JP4146001B2 - 弾性クローラおよび弾性クローラ用幅方向補強体 - Google Patents
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Description
【発明の属する利用分野】
本発明は、弾性クローラおよび弾性クローラ用幅方向補強体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
無限軌道車において使用される弾性クローラは、ゴム等の弾性材によってエンドレス帯状に形成されたクローラ本体内に、その幅方向へ向けて細長となった幅方向補強体がその周方向で互いに所定間隔をおいて複数埋設されており、クローラ本体には、その幅方向中央部に、周方向に沿って互いに所定間隔で駆動輪と係合する係合孔が設けられたものとなっている。
また、クローラ本体の外周面側には、ラグが設けられている。
【0003】
上記の幅方向補強体は、クローラ本体の幅方向中央部に対応して連結部を有し、この連結部の左右両側にクローラ本体の内周側へ向けて突出する一対のレール突起が設けられ、また上記連結部から両レール突起を超えた左右両外方へ向けて翼部が延長形成されたものである。レール突起の各上面は、それぞれ転輪通過面とされる。
従来、この種、弾性クローラでは、クローラ本体の長寿命化等を目的として、ラグを、3つ以上の幅方向補強体に跨がらせるような斜め形状にすることが提案されている(特公平8−29725号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の弾性クローラでは、ラグが、係合孔の開口周部を介してクローラ本体の幅方向全体にわたるように一体に形成されていた。すなわち、ラグをクローラ本体の幅方向全体で見るとV字状を呈しているものであり、クローラ本体は、ラグの位置では幅方向全長にわたって分厚い一定厚になっていた。
そのため、この弾性クローラは、駆動輪や遊動輪に対して巻き掛けられたり、巻き出されたりするときの曲がり動作がスムーズでなく、またこの曲がり動作の繰り返しによって、クローラ本体に亀裂や幅方向補強体との剥離等が生じ易いということがあった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、駆動輪等に対する巻き掛け時及び巻き出され時の曲がり動作がスムーズに得られるようにして、クローラ本体(弾性材部分)での更なる長寿命化が図れるようにした弾性クローラおよび弾性クローラ用幅方向補強体を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明では、上記目的を達成するために、次の技術的手段を講じた。
即ち、本発明に係る弾性クローラでは、弾性材によってエンドレス帯状に形成されたクローラ本体内にその周方向に所定間隔で複数の幅方向補強体が埋設されていると共に、前記クローラ本体の幅方向中央部にはその周方向に所定間隔で複数の駆動輪用係合孔が設けられている弾性クローラにおいて、前記クローラ本体の外周面側にはラグが設けられており、前記幅方向補強体は、前記クローラ本体の幅方向中央部の幅方向両側それぞれに前記クローラ本体の内周側へ露出するレール突起を有し、前記レール突起の内周側に露出するそれぞれの面には、転輪を通過させる転輪通過面が設けられ、前記転輪通過面の一方が他 方よりも周方向において長くなるように形成されており、前記クローラ本体内において周方向に前後する2つの前記幅方向補強体が、周方向に長い転輪通過面と周方向に短い転輪通過面とが隣接するように配される。
【0007】
転輪通過面の一方が他方よりも周方向において長くなるように形成されていることにより、転輪通過面が同一長さのものと異なり、周方向に長短長短と配することで、クローラの振動の周期を変化させ、本機との振動周期と同調して共振することをおさえ、振動低減を図ることができる。
前記ラグは、前記駆動輪用係合孔の幅方向両側に振り分けられて周方向に千鳥状に配置されており、それぞれの前記ラグは、その少なくとも一部が内周側に埋設された3つ以上の前記幅方向補強体と重なるように周方向および幅方向よりも斜めに形成されている
すなわち、このような構成にすると、クローラ本体は、駆動輪用係合孔の開口周部をラグの無い薄肉の状態にできるため、この駆動輪用係合孔が駆動輪等に巻き掛けられたり、巻き出されたりするときに、スムーズな曲がり動作が得られるようになる。
