明 細 書
不純物導入方法
技術分野
[0001] 本発明は不純物導入方法に係り、特に、半導体等の製造プロセスにおいて不純物 を導入する不純物導入方法に関する。
背景技術
[0002] 近年、デバイスの微細化に伴って浅い接合を形成する技術が求められている。従 来、浅い接合の形成技術としては、低エネルギーイオン注入技術が挙げられる。低 エネルギーイオン注入技術は、イオン源力もある程度高 、電圧でイオンを引き出した 後に、後段で減速させる方法であり、ビーム電流値をある程度大きく保ち、且つ、低 エネルギーの注入ができるように工夫がなされてきた。このような工夫の結果、数 10η m程度の浅い不純物層の形成が可能となり、半導体装置の製造工程において工業 的な適用がなされている。
[0003] さらに浅い接合形成のために、近年注目されている技術としてプラズマドーピング 技術が挙げられる。プラズマドーピング技術とは、所望の粒子を含んだプラズマを、 半導体基板等の被処理体の表面に接触させて、被処理体表面に不純物を導入する 技術である。ここで、プラズマはたかだか数 100Vの低エネルギーであるため浅い不 純物層の形成に適しており、 10数 nm力ゝら数 lOnm程度の浅い接合を形成した実験 が報告されている。
[0004] 更に、現在最も浅!ヽ P型の接合を達成した実験が非特許文献 1に開示されて 、る。
これによると接合の深さは 7nmであると説明されている。
また、ガスソースを用いた気相ドーピング法が、(1)非特許文献 2、(2)非特許文献 3、(3)非特許文献 4等に提案されている。これは常圧水素雰囲気で半導体基板を 加熱し、 B Hや PHを供給することで P型および N型の不純物拡散層を形成する方
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法である。ここで水素キャリアガスはシリコン上の自然酸ィ匕膜を除去し、清浄表面を保 つことで不純物特にボロンの表面偏析を抑制する効果がある。
[0005] またガスを分解するためには、一般に 600°C以上の温度が必要である。例えば非
特許文献 5には、半導体基板を 900°Cに加熱して、 lppmの B Hガスを 40秒供給す
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ることで高濃度の浅い接合を形成した実験結果が開示されている。これによると、ボ ロン濃度が 1 X 1018 cm 3となる深さを接合深さとして接合深さは上記と同程度の約 7 nmで teる o
[0006] 更に、非特許文献 6には、気相ドーピング法を室温で実現する技術が開示されて!、 る。これらは、表面に酸化物などの膜が付着している固体基体に物質を導入する際 に、酸ィ匕物などの膜を除去した後に、所望の粒子を付着あるいは導入する方法であ る。その報告によると不純物導入層の深さは 3〜4nmである。
[0007] 以上、説明したように、プラズマドーピングや低エネルギーイオン注入などの方法に より、近年では 10数 nm力ゝら数 lOnm程度の浅い接合を形成した実験が報告されて V、る。現在最も浅!、P型の接合を達成した実験では 7nm程度の浅 、不純物層を形 成している。しかし、デバイスのさらなる微細化が進むに従ってより浅い不純物層をよ り簡単に、かつ低抵抗に形成する方法の提供が求められている。
[0008] このような要求に応える技術として、プラズマドーピング技術は小さい加速エネルギ 一で粒子を半導体基板に導入できるため、イオン注入に比べて浅い導入層の形成 が可能となる。しかし、小さいエネルギーとはいえ加速エネルギーを持っため、浅くす ることには限界がある。また、プラズマドーピングではラジカルがドーパントとして基板 に供給されることが知られている。ラジカルは電荷を持たないため、シース間で加速 されて基板に打ち込まれることはないが、活性であるため基板表面と反応して基板に 導入されると考えられる。ガスソースを用いた気相ドーピング法は、カロ速エネルギーを 持たないドーパントを基板に供給して表面反応によって不純物拡散層を形成する技 術である。これらはエネルギーを持ったイオンを基板に照射する方法の限界を超える 技術と位置付けられて 、る。
[0009] 半導体基板、例えば結晶シリコンをアモルファス化する技術としては、ゲルマニウム やシリコンをイオン注入する方法が従来力も広く知られている。ゲルマニウムゃシリコ ンをシリコン基板にイオン注入して表面をアモルファス化した後に、ボロンなどの不純 物をイオン注入し、その後、ァニールする工程が広く検討されている。不純物をィォ ン注入するに先立ちアモルファス化しておく利点として、以下のことが知られている。
(1)ボロンなどの小さい不純物がイオン注入時に深くまで導入されに《なること。 (2) アモルファスシリコンは結晶シリコンと比較して光の吸収係数が高いので、ァニール 時に効率良く不純物を活性ィ匕できること。
しかし、イオン注入によるアモルファス化は、浅いアモルファス層を形成する際に十 分な精度を得ることができない点や、ァニール後にシリコン結晶が回復するァニール の条件範囲が狭 、と 、う課題があった。
[0010] これに対して、最近では不純物導入の前処理として、シリコン基板にプラズマを照 射してシリコン表面をアモルファス化する技術が提案されて 、る。非特許文献 7には、 筆者達のグループによりシリコン基板にアルゴンプラズマを照射して 4. 3nmのァモ ルファス層を形成した後にボロンを不純物として導入する技術が開示されている。ま た、非特許文献 8には、シリコン基板に水素プラズマを照射して 25nmのダメージリツ チ層を形成した結果が開示されている。ここでは、その後、 300°Cで 5分間ァニール することで低温のァニールでダメージが回復したことが報告されている。
[0011] ところで、シリコン基板にプラズマを照射して表面改質する技術としては、ヘリウムプ ラズマを用いたものが知られている。非特許文献 9には、シリコン基板にヘリウムブラ ズマを照射してシリコン内部にポーラスを形成する技術が開示されている。これによる と、ヘリウムプラズマをシリコン基板に照射することで表面から 50nm以上 250nm以 下程度の深さ範囲に、直径が 8nmから 50nmのポーラスを形成できるとしている。プ ラズマに加えたバイアスは 8keVや 20keVとしている。さらに、 20nm以上から lOOnm 以下程度の深さ範囲にポーラスを形成した断面 TEM写真も開示されている。このとき のポーラスの大きさは、直径が 16nmや 20nmのものを含んでいる。
非特許文献 1:「テクニカル ダイジェスト ォブ シンポジウム オン ブイエルエスァ ィ ァクノロン」 (Technical Digest of Symposium on VLSI Technology, Honolulu, P. 1 10 (2000))
非特許文献 2 :「インターナショナル ワークショップ オン ジャンクション テクノロジ」 International Workshop on Junction Technology (IWJT) , p. 19 (2000)
非特許文献 3 : J. Vac. Sci. Technol. A16, P.l, (1998)、
非特許文献 4:シリコンテクノロジー No. 39 18thjune, 2002
非特許文献 5 :シリコンテクノロジー(No. 39, 18thjune, 2002)
非特許文献 6 :「インターナショナル ワークショップ オン ジャンクション テクノロジ」
International Workshop on Junction Technology (IWJT) , p.39- 40 (2002) 非特許文献 7 :「インターナショナル ワークショップ オン ジャンクション テクノロジ」
International Workshop on Junction Technology (IWJT) , p.46- 49 (2004) 非特許文献 8 :「インターナショナル ワークショップ オン ジャンクション テクノロジ」
International Workshop on Junction Technology (IWJT) , p.54- 57 (2004) 非特許文献 9 : Handbook of Plasma Immeシ ~~ト 仇體 Ion Implantation and Deposit ion, p. 663 - 666
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0012] 以上のように、従来の方法では、浅い接合を高精度に形成するのは極めて困難で めつに。
本発明は前記実情に鑑みてなされたもので、浅く効率よい不純物の導入を実現す ることを目的とする。
課題を解決するための手段
[0013] そこで本発明の不純物導入方法は、半導体層を含む固体基体表面に半導体層中 で電気的に不活性な粒子で構成されたプラズマを用いて前記半導体層表面をァモ ルファス化する第 1の工程と、前記固体基体表面に不純物を導入する第 2の工程とを 含むことを特徴とする。
この方法によれば、不純物の導入に際し、ダメージ層の形成を抑制し得るようにプ ラズマ条件を調整して、不活性プラズマにより光吸収特性の良い、浅い、ァモルファ ス層を、半導体の特性に影響を及ぼすことなく容易に作成する一方で、プラズマから シリコン中に導入された元素をァニール工程で効率よく外方拡散するようにし、結晶 性の回復をは力ることが可能となる。
[0014] 本発明の不純物導入方法は、前記第 1の工程が、前記半導体層表面にプラズマを 照射する工程であるものを含む。
この方法によれば、不活性プラズマの照射により良好にアモルファス化を行なうこと
ができる。不活性プラズマなのでシリコンと反応しにくい。電気的に及ぼす影響を低 減、抑制できる。プラズマ中でラジカルになりにくいので、シリコンなどの固体基体を 構成する原子と反応することも少ない。元素の種類による力 エッチングレートを低減 できる効果ちある。
[0015] 本発明の不純物導入方法は、前記第 1の工程が、前記プラズマを、メッシュを介し て、前記半導体層表面に導きイオンを照射する工程であるものを含む。
この方法によれば、所定の電位としたメッシュを介してプラズマを半導体層表面に 照射することにより、イオンシャワーと呼ばれるいわゆる分散したイオン照射がなされ 、効率よくアモルファス化を実現することができる。この方法ではイオンの質量分離を 行わないので、固体基体に照射されるイオンビーム電流量は、プラズマに直接曝す プラズマドーピングに比べれば小さ 、が、イオン注入と比較すると桁違いに大き 、。 そのため、比較的原子量の小さい軽元素でも効率良くアモルファス化できる。例えば ヘリウムや水素などの最も原子量の小さい元素でもアモルファス化できる可能性が期 待できる。
