明 細 書
光触媒担持用ガラス材とこれを用いたフィルタ装置および光照射方法
技 術 分 野
本発明は、 光触媒担持用ガラス材とこれを用いたフィルタ装置および光照射方 法に係り、 特に光触媒への光の照射効率を改善し、 光触媒反応を増大させるよう にしたものに関する。
背 景 技 術
光触媒反応は光照射下で生じる強い酸ィヒカを利用した酸化反応に特徴があるこ と力、ら、 この技術をフィルタに利用して、 水処理、 環境浄化に応用しょうという 試みが積極的に行われている。
従来の光触媒を使ったフィルタとしては、 耐熱性繊維や多孔質物質上に T i 0 2 などの光触媒を担持したものや、 金属メッシュ上に T i 02 などの光触媒を担 持したものが用いられ、 光源からの光で光触媒作用を発現させている。
具体例を挙げると、 反応溶液および反応溶媒を収容する反応容器の内部に、 光 触媒を担持したハニカム状のセルを設け、 このセル内に光を導入するための光フ アイバを挿入したもの (文献 1 . 特開平 5— 1 5 4 3 8 7号公報) 、 ガラスゃセ ラミックスタイルなどの平面基板、 あるいはガラスビーズやセラミックスボール 上に半透明の薄膜酸化チタンを担持し、 これに光を当てて水道水などに含まれる 有害物質を除去するもの (文献 2 . 橋本、 藤嶋、 「用水と廃水」 V o l . 3 6 N o . 1 0 ( 1 9 9 4 )、 p 5— 1 1 ) 、 酸化チタン粉末をハニカム担体に担持 した光触媒を光源の両側に置いて、 自動車室内や各種環境内の空気浄化を行うよ うにしたもの (文献 3 . 鈴木、 「豊田中央研究所 R & Dレビュー」 V o 1 . 2 8 N o . 3 ( 1 9 9 3 . 9 ) 、 p 4 7— 5 6 ) 、 中央に光源を置いた環状の容器内 に T i 02 ペレツ 卜を入れて、 トリクロロエチレンなどの揮発性有機塩素化合物 を処理するようにしたもの (文献 4 . 山崎、 「化学と工業」、 第 4 7巻第 2号 ( 1 9 9 4 ) 1 5 2 - 1 5 5 ) 等がある。
ところ力、 上述した従来例はいずれも、 光触媒から少し離れた光源からの光で 光触媒作用を発現させているため、 次のような共通した問題があつた。
( 1 ) ほこり、 ちりまたは汚泥等でフィル夕が覆われてしまうと光触媒に光が
• 到達しづらくなるため、 触媒機能が低下してしまう。 このため非常に強い紫外線 力必要となる。 特に大量の物質が含まれ、 ほとんど真っ黒な下水の原水のような 場合には、 光が光触媒に到達せず、 光触媒反応が未反応もしくは、 微少な反応し 力、得られないため実用化できない。
( 2 ) 光が当たるところと当たらないところができ、 光が当たっているところ だけしか作用しない。 この不具合を角军消するには、 吸着剤と酸化チタンを混合し たハイプリッ ド光触媒を作製し、 光が当たらないところは吸着剤で集めて、 光の 当たるところに移動させて分解する等といった複雑なシステム設計が必要となる。
( 3 ) 光源から光触媒に光を照射しても、 照射された光のうち光触媒に到達す るのはほんの僅かで、 ほとんどの光エネルギが無駄になっているので、 光の照射 を効率よく行うには装置設計が重要な課題となる。 このため内部に光触媒を入れ る環状の容器を設け、 中央に光源を置くなどの複雑な構造を必要とする。
本発明の目的は、 光触媒を担持する支持体から光を直接 虫媒に照射させると いう簡単な構造によって、 上述した従来技術の問題点を解消して、 光触媒機能を 効率よく発現することができる光触媒フィルタ、 その装置、 及びそれを用いた流 理方法を提供することにある。
また、 このような光触媒の処理能力を上げるために、 従来行われていたのは光 触媒に多量の光を導入することであつた。
具体的には、 従来の光触媒の応用は、
( 1 ) 処理能力を上げるため、 多量の光照射をする工夫。
( 2 ) 処理能力を上げるため、 光照射の仕方の工夫。
( 3 ) 処理能力を上げるため、 光触媒活性を上げる工夫。
( 4 ) 処理能力量が低いために、 その能力量に合った商品開発、 例えば、 防臭 処理 (少量処理、 律速段階が拡散にあるもの) 、 防汚 (少量処理で処理に時間が かかるもの) 、 抗菌 (少量処理、 滅菌処理は不可) などにとどまつていた。
このように、 光触媒作用を利用しても、 光量に重点を置いた開発によっては光 触媒反応の能力向上には限界があり、 光分解の対象物が多量である場合には、 光 角虫媒作用では処理しきれないという問題があつた。
本発明は、 上述の背景のもとでなされたものであり、 濾過処理能力を大巾に向
上させることができる光触媒フィルタ装置および濾過処理方法を提供することに ある。
ここで、 フィルタの被濾過物が、 気体や液体などの流体である場合には、 的に、 濾過しょうとする流体の流路に垂直に濾過面を設置したもの (例えば、 特 開平 7— 2 2 4 6 3 2号) や、 流体の流路に平行に濾過面を設置したもの (例え ば、 特開昭 5 6 - 1 2 9 0 2 0号) 等が知られている。
ところで、 前者では、 濾過処理量を大きくしょうとすると、 流路に直交する濾 過面積を大きくする必要がある。 しかし、 その為にフィルタ付近で流路を拡大す ると、 フィルタの各部に対する流体圧力を均一に保持することが困難になり、 そ れゆえ、 捕集密度が TO—になつて効率的な濾過が行えなくなるという欠点があ つた。
また、 後者においては、 流路に平行な面を濾過面にしているので、 前者に比較 すると濾過面積を大きくするために必ずしも流路を拡大する必要がない点で有利 である。 しかし、 被濾過流体が濾過部を進行する際に流路を兼ねる濾過面を通じ て被濾過流体が徐々に外部に排出されるのでフィルタ各部での圧力差が生じ、 こ れが捕集密度の偏りの原因となつて、 やはり十分に効率的な濾過は行えなかつた。 また、 光触媒反応を利用して、 各種水処理、 空気処理、 環境浄化に応用しょう とする試みが行われつつあるが、 上記構成のフィルタにおいてかかる反応を利用 しょうとしても、 光をフィルタに行き渡るように照射することは非常に困難であ つた。
本発明は、 上述の背景のもとでなされたものであり、 効率的な濾過作用が得ら れ、 かつ、 光触媒反応を利用したフィルタ浄化機能を効果的にもたせることので きるフィルタ装置を提供することを目的とする。
また、 フィルタの被濾過物が流体である場合のフィルタとしては、 一般的に次 に示す 3つのタイプのフィルタが使用されている。
第二のタイプのフィルタは、 長繊維ファイバを使用したフィルタ (以下、 長繊 維フィルタという) であり、 長繊維ファイバを紡織し布状としたものをフィルタ 基材として用いたフィルタである。
第三のタイプのフィルタは、 粒状物 (多孔体含む) を用いたフィルタであり、
粒状物を成形したものを焼結して多孔質体とした、 あるいは粒状物をフィルタを 形成する空間に充塡したフィルタである。
し力、しな力《ら、 上述した従来のタイプのフィルタは、 いずれも次に示す問題を 有しており、 高性能なフィルタを安価に提供することは困難であつた。
まず、 第一のタイプの短繊維フィルタにあっては、 フィル夕の空孔 (メッシュ) の調整を主としてファイノぐの充塡密度を変えることによって行っている力、 場所 による密度差ができやすく、 メッシュの正確な制御が困難であり、 流体を通した 場合メッシュの形状が変化するなどの問題がある。 したがって、 高性能なフィル 夕を得ることが困難であるという問題がある。
また、 第二のタイプの長繊維フィル夕にあっては、 長繊維ファイバを織って布 状にするという複雑な工程が必要であり、 コスト高になるという問題がある。 加 えて、 紡織可能なファイバ径に限界があり、 実現可能なメッシュが制限されるた め、 高性能なフィルタを得ることが困難であるという問題もある。
さらに、 第三のタイプの粒状物 (多孔体含む) を用いたフィルタにあっては、 粒伏物をフィルタを形成する空間に充塡してフィルタとしたものである力 フィ ルタとして機能させるためには粒状物の量が相当量必要であり、 大きな空間を必 要とし、 コスト高になるという問題がある。
また、 第三のタイプのフィルタでは、 粒状物を焼結などの方法によって成形し 多孔質状としたものをフィルタとして使用する場合もある力、 拉伏物の量が相当 量必要であり、 大きな空間を必要とし、 コスト高になるという上記と同様の問題 に加え、 成形にコス卜がかかるためさらにコスト高になるという問題がある。 本発明は上述した問題点にかんがみてなされたものであり、 高性能なフィル夕 を安価に提供することを可能とするための、 フィルタ素材及びその製造方法並び にこのフィルタ素材を用いたフィルタ装置等の提供を目的とする。
上記光触媒フィルタなどの光触媒を担持するものとしては、 種々のガラスが用 いられている。
しかしながら、 ソーダライムガラス基材は、 光触媒活性が劣化し好ましくない ことが報告されている。 これは、 ガラス中のナトリウムイオンが光触媒中に拡散 して、 光触媒が熱酸化する際に化合物を形成することに起因すると考えられる。
一方、 石英ガラスは、 光触媒中への不純物の拡散がなく光触媒担持用基材とし て確かに好ましいが、 製造コスト力 <高いため実用的でない。 また、 ガラスの軟ィ匕 温度が高いため、 様々な形状への熱間加工が難しく、 さらにコストが高くなる。 さらに、 ソ一ダライムガラス表面を石英でコ一ティングしてナトリゥムの溶出 を抑えようとする試みがなされている力^ 膜厚が薄いと充分な効果が得られない とともに、 薄膜形成にはコストがかかり好ましくない。
本発明は上述した事情にかんがみてなされたものであり、 光触媒中への不純物 の拡散がなく、 したがって光触媒活性が劣化することがなく、 しかも安価な光触 媒担持用ガラス材の提供を目的とする。
以上述べたような光触媒フィルタをはじめ、 光を利用して光反応や熱反応を行 わせる場合など、 光を目的とする被照射物に対して効率よく照射した L、場合があ る。 し力、し、 本発明は、 光照射方法及びその装置に関し、 特に、 光化学反応系へ の光の照射や、 化学反応系への熱エネルギの伝送等に適用し得るものである。 光反応系へ光を照射する場合は、 ほとんどが、 単一方向から光を照射する。 ま た、 光反応は、 反応物表面の光吸収から始まる。
熱反応の場合は、 ヒータで直接加熱する力、、 雰囲気加熱を行っていた。 また、 何れの加熱方法でも、 熱反応は熱源に近 、表面から反応が開始する。
燃焼反応の場合は、 種火を使ったり、 雰囲気加熱を用いたりする。 この場合も、 燃焼反応は、 反応物の種火近接部分から開始したり、 雰囲気加熱であれば、 反応 物の表面から開始する。
従来の光反応の場合は、 反応物の露出している表面が限られているため、 表面 に近い部分と遠い部分では、 反応開始のタイムラグが生じてしまう。 また、 反応 物の露出している表面が限られているため、 表面部分しか反応が進まなかったり した。 さらに、 反応物の濃度が高い場合には、 反応物へ光が到達しずらいので、 強い光を照射する必要があった。 反応物のどちらか一方が固相であれば、 古相に 多くの光が照射されるように光源を多方向に配置する等の構造を複雑にせざるを えなかった。
一方、 従来の熱反応 (燃焼反応) の場合も、 光反応と同様に、 反応物の露出し ている表面が限られているため、 表面に近い部分と遠い部分では、 反応開始のタ
ィムラグが生じてしまう。 また、 反応物の露出している表面が限られているため、 表面部分しか反応が進まなかったりした。 また、 熱伝導効率をよくするために、 常に十分な攪拌をする必要があった。 反応物内に温度勾配ができた場合は、 反応 の部分差がでてしまうという問題点もあった。 さらに、 従来の熱反応では、 熱伝 導や対流を用いて加熱を行っていたため、 温度を一定に制御することが困難であ つた。 また、 表面を多く作ることも困難であった。
本発明は、 上記問題点を解決するためになされたものであり、 光及び熱の供給 を導光体を通して行うことを基本として、 導光体自らが照射体となる構造によつ て、 光化学反応を促進させたり、 熱エネルギ伝送を効率よく実行できる光照射方 法及びその装置を提供することを目的とする。
発 明 の 開 示
本発明の目的は請求の範囲に記載された発明の構成により実現される。 各請求 項に記載された発明はそれぞれ密接に関連している。
請求項 1、 1 3ないし 1 6に記載されたフィルタ装置には、 請求項 2ないし 1 2に記載された光触媒フィルタ力適用出来、 またこの^ 媒フィルタを作製す るに際しては請求項 1 7ないし 2 1に記載の光触媒担持用ガラス材を使用するこ とが出来る。
さらに請求項 2 2、 2 3に記載された光照射方法は前記フィルタ装置により実 現することが出来る。
本発明に係る光触媒フィルタは、 光触媒を、 その光触媒の活性に必要な光を導 く導光体の表面に担持させ、 導光体に導かれた光が導光体表面より出て、 光触媒 に直接照射するように構成される。
光触媒にその活性に必要な光が照射されると、 光触媒反応を起こして、 その表 面に強い酸化力と還元力を生じ、 光触媒と接触する物質を分解して除去する能力 を発揮する。
前記導光体として光触媒自身と反応しないガラス、 セラミックス、 プラスチッ クスまたは結晶から選ばれた少なくとも 1つの材料を使用すること力出来る。 前記導光体の形状をファイバ状、 ハニカム状、 網目状、 布状、 層状、 綿状のい ずれか 1つまたは 2つ以上の形状とすることが出来る。
光触媒は、 その活性に必要な光に対し透明であることが好ましいが、 不透明で あってもよい。 不透明の場合は、 導光体の表面に光触媒を島状に多数担持して、 光触媒の担持されていな L、部分の導光体表面から出た光が不透明な光触媒の周囲 を包み込むようにすればよ L、。
前記光触媒として、 チタン酸化物またはその化合物、 鉄酸化物またはその化合 物、 亜鉛酸化物またはその化合物、 ルテニウム酸化物またはその化合物、 セリウ ム酸化物またはその化合物、 タングステン酸化物またはその化合物、 モリブデン 酸化物またはその化合物、 カドミウム酸化物またはその化合物、 ストロンチウム 酸化物またはその化合物のうち 1種または 2種以上を用いることカ诎来る。 光角虫媒の担持方法としては、 ゾルゲル法、 バエロゾル法、 ゥォッシュ ·コート 法、 蒸着法、 スパッ夕法、 熱分解法、 金属酸化法等を採用することができる。 こ れらの方法を 1種または 2種以上用いて、 導光体表面に 1 nm〜 1■の膜厚に被覆 する。
また、 光触媒には触媒活性層増強、 密着強度増強、 安定性増強、 または光反応 増強等の作用のある添加物を加えたり、 アンダーコ一卜として使用できる。 物質 としては、 C r、 A g、 C u、 A u、 P t、 R u、 P d、 R h、 S n、 S i、 I n、 P b、 A s、 S b、 P等の金属、 またはそれらの酸化物または化合物が使用 できる。 また、 密着強度増強としては、 添加物を加える代りに触媒層の下地層と して C r、 I n、 S n、 S i、 P等を設ければよい。
