JP2022089495A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】転がり抵抗の低減と耐偏摩耗性能の向上が両立された空気入りタイヤを提供する。【解決手段】タイヤ赤道線を中心として接地面の接地幅の50%の幅を有する中央領域において表面層および内層を含む少なくとも2層以上のゴム層を備えたトレッド部と、サイドウォール部とを備え、トレッド部は周方向に連通した周方向溝と、周方向溝および接地端部によって区切られた複数の陸部を備えており、サイドウォール部の外側部がトレッド部のタイヤ幅方向端部の外側に重ね合わされていると共に、内層の幅方向端部が表面層とサイドウォール部との界面の一部に侵入しており、表面層の複素弾性率E*1(MPa)および内層の複素弾性率E*2(MPa)が、(E*2/E*1)<1.0を満足し、中央領域における溝面積比率CR(%)および接地面から中央領域を除いた領域での溝面積比率SR(%)が、|CR-SR|≦15を満足する空気入りタイヤ。【選択図】なし

Description

本発明は、空気入りタイヤに関する。
近年、環境問題への関心の高まりや経済性の観点から、自動車に対して低燃費化の要求が強くなっており、自動車に装着される空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」ともいう)に対しても低燃費性の向上が強く求められている。
タイヤの低燃費性は、転がり抵抗によって評価することができ、転がり抵抗が小さいほど、低燃費性に優れたタイヤであることが知られている。
そこで、従来より、タイヤのトレッド部を構成するゴム組成物の配合を工夫することにより、転がり抵抗を低減させ、低燃費性の向上を図ることが提案されている(例えば、特許文献1~4)。
特開2018-178034号公報 特開2019-089911号公報 WO2018/186367号公報 特開2019-206643号公報
しかしながら、上記した従来技術で製造されたタイヤであっても、転がり抵抗の低減は未だ十分とは言えず、さらなる向上が望まれている。また、これらのタイヤは、走行時、トレッド部に偏摩耗が発生し易いため、耐偏摩耗性能の向上が望まれている。
そこで、本発明は、転がり抵抗の低減と耐偏摩耗性能の向上が両立された空気入りタイヤを提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題の解決について鋭意検討を行い、以下に記載する発明により上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
請求項1に記載の発明は、
タイヤ赤道線を中心として接地面の接地幅の50%の幅を有する中央領域において表面層および内層を含む少なくとも2層以上のゴム層を備えたトレッド部と、外表面を形成するサイドウォールゴムを有するサイドウォール部とを備えた空気入りタイヤであって、
前記トレッド部は、周方向に連通した周方向溝を有し、周方向溝および接地端部によって区切られた複数の陸部を備えており、
前記トレッド部と前記サイドウォール部とは、前記サイドウォール部の外側部が、前記トレッド部のタイヤ幅方向端部の外側に重ね合わされていると共に、
前記トレッド部の内層の幅方向端部が、前記トレッド部の表面層と前記サイドウォール部との界面の一部に侵入しており、
前記トレッド部の表面層の30℃における複素弾性率をE* (MPa)、前記トレッド部の内層の30℃における複素弾性率をE* (MPa)としたとき、下記(式1)を満足し、
さらに、前記中央領域における溝面積比率をCR(%)、接地面から前記中央領域を除いた領域での溝面積比率をSR(%)としたとき、下記(式2)を満足することを特徴とする空気入りタイヤである。
(E* /E* )<1.0・・・・・(式1)
|CR-SR|≦15・・・・・(式2)
請求項2に記載の発明は、
下記(式3)を満足することを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤである。
(E* /E* )<0.9・・・・・(式3)
請求項3に記載の発明は、
下記(式4)を満足することを特徴とする請求項2に記載の空気入りタイヤである。
(E* /E* )<0.8・・・・・(式4)
請求項4に記載の発明は、
下記(式5)を満足することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の空気入りタイヤである。
* ×|CR-SR|≦100・・・・・(式5)
請求項5に記載の発明は、
下記(式6)を満足することを特徴とする請求項4に記載の空気入りタイヤである。
* ×|CR-SR|≦75・・・・・(式6)
請求項6に記載の発明は、
前記トレッド部の内層の30℃における損失正接をtanδとしたとき、下記(式7)を満足することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の空気入りタイヤである。
tanδ×|CR-SR|≦3.75・・・・・(式7)
請求項7に記載の発明は、
前記トレッド部の半径方向内側にベルト補強層を備え、
前記トレッド部の前記中央領域において、
前記ベルト補強層の外周面から前記周方向陸部の表面までの高さHt(mm)が、30mm以下であると共に、前記ベルト補強層の外周面から主溝の底面までの高さHg(mm)が5mm以下であり、
さらに、前記周方向陸部の幅方向中心位置における前記ベルト補強層の外周面から、前記トレッド部の表面層と内層の界面までの高さh(mm)が、0.5mm以上であると共に、h>Hgであることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の空気入りタイヤである。
請求項8に記載の発明は、
前記トレッド部に設けられた2本以上の周方向主溝によって区画化されたセンター陸部およびショルダー陸部にサイプが形成されており、
隣り合う陸部でサイプのタイヤ周方向に対する向きが逆であることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の空気入りタイヤである。
請求項9に記載の発明は、
前記トレッド部の接地幅内の全面積に対する全溝面積の割合が、20~40%であることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の空気入りタイヤである。
本発明によれば、転がり抵抗の低減と耐偏摩耗性能の向上が両立された空気入りタイヤを提供することができる。
以下、実施の形態に基づき本発明を説明する。
[1]本発明に係るタイヤの特徴
最初に、本発明に係るタイヤの特徴について説明する。
1.概要
本発明に係るタイヤは、タイヤ赤道線を中心として接地面の接地幅の50%の幅を有する中央領域において表面層および内層を含む少なくとも2層以上のゴム層を備えたトレッド部と、外表面を形成するサイドウォールゴムを有するサイドウォール部とを備えた空気入りタイヤである。
そして、構造面では、トレッド部は、周方向に連通した周方向溝を有し、周方向溝および接地端部によって区切られた複数の陸部を備えており、サイドウォール部の外側部が、トレッド部のタイヤ幅方向端部の外側に重ね合わされていると共に、トレッド部の内層の幅方向端部が、トレッド部の表面層とサイドウォール部との界面の一部に侵入していることを特徴としている。
一方、物性面では、トレッド部の表面層の30℃における複素弾性率をE* (MPa)、トレッド部の内層の30℃における複素弾性率をE* (MPa)としたとき、E* /E* )<1.0(式1)を満足することを特徴としている。
さらに、中央領域における溝面積比率をCR(%)、接地面から中央領域を除いた領域での溝面積比率をSR(%)としたとき、|CR-SR|≦15(式2)を満足することを特徴としている。
本発明によれば、上記した構造面および物性面の特徴を備えることにより、後述するように、転がり抵抗の低減と耐偏摩耗性能の向上が両立された空気入りタイヤを提供することができる。
なお、上記記載において、「接地面」とは、タイヤが正規リムに組み付けられて、正規内圧が充填された状態において、正規荷重を負荷した状態で転動させた際に路面に接触するタイヤの全周にわたる外周面を指し、具体的には、例えば、タイヤを正規リムに組み付け、正規内圧を加えて、25℃で24時間静置した後、トレッドの表面に墨を塗り、正規荷重を負荷して厚紙に押しつけ、紙に転写させることにより求めることができ、黒塗りされた陸部と白抜きされた溝部の各面積の合計が「全接地面積」である。また、「接地幅」とは、接地面内におけるタイヤ幅方向の最大幅を指す。
ここで、「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えば、JATMA(日本自動車タイヤ協会)であれば「JATMA YEAR BOOK」に記載されている適用サイズにおける標準リム、ETRTO(The European Tyre and Rim Technical Organisation)であれば「STANDARDS MANUAL」に記載されている“Measuring Rim”、TRA(The Tire and Rim Association, Inc.)であれば「YEAR BOOK」に記載されている“Design Rim”を指す。そして、規格に定められていないタイヤの場合には、リム組み可能であって、内圧が保持できるリム、即ちリム/タイヤ間からエア漏れを生じさせないリムの内、最もリム径が小さく、次いでリム幅が最も狭いものを指す。