[0016] また本発明の不純物導入方法は、前記第 1の工程を実行した後、前記第 2の工程 を実行することにより、半導体層を含む固体基体表面に微細なポーラスを有するァモ ルファス層を形成し、前記アモルファス層内に不純物を導入し不純物導入層を形成 するようにしたことを特徴とする。
この方法によれば、このポーラスにのみ選択的に不純物が導入されるので、不純物 を導入する領域、すなわち不純物を閉じ込めておく領域を絞り込むことができる。そ のため、ポーラスができる領域とできな 、領域の不純物の濃度に急激な差をつけるこ とができるので、深さ方向の不純物濃度の急峻性を高くできる。すなわち、例えば pn 接合の接合界面付近での不純物濃度を急激に変化させることができる。
[0017] また本発明の不純物導入方法は、前記第 2の工程を実行した後、前記第 1の工程 を実行することにより、半導体層を含む前記固体基体表面に不純物を導入して不純 物導入層を形成した後、前記不純物導入層に半導体中で電気的に不活性な粒子を 含むプラズマを照射してアモルファス層を形成するようにしたことを特徴とする。 この方法によれば、前記と同様にポーラスにのみ選択的に不純物が導入されるの
で、不純物を導入する領域、すなわち不純物を閉じ込めておく領域を絞り込むことが できる。同様に、ポーラスができる領域とできない領域の不純物の濃度に急激な差を つけることができるので、深さ方向の不純物濃度の急峻性を高くできる。
[0018] また本発明の不純物導入方法は、前記第 2工程が前記第 1工程と同時に実行され ることを特徴とする。この方法によれば、不純物が導入される深さと、アモルファス層 の深さを 1つの工程で同時に決めることができる。不純物が導入される深さとァモルフ ァス層の深さは、固体基体に印加するバイアス電圧によって制御できる力 前記第 1 工程と前記第 2工程を別々に行った場合には、不純物が導入される深さとァモルファ ス層の深さは、互いの工程で印加したノィァス電圧に影響を受ける。すなわち、不純 物が導入される深さはアモルファス層の深さによって変化する。また、アモルファス層 の深さは、不純物を導入する工程で程度の差はあるが増加することが多い。特に、あ らカじめ作るアモルファス層の深さが浅ぐ浅いアモルファス層ができたシリコン基板 に深くまで不純物を導入した ヽ場合には、不純物を導入する工程でアモルファス層 が元の深さより深くなる。前記第 2工程が前記第 1工程と同時に実行した場合には、 不純物が導入される深さと、アモルファス層の深さを 1つの工程で同時に決めること ができるので、制御し易いという効果がある。さらに、工程を 1つ削減できるので効率 的である。
[0019] また本発明の不純物導入方法は、前記ヘリウムプラズマであることを特徴とする。
この方法によれば、シリコンなどの半導体中にポーラスをつくることが特に容易であ る。これはヘリウムプラズマが特別に有する性質である。 He元素はァニール工程中に 半導体基板の外に外方拡散し易ぐァニール後に半導体基板中に残留しないため、 シリコンの結晶性の回復が容易である。さらに、不活性元素であるため、プラズマ照 射時にも、さらに半導体基板中においてもシリコンと反応し難い。
[0020] また本発明の不純物導入方法は、半導体中で電気的に活性になる不純物をへリウ ムで希釈したプラズマを前記固体基体表面に照射することを特徴とする。
この方法によれば、前記第 2工程が前記第 1工程と同時に実行できるので工程数を 省略できる。また、前記と同様に不純物が導入される深さと、アモルファス層の深さを 1つの工程で同時に決めることができるので、制御し易いという効果がある。ここで用
いる不純物プラズマは極度にヘリウムで希釈したものを用いる。これにより、ヘリウム が半導体基板外に外方拡散し易ぐ半導体の結晶性の回復力が高められ、結晶性 の良好な不純物領域を形成することができるという効果がある。また、ヘリウムに他の 元素を混ぜることで、シリコン基板中に大きなポーラスができ難くなるので、シート抵 抗が低下し難くなることを回避できる。あるいは、ヘリウムに他の元素を混ぜることで、 シリコン基板中にポーラスを作らずにヘリウムが有する外方拡散し易く結晶性の回復 力が高 1、アモルファス層を形成できると!、う利点を備えた工程を実現できる。
[0021] また本発明の不純物導入方法は、前記第 1の工程が、直径が 20nm未満の微細な ポーラスを有するアモルファス層を形成する工程であることを特徴とする。
この方法によれば、ポーラスが大きすぎてァニール後に半導体結晶が回復せず、 シート抵抗に悪影響を及ぼすのを避けることができる。ポーラスの径を適切な大きさ に調整することが望ましい。
[0022] また本発明の不純物導入方法は、前記ポーラスの直径が 8nm未満であることを特 徴とする。
この方法によれば、ァニール後のシート抵抗が低下することを実証できている。ポ 一ラスの各孔が前記 8nm未満の直径であれば、シリコン結晶がより回復し易いので 望ましい。
[0023] また本発明の不純物導入方法は、前記第 1および第 2の工程の後に、前記不純物 を電気的に活性化させるァニール工程を含むことを特徴とする。
この方法によれば、ァニール時に光を効率的に吸収して、不純物を効率的に電気 的に活性ィ匕できる。その結果、極浅で低抵抗の層を形成できる。また、ポーラスがあ る場合、ポーラスはアモルファス層中にあるので、近傍で熱が効率的に発生する。そ のため、ポーラスに閉じ込められている不純物も効率的に電気的に活性ィ匕できる。そ の結果、極浅で急峻性の良い低抵抗の層を形成できる。
[0024] また本発明の不純物導入方法は、前記第 1工程が、深さが 19nm以下のァモルフ ァス層を形成する工程であることを特徴とする。
[0025] また本発明の不純物導入方法は、前記第 1工程が、深さが 5nm以上のァモルファ ス層を形成する工程であることを特徴とする。
この方法によれば、表面荒れを影響のない範囲に抑制しつつ光吸収特性の良いァ モルファス層を形成し易い。 5nm以下であれば、アモルファス層でのァニール時の 光吸収率は低ぐ低抵抗化し難くなる。 19nm以上であれば、プラズマ照射による表 面荒れが発生し、半導体デバイスへの影響が懸念される。
[0026] また本発明の不純物導入方法は、前記第 2の工程が不純物をプラズマドーピング する工程であるものを含む。
この方法によれば、極浅の不純物導入を高いスループットで実現できるのでより望 ましい。
[0027] また本発明の不純物導入方法は、前記第 2の工程はプラズマからメッシュを介して 不純物イオンを供給する工程であるものを含む。
この方法によれば、極浅の不純物導入をイオン注入より高 、スループットで実現で きるのでより望ましい。また、イオンだけを抽出して固体基体に照射するので、ラジカ ルと固体基体が反応することがない。そのため、プラズマに含まれるラジカルと固体 基体を構成する原子が反応したスパッタリングが起きないという効果がある。
[0028] また本発明の不純物導入方法は、前記第 2の工程が不純物をイオン注入する工程 であるものを含む。
この方法によれば、半導体産業ですでに工業的に長年使用されており、信頼性の 高 、不純物導入が可能である。
[0029] また本発明の不純物導入方法は、前記第 2の工程が不純物をガスドーピングする 工程であるものを含む。
この方法によれば、加速エネルギーをほとんど有しな 、不純物の導入が可能であり 、プラズマドーピングよりも浅 、不純物導入層を形成できる。
[0030] また本発明の不純物導入方法は、前記第 1工程と前記第 2工程を同じ真空チャン バー内で連続工程として in-situで行うものを含む。
この方法によれば、第 2の工程が受ける自然酸ィ匕膜の影響を低減できる。すなわち 、一般的に、自然酸ィ匕膜が厚いほど第 2の工程で不純物のドーズ量が低下するなど の影響が出易い。特に浅い不純物導入層を作るために、不純物を低エネルギーで 導入する場合には、自然酸化膜が厚いほど不純物導入量が低減する。ここで、前記
第 1工程と前記第 2工程を同じ真空チャンバ一内で連続工程として in-situで行った場 合には、第 1工程後の自然酸ィ匕膜の厚さは、第 1工程前よりは少なくとも薄くなる。或 いは、第 1工程後には自然酸ィ匕膜は存在しないか、非常に薄いために無視できる厚 さしかない。さらに、真空中なので、第 1工程と第 2工程の間に自然酸ィ匕膜が成長す ることがない。そのため、第 2の工程が受ける自然酸ィ匕膜の影響を低減できる。さらに 、第 1工程と第 2工程の間の半導体基板の搬送や管理などの手間を削減できる。
[0031] また本発明の不純物導入方法は、固体基体の表面に照射するプラズマに関するバ ィァス電圧、照射時間、バイアスパワーおよびシース電圧のうちの少なくとも 1つの条 件を変えることで、前記アモルファス層の厚さを制御する工程であるものを含む。 この方法によれば、バイアス電圧、バイアスパワーおよびシース電圧を変えることで 固体基体に衝突するプラズマ中のイオンの加速エネルギーを変えることができるので 、アモルファス層の厚さを変えることができる。さらに、固体基体に衝突するプラズマ 中のイオンの加速エネルギーが同じであっても、イオンが固体基体に衝突する時間 を変えることで、ある程度はアモルファス層の厚さを変えることができる。
[0032] また本発明の不純物導入方法は、前記第 1の工程は、希ガス元素の少なくとも 1種 を含むプラズマを照射する工程を含む。
この方法によれば、不活性な元素のプラズマを用いるので、半導体中で電気的に 及ぼす影響を少なくして、プラズマを照射することができる。さら〖こ、不活性元素なの でプラズマ照射時にも、さらに半導体基板中にぉ 、てもシリコンと反応し難 、ので、 プラズマ照射時のエッチングレートが低いので望ましい。また、希ガスは化学的に安 定であるため、シリコンをはじめとする固体基体表面との反応性が低ぐ固体基体表 面に吸着しにくい。そのため、イオンによる不純物導入にカ卩えて、ガス吸着による不 純物の導入が期待できる。
[0033] また本発明の不純物導入方法は、前記第 1の工程が、 Heを含むプラズマを照射す る工程を含む。
この方法によれば、 He元素はァニール工程中に半導体基板の外に外方拡散し易く 、ァニール後に半導体基板中に残留しないという理由から、シリコンの結晶が回復し 易いので望ましい。さらに、シリコンやゲルマニウムに比べて原子半径が小さいので、
わずかにシリコン中に残った場合でも、結晶回復を妨げにくいので望ましい。また、 不活性元素であるためプラズマ照射時にも、さらに半導体基板中においてもシリコン と反応し 1 、プラズマ照射時のエッチングレートが低いので望ましい。
さらにまた、本発明の不純物導入方法は、前記第 1および第 2の工程は同時に実行 され、前記 99から 99. 999ガス濃度%の Heを含むプラズマを照射することにより、ァ モルファス層を形成する工程を含む。