光触媒と導光体素材の選択は屈折率を考慮して選ぶようにする。 すなわち、 光 をコアに閉じ込める光ファイバと異なり、 被覆材である光触媒側に光を漏出させ る必要があるため、 導光体素材と比べ屈折率の大きな光触媒を選ぶとよい。
また、 本発明に係る光触媒フィルタは前記導光体を構成するコアの外周にクラ ッドを設けた光ファイバの一部または全部に前記クラッドを欠いたコア露出部を 形成し、 そのコア露出部にコアよりも高い屈折率をもつ光触媒を担持した構造と することが出来る。
前記構成の光触媒フィルタと、 前記導光体に光を入射する光源とを組合せて光 触媒フィルタ装置とすること力く出来る。
光源波長としては、 光触媒が T i 02 である場合には、 これを励起できる 2 0
Ο ηπ!〜 5 0 O nmの紫外域が好ましく、 これを連続光として出力する水銀ランプ、 紫外線ランプが使用できる。 光源からの光は一方向または二方向以上から導光体 に人射するとよい。
本発明に係る光触媒フィルタ装置は、 光触媒を担持したフィルタ素材で構成さ れるフィルタに捕捉された被捕捉物を該光触媒の光分解反応を利用して除去する ようにした光触媒フィルタ装置であって、 該被捕捉物および または該光触媒を 加熱する加熱手段を備えている。
このフィルタ装置に前記フィルタ素材に担持された光触媒に光を供給する光源 を組合せることにより該光触媒フィルタ装置のフィルタで披濾過物の流体を濾過 しながら、 前記光触媒に前記光源から発する光を照射して前記フィルタに捕捉さ れた被捕捉物を光分解するとともに、 前記加熱手段により前記被捕捉物および Z または前記光触媒を加熱して被捕捉物に含まれる炭素を酸化してガス化させるこ とにより、 被捕捉物の除去を行うことが出来る。
前記フィルタ素材は、 ガラス、 セラミックス、 結晶、 金属、 およびプラスチッ クスの群から選ばれた 1種または 2種以上で構成することが出来る。 前記加熱手 段による加熱温度として通常 5 0〜6 5 0 が選ばれ、 フィルタ素材がガラスに あってはそのガラス転移点以下に、 セラミックスにあってはその分解点以下に、 結晶およびプラスチックスにあってはその結晶の融点および分解点のいずれか低 い温度以下に、 金属にあっては融点以下にそれぞれ選定されている。
前記フィルタ素材は、 繊維状、 ハニカム状、 網目状、 布状、 層状、 綿状および 粒状の群から選ばれる 1種または 2種以上の構造体に形成すること力《出来る。 また、 本発明に係るフィルタ装置は、 多数の長繊維状体をその長手方向を揃え て束ねてなる集合体をフィルタ材とするフィルタ装置であって、 前記フィルタ材 によってその長手方向の一端部が開口され他端部が閉じられているとともに他端 部に向かうにしたがって次第にその開口の大きさが小さくなるような構造体を形 成し、 前記開口部から被濾過物を流入するよう構成されている。
前記長敏維状体の一部または全部が、 長手方向に波形状をなすようにすること が出来る。
また、 前記長繊維状体の表面に突起を形成することも出来る。
%
前記長繊維状体の一部又は全部が導光性の材料で構成され、 かつその表面の一 部又は全部に光触媒を形成するようにしてもよい。
前記長繊維状体の一部は光フ で構成されていてもよ
また、 前記長繊維状体の一方の端部から該長繊維状体中に光を導入して該長繊 維状体の表面に形成された光触媒に光を供給して光触媒作用を起こさせ、 該長繊 維状体表面の付着物を分解 ·除去することが出来る。
また、 直径が 1 ミクロン〜 7 0ミクロンである 1種類又は 2種類以上の極細ガ ラスファイバから構成してもよい。
前記極細ガラスファイバを、 束状、 網目状、 布状、 層状及びキャンドル状の群か ら選ばれる 1種又は 2種以上の構造体として構成することが出来る。
さらに前記フィルタ装置において、 前記和 田ガラスファイバの钦化点は 7 0 0 で以上であることが好ましい。
さらに前記フィルタ装置において、 前記極細ガラスファイバの表面の一部又は 全部に光触媒が形成されている。
さらに前記フィルタ装置において、 前記極細ガラスファイバの一端から該極細 ガラスファ <中に光を導入して、 該極細ガラスフアイ くの表面に形成された光 触媒に光を供給して光触媒作用を起こさせ、 該極細ガラスファィバの付着物を分 解 ·除去する。
前記フィルタ装置においては、 前記被捕捉物を加熱する第 1の加熱手段を備え ている。
本発明に係るフィルタのフィルタ素材は、 フィルタ基材の表面に突起を形成し た構成としてある。
また、 本発明のフィルタ素材の製造方法は、 フィルタ基材の表面に突起を形成 する構成としてある。
さらに、 本発明のフィルタ素材の製造方法は、 上記本発明のフィルタ素材の製 造方法において、
フィルタ基材の表面に粒子を固着させて突起を形成する構成、
フィルタ基材の表面に金型を用いて突起を形成する構成、 あるいは、
フィルタ基材原料に粒子を混合し、 これを成形してフィルタ素材の表面に突起
一 を形成する構成としてある。
また、 本発明のフィルタ装置は、 表面に突起を形成したフィルタ素材を用いた 構成としてある。
前記突起のピッチは、 長繊維状体の直径 dに対して、 2 d〜2 0 d、 好ましく は 3 d〜 l 0 d、 また突起の直径は 0. 3〜 1 0 0 μ mの範囲に選択するのが好ま しい。
さらに、 本発明のフィルタ装置は、 表面に突起を形成したフィルタ素材を用い、 該フィルタ素材の一部又は全部に触媒又は表面反応を する物質を担持させた 構成、 あるいは、
表面に突起を形成した導光性を有するフィルタ素材を用い、 該フィルタ素材の 一部又は全面に光触媒を担持させ、 フィルタ素材に入射した光をフィルタ素材内 部を介して導き光触媒に照射する構成としてある。
本発明によれば、 突起の大きさや突起の分布密度を変えることで、 空孔度 (メ ッシュ) を容易かつ高精度に制御可能である。 また、 突起を形成したフィルタ素 材を単に束ねたり積層したりするだけでフィルタを得ることができる。 したがつ て、従来にない高性能なフィルタを安価に得ることが可能となつた。
また、 フィルタ素材表面に形成した突起によって空孔を得ているので、 流体を 通しても空孔が変化せず、 空孔度を長期に渡って維持できる。 したがって、 フィ ルタとしての性能を長期に渡って維持することが可能となつた。
さらに、 本発明では、 基本的には紡織工程を としないので、 従来長繊維フ ィル夕としての使用が困難であつたファイノく径の長繊維フマィ ' 'であつても、 フ ィルタ素材として使用することができる。
また、 フィルタ素材の表面に突起を形成してあるので、 突起のない場合に比べ、 表面積が増大し、 表面反応を利用して流体の浄化を行う作用を有するフィルタに おける効率の向上を図ることができる。
本発明によるフィルタまたはフィルタ装置の導光体として用いられる光角虫媒担 持用ガラス材は、 重量%表示で、 S i 02 を 3 0〜8 0 %、 アルカリ成分の含有 量が 0〜 1 0 %である、 低アルカリのゲイ酸塩ガラス、 アルミノゲイ酸塩ガラス、 ホウゲイ酸塩ガラス、 又は、 無アルカリガラスからなる構成としてある。
また、 本発明の光角虫媒担持用ガラス材は、 重量%表示で、 S i 02 を 30〜8 0%、 A 12 03 を 1〜35%、 B2 03 を 0〜30%、 MgOを 0〜20%、 CaOを 0〜20%、 S rOを 0〜20%、 BaOを 0〜40%、 ZnOを 0〜 20%、 L i 2 0を 0〜: 1 0%、 N a 2 0を 0〜1 0%、 K2 0を 0〜1 0%、 C s 2 0を 0〜1 0%、 L i 2 0 + Na2 0 + K2 O + C s 2 0を 0〜1 0%、 MgO + CaO + S r O + B a O + ZnO + L i 2 O + N a 2 0 + K2 O + C s 2 0を 0.;! 〜 65%含有する構成としてある。
さらに、 本発明の光角虫媒担持用ガラス材は、 重量%表示で、 S i 02 を 30〜 65%、 A 12 03 を 1〜20%、 B2 03 を 0〜20%、 MgOを 0〜20%、 C aOを 0〜20%、 S r Oを 0〜20%、 BaOを 0〜40%、 ZnOを 0〜 20%、 MgO + CaO+S r O+BaO+ZnOを 1〜60%、 L i 2 0を 0 〜】 0%、 Na2 0を 0〜5%、 K2 0を 0〜5%、 C s 2 0を 0〜5%、 L i 2 O + N a 2 O + K 2 O + C s 2 Oを 0~5%、 MgO + C aO+S rO+Ba O + ZnO + L i 2 O + Na 2 0 + K2 O + C s2 Oを 1〜 60 %含有する構成 としてある。
また、 本発明の光触媒担持用ガラス材は、 上記本発明の光触媒担持用ガラス材 において、
他の成分として、 P b 0、 Z r 0、 T i 02 、 A s 2 03 、 S b 2 03 、 S n 02 、 L a 2 03 、 P2 05 、 W03 、 B i 2 03 、 T a 2 05 、 Nb 2 05 、 Gd 2 03 及び Fからなる群より選ばれる少なくとも一種の成分を含有する構成、 あるいは、
光触媒を励起する波長における透過率が肉厚 1 0關において 75%以上である 構成としてある。
本発明では、 光触媒中への不純物の拡散がなく光触媒活性が劣化することがな いとともに、 光触媒薄膜を形成しやすく、 化学的耐久性や透明性等に優れ、 しか も安価に製造できるガラス組成を採用しているので、 光触媒担持用ガラス材とし て優れる。
しかも組成を調整することで、 細いファイバが得やすく、 耐熱性に優れるなど の特性を持った光触媒担持用ガラス材を安価に得ることができる。
Π
以上に述べた光触媒フィルタをはじめ、 光を、 目的とする被照射物に対して効 率よく照射したい場合に適用できる光照射方法として、 本発明に係る光照射方法 は、 導光体の表面に該導光体よりも高い屈折率を持つ高屈折率物質を担持させ、 導光体に導かれて前記高屈折率物質から漏れ出た光を被照射物に照射するように したものである。
前記導光体は、 ガラス、 セラミックス、 プラスチックス又は結晶から選ばれた 少なくとも 1つの材料からなる。
前記導光体は、 ファイバ状、 ハニカム状、 網目状、 布状、 層状、 綿状の何れか 1つ又は 2つ以上の形状で形成されている。
また本発明に係る光照射方法は、 コアの外周にクラッドを設けた光ファイバの 一部又は全部に前記クラッドを欠いたコア露出部を形成し、 そのコア露出部に前 記高屈折率物質を担持し、 コア中を導かれて前記高屈折率物質から漏れ出た光を 被照射物に照射するようにしたものである。
前記高屈折率物質は、 ガラス、 セラミックス、 プラスチックス又は結晶から選 ばれた少なくとも 1つ以上の材料からなる。
また本発明に係る光照射装置は、 導光体の表面に該導光体よりも高い屈折率を 持つ高屈折率物質を担持させ、 導光体に導かれて前記高屈折率物質から漏れ出た 光を被照射物に照射するようにしたものである。
さらに本発明に係るフィルタ装置は、 導光体の表面に該導光体よりも高い屈折 率を持つ高屈折率物質を担持させ、
導光体に導かれた光が前記高屈折率物質から漏れだし、 漏れだした光が被捕集 物を燃焼させるようにしたものである。
また本発明に係る紫外線殺菌装置は、 導光体の表面に該導光体よりも高い屈折 率を持つ高屈折率物質を担持させ、
導光体に導かれた紫外線が前記高屈折率物質から漏れだし、 漏れだした紫外光 力被殺菌物を殺菌するよう構成されている。
さて、 上述した各発明において、 各反応における必要な光が照射されると、 反 応系はその光に応じて、 光反応熱反応、 燃焼反応等が発現される。 光源波長には、 光反応では可視紫外線が使用でき、 熱反応では主に赤外線が使用でき、 燃焼反応
I
一 では主に強力な可視赤外線が使用できる。 光源からの光は、 一方向又は二方向以 上から導光体に入射するとよい。
高屈折率物質の担持方法としては、 ゾルゲル法、 バエロゾル法、 ゥ才ッシュ · コート法、 蒸着法、 スパッタ法、 熱分解法、 金属酸化法、 2重坩堝法、 ロッドィ ンチューブ法等を採用することができる。 これらの方法を 1種又は 2種以上用い て、 導光体表面に 1 ηπ!〜 1 mmの膜厚に被覆する。
また、 高屈折率物質には、 光選択性、 密着強度増強、 安定性増強、 または光反 応增強等の作用のある添加物を加えたり、 アンダーコートとして使用できる。 物 質としては、 C r、 A g、 C u、 A U P t、 R u、 P d、 R h、 S n、 S i、 I n、 P b、 A s、 S b、 P等の金属、 またはそれらの酸化物または化合物力《使 用できる。 また、 密着強度増強としては、添加物を加える代わりに高屈折率物質 層の下地層として、 C r、 I n、 S n、 S i、 P等の金属、 またはそれらの酸ィ匕 物または化合物を設ければよ L、。
図面の簡単な説明
第 1図は、 各種の光触媒フィルタの構成を示す説明図である。
第 2図は、 本発明をディーゼルパティキユレ一卜フィルタに適用した排気浄ィ匕 装置を示す説明図である。
第 3図は、本実施の形態例による光触媒フィルタを示す説明図であって、 (a ) は基本ユニットの構成図、 (b ) は基本フィルタの構成図である。
第 4図は、 本発明の実施の形態例による光触媒ファイバを示す説明図である。 第 5図は、 光触媒繊維体の表面に突起を形成した例を示す図である。
第 6図は、 光触媒繊維体を波形状に形成した例を示す図である。
第 7図は、 光触媒繊維体を先にいくにしたがって次第に曲率が大きくなる曲線 形状に形成した例を示す図である。
第 8図は、 本発明の光触媒フィルタ装置の 1態様を示す図である。
第 9図は、 本発明の光触媒フィルタ装置の 1態様を示す図である。
第 1 0図は、 本発明の光触媒フィルタ装置の 1態様を示す図である。
第 1 1図は、 本発明の光触媒フィルタ装置の 1態様を示す図である。
第 1 2図は、 本発明の実施例にかかる光触媒装置の構成を示す図である。
第〗 3図は、 光触媒を担持した繊維体の組成等を表にして示す図である。
第 1 4図は、 本発明の実施の形態に係るフィルタ装置の模式斜視図である。 第 1 5図は、 本発明の実施例である D P Fの模式斜視図である。
第 1 6図は、 実施の形態に係る D P Fを構成するフィルタの 1つであって、 ガ ラスファイノくを束状に編んだ構造体の説明図である。
第] 7図は、 実施の形態に係る D P Fを構成するフィルタの 1つであって、 ス ぺーサを形成して、 ガラスファ を束状に編んだ構造体の説明図である。
第 1 8図は、 実施の形態に係る D P Fを構成するフィルタの 1つであって、 中 心部を中空にするようにガラス、 金属、 セラミックス、 あるいは結晶で支持部を 作り、 その周囲にガラスファイバを束状に編んだ構造体の説明図である。
第 1 9図は、 実施の形態に係る D P Fを構成するフィルタの 1つであって、 網 目状に編んだガラスフアイ くを構造ィ匕した構造体の説明図である。
