WO2006100963A1

WO2006100963A1 - プラネタリギヤの潤滑装置

Info

Publication number: WO2006100963A1
Application number: PCT/JP2006/304991
Authority: WO
Inventors: Junji Matsushita; Satoru Wakuta; Yoshio Kintou; Seigo Kano; Kazuhisa Ozaki; Kinya Yoshii; Masatoshi Adachi
Original assignee: Aisin Aw Co., Ltd.; Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha
Priority date: 2005-03-22
Filing date: 2006-03-14
Publication date: 2006-09-28
Also published as: US20060223665A1; CN101128688A; DE112006000382T5; JP4642514B2; US7377870B2; DE112006000382B4; CN100529478C; KR100876192B1; JP2006266305A; KR20070100808A

Abstract

　出力軸１２及びスラストベアリング４５の回転により、油孔６５ａからの潤滑油には遠心力が作用し、該潤滑油は、レース５３及び出力軸フランジ１２ｂに案内されてスラストベアリング４５を潤滑しつつ、レース外径部５３ｃの先端間隙ｇ又は切欠き部５３ｄを通って、環状溝５１に略々全量が導かれる。更に、連通孔５２、油孔４９，４６，５０を通ってピニオン支持部４１に供給される。

Description

明細書

プラネタリギヤの潤滑装置

技術分野

[0001] 本発明は、プラネタリギヤ、特に自動車に搭載される自動変速機、ハイブリッド駆動装置に用いられるプラネタリギヤに適用して好適であり、詳しくはプラネタリギヤの潤滑装置に関する。

背景技術

[0002] 従来、ハイブリッド駆動装置における駆動用モータ出力経路に介在する変速装置のプラネタリギヤユニットにおいて、プラネタリギヤのキヤリャにレシーバを設けた潤滑装置が知られている（例えば日本国特開 2004— 66898号公報、図 7、参照）。

[0003] 上記レシーバは、キヤリャ側方に突出して設けられ、かつ内径方向が開放しており、回転軸の油孔からの潤滑油が、該回転軸の回転に伴う遠心力によりスラストべァリングを介して飛散し、該飛散した潤滑油を、軸方向に突出して内径側が開放しているレシーバにて受け、該レシーバで受けた潤滑油をピニオンシャフトの油孔に導いてピ二オンを支持するベアリングを潤滑する。

発明の開示

[0004] 上記潤滑装置は、回転軸の回転により飛散した潤滑油をレシーバで受けるため、潤滑油の供給効率が充分でなぐ特にリングギヤ支持フランジを挟持するスラストべァリングを介して潤滑油を飛散する場合、潤滑油の飛散方向がレシーバ方向から外れる割合が高ぐ充分な潤滑油をピニオンシャフトに供給することができない。また、ハイブリッド駆動装置における駆動用モータの変速装置に本潤滑装置を適用する場合、ハイブリッド駆動装置は、電動オイルポンプにより油圧を発生する関係上、潤滑油の供給量に余裕がなぐこの状態で上記供給効率の低いレシーバで潤滑油を供給することは、ピニオンシャフトに潤滑不良を生じる原因となり易い。

[0005] また、上記潤滑装置は、キヤリャの側方に所定量突出してレシーバを配置するため、軸方向にスペースが必要であり、このためプラネタリギヤ、強いてはそれを用いた変速装置、ハイブリッド駆動装置のコンパクト化、特に軸方向のコンパクト化を妨げる原因となる。

[0006] そこで、本発明は、回転軸からの潤滑油を逃がすことなくピニオンシャフトに導くように構成し、もって上述した課題を解決したプラネタリギヤの潤滑装置を提供することを目的とするものである。

[0007] 本発明は、ピニオン（Pl， P2, P3)を回転自在に支持するピニオンシャフト（37， 3 9)及びこれら複数のピニオンシャフトを支持する側板（35, 36)を有するキヤリャ（CR )と、サンギヤ（S2)とを有するプラネタリギヤ（6)と、

