明細書
ポリジアルキルシロキサンーポリアミ ド共重合体、 その製造方法及び各種材料 技術分野
本発明は、 新規なポリジアルキルシロキサン—ポリアミ ド共重合体、 その製造 方法、 並びに該共重合体を用いた、 コンタク トレンズ、 眼内レンズ等の眼科用材 料、 抗血栓材料等の医療用材料、 各種化粧料組成物又は電子材料等の各種材料に 関する。
従来の技術
ポリジメチルシロキサンに代表されるシロキサンポリマーは優れた生体適合 性及び気体透過性等の機能を有しており、 医療分野における様々な用途が期待さ れ、 一部実施されている。 し力 し、 従来のシロキサンポリマーは強度的に問題が あり、 その用途が限定されている。
そこで、 強度的に優れるアルキルアミ ド基、 特に芳香族系のポリアミ ド(ァラ ミ ド)等のァラミ ドセグメントと、前記生体適合性等に優れるシロキサンセグメン トとの両者を有するポリマーの開発が行われている。
例えば、 シロキサンポリマーとァラミ ドとをブロック共重合して複合化したポ リマー(特開平 1一 1 2 3 8 4号公報)が提案され、 このポリマーが生体適合性材 料として優れること(特開平 2— 2 0 3 8 6 3号公報及ぴ特開平 5— 2 8 5 2 1 6号公報)、並びにこのポリマーがコンタク トレンズ用材料として利用できること (特開平 6— 3 1 3 8 6 4号公報)が提案されている。
このようなシロキサン一ァラミ ド共重合体は、 その製造方法を検討する限り、 いずれも末端に少なからずフリーのァミノ基が数十%残存した材料である。また、 これら共重合体の生体適合性試験は、 シロキサン一ァラミ ド共重合体の有するァ ラミ ドセグメントが溶解しうる溶媒系が限られているため、 N, N—ジメチルァ セトアミ ド(以下 DMA cと略記する)、ジ—メチルホルムアミ ド(以下 DM Fと略記 する)等の溶媒を用いた、溶媒キャスト法によって成形したフィルムを評価したも のである。
一般に、 溶媒キャス ト法によって得られた成形体は、 ポリマーのガラス転移
温度以上に加熱し、 更に減圧し溶媒除去処理を行うことによって溶媒はほとんど 除去される。 しかし、 高い極性を有し、 比較的高沸点である DMFや DMA c等 の溶媒を用いる場合、 医療材料として問題のないレベルにまでこれら溶媒を除去 することは極めて困難である。 このため、 医療材料に用いる場合には、 溶媒を用 いずに共重合体を加熱成形できることが望ましく、 充分な熱安定性を有すること が要求される。
しかし、 前述の従来提案されているシロキサンポリマーとァラミ ドとをブロッ ク共重合して複合化したポリジアルキルシロキサン一ポリアミ ド共重合体は、 溶 媒キャスト法で成形後、 溶媒を完全に飛散させるために、 または加熱流動性を試 験するために一定以上の温度に加熱すると、 淡黄色、 更には褐色に着色するとい う問題がある。 また、 加熱乾燥した後に再度同じ溶媒に溶解させようとしても架 橋反応等が生じて溶解できないという問題がある。 更に、 高温に加熱すると液状 のシロキサン成分が分解反応等を起こして溶出するという問題が生じることが判 つてきている。 従って、 このようなポリマーの加熱成形には、 温度コントロール や加熱時間等に十分な注意を払う必要がある。 更に、 これらのポリマーは、 加熱 成形が困難であり、 しかも、 ポリマー中に不可避的に含有される溶媒を除去する ための加熱処理も困難であるため、 眼科用材料や医療用材料へ応用できない。
ところで、 Surface and interface analysis, Vol. 10, p416— 423 (1987)及び Surface and interface analysis, Vol. 13, p233— 236 (1988)には、 シロキサン 側鎖を有するァクリレートポリマーからなるコンタク トレンズの表面を親水化す るためにプラズマ照射する報告がなされている。 また、 高分子論文集、 第 4 2卷、 8 4 1 - 8 4 7頁(1985)にも、 シリコーンラバーのコンタクトレンズの表面を親 水化するためにプラズマを照射する報告がなされている。 し力 し、 このような処 理を行っても長期間の親水性の保持は困難であり、 しかもタンパク質の付着が激 しくなるという問題点も報告されている。—
Polymer Journal, Vol. 20, p485_491 (1988)には、 ポリジメチルシロキサン に電子線を 8 0 Mradまで照射してもガス透過性への影響は全くなく、 このことよ り 8 O Mrad程度の強度の電子線では化学構造に対する架橋も分解も起こらな
いことが報告されている。 一方、 Adhesion, Vol. 34, p201— 209 (1991)には、 ポ リジメチルシロキサンに電子線を照射し、 その膨潤度(溶解性)の試験より、 2 0 KGy (= 2 Mrad)以下では完全溶解するが、 5 0 KGy (= 5 Mrad)以上では架橋が観測 されるという報告がなされている。 また、 このような電子線照射により、 貯蔵弾 性率(G ' )、 損失弾性率(G" )が大きくなることも報告されている。
しかしながら、 このようなエネルギー線照射による報告は、 全てシロキサンボ リマーに関するものであり、 前記ポリジアルキルシロキサン一ポリアミ ド共重合 体の成形物に対するェネルギ一線照射による物性改善については報告がない。 前記ポリジアルキルシロキサン一ポリアミ ド共重合体は、 シロキサンポリマー の主に強度的欠点を補うためにシロキサン連鎖中にァラミ ドセグメントをマルチ プロック型に導入したものである。これは溶媒キャストゃ加熱成形品そのままで、 ァラミ ドセグメント間の相互作用によって、 シロキサンポリマー単独に比して強 度を大幅に向上させることができる。 しかし、 ポリジアルキルシロキサン一ポリ アミ ド共重合体中のァラミ ドセグメントとシロキサンセグメントとの組成比によ る影響は、 ァラミ ド由来の強度と、 シロキサン由来の酸素透過性や生体親和性等 の機能とがトレードオフの関係にある。 従って、 より高いトータル性能を目標と する場合には、 組成比以外の物性改善が必要である。
ポリアミ ドは、 そのァミ ド結合により比較的良好な親水性を示すが、 ポリジァ ルキルシロキサン一ポリアミ ド共重合体のように、 シロキサン系のポリマーと複 合化している場合、 シロキサンセグメン卜の分子レベルでの動き易さから材料表 面はシロキサンセグメントが覆っており、 極めて疎水性の高い材料となることが 知られている。 医療用材料においてはその用途によって必ずしも親水性であるこ とは必要でないが、 コンタク トレンズ用材料等の場合には、 目への装用感ゃ、 長 時間使用による眼球角膜組織への融着等を防ぐ意味からも親水性である必要があ る。 例えば、 シリコーンエラストマ一によるコンタク トレンズが、 従来、 実用化 されたこともあったが、 親水性の付与が不十分であることにより失敗している。 従って、 疎水性の高いポリジアルキルシロキサン一ポリアミ ド共重合体成形物 の用途を拡大するためには、 この共重合体成形物の表面に親水性を付与する必
要がある。 しかし、 ポリジアルキルシロキサン一ポリアミ ド共重合体成形物の親 水性を改善する方法については従来提案がない。
一方、 ホスホリルコリ ン誘導体基を有する共重合体は、 防汚性、 親水性及 ぴ生体適合性に優れるため様々な研究がなされている。 例えば、 ホスホリル コリン誘導体基を有する単量体を共重合して共重合体を得る方法、該官能基 を有する共重合体を基体にコーティングする方法、反応基を有する材料に該 官能基を有する共重合体を化学的に結合する方法(特開平 3— 3 9 3 0 9号 公報、 特表平 6— 5 0 2 20 0号公報、 特開平 5— 7 0 3 2 1号公報、 特許 第 2 5 9 3 9 9 3号公報、 特開平 9— 3 1 3 2号公報、特表平 7— 5 0 2 0 5 3号公報、 特開平 5— 1 1 77 1 1 9号公報、 特開平 4— 28365 3号公 報、 Y. Iwasaki, K. Ishihara, N. Nakabayashi, C. Khang, J. H. Jeon, J. ¾. Lee, and H.B.Lee, J. Biomater. Sci. , Polym, Edn., 9 (8), p801- 816 (1998Γ)が知 られている。
し力 し、 ポリジアルキルシロキサン一ポリアミ ド共重合体上に、該官能基 を有する共重合体をコーティングし、化学結合させうる点については知られ ていない。
更に、ポリジアルキルシロキサンーポリアミ ド共重合体の合成において、 原料としてジカルボン酸化合物とジァミノ化合物とを用いた場合に使用さ れる溶媒としては、 ピリジン等の溶媒、 これに加えてジォキサン、 テ トラヒ ドロフラン等のエーテル、ジメチルホルムアミ ドが提案されているに過ぎな い(特開平 6— 3 2 9 7 9 1号公報、 特公平 1一 2 3 4 9 0号公報、 特開平 7 - 2 9 2 3 4 2号公報)。 また、 原料としてジカルボン酸ク口リ ド化合物 とジアミノ化合物とを用いた場合に使用される溶媒としては、クロ口ホルム が報告されているに過ぎない(特公平 1— 2 34 9 0号公報、 特開平 1― 1 2 3 8 24号公報、特許第 2 74 34 3 2号公報、特開平 6 - 3 1 3 8 64 号公報、 特開平 5 - 2 8 5 2 1 6号公報、 特開平 7— 2 9 2 3 4 2号公報、 特開平 1 1一 8 0 3 6 0号公報)。
眼科用材料として、 例えば、 眼内レンズは、 種々の原因で白内障になって混濁
した水晶体を置き換えるためのもので、 最近は手術法として、 小切開創による、 超音波水晶体乳化吸引技術と柔軟性を持つた材料からなる眼内レンズを組合せた ものに改良されてきている。
ところで、 柔軟性を有する光学部、 該光学部を保持する複数の保持部とを有す る眼内レンズには、 スリーピース型、 ワンピース型があり、 各々素材の異なる光 学部と保持部の接続形態によって分類されている。 また最近、 光学部と保持部と が一体化した、 いわゆるプレートレンズも知られている。
柔軟レンズに用いられる材料は軟性であるため、 機械加工、 特に従来の P MM Aからなる硬質レンズのように、 切削加工及び研磨加工ができない。 そのため、 光学部成形材料である、 モノマー、 プレボリマー、 オリゴマー等を型内で重合す るキャストモールド法によって光学部が得られている。 また、 支持部の取り付け 方法も従来のように光学部に機械的に小孔を作ることもできないため、 従来とは 異なる手法を用いなければならないという問題がある。
発明の開示
本発明の目的は、 生体適合性及び機械的強度に優れると共に、 熱成形性にも優 れ、 広範囲に及ぶ医療用材料、 眼科用材料、 化粧料又は電子材料に使用可能な新 規なポリジアルキルシロキサン—ポリアミ ド共重合体及びその製造方法を提供す ることにある。
本発明の別の目的は、 生体適合性及び機械的強度に優れると共に熱成形性にも 優れ、 製造時に不可避的に含有される溶媒が実質的に除去されうる、 また透明性 を維持しうる、 広範囲に及ぶ医療用材料、 眼科用材料、 化粧料又は電子材料に使 用可能な成形物を提供することにある。
本発明の他の目的は、 生体適合性及び機械的強度に優れると共に熱成形性及び 親水性にも優れ、 製造時に不可避的に含有される溶媒が実質的に除去され、 また 透明性を維持しうる、 コンタク トレンズ又は眼内レンズ等の眼科用材料、 又は抗 血栓材料等の医療用材料を提供することにある。
本発明の更に別の目的は、 皮膚に塗布することにより、 優れた耐水性、 耐油性 及び耐久性を示し、 また、紫外線遮蔽性に優れ、 しかも毛髪等の形状維持に優れ、
各種化粧料に利用可能な化粧料組成物を提供することにある。
本発明の更に他の目的は、 透明性等の光学特性に優れると共に、 熱成形性、 及 び機械的特性に優れ、 且つ絶縁性を示し、 各種電気 ·電子 ·光学分野に利用可能 な電子材料を提供することにある。
本発明者らは、 上記課題について鋭意検討した。 その結果、 両末端にアミノ基 を有するシロキサンオリゴマー、芳香族ジァミノ化合物、脂肪族ジァミノ化合物、 芳香族ジカルボン酸ク口リ ド又は脂肪族ジカルボン酸ク口リ ドを適当な仕込み組 成、 仕込み手順で反応させた後、 得られた共重合体の末端に残存するァミノ基の 一部若しくは全部を、ァシル化処理した後、アルキルアミ ド化することによって、 若しくはジカルボン酸クロリ ドを反応させた後、 水酸基及び/又はアミノ基を有 する化合物を反応させることによって、 生体適合性、 高気体透過性に優れ、 且つ 機械的強度を合わせ持たせることが可能であり、 しかも化学的、 熱的、 機械的ス トレス下で、 アミノ基、 カルボン酸クロリ ド基又はカルボン酸基が活性点となつ て起こる架橋、 分解といった反応が抑制しうる新規なポリジアルキルシロキサン —ポリアミ ド共重合体が得られることを見い出し本発明を完成した。
また、 ポリジアルキルシロキサン一ポリアミ ド共重合体の合成に使用する重合 溶媒として、 ジメチルホルムアミ ド、 ジメチルァセトアミ ド、 テトラヒ ドロフラ ン、 ジォキサン、 ジグライム、 ァセトニトリル、 ジメ トキシェタン、 アセトン、 メチルェチルケトン、 酢酸メチル、 酢酸ェチル及びこれらの混合物からなる群よ り選択される溶媒を用いることで、 透明性が高く、 熱成形性に優れた共重合体が 得られることを見出し、 本発明を完成した。
更に、この新規なポリジアルキルシロキサン一ポリアミ ド共重合体の成形物が、 機械的ス トレスに対して安定であり、 経時的な安定性も増し、 変色や劣化にも大 きな改善がみられること、 更には親水性の付与が容易なことを見い出し本発明の 成形物、 眼科用材料、 医療用材料及び電子材料を完成した。