第 2 0図は、 実施の形態に係る D P Fを構成するフィルタの 1つであって、 流 路に対して層状にガラスファイバによるフィルタを構造化した構造体の説明図で ある。
第 2 1図は、 実施の形態に係る D P Fを構成するフィルタの 1つであって、 ガ ラスファイバを巻き上げたキヤンドル状の構造体の説明図である。
第 2 2図は、 実施の形態に係る D P Fを構成するフィルタの 1つであって、 キ ヤンドルの中心部を中空にするように、 ガラス、 金属、 セラミックスあるいは結 晶で支持部を作り、 その周囲にファイバを巻き上げた構造体の説明図である。 第 2 3図は、 本発明の一実施例に係るフィルタ装置を示す図であり、 図 (a ) は正面図、 図 (b ) は図 (a ) の縦断面図である。
第 2 4図は、 本発明の他の実施例に係るフィルタ装置を示す図であり、 図 (a ) は斜視図、 図 (b ) は図 (a ) の縦断面図である。
第 2 5図は、 本発明の他の実施例に係るフィルタ装置を示す図であり、 図 (a ) は平面図、 図 (b ) は図 (a ) の横断面図、 図 (c ) は基板の平面図である。 第 2 6図は、 光触媒担持用ガラス材の組成等を表にして示す図である。
第 2 7図は、 本発明の実施例に係る紫外線殺菌装置の説明図であり、 図 (a ) は平面図、 図 (b ) は図 (a ) の X— X線での断面図である。
発明を実施するための最良の形態
以下に本発明の実施の形態を説明する。 第 1図は各種の光触媒フィル夕の構成 を示す説明図である。
( a ) は光ファイバのコアに相当する導光体 1の表面に、 クラッドに相当する 光触媒 2を担持したファイバ状のもの (以下、 これを光触媒ファイバ又は繊維体 という) 、 (b ) はハニカム状に成形した導光体 3の表面に光触媒 2を担持した もの、 (c ) は光触媒ファイバ 4を網目状に編んでつくったもの、 (d ) は光触 媒ファイバ 5を綿状のかたまりとしたもの、 (e ) は表面に光触媒 2を担持した シート状の導光体 6を層状に重ねたもの、 (f ) は光触媒ファイバ 7で織った布 状のもの、 (g ) は光触媒ファイバ 7を平行に束ねたもの、 (h ) は光触媒ファ ィバ 7を束ねてその中心部に円の空隙部を形成させ、 この空隙部から被濾過物の 流体を導入するようにしたものである。
なお、 光触媒ファイバを形成するには、 公知の光ファイバ製造技術が転用でき、 またシート状導光体は公知のガラス板製造方法を利用できる。 また、 導光体をハ 二カム状に形成するには、 原料のガラス等を粒状にしてハニカム状に圧粉成形し たり、 中空の導光体をハニカム状に加工成形したりすればよい。
光触媒には T i 02 に代表される半導体を用いることができる。 また、 導光体 の材料としてはガラス、 セラミックス、 プラスチックスまたは結晶がある力 特 にガラスが好ましい。 ガラスは、 紫外透過がよく、 アルカリ量が少なく、 耐失透 性のよい材料が好ましい。
上述した導光体 1、 3、 6ないし光触媒ファイバ 4、 5、 7の端部が光を入射 する入射部となり、 この入射部に光触媒の活性に必要な光源 (図示略) からの光、 例えば可視紫外光が入射するようになっている。
導光体 1、 3、 6は光触媒 2の活性に必要な光に対して透明であり、 光触媒 2 の活性に必要な光を導くと共に、 その光の一部を導光体表面より出射させる。 し たがって、 導光体 1、 3、 6は光触媒 2の支持体であると共に、 光触媒反応を起 こさせる光を通す導波路でもある。
上述した光触媒フィルタと光源とから光触媒フィルタ装置を形成し、 これを浄 化の必要な環境中に配置する。 すると、 導光体に導かれた光源からの光は導光体
- 表面より出て、 空間や介在物を経由することなく、 直接光触媒 2に照射される。 光の照射された光触媒 2は、 光触媒反応を起こして、 その表面に強い酸化力と還 元力を生じ、 光触媒に捕集された環境中の物質を分解して除去する。
分解除去できるガス中の捕集可能な物質としては、 フューム、 ダスト、 大 S、 たばこの煙、 粉塵、 ビールス、 バクテリア等がある。 また、 ガス中の匂い、 有害 ガスも除去することができる。 また、 溶液中に含まれる物質としては汚泥、 有機 物、 トリハロメタンなどがある。
以上述べたように本実施の形態によれば、 光触媒は、 光触媒から離れた外部か らではなく、 光触媒の支持体である導光体の内部から直接光を受け取り、 光触媒 作用を発現させている。 したがって、 ほこり、 ちりまたは汚泥等でフィルタが覆 われても、 光触媒に光を照射できるため、 触媒機能が低下することがなく、 真つ 黒な廃液処理においても浄化が可能となる。 また、 導光体を介して光触媒に光を 到達させるため、 外部から照射する場合に比較して、 光源からの光エネルギのほ とんどを有効に光触媒に照射できるから、 強い紫外線を必要とせず、 光源が大掛 かりになることもない。
また、 光触媒を薄い厚さで導光体の表面に担持すれば、 全ての光触媒に光を当 てることができるので、 システムの設計力《単純かつ容易となる。 また導光体を引 き回すだけで光源の確保と光の照射を確保できるので、 フィルタ装置構造の単純 化が実現できる。
次に本発明の光触媒フィルタをディーゼルパティキュレートフィルタ (D P F ) に適用した具体例について説明する。
ディーゼルエンジンの排気ガス中には、 黒煙、 未燃炭化水素及び潤滑油からな る固体粒状物 (パティキユレ一ト) が含まれている。 このパティキユレ一卜は、 燃料中の炭化水素の不完全燃焼によって発生するものであるが、 排気ガス中に存 在すると黒色煙状となるため、 そのまま大気中に大量に放出することは環境上好 ましくない。 そのため、 排気ガス中のパティキユレ一トを除去または最小限にす るために、 パティキュレートを適切なフィルタによって捕集することが行われて いる。 これを上述した光触媒フィルタによって行おうとするのが、 本実施の形態 例である。
第 2図に示されるように、 本実施の形態例の光触媒フィルタ 1 0はディ一ゼル エンジン 8の排気口後方の排気管 9の途中に配置される。
排気管 9に配置される光触媒フィルタ 1 0は、 基本ュニッ 卜の組合わせから構 成され、 この基本ュニッ卜は、 第 3図 (a ) のように、 所定長さに切り揃え、 す だれ状に並べた複数本の光触媒フアイバ 1 1と、複数本の光触媒ファイノく' 1 1の 一端を保持する保持具 1 2と、 保持された光触媒ファイバ 1 1の一端から光触媒 の活性に必要な光を入射させる光源 1 3と力、ら構成される。
この基本ュニットを 2個、 第 3図 (b ) のように、 9 0 ° または適当に回転さ せて、 光触媒ファイバ 1 1同士ですだれ格子が形成されるように配置したものが 基本フィルタとなる。 表面積を増加させて捕集率をアップさせるために、 この基 本フィルタを 1個または 2個以上を用いて D P Fを構成する。
光触媒ファイバ 1 1を構成する導光体には、 高温度 ( 1 0 0〜7 0 0で) の排 気ガスに耐えるアルミノシリケ一卜ガラス (ガラス転移点 5 0 0〜8 0 0 ) 、 または石英ガラス (ガラス転移点約 1 1 0 0 °C) を使用する。 光触媒ファイバの ファイバ径は 1〃m〜l 0 μ ιη程度である。 光触媒には代表的な T i 02 を使用 する。 光源 1 3には T i 02 を励起できる可視紫外光であって、 人体に無害な 3 0 Ο ηπ!〜 4 0 O nmの連続光を出力する紫外線ランプを使用する。
光源 1 3は排気管 9の外に設置することになる力 その場合、 光源 1 3は必ず しも光触媒ファイバ 1 1の近傍に置けない場合がある。 その場合、 導光体を光源 位置から排気管 9内の光触媒ファイバ 1 1に引き回す必要があるが、 その引き回 し途中で光が漏れると具合が悪い。 そこで引き回し途中の光触媒フィル夕の構成 は、 導光体の外側に導光体よりも屈折率の低いクラッドを被覆して、 ちょうどコ ァとクラッドからなる通常の光ファイバ構造とする。 このような構成にすると光 源位置の制約を受けな t、ので、 システム設計が容易になる。
もっとも、 光触媒の活性に必要な光については外部に漏れやすい構造の光ファ ィバ (コアとクラッドからなる) を採用すれば、 光ファイバがそのまま使用でき、 しかもその光フアイ くの所定位置に光触媒を担持させるだけで光触媒フィルタが 構成できるので、 システム設計が一層容易になる。
上述した光触媒ファイバ 1 1は例えば次のように製造することができる。 高純
• 度原料を使用したアルミノシリケ一卜ガラスを白金るつぼで溶融し、 この溶融ガ ラスをプッシング法でファイバ状に成形する。 そしてファイバガラスに T i 02 膜をゾルゲル法で被覆する。 このとき密着強度増強剤を添加して導光体表面に対 する T i 02 膜の密着強度を高めると、 T i 02 膜が有する保護機能を一層向上 させることができる。 膜厚は 0. 5;/ mになるように調整する。 製造された光触媒 ファィバ構造は第 4図のようになる。
ところで、 T i 02 膜の可視紫外域での屈折率は 2. 1〜2 . 6であり、 アル ミノシリケ一卜ガラスは 1 . 5前後であり、 クラッドに相当する T i 02 膜の方 力 <屈折率が高い。 したがって、 光源から光触媒ファイバ 1 1に入射した光は、 導 光体 1の表面より漏れ出て、 直接光触媒 2に照射される。 導光体表面の光の漏れ を増大するために、 導光体を曲げるとさらに効果的である。
以上述べたように D P Fに光触媒フィルタを使用すると、 触媒機能が高く、 排 気ガス中の黒煙、 未燃燃料及び潤滑油を高効率で捕集することができ、 黒煙量が 減少する。 また、 光照射により捕集した黒煙が T i 02 の酸化作用により分解で きるので、 目詰り力くなくなる。 このため従来の D P Fで必須とされる再使用のた めの燃焼が不要となるため、 単純で安価な機構とすることができ、 長寿命でメン テナンスフリ一を実現できる。 さらに、 ガラス製であるため、 ディーゼル排気の 高温に耐えることができる。
なお、 浄化作用を高めるために温度を上げたり、 触媒反応を増大させるために 白金など他の触媒と共存させたり、 捕集効率を上げるためにゼォライト、 活性炭 等と共存させたり、 組合わせるュニッ卜の光触媒ファイバ径に差をつけて、 粗フ イルク、 高精度フィル夕としたり、 光密度を上げたり、 さらには光触媒フィルタ を多段階に配置したりすれば、 一層効果的である。
また、 上述した実施の形態例では光触媒フィルタ装置をディ一ゼルエンジンの 排気ガスに含まれるパティキユレ一卜を除去するお気浄化装置に適用した力 本 発明はその他のガス処理フィルタ (例えばクリーンルーム用エアフィルタ、 空気 清浄機)、溶液処理フィルタ (水や海水浄化用フィルタ) 等の環境問題にも適用 できる。
なお、 導光体はガラスのみで構成する他に、 ガラス、 セラミックス、 プラスチ
I
- ックスまたは結晶の複合物としてもよい。
本実施の形態によれば、 光触媒を担持した導光体の内部から光触媒に光を直接 照射するという簡単な構造で、 従来の光触媒から少し離れた外部から光触媒に光 を照射する場合に比較して、 光の照射を効率よく行うことができ、 光触媒反応を 増大することができる。 また、 光触媒と光出射部となる導光体表面との間に空間 や介在物がないので、 光触媒と接触する流体が真つ黒な場合でも光を光触媒に到 達させることができる。
特に、 光触媒フィルタを、 光ファイバのコア露出部に光触媒を担持するように して構成した場合には、 光触媒フィルタの引き回しも、 光源の確保も一層容易に なる。
また、 光触媒の屈折率を導光体よりも高くした場合には、 導光体からの光の漏 れを大きくすることができるので、 光触媒反応を一層増大することができる。 さらに、 光触媒フィルタ装置を流 理方法に用いると、処理物質を分解でき るので、 メンテナンスフリーとなり、 長寿命化が実現できる。
次に本発明の第 2の実施の形態につ L、て説明する。
第 2の実施の形態に係る光触媒フィルタ装置は、 光触媒にその活性に必要な光 が照射されると、 光触媒反応を起こして、 その表面に強い酸ィ匕力と還元力を生じ、 光触媒と接触する物質を分解して除去する作用を利用するフィルタであって、 該 被捕捉物および Zまたは該光触媒を加熱する加熱機構を備える光触媒フィルタ装 置を提供するものである。
本実施の形態の第 1の特徴は、 光触媒による光分解反応を利用する光触媒フィ ルタ装置について、 光触媒反応時の温度を上げることにより、 光分解反応を促進 することにある。 すなわち、 ァレニウス (S. A. A r r h e n i u s ) により 示された下式 ( 1 ) により、 反応速度は、 反応温度が高いほど大きくなることが 知られている。
k = A · e— … (1 )
(但し、 式中、 kは反応定数、 Aは頻度因子、 Eは活性ィ匕エネルギ、 Rは気体定 数、 Tは反応温度を表す。 )
従って、 本実施の形態は、 フィルタおよび Zまたは被捕捉物を加熱することに
より反応温度を上げ、 光分解反応を促進させる作用を奏させるものである (以下、 この作用を 「光分解促進作用」 という) 。
本実施の形態において、 光触媒は特に限定されるものではないが、 例えば、 チ タン酸化物およびその化合物、 鉄酸化物およびその化合物、 亜鉛酸化物およびそ の化合物、 ルテニウム酸化物およびその化合物、 セリウム酸化物およびその化合 物、 タングステンおよびその化合物、 モリブデン酸化物およびその化合物、 カド ミゥムおよびその化合物、 ストロンチウム酸化物およびその化合物の群から選ば れる 1種または 2種以上の化合物を用いることができる。
また、 光触媒には触媒活性層増強、 密着強度増強、 安定性増強、 または光反応 増強等の作用のある添加物を加えたり、 アンダーコートとして使用できる。 添加 物としては、 C r、 A g、 C u、 A u、 P t、 R u、 P d、 R h、 S n、 S i、 I n、 P b、 A s、 S b、 P等の金属、 またはそれらの酸化物または化合物が使 用できる。 また、 密着強度増強のために、添加物を加える代わりに触媒層の下地 層として C r、 I n、 S n、 S i、 P等を設けてもよい。
光触媒は、 フィルタ材に均一に含有させてもよいが、 導光体からなるフィルタ 材の表面に担持させることが好ましい。 後者によると、 導光体に導かれた光が導 光体表面より出て、 光触媒に直接照射することができるため、 光分解作用が向上 する。
光触媒の担持方法としては、 ゾルゲル法、 パエロゾル法、 ゥォッシュ ·コート 法、 蒸着法、 スパッタ法、 熱分解法、 金属酸化法等を採用することができ、 1種 または 2種以上用いることができる。 導光体表面に光触媒を担持させる場合には、
I nn!〜 l mmの膜厚に被覆することが好ましい。