【0008】
また、駆動輪用係合孔の開口周部を薄肉とできる関係上、弾性材の使用量を低減させることができ、その分、軽量化が図れ、また駆動輪用係合孔まわりでの排土性も良好となることから、走行性能の向上や低燃費性を得られるものとなる。
更に、材料コストの低減や製造時間(弾性材がゴムであるときの加硫時間に相当)の短縮化等が得られる利点もある。
前記ラグは、前記レール突起の外周側に対応する部分にその他の部分よりもラグ頂面を周方向で長大にされた耐荷重部が設けられている。
【0009】
すなわち、この耐荷重部により、クローラ本体の圧縮強度を高め、幅方向補強体の前後揺れを防止できるため、幅方向補強体に対する剥離や亀裂の発生を防止でき、長寿命化に繋がる。
なお、このように幅方向補強体の前後揺れを防止できることは、転輪が幅方向補強体のレール突起上を乗り移る際の振動を防止できることにも繋がり、走行安定性の向上にも有益となる。
また、レール突起において、その上面に形成される転輪通過面を、クローラ本体の周方向及び幅方向の双方において前後方向寸法の長いものと短いものとが隣接する配置であるため、長い方の転輪通過面が幅方向視で連続する転輪通過面に形成できるため、それだけ振動の発生を抑えられる利点に繋がる。
【0010】
好ましくは、前記それぞれのレール突起よりも幅方向内方に、内周面側に突出する一対の脱輪防止突起を有する。
前記一対の脱輪防止突起の一方は前記弾性材で形成され、前記一対の脱輪防止突起の他方は前記幅方向補強体と一体に形成されている。
このように、脱輪防止突起の一方をゴム突起とすることでクローラ巻き掛け部での突起の衝突による幅方向補強体の損傷を防止できるだけでなく、軽量化も図ることができる。
【0011】
本発明に係る弾性クローラ用幅方向補強体は、弾性材により形成されたクローラ本体内に前記クローラ本体の幅方向にその長手方向を一致させて埋設されてエンドレス帯状の弾性クローラを構成する弾性クローラ用幅方向補強体であって、前記長手方向の両側それぞれに、前記クローラ本体)内に埋設されたときに内周側となる側に露出させるためのレール突起を有し、前記レール突起のそれぞれの前記内周側の面には転輪を通過させる転輪通過面が設けられ、前記転輪通過面の一方が他方よりも前記長手方向に直交する方向において長くなるように形成されている。
【0012】
好ましくは、前記それぞれの転輪通過面の間における前記長手方向に直交する方向にお いて長くなるように形成された一方の転輪通過面の側に、前記一方の転輪通過面が向く方向に突出する脱輪防止突起を有する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1乃至図5は、弾性クローラ1の第1実施形態を示しており、また図6は、この弾性クローラ1において用いられた幅方向補強体2を示している。
なお、以下の説明では、弾性クローラ1についての「周方向」及び「前後方向」は同じ方向を指すものとし、またこれに伴い、弾性クローラ1についての「幅方向」及び「左右方向」も同じ方向を指すものとする。幅方向補強体2に関しても、同様とする。
【0014】
この弾性クローラ1は、図1乃至図3に示すように、ゴム又は樹脂等の弾性材によってエンドレス帯状に形成されたクローラ本体3内に、その幅方向へ向けて細長となった金属製等の幅方向補強体2が、周方向で互いに所定間隔をおいて複数埋設され、クローラ本体3の幅方向中央部には、その表裏を貫通するように周方向に所定間隔で複数の係合孔4が設けられたものである。
また、図4及び図5に示すように、クローラ本体3内には、幅方向補強体2よりも外周側となる位置に、スチールコード等を用いた抗張体6が周方向全長にわたって埋設されている。
【0015】
図1において、クローラ本体3の外周面側には、ラグ7が設けられている。このラグ7は、クローラ本体3に対し、係合孔4が並ぶ中央位置Pを除いた左右両外方へ振り分けられている。すなわち、ラグ7は左右で分離しており、係合孔4の開口周部のうち前後両側では、ラグ7の無い状態となって、クローラ本体3が薄肉化されている(図4参照)。
個々のラグ7は、係合孔4の左右で隣接する部位に設けられた耐荷重部9と、この耐荷重部9から幅方向外方へ向かって斜め方向へ延長するリブ部10とを有して、全体が斜め形状に形成されている。そして、上記中央位置Pを境としてその左右両側に配置されたラグ7相互は、左右対称形となっている。
