JP4257052B2 - ビナフトール誘導体及びその製造方法 - Google Patents
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- Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶のキラル剤の中間体として有用な、新規であるビナフトール誘導体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、螺旋構造を有し、該螺旋の捻れ力(捻れ角)により多彩な選択反射色を示すコレステリック液晶等の液晶材料が注目され、しかも該液晶材料がその選択反射性や選択反射光の色純度に優れることから、光学フィルム、液晶カラーフィルタ、あるいは記録媒体等に広く使用されている。
【0003】
コレステリック液晶としては、ネマチック液晶に光学活性化合物(キラル剤)を添加する態様が知られており、当該キラル剤としてビナフトール誘導体が知られている。特に本出願人より、2,2’−位に、エステル基を有するビナフチル誘導体が、コレステリック液晶の螺旋構造を誘起するのに好適であることが示されている。(特願2000−381003号)
【0004】
このような構造を有するビナフチル誘導体を合成するには、1,1'−ビ−2−ナフトール誘導体の2つの水酸基を連結する方法が考えられるが、その様な1,1'−ビ−2−ナフトール誘導体は多くは知られていないのが現状である。
また、ビナフトール誘導体の6,6'位に置換基を伸長する方法として、6,6'−ジホルミル体を出発原料として用い、Knovenagel反応を行なう方法が、Liquid Crystal 1996,21,327に開示されているが、当該6,6'−ジホルミル体を合成するには、6,6'−ジブロモ体をnBuLi等の有機金属試薬を用いてリチオ化し、次いでDMF等によりホルミル化しなければならず、工業的生産性の低いものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来における諸問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、コレステリック液晶の螺旋構造を誘起するのに好適であるビナフチル誘導体の中間体である、ビナフトール誘導体及びその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討の結果、新規なビナフトール誘導体及びその製造方法が前記課題を解決することを見出し本発明をするに至った。
即ち、本発明は、
【0007】
<1> 下記一般式(1)で表されるビナフトール誘導体である。
【0008】
【化5】
【0009】
〔式中、R1、R2は、各々独立にアルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、シアノ基、アリール基、複素環基、カルボキシル基を表す。R3、R4は、各々独立に水素原子、アルキル基、アルコキシカルボニル基を表す。R5、R6は、各々独立に水素原子、アリール基、複素環基、アルキル基を表す。R7、R8は、水素原子を表す。〕
【0010】
<2> 下記一般式(2)で表される化合物、および下記一般式(3)で表される化合物と、下記一般式(4)で表される化合物と、をパラジウム触媒存在下で反応させて、<1>に記載のビナフトール誘導体を製造することを特徴とするビナフトール誘導体の製造方法である。
【0011】
【化6】
【0012】
〔式中、R1、R2は、各々独立にアルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、シアノ基、アリール基、複素環基、カルボキシル基を表す。R3、R4は、各々独立に水素原子、アルキル基、アルコキシカルボニル基を表す。R5、R6は、各々独立に水素原子、アリール基、複素環基、アルキル基を表す。R7、R8は、水素原子を表す。Xは、各々独立に臭素、沃素を表す。〕
【0013】
<3> 下記一般式(5)で表されるビナフトール誘導体のR9、R10を、水素原子に置換することにより下記一般式(6)で表されるビナフトール誘導体を製造することを特徴とするビナフトール誘導体の製造方法である。
【0014】
【化7】
【0015】
〔式中、R1、R2は、各々独立にアルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、シアノ基、アリール基、複素環基、カルボキシル基を表す。R3、R4は、各々独立に水素原子、アルキル基、アルコキシカルボニル基を表す。R5、R6は、各々独立に水素原子、アリール基、複素環基、アルキル基を表す。R9、R10は、各々独立にアルキル基、トリアルキルシリル基を表す。〕
【0016】
<4> 前記一般式(5)で表されるビナフトール誘導体が、下記一般式(2)で表される化合物および下記一般式(3)で表される化合物と、下記一般式(7)で表される化合物と、をパラジウム触媒存在下で反応させることにより、製造されていることを特徴とする<3>に記載のビナフトール誘導体の製造方法である。
【0017】
【化8】
【0018】
〔式中、R1、R2は、各々独立にアルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、シアノ基、アリール基、複素環基、カルボキシル基を表す。R3、R4は、各々独立に水素原子、アルキル基、アルコキシカルボニル基を表す。R5、R6は、各々独立に水素原子、アリール基、複素環基、アルキル基を表す。R 9 、R 10 は、各々独立にアルキル基、トリアルキルシリル基を表す。Xは、各々独立に臭素原子、沃素原子を表す。〕