この方法によれば、ボロンを導入せず、砒素などを導入して n層を形成したい場合 にも応用できる。すなわち、砒素などの不純物元素を含むガスを Heガスで希釈した 方法である。この方法によれば、砒素などの不純物を、一般的にイオン注入で使わ れるドーズ量を導入して n層を形成できる。さらにアモルファス層の形成に Heを用 V、る ので、ァニール工程中に半導体基板の外に外方拡散し易ぐァニール後に半導体 基板中に残留しないという理由から、シリコンの結晶が回復し易い。さらに、シリコン やゲルマニウムに比べて原子半径が小さいので、わずかにシリコン中に残った場合 でも、結晶回復を妨げにくい。また、不活性元素であるためプラズマ照射時にも、さら に半導体基板中においてもシリコンと反応し 1 、プラズマ照射時のエッチングレート が低い。
[0034] また、ガス種を選択することにより、アモルファス化の深さを選択することができること がわかった。そこで必要とするアモルファス層の深さに応じてガス種を選択することが できる。アモルファス層の深さに応じてガス種を選択することで装置に大きな負荷を かけたり、電源を大型化したりすることなぐ所望の深さのアモルファス層を形成する ことができる。
[0035] また本発明の不純物導入方法は、前記第 1の工程は、 Neを含むプラズマを照射す る工程を含む。
この方法によれば、実験結果から 3. 7〜7. 7nmのアモルファス層を容易に形成で きることが期待できる。このため、ガス種を選択することにより、効率よく所望の深さに 不純物領域を形成することができる。さらに、シリコンやゲルマニウムに比べて原子半 径が小さいので、わずかにシリコン中に残った場合でも、結晶回復を妨げにくいので 望ましい。
[0036] また本発明の不純物導入方法は、前記第 1の工程は、 Arを含むプラズマを照射す る工程を含む。
この方法によれば,実験結果から 2〜4. 7nmのアモルファス層を形成することがで きることがわ力つている。このため、効率よく所望の深さに不純物領域を形成すること ができる。さらに、ゲルマニウムに比べて原子半径が小さいので、わずかにシリコン中 に残った場合でも、ゲルマニウムよりは結晶回復を妨げにくいので望ましい。
[0037] また本発明の不純物導入方法は、前記第 1の工程は、 Krを含むプラズマを照射す る工程を含む。
この方法によれば,実験結果から 2. 5nm以下の浅いアモルファス層を容易に形成 できることが期待できる。このため、効率よく所望の深さに不純物領域を形成すること ができる。
[0038] また本発明の不純物導入方法は、前記第 1の工程は、 Xeを含むプラズマを照射す る工程を含む。
この方法によれば,実験結果から 2. lnm以下の浅いアモルファス層を形成するこ とができることがわ力つている。このため、浅い不純物領域を形成することができる。
[0039] また本発明の不純物導入方法は、前記第 1の工程は、 Rnを含むプラズマを照射す る工程を含む。
この方法によれば,実験結果から 1. 2nm以下のアモルファス層を形成し易いこと が期待できる。このため、効率よく所望の深さに不純物領域を形成することができる。
[0040] さらにまた、本発明の不純物導入方法は、前記第 1の工程が、原子量を Y(u)とし、 アモルファス層の深さを X (nm)として原子量 Y(u)の元素を主成分として構成される プラズマを用いて、
- (I/O. 481) ·1η(Υ/121. 37) <Χ< (Υ/270. 87) _ (1/1· 2684)で表される範囲 のアモルファス層を形成する工程を含む。
実験結果力 プラズマに用いる元素の原子量と形成されるアモルファス層の深さと の関係を測定した結果、上記式の範囲となることがわ力つた。したがって、必要とする アモルファス層の深さに応じてプラズマに用いる元素の種類を選択する事により、容 易に所望の深さを得ることができる。ここでプラズマは直接照射してもよいし、プラズ
マから引き出すイオンシャワーを用 、てイオンとして照射してもよ 、。
[0041] さらにまた、本発明の不純物導入方法は、前記第 1および第 2の工程は同時に実行 され、前記 0. 001から 1. 0ガス濃度。/。の B Hを含むプラズマを照射することにより、
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不純物導入層を形成する工程を含む。
この方法によれば、 400nm以上の波長の光吸収率が極めて良好な半導体層を形 成することができ、且つ、一般的に半導体で用いる不純物のドーズ量を実現できるの で、良好に活性化され実用可能な抵抗値を有する不純物領域を形成することができ る。
[0042] さらにまた、本発明の不純物導入方法は、前記不純物導入層を形成する工程は、 前記 0. 001から 1. 0ガス濃度%の B Hを含む Heプラズマを照射することにより、不
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純物導入層を形成する工程を含む。
この方法によれば、上記効果にカ卩え、ァニール工程中に半導体基板の外に外方拡 散し易ぐァニール後に半導体基板中に残留しないという理由から、シリコンの結晶 が回復し易い。さらに、シリコンやゲルマニウムに比べて原子半径が小さいので、わ ずかにシリコン中に残った場合でも、結晶回復を妨げにくい。また、不活性元素であ るためプラズマ照射時にも、さらに半導体基板中においてもシリコンと反応し難ぐプ ラズマ照射時のエッチングレートが低い。また、一般的にイオン注入で使われる範囲 の不純物ドーズ量を導入できる。
[0043] また本発明の不純物導入方法は、前記第 1の工程は、水素を含むプラズマを照射 する工程を含む。
この方法によれば、水素はァニール工程中に半導体基板の外に外方拡散し易ぐ ァニール後に半導体基板中に残留しないという理由から、シリコンの結晶が回復し易 いので望ましい。さらに、シリコンやゲルマニウムに比べて原子半径が小さいので、わ ずかにシリコン中に残った場合でも、結晶回復を妨げにく!、ので望ま 、。
[0044] また本発明の不純物導入装置は、固体基体表面に半導体中で電気的に不活性な 粒子で構成されたプラズマを照射する照射手段と、固体基体表面に不純物を導入す る導入手段とを含む。
この装置によれば、上記方法を効率よく実現可能である。
[0045] また本発明の不純物導入装置は、導入した前記不純物を活性化させるァニール手 段を含む。
[0046] また本発明の不純物導入装置は、前記導入手段、照射手段、ァニール手段は同 一チャンバ一内で順次実行できるように構成される。
この装置によれば、装置の小型化をは力ることができ、被処理物である固体基体が 外気に触れることなく一連の処理を実行することができる。
[0047] さらにまた、本発明の不純物導入装置は、前記導入手段、照射手段、ァニール手 段の少なくとも 2つが同一チャンバ一内で同時に実行できるように構成されたものを 含む。
この装置によれば、装置を小型化できる。
発明の効果
[0048] 本発明の不純物導入方法によれば、不活性なガスプラズマを照射して、ァモルファ ス層を形成し、ここに不純物を導入しているため、不純物が効率よく導入され浅く高 精度の接合が可能となる。またアモルファス層内に微細なポーラスを形成することが でき、このポーラス内に不純物を効率よく導入することができるため、微細な不純物 領域を形成することができ、高精度に微細な領域に接合を形成することができる。 図面の簡単な説明
[0049] [図 1]本発明の一実施の形態で用いられる装置の要部断面図である。
[図 2]本発明に係るプラズマ処理後のシリコン基板表面を AFM観察した図である。
[図 3]比較例のプラズマ処理後のシリコン基板表面を AFMで観察した図である。
[図 4]比較例のイオン注入後のシリコン基板表面を AFMで観察した図である。
[図 5]本発明の一実施の形態と比較例とについてアモルファス層の厚さと表面粗さと バイアスの関係を示す図である。
[図 6]本発明の実施例の断面 TEM観察像を示した図である。
[図 7]本発明の実施例の断面 TEM観察像を示した図である。
[図 8]比較例の断面 TEM観察像を示した図である。
[図 9]比較明の実施例の断面 TEM観察像を示した図である。
[図 10]本発明の一実施の形態と比較例とについて不純物導入後のボロンの SIMSプ
口ファイルを比較した図である。
[図 11]本発明の一実施の形態と比較例とについて RTAを用いた場合のシート抵抗と バイアスの関係を示した図である。
[図 12]本発明の一実施の形態と比較例とについて spikeRTAを用いた場合のシート抵 抗とバイアスと接合深さの関係を示した図である。
[図 13]本発明に係るアモルファス層の深さとプラズマ照射に用いる元素の原子量の 関係を示した図である。
[図 14]Heガス,アルゴンとヘリウムの混合ガス、窒素ガスのプラズマ照射アモルファス ィ匕におけるバイアスとアモルファス層厚さの関係を示した図である。
[図 15]アルゴンとヘリウムの混合ガスプラズマ照射アモルファス化における Arガスの 混合割合とアモルファス層厚さの関係を示した図である。
[図 16]ヘリウムで希釈した B Hのプラズマドーピングと RTAの前処理に、ヘリウム照射
2 6
アモルファス化とアルゴンとヘリウムの混合ガスプラズマ照射アモルファス化を用いた 場合の、アモルファス化におけるバイアスとシート抵抗の関係を示した図である。
[図 17]本発明と比較例の波長 530nmの光に対する光吸収係数を比較した図である [図 18]本発明と比較例の B Hガスとヘリウムガスの混合比を変えた場合のァモルファ
2 6
ス層の厚さを比較した図である。
[図 19]B Hガスとヘリウムガスの混合比を変えた場合のボロンドーズ量の変化を説明
2 6
する図である。
[図 20]本発明の一実施の形態で用いられるイオンシャワー装置の要部断面図である 符号の説明
1 高周波電源
2 マッチングボックス
3 =fィル
4 マスフローコントローラ
5 マスフローコントローラ
6 ターボ分子ポンプ
7 コンダクタンスノ レブ
8 ドライポンプ
9 サーキユレータ
10 DC電源
11 マッチングボックス
12 高周波電源
13 被処理基板
14 下部電極
15 直空チャンノ ー
発明を実施するための最良の形態
[0051] 以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし 、本発明は以下の実施の形態に限定されない。
(実施の形態 1)
図 1は本発明の不純物導入装置を模式的に示した断面図である。