そして、「正規内圧」とは、前記規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表“TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値、ETRTOであれば“INFLATION PRESSURE”を指す。そして、規格に定められていないタイヤの場合には250kPaである。
また、「正規荷重」とは、前記規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、タイヤに負荷されることが許容される最大の質量を言い、JATMAであれば最大負荷能力、TRAであれば表“TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値、ETRTOであれば“LOAD CAPACITY”とする。そして、規格に定められていないタイヤの場合には以下の式により算出した値とすることができる。
正規荷重(kg)=0.000011×V+175
V={Dt-(Dt-Ht}×Wt
ここで、Vはタイヤが占める仮想体積(mm)であり、Dtはタイヤ外径(mm)、Htはタイヤ断面高さ(mm)、Wtはタイヤ断面幅(mm)であり、いずれも正規状態において測定した値である。
また、タイヤ断面幅Wtは正規状態におけるタイヤ最大幅の直線距離を示し、文字などの表面の凹凸は含まない。タイヤ断面高さは外径Dtからリム径(mm)を引くことで求めることができる。
2.本発明に係るタイヤにおける効果発現のメカニズム
本発明に係るタイヤにおける効果発現のメカニズム、即ち、転がり抵抗の低減と耐偏摩耗性能の向上との両立が図られるメカニズムについては、以下のように推測される。
上記したように、本発明に係るタイヤでは、タイヤ赤道線を中心として接地面の接地幅の50%の幅を有する中央領域において、表面層と内層を含む少なくとも2層以上のゴム層を有しており、表面層の30℃における複素弾性率をE* (MPa)、内層の30℃における複素弾性率をE* (MPa)としたとき、(E* /E* )<1.0(式1)を満足している。
複素弾性率E*は剛性を示すパラメータであり、上記のように、内層の複素弾性率E* を、表面層の複素弾性率E* よりも小さくすることにより、走行時、トレッド部全体が内部から変形し、路面と接地することが可能となり、トレッド部の不均一な変形と応力集中を抑制することができると考えられるため、転がり抵抗と偏摩耗の発生を抑制することができると考えられる。また、表面層の端部は接地する際、力が加わり難く、滑りが生じやすいと考えられる。
そこで、表面層の端部を表面層よりも剛性の低い内層で覆うことにより、わずかな力でも接地端部が路面に対して追従することが可能となる為、表面層端部におけるすべりによる偏摩耗と、摩擦による発熱を低下させることが可能になると考えられる。以上により、トレッド中央部において、均一な接地面を得ると共に、表面層の幅方向端部の位置においても十分な追従性を得ることが可能となる為、転がり抵抗および偏摩耗を抑制できるものと考えられる。なお、(E* /E* )は、0.9未満であるとより好ましく、0.8未満であるとさらに好ましい。
なお、上記記載におけるE* およびE* は、温度30℃、周波数10Hz、初期歪5%、動歪率1%、変形モード:伸張の条件下で測定される値であり、例えば、GABO社製「イプレクサー(登録商標)」などの粘弾性測定装置を用いて測定することができる。
前記トレッド部の表面層の30℃における複素弾性率E* の値は、特に限定されないが、5MPa以上が好ましく、8MPa以上がより好ましく、9.5MPa以上がさらに好ましい。一方、上限も特に限定されないが、15MPa以下が好ましく、12MPa以下がより好ましい。
また、前記トレッド部の内層の30℃における複素弾性率E* の値は、特に限定されないが、3.0MPa以上が好ましく、3.5MPa以上がより好ましく、4MPa以上がさらに好ましい。一方、上限も特に限定されないが、10MPa以下が好ましく、7MPa以下がより好ましく、6MPa以下がさらに好ましい。
そして、本発明においては、さらに、中央領域における溝面積比率をCR(%)、接地面から中央領域を除いた領域での溝面積比率をSR(%)としたとき、|CR-SR|≦15(式2)を満足している。
このように、中央領域における溝面積比率CRと中央領域を除いた領域での溝面積比率SRとが大きく異ならないように、所定の範囲に収めることにより、走行時、トレッド部に変形を生じた場合でも、トレッド部の幅方向における剛性の分布を均一化し、安定した接地状態を確保することができるため、偏摩耗の発生を抑制すると共に、転がり抵抗を低減させることができると考えられる。なお、|CR-SR|は、13以下が好ましく、10以下がより好ましい。
また、中央領域に於ける溝面積比率CR(%)は、5%以上が好ましく、7%以上がより好ましく、10%以上がさらに好ましい。上記範囲とすることにより、中央領域のトレッド全体の剛性を適度に低下させ、トレッド部を均一に接地させることができると考えられる。
一方で、中央領域に於ける溝面積比率CR(%)は、40%以下が好ましく、35%以下がより好ましく、30%以下がさらに好ましい。40%を超えると、中央領域での変形量が大きくなり、低燃費性の向上効果が減少すると考えられる。
また、中央領域を除いた領域での溝面積比率SR(%)は、7%以上が好ましく、10%以上がより好ましく、12%以上がさらに好ましい。上記範囲とすることにより、トレッドショルダー部においても良好な接地性が得られるようになり、トレッド部を均一に接地させやすくすることができると考えられる。
一方で、中央領域を除いた領域での溝面積比率SR(%)は、45%以下が好ましく、40%以下がより好ましく、35%以下がさらに好ましい。45%を超えると、ショルダー部での接地性が高くなりすぎ、偏摩耗抑制の効果が得られ難くなると考えられる。
なお、「溝面積比率」とは、トレッド部の接地面において、各領域の周方向溝部および周方向陸部を含む総面積に対する周方向溝部の総面積の比率(%)を指す。
[2]本発明に係るタイヤにおけるより好ましい態様
本発明に係るタイヤは、以下の態様を取ることにより、さらに大きな効果を得ることができる。
1.ベースゴムの複素弾性率と各溝面積比率との関係
前記したように、CRとSRとの差を所定の範囲に収めることにより、トレッド部における剛性の分布を均一化させることができると考えられるが、CRとSRの差が大きい場合においては、E* を小さくすることにより、トレッド部の内層が変形することで、トレッド面全体の接地圧分布を均一化させ、不均一な変形を抑制することができると考えられる。またCRとSRの差とE* を併せて小さくすることによっても、トレッド部の不均一な変形の発生を抑制することもできるため、転がり抵抗の低減と耐偏摩耗性能の向上のさらなる両立を図ることができると考えられる。
そこで、本発明者が、E* と|CR-SR|との間における好ましい関係について、実験と検討を行ったところ、E* ×|CR-SR|≦100(式5)を満足していればよく、E* ×|CR-SR|≦75(式6)を満足しているとさらに好ましいことが分かった。
2.ベースゴムの損失正接と各溝面積比率との関係
損失正接tanδは、タイヤの発熱性を示すパラメータであり、値が小さいほど、走行時、トレッド部における発熱性を低減させてタイヤの温度上昇を抑制することができると考えられる。
特に、CRとSRの差が大きい場合においては、中央部と中央部を除いた部分の界面付近での変形量が大きくなり、該当箇所での内層の発熱を小さくすることにより、転がり抵抗を十分に低減させることができると考えられる。
また、CRとSRの差およびtanδを同時に低減させることにより、トレッド部の内層での変形による発熱を抑制することも可能となり、転がり抵抗を十分に低減させることができると考えられる。
そこで、本発明者が、このtanδについて、実験と検討を行ったところ、トレッド部の内層の30℃における損失正接をtanδとしたとき、tanδ×|CR-SR|≦3.75(式7)を満足していれば、転がり抵抗をさらに低減でき、また、耐偏摩耗性能をさらに向上できることも分かった。なお、tanδ×|CR-SR|は、3.50以下であればより好ましく、3.25以下であればさらに好ましい。
なお、tanδは、前記したE*の測定と同様に、例えば、GABO社製「イプレクサー(登録商標)」などの粘弾性測定装置を用い、変形モードを引張とすること以外は、同じ条件下で測定することができる。
また、トレッド部の内層の30℃におけるtanδは、0.25以下が好ましく、0.20以下がより好ましく、0.15以下がさらに好ましく、0.10以下がよりさらに好ましい。一方、下限としては特に限定されないが、0.02以上が好ましく、0.03以上がより好ましい。
3.ベルト補強層
本発明に係るタイヤにおいては、トレッド部の半径方向内側にベルト補強層を備えていることが好ましい。
トレッド部の半径方向内側にベルト補強層を設けることにより、トレッド部が内圧により変形することを抑制することができるため、安定して転がり抵抗の低減を図ると共に、耐偏摩耗性能も向上できると考えられる。
そこで、本発明者が、ベルト補強層について、実験と検討を行ったところ、トレッド部の中央領域において、ベルト補強層の外周面から周方向陸部の表面までの高さHtを30mm以下とする一方、ベルト補強層の外周面から周方向溝の底面までの高さHgを5mm以下とした場合、トレッド部全体の厚みを適切に確保することができるため、転がり抵抗の低減を十分に図ることができることが分かった。
なお、ここでいう周方向陸部とは、中央領域におけるいずれかの陸部であり、トレッド赤道面に最も近い陸部が、前記関係を満たしていることが特に好ましい。また、前記周方向溝は、前記周方向陸部に隣接した周方向溝の内、最も深さが深いものを指す。