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明のビナフトール誘導体は、前記一般式(1)で表されるビナフトール誘導体である。
以下、前記ビナフトール誘導体について、詳細に説明する。
一般式(1)中、R1、R2は、各々独立にアルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、シアノ基、アリール基、複素環基、カルボキシル基を表し、中でもアルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリール基、シアノ基が好ましく、特にアルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基が好ましい。また、R1とR2とは同一であることが好ましい。
【0020】
一般式(1)中、R1、R2で表されるアルコキシカルボニル基は、置換基を有していてもよく、総炭素数2〜30のものが好ましく、特に2〜20のものが好ましい。前記置換基としては、ハロゲン原子、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、シアノ基が好ましく、中でも特にハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基が好ましい。
このようなアルコキシカルボニル基の例としては、メトキシカルボニル基、デシルオキシカルボニル基、トリフルオロエトキシカルボニル基、メトキシエトキシカルボニル基、アセチルオキシエトキシカルボニル基等が挙げられる。
【0021】
一般式(1)中、R1、R2で表されるアリールオキシカルボニル基は、置換基を有していてもよく、総炭素数5〜40のものが好ましく、特に5〜30のものが好ましい。前記置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、シアノ基が好ましく、中でも特にハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ、シアノ基が好ましい。
このようなアリールオキシカルボニル基の例としては、フェノキシカルボニル基、ビフェニルオキシカルボニル基、β−ナフチルオキシカルボニル基、4−フェノキシカルボニルフェノキシカルボニル基、メトキシフェノキシカルボニル基等が挙げられる。
【0022】
一般式(1)中、R1、R2で表されるアリール基は、置換基を有していてもよく、総炭素数6〜40のものが好ましく、特に6〜30のものが好ましい。前記置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、シアノ基が好ましく、中でも特にハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基およびアシルオキシ基が好ましい。
このようなアリール基の例として、フェニル基、β−ナフチル基、4−メチルフェニル基、4−ビニルフェニル基、4−ブチルオキシフェニル基、4−ベンゾイルオキシフェニル基等が挙げられる。
【0023】
一般式(1)中、R1、R2で表される複素環基は、置換基を有していてもよく、総炭素数4〜40のものが好ましく、特に4〜30のものが好ましい。前記置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、シアノ基が好ましく、中でも特にハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基およびアシルオキシ基が好ましい。
このような複素環基としては、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、ベンゾフリル基が好ましく、特にピリジル基、ピリミジニル基(2−ピリミジニル基等)が好ましい。
【0024】
一般式(1)中、R1、R2で表されるカルバモイル基は、−CON(Ra)(Rb)で表わされるものが好ましく、RaおよびRbはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アリール基を表わす。
前記アルキル基は、置換基を有していてもよく、総炭素数1〜30のものが好ましく、特に1〜20のものが好ましい。前記置換基としては、ハロゲン原子、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、シアノ基が好ましく、中でも特にハロゲン原子、アルコキシ基およびアシルオキシ基が好ましい。
このようなアルキル基の例として、メチル基、ペンチル基、シクロヘキシル基、トリフルオロメチル基、ベンジル基、アリル基、メトキシエチル基、アセチルオキシメチル基等が挙げられる。
【0025】
また、前記アリール基は、置換基を有していてもよく、総炭素数6〜40のものが好ましく、特に6〜30のものが好ましい。前記置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、シアノ基が好ましく、中でも特にハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基およびアシルオキシ基が好ましい。
このようなアリール基の例として、フェニル基、β−ナフチル基、4−メチルフェニル基、4−ビニルフェニル基、4−ブチルオキシフェニル基、4−ベンゾイルオキシフェニル基等が挙げられる。
