JPWO2019117093A1 - ゴム組成物及びタイヤ - Google Patents

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Abstract

タイヤの低ロス性と、ウェット性能と、ドライハンドリング性とを高度にバランスさせることが可能なゴム組成物を提供する。ゴム組成物は、ゴム成分(A)と、スチレン・アルキレンブロック共重合体(B)と、カーボンブラック及びシリカから選択される充填剤(C)とを含み、前記スチレン・アルキレンブロック共重合体(B)は、スチレン単位の総含有量が30質量%以上であり、前記充填剤(C)は、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)吸着比表面積が110m2/g以下である、ことを特徴とする。

Description

本発明は、ゴム組成物及びタイヤに関する。
近年、環境問題への関心の高まりに伴う世界的な二酸化炭素排出規制の動きに関連して、自動車の低燃費化に対する要求が強まりつつある。このような要求に対応するため、タイヤ性能についても転がり抵抗の低減が求められている。これに対して、従来、タイヤの転がり抵抗を低減させる手法として、損失正接(tanδ)が低い(以下、「低ロス性に優れる」という。)ゴム組成物をタイヤに適用することが、一般的に行われている。
また、車両の安全性を向上させる見地から、湿潤路面での制動性能(以下、「ウェット性能」という。)を確保することも重要であり、タイヤの燃費性能を向上させると共にウェット性能を向上させることも求められている。これに対して、従来、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)と、シリカとを配合したゴム組成物を使用することで、ウェット性能と低ロス性とを両立したタイヤが主流であったが、近年、ゴム成分として主として天然ゴム(NR)を使用し、熱可塑性樹脂や軟化剤を従来よりも多量に配合したゴム組成物をタイヤに使用することで、ウェット性能と低ロス性とを更に向上させたタイヤが提案されている(下記特許文献1及び2)。
国際公開第2015/079703号 国際公開第2017/077712号
しかしながら、本発明者が検討したところ、ゴム成分として主として天然ゴムを使用し、熱可塑性樹脂や軟化剤を従来よりも多量に配合したゴム組成物をタイヤのトレッドゴムに使用すると、トレッドゴムの弾性率が低下してしまい、タイヤの乾燥路面での操縦安定性(以下、「ドライハンドリング性」という。)に改善の余地があることが分かった。
そこで、本発明は、上記従来技術の問題を解決し、タイヤの低ロス性と、ウェット性能と、ドライハンドリング性とを高度にバランスさせることが可能なゴム組成物を提供することを課題とする。
また、本発明は、低ロス性と、ウェット性能と、ドライハンドリング性とが高度にバランスしたタイヤを提供することを更なる課題とする。
本発明のゴム組成物は、ゴム成分(A)と、スチレン・アルキレンブロック共重合体(B)と、カーボンブラック及びシリカから選択される充填剤(C)とを含み、
前記スチレン・アルキレンブロック共重合体(B)は、スチレン単位の総含有量が30質量%以上であり、
前記充填剤(C)は、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)吸着比表面積が110m2/g以下である、ことを特徴とする。
本発明のタイヤは、上記のゴム組成物をトレッドゴムに用いたことを特徴とする。
本発明によれば、タイヤの低ロス性と、ウェット性能と、ドライハンドリング性とを高度にバランスさせることが可能なゴム組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、低ロス性と、ウェット性能と、ドライハンドリング性とが高度にバランスしたタイヤを提供することができる。
以下に、本発明のゴム組成物及びタイヤを、その実施形態に基づき、詳細に例示説明する。
<ゴム組成物>
本発明のゴム組成物は、ゴム成分(A)と、スチレン・アルキレンブロック共重合体(B)と、カーボンブラック及びシリカから選択される充填剤(C)と、を含み、上記スチレン・アルキレンブロック共重合体(B)は、スチレン単位の総含有量が30質量%以上であり、上記充填剤(C)は、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)吸着比表面積が110m2/g以下である、ことを特徴とする。また、本発明のゴム組成物は、必要に応じ、カーボンブラック及びシリカ以外の充填剤、シランカップリング剤、樹脂(D)、その他の成分を含むことができる。
