WO2008050519A1

WO2008050519A1 - Dispositif de coussin de sécurité gonflable

Info

Publication number: WO2008050519A1
Application number: PCT/JP2007/065084
Authority: WO
Inventors: Tadaaki Sekino; Kazuhiko Soemoto; Keisuke Moritani
Original assignee: Ashimori Industry Co., Ltd.
Priority date: 2006-10-26
Filing date: 2007-08-01
Publication date: 2008-05-02
Also published as: US7992897B2; ATE528178T1; EP2088036A4; US20100001495A1; EP2088036A1; EP2088036B1; EP2263921B1; EP2263921A1

Description

技術分野

[0001] 本発明は、車両衝突時等に膨張して乗員を保護するエアバッグ装置に関し、特に

、エアバッグ内を複数の室に区画して乗員の保護機能の向上等を図ったスィッチべントホール機構を備えたエアバッグ装置に関する。

背景技術

[0002] 車両の衝突時等の緊急時や緊急減速時に運転席や助手席の乗員等を保護するため、近年、例えば車両のステアリングホイールやインストルメントパネルにエアバッグ装置を搭載した自動車が広く普及している。このエアバッグ装置は、車両の衝突を検知したとき等に、インフレータを起動してエアバッグの内部にガスを供給して膨張- 展開させ、車両の前側に向かって移動する乗員の頭部等を膨張展開したエアバッグで受け止めて拘束し、衝突の衝撃等から保護するものである。

[0003] 従って、このようなエアバッグ装置では、車両の衝突時等には迅速にエアバッグを膨張展開させて、充分な乗員の拘束力（拘束性能)を発揮し得る状態にする必要がある。一方、膨張展開したエアバッグで乗員を受け止めた後には、エアバッグ内のガスを外部に排気して乗員をエアバッグで柔ら力べ受け止め、衝突により乗員に加わる衝撃を吸収する必要がある。そこで、従来から、エアバッグ内を複数の室に区画するとともに、エアバッグにベントホールを形成して、上記した各要求等に応えるようにしたエアバッグ装置が使用されている（特許文献 1参照)。

[0004] 図 22は、この従来のエアバッグ装置のエアバッグが膨張展開した状態を示す斜視図である。

このエアバッグ装置 100は、図示のように、側面視略扇形状に形成された袋状のェァノッグ 110と、エアバッグ 110下面のガス導入口 120に設けられたインフレータ（図示せず）とを有し、車両衝突時等には、インフレータからガス導入口 120を通して供給されるガスにより、エアバッグ 110を乗員の位置する方向（図では斜め右上方向）等に向かって膨張展開させる。 [0005] エアバッグ 110は、略矩形状の上面部 111及び下面部 112と、これら各部 111、 11 2の両縁部間に設けられた略扇形状の一対の側面部 113と、エアバッグ 110の外側に向かって湾曲し、エアバッグ 110の乗員側に位置する正面部 114の、 5つの面から構成されている。また、このエアバッグ 110は、以上の各部 111〜； 114で区画される内部空間に、エアバッグ 110内をインフレータ側の第 1室 110Aと乗員側の第 2室 11 0Bとに区画する隔壁 115、及び隔壁 115とエアバッグ 110の第 1室 110A側とを連結する所定長さの連結帯 116を備えて!/、る。

[0006] 隔壁 115は、側面視略 L字状をなし、第 1室 110Aを側面視略 V字状に、第 2室 11 0Bを側面視略扇状にそれぞれ区画するとともに、第 1室 110Aと第 2室 110Bとを連通させてガスを移動させる複数の連通孔 121を有する。また、第 2室 110B側の両側面部 113には、エアバッグ 110内のガスを排気するベントホール 122が設けられており、ガス導入口 120から供給されたガスは、エアバッグ 110の第 1室 110Aを膨張させた後、連通孔 121を通って第 2室 110Bを膨張させてエアバッグ 110全体を膨張展開させ、ベントホール 122から排気される。

[0007] このエアバッグ装置 100は、上記のようにして膨張展開させた第 2室 110Bにより、侵入する乗員の頭部等を受け止めて移動を規制し、乗員を拘束して保護するようになっている。その際、このエアバッグ装置 100では、連結帯 116によりエアバッグ 110 及び第 2室 110Bの乗員側への突出距離及び突出圧力を調節してそれらの展開特性を高め、乗員の拘束力を向上させている。また、乗員を受け止めた後には、ェアバッグ 110内のガスをベントホール 122から排気させて、衝突時に乗員に加わる衝撃をある程度吸収し、その保護機能を高めている。

[0008] ところ力この従来のエアバッグ装置 100では、ベントホール 122からのガスの排気により第 2室 110Bの内圧が徐々に低下するのに伴い、第 2室 110Bにより拘束した乗員が動き易くなる等、第 2室 110B及びエアバッグ 110の発揮する乗員の動きを規制する拘束力も徐々に低下する傾向がある。従って、このようなエアバッグ装置 100 では、乗員に対するより大きな拘束力が要求される場合等への対応が難しぐ場合によっては、乗員の拘束力が不足する恐れがある等、乗員の保護機能をさらに改善する必要がある。同時に、このエアバッグ装置 100では、エアバッグ 110の製造に必要な部品数が多いことに加えて、その内部の所定位置に隔壁 115や連結帯 116を配置して互いに接合する必要がある等、比較的構成が複雑で、縫い合わせ等の製造の作業性が低レ、とレ、う問題がある。

[0009] また、このエアバッグ装置 100では、ベントホール 122を乗員側の第 2室 110B側に設けたため、乗員のエアバッグ 110への衝突位置や衝突の仕方、或いは衝突時の第 2室 110Bの膨張の程度等によっては、例えばベントホール 122が乗員と隔壁 115 との間に挟まれる等し、ベントホール 122からのガス排気が阻害される恐れがある。このような場合には、乗員を受け止めたときのエアバッグ 110のガスの排気量が不足して衝撃の吸収性能が低下し、衝突時に乗員の受ける衝撃が大きくなるという問題が生じる。

[0010] 以上のような問題は、特に、乗員が安全ベルトを着用せず、又は装着して!/、てもェァバッグ装置 100側に接近して着座していたり、或いは通常の乗車姿勢よりも前傾した姿勢で着座して正規の位置よりもエアバッグ 110に近!/、位置に!/、る等、正規着座状態以外の乗員がエアバッグ 110に接触し、そのエアバッグ 110に対する接触位置やタイミングがズレた場合等に生じ易くなる。また、乗員が、例えば助手席に着座した子供である等、比較的小さい場合には、正規着座状態のときでもエアバッグ 110への接触位置がズレて上記したような問題が生じる恐れがある。更に、そのような乗員が、インストルメントパネルに接近、又は頭部や胸部を接触させている等、正規着座状態力も大きく外れた姿勢である場合には、上記問題が生じる恐れがより一層大きくなる。従って、乗員への衝撃を緩和してより安全に保護するためには、乗員が以上のような非正常な乗車姿勢（Out Of Position,以下、 OOPという）である場合にも、エアバッグ 110からのガスの排気を確実に行えるようにし、エアバッグ 110の衝撃の吸収性能を向上させる必要がある。

[0011] 特許文献 1 :特開 2000— 159045号公報

特許文献 2 :WO 2006/041547 A2

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0012] 本発明は、前記従来の問題に鑑みなされたものであって、その目的は、エアバッグの乗員に対する拘束力を高めて衝突時の移動をより確実に規制するとともに、例えば乗員が OOP状態であっても、エアバッグからのガスの排気をより確実に行えるようにして乗員への衝撃を低下させ、エアバッグ装置の乗員の保護機能を向上させることである。

課題を解決するための手段

請求項 1の発明は、ガスの導入により膨張展開可能なエアバッグと、該エアバッグにガスを供給するインフレータと、を備えたエアバッグ装置であって、前記エアバッグ内を前記インフレータ側の第 1室と乗員側の第 2室とに区画するとともに、該第 1室と第 2室との間でのガスの流通を可能とするガス通路を有する隔壁と、前記エアバッグの第 1室側に設けられ、前記エアバッグ内のガスを排気するベントホールを有するとともに、該ベントホールを前記エアバッグ内のガスを排気する状態と非排気の状態とに切替可能な排気状態切替部材と、一端が前記排気状態切替部材に他端が前記隔壁に連結され、前記エアバッグの膨張時に前記隔壁の前記第 2室側への移動を規制して前記第 2室を膨張展開させる連結部材と、を備え、前記連結部材は、前記ィンフレータ作動時に前記エアバッグが膨張展開した状態では、前記排気状態切替部材に前記隔壁側への張力を作用させて前記ベントホールを閉じるとともに、前記膨張展開したエアバッグが侵入した人を受け止めて変形したときは、前記排気状態切替部材への前記隔壁側への張力を解放して前記ベントホールを開放することを特徴とする。

請求項 2の発明は、請求項 1に記載されたエアバッグ装置において、前記排気状態切替部材は、一対の帯状部材の一端部を前記エアバッグに設けた開口部に取り付けるとともに、前記一対の帯状部材の他端部同士を接合して前記開口部を覆い、前記一対の帯状部材の一端部と他端部間の両側開口を前記ベントホールにしたことを特徴とする。

請求項 3の発明は、請求項 1に記載されたエアバッグ装置において、前記排気状態切替部材は、前記エアバッグに設けた開口部を囲う一端部と、互いに接合されて前記開口部を覆う他端部とを有する一対の基布片からなり、該一対の基布片の前記一端部と他端部間の両側開口を前記ベントホールにしたことを特徴とする。請求項 4の発明は、請求項 1ないし 3のいずれかに記載されたエアバッグ装置において、前記排気状態切替部材は、前記ガスを排気する状態では、前記ベントホールとともに前記エアバッグ外に導出されて前記ベントホールを開放し、前記非排気の状態では、前記ベントホールとともに前記エアバッグ内に導入されて前記ベントホールを閉じることを特徴とする。

請求項 5の発明は、請求項 1ないし 4のいずれかに記載されたエアバッグ装置において、前記隔壁のガス通路に、前記第 1室から前記第 2室へガスを流入させるとともに、前記第 2室内のガスが前記第 1室へ流出するのを阻止する逆止弁を備えたことを特徴とする。

請求項 6の発明は、請求項 1ないし 5のいずれかに記載されたエアバッグ装置において、前記排気状態切替部材が、膨張展開形態における前記エアバッグの側方部分に設けられてレ、ることを特徴とする。

請求項 7の発明は、請求項 1ないし 6のいずれかに記載されたエアバッグ装置において、前記ベントホール力前記排気状態切替部材の前記エアバッグから離れた位置に形成されてレ、ることを特徴とする。

請求項 8の発明は、ガスの導入により膨張展開可能なエアバッグと、該エアバッグにガスを供給するインフレータと、を備えたエアバッグ装置であって、前記エアバッグ内を前記インフレータ側の第 1室と乗員側の第 2室とに区画するとともに、該第 1室と第 2室との間でのガスの流通を可能とするガス通路を有する隔壁と、前記エアバッグの第 1室側に設けられ、前記エアバッグ内のガスを排気する第 1及び第 2のベントホ一ノレを有するとともに、該第 1及び第 2のベントホールを前記エアバッグ内のガスを排気する状態と非排気の状態とに切替可能な第 1及び第 2の排気状態切替部材と、一端が前記第 1の排気状態切替部材に他端が前記隔壁に連結された第 1の連結部材と、一端が前記第 2の排気状態切替部材に他端が膨張展開形態における前記エアバッグの第 1室側の下方位置に連結された第 2の連結部材と、を備え、前記第 1、第 2の連結部材はそれぞれ、前記インフレータ作動時に前記エアバッグが膨張展開した状態では、前記第 1、第 2の排気状態切替部材に前記各連結部材が張力を作用させて前記各ベントホールを閉じるとともに、前記膨張展開したエアバッグが侵入した乗員を受け止めて変形したときは、前記第 1の連結部材が弛んで前記第 1の排気状態切替部材への張力を解放して前記第 1のベントホールを開放し、前記エアバッグが膨張展開の途中段階にあるときは、前記第 1及び/又は第 2の連結部材が前記第 1及び/又は第 2のベントホールを開放することを特徴とする。

請求項 9の発明は、請求項 8に記載されたエアバッグ装置において、膨張展開形態における前記エアバッグの第 1室を区画して第 3室を形成するとともに、該第 1室と第 3室との間でのガスの流通を可能とするガス通路を有する第 2の隔壁を備え、前記第 2の連結部材は、前記他端が前記第 2の隔壁に連結されて!/、ることを特徴とする。請求項 10の発明は、請求項 8又は 9に記載されたエアバッグ装置において、前記第 1及び/又は第 2の排気状態切替部材は、前記エアバッグに設けた開口部を囲う一端部と、互いに接合されて前記開口部を覆う他端部とを有する一対の基布片からなり、該一対の基布片の前記一端部と他端部間の両側開口を前記各ベントホールにしたことを特徴とする。

請求項 11の発明は、請求項 8な!/、し 10の!/、ずれかに記載されたエアバッグ装置において、前記第 1及び第 2の排気状態切替部材はそれぞれ、前記ガスを排気する状態では、前記各ベントホールとともに前記エアバッグ外に導出されて前記各ベントホールを開放し、前記非排気の状態では、前記各ベントホールとともに前記エアバッグ内に導入されて前記各ベントホールを閉じることを特徴とする。

請求項 12の発明は、請求項 8ないし 11のいずれかに記載されたエアバッグ装置において、前記第 1及び第 2の排気状態切替部材が、膨張展開形態における前記エアバッグの両側方部分のそれぞれに設けられていることを特徴とする。

請求項 13の発明は、請求項 8ないし 12のいずれかに記載されたエアバッグ装置において、前記各隔壁のガス通路に、前記第 1室から前記第 2室又は前記第 3室へガスを流入させるとともに、前記第 2室又は前記第 3室内のガスが前記第 1室へ流出するのを阻止する逆止弁を備えたことを特徴とする。

請求項 14の発明は、請求項 8ないし 13のいずれかに記載されたエアバッグ装置にぉレ、て、前記第 1及び/又は第 2の排気状態切替部材の前記エアバッグから離れた位置に前記各ベントホールが形成されていることを特徴とする。請求項 15の発明は、請求項 1ないし 14のいずれかに記載されたエアバッグ装置において、隔壁用基布片をエアバッグ用基布片に重ね合わせ、前記隔壁用基布片を前記エアバッグ用基布片に接合することにより、前記隔壁用基布片と前記エアバッグ用基布片との間に前記第 2室を形成したことを特徴とする。

