JP2004345228A - ハードコート転写材及びその製造方法並びにハードコート体 - Google Patents

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智 早川
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Abstract

【課題】表面滑り性が大きく、且つ、感熱接着剤層及び絵柄層との層間密着性が大きい、耐擦過性・耐磨耗性・耐薬品性に優れたハードコート転写材の提供。また、該転写材を使用したハードコート体の提供。
【解決手段】(1)ハードコート転写材の構成層が、ハードコート層表面の表面エネルギー値を電磁波処理により44〜70mN/mとした後、▲1▼直接に感熱接着剤層を付設したものとするか、又は▲2▼先ず、絵柄層を形成した後、それを覆って感熱接着剤層を付設したものとするかであり、且つ(2)ハードコート層がシリコーンオイルを含有するものであり、且つ(3)転写してハードコート体とした際のハードコート層表面エネルギー値が20〜34mN/mである、ハードコート転写材とする。また、これを使用して、ハードコート体とする。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐擦傷性・耐摩耗性・耐薬品性・等に優れたハードコート体を得ることができるハードコート転写材及びその製造方法に関し、特には、前記転写材におけるハードコート層の表面エネルギー値、また、ハードコート層と感熱接着剤層、及び感熱接着剤層と被転写材の間の層間密着性の技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、耐擦傷性・耐摩耗性・耐薬品性・等に優れた成形品を得る方法としては、被転写材である成形品表面に、
▲1▼ 液状のハードコート剤をスプレーコート・ロールコート・スピンコート等により塗布膜とし、その膜を硬化させて、ハードコート層を形成する方法
▲2▼ ハ−ドコート層を有するハードコート転写材を使用することにより、そのハードコート成分を転写して形成する方法
等がある。
▲1▼の方法は、液状のハードコート剤を扱う為、作業環境設備として排気設備等が必要となり、また、危険物を取り扱うという作業上の制約がある。さらに、塗布方法によっては、ハードコート剤を必要以上に消費する等の問題がある。他方、▲2▼の方法は、▲1▼の問題点を解決するものとして、特に、成形品端部へのハードコート層の回り込みを防止できる等の特徴を持つ方法として、採用されている。
上記▲2▼のハードコート転写材を使用する転写法について、更に細かく見ると、次の方法がその代表例として挙げられる。
(a)基体シートの片面に活性エネルギー線硬化性樹脂からなる保護層を設け、その保護層上にアンカー層、絵柄層、接着剤層などを設けてハードコート転写材とし、その転写材を加熱接着等により被転写材表面に転写してハードコート層を形成する方法(例えば、特許文献1、参照)。
(b)基体シートの片面に活性エネルギー線硬化性樹脂からなる保護層を設け、その保護層上にアンカー層、絵柄層、接着剤層などを設けたハードコート転写材とするまでは上記(a)同様であるが、その転写材を既存成形品に使用するのではなく、成形品成形時に使用する、すなわち、成形品成形用の型内にハードコート転写材を配置し、そこに樹脂を注入することにより成形と同時にハードコート層を有した成形品とする成形同時転写方法(例えば、特許文献2、参照)。
そして、これらいずれの転写法も、ハードコート転写材の接着は感熱接着剤層を使用し、また、基体シートの剥離はハードコート層との界面で起きるようにするため、被転写材(ハードコート層形成の対象品)の表面には、ハードコート転写材のハードコート層(ハードコート成分)が形成される。
【0003】
然しながら、上記、従来のハードコート転写材では、転写によって被転写材表面にハードコート層を形成することで表面硬度を増加させることは出来るものの、表面滑り性が劣るために耐擦傷性が劣るという問題がある。そのため、一般的には、ハードコート層に滑剤を含有させ、ハードコート層の表面に滑り性(低摩擦性)を付与している。ところがその場合には、他の欠点、すなわち、ハードコート転写材におけるハードコート層と感熱接着剤層間あるいはハードコート層と絵柄層間との層間密着性(層間接着性)が不十分になるとの欠点が生じ、耐擦傷性・耐摩耗性というハードコート層本来の機能が低下するという問題が有った。