前記ベルト補強層の外周面から周方向陸部の表面までの高さHtは、15mm以下がより好ましく、10mm以下がより好ましい。一方、Htは、5mm以上が好ましく、7mm以上がより好ましい。
前記ベルト補強層の外周面から周方向溝の底面までの高さHgは、4mm以下が好ましく、2mm以下が好ましい。一方、Hgは、0.5mm以上が好ましく、1mm以上がより好ましい。
また、周方向陸部の幅方向中心位置におけるベルト補強層の外周面から、表面層と内層との境界までの高さhが、0.5mm以上であると、陸部の下方に内層を確実に配置して、発熱性の悪化を抑制することができ、さらに、h>Hgとすることにより、陸部の底面からトレッド部全体を変形させやすくすることができ、接地時の圧力を均一化させることができると考えられる。この結果、転がり抵抗のさらなる低減を図ると共に、耐偏摩耗性能のさらなる向上を図ることができることが分かった。
なお、ベルト補強層は、タイヤ周方向に対して、±5°以内の角度で延びるように設けることが好ましい。これにより、タイヤが内圧により変形することを防ぎ、均一な接地圧分布を得ることが可能となると考えられ、転がり抵抗の低減を図ると共に、耐偏摩耗性能も向上できると考えられる。
4.サイプ
本発明に係るタイヤにおいては、トレッド部に設けられた2本以上の周方向主溝によって区画化された2つ以上の陸部にサイプが形成されており、これらの陸部において、隣り合う陸部でサイプのタイヤ周方向に対する向きが逆であることが好ましい。
このようなサイプを設けることにより、トレッド陸部面においても接地性を向上させ、トレッド陸部の動きを最小限とすることができる為、転がり抵抗をより低減させることができると考えられる。同時に隣り合うサイプの向きが異なることで、サイプ方向に対して垂直に働く力が幅方向で互いに打ち消し合い、周方向の成分のみとすることができる為、陸部の摩耗を均一化させやすくすることができると考えられる。
なお、ここでいうサイプは、溝幅が2mm未満の細溝を指し、周方向溝に開口していても、開口していなくても良い。
5.トレッド部の接地幅内における溝面積の割合
本発明に係るタイヤにおいて、トレッド部の接地幅内の全面積に対する全溝面積の割合は、20~40%であることが好ましい。
このように、トレッド部の接地幅内の全面積に対する全溝面積の割合を20%以上、40%以下とすることにより、溝部からの放熱を十分に確保すると共に、トレッド部全体の剛性を適切に確保できるため、転がり抵抗の低減を図ると共に、耐偏摩耗性能も向上できると考えられる。
なお、「全溝面積」とは、周方向溝およびサイプなどの幅方向溝の面積の合計を指し、全陸部面積との合計が「全面積」である。
前記の全溝面積の割合は、25%以上がより好ましく、27%以上がさらに好ましい。一方、上限としては、38%以下がより好ましく、35%以下がさらに好ましい。
[3]本発明の具体的な実施の形態
以下、実施の形態に基づいて、本発明を具体的に説明する。
1.ゴム組成物
本実施の形態において、表面層および内層を備えたトレッドゴムは、以下に示す各種配合材料もいずれもが使用でき、それぞれ、所望する表面層および内層の物性に合わせて、適宜、配合量を調整することにより得ることができる。
(1)配合材料
(a)ゴム成分
本実施の形態において、ゴム成分としては、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、イソプレン系ゴム、ニトリルゴム(NBR)などのタイヤの製造に一般的に用いられるゴム(ポリマー)を用いることができる。これらは単独で用いても良く、2種類以上を併用しても良い。
なお、トレッドゴムでは、イソプレン系ゴム又はBR又はSBRを含むことが好ましく、イソプレン系ゴムおよびBR、BRおよびSBR、SBRおよびイソプレン系ゴムのいずれかの併用をすることがより好ましく、イソプレン系ゴムおよびBRおよびSBRを併用しても良い。
(イ)BR
ゴム成分100質量部中のBRの含有量は、5質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であるとより好ましく、15質量部以上であるとさらに好ましい。一方、40質量部以下であることが好ましく、35質量部以下であるとより好ましく、30質量部以下であるとさらに好ましい。
BRの重量平均分子量は、例えば、10万超、200万未満である。BRのビニル結合量は、例えば1質量%超、30質量%未満である。BRのシス含量は、例えば1質量%超、98質量%以下である。BRのトランス量は、例えば、1質量%超、60質量%未満である。なお、シス含量は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
BRとしては特に限定されず、高シス含量(シス含量が90%以上)のBR、低シス含量のBR、シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR等を使用できる。BRは、非変性BR、変性BRのいずれでもよく、変性BRとしては、例えば、下記式で表される化合物(変性剤)により変性されたBRを使用できる。
Figure 2022089495000001
なお、式中、R1、R2およびR3は、同一または異なって、アルキル基、アルコキシ基、シリルオキシ基、アセタール基、カルボキシル基(-COOH)、メルカプト基(-SH)またはこれらの誘導体を表す。R4およびR5は、同一または異なって、水素原子またはアルキル基を表す。R4およびR5は結合して窒素原子と共に環構造を形成してもよい。nは整数を表す。
上記式で表される化合物(変性剤)により変性された変性BRとしては、重合末端(活性末端)を前記式で表される化合物により変性されたBRを挙げることができる。
R1、R2およびR3としてはアルコキシ基が好適である(好ましくは炭素数1~8、より好ましくは炭素数1~4のアルコキシ基)。R4およびR5としてはアルキル基(好ましくは炭素数1~3のアルキル基)が好適である。nは、好ましくは1~5、より好ましくは2~4、更に好ましくは3である。また、R4およびR5が結合して窒素原子と共に環構造を形成する場合、4~8員環であることが好ましい。なお、アルコキシ基には、シクロアルコキシ基(シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基、ベンジルオキシ基等)も含まれる。
上記変性剤の具体例としては、2-ジメチルアミノエチルトリメトキシシラン、3-ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、2-ジメチルアミノエチルトリエトキシシラン、3-ジメチルアミノプロピルトリエトキシシラン、2-ジエチルアミノエチルトリメトキシシラン、3-ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、2-ジエチルアミノエチルトリエトキシシラン、3-ジエチルアミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、変性BRとしては、以下の化合物(変性剤)により変性された変性BRも使用できる。変性剤としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル;ジグリシジル化ビスフェノールA等の2個以上のフェノール基を有する芳香族化合物のポリグリシジルエーテル;1,4-ジグリシジルベンゼン、1,3,5-トリグリシジルベンゼン、ポリエポキシ化液状ポリブタジエン等のポリエポキシ化合物;4,4’-ジグリシジル-ジフェニルメチルアミン、4,4’-ジグリシジル-ジベンジルメチルアミン等のエポキシ基含有3級アミン;ジグリシジルアニリン、N,N’-ジグリシジル-4-グリシジルオキシアニリン、ジグリシジルオルソトルイジン、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、テトラグリシジル-p-フェニレンジアミン、ジグリシジルアミノメチルシクロヘキサン、テトラグリシジル-1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン等のジグリシジルアミノ化合物;ビス-(1-メチルプロピル)カルバミン酸クロリド、4-モルホリンカルボニルクロリド、1-ピロリジンカルボニルクロリド、N,N-ジメチルカルバミド酸クロリド、N,N-ジエチルカルバミド酸クロリド等のアミノ基含有酸クロリド;1,3-ビス-(グリシジルオキシプロピル)-テトラメチルジシロキサン、(3-グリシジルオキシプロピル)-ペンタメチルジシロキサン等のエポキシ基含有シラン化合物;(トリメチルシリル)[3-(トリメトキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(トリエトキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(トリプロポキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(トリブトキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(メチルジメトキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(メチルジエトキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(メチルジプロポキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