一般に、比較的粒径の大きいシリカやカーボンブラックをゴム成分に配合した場合には、低ロス性を向上させ得る一方で、補強性を悪化させる傾向にある。しかしながら、本発明者らは、鋭意検討の結果、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)吸着比表面積が110m2/g以下である充填剤(C)とともに、所定量以上のスチレン単位を含有するスチレン・アルキレンブロック共重合体(B)を併用することにより、上記悪化を抑制して、タイヤの低ロス性、ドライハンドリング性及びウェット性能を高いレベルで並立させることができることを見出した。なお、該効果は、理論に拘束されることを望むものではないが、スチレン・アルキレンブロック共重合体(B)中のスチレンブロックがゴム組成物の加硫物において充填剤のような働きをする一方、ポリスチレンブロック間にアルキレンブロックが存在し、ポリスチレンブロック同士の擦れあいが低減されることが一因であるものと推測される。
そのため、本発明のゴム組成物によれば、タイヤのトレッドゴムに適用することで、タイヤの低ロス性と、ウェット性能と、ドライハンドリング性とを高度にバランスさせることができる。
(ゴム成分(A))
上記ゴム成分(A)としては、特に限定されず、種々のゴムを用いることができる。該ゴム成分(A)としては、例えば、天然ゴム(NR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、イソプレンゴム(IR)等のジエン系ゴムが挙げられる。該ゴム成分(A)は、未変性でも、変性されていてもよい。ゴム成分(A)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のゴム組成物は、上記ゴム成分(A)として、天然ゴム(A1)を含むことが好ましい。ゴム組成物が天然ゴム(A1)を含むことにより、タイヤの低ロス性を更に向上させることができる。
上記ゴム成分(A)中における天然ゴム(A1)の含有率は、40質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、70質量%以上が更に好ましい。ゴム成分(A)中における天然ゴム(A1)の含有率が40質量%以上であれば、タイヤの低ロス性を更に向上させることができる。また、ゴム成分(A)中における天然ゴム(A1)の含有率は、100質量%以下が好ましく、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましい。
本発明のゴム組成物は、上記ゴム成分(A)として、ガラス転移温度(Tg)が−50℃を超えるゴム(以下、「高Tgゴム」と略記することがある。)を含むことが好ましい。なお、該高Tgゴムは、ガラス転移温度(Tg)が−45℃以上−15℃以下であることがより好ましい。高Tgゴムを含むことで、タイヤの低ロス性を更に向上させることができる。
なお、本明細書において、ガラス転移温度は、ISO 22768:2006に準拠して、所定の温度範囲で昇温しながらDSC曲線を記録し、DSC微分曲線のピークトップ(Inflection point)とする。
上記ゴム成分(A)中の、上記高Tgゴムの含有率は、20〜50質量%が好ましく、25〜40質量%がより好ましい。ゴム成分(A)中の高Tgゴムの含有率が20質量%以上の場合、タイヤに適用した際に、タイヤのウェット性能を更に向上させることができる。また、ゴム成分(A)中の高Tgゴムの含有率が50質量%以下の場合、ゴム組成物の加工性が向上する。
上記高Tgゴムとしては、以下の変性共役ジエン系重合体(A2)が好ましい。
この変性共役ジエン系重合体(A2)は、重量平均分子量が20×104以上300×104以下であって、該変性共役ジエン系重合体(A2)の総量に対して、分子量が200×104以上500×104以下である変性共役ジエン系重合体を、0.25質量%以上30質量%以下含み、収縮因子(g’)が0.64未満である。ゴム組成物が該変性共役ジエン系重合体(A2)を含むことにより、タイヤの低ロス性を更に向上させることができる。
一般に、分岐を有する重合体は、同一の絶対分子量である直鎖状の重合体と比較した場合に、分子の大きさが小さくなる傾向にあり、上記収縮因子(g’)は、想定上同一の絶対分子量である直鎖状重合体に対する、分子の占める大きさの比率の指標である。即ち、重合体の分岐度が大きくなれば、収縮因子(g’)は小さくなる傾向にある。本実施形態では、分子の大きさの指標として固有粘度を用い、直鎖状の重合体は、固有粘度[η]=−3.883M0.771の関係式に従うものとして用いる。変性共役ジエン系重合体の各絶対分子量のときの収縮因子(g’)を算出し、絶対分子量が100×104〜200×104のときの収縮因子(g’)の平均値を、その変性共役ジエン系重合体の収縮因子(g’)とする。ここで、「分岐」とは、1つの重合体に対して、他の重合体が直接的又は間接的に結合することにより形成されるものである。また、「分岐度」は、1の分岐に対して、直接的又は間接的に互いに結合している重合体の数である。例えば、後述するカップリング残基を介して間接的に、後述の5つの共役ジエン系重合体鎖が互いに結合している場合には、分岐度は5である。なお、カップリング残基とは、共役ジエン系重合体鎖に結合される、変性共役ジエン系重合体の構成単位であり、例えば、後述する共役ジエン系重合体とカップリング剤とを反応させることによって生じる、カップリング剤由来の構造単位である。また、共役ジエン系重合体鎖は、変性共役ジエン系重合体の構成単位であり、例えば、後述する共役ジエン系重合体とカップリング剤とを反応させることによって生じる、共役ジエン系重合体由来の構造単位である。
