JPH11334658A - ゴムクロ−ラの構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、建設機械等の走行装置に用いられる
ゴムクロ−ラに関し、特に脱輪性能を改良したゴムクロ
−ラの耐久性を向上せんとするものである。 【解決手段】無端状ゴム弾性体と、一定ピッチをもって
横並びに埋設された芯金と、芯金を外囲いし埋設された
スチ−ルコ−ド列とからなり、前記芯金はゴムクロ−ラ
の内周面より突出する一対の脱輪防止用突起と、隣り合
う芯金に向ってのびる横ずれ防止用膨出部とが備えら
れ、この膨出部の先端同士は凹凸状嵌合部を備えたゴム
クロ−ラで、ゴムクロ−ラ長手方向に隣接する脱輪防止
用突起間に凹部を形成すると共に、クロ−ラ幅方向視に
て凹部の底部を前記凹凸状嵌合部外に位置させた。１‥
芯金、２‥ゴム弾性体、３‥スチ−ルコ−ド列、４‥ゴ
ムラグ、５‥突起、６‥芯金翼部、７‥凹部、７ａ‥凹
部の底部、８、９‥膨出部、１０‥膨出部の重複部。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、建設機械等の走行
装置に用いられるゴムクロ−ラに関し、特に言えば、脱
輪性能を改良したゴムクロ−ラの耐久性を向上せんとす
るものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、ゴムクロ−ラとアイドラ−或いは
ロ−ラ−との間の脱輪防止が要請されており、芯金の横
ずれを防止するためにゴム中に埋設された隣合う芯金同
士を接触干渉させる構造が考えられており、ゴム中に隣
り合って埋設されている芯金より隣り合う芯金に向って
膨出部を形成し、横方向視で重複する構造とし、一つの
芯金が横ずれの力が働いた際に膨出部同士が衝突しあっ
て横ずれをできるだけ少なくし、クロ−ラの脱輪の防止
機能を付与する構造となっている。

【０００３】ところで、かかるゴムクロ−ラには、内周
面より突出する脱輪防止用突起間のゴム部に凹部を設
け、これによってスプロケットやアイドラ−へのゴムク
ロ−ラの巻き付け抵抗を減少させるようになっている。
即ち、ゴムクロ−ラの内周面より突出する突起の間のゴ
ムを予め取り除いておき、これによってゴムの屈曲をこ
の凹部に集中させ巻き付き抵抗の減少を図ったものであ
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかるに、膨出部の重
複する部位及びその周辺のゴムは、膨出部の先端部によ
ってゴムが圧縮、引っ張り、曲げ等の変形力が加わる
が、一方では、スプロケットやアイドラ−へ巻き付いた
際、又は小石等への乗り上げ時に生じるゴムクロ−ラの
逆曲げ時の屈曲の中心はこの凹部の底部になり、両者間
の影響については考慮されていないのが実情である。

【０００５】さて、屈曲中心の凹部はその底部において
ゴム厚が薄くなっているため、この重複部と屈曲部とが
同一位置にある場合にはこの部位に変形応力が集中して
しまいゴムの劣化が集中する。このため、特に逆曲げ現
象時に凹部の底部にクラックが生じ易く、その結果芯金
の露出が発生し、芯金欠落をもたらしてクロ−ラの寿命
を著しく短くしてしまうこととなっていた。

【０００６】本発明は、突起間に形成した凹部の特に底
部に応力を集中させないようにしたものであり、ゴムク
ロ−ラの寿命の向上を図った構造を提供したものであ
る。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、ゴムク
ロ−ラの基体となる無端状ゴム弾性体と、このゴム弾性
体中に一定ピッチをもって横並びに埋設された芯金と、
この芯金を外囲いし埋設されたスチ−ルコ−ド列とから
なり、前記芯金はゴムクロ−ラの内周面より突出する一
対の脱輪防止用突起と、隣り合う芯金に向ってのびる横
ずれ防止用膨出部とが備えられ、この膨出部の先端同士
は凹凸状嵌合部を備えたゴムクロ−ラであって、ゴムク
ロ−ラ長手方向に隣接する前記脱輪防止用突起間に凹部
を形成すると共に、クロ−ラ幅方向視にて凹部の底部を
前記凹凸状嵌合部外に位置させたことを特徴とする。

【０００８】

【発明の実施の形態】ゴムクロ−ラの内周面から突出す
る突起間に形成される凹部と膨出部の嵌合部とが一致し
ている場合、巻き付き時の圧縮、引っ張り等の応力はこ
の凹部の底部に集中する一方で、膨出部先端における各
種の応力も又その嵌合部、即ちこの場合では凹部の底部
に集中することとなり、この凹部の底部よりクラックの
発生を見ることとなってしまう。