更にまた、 この新規なポリジアルキルシロキサン一ポリアミ ド共重合体及び成 形物を各種化粧料に配合することによって、 優れた耐水性、 耐油性及び耐久性を 示し、 また、 優れた紫外線遮蔽性を示し、 しかも毛髪等の形状維持に効果的であ
ることを見い出し本発明の化粧料組成物を完成した。
本発明によれば、 式(1)で表される、 両末端にアミノ基を有し、 且つジアル キルシロキサン連鎖を有するァミノ化合物と、
H^-R^iS i (R2)(R3)-0)n1-S i (R 2) (R 3) _ R 1— NH 2 · · ( 1 ) (式中 R1は、 炭素数 1〜10の二価の有機基を示し、 R2及び R3は、 同一若しく は異なる基であって、 炭素数 1〜 7の有機基を示し、 11 1は5〜200の整数を 示す。 )
式(2)で表されるジァミノ化合物と、
H2N— A1— NH2 · · (2)
(式中 A1は炭素数 1〜20の二価の有機基を示す。 )
式(3)で表されるジカルボン酸クロリ ドと、
C 1 CO-B-COC 1 · · · (3)
(式中 Bは、 炭素数 1〜 20の二価の有機基を示す。 )
を重合反応させて、 共重合体中の一 R1— (Si (R2) (R3) -0)n1-Si (R2) (R3)一 R1— と、 一A1—との組成比が 1 : 0. 01〜100の範囲であり、 且つ末端がアミ ノ基を含むポリジアルキルシロキサン一ポリアミ ド共重合体 (A)を得た後、得られ た共重合体 (A)に、炭素数 2〜 8のァシルク口リ ドを反応させて得たポリジアルキ ルシロキサン一ポリアミ ド共重合体が提供される。
また本発明によれば、 式(1)で表される、 両末端にアミノ基を有し、 且つジァ ルキルシロキサン連鎖を有するァミノ化合物と、 式(2)で表されるジァミノ化合 物と、 式(3)で表されるジカルボン酸クロリ ドとを重合反応させて、 共重合体中 の一 R1—(Si(R2) (R3)— O 1— Si(R2) (R3)— R1—と、 一 A1—との組成比が 1 : 0. 01〜100の範囲であり、 且つ末端がアミノ基を含むポリジアルキルシロ キサン一ポリアミ ド共重合体 (A)を得た後、 得られた共重合体 (A)に、 式(3)で表 されるジカルボン酸クロリ ドを反応させ、—次いで、 炭素数 1〜 8の一価の水酸基 含有化合物、 炭素数 1〜8の一価のアミノ基含有化合物及びこれらの混合物から なる群より選択される化合物を反応させて得たポリジアルキルシロキサン一ポリ アミ ド共重合体が提供される。
更に本発明によれば、式(4)で表される主鎖、式(5)で表される末端及び式(6) で表される他方の末端で表される共重合体であって、
-(NH-A-NHCO-B-CO)m- · · (4)
-NH-A-NH-X2 · · (5)
-X1 · · (6)
式中 X1及び X2は、 一 C0R4、 — C0_B— COR5 (但し、 R4は炭素数 1〜7の有機 基を示し、 R5は、 水酸基、 — OR6又は一 NHR6 (但し、 R6は、 炭素数 1〜7 の有機基を示す)を示し、 Bは、 炭素数 1〜 20の二価の有機基を示す。 )又は水 素原子を示す。 Aは、 — R1—(Si(R2) (R3)— O LS R2) (R3)— R1— (但し、 R1 は炭素数 1〜10の二価の有機基を示し、 R 2及び R 3は同一若しくは異なる基で あって、 炭素数 1〜 7の有機基を示し、 n 1は 5〜200の整数を示す)又は炭素 数 1〜 20の二価の有機基を示す。 Bは、炭素数 1〜 20の二価の有機基を示す。 mは 5〜 200の整数を示す。 )
共重合体中の Aとしての一 R1— (Si (R2) (R3)-0)n1-Si(R2) (R3)— R1—と、 Aと しての炭素数 1〜20の二価の有機基との組成比が 1 : 0. 01〜100の範囲 であり、 且つ共重合体中の X1及び X2が水素原子である割合が、 全末端に対して 10%以下であるポリジアルキルシロキサン一ポリアミ ド共重合体が提供される。 更にまた本発明によれば、 前記ポリジアルキルシロキサン一ポリアミ ド共重合 体の製造方法であって、
式( 4 )で表される主鎖、 式( 5 )で表される末端及び式( 6 )で表される他方の末 端で表され、 Aとしての一 R1—(Si(R2) (R3)— (^r^—SiOT-) (R3)— R1—と、 Aと しての炭素数 1〜 20の二価の有機基との組成比が 1 : 0. 01〜 100の範囲 である共重合体 (A)を得た後、以下の工程( I )又は工程( Π )を行うポリジアルキル シロキサン一ポリアミ ド共重合体の製造方法が提供される。
工程( I):共重合体 (A)に、炭素数 2〜 8のァシルク口リ ドとを反応させて、共重 合体 (A)中の X1及び X 2の水素原子をアルキルアミ ドィヒし、 得られる共重合体中 の末端全体に対して、前記 X1及び X2が水素原子である割合を 10%以下とする 工程、
工程(Π ):共重合体 (Α)に、式(3 )で表されるジカルボン酸クロリ ドを反応させ、 次いで、 炭素数 1〜 8の一価の水酸基含有化合物、 炭素数 1〜 8の一価のアミノ 基含有化合物及びこれらの混合物からなる群より選択される化合物を反応させて、 共重合体中の X 1及び X 2の水素原子である割合を 1 0 %以下とする工程。
また本発明によれば、 前記ポリジアルキルシロキサン一ポリアミ ド共重合体の 少なくとも 1種を含む成形材料を成形することによって得られた成形物が提供さ れる。
更に本発明によれば、 前記成形物を含む眼科用材料又は医療用材料が提供され る。
更にまた本発明によれば、 前記ポリジアルキルシロキサン一ポリアミ ド共重合 体、 及び前記成形物の少なくとも 1種を含む化粧料組成物又は電子材料が提供さ れる。
図面の簡単な説明
図 1は、 実施例 8で行った P- 17- 70のキャスト膜の熱重量分析結果の温度と、 キャスト膜の重量減少(%)との関係を示すグラフである。
図 2は、 実施例 8で行つた各キャスト膜の 1 2 0 °Cでの乾燥時間と残存溶媒重 量との関係を示すグラフである。
図 3は、 実施例 8で行った P-17- 70を用いたキャスト膜、 及び実施例 9で行つ た P-17 - 70を用いたフィルムの示差走査熱量分析機による測定結果を示すグラフ である。
図 4は、 実施例 1 0で行った電子線照射後のフィルムの動的粘弾性測定結果を 示すグラフである。
図 5は、 実施例 1 0で行つた電子線照射前のフィルムの動的粘弾性測定結果を 示すグラフである。
図 6は、 実施例 1 0で行つた電子線照射(2 0、 3 0、 5 0及び Ί 0 Mrad)した フィルムの T Gの測定結果を示すグラフである。
図 7は、 実施例 1 5で行った紫外可視吸収スぺク トルの測定結果を示すダラフ である。
発明の好ましい実施の態様
以下本発明を更に詳細に説明する。
本発明のポリジアルキルシロキサン—ポリアミ ド共重合体(以下本発明の共重 合体という)は、 式(1)で表される、 両末端にアミノ基を有し、且つジアルキルシ ロキサン連鎖を有するァミノ化合物と、
H^-R^iS i (R2)(R3)-0)n1-S i (R 2) (R 3)— R 1— NH2 · · (1) 式(2)で表されるジァミノ化合物と、
H2N— A1—薦2 · · (2)
式(3)で表されるジカルボン酸クロリ ドと
C 1 CO-B -COC 1 · · · (3)
を重合反応させて、 共重合体中の一 R1—(Si(R2) (R3)-0)n1-Si(R2) (R3)_R】— と、 一 A1—との組成比が 1 : 0. 01〜100の範囲であり、 且つ末端がアミ ノ基を含むポリジアルキルシロキサン一ポリアミ ド共重合体 (A)を得た後、得られ た共重合体 (A)に、炭素数 2〜 8のァシルク口リ ドを反応させるか、若しくは共重 合体 (A)に、式(3)で表されるジカルボン酸クロリ ドを反応させ、 次いで、炭素数 1〜 8の一価の水酸基含有化合物、 炭素数 1〜 8の一価のァミノ基含有化合物及 びこれらの混合物からなる群より選択される化合物を反応させることにより得ら れ、 いずれの方法によっても得られる共重合体は、 末端が同様に処理された共重 合体である。前記共重合体 ( に、式(3)で表されるジカルボン酸クロリ ドを反応 させることにより、 末端が酸クロリ ドであるポリジアルキルシロキサン一ポリア ミ ド共重合体等ができる。
式(1)において、 R1は、 p—フエ二レン基、 0 —フエ二レン基、 m—フエ二 レン基、 4, 4, 一ジフエ二レンエーテル基、 4. 3 ' —ジフエ二レンエーテル 基、 4, 4 ' —ジフエ二レン基、 4, 3, 一ジフエ二レン基、 4, 4, 一フエ二 レンジメチレン基、 4, 4 ' 一チォジフエ二レン基、 4, 3, 一チォジフエニレ ン基、 4, 4 ' 一プロピレンジフエ二レン基、 4, 3 ' —プロピレンジフエ-レ ン基、 4, 4 ' ーメチレンジフエ二レン基、 4, 3 ' —メチレンジフエ二レン基 等の炭素数 1〜10の二価の有機基を示す。 1 2及び 3は、 同一若しくは異なる
基であって、 メチノレ基、 ェチノレ基、 フエニル基、 ヒ ドロキシフエニル基、 ビニノレ 基、 3, 3, 3—トリフルォロプロピル基、 (メタ)ァクリロイルォキシアルキル 基、 /3—フエ-ル(メタ)ァクリロイルォキシアルキル基、 アジドベンゾィルォキ シアルキル基、 メルカプトアルキル基等の炭素数 1〜 7の有機基を示す。 好まし くはメチル基、 ェチル基、 フエ-ル基、 ヒ ドロキシフエ二ル基、 ビニル基、 3, 3, 3— トリフルォロプロピル基等が挙げられる。 n 1は 5〜200の整数を示 す。
式(1)で表されるァミノ化合物としては、 以下の式で表されるオリゴマ一等が 好ましく挙げられ、 使用に際しては単独若しくは混合物として用いることができ る。 但し、 式中 P hはフエ二ル基を示し、 a及び bは、 1〜1 0の整数を示す。 NH2(CH2)a-(Si(CH3) 20)n1-Si(CH3) 2- (CH2)bNH2、
NH2(CH2)a-(Si(C2H5) 20)n1-Si (C2H5) 2— (CH2)bNH2、
NH2(CH2)a-(Si(CH3) (C6H5)0)n1-Si(CH3) (C6H5)- (CH2)bNH2、
NH2 (CH2) a- (Si (C6H5) 20)n ^Si (C6H5) 2- (CH2)bNH2、
NH
2(CH
2)a-(Si(CH
3)
(CH
3) (C
6H
40H)- (CH
2)b顧
2、
NH2 (CH2)a- (Si (CH3) 20)n1-(Si (CH二 CH2) 2 )nlSi (CH3) 2- (CH2)bNH2、
NH2(CH2)a-(Si (CH3) (CH2CH2CF3)0)n1-Si (CH3) (CH2CH2CF3)- (CH2)bNH2、
NH2(CH2)a-(Si(CH3) 20)n1-(Si (CH2CH2CF3) 20)n1-Si(CH3) 2- (CH2)bNH2、
NH2(CH2)a-(Si(CH3)20)n1-(Si(C3H60C0CH二 CH 2 ) (CH 3 ) 0) n 1 - S i (CH 3 ) 2 - (CH 2 ) bNH 2、 NH 2 (CH 2 ) a- (Si (CH 3 ) 20) n 1 - (Si (C 3 H 60C0CH=CHPh) (CH 3 ) 0) n 1 - S i (CH 3 ) 2- (CH 2 ) bNH 2、 NH2(CH2)a-(Si(CH3)20)n1-(Si(C3H60C0C6H4N3) (CH3)0)n1-Si (CH3) 2-(CH2)bNH2 NH2(CH2)a-(Si(CH3) 20)n1-(Si (C3H6SH) (CH3)0)n1-Si (CH3) 2-(CH2)bNH2N
NH2(CH2)a-(Si(CH3) 20)n1-(Si (Ph) 20)n1-Si (CH3) 2-(CH2)bNH2
NH 2 (CH 2 ) a- (S i (CH 3 ) 20) n 1 - (Si (CH 3 ) (Ph) 0) n 1 - S i (CH 3 ) 2 - (CH 2 ) bNH 2。
式(1)で表されるァミノ化合物の調製法は特に限定されず、 例えば、 両末端に シリルヒ ドロキシル基を有し、 予め目的の分子量を有するポリシロキサンを、 パ ラジウム、 ロジウム、 ルテニウム等の金属化合物を触媒として使用して、 3—ァ ミノ _ 1一プロペン、 4一アミノー 1—ブテン等の不飽和ァミンと反応させて製
2
造する方法;前記不飽和ァミンの代わりにァクリロ二トリル等と反応させて、.接 触還元等によりアミノプロピル基等を導入する方法等が挙げられる。 更に、 一般 にポリシロキサンの製造方法においてアミノアルキル基を有するジシロキサンを 重合停止剤として用いて環状オリゴシロキサンを開環重合させても式(1 )で表さ れるァミノ化合物が製造できる。
式(2 )において A 1は、 p—フエ二レン基、 o—フエ二レン基、 m—フエニレ ン基、 4, 4 ' ージフエニルエーテル基、 . 3, 一ジフエ-ルエーテル基、 4, 4 ' ージフエ二レン基、 4, 3, 一ジフエ二レン基、 4, 4 ' —フエ二レンジメ チレン基、 4, 4 ' 一チォジフエ二レン基、 4 , 3, 一チォジフエ二レン基、 4 , 4 ' ージフエニノレチォエーテル基、 4, 3 ' ージフエ二ルチオェ一テル基、 4, 4 ' 一プロピレンジフエ二レン基、 4, 3 ' 一プロピレンジフエ二レン基、 4, 4 ' —メチレンジフエ二レン基、 4, 3, ーメチレンジフエ二レン基等の炭素数 1 〜 2 0の二価の有機基を示す。 好ましくは p—フエ二レン基、 0—フエ二レン 基、 m—フエ二レン基、 4, 4 ' —ジフエ二ルェ一テル基、 4 . 3, 一ジフエ- ルエーテル基、 4, 4 ' —ジフエ-レン基、 4, 3 ' ージフエ二レン基、 4, 4 , —ジフエ二ルチオエーテル基、 4, 3 ' ージフエ二ルチオエーテル基等が挙げら れる。
