JP2023005404A - ピリジン誘導体の製造方法 - Google Patents

ピリジン誘導体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ピリジン誘導体を、高い収率で得ることのできる製造方法を提供する。【解決手段】互いに隣接した炭素に結合する1級アミノ基とカルボニル基を有する化合物(1)、特定のカルボニル化合物(2)および塩基性化合物を、溶媒の存在下で混合するピリジン誘導体の製造方法であって、前記塩基性化合物またはあらかじめ前記塩基性化合物を溶媒に溶解した溶液に、化合物(1)およびカルボニル化合物(2)を同時に添加して混合する、ピリジン誘導体の製造方法。特定の実施形態として、下式の1,3-ジフェナントロリニルベンゼンの製造が示される。TIFF2023005404000006.tif33160本発明によれば、特別な設備等を必要とすることなく、原料の自己縮合等の副反応を抑制し、目的物であるピリジン誘導体の収率を向上させることができる。【選択図】なし

Description

本発明は、ピリジン誘導体の製造方法に関する。
ピリジン誘導体は、農薬、医薬品、抗菌剤、色素材料、光学材料、電子情報材料またはそれらの製造中間体として重要な化合物であり、古くより多くの製造方法が知られている。ピリジン誘導体の製造方法の1つとして、o-アミノベンズアルデヒドとアセトアルデヒドを水酸化ナトリウムの存在下で脱水縮合させる反応が、フリードレンダーらによって1882年に報告されている(非特許文献1参照)。また、ヘテロアリール基への適用(例えば、非特許文献2、特許文献1参照)も報告されている。
特開2004-281390号公報
"Chemische Berichite"、(独)、1882年、Vol.15、p.2572-2575 "The Journal of Organic Chemistry"、(米)、1996年、vol.61、p.3017-3022
特許文献1には、8-アミノ-7-キノリンカルボアルデヒド、1,3-ジアセチルベンゼンおよび塩基性化合物を反応させてピリジン誘導体を得る方法が開示されている。また、非特許文献2には、予め混合した8-アミノ-7-キノリンカルボアルデヒドおよび1,3-ジアセチルベンゼンに、塩基性化合物を反応させてピリジン誘導体を得る方法が開示されている。しかしながら、これらの方法においては、8-アミノ-7-キノリンカルボアルデヒドが同一分子内にカルボニル基とアミノ基を有しており、塩基性化合物によってアミド化等の自己縮合が引き起こされること、1,3-ジアセチルベンゼンがカルボニル基のα位に水素を有しており、塩基性化合物によってアルドール縮合が進行することなどから、目的物のピリジン誘導体の収率が低下する課題があった。
そこで、本発明においては、ピリジン誘導体を、高い収率で得ることのできる製造方法を提供することを課題とする。
本発明は、下記一般式(1)で表される、互いに隣接した炭素に結合する1級アミノ基とカルボニル基を有する化合物、下記一般式(2)で表されるカルボニル基を有する化合物および塩基性化合物を、溶媒の存在下で混合する、下記一般式(3)で表されるピリジン誘導体の製造方法であって、
塩基性化合物またはあらかじめ前記塩基性化合物を溶媒に溶解した溶液に、下記一般式(1)で表される化合物および下記一般式(2)で表されるカルボニル化合物を同時に添加して混合するピリジン誘導体の製造方法である。
Figure 2023005404000001
前記一般式(1)~(3)中、Arは、置換されていてもよいアリーレン基またはヘテロアリーレン基を表す。R1は、水素、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基または水酸基を表し、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基は置換されていてもよい。R2およびR3は、それぞれ独立に、水素、アルキル基、アリール基、アラルキル基またはヘテロアリール基を表し、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基は置換されていてもよい。
本発明によれば、特別な設備等を必要とすることなく、原料の自己縮合等の副反応を抑制し、目的物であるピリジン誘導体の収率を向上させることができる。
本発明のピリジン誘導体の製造方法は、下記一般式(1)で表される、互いに隣接した炭素に結合する1級アミノ基とカルボニル基を有する化合物(以下、単に「一般式(1)で表される化合物」と記載する場合がある)、一般式(2)で表される、カルボニル基を有する化合物(以下、単に「一般式(2)で表される化合物」と記載する場合がある)および塩基性化合物を、溶媒の存在下で混合することにより、下記一般式(3)で表されるピリジン誘導体を得る方法である。