[0052] この不純物導入装置 100は、図 1に示すように、装置内で、プラズマドーピング、プ ラズマ照射、ァ-—ルが順次実行できるように構成されたものである。即ちこの装置 は、真空チャンバ一 15内に配設された下部電極 14を兼ねるサセプタに被処理基板 13としての半導体基板を設置し、この基板表面近傍に、プラズマ発生領域を形成し 、プラズマドーピングおよびプラズマ照射を実現するものである。高周波電源 1から、 マッチングボックス 2を介してコイル 3が取り付けられており、このコイル 3と下部電極 1 4との間に高周波電力が供給される。また下部電極 14は、 DC電源 10に接続される とともに高周波電源 12に対して、マッチングボックス 11を介して接続されて!ヽる。
[0053] また、真空チャンバ一 15の真空度はコンダクタンスバルブ 7を介して接続されたタ ーボ分子ポンプ 6及びドライポンプ 8で調整される。また下部電極 14はサーキユレ一 タ 9によって回転可能に形成されている。またこのチャンバ一には、 Heガスなどの不 活性ガスをチャンバ一内に供給するための不活性ガス用のマスフローコントローラ 4と これに対向した位置にジボランガスを導入するための不純物ガス用のマスフローコン
トローラ 5が形成されている。
[0054] このようにして不純物導入装置の本体部が構成される力 この装置は枚葉型でしか も急速処理を可能にするために、全体の容積特に真空チャンバ一 15の容積が必要 最小限になるように構成することが重要である。ここで、プラズマ発生領域は、へリコ ン波プラズマ源、 ECR (Electron Cycloron Resonance)プラズマ源、 ICPプラズマ源 等を用いて形成するのが望ましい。このようなプラズマ源により、被処理基板 13に導 入するための不純物あるいはプラズマ照射のためのガスを含有する物質、ここでは B2 H6および Heガスをそれぞれの工程でプラズマ励起する。
[0055] 上記不純物を含有するガス物質の供給系では、マスフローコントローラ 4、 5を介し て真空チャンバ一 15に一定量のガス物質が供給される。なお、ガス流量はマスフ口 一コントローラ 4, 5で別々に制御することができるように構成されている。この供給量 はマスフローコントローラ 4、 5、真空チャンバ一 15の容積、温度、真空度で決定され 、それぞれ温度計および圧力計でモニターされ、図示しないがそれぞれの温度制御 部、圧力制御部でガス温度、圧力が安定的に制御されている。
[0056] この装置では、シリコン基板 13を真空チャンバ一 15内に搬送した後、下部電極 14 上に設置した。真空チャンバ一 15には希ガスの導入管 16とジボランガスの導入管 1 7を別々に接続した。なお、希ガスは、希ガスプラズマを表面に照射することでシリコ ン基板表面をアモルファス化させるために用いる。ジボランガスは、プラズマ化されて プラズマドーピングするために用 、られたり、ガスのまま真空チャンバ一 15に導入さ れてガスドーピングに用いられたりする。
[0057] まず、真空チャンバ一を所望の真空度にセットした後、希ガスの導入管 16を開き、 希ガスのプラズマを生成してシリコン基板 13に、電気的に不活性な粒子のみ力ゝらな るプラズマを照射してアモルファス層を形成する。アモルファス層は、プラズマ照射条 件により、微細なポーラスを有することもあるし、有さないこともある。
そしてジボランガスの導入管 17を開き、このアモルファス化されたシリコン基板 13の 所定の領域に、前記固体基体に不純物導入層を形成する。
そして、図示しないァニール手段でァニールし、浅い接合を形成する。
このようにして浅く低抵抗で高精度の不純物ドーピングが実現される。
[0058] (実施の形態 2)
次に本発明の実施の形態 2について説明する。
前記実施の形態 1では、アモルファス化したのち不純物を導入したが、実施の形態 2では、不純物を導入した後、不活性なガスプラズマを照射してアモルファス層を形 成するようにしたことを特徴とする。
[0059] すなわち、真空チャンバ一を所望の真空度にセットした後、ジボランガスの導入管 1 7を開き、シリコン基板 13の所定の領域に不純物導入層を形成する。
この後、希ガスの導入管 16を開き、希ガスのプラズマを生成してシリコン基板 13に 、電気的に不活性な粒子のみカゝらなるプラズマを照射してアモルファス層を形成する 。アモルファス層は、プラズマ照射条件により、微細なポーラスを有することもあるし、 有さないことちある。
[0060] そして、図示しな 、ァニール手段でァニールし、浅 、接合を形成する。
このようにして浅く低抵抗で高精度の不純物ドーピングが実現される。
[0061] (実施の形態 3)
次に本発明の実施の形態 3について説明する。
前記実施の形態 1では、アモルファス化したのち不純物を導入したが、実施の形態 3では、不純物を導入する工程と、不活性なガスプラズマを照射してアモルファス層 を形成する工程とを同時に実行するようにしたことを特徴とする。
[0062] すなわち、真空チャンバ一を所望の真空度にセットした後、希ガスの導入管 16とジ ボランガスの導入管 17とを同時に開き、希ガスのプラズマを生成してシリコン基板 13 に、電気的に不活性な粒子のみカゝらなるプラズマを照射してアモルファス層を形成し ながら、シリコン基板 13の所定の領域に、前記固体基体に不純物導入層を形成する 。アモルファス層は、プラズマ照射条件により、微細なポーラスを有することもあるし、 有さないことちある。
そして、図示しないァニール手段でァニールし、浅い接合を形成する。 このようにして浅く低抵抗で高精度の不純物ドーピングが実現される。
[0063] 次に本発明の実施例について具体的に説明する。
以下の実施例では、固体基体自体の表面アモルファス化のためのプロセスについ
て説明する。
<実施例 1 >
(表面荒れ)
まず、プラズマを照射してアモルファス層を形成する工程での表面荒れにっ 、て詳 細に説明する。
真空チャンバ一 15内で、被処理体 13としてのシリコン基板にプラズマを照射した。 ここでプラズマ源は、ヘリコン波プラズマ源を用いた。
用いたガスは、ヘリウムガスである。
[0064] まず最初に、シリコン基板 13にヘリウムプラズマを照射した。プラズマ照射条件は、 圧力 0. 9Pa、プラズマ照射時間 7秒、バイアス電圧 75Vから 310Vの範囲で行った。 プラズマ照射を止めて、真空チャンバ一 15内部を最初に真空引きした後、窒素ガス でパージをして基板を真空チャンバ一 15から取り出した。取り出した基板の表面を A FMで測定した。
[0065] 図 2は、本発明の実施例としてヘリウムプラズマを照射におけるバイアス電圧を 75V 力 150Vの範囲で変化させたときの表面の AFM観察結果である。シリコン基板 21 表面の表面荒れは、 RMSで 0. 3nm以下であった。
図 3は、比較例としてバイアス電圧を 250Vと 310Vとしてヘリウムプラズマ処理した 場合の表面の AFM観察結果である。シリコン基板 21表面の表面荒れは、 RMSで 0. 355nmと 0. 517nmであり表面荒れが発生した。
図 4は、比較例として通例の条件を用いたイオン注入でボロンをシリコン基板に注 入した後のシリコン基板 21表面である。力!]速エネルギーは 0. 5kV、ボロンドーズ量 は 1 X 1015cm_2と 2 X 1014cm_2である。表面荒れは、 RMSで 0. 3nm以下であった。 イオン注入は既に工業的に長年の実績があることから、 RMSで 0. 3nm程度の表面 荒れは生産工程上で許容できると考えられる。
[0066] 上記の結果から、プラズマを照射してアモルファス層を形成する工程においては、 プラズマ照射における印加電圧が 250V未満の場合には表面荒れはイオン注入の 水準以下の水準であり、実用上の問題は発生しないと考えられる。よって、バイアス 電圧は 250V未満が望ましいことが了解できる。
[0067] <実施例 2>
(アモルファス層の厚さ)
次に、プラズマを照射してアモルファス層を形成する工程でのアモルファス層の厚 さについて詳しく説明する。
[0068] 真空チャンバ一 15内で、被処理体 13としてのシリコン基板にプラズマを照射した。
プラズマ源は、ヘリコン波プラズマ源を用いた。用いたガスは、ヘリウムガスである。 最初に、シリコン基板にヘリウムプラズマを照射した。プラズマ照射条件は、圧力 0. 9Pa、プラズマ照射時間 7秒、バイアス電圧 75Vから 310Vの範囲で行った。プラズマ 照射を止めて、真空チャンバ一 15内部を最初に真空引きした後、窒素ガスでパージ をして基板を真空チャンバ一 15から取り出した。エリプソメトリーで取り出した基板表 面のアモルファス層の厚さを測定した。一部のサンプルは、断面 TEMでアモルファス 層の厚さを確認し、エリプソメトリーの測定結果と比較した。そして、断面 TEMの測定 結果を用いてエリプソメトリーの測定結果を校正することで、全てのサンプルのァモル ファス層の深さを求めた。
[0069] 図 5は、バイアス電圧とアモルファス層の厚さの関係である。参照のために、前節で 説明したバイアス電圧と表面荒れの関係もあわせて示した。アモルファス層の厚さは 、ノィァス電圧の増加に従って増加した。形成できるアモルファス層の厚さ範囲は、 4 . 5nm以上、 24nm以下の範囲である。ここで、表面荒れの観点からは、バイアス電 圧が 225V以下の場合に実用上の問題は発生しない。このような範囲のアモルファス 層の厚さは、 19nm以下である。つまり、表面荒れの観点力 実用上の問題が発生し ないアモルファス層の厚さは、 19nm以下である。
[0070] <実施例 3 >
(ポーラスシリコン)
次に、プラズマを照射してアモルファス層を形成する工程でのアモルファス層の中 のポーラス形成について詳しく説明する。ここで、ポーラスとはシリコン基板中で密度 が疎の部分のことであり、マイクロカプセルやバブルと言われることもある。
真空チャンバ一 15内で、被処理体 13としてのシリコン基板にプラズマを照射した。 プラズマ源は、ヘリコン波プラズマ源を用いた。
用いたガスは、ヘリウムガスである。
[0071] 最初に、シリコン基板にヘリウムプラズマを照射した。プラズマ照射条件は、ソース パワー 1500W、圧力 0. 9Pa、プラズマ照射時間 7秒、バイアス電圧 75V、 150V、 20 0V、 310Vで行った。プラズマ照射を止めて、真空チャンバ一 15内部を最初に真空 引きした後、窒素ガスでパージをして基板を真空チャンバ一 15から取り出した。 TEM で取り出した基板の断面を観察した。
図 6は、バイアス電圧を 75Vとして行った場合の断面 TEM像である。表面から 8nm の深さのアモルファス層が形成されていた。ポーラスは見られなかった。或いは、 TE Mでは観察できな 、程度に寸法の微細なポーラスが形成されて 、る可能性もある。こ れにより、光吸収性の良いアモルファス層を形成できる。
[0072] 図 7は、バイアス電圧を 150Vとして行った場合の断面 TEM像である。表面から 13.
