WO2006059704A1 - 芯金レスゴムクロ－ラ - Google Patents

Abstract

　巻き掛け時の曲げによるクラックをできるだけ低減し、ゴムクローラの寿命を向上させる。巻き掛け時の曲げ剛性が全体としてさほど大きさの違いがなくなるため、曲げの変形が特定の個所に集中することがなくなる。そのため、クラックの発生が低減できる。結果的にゴムクローラの寿命が向上する。 　ゴム弾性体中にスチールコードが埋設され、内周側に駆動に供されるゴム突起３と、外周側にゴムラグ４が形成されている芯金レスゴムクロ－ラであって、当該ゴムラグ４はゴムクローラ幅方向の中央より左右に分断され、左右のゴムラグは内側端部域４ａと外側端部域４ｂ、及びこれら両者を繋ぐ中央域４ｃより構成されてなり、内側端部域４ａ及び外側端部域４ｂはクローラ幅方向に向かって延び、中央域４ｃは傾斜配置され、ゴムラグの内側端部域４ａがゴム突起間に対応し、かつ、ゴムラグの外側端部域４ｂがゴム突起間に配置される。

Description

明 細 書

芯金レスゴムクロ一ラ

技術分野

[0001] 本発明は、主として芯金レスゴムクローラの巻き掛け時の曲げ変形に基づくクラック の発生を抑えたゴムクロ一ラを提供するものである。

背景技術

[0002] 芯金レスゴムクローラは、無端状のゴム弾性体中にその長手方向にスチールコード が埋設され、内周側に駆動に供される一定のピッチをもって形成されたゴム突起と、 外周側にこれ又一点のピッチをもって形成されたゴムラグが備えられて！/、る。そして、 スチールコ ドがゴムクロ ラの引張りの中心面となり、スプロケットやアイドラ に卷 き掛けされた際には、その内側のゴムが圧縮側の歪みを繰り返し受け、その外側のゴ ムが引張り側の歪みを繰り返し受けることになる。

[0003] そして、ゴムクローラの内周面に形成されたゴム突起を中心に考えれば、ゴム突起 の間が曲げ剛性が低いため、巻き掛け時にはゴム突起間で曲げ変形力あたらされる

[0004] 一方、ゴムラグを中心に考えれば、ゴムラグ間が曲げ剛性が低いため、巻き掛け時 にはゴムラグ間で曲げ変形力あたらされる。

[0005] この場合、内周側と外周側 (接地側）の曲げ変形部分が一致すると、その部分が特 に局部的に曲げ変形を受けることになり、ゴムが弓 I張り側である接地側表面のゴムの 歪みが大きくなり、度重なる繰り返しの屈曲使用によってクラックが発生する場合があ つた o

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0006] 本発明は巻き掛け時の曲げによって生じるクラックをできるだけ低減し、ゴムクロ一 ラの寿命を向上させることを目的とするものである。

課題を解決するための手段

[0007] 本発明の第 1の要旨は、無端状のゴム弾性体中にその長手方向にスチールコード が埋設され、内周側に駆動に供されるゴム突起と、外周側にゴムラグが形成されてい る芯金レスゴムクローラであって、当該ゴムラグはゴムクローラ幅方向の中央より左右 に分断され、左右のゴムラグは内側端部域と外側端部域、及びこれら両者を繋ぐ中 央域より構成されてなり、内側端部域及び外側端部域はクローラ幅方向に向力つて 延び、中央域は傾斜配置され、ゴムラグの内側端部域がゴム突起間に対応し、かつ 、ゴムラグの外側端部域がゴム突起間に配置させたことを特徴とする芯金レスゴムク ローラに係るものである。

[0008] 本発明の第 2の要旨は、ゴム突起は一定のピッチをもってゴムクローラ内周側に配 置され、ゴムラグの内側端部域と外側端部域とは該ゴム突起のピッチと同様のピッチ で配置されて ヽることを特徴とするものである。

[0009] 本発明の第 3の要旨は、傾斜配置された中央域は隣り合う中央域の少なくとも一方 と連結される連結域を具え、 H形状をなすことを特徴とするものである。

[0010] 本発明の第 4の要旨は、連結域は、少なくとも転輪通過面に対応するゴムラグ間に 存在することを特徴とするものである。

[0011] 本発明の第 5の要旨は、 H形状をなすゴムラグは、ゴムクローラの幅方向中心線に 対して、 1ピッチずれて ヽることを特徴とするものである。

発明の効果

[0012] 本発明の第 1の要旨にあっては、ゴムクローラが巻き掛けされた際にも曲げ剛性が 全体としてさほど大きさの違いがなくなり、従って、曲げの変形が特定の個所に集中 することがなくなり、クラックの発生が低減できたものであり、結果的にゴムクローラの 寿命が向上したものである。

[0013] 本発明の第 2の要旨にあっては、ゴムクローラの幅方向視でゴムラグがどの部位に お 、ても重なるように配置されて 、ることとなり、曲げ剛性の均一化が可能となる。