【0004】
そのため、その欠点を改善する提案がなされており、例えば、ハードコート転写材におけるハードコート層と感熱接着剤層との間、又はハードコート層と絵柄層との間に、アンカー層を設けることが開示されている(例えば、特許文献3、参照)。しかしながら、滑剤を含有したハードコート層では、通常、その表面エネルギーが非常に低い。そのため、密着性の良いアンカー層用材料を選定してそれを付設することには困難が有ると共に、そのアンカー層形成の工程増加等により、製品不良率の増加やコストの上昇などを招き、これら付随する問題点をも惹起させる状況となっていた。
【0005】
【特許文献1】
実開昭56−173466号公報(第1頁)
【特許文献2】
特開2000−79796号公報(第2頁)
【特許文献3】
特許第3192102号公報(第1〜2頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述の状況に鑑み、本発明の目的は、ハードコート転写材におけるハードコート層の性質を、表面滑り性が大きく、且つ、感熱接着剤層及び絵柄層との層間密着性(層間接着性)が大きい特性とし、被転写材に転写してハードコート体とした場合に、優れた耐擦傷性・耐摩耗性・耐薬品性を付与することが可能なハードコート転写材の提供である。
また、本発明の目的は、上記ハードコート転写材の製造方法の提供であり、さらにまた、上記ハードコート転写材の使用により形成したハードコート層を有するハードコート体の提供である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討した結果、ハードコート層の両面は、それぞれ、異なる表面エネルギー値を持つように調製すること、すなわち、転写した際ハードコート面となる一方の面は比較的低い特定の表面エネルギー値とし、それに対して、感熱接着剤層や絵柄層を付設する他方の面は比較的高い特定の表面エネルギー値とすること、それと同時に、ハードコート層には特定の低摩擦性付与剤を含有させることにより、所望の耐擦傷性・耐摩耗性・耐薬品性を有したハードコート転写材とすることが出来ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、基材シートの一方の面に活性エネルギー線硬化性樹脂からなるハードコート層と感熱接着剤層とをこの順に有するハードコート転写材において、
(1)ハードコート転写材の構成層が、
▲1▼基材シートと反対面のハードコート層表面上を電磁波処理により表面エネルギー値を44〜70mN/mとし、その表面上に感熱接着剤層を積層した構造、又は、
▲2▼基材シートと反対面のハードコート層表面上を電磁波処理により表面エネルギー値を44〜70mN/mとし、その表面上に、先ず、部分的に絵柄層を形成し、次いで、その絵柄層を覆う状態にして、感熱接着剤層を積層した構造であり、且つ、
(2)ハードコート層が、シリコーンオイルを含有するものであり、且つ、
(3)感熱接着剤層により被転写材へ転写してハードコート体を形成した際のハードコート層の表面エネルギー値が、電磁波処理を行わない値としての、20〜34mN/mである、
ハードコート転写材である。
【0009】
また、本発明は、基材シート上に、硬化後の表面エネルギー値が20〜34mN/mであり、且つ、シリコーンオイルを含有した活性エネルギー線硬化樹脂組成物を塗布する工程、次いで、活性エネルギー線照射により活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させてハードコート層を形成する工程、次いで、基材シートと反対面側の前記ハードコート層表面を電磁波処理することにより、該ハードコート層表面の表面エネルギー値を44〜70mN/mとする工程、さらに、電磁波処理した該ハードコート層の表面上に直接に感熱接着剤層を積層させる工程、又は、電磁波処理した該ハードコート層の表面上に、先ず、部分的に絵柄層を形成し、次いで、その絵柄層を覆う状態で感熱接着剤層を積層させる工程、とのいずれかの工程を採るハードコート転写材の製造方法である。
