JPWO2019131473A1 - テトラアザポルフィリン化合物 - Google Patents
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Abstract
Description
Xは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基又は下記一般式(X1)〜(X4)で表される基を表し、
R301、R302は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、
R401は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基又は置換基を有していてもよいアリールオキシ基を表し、
R501〜R503は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、
一般式(X1)〜(X4)及び一般式(Y1)における*は酸素原子との結合部位を表す。)
Yは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基又は上記一般式(Y1)で表される基を表し、
R201、R202は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基又は置換基を有していてもよいアリールオキシ基を表すことが好ましい。
波長が上記範囲である光の色は黄色〜橙色であり、このような色の光を吸収させることによりディスプレイ装置等から発せられる色の色調を鮮やかにすることができる。
Xは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基又は下記一般式(X1)〜(X4)で表される基を表し、
R301、R302は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、
R401は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基又は置換基を有していてもよいアリールオキシ基を表し、
R501〜R503は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、
一般式(X1)〜(X4)及び一般式(Y1)における*は酸素原子との結合部位を表す。)
本明細書において、「アルキル基」は、直鎖状、分岐状及び環状の基を包含する。「アルコキシ基」についても同様である。
また、本明細書において、「アリール基」は、非置換の芳香族炭化水素環のみからなる基を表す。
R101a〜R101dの4つの置換基は同じであることが好ましく、また、R102a〜R102dの4つの置換基は同じであることが好ましい。
すなわち、R101aとR102a、R101bとR102b、R101cとR102c、R101dとR102dの組合せは同じであることが好ましい。
そして、R101aとR102a、R101bとR102b、R101cとR102c、R101dとR102dの組合せが同じである場合、R101aとR102a、R101bとR102b、R101cとR102c、R101dとR102dの2つの置換基の位置関係が異なる4種類の異性体が存在する。
上記一般式(1)は、4種類の異性体を全て含むことを意味している。また、本発明のテトラアザポルフィリン化合物にはこれらの異性体のうち1つのみが含まれていてもよく、複数種類が混合物として含まれていてもよい。
直鎖、分岐又は環状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−へプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基等の直鎖状アルキル基;
イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、2−メチルブチル基、1−メチルブチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、4−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、3−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−エチルブチル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、1−エチルペンチル基、2,4−ジメチルペンチル基、2−エチルヘキシル基、2,5−ジメチルヘキシル基、2,5,5−トリメチルペンチル基、2,4−ジメチルヘキシル基、2,2,4−トリメチルペンチル基、1,1−ジメチルヘキシル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、4−エチルオクチル基、4−エチル−4,5−ジメチルヘキシル基、1,3,5,7−テトラメチルオクチル基、4−ブチルオクチル基、6,6−ジエチルオクチル基、6−メチル−4−ブチルオクチル基、3,5−ジメチルヘプタデシル基、2,6−ジメチルヘプタデシル基、2,4−ジメチルヘプタデシル基、2,2,5,5−テトラメチルヘキシル基等の分岐状アルキル基;
シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−シクロペンチル−2,2−ジメチルプロピル基、1−シクロペンチル−2,2−ジメチルプロピル基、1−シクロヘキシル−2,2−ジメチルプロピル基等の環状のアルキル基(シクロアルキル基);が挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜10の直鎖又は分岐のアルキル基が好ましく、tert−ブチル基がより好ましい。