請求項 16の発明は、請求項 1ないし 15のいずれかに記載されたエアバッグ装置において、前記第 2室は、前記エアバッグの膨張展開時に侵入する頭部を受け止めて拘束する頭部拘束部であることを特徴とする。

請求項 17の発明は、ガスの導入により膨張展開可能なエアバッグと、該エアバッグにガスを供給するインフレータと、を備えたエアバッグ装置であって、前記エアバッグ内を前記インフレータ側の第 1室と乗員側の第 2室とに区画するとともに、該第 1室と第 2室との間でのガスの流通を可能とするガス通路を有する隔壁と、前記エアバッグのサイドパネルを構成する第 1及び第 2のパネル部材であって、前記各パネル部材同士を接合するための接合部と、該接合部に隣接して形成された基布片とを備えた前記第 1及び第 2のパネル部材と、前記基布片同士を接合して形成される排気状態切替部材であって、前記各パネル部材を接合したとき、前記第 1室側に設けられ、前記接合部に隣接して前記各パネル部材間に形成される開口部に連通するベントホールを備えた排気状態切替部材と、一端が前記排気状態切替部材に連結され、他端がエアバッグ内部に膨張 ·展開するエアバッグに侵入する乗員を受け止める前記第 2室を形成するための隔壁に連結された連結部材と、を有し、前記連結部材は、前記エアバッグが膨張展開した状態では前記排気状態切替部材に張力を作用させて前記ベントホールを閉鎖し、前記膨張展開したエアバッグに乗員が侵入してエアバッグが変形したときには、前記連結部材が弛んで、前記排気状態切替部材に作用する張力を解放して前記ベントホールを開放することを特徴とする。

請求項 18の発明は、請求項 17に記載されたエアバッグ装置において、前記基布片は、前記第 1及び第 2のパネル部材と一体に形成され、その先端部を互いに接合することで、その側縁に沿って前記ベントホールとなる開口を形成したことを特徴とす請求項 19の発明は、請求項 17又は 18に記載されたエアバッグ装置において、前記サイドパネルは、センターパネルと一体に接合されて前記エアバッグを構成し、前記連結部材の他端は、前記センターパネルの乗員側となる部分に連結されて!/、ることを特徴とする。

請求項 20の発明は、請求項 17ないし 19のいずかに記載されたエアバッグ装置において、前記第 2室は、予め定めた正規位置にいない乗員を受け止めるよう位置決めされることを特徴とする。

発明の効果

[0014] 本発明によれば、エアバッグの乗員に対する拘束力が高くなり、衝突時の乗員の移動をより確実に規制できるとともに、例えば乗員が OOP状態であっても、エアバッグ力ものガスの排気がより確実化して乗員への衝撃を低下させることができ、エアバッグ装置の乗員の保護機能を向上させることができる。

図面の簡単な説明

[0015] [図 1]第 1の実施形態のエアバッグ装置のエアバッグが膨張展開した状態を示す斜視図である。

[図 2]図 1の膨張展開後のエアバッグにより乗員を受け止めた状態を示す斜視図であ

[図 3]図 1の非排気状態にある排気状態切替部材を拡大して模式的に示す側面図である。

[図 4]図 1の非排気状態にある排気状態切替部材を拡大して模式的に示す平面図である。

[図 5]図 2の排気状態にある排気状態切替部材を拡大して模式的に示す側面図であ

[図 6]図 2の排気状態にある排気状態切替部材を拡大して模式的に示す平面図であ

[図 7]排気状態切替部材の第 1の変形例を示す模式図である。

[図 8]排気状態切替部材の第 2の変形例を示す模式図である。

[図 9]排気状態切替部材の第 3の変形例を示す模式図である。

[図 10]第 2の実施形態のエアバッグ装置のエアバッグが膨張展開した状態を示す斜視図である。

[図 11]図 10のエアバッグの各テザーベルトにより互いに連結されたものを、それぞれ抜き出して示す斜視図である。

[図 12]図 10の非排気状態にある排気状態切替部材を模式的に示す側面図である。

[図 13]図 10の非排気状態にある排気状態切替部材を模式的に示す平面図である。

[図 14]図 10の排気状態にある排気状態切替部材を模式的に示す側面図である。

[図 15]図 10の排気状態にある排気状態切替部材を模式的に示す平面図である。

[図 16]第 2の実施形態のエアバッグ装置が作動したときの状態を模式的に示す側面図である。

[図 17]第 2の実施形態のエアバッグ装置が作動したときの状態を模式的に示す側面図である。

[図 18]第 2の実施形態のエアバッグ装置の他の例を模式的に示す側面図である。

[図 19]第 3の実施形態のエアバッグのサイドパネルの平面図であり、図 19Aはサイドパネル部材の分解平面図であり、図 19Bはサイドパネルに組み立てた状態の平面図である。

[図 20]第 3の実施形態のセンターパネルの平面展開図である。

[図 21]第 3の実施形態のサイドパネルとセンターパネルとを組み合わせ一体化するェ程を説明する図である。

[図 22]従来のエアバッグ装置のエアバッグが膨張展開した状態を示す斜視図である

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符号の説明

1、 IS."エアバッグ装置、 2···インフレータ、 5S、 5Ρ···乗員、 10· "エアバッグ、 ΙΟΑ—第；！室、 10Β···第 2室、 IOC. ··正面部、 10D."側方部分、 10F."第 3 室、 11···隔壁、 14···第 2の隔壁、 20···ガス導入口、 22···ガス通路、 23···開口部、 25···逆止弁、 28'.'第1の開ロ部、 29···第 2の開口部、 30···排気状態切替部材、 30Α· · ·接合部、 30Β·· ·接合部、 30C-- ·接合部、 30Κ· · ·基布片、 30H .. 'ベントホール、 31. ··第 1の排気状態切替部材、 31Β· · '接合部、 31C-- '接合部、 31H.. 'ベントホール、 31K. · ·基布片、 32· ··第 2の排気状態切替部材、 32H ···ベントホール、 32Κ···基布片、 40···テザーベルト、 41'"第1のテザーべルト、 42···第 2のテザーベルト、 50···排気状態切替部材、 51···基布片、 51Β.··底辺部、 51。···上辺部、 51D."斜辺部、 51Η···ベントホール、 55···テザーベルト、 60···排気状態切替部材、 61···基布片、 61Β···底辺部、 610···上辺部、 61D- ··斜辺部、 61Η···ベントホール、 65···テザーベルト、 70···排気状態切替部材、 71···基布片、 71Β···底辺部、 71。···上辺部、 71D."斜辺部、 71Η···ベントホール、 75· · 'テザ一ベルト、 80· ··サイドパネル、 80Α· ··第 1のサイドパネル部材、 8 0Β· · ·第 2のサイドパネル部材、 82Α、 82Β· · ·第 2の直線部、 84Α、 84Β.. '斜辺部、 86Α、 86Β· · ·第 1の直線部、 88Α、 88Β.. '外周部、 90·· 'センターパネル、 92. ··第 1の矩形部分、 92Α···ガス導入口、 94···第 2の矩形部分、 96···中央部分、 96(1)、 96(2) '"パネル、 98···テザーベルト、 95···ガス通路、 F—排気状態切替部材、 FA、 FB'*'基布片。

発明を実施するための最良の形態

[0017] 以下、本発明のエアバッグ装置の実施形態について、図面を参照して説明する。

このエアバッグ装置は、例えば車両のステアリングホイールやインストルメントパネル等に取り付けられて乗員を保護する運転席や助手席用等のエアバッグ装置であり、以下の各実施形態では、助手席用のエアバッグ装置を例に採り説明する。

[0018] (第 1の実施形態）

図 1は、第 1の実施形態のエアバッグ装置のエアバッグが膨張展開した状態を示す斜視図であり、図 2は、膨張展開後のエアバッグにより乗員を受け止めた状態を示す斜視図である。

本実施形態のエアバッグ装置 1は、図示のように、ガスの導入により膨張展開可能なエアバッグ 10と、エアバッグ 10下面のガス導入口 20に取り付けられたインフレータ 2等を備えている。

[0019] インフレータ 2は、所定の態様に折り畳まれたエアバッグ 10とともに車両のインストルメントパネル内等に取り付けられ、車両の衝突時等には、ガス導入口 20を通してェァバッグ 10内にガスを供給する。このガスにより、インフレータ 2は、エアバッグ 10を乗員の位置する方向（図 1では斜め右上方向、図 2では略右方向）等に向かって膨張展開させる。

[0020] エアバッグ 10は、膨張展開形状が側面視略楕円形状の膨張展開可能な袋状に形成されており、例えば 1枚の略帯状の基布の長手方向の両端部を縫合、接着、溶着等により接合して筒状にし、その両側開口の周縁部に一対の側布を接合して側面部を閉塞する等して形成されている。このエアバッグ 10内には、その内部空間を分割する隔壁 11と、エアバッグ 10の膨張時に隔壁 11の移動を規制する規制部材であるテザーベルト 40と力それぞれ所定位置に設けられ、エアバッグ 10の隔壁 11により分割された一方側（後述する第 1室 10A側）には、エアバッグ 10の内外を連通する開口部 23が形成されている。また、このエアバッグ 10は、開口部 23部分に、その状態によりエアバッグ 10内のガスの排気状態を切替可能なスィッチベントホール機構 (排気状態切替部材 30)を備え、テザーベルト 40により排気状態切替部材 30と隔壁 11 とを連結している。

[0021] 隔壁 11は、膨張展開時のエアバッグ 10内をインフレータ 2側の第 1室 10Aと、乗員側の第 2室 10Bとに区画するためのものであり、ここでは、第 2室 10Bを、エアバッグ 1 0の膨張展開時に主に侵入する乗員の頭部を受け止めて拘束する頭部拘束部とし、かつ第 1室 10Aに比べて容積の小さな小気室になるように区画している。この第 2室 10Bは、本実施形態では、隔壁 11用基布片をエアバッグ 10用基布片に重ね合わせ、それらの所定位置を互いに接合して隔壁 11用基布片をエアバッグ 10用基布片に接合することにより、各基布片の間に形成される。

[0022] 即ち、第 2室 10Bは、隔壁 11を構成する隔壁 11用基布片（例えばシリコンコート基布片）を、エアバッグ 10を構成するエアバッグ 10用基布片の第 2室 10Bを形成すベき部分 (エアバッグ 10の乗員と対向する正面部 10C)に重ね合わせ、その重ね合わせた各基布片のエアバッグ 10と隔壁 11との境界に対応する部分を互いに接合して形成されている。従って、エアバッグ 10は、例えば、基布をエアバッグ 10の正面部 1 0Cと略同じ形状、又は、それに近い形状に裁断して隔壁 11用基布片を形成し、それを袋状に接合する前の平面状のエアバッグ 10用基布片と重ね合わせ、平らな状態で隔壁 11用基布片の周縁部をエアバッグ 10用基布片に縫い合わせた後、他の基布片と接合する等して袋状に形成される。 [0023] また、この隔壁 11には、第 1室 10Aと第 2室 10Bとの間のガスの流通を可能とする略円形の連通孔等のガス通路 22が、隔壁 11の略中央部の上方よりの位置に形成されるとともに、ガス通路 22に、そこからのガスの流通を制御する逆止弁 25が取り付けられている。逆止弁 25は、第 1室 10Aから第 2室 10Bへのガスの流入は許容する力第 2室 10B内に流入したガスが第 1室 10Aへ流出するのを阻止する一方向弁であり、例えばガス通路 22を閉鎖可能な大きさの基布片を、第 2室 10B側からガス通路 22 を覆うようにして被せ、その周囲の数力所を隔壁 11に接合して固定する等してガス通路 22に設置される。

[0024] なお、この隔壁 11は、区画するエアバッグ 10の第 2室 10B力後述するように、車両衝突時に乗員を受け止めて拘束等し得るよう、エアバッグ装置 1の用途や形状等に応じて形成'配置される。即ち、隔壁 11は、乗員の拘束すべき部分 (ここでは乗員の頭部)やエアバッグ 10全体の大きさ及び膨張展開形状等に応じて、膨張展開した第 2室 10Bが充分な乗員の拘束力等を発揮し得る大きさ及び形状に、かつ安全に乗員を受け止め得る位置になるよう、適切な大きさ及び形状に形成されて、エアバッグ 10の適切な位置に配置される。

[0025] 開口部 23は、エアバッグ 10の第 1室 10A側に設けられた、エアバッグ 10の内外を連通させる長尺な連通部（連通孔）（例えば横長な長孔状の貫通孔）であり、エアバッグ 10が膨張展開した状態で、隔壁 11に対向する面のガス導入口 20の斜め上方位置 (助手席前のフロントウィンドと対向する位置）に形成されてレ、る。

[0026] ここで、膨張前のエアバッグ 10が折り畳まれた状態では、隔壁 11のガス通路 22は、ガス導入口 20と対向するガス供給方向の下流側に位置しており、エアバッグ 10の膨張時に、ガス導入口 20から供給されるガスが入り易くなつている。これに対し、ガス導入口 20に比較的近い開口部 23は、ガス供給方向の上流側に位置している。このような位置に形成された貫通孔 (連通孔）は、エアバッグ 10の膨張途中において、ガス導入口 20からのガスが流出し難いことに加えて、膨張初期には、エアバッグ 10内のガスの流れに引かれて、エアバッグ 10の外部から内部に向かって空気が流れ込もうとする傾向がある。そのため、この開口部 23の形成位置は、エアバッグ 10の膨張展開時にはガスが抜け難ぐかつ、膨張展開後のガス排気時には、エアバッグ 10の正面部 IOCに接触する乗員に押されて、エアバッグ 10内のガスが開口部 23方向に向かって押されるため、その際のガスが抜け易い位置となって!/、る。

