明 細 書
非水電解質二次電池
技術分野
本発明は、 非水電解質二次電池に関する も のである。
背景技術
従来の電池では、 過充電された場合の安全確保の手段と し てセパレータによるシャ ッ トダウ ン機構や電流遮断素子など が用いられてきた。
セ ノ、。レータ によるシャ ツ トダウ ン機構と は、 過充電によ り 電池温度が上昇した場合に、 セパ レータ と して使用 している 多孔質フ ィ ルムが溶融して孔を塞ぎ、 電流を遮断する機構で ある。 また、 電流遮断素子は、 電池温度の上昇によ り 電気抵 抗が増大 して電流を遮断する ものであ り 、 具体的には、 ρ τ cやヒ ューズなどが挙げられる。 .
また、 シャ ッ トダウ ン機構や電流遮断素子の他に、 電池の 內圧上昇によ り 安全弁を開放させて電池の破裂を防いだり 、 安全弁な どの変形によ り 電流を遮断する よ う に設計された電 流遮断弁を採用 した り する こ と も過充電時の安全性確保のた めに行われている。
しかしなが ら、 近年の電池の高エネルギー化によ り 電池の 過充電時の安全確保は困難にな り つつある。 それは、 電池の 高エネルギー化に伴い、 過充電時の電池の発熱が急激に起こ るだけでなく 、 発熱量が多く な り 、 また、 発電要素の熱安定 性が低下して従来のものよ り低い温度で発電要素が熱暴走す る こ と な どによ る ものである。 このよ う な場合、 従来のセパ
レータによ るシャ ッ ト ダウ ン機構や電流遮断素子などによる 電流遮断では、 過充電時の安全性を確保する こ と が難しく 、 電池が発火や破裂に至る場合がある。
また、 電流遮断素子や電流遮断弁の採用は電池を構成する 部品の増加につながるため、 部品コ ス トの増加や工程の煩雑 化による製造コ ス ト の高騰化を招き、 好ま しく ない。
と ころで、 特開 2 0 0 0 — 3 4 8 7 0 6 号公開公報には、 ポリ オレ フ イ ン樹脂力 らな り 、 ( a ) 厚さ力 5 〜 5 0 x m、 ( b ) 空孔率が 4 0 〜 8 0 °/o、 ( c ) ピーク 孔径が 0 . 0 5 〜 0 . 2 z m、 ( d ) 電解液中の電気抵抗が 0 . 3 〜 2 . 5 Ω - c m 2 2 5 μ m , ( e ) ピ ン刺 し強度力 S 3 0 0 g f Z 2 5 μ πι以上、 ( f ) 引っ張り 強度が 3 0 0 k g / c m2 以 上、 ( g ) 1 1 0 °Cでの熱収縮率が 1 0 %以下である多孔性 フ ィ ルム よ り構成される電池用セパレータ に よ り 、 セパ レー タ の電解液の浸透性と二次電池の放電レー ト特性と を改善す る こ とが記載されている。
しかしなが ら、 前記公開公報に記載されたセパレータ を正 極と負極の間に介在させて偏平形状に捲回する こ と によ り 電 極群を作製し、 こ の電極群を用いて二次電池を構成する と、 過充電時の電池温度上昇によ り セパレータが熱収縮して電極 群の内部に入り 込むため、 正極と負極が接触して内部短絡を 生じて発火に至る とい う 問題点がある。
発明の開示
本発明は、 過大な電圧に長時間過充電された際の発火を少 なく する こ とが可能な非水電解質二次電池を提供する こ と を
目的とする。
本発明によれば、 正極と負極とセパレータ と を含む積層物 が渦卷き状も しく は偏平形状に捲回された電極群と、
前記電極群に保持される非水電解質と を具備し、
前記電極群において前記セパレータの捲回方向側の端部は 前記正極及ぴ前記負極の捲回方向側の端部よ り も突出 してお り 、 前記セパレータは、 下記 ( 1 ) 〜 ( 3 ) 式を満足する非 水電解質二次電池が提供される。
0 ≤ X!≤ ( Y ! / 1 . 5 ) ≤ 1 0 ( 1 ) X 2≤ 1 0 ( 2 )
X 2≤ Y 2≤ 2 0 ( 3 ) 但し、 前記 Y i は前記セパレータの捲回方向の 9 0 °Cでの 熱収縮率 (% ) で、 前記 X 1 は前記セパレータの捲回方向と 直交する方向の 9 0 °Cでの熱収縮率 (%) で、 前記 Y 2 は前 記セパレータの捲回方向の 1 1 0 °Cでの熱収縮率 ( °/。) で、 前記 X 2 は前記セパレータの捲回方向 と直交する方向の 1 1
0 °Cでの熱収縮率 (% ) である。
図面の簡単な説明
図 1 は、 本発明に係わる非水電解質二次電池の一例である 薄型非水電解質二次電池を示す斜視図。
図 2 は、 図 1 の薄型非水電解質二次電池を II— II線に沿つ て切断した部分断面図。
図 3 は、 正極と負極とセパレータの位置関係を説明するた めの模式的な斜視図。
図 4 は、 図 1 の薄型非水電解質二次電池の電極群を示す模
式的な斜視図。
図 5 は、 図 1 の薄型非水電解質二次電池に用い られるセパ レータ を示す模式的な平面図。
発明を実施するための最良の形態
本発明に係る非水電解質二次電池は、 正極と負極とセパ レ ータ と を含む積層物が渦卷き状も しく は偏平形状に捲回され た電極群と 、 前記電極群に保持される非水電解質と を具備す る非水電解質二次電池において、
前記電極群において前記セパ レータの捲回方向側の端部は 前記正極及び前記負極の捲回方向側の端部よ り も突出 してお り 、 前記セパ レータは、 下記 ( 1 ) 〜 ( 3 ) 式を満足する こ と を特徴とする。
0 ≤ X !≤ ( Y i / 1 . 5 ) ≤ 1 0 ( 1 ) Xフ≤ 1 0 ( 2 )
X 2≤ Y 2≤ 2 0 ( 3 ) 但し、 前記 Y は前記セパ レータの捲回方向の 9 0 °Cでの 熱収縮率 (%) で、 前記 X i は前記セパ レータの捲回方向と 直交する方向の 9 0 °Cでの熱収縮率 (%) で、 前記 Y 2 は前 記セパ レータの捲回方向の 1 1 0 °Cでの熱収縮率 (% ) で、 前記 X 2 は前記セパ レータの捲回方向 と直交する方向の 1 1 ◦ °Cでの熱収縮率 (% ) である。
こ の よ う な非水電解質二次電池によれば、 電池が加熱され た り 、 外部短絡や過充電な どによ り 自 己発熱した際、 セパ レ 一タの捲回方向側端部を捲回方向 と直交する方向よ り も先に 熱収縮させるこ とができ るため、 セパ レータその も のの収縮
率よ り も捲回方向と直交する方向の収縮を抑える こ とができ、 短絡し難い安全性の高い電池を提供する こ と ができ る。
また、 非水電解質中にハロゲン化芳香族炭化水素を添加す る こ と によって、 過充電時の安全性をさ らに向上する こ とが でき る。
過充電時に電池が破裂 · 発火 しないためには、 電極群を含 めた発電要素が熱暴走する前に電流を遮断する必要がある。 過充電時の発電要素の熱暴走については、 過充電の進行とそ れに伴う発熱な どによ り 起こる。 一方、 セパレータが電流を 遮断する機構は、 過充電が進行して発電要素が発熱する こ と によ り セパ レータが溶融して電流が遮断される も のであ り 、 電池温度の上昇を必要条件とする。 よって、 発電要素の自 己 発熱以外の発熱が加わ り 、 早いタイ ミ ングで電流を遮断する こ とが出来れば、 比較的過充電の浅い領域で過充電の進行を 止めるこ と が出来るため、 電池は安全である。 ハロゲン化芳 香族炭化水素は、 4 V付近の通常使用電圧までは正極、 負極 及び非水電解質のいずれと もほと んど反応しないが、 過充電 時にそれ以上電圧が上がった場合には酸化反応によ り発熱す る。 こ のハロゲン化芳香族炭化水素の発熱反応は、 発電要素 が熱暴走しない比較的過充電の浅い領域で生じるため、 セパ レータが電流を遮断するタイ ミ ングが早ま り 、 電池の安全性 がさ らに高く する こ と ができ る。