【0016】
但し、左右配置の各ラグ7は、クローラ本体3の周方向に対しては半ピッチ分がずれた非対称形の配置とされており、従って上記中央位置Pを境とした千鳥状パターンを呈している。
耐荷重部9は、その前後方向において、リブ部10の太さよりも寸法を拡大化することによって弾性材の使用量を増大させたものである。これにより、この耐荷重部9は、ラグ頂面が前後に隣接した2つの幅方向補強体2に跨がる(重なる)大きさとなっていて、リブ部10の頂面よりも周方向で長大とされている。
【0017】
リブ部10は、その頂面は細幅であるが耐荷重部9に達する傾き全体の前後方向長さ(即ち、ラグ7の全体長に相当)として、3つ以上の幅方向補強体2に跨がる(重なる)ように形成されている。
なお、この第1実施形態では、リブ部10の突端寄りで、ラグ7としての踏面(頂面)7aの僅か一部だけ(矢符X参照)が端位置の幅方向補強体2に届くようになっているが、ラグ7は、その踏面7a側よりも根元側(クローラ本体3に対して突出を開始する部分)の方がテーパ状に広がる形状となっており、従ってラグ7はその周部に傾斜面7bとしての広がりを有していることになる。
【0018】
そのため、この第1実施形態でも、ラグ7は、傾斜面7bを含めた範囲として、十分に3つの幅方向体2に対して跨がっているということになる。このことからすれば、ラグ7の踏面7a自体が必ずしも、3本の幅方向補強体2に重ならなければならないというものではなく、端位置の幅方向補強体2に対しては、ラグ7の傾斜面7bの一部が重なっているだけでもよい(この場合、重なり量が多いほどよいことは言うまでもない)ことになる。
もっとも、ラグ7の踏面7aにおいて、上記矢符Xに対応する部分を図7に示すように、更に十分な面積として端位置の幅方向補強体2に重ねるようにすることも勿論可能である。
【0019】
このリブ部10は、耐荷重部9側よりも突端側の方へ向けて、やや先細りするように形成されている。そのため、前後方向に並ぶラグ7の相互間には、一端側を係合孔4へ連通させ、他端側をクローラ本体3の幅方向外側へゆくほど幅広に広がらせるような凹部12が形成されている。これにより、良好な排土性が得られるものとなっている。
言うまでもなく、この凹部12は、ラグ7が左右配置として千鳥パターンとなっている関係上、係合孔4を超えてクローラ本体3の幅方向全体へ通り抜けていないので、土掴み性にとって好適となっている。
【0020】
一方、図2において、クローラ本体3の内周面側には、中央位置Pを挟んだ左右両側に脱輪防止突起14,15が設けられ、更にそれらの左右両外側にレール突起16,17が設けられている。
また、幅方向補強体2が埋設される前後間には、係合孔4と左右方向で一致する配置で左右方向に長い凹部18A,18Bが設けられている。これにより、クローラ本体3として内曲がり性に優れたものとされており、駆動輪(図示略)等に対する巻き掛けを良好にする作用が得られる。
【0021】
レール突起16,17のうち、一方のものは前後方向に長く、同他方のものは短く形成されている。ただ、いずれのレール突起16,17も、その各上面はクローラ本体3の内周面側で前後方向に沿った列を成し、転輪(図示略)用の走行面を形成するための転輪通過面19,20となっている。
すなわち、転輪通過面19,20として、長大なものと短小なものとが混在していることになるが、これら長大な転輪通過面19と短小な転輪通過面20とは、クローラ本体3の周方向及び幅方向の双方(前後・左右)において、交互に隣接する配置になされている。
【0022】
このようにすることで、長い方の転輪通過面が幅方向視で連続する転輪通過面に形成できるため、転輪の乗り移り距離が可及的に短くなされ、その分、乗り移り振動の低減が図られることにも繋がる。
また、レール突起16,17のうち短小な突起17については翼部23の幅と同等もしくは幅狭とすることが望ましい。
長大な転輪通過面19に対し、短小な転輪通過面20の上面レベルを微小に(1ミリ〜数ミリ程度)低くしておくと、転輪の乗り移り振動を更に低減させることができる。
【0023】
なお、これら転輪通過面19,20は、クローラ本体3の製造時点(弾性クローラ1としての新品時)では、このクローラ本体3を形成する弾性材によって、分厚くなりすぎない程度に被覆されても良い。