[0027] 排気状態切替部材 30は、エアバッグ 10内のガスを排気するためのベントホール 30 H (図 2参照）を有する部材であり、図 1に示すように、エアバッグ 10が膨張展開した状態では、ベントホール 30H形成部分とともにエアバッグ 10内に導入され、開口部 2 3を閉塞するように覆ってベントホール 30Hを閉じ、インフレータ 2作動時におけるェァバッグ 10内のガス排気を抑制する非排気状態となる。一方、排気状態切替部材 3 0は、膨張展開したエアバッグ 10で乗員を受け止めた状態では、図 2に示すように、ベントホール 30H形成部分とともにエアバッグ 10外に導出されてベントホール 30H を開放し、そこを通じてエアバッグ 10内のガスを排気可能な排気状態に状態変更する。本実施形態の排気状態切替部材 30は、連結されたテザーベルト 40からの張力やエアバッグ 10の内圧に応じて、ベントホール 30Hをこれら両状態間で状態変更させる、即ち、エアバッグ 10内のガスを排気する状態と非排気の状態とに切替可能に構成されている。

[0028] なお、排気状態切替部材 30は、上記した非排気状態において、エアバッグ 10内からのガスを完全に防止する必要はなぐある程度の量のガスが排気されるような状態であってもよい。従って、本発明において、排気状態切替部材 (この排気状態切替部材 30に限らず、以下で説明する各排気状態切替部材でも同様）に関して、非排気状態又は非排気の状態というときは、ガスの排気を防止し得る状態に加えて、ガスの排気を抑制し得る状態を含む。

[0029] 以下、この排気状態切替部材 30等について、より具体的に説明する。

図 3及び図 4は、非排気状態にある排気状態切替部材 30を拡大して模式的に示す図であり、図 3は側面図、図 4は平面図である。また、図 5及び図 6は、排気状態にある排気状態切替部材 30を拡大して模式的に示す図であり、図 5は側面図、図 6は平面図である。

[0030] 排気状態切替部材 30は、図 3〜6に示すように、開口部 23を囲う一端部と、互いに接合された他端部とを有し、開口部 23を覆うように上下方向に重ねて設けられた一対の帯状部材（帯状布）である略矩形状の基布片 30Kを備え、図 3及び図 5では、これら上方及び下方の基布片 30Kの側面から見た各上下面部分に斜線を付して示す。この一対の基布片 30Kのエアバッグ 10側に位置する一端部（基端部）は、それぞれエアバッグ 10の内面又は外面（ここでは内面）に、開口部 23の周縁部を囲むように縫い合わせる等して接合（図の接合部 30A)して取り付けられている。一方、この基布片 30Kは、その他端部（先端部）同士が、その幅方向に沿って略全体に亘つて互いに接合（図の接合部 30B)されている。また、その両側部は、エアバッグ 10側の基端部付近だけ互いに接合（図の接合部 30C)されており、他の部分、即ち、接合部 30Cから先端部の接合部 30Bまでの部分は、接合されずに開口状態（非接合部）になっている。従って、エアバッグ 10の内外は、この一対の基布片 30Kの両側開口（非接合部）を介して連通しており、本実施形態では、この非接合部を囲む一対の基布片 30Kの両側部分（開口）により、排気状態切替部材 30のベントホール 30Hを形成している。

[0031] なお、一対の基布片 30Kの両側部は、エアバッグ 10側の基端部付近が所定長さに亘つて接合 (接合部 30C)されているため、ベントホール 30Hとエアバッグ 10の開口部 23とは連続した位置関係になぐ接合部 30Cを挟んで互いに離れた位置に設けられている。また、一対の基布片 30Kは、エアバッグ 10の開口部 23の幅よりも幅広に形成されており、従って、排気状態切替部材 30の幅も開口部 23の幅よりも広くなっている。その結果、この排気状態切替部材 30 (基布片 30K)は、エアバッグ 10の内部（図 1参照）から外部（図 2参照）へ向かって、又はその逆に移動する際に、その幅方向に縮小するように変形しつつ開口部 23内をくぐり抜けるように移動する。その為、排気状態切替部材 30には、開口部 23部分を移動する際に所定の抵抗が作用し、この抵抗により、後述する所定以上のテザーベルト 40による張力やエアバッグ 10 の内圧が作用していないとき等に、排気状態切替部材 30が不用意に移動して排気状態と非排気状態との間で状態変更するのを防止している。

[0032] テザーベルト 40は、排気状態切替部材 30と隔壁 11とを互いに連結する所定長さの連結部材であり、エアバッグ 10等と同様な基布を略帯状又は紐状に裁断する等して形成されている。ここでは、テザーベルト 40を、細長い帯状部材の先端が略 Y字状 (図 4、 6参照）に広がる形状に、かつ略 Y字状の先端部の幅を排気状態切替部材 30 の先端部と略同じ幅になるように形成している。また、テザーベルト 40の帯状部の一端（図 1、 2参照）を、隔壁 11の開口部 23と対向する略中央部のガス通路 22よりも下方となる位置に縫い合わせる等して接合している。一方、テザーベルト 40の他端側の略 Y字状の両先端部は、排気状態切替部材 30先端部（図 4、 6参照）の両側部に接合（図の接合部 30B)し、排気状態切替部材 30先端部の両側部を引っ張るようにして、排気状態切替部材 30に張力や引込力等を作用させるようになつている。

[0033] このように排気状態切替部材 30と隔壁 11に連結されるテザーベルト 40は、ェアバッグ 10の膨張時に、一方の端部に連結された隔壁 11に他方の端部に連結された排気状態切替部材 30側への張力を作用させ、これにより隔壁 11の第 2室 10B側への移動を規制して、第 2室 10Bの膨張を促進して迅速な膨張展開を可能にしている。同時に、テザーベルト 40は、インフレータ 2の作動時にエアバッグ 10が膨張展開した状態では、排気状態切替部材 30に他端側（隔壁 11側）への張力を作用させて、そのベントホール 30Hを閉じるとともに、膨張展開したエアバッグ 10が侵入した人を受け止めて変形したときは、排気状態切替部材 30への隔壁 11側への張力を解放してベントホール 30Hを開放する。このように、テザーベルト 40は、その張力等により、排気状態切替部材 30のベントホール 30Hを、エアバッグ 10内のガスを排気する状態と非排気の状態との間で相互に状態変更させる機能を有する。

[0034] 即ち、テザーベルト 40は、インフレータ 2が作動してエアバッグ 10が正規形状に膨張展開した状態（図 1参照）では、インフレータ 2からのガス供給による膨張展開力を受けて隔壁 11と排気状態切替部材 30との間で引っ張られる。テザーベルト 40は、その状態で、袋状の第 2室 10Bの膨張展開をほぼ完了させるとともに、排気状態切替部材 30を、インフレータ 2からのガス供給によるエアバッグ 10の内圧に抗してエアバッグ 10内（図 3、 4参照）に引き込んで略直線状に引っ張り、そのベントホール 30Hを閉じて非排気状態にする長さに形成されてレ、る。

[0035] また、テザーベルト 40は、エアバッグ 10の膨張途中においても、その膨張展開に伴い、一端側に連結された排気状態切替部材 30に引っ張られて他端側に連結された隔壁 11を前記一端側に徐々に引っ張り、隔壁 11を第 1室 1 OA内に引き込むようにその移動を規制して、隔壁 11 (第 2室 10B)を第 1室 10A内に膨出させる。この膨出時に、テザーベルト 40は、隔壁 11の膨張展開完了時に最も第 1室 10A側に突出する略中央部を引っ張り、第 2室 10Bを第 1室 10A側に向かって略均等に膨張させるようになつている。同時に、排気状態切替部材 30に隔壁 11側への張力を作用させ、膨張展開完了前の膨張途中においても、エアバッグ 10の膨張開始の比較的早期に、ベントホール 30Hを閉鎖させて非排気状態に状態変更させる。

[0036] 一方、膨張展開したエアバッグ 10が乗員を受け止めて変形した状態（図 2参照）では、内圧を保持する第 2室 10Bが乗員を包み込むように変形して、第 2室 10B及び隔壁 11が第 1室 10A側に凸状に変形するとともに、第 2室 10B全体が乗員の侵入方向に押されて、開口部 23側に移動する。その結果、第 1室 10Aの内圧が徐々に上昇し、かつエアバッグ 10内で、開口部 23と隔壁 11のテザーベルト 40の接合位置との間の距離が短くなり、テザーベルト 40が隔壁 11と排気状態切替部材 30との間で弛んだ状態となって隔壁 11側への張力が解放される。テザーベルト 40は、その状態で、排気状態切替部材 30がエアバッグ 10の内圧を受けてエアバッグ 10外に導出（図 5、 6参照）され、そのベントホール 30Hを開放して排気状態に状態変更するのを許容する長さに形成されている。

[0037] 次に、以上説明した本実施形態のエアバッグ装置 1の作動時における各部の働きや機能等について説明する。

このエアバッグ装置 1は、エアバッグ 10をインフレータ 2と合体組み付けした状態で、車両の助手席前の所定位置 (インストルメントパネル内等）に取り付けられており、その状態では、エアバッグ 10は、排気状態切替部材 30をエアバッグ 10内に導入した状態で、所定の態様に折り畳まれている。その状態から、車両の衝突時等には、ィンフレータ 2を起動（図 1参照）してガス導入口 20からエアバッグ 10内にガスを供給し、エアバッグ 10の第 1室 10Aを膨張させる。同時に、第 1室 10Aから隔壁 11のガス通路 22を通してガスを第 2室 10Bに導入し、第 2室 10Bを膨張展開させつつ、エアバッグ 10全体を膨張展開させる。

[0038] このようにエアバッグ 10が膨張展開するのに従って、テザーベルト 40が排気状態切替部材 30に徐々に引っ張られて隔壁 11の移動が規制され、第 2室 10Bの膨張が補助されて膨張展開が進行する。同時に、テザーベルト 40も各連結部間で引っ張られ、テザーベルト 40に連結されたエアバッグ 10内の排気状態切替部材 30に強い張力が作用し、排気状態切替部材 30がベントホール 30Hをほぼ閉じた状態（図 3、 4参照）になりエアバッグ 10内で開口部 23を閉塞するように覆う。この非排気状態をテザ一ベルト 40の張力により維持して、エアバッグ 10内力ものガス排気を抑制し、ガスの漏出をなるベく少なくして迅速にエアバッグ 10を膨張展開させる。また、エアバッグ 1 0及び第 2室 10Bの膨張展開がほぼ完了すると、テザーベルト 40により排気状態切替部材 30がエアバッグ 10の内側方向により強く引っ張られた状態となる。この強い張力により、排気状態切替部材 30をエアバッグ 10内の内圧に抗して非排気状態に確実に維持する。

[0039] その状態で、車両衝突の衝撃で前方に向かって移動する乗員の頭部等がエアバッグ 10の正面部 10Cに接触（図 2参照）すると、エアバッグ 10 (第 2室 10B)が乗員を受け止めて、膨張展開したエアバッグ 10全体が乗員の侵入方向等に向かって変形する。この変形時には、第 2室 10Bが、乗員を包み込むように凹状に変形するが、逆止弁 25により内部からのガスの流出が防止され、その凹状の変形形状を維持して乗員を確実に拘束する。同時に、第 1室 10A内のガスが圧縮されてその内圧が上昇するとともに、第 2室 10B全体が乗員の侵入方向（開口部 23側）に移動し、かつ隔壁 11 が凸状に変形してテザーベルト 40が弛み、排気状態切替部材 30に作用する隔壁 1 1側への張力が解放される。その結果、排気状態切替部材 30が、第 1室 10Aの内圧によってエアバッグ 10外に押し出されるように導出（図 5、 6参照）され、そのベントホール 30Hが開放されて第 1室 10Aの内外が連通する。排気状態切替部材 30は、以上のようにして非排気状態（図 1参照)から排気状態（図 2参照）に状態変更し、第 1室 10A内のガスを開口部 23から排気状態切替部材 30内を通してベントホール 30Hから外部に排気する。これにより第 1室 10Aを徐々に萎ませて乗員をエアバッグ 10で柔ら力べ受け止め、乗員に加わる衝突の衝撃を吸収'緩和して保護する。

[0040] ここで、乗員が前傾等の非正常な乗車姿勢で着座する等して、通常よりも早期にェァバッグ 10に接触した場合には、エアバッグ 10は、膨張が完了する膨張展開の途中形態で乗員に接し、それ以上の膨張展開が妨げられることになる。し力もながら、このような場合でも、このエアバッグ 10では、テザーベルト 40が弛んだままの状態で第 1 室 10Aの内圧が上昇し、排気状態切替部材 30が内圧によって第 1室 10A外に導出されて排気状態に状態変更するため、ベントホール 30Hからのガスの排気が可能である。

[0041] 以上説明したように、本実施形態のエアバッグ装置 1では、開口部 23をエアバッグ 10の膨張時にガスが抜け難い位置に形成するとともに、排気状態切替部材 30を非排気状態に維持して膨張時におけるエアバッグ 10内からのガスの排気を抑制するため、エアバッグ 10を迅速に膨張展開させることができる。その結果、エアバッグ 10を早期に充分な乗員の拘束力を発揮し得る状態にすることができる。これにより、例えば乗員がエアバッグ装置 1側に接近し、又は通常の乗車姿勢よりも前傾した姿勢で着座している等、乗員が非正常な乗車姿勢で着座して通常よりも早期にエアバッグ 1 0に接触した場合等でも、乗員の保護を図ることができる。

[0042] また、このエアバッグ装置 1では、隔壁 11のガス通路 22から第 2室 10B側へガスが入り易いことに加えて、テザーベルト 40により隔壁 11の第 2室 10B側への移動を規制して第 2室 10Bを膨張させるため、第 2室 10Bの膨張展開（隔壁 11の第 1室 10A 内への膨出）をより早期に、かつ確実に行うことができる。同時に、テザーベルト 40により、エアバッグ 10の膨張時における隔壁 11 (第 2室 10B)の乗員側への突出距離及び突出圧力の制御等も可能となるため、エアバッグ 10の展開特性及び乗員の保護機能の向上等も図ることができる。加えて、このエアバッグ装置 1では、第 2室 10B 側にガスを排気するベントホールを設けず、かつ隔壁 11のガス通路 22に逆止弁 25 を設けたため、膨張展開した第 2室 10Bで乗員の頭部等を受け止めた後でも第 2室 1 0Bからガスが排気されず、その内圧を保つことができる。これにより、乗員を受け止めて変形した第 2室 10Bの変形形状を維持し、衝突後の乗員の頭部等の移動をより強く規制することができる等、第 2室 10B (エアバッグ 10)の乗員の拘束力を向上させること力 Sでさる。

