JP4927561B2 - 芯金レスゴムクロ−ラ - Google Patents

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本発明は、主として芯金レスゴムクロ−ラの巻き掛け時の曲げ変形に基づくクラックの発生を抑えたゴムクロ−ラを提供するものである。
芯金レスゴムクロ−ラは、無端状のゴム弾性体中にその長手方向にスチ−ルコ−ドが埋設され、内周側に駆動に供される一定のピッチをもって形成されたゴム突起と、外周側にこれ又一点のピッチをもって形成されたゴムラグが備えられている。そして、スチ−ルコ−ドがゴムクロ−ラの引張りの中心面となり、スプロケットやアイドラ−に巻き掛けされた際には、その内側のゴムが圧縮側の歪みを繰り返し受け、その外側のゴムが引張り側の歪みを繰り返し受けることになる。
そして、ゴムクロ−ラの内周面に形成されたゴム突起を中心に考えれば、ゴム突起の間が曲げ剛性が低いため、巻き掛け時にはゴム突起間で曲げ変形がもたらされる。
一方、ゴムラグを中心に考えれば、ゴムラグ間が曲げ剛性が低いため、巻き掛け時にはゴムラグ間で曲げ変形がもたらされる。
この場合、内周側と外周側(接地側)の曲げ変形部分が一致すると、その部分が特に局部的に曲げ変形を受けることになり、ゴムが引張り側である接地側表面のゴムの歪みが大きくなり、度重なる繰り返しの屈曲使用によってクラックが発生する場合があった。
本発明は巻き掛け時の曲げによって生じるクラックをできるだけ低減し、ゴムクロ−ラの寿命を向上させることを目的とするものである。
本発明の第1の要旨は、無端状のゴム弾性体中にその長手方向にスチールコードが埋設され、内周側に駆動に供されるゴム突起と、外周側にゴムラグが形成されている芯金レスゴムクローラであって、当該ゴムラグはゴムクローラ幅方向の中央より左右に分断され、左右のゴムラグは内側端部域と外側端部域、及びこれら両者を繋ぐ中央域より構成されてなり、内側端部域及び外側端部域はクローラ幅方向に向かって延び、中央域は傾斜配置され、ゴムラグの内側端部域がゴム突起間に対応し、かつ、ゴムラグの外側端部域がゴム突起間に配置され、前記傾斜配置された中央域は隣り合う中央域の少なくとも一方と連結される連結域を具え、前記ゴムラグがH形状をなすことを特徴とする芯金レスゴムクローラに係るものである。
本発明の第2の要旨は、ゴム突起は一定のピッチをもってゴムクローラ内周側に配置され、ゴムラグの内側端部域と外側端部域とは該ゴム突起のピッチと同様のピッチで配置されていることを特徴とするものである。
本発明の第3の要旨は、連結域は、少なくとも転輪通過面に対応するゴムラグ間に存在することを特徴とするものである。
本発明の第4の要旨は、H形状をなすゴムラグは、ゴムクローラの幅方向中心線に対して、1ピッチずれていることを特徴とするものである。
本発明の第1の要旨にあっては、ゴムクローラが巻き掛けされた際にも曲げ剛性が全体としてさほど大きさの違いがなくなり、従って、曲げの変形が特定の個所に集中することがなくなり、クラックの発生が低減できたものであり、結果的にゴムクローラの寿命が向上したものである。
また、第1の要旨にあっては、ゴムクローラ外周面を埋めるように連結域を具えるため、剛性の低いゴムラグ間の剛性が上がることになる。このことにより、ゴムラグの耐久性が向上するとともに、ゴムラグ間に沿ってクラックが発生するのを防止することが可能となる。
本発明の第2の要旨にあっては、ゴムクローラの幅方向視でゴムラグがどの部位においても重なるように配置されていることとなり、曲げ剛性の均一化が可能となる。
本発明の第3の要旨にあっては、連結域が転輪通過面に対応するゴムラグ間に存在することにより、転輪が通過する接地面圧の高い部位のゴムラグ剛性を高めることができるので、クラックの発生をさらに防止することが可能となる。
本発明の第4の要旨にあっては、ゴムクローラの内周面を通過する転輪は、常にゴムラグの存在する剛性の高い部分を通過することになるため、発生する振動をより低減することができることになる。