前記のごときカルバモイル基の具体例としては、N,N−ジエチルカルバモイル基、N−ドデシルカルバモイル基、N,N−ジフェニルカルバモイル基、N−(4−ブトキシフェニル)カルバモイル基、N−メチル−N−(4−メチルフェニル)カルバモイル基等が挙げられる。
【0026】
一般式(1)中、R3、R4は、各々独立に水素原子、アルキル基、アルコキシカルボニル基を表し、中でも水素原子、無置換のアルキル基が好ましく、特に水素原子が好ましい。また、R3とR4とは同一であることが好ましい。
【0027】
一般式(1)中、R3、R4で表されるアルキル基は、置換基を有していてもよく、総炭素数1〜30のものが好ましく、特に1〜20のものが好ましい。前記置換基としては、ハロゲン原子、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、シアノ基が好ましく、中でも特にハロゲン原子、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基が好ましいが、既述の通り、無置換であることが好ましい。
このようなアルキル基の例としては、メチル基、ペンチル基、シクロヘキシル基、トリフルオロメチルベンジル基、ベンジル基、アリル基、メトキシエチル基、エトキシカルボニルメチル基等が挙げられる。
【0028】
一般式(1)中、R3、R4で表されるアルコキシカルボニル基は、R1、R2で表されるアルコキシカルボニル基と同様である。
【0029】
一般式(1)中、R5、R6は、各々独立に水素原子、アリール基、複素環基、アルキル基を表し、中でも水素原子、アリール基が好ましく、特に水素原子が好ましい。また、R5とR6とは同一であることが好ましい。
【0030】
一般式(1)中、R5、R6で表されるアリール基は、置換基を有していてもよく、総炭素数6〜40のものが好ましく、特に6〜30のものが好ましい。前記置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、シアノ基が好ましく、中でも特にアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基が好ましい。
このようなアリール基の例として、フェニル基、β−ナフチル基、4−メチルフェニル基、4−ビニルフェニル基、4−ブチルオキシフェニル基、4−ベンゾイルオキシフェニル基等が挙げられる。
【0031】
一般式(1)中、R5、R6で表される複素環基は、置換基を有していてもよく、総炭素数4〜40のものが好ましく、特に4〜30のものが好ましい。前記置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、シアノ基が好ましく、中でも特にアルキル基、アルケニル基およびアルコキシ基が好ましい。
このような複素環基としては、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、ベンゾフラニル基が好ましく、特にピリジル基、ピリミジニル基(2−ピリミジニル基等)が好ましい。
【0032】
一般式(1)中、R5、R6で表されるアルキル基は、R3、R4で表されるアルキル基と同様である。
【0036】
以下に、前記一般式(1)で表されるビナフトール化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、以下の具体例中、No.2−1〜2−20、3−1〜3−4は、参考例である。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
【表4】
【0041】
【表5】
【0042】
前記一般式(1)で表されるビナフトール誘導体の製造方法について説明する。前記一般式(1)で表されるビナフトール誘導体の製造方法は、下記の反応式によって表される。
【0043】
【化9】
【0044】
一般式(2)中のR1、R3、R5は、一般式(1)中のR1、R3、R5と同一である。
また、一般式(3)中のR2、R4、R6は、一般式(1)中のR2、R4、R6と同一である。
【0045】
さらに、一般式(4)中のR7、R8は、一般式(1)中のR7、R8と同一である。
一方、一般式(4)中のXは、各々独立に臭素、沃素を表し、中でも臭素が好ましい。
【0046】
前記、一般式(1)で表されるビナフトール誘導体の製造方法は、ハロゲン化アリールと、オレフィンとのカップリング反応である。
前記カップリング反応は、反応を加速するために、パラジウム触媒、塩基、溶媒、必要に応じてその他の添加剤を共存させて行うことが好ましい。尚、前記カップリング反応の詳細は、Organic Reactions 27,345(1982)に記載の方法等を用いることが出来る。
【0047】
また、一般式(2)及び一般式(3)の化合物は、一般式(4)の化合物に対して、それぞれ1.0〜5.0当量用いるのが好ましく、特に1.0〜2.0当量用いるのが好ましい。
【0048】
前記パラジウム触媒としては、いわゆる0価パラジウム触媒、2価パラジウム触媒の何れでもよく、具体的には、Pd(PPh3)4、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、Pd(OAc)2、PdCl2、PdCl2(PPh3)2等が挙げられる。
また、前記パラジウム触媒の添加量は、一般式(4)の化合物に対して、0.005〜0.3当量添加するのが好ましく、特に0.01〜0.2当量添加するのが好ましい。
【0049】
前記塩基は、無機塩基及び有機塩基の何れでもよく、具体的には、炭酸カルシウム、トリエチルアミン、トリブチルアミン、酢酸カリウム等が挙げられる。