式(2 )で表されるジァミノ化合物としては、 p—フエ二レンジァミン、 0—フ ェニレンジァミン、 m—フエ二レンジァミン、 4, 4 ' —ジアミノジフエニルェ 一テル、 4 . 3 ' ージアミノジフエ二ノレエーテル、 4 , 4 ' —ジアミノジフエ二 レン、 4 , 3 ' ジアミノジフエ二レン、 4, 4 ' ージアミノジフエ二ルチオェ 一テル、 4, 3 —ジアミノジフエ二ルチオエーテル、 4, 4 ' —ジアミノジフ
. 4, 3 ' —ジアミノジフエニルメチレン、 4 , 4 ' ージァミノ ジフエニノレエチレン、 4, 3, ージアミノジフエニルエチレン、 4, 4 ' ージァ ミノジフエ二ルプロピレン、 4 , 3, ージアミノジフエニルプロピレン等が挙げ られ、 使用に際しては単独若しくは混合物として用いることができる。
式(3 )において Bは、 p—フエ二レン基、 o—フエ二レン基、 m—フエ二レン 基、 4 , 4, ージフエ二レンエーテル基、 4 . 3, ージフエ二レンエーテル基、
4, 4, ージフエ二レン基、 4, 3 ' ージフエ二レン基、 4, 4, 一フエ二レン ジメチレン基、 4, 4 ' 一チォジフエ二レン基、 4, 3 ' 一チォジフエ二レン基、 4, 4, 一プロピレンジフエ二レン基、 4, 3 ' —プロピレンジフエ-レン基、 4, 4, ーメチレンジフエ二レン基、 4, 3, ーメチレンジフエ二レン基等の炭 素数 1〜20の二価の有機基を示す。 好ましくは p—フエ二レン基、 0—フエ二 レン基、 m—フエ二レン基等が挙げられる。
式(3)で表されるジカルボン酸クロリ ドとしては、 テレフタル酸クロリ ド、 ィ ソフタル酸クロリ ド、 フタル酸クロリ ド、 4, 4 ' —ォキシビス安息香酸クロリ ド、 4, 3, 一ォキシビス安息香酸クロリ ド、 4, 4 ' 一ビス安息香酸クロリ ド、 4, 3, 一ビス安息香酸クロリ ド、 4, 4, 一チォビス安息香酸クロリ ド、 4, 3 ' ーチォビス安息香酸クロリ ド、 4, 4' —メチレンビス安息香酸クロリ ド、 4, 3, ーメチレンビス安息香酸クロリ ド、 4, 4, 一エチレンビス安息香酸ク 口リ ド、 4, 3, 一エチレンビス安息香酸クロリ ド、 4, 4, 一プロピレンビス 安息香酸ク口リ ド、 4, 3, 一プロピレンビス安息香酸ク口リ ド等が挙げられ、 使用に際しては単独若しくは混合物として用いることができる。
前記式(1)で表されるァミノ化合物と、 式(2)で表されるジァミノ化合物と、 式(3)で表されるジカルボン酸クロリ ドとを重合反応させる際の仕込み割合及び 条件は、 共重合体中の一 R1—(Si(R2) (R3)— 0) — Si(R2) (R3)— R1—と、 一 A1 一との組成比が 1 : 0. 01〜: L 00、 好ましくは 1 : 0. 1〜10の範囲であ る。
このような条件等は、 例えば、 特開平 1一 123824号公報、 特開平 6— 3 13864号公報あるいは Macromolecules,Vol.2,p4143(1989)に記載される方 法等に準じて設定することができる。
例えば、 式(1)で表されるァミノ化合物と、 式(2)で表されるジァミノ化合物 と、 式(3)で表されるジカルボン酸クロリ ドとの仕込みモル比は、 0. 001〜 0. 090 : 0. 01〜0. 099 : 1、 好ましくは 0. 01〜0. 90 : 0. 10〜0. 99 : 1の範囲から適宜選択するのが望ましい。
前記重合反応は、 例えば、 DMF、 DMAc、 テトラヒ ドロフラン(以下 TH
Fと略記する)、 ジォキサン、 ァセトニトリル、 ジメ トキシェタン(以下 DMEと 略記する)、 アセトン、 メチルェチルケトン(以下、 ME Kと略記する)、 ジグライ ム、 酢酸メチル、 酢酸ェチル及びこれらの混合物からなる群より選択される溶媒 中で行うことができる。 特に混合溶媒の使用が好ましい。
反応順序は、 式(2 )で表されるジァミノ化合物と、 式(3 )で表されるジカルボ ン酸クロリ ドとを反応させた後に、 式(1 )で表されるァミノ化合物を反応させる 方法、 全てを同時に仕込んで反応させる方法のいずれでも良い。 各成分の仕込み 順序やタイミングを変えたり、 仕込み比率を僅かにずらすことによって、 また溶 媒系を変えることによって生成する共重合体中のセグメントの連鎖、 分子量等を 変えることができる。
反応条件は、 例えば、 反応器内に窒素ガス又は空気等を通気することによって 乾燥条件として、 一 8 0 °C〜6 0 °Cで、 0 . 1〜1 0 0時間反応させる条件等で 行うことができる。
前記重合反応により得られる共重合体 (A)は、 末端が、 アミノ基、 カルボキシ ル基、 カルボン酸又はカルボン酸エステル等であって、 且つ分子量が種々のもの の混合物である。 通常、 末端アミノ基である割合は、 全末端に対して好ましくは 5 0 %程度、 通常、 1 0 %を超え、 5 0 %以下であり、 分子量は、 数平均分子量 で 5 0 0 0〜 1 0 0 0 0 0 0の範囲が好ましい。
本発明の共重合体を製造するには、 得られた共重合体 (A)を、 ァセチルクロリ ド、 ベンゾイルクロリ ド等の炭素数 2〜 8のァシルクロリ ドと反応させる力 \ 若 しくは、得られた共重合体 (A)を式(3 )で表されるジカルボン酸クロリ ドと反応さ せた後に、 炭素数 1〜 8の一価のアルコール等の炭素数 1〜 8の一価の水酸基含 有化合物、 炭素数 1〜 8の一価のァミン等の炭素数 1〜 8の一価のァミノ基含有 化合物及びこれらの混合物からなる群より選択される化合物を反応させることに よって、 いずれも末端を同様に処理して得ることができる。
これらの反応は、 前記重合反応に用いる溶媒として例示した溶媒中で行なうこ とができる。 例えば、 ァシルクロリ ド又はジカルボン酸クロリ ドの仕込量は、 前 記共重合体 (A)の末端に残存するァミノ基の割合に応じて適宜選択することがで
きる。 例えば、 ァシルクロリ ド又はジカルボン酸クロリ ドの仕込量は、 共重合体 の末端に残存するァミノ基の当量〜 1 0倍当量程度が好ましい。 これらの反応条 件は、 好ましくは一 8 0 °C〜 6 0 °Cで、 1分間〜 2時間反応させる条件等で行う ことができる。 反応終了後、 炭素数 1〜 8のアルコールを加えることで重合末端 に官能基が残存することを避けることができる。
反応物の精製には、 反応溶液中に炭素数 1〜8のアルコール、 水又はこれらの 混合物を加え、 加熱後、 冷却、 濾過する方法、 炭素数 1〜 8のアルコール、 水又 はこれらの混合物に、 反応溶液を滴下し、 加熱後、 冷却、 濾過する方法、 これら の工程を繰り返して単離精製する方法等が挙げられる。
前述の方法により得られる本発明の共重合体の分子量は、 特に限定されないが、 好ましくは数平均分子量で 5 0 0 0〜 1 0 0 0 0 0 0である。
本発明の共重合体は、 得られた共重合体 (A)に前記ァシルクロリ ドを反応させ、 好ましくは精製することによって、 末端に残存する少なくともァミノ基の一部若 しくは全部をァシルクロリ ド残基によって置換したもの、 若しくは得られた共重 合体 (A)に、前記ジカルボン酸クロリ ドと反応させた後に、炭素数 1〜8の一価の 水酸基含有化合物、 炭素数 1〜8の一価のアミノ基含有化合物及びこれらの混合 物からなる群より選択される化合物を反応させ、 末端に残存する少なくともアミ ノ基の一部若しくは全部をこれらの反応により置換したものであって、 いずれも 同様な共重合体である。
前記本発明の共重合体末端に残存するアミノ基を定量するには、 例えば、 一定 時間、 大気中等の酸素存在下で高温状態にさらすことによって生じる変色現象の 度合いを観測することによって調べることができる。より定量的な方法としては、 酸塩基滴定法ゃァミノ基と定量的に反応させて特定波長光の吸収や蛍光を生じる 分子団を導入する方法が挙げられる。 特に、 アミノ酸やペプチド、 タンパク質の 検出、 定量に用いられる以下の方法が高感度で信頼性が高く望ましい。
具体的には、 フルォレセインイソチオシァネ一ト(以下 F I T Cと略記する)、 テトラローダミンイソチオシァネート、 フルォレサミン、 ダンシルク口リ ド、 o ーフタル酸クロリ ド等の蛍光物質を適当な溶媒中で本発明の共重合体と反応させ
た後、 未反応の蛍光色素を繰り返し洗浄して除去し、 適当な溶媒に溶解して、.所 定波長での励起を行い所定の蛍光強度を測定する方法等が挙げられる。 この際、 濃度が濃い場合には吸収スぺク トル (強度)を測定し、 前記ァシルクロリ ドを反応 させる前の共重合体中に残存する末端アミノ基量を示す吸収スぺク トノレ強度と、 本発明の共重合体中に残存するアミノ基量を示す吸収スぺク トル強度との比によ つてアミノ基残存率を算定することができる。 本発明の共重合体としては、 この 吸収スぺク トル強度比により算出した残存アミノ基量が、 10%以下であること が好ましい。 または変色現象の度合いを観測すること、 すなわち得られた共重合 体をほぼ一定膜厚のフィルムとし、 所定温度(例えば 300°C程度)に一定時間お いて吸収スぺク トルの移動(カツトオフ波長の長波長シフト)を定量的に測定する ことによって、 ロット毎のアミノ基の残存率を定量的に評価することができる。 同様な熟ストレスによる挙動を各種熱分析、 熱機械分析等によって評価すること もできる。
また、 本発明の共重合体の全末端に対する残存するァミノ基の割合を測定する には、 例えば、 平均分子量から単位重量当たりのポリマー末端数を求め、 ァミノ 基に特異的定量的に付加する分子団を導入したり、 酸塩基滴定等によってァミノ 基を定量する方法等が挙げられる。 本発明の共重合体においては、 この全末端に 対する残存アミノ基の割合も、 10%以下、 特に 0〜5%が望ましい。
前記製造方法で得られる本発明の共重合体の中でも、 式(4)で表される 1種又 は 2種以上の主鎖、 式(5)で表される末端、 及び式(6)で表される他方の末端で 表される共重合体であって、 共重合体中の Aとしての
—R1—(Si(R2)(R3)— 0)!!1— Si(R2)(R3)— R1—と、 Aとしての炭素数 1〜 20の 二価の有機基との組成比が 1 : 0. 01〜 100の範囲であり、 且つ共重合体中 の全末端に対する X1及び X 2が水素原子である割合が、 10%以下、 好ましくは 0〜 5 %であるポリジアルキルシロキサンーポリアミ ド共重合体が好ましい。
-(NH-A-NHCO-B-CO)m- · · (4)
-NH-A-NH-X2 ♦ · (5)
-X1 · . (6)
式中 X1及び X 2は、 — C0R4、 一 CO— B— COR5 (但し、 R 4は炭素数 1〜 7の有機基 を示し、 R5は、 水酸基、 一OR6又は一NHR6 (但し、 R6は、 炭素数 1〜7の 有機基を示す)を示し、 Bは、 炭素数 1〜20の二価の有機基を示す。 )又は水素 原子を示す。 Aは、 一 R1—(Si(R2) (R3)— O 1— Si(R2) (R3)— R1—(但し、 R1は 炭素数 1〜10の二価の有機基を示し、 R 2及び R 3は同一若しくは異なる基であ つて、 炭素数 1〜 7の有機基を示し、 n1は 5〜200の整数を示す)又は炭素数 :!〜 20の二価の有機基を示す。 Bは、 炭素数 1〜 20の二価の有機基を示す。 mは 5〜 200の整数を示す。
これらの末端のァミノ基が減じられた共重合体は、 実質的に溶媒が除去される ような条件で加熱成形した場合にも、 実質的に着色されずに成形物を得ることが できる。
式(4)で示される主鎖としては、 以下の式で示される構造、 又はこれらを組合 わせた構造等が好ましく挙げられる。 但し、 式中の P hはフエ-ル基を示す。
V· ΓΊ 3 Π 3
- HN- (CH2) 3- (Si- 0) , o-Si- ,
C n 3 C H 3
C n 3 C H 3
-HN-(CH2) 3- (Si- 0) 20-Si-(CH2) 3"NH-C0-(o)-C0- n- ,
H 3 C H 3
C n 3 C H 3
-HN- (CH2) 3-(Si-0)3。― S i - (CH2) 3-NH-C0- o)-C0- (NH-(o)-0-(o)-NH-C0-^o)-C0) n- ,
C H 3 C H 3
C H 3 C fi 3
-HN-(CH2) 3- (Si-0) 50-Si-(CH2) 3-NH-C0-^o)-C0- (NH-(o)-0-(o)-NH-C0- o)-C0) n- ,
C H 3 C H 3
Ph Ph
-HN- (CH2) ,-(Si-0)5O-Si- (CH2) 3-NH-C0-(o)-C0- (NH-(o)-0-(o)-NH-C0- o)-C0) n - '
Ph Ph
I
-HN-(CH2): (Si O)10-Si-(CH2)2 -NH-C0-(o)-C0-(NH
I
Ph Ph 0-(o)-NH-C0-(O)-C0)n-
C H 3 C H 3
-HN- (CH2) 2- (S i - 0) 3。- S i - (CH2) 2 -NH-CO.
