体(21)の上に、接着層(22a)と保護層(22b)から成る転写層(22)から形成されている。
また、図1には示されないが、転写保護フィルム(20)の保護層(22b)の上には保護層(22b)を保護するためのマスキングフィルムをラミネートしており、転写層(22)と支持体(21)を熱転写して転写保護フィルム(20)を形成する際には剥離除去される。
転写保護フィルム(20)に使用される材料や各層の厚さ等について以下に記述する。
マスキングフィルムは、転写時の熱圧で軟化変形しない耐熱性を有するものであればよく、その材料としては、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール等の合成樹脂、天然樹脂、紙、合成紙などから単独で選択されたもの、または上記より選択し組み合わされた複合体が使用可能である。
さらにその厚さは、操作性や加工性を考慮して2〜200μmのものが使用可能であるが、転写適性やハンドリングを考慮すると、6〜100μm程度のものが望ましい。
また、保護層(22b)との密着性を向上させるため、コロナ放電処理やグロー放電処理等の表面処理や易接着層を設けても良い。さらにマスキングフィルムの裏面には、滑剤、帯電防止剤等を含むバックコートを必要に応じて設けても良い。
保護層(22b)は、最終製品の表面の耐スクラッチ性・耐摩耗性を付与するものである。
保護層(22b)の材料としては、その滑剤の材料としては、ポリエチレンワックス、ポリエステルワックスパウダー、パラフィンワックス、高級脂肪族アルコール、オルガノポリシロキサン、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、金属石鹸類、有機カルボン酸およびその誘導体、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ジメチルシリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、反応性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、シランカップリング剤の反応化合物、シリコーンゴム、シリコーンコンパウンド、シリコーンワックス等の滑剤を単体もしくは2種以上混合したものを、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレンー酢酸ビニル共重合樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、フェノキシ樹脂、エチルセルロース樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、ニトロセルロース樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリアクリル酸エチル樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂、ポリアミド樹脂、石油樹脂、エチレン−アクリル酸共重合樹脂、エチレン−アクリル酸エステル共重合樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、エチレンエチルアクリレート樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、NBR・SBR・MBR等の各種合成ゴム等をバインダーとして、上記滑剤を混合したものが使用することができる。
特に保護層(22b)に添加して保護層(22b)表面の滑り性を向上させ、かつ耐スクラッチ性・耐溶剤性を向上させる滑剤としてPTFE変性ポリエチレンワックスが最も望ましく、さらにその粒径としては1.5〜12μm程度のものが望ましい。
またPTFE変性ポリエチレンワックスの添加量としては樹脂固形分に対して3〜10重量パーセントが好ましく、さらに好ましいのは3〜6重量パーセントである。また固体滑剤の粒径としては1.5〜12μm程度のものが望ましい。
保護層(22b)の厚みは、通常0.1〜5μm程度、より好ましくは0.5〜1.3μm程度である。
なお保護層(22b)の形成方法は、上述の樹脂、ワックス、その他所望の添加剤を有機溶剤等の溶媒に溶解又は分解させて、ワイヤーコーティグ法等の公知のコーティング方法により、基材フィルム上に塗布し、乾燥させることで形成することができる。
保護層(22b)及び接着層(22a)に使用するアクリル系樹脂は、保護層(22b)の場合、Tgは100℃以上で重量平均分子量(Mw)が150000以上のものが好ましく、また接着層(22a)の場合、Tgが70℃以上で重量平均分子量(Mw)が30000〜90000であり、より好ましくは30000〜60000のものである。
すなわち、接着層(22b)の場合、使用するアクリル系樹脂のTgを70℃以上と低くし、また分子量を小さくすることで、軟らかく密着性の良い接着層(22b)を形成することができる。