この場合、この弾性クローラ1を使用開始すれば、転輪通過面19,20を被覆している弾性材は直ぐに磨耗して、これら転輪通過面19,20が露呈するようになるので、何ら問題なく、転輪通過面19,20としての所期の作用効果を得ることができる。
【0024】
上記脱輪防止突起14,15についても、一方のものは前後方向に長く、同他方のものは短く形成されている。配置的には、レール突起16,17の長短関係と合わせて、長大なもの同士、及び短小なもの同士を近接させるようにしてある。
長大な方の脱輪防止突起14は、幅方向補強体2に対して一体的に設けられたものであって高剛性を有しており、短小な方の脱輪防止突起15は、クローラ本体3を形成する弾性材により一体的に設けられたものであって弾性を有している。
【0025】
これら脱輪防止突起14,15は、レール突起16,17上に乗る転輪(図示略)に対して左右方向へのガタツキ(脱輪)を防止することを主目的とすることは言うまでもないが、短小な方の脱輪防止突起15が弾性を有していることから、ガタツキ防止作用自体に吸振性を持たせられると共に、この脱輪防止突起15が磨耗や欠損等を起こしても、長大な方の脱輪防止突起14が高剛性であることから、ガタツキ防止作用を確実にできるという相互作用も具備している。
図4及び図5に示すように、少なくとも左右のレール突起16,17を含み、好ましくは左右の脱輪防止突起14,15を含むようなかたちで、クローラ本体3の外周面側に設けられるラグ7の耐荷重部9が位置付けられているので、これらガイド突起16,17等に作用する車両荷重を、耐荷重部9でしっかりと受け止めることができる。
【0026】
そのため、各幅方向補強体2は、転輪の通過時において前後への揺動を抑制されるものとなり、このことが一層、クローラ本体3において幅方向補強体2との剥離や亀裂等を防止できることに繋がるものである。
ここで図6に基づいて幅方向補強体2を説明すると、この幅方向補強体2は、クローラ本体3の左右方向中央部に対応させて連結部22を有しており、この連結部22の左右両側から、上記したレール突起16,17をクローラ本体3の内周側へ向けて突出させ、更に上記連結部22から両レール突起16,17を超えた左右両外方へ向けて翼部23を延長形成させたものであり、ラグ7の頂面は実質的に翼部23の3つ以上に跨がる斜め形状とされている。
【0027】
また、連結部22には、一方のレール突起16よりも幅方向内側に上記した脱輪防止突起14を設け、他方のレール突起17よりも幅方向内側に芯突起24を設けてある。この芯突起24は、弾性材製の脱輪防止突起15を補強するためのものである(図5参照)。
更に、左右の両翼部23には、前方及び後方へ向けて突出する左右一対の横ズレ防止突起25を設けてある。
これら横ズレ防止突起25は、幅方向補強体2における前後方向の一方側(図6右側)では左右方向の相互間隔(内法寸法)が広く、他方側(図6左側)へ突出する左右の横ズレ防止突起25を外嵌可能になるような配置関係で設けられている。
【0028】
従って、クローラ本体3内では、前後方向で隣接する幅方向補強体2の相互間において、各横ズレ防止突起25が左右方向で互いに噛み合うようになり、その結果、幅方向補強体2が左右方向へガタツクのを防止できるようになっている。
なお、このことから明らかなように、幅方向補強体2としては、レール突起16,17の左右配置関係と、横ズレ防止突起25における前後の広狭関係との組み合わせを異にした2種類のものがあることになる。
また、連結部22と左右の横ズレ防止突起25とによって囲まれてできる前方及び後方へ向けたコ字状の凹部26は、前後方向で隣接する幅方向補強体2の相互間では角形の空間を形成することになるので、この空間が、クローラ本体3によって上記した係合孔4として形成されることになる。
【0029】
この係合孔4は、上記したように、クローラ本体3の周方向において、幅方向補強体2の前後間隔を狭くできる(即ち、レール突起16,17の前後寸法を異ならせ、これを前後・左右で交互配置にしている)ことに起因して、ショートピッチに設定されている。
このように構成された弾性クローラ1において、ラグ7は、3本の幅方向補強体2における翼部23に跨がっているので、幅方向補強体2上を転輪が通過するときも、各幅方向補強体2の前後揺れが抑制されるものとなり、クローラ本体3は幅方向補強体2に対する剥離や亀裂等を起こし難くなる。