以下、 前記正極、 負極、 セパ レータ及び非水電解質につい て説明する。
1 ) 正極
6 こ の正極は、 集電体と、 集電体の片面も しく は両面に担持 され、 活物質を含む正極層 と を含む。
前記正極層は、 正極活物質、 結着剤及び導電剤を含む。
前記正極活物質と しては、 種々 の酸化物、 例えば二酸化マ ンガ ン、 リ チウムマ ンガン複合酸化物、 リ チウム含有ニ ッケ ル酸化物、 リ チウム含有コ バル ト酸化物、 リ チウム含有-ッ ケルコバル ト酸化物、 リ チウム含有鉄酸化物、 リ チウムを含 むバナジウム酸化物や、 二硫化チタ ン、 二硫化モ リ プデンな どのカルコゲン化合物などを挙げる こ とができ る。 中でも、 リ チウム含有コ バル ト酸化物 (例えば、 L i C o O 2 ) 、 リ チ ウ ム含有ニ ッ ケル コ ノ ル ト酸化物 (例えば、 L i N i 0.8 C o 0.2 O 2 ) 、 リ チウムマ ンガ ン複合酸化物 (例えば、 L i M n 2 〇 4 、 L i M n 02 ) を用レヽる と 、 高電圧が得 られるために好ま しい。 なお、 正極活物質と しては、 1 種類 の酸化物を単独で使用 しても、 あるいは 2種類以上の酸化物 を混合して使用 しても良い。
前記導電剤と しては、 例えばアセチ レ ンブラ ック、 カーボ ンブラ ック、 黒鉛等を挙げる こ と ができ る。
前記結着剤と しては、 例えば、 ポリ テ ト ラ フルォロェチレ ン ( P T F E ) 、 ポ リ フ ッ化 ビニ リ デン ( P V d F ) 、 ポ リ エーテノレサノレフ ォ ン、 エチ レ ン一プロ ピ レ ン一ジェ ン共重合 体 ( E P D M) 、 ス チ レン一ブタ ジエンゴム ( S B R ) 等を 用いる こ とができ る。
前記正極活物質、 導電剤および結着剤の配合割合は、 正極 活物質 8 0 〜 9 5重量%、 導電剤 3 〜 2 0重量%、 結着剤 2
〜 7 重量%の範囲にする こ と が好ま しい。
前記集電体と しては、 多孔質構造の導電性基板か、 あるい は無孔の導電性基板を用いる こ と ができ る。 これら導電性基 板は、 例えば、 アルミ エ ゥ ム、 ス テ ン レス 、 またはニ ッケル から形成する こ と ができ る。
前記正極は、 例えば、 正極活物質に導電剤および結着剤を 適当な溶媒に懸濁 し、 こ の懸濁物を集電体に塗布、 乾燥して 薄板状にする こ と に よ り 作製される。
2 ) 負極
前記負極は、 集電体と 、 集電体の片面も し く は両面に担持 される負極層 と を含む。
前記負極層は、 リ チウムイ オンを吸蔵 · 放出する負極活物 質及び結着剤を含む。
前記負極活物質と しては、 例えば、 黒鉛、 コ ータ ス 、 炭素 繊維、 球状炭素、 熱分解気相炭素質物、 樹脂焼成体な どの黒 鉛質材料も しく は炭素質材料 ; 熱硬化性樹脂、 等方性ピッ チ、 メ ソ フ ェーズピッチ系炭素、 メ ソ フェーズピッチ系炭素 繊維、 メ ソ フェーズ小球体など (特に、 メ ソ フェーズピ ッチ 系炭素繊維が容量ゃ充放電サイ ク ル特性が高 く な り 好ま し い) に 5 0 0 〜 3 0 0 0 °Cで熱処理を施すこ と に よ り 得られ る黒鉛質材料または炭素質材料 ; 二硫化チタ ン、 二硫化モ リ ブデン、 セ レ ン化ニオブ等の カノレコ ゲン化合物 ; アル ミ ユ ウム、 ァノレミ ニ ゥム合金、 マグネシウム合金、 リ チウ ム、 リ チ ウム合金等の軽金属 ; 等を挙げる こ と ができ る。 中で も、 ( 0 0 2 ) 面の面間隔 d 0 0 2 力 S 0 · 3 4 n m以下である
黒鉛結晶を有する黒鉛質材料を用いるのが好ま しい。 こ の よ う な黒鉛質材料を負極活物質と して含む負極を備えた非水電 解質二次電池は、 電池容量および大電流放電特性を大幅に向 上する こ と ができ る。 前記面間隔 d 002 は、 0 . 3 3 7 η m以下である こ とが更に好ま しい。
前記結着剤と しては、 例えば、 ポリ テ ト ラフルォロェチレ ン ( P T F E ) 、 ポ リ フ ッ化 ビニ リ デン ( P V d F ) 、 ェチ レ ン一プロ ピ レ ン一ジェ ン共重合体 ( E P D M) 、 ス チ レ ン 一ブタ ジエ ン ゴム ( S B R ) 、 カ ルボキシメ チルセルロ ース ( C M C ) 等を用レヽる こ とができ る。
前記負極活物質及び前記結着剤の配合割合は、 炭素質物 9 0 〜 9 8 重量0 /0、 結着剤 2 〜 2 0重量%の範囲である こ とが 好ま しい。
前記集電体と しては、 多孔質構造の導電性基板か、 あるい は無孔の導電性基板を用いる こ と ができる。 これら導電性基 板は、 例えば、 銅、 ス テ ン レス 、 またはニッケルから形成す る こ とができ る。
前記負極は、 例えば、 負極活物質と結着剤と を溶媒の存在 下で混練し、 得られた懸濁物を集電体に塗布し、 乾燥した後、 所望の圧力で 1 回プレスも しく は 2 〜 5 回多段階プレスする こ と によ り 作製される。
3 ) セパ レータ
セパレータ には、 合成樹脂製の微多孔膜が使用 される。 合 成樹脂と しては、 例えば、 ポ リ エチ レ ンやポ リ プロ ピ レ ンの よ う なポ リ オ レ フ イ ン、 エチ レン一 プロ ピ レ ン共重合ポ リ マ
一やエチ レ ンープテ ン共重合ポリ マーのよ う なポ リ ォレ フィ ン組成物等を挙げる こ とができ る。 セパ レータの形成材料と しては、 前述 した種類の中から選ばれる 1 種類または 2種類 以上を用いる こ とができ る。 中でも、 ポリ エチレン製のセパ レータは、 ハロ ゲン化芳香族炭化水素に対する安定性が高い ため、 過充電時の安全性をさ らに向上する こ とができ る。
電極群においてセパ レータの捲回方向側の端部は、 正極及 び負極の捲回方向側の端部よ り も突出 している。 この際、 捲 回方向と直交する方向の幅については、 正極が最も小さ く 、 次いで負極が続き、 最も大きいのはセパレータである こ とが 望ま しい。
また、 負極端部からのセパ レータの突出寸法は、 0 . 5 m m ~ 5 m mの範囲内にする こ とが好ま しい。 これは以下に説 明する理由によ る ものである。 セパレータの突出寸法を 0 . 5 m m未満にする と、 過充電時の内部短絡を抑えられない恐 れがある。 一方、 セパレータの突出寸法が 5 m mを超える と 二次電池のエネルギー密度が低下する恐れがある。 突出寸法 のさ らに好ま しい範囲は、 1 m m〜 3 m mである。 なお、 こ こ でい う 突出量は、 片側端部の突出量を意味する も のであ り 突出量が 0 . 5 m mの場合、 一方の端部と他方の端部の突出 量を合計する と l m mになる。