[0043] 更に、このエアバッグ装置 1では、開口部 23を、エアバッグ 10の乗員の接触位置である第 2室 10B及びテザーベルト 40の連結位置から離れた位置であり、乗員と接しない第 1室 10A側に設けたため、膨張展開後のエアバッグ 10で乗員を受け止めたときに、排気状態切替部材 30が乗員の侵入によるエアバッグ 10の変形の影響を受け難ぐその導出 (排気状態への状態変更)を確実に行うことができる。その結果、第 1 室 10Aから安定して大量のガスを確実に排気でき、エアバッグ 10からの充分なガスの排気量を確保して、エアバッグ 10の衝撃の吸収性能を向上させることができる。同時に、テザーベルト 40の一端を第 2室 10Bを区画する隔壁 11に取り付けたため、乗員がエアバッグ 10の第 2室 10Bを区画する何れの位置に接触しても、第 2室 10B全体が開口部 23側へ移動し、又は、第 2室 10Bの変形により隔壁 11が凸状に変形して、テザーベルト 40に弛みを生じさせることができる。その結果、乗員の受け止め位置に関わらず、排気状態切替部材 30の排気状態を切り替えることができ、その衝突時の応答性を向上させること力できる。また、膨張展開途中で乗員を受け止めたときにも、第 1室 10Aからのガスの排気が可能であるため、そのような状態での乗員への衝撃を低下させることもできる。

[0044] 加えて、この排気状態切替部材 30では、ベントホール 30Hと開口部 23との間に接合部 30Cを設け、ベントホール 30Hを、排気状態切替部材 30のエアバッグ 10への取付部（開口部 23)から離れた位置に形成している。そのため、非排気状態では、ベントホール 30Hのエアバッグ 10側の基端部（主に両接合部 30C間の周辺部分）が、エアバッグ 10の内圧により密着して重なり合う状態になり、このベントホール 30Hの密着部分が一種の弁として作用する。これにより、ベントホール 30Hを介して開口部 23からガスが漏れ難くなり、非排気状態でのガスの排気をより確実に抑制することができる。また、排気状態切替部材 30先端部の両側部がテザーベルト 40に引っ張られるため、エアバッグ 10内で排気状態切替部材 30の姿勢を安定させることができ、非排気状態を確実かつ安定して維持することもできる。

[0045] 従って、本実施形態のエアバッグ装置 1によれば、車両衝突時等におけるエアバッグ 10の乗員の拘束力が高くなり、乗員の頭部等を第 2室 10Bにより確実に拘束して衝突時の乗員の移動をより確実に規制することができる。また、排気状態切替部材 3 0により、エアバッグ 10からのガスの排気がより確実かつ適切に行われるため、乗員への衝撃を低下させることができ、エアバッグ装置 1の乗員の保護機能を効果的に向上させること力 Sできる。これは、第 2室 10Bを、保護する必要性がより高い乗員の頭部を拘束するエアバッグ 10の頭部拘束部とした場合に、特に効果的である。加えて、隔壁 11を気密性が高いシリコンコート基布で形成した場合に、より高い効果を得ることができる。

[0046] 更に、このエアバッグ 10は、製造に必要な部品数が比較的少ないことに加えて、例えば第 2室 10Bを、上記したように隔壁 11用基布片をエアバッグ 10用基布片に重ね合わせて互いに接合して形成できる等、その構成も比較的単純である。また、排気状態切替部材 30についても、一対の基布片 30Kの一端部をエアバッグ 10の開口部 2 3に取り付けるとともに、その他端部同士を接合して開口部 23を覆い、その両側開口をベントホール 30Hにしたものであり、比較的簡易な構造で実現できる。このように、本実施形態のエアバッグ 10は、その機能に比して構成及び構造が簡易であり、縫い合わせ等の製造の作業性及び生産性を高めることができ、低コストでエアバッグ 10を製造すること力 Sでさる。

[0047] なお、本実施形態では、テザーベルト 40を、エアバッグ 10の膨張展開時に各連結部間で略直線状に延びる長さに形成したが、テザーベルト 40は、膨張展開時に多少の弛み等があっても隔壁 11の移動を規制し、又は排気状態切替部材 30を非排気状態に維持する効果を発揮し得る。従って、テザーベルト 40は、その長さに、ある程度の長短があってもよい。

[0048] また、上記したエアバッグ 10の開口部 23及び排気状態切替部材 30のベントホーノレ 30Hの大きさにカロえて、隔壁 11のガス通路 22の大きさ等の形態も、エアバッグ 10 や隔壁 11 (第 2室 10B)の形態や、エアバッグ 10に要求される膨張及び排気速度等の各膨張及び排気パターン等に応じて、それぞれ適切な大きさ等に設定すればよい。同様に、ここでは、隔壁 11にガス通路 22を 1個のみ形成した力ガス通路 22は、複数箇所に複数個形成する等、必要な位置に必要な個数形成すればょレ、。

[0049] 更に、本実施形態では、ガス通路 22に逆止弁 25を設けた力ガス通路 22とベントホール 30Hの大きさ等によっては、逆止弁 25を省略してもよい。但し、この場合には、ベントホール 30Hに対して、ガス通路 22の大きさを相対的に小さくする等、ベントホール 30Hからのガス排気量に対して、ガス通路 22 (第 2室 10B)からのガス導出量を少なくした場合には、乗員との接触時に、第 2室 10Bがより潰れ難くなつて上記した各効果を相対的に大きくできるため、より好ましい。 [0050] 以上に加えて、本実施形態では、エアバッグ 10の開口部 23を横長な長孔状に形成したが、開口部 23は、例えば縦長な長孔状や、円孔状、多角形孔状等、排気状態切替部材 30の配置方向やテザーベルト 40の連結位置等の各形態に合わせて、本実施形態とは異なる方向に延びるように形成する等、他の形態に形成してもよい。更に、このエアバッグ 10では、排気状態切替部材 30のみにベントホール 30Hを設けたが、例えば、展開形態におけるエアバッグ 10の第 1室 10A側の両側方部分に孔状のベントホールを形成する等、第 1室 10A側に他のベントホールを形成してもよい。この場合には、他のベントホールによる排気と、排気状態切替部材 30を介した排気との組み合わせにより、多彩な排気パターンの設定が可能となる。

[0051] また、排気状態切替部材 30は、エアバッグ装置 1の作動前に、エアバッグ 10外に導出された状態で、エアバッグ 10とともに折り畳まれていてもよい。このような場合であっても、排気状態切替部材 30は、膨張展開の途中からテザーベルト 40による張力 (エアバッグ 10内への引込力）によりエアバッグ 10内に導入されて非排気状態になるため、ガス排気を抑制してエアバッグ 10を迅速に膨張展開させることができる。また、上記した非正常な姿勢の乗員が通常よりも早期にエアバッグ 10に接触したときには、排気状態切替部材 30が非排気状態から排気状態に状態変更する過程を省略してエアバッグ 10内のガスを排気できるため、より早い段階で大量のガスを排気することができ、乗員への衝撃をより緩和することもできる。

[0052] ここで、エアバッグ 10の開口部 23と排気状態切替部材 30は、膨張展開が完了したエアバッグ 10や膨張途中のエアバッグ 10が乗員を受け止めたとき等に、排気状態切替部材 30が排気状態となり、ガスの排気が妨げられない位置に設けられていればよぐエアバッグ 10の第 1室 10A側の他の位置に設けてもよい。同様に、テザーベルト 40は、隔壁 11及び排気状態切替部材 30 (基布片 30K)の先端部の一部に取り付けられていれば、排気状態切替部材 30の排気状態の切り替えや隔壁 11の移動の規制を行えるため、テザーベルト 40の両端を、本実施形態とは異なる位置に取り付けてもよい。即ち、排気状態切替部材 30が取り付けられた開口部 23の位置と、テザ一ベルト 40の隔壁 11への取付位置が、膨張展開したエアバッグ 10により乗員を受け止めたときに、それらの間の距離がより近くなるような位置関係にあればよい。 [0053] 例えば、開口部 23と排気状態切替部材 30を膨張展開形態におけるエアバッグ 10 の第 1室 10A側の側方部分（図 1、 2の 10D部分)や、上方部分等に設けた場合でも、エアバッグ 10が膨張展開するときには、テザーベルト 40が排気状態切替部材 30をエアバッグ 10内に引き込んで非排気状態にできる。一方、エアバッグ 10が乗員を受け止めたときには、テザーベルト 40が弛んで排気状態切替部材 30がエアバッグ 10 外に導出されて排気状態となり、上記と同様の動作を実現できる。特に、このように開口部 23と排気状態切替部材 30をエアバッグ 10の側方部分 10Dに設けた場合には、排気状態切替部材 30が排気状態に移行してエアバッグ 10外に飛び出したときでも、車両のフロントガラスやインダッシュパネル等に干渉するのを防止でき、より安定したガス排気を行うことができる。

[0054] 次に、排気状態切替部材の他の例について説明する。

図 7は、排気状態切替部材の第 1の変形例を示す模式図であり、図 7Aは側面図、図 7Bは平面図である。

この排気状態切替部材 50は、図示のように、エアバッグ 10の開口部 23から延びる一対の略台形状の基布片（略台形状部材） 51を有し、その長辺側である各底辺部 5 1Bをエアバッグ 10の開口部 23の周囲に縫い合わせて接合する等して取り付けるとともに、その短辺側である上辺部（先端部） 51C同士を接合している。また、この上辺部 51C同士の接合部に長尺状のテザーベルト 55の一端部を連結し、一対の基布片 51の傾斜した両斜辺部 51Dで囲まれる両側部分により一対のベントホール 51H (図では太線で示す）を形成して!/、る。

[0055] 図 8は、排気状態切替部材の第 2の変形例を示す模式図であり、図 8Aは側面図、図 8Bは平面図である。

この排気状態切替部材 60は、図示のように、エアバッグ 10の開口部 23から延びる一対の略台形状の基布片（略台形状部材） 61を有し、その長辺側である各底辺部 6 1Bをエアバッグ 10の開口部 23の周囲に接合等して取り付ける等して、開口部 23側の基端部とし、その傾斜した両斜辺部 61D同士を接合している。また、一対の基布片 61の短辺側である上辺部 61Cに長尺状のテザーベルト 65の一端部を連結し、一対の基布片 61の上辺部 61C同士で囲まれる部分によりベントホール 61H (図では太線で示す）を形成している。

[0056] 図 9は、排気状態切替部材の第 3の変形例を示す模式図であり、図 9Aは側面図、図 9Bは平面図である。

この排気状態切替部材 70は、図示のように、エアバッグ 10の開口部 23から延びる一対の略台形状の基布片（略台形状部材） 71を有し、その長辺側である各底辺部 7 1Bをエアバッグ 10の開口部 23の周囲に取り付ける等して、開口部 23側の基端部とし、その短辺側である両上辺部 71 C同士及び傾斜した両斜辺部 71 D同士を接合している。また、一対の基布片 71の各上辺部 71Cに長尺状のテザーベルト 75の一端部を連結し、一対の基布片 71の一方又は双方に略円形孔を形成してベントホール 7 1Hとしている。

[0057] これら排気状態切替部材の第 1から第 3の変形例でも、上記した排気状態切替部材 30と同様に、排気状態切替部材 50、 60、 70がエアバッグ 10内に導入され、又は導出されることで、非排気状態と排気状態との間で状態変更する。

[0058] (第 2の実施形態）

次に、本発明のエアバッグ装置の第 2の実施形態について説明する。

この第 2の実施形態のエアバッグ装置 1Sは、以上説明した第 1の実施形態のエアノッグ装置 1に対して、その構造や構成等は基本的に同じであるが、それらに加えて、上記した OOP状態にある乗員の保護機能等をより向上させるための構成等を備えている。従って、以下の説明では、上記と同様の構成には同一の符号を付し、それらの詳説は省略する。

[0059] 図 10は、第 2の実施形態のエアバッグ装置 1Sのエアバッグ 10が膨張展開が完了した状態を示す斜視図であり、エアバッグ装置 1Sとともに、通常の状態で着座した乗員 5S、及び OOP状態の乗員 5Pを模式的に示す。

このエアバッグ装置 1Sは、図示のように、ガスの導入により膨張展開可能なェアバッグ 10と、エアバッグ 10下面のガス導入口 20に取り付けられたインフレータ 2等を備えている。

[0060] インフレータ 2は、車両の衝突時等には、ガス導入口 20を通してエアバッグ 10内にガスを供給し、エアバッグ 10を乗員 5S、 5Pの位置する方向を中心に、上下方向や左右方向等に向かって膨張展開させる。

[0061] エアバッグ 10は、膨張展開可能な袋状に形成され、その内側に、内部空間を分割する隔壁 11と、エアバッグ 10の膨張時に隔壁 11の移動を規制する規制部材である第 1のテザーベルト 41と、一端が隔壁 11よりも下側のエアバッグ 10の下方部分に連結された第 2のテザーベルト 42とが、それぞれ所定位置に設けられて!/、る。

[0062] また、エアバッグ 10の隔壁 11により分割された一方側（第 1室 10A側）には、エアノッグ 10の内外を連通する第 1及び第 2の開口部 28、 29が形成されるとともに、各開口部 28、 29部分に、その状態によりエアバッグ 10内のガスの排気状態を切替可能なスィッチベントホール機構 (排気状態切替部材 31、 32)が設けられている。これら各排気状態切替部材 31、 32の内、第 1の開口部 28に設けられた第 1の排気状態切替部材 31は、第 1のテザーベルト 41により隔壁 11と連結され、第 2の開口部 29に設けられた第 2の排気状態切替部材 32は、第 2のテザーベルト 42によりエアバッグ 1 0の下方部分に連結されて!/、る。

[0063] 図 11は、このエアバッグ 10の各連結状態を分かり易く示すため、各テザーベルト 4 1、 42により互いに連結されたものを、それぞれ抜き出して示す斜視図であり、図 11 Aは第 1のテザーベルト 41に、図 11Bは第 2のテザーベルト 42に、それぞれ連結されたものを示す。