【0030】
そして、そのうえでクローラ本体3は、係合孔4の開口周部が薄肉になっており、この係合孔4が駆動輪等に巻き掛けられたり、巻き出されたりするときに、スムーズな曲がり動作が得られることになる。
また、ラグ7は、幅方向補強体2のレール突起16,17に対応させてラグ頂面を周方向で長大にした耐荷重部9を有しているので、この耐荷重部9においてクローラ本体3の圧縮強度を高め、幅方向補強体2の前後揺れを一層、防止できる構成となっているため、幅方向補強体2に対する剥離や亀裂の発生は一層、防止されることになる。
【0031】
このようなことから、この弾性クローラ1は、従来のものに比して飛躍的な長寿命化が図られている。
なお、図2に示すように、長大な方のレール突起16の前後方向寸法をM、長大な方の脱輪防止突起14の前後方向寸法をN、短小な脱輪防止突起15の前後方向寸法をn、短小なレール突起17の前後方向寸法をmとするとき、M>N、M<N、M=N、m>n、m<n m=nとでき、いずれにしても、M,N>m,nとされていてこれを左右交互に千鳥状に配置することで、曲がり動作性を良好にするうえで確実となり、またクローラ本体3において幅方向補強体2との剥離や亀裂等を確実に防止できるのである。
【0032】
一方、この弾性クローラ1では、係合孔4の開口周部を薄肉とできる関係上、弾性材の使用量が低減されており、その分、軽量化に繋がっており、また係合孔4まわりでの排土性も良好となることから、走行性能の向上や低燃費性を得られるものとなる。
言うまでもなく、このことは、材料コストの低減や製造時間(加硫時間)の短縮化等にも繋がっている。
また、上記のように幅方向補強体2の前後揺れを防止できることに起因して、転輪が幅方向補強体2のレール突起16,17上を乗り移る際の振動を防止できるから、走行安定性の向上にも有益となる。
【0033】
特に、レール突起16,17上の転輪通過面19,20として、前後方向寸法の異なるものを前後・左右で交互配置としているため、幅方向補強体2の前後間隔を短くでき、係合孔4をショートピッチにできるため、それだけ振動の発生を抑えられることにもなっている。
ところで、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではない。
例えば、幅方向補強体2は、金属製である場合、鋳造や鍛造、又はその他溶接等の組立によるものとすることが可能である。また、樹脂製又はその他の材料を用いて、適宜手法で形成することも可能である。
【0034】
図8に示すように、幅方向補強体2において脱輪防止突起は設けず、短小な方の脱輪防止突起15に対応させた芯突起24と同様に、長大な方の脱輪防止突起14に対しても、それの補強とする芯突起30を設けるようにして、双方の脱輪防止突起14,15を共に弾性材製とすることが可能である。
なお、脱輪防止突起14,15は本発明において必須不可欠なものではないので、省略することも可能である。
【0035】
【発明の効果】
本発明に係る弾性クローラでは、例えば、クローラ本体の外周面側に設けるラグを、中央位置へは設けず、左右両側で周方向に沿って千鳥配置にし、個々のラグを3つ以上の幅方向補強体に跨がらせた斜め形状に形成すれば、クローラ本体として係合孔まわりでの薄肉化が可能であり、駆動輪に対する巻き掛け時等の曲がり動作がスムーズになる。
その結果、クローラ本体に、幅方向補強体との剥離や亀裂等が生じるのを防止でき、その長寿命化が図れる。
【0036】
また、このクローラ本体の薄肉化は、軽量化をはじめ、係合孔まわりの排土性向上、走行性能の向上、低燃費性、材料コストの低減、製造時間の短縮化等々、各種の利点に繋がる。
ラグに対して所定部位へ耐荷重部を設けておくと、幅方向補強体の前後揺れを一層抑制できるので、クローラ本体において亀裂等の発生を防止でき、長寿命化に繋がる。このことは更に、転輪による乗り移り振動の抑制にも繋がる。
レール突起上の転輪通過面として、前後方向寸法の異なるものを前後・左右で交互配置とすると、幅方向補強体の前後間隔の短縮化、即ち、係合孔のショートピッチ化が可能になり、それだけ振動の低減に繋がる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る弾性クローラの第1実施形態をその外周面側から示す部分平面図である。