C H 3 C H 3 (o)-C0- (ΝΗ-@-0- NH- CO,
0)- C0)n-
C H 3 C H 3
-HN - (CH2) 2- (S i - 0) 5 o-S i - (CH2) 2-NH-C0- o)-C0- (NH-(o)-0-(o)-NH-C0-@)-C0) n- C H 3 C H a
C H 3 C H 3
-HN- (CH2) 3- (Si-0) 10-Si- (CH2)
Ph Ph
-HN- (CH2) 2- (S i -0) 2 o-Sト (CH2) 2- NH- G0\
C H 3 C H 3
-HN-(CH
2)
3- (Si-0)
50-Si-(CH
2) n- CH
3 CH
3
Ph Ph
-HN- (CH
2) 3- (Si-0)
5 o-S i - (CH
2) 0-@- 00 「00) n- CH
3 CH
3
\/
式( 5 )又は式( 6 )で表される末端における X
1及ぴ X
2としては、特定割合以下 の水素原子、 若しくは以下に示す式で表される基が好ましく挙げられる。
一 COCH3、 一 COCH2CH3、 一 CO(CH2)2CH3、 一 COCH(CH3)2、 一 CO(CH2)CH3、 一 COCH2CH(CH3) 2、 —CO (CH2) 4 CH3、 一 CO(CH2) 5CH3、 一 CO(CH2) 6CH3、 一 C O (CH2) 7 CH 3、
-COCH2CH(C2H5) (CH2) 3CH3N -CO(CH2) 8CH3,
一 CO(CH2)9CH3、 -CO(CH2) : ! CH3, — CO (CH2) ! 3 CH3、 一 CO(CH2) 15CH3、 一 CO(CH2) 17CH3、 — CO (CH2) , 9 CH3、 — CO— B— COOH、 一 CO— B— COOCH3、 一 C O— B— C OO C 2H 5、 一 CO— B— COOC3H7、 一 CO— B— COOC4H9、
-CO-B-COOC5H, -CO-B-COOCgHj 3%
-CO-B-COOC.Hi 5. 一 CO— B— CONHC2H5、
一 CO— B— CONHC4H9、 -CO-B-CONHC5Hl lN
-CO-B-CONHC6H13, -CO-B-CONHC7H15
式中 Bは、 一 o—C6H4—、 一 m—C6H4—、 一 p—C6H4—、
—o— C6H4— O—o— C6H4—、 一 m— C6H4— O—o— C6H4—、 一 p— C6H4— O— o— C6H4—、 一 m— C6H4_O— m— C6H4—、
— m— C6H4— O— p— C6H4—、 -p-C6H4-0-p-C6H4- — o— C6H4— S— o— C6H4―、 一 m— C6H4— S— o— C6H4—、
—p— C6H4— S— o— C6H4—、 一 m— C6H4— S_m— C6H4—、 一 m— C6H4— S— p— C6H4—、 一 p— C6H4— S— p— C6H4—、
-o-C6H4-CH2-o-C6H4 -, 一 m— C6H4— CH2_o— C6H4—、 一 p— C6H4— CH2—o— C6H4—、 一 m— C6H4— CH2— m— C6H4—、 —m— C6H4— CH2—!)一C6H4—又は一!)一 C6H4— CH2— p—C6H4— を示す。
本発明の共重合体は、 前記主鎖及び末端の様々な組合わせによる混合物として 得られる。
本発明の共重合体は製造後、 乾燥することができる。 乾燥条件としては、 例え
ば、 常圧下、 室温〜 1 5 0 °C、 好ましくは 7 0 °C程度で 1〜 2 0時間、 好ましく は 2〜8時間乾燥し、 その後、 2 5 0 °C以下で真空ポンプ減圧下、 1〜7日間乾 燥する方法等が挙げられる。 本発明の共重合体は、 湿式成形法によって、繊維状、 中空糸状、 糸状等の所望形状に成形しながら凝固させることもできる。
本発明の成形物は、 前記本発明の共重合体の少なくとも 1種を含む成形材料を 成形したものである。 成形方法としては、 例えば、 フィルム成形体とする際の成 形方法として、 溶媒キャスト法が挙げられる。
溶媒キャスト成形の条件は、 溶媒として、 DMA (:、 DM F等を用い、 成形材 料を、 本発明の共重合体を 0 . 5〜4 0重量%、 好ましくは 1 0重量%程度の濃 度の溶液としてキャスト成形する方法が挙げられる。 乾燥は、 常圧下、 室温〜 1 5 0 °C、 好ましくは 7 0 °C程度のホットプレート上で、 1〜2 0時間、 好ましく は 2〜8時間粗乾燥し、 その後、 室温あるいは 2 5 0 °C以下の温度にて、 真空ポ ンプ減圧条件下、 1〜7日間乾燥させることによってキャスト膜が得られる。 キ ヤスト法を用いた成形物の形状は、 フィルムに限定されるものではなく、 様々な 形状であっても良い。
このキャスト法によって得られる成形物は、 共重合体の組成によって、 特に用 いる溶媒が高極性であったり、 高沸点である場合、 その除去が困難で残存する恐 れがある。 従って、 眼科用材料及び医療用材料以外の用途への使用が好ましい。
成形物中の残存溶媒を測定する方法としては、 例えば、 — NMRでの溶媒 由来の水素ピークを確認する方法がある。 しかし、 この方法は感度が低く数%程 度で、 ポリマーと溶媒との水素ピークが重ならないという条件の場合に行える。 他の方法としては、熱重量分析(T G)や示差走査熱量分析(D S C)が挙げられる。 前者はポリマーの分解温度まで昇温する過程で、 ポリマー中の溶媒又はポリマー. 自身の重量変化を測定するものであるが、 当然ポリマー中の残存溶媒が気化すれ ば飛散した溶媒量に相当する重量が測定できる。 但し、 他の不純物、 例えば、 水 やポリマー自身の分解温度と重なる場合は判別不能となる。 一方、 後者は、 ポリ マーの分解温度まで昇温する過程で、 ポリマー中の溶媒の気化に伴う熱量の収支 を測定するもので、 基本的に T Gと同様であるが、 高沸点で蒸発潜熱の大きな溶
媒を観測する場合には、 非常に高感度での測定が可能である。 . 他の成形方法としては、 加熱成形法が挙げられる。 この加熱成形法は、 製造時 に不可避的に残存する共重合体中の溶媒をほとんど若しくは実質的に除去しうる ので、 特に、 コンタク トレンズ、 眼内レンズ等の眼科用材料や医療用材料への製 造に有用である。 従来、 提案されている、 前記式(4 )で示される主鎖を有し、 且 つ末端がァシルクロリ ドで処理されていない共重合体を用いて成形物を調製する 場合には、 加熱成形法は採用できなかった。 その理由は、 加熱により成形物が劣 ィ匕したり、 変色するためであり、 しかも、 実質的に溶媒が存在しない状態にする こともできないからである。 これに対して、本発明の共重合体を含む成形材料は、 加熱成形によっても着色(変色)等を抑制でき、 実質的に透明な成形物を得ること も可能である。
加熱成形法としては、 例えば、 ホットプレス法、 メルトフロー法、 インジェク シヨン法等が挙げられ、 条件は適宜選択して行うことができ、 成形物の形状は、 用途に応じて選択することができ、 特に限定されない。
本発明の成形物は、 前記成形後にエネルギー線を照射して架橋されたものであ つても良い。 エネルギー線としては、 例えば、 電子線、 放射線、 プラズマ等の各 種エネルギー線が挙げられる。 また、 電場の印加等によっても架橋させることが できる。
電子線の照射条件としては、 1〜 1 0 0 0 Mrad、 特に 5〜 1 0 O Mradの範囲が 好ましい。 エネルギー線照射後に、 例えば、 熱機械分析(TMA)にて軟化温度を 測定し、 軟化温度の上昇を調べることによって、 架橋の有無が評価できる。 また 軟化温度の上昇の程度によって架橋の程度が評価できる。 更に、 動的粘弾性測定 によって、 架橋の有無及び程度を評価することができる。
この架橋によって、 本発明の共重合体に由来する生体適合性等を維持して、 成 形物の機械的強度等を更に向上させることが可能であり、 眼科用材料、 各種医療 用材料等への使用が期待できる。
本発明の成形物は、 前記成形後、 若しくは前記エネルギー線照射後、 表面に、 親水性を付与するために、 親水性モノマーュニットと疎水性モノマーュニットと
の組成比が 1 : 0. 01〜 100、 好ましくは 1 : 0. 1〜10である共重合体 を含む膜を形成したものであっても良い。 更に前記成形後、 若しくは前記エネル ギ一線照射後、 表面に、 親水性モノマーユニットと疎水性モノマーユニットとの 組成比が 1 : 0. 01〜 100、 好ましくは 1 : 0. 1〜 10である共重合体を 含む成形物を固着し一体化した成形物であっても良い。
このような親水性を付与した成形物は、親水性を必要とする各種医療用材料や、 特に目への装用感等が向上されたコンタク トレンズ、 眼内レンズ等の眼科用材料 等として用いることができる。
前記モノマ一ユニットを形成するモノマーとしては、 例えば、 2—ヒ ドロキシ ェチルァクリ レート(以下 HE Aと略す)、 2—ヒ ドロキシェチルメタクリレート (以下 HEMAと略す)、 アクリルアミ ド(以下 AAmと略す)、 ビニルピロリ ドン (以下 VP Dと略す)、ァクリル酸 (以下 A Aと略す)、メタクリル酸 (以下 MA Aと 略す)等が挙げられる。一方、疎水性モノマーュニットを形成する疎水性モノマー としては、 例えば、 メチルアタリレート(以下 MAと略す)、 メチルメタクリレー ト(以下 MMAと略す)、 ェチルアタリレート(以下 E Aと略す)、 ェチルメタクリ レート(以下 EMAと略す)、 プロピルアタリレート(以下 P Aと略す)、 プロピル メタクリレ一ト(以下 PMAと略す)、 ブチルアタリレート(以下 B Aと略す)、 ブ チルメタクリレート(以下 BMAと略す)、 ラウリルアタリレート(以下 L Aと略 す)、 ラウリルメタクリレート(以下 LMAと略す)、 ステアリルアタリレート(以 下 S Aと略す)、ステアリルメタタリレート(以下 SMAと略す)、 2—ェチルへキ シルァクリレート(以下 EHAと略す)、 2—ェチルへキシルメタクリレート(以下 EHMAと略す)、 スチレン(以下 S t )と略す)等が挙げられる。
更に、該モノマーとして、式(7)で示される側鎖を有する化合物も好まし く挙げられる。
O R7
II I
-0-P-0-(CH2) n-N-R8 ·'·(7)
I I
O一 R9
式中、 R 7、 R 8及び R 9は同一又は異なる基であって、 水素原子又は炭素 数 1〜 4のアルキル基を示す。 nは 2〜4の整数を示す。
式(7 )で示される側鎖を有する化合物としては、例えば、 2—(メタ)ァク リ口イノレオキシェチノレー 2 '— (トリメチノレアンモニォ)エチ^^ホスフエ一ト、 3— (メタ)アタリ ロイルォキシプロピル一 2 ' —(トリメチルアンモニォ)ェ チルホスフエ一ト、 4一(メタ)アタリロイルォキシブチルー 2 ' _ (トリメチ ルアンモニォ)ェチルホスフエ一ト、 5— (メタ)アタリロイノレォキシペンチ ルー 2 ' —(トリメチルアンモニォ)ェチルホスフエ一ト、 6— (メタ)アタ リ ロイルォキシへキシルー 2 '— (トリメチルァンモニォ)ェチルホスフエ一ト、 2—(メタ)ァクリ ロイルォキシェチルー 2 '— (トリェチルアンモニォ)ェチ ルホスフエート、 2— (メタ)ァク リロイルォキシェチル一 2 '—(トリプロピ ルァンモニォ)ェチルホスフエ一ト、 2— (メタ)アタリロイルォキシェチル — 2 '— (トリブチルアンモニォ)ェチルホスフエ一ト、 2—(メタ)アタ リ 口 ィルォキシプロピル一 2 '—(トリメチルァンモニォ)ェチノレホスフエ一ト、 2— (メタ)アタリ ロイルォキシブチルー 2 '—(トリメチルアンモニォ)ェチ ルホスフエ一ト、 2—(メタ)アタリロイルォキシペンチルー 2 '—(トリメチ ノレアンモニォ)ェチノレホスフエ一ト、 2—(メタ)アタリロイノレォキシへキシ ル一 2 '— (トリメチルアンモ -ォ)ェチルホスフヱート、 2— (ビニノレオキ シ)ェチル一 2 '—(トリメチルアンモ -ォ)ェチルホスフエ一ト、 2—(ァリ ルロキシ)ェチルー 2 '—(トリメチルァンモニォ)ェチルホスフエ一ト、 2— ( p―ビニルベンジルォキシ)ェチルー 2 '— (トリメチルアンモニォ)ェチル ホスフェート、 2—(p—ビニルベンゾィルォキシ)ェチル一 2 '— (トリメチ ルァンモニォ)ェチルホスフエ一ト、 2— (スチリルォキシ)ェチルー 2 '— (トリメチルアンモニォ)ェチルホスフエ一ト、 2 _ ( p —ビエルベンジル) ェチル一 2,一(トリメチルァンモニォ)ェチルホスフエ一ト、 2—(ビニルォ キシカルボニル)ェチノレ一 2 '— (トリメチルアンモニォ)ェチルホスフエ一 ト、 2 _ (ァリルォキシカルボニル)ェチルー 2 '— (トリメチルアンモニォ) ェチルホスフエ一ト、 2—(アタリロイルアミノ)ェチル一 2 '—(トリメチル
アンモニォ)ェチノレホスフエ一ト、 2—(ビ二/レカノレポニノレアミ ノ)ェチノレ一 2'—(トリメチルアンモニォ)ェチルホスフエ一ト、 2—(ァリルォキシカル ボニノレアミノ)ェチノレー 2'— (トリメチノレアンモニォ)ェチルホスフエ一ト、 2—(ブテロィルォキシ)ェチルー 2'— (トリメチルアンモ -ォ)ェチルホス フェート、 2— (クロ トノィルォキシ)ェチル一 2' _ (トリメチルアンモニ ォ)ェチルホスフエ一ト、 ェチルー(2 '— トリメチルアンモニォェチルホス ホリノレェチノレ)フマレート、 ブチル一( 2 '—トリメチルァンモニォェチルホ スホリノレェチノレ)フマレート、 ヒ ドロキシェチノレー(2,一トリメチルアンモ ニォェチルホスホリルェチル)フマレート等が挙げられる。 入手性等の点か ら、 2—メタクリ ロイルォキシェチルー 2'—(トリェチルアンモニォ)ェチ ルホスフエート(2—メタク リロイノレォキシェチルホスホリノレコリンとも呼 ばれている)(以下、 MP Cと略す)が好ましく使用できる。
親水性モノマーュニットと疎水性モノマ一ュニットとを有する前記共重合体 としては、 MPC— MMA共重合体、 MPC— EMA共重合体、 MPC— PMA 共重合体、 MPC— BMA共重合体、 MPC— LMA共重合体、 MPC— SMA 共重合体、 MP C— EHMA共重合体、 MPC— S t共重合体、 MPC— MA共 重合体、 MP C— E A共重合体、 MP C— P A共重合体、 MP C— B A共重合体、 MPC— LA共重合体、 MPC— SA共重合体、 MPC— EHA共重合体、 AP C一 MMA共重合体、 APC— BMA共重合体、 H EMA— MMA共重合体、 A Am— BMA共重合体、 AAm—SMA共重合体、 VPD— SMA共重合体、 V PD— EHMA共重合体、 VPD— S t共重合体、 H EMA— MA共重合体等が 挙げられる。
前記共重合体中における親水性モノマーュニットと疎水性モノマーュニット との含有割合は特に限定されないが、 好ましくは親水性モノマーュニット :疎水 性モノマーュニットが、 1 : 0. 001〜 100、 特に好ましくは 1 : 0. 01 〜10である。 また、 このような共重合体の分子量は、 通常、 数平均分子量にお いて、 1000〜 1000000の範囲が好ましい。
前記親水性が付与された成形物を調製するには、 例えば、 アルコール、 水、 D