(メチルジブトキシシリル)プロピル]スルフィド等のスルフィド基含有シラン化合物;エチレンイミン、プロピレンイミン等のN-置換アジリジン化合物;メチルトリエトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリメトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン;4-N,N-ジメチルアミノベンゾフェノン、4-N,N-ジ-t-ブチルアミノベンゾフェノン、4-N,N-ジフェニルアミノベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジフェニルアミノ)ベンゾフェノン、N,N,N’,N’-ビス-(テトラエチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミノ基および/または置換アミノ基を有する(チオ)ベンゾフェノン化合物;4-N,N-ジメチルアミノベンズアルデヒド、4-N,N-ジフェニルアミノベンズアルデヒド、4-N,N-ジビニルアミノベンズアルデヒド等のアミノ基および/または置換アミノ基を有するベンズアルデヒド化合物;N-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-2-ピロリドン、N-フェニル-2-ピロリドン、N-t-ブチル-2-ピロリドン、N-メチル-5-メチル-2-ピロリドン等のN-置換ピロリドン;N-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-2-ピペリドン、N-フェニル-2-ピペリドン等のN-置換ピペリドン;N-メチル-ε-カプロラクタム、N-フェニル-ε-カプロラクタム、N-メチル-ω-ラウリロラクタム、N-ビニル-ω-ラウリロラクタム、N-メチル-β-プロピオラクタム、N-フェニル-β-プロピオラクタム等のN-置換ラクタム類;の他、N,N-ビス-(2,3-エポキシプロポキシ)-アニリン、4,4-メチレン-ビス-(N,N-グリシジルアニリン)、トリス-(2,3-エポキシプロピル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオン類、N,N-ジエチルアセトアミド、N-メチルマレイミド、N,N-ジエチル尿素、1,3-ジメチルエチレン尿素、1,3-ジビニルエチレン尿素、1,3-ジエチル-2-イミダゾリジノン、1-メチル-3-エチル-2-イミダゾリジノン、4-N,N-ジメチルアミノアセトフェン、4-N,N-ジエチルアミノアセトフェノン、1,3-ビス(ジフェニルアミノ)-2-プロパノン、1,7-ビス(メチルエチルアミノ)-4-ヘプタノン等を挙げることができる。なお、上記化合物(変性剤)による変性は公知の方法で実施可能である。なお、これらの変性BRは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
BRとしては、例えば、宇部興産(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等の製品を使用できる。
(ロ)イソプレン系ゴム
ゴム成分100質量部中のイソプレン系ゴムの含有量(合計含有量)は、25質量部以上であることが好ましく、30質量部以上であるとより好ましく、35質量部以上であるとさらに好ましい。一方、55質量部以下であることが好ましく、50質量部以下であるとより好ましく、45質量部以下であるとさらに好ましい。
イソプレン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、改質NR、変性NR、変性IR等が挙げられるが、強度に優れるという点からNRが好ましい。
NRとしては、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。IRとしては、特に限定されず、例えば,日本ゼオン(株)製のIR2200等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。改質NRとしては、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(UPNR)等、変性NRとしては、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素添加天然ゴム(HNR)、グラフト化天然ゴム等、変性IRとしては、エポキシ化イソプレンゴム、水素添加イソプレンゴム、グラフト化イソプレンゴム等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(ハ)SBR
ゴム成分には、必要に応じて、SBRを含有してもよい。このとき、ゴム成分100質量部中のSBRの含有量は、例えば、20質量部以上、100質量部以下である。25質量部超であるとより好ましく、30質量部超であるとさらに好ましい。一方、65質量部未満であることが好ましく、55質量部未満であるとより好ましく、45質量部未満であるとさらに好ましく、35質量部未満であると特に好ましい。
SBRの重量平均分子量は、例えば、10万超、200万未満である。SBRのスチレン含量は、例えば、5質量%超、50質量%未満が好ましく、10質量%超、40質量%未満がより好ましく、20質量%超、35質量%未満がさらに好ましい。SBRのビニル結合量(1,2-結合ブタジエン単位量)は、例えば、5質量%超、70質量%未満である。なお、SBRの構造同定(スチレン含量、ビニル結合量の測定)は、例えば、日本電子(株)製JNM-ECAシリーズの装置を用いて行うことができる。
SBRとしては特に限定されず、例えば、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E-SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S-SBR)等を使用できる。SBRは、非変性SBR、変性SBRのいずれでもよく、これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
変性SBRとしては、シリカ等の充填剤と相互作用する官能基を有するSBRであればよく、例えば、SBRの少なくとも一方の末端を、上記官能基を有する化合物(変性剤)で変性された末端変性SBR(末端に上記官能基を有する末端変性SBR)や、主鎖に上記官能基を有する主鎖変性SBRや、主鎖および末端に上記官能基を有する主鎖末端変性SBR(例えば、主鎖に上記官能基を有し、少なくとも一方の末端を上記変性剤で変性された主鎖末端変性SBR)や、分子中に2個以上のエポキシ基を有する多官能化合物により変性(カップリング)され、水酸基やエポキシ基が導入された末端変性SBR等が挙げられる。
SBRとしては、例えば、住友化学(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等により製造・販売されているSBRを使用できる。なお、SBRは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(ニ)その他のゴム成分
また、その他のゴム成分として、ニトリルゴム(NBR)などのタイヤの製造に一般的に用いられるゴム(ポリマー)を含んでもよい。
(b)ゴム成分以外の配合材料
(イ)充填剤
本実施の形態において、ゴム組成物には、補強剤であるカーボンブラックやシリカなどを、充填剤として含有していることが好ましい。なお、充填剤としては、上記したカーボンブラック、シリカの他に、例えば、炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、クレー、水酸化アルミニウム、マイカ等も挙げることができる。なお、シリカを用いる場合には、シランカップリング剤と併用することが好ましい。
(i)カーボンブラック
カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、2質量部以上であることが好ましく、3質量部以上であるとより好ましく、8質量部以上であるとさらに好ましく、10質量部以上であると特に好ましい。一方、100質量部以下であることが好ましく、50質量部以下であるとより好ましく、40質量部以下であるとさらに好ましい。これにより、タイヤの転がり抵抗性を低減させつつ、耐摩耗性を維持させ、偏摩耗も抑制することが可能となる。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、例えば30m/g超、250m/g未満である。カーボンブラックのジブチルフタレート(DBP)吸収量は、例えば50ml/100g超、250ml/100g未満である。なお、カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、ASTM D4820-93に従って測定され、DBP吸収量は、ASTM D2414-93に従って測定される。
カーボンブラックとしては特に限定されず、SAF、ISAF、HAF、MAF、FEF、SRF、GPF、APF、FF、CF、SCFおよびECFのようなファーネスブラック(ファーネスカーボンブラック);アセチレンブラック(アセチレンカーボンブラック);FTおよびMTのようなサーマルブラック(サーマルカーボンブラック);EPC、MPCおよびCCのようなチャンネルブラック(チャンネルカーボンブラック);グラファイト等を挙げることができる。