Figure 2023005404000002
前記一般式(1)、(3)中、Arは、置換されていてもよいアリーレン基またはヘテロアリーレン基を表す。R1は、水素、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基または水酸基を表し、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基は置換されていてもよい。
前記一般式(2)~(3)中、R2およびR3は、それぞれ独立に、水素、アルキル基、アリール基、アラルキル基またはヘテロアリール基を表し、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基は置換されていてもよい。
原料である一般式(1)で表される化合物は、互いに隣接した炭素に結合する1級アミノ基とカルボニル基を有するため、前述のとおり、塩基性化合物によってアミド化等の自己縮合が引き起こされやすい傾向にある。また、原料である一般式(2)で表される化合物は、カルボニル基のα位に水素を有しているため、前述のとおり、塩基性化合物によってアルドール縮合が進行しやすい傾向にある。そこで、本発明においては、あらかじめ塩基性化合物を溶媒に溶解した溶液に、一般式(1)で表される化合物および一般式(2)で表される化合物を同時に添加して混合することにより、特別な設備や特別な反応抑制剤を必要とすることなく、自己縮合などの副反応を抑制することができ、ピリジン誘導体の収率を大きく向上させることができることを見出した。ここで、塩基性化合物を溶媒に溶解した溶液に、一般式(1)で表される化合物および一般式(2)で表される化合物を同時に添加して混合する方法としては、例えば、塩基性化合物の溶液に、一般式(1)で表される化合物またはその溶液と、一般式(2)で表される化合物またはその溶液とを、同時に添加して混合する方法(第一の態様)、予め一般式(1)で表される化合物および一般式(2)で表される化合物を溶媒に溶解して溶液を準備し、これを塩基性化合物の溶液に添加して混合する方法(第二の態様)などが挙げられる。一般式(1)で表される化合物および一般式(2)で表される化合物の添加を容易に行う観点から、第二の態様が好ましい。
前記一般式(1)および(3)のアリーレン基とは、例えば、フェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、ナフチレン基、アントリレン基などの、2価の芳香族炭化水素基を示し、水素の少なくとも一部が置換されていてもよい。環形成炭素数は、6以上30以下が好ましい。
ヘテロアリーレン基とは、例えば、ピリジレン基、フラニレン基、チオフェニレン基、キノリレン基、ベンゾフラニレン基、カルバゾリレン基などの、炭素以外の原子を環内に有する2価の環状芳香族基を示し、水素の少なくとも一部が置換されていてもよい。環形成原子数は、6以上30以下が好ましい。
一般式(1)におけるArが-C(=O)R1および-NH以外に加えてさらに置換基を有する場合、置換基としては、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基などが挙げられる。
Arとしては、ヘテロアリーレン基が好ましい。
アルキル基とは、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基などの1価の飽和脂肪族炭化水素基を示し、水素の少なくとも一部が置換されていてもよい。アルキル基の炭素数は、1以上8以下が好ましい。
アリール基およびヘテロアリール基とは、前述のアリーレン基、ヘテロアリーレン基に対応する1価の芳香族炭化水素基、環状芳香族基を示し、水素の少なくとも一部が置換されていてもよい。
アラルキル基とは、例えば、フェニルメチル基、フェニルエチル基、トリルメチル基、キシリルメチル基などの、アルキル基の水素原子の1つがアリール基で置換されたアルキル基を示し、水素の少なくとも一部が置換されていてもよい。アラルキル基の炭素数は、1以上30以下が好ましい。
アルコキシ基とは、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基などの、アルキル基が酸素に結合した基を示し、水素の少なくとも一部が置換されていてもよい。アルコキシ基の炭素数は、1以上8以下が好ましい。
アリールオキシ基とは、例えば、フェニルオキシ基、1-ナフチルオキシ基、2-ナフチルオキシ基などの、ヒドロキシ基の水素原子がアリール基で置換された基を示し、水素の少なくとも一部が置換されていてもよい。炭素数は、6以上30以下が好ましい。