5nmの深さのアモルファス層が形成されていた。また、表面からの深さが 3. 2nmから 9. 6nmの範囲に、直径が 6. 4nm以下のポーラス(微孔)が存在している。ポーラス とは、周囲のアモルファスシリコンに比べて、微孔の存在により、密度が疎となってい る部分をいうものとする。
[0073] このときアモルファスシリコン層の厚さは 13. 5nmであり、アモルファスシリコン層内 にポーラスが形成されており、この部分に選択的に不純物を導入することにより不純 物濃度プロファイルの急峻性が良く、微細で結晶性の良好な不純物領域が形成可 能である。
[0074] 図 8は、バイアス電圧を 200 Vとして行った場合の断面 TEM像である。表面から 17.
5nmの深さのアモルファス層が形成されていた。表面からの深さが 3. 2nmから 14. 5nmの範囲に、直径が 9. 5nm以下のポーラスが存在している。断面 TEM像のポー ラスは、バイアス電圧が 150Vの場合と比べて、輪郭がはっきりしていることが了解で きる。これは、ポーラスの密度が結晶シリコンの密度に比べて、より小さくなつたためと 考えられる。
[0075] このときアモルファスシリコン層の厚さは 17. 5nmであり、アモルファスシリコン層内 にポーラスが形成されており、この部分に選択的に不純物を導入することにより不純 物濃度プロファイルの急峻性の良好な不純物領域が形成可能である。
[0076] 図 9は、バイアス電圧を 310Vとして行った場合の断面 TEM像である。表面から 24η mの深さのアモルファス層が形成されていた。表面からの深さが 3. 2nmから 19nm の範囲に、直径が 9. 5nm以下のポーラスが存在している。断面 TEM像のポーラスは 、ノィァス電圧が 200Vの場合と比べて、輪郭がよりはっきりしていることが了解できる 。これは、ポーラスの密度が結晶シリコンの密度に比べて、バイアス電圧が 200Vの 場合よりもさらに小さくなつたためと考えられる。また、アモルファス層と結晶シリコン層 の界面にダメージができて 、た。
[0077] このときアモルファスシリコン層の厚さは 24nmであり、アモルファスシリコン層内に ポーラスが形成されており、この部分に選択的に不純物を導入することにより不純物 濃度プロファイルの急峻性の良好な不純物領域が形成可能である。
このように、ヘリウムプラズマ照射時のバイアス電圧を変化させることで、ァモルファ ス層の厚さとポーラスの形成位置、ポーラスの直径、密度を変化させることができる。
[0078] <実施例 4>
(as dopedの SIMSプロファイルの比較)
次に、ポーラスを有するアモルファス層が不純物の深さ方向のプロファイルに及ぼ す影響について説明する。
真空チャンバ一 15内で、被処理体 13としてのシリコン基板にプラズマを照射した。 プラズマ源は、ヘリコン波プラズマ源を用いた。
用いたガスは、アモルファス化工程はヘリウムガスであり、ドーピング工程はジボラン ガスである。
[0079] 最初に、シリコン基板にヘリウムプラズマを照射した。プラズマ照射条件は、ソース パワー 1500W、圧力 0. 9Pa、プラズマ照射時間 7秒、バイアス電圧 150V、 250Vで 行った。プラズマ照射を止めて、真空チャンバ一 15内部を真空引きした。その後、シ リコン基板を真空チャンバ一 15から取り出さずにジボランとヘリウムの混合ガスプラス、 マを照射した。混合ガスは、ジボランガス濃度 5%、ヘリウムガス濃度 95%で行った。 プラズマ照射条件は、ソースパワー 1000W、圧力 2. 5Pa、プラズマ照射時間 7秒、バ ィァス電圧 100Vで行った。その後、プラズマ照射を止めて、真空チャンバ一 15内部 を真空引きし、窒素ガスでパージをして基板を真空チャンバ一 15から取り出した。
[0080] また、比較のために、ヘリウムプラズマ照射を行わな 、サンプルも作成した。すなわ ち、最初に、シリコン基板にジボランとヘリウムの混合ガスプラズマを照射した。混合 ガスは、ジボランガス濃度 5%、ヘリウムガス濃度 95%で行った。プラズマ照射条件 は、ソースパワー 1000W、圧力 2. 5Pa、プラズマ照射時間 7秒、バイアス電圧 100V で行った。その後、プラズマ照射を止めて、真空チャンバ一 15内部を真空引きし、窒 素ガスでパージをして基板を真空チャンバ一 15から取り出した。
全てのサンプルにつ 、て、 SIMSで取り出した基板のボロン濃度の深さプロファイル を測定した。
[0081] 図 10は、 as-dopedの SIMSプロファイルである。黒色で示したプロファイルは、へリウ ムプラズマ照射なしで B Hガスを 5%で Heガスを 95%とした混合したガスを用い、 SP 100
2 6
0 W、圧力 0.9 Pa、バイアス 100 V、 7秒の条件でプラズマドーピングした場合である。 長い鎖線で示したプロファイルは、ヘリウムプラズマ照射をバイアス 150 Vで行った後 に上記と同じ条件でプラズマドーピングしたものである。短 、鎖線のプロファイルは、 ヘリウムプラズマ照射を 250 Vで行った後に同様にプラズマドーピングした場合の as- dopedの SIMSプロファイルである。
[0082] ボロン濃度深さプロファイルの結果は、プラズマドーピング条件が同じであるにも係 らず、ヘリウムプラズマ照射のバイアスにより SIMSプロファイルは異なっていた。さらに 、ヘリウムプラズマ照射を行った場合の方が、行わな力つた場合と比較して深くまでド 一ビングされた。ドーピングの深さをボロン濃度が 5E18 cm-3になる深さとした場合、 ドーピングの深さはヘリウムプラズマ照射で形成したアモルファス層の深さの 50%か ら 60%の深さであった。
[0083] また、ヘリウムプラズマ照射で形成したアモルファス層の深さが深いほど、ドーピン グの深さも深くなつた。すなわち、ヘリウムプラズマ照射で 13.5 nmのアモルファス層を 形成しておいた場合にはボロンのドーピング深さは 8.1 nmであり、アモルファス層の 厚さを 21.4 nmとした場合はボロンのドーピング深さは 11.2 nmであった。これは、ィォ ン注入を用いた Geプレアモルファス化イオン注入とボロンイオン注入の組合せの場 合と異なる結果である。イオン注入の場合は、 Geプレアモルファスィ匕イオン注入でプ
レアモルファス化を行うことで、チャネリングを防ぐ効果がある。
[0084] すなわち、 Geプレアモルファス化イオン注入では、プレアモルファス化を行った方 1S ボロンドーピングの深さが浅くなることが報告されている。本発明の実験結果は、 ヘリウムプラズマ照射によって Si基板中に微小なマイクロカプセルを準備した後、ポ 一ラス内部にボロンを入れることで、ポーラスにボロンが選択的に導入されている可 能性を示唆している。
[0085] 結果をプロファイルの急峻性でまとめた。急峻性とは、ボロン濃度が lE19cm_3から lE18cm_3になるときの深さ方向の距離で表される。この距離が短いほど、急峻なプ 口ファイルを実現できていることになる。急峻性が高い方が、 pn接合の p領域と n領域 の接合境界面付近で不純物濃度が急激に変化することになり望ましい。ヘリウムブラ ズマ照射をしていないサンプルの急峻性は、 3. 2nm/decであった。これに対して、 1 50Vでヘリウムプラズマ照射した後にプラズマドーピングしたサンプルの急峻性は、 1 . 7nm/decであった。 250Vでヘリウムプラズマ照射した後にプラズマドーピングした サンプルの急峻性は、 2. 5nm/decであった。プロファイルの急峻性は、ヘリウムプラ ズマを照射した場合の方が高いことが了解でき、本発明の効果が認められる。
[0086] <実施例 5 >
(ヘリウムプラズマ照射のバイアスがシート抵抗に及ぼす影響)
ヘリウムプラズマ照射のバイアスとシート抵抗の関係について詳しく説明する。 真空チャンバ一 15内で、被処理体 13としてのシリコン基板にプラズマを照射した。 プラズマ源は、ヘリコン波プラズマ源を用いた。
用いたガスは、ヘリウムガスである。
[0087] 最初に、シリコン基板にヘリウムプラズマを照射した。プラズマ照射条件は、圧力 0.