市販品としては、例えば、旭カーボン(株)、キャボットジャパン(株)、東海カーボン(株)、三菱化学(株)、ライオン(株)、新日化カーボン(株)、コロンビアカーボン社等の製品を使用でき、これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(ii)シリカ
ゴム組成物は、必要に応じて、さらに、シリカを含んでもよい。シリカのBET比表面積は、良好な耐久性能が得られる観点から140m/g超が好ましく、160m/g超がより好ましい。一方、良好な高速走行時の転がり抵抗性を得られる観点からは250m/g未満が好ましく、220m/g未満であることがより好ましい。また、ゴム成分100質量部に対する前記シリカの含有量は、良好な耐久性能を得る観点から35質量部超が好ましく、40質量部超であるとより好ましく、45質量部超であるとさらに好ましく、50質量部以上であると特に好ましい。一方、良好な転がり抵抗性を得る観点からは、150質量部未満が好ましく、100質量部未満がより好ましく、70質量部未満がさらに好ましい。なお、上記したBET比表面積は、ASTM D3037-93に準じてBET法で測定されるNSAの値である。
シリカとしては、例えば、乾式法シリカ(無水シリカ)、湿式法シリカ(含水シリカ)などが挙げられる。なかでも、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。
シリカとしては、例えば、デグッサ社、ローディア社、東ソー・シリカ(株)、ソルベイジャパン(株)、(株)トクヤマ等の製品を使用できる。
(iii)シランカップリング剤
充填剤としてシリカを使用する場合、前記したように、シリカと共にシランカップリング剤を含むことが好ましい。シランカップリング剤としては、特に限定されず、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリルエチル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、などのスルフィド系、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン、Momentive社製のNXT、NXT-Zなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル系、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどのグリシドキシ系、3-ニトロプロピルトリメトキシシラン、3-ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ系、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシランなどのクロロ系などがあげられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シランカップリング剤としては、例えば、デグッサ社、Momentive社、信越シリコーン(株)、東京化成工業(株)、アヅマックス(株)、東レ・ダウコーニング(株)等の製品を使用できる。
シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、例えば、3質量部超、25質量部未満である。
(iv)その他の充填剤
ゴム組成物には、上記したカーボンブラック、シリカの他に、タイヤ工業において一般的に用いられている、例えば、炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、クレー、水酸化アルミニウム、マイカ等の充填剤をさらに含有してもよい。これらの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、0.1質量部超、200質量部未満である。
(ロ)軟化剤
ゴム組成物は、オイル(伸展油を含む)や液状ゴム、樹脂成分等を軟化剤として含んでもよい。これらの合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、5質量部超が好ましく、10質量部超がより好ましく、12質量部超がさらに好ましい。また、50質量部未満が好ましく、35質量部未満がより好ましく、20質量部未満がさらに好ましい。なお、オイルの含有量には、ゴム(油展ゴム)に含まれるオイルの量も含まれる。
(i)オイル
オイルとしては、例えば、一般にプロセスオイルと言われる鉱物油、植物油脂、またはその混合物が挙げられる。プロセスオイル(鉱物油)としては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどを用いることができる。植物油脂としては、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、ロジン、パインオイル、パインタール、トール油、コーン油、こめ油、べに花油、ごま油、オリーブ油、ひまわり油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、桐油等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
プロセスオイル(鉱物油)としては、例えば、出光興産(株)、三共油化工業(株)、(株)ジャパンエナジー、オリソイ社、H&R社、豊国製油(株)、昭和シェル石油(株)、富士興産(株)等の製品を使用できる。
(ii)液状ゴム
軟化剤として挙げた液状ゴムとは、常温(25℃)で液体状態の重合体であり、かつ、固体ゴムと同様のモノマーを構成要素とする重合体である。液状ゴムとしては、ファルネセン系ポリマー、液状ジエン系重合体およびそれらの水素添加物等が挙げられる。
ファルネセン系ポリマーとは、ファルネセンを重合することで得られる重合体であり、ファルネセンに基づく構成単位を有する。ファルネセンには、α-ファルネセン((3E,7E)-3,7,11-トリメチル-1,3,6,10-ドデカテトラエン)やβ-ファルネセン(7,11-ジメチル-3-メチレン-1,6,10-ドデカトリエン)などの異性体が存在する。
ファルネセン系ポリマーは、ファルネセンの単独重合体(ファルネセン単独重合体)でも、ファルネセンとビニルモノマーとの共重合体(ファルネセン-ビニルモノマー共重合体)でもよい。
液状ジエン系重合体としては、液状スチレンブタジエン共重合体(液状SBR)、液状ブタジエン重合体(液状BR)、液状イソプレン重合体(液状IR)、液状スチレンイソプレン共重合体(液状SIR)等が挙げられる。
液状ジエン系重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、例えば、1.0×10超、2.0×10未満のものである。なお、本明細書において、液状ジエン系重合体のMwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算値である。
液状ゴムとしては、例えば、クラレ(株)、クレイバレー社等の製品を使用できる。
(iii)樹脂成分
また、必要に応じて、例えば、スチレン系樹脂、クマロン系樹脂、テルペン系樹脂、C5樹脂、C9樹脂、C5C9樹脂、アクリル系樹脂などの樹脂を樹脂成分として含有することが好ましい。これらの樹脂成分は、常温で固体であっても、液体であってもよく、2種以上を併用しても良い。樹脂成分の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、2質量部超で、45質量部未満が好ましく、30質量部未満がより好ましい。
スチレン系樹脂は、スチレン系単量体を構成モノマーとして用いたポリマーであり、スチレン系単量体を主成分(50質量%以上)として重合させたポリマー等が挙げられる。具体的には、スチレン系単量体(スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、α-メチルスチレン、p-メトキシスチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-フェニルスチレン、o-クロロスチレン、m-クロロスチレン、p-クロロスチレン等)をそれぞれ単独で重合した単独重合体、2種以上のスチレン系単量体を共重合した共重合体の他、スチレン系単量体およびこれと共重合し得る他の単量体のコポリマーも挙げられる。
前記他の単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのアクリロニトリル類、アクリル類、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸類、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチルなどの不飽和カルボン酸エステル類、クロロプレン、ブタジエンイソプレンなどのジエン類、1-ブテン、1-ペンテンのようなオレフィン類、無水マレイン酸等のα,β-不飽和カルボン酸またはその酸無水物等が例示できる。
クマロン系樹脂の中でも、クマロンインデン樹脂が好ましい。クマロンインデン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成するモノマー成分として、クマロンおよびインデンを含む樹脂である。クマロン、インデン以外に骨格に含まれるモノマー成分としては、スチレン、α-メチルスチレン、メチルインデン、ビニルトルエンなどが挙げられる。
クマロンインデン樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、1.0質量部超、50.0質量部未満である。