光触媒は、 その活性に必要な光に対し透明であることが好ましいが、 不透明で あってもよい。 不透明の場合は、 導光体の表面に、 光触媒を島状に多数担持して、 光触媒の担持されていない部分の導光体表面からでた光が不透明な光触媒の周囲 を包み込むようにすればよい。
光源波長としては、 光触媒が T i 02 である場合には、 これを励起できる 2 0
0 - 5 0 0 rimの紫外域が好ましく、 光源としては、 これを連続光として出力する 水銀ランプ、 紫外線ランプが使用できる。
1ϋ
- 光源からの光は一方向または二方向以上から導光体に入射することができる力 フィルタ素材が長繊維からなる場合には、 長繊維の端部から光を入射することに より、 長繊維を通じて全ての光角虫媒に光を到達させることができるため、 光触媒 は、 光触媒の支持体である導光体の内部から直接光を受け取り、 光触媒作用を発 現させることができる。
本実施の形態で用いられるフィルタの素材は目的に応じて適宜選択することが できるが、 後述する加熱温度で分解、 溶融、 又は軟化せず、 かつ、 光触媒と反応 しない導光体であることが好ましい。 このような素材としては、 ガラス、 セラミ ックス、 結晶、 金属、 ブラスチックスなどが挙げられる。
さらに、 本実施の形態の光触媒フィルタ装置の素材は、 光触媒活性を下げない 素材であることがより好ましい。 光触媒活性を下げない素材としては、 光触媒中 への不純物の拡散がなく光触媒活性を劣化させないとともに、 光触媒薄膜を形成 しゃすく、 化学的耐久性や透明性等に優れ、 加工が容易なものが挙げられる。 このような素材としては、 例えば、 重量%表示で、 S i 02 を 30〜80%、 アルカリ成分の含有量が 0〜 10%である、 低アルカリのゲイ酸塩ガラス、 アル ミノゲイ酸塩ガラス、 ホウゲイ酸塩ガラス、 又は無アルカリガラス力 <挙げられる。 中でも、 S i 02 を 30〜 80%、 A 12 03 を 1〜35%、 B2 03 を 0〜3 0%、 80を0〜20%、 CaOを 0~20%、 S rOを 0〜20%、 B a 0 を 0〜40%、 ZnOを 0〜20%、 L i 2 0を 0〜10%、 N a 2 0を 0〜: 1 0 %、 K2 0を 0〜; 10%、 C s 2 0を 0〜10%、 L i 2 0 + Na2 0 + K2 O + C s 2 0を 0〜: 10%、 MgO + CaO+S rO+BaO + ZnO + L i2 0 + Na2 0 + K2 O + C s 2 0を 0.1〜65%であるガラス材は、 光触媒活性 を低下させない素材として好ましい。
各成分の限定理由は後述する。
また、 上述した光触媒活性を低下させないガラス素材は、 上述した成分の他に、 上述した特性を損なわない範囲で、 PbO、 Z r02、 T i 02 、 As 2 03 、
S b 3 03、 Sn02、 L a 2 03、 P2 05、 W03、 B i2 03 、 Ta2 0
5、 Nb 2 05、 Gd 2 03 および Fなどの成分を、 耐失透性、 溶融性、 化学的 耐久性などの改善や、 清澄剤などの目的で添加することができる。
このようなガラス材は、 その製造方法は特に制限されないが、 例えば、 上記成 分のバッチ原料を白金るつぼ等の耐熱容器に入れ、 1 2 0 0〜 1 6 5 0でで 2〜 4時間程度加熱溶融し、 この溶融ガラスを攪拌により均質化し、 清澄を行った後、 铸型に流し込んで徐冷することにより製造できる。
ガラス材に用いるガラス原料は、 いずれの成分についても、 ガラス原料として 通常使用される水酸化物、 炭酸塩、 硝酸塩、 硫化物、 酸化物、 窒化物などを適宜 用いることができる。
本実施の形態において、 光触媒フィルタ装置を構成するフィルタの構造体は第 1図に示されるものと同様である。
光触媒繊維体を波形にしたり、 表面に突起を形成したりする技術は、 各種分野 で各種技術が知られており、 これらを利用すればよ 、。
なお、 光触媒ファイバを形成するには、 公知の光繊維体製造技術が転用でき、 またシート状導光体は公知のガラス板製造方法を利用できる。 また、 導光体をハ 二カム状に形成するには、 原料のガラス等を粒状にしてハニカム状に圧粉成形し たり、 中空の導光体をハニカム状に加工成形したりすればよい。
次に、 本実施の形態の第 2の特徴は、 被捕捉物を加熱することで、 被捕捉物を 熱分解し、 またはガス化して、 フィルタから除去することにある。 すなわち、 光 触媒作用による光分解すること力《可能なものとしては、 フユ一ム、 ダス卜、 大気 塵、 タノくコの煙、 粉塵、 ビールス、 バクテリア、 有害ガス、 汚泥、 卜リハロメタ ンなどの分解が可能である。 同時に、 これらは、 高温に加熱されると熱分解し、 または、 酸素等の雰囲気と反応してガス化する物質でもあることから、 本発明は、 これら被捕捉物が熱分解またはガス化する温度に加熱して (以下、 熱分解または ガス化のことを 「熱反応」 という) 、 被捕捉物の熱分解反応を発現する作用 (以 下、 「熱反応発現作用」 という) を奏させようというものである。 なお、 ここで いう熱反応とは、 加熱により有機物が一旦、 炭化したのち、 熱分解またはガス化 することも含むものである。 加熱は、 光触媒フィルタ装置に備えた加熱手段によ り行う。
加熱手段としては、 特に限定されず、 たとえば、 ヒータ加熱、 燃焼加熱、 反応 熱加熱、 マイクロ波加熱、 熱線加熱、 ランプ加熱、 抵抗加熱など、 一般的な加熱
X2.
手段が挙げられる。 加熱手段は、 フィルタに接続してフィルタを直接加熱するよ うにしても、 水などの液体や大気や酸素などの気体の媒体 (以下単に 「媒体」 と いう) を通して加熱するように配置してもよい。
加熱温度は、 フィルタ力 光触媒フィルタ装置としての機能を失わない範囲の 温度であることが必要である。 すなわち、 加熱温度は、 フィルタ材がフィル夕と しての機能を失わない温度であって、 力、つ、 フィルタに担持した光触媒が熱分解 または媒体との反応によりガス化するなどしてフィルタから失われたり、 劣化し たりすることのな 、温度である必要がある。
フィルタ材がフィル夕としての機能を失わない温度としては、 加熱温度は、 フ ィルタ材が媒体と反応しない温度であって、 かつ、 フィルタ材の素材がガラスの 場合はそのガラス転移点以下であり、 セラミックスの場合はその分解点以下であ り、 結晶またはプラスチックスの場合はその結晶の融点および分解点のいずれか 低い方の温度以下であり、 金属にあっては融点以下であることが必要である。 加 熱温度がかかる温度を超えると、 フィルタの溶融、 変形、 消失など力起きて、 フ ィルタ材がフィルタとしての機能を失ってしまう。 具体的には、加熱温度として は、 5 0〜6 5 0でであり、 特に好ましくは 3 5 0〜 5 0 0でである。 加熱温度 が 5 0 未満であると、 前記した光分解反応促進作用の発現の度合いが小さすぎ て加熱しない場合との実用上の差がなく、 一方、 6 5 0 °Cを超えると、 被捕捉物 等が燃焼反応を起こして温度コントロールが効かなくなるおそれがある。 ここで、 加熱温度とは、 加熱されることにより、 フィルタまたは被捕捉物が達する最高温 度をいう。 加熱温度は、 上記温度の範囲において適宜選択することができるが、 熱反応発現作用を奏させる観点からは、 被捕捉物の熱反応開始温度以上であるこ とが必要である。 被捕捉物の熱反応開始温度を下げるために、 媒体に酸素などを 含有させてガス化を促すことが好ましく、 また、 光触媒も触媒という点から熱反 応開始温度を下げる効果をもっている。
光分解反応促進作用は、 光触媒に光を照射している間において加熱することに より奏されるのに対し、 熱反応発現作用は、 フィル夕に被捕捉物が捕捉されてい れば奏されるものである。 従って、 加熱の時期としては、 被捕捉物が捕捉されて いる間、 適宜選択することができる。
>3
本実施の形態に係る光触媒フィルタ装置は、 各種の加熱方法を適用して、 メン テナンスフリ一の光触媒フィルタ装置を構成できる。
第 8図〜第 1 1図は本発明の光触媒フィルタ装置の各種の態様を示す図である。 第 8図に示される例は、 第 1図 (e ) に示した光触媒シ一卜 6の積層体の各シ —卜の間に加熱用ヒ一夕 1 5をめぐらしたものである。
第 9図に示される例は、 被濾過物の流路 1 8に、 順次、 ヒータ 1 5及び光触媒 フィルタ部 2 0を配置したものである。
第 1 0図に示される例は、 被濾過物である混濁液 1 6が入った容器 1 7に、 光 触媒フィルタ部 2 0、 ヒータ 1 5、 攪拌棒 1 9を設置して、 混濁液 1 6が光触媒 フィルタ部 2 0を通過するように撹枠し、 かつヒータで混濁液 1 6を加熱するよ うにしたものである。
第 1 〗図に示される例は、 第 1 0図に示される例において、 加熱手段として、 ヒータ 1 5を用いる代わりにバ一ナ 2 1を用いたものである。
上述の通り、本実施の形態の^ 媒フィルタ装置は、 光触媒による光分解反応 を させ、 さらに、 被捕捉物を熱分解またはガス化することができる構成を有 している。 このため、 本発明の光触媒フィルタ装置は、 大容量の被捕捉物を処理 することが可能である。 従って、 本発明の光触媒フィルタ装置を、 ¾^媒作用を 奏するための光を照射する光源を組み合わせた ¾)¾媒フィルタ装置は、 被捕捉物 が多量であるフィルタや、 光触媒による光分解のみでは処理しきれない用途のフ ィルタ装置、 例えば、 ディーゼルエンジンの排ガスに含まれる黒煙、 未燃炭化水 素および潤滑油からなる固体粒伏物 (パティキユレ一卜) を除去する排気浄化装 置 (D P F ) に用いても充分にその効果を発揮する。
また、 本実施の形態の光触媒フィルタ装置は、 上述したように被捕捉物の除去 能力が大きく、 また、 光触媒に光を照射する光源と、 熱反応を発現させる加熱手 段を備えているうえ、 被捕捉物の除去能力が大きいため、 メンテナンスが不要な フィルタ装置となる。 このため、 本発明の光触媒フィルタ装置を流体の濾過に用 いる方法によると、 被濾過物が次々に流入する用途においても、 被捕捉物除去の ために濾過作業を中断する必要はない。 従って、 クリーンルーム用エアフィルタ、 空気洗浄機等のガス処理フィルタ、 または、 水や海水浄化用フィルタ等の溶液処
理フィルタなどの流体、 特に循環する流体の濾過に用いると、 メンテナンスを行 わなくても、 半永久的に濾過が可能である。
以下、 実施例に基づき、 本発明の第 2の実施の形態をさらに詳細に説明する。 本実施例は、 第 2の実施の形態に係る光触媒フィルタ装置を D P Fに用いた例 である。
第 1 2図に示したように、 本実施例の光触媒フィルタ装置は、 ディーゼルェン ジン 2 2の排気口後方の排気管 1 8 a内にフィルタ部 2 0 aを配置し、 このフィ ル夕部 2 0 aに加熱用ヒータ 5 1を設け、 かつ、 フィルタ部 2 0 aに光角虫媒を活 性化させる光を照射する光照射装置 1 3 aを設けたものである。
フィルタ部 2 0 aは、 第 1 3図に表にして示した組成からなるガラスを、 直径 が 5 mの長繊維に加工し、 この長繊維を製織してディーゼルエンジンの排気微 粒子を捕捉できるように、 第 1図 (e ) に示されるシート状のフィルタとし、 こ のフィルタの表面に、 T i 02 を塗布したものである。 なお、 このフィルタ部 2 0 aとしては、 導光性繊維状体の表面に光触媒を形成した光触媒繊維体を束ねた ものを用い、 その束ねた一端部を外部に導いて、 そこから光を供給するようにし てもよい。 また、 その場合には、 外部に配置される部分については、 光の洩れを 防ぐ意味でその外部の部分のみを光ファィ,〈に形成してもよい。
また、 フィルタ部 2 0 aとしては、 第 1図 (h ) に示される構造のものを用い てもよい。 第 1図 (h ) に示される構造のフィルタを用いる場合には、 排気を開 口部から導入するようにし、 収束部において導光性繊維状体の表面に光触媒を担 持させずにクラッド材で形成して光ファイバに形成する。 そして、 この収束部を 外部に取り出してそこから励起光を供給するようにすればよレ、。
加熱用ヒータ 5 1は、 フィルタ部 2 0 a全体を十分加熱できるように周囲に巻 き付けたものである。 このヒータ 5 1としては被濾過流体の流通や光照射を阻害 することなくフィルタ部 2 0 aを必要なだけ加熱できるものであつて耐久†生等を 有するものであればよい。
光旭射装置 1 3 aは、 図示しない紫外線ランプからの光を光ファイババンドル によって導いてその出射端部の面積をフィルタ部 2 0 a全体を照射できるように 大きく形成したものである。 この光照射装置 1 3 aとしては、 フィルタ部 2 0 a ス
- 全体に光を十分に照射できるものであれば他の方式のものであってもよいことは 勿論である。
上述の装置において、 ディーゼルエンジン 2 2を駆動して 0. 0 1 g / sオーダ の排出速度で排気微粒子を排出させた。 駆動開始と同時に、 フィルタへの光の照 射と、 フィルタに巻き付けたヒータ線の加熱を開始し、 光触媒フィルタ部 2 0 a および排気微粒子が第 1 3図の表の実験加熱温度になるようにしてその温度をェ ンジンが停止するまで維持した。 なお、 この場合にはヒータ線による加熱と、 排 気ガスの熱による加熱力く加熱手段として利用されている。 光源としては、 3 0 0 〜4 0 O nmの連続光を出す紫外線ランプを使用した。 エンジン駆動停止後、 フィ ルタを検査したところ、 フィルタには排気微粒子はほとんど付着しておらず、 こ の光触媒フィルタ装置は 0. 0 1 g Z sオーダ以上の速度で捕捉した排気微粒子を 除去できたことがわかった。
なお、 光源から実際に濾過作用を行なわせる部位までの距離を長くする必要の ある場合には、 第 3図に示す光触媒繊維体 1 1として、 この濾過作用を行なわせ る部位にあたる部位のみ導光性繊維の表面に光触媒を形成し、 そのほかの部位は 導光性繊維の表面に該導光性繊維をコアとした場合にクラッドになる材料を形成 して光ファイバを構成するようにする。 これにより、 光源からの光を途中で洩ら すことなく 虫媒に有効に導くことができる。
光触媒繊維体 1 1は、 高純度原料を使用したアルミノシリケ一卜ガラスを白金 るつぼで溶融し、 この溶融ガラスをプッシング法で繊維体状に成形し、 繊維体ガ ラスに T i 02 膜をゾルゲル法で被覆して製造した。 T i 02 の膜厚は、 0. 5 mになるように調整した。
ここで、 T i 02 膜の可視紫外域での屈折率は 2. :!〜 2 . 6であり、 アルミ ノシリケ一トガラスは 1 . 5前後であるから、 クラッドに相当する部分の方がコ ァに相当する部分よりも屈折率の高い繊維体となった。
このような構成の光触媒フィルタ部 2 0 aを、 上述の第 1 1図に示される光触 媒フィルタ部 2 0 aの代わりに用いて D P F装置を製作し、 この D P F装置を用 いて、 ディーゼルエンジン駆動開始時から、 光触媒に光を照射するとともに、 フ イルクにかませたヒータ線の加熱を開始し、 光触媒フィルタ部 2 0 aおよび排気