MA c、 DMF、 DM S O等の単独溶媒若しくは混合溶媒中において、 前記親水 性モノマーと疎水性モノマーとを、 ァゾ系や、 過酸化物系等の適当なラジカル重 合開始剤の存在下に重合させて、 親水性モノマーュニッ卜と疎水性モノマーュニ ットとを有する共重合体溶液を調製し、 その後、 該共重合体溶液に前記成形後の 成形物又はエネルギー線照射後の架橋された成形物を浸漬し、 乾燥することによ つて、 表面に、 親水性モノマーユニットと疎水性モノマーユニットとの共重合体 を含む膜を形成する方法、 前記成形後の成形物又はエネルギー線照射後の架橋さ れた成形物の所望表面に、 該共重合体溶液を、 塗布又は噴霧等によってコーティ ングし、 乾燥して、 親水性モノマーユニットと疎水性モノマ一ユニットとの共重 合体を含む膜を形成する方法等により得ることができる。
前記親水性モノマーュニットと疎水性モノマーュニットとの共重合体を含む膜 の膜厚は特に限定されないが、 0 . 0 0 1〜 1 0 0 mが適当である。
また、 前記親水性が付与された成形物の調製は、 前記親水性モノマーュニ ットと疎水性モノマーユニットとを有する共重合体を、 フィルム状、 シート状、 チューブ状、 糸状等の形状に成形した後、 前記成形後の成形物又はエネルギー線 照射後の架橋された成形物に密着させ、 室温〜 2 0 0 °C程度の適当な温度で熱処 理して固着し一体化する方法、 若しくは前記本発明の共重合体と、 前記親水性モ ノマーュニット及び疎水性モノマーュニットを有する共重合体とを、 通常のポリ マーブレンドした後に一体成形する方法等によっても行なうことができる。
前記親水性モノマーュニットと疎水性モノマーュニットとを有する共重合体を 含む成形物と、 前記成形後の成形物又はエネルギー線照射後の架橋された成形物 とは、 それぞれを密着させるのみで強固に一体化させることができる。
本発明成形物は、 前記成形後、 表面を化学変成させたものであっても良い。 化学変性の方法は、得られる成形物の表面が化学変性され、化学反応が容易 に進行する置換基が形成できれば特に限定されない。
化学変性の方法としては、 例えば、 アルカリ、 酸、 化学修飾剤を用いた化 学薬品処理;酸素ガス、 窒素ガス、 アルゴンガス、 テ トラフルォロメタンガ ス等を有するガス存在下で、 コロナ放電、 グロ一放電、 低温プラズマ等の各
種放電処理;オゾン処理;紫外線、 電子線放射線等の電離活性線処理;火炎 処理等が挙げられる。
また、前記化学反応が容易に進行する置換基が形成される化学変性が行な われた後、 更に、形成された置換基と共有結合可能な置換基を有するモノマ 一ュニッ トを含むモノマー組成物を重合させた重合体を、表面に化学結合さ せることができる。
前記モノマー組成物に使用できる、共有結合可能な置換基を有するモノマ 一ュニッ トを含むモノマーとしては、 例えば、 (メタ)ァクリ ノレ酸、 アコニッ ト酸、 ィタコン酸、 メタコン酸、 シトラコン酸、 フマル酸、 マレイン酸、 メ タコン酸、 ビニノレスルホン酸、 アタ リノレアミ ドー 2—メチルプロパンスルホ ン酸、ビニルスルホン酸及びこれらの各種金属塩、 2—ヒ ドロキシェチル(メ タ)アタ リ レート、 メタク リル酸モノグリセロール、 N— (ト リス(ヒ ドロキ シメチル)メチル)ァク リルアミ ド、無水マレイン酸、 ダリシジル(メタ)ァク リ レート、 ァリルァミ ン、 ァミノェチル(メタ)アタ リ レート、 グリシジルメ タクリ レート等が挙げられる。
前記モノマー組成物には、 更に共重合可能なモノマ一としては、例えば、 N , N—ジメチルァミ ノプロピル(メタ)アタ リルァミ ド、 N , N—ジメチル アミ ノエチル(メタ)ァク リルアミ ド、 N, N—ジメチルアミノエチル(メタ) アタリ レート、 及びこれらの各種四級塩、 2—ビニルピリジン、 3—ビエル ピリ ジン、 4 一ビュルピリ ジン、 2—ビニルイ ミダゾール、 N—メチル一 2 ―ビニルイ ミダゾール、 N—ビニルイ ミダゾール、 (メタ)ァク リルァミ ド、 N—メチル(メタ)ァク リルアミ ド、 N , N—ジメチル(メタ)アク リルアミ ド、 N—ェチル(メタ)ァク リルアミ ド、 N—イ ソプロピル(メタ)アク リルアミ ド、 N— t —ブチル(メタ)アタ リルァミ ド、 ビニルメチルエーテル、 ポリェチレ ングリ コール(メタ)アタ リ レー ト、 N—ビニルピロ リ ドン、 N— (メタ)ァク リ ロイルピロ リ ドン、 アタ リ ロイルモルホリ ン、 マレイン酸ィ ミ ド、 酢酸ビ ニル等の各種親水性マク口モノマー ; スチレン、 メチルスチレン、 クロロメ チルスチレン、 ァミ ノスチレン等のスチレン系単量体; メチル(メタ)アタ リ
レ一ト、 ェチル(メタ)アタリ レート, ブチル(メタ)アタリ レート、 ドデシル (メタ)アタリ レート、 セチル(メタ)ァクリ レート、 ステアリル(メタ)アタリ レート、 シクロへキシル(メタ)アタ リ レート、 2—ェチルへキシル(メタ) ァクリ レート等の各種モノアルキル(メタ)アタリ レート;ダリシジル(メタ) アタリ レート、(メタ)アタリロイルォキシェチルトリメ トキシシラン等の反 応性官能基含有(メタ)アタリ レート; 2— (メタ)アタリロイルォキシェチル ブチルゥレタン、 2— (メタ)アタ リロイルォキシェチルベンジルゥレタン、 2— (メタ)ァク リロイルォキシェチルフエニルゥレタン等のウレタン変性 (メ タ)アタ リ レー ト ; ェチノレビニノレエーテノレ、 ブチノレビニルエーテノレ、 酢酸 ビニル、 塩化ビュル、 塩化ビニリデン、 エチレン、 プロピレン、 イソプチレ ン、 ジェチノレフマレ一ト、 ジェチノレマレート、 アタリ ロニトリノレ、 ビニノレべ ンジルァミン、 各種疎水性マク口モノマー等、 更には、 式(7 )で示される側 鎖を有する化合物が好ましい。
式(7 )で示される側鎖を有する化合物としては、例えば、 M P C、 3— (メ タ)アタ リ ロイルォキシプロピル一 2 '—(トリメチルアンモニォ)ェチルホ スフヱート、 4一(メタ)ァク リロイルォキシブチルー 2 '—(トリメチルアン モニォ)ェチノレホスフエ一ト、 5— (メタ)アタリロイノレォキシペンチノレ一 2 ' —(トリメチルアンモニォ)ェチルホスフエ一ト、 6— (メタ)アタリロイルォ キシへキシル一 2 '— (トリメチルアンモニォ)ェチルホスフエ一ト、 2— (メ タ)アタ リ ロイノレォキシェチノレ一 2 '—(トリェチノレアンモニォ)ェチノレホス フェート、 2— (メタ)アタリロイルォキシェチルー 2 '— (トリプロピルアン モニォ)ェチルホスフェート、 2—(メタ)アタ リ ロイルォキシェチルー 2 ' — (トリブチルアンモニォ)ェチルホスフエ一ト、 2— (メタ)アタリロイルォ キシプロピル一 2 '— (トリメチルアンモニォ)ェチルホスフエ一ト、 2—(メ タ)ァク リ ロイルォキシブチル一 2 '—(トリメチルアンモニォ)ェチルホス フェート、 2 _ (メタ)アタリロイルォキシペンチルー 2 '—(トリメチルアン モニォ)ェチルホスフエ一ト、 2— (メタ)アタリロイルォキシへキシルー 2 ' 一(トリメチルァンモニォ)ェチルホスフエ一ト、 2 _ (ビニルォキシ)ェチル
一 2 '— (ト リメチルァンモニォ)ェチルホスフエ一ト、 2—(ァリル口キシ) ェチルー 2 '—(ト リメチルァンモニォ)ェチルホスフエ一ト、 2—(p—ビニ ルベンジルォキシ)ェチルー 2,一(ト リ メチルァンモニォ)ェチルホスフェ ート、 2— ( p —ビュルべンゾィルォキシ)ェチル一 2 '— (ト リ メチルァンモ ニォ)ェチルホスフエ一ト、 2—(スチリルォキシ)ェチルー 2 '— (ト リ メチ ノレアンモ-ォ)ェチノレホスフエ一ト、 2— ( p —ビニノレべンジノレ)ェチノレ一 2 ' — (ト リメチルアンモニォ)ェチルホスフエ一ト、 2— (ビニルォキシカルボ ニル)ェチル一 2 '—(ト リメチルアンモニォ)ェチルホスフエ一ト、 2—(ァ リノレォキシカルボニル)ェチルー 2 ' —(ト リ メチルァンモニォ)ェチルホス フェー ト、 2— (アタ リ ロイルアミ ノ)ェチルー 2 ' _ (ト リ メチルアンモニ ォ)ェチルホスフエ一ト、 2—(ビニルカルボニルァミ ノ)ェチルー 2 '— (ト リ メチルァンモニォ)ェチルホスフエ一 ト、 2—(ァリルォキシカルボ-ルァ ミノ)ェチルー 2 '— (ト リメチルァンモニォ)ェチルホスフエ一 ト、 2— (ブ テロイ/レオキシ)ェチノレ一 2 '—(ト リメチノレアンモニォ)ェチノレホスフエ一 ト、 2—(クロ トノィルォキシ)ェチル一 2 '— (ト リ メチルアンモニォ)ェチ ノレホスフエ一 ト、ェチノレ一 ( 2,一ト リメチノレアンモニォェチノレホスホリノレエ チル)フマレート、 プチ/レー( 2 '— ト リ メチルァンモニォェチルホスホリノレ ェチル)フマレー ト、 ヒ ドロキシェチル一(2 '—ト リ メチルァンモニォェチ ノレホスホリノレェチル)フマレート等が挙げられる。
更に、 前記モノマー組成物を共重合して得られる重合体としては、式(9 ) で示される側鎖と、 アミノ基との両方を有する重合体が好ましい。
前記共有結合可能な置換基を有するモノマーュニッ トを含むモノマーの 含有割合は特に限定されないが、モノマー組成物中の全モノマー成分 1 0 0 重量部に対して、 0 . 0 0 1〜 5 0重量部、 特に、 0 . 1〜1 0重量部が好 ましい。
前記モノマー組成物を重合した重合体は、公知の溶液重合法、乳化重合法、 懸濁重合法を用いて重合することができる。 各重合は、必要に応じて重合系 を不活性ガス、 例えば、 窒素、 二酸化炭素、 ヘリウム等で置換若しくは雰囲
気下にし、重合温度 0〜 1 00°C、重合時間 1 0分〜 48時間の条件でラジ カル重合させることによって得ることができる。
ラジカル重合させる際の重合開始剤としては、 例えば、 2, 2'—ァゾビ ス( 2—アミジノプロパン)二塩酸塩、 4 , 4 '—ァゾビス( 4一シァノ吉草酸)、 2, 2 '—ァゾビス(2— (5—メチルー 2—イミダゾリ ン _ 2—ィル)プロパ ン)二塩酸塩、 2, 2'—ァゾビス(2—(2—イ ミダゾリ ン— 2—ィル)プロ パン)二塩酸塩、 2, 2'—ァゾビスイソブチルアミ ドニ水和物、 過硫酸アン モニゥム、 過硫酸力リ ウム、 過酸化べンゾィル、 ジィソプロピルペルォキシ ジカーボネート、 t—プチノレぺノレオキシ一 2—ェチルへキサノエート、 t一 プチノレぺノレオキシピバレ一 ト、 tーブチノレぺノレォキシジィソブチレ一ト、過 酸化ラウロイル、 ァゾビスィソブチロニトリル(以下、 A I BNと略す)、 2, 2'—ァゾビス (2, 4—ジメチルバレロニト リル)、 t一ブチルペルォキシ ネオデカノエー卜(例えば、 商品名パーブチル ND、 日本油脂(株)製)(以下、 P— NDと略す)等が挙げられ、 使用に際しては単独若しくは混合物として 用いることができる。 これらラジカル重合開始剤に、 各種レドックス系の促 進剤を用いることもできる。
ラジカル重合開始剤の使用量は、 モノマー成分との合計量に対して 0. 0 :!〜 5. 0重量。 /0で使用できる。
重合体の精製は、 公知の再沈澱法、 透析法、 限外濾過法等により行なうこ とができる。
このようにして得られる重合体の重量平均分子量は、 1 000〜 5000 000が好ましく、 1 0000〜 500000が特に好ましい。
このような重合体は、該重合体に導入された化学結合可能な置換基の種類 と、前記成形物の表面に導入された化学反応が容易に行なうことができる置 換基の種類とに応じて、 前記成形物に反応させることができる。
例えば、前記重合体がァミノ基を有し、前記成形物の表面にカルボキシル 基が導入されている場合には、 ジシク口へキシルカルボジィミ ド、水溶性力 ルボジイミ ド等の各種縮合剤で、これらの置換基をアミ ド結合で結合させる
ことができる。 また、 重合体がエポキシ基を有し、 前記成形物の表面にアミ ノ基が導入されている場合は、加熱することでこれらの間に化学結合を形成 することができる。
本発明の眼科用材料は、 例えば、 コンタク トレンズ、 眼内レンズ等に用いる材 料であって、 前記各種成形物の少なくとも 1種を、 所望形状に加工した材料であ る。 所望形状に加工された材料を用いてコンタク トレンズゃ眼內レンズを製造す るには公知の方法で行うことができる。 また、 得られたコンタク トレンズ又は眼 内レンズ等の眼科用材料には、表面処理等の公知の各種処理を施すことができる。 本発明の医療用材料は、 前記各種成形物の少なく とも一種を、 例えば、 人工心 臓弁、 人工心臓、 ペースメーカーのリ一ド線、 各種形状の抗血栓材料等に使用し 得るように、 所望の形態に加工した材料である。 加工方法等は公知の方法で行う ことができる。
本発明の前記各種成形物は、 シリコーンセグメントとァラミ ドセグメントとの 組成を自由に制御できる。 従って、 目的にあった機械的強度等の物性を自由に選 ぶ自由度が高く、 更に、 熱成形、 熱融着が可能であるため、 例えば、 眼内レンズ のような各部位によって求められる物性が異なり、 かつ一体成形する場合に適し ている。 即ち、 各々の部位に最適組成のパーツを熱加工によって、 容易に接合及 び成形可能である。
具体的には、 眼内レンズの光学部となる中心部は屈折率を高め、 かつ柔軟生を 持たれるために、 フユ-ル基等の芳香族基を有するシリコーンセグメント組成を 高めた樹脂を用いることができる。 その周辺の光学部は、 屈折率は低くても、 柔 軟性を持たせるために、 ジメチルシロキサン等の低級なアルキル基を持ったシリ コーンセグメントの割合を高めた樹脂を用いることができる。 更に支持部は高い 強度が要求されるため、 アミ ドセグメントの割合を高めた樹脂を用いることがで きる。 これらを一体化することにより所望の眼內レンズを得ることができる。 更 に、 他の基材との融着成形加工も容易に行なうことができる。
本発明の化粧料組成物は、 前記本発明の共重合体、 各種成形物又はこれらの混 合物を含有する。 化粧料の種類としては、 例えば、 紫外線防止剤、 皮膚用化粧料、
口紅、 マ二ユキユア、 マスカラ、 シャンプー、 毛髪造形用ローション、 ヘアスプ レ一等が挙げられる。
本発明の化粧料組成物は、 各種化粧料に配合することによって、 化粧料に優れ た耐水性、 耐油性、 耐久性、 紫外線遮蔽性等を付与することができ、 また、 毛髪 等の形状維持を付与することができる。 化粧料組成物において、 本発明の共重合 体及び/又は本発明の各種成形物の配合割合は、 その化粧料の種類や目的に応じ て適宜選択して配合することができる。 通常、 得られる化粧料の全量に対して、 本発明の共重合体及び/又は本発明の各種成形物が 0 . 0 5〜 5 0重量%程度配 合することによって所望の効果を得ることができる。
本発明の化粧料組成物には、 他に、 通常、 化粧料に配合される、 例えば、 油脂 類、 精油類、 生薬、 有機酸類、 無機塩類、 無機酸類、 エステル類、 アルコール類、 アミノ酸類、 酵素、 動植物エキス、 界面活性剤、 酸化防止剤、 殺菌剤、 紫外線防 止剤、 色素、 香料等の各種医薬品や医薬部外品を、 本発明の共重合体の所望の効 果を損ねない範囲において適量配合することができる。
本発明の電子材料は、 本発明の共重合体、 本発明の各種成形物又はこれらの混 合物を含む。 従って、 優れた耐疲労特性、 耐摩耗特性、 クリープ特性、 耐熱性、 耐水性、 寸法安定性、 振動吸収性、 自己消火性 (難燃性)等が適宜付与された材料 である。