さらにまた、本発明は、上記記載のハードコート転写材を使用し、その感熱接着剤層側により被転写材に加熱圧着転写することで、ハードコート層を形成したハードコート体である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明について詳細に説明する。
図1は本発明に係るハードコート転写材の一実施例を示す模式断面図であり、図2は本発明に係るハードコート転写材の他の実施例を示す模式断面図である。また、図3は本発明のハードコート転写材を用いて被転写材表面にハードコート層を形成する工程の一実施例を示す模式断面図である。さらに、図4は本発明のハードコート転写材を用いて絵柄付きハードコート層を被転写材表面に形成したハードコート体の一実施例を示す模式断面図である。図中、符号1はハードコート転写材、2は基材シート、3はハードコート層、4は感熱接着剤層、5は絵柄層、6は離型層、7は被転写材、8はハードコート転写材のハードコート層成分を転写して成形品の表面にハードコート層を形成したハードコート体を、それぞれ示す。
【0011】
まず、本発明の、耐擦傷性・耐摩耗性・耐薬品性に優れたハードコート転写材1について説明する。
図1に示すハードコート転写材1は、硬化後の表面エネルギーが20〜34mN/mとなるシリコーンオイルを含有した活性エネルギー線硬化性樹脂組成物からなるハードコート層3が、基材シート2の一方の面に設けられた離型層6上に設けられ、その表面をコロナ放電処理等の電磁波によって表面エネルギーを44〜70mN/mとした後、部分的に絵柄層5を形成し、次いで感熱接着剤層4を設けたものである。
【0012】
基材シート2としては、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂などの樹脂シート、アルミニウム箔、銅箔などの金属箔、グラシン紙、コート紙など、通常の転写材の基材シートとして用いるものを使用することができる。
【0013】
被転写材7に転写するときにハードコート層3が基材シート2からの剥離性が良い場合には、基材シート2上にハードコート層3を直接設ければよい。基材シート2からの剥離性を改善する場合には、基材シート2の片面上に離型層6を全面に形成することが好ましい。離型層6は、転写後または成形同時転写後に基材シート2を剥離した際に、基材シート2と共にハードコート層から離型する。離型層6の材質としては、エポキシ樹脂系離型剤、エポキシメラミン樹脂系離型剤、アミノアルキッド樹脂系離型剤、メラミン樹脂系離型剤、シリコーン樹脂系離型剤、フッ素樹脂系離型剤、セルロース誘導体系離型剤、尿素樹脂系離型剤、ポリオレフィン樹脂系離型剤、パラフィン系離型剤およびこれらの複合型離型剤などを用いることができる。離型層6の形成方法としては、公知公用の印刷法やコート法などを用いることができる。
【0014】
ハードコート層3は、完全硬化後の表面エネルギーが20〜34mN/mとなるシリコーンオイルを含有した活性エネルギー線硬化性樹脂塗料を離型層6上に塗布・乾燥した後、活性エネルギー線を照射して硬化させることにより得ることができる。表面エネルギーは、20〜34mN/mとすることで耐擦傷性・耐摩耗性に対して顕著な効果が得られる。表面エネルギーが20mN/mより小さい場合は、転写材をロール状の巻物としたときに巻崩れしやすいために好ましくない。34mN/mより大きい場合は、耐薬品性は十分得られるものの、十分な耐擦傷性・耐摩耗性が得られ難いために好ましくない。それは、ハードコート層3と絵柄層5あるいは感熱接着剤層4との層間密着性は向上するものの、ハードコート体8としたときの外的擦過によって加えられた力を、表面の滑り性(低摩擦性)が劣るためにその擦過力を逃がし難いからである。
【0015】