なお、下記一般式(R1)には、上記した置換基を有していてもよいアリール基のうち、下記一般式(R1)に該当する基も含まれる。
一般式(R1)のR601a〜R601eとしての置換基を有していてもよいアリール基としては、R101a〜R101d及びR102a〜R102dの例として挙げた置換基を有していてもよいアリール基が挙げられる。
具体的にはフェニル基、ニトロフェニル基、シアノフェニル基、ヒドロキシフェニル基、カルボキシフェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、N,N−ジメチルアミノフェニル基、ナフチル基、ニトロナフチル基、シアノナフチル基、ヒドロキシナフチル基、メチルナフチル基、フルオロナフチル基、クロロナフチル基、ブロモナフチル基、トリフルオロメチルナフチル基等のアリール基が挙げられる。
アルコキシ基の水素原子の一部又は全部がハロゲンで置換されているものとして、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、1,1,2,2,2−ペンタフルオロエトキシ基、1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ基、1,1,2−トリフルオロエトキシ基、1,2,2−トリフルオロエトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、2,2−ジフルオロエトキシ基、1,2−ジフルオロエトキシ基、1,1−ジフルオロエトキシ基、2−フルオロエトキシ基、1−フルオロエトキシ基、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロポキシ基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロポキシ基、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−1−ブトキシ基、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロ−1−ブトキシ基、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンチルオキシ基、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロ−1−ヘキシルオキシ基、4,4,5,5,6,6,7,7,7−ノナフルオロ−1−ヘプチルオキシ基、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロ−1−ヘプチルオキシ基、7,7,8,8,8−ペンタフルオロ−1−オクチルオキシ基、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロ−1−オクチルオキシ基、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9−ヘキサデカフルオロ−1−ノニルオキシ基、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−トリデカフルオロ−1−ノニルオキシ基、7,7,8,8,9,9,10,10,10−ノナフルオロ−1−デシルオキシ基、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロ−1−デシルオキシ基、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ペンタデカフルオロ−1−デシルオキシ基、7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,12−トリデカフルオロ−1−ドデシルオキシ基、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,12−ヘニコサフルオロ−1−ドデシルオキシ基、7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,13,13,14,14,14−ヘプタデカフルオロ−1−テトラデシルオキシ基、1H,1H,2,5−ビス(トリフルオロメチル)−3,6−ジオキサウンデカフルオロ−1−ノニルオキシ基、6−(ペルフルオロ−1−メチルエチル)−1−ヘキシルオキシ基、2−(ペルフルオロ−1−メチルブチル)−1−エトキシ基、2−(ペルフルオロ−3−メチルブチル)エトキシ基、2−(ペルフルオロ−7−メチルオクチル)エトキシ基、2H−ヘキサフルオロ−2−プロポキシ基、2,2−ビス(トリフルオロメチル)−1−プロポキシ基等が挙げられる。
具体的には、フェノキシ基、1−ナフトキシ基、2−ナフトキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、2−メトキシフェノキシ基、4−イソプロピルフェノキシ基等が挙げられる。
置換基を有していてもよいアリールオキシ基における置換基は特に限定されず、例えば、炭素数1〜8の直鎖、分岐又は環状のアルキル基、炭素数1〜8の直鎖、分岐又は環状のアルコキシ基、アミノ基、モノ−又はジ−アルキルアミノ基(アルキル基の炭素数は1〜8)、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基等が挙げられる。