セパ レータは、 下記 ( ( 3 ) 式を満足する。
0 ≤ X 1≤ ( Y!. 5 ) ≤ 1 0 ( 1 )
( 2 )
X 2≤ γ 2≤ 2 0 ( 3 )
但し、 前記 Y ]L は前記セパレータの捲回方向の 9 0。じでの 熱収縮率 (% ) で、 前記 X ]_ は前記セパ レータの捲回方向と 直交する方向 (捲回軸と平行な方向) の 9 0 °Cでの熱収縮率 ( % ) で、 前記 Y 2 は前記セパ レータの捲回方向の 1 1 o °c での熱収縮率 (% ) で、 前記 X 2 は前記セパ レータの捲回方 向 と直交する方向 (捲回軸と平行な方向) の 1 1 0 °Cでの熱 収縮率 (% ) である。
X! > ( Y 2 / 1 . 5 ) である、 つま り Y i 力 の 1 . 5 倍の値よ り も小さい と、 セパレータの捲回方向側の端部が熱 収縮する タイ ミ ングとセパ レータの捲回軸方向が熱収縮する タイ ミ ングがほぼ同 じになるか、 も しく は近く なるため、 過 充電時の内部短絡を抑制できない。 また、 Y丄 の値が 1 5 % を超える、 つま り 5 ) の値が 1 0 %を超える と、 セパ レータの収縮によ り 電極群自体を変形させて しま う 恐れ がある。 90 °C前後のセパ レータ収縮初期の段階で電極群が変 形してしま う と、 一部正負極間の層間が広がって しま う 部分 が発生し、 セパ レータの捲回方向側の端部を先に熱収縮させ る こ と によ る効果が不十分になる恐れがある。
さ らに、 Y i の値は、 0 . 5 % ~ 7 %の範囲内にする こ と が好ま しい。 これは以下に説明する理由による ものである。 Y I の値を 0 . 5 %未満にする と、 セパレータの捲回方向側 の端部を先に熱収縮させる こ と による効果が不十分になる恐 れがある。 また、 Y i の値が 7 %を超えない方が、 上述 した 電極群の変形がよ り 小さ く な り 、 確実に効果を得られるため である。
X! は小さいほ ど好ま しいが、 全く 熱収縮を生 じない よ り は、 熱収縮を生 じるセパレータ の方が低コ ス トで、 また機械 的強度に優れる ため、 X は 0 . 1 %以上にする こ と が さ ら に好ま しい。
一方、 X 2 力 S 1 0 %を超える か、 あるレヽは Y 2 力 S 2 0 %を 超えるセ パ レータ は、 過充電時、 電流遮断後の内部短絡発生 率が高 く なるため、 電流遮断後の発火数が多く なる。 X 2 の よ り 好ま しい範囲は 5 %以下である。 また、 Y 2 のよ り 好ま しい範囲は 1 0 %以下である。
従って、 前述 した ( 1 ) 〜 ( 3 ) を満足するセパレータ を 使用する こ と によ って、 電池が加熱された り 、 外部短絡や過 充電な どに よ り 自 己発熱した際、 正極及び負極からはみ出て いる部分のセパ レータ が速やかに捲回方向に収縮 して電極群 の渦卷の中心に向って倒れ込むため、 正極と負極の捲回方向 側の端部にセパ レータ が引 っ掛か り 、 セパ レータが捲回軸と 平行な方向に収縮する のを抑える こ と ができ る。 その結果、 正極 と負極が接触 して内部短絡を生 じるのを少な く する こ と ができ る ため、 異常加熱時の発火を減少させる こ と ができ る。
前記セ パ レータ は、 透気度が 2 0 0 〜 6 0 0秒 / 1 0 0 c m 3 であ る こ と が好ま しい。 透気度は、 1 0 0 c m3 の空気 がセパ レータ を透過するのに要 した時間 (秒) を意味し、 J I S ( 日 本工業規格) P 8 1 1 7 に規定する方法によ り 測定 する こ と ができ る。 透気度の値は 2 5 0 〜 5 0 0秒 / 1 0 0 c m 3 にする こ と が よ り 好ま し く 、 さ ら に好ま しい値は 3 0 0 〜 4 5 0 ¾!?Z l 0 0 c m 3 である。
前記セパ レータは、 多孔度が 3 0 〜 6 0 %の範囲である こ とが好ま しい。 多孔度のよ り 好ま しい範囲は、 3 5 〜 5 0 °/0 である。
前記セパレータの厚さは、 3 0 μ πι以下にする こ とが好ま しく 、 さ らに好ま しい範囲は 2 5 μ πι以下である。 また、 厚 さの下限値は 5 μ mにする こ と が好ま しく 、 さ らに好ま しい 下限値は 8 mである。
前述した ( 1 ) 〜 ( 3 ) 式を満足するセパ レータは、 例え ば、 以下に説明する方法で作製される。
ポ リ エチ レンお よ び可塑剤 (パ ラ フ ィ ン ワ ッ ク ス) を含む 混合物を二軸押出機を用いて押出 し、 イ ンフ レーシ ョ ン法で 原反フ ィ ルムを成形する。 得られたフ ィ ルムをィ ソプロパノ ール中に浸漬してパラ フ ィ ン ヮ ッ ク ス を抽出除去する 。 次い で、 ロール延伸機を用いて縦方向に延伸後、 テ ンター延伸機 にて横方向に延伸する こ と によ り ポ リ エチ レ ン製の微多孔膜 を得る。 さ らに、 得られた微多孔膜を加熱ロールによ り 熱収 縮処理を行 う。
最終的なセパレータの熱収縮を調整する一つの方法と して、 延伸倍率と熱収縮処理を調整する方法がある。 延伸工程で延 伸倍率を大き く する と、 セパレータが加熱された場合の熱収 縮が大き く なるが、 熱収縮処理を行い、 予めセパ レータ を収 縮させておく こ とによ り 最終的な熱収縮率を小さ く する こ と ができ る。
したがって、 ロール延伸およびテンター延伸での延伸倍率、 および、 加熱ロールによる熱収縮処理の加熱温度を調製する
こ と によ り セノ、。 レータの 9 0 °C、 1 1 0 °Cでの熱収縮率を前 述した ( 1 ) 〜 ( 3 ) の条件を満足する よ う に設定する こ と ができ る。
上記正極、 負極、 セパ レータ を組合せて電極群を形成する。 こ の電極群は、 例えば、 正極及び負極をその間にセパ レータ を介在させて偏平形状または渦巻き状に捲回する こ と によ り 作製される。
電極群には、 プレスを施さな く ても良いが、 正極、 負極及 びセノ、。 レータの一体化強度を高めるためにプ レスを施 しても 良い。 また、 プ レス時に加熱を施すこ と も可能である。
電極群には、 正極、 負極及びセパ レータ の一体化強度を高 めるために、 接着性高分子を含有させる こ と ができ る。 前記 接着性を有する高分子と しては、 例えば、 ポ リ アタ リ ロ ニ ト リ ル ( P A N ) 、 ポ リ アク リ レー ト ( P MMA ) 、 ポ リ フ ッ 化ビニ リ デン ( P V d F ) 、 ポリ 塩化ビニル ( P V C ) 、 ポ リ エチレンォキサイ ド ( P E O ) 等を挙げる こ とができ る。
4 ) 非水電解質
非水電解質は、 非水溶媒と、 こ の非水溶媒に溶解される電 解質 (例えば、 リ チウム塩) と を含むも のであ る 。 こ の非水 電解質の形態は、 液体状 (非水電解液) やゲル状にする こ と ができ る。
まず、 非水溶媒について説明する。
こ の非水溶媒は、 ハロゲン化芳香族炭化水素を含む。