該プラネタリギヤの中心部に配置される回転軸（1 , 1 )と、を備え、

1 2

前記回転軸（1 , 65a)から供給される潤滑油を、前記ピニオンシャフト（37, 39)の前記ピニオンを支持する部位 (41 , 42)に導ぐプラネタリギヤの潤滑装置（1)において、

前記ピニオンシャフト（37, 39)を支持する一方の側板（36)は、その内周面に環状溝（51)を有すると共に、該環状溝の底部（e)から、前記ピニオンシャフト（37, 39)の油孔 (46, 49)に連通する径方向に延びる連通孔（52)を有し、

前記一方の側板（36)に一体のフランジ（1 b)と、前記サンギヤ（S2)との間にスラ

2

ストベアリング（45)を介在し、

該スラストベアリング (45)は、前記サンギヤ側に径方向に延びる立上り部（53b)を有するレース（53)を備え、

前記回転軸（1 , 65a)からの潤滑油力 S、前記レースの立上り部（53b)と前記フランジ（1 b)との間を通って前記環状溝（53)に導かれ、更に前記連通孔（52)を介して

2

ピニオンシャフト（37, 39)の油孔（41 , 49)に導かれてなる、

プラネタリギヤの潤滑装置にある。

[0008] これにより、遠心力により回転軸からスラストベアリングに供給された潤滑油が、スラストベアリングのレース及びキヤリャと一体のフランジに案内されて、その略々全量が、オイル溜りとなる環状溝に供給され、更に該オイル溜りの潤滑油がキヤリャ回転に伴う遠心力により連通孔及びピニオンシャフトの油孔を介してピニオン支持部に導かれ、充分な潤滑油量によりピニオンが潤滑されて、その嚙合性能を長期に亘つて維持すること力 Sできる。 [0009] 好ましくは、前記スラストベアリング (45)と前記一方のキヤリャ側板（36)の環状溝（ 51)及び連通孔（52)とが、軸方向にオーバラップして配置されてなる。

[0010] このように、スラストベアリングとキヤリャの一方の側板に形成された環状溝及び連通孔が軸方向にオーバラップして配置されるので、ピニオン用の潤滑装置を軸方向にコンパクトに構成でき、プラネタリギヤをコンパクトに、特に軸方向にコンパクトに構成すること力 sできる。

[0011] また、前記フランジ（1 b)及び前記回転軸（1 )が、出力軸（1 )と一体である。

2 2 1

[0012] すると、フランジ及び回転軸は、出力軸と一体となってキヤリャと共に回転するので

、出力軸の回転中は、フランジ及びキヤリャも回転して、潤滑油に遠心力を付与し、ピニオンへの潤滑油の供給必要時に対応して適正に潤滑油を供給することができる

[0013] さらに、前記スラストベアリング (45)のレース（53)力 S、前記立上り部（53b)と、該立上り部の内径側端力左右一方に延びる内径部（53a)と、前記立上り部の外径側端から左右他方に延びる外径部（53c)と、を有する断面 Z形状からなり、

前記内径部（53a)が前記サンギヤ（S2)に嵌合していると共に、前記外径部（53c) の先端と前記フランジ（1 b)との間に所定間隙 (g)を存してなる。

2

[0014] このように、スラストベアリングのレースが断面 Z形状からなり、例えばプラネタリギヤの入力部となるサンギヤにレースの内径部が嚙合することにより、プラネタリギヤの作動時には、レース及びフランジの両方が回転して遠心力により確実にスラストべアリング内の潤滑油をオイル溜りとなる環状溝に供給することができ、更に該潤滑油は、該レースの外径部とフランジとの間隙を通って、外部に漏らすことなくその全量をかつ環状溝の全周に亘つて略々均等量にて供給することができる。