以下、これら各図ごとに、各部材等についてより詳細に説明する。

[0064] 図 11Aに示すように、第 1のテザーベルト 41に連結された隔壁 11は、膨張展開時のエアバッグ 10内をインフレータ 2側の第 1室 10Aと、乗員 5S側の第 2室 10Bとに区画するためのものであり、ここでは、第 2室 10Bを、第 1室 10Aに比べて容積の小さな小気室になるように区画している。また、このエアバッグ装置 1Sでは、隔壁 11を、ェァバッグ 10の乗員 5S側の比較的上方に配置して接合し、第 2室 10Bを、エアバッグ 10の膨張展開時に、主に正規着座状態の乗員 5Sを受け止めて拘束する正規乗員拘束部にしている。即ち、隔壁 11により、乗員 5Sの主に上半身に対向する位置に第 2室 10Bを設け、この第 2室 10Bにより、侵入する乗員 5Sの頭部から胸部を受け止めて拘束するようになっている。

[0065] ここで、主に正規着座状態の乗員 5Sとは、シートベルトを装着又は装着可能な正規 (正常）の姿勢で着座した状態や、その姿勢から、例えば多少エアバッグ装置 1S に接近、或いは前傾した姿勢等、正規の着座姿勢から大きく外れない通常の一般的な状態の乗員 5Sのことをいう。従って、本発明で主に正規着座状態という場合には、正規着座状態に加えて、軽い OOP状態である上記したような通常の一般的な状態を含む。

[0066] 本実施形態では、この第 2室 10Bを、隔壁 11用基布片をエアバッグ 10用基布片の第 2室 10Bを形成すべき部分（エアバッグ 10の乗員 5Sと対向する正面部 10C)に重ね合わせ、それらの所定位置を互いに接合することにより、各基布片の間に形成している。また、この隔壁 11には、略中央部に第 1室 10Aと第 2室 10Bとの間のガスの流通を可能とするガス通路 22が形成されるとともに、そこからのガスの流通を制御する逆止弁 25が取り付けられて!/、る。

[0067] なお、この隔壁 11は、区画するエアバッグ 10の第 2室 10B力車両衝突時に乗員 5Sを受け止めて拘束等し得るよう、エアバッグ装置 1Sの用途や形状等に応じて形成 •配置される。即ち、隔壁 11は、やエアバッグ 10全体の大きさ及び膨張展開形状等に応じて、膨張展開した第 2室 10Bが充分な乗員 5Sの拘束力等を発揮し得る大きさ及び形状に、かつ安全に乗員 5Sを受け止め得る位置になるよう、適切な大きさ及び形状に形成されて、エアバッグ 10の適切な位置に配置される。

[0068] 第 1の開口部 28は、エアバッグ 10の第 1室 10A側に設けられた、エアバッグ 10の内外を連通させる長尺な連通部（連通孔）であり、膨張展開形態におけるエアバッグ 10の一方の側方部分 10D (図では紙面奥側の側面）に形成されている。また、この第 1の開口部 28は、エアバッグ 10の側方部分 10Dの隔壁 11から離れたガス導入口 20に比較的近い位置に、垂直方向（図では上下方向）に近い角度で直線状に延びるように形成され、その長手方向に沿って第 1の排気状態切替部材 31が設けられている。

[0069] ここで、膨張前のエアバッグ 10が折り畳まれた状態では、隔壁 11のガス通路 22は、ガス導入口 20と対向するガス供給方向の下流側に位置しており、エアバッグ 10の膨張時に、ガス導入口 20から供給されるガスが入り易くなつている。これに対し、ガス導入口 20に比較的近い第 1の開口部 28は、ガス供給方向の上流側に位置しており、この第 1の開口部 28からは、上記したようにエアバッグ 10の膨張展開時にガスが抜け難くなつている。

[0070] 第 1の排気状態切替部材 31は、エアバッグ 10内のガスを排気するためのベントホール 31Hを有する部材であり、連結された第 1のテザーベルト 41からの張力やエアバッグ 10の内圧に応じて、ベントホール 31Hをエアバッグ 10内のガスを排気する状態と非排気の状態とに切替可能に構成されている。即ち、第 1の排気状態切替部材 31は、エアバッグ 10が膨張展開した状態では、ベントホール 31Hとともにエアバッグ 10内に導入され、第 1の開口部 28を閉塞するように覆ってベントホール 31Hを閉じ、インフレータ 2作動時におけるエアバッグ 10内のガス排気を抑制する非排気状態となる。一方、第 1の排気状態切替部材 31は、膨張展開したエアバッグ 10で乗員 5Sを受け止めた状態では、ベントホール 31Hとともにエアバッグ 10外に導出され、ベントホール 31Hを開放してエアバッグ 10内のガスを排気可能な排気状態に状態変更す

[0071] 以下、この第 1の排気状態切替部材 31について、より具体的に説明する。

図 12及び図 13は、非排気状態にある第 1の排気状態切替部材 31を模式的に示す図であり、図 12は側面図、図 13は平面図である。また、図 14及び図 15は、排気状態にある第 1の排気状態切替部材 31を模式的に示す図であり、図 14は側面図、図 15は平面図である。

[0072] 第 1の排気状態切替部材 31は、第 1の開口部 28を囲う一端部と、互いに接合されて第 1の開口部 28を覆う他端部とを有する一対の基布片 31Kからなり、その一端部と他端部間の両側開口をベントホール 31Hにしている。即ち、この第 1の排気状態切替部材 31は、図 12〜15に示すように、エアバッグ 10の第 1の開口部 28から延び、それを塞ぐように上下方向に重ねて設けられた一対の基布片（帯状部材） 31Kからなる。この一対の基布片 31Kは、第 1の開口部 28側の一端部（基端部）から他端部（先端部）に向かって幅が徐々に縮小する平面視略台形形状（図 13、図 15参照）をなし、先端部同士が、第 1のテザーベルト 41の先端部とともに、その幅方向に沿って略全体に亘つて接合（図の接合部 31B)されている。一方、その両側部は、エアバッグ 10 側の基端部付近だけ互いに接合（図の接合部 31C)されており、接合部 31Cから先端部の接合部 31Bまでの部分は、接合されずに開口状態（非接合部）になっている。従って、エアバッグ 10の内外は、この一対の基布片 31Kの両側開口（非接合部）を介して連通しており、本実施形態では、この非接合部を囲む一対の基布片 31Kの両側部分により、第 1の排気状態切替部材 31のベントホール 31Hを形成している。

[0073] なお、一対の基布片 31Kの両側部は、エアバッグ 10側の基端部付近が所定長さに亘つて接合（接合部 31C)されているため、ベントホール 31Hとエアバッグ 10の第 1の開口部 28とは連続した位置関係になぐ接合部 31Cを挟んで互いに離れた位置に設けられている。また、これら各基布片 31Kは、例えば所定形状の一対の基布を、エアバッグ 10に形成した貫通孔に、その周縁部を囲むように縫い合わせて第 1の開口部 28を形成しつつ接合する等して、エアバッグ 10と一体化されている。或いは、各基布片 31Kは、例えばエアバッグ 10の側方部分 10Dを第 1の開口部 28部分で分割して 2枚の分割片から構成し、この各分割片の裁断 (形成）時に予め基布片 31Kに対応する部分を持たせて裁断した後、第 1の開口部 28以外の部分を互いに接合して、一対の基布片 31Kの一端部で囲まれた部分を第 1の開口部 28にする等して、側方部分 10Dと一体に形成してもよい。

[0074] 第 1のテザーベルト 41は、第 1の排気状態切替部材 31と隔壁 11とを互いに連結する所定長さの連結部材であり、このエアバッグ装置 1Sでは、細長い略帯状に形成され、その一方の端部（図 11A参照）が、隔壁 11の略中央部のガス通路 22よりも下方位置に接合されている。また、第 1のテザーベルト 41は、第 1の排気状態切替部材 3 1 (基布片 31K)の先端部に連結 (接合)された他方の端部（図 13、図 15参照）が、端部に向かって徐々に広がる形状に、かつ、これら接合された各端部の幅が略同一になるように形成され、第 1の排気状態切替部材 31の先端部の全体を引っ張るようにして張力や引込力等を作用させるようになつている。

[0075] この第 1のテザーベルト 41は、エアバッグ 10の膨張時（図 11A参照）に、一方の端部に連結された隔壁 11に他方の端部に連結された第 1の排気状態切替部材 31側への張力を作用させ、これにより隔壁 11の第 2室 10B側への移動を規制して、第 2室 10Bの膨張を促進して迅速な膨張展開を可能にしている。同時に、第 1のテザ一べルト 41は、インフレータ 2の作動時にエアバッグ 10が膨張展開した状態では、第 1の排気状態切替部材 31に他端側（隔壁 11側）への張力を作用させて、そのベントホール 31H (図 12、図 13参照）を閉じるとともに、膨張展開したエアバッグ 10が侵入した乗員 5Sを受け止めて変形したときは、その受け止め位置に応じて、第 1の排気状態切替部材 31への隔壁 11側への張力を解放してベントホール 31H (図 14、図 15参照）を開放する。このように、第 1のテザーベルト 41は、その張力により、第 1の排気状態切替部材 31のベントホール 31Hを、エアバッグ 10内のガスを排気する状態と非排気の状態との間で相互に状態変更させる機能を有する。

[0076] 即ち、第 1のテザーベルト 41は、インフレータ 2が作動してエアバッグ 10が膨張展開した状態（図 11A参照）では、インフレータ 2からのガス供給による膨張展開カを受けて隔壁 11と第 1の排気状態切替部材 31との間で引っ張られる。その状態で、第 1 のテザーベルト 41は、袋状の第 2室 10Bの膨張展開をほぼ完了させるとともに、第 1 の排気状態切替部材 31を、エアバッグ 10の内圧に抗してエアバッグ 10内（図 12、図 13参照）に引き込んで略直線状に引っ張り、そのベントホール 31Hを閉じて非排気状態にする長さに形成されている。

[0077] また、第 1のテザーベルト 41は、エアバッグ 10の膨張途中においても、その膨張展開に伴い、一端側に連結された第 1の排気状態切替部材 31に引っ張られて他端側に連結された隔壁 11を前記一端側に徐々に引っ張り、隔壁 11を第 1室 10A内に引き込むようにその移動を規制して、隔壁 11 (第 2室 10B)を第 1室 10A内に膨出させる。この膨出時に、第 1のテザーベルト 41は、隔壁 11の膨張展開完了時に最も第 1 室 10A側に突出する略中央部を引っ張り、第 2室 10Bを第 1室 10A側に向かって略均等に膨張させるようになつている。同時に、第 1の排気状態切替部材 31に隔壁 11 側への張力を作用させ、エアバッグ 10の膨張開始の比較的早期に、ベントホール 31 Hを閉鎖させて非排気状態に状態変更させる。

[0078] 一方、膨張展開したエアバッグ 10が侵入する乗員 5Sを受け止めた場合には、その受け止め位置に応じて、内圧を保持する第 2室 10Bが乗員 5Sを包み込むように変形して、第 2室 10B及び隔壁 11が第 1室 10A側に凸状に変形するとともに、第 2室 10B 全体が乗員 5Sの侵入方向に押されて、第 1の開口部 28側に移動する。その結果、第 1室 10Aの内圧が徐々に上昇し、かつエアバッグ 10内で、第 1の開口部 28と隔壁 11の第 1のテザーベルト 41の接合位置との間の距離が短くなり、第 1のテザーベルト 41が隔壁 11と第 1の排気状態切替部材 31との間で弛んだ状態となって隔壁 11側への張力が解放される。第 1のテザーベルト 41は、その状態で、第 1の排気状態切替部材 31がエアバッグ 10の内圧を受けてエアバッグ 10外に導出（図 14、図 15参照 )され、そのベントホール 31Hを開放して排気状態に状態変更するのを許容する長さに形成されている。

[0079] 以上説明した一端が隔壁 11に連結された第 1のテザーベルト 41 (図 11A参照）に対し、第 2のテザーベルト 42は、一端がエアバッグ 10の第 1室 10A側に直接連結されている。

[0080] 第 2のテザーベルト 42は、図 11Bに示すように、一方の端部が、膨張展開形態におけるエアバッグ 10 (第 1室 10A)の第 2室 10B (隔壁 11)よりも下側となる下方位置（エアバッグ 10の底部）に接合等して連結され、他方の端部が、第 2の開口部 29に設けられた第 2の排気状態切替部材 32に連結されている。この第 2のテザーベルト 42 は、第 2の排気状態切替部材 32をエアバッグ 10の所定位置に連結する所定長さの連結部材であり、細長い略帯状に形成される等、上記した第 1のテザーベルト 41と同様に形成されている。また、第 2の排気状態切替部材 32も、第 1の開口部 28と同様に形成された第 2の開口部 29から延びる一対の基布片 32Kからなり、その両側開口をベントホール 32Hにする等、上記した第 1の排気状態切替部材 31 (図 12〜図 15 参照）と同様に構成され、一対の基布片 32Kの先端部同士カ、第 2のテザーベルト 4 2の先端部とともに接合されている。

[0081] ただし、第 2の開口部 29は、膨張展開形態におけるエアバッグ 10の第 1の開口部 2 8が形成された側方部分 10D (図 10参照）とは逆側の、他方の側方部分 10D (図では紙面手前側）に形成されている。また、第 2の開口部 29は、第 2のテザーベルト 42 のエアバッグ 10への連結位置から離れた、側方部分 10Dのガス導入口 20に比較的近い上方位置に、斜めに傾斜して直線状に延びるように形成されている。更に、これら第 1及び第 2の開口部 28、 29のそれぞれから延びる各排気状態切替部材 31、 32 及びテザーベルト 41、 42は、膨張展開したエアバッグ 10内で、互いに異なる方向に延びるように離間して配置されている。 [0082] このような連結状態において、第 2のテザーベルト 42は、エアバッグ 10が膨張展開した状態では、第 2の排気状態切替部材 32に他端側（エアバッグ 10の下方側）への張力を作用させ、第 2の排気状態切替部材 32を、エアバッグ 10の内圧に抗してエアノッグ 10内（図 12、図 13参照）に引き込んで略直線状に引っ張り、そのベントホール 32Hを閉じて非排気状態にする長さに形成されている。また、第 2のテザーベルト 42 は、エアバッグ 10の膨張途中においても、その膨張展開に伴い、第 2の排気状態切替部材 32に他端側への張力を作用させ、エアバッグ 10の膨張開始の比較的早期に、ベントホール 32Hを閉鎖させて非排気状態に状態変更させるようになつている。