9Paゝプラズマ照射時間 7秒、ノ ィァス電圧 75Vゝ 150Vゝ 200Vゝ 250Vで行った。プ ラズマ照射を止めて、真空チャンバ一 15内部を 5秒間真空引きした。その後、 B Hガ
2 6 スを Heガスで希釈したガスを用 、たプラズマを照射した。
プラズマ照射条件は、圧力 2. 5Pa、プラズマ照射時間 7秒、バイアス電圧 100Vで 行った。プラズマ照射を止めて、真空引きした後、窒素ガスでパージをして基板を真 空チャンバ一 15から取り出した。
[0088] 比較のために、ヘリウムプラズマを照射して ヽな 、サンプルも作成した。すなわち、 最初に、シリコン基板に B Hガスを Heガスで希釈したガスを用いたプラズマを照射し
2 6
た。プラズマ照射条件は、圧力 2. 5Pa、プラズマ照射時間 7秒、バイアス電圧 100V で行った。プラズマ照射を止めて、真空引きした後、窒素ガスでパージをして基板を 真空チャンバ一 15から取り出した。
[0089] その後、全てのサンプルを昇温速度が 12°C/秒、降温速度が 6°C/秒の高速熱ァ- ール (RTA)で 900°Cで熱処理した。温度を 900°Cに維持した時間はゼロ秒である。 熱処理後、 4探針法を用いてシート抵抗を測定した。また、全てのサンプルについて 熱処理前に SIMSを用いてボロンのドーズ量を測定した。
ボロンのドーズ量は、全てのサンプルが 2 X 1015cm_2とほぼ同じであった。
[0090] 図 11はヘリウムプラズマ照射時のバイアスとシート抵抗の関係である。シート抵抗 は、ヘリウムプラズマ照射なしの場合、つまり B Hガスを Heガスで希釈したガスを用い
2 6
たプラズマの照射だけを行った場合にシート抵抗は 1934 ohm/sqであった。 150Vの ヘリウムプラズマ照射を前処理として行うことで、シート抵抗は 1570 ohm/sqに低下し た。シート抵抗低下の割合は、 19 %であった。ただし、ヘリウムプラズマ照射のバイァ スがシート抵抗を最小にする値を超えると、シート抵抗は急に高くなつた。つまり、 20 0Vのヘリウムプラズマ照射を行った場合のシート抵抗は 1815 ohm/sqであり、 150V の場合よりも高くなつた。
[0091] <実施例 6 >
(ヘリウムプラズマ照射のバイアスが接合深さに及ぼす影響)
ヘリウムプラズマ照射のバイアスとシート抵抗の関係について詳しく説明する。 真空チャンバ一 15内で、被処理体 13としてのシリコン基板にプラズマを照射した。 プラズマ源は、ヘリコン波プラズマ源を用いた。
用いたガスは、ヘリウムガスである。
[0092] 最初に、シリコン基板にヘリウムプラズマを照射した。プラズマ照射条件は、圧力 0.
9Pa、プラズマ照射時間 7秒、バイアス電圧 75V、 150V、 250Vで行った。プラズマ 照射を止めて、真空チャンバ一 15内部を 5秒間真空引きした。その後、 B Hガスを H
2 6 eガスで希釈したガスを用いたプラズマを照射した。プラズマ照射条件は、圧力 2. 5P
a、プラズマ照射時間 7秒、バイアス電圧 200Vで行った。プラズマ照射を止めて、真 空引きした後、窒素ガスでパージをして基板を真空チャンバ一 15から取り出した。
[0093] 比較のために、ヘリウムプラズマを照射して ヽな 、サンプルも作成した。すなわち、 最初に、シリコン基板に B Hガスを Heガスで希釈したガスを用いたプラズマを照射し
2 6
た。
プラズマ照射条件は、圧力 2. 5Pa、プラズマ照射時間 7秒、バイアス電圧 200Vで 行った。プラズマ照射を止めて、真空引きした後、窒素ガスでパージをして基板を真 空チャンバ一 15から取り出した。
[0094] その後、全てのサンプルを昇温速度が 200°C/秒、降温速度が 52°C/秒のスパイク 高速熱ァニール(spikeRTA)を用いて 1000°Cで熱処理した。温度を 1000°Cに維持 した時間はゼロ秒である。熱処理後、 4探針法を用いてシート抵抗を測定した。また、 全てのサンプルについて熱処理後の SIMSプロファイルを測定した。
ボロンのドーズ量は、全てのサンプルがほぼ同じで 2 X 1015cm_2であった。 以上の結果力も不純物の導入に先だち、 150V以下の不活性プラズマ照射を前処 理として実施し、深さ 4. 5nm以上 19nm未満のアモルファス層を形成しておくことに より、ばらつきが少なく低抵抗の不純物領域を形成することが可能となる。
[0095] また、ヘリウムプラズマ照射におけるバイアスと接合深さ Xjの関係とを測定した。
図 12はヘリウムプラズマ照射時のバイアスと接合深さ Xjの関係を測定した結果であ る。シート抵抗も合わせて示した。シート抵抗は 150Vのヘリウムプラズマ照射を前処 理として行った場合に最小の値であった。これに対して、接合深さはボロン濃度が 1E 18cm_2のときの深さで定義すると、全てのサンプルに対してほぼ同じであった。なお、 ボロンのドーズ量は全てのサンプルで同じである。
このように、ヘリウムプラズマ照射におけるバイアスには、ボロンドーズ量が同じであ るにも係らず接合深さを変えることなしにシート抵抗を最小にする最適値が存在する
[0096] <実施例 7 >
(プラズマ照射に用いるガスの種類がアモルファス層の深さに及ぼす影響) プラズマを照射してシリコン結晶をアモルファス化するときの、プラズマの元素の原
子量と、形成できるアモルファス層の深さの関係について詳しく説明する。
真空チャンバ一 15内で、被処理体 13としてのシリコン基板にプラズマを照射した。 プラズマ源は、ヘリコン波プラズマ源と ICPプラズマ源を用いた。
用いたガスは、ヘリウムガス、窒素ガス、酸素ガス、ァノレゴンガス、キセノンガスをそ れぞれ用いた。
[0097] 最初に、プラズマ源は、ヘリコン波プラズマ源を用いてシリコン基板にプラズマを照 射した。プラズマは、ヘリウム、窒素、酸素、アルゴン、キセノンのプラズマをそれぞれ 別々に用いた。プラズマ照射条件は、圧力 0. 9Paから 2. 5Paの範囲、プラズマ照射 時間 7秒から 60秒の範囲、バイアス電圧 75Vから 310Vの範囲で条件を変化させて 行った。プラズマ照射を止めて、真空チャンバ一 15内部を真空引きした後、窒素ガス でパージをして基板を真空チャンバ一 15から取り出した。
[0098] 次に、 ICP (Inductively Coupled Plasma)プラズマ源を用いて同様にサンプルを作 成した。 ICPプラズマ源を備えた装置は、ヘリコン波プラズマ源を備えたものとチャン バーの形状や寸法などが異なる真空装置を用いた。すなわち、プラズマ源とチャンバ 一を変えて同様の実験を行った。最初に、シリコン基板にプラズマを照射した。ブラ ズマは、ヘリウム、窒素、酸素、アルゴン、キセノンのプラズマをそれぞれ別々に用い た。プラズマ照射条件は、圧力 1. OPaから 3. OPaの範囲、プラズマ照射時間 7秒から 30秒の範囲、バイアス電圧 490Vから 900Vの範囲で条件を変化させて行った。プラ ズマ照射を止めて、真空チャンバ一 15内部を真空引きした後、窒素ガスでパージを して基板を真空チャンバ一 15から取り出した。
[0099] エリプソメトリーを用いて全てのサンプルのアモルファス層の深さを測定した。
図 13はプラズマに用 、た元素の原子量とアモルファス層の深さの関係である。図 1 3中の Xは、ヘリコン波プラズマ源を備えた真空装置を用いた場合の結果である。一 方、塗りつぶした丸は ICPプラズマ源を備えた真空装置を用いた場合の結果である。 真空装置やプラズマ源に因らず、原子量が大きい元素を用いた方が、原子量の小さ い元素を用いた場合と比較してアモルファス層の深さが浅力つた。また、形成できる アモルファス層の深さ範囲は、元素の種類に大きく依存することが了解できる。
[0100] つまり、ヘリウムプラズマを用いた場合には、 7nm以上で、 32nm以下、望ましくは 2
7nm以下のアモルファス層の形成に適している。そして、窒素プラズマは、 2nm以上 、望ましくは 4. 5nm以上で、 lOnm以下のアモルファス層の形成に適している。酸素 プラズマは 4nm以上で、 7. 2nm以下に適している。アルゴンプラズマは、 2nm以上 で、 4. 7nm以下に適している。キセノンプラズマは、 2. lnm以下に適している。この 範囲と異なる深さのアモルファス層を作成しょうとすると、以下の課題が発生する。あ る元素を用いて、指定した範囲よりも浅いアモルファス層を形成しょうとすると、バイァ ス電圧が制御可能の電圧値以下になり、制御し難くなる。ノ^ァス電圧の安定性が 低下するという課題がある。一方、ある元素を用いて、指定した範囲よりも浅いァモル ファス層を形成しょうとすると、大きなバイアス電圧をカ卩える必要があるためにバイアス 電源が大型化したり、バイアス電源や装置の絶縁部に力かる負荷が大きくなつたりす るという課題がある。
[0101] 原子量を Y (u)とし、アモルファス層の深さを X (nm)とすると、元素に適したァモル ファス層の深さ範囲は、図 13で
Y> 121.37exp (-0.481X) · · · (式 1)
Y< 270.87X"1 2684 · · · (式 2)
で囲まれた領域で表される。式 1と式 2を Xについて解くと、
- (1/0.481) ·1η (Υ/121.37) <Χ< (Υ/270.87) 漏) · · · (式 3)