上記収縮因子(g’)は、0.64未満であり、好ましくは0.63以下であり、より好ましくは0.60以下であり、更に好ましくは0.59以下であり、より一層好ましくは0.57以下である。また、収縮因子(g’)の下限は特に限定されず、検出限界値以下であってもよいが、好ましくは0.30以上であり、より好ましくは0.33以上であり、更に好ましくは0.35以上であり、より一層好ましくは0.45以上である。収縮因子(g’)がこの範囲である変性共役ジエン系重合体(A2)を使用することで、ゴム組成物の加工性が向上する。
なお、収縮因子(g’)は、分岐度に依存する傾向にあるため、例えば、分岐度を指標として収縮因子(g’)を制御することができる。具体的には、分岐度が6である変性共役ジエン系重合体とした場合には、その収縮因子(g’)は0.59以上0.63以下となる傾向にあり、分岐度が8である変性共役ジエン系重合体とした場合には、その収縮因子(g’)は0.45以上0.59以下となる傾向にある。
上記変性共役ジエン系重合体(A2)は、分岐を有し、分岐度が5以上であることが好ましい。また、変性共役ジエン系重合体(A2)は、1以上のカップリング残基と、該カップリング残基に対して結合する共役ジエン系重合体鎖とを有し、更に、上記分岐が、1の当該カップリング残基に対して5以上の当該共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むことがより好ましい。分岐度が5以上であること、及び、分岐が、1のカップリング残基に対して5以上の共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むよう、変性共役ジエン系重合体の構造を特定することにより、より確実に収縮因子(g’)を0.64未満にすることができる。なお、1のカップリング残基に対して結合している共役ジエン系重合体鎖の数は、収縮因子(g’)の値から確認することができる。
上記変性共役ジエン系重合体(A2)の重量平均分子量(Mw)は、20×104以上300×104以下であり、好ましくは50×104以上であり、より好ましくは64×104以上であり、更に好ましくは80×104以上である。また、上記重量平均分子量は、好ましくは250×104以下であり、より好ましくは180×104以下であり、更に好ましくは150×104以下である。重量平均分子量が20×104以上であれば、タイヤの低ロス性とウェット性能とをより高度に両立することができる。また、重量平均分子量が300×104以下であれば、ゴム組成物の加工性が向上する。
上記変性共役ジエン系重合体(A2)は、該変性共役ジエン系重合体の総量(100質量%)に対して、分子量が200×104以上500×104以下である変性共役ジエン系重合体(以下、「特定の高分子量成分」ともいう。)を、0.25質量%以上30質量%以下含む。該特定の高分子量成分の含有量が0.25質量%以上30質量%以下であれば、タイヤの低ロス性とウェット性能とをより高度に両立することができる。
上記変性共役ジエン系重合体(A2)は、特定の高分子量成分を、好ましくは1.0質量%以上含み、より好ましくは1.4質量%以上含み、更に好ましくは1.75質量%以上含み、より一層好ましくは2.0質量%以上含み、特に好ましくは2.15質量%以上含み、最も好ましくは2.5質量%以上含む。また、変性共役ジエン系重合体(A2)は、特定の高分子量成分を、好ましくは28質量%以下含み、より好ましくは25質量%以下含み、更に好ましくは20質量%以下含み、より一層好ましくは18質量%以下含む。
なお、本明細書において「分子量」とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によって得られる、標準ポリスチレン換算分子量である。特定の高分子量成分の含有量がこのような範囲にある変性共役ジエン系重合体(A2)を得るためには、重合工程と反応工程とにおける反応条件を制御することが好ましい。例えば、重合工程においては、後述する有機モノリチウム化合物の重合開始剤としての使用量を調整すればよい。また、重合工程において、連続式、及び回分式のいずれの重合様式においても、滞留時間分布を有する方法を用いる、すなわち、成長反応の時間分布を広げるとよい。