活性エネルギー線硬化性樹脂塗料としては、例えば、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能オリゴマー、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマー、光反応開始剤、および、必要に応じて、1分子中に1〜2個の(メタ)アクリロイル基を有する1〜2官能モノマー、希釈溶剤からなる組成物を主成分としたものが挙げられる。
【0016】
活性エネルギー線硬化性樹脂塗料に含有させるシリコーンオイルとしては、透明性を阻害せず、耐擦傷性に対して改善効果のあるものであれば特に制限はない。特には、低摩擦化に対して効果の顕著な、(メタ)アクリロイル基を有するシリコーンオイルが好適である。(メタ)アクリロイル基を有するシリコーンオイルの添加量としては、塗料固形分に対して、0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜3質量%がより好ましい。シリコーンオイルの量が0.01質量%を下回ると耐擦傷性改善効果が少なくなり、5質量%を上回ると活性エネルギー線硬化性樹脂組成物との相溶性が損なわれることによりハードコート層の透明性が悪くなり、好ましくない。
【0017】
ハードコート層3には、ほこり等の静電気付着防止のために帯電防止剤や耐光性向上のために紫外線吸収剤を含有させてもよい。帯電防止剤としては、酸化錫、酸化インジウム等の導電性金属酸化物微粒子、界面活性剤、導電性樹脂等が挙げられる。紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系等が挙げられる。また、必要に応じて、分散安定剤や各種塗料添加剤等を含有させてもよい。
【0018】
絵柄層5は、ハードコート体8の表面に装飾を施すものである。絵柄層5は、公知の各種カラーインキの中から最適なものを選択し、公知公用の各種印刷法やコート法で単色刷あるいは多色刷にて形成できる。
【0019】
ハードコート層3の感熱接着剤層4形成側表面(基材シート2と反対面側表面)は、活性エネルギー線によって硬化されたままの、20〜34mN/mの表面エネルギー値となっている。そのため、絵柄層5および感熱接着剤層4との密着性を向上させるために、ハードコート層3の感熱接着剤層4側表面は、その表面エネルギーが44〜70mN/mとなるように、電磁波処理する。
【0020】
ハードコート層3の感熱接着剤層4形成側表面の表面エネルギーを44〜70mN/mとすることで、ハードコート層と絵柄層5及び感熱接着剤層4との層間密着性(層間接着性)が向上するために、耐擦傷性、耐摩耗性に対して十分な効果が得られると共に、絵柄層5および感熱接着剤層4の材料設計が容易となる。表面エネルギーを44mN/mより小さくした場合、ハードコート層3上に、絵柄層5あるいは感熱接着剤層4用塗料を塗布する際にハジキが発生する等の印刷不具合が増加しやすく、また、うまく塗膜形成された場合でも外的擦過等の力によってハードコート層3と絵柄層5あるいは感熱接着剤層4の層間に浮きが起き易い。その結果、ハードコート体8としたときに、ハードコート層3が外的擦過等の力によってクラックが発生し、更に外的擦過等の力を受け続けるとハードコート層3はハードコート体8から剥脱することになる。また、ハードコート層3にクラックが発生した場合には、耐薬品性も著しく劣化しやすくなる。表面エネルギーを70mN/mより大きくした場合には、ハードコート層表面へのダメージが大きくなり、ハードコート層3と絵柄層5あるいは感熱接着剤層4の十分な層間密着性が得られ難くなる場合がある。
【0021】
電磁波処理は、ハードコート層3の表面エネルギーを44〜70mN/mとなるように処理可能なもので、ハードコート層3の本来の特性を阻害しなければ特に制限されない。例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、エキシマUV処理、UVオゾン処理等が好適に使用できる。
【0022】
感熱接着剤層4は、ハードコート転写材の表面に形成され、ハードコート層3及び絵柄層5を被転写材7へ接着させるために設ける層である。感熱接着剤層4としては、被転写材7の素材に適した感熱性樹脂を適宜使用する。たとえば、被転写材7の材質がアクリル系樹脂の場合はアクリル系樹脂を用い、ポリカーボネート系樹脂、スチレン系共重合体樹脂、ポリスチレン系ブレンド樹脂の場合は、これらの樹脂と親和性のあるアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ブチラール系樹脂、ポリアミド系樹脂などを使用すればよい。
