JPWO2018186367A1 - ゴム組成物及びタイヤ - Google Patents
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Abstract
本発明の課題は、タイヤのウェット性能と低転がり抵抗と乾燥路面での操縦安定性とを高度に両立することが可能なゴム組成物を提供することであり、その解決手段は、天然ゴム(A1)と、変性共役ジエン系重合体(A2)と、を含むゴム成分(A)と、熱可塑性樹脂(B)と、を含み、前記ゴム成分(A)中の、前記天然ゴム(A1)の含有率が30質量%以上であり、前記変性共役ジエン系重合体(A2)は、重量平均分子量が20×104以上300×104以下であって、該変性共役ジエン系重合体(A2)の総量に対して、分子量が200×104以上500×104以下である変性共役ジエン系重合体を、0.25質量%以上30質量%以下含み、収縮因子(g’)が0.64未満であることを特徴とする、ゴム組成物である。
Description
本発明は、ゴム組成物及びタイヤに関するものである。
従来、車両の安全性を向上させる観点から、乾燥路面のみならず、湿潤路面上でのタイヤの制動性や駆動性を向上させるために、種々の検討がなされている。
例えば、湿潤路面での性能を向上させるために、天然ゴム(NR)やブタジエンゴム(BR)等のゴム成分と共にアロマオイルを配合したゴム組成物を、トレッドゴムに用いる手法が知られている(下記特許文献1)。
また、湿潤路面でのグリップ性能を向上させるために、天然ゴム及び/又はポリイソプレンゴムを合計30質量%以上含むゴム成分100質量部に対して、C5系樹脂を5〜50質量部配合してなるゴム組成物を、トレッドゴムに用いる手法も知られている(下記特許文献2)。
また、乾燥路面及び湿潤路面での制動性能を向上させるために、天然ゴムを70質量%以上含むゴム成分を配合してなり、該ゴム成分100質量部に対して、熱可塑性樹脂を5〜50質量部、シリカを含む充填剤を20〜120質量部配合してなり、該充填剤中のシリカの含有量が50〜100質量%であるゴム組成物を、トレッドゴムに用いる手法も知られている(下記特許文献3)。
例えば、湿潤路面での性能を向上させるために、天然ゴム(NR)やブタジエンゴム(BR)等のゴム成分と共にアロマオイルを配合したゴム組成物を、トレッドゴムに用いる手法が知られている(下記特許文献1)。
また、湿潤路面でのグリップ性能を向上させるために、天然ゴム及び/又はポリイソプレンゴムを合計30質量%以上含むゴム成分100質量部に対して、C5系樹脂を5〜50質量部配合してなるゴム組成物を、トレッドゴムに用いる手法も知られている(下記特許文献2)。
また、乾燥路面及び湿潤路面での制動性能を向上させるために、天然ゴムを70質量%以上含むゴム成分を配合してなり、該ゴム成分100質量部に対して、熱可塑性樹脂を5〜50質量部、シリカを含む充填剤を20〜120質量部配合してなり、該充填剤中のシリカの含有量が50〜100質量%であるゴム組成物を、トレッドゴムに用いる手法も知られている(下記特許文献3)。
一方、昨今の環境問題への関心の高まりに伴う世界的な二酸化炭素排出規制の動きに関連して、自動車の低燃費化に対する要求が強まりつつある。このような要求に対応するため、タイヤ性能についても転がり抵抗の低減が求められている。
これに対して、本発明者らが検討したところ、上記の特許文献1及び特許文献2に開示の技術では、タイヤの湿潤路面でのグリップ性能(以下、「ウェット性能」と略称する。)の向上と、タイヤの転がり抵抗の低減(低ロス性の向上)と、を高いレベルで両立することは困難であった。
一方、本発明者らが検討したところ、上記の特許文献3に開示の技術によれば、タイヤのウェット性能の向上と、転がり抵抗の低減とを、両立することができることが分かった。
一方、本発明者らが検討したところ、上記の特許文献3に開示の技術によれば、タイヤのウェット性能の向上と、転がり抵抗の低減とを、両立することができることが分かった。
しかしながら、次世代のタイヤとして、更に性能を向上させたタイヤが求められており、上記の特許文献3に開示のタイヤよりも、ウェット性能と低転がり抵抗とを高度に両立し、更には、乾燥路面での操縦安定性も十分に確保することが求められている。
そこで、本発明は、タイヤのウェット性能と低転がり抵抗と乾燥路面での操縦安定性とを高度に両立することが可能なゴム組成物を提供することを課題とする。
また、本発明は、ウェット性能と低転がり抵抗と乾燥路面での操縦安定性とを高度に両立したタイヤを提供することを更なる課題とする。
また、本発明は、ウェット性能と低転がり抵抗と乾燥路面での操縦安定性とを高度に両立したタイヤを提供することを更なる課題とする。
上記課題を解決する本発明の要旨構成は、以下の通りである。
本発明のゴム組成物は、天然ゴム(A1)と、変性共役ジエン系重合体(A2)と、を含むゴム成分(A)と、熱可塑性樹脂(B)と、を含み、
前記ゴム成分(A)中の、前記天然ゴム(A1)の含有率が30質量%以上であり、
前記変性共役ジエン系重合体(A2)は、重量平均分子量が20×104以上300×104以下であって、該変性共役ジエン系重合体(A2)の総量に対して、分子量が200×104以上500×104以下である変性共役ジエン系重合体を、0.25質量%以上30質量%以下含み、収縮因子(g’)が0.64未満であることを特徴とする。
かかる本発明のゴム組成物は、タイヤに適用することで、タイヤのウェット性能と低転がり抵抗と乾燥路面での操縦安定性とを高度に両立することができる。
ここで、本発明において、変性共役ジエン系重合体(A2)の重量平均分子量、分子量が200×104以上500×104以下である変性共役ジエン系重合体の含有率、収縮因子(g’)は、後述する実施例に記載の方法により測定する。
前記ゴム成分(A)中の、前記天然ゴム(A1)の含有率が30質量%以上であり、
前記変性共役ジエン系重合体(A2)は、重量平均分子量が20×104以上300×104以下であって、該変性共役ジエン系重合体(A2)の総量に対して、分子量が200×104以上500×104以下である変性共役ジエン系重合体を、0.25質量%以上30質量%以下含み、収縮因子(g’)が0.64未満であることを特徴とする。
かかる本発明のゴム組成物は、タイヤに適用することで、タイヤのウェット性能と低転がり抵抗と乾燥路面での操縦安定性とを高度に両立することができる。
ここで、本発明において、変性共役ジエン系重合体(A2)の重量平均分子量、分子量が200×104以上500×104以下である変性共役ジエン系重合体の含有率、収縮因子(g’)は、後述する実施例に記載の方法により測定する。
本発明のゴム組成物において、前記変性共役ジエン系重合体(A2)は、分岐を有し、分岐度が5以上であることが好ましい。この場合、タイヤに適用することで、タイヤのウェット性能を更に向上させることができる。
本発明のゴム組成物において、前記変性共役ジエン系重合体(A2)は、1以上のカップリング残基と、該カップリング残基に対して結合する共役ジエン系重合体鎖と、を有し、
前記分岐は、1の前記カップリング残基に対して5以上の前記共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むことが好ましい。この場合、タイヤに適用することで、タイヤのウェット性能を更に向上させることができる。
前記分岐は、1の前記カップリング残基に対して5以上の前記共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むことが好ましい。この場合、タイヤに適用することで、タイヤのウェット性能を更に向上させることができる。
本発明のゴム組成物において、前記変性共役ジエン系重合体(A2)は、下記一般式(I):
[式中、Dは、共役ジエン系重合体鎖を示し、R1、R2及びR3は、それぞれ独立して単結合又は炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R4及びR7は、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキル基を示し、R5、R8、及びR9は、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示し、R6及びR10は、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R11は、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示し、m及びxは、それぞれ独立して1〜3の整数を示し、x≦mであり、pは、1又は2を示し、yは、1〜3の整数を示し、y≦(p+1)であり、zは、1又は2の整数を示し、それぞれ複数存在する場合のD、R1〜R11、m、p、x、y、及びzは、それぞれ独立しており、iは、0〜6の整数を示し、jは、0〜6の整数を示し、kは、0〜6の整数を示し、(i+j+k)は、3〜10の整数であり、((x×i)+(y×j)+(z×k))は、5〜30の整数であり、Aは、炭素数1〜20の、炭化水素基、又は、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を有し、かつ、活性水素を有しない有機基を示す]で表されることが好ましい。この場合、タイヤに適用することで、タイヤの耐摩耗性を向上させることができる。
ここで、前記一般式(I)において、Aは、下記一般式(II):
[式中、B1は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、aは、1〜10の整数を示し、複数存在する場合のB1は、各々独立している]、
下記一般式(III):
[式中、B2は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、B3は、炭素数1〜20のアルキル基を示し、aは、1〜10の整数を示し、それぞれ複数存在する場合のB2及びB3は、各々独立している]、
下記一般式(IV):
[式中、B4は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、aは、1〜10の整数を示し、複数存在する場合のB4は、各々独立している]、
下記一般式(V):
[式中、B5は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、aは、1〜10の整数を示し、複数存在する場合のB5は、各々独立している]のいずれかで表されることが好ましい。この場合、タイヤに適用することで、タイヤの低転がり抵抗と、ウェット性能と、耐摩耗性とを高度にバランスさせることができる。
下記一般式(III):
下記一般式(IV):
下記一般式(V):
本発明のゴム組成物において、前記変性共役ジエン系重合体(A2)は、共役ジエン系重合体を、下記一般式(VI):
[式中、R12、R13及びR14は、それぞれ独立して単結合又は炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R15、R16、R17、R18及びR20は、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキル基を示し、R19及びR22は、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R21は、炭素数1〜20の、アルキル基又はトリアルキルシリル基を示し、mは、1〜3の整数を示し、pは、1又は2を示し、R12〜R22、m及びpは、複数存在する場合、それぞれ独立しており、i、j及びkは、それぞれ独立して0〜6の整数を示し、但し、(i+j+k)は、3〜10の整数であり、Aは、炭素数1〜20の、炭化水素基、又は、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子からなる群から選択される少なくとも一種の原子を有し、活性水素を有しない有機基を示す]で表されるカップリング剤と反応させてなることが好ましい。この場合、タイヤに適用することで、タイヤの耐摩耗性を向上させることができる。
ここで、前記一般式(VI)で表されるカップリング剤は、テトラキス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、及びテトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンからなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。この場合、タイヤに適用することで、タイヤの耐摩耗性を更に向上させることができる。
本発明のゴム組成物の好適例においては、前記熱可塑性樹脂(B)の含有量が、前記ゴム成分(A)100質量部に対して、1〜50質量部である。この場合、タイヤに適用することで、タイヤのウェット性能を更に向上させることができる。
本発明のゴム組成物の他の好適例においては、前記熱可塑性樹脂(B)が、C5系樹脂、C5−C9系樹脂、C9系樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、ロジン樹脂、及びアルキルフェノール樹脂からなる群から選択される少なくとも一種である。この場合、タイヤに適用することで、タイヤのウェット性能を更に向上させることができる。
本発明のゴム組成物においては、前記変性共役ジエン系重合体(A2)は、ガラス転移温度(Tg)が−50℃を超え、前記ゴム成分(A)が、更にガラス転移温度(Tg)が−50℃以下の変性共役ジエン系重合体(A3)を含むことが好ましい。この場合、タイヤに適用することで、タイヤの耐摩耗性を向上させることができる。
ここで、本発明において、変性共役ジエン系重合体(A2)及び変性共役ジエン系重合体(A3)のガラス転移温度(Tg)は、後述する実施例に記載の方法により測定する。
ここで、本発明において、変性共役ジエン系重合体(A2)及び変性共役ジエン系重合体(A3)のガラス転移温度(Tg)は、後述する実施例に記載の方法により測定する。
また、本発明のタイヤは、上記のゴム組成物をトレッドゴムに用いたことを特徴とする。かかる本発明のタイヤは、ウェット性能と低転がり抵抗と乾燥路面での操縦安定性とを高度に両立することができる。
本発明によれば、タイヤのウェット性能と低転がり抵抗と乾燥路面での操縦安定性とを高度に両立することが可能なゴム組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、ウェット性能と低転がり抵抗と乾燥路面での操縦安定性とを高度に両立したタイヤを提供することができる。
また、本発明によれば、ウェット性能と低転がり抵抗と乾燥路面での操縦安定性とを高度に両立したタイヤを提供することができる。
以下に、本発明のゴム組成物及びタイヤを、その実施形態に基づき、詳細に例示説明する。
<ゴム組成物>
本発明のゴム組成物は、天然ゴム(A1)と、変性共役ジエン系重合体(A2)と、を含むゴム成分(A)と、熱可塑性樹脂(B)と、を含み、前記ゴム成分(A)中の、前記天然ゴム(A1)の含有率が30質量%以上であり、前記変性共役ジエン系重合体(A2)は、重量平均分子量が20×104以上300×104以下であって、該変性共役ジエン系重合体の総量に対して、分子量が200×104以上500×104以下である変性共役ジエン系重合体を、0.25質量%以上30質量%以下含み、収縮因子(g’)が0.64未満であることを特徴とする。
本発明のゴム組成物は、天然ゴム(A1)と、変性共役ジエン系重合体(A2)と、を含むゴム成分(A)と、熱可塑性樹脂(B)と、を含み、前記ゴム成分(A)中の、前記天然ゴム(A1)の含有率が30質量%以上であり、前記変性共役ジエン系重合体(A2)は、重量平均分子量が20×104以上300×104以下であって、該変性共役ジエン系重合体の総量に対して、分子量が200×104以上500×104以下である変性共役ジエン系重合体を、0.25質量%以上30質量%以下含み、収縮因子(g’)が0.64未満であることを特徴とする。
本発明のゴム組成物においては、ゴム成分(A)中の天然ゴム(A1)の含有率を30質量%以上とすることで、走行時の温度(例えば、60℃)付近での損失正接(tanδ)が低下し、該ゴム組成物を適用したタイヤの転がり抵抗を低減できる。
また、本発明のゴム組成物においては、ゴム成分(A)として、上記の変性共役ジエン系重合体(A2)を使用することで、0℃付近での損失正接(tanδ)を向上させることができる。そして、0℃付近での損失正接(tanδ)は、タイヤのウェット性能に関連しており、本発明においては、0℃付近での損失正接(tanδ)が向上することで、タイヤのウェット性能を向上させることができる。
一方、0℃付近での損失正接(tanδ)が向上することにより、低転がり抵抗が悪化することが課題であったが、本発明では、天然ゴム(A1)と熱可塑性樹脂(B)を配合することでそれを解決しようとしたが、その場合、一般的にはゴムの弾性率が低下してしまう。しかし、変性共役ジエン系重合体(A2)を使用することでそれを抑制することができ、操縦安定性、耐摩耗性、ウェット性能、低転がり抵抗性の高度な両立が可能となる。
また、本発明のゴム組成物においては、ゴム成分(A)として、上記の変性共役ジエン系重合体(A2)を使用することで、0℃付近での損失正接(tanδ)を向上させることができる。そして、0℃付近での損失正接(tanδ)は、タイヤのウェット性能に関連しており、本発明においては、0℃付近での損失正接(tanδ)が向上することで、タイヤのウェット性能を向上させることができる。
一方、0℃付近での損失正接(tanδ)が向上することにより、低転がり抵抗が悪化することが課題であったが、本発明では、天然ゴム(A1)と熱可塑性樹脂(B)を配合することでそれを解決しようとしたが、その場合、一般的にはゴムの弾性率が低下してしまう。しかし、変性共役ジエン系重合体(A2)を使用することでそれを抑制することができ、操縦安定性、耐摩耗性、ウェット性能、低転がり抵抗性の高度な両立が可能となる。
本発明のゴム組成物のゴム成分(A)は、天然ゴム(A1)と、変性共役ジエン系重合体(A2)と、を含み、更に他のゴム成分を含んでもよい。
前記ゴム成分(A)中の、前記天然ゴム(A1)の含有率は、30質量%以上であり、30〜60質量%が好ましく、40〜60質量%が更に好ましい。ゴム成分(A)中の天然ゴム(A1)の含有率が30質量%未満では、タイヤの転がり抵抗を十分に低減することができない。
前記変性共役ジエン系重合体(A2)は、重量平均分子量(Mw)が20×104以上300×104以下であって、該変性共役ジエン系重合体(A2)の総量に対して、分子量が200×104以上500×104以下である該変性共役ジエン系重合体を、0.25質量%以上30質量%以下含み、収縮因子(g’)が0.64未満である。
一般に、分岐を有する重合体は、同一の絶対分子量である直鎖状の重合体と比較した場合に、分子の大きさが小さくなる傾向にあり、前記収縮因子(g’)は、想定上同一の絶対分子量である直鎖状重合体に対する、分子の占める大きさの比率の指標である。即ち、重合体の分岐度が大きくなれば、収縮因子(g’)は小さくなる傾向にある。本実施形態では、分子の大きさの指標として固有粘度を用い、直鎖状の重合体は、固有粘度[η]=−3.883M0.771の関係式に従うものとして用いる。変性共役ジエン系重合体の各絶対分子量のときの収縮因子(g’)を算出し、絶対分子量が100×104〜200×104のときの収縮因子(g’)の平均値を、その変性共役ジエン系重合体の収縮因子(g’)とする。ここで、「分岐」とは、1つの重合体に対して、他の重合体が直接的又は間接的に結合することにより形成されるものである。また、「分岐度」は、1の分岐に対して、直接的又は間接的に互いに結合している重合体の数である。例えば、後述するカップリング残基を介して間接的に、後述の5つの共役ジエン系重合体鎖が互いに結合している場合には、分岐度は5である。なお、カップリング残基とは、共役ジエン系重合体鎖に結合される、変性共役ジエン系重合体の構成単位であり、例えば、後述する共役ジエン系重合体とカップリング剤とを反応させることによって生じる、カップリング剤由来の構造単位である。また、共役ジエン系重合体鎖は、変性共役ジエン系重合体の構成単位であり、例えば、後述する共役ジエン系重合体とカップリング剤とを反応させることによって生じる、共役ジエン系重合体由来の構造単位である。
前記収縮因子(g’)は、0.64未満であり、好ましくは0.63以下であり、より好ましくは0.60以下であり、さらに好ましくは0.59以下であり、より一層好ましくは0.57以下である。また、収縮因子(g’)の下限は特に限定されず、検出限界値以下であってもよいが、好ましくは0.30以上であり、より好ましくは0.33以上であり、さらに好ましくは0.35以上であり、より一層好ましくは0.45以上である。収縮因子(g’)がこの範囲である変性共役ジエン系重合体(A2)を使用することで、ゴム組成物の加工性が向上する。