具体的な例としては、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2,3−ジフルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,5−ジフルオロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、3,4−ジフルオロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基、2,3,5,6−テトラフルオロフェニル基、2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル基、2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2,3−ジクロロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、2,6−ジクロロフェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、2,4,6−トリクロロフェニル基、2,3,5,6−テトラクロロフェニル基、2,3,4,5,6−ペンタクロロフェニル基、2−ブロモフェニル基、3−ブロモフェニル基、4−ブロモフェニル基、2,3−ジブロモフェニル基、2,4−ジブロモフェニル基、2,5−ジブロモフェニル基、2,6−ジブロモフェニル基、3,4−ジブロモフェニル基、3,5−ジブロモフェニル基、2,4,6−トリブロモフェニル基、2,3,5,6−テトラブロモフェニル基、2,3,4,5,6−ペンタブロモフェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラメチルフェニル基、2,3,4,5,6−ペンタメチルフェニル基、2−トリフルオロメチルフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、2,3−ジトリフルオロメチルフェニル基、2,4−ジトリフルオロメチルフェニル基、2,5−ジトリフルオロメチルフェニル基、2,6−ジトリフルオロメチルフェニル基、3,4−ジトリフルオロメチルフェニル基、3,5−ジトリフルオロメチルフェニル基、2,4,6−トリトリフルオロメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラトリフルオロメチルフェニル基、2,3,4,5,6−ペンタフルオロメチルフェニル基等が挙げられる。
そして、これらの中でも、2−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、2−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2,6−ジクロロフェニル基、2−ブロモフェニル基、4−ブロモフェニル基、2,4−ジブロモフェニル基、2,6−ジブロモフェニル基、2−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、2−トリフルオロメチルフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、2,4−ジトリフルオロメチルフェニル基、2,6−ジトリフルオロメチルフェニル基が好ましい。
とくに、R102a〜R102dがいずれも2−フルオロフェニル基であることが好ましい。
以下、軸配位子の構造の一部であるXとYの好ましい構造の例について説明する。
XとYは同じ基であってもよく、異なる基であってもよい。
一般式(X1)〜(X4)における*は酸素原子との結合部位である。
R301及びR302は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、
R401は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基又は置換基を有していてもよいアリールオキシ基を表し、
R501〜R503は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。
一般式(Y1)における*は酸素原子との結合部位である。
また、X又はYとしての置換基を有していてもよいアラルキル基としては、置換基を有していてもよいベンジル基、置換基を有していてもよいフェロセン等が挙げられる。例えば4−フルオロベンジル基、フェロセニルメチル基が挙げられる。
置換基を有していてもよいアルキル基及び置換基を有していてもよいアリール基としては、R101a〜R101d及びR102a〜R102dの例として挙げた置換基を有していてもよいアルキル基及び置換基を有していてもよいアリール基が挙げられる。置換基を有していてもよいアルコキシ基及び置換基を有していてもよいアリールオキシ基としては、一般式(R1)のR601a〜R601eとして挙げた置換基を有していてもよいアルコキシ基及び置換基を有していてもよいアリールオキシ基が挙げられる。
一般式(X1)におけるR201及び一般式(Y1)におけるR202としては、フェニル基、1−エチルペンチル基、3−ニトロフェニル基、4−カルボキシフェニル基、3−カルボキシフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、フェロセン等が好ましい。
置換基を有していてもよいアルキル基及び置換基を有していてもよいアリール基としては、R101a〜R101d及びR102a〜R102dの例として挙げた置換基を有していてもよいアルキル基及び置換基を有していてもよいアリール基が挙げられる。
置換基を有していてもよいアルキル基及び置換基を有していてもよいアリール基としては、R101a〜R101d及びR102a〜R102dの例として挙げた置換基を有していてもよいアルキル基及び置換基を有していてもよいアリール基が挙げられる。