-微粒子が第 1 3図の表の実 熱温度になるようにしてその温度をェンジンが停 止するまで維持した。 エンジン駆動停止後、 フィルタを検査したところ、 フィル 夕には排気微粒子はほとんど付着しておらず、 この D P Fは 0. 0 1 g Z sオーダ 以上の速度で捕捉した排気微粒子を除去できたことがわかつた。
なお、 以上の実施例は、 本実施の形態の光触媒フィルタ装置を D P Fに適用し た例であるが、 光触媒フィルタ装置を構成するフィルタとして第 1図 (c ) に示 されるような光触媒繊維体 4を編んで網目状の構造体に形成したもの、 あるいは、 第 1図 (d ) に示されるような光触媒繊維体 5を綿状に形成したもの等を用いて、 例えば「減菌処理装置」 や「汚泥や卜リハロメタン等の除去装置」等を構成する こともできる。 この場合には、 従来の加熱しない装置の処理能力を遙かに凌駕す る能力を有する装置を得ることができ、 し力、も、 菌の死骸等を除去する洗浄能力 も遙かに勝れたものとすることができる。
以上説明した実施例の光触媒フィル夕装置は、 反応温度を上げて光触媒による 光分解反応を促進させたため、 この光触媒フィルタ装置は、 光導入量を上げるだ けの従来の方式よりも、 光触媒作用が顕著に向上して、 被捕捉物の除去量が増大 する。 また、 本実施の形態の光触媒フィルタ装置は、 フィルタの被捕捉物を、 熱 分解またはガス化して除去することができる。 従って、 光分解を促進するととも に、 熱分解反応を発現させた場合には、 多量の被捕捉物の除去が可能である。 ま た、 本実施の形態の光触媒フィルタ装置は、 被捕捉物がフィルタに捕捉された状 態で、 上記光分解促進作用と熱反応発現作用の両方を奏するように構成したため、 フィルタで被捕捉物を捕捉しながら、 多量の被捕捉物を除去することが可能で、 メンテナンスフリーが実現できる。 このように、 本実施の形態の光触媒フィルタ 装置はメンテナンスフリ一を実現することができるため、 本実施の形態の光触媒 フィルタ装置を用いた流体被濾過物処理方法によると、 従来のフィルタのように、 被捕捉物を除去するために濾過工程を中断する必要がないため、 被濾過物が流体 として次々に流入しても半永久的な処理が可能である。
次に本発明の第 3の実施の形態について説明する。
第 1 9図は本発明の第 3の実施の形態に係るフィルタ装置 1 0 0の説明図であ る。 以下、 第 1 3図を参照しながら本発明の第 3の実施の形態を説明する。
7
本実施形態に係るフィルタ装置は、 多数の長繊維状体 7が束ね合わされてなる 集合体をフィルタ材として構成されるものである。 このフィルタ材を構成する長 繊維状体 7の素材は、 例えば、 ガラス、 セラミックス、 ガラスセラミックス、 金 属、 プラスチックス、 結晶など、 フィルタの素材として用いることのできる導光 体であれば、 特に限定されることはない。
長繊維状体 7の直径は、 適宜選択できるが、 1〜2 0 0 が好ましい。 直径 力 1 i m未満であると、 繊維自体の強度が不足するとともに、 端面から光を導入 する場合、 その効率も悪い。 一方、 例えば、 2 0 0 / mを超えると、 フィルタ力く 占める体積に比してフィルタ機能を担う表面積の割合が著しく小さくなるので実 用的でなくなる。
長繊維状体 7の長さ、 本数は、 特に限定されるものではなく、 目的に応じて適 宜選択することができる。 また、 長繊維状体 7の長さは、 全部をほぼ同一の長さ としても、 必要に応じて変えてもよい。
本実施形態に係るフィルタ装置は、 多数の長繊維状体 7をもって、 一端が被濾 過物の流入口としての開口部 3 0を形成し、 他端が束ね合わされた収束部 3 1を 形成する。 従って、 本実施形態に係るフィルタ装置では、 開口部 3 0から収束部 3 1にかけて形成される空隙部 3 2 (以下、 単に 「空隙部」 ということがある) を包囲する部分が、 濾過作用を奏する部分である濾過部 3 3を構成する。
フィルタ装置を構成するフィルタ材の構造を、 上記のようにすることにより、 濾過部 3 3の濾過面積を大きくすることができる。 また、 被濾過流体の流路であ る空隙部 3 2を、 その奥 (先端部) に行くに従って徐々に狭まる形伏にすると、 流入した流体の圧力減少がある程度補われ、 瀘過部 3 3の内周面の各位置間の圧 力差が/」、さくなるため、 捕集の偏り力锾和されるという作用効果が奏される。 長繊維状体 7を束ね合わせる方法としては、 保持具 1 2等で締めつけたり、 接 着剤等で相互に接着させたり、 熱で融着させるなどの方法を用いることができる が、 これらの方法に限定されるものではない。
濾過部 3 3において長繊維状体 7は、 略直線形状となっていても、 湾曲形状と なっていてもよいが、 捕集効率の均質ィ匕の観点からは略直線形状がよい。 また、 収束部の長繊維伏体 7の中心軸方向に対する濾過部 3 3の長繊維状体 7の屈曲角
度 S (以下、 単に 「屈曲角度 」 という) は、 適宜選択することができる。 すな わち、 捕集効率最大となる^は圧力損失の大きさにより変わるが、 大きすぎる屈 曲角は光の必要以上の洩れにもつながり、 小さすぎる Sは装置の大型ィ匕につなが るので、 実際には 5〜 1 5 ° が好ましい。
また、 開口部 3 0の形状は、 円形、 楕円形、 多角形等、 どのような形状でもよ い。 開口部 3 0を円形とすると、 濾過部がほぼ円錐形の側壁形状となるため、 よ り捕集効率がよいものとなる。 また、 開口部を星形、 特に多角の星形とすること により、 濾過部の表面積を大きくし、 圧力損失を小さくすることもできる。 開口 部は、 必ずしも一つである必要はない。
前記開口部 3 0を有する空隙部 3 2を形成させる方法としては、 長繊維状体 7 を束ね合わせた集合体に骨格材、 例えば、 円維、 角錐の側壁形状の網状体や、 円 形、 多角形のリング状もしくは螺旋状の骨格材を揷入する方法が挙げられるが、 この方法に限定されるものではない。 すなわち、 長繊維伏体を束ね合わせた集合 体に、 開口部 3 0を設けることができ、 力、つ、 被據過物がフィルタ材を通過する のを著しく妨げない方法であれば、 本実施の形態のフィルタ装置に適用すること ができる。
ここで、 圧力損失が小さく、 力、つ、 フィルタ能力の高いフィルタの態様として は、 長繊維状体 7として、 直径が 1 0 0 // m禾號の比較的径の大きいファイバを 使用し、 濾過部における長繊維状体の空孔度を比較的大きくするとともに、 長繊 維状体の積層厚を大きくしたフィルタ、 直径が 7 0 以下の極細ファイバを使 用し、 開口部の断面を多角の星形にするなどして濾過部の表面積を大きくしたフ ィルタ等が挙げられる。
長繊維状体の直径は、 0. 1〜 1 5 0 mが好ましく、 さらに 0. 1〜: 1 0 0 z m が好ましく、 特に 1. 0〜3 0 yw mがより好ましい。 直径が 0. 1; 未満であると、 が困難であり、 ノヽンドリングもしずらくなる。 一方、 1 5 0 mを越えると、 繊維作製が困難であり、 フィルタとして捕集効率がおちるおそれがある。
長繊維状体の長さ、 本数は、 特に限定されるものではなく、 目的に応じて適宜 選択することができる。 また、 光触媒繊維体の長さは、 全部をほぼ同一の長さと しても、 必要に応じて変えてもよい。
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長繊維状体 7は、 第 5図に示されるように長手方向に波形状にすれば導光体か ら光触媒の直接照射の点で有利である。 また、 第 6図に示されるように導光体 1 の表面に突起 1 4を形成してその上に光触媒 2を担持した繊維状の構造体にすれ ばフィルタとしてなお好ましい。 さらに、 第 7図に示されるように先端にいくに したがって曲率半径が小さくなる曲線状に構成すれば光の漏れ量を長手方向に均
—にして光触媒の作用が均一になるようにできる。
このような光触媒繊維体を用いることで、 光触媒繊維体を単に束ねたり、 積層 させるだけで、 適度な空孔度を有するフィルタ材とすることができる他、 流体を 通しても空孔が変化せず、 適当な空孔度を長期にわたって維持することが可能と なる。 また、 紡績工程を経ずにフィルタ材として使用できるため、従来フィルタ 材を構成することが困難であった光触媒繊維体であっても、 使用可能となる。 さ らに、 濾過部の表面積力增大するため、 表面反応を利用して流体の浄化を行う場 合には、 その浄化効率を向上させることができる。
空孔度は、 波形や突起の大きさ、 ピッチ、 長繊維伏体の積層間隔等により任意 に変えることができる。
表面に突起が形成された長繊維状体では、 突起のピッチは、 特に限定されない が、繊維径の 2倍〜 2 0倍禾 、 好ましくは 3倍〜 1 0倍であることが好ましい。 繊維径が 2倍未満であると、 流路の縮小のための抵抗損失が大きい。 一方、 ピッ チが繊維径の 2 0倍を超える程度になると、 繊維どうしの間隔を保つのが難しく なってフィルタ効果が小さくなるおそれがある。 突起の直径は 0· 3〜1 0 0 z m 禾¾に選択するのが好ましい。
突起の形状としては、 例えば、 球状、 不定形、 棒状、 鱗片状、 繊維状、 多孔体 などが挙げられる。 突起の大きさは、 全て同等の大きさとしてもよいが、 捕集効 率の観点から、 入側の面では大きく、 出側の面に向かうにつれて小さくすること により捕集密度が分散され、 捕集効率およびフィルタの寿命を上げることができ る。 突起の分布密度は特に限定されず、 空孔度や、 圧力損失、 流体の圧力または 量、 フィルタ基材の強度、 径、 厚みや、 所望の捕集率などを考慮して必要に応じ、 適宜設計される。 突起の材質としては、 例えば、 セラミックス、 ガラス、 セラミ ックスガラス、 金属、 樹脂、 結晶等が挙げられる。 なお、 フィルタ材とその表面 o
- に形成する突起の材質は、 同一であってもよく、 異種の材料としてもよい。
なお、 長繊維状体 7として導光性のものを用いた場合に、 第 7図に示したよう に、 次第にその曲率半径力く小さくなるように (曲率が大きくなるように) 曲線状 に形成したものを用いれば、該長繊維状体の光の量が多い基端部のほうの部分と 少ない先端部のほうの部分とで洩れ出る光の量を同禾¾¾にすることが可能になり、 光触媒に効率良く光を供給することが可能になる。
本発明のフィルタは、 長繊維状体に光触媒を把持させることにより、 光触媒反 応を利用することができる。
光触媒を担持する長繊維状体の素材及び光触媒の材質については、 第 2の実施 の形態で説明したのと同様である。
フィルタ材の端部から光を入射するフィルタ装置では、 導光体からなる長繊維 状体は、 光触媒の支持体であるとともに、 光触媒反応を起こさせる光を通す導波 路でもある。 このため、 長繊維状体の屈曲角度 は、 導波路としての機能を消失 させない程度とすること力必要であり、 具体的には、 1 5 ° より小さい角度であ ることが好ましい。
フィルタ材の端部から光を入射するフィルタ装置によれば、 ほこり、 ちり、 ま たは汚泥等でフィルタ材が覆われても、 光触媒に光を照射できるため、触媒機能 が低下することはない。 また、 導光体を介して光触媒に光を到達させるため、 外 部から照射する場合に比較して、 光源からの光エネルギーのほとんどを有効に光 触媒に照射できることから、 強い紫外線を必要とせず、 大がかりな光源が必要と されない。
このとき、 フィルタ材の収束部方向の端部から光を入射する場合には、 フィル タ材の収束部においては入射した光が長繊維状体外へ漏出しにくく、 反対に濾過 部にお t、ては入射した光が長繊維状体外へ漏出し易 L、構造であることが好まし L、。 このようにすることにより、 光源を濾過部の近傍に置くことができない場合にも 本実施の形態のフィルタを用いることができる上、 入射した光を残らず、 光触媒 に照射することが可能となる。
このために、 フィルタ材の収束部を担う長繊維状体の一部を光ファイバで構成 し、 フィルタ材の濾過部にあたる長繊維状体の他の部分については光ファイバの ラ I
クラッドを担う材料を用いる代わりにその部分を光が漏出して光触媒に供給され るような材料で構成することが好ましい。
ここで用いることのできるクラッド素材としては、 例えば、 シリカガラス等の 低屈折率ガラスや有機樹脂等が挙げられる。 また、 濾過部においては、 クラッド を設けず、 コアを露出させた構造とすることが好ましく、 特にそのコア露出部表 面にコアよりも高い屈折率を有する光角虫媒を把持させることがより好ましい。 以上説明したように、 本実施の形態のフィルタ装置は、 ディーゼルエンジンの 排ガスに含まれる黒煙、 未燃炭化水素および潤滑油からなる固体粒状物 (パティ キユレ一ト) を除去する排気浄化装置や、 クリーンルーム用エアフィルタ、 空気 洗浄機等のガス処理フィルタ、 水や海水浄化用フィルタ等の溶液処理フィルタ等、 様々な用途に用いることができる。
以下、 実施例に基づき、 第 3の実施の形態をさらに詳細に説明する。
第 1 5図は本実施の形態に係るフィルタ装置をディーゼルパティキユレ一トフ ィルタ (D P F ) に適用した例を示す図である。
直径 3 0 m、 長さ 6 0 0画の長繊維状体に、 濾過部となる部分には、 直径 3 0 // mの突起をピッチ約 1 0 0 mで形成し、 表面に T i 02 を膜厚 0. 1 μ πιで 把持させるとともに、 収束部となる部分には、 表面にシリカガラスからなるクラ ッドを形成した。 この長繊維状体を 8 0 0 0 x 3 3 8本束ね合わせ、 その 端を 保持具 1 2で止め、 他端から円錐 (頂角約 9 0 ° ) の側壁形状のステンレス鋼製 の網を長繊維状体の束のほぼ中央部に挿入し、 開口部を形成させフィルタを作成 した。 ここでは、 長繊維状体の素材として、 高温度 (1 0 0〜7 0 0 °C) の高温 に耐えるアルミノシリケ一トガラス (ガラス転移点 1 0 0〜7 0 0で) を用いた が、 石英ガラス (ガラス転移点 1 1 0 0 ) などを用いてもよい。
このフィルタを、 ステンレス鋼製の外殻材 4 0で覆い、 フィルタ材の開口部側 に、 外殻材 4 0に連続する流出筒 5 0、 およびフィルタ材の開口部 3 0につなが る流入筒 3 5を流出筒 5 0に挿入する位置に配置して、 排気ガスの流入口 3 1と 流出口 5 1を確保し、 収束部の端部には、 紫外線を照射する光源 6 0を設置して、 D P Fを構成した。
本実施例の D P Fでは、 第 1 5図中に矢印で示したように、 流入口 3 1から流