収縮因子(g’)は分岐度に依存する傾向にあるため、例えば、分岐度を指標として収縮因子(g’)を制御することができる。具体的には、分岐度が6である変性共役ジエン系重合体とした場合には、その収縮因子(g’)は0.59以上0.63以下となる傾向にあり、分岐度が8である変性共役ジエン系重合体とした場合には、その収縮因子(g’)は0.45以上0.59以下となる傾向にある。収縮因子(g’)は、後述する実施例に記載の方法により測定する。
前記収縮因子(g’)は、0.64未満であり、好ましくは0.63以下であり、より好ましくは0.60以下であり、さらに好ましくは0.59以下であり、より一層好ましくは0.57以下である。また、収縮因子(g’)の下限は特に限定されず、検出限界値以下であってもよいが、好ましくは0.30以上であり、より好ましくは0.33以上であり、さらに好ましくは0.35以上であり、より一層好ましくは0.45以上である。収縮因子(g’)がこの範囲である変性共役ジエン系重合体(A2)を使用することで、ゴム組成物の加工性が向上する。
収縮因子(g’)は分岐度に依存する傾向にあるため、例えば、分岐度を指標として収縮因子(g’)を制御することができる。具体的には、分岐度が6である変性共役ジエン系重合体とした場合には、その収縮因子(g’)は0.59以上0.63以下となる傾向にあり、分岐度が8である変性共役ジエン系重合体とした場合には、その収縮因子(g’)は0.45以上0.59以下となる傾向にある。収縮因子(g’)は、後述する実施例に記載の方法により測定する。
前記変性共役ジエン系重合体(A2)は、分岐を有し、分岐度が5以上であることが好ましい。また、変性共役ジエン系重合体(A2)は、1以上のカップリング残基と、該カップリング残基に対して結合する共役ジエン系重合体鎖とを有し、さらに、上記分岐が、1の当該カップリング残基に対して5以上の当該共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むことがより好ましい。分岐度が5以上であること、及び、分岐が、1のカップリング残基に対して5以上の共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むよう、変性共役ジエン系重合体の構造を特定することにより、より確実に収縮因子(g’)を0.64未満にすることができる。なお、1のカップリング残基に対して結合している共役ジエン系重合体鎖の数は、収縮因子(g’)の値から確認することができる。
また、前記変性共役ジエン系重合体(A2)は、分岐を有し、分岐度が6以上であることがより好ましい。また、変性共役ジエン系重合体(A2)は、1以上のカップリング残基と、該カップリング残基に対して結合する共役ジエン系重合体鎖とを有し、さらに、上記分岐が、1の当該カップリング残基に対して6以上の当該共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むことが、さらに好ましい。分岐度が6以上であること、及び、分岐が、1のカップリング残基に対して6以上の共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むよう、変性共役ジエン系重合体の構造を特定することにより、収縮因子(g’)を0.63以下にすることができる。
更に、前記変性共役ジエン系重合体(A2)は、分岐を有し、分岐度が7以上であることがさらに好ましく、分岐度が8以上であることがより一層好ましい。分岐度の上限は特に限定されないが、18以下であることが好ましい。また、変性共役ジエン系重合体(A2)は、1以上のカップリング残基と、該カップリング残基に対して結合する共役ジエン系重合体鎖とを有し、さらに、上記分岐が、1の当該カップリング残基に対して7以上の当該共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むことが、より一層好ましく、1の当該カップリング残基に対して8以上の当該共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むことが、特に好ましい。分岐度が8以上であること、及び、分岐が、1のカップリング残基に対して8以上の共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むよう、変性共役ジエン系重合体の構造を特定することにより、収縮因子(g’)を0.59以下にすることができる。
また、前記変性共役ジエン系重合体(A2)は、分岐を有し、分岐度が6以上であることがより好ましい。また、変性共役ジエン系重合体(A2)は、1以上のカップリング残基と、該カップリング残基に対して結合する共役ジエン系重合体鎖とを有し、さらに、上記分岐が、1の当該カップリング残基に対して6以上の当該共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むことが、さらに好ましい。分岐度が6以上であること、及び、分岐が、1のカップリング残基に対して6以上の共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むよう、変性共役ジエン系重合体の構造を特定することにより、収縮因子(g’)を0.63以下にすることができる。
更に、前記変性共役ジエン系重合体(A2)は、分岐を有し、分岐度が7以上であることがさらに好ましく、分岐度が8以上であることがより一層好ましい。分岐度の上限は特に限定されないが、18以下であることが好ましい。また、変性共役ジエン系重合体(A2)は、1以上のカップリング残基と、該カップリング残基に対して結合する共役ジエン系重合体鎖とを有し、さらに、上記分岐が、1の当該カップリング残基に対して7以上の当該共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むことが、より一層好ましく、1の当該カップリング残基に対して8以上の当該共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むことが、特に好ましい。分岐度が8以上であること、及び、分岐が、1のカップリング残基に対して8以上の共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むよう、変性共役ジエン系重合体の構造を特定することにより、収縮因子(g’)を0.59以下にすることができる。
前記変性共役ジエン系重合体(A2)は、窒素原子と、ケイ素原子とを有することが好ましい。この場合、ゴム組成物の加工性が良好となり、また、タイヤに適用した際に、タイヤのウェット性能及び耐摩耗性を向上させつつ、転がり抵抗を更に低減できる。なお、変性共役ジエン系重合体(A2)が窒素原子を有することは、後述する実施例に記載の方法で、特定のカラムへの吸着の有無によって確認することができる。また、変性共役ジエン系重合体(A2)がケイ素原子を有することは、後述する実施例に記載の方法で金属分析によって確認することができる。
前記共役ジエン系重合体鎖は、少なくともその1つの末端が、それぞれカップリング残基が有するケイ素原子と結合していることが好ましい。この場合、複数の共役ジエン系重合体鎖の末端が、1のケイ素原子と結合していてもよい。また、共役ジエン系重合体鎖の末端と炭素数1〜20のアルコキシ基又は水酸基とが、一つのケイ素原子に結合し、その結果として、その1つのケイ素原子が炭素数1〜20のアルコキシシリル基又はシラノール基を構成していてもよい。
前記変性共役ジエン系共重合体(A2)は、伸展油を加えた油展重合体とすることができる。該変性共役ジエン系共重合体(A2)は、非油展であっても、油展であってもよいが、耐摩耗性の観点から、100℃で測定されるムーニー粘度が、20以上100以下であることが好ましく、30以上80以下であることがより好ましい。なお、ムーニー粘度は、後述する実施例に記載の方法により測定する。
前記変性共役ジエン系重合体(A2)の重量平均分子量(Mw)は、20×104以上300×104以下であり、好ましくは50×104以上であり、より好ましくは64×104以上であり、さらに好ましくは80×104以上である。また、上記重量平均分子量は、好ましくは250×104以下であり、更に好ましくは180×104以下であり、より好ましくは150×104以下である。重量平均分子量が20×104未満では、タイヤの低転がり抵抗とウェット性能とを高度に両立することができない。また、重量平均分子量が300×104を超えると、ゴム組成物の加工性が悪化する。変性共役ジエン系重合体(A2)及び後述する共役ジエン系重合体の重量平均分子量は、後述する実施例に記載の方法により測定する。
前記変性共役ジエン系重合体(A2)は、該変性共役ジエン系重合体の総量(100質量%)に対して、分子量が200×104以上500×104以下である変性共役ジエン系重合体(以下、「特定の高分子量成分」ともいう。)を、0.25質量%以上30質量%以下含む。該特定の高分子量成分の含有量が0.25質量%未満でも、30質量%を超えても、タイヤの低転がり抵抗とウェット性能とを高度に両立することができない。
前記変性共役ジエン系重合体(A2)は、特定の高分子量成分を、好ましくは1.0質量%以上含み、より好ましくは1.4質量%以上含み、さらに好ましくは1.75質量%以上含み、より一層好ましくは2.0質量%以上含み、特に好ましくは2.15質量%以上含み、極めて好ましくは2.5質量%以上含む。また、変性共役ジエン系重合体(A2)は、特定の高分子量成分を、好ましくは28質量%以下含み、より好ましくは25質量%以下含み、さらに好ましくは20質量%以下含み、より一層好ましくは18質量%以下含む。
なお、本明細書において「分子量」とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によって得られる、標準ポリスチレン換算分子量である。特定の高分子量成分の含有量がこのような範囲にある変性共役ジエン系重合体(A2)を得るためには、後述する重合工程と反応工程とにおける反応条件を制御することが好ましい。例えば、重合工程においては、後述する有機モノリチウム化合物の重合開始剤としての使用量を調整すればよい。また、重合工程において、連続式、及び回分式のいずれの重合様式においても、滞留時間分布を有する方法を用いる、すなわち、成長反応の時間分布を広げるとよい。
前記変性共役ジエン系重合体(A2)は、特定の高分子量成分を、好ましくは1.0質量%以上含み、より好ましくは1.4質量%以上含み、さらに好ましくは1.75質量%以上含み、より一層好ましくは2.0質量%以上含み、特に好ましくは2.15質量%以上含み、極めて好ましくは2.5質量%以上含む。また、変性共役ジエン系重合体(A2)は、特定の高分子量成分を、好ましくは28質量%以下含み、より好ましくは25質量%以下含み、さらに好ましくは20質量%以下含み、より一層好ましくは18質量%以下含む。
なお、本明細書において「分子量」とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によって得られる、標準ポリスチレン換算分子量である。特定の高分子量成分の含有量がこのような範囲にある変性共役ジエン系重合体(A2)を得るためには、後述する重合工程と反応工程とにおける反応条件を制御することが好ましい。例えば、重合工程においては、後述する有機モノリチウム化合物の重合開始剤としての使用量を調整すればよい。また、重合工程において、連続式、及び回分式のいずれの重合様式においても、滞留時間分布を有する方法を用いる、すなわち、成長反応の時間分布を広げるとよい。
前記変性共役ジエン系重合体(A2)においては、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比で表される分子量分布(Mw/Mn)は、1.6以上3.0以下が好ましい。変性共役ジエン系重合体(A2)の分子量分布がこの範囲であれば、ゴム組成物の加工性が良好となる。
なお、変性共役ジエン系重合体(A2)及び後述する共役ジエン系重合体に対する、数平均分子量、重量平均分子量、分子量分布、特定の高分子量成分の含有量は、後述する実施例に記載の方法により測定する。
なお、変性共役ジエン系重合体(A2)及び後述する共役ジエン系重合体に対する、数平均分子量、重量平均分子量、分子量分布、特定の高分子量成分の含有量は、後述する実施例に記載の方法により測定する。
前記変性共役ジエン系重合体(A2)の製造方法は、特に限定されるものではないが、有機モノリチウム化合物を重合開始剤として用い、少なくとも共役ジエン化合物を重合し、共役ジエン系重合体を得る重合工程と、該共役ジエン系重合体の活性末端に対して、5官能以上の反応性化合物(以下、「カップリング剤」ともいう。)を反応させる反応工程と、を有することが好ましい。カップリング剤としては、窒素原子とケイ素原子とを有する5官能以上の反応性化合物を反応させるのが好ましい。
前記変性共役ジエン系重合体(A2)は、共役ジエン系重合体を、上記一般式(VI)で表されるカップリング剤と反応させてなることが好ましい。該カップリング剤と反応させてなる変性共役ジエン系重合体(A2)を含むゴム組成物をタイヤに使用することで、タイヤの耐摩耗性を向上させることも可能となる。
なお、一般式(VI)中、R12、R13及びR14は、それぞれ独立して単結合又は炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R15、R16、R17、R18及びR20は、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキル基を示し、R19及びR22は、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R21は、炭素数1〜20の、アルキル基又はトリアルキルシリル基を示し、mは、1〜3の整数を示し、pは、1又は2を示し、R11〜R22、m及びpは、複数存在する場合、それぞれ独立しており、i、j及びkは、それぞれ独立して0〜6の整数を示し、但し、(i+j+k)は、3〜10の整数であり、Aは、炭素数1〜20の、炭化水素基、又は、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子からなる群から選択される少なくとも一種の原子を有し、活性水素を有しない有機基を示す。
ここで、一般式(VI)中、Aが示す炭化水素基は、飽和、不飽和、脂肪族、及び芳香族の炭化水素基を包含する。活性水素を有しない有機基としては、例えば、水酸基(−OH)、第2級アミノ基(>NH)、第1級アミノ基(−NH2)、スルフヒドリル基(−SH)等の活性水素を有する官能基、を有しない有機基が挙げられる。
なお、一般式(VI)中、R12、R13及びR14は、それぞれ独立して単結合又は炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R15、R16、R17、R18及びR20は、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキル基を示し、R19及びR22は、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R21は、炭素数1〜20の、アルキル基又はトリアルキルシリル基を示し、mは、1〜3の整数を示し、pは、1又は2を示し、R11〜R22、m及びpは、複数存在する場合、それぞれ独立しており、i、j及びkは、それぞれ独立して0〜6の整数を示し、但し、(i+j+k)は、3〜10の整数であり、Aは、炭素数1〜20の、炭化水素基、又は、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子からなる群から選択される少なくとも一種の原子を有し、活性水素を有しない有機基を示す。
ここで、一般式(VI)中、Aが示す炭化水素基は、飽和、不飽和、脂肪族、及び芳香族の炭化水素基を包含する。活性水素を有しない有機基としては、例えば、水酸基(−OH)、第2級アミノ基(>NH)、第1級アミノ基(−NH2)、スルフヒドリル基(−SH)等の活性水素を有する官能基、を有しない有機基が挙げられる。
前記重合工程は、リビングアニオン重合反応による成長反応による重合が好ましく、これにより、活性末端を有する共役ジエン系重合体を得ることができ、高変性率の変性ジエン系重合体(A2)を得ることができる。
前記共役ジエン系重合体は、少なくとも共役ジエン化合物を重合して得られ、必要に応じて共役ジエン化合物とビニル置換芳香族化合物との両方を共重合して得られる。
前記共役ジエン化合物としては、炭素数4〜12の共役ジエン化合物が好ましく、より好ましくは炭素数4〜8の共役ジエン化合物である。このような共役ジエン化合物としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、及び1,3−ヘプタジエンが挙げられる。これらの中でも、工業的入手の容易さの観点から、1,3−ブタジエン、及びイソプレンが好ましい。これら共役ジエン化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、前記ビニル置換芳香族化合物としては、モノビニル芳香族化合物が好ましい。該モノビニル芳香族化合物としては、例えば、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルエチルベンゼン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン、及びジフェニルエチレンが挙げられる。これらの中でも、工業的入手の容易さの観点から、スチレンが好ましい。これらビニル置換芳香族化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記共役ジエン化合物としては、炭素数4〜12の共役ジエン化合物が好ましく、より好ましくは炭素数4〜8の共役ジエン化合物である。このような共役ジエン化合物としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、及び1,3−ヘプタジエンが挙げられる。これらの中でも、工業的入手の容易さの観点から、1,3−ブタジエン、及びイソプレンが好ましい。これら共役ジエン化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、前記ビニル置換芳香族化合物としては、モノビニル芳香族化合物が好ましい。該モノビニル芳香族化合物としては、例えば、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルエチルベンゼン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン、及びジフェニルエチレンが挙げられる。これらの中でも、工業的入手の容易さの観点から、スチレンが好ましい。これらビニル置換芳香族化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記有機モノリチウム化合物の重合開始剤としての使用量は、目標とする共役ジエン系重合体又は変性共役ジエン系重合体の分子量によって決めることが好ましい。重合開始剤の使用量に対する、共役ジエン化合物等の単量体の使用量が重合度に関係し、すなわち、数平均分子量及び/又は重量平均分子量に関係する。従って、分子量を増大させるためには、重合開始剤を減らす方向に調整するとよく、分子量を低下させるためには、重合開始剤量を増やす方向に調整するとよい。
前記有機モノリチウム化合物は、工業的入手の容易さ及び重合反応のコントロールの容易さの観点から、好ましくは、アルキルリチウム化合物である。この場合、重合開始末端にアルキル基を有する、共役ジエン系重合体が得られる。アルキルリチウム化合物としては、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、ベンジルリチウム、フェニルリチウム、及びスチルベンリチウムが挙げられる。アルキルリチウム化合物としては、工業的入手の容易さ及び重合反応のコントロールの容易さの観点から、n−ブチルリチウム、及びsec−ブチルリチウムが好ましい。これらの有機モノリチウム化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記有機モノリチウム化合物は、工業的入手の容易さ及び重合反応のコントロールの容易さの観点から、好ましくは、アルキルリチウム化合物である。この場合、重合開始末端にアルキル基を有する、共役ジエン系重合体が得られる。アルキルリチウム化合物としては、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、ベンジルリチウム、フェニルリチウム、及びスチルベンリチウムが挙げられる。アルキルリチウム化合物としては、工業的入手の容易さ及び重合反応のコントロールの容易さの観点から、n−ブチルリチウム、及びsec−ブチルリチウムが好ましい。これらの有機モノリチウム化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記重合工程において、重合反応様式としては、例えば、回分式、連続式の重合反応様式が挙げられる。連続式においては、1個又は2個以上の連結された反応器を用いることができる。連続式の反応器は、例えば、撹拌機付きの槽型、管型のものが用いられる。連続式においては、好ましくは、連続的に単量体、不活性溶媒、及び重合開始剤が反応器にフィードされ、該反応器内で重合体を含む重合体溶液が得られ、連続的に重合体溶液が排出される。回分式の反応器は、例えば、攪拌機付の槽型のものが用いられる。回分式においては、好ましくは、単量体、不活性溶媒、及び重合開始剤がフィードされ、必要により単量体が重合中に連続的又は断続的に追加され、該反応器内で重合体を含む重合体溶液が得られ、重合終了後に重合体溶液が排出される。本実施形態において、高い割合で活性末端を有する共役ジエン系重合体を得るには、重合体を連続的に排出し、短時間で次の反応に供することが可能な、連続式が好ましい。