上記変性共役ジエン系重合体(A2)においては、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比で表される分子量分布(Mw/Mn)が、1.6以上3.0以下が好ましい。変性共役ジエン系重合体(A2)の分子量分布がこの範囲であれば、ゴム組成物の加工性が良好となる。
上記変性共役ジエン系重合体(A2)は、下記一般式(I)で表されることが好ましい。この場合、タイヤに適用することで、タイヤのドライハンドリング性をより向上させることができる。
Figure 2019117093
上記一般式(I)中、Dは、共役ジエン系重合体鎖を示し、R1、R2及びR3は、それぞれ独立して単結合又は炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R4及びR7は、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキル基を示し、R5、R8、及びR9は、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示し、R6及びR10は、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R11は、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示し、m及びxは、それぞれ独立して1〜3の整数を示し、x≦mであり、pは、1又は2を示し、yは、1〜3の整数を示し、y≦(p+1)であり、zは、1又は2の整数を示し、それぞれ複数存在する場合のD、R1〜R11、m、p、x、y、及びzは、それぞれ独立しており、iは、0〜6の整数を示し、jは、0〜6の整数を示し、kは、0〜6の整数を示し、(i+j+k)は、3〜10の整数であり、((x×i)+(y×j)+(z×k))は、5〜30の整数であり、Aは、炭素数1〜20の、炭化水素基、又は、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を有し、かつ、活性水素を有しない有機基を示す。
ここで、上記一般式(I)において、Aは、下記一般式(II)〜(IV)のいずれかで表されるものであることが好ましい。この場合、タイヤに適用することで、タイヤの低ロス性と、ウェット性能と、ドライハンドリング性とをより高度にバランスさせることができる。
Figure 2019117093
上記一般式(II)中、B1は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、aは、1〜10の整数を示し、複数存在する場合のB1は、各々独立している。
上記一般式(III)中、B2は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、B3は、炭素数1〜20のアルキル基を示し、aは、1〜10の整数を示し、それぞれ複数存在する場合のB2及びB3は、各々独立している。
上記一般式(IV)中、B4は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、aは、1〜10の整数を示し、複数存在する場合のB4は、各々独立している。
上記一般式(V)中、B5は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、aは、1〜10の整数を示し、複数存在する場合のB5は、各々独立している。
なお、上記一般式(II)〜(V)中のB1、B2、B4、B5に関して、炭素数1〜20の炭化水素基としては、炭素数1〜20のアルキレン基等が挙げられる。
上記変性共役ジエン系重合体(A2)の製造方法は、特に限定されるものではないが、有機モノリチウム化合物を重合開始剤として用い、少なくとも共役ジエン化合物を重合し、共役ジエン系重合体を得る重合工程と、該共役ジエン系重合体の活性末端に対して、5官能以上の反応性化合物(以下、「カップリング剤」ともいう。)を反応させる反応工程と、を有することが好ましい。カップリング剤としては、窒素原子とケイ素原子とを有する5官能以上の反応性化合物を反応させるのが好ましい。
上記変性共役ジエン系重合体(A2)は、共役ジエン系重合体を、下記一般式(VI)で表されるカップリング剤と反応させてなることが好ましい。この場合、タイヤに適用することで、タイヤのドライハンドリング性を更に向上させることができる。
Figure 2019117093