保護層(22b)及び接着層(22a)に使用する塩化ビニル系樹脂は、塩素系ポリマー、例えばポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、クロロブレン等である。樹脂は、融点が30℃以上、150℃以下、より好ましくは50〜105℃の範囲のものがよい。30℃以下のものを用いると保存性が悪いので適当でない。
またより好ましくは、耐溶剤性や耐スクラッチ性に優れているポリ塩化ビニルが良い。
塩化ビニルと共重合しうる単量体化合物としては、塩化ビニリデン、エチレン、プロピレン、アクリロニトリル、マレイン酸、イタコン酸、アクリル酸、メタアクリル酸、酢酸ビニル等が挙げられる。これらの塩化ビニル系樹脂は、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合法等の従来公知の製造法のうち、いずれの方法によって製造されたものであってもよい。
接着層(22a)は、転写層(22)と被転写体を強固に接着・融着させるものである。
接着層(22a)の材料は、通常熱可塑性樹脂が用いられ、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、フェノキシ樹脂、エチルセルロース樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、ニトロセルロース樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリアクリル酸エチル樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂、ポリアミド樹脂、石油樹脂、エチレン−アクリル酸共重合樹脂、エチレン−アクリル酸エステル共重合樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、エチレンエチルアクリレート樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、NBR・SBR・MBR等の各種合成ゴム等が挙げられるが、これに限定される物ではない。また、これらを2種以上混合して用いても良い。また、ブロッキング防止や吸水性を目的として、各種フィラーを添加することができる。例えば、テフロン(登録商標)系微粒子、フッ素樹脂系粒子(例えば、テトラフルオロエチレンフロン系微粒子)、シリコーン樹脂微粒子、ベンゾグアナミン樹脂−メラミン樹脂縮合物微粒子、デンプン、炭酸カルシウム、酸化チタン、タルク、カオリン、プロテインパウダー、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、シリカ、多孔質シリカ等が挙げられる。これらの添加量は熱可塑性樹脂100部に対して1〜20重量部が好ましい。さらに、紫外線吸収剤、製膜助剤、塗液安定剤、レベリング剤、帯電防止剤、老化防止剤等の各種添加剤を必要に応じて添加する事もできる。
接着層(22a)は、保護層(22b)上に、例えば熱可塑性アクリル樹脂を適当量の有機溶剤等の溶媒に溶解又は分解させて、ワイヤーコーティグ法等の公知のコーティング方法により、塗布し、乾燥することにより形成される。接着層(22a)の厚みは、通常0.01〜2.0μm程度、好ましくは0.3〜0.5μm程度である。
また転写層(22)の厚みは保護層(22a)と接着層(22b)併せて2.0μm以下になるようにする。
支持体(21)は、融点が100℃以上の透明な高分子プラスチックフィルムからなる。融点が100℃以下であると、転写時の熱圧により軟化・変形を起こし、伸びや歪みを生じるため被転写基材への転写がうまくいかない。
そこで材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートに代表されるポリエステルフィルム、ポリフェニルサルファンフィルム、ポリプロピレンフィルム、低密度ポリエチレンフィルム、高密度ポリエチレンフィルム、硬質ポリ塩化ビニルフィルム、軟質ポリ塩化ビニルフィルム、アセテートフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ナイロンフィルム、ポリイミドフィルム、アラミドフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリエーテルサルフォンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリサルフォンフィルム、ポリフタルアミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリケトンフィルム、ポリアリレートフィルム等が挙げられる。
上記フィルムは、無延伸タイプ・一軸延伸タイプ・二軸延伸タイプのいずれかが必要に応じて選ばれる。また、前記マスキングフィルムと同様にして、他層との密着性を向上させるため、コロナ放電処理やグロー放電処理等の表面処理や易接着層を設けても良い。
また支持体(21)にマット処理を施した離型フィルムを使用しても良く、例えば、サンドブラスト処理、ケミカルマット処理、練り込みマット処理をしたPETフィルムが使用でき、転写された表面の表面粗さを任意にコントロールすることが可能となる。特に表面粗さRz(JIS B0601−1994に規定される十点平均粗さ)が2〜3μmの範囲にあるものが望ましい。