前記重合工程は、不活性溶媒中で重合することが好ましい。溶媒としては、例えば、飽和炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素系溶媒が挙げられる。具体的な炭化水素系溶媒としては、以下のものに限定されないが、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素及びそれらの混合物からなる炭化水素が挙げられる。重合反応に供する前に、不純物であるアレン類、及びアセチレン類を有機金属化合物で処理することで、高濃度の活性末端を有する共役ジエン系重合体が得られる傾向にあり、高い変性率の変性共役ジエン系重合体が得られる傾向にあるため好ましい。
前記重合工程においては、極性化合物を添加してもよい。極性化合物を添加することで、芳香族ビニル化合物を共役ジエン化合物とランダムに共重合させることができ、また、極性化合物は、共役ジエン部のミクロ構造を制御するためのビニル化剤としても用いることができる傾向にある。
前記極性化合物としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジメトキシベンゼン、2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン等のエーテル類;テトラメチルエチレンジアミン、ジピペリジノエタン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、キヌクリジン等の第3級アミン化合物;カリウム−tert−アミラート、カリウム−tert−ブチラート、ナトリウム−tert−ブチラート、ナトリウムアミラート等のアルカリ金属アルコキシド化合物;トリフェニルホスフィン等のホスフィン化合物等を用いることができる。これらの極性化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記極性化合物としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジメトキシベンゼン、2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン等のエーテル類;テトラメチルエチレンジアミン、ジピペリジノエタン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、キヌクリジン等の第3級アミン化合物;カリウム−tert−アミラート、カリウム−tert−ブチラート、ナトリウム−tert−ブチラート、ナトリウムアミラート等のアルカリ金属アルコキシド化合物;トリフェニルホスフィン等のホスフィン化合物等を用いることができる。これらの極性化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記重合工程において、重合温度は、生産性の観点から、0℃以上であることが好ましく、120℃以下であることがさらに好ましく、50℃以上100℃以下であることが特に好ましい。このような範囲にあることで、重合終了後の活性末端に対するカップリング剤の反応量を充分に確保することができる傾向にある。
前記共役ジエン系重合体又は変性共役ジエン系重合体(A2)中の結合共役ジエン量は、特に限定されないが、40質量%以上100質量%以下であることが好ましく、55質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
また、前記共役ジエン系重合体又は変性共役ジエン系重合体(A2)中の結合芳香族ビニル量は、特に限定されないが、0質量%以上60質量%以下であることが好ましく、20質量%以上45質量%以下であることがより好ましい。
前記結合共役ジエン量及び結合芳香族ビニル量が上記範囲であると、ゴム組成物をタイヤに適用した際に、低転がり抵抗と、ウェット性能と、耐摩耗性とを、高度にバランスすることが可能となる。
なお、結合芳香族ビニル量は、フェニル基の紫外吸光によって測定でき、ここから結合共役ジエン量も求めることができる。具体的には、後述する実施例に記載の方法に準じて測定する。
また、前記共役ジエン系重合体又は変性共役ジエン系重合体(A2)中の結合芳香族ビニル量は、特に限定されないが、0質量%以上60質量%以下であることが好ましく、20質量%以上45質量%以下であることがより好ましい。
前記結合共役ジエン量及び結合芳香族ビニル量が上記範囲であると、ゴム組成物をタイヤに適用した際に、低転がり抵抗と、ウェット性能と、耐摩耗性とを、高度にバランスすることが可能となる。
なお、結合芳香族ビニル量は、フェニル基の紫外吸光によって測定でき、ここから結合共役ジエン量も求めることができる。具体的には、後述する実施例に記載の方法に準じて測定する。
前記共役ジエン系重合体又は変性共役ジエン系重合体(A2)において、共役ジエン結合単位中のビニル結合量は、特に限定されないが、10モル%以上75モル%以下であることが好ましく、20モル%以上65モル%以下であることがより好ましい。ビニル結合量が上記範囲であると、ゴム組成物をタイヤに適用した際に、低転がり抵抗と、ウェット性能と、耐摩耗性とを、高度にバランスすることが可能となる。
なお、変性共役ジエン系重合体(A2)がブタジエンとスチレンとの共重合体である場合には、ハンプトンの方法[R.R.Hampton,Analytical Chemistry,21,923(1949)]により、ブタジエン結合単位中のビニル結合量(1,2−結合量)を求めることができる。具体的には、後述する実施例に記載の方法により測定する。
なお、変性共役ジエン系重合体(A2)がブタジエンとスチレンとの共重合体である場合には、ハンプトンの方法[R.R.Hampton,Analytical Chemistry,21,923(1949)]により、ブタジエン結合単位中のビニル結合量(1,2−結合量)を求めることができる。具体的には、後述する実施例に記載の方法により測定する。
前記変性共役ジエン系重合体(A2)は、ガラス転移温度(Tg)が−50℃を超えることが好ましく、−45℃以上−15℃以下であることが更に好ましい。変性共役ジエン系重合体(A2)のガラス転移温度(Tg)が−45℃以上−15℃以下の範囲にあると、ゴム組成物をタイヤに適用した際に、低転がり抵抗とウェット性能とを更に高度に両立することができる。
なお、ガラス転移温度については、ISO 22768:2006に従い、所定の温度範囲で昇温しながらDSC曲線を記録し、DSC微分曲線のピークトップ(Inflection point)をガラス転移温度とする。具体的には、後述する実施例に記載の方法により測定する。
なお、ガラス転移温度については、ISO 22768:2006に従い、所定の温度範囲で昇温しながらDSC曲線を記録し、DSC微分曲線のピークトップ(Inflection point)をガラス転移温度とする。具体的には、後述する実施例に記載の方法により測定する。
前記反応性化合物(カップリング剤)は、好ましくは、窒素原子とケイ素原子とを有する5官能以上の反応性化合物であることが好ましく、少なくとも3個のケイ素含有官能基を有していることが好ましい。さらに好ましいカップリング剤は、少なくとも1のケイ素原子が、炭素数1〜20のアルコキシシリル基又はシラノール基を構成するものであり、より好ましくは上記一般式(VI)で表される化合物である。
カップリング剤が有するアルコキシシリル基は、例えば、共役ジエン系重合体が有する活性末端と反応して、アルコキシリチウムが解離し、共役ジエン系重合体鎖の末端とカップリング残基のケイ素との結合を形成する傾向にある。カップリング剤1分子が有するSiORの総数から、反応により減じたSiOR数を差し引いた値が、カップリング残基が有するアルコキシシリル基の数となる。また、カップリング剤が有するアザシラサイクル基は、>N−Li結合及び共役ジエン系重合体末端とカップリング残基のケイ素との結合を形成する。なお、>N−Li結合は、仕上げ時の水等により容易に>NH及びLiOHとなる傾向にある。また、カップリング剤において、未反応で残存したアルコキシシリル基は、仕上げ時の水等により容易にシラノール(Si−OH基)となり得る傾向にある。
カップリング剤が有するアルコキシシリル基は、例えば、共役ジエン系重合体が有する活性末端と反応して、アルコキシリチウムが解離し、共役ジエン系重合体鎖の末端とカップリング残基のケイ素との結合を形成する傾向にある。カップリング剤1分子が有するSiORの総数から、反応により減じたSiOR数を差し引いた値が、カップリング残基が有するアルコキシシリル基の数となる。また、カップリング剤が有するアザシラサイクル基は、>N−Li結合及び共役ジエン系重合体末端とカップリング残基のケイ素との結合を形成する。なお、>N−Li結合は、仕上げ時の水等により容易に>NH及びLiOHとなる傾向にある。また、カップリング剤において、未反応で残存したアルコキシシリル基は、仕上げ時の水等により容易にシラノール(Si−OH基)となり得る傾向にある。
前記反応工程における反応温度は、好ましくは共役ジエン系重合体の重合温度と同様の温度であり、より好ましくは0℃以上120℃以下であり、さらに好ましくは50℃以上100℃以下である。また、重合工程後からカップリング剤が添加されるまでの温度変化は、好ましくは10℃以下であり、より好ましくは5℃以下である。
前記反応工程における反応時間は、好ましくは10秒以上であり、より好ましくは30秒以上である。重合工程の終了時から反応工程の開始時までの時間は、カップリング率の観点から、より短い方が好ましいが、より好ましくは5分以内である。
反応工程における混合は、機械的な攪拌、スタティックミキサーによる攪拌等のいずれでもよい。重合工程が連続式である場合は、反応工程も連続式であることが好ましい。反応工程における反応器は、例えば、撹拌機付きの槽型、管型のものが用いられる。カップリング剤は、不活性溶媒により希釈して反応器に連続的に供給してもよい。重合工程が回分式の場合は、重合反応器にカップリング剤を投入する方法でも、別の反応器に移送して反応工程を行ってもよい。
前記反応工程における反応時間は、好ましくは10秒以上であり、より好ましくは30秒以上である。重合工程の終了時から反応工程の開始時までの時間は、カップリング率の観点から、より短い方が好ましいが、より好ましくは5分以内である。
反応工程における混合は、機械的な攪拌、スタティックミキサーによる攪拌等のいずれでもよい。重合工程が連続式である場合は、反応工程も連続式であることが好ましい。反応工程における反応器は、例えば、撹拌機付きの槽型、管型のものが用いられる。カップリング剤は、不活性溶媒により希釈して反応器に連続的に供給してもよい。重合工程が回分式の場合は、重合反応器にカップリング剤を投入する方法でも、別の反応器に移送して反応工程を行ってもよい。
前記一般式(VI)において、Aは、好ましくは上記一般式(II)〜(V)のいずれかで表される。Aが一般式(II)〜(V)のいずれかで表されるものであることにより、より優れた性能を有する変性共役ジエン系重合体(A2)を得ることができる。
前記一般式(II)中、B1は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、aは、1〜10の整数を示す。複数存在する場合のB1は、各々独立している。
前記一般式(III)中、B2は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、B3は、炭素数1〜20のアルキル基を示し、aは、1〜10の整数を示す。それぞれ複数存在する場合のB2及びB3は、各々独立している。
前記一般式(IV)中、B4は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、aは、1〜10の整数を示す。複数存在する場合のB4は、各々独立している。
前記一般式(V)中、B5は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、aは、1〜10の整数を示す。複数存在する場合のB5は、各々独立している。
なお、前記一般式(II)〜(V)中のB1、B2、B4、B5に関して、炭素数1〜20の炭化水素基としては、炭素数1〜20のアルキレン基等が挙げられる。
好ましくは、前記一般式(VI)において、Aは、前記一般式(II)又は(III)で表され、kは、0を示す。
より好ましくは、前記一般式(VI)において、Aは、前記一般式(II)又は(III)で表され、kは、0を示し、前記一般式(II)又は(III)において、aは、2〜10の整数を示す。
より一層好ましくは、前記一般式(VI)において、Aは、前記一般式(II)で表され、kは、0を示し、前記一般式(II)において、aは、2〜10の整数を示す。
かかるカップリング剤としては、例えば、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]アミン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、テトラキス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−メチル−1,3−プロパンジアミン、ビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリスメトキシシリルプロピル)−メチル−1,3−プロパンジアミン等が挙げられ、これらの中でも、テトラキス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンが特に好ましい。
より好ましくは、前記一般式(VI)において、Aは、前記一般式(II)又は(III)で表され、kは、0を示し、前記一般式(II)又は(III)において、aは、2〜10の整数を示す。
より一層好ましくは、前記一般式(VI)において、Aは、前記一般式(II)で表され、kは、0を示し、前記一般式(II)において、aは、2〜10の整数を示す。
かかるカップリング剤としては、例えば、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]アミン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、テトラキス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−メチル−1,3−プロパンジアミン、ビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリスメトキシシリルプロピル)−メチル−1,3−プロパンジアミン等が挙げられ、これらの中でも、テトラキス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンが特に好ましい。
前記カップリング剤としての一般式(VI)で表される化合物の添加量は、共役ジエン系重合体のモル数対カップリング剤のモル数が、所望の化学量論的比率で反応させるよう調整することができ、そのことにより所望の分岐度が達成される傾向にある。具体的な重合開始剤のモル数は、カップリング剤のモル数に対して、好ましくは5.0倍モル以上、より好ましくは6.0倍モル以上であることが好ましい。この場合、一般式(VI)において、カップリング剤の官能基数((m−1)×i+p×j+k)は、5〜10の整数であることが好ましく、6〜10の整数であることがより好ましい。
前記特定の高分子成分を有する変性共役ジエン系重合体(A2)を得るためには、共役ジエン系重合体の分子量分布(Mw/Mn)を、好ましくは1.5以上2.5以下、より好ましくは1.8以上2.2以下とするとよい。また、得られる変性共役ジエン系重合体(A2)は、GPCによる分子量曲線が一山のピークが検出されるものであることが好ましい。
前記変性共役ジエン系重合体(A2)のGPCによるピーク分子量をMp1、共役ジエン系重合体のピーク分子量をMp2とした場合、以下の式が成り立つことが好ましい。
(Mp1/Mp2)<1.8×10−12×(Mp2−120×104)2+2
Mp2は、20×104以上80×104以下、Mp1は30×104以上150×104以下がより好ましい。Mp1及びMp2は、後述する実施例に記載の方法により求める。
前記変性共役ジエン系重合体(A2)のGPCによるピーク分子量をMp1、共役ジエン系重合体のピーク分子量をMp2とした場合、以下の式が成り立つことが好ましい。
(Mp1/Mp2)<1.8×10−12×(Mp2−120×104)2+2
Mp2は、20×104以上80×104以下、Mp1は30×104以上150×104以下がより好ましい。Mp1及びMp2は、後述する実施例に記載の方法により求める。
前記変性共役ジエン系重合体(A2)の変性率は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。変性率が30質量%以上であることで、ゴム組成物をタイヤに適用した際に、タイヤの耐摩耗性を向上させつつ、転がり抵抗を更に低減できる。なお、変性率は、後述する実施例に記載の方法により測定する。
前記反応工程の後、共重合体溶液に、必要に応じて、失活剤、中和剤等を添加してもよい。失活剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール等が挙げられる。中和剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、バーサチック酸(炭素数9〜11個で、10個を中心とする、分岐の多いカルボン酸混合物)等のカルボン酸;無機酸の水溶液、炭酸ガス等が挙げられる。
また、前記変性共役ジエン系重合体(A2)は、重合後のゲル生成を防止する観点、及び加工時の安定性を向上させる観点から、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェノール)プロピネート、2−メチル−4,6−ビス[(オクチルチオ)メチル]フェノール等の酸化防止剤を添加することが好ましい。
また、前記変性共役ジエン系重合体(A2)は、重合後のゲル生成を防止する観点、及び加工時の安定性を向上させる観点から、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェノール)プロピネート、2−メチル−4,6−ビス[(オクチルチオ)メチル]フェノール等の酸化防止剤を添加することが好ましい。
前記変性共役ジエン系重合体(A2)の加工性をより改善するために、必要に応じて、伸展油を変性共役ジエン系共重合体に添加することができる。伸展油を変性共役ジエン系重合体に添加する方法としては、以下のものに限定されないが、伸展油を該重合体溶液に加え、混合して、油展共重合体溶液としたものを脱溶媒する方法が好ましい。伸展油としては、例えば、アロマ油、ナフテン油、パラフィン油等が挙げられる。これらの中でも、環境安全上の観点、並びにオイルブリード防止及びウェット性能の観点から、IP346法による多環芳香族(PCA)成分が3質量%以下であるアロマ代替油が好ましい。アロマ代替油としては、Kautschuk Gummi Kunststoffe52(12)799(1999)に示されるTDAE(Treated Distillate Aromatic Extracts)、MES(Mild Extraction Solvate)等の他、RAE(Residual Aromatic Extracts)が挙げられる。伸展油の添加量は、特に限定されないが、変性共役ジエン系重合体(A2)100質量部に対し、10〜60質量部が好ましく、20〜37.5質量部がより好ましい。
前記変性共役ジエン系重合体(A2)を、重合体溶液から取得する方法としては、公知の方法を用いることができる。その方法として、例えば、スチームストリッピング等で溶媒を分離した後、重合体を濾別し、さらにそれを脱水及び乾燥して重合体を取得する方法、フラッシングタンクで濃縮し、さらにベント押出し機等で脱揮する方法、ドラムドライヤー等で直接脱揮する方法が挙げられる。
上記一般式(VI)で表されるカップリング剤と、共役ジエン系重合体とを反応させてなる変性共役ジエン系重合体(A2)は、例えば、上記一般式(I)で表される。
一般式(I)中、Dは、共役ジエン系重合体鎖を示し、該共役ジエン系重合体鎖の重量平均分子量は、10×104〜100×104であることが好ましい。該共役ジエン系重合体鎖は、変性共役ジエン系重合体の構成単位であり、例えば、共役ジエン系重合体とカップリング剤とを反応させることによって生じる、共役ジエン系重合体由来の構造単位である。