ハ ロ ゲン化芳香族炭化水素と しては、 例えば、 金属 リ チウ ムに対する電位で 4 . 7 V以上、 5 . 0 V以下の電位で酸化
反応を生 じる化合物を挙げる こ と ができ る。 非水溶媒中に添 加するハロ ゲン化芳香族炭化水素の種類は、 1 種類または 2 種類以上にする こ と ができ る。
γ —プチロ ラ ク ト ン ( G B L ) と環状カーボネー ト と を含 む非水溶媒においては、 過充電によ り 正極電位が金属 リ チウ ムに対する電位で 4 . 7 V以上に達する と、 正極において G B L の分解反応と この分解反応に伴う発熱反応が徐々 に生じ 始め、 過充電が更に進行して正極電位が金属 リ チウムに対す る電位で 5 . O Vを超える と これらの反応が急激に進行する。 このと き、 電池温度の上昇によ って、 セノ レータがシャ ッ ト ダウ ン現象を生じれば、 リ チウムイオンの流れが遮断され、 過充電状態を安全に終息させる こ とができ る。 ただし、 この シャ ツ ト ダウン現象が完全に生じるためには、 セパレータの 正極及び負極と接している全ての面積において一様に、 かつ 短時間の う ちに、 セパレータを構成する樹脂が塑性変形を起 こす温度 (シャ ッ ト ダウン温度) まで上昇しなければな らな い。 セパレータの温度がシャ ツ ト ダウン温度に達するまでの 時間は、 流れる電流が大きいほど短く 、 流れる電流が小さい ほど時間は長く なる。 また、 このシャ ッ ト ダウン温度に達す る までの時間は、 二次電池から熱が外部に逃げる、 いわゆる 放熱の効率が大きいほど長く 、 放熱の効率が小さいほど短く なる。 この放熱の効率は、 二次電池を構成する部材の材質や 形状によって異なる。
金属 リ チウムに対する電位で 4 . 7 V以上、 5 . O V以下 の電位で酸化反応を生じるハロゲン化芳香族炭化水素を非水
溶媒に添加する こ と に よ って、 正極と G B L の反応に よ る発 熱に加えて、 こ の物質の酸化反応に伴 う発熱が生 じる ために、 短時間の う ちにセパ レータ の温度がシャ ツ ト ダゥ ン温度に達 し、 確実にシャ ツ ト ダウ ン現象を生 じる こ と ができ る。
なお、 4 . 7 V未満の電位 (対金属 リ チウ ム) で酸化反応 を生 じる物質を非水溶媒に添加 した場合、 G B L の反応によ る発熱が生 じる前に、 添加 した物質の反応が終了 して しまい、 従って短時間の う ちにセパレータ の温度をシャ ッ ト ダウ ン温 度に達する こ と ができ ない恐れがある。 一方、 5 . 0 Vを超 える電位 (対金属 リ チウム) で酸化反応を生 じる物質を非水 溶媒に添加 した場合、 添加 した物質が酸化反応を生じる前に 正極 と G B Lの反応によ る発熱が生じている。 従って添加 し た物質が酸化反応を生 じる と き は二次電池の温度が既に上昇 してお り 、 その状態で酸化反応に よ る発熱が生じる と かえつ て熱暴走を促進する危険性がある。
金属 リ チウムに対する電位で 4 . 7 V以上、 5 . 0 V以下 の電位で酸化反応を生 じるハロ ゲン化芳香族炭化水素 と して は、 酸化電位が 5 . 0 V の塩化ベンゼ ン ( C B ) 、 酸化電位 力 5 . 0 V の フ ツイ匕ベ ンゼ ン ( F B ) 、 塩化 ト ルエ ン ( C T ) 、 フ ッ化 ト ルエ ン ( F T ) が好ま しい。 中でも、 酸化電 位力 S 4 . 9 Vのオル ト フ ッ化 ト ルエ ン ( o — F T ) 、 酸化電 位が 4 . 8 V のオル ト塩化 ト ルエ ン ( o — C T ) 、 酸化電位 力 S 4 . 8 V のノヽ。ラ塩化 ト ルエ ン ( p — C T ) が良い。 なお、 酸化電位は、 金属 リ チウムに対する電位である。
オル ト フ ッ化 トルエ ン、 オル ト塩化 トルエ ン及びパラ塩化
ト ルエ ン よ り なる群から選択される少な く と も 1 種類のハロ ゲン化 トルエンは、 酸化反応に伴 う発熱反応が、 正極 と γ — プチロ ラ ク ト ン ( G B L ) の反応によ る発熱反応 と 同時期に 生 じ、. かつその酸化反応によ る発熱量が大きい。 よ っ て、 ノヽ ロ ゲン化 ト ルエ ン と G B L と を含む非水溶媒を用いる と 、 短 時間の う ちに大き な発熱量を得てセパ レータ の温度をシャ ッ ト ダウ ン温度に到達させる こ と ができ、 過充電の際に確実に シャ ツ ト ダウ ン現象を生じさせる こ と が可能である。 また、 これらハ ロ ゲン化 トルエンは、 正極電位が 4 . 7 V未満の際 には、 正極、 負極、 およぴ非水電解質 (特に G B L ) のいず れと も反応する こ と がないため、 二次電池の充放電特性が損 なわれる こ と がない。 さ ら に、 これらノ、ロ ゲンィ匕 トルエンは、 酸化反応によ り ハロ ゲン化 ト ルエ ンの重合体が生成 し、 生成 した重合体がセパ レータ に固着 して孔を塞ぎ、 セノ レータの 電流遮蔽効果をよ り 高める こ と ができ る。
ハロゲン化芳香族炭化水素の重量比率 (非水溶媒の総重量 に対する比率) は、 0 . 1 〜 1 5 重量。 /0の範囲内にする こ と が望ま しい。 これは次の よ う な理由によ る ものである。 ハロ ゲン化芳香族炭化水素の比率を 0 . 1 重量%未満にする と、 ハロ ゲン化芳香族炭化水素の酸化反応によ る発熱量が少な く な り 、 セパ レータ をシャ ツ ト ダウ ンさせる効果が小さ く なる 恐れがある。 逆に、 ハロ ゲン化芳香族炭化水素の比率が 1 5 重量%を超える と 、 ハロ ゲン化芳香族炭化水素の酸化反応に よ る発熱量が大き く な り すぎ、 二次電池の温度が急激に上昇 して熱暴走に至る危険性が大き く なる。
ハロ ゲン化芳香族炭化水素の よ り 好ま しい比率は、 0 . 5 〜 1 0 重量% の範囲で、 さ ら に好ま しい比率は、 1 〜 8 重 量0 /0の範囲であ る。
また、 ハ ロ ゲ ン化芳香族炭化水素と G B L と を含む非水溶 媒には、 高温貯蔵時の負極と G B L と の反応を抑制する ため に、 環状カーボネー ト を含有させる こ と が望ま しい。 このよ う な非水溶媒は、 二次電池の高温貯蔵特性及び充放電サイ ク ル寿命を向上する こ と ができ る。 環状カーボネー ト と しては、 例えば、 エチ レ ンカーボネー ト ( E C ) 、 プロ ピ レンカーボ ネー ト ( P C ) 等を挙げる こ と ができ る。 特に E Cは、 リ チ ゥムイ オン と G B L と の反応を抑える効果が大きいので好ま しい。 なお、 環状カーボネー ト の種類は、 1 種類でも 良い し、 2種類以上にする こ と も可能である。
非水溶媒中には、 G B L、 環状カーボネー トおよびハ ロ ゲ ン化芳香族炭化水素以外の他の溶媒を、 副成分と して含有さ せる こ と ができ る。