【０００９】しかるに、本発明のように凹部の底部と嵌
合部とを一致させない構造としてやることにより、その
応力の集中は緩和されることとなり、ここにゴムクロ−
ラの寿命の向上が図られることとなったものである。言
い換えれば、突起間における凹部のみを考えればゴムク
ロ−ラの歪が凹部の底部に集中し易いし、一方、嵌合部
のみを考えれば、嵌合部にこれ又歪が集中するものであ
って、本発明はこの両者の歪の集中部位を合致させない
構造とし、ゴムに生じる歪応力を分散しゴムクロ−ラの
寿命の向上を図ったものである。

【００１０】以下、発明の実施の形態を図面をもって説
明する。図３は突起間の凹部底部と膨出部の重複部とが
合致した従来のゴムクロ−ラの突部における断面図であ
る。図中、１は芯金、２はこの芯金を内包するゴム弾性
体である。又、３は芯金を外囲いしてゴム弾性体２中に
埋設されたスチ−ルコ−ド列である。４はゴム弾性体２
の外周に形成したゴムラグである。さて、芯金１よりゴ
ム弾性体２の内周面より突起５が突出しており、芯金１
の翼部６よりゴム弾性体２の長手方向に向けて一方側に
張り出している。そして隣り合う芯金１、１の突起５、
５間のゴム弾性体は予め取り除かれて凹部７が形成され
ている。

【００１１】そして、突起５、５の直下に夫々膨出部
８、９が形成され、その先端が先細の端部８ａとされ、
一方が二股端９ａとされて、これが係合しあい重複部１
０が形成されるものである。この係合によって芯金１、
１が横ずれを生じた際にも、隣り合う芯金１、１同士が
干渉しあってそのずれを阻止するものである。

【００１２】このゴムクロ−ラは、スプロケット等への
巻き付の際にはこの凹部７が屈曲の中心となり、この凹
部７の底部７ａにその歪応力が集中することになる。一
方、この例のゴムクロ−ラにあっては、芯金１に横ずれ
力が加わった場合、膨出部８、９の先端の重複部１０
（係合部）に歪応力が集中する。しかるに、この例にあ
っては凹部７の直下に重なって膨出部の重複部１０が存
在するため、凹部７の底部７ａにゴム弾性体２の全ての
歪が集中してしまいゴム劣化が促進されることになる。
特に、ゴムクロ−ラに逆曲げが発生する際には、この凹
部７の底部７ａにクラックが生じ易くなってしまうもの
であった。

【００１３】

【実施例】本発明にあっては、凹部７の底部７ａと膨出
部の重複部１０をずらすことによって凹部７の底部７ａ
にゴム歪応力を集中することを防止したものであり、こ
の例においては、その先端８、９の重複部１０を凹部７
の底部７ａからずらすことによってこの部位のゴム量を
増し、ゴム劣化の促進を阻止し、ゴムクロ−ラの寿命を
向上させようとするものである。

【００１４】図１は上記したゴムクロ−ラの形態を示す
突起部における断面図であり、図２はその内周側半裁平
面図である。この例にあっては前記した図３の場合と同
様に突起５の直下に膨出部８、９を形成し、これら先端
を係合させて芯金１、１の横ずれを防止する機能を有す
るものであるが、膨出部８、９の長さを前記と異なら
せ、或いは凹部７を逆にずらせることによって構成され
る。このことにより、ゴム弾性体２に生ずる歪を分散さ
せることが可能となったものであり、ゴムクロ−ラに逆
曲げ等の現象が起ったとしても凹部７の底部７ａにクラ
ックの発生はほとんど生じないものとなった。

【００１５】

【発明の効果】本発明のゴムクロ−ラにあっては、以上
のようにクラックの発生が低減されたものであり、その
耐久性の向上が著しい。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本発明のゴムクロ−ラの突起部での断面
図である。

【図２】図２は本発明のゴムクロ−ラの内周側半裁平面
図である。

【図３】図３は従来のゴムクロ−ラの突起部での断面図
である。

【符号の説明】

１‥‥芯金、 ２‥‥ゴム弾性体、 ３‥‥スチ−ルコ−ド列、 ４‥‥ゴムラグ、 ５‥‥突起、 ６‥‥芯金の翼部、 ７‥‥凹部、 ７ａ‥‥凹部の底部、 ８、９‥‥膨出部、 １０‥‥膨出部の重複部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ゴムクロ−ラの基体となる無端状ゴム弾
   性体と、このゴム弾性体中に一定ピッチをもって横並び
   に埋設された芯金と、この芯金を外囲いし埋設されたス
   チ−ルコ−ド列とからなり、前記芯金はゴムクロ−ラの
   内周面より突出する一対の脱輪防止用突起と、隣り合う
   芯金に向ってのびる横ずれ防止用膨出部とが備えられ、
   この膨出部の先端同士は凹凸状嵌合部を備えたゴムクロ
   −ラであって、ゴムクロ−ラ長手方向に隣接する前記脱
   輪防止用突起間に凹部を形成すると共に、クロ−ラ幅方
   向視にて凹部の底部を前記凹凸状嵌合部外に位置させた
   ことを特徴とするゴムクロ−ラの構造。