【図2】 本発明に係る弾性クローラの第1実施形態をその内周面側から示す部分平面図である。
【図3】 図1のA−A線拡大断面図である。
【図4】 図2のB−B線拡大断面図である。
【図5】 図2のC−C線拡大断面図である。
【図6】 第1実施形態の弾性クローラにおいて用いられている幅方向補強体を示す平面図である。
【図7】 本発明に係る弾性クローラの第2実施形態をその外周面側から示す部分平面図である。
【図8】 幅方向補強体の別実施形態を示す平面図である。
【符号の説明】
1 弾性クローラ
2 幅方向補強体
3 クローラ本体
4 係合孔
7 ラグ
9 耐荷重部
16 レール突起
17 レール突起
19 転輪通過面
20 転輪通過面
P 中央位置
Claims (7)
- 弾性材によってエンドレス帯状に形成されたクローラ本体(3)内にその周方向に所定間隔で複数の幅方向補強体(2)が埋設されていると共に、前記クローラ本体(3)の幅方向中央部にはその周方向に所定間隔で複数の駆動輪用係合孔(4)が設けられている弾性クローラにおいて、
前記クローラ本体(3)の外周面側にはラグ(7)が設けられており、
前記幅方向補強体(2)は、
前記クローラ本体(3)の幅方向中央部の幅方向両側それぞれに前記クローラ本体(3)の内周側へ露出するレール突起(16,17)を有し、
前記レール突起(16,17)の内周側に露出するそれぞれの面には、転輪を通過させる転輪通過面(19,20)が設けられ、
前記転輪通過面(19,20)の一方が他方よりも周方向において長くなるように形成されており、
前記クローラ本体(3)内において周方向に前後する2つの前記幅方向補強体(2)が、周方向に長い転輪通過面(19)と周方向に短い転輪通過面(20)とが隣接するように配された
ことを特徴とする弾性クローラ。 - 前記ラグ(7)は、
前記駆動輪用係合孔(4)の幅方向両側に振り分けられて周方向に千鳥状に配置されており、
それぞれの前記ラグ(7)は、その少なくとも一部が内周側に埋設された3つ以上の前記幅方向補強体(2)と重なるように周方向および幅方向に対して斜めに形成されている
請求項1に記載の弾性クローラ。 - 前記ラグ(7)は、前記レール突起(16,17)の外周側に対応する部分にその他の部分よりもラグ頂面を周方向で長大にされた耐荷重部(9)が設けられている
請求項1または請求項2に記載の弾性クローラ。 - 前記それぞれのレール突起(16,17)よりも幅方向内方に、内周面側に突出する一対の脱輪防止突起(14,15)を有する
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の弾性クローラ。 - 前記一対の脱輪防止突起(14,15)の一方は前記弾性材で形成され、
前記一対の脱輪防止突起(14,15)の他方は前記幅方向補強体(2)と一体に形成されている
請求項4に記載の弾性クローラ。 - 弾性材により形成されたクローラ本体(3)内に前記クローラ本体(3)の幅方向にその長手方向を一致させて埋設されてエンドレス帯状の弾性クローラを構成する弾性クローラ用幅方向補強体であって、
前記長手方向の両側それぞれに、前記クローラ本体(3)内に埋設されたときに内周側となる側に露出させるためのレール突起(16,17)を有し、
前記レール突起(16,17)のそれぞれの前記内周側の面には転輪を通過させる転輪通過面(19,20)が設けられ、
前記転輪通過面(19,20)の一方が他方よりも前記長手方向に直交する方向において長くなるように形成されている
ことを特徴とする弾性クローラ用幅方向補強体。 - 前記それぞれの転輪通過面(19,20)の間における前記長手方向に直交する方向において長くなるように形成された一方の転輪通過面(19)の側に、前記一方の転輪通過面(19)が向く方向に突出する脱輪防止突起(14)を有する
請求項6に記載の弾性クローラ用幅方向補強体。
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JP24572498A JP4146001B2 (ja) | 1998-08-31 | 1998-08-31 | 弾性クローラおよび弾性クローラ用幅方向補強体 |
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