上記一般式(VI)中、R12、R13及びR14は、それぞれ独立して単結合又は炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R15、R16、R17、R18及びR20は、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキル基を示し、R19及びR22は、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R21は、炭素数1〜20の、アルキル基又はトリアルキルシリル基を示し、mは、1〜3の整数を示し、pは、1又は2を示し、R12〜R22、m及びpは、複数存在する場合、それぞれ独立しており、i、j及びkは、それぞれ独立して0〜6の整数を示し、但し、(i+j+k)は、3〜10の整数であり、Aは、炭素数1〜20の、炭化水素基、又は、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子からなる群から選択される少なくとも1種の原子を有し、活性水素を有しない有機基を示す。
なお、上記一般式(VI)で表されるカップリング剤と、共役ジエン系重合体とを反応させてなる変性共役ジエン系重合体は、例えば、上記一般式(I)で表される。
上記一般式(VI)において、Aは、好ましくは上記一般式(II)〜(V)のいずれかで表される。Aが一般式(II)〜(V)のいずれかで表されるものであることにより、より優れた性能を有する変性共役ジエン系重合体(A2)を得ることができる。
上記一般式(VI)で表されるカップリング剤としては、例えば、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]アミン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、テトラキス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−メチル−1,3−プロパンジアミン、ビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリスメトキシシリルプロピル)−メチル−1,3−プロパンジアミン等が挙げられ、これらの中でも、テトラキス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンが特に好ましい。
上記カップリング剤としての一般式(VI)で表される化合物の添加量は、共役ジエン系重合体のモル数対カップリング剤のモル数が、所望の化学量論的比率で反応させるよう調整することができ、そのことにより所望の分岐度が達成される傾向にある。具体的な重合開始剤のモル数は、カップリング剤のモル数に対して、好ましくは5.0倍モル以上、より好ましくは6.0倍モル以上であることが好ましい。この場合、一般式(VI)において、カップリング剤の官能基数((m−1)×i+p×j+k)は、5〜10の整数であることが好ましく、6〜10の整数であることがより好ましい。
上記共役ジエン系重合体は、少なくとも共役ジエン化合物を重合して得られ、必要に応じて共役ジエン化合物とビニル置換芳香族化合物との両方を共重合して得られる。
上記共役ジエン化合物としては、炭素数4〜12の共役ジエン化合物が好ましく、より好ましくは炭素数4〜8の共役ジエン化合物である。このような共役ジエン化合物としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、及び1,3−ヘプタジエンが挙げられる。これらの中でも、工業的入手の容易さの観点から、1,3−ブタジエン、及びイソプレンが好ましい。これら共役ジエン化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、上記ビニル置換芳香族化合物としては、モノビニル芳香族化合物が好ましい。該モノビニル芳香族化合物としては、例えば、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルエチルベンゼン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン、及びジフェニルエチレンが挙げられる。これらの中でも、工業的入手の容易さの観点から、スチレンが好ましい。これらビニル置換芳香族化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記有機モノリチウム化合物は、工業的入手の容易さ及び重合反応のコントロールの容易さの観点から、好ましくは、アルキルリチウム化合物である。この場合、重合開始末端にアルキル基を有する、共役ジエン系重合体が得られる。アルキルリチウム化合物としては、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−ヘキシルリチウムが挙げられる。また、アルキルリチウム化合物以外の有機モノリチウム化合物としては、ベンジルリチウム、フェニルリチウム、及びスチルベンリチウムが挙げられる。なお、アルキルリチウム化合物としては、工業的入手の容易さ及び重合反応のコントロールの容易さの観点から、n−ブチルリチウム、及びsec−ブチルリチウムが好ましい。これらの有機モノリチウム化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記共役ジエン系重合体又は変性共役ジエン系重合体(A2)中の結合共役ジエン量は、特に限定されないが、40質量%以上100質量%以下であることが好ましく、55質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