[0015] また、前記レース（53)の外径部（53c)に、所定間隔で切欠き部（53d)を形成してなる。

[0016] すると、レースの外径部に切欠き部を形成したので、該切欠き部により必要量の潤滑油をオイル溜りとなる環状溝に供給することができる。

[0017] さらに、前記環状溝（51)は、前記フランジ（1 b)側から前記底部（e)に向けて傾斜

2

面（c)を有し、かつ前記ピニオン側が内径方向に垂下する鍔部（d)を有してなる。 [0018] これにより、環状溝は、フランジ側に傾斜面を有するので、レース外径部とフランジとの間の間隙を通る潤滑油を、確実にかつ滑らかに環状溝底部そして連通孔に導くこと力 Sできる。

[0019] また、前記環状溝 (51)の前記ピニオン側の壁面を構成する鍔部 (d)の先端が、前記レース（53)の外径側端に近接して配置されてなる。

[0020] このように、環状溝のピニオン側は、レース外径側端と近接する位置まで延びる鍔部が形成されているので、環状溝にオイル溜りとしての充分な容量を確保でき、環状溝力潤滑油が溢漏することを減少すると共に、周方向に複数個配置されている各連通孔にそれぞれに過不足することなく充分な潤滑油を導くことができる。

[0021] さらに、前記プラネタリギヤ（6)は、リングギヤ (R)を有し、該リングギヤを支持する支持プレート（22)力その内周側に支持用の軸方向に延びるボス部（22a)を有してなる。

[0022] すると、潤滑装置を軸方向にコンパクトに構成することに基づき生ずる軸方向の余裕スペースにより、リングギヤ支持プレートに、支持用ボス部を形成することが可能となり、これによりリングギヤの支持を安定して、リングギヤの嚙合精度を向上し、ギヤノィズを減少すると共に、上述したピニオンの潤滑性の向上と相俟って、プラネタリギヤの高い嚙合精度を長期に亘つて維持することができる。

[0023] 好適には、前記プラネタリギヤ（6)は、ノ、イブリツド駆動装置における駆動用モータの出力回転を変速する変速装置（5)に用いられ、

前記回転軸に供給される潤滑油が、電動オイルポンプに基づく油圧により供給されてなる。

[0024] このように、プラネタリギヤを、ノ、イブリツド駆動装置における駆動用モータの変速装置に適用することにより、ノ、イブリツド駆動装置、特にそのモータ駆動モードにあっては、静寂な運転環境となるが、変速装置も該静寂環境に合せた、ギヤノイズの少ない静寂な運転が可能となり、また電動モータに起因する絶対容量の少ない潤滑油を、無駄にすることなく高い効率で使用することができる。

[0025] なお、上記カツコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これにより特許請求の範囲の記載に何等影響を及ぼすものではない。図面の簡単な説明

[0026] [図 1]本発明を適用し得る変速装置を示す図で、（a)はスケマチック図、（b)は作動表、（c)は速度線図である。

[図 2]上記変速装置を示す断面図。

[図 3]本発明に係る潤滑装置を示す上記断面図の要部を拡大した図。

[図 4]スラストベアリングのレースの他の実施の形態を示す図で、（a) , (b)は異なる実施の形態を示す。

発明を実施するための最良の形態

[0027] 以下、図面に沿って、本発明の実施の形態について説明する。図 1は、本潤滑装置を適用し得るプラネタリギヤを示す図であり、該プラネタリギヤは、ハイブリッド駆動装置の駆動モータ出力用変速装置に係るものである。該ハイブリッド駆動装置は、動力分配用プラネタリギヤ（図示せず）を有しており、該プラネタリギヤの第 1の要素（例えばキヤリャ）に内燃エンジンの出力が伝達され、第 2の要素（例えばサンギヤ）に制御用モータが連結され、第 3の要素（例えばリングギヤ）に出力軸が連結され、制御用モータを制御することにより、内燃エンジンの出力が無段に変速されて出力軸 1に出力される。また、該出力軸 1には、駆動用モータ 2のロータ 3が変速装置 5を介して連結されている（詳しくは特開 2004— 66898号公報参照）。