置換基を有していてもよいアルコキシ基及び置換基を有していてもよいアリールオキシ基としては、一般式(R1)のR601a〜R601eとして挙げた置換基を有していてもよいアルコキシ基及び置換基を有していてもよいアリールオキシ基が挙げられる。
置換基を有していてもよいアルキル基及び置換基を有していてもよいアリール基としては、R101a〜R101d及びR102a〜R102dの例として挙げた置換基を有していてもよいアルキル基及び置換基を有していてもよいアリール基が挙げられる。
nが2以上の整数の場合、複数のR701は同じであってもよく、異なっていてもよい。
nが1である場合、酸素原子との結合部位*に対するR701の位置はp−位であることが好ましい。
R701aが置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基である場合、置換基を有していてもよいアルキル基及び置換基を有していてもよいアリール基としては、R101a〜R101d及びR102a〜R102dの例として挙げた置換基を有していてもよいアルキル基及び置換基を有していてもよいアリール基が挙げられる。
R701が含窒素ヘテロ環含有基である場合、ピペラジル基、モルホリル基、ピロリジル基であることが好ましい。
また、一般式(1)において、X及びYは、少なくともいずれか一方が一般式(2)で表される基であることが好ましく、両者ともそれぞれ独立に、一般式(2)で表される基であることがより好ましい。
一般式(1)において、X及びYは、両者とも3−ニトロフェニル基、4−カルボキシフェニル基、4−シアノフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基又はフェニル基であることがとりわけ好ましく、両者とも4−カルボキシフェニル基であることが特に好ましい。
テトラアザポルフィリン化合物の吸収極大波長は、テトラアザポルフィリン化合物のテトラアザポルフィリン骨格に結合する置換基を変更することによって変化させることができる。また、吸収極大波長の好ましい上限値は620nmであって、より好ましい上限値は615nmである。また、吸収極大波長の好ましい下限値は570nmであり、より好ましい下限値は575nmである。
吸収極大波長は分光光度計により測定することができる。
ベースラインの立ち上がり波長は、吸収極大波長における吸光度を1としたときに、長波長側からみて吸光度が0.01以上となる波長として定める。
そして、立ち上がり波長から吸収極大波長までの距離(波長幅)を求める。
本明細書において、半値幅とは半値全幅のことであり、吸収スペクトルにおいて吸収極大波長における吸光係数値の1/2の値にて引いた横軸に平行な直線と当該ピークとにより形成される2つの交点の間の距離(nm)で表される。
X及びYの少なくとも一方が一般式(2)で表される基であるとテトラアザポルフィリン化合物からの蛍光発光を抑制することができるため、色調に影響を与える余計な光が生じることが防止される。
蛍光強度は、蛍光分光光度計を用いて、吸収極大波長を励起波長として蛍光スペクトルを測定することにより評価することができ、蛍光強度が弱い方が好ましい。
まず、下記一般式(4)で示される1,2−ジシアノエチレン化合物のシス体から、下記一般式(5)で示されるジイミノイソピロール誘導体を得る。
一般式(4)で示される1,2−ジシアノエチレン化合物のシス体を得る方法は特開平11−043619号公報に記載の方法を使用することができ、一般式(5)で示されるジイミノイソピロール誘導体を得る方法は特開平02−000665号公報に記載の方法を使用することができる。
ここで得られるテトラアザポルフィリン化合物はSiの軸配位子がOH基である化合物(一般式(1)におけるXとYとがいずれもHである化合物)である。
例えば、カルボン酸やフェノール類を加えることによりカルボキシ基又はフェノール性ヒドロキシ基とSiの軸配位子のOH基との間で脱水縮合を生じさせて、XとYとを水素原子から他の置換基に置換することができる。
具体的には、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、ニトロ安息香酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フェノール、エチルヘキサン酸、レゾルシノール、フロログルシノール、3,5−ジフルオロフェノール、1−(4−ヒドロキシフェニル)ピペラジン、2,6−ジメチルヒドロキノン、トリメチルヒドロキノン、4−フルオロベンジルアルコール、4−t−ブチルフェノール、3−ニトロフェノール、4−シアノフェノール、4−トリフルオロメチルフェノール等が挙げられる。
また、上記置換に用いる化合物としてヒドロキシ基やカルボキシ基を有するフェロセン類を使用してもよい。具体的にはヒドロキシメチルフェロセン、フェロセンカルボン酸等が挙げられる。
以下で、得られた化合物の物性を測定する際に使用した機器及び測定条件は次の通りである。
<1H NMR>
日本電子(株)製 JNM−ECZ400S
<LC−TOF/MS>
ブルカー・ダルトニクス製 micrOTOF2−kp (ESI法)
特開平11−043619号公報に記載の方法と同様にして得た2−tert−ブチル−3−(2−フルオロフェニル)マレオニトリル(11.4g)から、特開平02−000665号公報に記載の方法と同様にして、ジイミノイソピロール誘導体(8.2g)を得た。
冷却管、温度計、攪拌機を取り付けた反応器に、キノリン(20ml)、SiCl4(2.38g)を仕込み、120℃でジイミノイソピロール誘導体2.45gを加え、150℃で3時間反応させた。反応液を80℃で希塩酸に投入して析出物を濾別し、メタノールで洗浄して、化合物1を0.8g得た。