また、転写層(22)の表面に離型処理を施すことにより、支持体(21)と転写層(22)の剥離を容易にし、被転写体への転写を効果的に行うことができる。一般的に離型処理としてはフッ素処理、シリコーン処理等の表面処理が挙げられる。
以上説明したような本実施形態の熱転写方式により、転写層(22)をカード等に転写するだけで、表面にキズが付きにくいカードを容易に製造することができる。さらにフッ素系滑剤及び塩化ビニル系樹脂を使うことで耐溶剤性にも優れた転写層(22)を容易に提供することも可能となる。
以下実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。
(実施例1)
まず非架橋型熱可塑性のアクリル樹脂をメチルエチルケトンとトルエンの混合溶媒に溶解させ接着層(22a)となる塗液を作製した。
次に同様の手順で非架橋型熱可塑性のアクリル樹脂(根上工業社製 商品名 プレコート2000R 分子量600000 Tg 85℃)をメチルエチルケトンとトルエンの混合溶媒に溶解させ、さらにポリ塩化ビニル樹脂をTHF(tetrahydrofuran、別名:テトラメチレンオキシド、オキソラン)に溶解させたものを、非架橋型熱可塑性のアクリル樹脂とポリ塩化ビニル樹脂の重量比で7:3になるように混合し、さらに滑剤であるPTFE変性ポリエチレンワックスを樹脂固形分に対して6重量パーセントを添加して保護層(22b)となる塗液を作製した。
これらの塗液を、それぞれグラビアコーターを用いて、直接カード基材(第の支持体)上に接着層(22a)の塗液を塗工・乾燥させ、さらにその上に保護層(22b)となる塗液を塗工・乾燥させてカードを作製した。ここで乾燥後の接着層(22a)と保護層(22b)の合計膜厚が2μmとなるようにした。
(実施例2)
実施例1と同じ組成の接着層(22a)となる塗液と保護層(22b)となる塗液を、厚さ26μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(第の支持体)上に、まず保護層(22b)となる塗液を塗工・乾燥(80℃)し、さらにその上に接着層(22a)となる塗液を塗工・乾燥(80℃)して転写層(22)を作製した。
上記の転写層(22)の作製をロールtoロールで作製した場合、転写層(22)の形成されたロール物を転写箔と称呼する。
次にこの転写箔をプラスチックの基材に、120℃・50kg/cmの条件で90秒間印圧し、その後常温に冷却する、熱転写方式によりカードを作成した。この方法は、上記実施例1のカード上に直接転写層(22)を形成する場合と比較して、転写箔を作製しておけば、カードと熱転写するだけで転写保護フィルムを形成できるので非常に簡便な方法である。
以下の実施例では、実施例2による転写方式にてカードを作製した。
(実施例3)
実施例2と同じ組成の接着層(22a)と保護層(22b)において、保護層(22b)の非架橋型熱可塑性のアクリル樹脂とポリ塩化ビニル樹脂重量比をそれぞれ9:1、5:5にして転写層(22)を作製した後、転写方式によりカードを作製した。
(実施例4)
実施例1で作製した転写層(22)と同じアクリル樹脂を使用し、ポリ塩化ビニル樹脂の平均重合度が2000以下のもの(日本ゼオン社製 商品名 ゼオンAL31 平均重合度1050)を用いて、実施例2と同様の条件にて転写層(22)を作製し、転写方式によりカードを作製した。
(実施例5)
実施例1で作製した転写層(22)のうち保護層(22b)の構成及び接着層(22a)に混合する塩ビ樹脂はそのままで、接着層(22a)のアクリル樹脂の平均分子量が30000〜60000のもの(三菱レーヨン社製 商品名MB−2389 分子量30000 Tg90℃)を用いて、実施例2と同様の条件にて転写層(22)を作製し、転写方式によりカードを作製した。
(比較例1)
実施例2に記載した構成において、滑剤としてPTFE変性ポリエチレンワックスではなく、一般的によく使用される市販のポリエチレンワックスを樹脂固形分に対して6重量パーセントを添加し、同様の条件にて転写層(22)を作製した。次に前記転写層(22)を厚さ26μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に転写した。
(比較例2)
実施例4に記載した構成において、ポリ塩化ビニル樹脂の平均重合度が2000以上のもの(新第一塩ビ社製 商品名 ZEST 2500Z 平均重合度2500)を用いて、実施例2と同様の条件にて転写層(22)を作製し、転写方式によりカードを作製した。
[比較例3]
実施例5に記載した構成において、接着層(22a)のアクリル樹脂の分子量が60000以上のもの(東栄化成社製 商品名LC#6500 分子量88000)を用いて、実施例2と同様の条件にて転写層(22)を作製し、転写方式によりカードを作製した。
上述の実施例および比較例で得られたカードについて、以下の試験を行いその結果を表1から表4にまとめた。
まずカード表面の滑り性については連続荷重引掻き試験機(ヘイドン タイプ22)にて、荷重一定(=500g)条件下でボール圧子(ボールの直径は10mm)を使用し、試料台上に圧子を滑にかかる抵抗値を測定した(値は電圧値に換算)。