[0028] 変速装置 5は、 1個のデュアルプラネタリギヤと、該プラネタリギヤと共通するロングピニオンを有するプラネタリギヤとからなる、いわゆるラビニョタイプのプラネタリギヤュニット 6を備え、かつ上記ロングピニオンは、歯数の異なる 2個のピニオン PI , P2からなる。即ち、共通するキヤリャ CRが上記ロングピニオン及びショートピニオン P3を支持しており、ロングピニオンの大径ギヤ P1が第 1のサンギヤ S1に嚙合し、ショートピニオン P3が上記ロングピニオンの小径ギヤ P2、第 2のサンギヤ S2及びリングギヤ尺に嚙合している。そして、第 2のサンギヤ S2が前記駆動用モータ 2のロータ 3に連結し、キヤリャ CRが出力軸 1に連結し、第 1のサンギヤ S1が第 1のブレーキ B— 1に連結し、リングギヤ Rが第 2のブレーキ B— 2に連結している。

[0029] 上記変速装置 5は、図 1 (b)の作動表及び図 1 (c)の速度線図に示すように作動する。即ち、第 1のブレーキ B—1が解放すると共に第 2のブレーキ B— 2が係合する口一モードにあっては、駆動用モータ 2の回転が伝達される第 2のサンギヤ S2の回転は、リングギヤ Rが停止していることに基づき、第 1のサンギヤ S1を逆転方向に空転しつつ、キヤリャ CRが大きく減速回転し、該キヤリャの回転が出力軸 1に取り出される。第 1のブレーキ B—1を係合すると共に第 2のブレーキ B— 2が解放するハイモードにあっては、第 1のサンギヤ S1が停止することに基づき、駆動用モータ 2からの第 2のサンギヤ S2の回転は、リングギヤ Rを空転しつつキヤリャ CRが小さく減速され、該キヤリャの回転が出力軸 1に取り出される。

[0030] 図 2は、上記変速装置 5の断面図であり、図 3は、潤滑装置を示すその要部の拡大断面図である。ハイブリッド駆動装置のケース 10内に、 P 接して駆動用モータ 2と変速装置 5が収納されている。該ケース 10の隔壁 10aにはベアリング 11を介して駆動用モータ 2のロータシャフト 3aが回転自在に支持されており、該ロータシャフト 3aにはスリーブ軸 12がスプラインにより一体に連結されている。中空軸からなる上記ロータシャフト 3a及びスリーブ軸 12の中空部には、動力分配用プラネタリギヤからの前部出力軸 1が貫通しており、該前部出力軸 1 の後部には、出力軸 1 力 Sスプラインにより

1 1 2 一体に連結されており、これら出力軸 1 , 1 はプラネタリギヤユニットの中心に配置され

1 2

る回転軸を構成する。該出力軸 1 は、ケース 10の後壁 10bのボス部 10cにべアリン

2

グ 15, 16を介して回転自在に支持されており、また前部出力軸 1 とスリーブ軸 12との間には複数のブッシュ 17, 17が介在している。

[0031] 出力軸 1 における前部出力軸 1 との嵌合部分 1 aの外周面には上記ベアリング 15

2 1 2

との間に出力回転数検出用のパーキングギヤ 19がスプライン嵌合しており、かつ上記出力軸嵌合部分 1の前端部分はフランジ 1 bとなっている。該フランジ 1 bと上記

2 2 2 パーキングギヤ 19との間には左右それぞれにスラストベアリング 20, 21を介してリングギヤ支持プレート 22が配置されている。該支持プレート 22の外周にはリングギヤ R 力 Sスプライン嵌合して抜止め支持されており、該支持プレートの内周はボス形状となつており、該ボス部 22aにより前記出力軸 1 に回転自在に支持されている。これによ