R1、R2及びR3は、各々独立に、単結合又は炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R4及びR7は、各々独立に、炭素数1〜20のアルキル基を示し、R5、R8、及びR9は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示し、R6及びR10は、各々独立に、炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R11は、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示す。m及びxは、1〜3の整数を示し、x≦mであり、pは、1又は2を示し、yは1〜3の整数を示し、y≦(p+1)であり、zは、1又は2の整数を示す。それぞれ複数存在する場合のD、R1〜R11、m、p、x、y、及びzは、各々独立しており、同じであっても異なっていてもよい。また、iは、0〜6の整数を示し、jは0〜6の整数を示し、kは0〜6の整数を示し、(i+j+k)は3〜10の整数であり、((x×i)+(y×j)+(z×k))は、5〜30の整数である。Aは、炭素数1〜20の炭化水素基、又は、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子、硫黄原子、及びリン原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を有し、かつ、活性水素を有しない有機基を示す。Aが示す炭化水素基は、飽和、不飽和、脂肪族、及び芳香族の炭化水素基を包含する。上記活性水素を有しない有機基としては、例えば、水酸基(−OH)、第2級アミノ基(>NH)、第1級アミノ基(−NH2)、スルフヒドリル基(−SH)等の活性水素を有する官能基、を有しない有機基が挙げられる。
R1、R2及びR3は、各々独立に、単結合又は炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R4及びR7は、各々独立に、炭素数1〜20のアルキル基を示し、R5、R8、及びR9は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示し、R6及びR10は、各々独立に、炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R11は、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示す。m及びxは、1〜3の整数を示し、x≦mであり、pは、1又は2を示し、yは1〜3の整数を示し、y≦(p+1)であり、zは、1又は2の整数を示す。それぞれ複数存在する場合のD、R1〜R11、m、p、x、y、及びzは、各々独立しており、同じであっても異なっていてもよい。また、iは、0〜6の整数を示し、jは0〜6の整数を示し、kは0〜6の整数を示し、(i+j+k)は3〜10の整数であり、((x×i)+(y×j)+(z×k))は、5〜30の整数である。Aは、炭素数1〜20の炭化水素基、又は、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子、硫黄原子、及びリン原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を有し、かつ、活性水素を有しない有機基を示す。Aが示す炭化水素基は、飽和、不飽和、脂肪族、及び芳香族の炭化水素基を包含する。上記活性水素を有しない有機基としては、例えば、水酸基(−OH)、第2級アミノ基(>NH)、第1級アミノ基(−NH2)、スルフヒドリル基(−SH)等の活性水素を有する官能基、を有しない有機基が挙げられる。
上記一般式(I)において、Aは、上記一般式(II)〜(V)のいずれかで表されることが好ましい。Aが一般式(II)〜(V)のいずれかで表されることにより、ゴム組成物をタイヤに適用した際に、タイヤの低転がり抵抗と、ウェット性能と、耐摩耗性とを、高度にバランスさせることが可能となる。
また、好ましくは、前記一般式(I)において、Aは、前記一般式(II)又は(III)で表され、kは、0を示す。
より好ましくは、前記一般式(I)において、Aは、前記一般式(II)又は(III)で表され、kは、0を示し、前記一般式(II)又は(III)において、aは、2〜10の整数を示す。
より一層好ましくは、前記一般式(I)において、Aは、前記一般式(II)で表され、kは、0を示し、前記一般式(II)において、aは、2〜10の整数を示す。
また、好ましくは、前記一般式(I)において、Aは、前記一般式(II)又は(III)で表され、kは、0を示す。
より好ましくは、前記一般式(I)において、Aは、前記一般式(II)又は(III)で表され、kは、0を示し、前記一般式(II)又は(III)において、aは、2〜10の整数を示す。
より一層好ましくは、前記一般式(I)において、Aは、前記一般式(II)で表され、kは、0を示し、前記一般式(II)において、aは、2〜10の整数を示す。
前記ゴム成分(A)中の、前記変性共役ジエン系重合体(A2)の含有率は、10〜45質量%が好ましく、25〜40質量%がより好ましく、30〜35質量%が更に好ましい。ゴム成分(A)中の変性共役ジエン系重合体(A2)の含有率が10質量%以上の場合、タイヤに適用した際に、タイヤのウェット性能を更に向上させることができる。また、ゴム成分(A)中の変性共役ジエン系重合体(A2)の含有率が45質量%以下の場合、ゴム組成物の加工性が向上する。
本発明のゴム組成物のゴム成分(A)は、前記変性共役ジエン系重合体(A2)のガラス転移温度(Tg)が−50℃を超える場合、更にガラス転移温度(Tg)が−50℃以下の変性共役ジエン系重合体(A3)を含むことが好ましい。ゴム成分(A)が該変性共役ジエン系重合体(A3)を含む場合、ゴム組成物をタイヤに適用した際に、タイヤの耐摩耗性を向上させることができる。
前記ゴム成分(A)中の、前記変性共役ジエン系重合体(A3)の含有率は、20〜50質量%が好ましく、25〜40質量%がより好ましく、30〜35質量%が更に好ましい。ゴム成分(A)中の変性共役ジエン系重合体(A3)の含有率が20質量%以上の場合、ゴム組成物中での充填剤の分散性が向上し、該ゴム組成物をタイヤのトレッドゴムに適用することで、タイヤの転がり抵抗を更に低減しつつ、ウェット性能を更に向上させることができる。また、ゴム成分(A)中の変性共役ジエン系重合体(A3)の含有率が50質量%以下の場合、前述の天然ゴム(A1)及び変性共役ジエン系重合体(A2)の割合を増やすことができる。
なお、変性共役ジエン系重合体(A3)のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは−55℃以下、より好ましくは−60℃以下であり、また、好ましくは−120℃以上、より好ましくは−100℃以上である。
なお、変性共役ジエン系重合体(A3)のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは−55℃以下、より好ましくは−60℃以下であり、また、好ましくは−120℃以上、より好ましくは−100℃以上である。
前記変性共役ジエン系重合体(A3)における変性官能基としては、例えば、含窒素官能基、含ケイ素官能基、含酸素官能基等が挙げられる。
前記変性共役ジエン系重合体(A3)としては、単量体として共役ジエン化合物、或いは、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物を使用し、該共役ジエン化合物の重合体又は共重合体、或いは、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物との共重合体の分子末端及び/又は主鎖を変性剤で変性して得た重合体や、単量体として共役ジエン化合物、或いは、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物を使用し、変性官能基を有する重合開始剤を用いて、これらの単量体を重合又は共重合させて得た重合体を使用することができる。
前記変性共役ジエン系重合体(A3)としては、単量体として共役ジエン化合物、或いは、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物を使用し、該共役ジエン化合物の重合体又は共重合体、或いは、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物との共重合体の分子末端及び/又は主鎖を変性剤で変性して得た重合体や、単量体として共役ジエン化合物、或いは、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物を使用し、変性官能基を有する重合開始剤を用いて、これらの単量体を重合又は共重合させて得た重合体を使用することができる。
前記変性共役ジエン系重合体(A3)の合成に用いる単量体に関し、共役ジエン化合物としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられ、また、芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、3−ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、4−シクロヘキシルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン等が挙げられる。
また、前記変性共役ジエン系重合体(A3)としては、変性イソプレンゴム、変性ブタジエンゴム、変性スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、変性スチレン−イソプレン共重合体ゴム等が挙げられる。
また、前記変性共役ジエン系重合体(A3)としては、変性イソプレンゴム、変性ブタジエンゴム、変性スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、変性スチレン−イソプレン共重合体ゴム等が挙げられる。
前記変性共役ジエン系重合体(A3)の製造に使用できる変性剤としては、ヒドロカルビルオキシシラン化合物が好ましい。該ヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、下記一般式(VII):
R26 b−Si−(OR27)4−b ・・・ (VII)
で表される化合物が好ましい。
一般式(VII)中、R26及びR27は、それぞれ独立して炭素数1〜20の一価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基を示し、bは0〜2の整数であり、OR27が複数ある場合、各OR27は互いに同一でも異なっていてもよく、また、分子中には活性プロトンは含まれない。
R26 b−Si−(OR27)4−b ・・・ (VII)
で表される化合物が好ましい。
一般式(VII)中、R26及びR27は、それぞれ独立して炭素数1〜20の一価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基を示し、bは0〜2の整数であり、OR27が複数ある場合、各OR27は互いに同一でも異なっていてもよく、また、分子中には活性プロトンは含まれない。
前記ヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、下記一般式(VIII):
で表される化合物も好ましい。
一般式(VIII)中、n1+n2+n3+n4は4であり(但し、n2は1〜4の整数であり、n1、n3及びn4は0〜3の整数である)、A1は、飽和環状3級アミン化合物残基、不飽和環状3級アミン化合物残基、ケチミン残基、ニトリル基、イソシアナート基、チオイソシアナート基、エポキシ基、チオエポキシ基、イソシアヌル酸トリヒドロカルビルエステル基、炭酸ジヒドロカルビルエステル基、ピリジン基、ケトン基、チオケトン基、アルデヒド基、チオアルデヒド基、アミド基、カルボン酸エステル基、チオカルボン酸エステル基、カルボン酸エステルの金属塩、チオカルボン酸エステルの金属塩、カルボン酸無水物残基、カルボン酸ハロゲン化合物残基、並びに加水分解性基を有する第一若しくは第二アミノ基又は加水分解性基を有するメルカプト基の中から選択される少なくとも1種の官能基であり、n4が2以上の場合には同一でも異なっていてもよく、A1は、Siと結合して環状構造を形成する二価の基であってもよく、R31は、炭素数1〜20の一価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、n1が2以上の場合には同一でも異なっていてもよく、R33は、炭素数1〜20の一価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基、炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基又はハロゲン原子であり、n3が2以上の場合には同一でも異なっていてもよく、R32は、炭素数1〜20の一価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、いずれも窒素原子及び/又はケイ素原子を含有していてもよく、n2が2以上の場合には、互いに同一若しくは異なっていてもよく、或いは、一緒になって環を形成していてもよく、R34は、炭素数1〜20の二価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基であり、n4が2以上の場合には同一でも異なっていてもよい。前記加水分解性基を有する第一若しくは第二アミノ基又は加水分解性基を有するメルカプト基における加水分解性基としては、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基が好ましく、トリメチルシリル基が特に好ましい。
一般式(VIII)中、n1+n2+n3+n4は4であり(但し、n2は1〜4の整数であり、n1、n3及びn4は0〜3の整数である)、A1は、飽和環状3級アミン化合物残基、不飽和環状3級アミン化合物残基、ケチミン残基、ニトリル基、イソシアナート基、チオイソシアナート基、エポキシ基、チオエポキシ基、イソシアヌル酸トリヒドロカルビルエステル基、炭酸ジヒドロカルビルエステル基、ピリジン基、ケトン基、チオケトン基、アルデヒド基、チオアルデヒド基、アミド基、カルボン酸エステル基、チオカルボン酸エステル基、カルボン酸エステルの金属塩、チオカルボン酸エステルの金属塩、カルボン酸無水物残基、カルボン酸ハロゲン化合物残基、並びに加水分解性基を有する第一若しくは第二アミノ基又は加水分解性基を有するメルカプト基の中から選択される少なくとも1種の官能基であり、n4が2以上の場合には同一でも異なっていてもよく、A1は、Siと結合して環状構造を形成する二価の基であってもよく、R31は、炭素数1〜20の一価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、n1が2以上の場合には同一でも異なっていてもよく、R33は、炭素数1〜20の一価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基、炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基又はハロゲン原子であり、n3が2以上の場合には同一でも異なっていてもよく、R32は、炭素数1〜20の一価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、いずれも窒素原子及び/又はケイ素原子を含有していてもよく、n2が2以上の場合には、互いに同一若しくは異なっていてもよく、或いは、一緒になって環を形成していてもよく、R34は、炭素数1〜20の二価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基であり、n4が2以上の場合には同一でも異なっていてもよい。前記加水分解性基を有する第一若しくは第二アミノ基又は加水分解性基を有するメルカプト基における加水分解性基としては、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基が好ましく、トリメチルシリル基が特に好ましい。
上記一般式(VIII)で表される化合物としては、下記一般式(IX):
で表される化合物が好ましい。
一般式(IX)中、p1+p2+p3は2であり(但し、p2は1〜2の整数であり、p1及びp3は0〜1の整数である)、A2は、NRa(Raは、一価の炭化水素基、加水分解性基又は含窒素有機基である)、或いは、硫黄であり、R36は、炭素数1〜20の一価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、R38は、炭素数1〜20の一価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基、炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基又はハロゲン原子であり、R37は、炭素数1〜20の一価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基、炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基又は含窒素有機基であり、いずれも窒素原子及び/又はケイ素原子を含有していてもよく、p2が2の場合には、互いに同一でも異なっていてもよく、或いは、一緒になって環を形成していてもよく、R39は、炭素数1〜20の二価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基である。前記加水分解性基として、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基が好ましく、トリメチルシリル基が特に好ましい。
一般式(IX)中、p1+p2+p3は2であり(但し、p2は1〜2の整数であり、p1及びp3は0〜1の整数である)、A2は、NRa(Raは、一価の炭化水素基、加水分解性基又は含窒素有機基である)、或いは、硫黄であり、R36は、炭素数1〜20の一価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、R38は、炭素数1〜20の一価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基、炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基又はハロゲン原子であり、R37は、炭素数1〜20の一価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基、炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基又は含窒素有機基であり、いずれも窒素原子及び/又はケイ素原子を含有していてもよく、p2が2の場合には、互いに同一でも異なっていてもよく、或いは、一緒になって環を形成していてもよく、R39は、炭素数1〜20の二価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基である。前記加水分解性基として、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基が好ましく、トリメチルシリル基が特に好ましい。
上記一般式(VIII)で表される化合物としては、下記一般式(X):
で表される化合物も好ましい。
一般式(X)中、q1+q2は3であり(但し、q1は0〜2の整数であり、q2は1〜3の整数である)、R41は炭素数1〜20の二価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基であり、R42及びR43はそれぞれ独立して加水分解性基、炭素数1〜20の一価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、R44は炭素数1〜20の一価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、q1が2の場合には同一でも異なっていてもよく、R45は炭素数1〜20の一価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、q2が2以上の場合には同一でも異なっていてもよい。前記加水分解性基としては、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基が好ましく、トリメチルシリル基が特に好ましい。