図1は従来のゴムクローラの内周側平面図である。 図2は図1のゴムクローラの外周側平面図である。 図3はゴムクローラのゴムラグの配置を示す平面図である。 図4はゴムクローラの第1実施例を示す外周側平面図である。 図5はゴムクローラの第2実施例を示す外周側平面図である。
さて、芯金レスゴムクロ−ラは、図1〜図2に示すように無端状のゴム弾性体1中にスチ−ルコ−ド2が埋設され、内周側に一定ピッチをもって形成された駆動に供されるゴム突起3と、外周側にこれ又一定のピッチをもってゴムラグ4が形成されている。かかるスチ−ルコ−ド2はゴムクロ−ラの引張りの中心面となり、スプロケットやアイドラ−に巻き掛けされた際には、その内側のゴム1aが圧縮側の歪みを繰り返し受け、その外側のゴム1bが引張り側の歪みを繰り返し受ける。
しかるに、前述のように、ゴム突起3、3の間が曲げ剛性が低いため、巻き掛け時にはゴム突起3、3間(A)で曲げ変形がもたらされる。又、ゴムラグ4、4間(B)が曲げ剛性が低いため、巻き掛け時にはゴムラグ4、4間で曲げ変形がもたらされる。この傾向は、両個所がクロ−ラの幅方向に直線状に並ぶ場合には曲げ変形が特に著しい。そして、図2に示すように通常はゴムラグは直線状に備えられる。
このようなゴムクロ−ラにあって、クラックの発生について精査したところ、一つはゴムクロ−ラの中央部のゴム突起間に生じるものであり、他の一つはゴムクロ−ラの幅端部(いわゆる耳部)のゴムラグ間に生じることが判明した。
このため、ゴムラグ4を図3に示すようにゴム突起3、3間に合わせて左右方向に直線状に形成することも考えられるが、このように、ゴムラグ4が左右方向に直線状に配置された場合には、内周面を転動する転輪の上下動が大きくなり、オペレ−タ−に対して振動の発生は避けることはできず、走行振動性能が極めて悪くなる。
本発明は上記した曲げ剛性の均整化と振動の発生を同時に解決しようとするためになされたものと言ってよく、このために内周側のゴム突起と外周側のゴムラグとの位置関係を特定したものであり、これによって問題を解決したものである。
即ち、本発明の最大の特徴は、ゴムラグを傾斜配置し、特にクラックの生じる二つの部位にそのゴムラグを傾斜配置したものである。このゴムラグの傾斜配置によって転輪もゴムラグ上を長く転動することになり、振動性能も優れたものとなる。尚、ゴムラグは左右で千鳥状に配置することも可能である。
以下、本発明を図面に基づき更に詳細に説明する。まず、本発明に含まれない参考例としての第1実施例のゴムクローラについて説明する。
図4は第1実施例のゴムクローラの外周側平面図である。尚、このゴムクローラの内周側平面図は図1と同様であり、ここでは省略する。さて、この例のゴムラグ4は内側端部域4a、外側端部域4bと、これら両者を繋ぐように傾斜配置される中央域4cとから構成され、ゴムラグ4はクローラの中心部より左右に分断された対称の形状としたものであり、ゴムラグ4の内側端部域4aはゴム突起3、3間に対応して備えられ、ゴムラグ4の外側端部域4bはゴム突起のピッチと同様のピッチで配置されており、次のゴム突起3、3間に配置したものである。
このように、中央域4cを傾斜配置したので、従来の構造のゴムクロ−ラよりも、ゴムクロ−ラ全体として剛性が均整化されることとなったものであり、更に、転輪の振動の低減をも達せられることとなった。そして、ラグの内側端部域4a、及び外側端部域4b は夫々ゴムクローラ幅方向に向かって延びるように配置されている。一般的にはゴムクローラがスプロケットやアイドラー等に巻き掛けられた際には、ゴムラグ(剛性の高い部分)とゴムラグ間(剛性の低い部分)との境界部分、特にゴムラグの内側端部域4aと外側端部域4bに優先的に歪が集中することとなるはずであるが、上記の両端部域がゴムクローラ幅方向に向かって延びていることにより、発生する歪を広い範囲で受けることになるので、クラックが発生しにくいものとなる。