- 入筒 3 5を通ってフィルタ材の開口部 2 0に流入した排気ガスは、 濾過部の内壁 に到達すると、 該到達点付近で、 フィルタ材 7 0を構成する長繊維状体と交差す る方向に、 フィルタを通過し、 長繊維状体によりパティキユレ一卜の除去が行わ れる。 そして、 フィルタを通過した排気ガスは、 フィルタと外殻材との隙間通路 5 2を通って、 流出口 5 1から排出される構造となっている。 このとき、 本実施 例ではフィルタの空隙部は奥に行くほど狭まっているため、 流入した排ガスの圧 力減少が補われ、 フィルタに均等に濾過されて、 捕集の偏りがなくパティキユレ 一卜の捕集が効率よく行われる。
本実施例の D P Fでは、 フィルタを通過した排ガスは、 収束部に到達する以前 に全てフィルタを通過してフィルタと外殻材 4 0との隙間通路 5 2に排出される 、 外殻材 4 0内は、 流出入口以外が閉じた空間であるため、 流出口 5 1方向に ガスの流路が方向転換され、 速やかに流出口 5 1から排出される。
このように、 本実施例の D P Fは、 排気ガスの流路が、 光源とは全く分離され たところに設定されているから、 設計上の困難さがなく、 実用上有用なものであ る。
次に、 本実施例の D P Fでは、 フィルタ材 7 0の収束部端部から長繊維状体に 光を入射することにより、 濾過部の長繊維状体から漏出した光によって、 長繊維 状体に付着したパティキユレ一トが光触媒作用により光分解される構造となって いる。
本実施の形態のフィルタは、 収束部の長繊維状体の断面に光を照射するだけで、 全ての長繊維状体に容易に光を導入できる。 また、 長繊維状体の長さがほぼ同じ にできるため、 光分解能力に断面方向での差ができにくい。 また、 それぞれの長 繊維状体の屈曲角度 が小さい上、 各長繊維の屈曲角度の差も小さいため、 導入 された光の漏れ量の差が長繊維状体間で小さく、 均等で効率的な光分解作用が発 現される。
以上のとおり、 本実施例の D P Fは上記構成により、 単純で安価な機構であり な力《ら、 長寿命でメンテナンスフリ一を実現できるフィルタとなる。
本発明によれば、 濾過部の面積を広くとることができ、 捕集効率のよいフィル タカ《尋られる。
また、 フィルタ材を、 開口部から徐々に狭まる形状の空隙部を形成するように 構成すると、 流入した流体の圧力減少がある程度補われ、 フィルタ内周面の各位 置間の圧力差が小さくなるため、 捕集の偏りが緩和されるという作用効果が奏さ れる。
さらに、 長繊維状体として、 長手方向に波形状をなす長繊維状体、 または、 表 面に突起を形成されている長繊維状体を用いることにより、 長繊維状体を単に束 ねたり、 積層させるだけで、 適度な空孔度を有するフィルタ材とすることができ る他、 流体を通しても空孔が変化せず、 適当な空孔度を長期にわたって維持する ことが可能なフィルタとなる。 さらに、 濾過部の表面積が增大するため、 表面反 応を利用して流体の浄ィ匕を行う場合には、 その浄化効率を向上させることができ る。
また、 本実施の形態のフィルタを光分解作用を利用したフィルタとして用いた 場合には、 全ての長繊維状体に光を導入できるため、 光触媒に充分力、つ均等に光 を到達させることが可能で、 その結果、 捕集効率がよく、 長寿命のメンテナンス フリ一なフィルタ装置が提供できる。
さらに、 本実施の形態のフィルタ装置に、 加熱手段を設けることにより、 第 2 の実施の形態の効果を併せて奏することもできる。
次に、 本発明の第 4の実施の形態について説明する。 本実施の形態は、 本発明 をディーゼルパティキュレー卜フィルタ (D P F ) に適用したもので、 このフィ ル夕装置の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施の形態の最も特徴的な部分は、 直径が 1 ミクロン〜 7 0ミクロンである 1種類又は 2種類以上の極細ガラスファイバで D P Fを構成するところにある。 ディ一ゼルノ、。ティキユレ一卜を捕集するための極細ガラスフアイ' <の直径は、 フィルタ理論から、 1 ミクロン〜 7 0 ミクロンにすることが好ましい。 また、 極 細ガラスフアイ <の直径を、 5〜 5 0 ミクロン、 さらに好ましくは 5 ミクロン〜
3 0ミクロンにすることがさらに好ましい。 このような直径の極細ガラスフアイ バの形成には、 公知の光ファイバ製造技術が転用でき、 容易に、 所定の直径、 長 さの極細ガラスファイバを得ることができる。 このように直径が 1 ミクロン〜 5
0ミクロンの極細ガラスファイバを用いることで、 装置を小さくすることができ、
- さらに表面積力く増えるので、 浄化能力を高めることができる。
また、 本実施の形態では、 高熱耐久性を得るために、 ガラス転移点が 7 0 0 °C 以上の極細ガラスフアイノ <を用いることが好まし 、。 極細ガラスファイバには、 アルミノシリケ一トガラス、 ボロシリケ一トガラス、 シリカガラス等を用いるこ とができる。
第 1 6図〜第 2 2図は、 本実施の形態に係る各種の D P Fの構成を示す。 第 1 6図は、 ガラスファイバ 8 0を束状に編んだものである。 この例では、 径 の異なるガラスファイバを用いて、 中心部に径の大きいもの、 外周に向けて径の 小さいものを配置している力 全て同径にしてもよいし、 中心部から外周にかけ て次第に径を大きくしてもよい。
第 1 7図は、 スぺーサ 8 1を形成して、 ガラスファイバ 8 0を束状に編んだも のである。 第 1 6図の場合と同様に、 ガラスファイバ 8 0の径の構成には様々な パターンがある。
第 1 8図は、 中'、部を中空にするようにガラス、 金属、 セラミックス、 あるい は結晶で支持部 8 2を作り、 その周囲にガラスファイバ 8 0を束状に編んだもの である。 第 1 6図、 第 1 7図の場合と同様に、 ガラスファイバ 8 0の径の構成に は様々なパターンがある。
第 1 9図 (a ) , ( b ) は、 網目状に編んだガラスファイバ 8 5 , 8 5 a , 8 5 bを構造化したものである。 第 1 6図、 第 1 7図の場合と同様に、 ガラスファ ィバの径の構成には様々なパターンがある。 また、 布状に編んだガラスファイバ も網目状と同じ構造をとることができる。
第 2 0図 (a ) , ( b ) は、 流路に対して層状にガラスファイバ 8 0によるフ ィル夕を構造ィ匕したものである。
第 2 1図は、 ガラスファイバを巻き上げ、 キャンドル状の構造をとつたもので ある。 この構造でも、 ファイバ径を変化させることが可能である。
第 2 2図は、 キャンドルの中心部を中空にするように、 ガラス、 金属、 セラミ ックスあるいは結晶で支持部 8 2を作り、 その周囲にファイバを巻き上げたもの である。 この構造でも、 ファイバ径を変化させることが可能である。
また、 極細ガラスファィバの表面の一部又は全部に光触媒が形成することも有
' 効である。 この場合、 極細ガラスファイバの一端から該觸田ガラスファイバ中に 光を導入して、 該極細ガラスフアイ <の表面に形成された光触媒に光を供給して 光触媒作用を起こさせ、 該極細ガラスファィバの付着物を分解 ·除去することが できる。
さらに、 光触媒や D P Fの被捕捉物 (黒煙、 未燃炭化水素、 潤滑油等) を加熱 する加熱手段を備えることも有効である。 そうすることで、 ススを効率よく燃焼 させることが可能になる。 さらに、 光触媒を加熱することで、 光触媒による光分 解反応の反応速度を大きくすることも可能になる。
上記実施の形態では、 D P Fについて説明した力 本発明は、 例えば、 クリ一 ンルーム用のエアフィルタや空気清浄機等の他のフィルタ装置にも同様に適用で さる。
次に本発明の第 5の実施の形態であるフィルタ装置に用いられるフィルタ素材 について説明する。
本発明のフィルタ素材は、 フィルタ基材の表面に突起を形成したことを特徴と している。
ここで、 フィルタ基材の形状、 材質等は特に制限されず、 公知の各種フィルタ 基材を使用できる。
フィルタ基材の形状としては、 例えば、 繊維状、 板状、 ロッド状、 ビーズ状、 布状、 粒状物 (多孔体含む) 状などの公知の形状が挙げられる。 なお、 フィルタ 素材を単に束ねたり積層したりするだけでフィルタを安価に得ることができると いう観点からは、 繊維状、 あるいは板状が好ましい。
フィルタ基材の材質としては、 例えば、 セラミックス、 ガラス、 ガラスセラミ ックス、 金属、 金属メッシュ、 樹脂、 プラスチックス、 結晶などが挙げられる。 フィルタ基材の表面に形成する突起の开狱、 材質は特に制限されず、 各種材料、 形状とすることができる。
突起の形状としては、 例えば、 球状、 不定形、 棒状、 鱗片状、 繊維状、 多孔体 などが挙げられる。
突起の材質としては、 例えば、 セラミックス、 ガラス、 ガラスセラミックス、 金属、 樹脂、 結晶 (例えば、 アルミナ、 ジルコニァ、 チタニア、 ムライト、 コ一
ディライ ト、 マグネシア、 チタン酸バリウムなど) 、粒子 (例えば、 ガラス質、 結晶質の粒子など) 等が挙げられる。 なお、 フィルタ基材とその表面に形成する 突起の材質は、 同一であってもよく、 異種の材料としてもよい。
突起の形成方法は特に制限されな L、。
突起の分布密度は特に制限されず、 空孔度 (メッシュ) や、 圧力損失、 流体の 圧力及び量、 基材の強度、 径及び厚み、 捕集率などを考慮して、 必要に応じ、 適 宜設計される。
次に、 本発明のフィルタ素材の製造方法について説明する。
本発明のフィルタ素材の製造方法は、 フィルタ基材の表面に突起を形成するこ とを特徴とする。
表面に突起を形成する技術としては、 各種分野で各種技術が知られており、 こ れらを利用することができる。
突起の形成方法の態様を以下に例示する。
第 1の態様は、 光触媒繊維体基材の表面に粒子を固着させて突起を形成する方 法であり、 次の各種態様が含まれる。 なお、 ここで、 光触媒繊維体基材とは光触 媒が担持されていない基材である。 また、 光触媒が担持されていない光触媒繊維 体基材の表面に粒子を固着させて突起を形成し、 その上に光触媒を形成するよう にしたのは、 光触媒の表面積の点で有利であるとともに突起の強度の面でも有利 である等の理由からである。
( 1 ) バインダ成分に、 粒子を混合、 分散又は懸濁させて作成した塗布液を光触 媒繊維体基材の表面に塗布する方法。
( 2 ) 光触媒繊維体基材の表面にバインダ成分を塗布し、 バインダ成分が固化す る前に粒子を付着させる方法。
( 3 ) 光触媒繊維体基材と粒子を熱融着する方法。 この場合、 両者を共に加熱し てよく、 熱した光触媒繊維体基材の表面に散布してもよく、 あるいは、 光触媒繊 維体基材の表面に熱した粒子又は溶融した粒子を散布してもよい。
( 4 ) ^虫媒繊維体基材の表面に、 固化後に粒子を形成する液体を散布又は噴霧 し、 固化する方法。
( 5 ) 光触媒繊維体基材の表面を試薬等で変質させた後、 粒子を付着させ、 固化
- する方法。 具体的には、 例えば、 アクリルなどの有機樹脂の表面を有機溶媒 (溶 剤) で溶かしたのち、 粒子を付着させ、 固化する方法が挙げられる。
上記態様 (1 ) 〜 (5 ) において用いる粒子としては、 例えば、 ガラス質、 結 晶質の粒子を用いることができる。 ガラス質のものとしては、 シリカガラス、 ソ —ダライムシリケー卜ガラス、 無アルカリガラスが挙げられる。 また、 結晶質の ものとしては、 無数にあるが、 代表的なものとしては、 アルミナ、 ジルコニァ、 チタニア、 ムライト、 コ一ディライ卜、 マグネシア、 チタン酸バリウムなどをあ げることができる。
第二の態様は、 媒繊維体基材の表面自体に突起を形成する方法であり、 次 の各種態様が含まれる。
( 1 ) 金型を用い、 成形によって光触媒繊維体基材の表面に突起を形成する方法。 ( 2 ) 光触媒繊維体基材の囊面に金型の形状を転写して突起を形成する方法。 ( 3 ) 光触媒繊維体基材の表面を蝕刻して、 突起を形成する方法。 なお、 この方 法では公知のリソグラフィ技術を利用してサブミクロンオーダの規則正し L、任意 の配列および分布密度の突起を形成でき、 超精密フィルタを作成できる。
第三の態様は、 光触媒繊維体基材原料に粒子を混合し、 これを成形して光触媒 繊維体基材の表面に突起を形成する方法である。
次に、 本発明のフィルタ装置について説明する。
本発明のフィルタ装置は、 表面に突起を形成したフィルタ素材を用いたことを 特徴とする。
表面に突起を形成したフィルタ素材につ 、ては上述したので説明を省略する。 フィルタ素材を用いてフィルタを構成するには、 フィルタの素材形状等に応じ た公知のフィルタ構成態様を利用できる。
なお、 表面に突起を形成したファイバをフィルタ素材として用いてフィルタを 構成する場合には、 単に、 複数のファイバをほぼ同一方向に束ねて固定するだけ で、 所要の隙間 (メッシュ) を持ったフィルタを形成できる。 メッシュの粗さは、 突起の大きさ、 間隔、 分布密度等によって任意に変えることができる。
第 2 3図 (a ) 及び (b ) にその具体例を示す。
同図に示すフィルタ装置は、 ハウジング 1 0 1と、 ファイノく' 1 0 2を束ねたフ
ィルタとで構成されている。
ハウジング 1 0 1は、 外枠 1 0 3と、 入側及び出側の通気面を構成する粗い網 目構造を持つ通気部材 1 0 とで構成され、 ハウジング 1 0 1の内側にはフアイ バ 1 0 2がほぼ平行に均一に配列されており、 両側の通気部材 1 0 4で押さえつ けられて固定されている。
ファイバ 1 0 2は、 表面に間欠的に所要の寸法の突起を形成した長繊維フアイ バであり、 メッシュの粗さはファイバに付ける突起の大きさにより任意に変える ことができる。 例えば、 直径 5〃mのファイバに粒径 1 / mの突起を形成したフ ィルタ素材を用いると、 サブミクロンオーダーの粒子を捕獲できる。
なお、 ファイバ表面の突起が全て同等の大きさの場合、 捕集効率は入側の面で 高くなつて捕集効率が悪いが、 突起の大きさを入側の面では大きく、 出側の面に 向かうにつれて小さくすることにより捕集密度が分散され、 捕集効率及びフィル 夕の寿命を上げることができる。
表面に突起を形成した基板をフィルタ素材として用いてフィルタを構成する場 合には、 単に、 複数の基板を積層して固定するだけで、 所要の隙間 (メッシュ) を持ったフィルタを形成できる。 この場合も、 メッシュの粗さは、 突起の大きさ、 間隔、 分布密度や基板の間隔等によって任意に変えることができる。
本発明のフィルタ装置を構成するフィルタ素材の表面には、 触媒 (表面反応促 進物質を含む) を担持させることもできる。
この場合、 本発明では、 フィルタ素材の表面に突起を形成してあるので、 突起 のない場合に比べ、 表面積が増大し、 表面反応を利用して流体の浄化を行う作用 を有するフィルタにおける効率の向上を図ることができる。
ここで、 触媒 (表面反応促進物質を含む) は特に制限されず、 流体の浄化作用 を有する物質を使用できる。
本発明では、 フィルタ素材を光触媒を活性状態にするために必要な波長の光を 導く導光体とし、 フィルタ素材の表面に光触媒を担持させて、 導光体によって導 かれた光力《導光体表面より出て、 光触媒に到達するようにした光触媒フィルタ装 置とすることもできる。