一般式(X)中、q1+q2は3であり(但し、q1は0〜2の整数であり、q2は1〜3の整数である)、R41は炭素数1〜20の二価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基であり、R42及びR43はそれぞれ独立して加水分解性基、炭素数1〜20の一価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、R44は炭素数1〜20の一価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、q1が2の場合には同一でも異なっていてもよく、R45は炭素数1〜20の一価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、q2が2以上の場合には同一でも異なっていてもよい。前記加水分解性基としては、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基が好ましく、トリメチルシリル基が特に好ましい。
上記一般式(VIII)で表される化合物としては、下記一般式(XI):
で表される化合物も好ましい。
一般式(XI)中、r1+r2は3であり(但し、r1は1〜3の整数であり、r2は0〜2の整数である)、R46は炭素数1〜20の二価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基であり、R47はジメチルアミノメチル基、ジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノメチル基、ジエチルアミノエチル基、メチルシリル(メチル)アミノメチル基、メチルシリル(メチル)アミノエチル基、メチルシリル(エチル)アミノメチル基、メチルシリル(エチル)アミノエチル基、ジメチルシリルアミノメチル基、ジメチルシリルアミノエチル基、炭素数1〜20の一価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、r1が2以上の場合には同一でも異なっていてもよく、R48は炭素数1〜20のヒドロカルビルオキシ基、炭素数1〜20の一価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、r2が2の場合には同一でも異なっていてもよい。
一般式(XI)中、r1+r2は3であり(但し、r1は1〜3の整数であり、r2は0〜2の整数である)、R46は炭素数1〜20の二価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基であり、R47はジメチルアミノメチル基、ジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノメチル基、ジエチルアミノエチル基、メチルシリル(メチル)アミノメチル基、メチルシリル(メチル)アミノエチル基、メチルシリル(エチル)アミノメチル基、メチルシリル(エチル)アミノエチル基、ジメチルシリルアミノメチル基、ジメチルシリルアミノエチル基、炭素数1〜20の一価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、r1が2以上の場合には同一でも異なっていてもよく、R48は炭素数1〜20のヒドロカルビルオキシ基、炭素数1〜20の一価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、r2が2の場合には同一でも異なっていてもよい。
上記一般式(VIII)で表される化合物としては、下記一般式(XII):
で表される化合物も好ましい。
一般式(XII)中、R51はトリメチルシリル基、炭素数1〜20の一価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、R52は炭素数1〜20のヒドロカルビルオキシ基、炭素数1〜20の一価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、R53は炭素数1〜20の二価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基である。ここで、TMSは、トリメチルシリル基を示す(以下、同じ。)。
一般式(XII)中、R51はトリメチルシリル基、炭素数1〜20の一価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、R52は炭素数1〜20のヒドロカルビルオキシ基、炭素数1〜20の一価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、R53は炭素数1〜20の二価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基である。ここで、TMSは、トリメチルシリル基を示す(以下、同じ。)。
上記一般式(VIII)で表される化合物としては、下記一般式(XIII):
で表される化合物も好ましい。
一般式(XIII)中、R56及びR57はそれぞれ独立して炭素数1〜20の二価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基であり、R58は炭素数1〜20の一価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、各R58は、同一でも異なっていてもよい。
一般式(XIII)中、R56及びR57はそれぞれ独立して炭素数1〜20の二価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基であり、R58は炭素数1〜20の一価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、各R58は、同一でも異なっていてもよい。
一般式(VIII)で表される化合物としては、下記一般式(XIV):
で表される化合物も好ましい。
一般式(XIV)中、s1+s2は3であり(但し、s1は0〜2の整数であり、s2は1〜3の整数である)、R61は炭素数1〜20の二価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基であり、R62およびR63はそれぞれ独立して炭素数1〜20の一価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基である。複数のR62又はR63は、同一でも異なっていてもよい。
一般式(XIV)中、s1+s2は3であり(但し、s1は0〜2の整数であり、s2は1〜3の整数である)、R61は炭素数1〜20の二価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基であり、R62およびR63はそれぞれ独立して炭素数1〜20の一価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基である。複数のR62又はR63は、同一でも異なっていてもよい。
上記一般式(VIII)で表される化合物としては、下記一般式(XV):
で表される化合物も好ましい。
一般式(XV)中、Xはハロゲン原子であり、R66は炭素数1〜20の二価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基であり、R67及びR68はそれぞれ独立して加水分解性基、炭素数1〜20の一価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であるか、或いは、R67及びR68は結合して二価の有機基を形成しており、R69及びR70はそれぞれ独立してハロゲン原子、ヒドロカルビルオキシ基、炭素数1〜20の一価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基である。R67及びR68としては、加水分解性基であることが好ましく、加水分解性基として、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基が好ましく、トリメチルシリル基が特に好ましい。
一般式(XV)中、Xはハロゲン原子であり、R66は炭素数1〜20の二価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基であり、R67及びR68はそれぞれ独立して加水分解性基、炭素数1〜20の一価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であるか、或いは、R67及びR68は結合して二価の有機基を形成しており、R69及びR70はそれぞれ独立してハロゲン原子、ヒドロカルビルオキシ基、炭素数1〜20の一価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基である。R67及びR68としては、加水分解性基であることが好ましく、加水分解性基として、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基が好ましく、トリメチルシリル基が特に好ましい。
上記一般式(VIII)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、下記一般式(XVI)〜(XIX):
で表される化合物も好ましい。
一般式(XVI)〜(XIX)中、記号U、Vはそれぞれ0〜2且つU+V=2を満たす整数である。一般式(XVI)〜(XIX)中のR71〜109は同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜20の一価若しくは二価の脂肪族又は脂環式炭化水素基、或いは、炭素数6〜18の一価若しくは二価の芳香族炭化水素基である。なお、一般式(XIX)中のα及びβは0〜5の整数である。
一般式(XVI)〜(XIX)中、記号U、Vはそれぞれ0〜2且つU+V=2を満たす整数である。一般式(XVI)〜(XIX)中のR71〜109は同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜20の一価若しくは二価の脂肪族又は脂環式炭化水素基、或いは、炭素数6〜18の一価若しくは二価の芳香族炭化水素基である。なお、一般式(XIX)中のα及びβは0〜5の整数である。
前記変性官能基を有する重合開始剤としては、リチウムアミド化合物が好ましい。該リチウムアミド化合物としては、例えば、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピペリジド、リチウムへプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミド、リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジブチルアミド、リチウムジプロピルアミド、リチウムジへプチルアミド、リチウムジへキシルアミド、リチウムジオクチルアミド、リチウムジ−2−エチルへキシルアミド、リチウムジデシルアミド、リチウム−N−メチルピぺラジド、リチウムエチルプロピルアミド、リチウムエチルブチルアミド、リチウムエチルベンジルアミド、リチウムメチルフェネチルアミド等が挙げられる。
本発明のゴム組成物のゴム成分(A)は、上述の天然ゴム(A1)、変性共役ジエン系重合体(A2)、変性共役ジエン系重合体(A3)の他に、他のゴム成分を含んでもよい。かかる他のゴム成分としては、未変性の、合成イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、スチレン−イソプレン共重合体ゴム(SIR)等の、未変性合成ジエン系ゴム等が挙げられる。
本発明のゴム組成物は、熱可塑性樹脂(B)を含む。ゴム組成物に熱可塑性樹脂(B)を配合することで、弾性率が向上し、タイヤに適用した際に、乾燥路面での操縦安定性とウェット性能とを両立できる。
前記熱可塑性樹脂(B)の含有量は、前記ゴム成分(A)100質量部に対して、1〜50質量部が好ましく、5〜30質量部が更に好ましい。熱可塑性樹脂(B)の含有量がゴム成分(A)100質量部に対して1質量部以上であれば、ゴム組成物のウェット性能がより向上し、また、50質量部以下であれば、ゴム組成物の弾性率の低下をより抑制し易くなる。そのため、熱可塑性樹脂(B)の含有量が、ゴム成分(A)100質量部に対して1〜50質量部の場合、タイヤのウェット性能を更に向上させることができる。
前記熱可塑性樹脂(B)としては、C5系樹脂、C5−C9系樹脂、C9系樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、テルペンフェノール樹脂、テルペン樹脂、ロジン樹脂、及びアルキルフェノール樹脂等が挙げられ、C5系樹脂、C5−C9系樹脂、C9系樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、ロジン樹脂、及びアルキルフェノール樹脂から選択される少なくとも一種が好ましい。熱可塑性樹脂(B)として、C5系樹脂、C5−C9系樹脂、C9系樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、テルペンフェノール樹脂、テルペン樹脂、ロジン樹脂、及びアルキルフェノール樹脂の少なくとも一種を含む場合、タイヤのウェット性能を更に向上させることができる。
前記熱可塑性樹脂(B)の中でも、C5系樹脂、C5−C9系樹脂及びC9系樹脂が特に好ましい。C5−C9系樹脂及びC9系樹脂は、天然ゴム(A1)との相溶性が高く、ゴム組成物の低歪領域での弾性率を高くする効果、並びにゴム組成物の高歪領域での弾性率を低下させる効果が更に大きくなり、タイヤのウェット性能を更に向上させることができる。前記熱可塑性樹脂(B)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記熱可塑性樹脂(B)の中でも、C5系樹脂、C5−C9系樹脂及びC9系樹脂が特に好ましい。C5−C9系樹脂及びC9系樹脂は、天然ゴム(A1)との相溶性が高く、ゴム組成物の低歪領域での弾性率を高くする効果、並びにゴム組成物の高歪領域での弾性率を低下させる効果が更に大きくなり、タイヤのウェット性能を更に向上させることができる。前記熱可塑性樹脂(B)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記C5系樹脂とは、C5系合成石油樹脂を指し、該C5系樹脂としては、例えば、石油化学工業のナフサの熱分解によって得られるC5留分を、AlCl3、BF3等のフリーデルクラフツ型触媒を用いて重合して得られる脂肪族系石油樹脂が挙げられる。前記C5留分には、通常、1−ペンテン、2−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、3−メチル−1−ブテン等のオレフィン系炭化水素、2−メチル−1,3−ブタジエン、1,2−ペンタジエン、1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,2−ブタジエン等のジオレフィン系炭化水素等が含まれる。なお、前記C5系樹脂としては、市販品を利用することができ、例えば、エクソンモービルケミカル社製脂肪族系石油樹脂である「エスコレッツ(登録商標)1000シリーズ」、日本ゼオン株式会社製脂肪族系石油樹脂である「クイントン(登録商標)100シリーズ」の内「A100、B170、M100、R100」、東燃化学社製「T−REZ RA100」等が挙げられる。
前記C5−C9系樹脂とは、C5−C9系合成石油樹脂を指し、該C5−C9系樹脂としては、例えば、石油由来のC5留分とC9留分とを、AlCl3、BF3等のフリーデルクラフツ型触媒を用いて重合して得られる固体重合体が挙げられ、より具体的には、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、インデン等を主成分とする共重合体等が挙げられる。該C5−C9系樹脂としては、C9以上の成分の少ない樹脂が、ゴム成分との相溶性の観点から好ましい。ここで、「C9以上の成分が少ない」とは、樹脂全量中のC9以上の成分が50質量%未満、好ましくは40質量%以下であることを言うものとする。前記C5−C9系樹脂としては、市販品を利用することができ、例えば、商品名「クイントン(登録商標)G100B」(日本ゼオン株式会社製)、商品名「ECR213」(エクソンモービルケミカル社製)、商品名「T−REZ RD104」(東燃化学社製)等が挙げられる。
前記C9系樹脂は、例えば、石油化学工業のナフサの熱分解により、エチレン、プロピレン等の石油化学基礎原料と共に副生するC9留分である、ビニルトルエン、アルキルスチレン、インデンを主要なモノマーとする炭素数9の芳香族を重合した樹脂である。ここで、ナフサの熱分解によって得られるC9留分の具体例としては、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、γ−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、インデン等が挙げられる。該C9系樹脂は、C9留分と共に、C8留分であるスチレン等、C10留分であるメチルインデン、1,3−ジメチルスチレン等、更にはナフタレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、p−tert−ブチルスチレン等をも原料として用い、これらのC8〜C10留分等を混合物のまま、例えばフリーデルクラフツ型触媒により共重合して得ることができる。また、前記C9系樹脂は、水酸基を有する化合物、不飽和カルボン酸化合物等で変性された変性石油樹脂であってもよい。なお、前記C9系樹脂としては、市販品を利用することができ、例えば、未変性C9系石油樹脂としては、商品名「日石ネオポリマー(登録商標)L−90」、「日石ネオポリマー(登録商標)120」、「日石ネオポリマー(登録商標)130」、「日石ネオポリマー(登録商標)140」(JX日鉱日石エネルギー株式会社製)等が挙げられる。
前記ジシクロペンタジエン樹脂は、シクロペンタジエンを二量体化して得られるジシクロペンタジエンを主原料に製造された石油樹脂である。前記ジシクロペンタジエン樹脂としては、市販品を利用することができ、例えば、日本ゼオン株式会社製脂環式系石油樹脂である商品名「クイントン(登録商標)1000シリーズ」の内「1105、1325、1340」等が挙げられる。
前記テルペンフェノール樹脂は、例えば、テルペン類と種々のフェノール類とを、フリーデルクラフツ型触媒を用いて反応させたり、又はさらにホルマリンで縮合する方法で得ることができる。原料のテルペン類としては特に制限はなく、α−ピネンやリモネン等のモノテルペン炭化水素が好ましく、α−ピネンを含むものがより好ましく、特にα−ピネンであることが好ましい。該テルペンフェノール樹脂としては、市販品を利用することができ、例えば、商品名「タマノル803L」、「タマノル901」(荒川化学工業株式会社製)、商品名「YSポリスター(登録商標)U」シリーズ、「YSポリスター(登録商標)T」シリーズ、「YSポリスター(登録商標)S」シリーズ、「YSポリスター(登録商標)G」シリーズ、「YSポリスター(登録商標)N」シリーズ、「YSポリスター(登録商標)K」シリーズ、「YSポリスター(登録商標)TH」シリーズ(ヤスハラケミカル株式会社製)等が挙げられる。
前記テルペン樹脂は、マツ属の木からロジンを得る際に同時に得られるテレピン油、或いは、これから分離した重合成分を配合し、フリーデルクラフツ型触媒を用いて重合して得られる固体状の樹脂であり、β−ピネン樹脂、α−ピネン樹脂等が挙げられる。該テルペン樹脂としては、市販品を利用することができ、例えば、ヤスハラケミカル株式会社製の商品名「YSレジン」シリーズ(PX‐1250、TR‐105等)、ハーキュリーズ社製の商品名「ピコライト」シリーズ(A115、S115等)等が挙げられる。
前記ロジン樹脂は、マツ科の植物の樹液である松脂(松ヤニ)等のバルサム類を集めてテレピン精油を蒸留した後に残る残留物で、ロジン酸(アビエチン酸、パラストリン酸、イソピマール酸等)を主成分とする天然樹脂、及びそれらを変性、水素添加等で加工した変性樹脂、水添樹脂である。例えば、天然樹脂ロジン、その重合ロジンや部分水添ロジン;グリセリンエステルロジン、その部分水添ロジンや完全水添ロジンや重合ロジン;ペンタエリスリトールエステルロジン、その部分水添ロジンや重合ロジン等が挙げられる。天然樹脂ロジンとして、生松ヤニやトール油に含まれるガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン等がある。前記ロジン樹脂としては、市販品を利用することができ、例えば、商品名「ネオトール105」(ハリマ化成株式会社製)、商品名「SNタック754」(サンノプコ株式会社製)、商品名「ライムレジンNo.1」、「ペンセルA」及び「ペンセルAD」(荒川化学工業株式会社製)、商品名「ポリペール」及び「ペンタリンC」(イーストマンケミカル株式会社製)、商品名「ハイロジン(登録商標)S」(大社松精油株式会社製)等が挙げられる。