【0023】
尚、ハードコート転写材1は、上記した態様に限定されるものではなく、例えば、図2のように絵柄層5を省略することができる。
【0024】
【実施例】
以下に、実施例および比較例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下、「部」は質量部をあらわす。
【0025】
[実施例1]
基材シート2として厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、該基材シート2の片面にシリコ−ン系離型剤からなる離型層6を膜厚0.1μmとなるように設け、その上に下記ハードコート層用塗工組成物A:100部(固形分60部)に対してアクリロイル基含有シリコーンオイル0.3部、紫外線吸収剤1部を配合し、硬化後膜厚が3μmとなるように塗布、乾燥した後、紫外線照射することによってハードコート層3を形成した。得られたハードコート面の表面エネルギーを測定したところ、26mN/mであった。次いで、ハードコート層表面の表面エネルギーが55mN/mとなるようにコロナ放電処理を行った。その後、アクリル系カラーインキを用いた絵柄層5(膜厚1μm)、ブチラール樹脂からなる感熱接着剤層4(膜厚3μm)をグラビア印刷法にて順次印刷形成してハードコート転写材1を得た。基材シート及び絵柄層部分を除いた転写材1の透明性を、波長550nmでのヘイズ値、全光線透過率を分光光度計にて測定した処、それぞれ0.4%、91%であった。
【0026】
[表面エネルギー値の測定]
n−オクタン、ヨウ化メチレン、水を試験液として、固体表面の液滴の接触角を協和科学社製・接触角計CA−D型にて、接液20秒後の値を測定した。ここで測定した値を使用し、文献(日本接着学会誌Vol.8,No.3,p.131(1972))に従って、表面エネルギー値(γs)を計算した。
【0027】
(ハードコート層用塗工組成物A)
・ウレタン(メタ)アクリレート 40部
・トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート 40部
・光反応開始剤 4部
・酢酸エチル 41部
・イソプロピルアルコール 15部
【0028】
[実施例2]
基材シート2として厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、該基材シートの片面にメラミン樹脂系離型剤からなる離型層6を膜厚0.2μmとなるように設け、その上に上記ハードコート層用塗工組成物A:100部(固形分60部)に対してアクリロイル基含有シリコーンオイル0.2部、導電性金属酸化物(針状アンチモンドープ酸化錫微粒子)20部を配合し、硬化後膜厚が5μmとなるように塗布、乾燥した後、紫外線照射を行ってハードコート層3を形成した。得られたハードコート面の表面エネルギーを測定したところ、30mN/mであった。次いで、ハードコート層表面の表面エネルギーが52mN/mとなるようにエキシマUV処理を行った。その後、ブチラール樹脂からなる感熱接着剤層4をグラビア印刷法にて3μmの膜厚に印刷形成してハードコート転写材1を得た。転写材1の透明部を、波長550nmでのヘイズ値、全光線透過率を分光光度計にて測定した処、それぞれ2.0%、88%であった。
【0029】
[比較例1]
実施例1において、ハードコート層3形成後に表面エネルギーが36mN/mとなる様にコロナ放電処理を行い、絵柄層5、感熱接着剤層4を順次形成した以外は、実施例1と同様にしてハードコート転写材1を得た。
【0030】
[比較例2]
実施例1において、ハードコート層3形成後に表面エネルギーが42mN/mとなる様にコロナ放電処理を行い、絵柄層5、感熱接着剤層4を順次形成した以外は、実施例1と同様にしてハードコート転写材1を得た。
【0031】
[比較例3]