これらの基が置換される場合の置換基としては、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボニル基を有する基などが挙げられる。カルボニル基を有する基としては、例えば、ホルミル基、アセチル基、カルボキシル基などが挙げられる。
R1としては、カルボニル基への求核反応に対する立体障害を抑制し、次いで行われる環形成反応を速やかに進行させる観点から、水素、アルキル基が好ましく、水素がより好ましい。
一般式(1)で表される化合物は、例えば、“Organic Syntheses”、2012年、vol.89巻、p.274-282に記載のように、鉄と塩酸を使用して対応するニトロ化合物を還元して製造することができる。
前記一般式(2)および(3)において、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基としては、一般式(1)におけるR1として例示したものが挙げられる。
R2としては、塩基性化合物によるα水素の引き抜きに対する立体障害を抑制し、次いで行われる一般式(1)化合物のカルボニル基への求核反応を速やかに進行させる観点から、水素、アルキル基が好ましく、水素がより好ましい。
R3としては、置換基を有してもよいアリール基が好ましい。例えば、フェニル基であってその3位にアセチル基を有する場合、対称のピリジン誘導体を製造することができる。
一般式(2)で表される化合物としては、1,3-ジアセチルベンゼンが好ましく、例えば、東京化成工業(株)やシグマアルドリッチジャパン(株)などから入手することができる。
塩基性化合物としては、一般式(2)で表される化合物のプロトン引き抜き反応を起こすことが可能なものが好ましく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、水素化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、リン酸カリウム、フッ化カリウムなどの無機塩基;ノルマルブチルリチウム、セカンダリーブチルリチウム、ターシャリーブチルリチウムなどのアルキルリチウム;リチウムジイソプロピルアミド、リチウムジシクロヘキシルアミドなどのアルカリ金属アミド化合物;リチウムヘキサメチルジシラジド、ナトリウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジドなどのアルカリ金属ジシラジド化合物;メチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムブロミドなどのグリニャール試薬;ナトリウムメトキシド、カリウムターシャリーブトキシドなどの金属アルコキシド;トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジアザビシクロウンデセン、ピペリジン、ピリジン、ピコリン、ルチジンなどの有機塩基等が挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。本発明においては、求核性の小さい化合物が好ましく、水酸化カリウムが好ましい。
以下に、本発明のピリジン誘導体の製造方法について、例を挙げて説明する。本発明のピリジン誘導体の製造方法は、塩基性化合物またはあらかじめ前記塩基性化合物を溶媒に溶解した溶液に、前記一般式(1)で表される化合物および前記一般式(2)で表されるカルボニル化合物を同時に添加して混合する工程を有する。例えば、第一の態様の場合、第一の反応釜において塩基性化合物の溶液Aを調製し、第二の反応釜において一般式(1)で表される化合物の溶液Bを調製し、第三の反応釜において一般式(2)で表される化合物の溶液Cを調製する。そして、溶液Aに、溶液Bおよび溶液Cを同時に添加して混合する。一方、第二の態様の場合、第一の反応釜において塩基性化合物の溶液Aを調製し、第二の反応釜において一般式(1)で表される化合物および一般式(2)で表される化合物を溶媒に溶解した溶液Dを調製する。そして、溶液Aに、溶液Dを添加して混合する。本発明においては、第二の態様が好ましい。なお、塩基性化合物としてピリジンのような液体を用いる場合は、予め溶液にする必要はなく、液体の塩基性化合物に、一般式(1)で表される化合物および前記一般式(2)で表されるカルボニル化合物を同時に添加して混合してもよい。