また、これに併せて爪引掻きによる評価も行った。
次に表2より表面強度試験は、ナノインデンター(MTS社DCM−SA2)によりヤング率およびビッカース硬度の測定を行った。
さらにヘッドパス試験機により摺動距離10cmで5000回往復摺動させ、カード表面の耐摩耗性について測定した。
耐溶剤性については60%エタノールに浸漬させカードの色あせが生じるか否か等の外観の検査をした。
また支持体と転写層の密着性を調べるため、カードの上にテープ(ニチバン株式会社 セロファンテープ)を貼った後、テープを剥離するテープ試験を行った。

Figure 0004893289

Figure 0004893289

Figure 0004893289

Figure 0004893289
実施例1及び2の方法で作製したカードについては、表面強度及び滑り性を測定した結果表1から表3に示すようにほぼ同じ性能を有していることが分かる。
また表3の耐硬度・磨耗試験に示されるように、アクリル樹脂中に占めるポリ塩化ビニル樹脂の割合が20%以下になると耐溶剤性が低くなる。この結果より、耐溶剤性を得るためには、ポリ塩化ビニル樹脂の割合を20%以上にする必要がある。
またアクリル樹脂が50%以下では、爪引掻き試験の結果より、硬度が低下してしまうことが分かる。
さらに、一般にキズ付き難さの指標として表面の滑り性が考えられることから、ヘッドパスの測定をしたところ、実施例1〜3では殆ど差は見られなかった。また測定値は低く(=滑りやすい)キズがつき難いことが推測される。
また原始的な手法ではあるが爪引掻きテストを行ったところ、実施例2がよりキズが付きにくかった。
更に表面測定機を用いて、表面をダイヤモンド針R=0.3mmで一定荷重でキズをつける実験を行ったところ、実施例2のキズの深さが浅いという結果も得られた。
実施例4及び5に対して比較例1から3の結果を見ると、樹脂に添加する滑剤の種類の変更並びに接着層に用いる樹脂の平均重合度や分子量が規定した範囲を超えてしまうと、基材との密着性が保てずさらには耐エタノール性も著しく低下することが分かる。
表4より、接着層に用いる前記ポリ塩化ビニル樹脂の平均重合度が2500のものではそもそも溶剤に溶解せず転写フィルムを作製することが出来なかった。この結果および一般に樹脂の平均重合度が高くなると溶剤に溶けにくくなることを考慮すると、接着層に用いる前記ポリ塩化ビニル樹脂の平均重合度は、2000以下である必要がある。
本実施例では、層構成の簡略化により製造工程を簡略化でき、製造コストの低減につながる。さらに、耐溶剤性を向上させたことで製造工程内や日常生活での使用の際の汚染防止にもつながり品質向上に貢献することが可能となる。
本発明によれば、カードに耐スクラッチ性、耐摩耗性、耐溶剤性に優れた表面を形成することの出来るカード用転写フィルムを提供できるので、カード表面の画像等を有する、各種カードを製造する上で特に有用である。
本発明の一実施形態による転写箔の構成を示した断面図である。
符号の説明
20・・・転写保護フィルム
21・・・支持体
22・・・転写層
22a・・・接着層
22b・・・保護層

Claims (4)

  1. 第1の支持体の上に、
    少なくとも接着層と保護層とがこの順で積層されてなる転写層を有する転写保護フィルムにおいて、
    前記保護層および前記接着層は非架橋型熱可塑性のアクリル樹脂とポリ塩化ビニル樹脂からなり、かつ前記アクリル樹脂と前記ポリ塩化ビニル樹脂の重量比でポリ塩化ビニル樹脂を20%以上、前記アクリル樹脂を50%より多く含有し、
    前記保護層は、前記ポリ塩化ビニル樹脂の平均重合度が2000以下であり、かつ前記アクリル樹脂と前記ポリ塩化ビニル樹脂の中に微粉末状のPTFE変性ポリエチレンワックスからなる滑剤を含有し、
    前記接着層は、前記非架橋型熱可塑性のアクリル樹脂の分子量が30000〜60000であることを特徴とする転写保護フィルム。
  2. 前記第1の支持体の少なくとも片面に
    前記転写層を熱転写により形成することを特徴とする請求項1記載の転写保護フィルム。
  3. 第1の支持体の上に、
    保護層を形成し、
    さらにその上に接着層を形成して転写層とする工程を含み、
    前記保護層および前記接着層は非架橋型熱可塑性のアクリル樹脂とポリ塩化ビニル樹脂からなり、かつ前記アクリル樹脂と前記ポリ塩化ビニル樹脂の重量比でポリ塩化ビニル樹脂を20%以上、前記アクリル樹脂を50%より多く含有し、
    前記保護層は、前記ポリ塩化ビニル樹脂の平均重合度が2000以下であり、かつ前記アクリル樹脂と前記ポリ塩化ビニル樹脂の中に微粉末状のPTFE変性ポリエチレンワックスからなる滑剤を含有し、
    前記接着層は、前記非架橋型熱可塑性のアクリル樹脂の分子量が30000〜60000であることを特徴とする転写保護フィルムの作製方法。
  4. 請求項の作製方法により作製した請求項1記載の転写保護フィルム。
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