副成分と して は、 例えば、 ビニ レンカーボネー ト、 ビニル エチ レ ンカ ーボネー ト 、 フ エニ ノレエチ レ ンカ ーボネー ト 、 ジ ェチノレカ ーボネ ー ト 、 ジメ チノレカ ーボネー ト 、 ェチノレメ チノレ カ ーボネー ト 、 y —バ レロ ラ タ ト ン、 プロ ピオン酸メ チル、 プロ ピオン酸ェチノレ、 2—メ チノレフ ラ ン、 フ ラ ン、 チォフ エ ン、 力 テ コ ーノレカ ーボネー ト 、 エチ レ ンサノレ フ ア イ ト 、 1 2 一 ク ラ ウ ン一 4 、 テ ト ラエチ レ ング リ コ ー ノレジメ チルエーテ ル等を挙げる こ と ができ る。
中でも、 ビニ レ ンカーボネー ト ( V C ) を含む副成分は、
負極表面に緻密な保護皮膜を生成する ため、 負極活物質中に 吸蔵された リ チウムイ オンと G B L と の反応性を さ ら に低く する こ と が可能にな り 、 放置放電特性を改善する こ と ができ る。 .非水溶媒中の副成分の重量比率は、 1 0 重量%以下の範 囲内にする こ と が望ま しい。 これは、 副成分の重量比率を 1 0 重量% よ り も多く する と 、 負極表面の保護皮膜の リ チウム イ オン透過性が低下 して低温放電特性が大幅に損なわれる可 能性があるからである。 副成分の重量比率の よ り 好ま しい範 囲は 0 . 0 1 〜 5 重量%であ り 、 更に好ま しい範囲は 0 . 1 〜 3 重量%である。
前記非水溶媒には、 セパ レータ と の濡れ性を良 く するため に、 ト リ オク チルフ ォス フ ェー ト ( T O P ) のよ う な界面活 性剤を含有させる こ と が望ま しい。 界面活性剤の添加量は、 3 %以下が好ま しく 、 さ ら には 0 . 1 〜 1 %の範囲内にする こ と が好ま しい。
前記非水溶媒に溶解される電解質と しては、 例えば、 過塩 素酸 リ チ ウ ム ( L i C 1 04 ) 、 六フ ッ化 リ ン酸 リ チ ウ ム
( L i P F 6 ) 、 四 フ ッ化ホ ウ酸 リ チ ウ ム ( L i B F 4 ) 、 六フ ツイ匕砒素 リ チ ウ ム ( L i A s F 6 ) 、 ト リ フ ルォロ メ タ ス ノレホ ン酸 リ チ ウ ム ( L i C F 3 S O 3 ) 、 ビス ト リ フ ルォ ロ メ チノレス ルホ - ルイ ミ ド リ チ ウ ム ( L i N ( C F -3
S O ) ) ビ ス ペ ン タ フ ノレオ 口 ェ チノレ ス ノレホ ニ ノレイ ド リ チウム ( L i N ( C 2F 5 S O 2) 2) な どの リ チ ウム塩を 挙げる こ と ができ る。 使用する電解質の種類は、 1 種類また は 2種類以上にする こ と ができ る。
中でも、 L i B F 4 は、 二次電池の温度が上昇 した と き の 正極と の反応性が低いこ と から、 過充電時の安全性をさ ら に 向上する こ と ができ るため、 好ま しい。 また、 ( L i N ( C ? 33 02) .2 ぉょび 1 ( C 2F 5 S 02) 2 の う ち少な く と も一方か ら なる リ チウム塩と 、 L i B F 4 力 らなる リ チウム 塩と を含有する混合塩か、 あるいは L i B F 4 及び L i P F 6 を含有する混合塩を用いる と 、 高温でのサイ ク ル寿命をよ り 向上する こ と ができ る。
前記電解質の前記非水溶媒に対する溶解量は、 0 . 5〜 2 . 5 モル Z L とする こ と が望ま しい。 さ らに好ま しい範囲は、 1〜 2 . 5 モノレ/ L である。
前記非水電解液の量は、 電池単位容量 1 0 0 m A h 当た り 0 . 2 ~ 0 . 6 g にする こ と が好ま しい。 非水電解液量のよ り 好ま しい範囲は、 0 . 2 5〜 0 . 5 5 g Z l 0 0 m A h で ある。
5 ) 容器
電極群を収納する容器には、 例えば、 金属缶 (例えば、 了 ルミ ニ ゥム缶、 鉄製缶) や、 以下の ( a ) 〜 ( d ) に説明す る ものを使用する こ と ができ る。
a ) 熱可塑性榭脂層含有シー ト を ヒ ー ト シールさせる こ と によ り 封筒状に成形 した容器。
b ) 2 枚の熱可塑性樹脂層含有シー ト の 4辺を ヒ ー ト シ一 ルさせた容器。
c ) 1 枚の熱可塑性樹脂層含有シー ト を二つ折 り に して 3 辺を ヒ ー ト シールさせた容器。
d ) 熱可塑性樹脂層含有シー ト をプ レス成形してカ ップ状 に成形した収納部に蓋体をヒ ー ト シールで固定した容器。
熱可塑性樹脂層を含むシー ト と しては、 一方の表面を構成 する外部保護層 と、 他方の表面を構成する熱可塑性樹脂層と、 外部保護層 と熱可塑性樹脂層と の間に配置される金属層 と を 含むものが好ま しい。 なお、 こ のシー トは、 各層を貼り 合わ せるために使用する接着剤を含むこ と を許容する。 また、 各 層は、 1 種類の材料から形成しても、 2種類以上の材料から 形成しても良い。
熱可塑性樹脂層は、 ハ ロ ゲン化芳香族炭化水素によ る劣化 を防止する観点から、 ポリ エチレン系樹脂で形成する こ とが 望ま しい。 ポリ エチレン系榭脂と しては、 例えば、 低密度ポ リ エチ レ ン、 高密度ポ リ エチ レ ン、 直鎖状低密度ポリ エチ レ ン、 エチ レ ン/ブテ ン 1 共重合体等のエチ レ ン Z G; ォ レ フ ィ ン ( c 3〜 c 8 ) 共重合体、 架橋ポ リ エチ レ ン、 酸変性ポ リ ェ チレン等を挙げる こ と ができる。
外部保護層は、 例えば、 ポリ ア ミ ド樹脂等から形成する こ とができ る。
金属層は、 例えば、 アルミ ニウム合金、 アルミ ニウム、 ス テンレス 、 鉄、 銅、 ニ ッケル等から形成する こ と ができ る。
熱可塑性樹脂層を含むシー ト の厚さは、 0 . 3 m m以下に する こ と が望ま しい。 よ り 好ま しい範囲は、 0 . 0 5 〜 0 . 3 m mである。
本発明に係る非水電解質二次電池の一例である薄型非水電 解質二次電池を図 1 〜図 5 を参照 して詳細に説明する。
図 1 は、 本発明に係わる非水電解質二次電池の一例である 薄型非水電解質二次電池を示す斜視図、 図 2 は図 1 の薄型非 水電解質二次電池を I I一 I I 線に沿って切断した際に得られ る断面図、 図 3 は正極と負極とセパレータの位置関係を説明 するための模式的な斜視図で、 図 4 は図 1 の薄型非水電解質 二次電池の電極群を示す模式的な斜視図で、 図 5 は図 1 の薄 型非水電解質二次電池に用いられるセパ レータを示す模式的 な平面図である。
容器内には、 電極群 1 が収納されている。 電極群 1 は、 正 極 2 と、 負極 3 と、 正極 2 と負極 3 の間に配置されるセパ レ ータ 4 と を含む。 正極 2 は、 正極集電体 2 a と、 こ の集電体 2 a の両面に担持される正極層 2 b と を含む。 一方、 負極 3 は、 負極集電体 3 a と、 こ の集電体 3 a の両面に担持される 負極層 3 b と を含む。 セパ レータ 4 は、 長手方向側 (捲回方 向側) の熱収縮率を Y ( % ) と し、 短辺方向側 (捲回軸と平 行な方向) の熱収縮率を X ( % ) と した際に前述した ( 1 ) 〜 ( 3 ) 式を満足する。 正極 2 、 負極 3及びセパレータ 4の 短辺方向側の幅は、 正極 2 が最も短く 、 その次が負極 3 で、 最も大きいのはセパ レータ 4である。 正極 2 と負極 3 と の間 にセノ レータ 4 を介在させる と共に、 図 4 に示すよ う にセノ レータ 4 の長手方向側の端部 (捲回方向側の端部) を正極 2 と負極 3 の長手方向側の端部 (捲回方向側の端部) よ り も突 出させ、 こ の状態で偏平形状に捲回する こ と によ り 電極群 1 が得られる。