実施例1において、ハードコート層用塗工組成物Aにアクリロイル基含有シリコーンオイルと紫外線吸収剤を配合せず、表面エネルギーが38mN/mのハードコート層3を形成し、得られたハードコート層表面の表面エネルギーが48mN/mとなるようにコロナ放電処理を行った後、絵柄層5、感熱接着剤層4を順次形成した以外は、実施例1と同様にしてハードコート転写材1を得た。
【0032】
[比較例4]
比較例3において、ハードコート層3形成後にコロナ放電処理を行わずに絵柄層5、感熱接着剤層4を順次形成した以外は、比較例3と同様にしてハードコート転写材1を得た。
【0033】
[比較例5]
実施例1において、ハードコート層3形成後にコロナ放電処理を行わずに絵柄層5、感熱接着剤層4を順次形成した以外は、実施例1と同様にしてハードコート転写材1を得た。
【0034】
[比較例6]
実施例2において、ハードコート層3形成後にエキシマUV処理を行わずに絵柄層5、感熱接着剤層4を順次形成した以外は、実施例2と同様にしてハードコート転写材1を得た。
【0035】
[参考例1]
ハードコート層なしのポリカーボネート板自体を供試した(ブランク試験)。
【0036】
実施例1、実施例2および比較例1〜6で得られたハードコート転写材1を用いて、ポリカーボネート板(5cm×10cm×1mm厚)上に加熱圧着転写を行い、各転写材ハードコート層を有したハードコート体8を得た。得られた各ハードコート体8およびブランク試験用ポリカーボネート板について、以下の試験を行った(但し、ブランク試験試験用ポリカーボネート板に対する層間密着性試験は除く)。その結果を表1に示す。
【0037】
[層間密着性試験]
JIS K−5400に準拠し、ハードコート体にゴバン目(1mmピッチ×100マス)を形成し、ニチバン社製粘着テープにて剥離試験を実施した。
結果の判定は、「100/100」を良好とし、それ以外は不良とする。
【0038】
[耐薬品性試験]
メチルエチルケトン/トルエン=50/50の混合溶剤を浸したガーゼで軽く押さえながらハードコート体の表面を15往復した後、その表面を観察した。
結果の判定は、「変化なし」を良好とし、「クラック発生や一部表面溶解」が有った場合を不良とする。
【0039】
[耐擦傷性試験]
ASTM D1044によるテーバー試験(CS−10F 500g×100回)を実施した。表中の数字は、テーバー試験前後の波長550nmでのヘイズ値変化率を表す。
結果の判定は、「8%以下」を良好とし、「8%超過」を不良とする。
【0040】
【表1】
Figure 2004345228
【0041】
表1の試験結果から判るように、ハードコート体表面の表面エネルギー値が26mN/m、且つ、感熱接着剤層付設面の表面エネルギー値が55mN/mである実施例1、及び同上値が、30mN/m且つ52mN/mである実施例2は、層間密着性(層間接着性)、耐薬品性および耐擦傷性に優れる。すなわち、シリコーンオイル含有活性エネルギー線硬化樹脂組成物を硬化させたハードコート層表面の表面エネルギー値をコロナ放電或いはエキシマUV処理により44〜70mN/mとし、且つ、転写後のハードコート体表面の表面エネルギー値を20〜34mN/mとした(低摩擦性であって、耐磨耗性を有する)ハードコート転写材(実施例1及び2)は、層間密着性(層間接着性)試験、耐薬品性試験および耐擦傷性試験が良好であり、本発明の目的である耐擦傷性・耐摩耗性・耐薬品性に優れたハードコート転写材であると共に、被転写材への接着性にも優れる。
これに対して、ハードコート体表面の表面エネルギー値は20〜34mN/mの範囲にある(26、26、26、30)が、感熱接着剤層付設面の表面エネルギー値が44〜70mN/mの範囲にない(36、42、26、30)比較例1、2、5、6〔これらは、層間密着性および耐擦傷性が不良〕、及びハードコート体表面の表面エネルギー値は20〜34mN/mの範囲にない(38)が、感熱接着剤層付設面の表面エネルギー値は44〜70mN/mの範囲にある(48)比較例3〔これは、耐擦傷性が不良〕、並びにハードコート体表面の表面エネルギー値も20〜34mN/mの範囲になく(38)、感熱接着剤層付設面の表面エネルギー値も44〜70mN/mの範囲にない(38)比較例4〔これは、全試験で不良〕では、層間密着性試験、耐薬品性試験及び耐擦傷性試験のいずれかで試験結果が不良であり、それらを同時に良好とすることを目的とする本発明の目的を達成することが出来ない。