クマロンインデン樹脂の水酸基価(OH価)は、例えば、15mgKOH/g超、150mgKOH/g未満である。なお、OH価とは、樹脂1gをアセチル化するとき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムの量をミリグラム数で表したものであり、電位差滴定法(JIS K 0070:1992)により測定した値である。
クマロンインデン樹脂の軟化点は、例えば、30℃超、160℃未満である。なお、軟化点は、JIS K 6220-1:2001に規定される軟化点を環球式軟化点測定装置で測定し、球が降下した温度である。
テルペン系樹脂としては、ポリテルペン、テルペンフェノール、芳香族変性テルペン樹脂などが挙げられる。ポリテルペンは、テルペン化合物を重合して得られる樹脂およびそれらの水素添加物である。テルペン化合物は、(Cの組成で表される炭化水素およびその含酸素誘導体で、モノテルペン(C1016)、セスキテルペン(C1524)、ジテルペン(C2032)などに分類されるテルペンを基本骨格とする化合物であり、例えば、α-ピネン、β-ピネン、ジペンテン、リモネン、ミルセン、アロオシメン、オシメン、α-フェランドレン、α-テルピネン、γ-テルピネン、テルピノレン、1,8-シネオール、1,4-シネオール、α-テルピネオール、β-テルピネオール、γ-テルピネオールなどが挙げられる。
ポリテルペンとしては、上述したテルペン化合物を原料とするα-ピネン樹脂、β-ピネン樹脂、リモネン樹脂、ジペンテン樹脂、β-ピネン/リモネン樹脂などのテルペン樹脂の他、該テルペン樹脂に水素添加処理した水素添加テルペン樹脂も挙げられる。テルペンフェノールとしては、上記テルペン化合物とフェノール系化合物とを共重合した樹脂、および該樹脂に水素添加処理した樹脂が挙げられ、具体的には、上記テルペン化合物、フェノール系化合物およびホルマリンを縮合させた樹脂が挙げられる。なお、フェノール系化合物としては、例えば、フェノール、ビスフェノールA、クレゾール、キシレノールなどが挙げられる。芳香族変性テルペン樹脂としては、テルペン樹脂を芳香族化合物で変性して得られる樹脂、および該樹脂に水素添加処理した樹脂が挙げられる。なお、芳香族化合物としては、芳香環を有する化合物であれば特に限定されないが、例えば、フェノール、アルキルフェノール、アルコキシフェノール、不飽和炭化水素基含有フェノールなどのフェノール化合物;ナフトール、アルキルナフトール、アルコキシナフトール、不飽和炭化水素基含有ナフトールなどのナフトール化合物;スチレン、アルキルスチレン、アルコキシスチレン、不飽和炭化水素基含有スチレンなどのスチレン誘導体;クマロン、インデンなどが挙げられる。
「C5樹脂」とは、C5留分を重合することにより得られる樹脂をいう。C5留分としては、例えば、シクロペンタジエン、ペンテン、ペンタジエン、イソプレン等の炭素数4~5個相当の石油留分が挙げられる。C5系石油樹脂としては、ジシクロペンタジエン樹脂(DCPD樹脂)が好適に用いられる。
「C9樹脂」とは、C9留分を重合することにより得られる樹脂をいい、それらを水素添加したものや変性したものであってもよい。C9留分としては、例えば、ビニルトルエン、アルキルスチレン、インデン、メチルインデン等の炭素数8~10個相当の石油留分が挙げられる。具体例としては、例えば、クマロンインデン樹脂、クマロン樹脂、インデン樹脂、および芳香族ビニル系樹脂が好適に用いられる。芳香族ビニル系樹脂としては、経済的で、加工しやすく、発熱性に優れているという理由から、α-メチルスチレンもしくはスチレンの単独重合体またはα-メチルスチレンとスチレンとの共重合体が好ましく、α-メチルスチレンとスチレンとの共重合体がより好ましい。芳香族ビニル系樹脂としては、例えば、クレイトン社、イーストマンケミカル社等より市販されているものを使用することができる。
「C5C9樹脂」とは、前記C5留分と前記C9留分を共重合することにより得られる樹脂をいい、それらを水素添加したものや変性したものであってもよい。C5留分およびC9留分としては、前記の石油留分が挙げられる。C5C9樹脂としては、例えば、東ソー(株)、LUHUA社等より市販されているものを使用することができる。
アクリル系樹脂としては特に限定されないが、例えば、無溶剤型アクリル系樹脂を使用できる。
無溶剤型アクリル系樹脂は、副原料となる重合開始剤、連鎖移動剤、有機溶媒などを極力使用せずに、高温連続重合法(高温連続塊重合法)(米国特許第4,414,370号明細書、特開昭59-6207号公報、特公平5-58005号公報、特開平1-313522号公報、米国特許第5,010,166号明細書、東亜合成研究年報TREND2000第3号p42-45等に記載の方法)により合成された(メタ)アクリル系樹脂(重合体)が挙げられる。なお、本発明において、(メタ)アクリルは、メタクリルおよびアクリルを意味する。
上記アクリル系樹脂を構成するモノマー成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸や、(メタ)アクリル酸エステル(アルキルエステル、アリールエステル、アラルキルエステルなど)、(メタ)アクリルアミド、および(メタ)アクリルアミド誘導体などの(メタ)アクリル酸誘導体が挙げられる。
また、上記アクリル系樹脂を構成するモノマー成分として、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸誘導体と共に、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレンなどの芳香族ビニルを使用してもよい。
上記アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル成分のみで構成される樹脂であっても、(メタ)アクリル成分以外の成分をも構成要素とする樹脂であっても良い。また、上記アクリル系樹脂は、水酸基、カルボキシル基、シラノール基等を有していてよい。
樹脂成分としては、例えば、丸善石油化学(株)、住友ベークライト(株)、ヤスハラケミカル(株)、東ソー(株)、Rutgers Chemicals社、BASF社、アリゾナケミカル社、日塗化学(株)、(株)日本触媒、JXエネルギー(株)、荒川化学工業(株)、田岡化学工業(株)等の製品を使用できる。
(ハ)硬化性樹脂成分
ゴム組成物は、必要に応じて、硬化性樹脂成分を含有することが好ましい。硬化性樹脂成分の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、4質量部以上が好ましく、6質量部以上がより好ましい。一方、30質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましい。
硬化性樹脂成分としては、例えば、変性レゾルシン樹脂や変性フェノール樹脂などを挙げることができ、具体的な変性レゾルシン樹脂としては、例えば、田岡化学工業(株)製のスミカノール620(変性レゾルシン樹脂)などが挙げられ、変性フェノール樹脂としては、例えば、住友ベークライト(株)製のPR12686(カシューオイル変性フェノール樹脂)などが挙げられる。
変性レゾルシン樹脂の使用に際しては、必要に応じて、硬化剤として、メチレン供与体を併せて含有することが好ましい。メチレン供与体としては、例えば、ヘキサメチレンテトラミン(HMT)、ヘキサメトキシメチロールメラミン(HMMM)やヘキサメチロールメラミンペンタメチルエーテル(HMMPME)等が挙げられ、硬化性樹脂成分100質量部に対して、例えば、5質量部以上、15質量部以下程度含有されることが好ましい。
具体的なメチレン供与体としては、例えば、田岡化学工業(株)製のスミカノール507などを使用できる。
(ニ)老化防止剤
ゴム組成物は、老化防止剤を含むことが好ましい。老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、1質量部超、10質量部未満である。
老化防止剤としては、例えば、フェニル-α-ナフチルアミン等のナフチルアミン系老化防止剤;オクチル化ジフェニルアミン、4,4′-ビス(α,α′-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等のジフェニルアミン系老化防止剤;N-イソプロピル-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N′-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン等のp-フェニレンジアミン系老化防止剤;2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物等のキノリン系老化防止剤;2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、スチレン化フェノール等のモノフェノール系老化防止剤;テトラキス-[メチレン-3-(3′,5′-ジ-t-ブチル-4′-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のビス、トリス、ポリフェノール系老化防止剤等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、老化防止剤としては、例えば、精工化学(株)、住友化学(株)、大内新興化学工業(株)、フレクシス社等の製品を使用できる。
(ホ)ステアリン酸
ゴム組成物は、ステアリン酸を含んでもよい。ステアリン酸の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、0.5質量部超、10.0質量部未満である。ステアリン酸としては、従来公知のものを使用でき、例えば、日油(株)、NOF社、花王(株)、富士フイルム和光純薬(株)、千葉脂肪酸(株)等の製品を使用できる。