また、塩基の添加量は、一般式(4)の化合物に対して、2.0〜10.0当量添加するのが好ましく、特に2.0〜5.0当量添加するのが好ましい。
【0050】
前記溶媒は、DMF(ジメチルホルムアミド)、DMAc(ジメチルアセトアミド)、アセトニトリル、トルエンが好ましく、特にDMF、トルエンが好ましい。
また、溶媒の添加量は、一般式(4)の化合物1モルに対して、1.0〜10.0L添加するのが好ましく、特に1.0〜5.0L添加するのが好ましい。
【0051】
前記その他の添加剤としては、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル等のホスフィン系の配位子;テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムクロリド等の4級アンモニウム塩;硝酸銀等の金属塩を用いることが出来る。
【0052】
前記その他の添加剤の添加量は、それぞれの役割に応じて適宜調整することが好ましい。例えば、ホスフィン系の配位子の場合は、一般式(4)の化合物に対して、0.01〜0.4当量添加するのが好ましく、特に0.05〜0.3当量添加するのが好ましい。
又、4級アンモニウム塩の場合は、一般式(4)の化合物に対して、1.0〜5.0当量用いるのが好ましく、特に2.0〜4.0当量添加するのが好ましい。
【0053】
金属塩の場合は、一般式(4)の化合物に対して、1.0〜5.0当量添加するのが好ましく、特に2.0〜4.0当量添加するのが好ましい。
また、反応温度は、20℃〜200℃が好ましく、特に50℃〜120℃が好ましい。
【0054】
ビナフトール誘導体の製造方法としては、6,6'−ジホルミル体を出発原料として、ビナフトール誘導体の6,6'位に置換基を伸長する、Knovenagel反応が開示(Liquid Crystal 1996,21,327)されているが、前記Knovenagel反応により、前記一般式(1)で表される本発明のビナフトール誘導体を得るには、6,6'−ジブロモ体をnBuLi等の有機金属試薬を用いてリチオ化し、次いでDMF等によりホルミル化しなければならず、複雑な工程を必要とする。
一方、前記本発明のビナフトール誘導体の製造方法によれば、前記Knovenagel反応に比べ、少ない工程で、かつ高収率で前記一般式(1)で表される本発明のビナフトール誘導体を得ることが出来る。
【0055】
更に、前記一般式(1)中のR7又はR8が水素原子である、前記一般式(6)で表されるビナフトール誘導体の製造は、更に収率を高くするという観点から、前記一般式(1)中のR7又はR8が、水素原子の保護基であるアルキル基、トリアルキルシリル基からなる、前記一般式(5)で表されるビナフトール誘導体を、既述の本発明のビナフトール誘導体の製造方法により先ず製造し、次に前記一般式(5)で表されるビナフトール誘導体のR7又はR8で表されるアルキル基又はトリアルキルシリル基を、水素原子に置換して、下記一般式(6)で表されるビナフトール誘導体を製造する製造方法(以下、「保護基による製造方法」という場合がある。)であることが好ましい。前記保護基による製造方法によれば、より高収率で下記一般式(6)で表されるビナフトール誘導体を得ることが出来る。
【0056】
【化10】
【0057】
一般式(5)及び(6)中のR1〜R6は、一般式(1)中のR1〜R6と同一である。
一方、一般式(5)中のR9、R10は、各々独立にアルキル基、トリアルキルシリル基を表す。
【0058】
一般式(5)中、R9、R10で表されるアルキル基は、置換基を有していてもよく、総炭素数1〜30のものが好ましく、特に1〜20のものが好ましい。前記置換基としては、ハロゲン原子、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、シアノ基が好ましく、中でも特にアルケニル基、アルキルチオ基が好ましい。
このようなアルキル基の例としては、メチル基、ペンチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、アリル基、メトキシエチル基、メチルチオメチル基、メトキシメチル基、テトラヒドロピラン−2−イル基等が挙げられる。
【0059】
一般式(5)中、R9、R10で表されるトリアルキルシリル基は、それぞれのアルキル基が、同一であっても異なっていてもよく、置換基を有していてもよい。また、それぞれのアルキル基は、総炭素数1〜20のものが好ましく、特に1〜5のものが好ましい。前記置換基としては、アリール基、アルケニル基が好ましい。
このようなトリアルキルシリル基の例としては、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基等が挙げられる。
【0060】
一般式(5)又は(6)中のR9、R10は、1位がビニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基で置換されたアルキル基が好ましく、特に1位がビニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基で置換されたメチル基が好ましい。
【0061】
前記一般式(5)で表されるビナフトール誘導体の具体例としては、前記一般式(1)の具体例の内、No.2−1〜No.2−20、及びNo.3−1〜No.3−4が挙げられる。
一方、前記一般式(6)で表されるビナフトール誘導体の具体例としては、前記一般式(1)の具体例の内、No.1−1〜No.1−20が挙げられる。
【0062】