【0042】
【発明の効果】
上述したように、本発明のハードコート転写材は、耐擦傷性・耐摩耗性・耐薬品性に優れると共に各種の被転写材に容易にハードコート層を付設することができる。特には、層間密着性に優れていることにより、不良率増加やコスト上昇の要因と成ってはいたが従来は不可欠であったアンカー層の付設を省略することが出来る。従って、工程の削減、材料の節約及び不良率の低減化等によるハードコート転写材のコストダウンだけに止まらず、環境維持等への効果も奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るハードコート転写材の一実施例を示す縦断面模式図である。
【図2】本発明に係るハードコート転写材の他の実施例を示す縦断面模式図である。
【図3】本発明のハードコート転写材を用いて、被転写材表面にハードコート層を形成する工程の一実施例を示す縦断面模式図である。
【図4】本発明の絵柄付きハードコート層を有したハードコート転写材を用いて、被転写材表面にハードコート層を形成したハードコート体の一実施例を示す縦断面模式図である。
【符号の説明】
1 ハードコート転写材
2 基材シート
3 ハードコート層
4 感熱接着剤層
5 絵柄層
6 離型層
7 被転写材
8 ハードコート体

Claims (6)

  1. 基材シートの一方の面に活性エネルギー線硬化性樹脂からなるハードコート層と感熱接着剤層とをこの順に有するハードコート転写材において、
    (1)ハードコート転写材の構成層が、
    ▲1▼基材シートと反対面のハードコート層表面上を電磁波処理により表面エネルギー値を44〜70mN/mとし、その表面上に感熱接着剤層を積層した構造、又は、
    ▲2▼基材シートと反対面のハードコート層表面上を電磁波処理により表面エネルギー値を44〜70mN/mとし、その表面上に、先ず、部分的に絵柄層を形成し、次いで、その絵柄層を覆う状態にして、感熱接着剤層を積層した構造であり、且つ、
    (2)ハードコート層が、シリコーンオイルを含有するものであり、且つ、
    (3)感熱接着剤層により被転写材へ転写してハードコート体を形成した際のハードコート層の表面エネルギー値が、電磁波処理を行わない値としての、20〜34mN/mである、
    ことを特徴とするハードコート転写材。
  2. 基材シート及び絵柄層形成部分を除いたハードコート転写材の透明性が、ヘイズ値で5%以下、全光線透過率で85%以上である請求項1記載のハードコート転写材。
  3. ハードコート層が、帯電防止剤及び/又は紫外線吸収剤を含有する請求項1または請求項2に記載のハードコート転写材。
  4. 基材シート上に、硬化後の表面エネルギー値が20〜34mN/mであり、且つ、シリコーンオイルを含有した活性エネルギー線硬化樹脂組成物を塗布する工程、次いで、活性エネルギー線照射により活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させてハードコート層を形成する工程、次いで、基材シートと反対面側の前記ハードコート層表面を電磁波処理することにより、該ハードコート層表面の表面エネルギー値を44〜70mN/mとする工程、さらに、電磁波処理した該ハードコート層の表面上に直接に感熱接着剤層を積層させる工程、又は、電磁波処理した該ハードコート層の表面上に、先ず、部分的に絵柄層を形成し、次いで、その絵柄層を覆う状態で感熱接着剤層を積層させる工程、とのいずれかの工程を採ることを特徴とするハードコート転写材の製造方法。
  5. ハードコート転写材の透明性が請求項2記載の性質である、また、ハードコート層に含有させる物質が請求項3記載の物質である請求項4記載のハードコート転写材の製造方法。
  6. 請求項1〜請求項3の何れかに記載のハードコート転写材を使用し、その感熱接着剤層側により被転写材に加熱圧着転写することで、ハードコート層を形成したハードコート体。
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