このとき、 フィルタ素材の表面の突起を、 光触媒作用を有する粒子で形成する
- こともできるし、 さらに突起を含めたフィルタ素材の全表面を光触媒作用を有す る被膜で覆うこともできる。 また、 透明粒子、 不透明粒子又は光触媒の粒子で突 起を形成したフィルタ素材の全表面を光触媒作用を有する被膜で覆うこともでき る。
導光体材料としては、 例えば、 ガラス、 セラミックス、 プラスチックス、 結晶 などが挙げられる。 これらの材料は一種単独で用いてもよく、 二種以上の材料を 混合あるいは複合 (例えば、 接合など) して用いてもよい。
導光体の形状としては、 例えば、 ファイバ状、 ハニカム状、 網目状、 布状、 層 状、 綿状などが挙げられる。 これらの形状は一種単独で用いてもよく、 二種以上 の形状を複合 (例えば、 接合など) して用いてもよい。
光触媒としては、 例えば、 チタン酸化物又はその化合物、 鉄酸化物又はその化 合物、 亜鉛酸化物又はその化合物、 ルテニウム酸化物又はその化合物、 セリウム 酸化物又はその化合物、 タングステン酸化物又はその化合物、 モリブデン酸化物 又はその化合物、 カドミウム酸化物又はその化合物、 ストロンチウム酸化物又は その化合物などが挙げられる。 これらの光触媒は一種単独で用いてもよく、 二種 以上の光触媒を混合あるいは併用 (例えば、 併存など) して用いてもよい。
光触媒の担持方法としては、 例えば、 ゾルゲル法、 パエロゾル法、 ゥォッシュ
•コ一卜法、 蒸着法、 スパッタ法、 熱分解法、 金属酸化法などが挙げられる。 膜 厚は、 例えば、 I nn!〜 1 ram ^とする。
光触媒には、 触媒活性層増強、 密着強度増強、 安定性増強、 光反応増強又は吸 着性増強などの作用のある物質を添加物として加えたり、 それらの物質を触媒層 のアンダーコート層として使用できる。 このような物質としては、 例えば、 C r、
A g、 C u、 A u、 P t、 R u、 P d、 R h、 S n、 S i、 I n、 P b、 A s、
S b、 Pなどの金属、 又はそれらの酸化物もしくは化合物等が挙げられる。
光触媒に照射される光は、 光触媒の種類に応じて波長や強度等を適宜選択でき る。 例えば、 光触媒が T i 02 である場合にあっては、 これを励起できる 2 0 0
〜5 0 O nmの紫外線が好ましい。 光源としては、 水銀ランプ、 水銀一キセノンラ ンプ等が使用できる。
なお、 光触媒と導光体材料の選択は両者の屈折率を考慮するとよい。 これは、
^0
光をコアに閉じ込める光ファイバと異なり、 被覆材である光触媒側に光を漏出さ せる必要があるためであり、 導光体材料と比べ屈折率の大きな光触媒を選ぶとよ い。
また、 コアの外周にクラッドを設けた光ファイバを利用し、 クラッドを欠いた コア露出部を形成して、 そのコア露出部にコアよりも高い屈折率を持つ光触媒を 担持させることもできる。
上述した光触媒フィルタ装置は、 ディ一ゼルエンジンの排気ガス中に含まれる 黒煙、 未燃炭化水素及び潤滑油からなる固体粒伏物 (パティキュレート) を除去 するためのディーゼルパティキュレートフィルタ (D P F ) 、 ガス処理フィルタ (例えば、 クリーンルーム用のエアフィルタ、 空気清浄機) 、 液体処理フィルタ (例えば、 水や海水浄化用フィルタ) などとして好適に使用できる。
以下、 実施例にもとづき本発明をさらに詳細に説明する。
実施例 1
平均粒径 5 / mのシリカガラスフイラ一を、 シリコンテトラエ卜キシドを加水 分解して作製したゾル溶液に懸濁させて、 コ一卜液を作製した。
このコ一ト液を、 直径 1 2 5 / m 0のガラスファイバにディッビング法によつ て塗布した後、 4 5 0でで 1時間熱処理した。
得られたファイノ <の表面には粒子が多数付着しており、 凹凸状の表面を持つた ファイバを得ることができた。 なお、 表面に付着した粒子はファイバを強く擦つ ても することがなかった。
実施例 2
平均粒径 2 /z mのムライ卜粒子を、 チタニウムテトラブ卜キシドを加水分解し て作製したゾル溶液に懸濁させて、 コ一卜液を作製した。
このコ一ト液を、 直径 2 5 0 ^ m 0のステンレス製ファイバにディッビング法 によって塗布した後、 4 0 0 で 1時間加熱処理した。
得られたフアイ'くの表面には粒子が多数付着しており、 凹凸状の表面を持つた ファイバを得ることができた。 なお、 表面に付着した粒子はファイバを強く擦つ ても離脱することがなかった。
実施例 3
f
板状のアルミナ基板の表面にスクリ―ン印刷によつて紫外線硬化樹脂を印刷し た。 紫外線硬化樹脂を印刷した部分に、 平均粒径 0. 1匪のソーダライムガラス製 ビーズを散布した後、 紫外線を照射して樹脂を硬化させた。
得られたアルミナ基板の表面には粒子が多数付着しており、 凹凸状の表面を持 つた基板を得ることができた。 なお、 基板表面に付着した粒子は基板を強く擦つ ても離脱することがなかった。
実施例 4
板状のポリエチレン基板の表面に、 加熱した平均粒径 0. 1卿のステンレス製粒 子を散布した。
熱せられたステンレス粒子は基板表面を溶かすことにより固着しており、 この 粒子は基板表面を強く擦っても離脱することがなかった。
実施例 5
板状のアルミナ基板の表面に、 熱硬化型エポキシ樹脂を噴霧した後、 加熱して エポキシ樹脂を硬化させた。
得られたアルミナ基板の表面には、 エポキシ樹脂による 0. 2匪 øの凸状の突起 が多数認められた。 この突起は基板表面を強く擦っても離脱することがなかつた。 実施例
ァセ卜ンを噴霧して表面を溶解させたアクリル基板表面に、 平均粒径 5 0 ju のソ一ダライムガラス製ビーズを散布した後、 乾燥させた。
得られた基板の表面にはガラスビーズが多数固着しており、 表面に凸状の突起 を持つた基板を得ることができた。 この突起は基板表面を強く擦っても離脱する ことがなかった。
実施例 7
直径 0. 5 mm、 深さ 0. 25mraの半球状の窪みを 2議の間隔で縦横に配列してなる金 型に、 熱硬化型エポキシ樹脂を流し込み、 加熱して硬化させた。
その結果、 基板表面に多数の凸状の突起を持った基板を得ることができた。 実施例 8
平均粒径 7. 5〃 mのシリカガラスビーズを、 水の少ない条件でシリコンテトラ ェ卜キシドを加水分解して作製したカロ水分解液に懸濁させた。 得られたゾル液を
加熱することにより重縮合反応を «し、 ゾル液を紡糸可能な粘度とした。 その ゾル液から繊維を紡糸した後、 8 0 0 °Cで 1時間加熱処理した。
得られた繊維の表面にはシリカガラスビーズに基づく突起が多数形成されてお り、 凹凸状の表面を持った繊維を得ることができた。 繊維の平均径は 1 0 0; w m であった。
実施例 9
実施例 1で作製したファイバを用い、 第 2 4図 (a ) 及び (b ) に示すように、 ファイバ 1 0 2を平行に束ねて両側から金網 1 0 5で固定した構造のフィルタを 作製した。
得られたフィルタは、 同等の空孔度を持つ豆繊維フィルタに比べ、 捕集効率が 高く、 長期間に渡って性能を維持することができた。
実施例 1 0
実施例 3で作製した基板を用い、 第 2 5図 (a ) 〜 (c ) に示すように、 表面 にビーズによる突起を形成したアルミナ基板 (第 2 5図 (c ) ) を平行に積層 ( 第 2 5図 (b ) ) した構造のフィルタを作製した。
得られたフィルタは、 捕捉可能な粒径が小さく高精度で、 捕集効率が高く、 長 期間に渡って性能を維持することができた。
実施例 1 1
実施例 1で作製したファイバに光触媒 (T i 02)を担持させた後、 これを、 第 3図 (a ) に示すように、 所定長さに切り揃え、 すだれ状に並べて、 一端で保持 し、 保持側から各ファイバに光を入射する構造の基本ュニッ卜を作製し、 この基 本ュニッ卜を、 第 3図 (b ) に示すように 9 0。 の角度で交差させてなる、 すだ れ格子状のディーゼルパティキユレ一トフィルタ (D P F ) を作製した。
上記 D P Fは、 突起力 <形成されたファイバを用いているので、 突起を形成しな I、場合に比べ、 触媒機能が高く捕集効率が高かつた。
以上好ましい実施例をあげて本発明を説明した力 本発明は上記実施例に限定 されるものではない。
例えば、 各図面は説明の便宜上概念的に描いたものであり、 ファイバの径ゃ充 塡密度等は図示の態様に限定されない。
(Lろ
また、 突起のサイズや材質については、 実施例のものに限定されない。
さらに、 従来技術で説明した従来の三つのタイプのフィルタ基材に突起を形成 した態様であつても、 突起に基づく本発明の作用効果を発揮できる。
また、 本発明のフィルタ素材は、 液晶用の拡散板 (散乱板) 、 曇りガラスなど の用途にも使用できる。
以上説明したように、 本発明の実施の形態によれば、 突起の大きさや突起の分 布密度を変えることで、 空孔度 (メッシュ) を容易かつ高精度に制御可能である。 また、 突起を形成したフィルタ素材を単に束ねたり積層したりするだけでフィル タを得ることができる。 したがって、 従来にない高性能なフィルタを安価に得る ことが可能となった。
また、 フィルタ素材表面に形成した突起によって空孔を得ているので、 流体を 通しても空孔が変化せず、 空孔度を長期に渡って維持できる。 したがって、 フィ ルタとしての性能を長期に渡って維持することが可能となった。
さらに、 このフィルタ素材を用いれば、 基本的には紡織工程を'必要としないの で、 従来長繊維フィルタとしての使用が困難であったファイバ径の長繊維フアイ バであっても、 フィルタ素材として使用することができる。
また、 フィルタ素材の表面に突起を形成してあるので、 突起のない場合に比べ、 表面積が増大し、 表面反応を利用して流体の浄化を行う作用を有するフィルタに おける効率の向上を図ることができる。
次に本発明の第 6の実施の形態である光触媒担持用ガラス材について詳述する。 本発明では、 光触媒活性の劣化の観点から、 ガラス材中のアルカリ成分の許容 量を決定し、 さらに、 光触媒薄膜を形成しやすく、 化学的耐久性、 耐熱性及び光 透過特性等に優れ、 しかも安価に製造できるといった面を考慮しつつガラス組成 を決定している。
本発明の光触媒担持用ガラス材の組成は、 アル力リ成分の含有量が 0〜 1 0重 量%、 S i 02 の含有量が 3 0〜8 0重量%である、 低アルカリのゲイ酸塩ガラ ス、 アルミノゲイ酸塩ガラス、 ホウゲイ酸塩ガラス、 無アルカリガラス等が好ま しい。
なお、 ホウ酸塩ガラス、 リン酸塩ガラスは、 水に対する化学的耐久性が悪く、
- 光触媒薄膜の担持力及び光触媒機能を低下させるので、 好ましくない。
本発明の組成範囲のガラス材は、 1 650 以下で溶融が可能であるため、 石 英ガラスに比べて製造コストが安いという利点がある。 し力、も、 本発明の組成範 囲のガラス材は、 化学的耐久性、 耐熱性、 光透過特性 (透明性に) 優れるので光 触媒担持基材として優れている。
また、 石英ガラスに比べ、 ファイバ化しやすく、 ファイバ状の光触媒担持基材 を安価かつ容易に製造できる。
さらに、 本発明のガラス材は、 光触媒を励起する波長における透過率が肉厚 1 0隱において 75%以上の導光体であり、 光触媒担持用のガラス材として優れる。 従って、 実施の形態 1〜5における光触媒担持用の導光体として好適である。 なお、 上記ガラス材における他の成分については、 公知の各種成分及び組成を 採用できる。
本発明の光触媒担持用ガラス材の組成は、 重量%表示で、 S i 02 を 30〜8 0%、 A 12 03 を;!〜 35%、 B2 03 を 0〜30%、 MgOを 0~20%、 CaOを 0〜20%、 S r Oを 0〜20%、 BaOを 0〜40%、 ZnOを 0〜 20%、 L i 2 0を 0〜1 0%、 Na2 0を 0〜1 0%、 K2 0を 0〜1 0%、 C s 2 0を 0〜1 0%、 L i 2 0 + N a 2 0 + K2 O + C s 2 0を 0〜: 1 0%、 MgO + CaO + S r O + B aO + ZnO + L i 2 O + N a2 0 + K2 O + C s 2 0を 0.1〜65%とすることが各種特性を考慮すると望ましい。
さらに、 本発明の光触媒担持用ガラス材の組成は、 重量基準で、 S i 02 を 3 0〜65%、 A 12 03 を 1〜2 0%、 B2 03 を 0〜20%、 MgOを 0〜2 0%、 CaOを 0〜20%、 S r Oを 0〜20%、 BaOを 0〜40%、 ZnO を 0〜20%、 MgO + C aO+S rO + B aO+ZnOを 1〜60%、 L i 2 0を 0〜1 0%、 N a 2 0を 0〜5%、 K2 0を 0〜5%、 C s 2 0を 0〜5%、 L i 2 O + Na 2 0 + K2 0 + C s2 0を 0 ~ 5 %、 M g 0 + C a 0 + S r 0 + BaO + ZnO + L i 2 O + N a 2 0 + K2 0 + C s 2 0を 1〜60%とするこ とがより好ましい。
上記組成範囲の各成分の限定理由は次の通りである。
S i 02 は、 ガラス形成成分であるため本発明には欠かせない成分である。 S
' i 02 力 3 0重量%未満であると耐失透性、 化学的耐久性が劣化する。 S i 02 力《8 0重量%を超えると、 ガラスの粘性が高くなり、 溶融が困難になる。 したが つて、 S i 02 の含有量は、 30〜80重量%とする必要がある。 同様の理由か ら、 S i 02 の含有量は、 好ましくは 3 0〜 7 0、 さらに好ましくは 3 0〜6 5 重量%、 特に好ましくは 50〜60重量%である。
A 12 03 は、 ガラスの化学的耐久性、 耐熱性を向上させ、 液相温度を下げる 効果がある成分である。 し力、し、 A 12 03 ή<3 5重量%を超えると、 耐失透性 が悪化する。 したがって、 A l 2 03 の含有量は、 0〜3 5重量%とする必要が ある。 同様の理由から、 S i 02 の含有量は、 好ましくは 1〜2 0重量%、 さら に好ましくは 1 5〜20重量%である。
B2 03 は、 ガラスの粘性を下げ、 溶融性を良くする効果がある成分であるが、 30重量%を超えると、 分相傾向が増大し、 均質なガラスを得にくい。 したがつ て、 B2 Os の含有量は、 0〜3 0重量%とする必要がある。 同様の理由から、 B2 03 の含有量は、 好ましくは 0〜1 5重量%、 さらに好ましくは 0〜1 0重 量%である。
MgO. C a O、 S rO、 BaO、 ZnOは、 適量添加によりガラスの特性及 び溶融性を調整することができる成分である。
ここで、 MgOは、 得られるガラスの熱膨張係数と粘性を低下させる成分であ るが、 20重量%を超えると、 ガラスの耐失透性が低下する。 したがって、 Mg 0の含有量は、 0〜2 0重量%とする必要がある。 同様の理由から、 MgOの含 有量は、 好ましくは 0〜1 0重量%、 さらに好ましくは 0〜5重量%である。