[0014] 本発明の第 3の要旨にあっては、ゴムクローラ外周面を埋めるように連結域を具える ため、剛'性の低いゴムラグ間の剛'性が上がることになる。このことにより、ゴムラグの耐 久性が向上するとともに、ゴムラグ間に沿ってクラックが発生するのを防止することが 可能となる。

[0015] 本発明の第 4の要旨にあっては、連結域が転輪通過面に対応するゴムラグ間に存 在することにより、転輪が通過する接地面圧の高い部位のゴムラグ剛性を高めること ができるので、クラックの発生をさらに防止することが可能となる。

[0016] 本発明の第 5の要旨にあっては、ゴムクローラの内周面を通過する転輪は、常にゴ ムラグの存在する剛性の高い部分を通過することになるため、発生する振動をより低 減することがでさること〖こなる。

図面の簡単な説明

[0017] [図 1]図 1は従来のゴムクローラの内周側平面図である。

[図 2]図 2は図 1のゴムクローラの外周側平面図である。

[図 3]図 3はゴムクローラのゴムラグの配置を示す平面図である。

[図 4]図 4は本発明のゴムクローラの第 1実施例を示す外周側平面図である。

[図 5]図 5は本発明のゴムクローラの第 2実施例を示す外周側平面図である。

発明を実施するための最良の形態

[0018] さて、芯金レスゴムクローラは、図 1〜図 2に示すように無端状のゴム弾性体 1中にス チールコード 2が埋設され、内周側に一定ピッチをもって形成された駆動に供される ゴム突起 3と、外周側にこれ又一定のピッチをもってゴムラグ 4が形成されている。力 力るスチ一ルコ ド 2はゴムクロ一ラの引張りの中心面となり、スプロケットやアイドラ に巻き掛けされた際には、その内側のゴム laが圧縮側の歪みを繰り返し受け、その 外側のゴム lbが引張り側の歪みを繰り返し受ける。

[0019] しかるに、前述のように、ゴム突起 3、 3の間が曲げ剛性が低いため、巻き掛け時に はゴム突起 3、 3間 (A)で曲げ変形力あたらされる。又、ゴムラグ 4、 4間（B)が曲げ剛 性が低いため、巻き掛け時にはゴムラグ 4、 4間で曲げ変形力あたらされる。この傾向 は、両個所がクローラの幅方向に直線状に並ぶ場合には曲げ変形が特に著しい。そ して、図 2に示すように通常はゴムラグは直線状に備えられる。

[0020] このようなゴムクローラにあって、クラックの発生について精査したところ、一つはゴム クローラの中央部のゴム突起間に生じるものであり、他の一つはゴムクローラの幅端 部（いわゆる耳部）のゴムラグ間に生じることが判明した。

[0021] このため、ゴムラグ 4を図 3に示すようにゴム突起 3、 3間に合わせて左右方向に直 線状に形成することも考えられるが、このように、ゴムラグ 4が左右方向に直線状に配 置された場合には、内周面を転動する転輪の上下動が大きくなり、オペレーターに対 して振動の発生は避けることはできず、走行振動性能が極めて悪くなる。

[0022] 本発明は上記した曲げ剛性の均整化と振動の発生を同時に解決しょうとするため になされたものと言ってよぐこのために内周側のゴム突起と外周側のゴムラグとの位 置関係を特定したものであり、これによつて問題を解決したものである。

[0023] 即ち、本発明の最大の特徴は、ゴムラグを傾斜配置し、特にクラックの生じる二つの 部位にそのゴムラグを傾斜配置したものである。このゴムラグの傾斜配置によって転 輪もゴムラグ上を長く転動することになり、振動性能も優れたものとなる。尚、ゴムラグ は左右で千鳥状に配置することも可能である。

実施例 1

[0024] 以下、本発明を図面に基づき更に詳細に説明する。

図 4は本発明の第 1例のゴムクローラの外周側平面図である。尚、このゴムクローラ の内周側平面図は図 1と同様であり、ここでは省略する。さて、この例のゴムラグ 4は 内側端部域 4a、外側端部域 4bと、これら両者を繋ぐように傾斜配置される中央域 4c とから構成され、ゴムラグ 4はクローラの中心部より左右に分断された対称の形状とし たものであり、ゴムラグ 4の内側端部域 4aはゴム突起 3、 3間に対応して備えられ、ゴ ムラグ 4の外側端部域 4bはゴム突起のピッチと同様のピッチで配置されており、次の ゴム突起 3、 3間に配置したものである。

[0025] このように、中央域 4cを傾斜配置したので、従来の構造のゴムクローラよりも、ゴムク ローラ全体として剛性が均整化されることとなったものであり、更に、転輪の振動の低 減をも達せられることとなった。そして、ラグの内側端部域 4a、及び外側端部域 4b は夫々ゴムクローラ幅方向に向力つて延びるように配置されている。一般的にはゴム クローラがスプロケットやアイドラー等に巻き掛けられた際には、ゴムラグ (剛性の高い 部分)とゴムラグ間（剛性の低い部分)との境界部分、特にゴムラグの内側端部域 4aと 外側端部域 4bに優先的に歪が集中することとなるはずであるが、上記の両端部域が ゴムクローラ幅方向に向力つて延びて 、ることにより、発生する歪を広 、範囲で受け ることになるので、クラックが発生しにくいものとなる。