非水電解質は、 電極群 1 に保持されている。 正極 2 には正
極リ ー ド 5 が電気的に接続され、 負極 3 には負極 リ ー ド 6 力 S 電気的に接続され、 それぞれ容器の外部に引き出されて、 正 極端子及ぴ負極端子の役割を果たす。
容器について説明する。 まず、 外部保護層 7 と金属層 8 と 熱可塑性樹脂層 9 と が一体化されたシー ト を、 容器内面が熱 可塑性樹脂層 9 になる よ う に力 ップ状にプ レス成形等で加工 し、 得られた収納部 1 0 内に電極群 1 と非水電解質を収容す る。 こ の際、 正極リ ー ド 5 と負極リ ー ド 6 の先端は、 収納部 1 0 カゝら外部に延出 させる。 シー ト を二つに折り 曲げる こ と によ り収納部 1 0 を蓋板 1 2 で覆 う。 これによ り 、 収納部 1 0 の熱可塑性樹脂層 9 に蓋板 1 2 の熱可塑性樹脂層 9 が重な る。 こ の状態で 4辺にヒー トシールを施すこ と によ り 、 容器 の 4辺を封止する。
以下、 本発明の実施例を前述した図面を参照して詳細に説 明する。
(実施例 1 )
く正極の作製 >
まず、 リ チウムコバル ト酸化物 ( L i x C o 〇 2 ; 伹し、 X は 0 < X ≤ 1 である) 粉末 9 0重量0 /0に、 アセチレンプラ ッ ク 5 重量0 /0 と、 ポリ フ ッ化ビ- リ デン ( P V d F ) 5 重量0 /0 のジメ チルフオルムア ミ ド ( D M F ) 溶液と を加えて混合し、 ス ラ リ ーを調製した。 前記ス ラ リ ーを厚さ力 S i 5 mの アル ミ ニゥム箔からなる集電体の両面に塗布した後、 乾燥し、 プ レスする こ と によ り 、 正極層が集電体の両面に担持された構 造の正極を作製した。 なお、 正極層の厚さ は、 片面当 り 6 0
mであった。 また、 正極の短辺方向の幅は、 5 O m mであ た 0
<負極の作製 >
炭素質材料と して 3 0 0 0 °Cで熱処理したメ ソフェーズピ ツチ系炭素繊維 (粉末 X線回折によ り 求められる ( 0 0 2 ) 面の面間隔 ( d 002 ) 力 S 0 . 3 3 6 n m ) の粉末を 9 5 重 量0 /0 と、 ポリ フ ッ化ビニ リ デン ( P V d F ) 5重量0 /0のジメ チルフ オルムア ミ ド ( D M F ) 溶液と を混合し、 ス ラ リ ーを 調製した。 前記ス ラ リ ーを厚さが 1 2 μ πιの銅箔からなる集 電体の両面に塗布し、 乾燥し、 プレスする こ と によ り 、 負極 層が集電体に担持された構造の負極を作製した。 なお、 負極 層の厚さ は、 片面当 り 5 5 μ πιであった。 また、 負極の短辺 方向の幅は、 5 1 m mであった。
なお、 炭素質物の ( 0 0 2 ) 面の面間隔 d 002 は、 粉末 X 線回折スぺク トルから半値幅中点法によ り それぞれ求めた。 こ の際、 ロー レ ンツ散乱等の散乱補正は、 行わなかった。
< セノヽ0 レータ 〉
ポリ エチレンを 2 5重量0 /0とパラフィ ンワ ック スを 7 5重 量。 /。の混合物を二軸押出機を用い、 押出温度 1 7 0 °C、 押出 量 1 0 k g Z hで押出 し、 イ ンフ レーショ ン法で原反フ ィ ル ムを成形した。 得られたフイ ノレムをィ ソプロパノ ール中に浸 漬してパ ラ フ ィ ンワ ッ ク ス を抽出除去 した。 次いで、 ロ ール 延伸機を用い、 1 0 0 °Cにて縦方向に 3倍延伸後、 テンター 延伸機にて 1 2 0 °Cにて横方向に 2 . 5倍延伸 し、 75 °Cの加 熱ロ ールによ り 熱収縮処理を行い、 最終的に厚さ 2 5 mで、
透気度が 4 0 0秒 / 1 0 0 c m 3 の微多孔性ポリ エチレン膜 を得た。 これを 55m mの幅に切 り 出 し電池用セパ レータ と した。
得られたセパ レータ を 9 0 °Cに設定したオーブン中に 1 時 間放置し、 オーブンでの加熱前後のセパ レータの寸法変化か ら捲回軸と平行な方向 (短辺方向) の 9 0 °Cでの熱収縮率 X 1 ( % ) と捲回方向 (長辺方向) の 9 0 °Cでの熱収縮率 Y i
(% ) を求め、 その結果を下記表 1 に示す。
また、 セ ノ レータ を 1 1 0 °Cに設定したオーブン中に 1 時 間放置し、 オーブンでの加熱前後のセパ レータの寸法変化か ら捲回軸と平行な方向 (短辺方向) の 1 1 0 °Cでの熱収縮率 X 2 ( % ) と捲回方向 (長辺方向) の 1 1 0 °Cでの熱収縮率 Y 2 ( % ) を求め、 その結果を下記表 1 に示す。
<非水電解液の調製 >
エチレンカーボネー ト ( E C ) と γ —プチ口 ラ タ ト ン ( G B L ) と を重量比が 1 : 2 になる よ う に混合し、 オル ト塩化 トルエ ン (表 1 では ο — C Tで表し、 リ チウム金属に対する 酸化電位が 4 . 8 V ) を 5 重量% (非水溶媒総重量に対する 比率) になる よ う に混合して非水溶媒を調製した。 得られた 非水溶媒に四フ ッ化ホ ウ酸リ チウム ( L i B F 4) を 1 . 5 モル Z L溶解させ、 液状非水電解質を調製した。
ぐ電極群の作製〉
前記正極の集電体に厚さ 1 0 0 /x mの帯状アルミ ニウム箔 からなる正極リ ー ドを超音波溶接し、 前記負極の集電体に厚 さ 1 0 0 μ mの帯状ニ ッケル箔からなる負極リ ー ドを超音波
溶接した。 次いで、 前記正極及び前記負極をその間に前記セ パ レータ を介し、 かつ前記セパ レータの長手方向側の端部を 前記正極と前記負極の長手方向側の端部よ り も突出させた状 態で渦巻き状に捲回 した後、 偏平状に成形し、 電極群を作製 した。
なお、 セパレータの負極端部からの突出寸法は、 電極群の 両端で等しく し、 それぞれ 2 m mと した。
<外装材の作製 >
厚さ 2 5 μ πιの延伸ナイ ロ ンフ ィ ルム と厚さ 4 0 // mのァ ル ミ 二ゥム合金箔 ( J I S H 4 1 6 0 A 8 0 7 9材) と厚さ 3 0 μ ιηの直鎖状低密度ポ リ エチ レ ンフ ィ ルム (シー ラン トフ ィ ルム) と を、 こ の順序でウ レタ ン系接着材を介し て積層接着する こ と によ り 外装フ ィ ルムを作製した。 こ の外 装フィルムを、 シーラ ン ト フイルム側から張り 出 し加工また は深絞り 加工を して電極群収納部を形成した後、 シーラ ン ト フ ィ ルムを内側に して 1 8 0 ° 折り 曲げて蓋体を形成し、 容 器を得た。
<非水電解質二次電池の作製 >
前記電極群を容器の収納部に配置し、 正極リ ー ド端子と負 極リ ー ド端子を容器外部に延出 した。 次いで、 正負極リ ー ド が延出 した辺と こ の辺 に直交する長手方向側の一方の辺にヒ ー ト シールを施 した。