前記保護基による製造方法は、反応性が高い水素原子を保護基により保護して、ビナフトール誘導体の合成を行い、その後、保護基を水素原子に置換するものである。以下、保護基による製造方法を説明する。
保護基による製造方法ては、反応を加速するために、酸、求核剤、溶媒を共存させることが好ましい。
【0063】
前記酸としては、臭化水素酸、塩酸、硫酸、三臭化ホウ素等の無機酸;酢酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸何れでもよい。
前記求核剤としては、テトラブチルアンモニウムフルオリド、ヨウ化トリメチルシラン、トリフェニルホスフィン等が挙げられ、R9、R10の種類や性質によって適宜選択することが出来る。
前記溶媒としては、メタノール、エタノール、水、THF、アセトニトリル、酢酸等の水溶性の溶媒が好ましい。
【0064】
反応温度は、0℃〜100℃が好ましく、特に20℃〜90℃が好ましい。
前記保護基を水素原子へ置換する方法については、Protective Groups in Organic Synthesis(1981年,John Wiley&Sons社)のP87〜101に記載してある。
【0065】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0066】
(参考例1)例示化合物2−2の合成
(R)−6,6’−ジブロモ−2,2’−ジ(メトキシメトキシ)−1,1’−ビナフトール 11.3mmol(6g)、アクリル酸エチル 33.9mmol(3.7ml)、酢酸パラジウム 1.1mmol(0.25g)、炭酸カリウム 24.9mmol(3.4g)、テトラブチルアンモニウムブロミド 24.9mmol(7.9g)、トリエチルアミン 56.5mmol(7.8ml)及びDMF 55mlを混合し、外温100℃で4時間撹拌した。冷却後不溶物を濾過により除き、10%塩酸を加え、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製し、薄黄色固体である例示化合物2−2を10.2mmol(5.79g)得た。収率90%。
【0067】
1HNMR(CDCl3)解析により、δ8.00(2H,d),7.96(2H,s),7.80(2H,d),7.60(2H,d),7.40(2H,d),7.12(2H,d),6.44(2H,d),5.12(2H,d),5.00(2H,d),4.26(4H,q),3.16(6H,s),1.34(6H,t)の結果が得られ、目的化合物であることが確認出来た。
【0068】
(実施例1)例示化合物1−1の合成
例示化合物2−2 10.2mmoI(5.79g)とエタノール20mlを混合した中に濃塩酸3.4mlを加え、2時間還流した。不溶物を濾過により除き、10%塩酸を加え、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製し、得られた固体をヘキサン/酢酸エチルより再結晶して薄黄色固体である例示化合物1−1を8.4mmol(4.0g)得た。収率82%。
【0069】
1HNMR(CDCl3)解析により、δ8.00(2H,d),7.94(2H,s),7.70(2H,d),7.44(2H,d),7.40(2H,d),7.10(2H,d),6.30(2H,d),5.56(2H,s),4.24(4H,q),1.32(6H,t)の結果が得られ、目的化合物であることが確認出来た。
【0070】
(実施例2)例示化合物1−1の合成
(R)−6,6’−ジブロモ−1,1’−ビ−2−ナフトール11.3mmol(6g)、アクリル酸エチル24.9mmol(2.7ml)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム1.1mmol(1.27g)、トリエチルアミン56.5mmol(7.8ml)及びトルエン30mlを混合し、外温100℃で2時間撹拌した。冷却後不溶物を濾過により除き、10%塩酸を加え、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製し、得られた固体をヘキサン/酢酸エチルより再結晶して薄黄色固体である例示化合物1−1を4.1mmol(2.0g)得た。収率36%。
【0071】
1HNMR(CDCl3)解析により、δ8.00(2H,d),7.94(2H,s),7.70(2H,d),7.44(2H,d),7.40(2H,d),7.10(2H,d),6.30(2H,d),5.56(2H,s),4.24(4H,q),1.32(6H,t)の結果が得られ、目的化合物であることが確認出来た。
【0072】
【発明の効果】
本発明によれば、コレステリック液晶の螺旋構造を誘起するのに好適であるビナフチル誘導体の中間体である、ビナフトール誘導体及びその製造方法を提供することが出来る。
Claims (4)
- 下記一般式(2)で表される化合物および下記一般式(3)で表される化合物と、下記一般式(4)で表される化合物と、をパラジウム触媒存在下で反応させて、請求項1に記載のビナフトール誘導体を製造することを特徴とするビナフトール誘導体の製造方法。
- 前記一般式(5)で表されるビナフトール誘導体が、下記一般式(2)で表される化合物および下記一般式(3)で表される化合物と、下記一般式(7)で表される化合物と、をパラジウム触媒存在下で反応させることにより、製造されていることを特徴とする請求項3に記載のビナフトール誘導体の製造方法。
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