実施例 2 [0026] 図 5は本発明の第 2例のゴムクローラの外周側平面図である。尚、内周側平面図は 図 1と同様であり、ここでは省略する。さて、この例のゴムラグ 4は傾斜配置された中央 域 4cが隣り合う中央域 4cと連結される連結域 4dを具え、全体が幅端部側に流れ変 形された H形状となし、更に、ゴムクローラの中央部より左右で 1ピッチ分ずれており、 千鳥状に配置されている例である。言い換えれば、力かるゴムラグ 4は二つのゴム突 起 3に対応する大きさのゴムラグではある力 ゴムクローラとしてはゴムラグ 4の幅が大 き過ぎると逆に巻き掛け抵抗が増加してしまうところから、ゴムラグ 4の内側及び外側 の夫々中央部を切り欠いた (4p、 4q)形状としたもので全体として H形状をなしている ものである。

[0027] ゴムラグ 4の内側端部域 4a、及び外側端部域 4bをゴムクローラ幅方向に向力う形 状としたことの効果については、第 1例のゴムクローラと同様であるが、連結域 4dを具 えたことによりゴムラグ 4、 4間の剛性が上がることになり、ゴムラグ 4の耐久性を向上さ せることができる。そして、ゴムラグ 4の中央域 4cに沿った方向にゴムラグ間にクラック が発生するのを効果的に防止できることとなる。

[0028] 上記連結域 4dはゴムクローラ内周面を通過する転輪の転輪通過面 5に対応するゴ ムラグ間に配置されている。転輪の通過によってゴムラグ 4には高い接地面圧がかか ることになるが、この部位でのゴムラグの剛性が高まることとなり、クラックが発生する のを効果的に防止することが可能となる。一方、 H形状のラグをゴムクローラの中央部 力 左右で 1ピッチずれていることにより、転輪は常に連結域 4d上を通過するため、 発生する振動をより低減することができることとなる。

産業上の利用可能性

[0029] 本発明は以上の通りであり、ゴムクローラ全体として特に幅方向の剛性をできるだけ 均整化したものであり、これによつて曲げ変形を低減させ、クラックの発生を低減した ものであり、その利用範囲は極めて広い。

符号の説明

[0030] 1 · ·ゴム弹'性体、

la - .内周側ゴム、

lb . .外周側ゴム、 · 'スチールコード、

··ゴム突起、

··ゴムラグ、

a..ゴムラグの内佃 j端部域、b…ゴムラグの外側端部域、c ··ゴムラグの中央域、d ゴムラグの連結域、p、 4q- 'ゴムラグの切り欠き部、· ·転輪通過面。

Claims

請求の範囲

[1] 無端状のゴム弾性体中にその長手方向にスチールコードが埋設され、内周側に駆 動に供されるゴム突起と、外周側にゴムラグが形成されている芯金レスゴムクロ一ラで あって、当該ゴムラグはゴムクローラ幅方向の中央より左右に分断され、左右のゴムラ グは内側端部域と外側端部域、及びこれら両者を繋ぐ中央域より構成されてなり、内 側端部域及び外側端部域はクローラ幅方向に向力つて延び、中央域は傾斜配置さ れ、ゴムラグの内側端部域がゴム突起間に対応し、かつ、ゴムラグの外側端部域がゴ ム突起間に配置させたことを特徴とする芯金レスゴムクロ ラ。

[2] 前記ゴム突起は一定のピッチをもってゴムクローラ内周側に配置され、前記ゴムラ グの内側端部域と外側端部域とは該ゴム突起のピッチと同様のピッチで配置されて

V、る請求項 1記載の芯金レスゴムクローラ。

[3] 前記傾斜配置された中央域は隣り合う中央域の少なくとも一方と連結される連結域 を具え、 H形状をなす請求項 1又は 2記載の芯金レスゴムクローラ。

[4] 前記連結域は、少なくとも転輪通過面に対応するゴムラグ間に存在する請求項 3記 載の芯金レスゴムクローラ。

[5] 前記 H形状をなすゴムラグは、ゴムクローラの幅方向中心線に対して、 1ピッチ分ず れて 、る請求項 3又は 4記載の芯金レスゴムクローラ。

[6] 前記左右のゴムラグは、ゴムクローラの幅方向中心線に対して左右対称に配置され る請求項 1乃至 4記載の芯金レスゴムクローラ。

[7] 前記ゴムラグの前記内側端部域が前記ゴム突起間に対応し、前記長手方向の前 記ゴム突起間に隣接するゴム突起間に前記ゴムラグの前記外側端部域が配置される 請求項 1乃至 6記載の芯金レスゴムクローラ。

[8] 前記ゴム突起は、ゴムクローラの幅方向中心線上に配置され、左右対称の形状で ある請求項 1乃至 7記載の芯金レスゴムクローラ。