本発明の電子材料において、 本発明の共重合体及び/又は本発明の各種成形物 の配合割合は、 電子材料の種類に応じて種々選択することができる。 また、 本発 明の共重合体等以外にも、 電子材料の種類に応じて他の成分及び各種添加剤等を 配合することもできる。 更に、 得られる電子材料表面を、 例えば、 前述の親水性 一疎水性コポリマー等により表面の親水化処理を行うことによって、 表面の特性 を広範囲に改質することも可能である。
本発明の共重合体は、 ジアルキルシロキサンユニットと、 アミドユニットとを 有し、 且つ末端に残存するァミノ基の一部若しくは全部が処理されているので、 生体適合性及び機械的強度に優れると共に、 その成形物が耐熱性にも優れ、 広範 囲に及ぶ医療用材料、 眼科用材料、 化粧料素材、 電子材料用素材等に使用可能で
ある。
また、 本発明の各種成形物は、 前記本発明の共重合体により実質的に調製され るので、 生体適合性及び機械的強度に優れると共に耐熱性にも優れ、 製造時に不 可避的に含有される溶媒を実質的に除去することができ、 紡糸、 粉体、 シート、 積層板、 チューブ、 医療用人工心臓弁、 人工心臓、 ペースメーカーのリード線、 コンタク トレンズ、 眼内レンズ等に有用である。
更に本発明の化粧料組成物は、 皮膚に塗布することにより、 優れた耐水性、 耐 油性及び耐久性を示し、 また、 紫外線遮蔽性に優れ、 しかも毛髪等の形状維持に 優れるので、 紫外線防止剤、 皮膚用化粧料、 口紅、 マ二ユキユア、 マスカラ、 シ ヤンブー、 毛髪造形用ローション、 ヘアスプレー等の各種化粧料に利用すること ができる。
更にまた、 本発明の電子材料は、 例えば、 エレク トロニクス、 ォプトエレク ト ロニクス分野において、 耐熱性及び柔軟性を兼ね備えた電気絶縁体 ·電気絶縁ヮ ニス、 モーター、 変圧器の充填レジン、 ケーブル被覆剤、 光ファイバ(コア ·クラ ッド層)用素材、液晶素子用配向膜、液晶素子用スぺ一サ一、液晶素子用シール剤、 光コネクタ、 導電性エラスティックコネクタ、 光ルーバ、 電子写真方式プリンタ 一用(カラ一) トナーの結着樹脂、 (カラ一)コピー機用トナー '転写 (熱ロール) ド ラム用素材、 積層回路板、 トランジスタ保護層用材料として有用である。
本発明の共重合体及び各種成形物は、 その他の一般的用途、 例えば、 接着剤 · 粘着剤(無溶剤、 室温硬化型)、 塗料、 コーティング剤、 固体燃料バインダー、 防 水 ·耐薬品被覆膜 (常温施工型)、 建設 ·土木用シ一リング剤、 自動車フロントガ ラス接着シーリング剤、履物用材料(ソール、ヒール)、床材料、工業用弾性材料 (車 両用、 自動車バンパー、 ベルト、 ホース、 防振ゴム、 パッキング等)、 タイヤ用弾 性繊維原料、 合成皮革、 皮革含浸材、 各種発泡体、 ゴムあるいはプラスチック用 反応性改貧剤 (反応性軟化剤、 可塑剤、 架橋助剤、 グラフト化剤等)土質安定剤 - 改良剤、 繊維処理剤、 ゴムアスファルト、 ガスタービン部品、 エンジン部品の被 覆剤等にも利用可能である。
実施例
以下本発明を実施例、 試験例及び比較例により更に詳細に説明するが本発明は これらに限定されるものではない。
尚、 例中の各測定は以下の条件に従って行った。
<分子量の測定 >
分子量の測定は G P Cにより行った。 G P Cの条件は以下のとおりである。 GP Cシステム :東ソ一社製 S C— 8020、 SD_8013、 CCPE— II、 AS— 8010、 CO— 8010、 PS— 8010
カラム : Polymer Laboratories 社製、 Mixed- B X 2本
R I検出器: 日立社製、 L-330 OR I
カラムオーブン温度: 60°C
溶離液: DMA c/MEK = 3Z10 (容量) +10mM L i C l
標準サンプル:標準ポリスチレンの較正曲線を用いて換算した。
く 1 H— NMRの測定〉
NMRシステム : J EOL J NM-EX 270 FT— NMR
溶媒: DMF— d 6 : CC 14= 3 : 7 (容量比)
基準ピーク : >S i (CH3) 2由来のピークを 0. 0749 p pmにセットした。 <屈折率の測定 >
アッベ屈折計(ァタゴ社製、 2 T型)を用いて測定した。
比較例 1
3, 4, 一ジアミノジフエ二ルェ一テル(以下、 3, 4' - DAPE と略す) 1. 00 g (0.005mol)、 ビス(ァミノプロピル)ポリジメチルシロキサン(以下、 PDMS- dNH2と 略す)(数平均分子量; 1680) 4. 2 g (0.0025mol)、 トリェチルァミン 1. 5 2 g (0.015raol)、イソフタル酸ク口リ ド(以下、 IPCと略す) 1.52 g (0.0075mol) 及ぴ DMAc : THF=1 : 1混合溶媒 50m 1を混合した。 続いて、 0°Cで反 応を開始し、 20分間撹拌した後、 室温で更に 70分間反応させた。 得られた反 応溶液をメタノール 100m l中に注ぎ、 ポリマーを単離した。
得られたポリマーを DMAc溶媒に溶解させた後、 0. 5 t mのメンブランフ ィルターを使って濾過し、 メタノールへの再沈澱精製を 2回繰り返し、 精製ポリ
マー 5. 81 § (収率94. 1%)を得た。 減圧下で乾燥し、 ポリジメチルシロキ サン一ポリアミド共重合体を得た。 得られたポリマーは仕込みのシロキサン成分 が約 70重量%であることから、以下、 PN - 17 - 70と略記する。 PN - 17 - 70の G PC による分子量及び屈折率を測定した。 結果を表 1に示す。
実施例 1
3, 4' -DAPE 1. 00 g (0.005raol)、 PDMS- dNH2 (数平均分子量; 1680) 4. 2 g (0.0025mol)、 トリェチルァミ ン 1. 52 g (0.015mol)、 IPC 1. 52 g (0.0075mol)及ぴ DMAc : THF= 1 : 1混合溶媒 5 Omlを混合した。続いて、 0°Cで反応を開始し、 20分間撹拌した後、 室温で更に 70分間反応させた。 次 いで、 ァセチルクロリ ド 0. 059 g (0.00075raol)と前記混合溶媒 1m lとの混 合液を滴下して 30分間撹拌した。 次に、 0°Cでトリエチルァミン 0. 076 g (0,00075mol)と前記混合溶媒 lml とを加え 30分間撹拌し、 得られた反応溶液 を更にメタノール 100m l中に注ぎ、 ポリマーを単離した。
得られたポリマーを DMAc溶媒に溶解させた後、 0. 5〃πιのメンプランフ ィルターを使って濾過し、 メタノールへの再沈澱精製を 2回繰り返し、 精製ポリ マー 5. 81 g (収率 86. 5%)を得た。 減圧下で乾燥し、 ポリジメチルシロキ サン一ポリアミド共重合体を得た。 得られたポリマーは仕込みのシロキサン成分 が約 70重量%であることから、以下、 P- 17 - 70と略記する。 P- 17 - 70の G PCに よる分子量及び屈折率の測定結果を表 1に示す。
— NMRの測定結果は、 0.0749ppm(s, >S i (CH3)2)、 0.6ppm( t , > S i一 CH2CCNく)、 1.6ppm(m, > S i一 CCH2CNく)、 3.3ppm(m, >S i -CCCH2N<)% 6.6-8.7ppm(m, Ph)、 8.3, 10.3ppm(s, — NHC O— )、 2.74, 2.91, 7.91(DMF— d 6)であった。 従って、 得られたポリマーの 主鎖は、 以下の構造の混合物であると判断できる。 但し、 n 1は平均値で 20. 2である。
-HN- (CH2) a- (Si
次に、 得られた P- 17- 70中の末端における残存アミノ基の定量(F I TC法)を 以下のとおり行った。
P - 17- 70、 比較例 1で合成した PN- 17- 70の各ポリマー 1 gを、 各々 DMAc 1 0 g中に別々に溶解させた後、溶液中に F I TC (フルォレセインイソチオシァネ ート) 0. 01 gづっ添加し完全に溶解させた。 次いで、 室温で 30分間撹拌した 後、 メタノール 100m l中に注ぎポリマ一を再沈澱させ、 未反応の F I TCを 洗浄除去した。 それぞれを DM Ac 10 g中へ溶解後メタノール 100m 1への 再沈澱、 洗浄操作を繰り返し、 洗浄液の吸光度を測定しながら、 490 nmでの 吸光度が溶媒単独の値と同じになるまで前記再沈澱及び洗浄操作を繰り返した。 P-17-70では 1 6回、 PN- 17- 70では 20回再沈澱及び洗浄操作を行った。 この時 点で各ポリマーを 120°Cで 24時間、真空オーブン中で乾燥した。 乾燥後、 0. 1重量%の DMAc溶液を調製し、 490 nmでの各溶液の吸光度を測定し、 そ の割合から以下の式に従い P - 17-70中の残存アミノ基を定量した。
(P - 17- 70の吸光度)/ (PN- 17- 70の吸光度) = 0. 02/0. 8 7 = 0. 023 従って、 P - 17 - 70における未反応アミノ基残存率は、 比較例 1で調製したポリ マーの 2. 3%であった。 これは、 前記式(5)及び(6)に示される X1及び X2が 水素原子である割合が、 得られた共重合体の全末端に対して、 10%以下である ことを示すものである。
実施例 2〜 4
3, 4' - DAPE、 PDMS-dNH2、 IPCの仕込み組成を表 1に示すとおり代えた以外は実 施例 1と同様にポリジメチルシロキサン一ポリアミ ド共重合体を合成し、 実施例 1と同様に収量、 分子量及び屈折率を測定した。 結果を表 1に示す。 なお、 得ら れた共重合体のシロキサン成分の仕込み割合に基づいて、 実施例 2の共重合体を P-17- 20、 実施例 3の共重合体を P-17- 50、 実施例 4の共重合体を P-17- 80とそれ ぞれ略記する。
実施例 5
3, 4' -DAPE 6. 01 g (0.03mol)、 PDMS- dNH2 (数平均分子量; 900) 40. 5 g (0.045mol)、 トリェチルァミン 1 5. 2 g (0.15mol)、 IPC 1 5. 2 g (0.075mol)
及び DMA c : THF = 1 : 1混合溶媒 250m 1を混合した。 続いて、 0°Cで 反応を開始し、 30分間撹拌した後、 室温で更に 60分間反応させた。 次いで、 ァセチルクロリ ド 0.59 g (0.0075mol)と前記混合溶媒 10 m 1 との混合液を滴 下して 5分間撹拌させた。 次に、 0。Cでトリエチルァミン 0. 76 g (0.0075mol) と前記混合溶媒 10m l とを加え 30分間撹拌し、 得られた反応溶液をメタノー ル 10 Om l中に注ぎ、 ポリマ一を単離した。
得られたポリマ一を DMA c溶媒に溶解させた後、 0. 5 μπιのメンブランフ ィルターを使って濾過し、 メタノールへの再沈澱精製を 2回繰り返し、 精製ポリ マー 52. 7 g (収率 85. 3 %)を得た。 減圧下で乾燥し、 ポリジメチルシロキ サン一ポリアミ ド共重合体を得た。 得られたポリマーは仕込みのシロキサン成分 が約 70重量0/。であることから、 以下、 P - 9-70と略記する。 P - 9-70の G PCによ る分子量及び屈折率を測定した。 結果を表 1に示す。
実施例 6
3, 4' -DAPE 1 1. 1 3 g (0.055mol)、 PDMS- dNH2 (数平均分子量; 3000) 6 0. O g (0.02mol)、 トリェチルァミン 1 5. 2 g (0.15raol) N IPC 1 5. 2 g (0.075mol)及ぴ DMA c : THF- 1 : 1混合溶媒 250 m 1を混合した。 続い て、 0°Cで反応を開始し、 30分間撹拌した後、室温で更に 60分間反応させた。 次いで、ァセチルクロリ ド 0. 59 g (0· 0075mol)と前記混合溶媒 10 m 1 との混 合液を滴下して 5分間撹拌した。 次に、 0°Cでトリエチルァミン 0. 76 g (0.0075mol)と前記混合溶媒 1 Om lとを加え 30分間撹拌し、得られた反応溶液 をメタノール 100m l中に注ぎ、 ポリマーを単離した。
得られたポリマーを DMA c溶媒に溶解させた後、 0. 5 mのメンブランフ ィルターを使って濾過し、 メタノールへの再沈澱精製を 2回繰り返し、 精製ポリ マー 75. 5 g (収率 93. 5%)を得た。 減圧下で乾燥し、 ポリジメチルシロキ サン一ポリアミ ド共重合体を得た。 得られたポリマ一は仕込みのシロキサン成分 が約 70重量%であることから、 以下、 P-30- 70と略記する。 P-30 - 70の GPCに よる分子量及び屈折率を測定した。 結果を表 1に示す。
実施例 7
PDMS- dNH2の代わりに、 ビス(ァミ ノプロピル)メチルフヱ二ルポリ シロキ サン(フエニル基含有量 5. 2mol %、 分子量 2000) (以下、 MPhPS_d陋 2と略す) 5 . 0 g (0. 0025mol)を用いた以外は、 実施例 1 と同様に重合、 後処理及ぴ 各測定を行なった。 得られた重合物を以下、 P-P-20-70と略す。 また、 各分 析結果を表 1に示す。
試験例 1
J I S K 7 2 1 0 (ASTM D 1238)に従って、 実施例 1で合成した共重合体の メルトフローレ一ト(M. F. R. )を測定した。 結果を表 1に示す。
また、 JIS K 7199 (ASTM D 3875)に従って、 実施例 1〜 7及び比較例 1で合成 した共重合体のキヤビラリーレオメ一ターを用いた流れ性試験 (粘度)の測定を行 つた。 流れ性試験は、各共重合体を 2 2 0 °Cで、 直径 1 mmの棒状に成形し(用い たオリフィス径 l mm)て行った。 その結果、 比較例 1で合成した PN-17- 70だけ は極端に強度の低下が確認された。 また PN-17-70のみ淡褐色に変色し、表面にシ リコーンオイル様のネバネバ感が認められた。 従って、 末端のァミノ基が未処理 の PN - 17-70は、高温状態で特に機械的ストレスを負荷させると分解反応が大きく 促進されることが判る。
表 1
実施例 1〜 4で合成した各ポリジメチルシ口キサン一ポリアミ ド共重合体を、 DMA cに溶解させ、 1 0重量%の溶液を調製した。 0 . 5ミクロンのメンブラ ンフィルターで濾過後、 フッ素樹脂製シャーレ(直径 1 0 c m)上に展開し、 ホッ トプレートで 6時間加熱し、 それぞれキャスト膜 (厚さ :約 1 0 0 m)を作製し た。
得られたキャスト膜の熱重量分析を、 熱重量分析機(セイコー電子社製、 T G - 2 1 0 )を用いて行なった。 熱重量分析前後の各キャスト膜を1 H— NMRで測 定したところ、 熱重量分析前のキャスト膜には、 製造時に用いた溶媒の DMA c が残存していた。 代表例として、 P- 17-70 のキャスト膜について、 熱重量分析結 果の温度と、 キャスト膜の重量減少(%)との関係を図 1に示す。 また、 1 5 0〜 2 5 0 °Cでのキャスト膜の重量減少が溶媒である D MA cによるものとし、 各キ ヤスト膜の 1 2 0 °Cでの乾燥時間と残存溶媒重量との関係を図 2に示す。 この結 果、 P- 17-50、即ち、 シロキサン成分組成 5 0重量%以上のポリマ一を用いたキヤ スト膜では 1 2 0 °Cで 1 5 0時間程度まで乾燥すれば溶媒による重量減少は観測 されなくなった。 しかし、 シロキサン成分組成 2 0重量%以下のポリマーを用い たキャスト膜では、 同様な乾燥条件で 7重量%程度以上の溶媒の除去が困難であ つた。 従って、 キャスト膜においては、 減圧加熱乾燥時間は、 ポリマーの組成に よって異なることが判る。