2

り、リングギヤ Rの支持が安定して、高い精度でリングギヤ Rを支持することにより、プラネタリギヤユニット 6のギヤ嚙合による騒音の発生が減少する。

[0032] 該リングギヤ Rの外周面に形成された外スプラインとケース 10の内周面に形成された内スプラインとの間にはそれぞれ各スプラインに係合して複数のディスク及びプレート (摩擦板及び外摩擦板）からなる第 2のブレーキ B— 2が介在しており、該第 2のブレーキ B— 2とリングギヤ Rとは軸方向にオーバラップするように配置されている。前記ケース後壁 10bの内側にはダブルピストン 23からなる油圧ァクチユエータ 25が配設されており、該ァクチユエ一タの押圧部 26がケース 10に廻り止めガイドされて軸方向に延び、前記第 2のブレーキ B— 2のー側面と対向しており、かつ該押圧部 26には回転数検出用センサ 27用の複数の孔 26aが形成されている。

[0033] 前記ケース 10の隔壁 10aと後壁 10bとの間に、本変速装置 5が配置されており、変速装置は、前述した通り、ラビニョタイプのプラネタリユニット 6と第 1及び第 2のブレーキ B_ l , B— 2を備えている。プラネタリギヤユニット 6の第 1のサンギヤ S1は前記スリーブ軸 12の外周にブッシュ 29, 29を介して回転自在に嵌合しており、該サンギヤ S 1の前端側はフランジ 30になっている。該フランジ 30には第 1のブレーキ B—1用のドラム 31のフランジ部が溶接により一体に固着されている。該ドラム 31の外周面に形成された外スプラインとケース 10の内周面に形成された内スプラインとの間にはそれぞれ各スプラインに係合して複数のディスク及びプレート（内摩擦板及び外摩擦板）力なる第 1のブレーキ B—1が介在している。ケースの隔壁 10aの一側面には 1個のピストン 32からなる油圧ァクチユエータ 33が配設されており、該ピストンの押圧部が上記第 1のブレーキ B1の一側面に対向している。また、上記スリーブ軸 12の前端部分外周には第 2のサンギヤ S2が形成されている。

[0034] 上記サンギヤ S1のフランジ 30とリングギヤ支持プレート 22の間部分には、上記プラネタリギヤユニット 6のキヤリャ CRが配置されている。キヤリャ CRは、一体に結合されたキヤリャ本体 35とキヤリャカバー 36からなり、これら本体及びカバーに亘つて交互にロングピニオン用シャフト 37とショートピニオン用シャフト 39とが支持されている。これら各シャフト 37， 39は周方向にそれぞれ 3本、合計 6本配置されており、各シャフトはそれぞれピン 40によりキヤリャに廻り止めされている。シャフト 37には歯数の異なる 2個のピニオン PI , P2がー体に形成されているロングピニオンがニードルベアリング 41 , 41を介在して回転自在に支持されており、シャフト 39には各 1個のショートピニオン P3がニードルベアリング 42を介して回転自在に支持されてレ、る。 [0035] 前記サンギヤフランジ 30の左右両側面とケース隔壁 10aの側面及びキヤリャ本体 3 5の側面との間にはそれぞれスラストベアリング 42, 43が介在しており、これらべァリング 42, 43及び前記スラストベアリング 20, 21により、キヤリャ CR、第 1のサンギヤ S 1及びリングギヤ Rがケース 10に対して軸方向に位置決めされて安定支持されている。また、スリーブ軸 12の後端面と出力軸 12の前端面との間にはスラストベアリング 4 5が介在しており、第 2のサンギヤ S2が形成されているスリーブ軸 12が軸方向に位置決めされている。これらスラストベアリングにより、プラネタリギヤユニット 6全体がケース 10に対して軸方向に安定支持されて、各ギヤの高い嚙合精度を保持している。

[0036] そして、前記各ピニオンシャフト 37， 39にはその前端側から中心部に油孔 46, 46 が形成されていると共に、各油孔の前端部がプラグ 47, 47により閉塞されており、更に各油孔 46の前端部は径方向の油孔 49, 49が連通しており、また各油孔には適宜半径方向の油孔 50…が形成されている。一方、前記キヤリャカバー 36はその内周部分にて前記出力軸 1のフランジ 1 bに溶接により一体に結合されている。