塩基性化合物の溶液A、一般式(1)で表される化合物および一般式(2)で表される化合物の溶液に用いられる溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ニトロベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、tetr-ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジメトキシエタンなどのエーテル系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒;N,N-ジメチルホルムアミド;N-メチルピロリドン(NMP)などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これらの中でも、アルコール系溶媒が好ましく、70~80℃に加熱可能であり、無機塩の溶解性に優れることから、エタノールが好ましい。
塩基性化合物の溶液は、例えば、溶媒および塩基性化合物を撹拌混合することにより得ることができる。塩基性化合物の溶解性の観点から、撹拌混合時に加熱することが好ましく、加熱温度は、50℃以上、溶媒の沸点以下が好ましい。撹拌混合時間は、塩基性化合物が溶解する範囲で適宜選択することができる。
一般式(1)で表される化合物および一般式(2)で表される化合物の溶液D、例えば、溶媒、一般式(1)で表される化合物および一般式(2)で表される化合物を撹拌混合することにより得ることができる。撹拌混合は室温下で行ってもよいし、加熱してもよい。加熱温度は、一般式(1)で表される化合物および一般式(2)で表される化合物の溶解性の観点から、25℃以上が好ましい。一方、加熱温度は、一般式(1)で表される化合物および一般式(2)で表される化合物の安定性の観点から、40℃以下が好ましい。撹拌混合時間は、一般式(1)で表される化合物および一般式(2)で表される化合物が溶解する範囲で適宜選択することができる。
本発明においては、前記第二の態様が好ましい。すなわち、塩基性化合物溶液Aに、一般式(1)で表される化合物および一般式(2)で表される化合物の溶液Bを添加して混合することが好ましい。ここで、反応に供する塩基性化合物の量は、一般式(2)で表される化合物の3~10モル当量が好ましく、5~6モル当量がより好ましい。
塩基性化合物溶液Aを、反応が進行する温度に予め加熱しておくことが好ましい。例えば、前述の第二の態様において、溶液Aを予め70~80℃に加熱した後、溶液Dを添加して混合することが好ましい。これにより、目的の反応を効率よく進めることができ、ピリジン誘導体の純度および収率をより向上させることができる。
混合方法としては、撹拌混合が好ましい。また、溶液Dを、1~5時間程度かけて滴下することが好ましく、滴下時の内温は70~80℃を保持することが好ましい。
混合とともに、濃縮することが好ましく、ピリジン誘導体の純度および収率をより向上させることができる。濃縮方法としては、常圧濃縮が好ましく、例えば、常圧下、開放系において加熱しながら混合することにより、溶媒を蒸発させて濃縮する方法などが挙げられる。
濃縮温度は、溶媒の沸点に応じて適宜選択することができる。
本発明の製造方法により得られるピリジン誘導体は、農薬、医薬品、抗菌剤、色素材料、光学材料、電子情報材料やそれらの製造中間体として有用に用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下の各実施例および比較例において、ピリジン誘導体の純度は、HPLC(吸収波長:254nm)分析のピーク面積比(面積%)から算出した。また、ピリジン誘導体の収率は、1,3-ジアセチルベンゼンを基準として、得られた結晶mol数と純度の積から、純分収率として算出した。
実施例1
500mlのフラスコに、水酸化カリウム6.45g(97.7mmol)を秤量し、エタノール102.0gを加えて溶解し、70℃に加温した。1,3-ジアセチルベンゼン2.87g(17.7mmol)、8-アミノキノリン-7-カルバルデヒド6.40g(37.2mmol)およびエタノール76.0gを反応釜に仕込み、撹拌しながら30℃まで加温して1,3-ジアセチルベンゼンおよび8-アミノキノリン-7-カルバルデヒドを溶解させて調製した溶液を、70℃に加温した水酸化カリウムのエタノール溶液に、滴下ロートを用いて約3時間かけて滴下した。その後、70℃を維持して5時間撹拌混合した後、30℃に冷却した。イオン交換水123mlを約30分間かけて滴下し、結晶を析出させた。27kPaの減圧下、50℃で濃縮し、留出液175.3gを留出させた。得られたスラリーをブフナー漏斗でろ過し、イオン交換水20gで3回、ジメトキシエタン15gで2回洗浄した。得られた結晶を室温にて減圧乾燥し、下記構造式で表される、7.20gの1,3-ジフェナントロリニルベンゼンを得た。前述の方法により評価したところ、純度は97.8%、純分収率は91.5%であった。
Figure 2023005404000003
実施例2