次に、 得られた熱重量分析で溶媒除去が完全に行われた、 減圧加熱乾燥済みの キャスト膜について、 示差走查熱量分析機(D S C、 Perkin— Elmer社製、 Pyris 測定器)による分析を行なった。その結果、いずれのキャスト膜も 1 7 0 °C付近に 溶媒由来の吸熱ピークが認められ、 溶媒の残存が明確に観測された。 代表例とし て P- 17- 70を用いたキャスト膜の示差走査熱量分析機による測定結果を図 3に a として示す。
実施例 9
実施例 1〜 4で合成した各ポリジメチルシ口キサン一ポリアミ ド共重合体を、 常圧下、 1 5 0〜2 5 0 °Cに加熱したホットプレス機 (東洋精機社製、 Mini
testpress- 10)でプレスして所望膜厚のフィルムをそれぞれ作製した。
得られたフィルムの熱重量分析を、熱重量分析機 (セィコ一電子社製、 T G— 2 1 0 )を用いて行なった。 熱重量分析前後の各フィルムを1 H— NMRで測定した ところ、 熱重量分析前のフィルムには、 DMA cの残存は観察されなかった。 次に、 得られた熱重量分析で溶媒除去が完全に行われていることを確認した、 減圧加熱乾燥済みのキャス ト膜について、 示差走査熱量分析機(D S C、 Perkin —Elmer社製、 Pyris測定器)による分析を行なった。 その結果、 いずれの加熱成 形膜も溶媒由来の吸熱ピークは観測されなかった。 代表例として P - 17-70を用い たフィルムの示差走査熱量分析機による測定結果を図 3に bとして示す。
以上の結果より、 本発明の加熱成形物は、 — NMR、 熱重量分析より感度 が高い D S C分析の感度内においても残存溶媒は観測されないことが判る。
次に P- 17 - 70を用いて作製したフィルム及び、 比較として PN - 17-70を用いて 同様にホットプレス機で調製したフィルムについて、紫外線可視分光光度計(日本 分光社製、 Ubest— 35)を用い、 着色の程度を定量した。
その結果、 末端ァミンが未処理の PN- 17- 70 を用いたフィルムは、 可視光領域 に吸収が生じ、 そのため着色が認められた。 一方、 末端アミンを処理した Ρ-Π - 70を用いて作製したフィルムは、 可視光領域に吸収が生じることはなく、従って 熱による安定性に優れた透明な成形物であることが判った。
実施例 1 0
実施例 9で作製した P- 17- 70 を用いたフィルムに、 Energy Science Inc.製 Electron Curtain System CB175- 15- 180L型、 電子線照射装置を用いて、 加速電 圧 1 7 0 e Vで照射量 0〜 1 0 O Mradの電子線を照射した。
次いで、 電子線照射後のフィルムについて、 A& D オリエンテック社製、 レ ォバイブロン DDV— II一 C型を用いて動的粘弾性を測定した。 その結果を図 4に 示す。対照として、実施例 9で作製した P-17-70を用いたフィルム(電子線照射量 0 )についても同様に動的粘弾性測定を行った。結果を図 5に示す。図 4及び 5に おいて、 G ' は貯蔵弾性率を、 G" は損失弾性率をそれぞれ示す。
図 4及び図 5の結果より、 図 4に示されるシロキサンセグメントのモビリティ
が電子線照射による架橋後束縛されていることが判る。
次に、 電子線照射(2 0、 3 0、 5 0及び 7 O Mrad)したフィルムの T Gを、 T MA測定装置 (セィコー電子社製)により測定した。 結果を図 6に示す。
図 6の結果より、 照射強度範囲において、 未照射試料から照射量が増えるに従 つて軟化温度が上昇し、 架橋度合レ、が増加していることが判る。
以上の結果から、 図 4及び図 5を比較すると、 — 1 5 0〜一 1 0 0 °Cにおいて 現われるシロキサンセグメントのモビリティを表す G,、 G "の共鳴が、電子線照 射により減少し、 即ち、 シロキサンセグメントの動きが抑制されていることが判 る。 また、 図 6の結果より、 照射強度が増すに従って、 軟化温度が上昇し、 架橋 反応が起こり、 架橋効果が大きくなつていることが判る。 この効果はシロキサン 組成比が大きくなることからも明らかである。
実施例 1 1
M P C - B MA共重合体(M P Cモル分率 0. 3、 数平均分子量 80000)を、 1重 量%エタノール溶液とし、 ァノレミニゥム合金シート上にキャストし乾燥させた。 このシート上に、 実施例 1で調製した P- 17- 70の繊維状物を載置し、 1 8 0 °Cの ホットプレートでフィルム状に成形した。 このフィルムを蒸留水中に浸漬し超音 波洗浄した。 この状態で接蝕角を測定した。 次いで中性洗剤中でスポンジたわし を用い擦り洗いして表面処理を行った。 この状態でも接触角を測定した。 表面処 理前後のフィルムの接触角を表 2に示す。 対照として、 P- 17- 70 単独のフィルム の接触角も同様に測定した。 結果を表 2に示す。
表 2
M P C— B MA共重合体(M P Cモル分率 0. 3、 数平均分子量 80000)を、 1 8 0 °Cのホットプレス器で加熱加圧し、 板状の透明な成形物を得た。 この板状成形
物に、 実施例 9で作製したフィルムを密着させ、 180°Cのホットプレス器にセ ットし、 表面にホットプレス板が触れるようにした(この場合加圧する必要はな い)。 10秒後、 取り出すと、 両者が完全に密着した積層型の複合体が得られた。 この複合体をピール試験器にかけたところ、 融着面が剥がれるより先にまず M PC-B MA共重合体層が断裂した。
この複合体を水中に浸漬したところ、 MP C— BMA共重合体層が水を取り込 み膨潤した。 実施例 9で作製したフィルムであるポリジメチルシ口キサン一ポリ アミ ド共重合体層はほとんど変化しなかったが、 MPC— BMA共重合体層の大 きな膨潤に伴い大きく変形した。 しかし、 変形が定常になっても両者の融着面が 剥がれることはなかった。
実施例 13
実施例 1〜6で調製した、 P- 17- 20、 P- 17- 50、 P- 17- 70、 P- 17- 80、 P- 9- 70及び P - 30-70 を、 それぞれホットプレス機を用いて、 膜厚 50〜 100 ηιのフィル ムを作製した。 得られた各フィルムの酸素透過性を真空法により測定した。 結果 を表 3に示す。
単位: X 10-10 c m3 (S TP) c m/ cm2 - s e c · mmH g 表 3の結果より、 本発明の共重合体を成形した成形物は、 高酸素透過性(高 D k値)を有することが判った。 従って、 これらの成形物は、 コンタク トレンズや眼 内レンズ等の眼科用レンズ材料として、 若しくは気体透過性が要求される医療用 材料として有用であることが判る。
実施例 14
実施例 1、 3及び 4で調製した、 Ρ_17_5ϋ、 Ρ- 17- 70及び P-17- 80を、 それぞれ ホットプレス機を用いて、 膜厚 250〜800 inの範囲で各ポリマー毎に 5種 類の膜厚のフィルムを作製した。 得られた各フィルムの酸素透過性を、 製科研式 、酸素透過測定器(K316 IPI TIPE FILM OXYGEN PEAMEABILITY METER,
RIKASEIKI K0GY0 CO. , LTD. 製)により、 3 5 ° (:、 0 . 9重量%生理食塩水を用 いて測定した。 結果を表 4に示す。
単位: X 1 0 " 1 1 ( S T P) c m/ c m ^ - s e c - mmH g 表 4の結果より、 本発明の共重合体を成形した成形物は、 高酸素透過性(高 D k値)を有することが判った。 従って、 これらの成形物は、 コンタク トレンズや眼 内レンズ等の眼科用レンズ材料として、 若しくは気体透過性が要求される医療用 材料として有用であることが判る。
実施例 1 5
実施例 1で合成した P- 17-70を、 ホットプレス機を用いて膜厚 2 3 8 / mのフ イルムとした。 得られたフィルムの紫外可視吸収スペク トルを、 紫外可視分光光 度計により測定した。 結果を Xとして図 7に示す。 対照として、従来のポリ(メチ ルメタタリ レートーシリコーン)製のハードコンタク トレンズ(図 7中 Yで示す) 及びヒ ト水晶体(図 7中 Zで示す)の紫外可視吸収スぺク トルの結果を合わせて図 7に示す。
図 7の結果より、 本発明の共重合体を成形した成形物(X)は、 眼球の透明組織 のスぺク トル(Z )よりも紫外線領域に吸収領域を持っており、 紫外線等の有害光 線から黄斑分を保護する紫外線遮蔽効果を有し、 室外での使用が考えられる医療 用材料及び眼科用材料に有用であることが判る。
実施例 1 6
前述の各実施例で調製した、 P-17- 50、 P- 17-70及び P- 17- 80を、 それぞれホッ トプレス機を用いて、 膜厚 1 mmのフィルムとし、 ポリマ一毎に 3 0枚づっフィ ルムを作製した。 得られた各フィルムを重ねて 3 O mmの厚さとし、 ショァ一硬 度計により硬度を測定した。 結果を表 5に示す。
表 5
P- 17 - 50 P - 17 - 70 P-17-70
ショァ硬度 A/90, D/40 A/85, D/25 A/45
表 5の結果より、 P-17- 50 の成形物は、 眼内レンズの支持部材、 (セミ)ハード コンタク トレンズ等に有用であり、 一方、 P-17-70及び P- 17- 80の成形物は、 ソ フトコンタクトレンズや、 手術時に小切開での挿入が可能なソフトタイプの眼内 レンズ用材料等として有用な硬度を示すことが判る。
実施例 1 7
"Biomaterials, 13, 113 (1992) " に従って、 ヒ ト全血より多血小板血漿と貧 血小板血漿を作製し、両者を混合して 2 X 1 0 5個/ mm 3の濃度の血小板浮遊液 を調製した。
前述の実施例で調製した、 P- 17-50、 P- 17- 70及び P-17- 80を、 それぞれホット プレス機を用いて、 膜厚 2 0 0 μ mのフィルムとした。 比較として、 Bi omerフィ ルム(Ethicon In 製)と Si lastic フィルム(Dow Corning, Co製)とを用レヽた。 そ れぞれのフィルムを直径 1 8 mmの円盤状に打ち抜き、 2 4穴マルチウエルに挿 入した後、 前記調製した血小板浮遊液 0 . 8 m 1を注入して 1 5分間、 3 7 °Cで 静置して血小板を接触させた。 フィルムを取り出し、 リン酸緩衝液で軽く洗浄し た後、 定法にて走査型電子顕微鏡(S E M)観察用試料を作製した。 S E M観察は 島津製作所製の E MX— S Mを用いてフィルムの空気側表面における粘着した血 小板数と血小板の様子を観察した。 結果を表 6に示す。
表 6
表 6の結果より、 本発明の共重合体を成形した成形物は、 抗血栓性を有し、 特 :血液と接触する可能性のある医用デバイス用素材として有用であることが判る。 実施例 1 8 -
実施例 1で調製したポリマー(P- 17- 70)を、 レンズの形状に切削加工した SUS316L製の金型に入れ、 2 0 0 °Cで 1 0 k g f / c m
2の荷重を 1分間か けて加熱成形した。 その結果、 無色透明な金型に沿った成形物が得られた。
実施例 1 9
プレート型眼内レンズに準じた形状に切削加工した SUS316L 製の金型を 用い、 光学部には実施例 1で調製したポリマー(Ρ-Π- 70)を、 保持部には実 施例 4で調製したポリマー(P-17- 80)を入れ、 2 0 0 °Cで 1 O kgf/cm2の荷 重を 1分間かけて加熱成形した。 その結果、無色透明な金型に沿ったプレー ト型眼内レンズに準じた成形物が得られた。 2種のポリマーの接続部分は光 学的にも、 機械的にも均一で境目を目視で見分けることはできなかった。
実施例 2 0
マイクロク リスタリンワックス 4 . 0重量部、 流動パラフィン 3 . 0重量部、 ソルビタンセスキォレート 1 . 0重量部、 デカメチルシクロペンタシロキサン 3 9 . 0重量部、 実施例 3で調製した P-17- 50を 8 . 0重量部及びミ リスチン酸ィ ソプロピル 2 . 0重量部を、 7 0〜8 0 °Cにおいて撹拌溶解した後、 カオリン 2 5重量部、 二酸化チタン 1 5 . 0重量部及び赤酸化鉄を分散させた。 次いで、 脱 気後、 適量の香料を加え、 皮膚用化粧剤を調製した。
得られた皮膚用化粧剤を、 水又はスクワレンを汲み込ませた濾紙上に塗布した 後、 乾燥させたナイロン板を圧着して 1 0回の上下動を行った。 上下動終了後の 濾紙からナイロン板への皮膚用化粧剤の転写量を色の濃さにより、 1 0人のパネ ルによって肉眼で評価した。 結果を表 7に示す。
評価は、 全く転写しないを 1点、 僅かに転写するを 2点、 転写が著しいを 3点 とし、 パネル全員の平均点で示す。 また、 得られた皮膚用化粧剤について、 動物 を用いた S P F (Sun Protection Factor)測定法によって日焼け防止効果を評価 した。 即ち、 背部を脱毛クリームにて除去したモルモットに、 皮膚用化粧剤 2 l Z c m 2の割合となるように塗布し、 1 5分後に紫外線ランプ (東芝 (株)製、 F L一 S E型)で紫外線を照射した。照射後 2 4時間経過した時点で皮膚用化粧剤塗 布部及び無塗布部の紅斑を観察し、 かすかな紅斑を起こすのに要した最小の紫外
線量を求めた。 求めた最小の紫外線量から下式に従い S PFを計算した。 結果を 表 8に示す。
S P F = (塗布部皮膚に紅斑を起こすのに要した最小の紫外線量) Z (無塗布部皮 膚に紅斑を起こすのに要した最小の紫外線量)
比較例 2
マイクロクリスタリンワックス 4. 0重量部、 流動パラフィン 3. 0重量部、 ソルビタンセスキォレート 1. 0重量部、 デカメチルシクロペンタシロキサン 4 7. 0重量部及びミ リスチン酸イソプロピル 2 0重量部を、 70〜80°Cにお いて撹拌溶解した後、 カオリン 25重量部、 二酸化チタン 15. 0重量部及び赤 酸化鉄を分散させた。 次いで、 脱気後、 適量の香料を加え、 皮膚用化粧剤を調製 した。 得られた皮膚用化粧剤について、 実施例 20と同様な転写量評価及びョ焼 け防止効果の評価を行った。 転写量評価の結果を表 7に、 日焼け防止効果を評価 の結果を表 8に示す。
実施例 21
ジメチルポリシロキサン(0.65cSt) 20. 0重量部、 ジメチルポリシロキサン (2. OcSt) 44. 0重量部、 実施例 4で調製した P-17-80を 15. 0重量部及び (CH3) 3SiO/Si02/(CH3) 2SiO= 2. 4/1. 6/1. 0 (モル比) 5. 0重量部を 70〜80°Cで撹拌溶解した。 次いで、 グリセリントリイソステアテート 6. 0 重量部及ぴ赤色 226号 10. 0重量部のローラ処理物を加えて分散させた。 脱 気後、 適量の香料を加えて液状の口紅を調製した。 得られた口紅について、 実施 例 20と同様に転写量評価を行った。 結果を表 7に示す。
比較例 3
ジメチルポリシロキサン(0.65cSt) 20. 0重量部、 ジメチルポリシロキサン (2. OcSt) 44. 0重量部、 高分子量ジメチルポリシロキサン 15. 0重量部及び (CH3) 3SiO/Si02Z(CH3) 2SiO=2. 4/1. 6/1. 0 (モル比) 5. 0重量部を 70〜80°Cで撹拌溶解した。 次いで、 グリセリントリイソステアテート 6. 0 重量部及び赤色 226号 10. 0重量部の口一ラ処理物を加えて分散させた。 脱 気後、 適量の香料を加えて液状の口紅を調製した。 得られた口紅について、 実施
例 2 0と同様に転写量評価を行つた。 結果を表 7に示す。