2 2

[0037] 該キヤリャカバー 36の上記フランジ 1 bに隣接する内周面には該フランジ 1 から

2 2 離れる方向に向って外径方向に傾斜する傾斜面 cからなる環状溝 51が形成されており、該キヤリャカバー 36の内周面軸方向前端側は内径方向に突出する鍔部 dが形成されている。即ち、環状溝 51は、フランジ 1 b力傾斜面 cにより外径方向に徐々に

2

深くなつており、かつその底部 eから鍔部 dにより略々直角に立上っている。該鍔部 d は上記傾斜面 cが始まる部分より高ぐ即ち内径方向に突出しており、該鍔部 d及び上記フランジ 1 bとの間でオイル溜りが形成されている。更に上記キヤリャカバー 36

2

には、環状溝 51の底部 eと前記ピニオンシャフト 37, 39の径方向油孔 49とを連通するように径方向に延びる連通孔 52が形成されてレ、る。

[0038] 上記環状溝 51の内径側に位置する前記スラストベアリング 45は、断面図 Z形状のレース 53と複数のコロ 55と力らなり、レース 53の内径部 53aがスリーブ軸 12の前端内周面に嵌合しており、力っコロ 55は、上記レース 53の立上り部 53bに接触すると共に、フランジ 1 bの前端側面に当り板 56を介して接触しており、かつその外径端部

2

がレースの外径部 53cにより保持されてレ、る。上記レースの立上り部 53bの外径端が前記キヤリャカバー 36の鍔部 dの内径端と近接して、該ベアリング 45は前記オイル溜りを構成する環状溝 51と軸方向にオーバラップするように配置されている。また、レース 53の外径部 53bには所定間隔で切欠き部 53dが形成されている。

[0039] 一方、ケースの後壁 10bには潤滑油路 56が形成されており、該油路には電動オイルポンプに基づく潤滑油圧による潤滑油が供給されている。また、出力軸 1の中心

2 部及び前部出力軸 1 の中心部に油孔 57, 59が形成されており、出力軸 1 には上記

1 2 油孔 57に連通する径方向の油孔 60が形成されている。該油孔 60が開口する出力軸 1 の外周面には軸方向両端部をシールリング 61 , 61によりシールされた環状溝 6

2

2が形成されており、該環状溝 62は前記潤滑油路 56に連通している。また、上記両中心油孔 57, 59は互に対向して開口しており、嵌合部のシールリング 63により連通してレ、る。更に、各中心油孔 57, 59は適宜半径孔 65, 65…が形成されて、各潤滑必要部分に潤滑油を供給するが、その内の 1個の半径孔 65aが上記スラストべアリング 45部分に開口している。

[0040] これら油路、スラストベアリング 45及びオイル溜りを構成する環状溝 51等により、本発明に係る潤滑装置 Uが構成されている。

[0041] ついで、上述した潤滑装置 Uの作用について説明する。電動ポンプに基づく潤滑油が潤滑油路 56,環状溝 62,油孔 60, 65, 59及び半径孔 65aを介してスラストべァリング 45に供給される。車輛走行時にあっては、出力軸 1 , 1が回転しており、ま

1 2

た変速装置 5の作動状態である駆動用モータ 2の出力中にあっては、ローモード及びハイモードに拘らず、モータシャフト 3aと一体のスリーブ軸 12が回転している。これにより、スラストベアリング 45のレース 53は、該スリーブ軸 12と共に回転している。

[0042] 従って、上記半径孔 65aから流出する潤滑油には、出力軸 1及びスラストべアリング 45の回転に基づく遠心力が作用しており、該遠心力に基づき上記潤滑油は、スラストベアリング 45のレース 53と出力軸フランジ 1 bとの間に略々全量導かれる。該潤

2

滑油は、レース 53とフランジ 1 bとの間を通って、コロ 55を潤滑しつつ、回転するスラ

2

ストベアリング 45及び出力軸フランジ 1 bに基づく遠心力により略々その全量が外径

2

方向に給送される。

[0043] そして、上記潤滑油は、上記遠心力に基づき、レース 53の外径部 53cとフランジ 1

2 bとの隙間 gから、また所定間隔で設けられた切欠き部 53dを通って、オイル溜りを構成する環状溝 51に導かれる。更に、該環状溝 51は、出力軸 1と一体に回転するキヤ