500mlのフラスコに水酸化カリウム6.45g(97.7mmol)を秤量し、エタノール102.2gを加えて溶解し、70℃に加温した。1,3-ジアセチルベンゼン2.87g(17.7mmol)、8-アミノキノリン-7-カルバルデヒド6.40g(37.2mmol)およびエタノール76.0gを反応釜に仕込み、撹拌しながら30℃まで加温して1,3-ジアセチルベンゼンおよび8-アミノキノリン-7-カルバルデヒドを溶解させて調製した溶液を、70℃に加温した水酸化カリウムのエタノール溶液に、滴下ロートを用いて約3時間かけて滴下した後、次いで常圧下、80℃以上に加熱して濃縮し、留出液63.6gを約3時間かけて留出させた。30℃に冷却した後、イオン交換水123mlを約1時間かけて滴下し、結晶を析出させた。27kPaの減圧下、50℃で濃縮し、留出液106.4gを留出させた。得られたスラリーをブフナー漏斗でろ過し、イオン交換水20gで3回、ジメトキシエタン15gで2回洗浄した。得られた結晶を室温にて減圧乾燥し、7.16gの1,3-ジフェナントロリニルベンゼンを得た。前述の方法により評価したところ、純度は99.9%、純分収率は93.0%であった。
比較例1
500mlフラスコに、1,3-ジアセチルベンゼン2.87g(17.7mmol)および8-アミノキノリン-7-カルバルデヒド6.40g(37.2mmol)を秤量し、エタノール76.4gで溶解した。この溶液を70℃に加温し、水酸化カリウム(97.3mmol)をエタノール34.0gで溶解した溶液を、滴下ロートにて10分間かけて滴下した。70~80℃を維持して5時間撹拌混合した後、30℃に冷却した。イオン交換水123mlを約1時間かけて滴下し、結晶を析出させた。27kPaの減圧下、50℃で濃縮し、留出液108.4gを留出させた。得られたスラリーをブフナー漏斗でろ過し、イオン交換水20gで3回、ジメトキシエタン15gで2回洗浄した。得られた結晶を室温にて減圧乾燥し、7.30gの1,3-ジフェナントロリニルベンゼンを得た。純度は89.2%、純分収率は84.7%であった。
実施例1~2および比較例1の評価結果を以下の表にまとめた。
Figure 2023005404000004

Claims (7)

  1. 下記一般式(1)で表される、互いに隣接した炭素に結合する1級アミノ基とカルボニル基を有する化合物、下記一般式(2)で表されるカルボニル化合物および塩基性化合物を、溶媒の存在下で混合する、下記一般式(3)で表されるピリジン誘導体の製造方法であって、
    前記塩基性化合物またはあらかじめ前塩基性化合物を溶媒に溶解した溶液に、下記一般式(1)で表される化合物および下記一般式(2)で表されるカルボニル化合物を同時に添加して混合する、ピリジン誘導体の製造方法。
    Figure 2023005404000005
    (前記一般式(1)~(3)中、Arは、置換されていてもよいアリーレン基またはヘテロアリーレン基を表す。R1は、水素、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基または水酸基を表し、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基は置換されていてもよい。R2およびR3は、それぞれ独立に、水素、アルキル基、アリール基、アラルキル基またはヘテロアリール基を表し、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基は置換されていてもよい。)
  2. 前記一般式(1)で表される化合物および前記一般式(2)で表されるカルボニル化合物を同時に添加する方法が、予め準備した前記一般式(1)で表される化合物および前記一般式(2)で表されるカルボニル化合物の混合溶液を添加する方法である、請求項1に記載のピリジン誘導体の製造方法。
  3. 前記塩基性化合物またはあらかじめ前塩基性化合物を溶媒に溶解した溶液を予め70~80℃に加熱した後、前記一般式(1)で表される化合物および前記一般式(2)で表されるカルボニル化合物を同時に添加して混合する、請求項1または2に記載のピリジン誘導体の製造方法。
  4. 前記一般式(1)で表される化合物および前記一般式(2)で表されるカルボニル化合物を同時に添加した後、混合しながら濃縮する、請求項1~3のいずれかに記載のピリジン誘導体の製造方法。
  5. 前記一般式(1)中、R1が水素である、請求項1~4のいずれかに記載のピリジン誘導体の製造方法。
  6. 前記一般式(2)および(3)中、R2が水素である、請求項1~5のいずれかに記載のピリジン誘導体の製造方法。
  7. 前記一般式(2)および(3)中、R3がアリール基またはヘテロアリール基である、請求項1~6のいずれかに記載のピリジン誘導体の製造方法。
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