前記アルキルフェノール樹脂は、例えば、アルキルフェノールとホルムアルデヒドとの触媒下における縮合反応によって得られる。該アルキルフェノール樹脂としては、市販品を利用することができ、例えば、商品名「ヒタノール1502P」(アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、日立化成株式会社製)、商品名「タッキロール201」(アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、田岡化学工業株式会社製)、商品名「タッキロール250−I」(臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、田岡化学工業株式会社製)、商品名「タッキロール250−III」(臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、田岡化学工業株式会社製)、商品名「R7521P」、「SP1068」、「R7510PJ」、「R7572P」及び「R7578P」(SI GROUP INC.製)等が挙げられる。
本発明のゴム組成物は、充填剤を含むことが好ましい。また、本発明のゴム組成物は、該充填剤として、シリカを含むことが好ましく、充填剤中のシリカの割合は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、より一層好ましくは90質量%以上であり、充填剤の全量がシリカであってもよい。充填剤中のシリカの割合が60質量%以上であれば、ゴム組成物のtanδが更に低下し、該ゴム組成物を適用したタイヤの転がり抵抗を更に低減できる。
前記シリカとしては、例えば、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられ、これらの中でも、湿式シリカが好ましい。これらシリカは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明のゴム組成物において、前記シリカの配合量は、前記ゴム成分(A)100質量部に対して40〜120質量部の範囲が好ましく、45〜70質量部の範囲が更に好ましい。シリカの配合量がゴム成分(A)100質量部に対して40質量部以上であれば、ゴム組成物の60℃付近におけるtanδが低下して、該ゴム組成物を適用したタイヤの転がり抵抗を更に低減でき、また、120質量部以下であれば、ゴム組成物の柔軟性が高く、該ゴム組成物をタイヤのトレッドゴムに適用することで、トレッドゴムの変形体積が大きくなって、タイヤのウェット性能を更に向上させることができる。
本発明のゴム組成物においては、前記充填剤として、更に、カーボンブラックを含むことが好ましく、また、該カーボンブラックの配合量は、前記ゴム成分(A)100質量部に対して1〜10質量部の範囲が好ましく、3〜8質量部の範囲が更に好ましい。カーボンブラックを1質量部以上配合することで、ゴム組成物の剛性が向上し、また、カーボンブラックの配合量が10質量部以下であれば、tanδの上昇を抑制できるため、該ゴム組成物をタイヤのトレッドゴムに適用することで、タイヤの低転がり抵抗とウェット性能を更に高いレベルで両立できる。
前記カーボンブラックとしては、特に限定されるものではなく、例えば、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAFグレードのカーボンブラックが挙げられる。この中から、タイヤのウェット性能を向上する観点から、ISAF、SAFグレードのカーボンブラックが好ましい。これらカーボンブラックは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、前記充填剤としては、上述したシリカ、カーボンブラックの他、下記一般式(XX):
nM・xSiOy・zH2O ・・・ (XX)
[式中、Mは、アルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム及びジルコニウムからなる群から選ばれる金属、これらの金属の酸化物又は水酸化物、及びそれらの水和物、またはこれらの金属の炭酸塩から選ばれる少なくとも一種であり;n、x、y及びzは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である]で表される無機化合物も好ましい。
前記一般式(XX)の無機化合物としては、γ−アルミナ、α−アルミナ等のアルミナ(Al2O3)、ベーマイト、ダイアスポア等のアルミナ一水和物(Al2O3・H2O)、ギブサイト、バイヤライト等の水酸化アルミニウム[Al(OH)3]、炭酸アルミニウム[Al2(CO3)3]、水酸化マグネシウム[Mg(OH)2]、酸化マグネシウム(MgO)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、タルク(3MgO・4SiO2・H2O)、アタパルジャイト(5MgO・8SiO2・9H2O)、チタン白(TiO2)、チタン黒(TiO2n−1)、酸化カルシウム(CaO)、水酸化カルシウム[Ca(OH)2]、酸化アルミニウムマグネシウム(MgO・Al2O3)、クレー(Al2O3・2SiO2)、カオリン(Al2O3・2SiO2・2H2O)、パイロフィライト(Al2O3・4SiO2・H2O)、ベントナイト(Al2O3・4SiO2・2H2O)、ケイ酸アルミニウム(Al2SiO5、Al4・3SiO4・5H2O等)、ケイ酸マグネシウム(Mg2SiO4、MgSiO3等)、ケイ酸カルシウム(Ca2SiO4等)、ケイ酸アルミニウムカルシウム(Al2O3・CaO・2SiO2等)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO4)、炭酸カルシウム(CaCO3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、水酸化ジルコニウム[ZrO(OH)2・nH2O]、炭酸ジルコニウム[Zr(CO3)2]、各種ゼオライトのように、電荷を補正する水素、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む結晶性アルミノケイ酸塩等を挙げることができる。
前記一般式(XX)の無機化合物は、耐摩耗性とウェット性能のバランスの観点から、平均粒径が0.01〜10μmであることが好ましく、0.05〜5μmであることが更に好ましい。
前記一般式(XX)の無機化合物の配合量は、前記ゴム成分(A)100質量部に対して5〜25質量部の範囲が好ましく、5〜20質量部の範囲が更に好ましい。
nM・xSiOy・zH2O ・・・ (XX)
[式中、Mは、アルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム及びジルコニウムからなる群から選ばれる金属、これらの金属の酸化物又は水酸化物、及びそれらの水和物、またはこれらの金属の炭酸塩から選ばれる少なくとも一種であり;n、x、y及びzは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である]で表される無機化合物も好ましい。
前記一般式(XX)の無機化合物としては、γ−アルミナ、α−アルミナ等のアルミナ(Al2O3)、ベーマイト、ダイアスポア等のアルミナ一水和物(Al2O3・H2O)、ギブサイト、バイヤライト等の水酸化アルミニウム[Al(OH)3]、炭酸アルミニウム[Al2(CO3)3]、水酸化マグネシウム[Mg(OH)2]、酸化マグネシウム(MgO)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、タルク(3MgO・4SiO2・H2O)、アタパルジャイト(5MgO・8SiO2・9H2O)、チタン白(TiO2)、チタン黒(TiO2n−1)、酸化カルシウム(CaO)、水酸化カルシウム[Ca(OH)2]、酸化アルミニウムマグネシウム(MgO・Al2O3)、クレー(Al2O3・2SiO2)、カオリン(Al2O3・2SiO2・2H2O)、パイロフィライト(Al2O3・4SiO2・H2O)、ベントナイト(Al2O3・4SiO2・2H2O)、ケイ酸アルミニウム(Al2SiO5、Al4・3SiO4・5H2O等)、ケイ酸マグネシウム(Mg2SiO4、MgSiO3等)、ケイ酸カルシウム(Ca2SiO4等)、ケイ酸アルミニウムカルシウム(Al2O3・CaO・2SiO2等)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO4)、炭酸カルシウム(CaCO3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、水酸化ジルコニウム[ZrO(OH)2・nH2O]、炭酸ジルコニウム[Zr(CO3)2]、各種ゼオライトのように、電荷を補正する水素、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む結晶性アルミノケイ酸塩等を挙げることができる。
前記一般式(XX)の無機化合物は、耐摩耗性とウェット性能のバランスの観点から、平均粒径が0.01〜10μmであることが好ましく、0.05〜5μmであることが更に好ましい。
前記一般式(XX)の無機化合物の配合量は、前記ゴム成分(A)100質量部に対して5〜25質量部の範囲が好ましく、5〜20質量部の範囲が更に好ましい。
本発明のゴム組成物において、前記充填剤の配合量は、前記ゴム成分(A)100質量部に対して、好ましくは30質量部以上、より好ましくは40質量部以上であり、また、好ましくは100質量部以下、より好ましくは90質量部以下である。ゴム組成物中の充填剤の配合量が前記範囲内であれば、該ゴム組成物をタイヤのトレッドゴムに適用することで、タイヤの低転がり抵抗とウェット性能を更に向上させることができる。
本発明のゴム組成物は、充填剤としてシリカを含む場合、更に、グリセリン脂肪酸エステルからなり、該グリセリン脂肪酸エステルが、グリセリンと、2種以上の脂肪酸とのエステルであって、該グリセリン脂肪酸エステルを構成する2種以上の脂肪酸のうち、最も多い脂肪酸成分が全脂肪酸中に10〜90質量%であり、さらにモノエステル成分をグリセリン脂肪酸エステル中に50〜100質量%含むことを特徴とする、グリセリン脂肪酸エステル組成物を含むことが好ましい。該グリセリン脂肪酸エステル組成物を含む場合、ゴム組成物の加工性が向上し、また、ゴム組成物をタイヤに適用することで、タイヤの転がり抵抗を更に低減できる。
前記グリセリン脂肪酸エステルは、グリセリンと、2種以上の脂肪酸とのエステルである。なお、グリセリン脂肪酸エステルとは、グリセリンの3つのOH基の少なくとも1つと、脂肪酸のCOOH基とがエステル結合してなる化合物である。
ここで、前記グリセリン脂肪酸エステルは、グリセリン1分子と脂肪酸1分子とがエステル化してなるグリセリン脂肪酸モノエステル(モノエステル成分)でも、グリセリン1分子と脂肪酸2分子とがエステル化してなるグリセリン脂肪酸ジエステル(ジエステル成分)でも、グリセリン1分子と脂肪酸3分子とがエステル化してなるグリセリン脂肪酸トリエステル(トリエステル成分)でもよいし、これらの混合物でもよいが、グリセリン脂肪酸モノエステルが好ましい。なお、グリセリン脂肪酸エステルがグリセリン脂肪酸モノエステル、グリセリン脂肪酸ジエステル、グリセリン脂肪酸トリエステルの混合物である場合、各エステルの含有率は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定することができる。また、グリセリン脂肪酸ジエステルを構成する2つの脂肪酸、並びに、グリセリン脂肪酸トリエステルを構成する3つの脂肪酸は、同一でも、異なってもよい。
ここで、前記グリセリン脂肪酸エステルは、グリセリン1分子と脂肪酸1分子とがエステル化してなるグリセリン脂肪酸モノエステル(モノエステル成分)でも、グリセリン1分子と脂肪酸2分子とがエステル化してなるグリセリン脂肪酸ジエステル(ジエステル成分)でも、グリセリン1分子と脂肪酸3分子とがエステル化してなるグリセリン脂肪酸トリエステル(トリエステル成分)でもよいし、これらの混合物でもよいが、グリセリン脂肪酸モノエステルが好ましい。なお、グリセリン脂肪酸エステルがグリセリン脂肪酸モノエステル、グリセリン脂肪酸ジエステル、グリセリン脂肪酸トリエステルの混合物である場合、各エステルの含有率は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定することができる。また、グリセリン脂肪酸ジエステルを構成する2つの脂肪酸、並びに、グリセリン脂肪酸トリエステルを構成する3つの脂肪酸は、同一でも、異なってもよい。
前記グリセリン脂肪酸エステルは、グリセリンと、2種以上の脂肪酸とのエステルであり、2種以上の脂肪酸がグリセリン1分子とエステル化してなるグリセリン脂肪酸ジエステルやグリセリン脂肪酸トリエステルでもよいが、グリセリン1分子と上記2種以上の脂肪酸のうち1種類の脂肪酸1分子とがエステル化してなるグリセリン脂肪酸モノエステルと、グリセリン1分子と他の種類の脂肪酸1分子とがエステル化してなるグリセリン脂肪酸モノエステルとの混合物であることが好ましい。
前記グリセリン脂肪酸エステルの原料となる2種以上の脂肪酸(即ち、グリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸)としては、ゴム組成物の加工性、低ロス性、破壊特性の観点から、炭素数が8〜22である脂肪酸が好ましく、炭素数12〜18である脂肪酸がより好ましく、炭素数が14〜18である脂肪酸がさらに好ましく、炭素数が16の脂肪酸と炭素数が18の脂肪酸がよりさらに好ましい。また、前記グリセリン脂肪酸エステルの原料となる2種以上の脂肪酸のうち、最も多い脂肪酸成分と2番目に多い脂肪酸成分は、一方が炭素数16の脂肪酸で他方が炭素数18の脂肪酸であることがより好ましい。
また、前記グリセリン脂肪酸エステルがグリセリンと炭素数が16の脂肪酸及び炭素数が18の脂肪酸とのエステルである場合、炭素数が16の脂肪酸と炭素数が18の脂肪酸との質量比(炭素数16の脂肪酸/炭素数18の脂肪酸)は、90/10〜10/90の範囲が好ましく、80/20〜20/80の範囲がより好ましく、75/25〜25/75の範囲がより一層好ましい。炭素数が16の脂肪酸と炭素数が18の脂肪酸との質量比がこの範囲であれば、ゴム組成物の加工性、低ロス性、破壊特性を更に向上させることができる。
前記グリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸は、直鎖状でも、分岐状でもよいが、直鎖状であることが好ましく、また、飽和脂肪酸でも、不飽和脂肪酸でもよいが、飽和脂肪酸であることが好ましい。
前記グリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸として、具体的には、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラギン酸、アラキドン酸、ベヘン酸等が挙げられ、これらの中でも、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸が好ましく、パルミチン酸及びステアリン酸がより好ましい。
また、前記グリセリン脂肪酸エステルとして、具体的には、ラウリン酸モノグリセリド、ミリスチン酸モノグリセリド、パルミチン酸モノグリセリド、ステアリン酸モノグリセリドが好ましく、パルミチン酸モノグリセリド及びステアリン酸モノグリセリドがより好ましい。
本発明のゴム組成物において、前記グリセリン脂肪酸エステル組成物の配合量は、ゴム組成物の加工性の観点から、前記シリカ100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、より一層好ましくは1.5質量部以上であり、また、ゴム組成物の破壊特性の観点から、前記シリカ100質量部に対して、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下、より一層好ましくは5質量部以下である。
また、前記グリセリン脂肪酸エステル組成物の配合量は、ゴム組成物の加工性の観点から、前記ゴム成分(A)100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、より一層好ましくは1.5質量部以上であり、また、ゴム組成物の破壊特性の観点から、前記ゴム成分(A)100質量部に対して、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、より一層好ましくは3質量部以下である。
また、本発明のゴム組成物は、前記シリカの配合効果を向上させるために、シリカと共に、シランカップリング剤を含むことが好ましい。該シランカップリング剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3−[エトキシビス(3,6,9,12,15−ペンタオキサオクタコサン−1−イルオキシ)シリル]−1−プロパンチオール(エボニック・デグッサ社製の商品名「Si363」)等が挙げられる。これらシランカップリング剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記シランカップリング剤の配合量は、シリカの分散性を向上させる観点から、前記シリカ100質量部に対して1質量部以上が好ましく、4質量部以上が更に好ましく、また、20質量部以下が好ましく、12質量部以下が更に好ましい。
また、前記シランカップリング剤の配合量は、シリカの分散性を向上させる観点から、前記シリカ100質量部に対して1質量部以上が好ましく、4質量部以上が更に好ましく、また、20質量部以下が好ましく、12質量部以下が更に好ましい。
本発明のゴム組成物は、加工性、作業性の観点から、更に、軟化剤を含んでもよい。該軟化剤の配合量は、前記ゴム成分(A)100質量部に対して1〜5質量部の範囲が好ましく、1.5〜3質量部の範囲が更に好ましい。軟化剤を1質量部以上配合することで、ゴム組成物の混練が容易となり、また、軟化剤を5質量部以下配合することで、ゴム組成物の剛性の低下を抑制できる。
ここで、前記軟化剤としては、鉱物由来のミネラルオイル、石油由来のアロマチックオイル、パラフィンオイル、ナフテンオイル、天然物由来のパームオイル等が挙げられるが、これらの中でも、タイヤのウェット性能の向上の観点から、鉱物由来の軟化剤及び石油由来の軟化剤が好ましい。
ここで、前記軟化剤としては、鉱物由来のミネラルオイル、石油由来のアロマチックオイル、パラフィンオイル、ナフテンオイル、天然物由来のパームオイル等が挙げられるが、これらの中でも、タイヤのウェット性能の向上の観点から、鉱物由来の軟化剤及び石油由来の軟化剤が好ましい。
本発明のゴム組成物は、更に、脂肪酸金属塩を含んでもよい。該脂肪酸金属塩に用いられる金属としては、Zn、K、Ca、Na、Mg、Co、Ni、Ba、Fe、Al、Cu、Mn等が挙げられ、Znが好ましい。一方、前記脂肪酸金属塩に用いられる脂肪酸としては、炭素数4〜30の飽和又は不飽和の直鎖、分岐もしくは環状構造を有する脂肪酸、あるいはそれらの混合物が挙げられ、これらの中でも、炭素数10〜22の飽和又は不飽和の直鎖脂肪酸が好ましい。炭素数10〜22の飽和直鎖脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等が挙げられ、また、炭素数10〜22の不飽和直鎖脂肪酸としては、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等が挙げられる。前記脂肪酸金属塩は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記脂肪酸金属塩の配合量は、前記ゴム成分(A)100質量部に対して0.1〜10質量部の範囲が好ましく、0.5〜5質量部の範囲が更に好ましい。
前記脂肪酸金属塩の配合量は、前記ゴム成分(A)100質量部に対して0.1〜10質量部の範囲が好ましく、0.5〜5質量部の範囲が更に好ましい。
本発明のゴム組成物には、前記ゴム成分(A)、熱可塑性樹脂(B)、充填剤、グリセリン脂肪酸エステル組成物、シランカップリング剤、軟化剤、脂肪酸金属塩の他、ゴム工業界で通常使用される配合剤、例えば、ステアリン酸、老化防止剤、酸化亜鉛(亜鉛華)、加硫促進剤、加硫剤等を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して配合してもよい。これら配合剤としては、市販品を好適に使用することができる。
また、本発明のゴム組成物は、タイヤを始めとする種々のゴム製品に利用できる。特には、本発明のゴム組成物は、タイヤのトレッドゴムとして好適である。
<タイヤ>
本発明のタイヤは、上述したゴム組成物をトレッドゴムに用いたことを特徴とする。本発明のタイヤは、前記ゴム組成物がトレッドゴムに用いられているため、ウェット性能と低転がり抵抗と乾燥路面での操縦安定性とを高度に両立することができる。また、本発明のタイヤは、各種車輌向けのタイヤとして利用できるが、乗用車用タイヤとして好ましい。
本発明のタイヤは、上述したゴム組成物をトレッドゴムに用いたことを特徴とする。本発明のタイヤは、前記ゴム組成物がトレッドゴムに用いられているため、ウェット性能と低転がり抵抗と乾燥路面での操縦安定性とを高度に両立することができる。また、本発明のタイヤは、各種車輌向けのタイヤとして利用できるが、乗用車用タイヤとして好ましい。