2

リャカバー 36に形成されており、上記環状溝 51に導かれた潤滑油には遠心力が作用しており、該遠心力に基づき、潤滑油は、環状溝 51の底部から油孔 52に導かれ、そして各ピニオンシャフト 37 , 39の径方向油孔 49及び中心油孔 46そして各半径油孔 50を介して各ニードルベアリング 41 , 42に供給される。

[0044] この際、ピニオンシャフト 37， 39は、周方向に所定間隔で複数本 (例えば 8本)配置されており、従って該シャフトの油孔 49に連通するキヤリャカバー 36の連通孔 52も、所定間隔で複数個配置されており、オイル溜りである環状溝 51に溜められた潤滑油は、上記所定間隔の連通孔 52から吸込まれる。一方、上記フランジ 1 bに沿って上

2

記隙間 gを通って導かれる潤滑油は、上記環状溝 51の全周に亘つて満遍なく略々均等に、かつ傾斜面 cに沿って環状溝の底部 eに向って導かれる力 S、切欠き部 53dを通って導かれる潤滑油は、比較的大量に集中して環状溝 51に供給される。出力軸 1 と一体のキヤリャ CRの回転と、第 2のサンギヤ S2を有するスリーブ軸 12に嵌合する

2

スラストベアリング 45との回転とは回転数に差があり、該回転差に基づき、上記切欠き部 53dから集中的に供給される潤滑油は、環状溝 51の全周に亘つて略々均等になるように散蒔かれる。

[0045] そして、上記環状溝 51に略々均等に供給された潤滑油は、遠心力により環状溝 51 に張り付き、オイル溜りとなるが、該オイル溜りは、先端（内径端）がレース 53の外径端に近接するまで延びる比較的高い鍔部 dにより大きな容量を有しており、所定間隔で配置される連通孔 52による吸込みに起因する流出位置の集中（偏在）があっても、隙間 gからの潤滑油の上記傾斜面 cによる滑らかな供給及び相対回転に基づく切欠き部 53dからの潤滑油の散蒔きが相俟って、潤滑油が鍔部 dを乗り越えて溢れることは殆どなぐレース 53とフランジ 1 bの間を通って供給される潤滑油の略々全量が、

2

環状溝 51及び連通孔 52を通ってピニオンシャフト 37， 39の油孔 46に供給されて、各ピニオン Pl， P2, P3の充分な潤滑油による滑らかな回転並びに各ピニオンの滑らかな嚙合を長期に亘つて維持する。

[0046] また、駆動用モータ 2が停止して、内燃エンジンのみで出力軸 1を駆動するェンジ

2

ン走行モードにあっては、変速装置 5は機能せず、多くの潤滑油は必要をしないが、出力軸 1 と一体のキヤリャ CRは空転している。この状態でも、出力軸 1 , 1の回転

2 1 2 に基づく遠心力により、油孔 65aからの潤滑油は、ベアリング 45のレース 53及びフランジ 1 bとの間を通って、回転しているキヤリャの環状溝 51に導かれ、ピニオンシャフ

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トの油孔 46に供給される。

[0047] また、スラストベアリング 45及び環状溝 51等からなる潤滑装置 Uは、軸方向にォーバラップして構成されていると共に、キヤリャカバー 36の幅内の軸方向に狭い空間に構成される。これにより、軸方向に突出するレシーバを必要とする従来の構造に比して、軸方向の短縮化を図ることができる。そして、これにより生じた軸方向スペースを制用して、リングギヤ支持プレート 22にボス部 22aを形成することが可能となり、リングギヤ Rの支持精度を高めて、ギヤノイズの発生を減少することができる。

[0048] なお、スラストベアリング 45のレース 53は、図 3に示すように立上り部 53bが直角なものに限らず、立上り部 53bが図 4 (a)に示すようにコロ方向に向って凸状になってレ、るコンベックステーパタイプ、又は立上り部 53bが図 4 (b)に示すように凹状になつ