(ヘ)酸化亜鉛
ゴム組成物は、酸化亜鉛を含んでもよい。酸化亜鉛の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、0.5質量部超、10質量部未満である。酸化亜鉛としては、従来公知のものを使用でき、例えば、三井金属鉱業(株)、東邦亜鉛(株)、ハクスイテック(株)、正同化学工業(株)、堺化学工業(株)等の製品を使用できる。
(ト)ワックス
ゴム組成物は、ワックスを含むことが好ましい。ワックスの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、0.5~20質量部、好ましくは1.0~15質量部、より好ましくは1.5~10質量部である。
ワックスとしては、特に限定されず、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス;植物系ワックス、動物系ワックス等の天然系ワックス;エチレン、プロピレン等の重合物等の合成ワックス等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、ワックスとしては、例えば、大内新興化学工業(株)、日本精蝋(株)、精工化学(株)等の製品を使用できる。
(チ)架橋剤および加硫促進剤
ゴム組成物は、硫黄等の架橋剤を含むことが好ましい。架橋剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、0.1質量部超、10.0質量部未満である。
硫黄としては、ゴム工業において一般的に用いられる粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄、可溶性硫黄などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、硫黄としては、例えば、鶴見化学工業(株)、軽井沢硫黄(株)、四国化成工業(株)、フレクシス社、日本乾溜工業(株)、細井化学工業(株)等の製品を使用できる。
硫黄以外の架橋剤としては、例えば、田岡化学工業(株)製のタッキロールV200、フレキシス社製のDURALINK HTS(1,6-ヘキサメチレン-ジチオ硫酸ナトリウム・二水和物)、ランクセス社製のKA9188(1,6-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン:ハイブリッド架橋剤)などの硫黄原子を含む加硫剤や、ジクミルパーオキサイド等の有機過酸化物等が挙げられる。
ゴム組成物は、加硫促進剤を含むことが好ましい。加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、0.3質量部超、10.0質量部未満である。
加硫促進剤としては、2-メルカプトベンゾチアゾール、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド等のチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)、テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT-N)等のチウラム系加硫促進剤;N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-t-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(リ)その他
ゴム組成物には、前記成分の他、タイヤ工業において一般的に用いられている添加剤、例えば、脂肪酸金属塩、カルボン酸金属塩、有機過酸化物等を更に配合してもよい。これらの添加剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、0.1質量部超、200質量部未満である。
(2)ゴム組成物の作製
トレッドゴムを構成するゴム組成物は、一般的な方法、例えば、ゴム成分とカーボンブラック等の充填剤とを混練するベース練り工程と、前記ベース練り工程で得られた混練物と架橋剤とを混練する仕上げ練り工程とを含む製造方法により作製される。
混練は、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、オープンロールなどの公知の(密閉式)混練機を用いて行うことができる。
ベース練り工程の混練温度は、例えば、50℃超、200℃未満であり、混練時間は、例えば、30秒超、30分未満である。ベース練り工程では、上記成分以外にも、従来ゴム工業で使用される配合剤、例えば、オイル等の軟化剤、ステアリン酸、酸化亜鉛、老化防止剤、ワックス、加硫促進剤などを必要に応じて適宜添加、混練してもよい。
仕上げ練り工程では、前記ベース練り工程で得られた混練物と架橋剤とが混練される。仕上げ練り工程の混練温度は、例えば、室温超、80℃未満であり、混練時間は、例えば、1分超、15分未満である。仕上げ練り工程では、上記成分以外にも、加硫促進剤、酸化亜鉛等を必要に応じて適宜添加、混練してもよい。
2.タイヤの製造
本実施の形態に係るタイヤは、前記仕上げ練り工程を経て得られた各未加硫ゴム組成物を用いて通常の方法で製造される。すなわち、各未加硫ゴム組成物を用いて、表面層および内層を含むトレッドゴムの形状にあわせて押出し加工し、他のタイヤ部材と共に、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、まず、未加硫タイヤを作製する。
具体的には、成形ドラム上に、タイヤの気密保持性を確保するための部材としてのインナーライナー、タイヤの受ける荷重、衝撃、充填空気圧に耐える部材としてのカーカス、カーカスを強く締付けトレッドの剛性を高める部材としてのベルト等を巻回し、両側縁部にカーカスの両端を固定すると共に、タイヤをリムに固定させるための部材としてのビード部を配置して、トロイド状に成形した後、外周の中央部にトレッドゴム、径方向外側にカーカスを保護して屈曲に耐える部材としてのサイド部(サイドウォ-ルおよびクリンチ部)を貼り合せることにより、未加硫タイヤを作製する。
その後、作製された未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することによりタイヤを得る。加硫工程は、公知の加硫手段を適用することで実施できる。加硫温度としては、例えば、120℃超、200℃未満であり、加硫時間は、例えば、5分超、15分未満である。
なお、本実施の形態に係るタイヤは、特に、乗用車用空気入りタイヤに適用することが好ましく、転がり抵抗の低減と耐偏摩耗性能の向上が両立された空気入りタイヤを提供するという本発明における課題の解決に対して、より好適に貢献することができる。
以下、実施例により、本発明についてさらに具体的に説明する。なお、以下では、トレッドゴムとして、表面層および内層の2層構造のトレッドゴムを用いた。
1.トレッド作製用ゴム組成物の製造
タイヤの製造に先立って、まず、表面層および内層作製用ゴム組成物、即ち、表面層作製用ゴム組成物として第1のゴム組成物、内層作製用ゴム組成物として第2のゴム組成物の製造を行った。
(1)配合材料
まず、以下に示す各配合材料を準備した。
(a)ゴム成分
(イ)NR:TSR20
(ロ)BR-1:宇部興産(株)製のUBEPOL-BR150B
(シス含量:97質量%)
(ハ)BR-2:日本ゼオン(株)製のNipol-BR1250H
(スズ末端変性BR、シス含量:40質量%)
(ニ)BR-3:宇部興産(株)製のUBEPOL VCR617
(シス含量:98質量%)
(ホ)SBR:Versalis社製のEuroprene SOL R C2525
(スチレン含量:26質量%、ビニル結合量:24質量%)
(b)ゴム成分以外の配合材料
(イ)カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN330T
(DOP吸油量:104ml/100g)
(ロ)シリカ:エボニック社製のウルトラシルVN3
(ハ)シランカップリング剤:デグサ社製のSi363
(ニ)樹脂成分-1:ヤスハラケミカル(株)製のテルペンスチレンレジンTO125
(芳香族変性テルペン樹脂)
(ホ)樹脂成分-2:住友ベークライト(株)製のPR12686
(カシューオイル変性フェノール樹脂)
(ヘ)硬化剤:田岡化学工業(株)製のスミカノール507
(ト)オイル:(株)ジャパンエナジー製のプロセスX-140
(チ)ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「椿」
(リ)酸化亜鉛:三井金属鉱業社製の亜鉛華1号
(ヌ)ワックス:大内新興化学(株)製のサンノックワックス
(ル)老化防止剤-1:大内新興化学工業(株)製のノクラック 6C
(N-フェニル-N'-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン)
(ヲ)老化防止剤-2:川口化学工業(株)製のアンテージRD
(2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン)
(ワ)架橋剤および加硫促進剤
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤-1:大内新興化学工業(株)製のノクセラー NS
(N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤-2:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ-G(CZ)