図5は本発明に含まれる第2実施例のゴムクローラの外周側平面図である。尚、内周側平面図は図1と同様であり、ここでは省略する。さて、この例のゴムラグ4は傾斜配置された中央域4cが隣り合う中央域4cと連結される連結域4dを具え、全体が幅端部側に流れ変形されたH形状となし、更に、ゴムクローラの中央部より左右で1ピッチ分ずれており、千鳥状に配置されている例である。言い換えれば、かかるゴムラグ4は二つのゴム突起3に対応する大きさのゴムラグではあるが、ゴムクローラとしてはゴムラグ4の幅が大き過ぎると逆に巻き掛け抵抗が増加してしまうところから、ゴムラグ4の内側及び外側の夫々中央部を切り欠いた(4p、4q)形状としたもので全体としてH形状をなしているものである。
ゴムラグ4の内側端部域4a、及び外側端部域4bをゴムクローラ幅方向に向かう形状としたことの効果については、第1実施例のゴムクローラと同様であるが、連結域4dを具えたことによりゴムラグ4、4間の剛性が上がることになり、ゴムラグ4の耐久性を向上させることができる。そして、ゴムラグ4の中央域4cに沿った方向にゴムラグ間にクラックが発生するのを効果的に防止できることとなる。
上記連結域4dはゴムクローラ内周面を通過する転輪の転輪通過面5に対応するゴムラグ間に配置されている。転輪の通過によってゴムラグ4には高い接地面圧がかかることになるが、この部位でのゴムラグの剛性が高まることとなり、クラックが発生するのを効果的に防止することが可能となる。一方、H形状のラグをゴムクローラの中央部から左右で1ピッチずれていることにより、転輪は常に連結域4d上を通過するため、発生する振動をより低減することができることとなる。
本発明は以上の通りであり、ゴムクロ−ラ全体として特に幅方向の剛性をできるだけ均整化したものであり、これによって曲げ変形を低減させ、クラックの発生を低減したものであり、その利用範囲は極めて広い。
符号の説明
1‥ゴム弾性体、
1a‥内周側ゴム、
1b‥外周側ゴム、
2‥スチ−ルコ−ド、
3‥ゴム突起、
4‥ゴムラグ、
4a‥ゴムラグの内側端部域、
4b‥ゴムラグの外側端部域、
4c‥ゴムラグの中央域、
4d‥ゴムラグの連結域、
4p、4q‥ゴムラグの切り欠き部、
5‥転輪通過面。

Claims (7)

  1. 無端状のゴム弾性体中にその長手方向にスチールコードが埋設され、内周側に駆動に供されるゴム突起と、外周側にゴムラグが形成されている芯金レスゴムクローラであって、
    当該ゴムラグはゴムクローラ幅方向の中央より左右に分断され、
    左右のゴムラグは内側端部域と外側端部域、及びこれら両者を繋ぐ中央域より構成されてなり、内側端部域及び外側端部域はクローラ幅方向に向かって延び、中央域は傾斜配置され、ゴムラグの内側端部域がゴム突起間に対応し、かつ、ゴムラグの外側端部域がゴム突起間に配置され、
    前記傾斜配置された中央域は隣り合う中央域の少なくとも一方と連結される連結域を具え、前記ゴムラグがH形状をなすことを特徴とする芯金レスゴムクローラ。
  2. 前記ゴム突起は一定のピッチをもってゴムクローラ内周側に配置され、前記ゴムラグの内側端部域と外側端部域とは該ゴム突起のピッチと同様のピッチで配置されている請求項1記載の芯金レスゴムクローラ。
  3. 前記連結域は、少なくとも転輪通過面に対応するゴムラグ間に存在する請求項1又は請求項2記載の芯金レスゴムクローラ。
  4. 前記H形状をなすゴムラグは、ゴムクローラの幅方向中心線に対して、1ピッチ分ずれている請求項1〜3のいずれか1項記載の芯金レスゴムクローラ。
  5. 前記左右のゴムラグは、ゴムクローラの幅方向中心線に対して左右対称に配置される請求項1〜3のいずれか1項記載の芯金レスゴムクローラ。
  6. 前記ゴムラグの前記内側端部域が前記ゴム突起間に対応し、前記長手方向の前記ゴム突起間に隣接するゴム突起間に前記ゴムラグの前記外側端部域が配置される請求項1〜5のいずれか1項記載の芯金レスゴムクローラ。
  7. 前記ゴム突起は、ゴムクローラの幅方向中心線上に配置され、左右対称の形状である請求項1〜6のいずれか1項記載の芯金レスゴムクローラ。
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