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ているコンケイブテーパタイプのものでもよぐ更に外径部 53cがコロ支持部を除いてないもの等、他の形状のものでもよい。また、本潤滑装置は、上述したように、ハイプリッド駆動装置の駆動用モータの出力回転数変速用変速装置に限らず、他の変速装置、更には変速装置以外のプラネタリギヤにも同様に適用し得ることは勿論である。産業上の利用可能性

[0049] 本発明に係るプラネタリギヤの潤滑装置は、乗用車、トラック、バス、農機等に搭載される自動変速機、ノ、イブリツド駆動装置等に用いることが可能であり、特にオイルポンプによる潤滑油の供給量に余裕がなレ、ものであっても、ピニオンに対する充分な潤滑油量の確保が要求されるものに用いて好適である。

Claims

請求の範囲

[1] ピニオンを回転自在に支持するピニオンシャフト及びこれら複数のピニオンシャフトを支持する側板を有するキヤリャと、サンギヤとを有するプラネタリギヤと、

該プラネタリギヤの中心部に配置される回転軸と、を備え、

前記回転軸から供給される潤滑油を、前記ピニオンシャフトの前記ピニオンを支持する部位に導ぐプラネタリギヤの潤滑装置において、

前記ピニオンシャフトを支持する一方の側板は、その内周面に環状溝を有すると共に、該環状溝の底部から、前記ピニオンシャフトの油孔に連通する径方向に延びる連通孔を有し、

前記一方の側板に一体のフランジと、前記サンギヤとの間にスラストベアリングを介在し、

該スラストベアリングは、前記サンギヤ側に径方向に延びる立上り部を有するレースを備え、

前記回転軸からの潤滑油力 s、前記レースの立上り部と前記フランジとの間を通って前記環状溝に導かれ、更に前記連通孔を介してピニオンシャフトの油孔に導かれてなる、

プラネタリギヤの潤滑装置。

[2] 前記スラストベアリングと前記一方のキヤリャ側板の環状溝及び連通孔とが、軸方向にオーバラップして配置されてなる、

請求項 1記載のプラネタリギヤの潤滑装置。

[3] 前記フランジ及び前記回転軸が、出力軸と一体である、

請求項 1又は 2記載のプラネタリギヤの潤滑装置。

[4] 前記スラストベアリングのレースが、前記立上り部と、該立上り部の内径側端から左右一方に延びる内径部と、前記立上り部の外径側端から左右他方に延びる外径部と、を有する断面 Z形状からなり、

前記内径部が前記サンギヤに嵌合していると共に、前記外径部の先端と前記フランジとの間に所定間隙を存してなる、

請求項 1ないし 3のいずれか記載のプラネタリギヤの潤滑装置。

[5] 前記レースの外径部に、所定間隔で切欠き部を形成してなる、

請求項 4記載のプラネタリギヤの潤滑装置。

[6] 前記環状溝は、前記フランジ側から前記底部に向けて傾斜面を有し、かつ前記ピ二オン側が内径方向に垂下する鍔部を有してなる、

請求項 1ないし 5のいずれか記載のプラネタリギヤの潤滑装置。

[7] 前記環状溝の前記ピニオン側の壁面を構成する鍔部の先端が、前記レースの外径側端に近接して配置されてなる、

請求項 1ないし 6のいずれか記載のプラネタリギヤの潤滑装置。

[8] 前記プラネタリギヤは、リングギヤを有し、該リングギヤを支持する支持プレートが、その内周側に支持用の軸方向に延びるボス部を有してなる、

請求項 1ないし 7のいずれか記載のプラネタリギヤの潤滑装置。

[9] 前記プラネタリギヤは、ノ、イブリツド駆動装置における駆動用モータの出力用回転を変速する変速装置に用いられ、

前記回転軸に供給される潤滑油が、電動オイルポンプに基づく油圧により供給されてなる、

請求項 1ないし 8のいずれか記載のプラネタリギヤの潤滑装置。