となる。式 3から、プラズマ照射に用いる元素を選択することで、装置を大型化したり、 負荷を掛けたりすることなく形成できるアモルファス層の深さを選択できる。
[0102] 逆に、形成したいアモルファス層の深さが決まれば、装置を大型化したり、負荷を掛 けたりすることなく形成できるように元素を選択できる。
[0103] 例えば、水素プラズマを用いたときには、 lOnm以上で、 82nm以下の範囲のァモ ルファス層を形成することが望ましい。逆に、 lOnm以上で、 82nm以下の範囲のァ モルファス層を形成するためには、水素プラズマを用いることが望ま 、。
[0104] 同様に、ネオンプラズマを用いたときには、 3. 7nm以上で、 7. 7nm以下の範囲の アモルファス層を形成することが望ましい。クリプトンプラズマを用いたときには、 2. 5 nm以下の範囲のアモルファス層を形成することが望ましい。ラドンプラズマを用いた ときには、 1. 2nm以下の範囲のアモルファス層を形成することが望ましい。
[0105] さらに、シリコンを含む系のプラズマを用いる場合には、 3nm以上で、 6nm以下の 範囲のアモルファス層を形成することが望ましい。ゲルマニウムを含む系のプラズマ を用いる場合には、 1. lnm以上で、 2. 8nm以下の範囲のアモルファス層を形成す ることが望ましい。ボロンを含む系のプラズマを用いる場合には、 5nm以上で、 12. 7 nm以下の範囲のアモルファス層を形成することが望ましい。リンを含む系のプラズマ を用いる場合には、 2. 8nm以上で、 5. 5nm以下の範囲のアモルファス層を形成す ることが望ましい。砒素を含む系のプラズマを用いる場合には、 lnm以上で、 2. 8n m以下の範囲のアモルファス層を形成することが望ましい。
なお、これらの範囲は、元素の原子量に大きく依存するものであり、プラズマに直接 曝す場合にも有効であるし、イオンシャワーの場合にも同様に有効であると考えられ る。
[0106] <実施例 8 >
(異なる種類の希ガス混合ガスを用いたプラズマ照射アモルファス化)
真空チャンバ一 15内で、被処理体 13としてのシリコン基板にプラズマを照射した。 プラズマ源は、ヘリコン波プラズマ源を用いた。
用いたガスは、ヘリウムとアルゴンの混合ガスである。混合比は、ヘリウムガス濃度 9 9 %とアルゴンガス濃度 1 %のもの、ヘリウムガス濃度 99 %とアルゴンガス濃度 1 %の もの、ヘリウムガス濃度 90%とアルゴンガス濃度 10%のもの、を用いた。
最初に、シリコン基板にプラズマを照射した。プラズマ照射条件は、ソースパワー 15 OOW、圧力 0. 9Pa、プラズマ照射時間 7秒、バイアス電圧 75V、 150V、 200Vで行 つた。プラズマ照射を止めて、真空チャンバ一 15内部を真空引きした。その後、ブラ ズマ照射を止めて、真空チャンバ一 15内部を真空引きし、窒素ガスでパージをして 基板を真空チャンバ一 15から取り出した。エリプソメトリーを用いてアモルファス層の 厚さを測定した。
[0107] 図 14は、 Heガス, Arと Heの混合ガス、 Nガスプラズマ照射アモルファス化における
2
バイアスとアモルファス層厚さの関係である。バイアスが 75V— 200Vの範囲で形成さ れるアモルファス層の厚さは、 Heガスプラズマ照射アモルファス化では 8nm-18nmで あるのに対して、 Arを 1%混合した Arと Heの混合ガスプラズマ照射アモルファス化では
8nm— 15nmであった。 Arを 10%混合した Arと Heの混合ガスプラズマ照射アモルファス 化の場合は、 3.8nm— 7.5nmであった。 Heに Arを混合することで、形成可能なァモル ファス層の厚さ範囲を変更できた。
[0108] 図 15は、 Arと Heの混合ガスプラズマ照射アモルファス化で Heと Arガスの混合比を 変化させたときの、 Arガスの混合割合とアモルファス層厚さの関係である。 Heと Arガ スの混合比は、 Ar/He 0%/100%, 1%/99%, 10%/90%の 3種類である。バイアスは 75V, 1 50V, 200Vで、プラズマ照射時間は 7秒である。 Arガスとヘリウムガスの混合比を変え ることで、アモルファス層の厚さを変えることができることを明らかに示せた。ァモルフ ァス層の厚さが変化した原因は、 Arガスとヘリウムガスの混合比を変えることで、等価 的にプラズマ中の元素の原子量を変化させたことによる。つまり、ヘリウムの原子量は 約 4. 0で、アルゴンの原子量は約 39. 9であるが、これらを混合することで、等価的に 原子量が 4. 0と 39. 9の間の元素を用いた場合と同等の効果を得られる。等価的に 見かけの原子量は、ヘリウムとアルゴンのガスの混合比で変化させることができる。
[0109] <実施例 9 >
(異なる種類の希ガス混合ガスを用いたプラズマ照射アモルファス化がシート抵抗に 及ぼす影響)
真空チャンバ一 15内で、被処理体 13としてのシリコン基板にプラズマを照射した。 プラズマ源は、ヘリコン波プラズマ源を用いた。
用いたガスは、アモルファス化工程はヘリウムとアルゴンの混合ガスである。混合比 は、ヘリウムガス濃度 99%とアルゴンガス濃度 1%のもの、ヘリウムガス濃度 99%とァ ルゴンガス濃度 1 %のもの、ヘリゥムガス濃度 90%とアルゴンガス濃度 10%のもの、 を用いた。比較のために、ヘリウムガスと、窒素ガスを用いたアモルファスィ匕も行った ドーピング工程はジボランガスをヘリウムガスで希釈した混合ガスを用いた。
[0110] 最初に、シリコン基板にアモルファス化のためのプラズマを照射した。プラズマ照射 条件は、ソースパワー 1500W、圧力 0. 9Pa、プラズマ照射時間 7秒、ノ ィァス電圧 7 5V、 150V、 200Vで行った。プラズマ照射を止めて、真空チャンバ一 15内部を真空 引きした。その後、シリコン基板を真空チャンバ一 15から取り出さずにジボランとヘリ
ゥムの混合ガスプラズマを照射した。混合ガスは、ジボランガス濃度 5%、ヘリウムガ ス濃度 95%で行った。プラズマ照射条件は、ソースパワー 1000W、圧力 2. 5Pa、プ ラズマ照射時間 7秒、ノィァス電圧 100Vで行った。その後、プラズマ照射を止めて、 真空チャンバ一 15内部を真空引きし、窒素ガスでパージをして基板を真空チャンバ 一 15から取り出した。
[0111] また、比較のために、アモルファス化のためのプラズマ照射を行わな!/、サンプルも 作成した。すなわち、最初に、シリコン基板にジボランとヘリウムの混合ガスプラズマ を照射した。混合ガスは、ジボランガス濃度 5%、ヘリウムガス濃度 95%で行った。プ ラズマ照射条件は、ソースパワー 1000W、圧力 2. 5Pa、プラズマ照射時間 7秒、バイ ァス電圧 100Vで行った。その後、プラズマ照射を止めて、真空チャンバ一 15内部を 真空引きし、窒素ガスでパージをして基板を真空チャンバ一 15から取り出した。 全てのサンプルについて、 900°C、 0秒で RTAし、 4探針法でシート抵抗を測定した
[0112] 図 16は、アルゴンとヘリウムの混合ガスプラズマ照射アモルファス化と、ジボランと ヘリウムの混合ガスプラズマドーピングと、 RTAで試作した p層のシート抵抗を、へリウ ムプラズマ照射アモルファス化と、ジボランとヘリウムの混合ガスプラズマドーピングと 、 RTAで試作したものと比較した図である。ヘリウムプラズマ照射アモルファス化では 、バイアスが 200Vのときには 150Vと比較して、シート抵抗が高くなつた。これに対し て、ヘリウムとアルゴンの混合ガスプラズマ照射アモルファス化の場合には、シート抵 抗はバイアスを高くするに従って低下した。ノ ィァスを高くすることで、よりシート抵抗 を低減できると考えられる。実際に、アモルファス化のためのプラズマ照射時のノィァ スが 200Vのときで比較すると、 Arを 1%混合したアルゴンとヘリウムの混合ガスプラズマ 照射アモルファス化を用いた方力 アモルファス層の厚さが 2.8nm浅いにも係らず、 ヘリウムプラズマ照射アモルファス化よりもシート抵抗が低下した。ヘリウムとアルゴン の混合ガスを用いた場合の方力 ヘリウムガスを用いた場合よりもシート抵抗を低減 し易い。
[0113] く実施例 10 >
(B Hガスをヘリウムガスで極度に希釈したプラズマ照射によるアモルファス化とブラ
ズマドーピング)
プラズマ照射で、アモルファス化と同時にボロンのドーピングを行う場合にっ ヽて詳 しく説明する。
[0114] 真空チャンバ一 15内で、被処理体 13としてのシリコン基板にプラズマを照射した。
プラズマ源は、ヘリコン波プラズマ源を用いた。
用いたガスは、ヘリウムガスとジボランガスの混合ガスである。混合比は、ヘリウムガ ス濃度 95%でジボランガス濃度 5%から、ヘリウムガス濃度 99. 975%でジボランガ ス濃度 0. 025%の範囲で変化させた。
最初に、シリコン基板にプラズマを照射した。プラズマ照射条件は、ソースパワー 15 00W、圧力 0. 9Pa、プラズマ照射時間 7秒、 30秒、 60秒とした。バイアス電圧は 60V で行った。その後、プラズマ照射を止めて、真空チャンバ一 15内部を真空引きし、窒 素ガスでパージをして基板を真空チャンバ一 15から取り出した。