冷却管、温度計、攪拌機を取り付けた25ml反応器に、化合物1(2.0g)、メシチレン(10ml)、安息香酸(1.5g)を仕込み、2時間還流させた。放冷して反応液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物2を1.2g得た。
LC−TOF/MS:m/z=1205[M+Na]+
化合物2の合成における安息香酸を、エチルヘキサン酸に変更した以外は同様にして、化合物3を1.6g得た。
LC−TOF/MS:m/z=1249[M+Na]+
化合物2の合成における安息香酸を、3−ニトロ安息香酸に変更した以外は同様にして、化合物4を1.4g得た。
LC−TOF/MS:m/z=1295[M+Na]+
化合物2の合成における安息香酸を、4−ヒドロキシ安息香酸に変更した以外は同様にして、化合物5を1.2g得た。
1H NMR(400MHz,THF−d8):δ(ppm)=1.74−2.24(m,40H),6.62−6.68(m,4H),7.22−7.90(m,17H),10.56(s,1H)
化合物2の合成における安息香酸を、フェノールに変更した以外は同様にして、化合物6を1.0g得た。
LC−TOF/MS:m/z=1149[M+Na]+
化合物2の合成における安息香酸を、テレフタル酸に変更し、メシチレンをジメチルアセトアミドに変更した以外は同様にして、化合物7を0.6g得た。
LC−TOF/MS:m/z=1293[M+Na]+
化合物2の合成における安息香酸を、イソフタル酸に変更し、メシチレンをジメチルアセトアミドに変更した以外は同様にして、化合物8を0.5g得た。
LC−TOF/MS:m/z=1293[M+Na]+
一般式(1)におけるX及びYは下記表1の通りである。
表1における*は酸素原子との結合部位を表す。
各化合物2〜8及び比較化合物P1、P2のクロロホルム中での吸収スペクトルを測定し、得られたスペクトルから吸収極大波長(λmax)、立ち上がり波長、立ち上がり波長から吸収極大波長までの距離(波長幅)、吸収極大波長における半値幅を求めた。
立ち上がり波長は、570〜620nmの範囲の吸収極大波長における吸光度を1としたときに、長波長側からみて吸光度が0.01以上となる波長とする。
立ち上がり波長から吸収極大波長までの距離(波長幅)は下記基準により評価した。
評価A:立ち上がり波長から吸収極大波長までの距離が40nm未満
評価B:立ち上がり波長から吸収極大波長までの距離が40nm以上
測定機器としては日本分光社製紫外可視分光光度計V−560を用いた。
測定結果を表2にまとめて示した。
これらの図及び表から、各化合物2〜6では、比較化合物P1、P2と比べて、裾野部分も含めて特にシャープな吸収スペクトルを有することが明らかである。
化合物5、6及び1につき、吸収スペクトルを測定したときに吸収極大における吸光度が1となるように、該化合物のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を調製し、吸収極大波長を励起波長として蛍光スペクトルを測定して蛍光強度を求め、下記基準により評価した。結果を表3に示した。
評価A:化合物1の蛍光強度を1としたときの化合物の蛍光強度比が0.1未満
評価B:化合物1の蛍光強度を1としたときの化合物の蛍光強度比が0.1以上1未満
評価C:化合物1の蛍光強度を1としたときの化合物の蛍光強度比が1以上
測定機器:堀場製作所社製蛍光分光光度計FluoroMax−4
化合物1は一般式(1)におけるXとYとのいずれもが水素原子である本発明以外のテトラアザポルフィリン化合物である。
この結果から、XとYが一般式(2)で表される基であるとテトラアザポルフィリン化合物からの蛍光発光を抑制することができることがわかる。
(化合物9の合成)
冷却管、温度計、攪拌機を取り付けた25ml反応器に、化合物1(0.20g)、ジグリム(5.5g)、レゾルシノール(0.23g)を仕込み、150℃で2時間攪拌させた。放冷して反応液を20%食塩水30gに滴下し、析出した固体をろ取し、水でかけ洗いした。固体を水で分散洗浄したのち、40℃の減圧オーブンで乾燥させ、化合物9を0.23g得た。
LC/MS:m/z=1158[M−H]−
化合物9の合成におけるレゾルシノールを、フロログルシノールに変更した以外は同様にして、化合物10を0.24g得た。
LC/MS:m/z=1189[M−H]−
化合物9の合成におけるレゾルシノールを、3,5−ジフルオロフェノールに変更した以外は同様にして、化合物11を0.20g得た。
LC/MS:m/z=1198[M−H]−
化合物9の合成におけるレゾルシノールを、1−(4−ヒドロキシフェニル)ピペラジンに変更した以外は同様にして、化合物12を0.23g得た。
LC/MS:m/z=1294[M−H]−
化合物9の合成におけるレゾルシノールを、2,6−ジメチルヒドロキノンに変更した以外は同様にして、化合物13を0.20g得た。
LC/MS:m/z=1214[M−H]−
化合物9の合成におけるレゾルシノールを、トリメチルヒドロキノンに変更した以外は同様にして、化合物14を0.21g得た。
LC/MS:m/z=1242[M−H]−
化合物9の合成におけるレゾルシノールを、4−フルオロベンジルアルコールに変更した以外は同様にして、化合物15を0.13g得た。
LC/MS:m/z=1190[M−H]−
化合物9の合成におけるレゾルシノールを、ヒドロキシメチルフェロセンに変更した以外は同様にして、化合物16を0.20g得た。
LC/MS:m/z=1370[M−H]−