Ca Oは、 MgOとほぼ類似した作用を示す成分であるが、 20重量%を超ぇ ると、 耐失透性が低下する。 したがって、 CaOの含有量は、 0〜20重量%と する必要がある。 同様の理由から、 C aOの含有量は、 好ましくは 0〜1 0重量 %、 さらに好ましくは 0〜5重量%である。
S rOは、 ガラスの耐失透性を向上させる成分であるが、 20重量%を超える と、 逆に耐失透性が悪ィ匕する。 したがって、 S rOの含有量は、 0〜20重量% とする必要がある。 同様の理由から、 S rOの含有量は、 好ましくは 0~1 0重 量%、 さらに好ましくは 0〜 5重量%である。
B a 0は、 S r 0とほぼ類似した作用を示す成分である力^ 50重量%を超え ると、 逆に耐失透性が悪化する。 したがって、 B a 0の含有量は、 0~50重量 %とする必要がある。 同様の理由から、 B a 0の含有量は、 好ましくは 0〜30 重量%、 さらに好ましくは 0〜5重量%である。
MgO、 C a 0、 S r 0、 B a 0、 ZnOの含有量の合計が、 65重量%を超 えると、 耐失透性が悪化する。 したがって、 MgO + C a 0+S r 0 + B aO + ZnOは、 0〜65重量%とする必要がある。 同様の理由から、 それらの合計含 有量は、 好ましくは 10〜 30重量%、 さらに好ましくは 10〜 20重量%であ 。
L i 2 0、 N a 2 0、 K2 0、 C s 2 0のアルカリ成分は、 ガラスの粘性を下 げ、 溶融性を良くする成分であるが、 これらのアルカリ成分の含有量の合計が、 10重量%を超えると、 光触媒活性が劣化し好ましくない。 したカズって、 L i2 0 + Na2 O + Kz O + C s2 0は、 0〜10重量%とする必要がある。 同様の 理由から、 それらの合成含有量は、 好ましくは 0〜5重量 、 さらに好ましくは 0〜2重量%でぁる。
また、 上述した本発明のガラス素材は、 上述した成分の他に、 上述した特性を 損なわない範囲で、 PbO、 Z r02、 T i 02、 A s 2 03 、 Sb 2 03、 S n02、 L a 2 03、 P2 05、 W03、 B " Os、 Ta2 05 、 N b2 05、 Gd2 03 及び Fなどの成分を、 耐失透性、 溶融性、 化学的耐久性などの改善や、 清澄剤などの目的で添加できる。
本発明のガラス材の製造方法は特に制限されないが、 例えば、 ガラスの組成が 上述した範囲に入るように秤量し混合したバッチ原料を、 白金るつぼ等の耐熱容 器に入れ、 1200〜 1650でで、 2〜 4時間程度加熱溶融し、 この溶融ガラ スを攪拌により均質化し、 清澄を行った後、 铸型に流し込み、 徐冷することで製 造できる。
本発明のガラス材の製造に用いるガラス原料としては、 いずれの成分について も、 ガラス原料として通常使用される水酸化物、 炭酸塩、 硝酸塩、 硫化物、 酸化 物、 窒化物などを適宜用いることができる。
本発明のガラス材の大きさ、 形状等は特に制限されない。 例えば、 本発明のガ
ク
- ラス材は、 平板、 ファイバ、 ロッ ド、 ビーズ、 パウダーなど様々な形状で使用で さる。
本発明のガラス材に担持させる光触媒は特に制限されないが、 例えば、 チタン 酸化物又はその化合物、 鉄酸化物又はその化合物、 亜鉛酸化物又はその化合物、 ルテニウム酸ィ匕物又はその化合物、 セリウム酸化物又はその化合物、 タンダステ ン酸化物又はその化合物、 モリブデン酸化物又はその化合物、 カドミウム酸化物 又はその化合物、 ストロンチウム酸化物又はその化合物などが挙げられる。 これ らの光触媒は一種単独で用いてもよく、 二種以上の光触媒を混合あるいは併用 ( 例えば、 各々独立に併存など) して用いてもよい。
本発明のガラス材に光触媒を担持させる方法としては、 例えば、 ゾルゲル法、 パエロゾル法、 ゥォッシュ ·コート法、 蒸着法、 スパッタ法、 熱分解法、 金属酸 化法などが挙げられる。 膜厚は、 例えば、 l nm〜: I mm程度とする。
光触媒に照射される光は、 光触媒の種類に応じて波長や強度等を適宜選択でき る。 例えば、 光触媒が T i 02 である場合にあっては、 これを励起できる 2 0 0 〜5 0 O nmの紫外線が好ましい。 光源としては、 水銀ランプ、 水銀一キセノンラ ンプ等が使用できる。
光触媒には、 触媒活性層増強、 密着強度増強、 安定性増強、 光反応増強又は吸 着性増強などの作用のある物質を添加物として加えたり、 それらの物質を触媒層 のアンダーコート層として使用できる。 このような物質としては、 例えば、 C r、 A g、 C u、 A u、 P t、 R u P d、 R h、 S n、 S i、 I n、 P b、 A s、 S b、 Pなどの金属、 又はそれらの酸化物もしくは化合物等が挙げられる。
本発明のガラス材に光触媒を担持させてなる光触媒フィルタを用いたフィルタ 装置は、 ディーゼルエンジンの排気ガス中に含まれる黒煙、 未燃炭化水素及び潤 滑油からなる固体粒状物 (パティキユレ一卜) を除去するためのディーゼルパテ ィキユレ一卜フィルタ (D P F ) 、 ガス処理フィル夕 (例えば、 クリーンルーム 用のエアフィルタ、 空気清浄機) 、 液 理フィルタ (例えば、 水や海水浄化用 フィルタ) などとして好適に使用できる。
本発明では、 ガラス材の表面に突起を形成することができる。 これにより、 突 起のない場合に比べ、 表面積が増大し、 表面反応を利用して流体の浄化を行う作
用を有するフィルタにおける効率の向上を図ることができる。
ここで、 触媒 (表面反応促進物質を含む) は特に制限されず、 流体の浄化作用 を有する物質を使用できる。
以下、 本発明の実施例を説明する。
実施例 1〜 5
第 2 6図の表に示す組成のガラス材を製造した。
なお、 各実施例では、 いずれも、 原料として通常使用される水酸化物、 炭酸塩、 硝酸塩、 硫化物、 酸化物、 窒化物等を使用し、 溶解徐冷後における組成が表 1に 示すガラス組成となるように各原料を各実施例毎に秤量した後、 得られた原料混 合物 (バッチ原料) を 1 2 0 0 ~ 1 6 5 0でで、 2〜4時間禾1¾加熱溶融し、 こ の溶融ガラスを攪拌により脱泡及び均質化し、 清澄を行った後、 铸型に流し込み、 徐冷することにより、 ガラス塊を得た。
このガラス塊から 1 0 0 X 1 0 0 X 2 mmの板を切り出し、 両面を研磨して基板 とした。 この基板ガラスに T i 02 ゾルをディップコ一卜し、 乾燥した後、 5 0 0でで 1時間焼成した。 得られた膜をエックス線回折測定したところ、 膜の主成 分はアナタ一ゼ型 T i 02 であった。 膜厚は 1 // mであった。
光触媒を担持させた基板ガラスに市販のサラダ油を塗布し、 l kWの水銀ランプ の下に 1時間放置し、 重量減少を測定した。
その結果、 実施例 1〜5の基板ガラス上の光触媒は、 1時間で 0. 01〜0. 02mgZ cm2 のサラダ油を分解した。
比較例 1
第 2 6図の表に示すガラス組成としたこと以外は実施例 1〜 5と同様にして光 触媒を担持させた基板ガラスを作製し、 これに市販のサラダ油を塗布して同様の 試験をラつた、
その結果、 1時間後における重量の減少は測定限界以下であり、 比校例 1の基 板ガラス上の光触媒はサラダ油をほとんど分解しなかった。
以上好ましい実施例をあげて本発明を説明した力く、 本発明は上記実施例に限定 されるものではない。
例えば、 ガラスの組成、 ガラス材の形状や光触媒の種類については、 実施例の
ものに限定されない。
なお、 本発明の光触媒担持用ガラス材は、 光触媒活性を下げないガラス材とし てフィルタ以外の分野にお 、ても広く利用や応用が可能である。
以上説明したように本発明の光触媒担持用ガラス材は、 光触媒中への不純物の 拡散がなく光触媒活性が劣化することがないとともに、 光触媒薄膜を形成しやす く、 化学的耐久性や透明性等に優れ、 しかも安価に製造できるガラス組成を採用 しているので、 光触媒担持用ガラス材として優れる。
また、 組成を調整することで、 細いファイノ が得やすく、 耐熱性に優れるなど の特性を持つた光角虫媒担持用ガラス材を安価に得ることができる。
次に本発明の第 7の実施の形態である光照射方法を詳述する。 この方法は、 以 上に述べた光触媒フィルタをはじめ、 光を、 目的とする被照射物に対して効率よ く照射した t、場合に適用できる光照射方法である。 光照射を行うための各種の光 照射装置は第 1図 (a ) 〜 (h ) に示すような構成のものを使用することが出来 る。
なお、 光照射ファイバを形成するには、 公知の光ファイバ製造技術が転用でき、 またシ一卜状導光体は公知のガラス板製造方法を利用できる。 また、 導光体をハ 二カム状に形成するには、 原料のガラス等を粒状にしてハニカム状に圧粉成形し たり、 中空の導光体をハニカム状に加工成形したりすればよ L、。
高屈折率物質には、 ガラス、 セラミックス、 プラスチックス又は結晶等を用い ることができる。
図 1に示した導光体 1, 3 , 6又は光照射ファイバ 4, 5 , 7の端部が光を入 射する入射部となり、 この入射部に図示しない光源からの光、 例えば可視紫外光 が入射するようになっている。
上述した光照射フアイバと光源とから光照射装置を形成する。 導光体に導かれ た光源からの光は高屈折率物質から漏れだして、 被照射物 (反応物) に光が照射 される。
このような光照射装置の具体例を以下の実施例で説明する。
(実施例 1 )
実施例 1は本発明の光照射方法及びその装置をディ一ゼルパティキユレ一トフ
ィルタ (D P F ) に適用したものである。
ディーゼルエンジンの排気ガス中には、 黒煙、 未燃炭化水素及び潤滑油等から なる固体粒状物 (パティキユレ一卜) が含まれている。 このパティキユレ一卜は、 燃料中の炭化水素の不完全燃焼によって発生するものであるが、 排気ガス中に存 在すると黒色煙状となるため、 そのまま大気中に大量に放出することは環境上好 ましくない。 そのため、 排気ガス中のパティキユレ一卜を除去または最小限にす るためには、 パティキュレートを適当なフィルタによつて捕集することが行われ ている。 本実施例は、上述した光照射ファイバでパティキュレートを捕集して、 導光体に導かれた光源からの光は高屈折率物質から漏れだした光を捕集したパテ ィキユレ一卜に照射して、 パティキュレートを燃焼させるものである。
本実施例の D P Fは、 ディ一ゼルェンジンの排気口後方の排気管の途中に設置 される。 排気管に設置される D P Fは基本ュニッ卜の組み合わせから構成され、 その基本ュニッ卜は、 第 3図 (a ) のように、 所定の長さに切り揃え、 すだれ状 に並べた複数本の光照射ファイバ;! 1と、 複数本の光照射ファイバ 1 1の一端を 保持する保持具 1 2と、 保持された光照射ファイバ 1 1の一端から捕集したパテ ィキユレ一卜の燃焼に必要な光を入射するハロゲンランプ 1 3とから構成される。 この基本ュニッ 卜を 2個、 第 3図 (b ) のように、 9 0 ° または適当に回転さ せて、 光照射ファイバ 1 1同士ですだれ格子力形成されるように配置したものが 基本フィルタになる。 表面積を増加させて捕集率をアップさせるために、 この基 本フィルタを 1個又は 2個以上を用いて D P Fを構成する。
光照射ファイバ 1 1を構成する導光体には、 高温度 (1 0 0〜7 0 0で) の排 気ガスに耐えるアルミノシリケ一卜ガラス (ガラス転移点 5 0 0〜8 0 0 T!)、 または石英ガラス (ガラス転移点約 1 1 0 0 °C) を使用する。 光照射ファイバ 1 1のファイバ径は 1 m〜l 5 0 // m程度である。 高屈折率物質には、 T i 02 を使用する。
上述した光照射ファイバ 1 1は次のように製造することができる。 高純度原料 を使用したアルミノシリケ一卜ガラスを白金坩堝で溶融し、 この溶融ガラスをプ ッシング法でファイバ状に成形する。 そしてファイバガラスに T i 02 膜をゾル ゲル法で被覆する。 このとき密着強度増強剤を添加して導光体表面に対する密着
強度を高めると、 T i 02 膜が有する保護機能を一層向上させることができる。 膜厚は 0. 5 mになるように調整する。 製造された光照射ファイバ構造は第 4図 のようになる。
ところで、 T i 02 膜の屈折率は 2. 1〜 2. 6であり、 アルミノシリケ一トガラ スは 1. 5前後であり、 クラッドに相当する T i 02 膜の方が屈折率が高い。 した がって、 ハロゲンランプ 1 3から光照射ファイバ 1 1に入射した光は、 導光体】 から漏れ出て、 高屈折率物質 2からも漏れ出す。 この漏れだした光が、 捕集した パティキユレ一トを効率よく燃焼させる。
(実施例 2 )
実施例 2は本発明の光照射方法及びその装置を紫外線殺菌装置に適用したもの あ 。
第 2 7図に実施例 2の紫外線殺菌装置の説明図を示す。 紫外線殺菌装置は、 複 数の光照射ファイバ 1 1 6が金属パイプ 1 1 4の壁側に固定されている 0リング 1 1 5によって束ねられて複数の光照射ファイバ 1 1 6の一端は金属パイプ 1 1 4に取り付けられた固定金具 1 1 3によって保持されている。 さらに金属パイプ 1 1 4の外側には紫外線ランプ 1 1 1及び反射鏡 1 1 2が設置されていて、 紫外 線ランプ 1 1 1からでた光及び反射鏡 1 1 2によって反射した光力 固定金具 1 1 3によって保持されている光照射ファイバ 1 1 4の一端から、 光照射ファイバ 1 1 6に入射する。
このような構成で金属パイプ 1 1 4内に水を流すと、 光照射ファイバ 1 1 4の 高屈折率物質から漏れだした紫外光により、 水が殺菌される。 光照射ファイバ 1 1 6の間隔を調整することで、 この紫外線照射装置は、 菌などを捕獲するフィル 夕としても機能するため、 菌を一時捕獲して確実に殺菌を行うことができる。 また、 光照射ファイバ 1 1 6の長さを調整することにより、 紫外線照射装置の 殺菌能力を調整することもできる。
この紫外線照射装置は、 多数の光照射ファイバ 1 1 4の間隔が狭いため、 汚染 のひどい湖水等でも紫外線が確実に届くので、 殺菌能力は非常に高 L、といえる。 本発明は、 上記の実施の形態に限定されるものでなく、 種々の変形を許容する ものである。
例えば、 本発明の光照射方法及びその装置はィンテリァにも適用が可能である
産業上の利用可能性
光触媒を担持した導光体の内部から光触媒に光を直接照射するという簡単な構 造で、 光の照射を効率よく行うことが出来る。
したがって、 本発明の光触媒フィルタ装置を流 理に用いると、 メインテナ ンスフリ一な長寿命化が実現出来る。
また本発明の光角虫媒フィルタはディ一ゼルパティキュレ一卜フィルタのみなら ず、 クリーンルーム用のエアフィルタや空気清浄機等にも適用出来る。