本発明のタイヤは、適用するタイヤの種類に応じ、未加硫のゴム組成物を用いて成形後に加硫して得てもよく、又は予備加硫工程等を経た半加硫ゴムを用いて成形後、さらに本加硫して得てもよい。なお、本発明のタイヤは、好ましくは空気入りタイヤであり、空気入りタイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
合成した変性共役ジエン系重合体の、結合スチレン量、ブタジエン部分のミクロ構造、分子量、収縮因子(g’)、ムーニー粘度、ガラス転移温度(Tg)、変性率、窒素原子の有無、ケイ素原子の有無は以下の方法で分析した。
(1)結合スチレン量
変性共役ジエン系重合体を試料として、試料100mgを、クロロホルムで100mLにメスアップし、溶解して測定サンプルとした。スチレンのフェニル基による紫外線吸収波長(254nm付近)の吸収量により、試料100質量%に対しての結合スチレン量(質量%)を測定した(島津製作所社製の分光光度計「UV−2450」)。
変性共役ジエン系重合体を試料として、試料100mgを、クロロホルムで100mLにメスアップし、溶解して測定サンプルとした。スチレンのフェニル基による紫外線吸収波長(254nm付近)の吸収量により、試料100質量%に対しての結合スチレン量(質量%)を測定した(島津製作所社製の分光光度計「UV−2450」)。
(2)ブタジエン部分のミクロ構造(1,2−ビニル結合量)
変性共役ジエン系重合体を試料として、試料50mgを、10mLの二硫化炭素に溶解して測定サンプルとした。溶液セルを用いて、赤外線スペクトルを600〜1000cm−1の範囲で測定して、所定の波数における吸光度によりハンプトンの方法(R.R.Hampton,Analytical Chemistry 21,923(1949)に記載の方法)の計算式に従い、ブタジエン部分のミクロ構造、すなわち、1,2−ビニル結合量(mol%)を求めた(日本分光社製のフーリエ変換赤外分光光度計「FT−IR230」)。
変性共役ジエン系重合体を試料として、試料50mgを、10mLの二硫化炭素に溶解して測定サンプルとした。溶液セルを用いて、赤外線スペクトルを600〜1000cm−1の範囲で測定して、所定の波数における吸光度によりハンプトンの方法(R.R.Hampton,Analytical Chemistry 21,923(1949)に記載の方法)の計算式に従い、ブタジエン部分のミクロ構造、すなわち、1,2−ビニル結合量(mol%)を求めた(日本分光社製のフーリエ変換赤外分光光度計「FT−IR230」)。
(3)分子量
共役ジエン系重合体又は変性共役ジエン系重合体を試料として、ポリスチレン系ゲルを充填剤としたカラムを3本連結したGPC測定装置(東ソー社製の商品名「HLC−8320GPC」)を使用して、RI検出器(東ソー社製の商品名「HLC8020」)を用いてクロマトグラムを測定し、標準ポリスチレンを使用して得られる検量線に基づいて、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)と分子量分布(Mw/Mn)と、変性共役ジエン系重合体のピークトップ分子量(Mp1)と共役ジエン系重合体のピークトップ分子量(Mp2)とその比率(Mp1/Mp2)と、分子量200×104以上500×104以下の割合と、を求めた。溶離液は5mmol/Lのトリエチルアミン入りTHF(テトラヒドロフラン)を使用した。カラムは、東ソー社製の商品名「TSKgel SuperMultiporeHZ−H」を3本接続し、その前段にガードカラムとして東ソー社製の商品名「TSKguardcolumn SuperMP(HZ)−H」を接続して使用した。測定用の試料10mgを10mLのTHFに溶解して測定溶液とし、測定溶液10μLをGPC測定装置に注入して、オーブン温度40℃、THF流量0.35mL/分の条件で測定した。
上記のピークトップ分子量(Mp1及びMp2)は、次のようにして求めた。測定して得られるGPC曲線において、最も高分子量の成分として検出されるピークを選択した。その選択したピークについて、そのピークの極大値に相当する分子量を算出し、ピークトップ分子量とした。
また、上記の分子量200×104以上500×104以下の割合は、積分分子量分布曲線から分子量500×104以下が全体に占める割合から分子量200×104未満が占める割合を差し引くことで算出した。
共役ジエン系重合体又は変性共役ジエン系重合体を試料として、ポリスチレン系ゲルを充填剤としたカラムを3本連結したGPC測定装置(東ソー社製の商品名「HLC−8320GPC」)を使用して、RI検出器(東ソー社製の商品名「HLC8020」)を用いてクロマトグラムを測定し、標準ポリスチレンを使用して得られる検量線に基づいて、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)と分子量分布(Mw/Mn)と、変性共役ジエン系重合体のピークトップ分子量(Mp1)と共役ジエン系重合体のピークトップ分子量(Mp2)とその比率(Mp1/Mp2)と、分子量200×104以上500×104以下の割合と、を求めた。溶離液は5mmol/Lのトリエチルアミン入りTHF(テトラヒドロフラン)を使用した。カラムは、東ソー社製の商品名「TSKgel SuperMultiporeHZ−H」を3本接続し、その前段にガードカラムとして東ソー社製の商品名「TSKguardcolumn SuperMP(HZ)−H」を接続して使用した。測定用の試料10mgを10mLのTHFに溶解して測定溶液とし、測定溶液10μLをGPC測定装置に注入して、オーブン温度40℃、THF流量0.35mL/分の条件で測定した。
上記のピークトップ分子量(Mp1及びMp2)は、次のようにして求めた。測定して得られるGPC曲線において、最も高分子量の成分として検出されるピークを選択した。その選択したピークについて、そのピークの極大値に相当する分子量を算出し、ピークトップ分子量とした。
また、上記の分子量200×104以上500×104以下の割合は、積分分子量分布曲線から分子量500×104以下が全体に占める割合から分子量200×104未満が占める割合を差し引くことで算出した。
(4)収縮因子(g’)
変性共役ジエン系重合体を試料として、ポリスチレン系ゲルを充填剤としたカラムを3本連結したGPC測定装置(Malvern社製の商品名「GPCmax VE−2001」)を使用して、光散乱検出器、RI検出器、粘度検出器(Malvern社製の商品名「TDA305」)の順番に接続されている3つの検出器を用いて測定し、標準ポリスチレンに基づいて、光散乱検出器とRI検出器結果から絶対分子量を、RI検出器と粘度検出器の結果から固有粘度を求めた。直鎖ポリマーは、固有粘度[η]=−3.883M0.771に従うものとして用い、各分子量に対応する固有粘度の比としての収縮因子(g’)を算出した。溶離液は5mmol/Lのトリエチルアミン入りTHFを使用した。カラムは、東ソー社製の商品名「TSKgel G4000HXL」、「TSKgel G5000HXL」、及び「TSKgel G6000HXL」を接続して使用した。測定用の試料20mgを10mLのTHFに溶解して測定溶液とし、測定溶液100μLをGPC測定装置に注入して、オーブン温度40℃、THF流量1mL/分の条件で測定した。
変性共役ジエン系重合体を試料として、ポリスチレン系ゲルを充填剤としたカラムを3本連結したGPC測定装置(Malvern社製の商品名「GPCmax VE−2001」)を使用して、光散乱検出器、RI検出器、粘度検出器(Malvern社製の商品名「TDA305」)の順番に接続されている3つの検出器を用いて測定し、標準ポリスチレンに基づいて、光散乱検出器とRI検出器結果から絶対分子量を、RI検出器と粘度検出器の結果から固有粘度を求めた。直鎖ポリマーは、固有粘度[η]=−3.883M0.771に従うものとして用い、各分子量に対応する固有粘度の比としての収縮因子(g’)を算出した。溶離液は5mmol/Lのトリエチルアミン入りTHFを使用した。カラムは、東ソー社製の商品名「TSKgel G4000HXL」、「TSKgel G5000HXL」、及び「TSKgel G6000HXL」を接続して使用した。測定用の試料20mgを10mLのTHFに溶解して測定溶液とし、測定溶液100μLをGPC測定装置に注入して、オーブン温度40℃、THF流量1mL/分の条件で測定した。
(5)ムーニー粘度
共役ジエン系重合体又は変性共役ジエン系重合体を試料として、ムーニー粘度計(上島製作所社製の商品名「VR1132」)を用い、JIS K6300に準拠し、L形ローターを用いてムーニー粘度を測定した。測定温度は、共役ジエン系重合体を試料とする場合には110℃とし、変性共役ジエン系重合体を試料とする場合には100℃とした。まず、試料を1分間試験温度で予熱した後、ローターを2rpmで回転させ、4分後のトルクを測定してムーニー粘度(ML(1+4))とした。
共役ジエン系重合体又は変性共役ジエン系重合体を試料として、ムーニー粘度計(上島製作所社製の商品名「VR1132」)を用い、JIS K6300に準拠し、L形ローターを用いてムーニー粘度を測定した。測定温度は、共役ジエン系重合体を試料とする場合には110℃とし、変性共役ジエン系重合体を試料とする場合には100℃とした。まず、試料を1分間試験温度で予熱した後、ローターを2rpmで回転させ、4分後のトルクを測定してムーニー粘度(ML(1+4))とした。
(6)ガラス転移温度(Tg)
変性共役ジエン系重合体を試料として、ISO 22768:2006に準拠して、マックサイエンス社製の示差走査熱量計「DSC3200S」を用い、ヘリウム50mL/分の流通下、−100℃から20℃/分で昇温しながらDSC曲線を記録し、DSC微分曲線のピークトップ(Inflection point)をガラス転移温度とした。
変性共役ジエン系重合体を試料として、ISO 22768:2006に準拠して、マックサイエンス社製の示差走査熱量計「DSC3200S」を用い、ヘリウム50mL/分の流通下、−100℃から20℃/分で昇温しながらDSC曲線を記録し、DSC微分曲線のピークトップ(Inflection point)をガラス転移温度とした。
(7)変性率
変性共役ジエン系重合体を試料として、シリカ系ゲルを充填剤としたGPCカラムに、変性した塩基性重合体成分が吸着する特性を応用することにより、測定した。試料及び低分子量内部標準ポリスチレンを含む試料溶液を、ポリスチレン系カラムで測定したクロマトグラムと、シリカ系カラムで測定したクロマトグラムと、の差分よりシリカ系カラムへの吸着量を測定し、変性率を求めた。具体的には、以下に示すとおりである。
試料溶液の調製:試料10mg及び標準ポリスチレン5mgを20mLのTHFに溶解させて、試料溶液とした。
ポリスチレン系カラムを用いたGPC測定条件:東ソー社製の商品名「HLC−8320GPC」を使用して、5mmol/Lのトリエチルアミン入りTHFを溶離液として用い、試料溶液10μLを装置に注入し、カラムオーブン温度40℃、THF流量0.35mL/分の条件で、RI検出器を用いてクロマトグラムを得た。カラムは、東ソー社製の商品名「TSKgel SuperMultiporeHZ−H」を3本接続し、その前段にガードカラムとして東ソー社製の商品名「TSKguardcolumn SuperMP(HZ)−H」を接続して使用した。
シリカ系カラムを用いたGPC測定条件:東ソー社製の商品名「HLC−8320GPC」を使用して、THFを溶離液として用い、試料溶液50μLを装置に注入し、カラムオーブン温度40℃、THF流量0.5ml/分の条件で、RI検出器を用いてクロマトグラムを得た。カラムは、商品名「Zorbax PSM−1000S」、「PSM−300S」、「PSM−60S」を接続して使用し、その前段にガードカラムとして商品名「DIOL 4.6×12.5mm 5micron」を接続して使用した。
変性率の計算方法:ポリスチレン系カラムを用いたクロマトグラムのピーク面積の全体を100として、試料のピーク面積をP1、標準ポリスチレンのピーク面積をP2、シリカ系カラムを用いたクロマトグラムのピーク面積の全体を100として、試料のピーク面積をP3、標準ポリスチレンのピーク面積をP4として、下記式より変性率(%)を求めた。
変性率(%)=[1−(P2×P3)/(P1×P4)]×100
(ただし、P1+P2=P3+P4=100)
変性共役ジエン系重合体を試料として、シリカ系ゲルを充填剤としたGPCカラムに、変性した塩基性重合体成分が吸着する特性を応用することにより、測定した。試料及び低分子量内部標準ポリスチレンを含む試料溶液を、ポリスチレン系カラムで測定したクロマトグラムと、シリカ系カラムで測定したクロマトグラムと、の差分よりシリカ系カラムへの吸着量を測定し、変性率を求めた。具体的には、以下に示すとおりである。
試料溶液の調製:試料10mg及び標準ポリスチレン5mgを20mLのTHFに溶解させて、試料溶液とした。
ポリスチレン系カラムを用いたGPC測定条件:東ソー社製の商品名「HLC−8320GPC」を使用して、5mmol/Lのトリエチルアミン入りTHFを溶離液として用い、試料溶液10μLを装置に注入し、カラムオーブン温度40℃、THF流量0.35mL/分の条件で、RI検出器を用いてクロマトグラムを得た。カラムは、東ソー社製の商品名「TSKgel SuperMultiporeHZ−H」を3本接続し、その前段にガードカラムとして東ソー社製の商品名「TSKguardcolumn SuperMP(HZ)−H」を接続して使用した。
シリカ系カラムを用いたGPC測定条件:東ソー社製の商品名「HLC−8320GPC」を使用して、THFを溶離液として用い、試料溶液50μLを装置に注入し、カラムオーブン温度40℃、THF流量0.5ml/分の条件で、RI検出器を用いてクロマトグラムを得た。カラムは、商品名「Zorbax PSM−1000S」、「PSM−300S」、「PSM−60S」を接続して使用し、その前段にガードカラムとして商品名「DIOL 4.6×12.5mm 5micron」を接続して使用した。
変性率の計算方法:ポリスチレン系カラムを用いたクロマトグラムのピーク面積の全体を100として、試料のピーク面積をP1、標準ポリスチレンのピーク面積をP2、シリカ系カラムを用いたクロマトグラムのピーク面積の全体を100として、試料のピーク面積をP3、標準ポリスチレンのピーク面積をP4として、下記式より変性率(%)を求めた。
変性率(%)=[1−(P2×P3)/(P1×P4)]×100
(ただし、P1+P2=P3+P4=100)
(8)窒素原子の有無
前記(7)と同様の測定を行い、算出された変性率が10%以上であった場合、窒素原子を有していると判断した。
前記(7)と同様の測定を行い、算出された変性率が10%以上であった場合、窒素原子を有していると判断した。
(9)ケイ素原子の有無
変性共役ジエン系重合体0.5gを試料として、JIS K 0101 44.3.1に準拠して、紫外可視分光光度計(島津製作所社製の商品名「UV−1800」)を用いて測定し、モリブデン青吸光光度法により定量した。これにより、ケイ素原子が検出された場合(検出下限10質量ppm)、ケイ素原子を有していると判断した。
変性共役ジエン系重合体0.5gを試料として、JIS K 0101 44.3.1に準拠して、紫外可視分光光度計(島津製作所社製の商品名「UV−1800」)を用いて測定し、モリブデン青吸光光度法により定量した。これにより、ケイ素原子が検出された場合(検出下限10質量ppm)、ケイ素原子を有していると判断した。
<変性スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(1)の合成>
乾燥し、窒素置換した800mLの耐圧ガラス容器に、1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液およびスチレンのシクロヘキサン溶液を、1,3−ブタジエン67.5g及びスチレン7.5gになるように加え、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.6mmolを加え、0.8mmolのn−ブチルリチウムを加えた後、50℃で1.5時間重合を行った。この際の重合転化率がほぼ100%となった重合反応系に対し、変性剤としてN,N−ビス(トリメチルシリル)−3−[ジエトキシ(メチル)シリル]プロピルアミン[一般式(X)の化合物に相当]を0.72mmol添加し、50℃で30分間変性反応を行った。その後、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5質量%溶液2mLを加えて反応を停止させ、常法に従い乾燥して、変性スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(1)を得た。
得られた変性スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(1)を上記の方法で分析したところ、結合スチレン量が10質量%であり、ブタジエン部分のビニル結合量が40%であり、変性率が74%であり、ガラス転移温度が−70℃であることが分かった。
乾燥し、窒素置換した800mLの耐圧ガラス容器に、1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液およびスチレンのシクロヘキサン溶液を、1,3−ブタジエン67.5g及びスチレン7.5gになるように加え、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.6mmolを加え、0.8mmolのn−ブチルリチウムを加えた後、50℃で1.5時間重合を行った。この際の重合転化率がほぼ100%となった重合反応系に対し、変性剤としてN,N−ビス(トリメチルシリル)−3−[ジエトキシ(メチル)シリル]プロピルアミン[一般式(X)の化合物に相当]を0.72mmol添加し、50℃で30分間変性反応を行った。その後、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5質量%溶液2mLを加えて反応を停止させ、常法に従い乾燥して、変性スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(1)を得た。
得られた変性スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(1)を上記の方法で分析したところ、結合スチレン量が10質量%であり、ブタジエン部分のビニル結合量が40%であり、変性率が74%であり、ガラス転移温度が−70℃であることが分かった。
<変性スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(2)の合成>
内容積が10Lで、内部の高さ(L)と直径(D)との比(L/D)が4.0であり、底部に入口、頂部に出口を有し、攪拌機付槽型反応器である攪拌機及び温度制御用のジャケットを有する槽型圧力容器を重合反応器とした。予め水分除去した、1,3−ブタジエンを17.9g/分、スチレンを9.8g/分、n−ヘキサンを145.3g/分の条件で混合した。この混合溶液を反応器の入口に供給する配管の途中に設けたスタティックミキサーにおいて、残存不純物不活性処理用のn−ブチルリチウムを0.117mmol/分で添加、混合した後、反応器の底部に連続的に供給した。更に、極性物質として2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパンを0.0194g/分の速度で、重合開始剤としてn−ブチルリチウムを0.242mmol/分の速度で、攪拌機で激しく混合する重合反応器の底部へ供給し、連続的に重合反応を継続させた。反応器頂部出口における重合溶液の温度が75℃となるように温度を制御した。重合が十分に安定したところで、反応器頂部出口より、カップリング剤添加前の重合体溶液を少量抜出し、酸化防止剤(BHT)を重合体100gあたり0.2gとなるように添加した後に溶媒を除去し、110℃のムーニー粘度及び各種の分子量を測定した。
次に、反応器の出口より流出した重合体溶液に、カップリング剤として2.74mmol/Lに希釈したテトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミンを0.0302mmol/分(水分5.2ppm含有n−ヘキサン溶液)の速度で連続的に添加し、カップリング剤を添加された重合体溶液はスタティックミキサーを通ることで混合されカップリング反応した。このとき、反応器の出口より流出した重合溶液にカップリング剤が添加されるまでの時間は4.8分、温度は68℃であり、重合工程における温度と、変性剤を添加するまでの温度との差は7℃であった。カップリング反応した重合体溶液に、酸化防止剤(BHT)を重合体100gあたり0.2gとなるように0.055g/分(n−ヘキサン溶液)で連続的に添加し、カップリング反応を終了した。酸化防止剤と同時に、重合体100gに対してオイル(JX日鉱日石エネルギー社製 JOMOプロセスNC140)が37.5gとなるように連続的に添加し、スタティックミキサーで混合した。スチームストリッピングにより溶媒を除去して、変性スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(2)を得た。