化合物9の合成におけるレゾルシノールを、フェロセンカルボン酸に変更した以外は同様にして、化合物17を0.29g得た。
LC/MS:m/z=1398[M−H]−
冷却管、温度計、撹拌機を取り付けた反応器に、化合物1を9.0g、トルエン 20ml、4−t−ブチルフェノール 8.1gを仕込み100℃で3時間反応させた。シリカゲルカラムで精製して、化合物18(6.3g)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3):δ(ppm)=0.77−1.31(m,18H),1.63−2.28(m,40H),5.85−6.38(m,4H),7.10−7.94(m,16H)
冷却管、温度計、撹拌機を取り付けた反応器に、化合物1を1.5g、トルエン 20ml、3−ニトロフェノール 2.8gを仕込み100℃で0.5時間反応させた。シリカゲルカラムで精製して、化合物19(1.0g)を得た。
LC−TOF/MS:m/z=1239.4263[M+Na]+(計算値1239.4295)
冷却管、温度計、撹拌機を取り付けた反応器に、化合物1を1.9g、トルエン 10ml、3−ヒドロキシ安息香酸 3.3gを仕込み還流下0.5時間反応させた。水/酢酸エチルに放出し析出物をろ過して取りだし後、DMFに溶解して白土、シリカゲルを加え処理して化合物20(1.5g)を得た。
LC−TOF/MS:m/z=1237.4340[M+Na]+(計算値1237.4390)
冷却管、温度計、撹拌機を取り付けた反応器に、化合物1を1.5g、トルエン 15ml、4−シアノフェノール 3.0gを仕込み、100℃で20分反応させ、室温に冷ました。不溶物をろ過して取り除き、シリカゲルカラムで精製して、化合物21(0.7g)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3):δ(ppm)=1.61−2.20(m,40H),6.20−6.26(m,4H),7.13−7.89(m,16H)
冷却管、温度計、撹拌機を取り付けた反応器に、化合物1を1.5g、トルエン 15ml、4−トリフルオロメチルフェノール 3.0gを仕込み、100℃で20分反応させた。不溶物をろ過して取り除き、シリカゲルカラムで精製して、化合物22(1.6g)を得た。
LC−TOF/MS:m/z=1285.4321[M+Na]+(計算値1285.4341)
一般式(1)におけるX及びYは下記表4及び表5の通りである。
表4及び表5における*は酸素原子との結合部位を表す。
各化合物9、10、11、14、17〜22及び比較化合物P1、P2のクロロホルム中での吸収スペクトルを測定し、得られたスペクトルから吸収極大波長(λmax)、立ち上がり波長、立ち上がり波長から吸収極大波長までの距離(波長幅)、吸収極大波長における半値幅を求めた。
立ち上がり波長は、570〜620nmの範囲の吸収極大波長における吸光度を1としたときに、長波長側からみて吸光度が0.01以上となる波長とする。
立ち上がり波長から吸収極大波長までの距離(波長幅)は下記基準により評価した。
評価A:立ち上がり波長から吸収極大波長までの距離が40nm未満
評価B:立ち上がり波長から吸収極大波長までの距離が40nm以上
測定機器としては日本分光社製紫外可視分光光度計V−560を用いた。
測定結果を表6にまとめて示した。
これらの図及び表から、各化合物では、比較化合物P1、P2と比べて、裾野部分も含めて特にシャープな吸収スペクトルを有することが明らかである。
Claims (8)
- 下記一般式(1)で表される構造のテトラアザポルフィリン化合物。
Xは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基又は下記一般式(X1)〜(X4)で表される基を表し、
R301、R302は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、
R401は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基又は置換基を有していてもよいアリールオキシ基を表し、
R501〜R503は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、
一般式(X1)〜(X4)及び一般式(Y1)における*は酸素原子との結合部位を表す。) - Xは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基又は上記一般式(X1)〜(X4)で表される基を表し、
Yは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基又は上記一般式(Y1)で表される基を表し、
R201、R202は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基又は置換基を有していてもよいアリールオキシ基を表す請求項1に記載の化合物。 - 一般式(1)において、XとYがそれぞれ独立に、いずれも一般式(2)で表される基である、請求項3に記載の化合物。
- 一般式(1)において、R101a〜R101dが、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい直鎖又は分岐のアルキル基である、請求項1〜4のいずれかに記載の化合物。
- 一般式(R1)のR601a〜R601eのうち少なくとも1つは、水素原子以外の基である、請求項6に記載の化合物。
- 吸収極大波長が570〜620nmである請求項1〜7のいずれかに記載の化合物。
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