全てのサンプルについて、エリプソメトリーで測定し、アモルファス層の厚さと波長 5 30nmの光に対する光吸収係数を測定した。さらに、 SIMSでボロンのドーズ量を測定 した。
[0115] 図 17は、 B H /He混合ガスに占める B Hガスの割合を変化させてプラズマドーピン
2 6 2 6
グした場合の B Hガス濃度と Si表面の 530 應の波長の光に対する光吸収係数の関
2 6
係である。光吸収係数は、 Heガスだけのプラズマでアモルファス化した場合が最大で あった。また、 B Hと Heのガス濃度が B H /Heで 0.025%/99.975%から 0.1%/99.9%の範
2 6 2 6
囲では光吸収係数は余り変化しな力つた。ところが、 B Hガス濃度を 0.1%よりも増加さ
2 6
せると、 B Hガス濃度の増加に従って光吸収係数は低下した。例えば、 B H /Heガス
2 6 2 6 濃度が 5%/95%で試作したアモルファス層の光吸収係数は、 B H /Heガス濃度が 0.1%
2 6
/99.9%のときの 55 %の水準であり、 He 100 %のときと比べると 46 %の水準まで低下した 。ただし、 B H /Heガス濃度 5%/95%でプラズマドーピングした場合でも、 c-Siと比較す
2 6
ると 6.3倍の光吸収係数を持つことがわかる。
[0116] 図 18は、 B H /Heガス濃度を変化させてプラズマドーピングしたときのアモルファス
2 6
層の厚さの変化である。基本的に、 He 100 %でアモルファス化した場合と同じ水準の 厚さのアモルファス層が形成されることが了解できる。ただし、より詳細には、 B H /He
ガス濃度が 0.1%/99.9%のときに最も厚いアモルファス層が形成され、それより B Hガ
2 6 ス濃度が高くなつても、低くなつてもアモルファス層の厚さは低下する傾向にある。つ まり、アモルファス化とプラズマドーピングを同時に行いたい場合には、 B H /Heガス
2 6 濃度は 0.05%/99.95%から 0.1%/99.9%にすることが最も望ましい。
[0117] B Hガス濃度を 0.1%よりも増加させたときに、アモルファス層の厚さが同じであるにも
2 6
係らず、光吸収係数が低下する原因は、アモルファスの度合が低下しているためと考 えられる。つまり、 B Hガス濃度が低ぐヘリウムガス濃度が高い方がより結晶がばら
2 6
ばらになる度合が高くなる。光吸収係数の高いアモルファス層を形成するためには、 B Hガス濃度は 0.1%以下、ヘリウムガス濃度は 99. 9%以上であることが望ましい。
2 6
[0118] 図 19は、 B Hガスとヘリウムガスの混合比を変えた場合のボロンドーズ量の変化で
2 6
ある。 B Hガス濃度を 0. 1%以下にすると、ボロンのドーズ量が低下した。プラズマ照
2 6
射時間が 7秒の場合、 B Hガス濃度が 0. 1%以下、 0. 025%以上の範囲で B Hガ
2 6 2 6 ス濃度とドーズ量の関係が得られた。その関係は、 B Hガス濃度を Z (%)、ボロンのド
2 6
一ズ量を W (cm—2)とすると、
W = 1 016 > Z1. 1554 …(式 で表される。この関係を B Hガス濃度が 0. 025%以下の領域に外挿することで、所
2 6
望のボロンドーズ量を得るために必要な B Hガス濃度が算出できる。つまり、ボロンド
2 6
一ズ量を lE14cm_2以上としたい場合には、 B Hガス濃度は 0. 02%以上とすること
2 6
が望ましい。ボロンドーズ量を lE13cm_2以上としたい場合には、 B Hガス濃度は 0
2 6
. 0026%以上とすることが望ましい。ボロンドーズ量を lE12cm_2以上としたい場合 には、 B Hガス濃度は 0. 00035%以上とすること力望ましい。ボロンドーズ量を 1E1
2 6
lcm_2以上としたい場合には、 B Hガス濃度は 0. 00005%以上とすること力 S望まし
2 6
い。
[0119] なお、ボロンドーズ量を増やすためには、プラズマ照射時間を増やすという方法も ある。プラズマ照射時間を 30秒とした場合には、 7秒と比較して約 3倍のドーズ量が 得られた。またプラズマ照射時間を 60秒とした場合には、 7秒と比較して約 5倍のドー ズ量が得られた。ただし、スパッタレートは約 0. 08nm/秒であるため、 30秒照射した 場合には 2. 4nm、 60秒のときには約 5nmもシリコンを削ってしまうことになる。デバイ
スへの影響を考えた場合、スパッタは小さい方がよぐ 30秒の照射は長すぎると考え られる。そこで、前記所望のドーズ量下限に対する B Hガス濃度の下限は、 1/3だけ
2 6
B Hガス濃度が低い方向にシフトする可能性はある力 それ以上は違わない。また、
2 6
プラズマ照射時間が短ければバイアス電圧などを安定してプラズマ照射ができない ので、プラズマ照射時間は 5秒以上、望ましくは 7秒以上であることが望ましい。
以上のことから、 B Hガスとヘリウムガスの混合プラズマを照射して、アモルファス化
2 6
と同時にボロンのドーピングを行う場合、光吸収係数を高く保つという理由で B Hガ
2 6 ス濃度は 0. 1%以下が望ましい。さらに、スパッタを許容範囲内で納めて、且つ、ボ ロンのドーズ量を確保するという理由で B Hガス濃度は、ボロンドーズ量を lE14cm
2 6
_2以上としたい場合には 0. 02%以上とすることが望ましい。 lE13cm_2以上とした ヽ場合には 0. 0026%以上、 lE12cm_2以上とした!/、場合には 0. 00035%以上、 1E1 lcm—2以上とした 、場合には 0. 00005%以上とすることが望まし 、。
<実施例 11 >
(プラズマ照射で形成したアモルファス層の深さによる接合深さ制御)
プラズマ照射で形成したアモルファス層の深さを変えることで、接合深さを変化させ る方法にっ 、て詳しく説明する。
真空チャンバ一 15内で、被処理体 13としてのシリコン基板にプラズマを照射した。 プラズマ源は、ヘリコン波プラズマ源を用いた。
用いたガスは、ヘリウムガスである。
最初に、シリコン基板にヘリウムプラズマを照射した。ノ ィァス電圧を 2種類変えるこ とで、 6. 5nmと 19. 5nmと深さの異なるアモルファス層を形成した。プラズマ照射を 止めて、真空チャンバ一 15内部を 5秒間真空引きした。その後、 B Hガスを Heガスで
2 6
希釈したガスを用いたプラズマを照射した。プラズマ照射を止めて、真空引きした後、 窒素ガスでパージをして基板を真空チャンバ一 15から取り出した。
その後、前記 2種類のサンプルに 0. 53 mのレーザーを 100ナノ秒照射した。レ 一ザ一のエネルギー密度は 1500mJ/cm2とした。
そして、全てのサンプルのボロンの SIMSプロファイルを測定した。
ヘリウムプラズマ照射によるアモルファス層の深さを 6. 5nmにしたサンプルのレー
ザーァニール後の接合深さは 16. 5nmであった。一方、アモルファス層の深さを 19 . 5nmにしたサンプルの接合深さは 33nmであった。アモルファス中の方が結晶シリ コン中と比較してァニール時のボロンの拡散係数が大きいので、ァニール前のァモ ルファス層の深さが深い方が深くまでボロンが拡散し易い。この理由から、ドーピング 条件とァニール条件を同じにした場合もアモルファス層の深さの違いにより、接合深 さを変化させることができる。
[0121] (実施の形態 4)
(イオンシャワー装置を用いた場合)
次にイオンシャワー装置を用いた不純物ドーピング方法について説明する。
不純物ドーピングに際し、イオンシャワーを用いることによつてもアモルファス化の度 合は小さいが、アモルファス化と同時にボロンのドーピングを行うことができる。
図 20は本発明の実施の形態 4で用いられるイオンシャワー装置の要部断面図であ る。この装置は、チャンバ一 20にプラズマ発生室 Pと、このプラズマ発生室 Pで生成さ れたプラズマ力もメッシュ M (ここではシリコングリッド)を介してイオンを引き出し、前記 被処理基板 13としての固体基体表面にイオンシャワーを導くようにした装置である。 即ちこのメッシュに印加された電圧でプラズマからイオンを弓 Iき出して固体基体にィ オンを照射する。
[0122] プラズマはイオンの他にラジカルやガスが固体基体に衝突する。一方で、イオンシ ャヮ一はイオンし力衝突しない。プラズマを直接照射した方が、イオンシャワーと比較 して単位時間当たりに固体基体に衝突する物質の量は多い。このため、イオンシャヮ 一はプラズマを直接照射する方式に比べてアモルファスの度合は低下する。ただし、 質量分析を行わないので、イオン注入と比較すると、固体基体に衝突するイオンの量 は多い。
以上の点から、イオンシャワーを用いた場合でも、ヘリウムなどの原子量が小さい元 素を用いた浅いアモルファス化ができる可能性がある。また、本発明で開示した希ガ スを用いたアモルファス化や、アモルファス化と同時にボロンのドーピングを行うこと ができることも同様である。
産業上の利用可能性
以上説明してきたように、本発明によれば、浅くかつ高精度の接合の形成が可能で あるため、微細素子への適用が有効である。また、形成領域についても微細範囲に 規定することができるため、量子素子など超微細素子への適用が可能となる。