[0083] 一方、膨張展開したエアバッグ 10が侵入した OOP状態の乗員 5Pを受け止めた場合には、その受け止め位置に応じて、エアバッグ 10 (ここでは下方部分）が第 1室 10 A内に凸状に変形し、第 1室 10Aの内圧が徐々に上昇し、かつ第 2のテザーベルト 4 2が弛んだ状態になる。その状態で、第 2のテザーベルト 42は、第 2の排気状態切替部材 32への張力を解放してベントホール 32H (図 14、図 15参照）を開放し、ェアバッグ 10の内圧を受けて、第 2の排気状態切替部材 32がエアバッグ 10外に導出され、そのベントホール 32Hが排気状態に状態変更するのを許容する長さに形成されてい

[0084] 本実施形態では、この第 2のテザーベルト 42のエアバッグ 10への連結位置を、ェァバッグ 10の膨張時に、主に正規着座状態から比較的大きく外れた OOP状態の乗員 5Pが接触して侵入する位置に配置している。即ち、子供等の小さな乗員 5Pがインストルメントパネルに接近又は接触している場合等、乗員 5Pが、エアバッグ 10の下方部分を中心に、正規接触位置から比較的大きく外れた位置に接触して侵入した場合に、第 2のテザーベルト 42による張力が解放されて、第 2の排気状態切替部材 32が排気状態に状態変更可能な位置に、第 2のテザーベルト 42を連結している。この第 2のテザーベルト 42の連結位置は、例えば米国連邦安全基準 FMVSS208で定める、 6歳児、 3歳児、 12ヶ月児のダミーがインストルメントパネルに頭部や胸部を接触等させた状態である試験ポジション 1、 2で、ダミーが作動したエアバッグ 10に接触して第 2の排気状態切替部材 32が排気状態になる範囲、例えば膨張展開形態におけるエアバッグ 10のインストルメントパネルに近い下方位置 (底部）に配置される。 [0085] 次に、以上説明したエアバッグ装置 ISの作動時における各部の機能等について説明する。

図 16、図 17は、エアバッグ装置 1Sが作動したときの状態を模式的に示す側面図であり、図 16は乗員 5Sが主に正規着座状態にある場合の例を、図 17は乗員 5Pが上記した OOP状態にある場合の例を、それぞれ示す。

[0086] このエアバッグ装置 1Sは、車両の助手席前の所定位置（インストルメントパネル内等）に取り付けられており、その状態では、エアバッグ 10は、各排気状態切替部材 31 、 32をエアバッグ 10内に導入した状態で、所定の態様に折り畳まれている。その状態から、車両の衝突時等には、インフレータ 2を起動（図 10参照）して、エアバッグ 10 の第 1室 10A及び第 2室 10Bを膨張展開させて、エアバッグ 10全体を膨張展開させ

[0087] このようにエアバッグ 10が膨張展開するのに従って、第 1のテザーベルト 41が、第 1 の排気状態切替部材 31に徐々に引っ張られて隔壁 11の移動が規制され、第 2室 1 0Bの膨張が補助されて膨張展開が進行する。同時に、第 2のテザーベルト 42も各連結部間で引っ張られ、これら各テザーベルト 41、 42に連結されたエアバッグ 10内の各排気状態切替部材 31、 32に強い張力が作用し、それらが各ベントホール 31H、 3 2Hをほぼ閉じた状態（図 12、図 13参照）になりエアバッグ 10内で開口部 28、 29を閉塞する。この非排気状態をテザーベルト 41、 42の張力により維持して、エアバッグ 10内からのガス排気を抑制し、ガスの漏出を少なくして迅速にエアバッグ 10を膨張展開させる。また、エアバッグ 10及び第 2室 10Bの膨張展開がほぼ完了すると、テザ一ベルト 41、 42により各排気状態切替部材 31、 32がエアバッグ 10の内側方向により強く引っ張られた状態となり、この強い張力により、排気状態切替部材 31、 32をェァバッグ 10内の内圧に抗して非排気状態に確実に維持する。

[0088] その状態（図 16A参照）で、車両衝突の衝撃で前方に向かって移動する乗員 5Sがエアバッグ 10の正面部 10Cに接触（図 16B参照）すると、エアバッグ 10 (第 2室 10B) が乗員 5Sを受け止めて、膨張展開したエアバッグ 10全体が乗員 5Sの侵入方向等に向かって変形する。この変形時には、第 2室 10Bが、乗員 5Sを包み込むように凹状に変形するが、逆止弁 25により内部からのガスの流出が防止され、その凹状の変形形状を維持して乗員 5Sを確実に拘束する。同時に、第 1室 10A内のガスが圧縮されてその内圧が上昇するとともに、第 2室 10B全体が乗員 5Sの侵入方向（第 1の開口部 28側）に移動し、かつ隔壁 11が凸状に変形して第 1のテザーベルト 41が弛み、第 1の排気状態切替部材 31に作用する隔壁 11側への張力が解放される。その結果、第 1の排気状態切替部材 31が、第 1室 10Aの内圧によってエアバッグ 10外に押し出されるように導出（図 14、図 15参照）され、そのベントホール 31Hが開放されて第 1 室 10Aの内外が連通する。第 1の排気状態切替部材 31は、以上のようにして非排気状態（図 16A参照）から排気状態（図 16B参照）に状態変更し、第 1室 10A内のガスを第 1の開口部 28から第 1の排気状態切替部材 31内を通してベントホール 31Hから外部に排気する。これにより第 1室 10Aを徐々に萎ませて乗員 5Sをエアバッグ 10で柔らかく受け止め、乗員 5Sに加わる衝突の衝撃を吸収 ·緩和して保護する。

[0089] ここで、乗員 5Sが前傾等の非正常な乗車姿勢で着座する等して、通常よりも早期にエアバッグ 10に接触した場合には、エアバッグ 10は、膨張が完了する途中形態で乗員 5Sに接触し、それ以上の膨張展開が妨げられることになる。し力もながら、このような場合でも、このエアバッグ 10では、第 1のテザーベルト 41が弛んだままの状態で第 1室 10Aの内圧が上昇し、第 1の排気状態切替部材 31が内圧によって第 1室 1 OA外に導出されて排気状態に状態変更するため、ベントホール 31Hからのガスの排気が可能である。また、第 2のテザーベルト 42 (図 16C参照）は、エアバッグ 10の下方位置に連結されており、このような乗員 5Sが侵入してエアバッグ 10が変形（図 1 6D参照）しても張力が作用した状態に維持される。その為、第 2のテザーベルト 42に連結された第 2の排気状態切替部材 32は、非排気状態に維持され、そのベントホール 32H及び第 2の開口部 29からのガスの排気は防止又は抑制される。

[0090] 一方、上記した OOP状態にある乗員 5Pが、膨張展開したエアバッグ 10の第 2のテザ一ベルト 42が連結された下方部分付近に接触した場合（図 17A参照）には、エアノッグ 10が乗員 5Pを受け止めて、それを包み込むように上方に向力て変形する。これにより、第 1室 10A内のガスが圧縮されて内圧が上昇するとともに、第 2のテザーベルト 42が弛んで、第 2の排気状態切替部材 32に作用する張力が解放される。その結果、第 2の排気状態切替部材 32が、エアバッグ 10外に導出（図 14、図 15参照）されて非排気状態から排気状態に状態変更し、そのベントホール 32Hが開放されて第 1室 10Aの内外が連通し、第 1室 10A内のガスが第 2の開口部 29を介してベントホール 32Hから外部に排気される。このようにして、侵入した乗員 5Pをエアバッグ 10により拘束しつつ、第 1室 10Aを徐々に萎ませて乗員 5Pをエアバッグ 10で柔ら力、く受け止めて、乗員 5Pに加わる衝突の衝撃を吸収 ·緩和して保護する。

[0091] この第 2の排気状態切替部材 32による乗員 5Pの保護は、エアバッグ 10の膨張完了後に加えて、その完了前に乗員 5Pがある程度膨張展開したエアバッグ 10に接触した場合にも行われるのは、上記した第 1の排気状態切替部材 31と同様である。また、第 1のテザーベルト 41 (図 17B参照）は、このような乗員 5Pが侵入してエアバッグ 1 0が変形しても張力が作用した状態に維持されるため、第 1のテザーベルト 41に連結された第 1の排気状態切替部材 31は、非排気状態に維持され、そのベントホール 31 H及び第 1の開口部 28からのガスの排気は防止又は抑制される。

[0092] 以上説明したように、この第 2の実施形態のエアバッグ装置 1Sでは、乗員 5Sに対して、第 1の実施形態で説明した上記した各効果と同様の効果が得られることに加えて、 OOP状態にある乗員 5Pに対する保護機能等をより向上させることができる。即ち、ここでは、各開口部 28、 29をエアバッグ 10の膨張時にガスが抜け難い位置に形成するとともに、各排気状態切替部材 31、 32を非排気状態に維持して膨張時におけるエアバッグ 10内からのガスの排気を抑制するため、エアバッグ 10を迅速に膨張展開させること力 Sできる。その結果、エアバッグ 10を早期に充分な乗員 5S、 5Pの拘束力を発揮し得る状態にすることができ、 OOP状態にある乗員 5P (図 17A参照）に加えて、例えば正規着座状態の乗員 5S (図 16参照）がエアバッグ装置 1S側に接近し、又は通常の乗車姿勢よりも前傾した姿勢で着座して!/、る等、非正常な乗車姿勢で着座して通常よりも早期にエアバッグ 10に接触した場合等でも、乗員 5S、 5Pの保護を図ること力 Sでさる。

[0093] また、このエアバッグ装置 1Sでは、隔壁 11のガス通路 22から第 2室 10B側へガスが入り易いことに加えて、第 1のテザーベルト 41により第 2室 10Bの膨張展開をより早期に、かつ確実に行うことができる。同時に、第 1のテザーベルト 41により、エアバッグ 10の膨張時における隔壁 11 (第 2室 10B)の乗員 5S側への突出距離及び突出圧力の制御等も可能となるため、エアバッグ 10の展開特性及び乗員 5Sの保護機能の向上等も図ることができる。加えて、このエアバッグ装置 1Sでは、隔壁 11のガス通路 22に設けた逆止弁 25等により、膨張展開した第 2室 10Bで乗員 5Sの頭部等を受け止めた後でも、その内圧を保持して、変形した第 2室 10Bの変形形状を維持し、衝突後の乗員 5Sの頭部等の移動をより強く規制することができる等、最も乗員が侵入する確立が高い第 2室 10Bの乗員 5Sの拘束力を向上させることができる。

[0094] 更に、このエアバッグ装置 1Sでは、上記したように、膨張展開したエアバッグ 10が接触'侵入した乗員 5S、 5Pを受け止めて変形したときに、その受け止め位置に応じて、第 1の排気状態切替部材 31又は第 2の排気状態切替部材 32に作用する張力を解放して、いずれか一方のベントホール 31H、 32Hを開放させるため、乗員 5S、 5P の接触位置にかかわらずエアバッグ 10 (第 1室 10A)のガスを確実に排気させて、それらを安全に保護することができる。即ち、最も一般的なエアバッグ 10の正面部 10C に接触する乗員 5S (図 16B参照）は、第 2室 10Bにより確実に拘束しつつ第 1の排気状態切替部材 31からガスを排気して保護し、上記した OOP状態にある乗員 5P (図 1 7A参照）がエアバッグ 10の下方部分に接触した場合には、第 2の排気状態切替部材 32からガスを排気して保護する。

[0095] これら各排気状態において、このエアバッグ装置 1Sでは、各排気状態切替部材 31 、 32が互いに独立に作動し、その一方のみが排気状態になるため、エアバッグ 10内力、ら必要以上にガスが排気されるのを防止できるとともに、各排気状態切替部材 31、 32を、それぞれの用途に合わせて最適化することができる。例えば、各排気状態切替部材 31、 32のベントホール 31H、 32Hを異なる大きさに形成したり、或いは、そのエアバッグ 10内での設置位置や各テザーベルト 41、 42の長さを変更等することで、各ベントホール 31H、 32Hを、それぞれ最適なタイミングで開放し、又はガスの排気量を最適化する等することで、各排気状態切替部材 31、 32を、その用途に応じて最適に作動するようにできる。特に、子供等を保護するための第 2の排気状態切替部材 32は、より多いガスの排気量が必要である力このエアバッグ装置 1Sによれば、そのベントホール 32Hを通常よりも大きく（例えば 5倍程度）しても問題が生じることはない [0096] また、これら各排気状態切替部材 31、 32は、それぞれエアバッグ 10の側方部分 1 0Dに形成された各開口部 28、 29に設けられており、排気状態に移行したときでも、車両のフロントガラスやインダッシュパネル等に干渉されずにエアバッグ 10外に導出されるため、安定したガス排気を行うことができる。同時に、各開口部 28、 29力エアノッグ 10の両側方部分 10Dのそれぞれに設けられ、かつ各排気状態切替部材 31、 32及びテザーベルト 41、 42が離間して配置されているため、それらが互いに干渉して作動を邪魔し合うのを防止することもでき、より安定したガス排気が可能となり、円滑かつ確実な作動状態を得ることができる。

[0097] 更に、このエアバッグ装置 1Sでは、各開口部 28、 29を、エアバッグ 10の乗員 5S、 5Pの接触位置である第 2室 10B及び第 2のテザーベルト 42の連結位置付近から離れた位置に設けたため、排気状態切替部材 31、 32が、乗員 5S、 5Pの侵入によるェァバッグ 10の変形の影響を受け難ぐその導出 (排気状態への状態変更)を確実に行うこと力 Sできる。その結果、第 1室 10Aから安定して大量のガスを確実に排気でき、エアバッグ 10からの充分なガスの排気量を確保して、エアバッグ 10の衝撃の吸収性能を向上させること力 Sできる。同時に、膨張途中で乗員 5S、 5Pを受け止めたときにも、第 1室 10Aからのガスの排気が可能であるため、そのような状態での乗員 5S、 5P への衝撃を低下させることもできる。