内容積が10Lで、内部の高さ(L)と直径(D)との比(L/D)が4.0であり、底部に入口、頂部に出口を有し、攪拌機付槽型反応器である攪拌機及び温度制御用のジャケットを有する槽型圧力容器を重合反応器とした。予め水分除去した、1,3−ブタジエンを17.9g/分、スチレンを9.8g/分、n−ヘキサンを145.3g/分の条件で混合した。この混合溶液を反応器の入口に供給する配管の途中に設けたスタティックミキサーにおいて、残存不純物不活性処理用のn−ブチルリチウムを0.117mmol/分で添加、混合した後、反応器の底部に連続的に供給した。更に、極性物質として2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパンを0.0194g/分の速度で、重合開始剤としてn−ブチルリチウムを0.242mmol/分の速度で、攪拌機で激しく混合する重合反応器の底部へ供給し、連続的に重合反応を継続させた。反応器頂部出口における重合溶液の温度が75℃となるように温度を制御した。重合が十分に安定したところで、反応器頂部出口より、カップリング剤添加前の重合体溶液を少量抜出し、酸化防止剤(BHT)を重合体100gあたり0.2gとなるように添加した後に溶媒を除去し、110℃のムーニー粘度及び各種の分子量を測定した。
次に、反応器の出口より流出した重合体溶液に、カップリング剤として2.74mmol/Lに希釈したテトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミンを0.0302mmol/分(水分5.2ppm含有n−ヘキサン溶液)の速度で連続的に添加し、カップリング剤を添加された重合体溶液はスタティックミキサーを通ることで混合されカップリング反応した。このとき、反応器の出口より流出した重合溶液にカップリング剤が添加されるまでの時間は4.8分、温度は68℃であり、重合工程における温度と、変性剤を添加するまでの温度との差は7℃であった。カップリング反応した重合体溶液に、酸化防止剤(BHT)を重合体100gあたり0.2gとなるように0.055g/分(n−ヘキサン溶液)で連続的に添加し、カップリング反応を終了した。酸化防止剤と同時に、重合体100gに対してオイル(JX日鉱日石エネルギー社製 JOMOプロセスNC140)が37.5gとなるように連続的に添加し、スタティックミキサーで混合した。スチームストリッピングにより溶媒を除去して、変性スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(2)を得た。
カップリング剤添加前の重合体溶液から得たスチレン−ブタジエン共重合体(共役ジエン系重合体)上記の方法で分析したところ、重量平均分子量(Mw)が35.8×104g/molであり、数平均分子量(Mn)が16.6×104g/molであり、分子量分布(Mw/Mn)が2.16であり、ピークトップ分子量(Mp2)が30.9×104g/molであり、ムーニー粘度(110℃)が47であることが分かった。
また、得られた変性スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(2)を上記の方法で分析したところ、結合スチレン量が35質量%であり、ビニル結合量(1,2−結合量)が42mol%であり、重量平均分子量(Mw)が85.2×104g/molであり、数平均分子量(Mn)が38.2×104g/molであり、分子量分布(Mw/Mn)が2.23であり、ピークトップ分子量(Mp1)が96.8×104g/molであり、ピークトップ分子量の比率(Mp1/Mp2)が3.13であり、分子量200×104以上500×104以下の割合が4.6%であり、収縮因子(g’)が0.57であり、ムーニー粘度(100℃)が65であり、ガラス転移温度(Tg)が−24℃であり、変性率が80%であることが分かった。また、得られた変性スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(2)が窒素原子を有すること、ケイ素原子を有することも確認した。
なお、前記変性スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(2)は、カップリング剤の官能基数と添加量から想定される分岐数に相当する「分岐度」は8であり(収縮因子の値からも確認できる)、カップリング剤1分子が有するSiORの総数から反応により減じたSiOR数を引いた値に相当する「SiOR残基数」は4である。
また、得られた変性スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(2)を上記の方法で分析したところ、結合スチレン量が35質量%であり、ビニル結合量(1,2−結合量)が42mol%であり、重量平均分子量(Mw)が85.2×104g/molであり、数平均分子量(Mn)が38.2×104g/molであり、分子量分布(Mw/Mn)が2.23であり、ピークトップ分子量(Mp1)が96.8×104g/molであり、ピークトップ分子量の比率(Mp1/Mp2)が3.13であり、分子量200×104以上500×104以下の割合が4.6%であり、収縮因子(g’)が0.57であり、ムーニー粘度(100℃)が65であり、ガラス転移温度(Tg)が−24℃であり、変性率が80%であることが分かった。また、得られた変性スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(2)が窒素原子を有すること、ケイ素原子を有することも確認した。
なお、前記変性スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(2)は、カップリング剤の官能基数と添加量から想定される分岐数に相当する「分岐度」は8であり(収縮因子の値からも確認できる)、カップリング剤1分子が有するSiORの総数から反応により減じたSiOR数を引いた値に相当する「SiOR残基数」は4である。
<ゴム組成物の調製及び評価>
表1に示す配合処方に従い、通常のバンバリーミキサーを用いて、ゴム組成物を製造した。また、得られたゴム組成物をトレッドゴムに用いて、サイズ195/65R15の乗用車用空気入りラジアルタイヤを作製した。
得られたゴム組成物又はタイヤに対して、下記の方法で、ウェット性能、転がり抵抗、乾燥路面での操縦安定性及び耐摩耗性を評価した。結果を表1に示す。
表1に示す配合処方に従い、通常のバンバリーミキサーを用いて、ゴム組成物を製造した。また、得られたゴム組成物をトレッドゴムに用いて、サイズ195/65R15の乗用車用空気入りラジアルタイヤを作製した。
得られたゴム組成物又はタイヤに対して、下記の方法で、ウェット性能、転がり抵抗、乾燥路面での操縦安定性及び耐摩耗性を評価した。結果を表1に示す。
(10)ウェット性能
供試タイヤを試験車に装着し、湿潤路面での実車試験にて、操縦安定性をドライバーのフィーリング評点で表し、比較例1のタイヤのフィーリング評点を100として指数表示した。指数値が大きい程、ウェット性能に優れることを示す。
供試タイヤを試験車に装着し、湿潤路面での実車試験にて、操縦安定性をドライバーのフィーリング評点で表し、比較例1のタイヤのフィーリング評点を100として指数表示した。指数値が大きい程、ウェット性能に優れることを示す。
(11)転がり抵抗
供試タイヤを、回転ドラムにより80km/hrの速度で回転させ、荷重を4.82kNとして、転がり抵抗を測定し、比較例1のタイヤの転がり抵抗の逆数を100として指数表示した。指数値が大きい程、転がり抵抗が低く、良好であることを示す。
供試タイヤを、回転ドラムにより80km/hrの速度で回転させ、荷重を4.82kNとして、転がり抵抗を測定し、比較例1のタイヤの転がり抵抗の逆数を100として指数表示した。指数値が大きい程、転がり抵抗が低く、良好であることを示す。
(12)乾燥路面での操縦安定性
供試タイヤを試験車に装着し、乾燥路面での実車試験にて、操縦安定性をドライバーのフィーリング評点で表し、比較例1のタイヤのフィーリング評点を100として指数表示した。指数値が大きい程、乾燥路面での操縦安定性に優れることを示す。
供試タイヤを試験車に装着し、乾燥路面での実車試験にて、操縦安定性をドライバーのフィーリング評点で表し、比較例1のタイヤのフィーリング評点を100として指数表示した。指数値が大きい程、乾燥路面での操縦安定性に優れることを示す。
(13)耐摩耗性
得られたゴム組成物を145℃で33分加硫後、JIS K 6264−2:2005に準拠し、ランボーン摩耗試験機を使用して23℃で摩耗量を測定し、比較例1の摩耗量の逆数を100として、それぞれ指数表示した。指数値が大きい程、摩耗量が少なく、耐摩耗性が良好であることを示す。
得られたゴム組成物を145℃で33分加硫後、JIS K 6264−2:2005に準拠し、ランボーン摩耗試験機を使用して23℃で摩耗量を測定し、比較例1の摩耗量の逆数を100として、それぞれ指数表示した。指数値が大きい程、摩耗量が少なく、耐摩耗性が良好であることを示す。
*1 天然ゴム: インドネシア製「SIR20」
*2 変性スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(1): 上記の方法で合成した変性スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、ガラス転移温度(Tg)=−70℃
*3 スチレン−ブタジエン共重合体ゴム: JSR株式会社製、溶液重合スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、商品名「HP755B」、ゴム成分100質量部に対してオイル分37.5質量部を含む、ガラス転移温度(Tg)=−18℃
*4 変性スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(2): 上記の方法で合成した変性スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、ゴム成分100質量部に対してオイル分37.5質量部を含む、重量平均分子量(Mw)=85.2×104、分子量200×104以上500×104以下の割合=4.6%、収縮因子(g’)=0.57、ガラス転移温度(Tg)=−24℃
*5 カーボンブラック: 旭カーボン株式会社製、商品名「#78」
*6 シリカ(1): 東ソー・シリカ工業株式会社製、商品名「ニプシルAQ」
*2 変性スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(1): 上記の方法で合成した変性スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、ガラス転移温度(Tg)=−70℃
*3 スチレン−ブタジエン共重合体ゴム: JSR株式会社製、溶液重合スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、商品名「HP755B」、ゴム成分100質量部に対してオイル分37.5質量部を含む、ガラス転移温度(Tg)=−18℃
*4 変性スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(2): 上記の方法で合成した変性スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、ゴム成分100質量部に対してオイル分37.5質量部を含む、重量平均分子量(Mw)=85.2×104、分子量200×104以上500×104以下の割合=4.6%、収縮因子(g’)=0.57、ガラス転移温度(Tg)=−24℃
*5 カーボンブラック: 旭カーボン株式会社製、商品名「#78」
*6 シリカ(1): 東ソー・シリカ工業株式会社製、商品名「ニプシルAQ」
*7 シリカ(2): 以下の方法で合成した。
撹拌機を備えた180リットルのジャケット付きステンレス反応槽に、水89リットルとケイ酸ナトリウム水溶液(SiO2160g/リットル、SiO2/Na2Oモル比3.3)1.70リットルを入れ、75℃に加熱した。生成した溶液中のNa2O濃度は0.015mol/リットルであった。
この溶液の温度を75℃に維持しながら、上記と同様のケイ酸ナトリウム水溶液を流量520ミリリットル/分で、硫酸(18mol/リットル)を流量23ミリリットル/分で、同時に滴下した。流量を調整しつつ、反応溶液中のNa2O濃度を0.005〜0.035mol/リットルの範囲に維持しながら中和反応を行った。反応途中から反応溶液は白濁をはじめ、46分目に粘度が上昇してゲル状溶液となった。さらに、添加を続けて100分で反応を停止した。生じた溶液中のシリカ濃度は60g/リットルであった。引き続いて、上記と同様の硫酸を溶液のpHが3になるまで添加してケイ酸スラリーを得た。得られたケイ酸スラリーをフィルタープレスで濾過、水洗を行って湿潤ケーキを得た。次いで湿潤ケーキを乳化装置を用いてスラリーとして、噴霧式乾燥機で乾燥し、シリカ(2)を得た。
得られたシリカ(2)は、CTAB(セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積)が191(m2/g)であり、BET表面積が245(m2/g)であった。
撹拌機を備えた180リットルのジャケット付きステンレス反応槽に、水89リットルとケイ酸ナトリウム水溶液(SiO2160g/リットル、SiO2/Na2Oモル比3.3)1.70リットルを入れ、75℃に加熱した。生成した溶液中のNa2O濃度は0.015mol/リットルであった。
この溶液の温度を75℃に維持しながら、上記と同様のケイ酸ナトリウム水溶液を流量520ミリリットル/分で、硫酸(18mol/リットル)を流量23ミリリットル/分で、同時に滴下した。流量を調整しつつ、反応溶液中のNa2O濃度を0.005〜0.035mol/リットルの範囲に維持しながら中和反応を行った。反応途中から反応溶液は白濁をはじめ、46分目に粘度が上昇してゲル状溶液となった。さらに、添加を続けて100分で反応を停止した。生じた溶液中のシリカ濃度は60g/リットルであった。引き続いて、上記と同様の硫酸を溶液のpHが3になるまで添加してケイ酸スラリーを得た。得られたケイ酸スラリーをフィルタープレスで濾過、水洗を行って湿潤ケーキを得た。次いで湿潤ケーキを乳化装置を用いてスラリーとして、噴霧式乾燥機で乾燥し、シリカ(2)を得た。
得られたシリカ(2)は、CTAB(セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積)が191(m2/g)であり、BET表面積が245(m2/g)であった。
*8 水酸化アルミニウム: 昭和電工株式会社製、商品名「ハイジライトH−43M]、平均粒径=1.0μm
*9 シランカップリング剤(1): 3−[エトキシビス(3,6,9,12,15−ペンタオキサオクタコサン−1−イルオキシ)シリル]−1−プロパンチオール、Evonik社製シランカップリング剤、商品名「Si363」(登録商標)
*10 シランカップリング剤(2): ビス(3−トリエトシキシリルプロピル)テトラスルフィド(平均硫黄鎖長:3.7)、Evonik社製シランカップリング剤、商品名「Si69」(登録商標)
*11 C5系樹脂: Exxon Chemical社製、商品名「ESCOREZ(登録商標)1102B」
*12 C5−C9系樹脂: 日本ゼオン株式会社製、商品名「クイントン(登録商標)G100B」
*13 脂肪酸亜鉛: Sigma−Aldrich社製、製品番号「307564」
*14 老化防止剤: N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクラック6C」
*15 加硫促進剤(1): 1,3−ジフェニルグアニジン、住友化学株式会社製、商品名「ソクシノール(登録商標)D−G」
*16 加硫促進剤(2): ジベンゾチアゾリルジスルフィド、大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクセラー(登録商標)DM−P」
*17 加硫促進剤(3): N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクセラー(登録商標)CZ−G」
*9 シランカップリング剤(1): 3−[エトキシビス(3,6,9,12,15−ペンタオキサオクタコサン−1−イルオキシ)シリル]−1−プロパンチオール、Evonik社製シランカップリング剤、商品名「Si363」(登録商標)
*10 シランカップリング剤(2): ビス(3−トリエトシキシリルプロピル)テトラスルフィド(平均硫黄鎖長:3.7)、Evonik社製シランカップリング剤、商品名「Si69」(登録商標)
*11 C5系樹脂: Exxon Chemical社製、商品名「ESCOREZ(登録商標)1102B」
*12 C5−C9系樹脂: 日本ゼオン株式会社製、商品名「クイントン(登録商標)G100B」
*13 脂肪酸亜鉛: Sigma−Aldrich社製、製品番号「307564」
*14 老化防止剤: N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクラック6C」
*15 加硫促進剤(1): 1,3−ジフェニルグアニジン、住友化学株式会社製、商品名「ソクシノール(登録商標)D−G」
*16 加硫促進剤(2): ジベンゾチアゾリルジスルフィド、大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクセラー(登録商標)DM−P」
*17 加硫促進剤(3): N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクセラー(登録商標)CZ−G」
表1から、本発明のゴム組成物を適用したタイヤは、ウェット性能と低転がり抵抗と乾燥路面での操縦安定性とを高度に両立できることが分かる。また、実施例のゴム組成物は、耐摩耗性が向上していることも分かる。
本発明のゴム組成物は、タイヤのトレッドゴムに利用できる。また、本発明のタイヤは、各種車輌向けのタイヤとして利用できる。
Claims (11)
- 天然ゴム(A1)と、変性共役ジエン系重合体(A2)と、を含むゴム成分(A)と、熱可塑性樹脂(B)と、を含み、
前記ゴム成分(A)中の、前記天然ゴム(A1)の含有率が30質量%以上であり、
前記変性共役ジエン系重合体(A2)は、重量平均分子量が20×104以上300×104以下であって、該変性共役ジエン系重合体(A2)の総量に対して、分子量が200×104以上500×104以下である変性共役ジエン系重合体を、0.25質量%以上30質量%以下含み、収縮因子(g’)が0.64未満であることを特徴とする、ゴム組成物。 - 前記変性共役ジエン系重合体(A2)は、分岐を有し、分岐度が5以上である、請求項1に記載のゴム組成物。
- 前記変性共役ジエン系重合体(A2)は、1以上のカップリング残基と、該カップリング残基に対して結合する共役ジエン系重合体鎖と、を有し、
前記分岐は、1の前記カップリング残基に対して5以上の前記共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含む、請求項1又は2に記載のゴム組成物。 - 前記変性共役ジエン系重合体(A2)は、下記一般式(I):
- 前記一般式(I)において、Aは、下記一般式(II):
下記一般式(III):
下記一般式(IV):
下記一般式(V):
- 前記変性共役ジエン系重合体(A2)は、共役ジエン系重合体を、下記一般式(VI):
- 前記一般式(VI)で表されるカップリング剤が、テトラキス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、及びテトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンからなる群から選択される少なくとも一種である、請求項6に記載のゴム組成物。
- 前記熱可塑性樹脂(B)の含有量が、前記ゴム成分(A)100質量部に対して、1〜50質量部である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のゴム組成物。
- 前記熱可塑性樹脂(B)が、C5系樹脂、C5−C9系樹脂、C9系樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、ロジン樹脂、及びアルキルフェノール樹脂からなる群から選択される少なくとも一種である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のゴム組成物。
- 前記変性共役ジエン系重合体(A2)は、ガラス転移温度(Tg)が−50℃を超え、
前記ゴム成分(A)が、更にガラス転移温度(Tg)が−50℃以下の変性共役ジエン系重合体(A3)を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載のゴム組成物。 - 請求項1〜10のいずれか一項に記載のゴム組成物をトレッドゴムに用いたことを特徴とする、タイヤ。
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