(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤-3:大内新興化学工業(株)製のノクセラー D(DPG)
(1,3-ジフェニルグアニジン)
(2)ゴム組成物の製造
第1のゴム組成物を表1に示す配合で、また、第2のゴム組成物を表2に示す配合で、バンバリーミキサーを用いて、硫黄および加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で5分間混練りして、混練物を得、その後、硫黄および加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、80℃の条件下で5分間練り込み、第1のゴム組成物および第2のゴム組成物を得た。なお、それぞれの配合量は質量部である。
Figure 2022089495000002
Figure 2022089495000003
2.タイヤの製造
上記で得られた第1のゴム組成物を表面層、第2のゴム組成物を内層として、表3および表4に示す組み合わせで、2層構造のトレッドゴムからなるトレッド部を作製し、他のタイヤ部材と共に貼り合わせて未加硫タイヤを形成し、170℃の条件下で10分間プレス加硫して、サイズが175/55R20タイプの各試験用タイヤ(実施例1~実施例7および比較例1~比較例6)を製造した。
なお、各試験用タイヤの製造に際しては、サイドウォール部の外側部が、トレッド部のタイヤ幅方向端部の外側に重ね合わされていると共に、トレッド部の内層の幅方向端部が、トレッド部の表面層とサイドウォールの界面の一部に侵入するように、トレッド部およびサイドウォール部を配置した。
そして、各試験用タイヤには、トレッド部の半径方向内側にベルト補強層を配置した。具体的には、トレッド部の中央領域において、ベルト補強層の外周面から周方向陸部の表面までの高さHtが8.5mm、周方向陸部の幅方向中心位置におけるベルト補強層の外周面からトレッド部の最表面ゴムと界面に侵入したゴムとの境界までの高さhが3mmとなるように、表面層および内層のゲージを調整した。
そして、各試験用タイヤでは、周方向溝を3本設けた。この際、ベルト補強層の外周面から主溝の底面までの高さHgが1.5mmとなるように溝深さを調整した。また、試験用タイヤそれぞれについて溝幅を変えることで中央領域における溝面積比率CRおよび中央領域を除いた領域における溝面積比率SRを調整した。また、溝の中心位置および深さを同じにした。また、周方向溝によって区画化されたセンター陸部およびショルダー陸部の隣り合う陸部で、タイヤ周方向に対する向きが逆となるように、サイプを形成した。
また、トレッド部の接地幅内の全面積に対する全溝面積の割合は、30%とした。
3.パラメータの算出
その後、各試験用タイヤのトレッド部の表面層および内層から、タイヤ周方向が長辺となるように、長さ20mm×幅4mm×厚さ2mmで切り出して粘弾性測定用ゴム試験片を作製し、各ゴム試験片について、GABO社製のイプレクサーシリーズを用いて、温度30℃、周波数10Hz、初期歪5%、動歪1%の条件下、変形モード:伸張で表面層および内層の複素弾性率E* (MPa)およびE* (MPa)を測定し、(E* /E* )を求めると共に、変形モード:引張で内層の損失正接tanδを測定した。
そして、上記した|CR-SR|、E* ×|CR-SR|、tanδ×|CR-SR|を算出した。結果を、表3および表4に示す。
4.性能評価試験
(1)転がり抵抗の評価
各試験用タイヤを車両(国産のFF車、排気量2000cc)の全輪に装着させて、内圧が250kPaとなるように空気を充填した後、乾燥路面のテストコース上を、80km/hの速度で10km周回した後、アクセルを離し、アクセルをオフにしてから車両が止まるまでの距離を、転がり抵抗として計測した。
次いで、比較例5における結果を100として、下式に基づいて指数化し、転がり抵抗を相対的に評価した。数値が大きいほど、アクセルオフにしたタイミングから車両が止まるまでの距離が長く、定常状態での転がり抵抗が小さく、低燃費性に優れていることを示す。
転がり抵抗=[(試験用タイヤの計測結果)/(比較例5の計測結果)]×100
(2)耐偏摩耗性能の評価
各試験用タイヤを車輌(国産のFF車、排気量2000cc)の全輪に装着させて、内圧が250kPaとなるように空気を充填した後、乾燥路面のテストコース上を、10000km走行し、走行後のトレッドセンター部およびショルダー部における摩耗量を求め、両者の比を算出した。比の値が1に近いほど、偏摩耗の発生が少ないことを示す。
次いで、比較例5における算出結果を100として、下式に基づいて指数化し、耐偏摩耗性能を相対的に評価した。数値が大きいほど、偏摩耗が発生しておらず、耐偏摩耗性能性が優れていることを示す。
耐偏摩耗性=[(比較例5の算出結果)/(試験用タイヤの算出結果)]×100
(3)総合評価
上記(1)、(2)の評価結果を合計して総合評価とした。
(4)評価結果
各評価の結果を、表3および表4に示す。
Figure 2022089495000004
Figure 2022089495000005
表3および表4より、サイドウォール部の外側部が、トレッド部のタイヤ幅方向端部の外側に重ね合わされていると共に、内層の幅方向端部が表面層とサイドウォールの界面の一部に侵入しており、(E* /E* )<1.0(式1)および|CR-SR|≦15(式2)を満足することにより、転がり抵抗の低減と耐偏摩耗性能の向上を両立させた空気入りタイヤを提供できることが分かる。
そして、上記した(式3)~(式7)を満足する場合や、適切にベルト補強層が設けられた場合などには、転がり抵抗の低減と耐偏摩耗性能のさらなる向上を図れることが分かる。
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、上記の実施の形態に対して種々の変更を加えることができる。

Claims (9)

  1. タイヤ赤道線を中心として接地面の接地幅の50%の幅を有する中央領域において表面層および内層を含む少なくとも2層以上のゴム層を備えたトレッド部と、外表面を形成するサイドウォールゴムを有するサイドウォール部とを備えた空気入りタイヤであって、
    前記トレッド部は、周方向に連通した周方向溝を有し、周方向溝および接地端部によって区切られた複数の陸部を備えており、
    前記トレッド部と前記サイドウォール部とは、前記サイドウォール部の外側部が、前記トレッド部のタイヤ幅方向端部の外側に重ね合わされていると共に、
    前記トレッド部の内層の幅方向端部が、前記トレッド部の表面層と前記サイドウォール部との界面の一部に侵入しており、
    前記トレッド部の表面層の30℃における複素弾性率をE* (MPa)、前記トレッド部の内層の30℃における複素弾性率をE* (MPa)としたとき、下記(式1)を満足し、
    さらに、前記中央領域における溝面積比率をCR(%)、接地面から前記中央領域を除いた領域での溝面積比率をSR(%)としたとき、下記(式2)を満足することを特徴とする空気入りタイヤ。
    (E* /E* )<1.0・・・・・(式1)
    |CR-SR|≦15・・・・・(式2)
  2. 下記(式3)を満足することを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
    (E* /E* )<0.9・・・・・(式3)
  3. 下記(式4)を満足することを特徴とする請求項2に記載の空気入りタイヤ。
    (E* /E* )<0.8・・・・・(式4)
  4. 下記(式5)を満足することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
    * ×|CR-SR|≦100・・・・・(式5)
  5. 下記(式6)を満足することを特徴とする請求項4に記載の空気入りタイヤ。
    * ×|CR-SR|≦75・・・・・(式6)
  6. 前記トレッド部の内層の30℃における損失正接をtanδとしたとき、下記(式7)を満足することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
    tanδ×|CR-SR|≦3.75・・・・・(式7)
  7. 前記トレッド部の半径方向内側にベルト補強層を備え、
    前記トレッド部の前記中央領域において、
    前記ベルト補強層の外周面から前記周方向陸部の表面までの高さHt(mm)が、30mm以下であると共に、前記ベルト補強層の外周面から主溝の底面までの高さHg(mm)が5mm以下であり、
    さらに、前記周方向陸部の幅方向中心位置における前記ベルト補強層の外周面から、前記トレッド部の表面層と内層の界面までの高さh(mm)が、0.5mm以上であると共に、h>Hgであることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  8. 前記トレッド部に設けられた2本以上の周方向主溝によって区画化されたセンター陸部およびショルダー陸部にサイプが形成されており、
    隣り合う陸部でサイプのタイヤ周方向に対する向きが逆であることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  9. 前記トレッド部の接地幅内の全面積に対する全溝面積の割合が、20~40%であることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
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