次いで、 容器内の電極群に 8 0 °Cで真空乾燥を 1 2 時間施 した。 ひきつづき、 容器内の電極群に前記液状非水電解質を 電池容量 l A h 当た り の量が 4 . 8 g と なる よ う に注入 し、
残り の長手方向側端部をヒー トシールによ り 封止 し、 厚さが 3 . 6 m m、 幅が 3 5 mm、 高さが 6 2 m mで、 前述 した図 1 に示す構造を有する薄型非水電解質二次電池を組み立てた。 こ の非水電解質.二次電池に対し、 初充放電工程と して以下 の処置を施 した。 まず、 室温で 0 . 2 C ( 1 0 4 m A ) で 4 . 2 Vまで定電流 ■ 定電圧充電を 1 5 時間行った。 その後、 室 温で 0 . 2 Cで 3 . 0 Vまで放電し、 非水電解質二次電池を 作製した。
こ こ で、 1 C と は公称容量 (A h ) を 1 時間で放電するた めに必要な電流値であ る。 よ って、 0 . 2 C は、 公称容量 ( A h ) を 5 時間で放電するために必要な電流値である。
(実施例 2 〜 3 )
オル ト塩化 トルエン ( o — C T ) の添加量を下記表 1 に示 すよ う に変更する こ と以外は、 前述した実施例 1 で説明 した のと 同様な構成の薄型非水電解質二次電池を製造した。
(実施例 4 )
以下に説明する方法でセパレータ を作製する こ と以外は、 前述した実施例 1 で説明 したの と 同様に して薄型非水電解質 二次電池を製造した。
ポリ エチレンを 2 5 重量0 /0 と ノ ラフィ ンワ ック スを 7 5重 量%の混合物を二軸押出機を用い、 押出温度 1 7 0 °C、 押出 量 1 0 k g Z h で押出 し、 イ ンフ レーショ ン法で原反フィノレ ムを成形した。 得られたフイ ノレムをィ ソプロパノ ール中に浸 漬してパ ラ フ ィ ン ワ ッ ク スを抽出除去した。 次いで、 ロール 延伸機を用い、 1 0 0 °Cにて縦方向に 3倍延伸後、 テ ンター
延伸機にて 1 2 0 °Cにて横方向に 2 . 5倍延伸 し、 85°Cの加 熱ロールによ り 熱収縮処理を行い、 最終的に厚さ 2 5 μ mで. 透気度が 4 2 0秒 Z 1 0 0 c m 3 の微多孔性ポ リ エチ レ ン膜 を得た。 これを 55m mの幅に切 り 出 し電池用セパ レータ と した。
得られたセパ レー タ の 9 0 °C、 1 1 0 °Cでの熱収縮率を前 述した実施例 1 で説明 したのと 同様に して測定し、 その結果 を下記表 1 に示す。
(実施例 5 )
以下に説明する方法でセパ レータを作製する こ と以外は、 前述した実施例 1 で説明 したの と 同様に して薄型非水電解質 二次電池を製造した。
ポ リ エチ レンを 2 8重量0 /0 と ノ、 ラ フ ィ ン ワ ッ ク スを 7 2重 量%の混合物を二軸押出機を用い、 押出温度 1 7 0 °C、 押出 量 1 0 k g Z hで押出 し、 イ ンフ レーショ ン法で原反フ ィ ル ムを成形した。 得られたフ ィ ルムをィ ソプロパノ ール中に浸 漬してパラ フィ ンワ ッ クスを抽出除去 した。 次いで、 ロール 延伸機を用い、 1 0 0 °Cにて縦方向に 6倍延伸後、 テ ンター 延伸機にて 1 2 0 °Cにて横方向に 4倍延伸 し、 75°Cの加熱 ロールによ り 熱収縮処理を行い、 最終的に厚さ 2 5 μ πιで、 透気度が 3 5 0秒 Ζ 1 0 0 c m3 の微多孔性ポリ エチレン膜 を得た。 これを 55m mの幅に切 り 出 し電池用セパ レータ と した。
得られたセパレータの 9 0 °C、 1 1 0 °Cでの熱収縮率を前 述した実施例 1 で説明 したのと 同様に して測定し、 その結果
を下記表 1 に示す。
(実施例 6 〜 7 )
オル ト塩化 ト ルエ ン ( o — C T ) の添加量を下記表 1 に示 すよ う に変更する こ と以外は、 前述した実施例 5 で説明 した のと 同様な構成の薄型非水電解質二次電池を製造した。
(実施例 8 )
以下に説明する方法でセパ レータを作製する こ と以外は、 前述 した実施例 1 で説明 したの と 同様に して薄型非水電解質 二次電池を製造した。
ポ リ エチ レ ンを 2 8 重量0 /0 と ノヽ。ラフィ ンワ ック スを 7 2重 量%の混合物を二軸押出機を用い、 押出温度 1 7 0 °C、 押出 量 1 0 k g Z hで押出 し、 イ ンフ レーシ ョ ン法で原反フ ィ ル ムを成形した。 得られたフ ィ ルムをィ ソプロパノ ール中に浸 漬してパラ フィ ンワ ックスを抽出除去した。 次いで、 ロール 延伸機を用い、 1 0 0 °Cにて縦方向に 6倍延伸後、 テ ンター 延伸機にて 1 2 0 °C にて横方向に 4倍延伸 し、 8 5 °Cの加熱 ロールによ り 熱収縮処理を行い、 最終的に厚さ 2 5 μ πιで、 透気度が 3 8 0秒 Ζ 1 0 0 c m 3 の微多孔性ポ リ エチ レン膜 を得た。 これを 55m mの幅に切 り 出 し電池用セパレータ と した。
得られたセパ レー タ の 9 0 °C、 1 1 0 °Cでの熱収縮率を前 述した実施例 1 で説明 したのと 同様に して測定し、 その結果 を下記表 1 に示す。
(実施例 9 〜 1 1 )
ハ ロ ゲン化芳香族炭化水素と してオル ト塩化 ト ルエ ンの代
わり にォノレ ト フ ッ化 ト ルエ ン (表 1 中で o — F T で表 し、 リ チウム金属に対する酸化電位が 4 . 9 V ) を下記表 1 に示す 配合量で用いる こ と以外は、 前述 した実施例 1 で説明 したの と 同様な構成の薄型非水電解質二次電池を製造した。
(実施例 1 2 )
実施例 4 で使用 したのと 同様な種類のセパレータを用い、 かつオル ト塩化 トノレェンの代わ り にオル ト フ ッ化 トルエ ンを 下記表 1 に示す配合量で用いる こ と以外は、 前述した実施例 1 で説明 したの と 同様な構成の薄型非水電解質二次電池を製 造した。
(実施例 1 3 ~ 1 5 )
実施例 5 で使用 したのと 同様な種類のセパレータを用い、 かつハロゲン化芳香族炭化水素と してオル ト フ ッ化 ト ルエ ン を下記表 1 に示す配合量で用いる こ と以外は、 前述した実施 例 1 で説明 したのと 同様な構成の薄型非水電解質二次電池を 製造した。
(実施例 1 6 )
実施例 8 で使用 したのと 同様な種類のセパレータを用い、 かつハ ロ ゲン化芳香族炭化水素と してオル ト フ ッ化 ト ルエ ン を下記表 1 に示す配合量で用いる こ と以外は、 前述した実施 例 1 で説明 したのと 同様な構成の薄型非水電解質二次電池を 製造した。
(比較例 1 )
以下に説明する方法でセパレータ を作製する こ と以外は、 前述 した実施例 1 で説明 したのと 同様に して薄型非水電解質
二次電池を製造した。