表 7
表 7の結果より、 実施例 2 0の皮膚用化粧剤及び実施例 2 1の口紅は、 いずれ も比較例に比べて、 耐水性及び耐油性に優れることが判る。 また、 実施例のもの はいずれも比較例のものに比べて使用感もさっぱりしていた。 一方、 表 8の結果 より、 実施例 2 0の皮膚用化粧剤は、 比較例 2のものに比べて非常に紫外線防止 効果に優れていることが判つた。
実施例 2 2
実施例 3で調製した P- 17- 50 2 5 g、 非イオン系ウレタン会合増粘剤(セルボ 社製、 SER AD FX1100) 0 . 3 g及び顔料 1 g及び水 7 3 . 7 gを混合してマニュ キュア液(爪ワニス)を調製した。
得られたマ二ユキユア液は、 高度に耐水性であり、 爪に塗布して得られる被膜 は、 水中で 1時間撹拌後でも破損せずに完全な状態を維持した。 得られた被膜は 剥がれることなく、 爪のケラチンに適度に接着し、 粘着性はなく耐引搔性を示し た。 従って、 このマ二ユキユア液は、 爪に容易に塗布することができ、 極めて良 好な光沢と耐久性を示すことが判る。 - 実施例 2 3
トリエタノールアミンステアレート 1 1 . 8 g、 蜜口ゥ 5 g、 カルナパロゥ 3 g及びパラフィン 1 gを混合し 8 5 °Cに昇温した後、 黒色の酸化鉄 5 gを添加混
合して混合液を得た。 次いで、 アラビアゴム 2 g及びヒ ドロキシェチルセルロー ス(ァメルコール社製、 セロサイズ QP) 1. 2 gを、 85°Cに昇温した製剤用水 46 gに添加した後、 ホモジナイザーで処理しながら最初に調製した混合液を添 加し、 30°Cに冷却した。 最後に、 実施例 1で調製した P-17-7025 gを加えて 撹拌し、 マスカラ用組成物を調製した。
実施例 24
実施例 1で調製した P- 17 - 70 5 g、 ナトリゥムラウリルエーテルサルフエ一ト 15 g、 ココイルバタイン 32%水溶液(キメックス社製、 Chimexane HC) 3 g、 芳香剤及び防腐剤微量、 水 77 gによりシャンプーを調製した。
実施例 25
実施例 1で調製した P- 17-70 5 g、 芳香剤、 染料及び防腐剤微量、 水 95 gに より毛髪造形用口一ションを調製した。 このローションをシャンプー後の毛髪に 塗布したところ、 髪型に良好な形状保持力が付与され、 且つ毛髪に優れた光沢が 認められた。
実施例 26
実施例 1で調製した P-17- 70 3 g、 芳香剤、 染料及び防腐剤微量、 水 97 gに よりヘア一スプレー用液を調製した。 得られたヘアースプレー用液を、 ポンプフ ラスコ中に充填し、頭髪に塗布したところ、髪型に良好な形状保持力が付与され、 且つ毛髪に優れた光沢が認められた。
実施例 27
実施例 15で調製した P- 17- 70のフィルムが、 図 7に示すとおり、 380 nm より長波長領域で透明性に優れるので、 このフィルムは、 光ファイバ一としての コア層に有用であることが判る。 また、 同様なフィルムについて、 25°Cにてナ トリウム D線を用いて屈折率を測定したところ、 1. 49であった。 更に、 実施 例 1で調製した P- 17- 70を用いて、 溶融石英ガラス上にキャス ト法により、 膜厚 80 μπιのフィルムを成形した。 このフィルムの伝搬損失を、 He— Neレーザ 一光(波長 =632. 8 nm)を使用して測定したところ、 0. 8 dB/cmであ つた。 これらの結果より、 得られたフィルムは、 光学特性に優れ、 光ファイバ一
用素材として有用であることが判る。 , 実施例 28
3,4'-DAPE 0. 005 m o 1、 PDMS-dNH20. 0025mo 1 (分子量 1680)、 及びトリェチルァミン 0. 015mo lを、 反応溶媒 (DMAc: THF= 1 : 2)2 5mlに溶解し、 反応液(a)を調製した。 また、 IPC0. 0075mo 1を、 上記 と同じ反応溶媒 25m lに溶解し反応液(b)を調製した。 更に、 IPC0. 0007 5mo 1を、 上記と同じ反応溶媒 1 m 1に溶解し反応液(c)を調製した。 更にま た、 エタノール 0. 0008m lを、 上記と同じ反応溶媒 1 m 1に溶解し反応液 (d)を調製した。
反応液(a)をフラスコに注入し、反応液(b)を冷媒使用可能な滴下ロートに注入 した。 冷媒を用いて、 滴下ロートとフラスコ浴とを 0°Cに保持し、 撹拌下、 反応 溶液(b)を滴下した。 1時間後、 反応溶液(c)を加え、 更に 5分後にトリェチルァ ミン 0. 0015mo lを加え、 更にその 5分後、 反応溶液(d)を加えた。 次に、 冷媒浴を外して更に 50分間撹拌を続けた。
得られた溶液を 5 Cのろ紙で濾過後、 得られた重合液について、 1リットルの 精製水を用いて再沈澱を行なった。沈澱物を取り出し、 60°Cで一晩乾燥後、 THF 60 gに再溶解し、 精製水: メタノ一ル= 1 : 1 (体積比)の溶液 1リットルを用 いて再沈澱を行なった。
得られた沈澱物を、 再度 60°Cで一晩乾燥後、 THF50 gに再溶解し、 0. 5 xmのポリテトラフルォロエチレン製のメンブランフィルタ一を備えた加圧濾過 器を用いて濾過した。 更に、 精製水: メタノール = 1 : 1(体積比)の溶液 1リツ トルを用いて再沈澱を行ない、 60°Cで一晩、 120°Cで 4時間乾燥させ、 ポリ ジメチルシロキサン一ポリアミ ド共重合体 (以下、 PASと略す)を得た。
実施例 29
ァセトンで洗浄したプレス用アルミシート上に、プレス用スぺ一サー(厚さ 50 0 t m、 5 c mX 5 c mの穴が開いた金属片)を置き、 このスぺ一サ一の穴の中に 実施例 28で調製した PASを 1. 25〜1. 40 g載置し、 続いて、 洗浄した アルミシートを被せた。 この試料をプレス機 (T0Y0SEIKI社製、商品名'、 Mini Test
Press- 10")の試料台に設置し、 200 °Cで 10分間放置した。 続いて、 200°C に保持したまま、 l OMP aの圧力を加え、 10分間放置後、 冷却して室温に戻 した。 次に、 得られた PASシートを、 カッターにて 15 mmX 5 Ommに切り 出し、 各種表面処理を行なうための PAS試験片を作製した。
実施例 30
実施例 29で調製した PAS試料片を、 5 Om 1のサンプル管中に吊るし、 中 蓋を利用してサンプル管の口を 90%塞いだ。 オゾン発生装置(日本オゾン(株) 製、 形式 0-3-2)に、 酸素を 0. 3 LZm i n. の条件で送り込み、 100ボルト (V)の条件でオゾンを発生させ, 塩化ビニル製のチューブを通して先のサンプル 管に導いた。 オゾン処理は常温、 常圧で 30分間行ない、 オゾン処理 PAS試験 片を調製した。
実施例 31
実施例 29で調製した PAS試料片を、 両面接着テープを用いて、 厚さ 0. 2 mmの、 約 20 c mX 20 c mのテフロンシートに貼りつけた。 シート毎にコロ ナ処理装置(春日電機 (株)製、 AGI-021S型)のベルトコンベアに载せ、 PAS試料 片に対してコロナ放電を行ない、 コロナ放電 PAS試験片を調製した。 処理条件 としては、 ベルトコンベアの速度を 74. lmm/sに設定し、 放電出力 150 Wで 5回、 300Wで 1回行なった。
実施例 32
実施例 29で調製した PAS試料片を、 常圧プラズマ処理装置にセットし、 1 5分間ヘリウムガスを流した。 次に、 5分間 1. 6 kV、 20 kHzの条件でへ リゥムプラズマを照射し、 常圧プラズマ処理 PAS試験片を調製した。
実施例 33
実施例 32で調製した常圧プラズマ処理 PAS試料片を、 ポリエチレンダリコ ール(Mw= 200、 末端〇H) (以下、 PEGと略す)に 10分間浸漬後、 へリウ ムガスに 10〜20分間接触させた。 続いて、 110°Cに加温した PEGを通し てヘリウムガスを 300 Osec/cm3の条件で流しながら、 1. 6 k V、 20 kH zの条件で 5分間プラズマ照射した。 更に、 ヘリウムガスを 5分間流し、 PEG
処理 P A S試験片を調製した。
実施例 34
実施例 29で調製した PAS試料片を、 プラズマ処理装置 (SAMC0社製、 Model PD-2)の電極上に置き、 0. lTorr になるように空気を供給し、 50W、 10分 間の条件で高周波電圧をかけることでプラズマを発生させ、 PASのプラズマ処 理を行ない、 減圧プラズマ処理 P A S試験片を調製した。
実施例 35
実施例 29で調製した PAS試料片を、 MP C— SMA共重合体(組成モル比 9 : 1、 分子量 100000) (以下、 P MSと略す)の 5%水溶液に室温で 3時間浸漬 後、 自然乾燥し、 PMS吸着処理 PAS試験片を作製した。 なお、 リンス処理は 行なっていない。
実施例 36
実施例 29で調製した PAS試料片を、 100°Cに加温したホットプレート上 に载置し、 ガラス製の TLC染色用霧吹きにコンプレッサーを接続し、 MPC— BM A共重合体(組成モル比 3 : 7、 分子量 280000) (以下、 P MBと略す)の 5重 量%エタノール溶液を 30秒間程度吹き付け、 PMBコート PAS試験片を調製 した。
実施例 37
MP C—ァリルァミン)(組成モル比 99 : 1、 Mw 1000000, Mw/Mn = 5.7) (以下、 PMAと略す)を、 水 4 Om 1に溶解し、 0. 1N— HC 1を用いて pH約 4にし、 加えた PMA中におけるァミン量の 10倍モルの水溶性カルボジ イミ ドを加えた。 次に、 実施例 34で得られた減圧プラズマ処理 PAS試験片 3枚をこの溶液中に入れ一晩放置した。 この試料を約 5 Om lの精製水で 10回 リンスした後、 自然乾燥し、 PMA固定化 PAS試験片を調製した。
参考例 1 ―
実施例 29〜3 7で調製した各種処理 PASについて、 島津製作所社製、 ESCA-3300 を用いて、 X線光電子分光(XPS)の測定を行った。 積算回数は 8回 とし、 標準の条件で行なわれた。 結果を表 9に示す。
この結果より、 いずれの方法を用いても、 PAS試験片の表面の化学組成が変 化することが確認された。 特に、 MPCポリマーをコートすると、 MPC由来と 考えられるリン元素が表面に出現すると同時に、 PAS由来と考えられる窒素元 素量が減少することが確認された。
参考例 2
実施例 29〜37で調製した各種処理 PASについて、 (株)オリエンテック製 の DCA-20を用いて、動的接触角を測定した。条件は、浸漬速度 10 mm/m i n.、 浸漬長さ 30mm、 25°Cとした。
得られたチャートは、 直線とギザギザが有り、 データの信頼性が異なると考え られた。 そこで、 データの信頼性を表す尺度として、 直線を〇、 ギザギザを X、 中間を とした。 動的接触角と共にその結果を表 10に示す。 なお、 ギザギザな チャートでは、 直線部分を選んで接触角を求めた。 表中の ΘΑ は前進接触角を、 Θ Rは後退接触角を、 Δ Θは、 前進接触角と後退接触角の差を示す。
表 1 0
この結果より、 いずれの表面処理を行なった材料も水の接触角に変化が生じ、 表面組成が何らかの変化を受けていることが確認できた。
参考例 3
実施例 3 1 (処理 11)、実施例 3 6及び 3 7で調製した各種処理 P A S試験片に、 食器洗い用液体洗剤(商品名ファミ リーフレッシュ、 花王社製)を十分付け、 親指 と人差し指で力強く擦った。 続いて、 各試料片を水道水で洗浄後、 精製水でリン スし、 乾燥し、 洗剤による擦り洗い後のサンプルを得た。 得られた各サンプルに ついて、 参考例 2と同様に動的接触角を測定し、 各種試験片の洗剤で洗浄した後 の水濡れ性評価とした。 結果を表 1 1に示す。
表 11
表 1 1より、 実施例 30の試験片では、 接触角が増大し、 親水性が減少してい るが、 実施例 36及び 37の試験片では、 過激な試験であるにもかかわらず、 洗 浄前の接触角を保持していることが確認された。吸着処理した M P Cポリマーは、 界面活性剤であるドデシル硫酸ナトリゥムに浸漬することで、 擦らなくても MP Cポリマーが剥がれ落ちることが知られている。 従って、 実施例 36及び 37の 試験片では、 かなりの耐久性で M PCポリマーがコートされていることが判る。
実施例 38
1 10m lのスクリユー管に、 3,4'-DAPE(0.005raol)、 PDMS- NH2(Mw : 1680) 4. 20 g (0.0025mol)、 トリェチルァミン 1. 52 g (0.015raol)を計り入れ、 溶 媒としての DMA c : THF (1 : 2)の混合溶媒 25m 1に溶解させ氷冷下に保 つた。 また、 別の容器に IPC1. 52 g (0.0075mol)を計りとり、 溶媒としての D MA c : THF (1 : 2)の混合溶媒 25 m 1に溶解し、 前記スクリユー管に入れ て 30分間撹拌した。 室温に戻して更に 30分間撹拌し、 塩化ァセチル 59mg (0.00075mol)、 トリェチルァミン 76 m g (0.00075raol)を加えて 30分間撹拌し た。 エタノール 35mg (0.00075raol)を加えて 30分間撹拌した。 次いで、 水 1 リットルに再沈澱を 2回行ない、得られた PASを真空乾燥させ、重合物を得た。 ここで、 重合物の乾燥重量を測定することで収率を算出した。
また、 分子量の測定は G PC装置を用い、 試料濃度を約 4mg/m 1 として、 1回のインジェクションに 20 μ 1用い、溶離液に DMAc: MEK= 3: 10 (容 積比)に、 10 mm 0 1の塩化リチウムを加えた溶媒を用い、 G PCカラムに PL Laboratories社製の Mixed- Bを 2本用い、 40°C、 流量 1. 00ml/m i n
の条件で、 PEGを標準物質として測定した。
更に、 得られた重合物 0. 4 gを、 180°C、 10 MP aの条件でプレスした。 得られた加熱加圧成形膜の透明性は目視により判断し、 透明性の高いものを〇、 白濁し、 透明性が無いものを X、 僅かに白濁しているが実質的に透明なものを△ とした。 また、 得られた加熱加圧成形膜の 1ヶ月後の黄ばみ(変色)を目視によつ て判断し、 黄ばみの無いものを〇、 黄ばみのあるものを Xとした。 結果を表 12 に示す。
実施例 39〜 50
重合溶媒を表 12に示す溶媒に変更した以外は、 実施例 38と同様に共重合体 及び加熱加圧成形膜を得、 各評価を行なった。 結果を表 12に示す。
比較例 4
3, 4'-DAPE 100. 12 g (0.5mol)、 トリェチルァミン塩酸塩 161. 02 g (1.2mol)及びトリェチルァミン 101. 19 g (lmol)を、クロ口ホルム 2130. 49 gに溶解した。 得られた溶液に、 氷冷下、 IPC152. 265 g (0.75mol)を クロ口ホルム 2498. 7 gで溶解した溶液を加え、 1時間撹拌した。 その後、 PDMS-NH 2 (Mw; 1680) 420 g (0.25raol)、 トリェチルァミン 50. 595 g (0.5mol)を、 クロ口ホルム 1332. 96 gで溶解した溶液を加え、 更に 1時間 撹拌した。 メタノール一エタノールの混合溶媒 30リツトルに再沈澱を 2回行な い、 得られた PASを真空乾燥させ、 重合物及び加熱加圧成形膜を得、 実施例 3 8と同様な評価を行なった。 結果を表 12に示す。