[0098] また、第 1のテザーベルト 41に関しては、その一端を第 2室 10Bを区画する隔壁 11 に取り付けたため、乗員 5Sがエアバッグ 10の第 2室 10Bを区画する何れの位置に接触しても、第 2室 10B全体が第 1の開口部 28側へ移動し、又は、第 2室 10Bの変形により隔壁 11が凸状に変形して、第 1のテザーベルト 41に弛みを生じさせることができる。その結果、乗員 5Sの受け止め位置に関わらず、第 1の排気状態切替部材 31 の排気状態を切り替えることができ、その衝突時の応答性を向上させることができる。

[0099] 加えて、これら各排気状態切替部材 31、 32では、上記と同様に、非排気状態では、ベントホール 31H、 32Hのエアバッグ 10側の基端部（主に両接合部 31C間の周辺部分）が、一種の弁として作用するため、非排気状態でのガスの排気をより確実に抑制すること力 Sできる。また、排気状態切替部材 31、 32が、その先端部の略全体に亘つてテザーベルト 41、 42に引っ張られるため、エアバッグ 10内で排気状態切替部材 31、 32の姿勢を安定させることができ、非排気状態を確実かつ安定して維持することもできる。

[0100] 従って、本実施形態のエアバッグ装置 1Sによれば、車両衝突時等におけるェアバッグ 10の乗員 5S、 5Pの拘束力が高くなり、その頭部等を確実に拘束して衝突時の乗員 5S、 5Pの移動をより確実に規制することができる。また、各排気状態切替部材 3 1、 32により、一般的な着座姿勢の乗員 5Sに加えて、 OOP状態の乗員 5Pが接触した場合であっても、エアバッグ 10からのガスの排気が確実かつ適切に行われるため、各乗員 5S、 5Pへの衝撃を低下させることができ、エアバッグ装置 1の乗員 5S、 5P の保護機能を効果的に向上させることができる。これは、第 2室 10Bを、保護する必要性がより高い乗員 5Sの頭部を拘束するエアバッグ 10の頭部拘束部とした場合に特に効果が高い。

[0101] また、このエアバッグ 10は、製造に必要な部品数が比較的少ないことに加えて、その構成も比較的単純であり、排気状態切替部材 31、 32についても、それぞれ開口部 28、 29から延びる一対の基布片 31K、 32Κの端部同士を接合して、その両側開口をベントホール 31Η、 32Ηにしたものであり、比較的簡単な構造で実現できる。このように、本実施形態のエアバッグ 10は、その機能に比して構成及び構造が簡単であり、縫い合わせ等の製造の作業性及び生産性が低下するのを抑制でき、比較的低コストでエアバッグ 10を製造することができる。

[0102] なお、テザーベルト 41、 42は、その長さにある程度の長短があってもよいのは、上記と同様である。また、上記したエアバッグ 10の開口部 28、 29及び排気状態切替部材 31、 32 (ベントホール 31Η、 32Η)の大きさに加えて、隔壁 11のガス通路 22の大きさ等の形態も、エアバッグ 10や隔壁 11 (第 2室 10B)の形態や、エアバッグ 10に要求される膨張及び排気速度等の各膨張及び排気パターン等に応じて、それぞれ適切な大きさ等に設定すればよい。

[0103] 加えて、エアバッグ 10の開口部 28、 29は、排気状態切替部材 31、 32の配置方向やテザーベルト 41、 42の連結位置等の各態様に合わせて、本実施形態とは異なる方向に延びるように形成する等、他の形態に形成してもよい。更に、このエアバッグ 1 0では、排気状態切替部材 31、 32のみにベントホール 31Η、 32Ηを設けたが、例えば、膨張展開形態におけるエアバッグ 10 (第 1室 1 OA)のフロントガラス側に孔状のベントホールを形成する等、第 1室 10A側に他のベントホールを形成してもよい。また、排気状態切替部材 31、 32は、エアバッグ装置 1Sの作動前に、エアバッグ 10外に導出された状態で、エアバッグ 10とともに折り畳まれていてもよい。

[0104] ここで、エアバッグ 10の各開口部 28、 29と排気状態切替部材 31、 32は、膨張が完了したエアバッグ 10や膨張途中のエアバッグ 10が乗員 5S、 5Pを受け止めたときに、排気状態切替部材 31、 32が排気状態となり、ガスの排気が妨げられない位置に設けられていればよぐエアバッグ 10の第 1室 10A側の他の位置に設けてもよい。例えば、これらは、膨張展開形態におけるエアバッグ 10の第 1室 10A側の同一の側方部分 10Dや、上方部分等に設けてもよい。また、排気状態切替部材 31、 32 (各基布片 31K、 32Κ)は、第 1の実施形態の排気状態切替部材 30と同様に、それぞれエアバッグ 10の各開口部 28、 29の開口幅よりも幅広に形成してもよ!/、。

[0105] 同様に、第 1のテザーベルト 41は、隔壁 11及び第 1の排気状態切替部材 31の先端部の一部に取り付けられていれば、第 1の排気状態切替部材 31の排気状態の切り替えや隔壁 11の移動の規制を行えるため、第 1のテザーベルト 41の両端を、本実施形態とは異なる位置に取り付けてもよい。また、第 2のテザーベルト 42の第 2の排気状態切替部材 32等への取付位置に関しても同様である。即ち、各開口部 28、 29 の位置と、第 1のテザーベルト 41の隔壁 11への取付位置、及び第 2のテザーベルト 42のエアバッグ 10への取付位置力膨張展開したエアバッグ 10により乗員 5S、 5P を受け止めたときに、それらの間の距離が近くなるような位置関係にあればよい。

[0106] 更に、本実施形態では、第 2のテザーベルト 42をエアバッグ 10の下方部分（底部）に直接連結したが、エアバッグ 10の第 1室 10Aを更に区画して第 2室 10Bよりも下側に位置する第 3室を形成し、第 2のテザーベルト 42を、第 3室を区画する隔壁に接合してエアバッグ 10に間接的に連結してもよい。即ち、エアバッグ 10 (第 1室 10A)の第 2のテザーベルト 42の接合位置付近を中心に小気室を形成し、第 2の排気状態切替部材 32を、第 2のテザーベルト 42を介して小気室側に連結するようにしてもよい。

[0107] 図 18は、このように小気室を形成したエアバッグ装置 1Sの例を模式的に示す側面図であり、上記した図 17Aに対応して、第 2のテザーベルト 42に連結された部材等のみを抜き出して示す。

[0108] このエアバッグ装置 1Sでは、図 18Aに示すように、第 2の隔壁 14を、エアバッグ 10 の第 2室 10B (隔壁 11) (図 10参照）よりも下側となる下方位置に接合し、膨張展開形態におけるエアバッグ 10の第 1室 10Aの第 2室 10B (隔壁 11)よりも下方部分を第 1室 10Aから区画して、エアバッグ 10の少なくとも底部を含む小気室（第 3室） 10Fを形成している。この第 2の隔壁 14は、第 1室 10Aと第 3室 10Fとの間でのガスの流通を可能とする図示しないガス通路や逆止弁を有する等、隔壁 11と同様に構成され、上記した OOP状態の乗員 5Pが接触して侵入する範囲に第 3室 10Fが位置するように、エアバッグ 10の下方部分に配置されている。また、第 2のテザーベルト 42は、一端が第 2の隔壁 14の中央位置付近に連結され、第 1のテザーベルト 41と同様に、ェァバッグ 10の膨張時に、第 2の隔壁 14の第 3室 10F側への移動を規制して第 3室 10 Fを膨張展開させつつ、他端側に連結された第 2の排気状態切替部材 32に、第 2の隔壁 14側への張力を作用させるようになつている。

[0109] このエアバッグ装置 1Sでは、上記した各効果に加えて、 OOP状態の乗員 5Pが、膨張展開したエアバッグ 10の第 3室 10F部分に接触して侵入した場合に、上記した第 2室 10Bが発揮する効果と同様の効果を得ることができる。即ち、図 18Bに示すように、第 3室 10Fに侵入した乗員 5Pを、内圧を保持する第 3室 10Fで受け止めるため、エアバッグ 10の乗員 5Pに対する拘束力が高くなり、そのような状態の乗員 5Pを、より確実に拘束して保護することができる。また、乗員 5Pがエアバッグ 10の第 3室 10F を区画する何れの位置に接触しても、第 3室 10F全体が第 2の開口部 29側へ移動し、又は、第 3室 10Fの変形により第 2の隔壁 14が上方に変形し、第 2のテザーベルト 4 2に弛みを生じさせることができる。その結果、乗員 5Pの受け止め位置に関わらず、第 2の排気状態切替部材 32の排気状態を切り替えることができ、その衝突時の応答性を向上させることができる。

[0110] (第 3の実施形態）

次に、本発明のエアバッグ装置の第 3の実施形態について説明する。

図 19Aは、この第 3の実施形態に係るエアバッグの第 1のサイドパネル部材 80Aと第 2のサイドパネル部材 80Bの平面図である。 [0111] 本実施形態のエアバッグ 10は、後述するセンターパネル（図 20)と、エアバッグ 10 の側方部分 10Dとなる一対のサイドパネル 80等から構成され、サイドパネル 80の適所にスィッチベントホール機構を設けて、エアバッグ 10の側方、つまり乗員と直角方向に向けて^ ^気を fiうようにしたものである。

また、このサイドパネル 80は、センターパネルの周縁（外周）部に縫合されて、エアノッグ 10が膨張展開したときの側面形状を規定する部材であり、上記した排気状態切替部材 (フラップ)を構成する基布片（フラップ部材)付きの第 1及び第 2のサイドパネル部材 80A、 80Bから構成されるとともに、それらを接合するだけでスィッチベントホール機構を形成できるようにしてレ、る。

[0112] 即ち、図 19Aに示すように、第 1及び第 2のサイドパネル部材 80A、 80Bは、それぞれを組み合わせたときに、エアバッグ 10の膨張 ·展開した一連の外形を規定する湾曲した外周部 88A、 88Bと、互いに重なり合う部分であって、間に所定長さの部分を残して両端側から互いに内方に向かって切り欠いた第 1の直線部 86A、 86Bと、この直線部 86A、 86Bの内方側端部から先端の第 2の直線部（上辺部） 82A、 82Bに向力、つて幅が徐々に縮小する平面視略台形を形成するように延びる斜辺部 84A、 84B とからなっている。

[0113] ここで、第 1及び第 2のサイドパネル部材 80A、 80Bの第 1の直線部 86A、 86B、斜辺部 84A、 84B、先端の第 2の直線部 82A、 82Bの形状及び長さは等しぐ湾曲した外周部 88A、 88Bの形状及び長さはそれぞれエアバッグ 10の展開形状に従って任意に設定される。

第 1と第 2のサイドパネル部材 80A、 80Bは、それぞれの台形部分即ち基布片 FA 、 FBのうち、一方を折り返して、第 1の直線部 86A、 86B、及び第 2の直線部 82A、 8 2B同士を例えば縫合により一体に接合し、排気状態切替部材 Fが形成される。

[0114] 図 19Bは、このように第 1及び第 2のサイドパネル部材 80A、 80Bを接合して形成したサイドパネル 80を示す。上記接合された第 1の直線部 86A、 86B間に挟まれたパネル区域は未接合であり、従って、サイドパネル 80を後述するセンターパネル 90 (図 20)の周縁 (外周）に沿って接合してエアバッグ 10を形成したとき、その未接合部分がエアバッグ 10の内外を連通する開口部となり、同様に未接合の斜辺部 84A、 84B が当該開口部に連通するベントホールになる。

[0115] 即ち、乗員がエアバッグ 10に侵入すると、排気状態切替部材 Fは、エアバッグ 10の外部に押し出され、開口部から排出されるガスは前記縫合されていない斜辺部 84A 、 84B間からエアバッグ 10外に排出される。従って、排気状態切替部材 Fの上記斜辺部 84A、 84B間がガスを流出させるベントホールになり、上記開口部からガスが流入すると、排気状態切替部材 Fの平面視略台形部分の縫合して!/、な!/ヽ斜辺部 84A、 84B間からガスが放出される。つまり、本実施形態のエアバッグ 10では、第 1及び第 2のサイドパネル部材 80A、 80B同士を接合するだけで、上記台形部分の長辺に相当する箇所に開口部が形成され、かつその斜辺部 84A、 84Bにベントホールが形成される。

なお、ベントホールはエアバッグ 10の一側のサイドパネル 80のみに設けてもよいし、両側のサイドパネル 80に設けてもよい。

[0116] 図 20は、センターパネル 90の平面展開図である。

センターパネル 90は、図左側の比較的長い第 1の矩形部分 92と、それに続く上下に湾曲して膨らみを持った中央部分 96と、その左側の比較的短い第 2の矩形部分 9 4とからなっている。

[0117] 本実施形態では、中央部分 96は、エアバッグ 10を形成したとき、その内部を区画する上記した隔壁となるパネル 96 (1)とエアバッグ 10の外面を構成するパネル 96 (2 )の二重構造から成っている。隔壁となるパネル 96 (1)には、連結部材であるテザーベルト 98の一端部が縫合等により取り付けられていると共に、図中そのテザーベルト 98の右側には、ノネル 96 (1)と 96 (2)で仕切られた前記第 2室 10Bが形成されたとき、その第 2室 10Bにガスを流入させる逆止弁（図示せず)付きガス通路（通気孔） 95 が設けられている。また、第 1の矩形部分 92には、インフレータからのガスをエアバッグ 10内に導入するためのガス導入口 92Aが設けられている。

[0118] 図 21は、上述の排気状態切替部材 Fを備えたサイドパネル 80とセンターパネル 90 との組立手順を示す側面図である。

まず、図 21Aに示すように、センターパネル 90に対し、サイドパネル 80をその縁部 (外周）に沿って接合すると共に、センターパネル 90の第 1及び第 2の矩形部分 92、 94の端部（自由端）同士を縫合等により接合して一体化する。

続いて、このように接合されたサイドパネル 80とセンターパネル 90の内外面を、図 2 1Bに示すように内外反転する。

最後に、図 21Cに示すように、一端をセンターパネル 90の隔壁となるパネル 96 (1) の中央部に取り付けたテザーベルト 98の他端を、第 1室 1 OA側に設けられた排気状態切替部材 Fの台形の短辺つまり、その自由端、即ち第 2の直線部 82に縫合等により一体に接合して、エアバッグ 10の組立を完了する。