ポ リ エチ レ ンを 3 0重量0 /0 と ノ、。 ラ フ ィ ン ワ ッ ク スを 7 0重 量%の混合物を二軸押出機を用い、 押出温度 1 7 0 °C、 押出 量 1 O k g Z hで押出 し、 イ ンフ レーシ ョ ン法で原反フ ィ ル ムを成形した。 得られたフィルムをィ ソプロパノ ール中に浸 漬してパラ フィ ンワ ッ クスを抽出除去 した。 次いで、 ロール 延伸機を用い、 1 0 0 °Cにて縦方向に 8倍延伸後、 テ ンター 延伸機にて 1 2 0 °Cにて横方向に 5倍延伸 し、 8 0 °Cの加熱 ロールによ り 熱収縮処理を行い、 最終的に厚さ 2 5 μ ηιで、 透気度が 3 8 0秒 Ζ 1 0 0 c m 3 の微多孔性ポ リ エチ レ ン膜 を得た。 これを 55m mの幅に切 り 出 し電池用セパレータ と した。
得られたセパ レータ の 9 0 °C、 1 1 0 °Cでの熱収縮率を前 述した実施例 1 で説明 したのと 同様に して測定し、 その結果 を下記表 1 に示す。
(比較例 2 )
以下に説明する方法でセパ レータを作製する こ と以外は、 前述 した実施例 1 で説明 したのと 同様に して薄型非水電解質 二次電池を製造した。
ポ リ エチ レンを 3 0重量 0 /0 と ノ、" ラ フ ィ ン ワ ッ ク ス を 7 0 重 量%の混合物を二軸押出機を用い、 押出温度 1 7 0 °C、 押出 量 1 0 k g Z hで押出 し、 イ ンフ レーシ ョ ン法で原反フィノレ ムを成形した。 得られたフ ィ ルムをィ ソプロ ノ、。ノ ール中に浸 漬してノ ラ フ ィ ン ワ ッ ク ス を抽出除去 した。 次いで、 ロ ール 延伸機を用い、 1 0 0 °Cにて縦方向に 8倍延伸後、 テ ンター
延伸機にて 1 2 0 °Cにて横方向に 4倍延伸 し、 7 5 °Cの加熱 ロールによ り 熱収縮処理を行い、 最終的に厚さ 2 5 μ mで、 透気度が 3 3 0秒ノ 1 0 0 c m3 の微多孔性ポリ エチレン膜 を得た。 これを 55m mの幅に切 り 出 し電池用セパ レータ と した。
得られたセパ レータの 9 0 °C、 1 1 0 °Cでの熱収縮率を前 述した実施例 1 で説明 したのと 同様に して測定し、 その結果 を下記表 1 に示す。
(比較例 3 )
以下に説明する方法でセパ レータを作製する こ と以外は、 前述 した実施例 1 で説明 したの と 同様に して薄型非水電解質 二次電池を製造した。
ポ リ エチレンを 3 0重量0 /0とパラフィ ンワ ック スを 7 0重 量%の混合物を二軸押出機を用い、 押出温度 1 7 0 °C、 押出 量 1 0 k g / hで押出 し、 イ ン フ レーショ ン法で原反フ ィ ル ムを成形した。 得られたフィルムをィ ソプロノ、。ノ ール中に浸 漬してパラ フ ィ ンワ ッ ク ス を抽出除去 した。 次いで、 ロ ール 延伸機を用い、 1 0 0 °Cにて縦方向に 6倍延伸後、 テンター 延伸機にて 1 2 0 °Cにて横方向に 5倍延伸 し、 80°Cの加熱口 ールによ り 熱収縮処理を行い、 最終的に厚さ 2 5 μ πιで、 透 気度が 3 8 0秒 Ζ 1 0 0 c m3 の微多孔性ポ リ エチ レン膜を 得た。 これを 55 m mの幅に切 り 出 し電池用セノ レータ と し た。
得られたセパレータの 9 0 °C、 1 1 0 °Cでの熱収縮率を前 述した実施例 1 で説明 したのと 同様に して測定し、 その結果
を下記表 1 に示す。
得られた実施例 1 〜 1 6及び比較例 1 〜 3 の二次電池それ ぞれ 1 0 0個ずつについて、 3 A — 1 5 Vの定電流定電圧条 件で過充電試験を行い、 試験開始から 1 2 時間後の試験終了 までの間に発火 した数を測定し、 その結果を下記表 1 に示す。 また、 過充電試験の際、 電池温度の測定を行ない、 最高温度 の平均値 (ただし、 発火した電池は除く ) を下記表 1 に示す。
90°C熱収縮率 (%) 110°C熱収縮率 (°/
0) o -CT o -FT 捲回軸 捲回方向 捲回軸 捲回方向 添加量 添カロ量
Xl Yi X2 Y2 (Mm%) (重量%) 実施例 1 0. 5 0. 75 1. 5 5 7 5 0 実施例 2 0. 5 0. 7 5 1. 5 5 7 0. 1 0 実施例 3 0. 5 0. 75 1. 5 5 7 15 0 実施例 4 0. 5 0. 75 1. 5 5 5 5 0 実施例 5 2 4 2 10 20 5 0 実施例 6 2 4 2 10 20 0. 1 0 実施例 7 2 4 2 10 20 15 0 実施例 8 2 3 1. 5 10 10 5 0 実施例 9 0. 5 0. 75 1. 5 5 7 0 5 実施例 10 0. 5 0. 75 1. 5 5 7 0 0. 1 実施例 11 0. 5 0. 75 1. 5 5 7 0 15 実施例 12 0. 5 0. 75 1. 5 5 5 0 5 実施例 13 2 4 2 10 20 0 5 実施例 14 2 4 2 10 20 0 0. 1 実施例 15 2 4 2 10 20 0 15 実施例 16 2 3 1. 5 10 10 0 5 比較例 1 2 4 2 15 20 5 0 比較例 2 2 6 3 10 30 5 0 比較例 3 2 2. 4 1. 2 10 15 5 0
表 1 カゝら明 らかなよ う に、 前述 した ( 1 ) 〜 ( 3 ) 式を満 足するセパ レータ を用いる実施例 1 〜 1 6 の二次電池は、 過 充電時、 電流遮断後の発火数が比較例 1 , 2 の二次電池に比 較して少ないこ とが理解でき る。 実施例 4 , 8 , 1 6 の比較 から、 捲回軸方向の 1 1 0 °Cでの熱収縮率 X 2 と捲回方向の 1 1 0 °Cでの熱収縮率 Y 2 と が等 しい場合、 熱収縮率 Χ 2、 Υ 2 が 5 . 0 %以下の方が発火数を少なく でき る こ とがわか る。
また、 電池温度については、 セパ レータの 9 0 °Cでの捲回 方向の熱収縮率 X l が小さい実施例 1 〜 4 、 9 〜 1 2 の二次 電池で低かった。 また、 同種類のセパ レータで比較した場合、 ハロ ゲン化芳香族炭化水素と してオル ト フ ッ化 ト ルエ ンを使 用する二次電池の方がオル ト塩化 トルエンを使用する二次電 池に比較して電池温度が低かった。
これに対 し、 1 1 0 °Cでの熱収縮率が大きいセパ レータ を 用いる比較例 1 、 2 の二次電池では、 セパ レータ によ るシャ ッ ト ダウン機構が作動 した後、 セパ レータの熱収縮によ り 内 部短絡を生じ、 その結果徐々 に電流が流れ出 し、 それに伴い 電池温度が上昇して最終的に発火する電池が発生した。
確認のため、 実施例 1 、 5 および比較例 1 ~ 3 で使用 した 電極群を 1 1 0 °Cに設定されたオーブン内に 1 2 時間放置し てセパ レータの収縮を確認した。 その結果、 実施例 1 と 5 の 電極群については正極の内側までセパレータが収縮している ものは無かったが、 比較例 1 〜 3 の電極群は正極の内側まで セパ レータが収縮し、 正極と負極の絶縁が保たれていない状
態にあった。
前述した実施例では、 偏平形状に捲回 した電極群を用いた 薄型非水電解質二次電池に適用 した例を説明 したが、 渦巻き 状に捲回 した電極群を使用 した円筒形非水電解質二次電池、 前記偏平形状の電極群を備えた角形非水電解質二次電池にも 同様に適用する こ と ができ る。
産業上の利用可能性
以上詳述 したよ う に本発明によれば、 過充電時の発火が低 減された非水電解質二次電池を提供する こ と ができ る。