[0119] 以上説明したように、本実施形態では、センターパネル 90の中央部分 96のパネル即ち隔壁 96 (1)用基布片を、エアバッグ 10の外面を構成するパネル 96 (2)用基布片に重ね合わせ、それらの所定位置を互いに接合することにより、各基布片の間に第 2室 10Bを形成している。また、この隔壁 96 (1)には、略中央部に第 1室 10Aと第 2室 10Bとの間のガスの流通を可能とするガス通路 95が形成されるとともに、そこからのガスの流通を制御する上記と同様の逆止弁（図示せず） 1S、同様にして取り付けられている。

[0120] なお、この隔壁 96 (1)は、区画するエアバッグ 10の第 2室 10B力車両衝突時に侵入する乗員を受け止めて拘束できるよう、エアバッグ装置の用途や形状等に応じて形成、配置される。即ち、隔壁 96 (1)は、乗員の拘束すべき部分 (ここでは頭部及び胸部)やエアバッグ 10全体の大きさ及び膨張展開形状等に応じて、膨張展開した第 2室 10Bが、正規の位置にいない乗員や子供などのようにそもそも正規の位置に着座できない場合であっても、十分な拘束力等を発揮し得る大きさ及び形状に、力、つ安全に乗員を受け止め得る位置になるよう、適切な大きさ及び形状に形成される。

[0121] また、テザーベルト 98は、エアバッグ 10の膨張時に、一方の端部に連結された隔壁 96 (1)に他方の端部に連結された排気状態切替部材 F側への張力を作用させ、これにより、第 2室 10Bの膨張を促進して迅速に膨張展開させるようにしている。同時に、テザーベルト 98は、インフレータの作動時にエアバッグ 10が膨張展開した状態では、排気状態切替部材 Fに隔壁 96 (1)側への張力を作用させて、そのベントホールを閉じるとともに、膨張展開したエアバッグ 10が侵入した乗員を受け止めて変形したときは、その受け止め位置に応じて、排気状態切替部材 Fへの隔壁 96 (1)側への張力を解放してベントホールを開放する。

[0122] テザーベルト 98は、エアバッグ 10の膨張途中においても、その膨張展開に伴い、一端側に連結された排気状態切替部材 Fに引っ張られて他端側に連結された隔壁 9 6 (1 )を排気状態切替部材 F側に徐々に引っ張り、隔壁 96 (1)を第 1室 10A内に引き込むようにして、隔壁 96 (1) (第 2室 10B)を第 1室 10A内に膨出させる。この膨出時に、テザーベルト 98は、隔壁 96 (1)の膨張展開完了時に最も第 1室 10A側に突出する略中央部を引っ張り、第 2室 10Bを第 1室 10A側に向力て略均等に膨張させるようにすること力 S好ましい。また、テザーベルト 98は、排気状態切替部材 Fに隔壁 96 (1)側への張力を作用させ、エアバッグ 10の膨張開始の比較的早期に、ベントホールを閉鎖させて非排気状態に状態変更させる。

[0123] スィッチベントホール機構を備えたエアバッグ 10を以上のように形成することにより、上記した第 1及び第 2の実施形態と同様に、膨張'展開中等のエアバッグ 10に乗員が突入すると、エアバッグ 10が変形してテザーベルト 98が緩み、それによつて排気状態切替部材 98がエアバッグ 10の内圧でエアバッグ 10の外に押し出され、同時に前記斜辺部 84A、 84B間（ベントホール）が開放して、迅速な排気が行われる。これにより、乗員が安全ベルトを着用していな力、つたり、正規の位置に着座していなかつた場合等であっても、膨張 ·展開するエアバッグ 10に突入して強い衝撃を受けることがなぐ安全性が向上する。

[0124] また、本実施形態では、スィッチベントホール機構をエアバッグ 10と一体に構成したため、構成部品点数を減らすことができるとともに、その組立も簡易化して製造コストを肖 IJ減することもできる。

[0125] なお、以上の説明では、第 1及び第 2のパネル部材は、センターパネルに接合するサイドパネル部材として説明した力 S、センターパネルは必ずしも必要ではない。第 1 及び第 2のパネル部材を組み合わせて形成したパネル同士を接合してもよぐまた、第 1及び第 2のパネル部材を他の一枚のパネル、つまりスィッチベントホール機構を備えていないサイドパネルに接合してエアバッグ 10を形成してもよい。また、上記テザ一ベルトの他端を、第 2の実施形態のように、乗員側のエアバッグ 10の内面に接合してもよい。

Claims

請求の範囲

[1] ガスの導入により膨張展開可能なエアバッグと、該エアバッグにガスを供給するインフレータと、を備えたエアバッグ装置であって、

前記エアバッグ内を前記インフレータ側の第 1室と乗員側の第 2室とに区画するとともに、該第 1室と第 2室との間でのガスの流通を可能とするガス通路を有する隔壁と、前記エアバッグの第 1室側に設けられ、前記エアバッグ内のガスを排気するベントホールを有するとともに、該ベントホールを前記エアバッグ内のガスを排気する状態と非排気の状態とに切替可能な排気状態切替部材と、

一端が前記排気状態切替部材に他端が前記隔壁に連結され、前記エアバッグの膨張時に前記隔壁の前記第 2室側への移動を規制して前記第 2室を膨張展開させる連結部材と、を備え、

前記連結部材は、前記インフレータ作動時に前記エアバッグが膨張展開した状態では、前記排気状態切替部材に前記隔壁側への張力を作用させて前記ベントホールを閉じるとともに、前記膨張展開したエアバッグが侵入した人を受け止めて変形したときは、前記排気状態切替部材への前記隔壁側への張力を解放して前記ベントホールを開放することを特徴とするエアバッグ装置。

[2] 請求項 1に記載されたエアバッグ装置にお!/、て、

前記排気状態切替部材は、一対の帯状部材の一端部を前記エアバッグに設けた開口部に取り付けるとともに、前記一対の帯状部材の他端部同士を接合して前記開口部を覆い、前記一対の帯状部材の一端部と他端部間の両側開口を前記ベントホールにしたことを特徴とするエアバッグ装置。

[3] 請求項 1に記載されたエアバッグ装置にお!/、て、

前記排気状態切替部材は、前記エアバッグに設けた開口部を囲う一端部と、互いに接合されて前記開口部を覆う他端部とを有する一対の基布片からなり、該一対の基布片の前記一端部と他端部間の両側開口を前記ベントホールにしたことを特徴とするエアバッグ装置。

[4] 請求項 1なレ、し 3の!/、ずれかに記載されたエアバッグ装置にお!/、て、

前記排気状態切替部材は、前記ガスを排気する状態では、前記ベントホールとともに前記エアバッグ外に導出されて前記ベントホールを開放し、前記非排気の状態では、前記ベントホールとともに前記エアバッグ内に導入されて前記ベントホールを閉じることを特徴とするエアバッグ装置。

[5] 請求項 1なレ、し 4の!/、ずれかに記載されたエアバッグ装置にお!/、て、

前記隔壁のガス通路に、前記第 1室から前記第 2室へガスを流入させるとともに、前記第 2室内のガスが前記第 1室へ流出するのを阻止する逆止弁を備えたことを特徴とするエアバッグ装置。

[6] 請求項 1なレ、し 5の!/、ずれかに記載されたエアバッグ装置にお!/、て、

前記排気状態切替部材が、膨張展開形態における前記エアバッグの側方部分に設けられて!/、ることを特徴とするエアバッグ装置。

[7] 請求項 1なレ、し 6の!/、ずれかに記載されたエアバッグ装置にお!/、て、

前記ベントホール力 S、前記排気状態切替部材の前記エアバッグから離れた位置に形成されてレ、ることを特徴とするエアバッグ装置。

[8] ガスの導入により膨張展開可能なエアバッグと、該エアバッグにガスを供給するインフレータと、を備えたエアバッグ装置であって、

前記エアバッグ内を前記インフレータ側の第 1室と乗員側の第 2室とに区画するとともに、該第 1室と第 2室との間でのガスの流通を可能とするガス通路を有する隔壁と、前記エアバッグの第 1室側に設けられ、前記エアバッグ内のガスを排気する第 1及び第 2のベントホールを有するとともに、該第 1及び第 2のベントホールを前記エアバッグ内のガスを排気する状態と非排気の状態とに切替可能な第 1及び第 2の排気状態切替部材と、

一端が前記第 1の排気状態切替部材に他端が前記隔壁に連結された第 1の連結部材と、

一端が前記第 2の排気状態切替部材に他端が膨張展開形態における前記エアバッグの第 1室側の下方位置に連結された第 2の連結部材と、を備え、

前記第 1、第 2の連結部材はそれぞれ、前記インフレータ作動時に前記エアバッグが膨張展開した状態では、前記第 1、第 2の排気状態切替部材に前記各連結部材が張力を作用させて前記各ベントホールを閉じるとともに、前記膨張展開したエアバッグが侵入した乗員を受け止めて変形したときは、前記第 1の連結部材が弛んで前記第 1の排気状態切替部材への張力を解放して前記第 1のベントホールを開放し、前記エアバッグが膨張展開の途中段階にあるときは、前記第 1及び/又は第 2の連結部材が前記第 1及び/又は第 2のベントホールを開放することを特徴とするエアバッグ装置。

請求項 8に記載されたエアバッグ装置において、

膨張展開形態における前記エアバッグの第 1室を区画して第 3室を形成するとともに、該第 1室と第 3室との間でのガスの流通を可能とするガス通路を有する第 2の隔壁を備え、

前記第 2の連結部材は、前記他端が前記第 2の隔壁に連結されて!/、ることを特徴とするエアバッグ装置。

請求項 8又は 9に記載されたエアバッグ装置において、

前記第 1及び/又は第 2の排気状態切替部材は、前記エアバッグに設けた開口部を囲う一端部と、互いに接合されて前記開口部を覆う他端部とを有する一対の基布片からなり、該一対の基布片の前記一端部と他端部間の両側開口を前記各ベントホールにしたことを特徴とするエアバッグ装置。

請求項 8な!/、し 10の!/、ずれかに記載されたエアバッグ装置にお!/、て、

前記第 1及び第 2の排気状態切替部材はそれぞれ、前記ガスを排気する状態では、前記各ベントホールとともに前記エアバッグ外に導出されて前記各ベントホールを開放し、前記非排気の状態では、前記各ベントホールとともに前記エアバッグ内に導入されて前記各ベントホールを閉じることを特徴とするエアバッグ装置。

請求項 8な!/、し 11の!/、ずれかに記載されたエアバッグ装置にお!/、て、

前記第 1及び第 2の排気状態切替部材が、膨張展開形態における前記エアバッグの両側方部分のそれぞれに設けられていることを特徴とするエアバッグ装置。

請求項 8な!/、し 12の!/、ずれかに記載されたエアバッグ装置にお!/、て、

前記各隔壁のガス通路に、前記第 1室から前記第 2室又は前記第 3室へガスを流入させるとともに、前記第 2室又は前記第 3室内のガスが前記第 1室へ流出するのを阻止する逆止弁を備えたことを特徴とするエアバッグ装置。 [14] 請求項 8な!/、し 13の!/、ずれかに記載されたエアバッグ装置にお!/、て、前記第 1及び/又は第 2の排気状態切替部材の前記エアバッグから離れた位置に前記各ベントホールが形成されていることを特徴とするエアバッグ装置。

[15] 請求項 1なレ、し 14の!/、ずれかに記載されたエアバッグ装置にお!/、て、

隔壁用基布片をエアバッグ用基布片に重ね合わせ、前記隔壁用基布片を前記ェァバッグ用基布片に接合することにより、前記隔壁用基布片と前記エアバッグ用基布片との間に前記第 2室を形成したことを特徴とするエアバッグ装置。

[16] 請求項 1なレ、し 15の!/、ずれかに記載されたエアバッグ装置にお!/、て、

前記第 2室は、前記エアバッグの膨張展開時に侵入する頭部を受け止めて拘束する頭部拘束部であることを特徴とするエアバッグ装置。

[17] ガスの導入により膨張展開可能なエアバッグと、該エアバッグにガスを供給するインフレータと、を備えたエアバッグ装置であって、

前記エアバッグ内を前記インフレータ側の第 1室と乗員側の第 2室とに区画するとともに、該第 1室と第 2室との間でのガスの流通を可能とするガス通路を有する隔壁と、前記エアバッグのサイドパネルを構成する第 1及び第 2のパネル部材であって、前記各パネル部材同士を接合するための接合部と、該接合部に隣接して形成された基布片とを備えた前記第 1及び第 2のパネル部材と、

前記基布片同士を接合して形成される排気状態切替部材であって、前記各パネル部材を接合したとき、前記第 1室側に設けられ、前記接合部に隣接して前記各パネル部材間に形成される開口部に連通するベントホールを備えた排気状態切替部材と一端が前記排気状態切替部材に連結され、他端がエアバッグ内部に膨張 ·展開するエアバッグに侵入する乗員を受け止める前記第 2室を形成するための隔壁に連結された連結部材と、を有し、

前記連結部材は、前記エアバッグが膨張展開した状態では前記排気状態切替部材に張力を作用させて前記ベントホールを閉鎖し、前記膨張展開したエアバッグに乗員が侵入してエアバッグが変形したときには、前記連結部材が弛んで、前記排気状態切替部材に作用する張力を解放して前記ベントホールを開放することを特徴とするエアバッグ装置。

[18] 請求項 17に記載されたエアバッグ装置において、

前記基布片は、前記第 1及び第 2のパネル部材と一体に形成され、その先端部を互いに接合することで、その側縁に沿って前記ベントホールとなる開口を形成したことを特徴とするエアバッグ装置。

[19] 請求項 17又は 18に記載されたエアバッグ装置において、

前記サイドパネルは、センターパネルと一体に接合されて前記エアバッグを構成し、前記連結部材の他端は、前記センターパネルの乗員側となる部分に連結されていることを特徴とするエアバッグ装置。

[20] 請求項 17な!/、し 19の!/、ずかに記載されたエアバッグ装置にお!/、て、

前記第 2室は、予め定めた正規位置にいない乗員を受け止めるよう位置決めされることを特徴とするエアバッグ装置。