また、上記共役ジエン系重合体又は変性共役ジエン系重合体(A2)中の結合芳香族ビニル量は、特に限定されないが、0質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、25質量%以上であることが更に好ましく、30質量%以上であることが一層好ましく、35質量%以上であることがより一層好ましく、37質量%以上であることが更に一層好ましく、39質量%以上であることが特に好ましく、40質量%以上であることが最も好ましく、また、60質量%以下であることが好ましく、45質量%以下であることがより好ましく、44質量%以下であることが更に好ましい。
上記結合共役ジエン量及び結合芳香族ビニル量が上記範囲であると、ゴム組成物をタイヤに適用した際に、低ロス性と、ウェット性能と、ドライハンドリング性とを、更に高度にバランスすることが可能となる。
なお、結合芳香族ビニル量は、フェニル基の紫外吸光によって測定でき、ここから結合共役ジエン量も求めることができる。
上記共役ジエン系重合体又は変性共役ジエン系重合体(A2)において、共役ジエン結合単位中のビニル結合量は、特に限定されないが、10モル%以上75モル%以下であることが好ましい。ビニル結合量が上記範囲であると、ゴム組成物をタイヤに適用した際に、低ロス性と、ウェット性能と、ドライハンドリング性とを、更に高度にバランスすることが可能となる。同様の観点から、共役ジエン結合単位中のビニル結合量は、20モル%以上であることがより好ましく、25モル%以上であることが更に好ましく、30モル%以上であることが一層好ましく、35モル%以上であることがより一層好ましく、37モル%以上であることが更に一層好ましく、39モル%以上であることが特に好ましく、40モル%以上であることが最も好ましく、また、65モル%以下であることがより好ましく、60モル%以下であることが更に好ましく、55モル%以下であることが一層好ましく、53モル%以下であることがより一層好ましく、50モル%以下であることが更に一層好ましい。
なお、変性共役ジエン系重合体(A2)がブタジエンとスチレンとの共重合体である場合には、ハンプトンの方法[R.R.Hampton,Analytical Chemistry,21,923(1949)]により、ブタジエン結合単位中のビニル結合量(1,2−結合量)を求めることができる。
上記特定の高分子成分を有する変性共役ジエン系重合体(A2)を得るためには、共役ジエン系重合体の分子量分布(Mw/Mn)を、好ましくは1.5以上2.5以下、より好ましくは1.8以上2.2以下とするとよい。また、得られる変性共役ジエン系重合体(A2)は、GPCによる分子量曲線が一山のピークが検出されるものであることが好ましい。また、変性共役ジエン系重合体(A2)のGPCによるピーク分子量(Mp1)は、30×104以上150×104以下が好ましく、共役ジエン系重合体のピーク分子量(Mp2)は、20×104以上80×104以下が好ましい。また、以下の式が成り立つことが好ましい。
(Mp1/Mp2)<1.8×10−12×(Mp2−120×1042+2
Mp2は、20×104以上80×104以下、Mp1は30×104以上150×104以下がより好ましい。
(スチレン・アルキレンブロック共重合体(B))
本発明のゴム組成物は、スチレン単位の総含有量が30質量%以上であるスチレン・アルキレンブロック共重合体(B)を含む。該スチレン・アルキレンブロック共重合体(B)は、スチレン系モノマー由来のブロックと、アルキレンブロックとを有する共重合体であり、本発明においては、上述のゴム成分(A)と区別する。ここで、スチレン・アルキレンブロック共重合体(B)のスチレン単位の総含有量とは、当該スチレン・アルキレンブロック共重合体(B)の総質量に対する、スチレン系モノマー由来のブロックの合計含有量である。スチレン・アルキレンブロック共重合体(B)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、スチレン・アルキレンブロック共重合体(B)における、スチレン単位の総含有量が30質量%未満では、ゴム組成物をタイヤに適用した際に、タイヤの弾性率が十分に向上せず、少なくともタイヤのドライハンドリング性を十分に向上させることができない。
本発明のゴム組成物において、上記スチレン・アルキレンブロック共重合体(B)は、スチレン単位の総含有量が50質量%以上であることが好ましい。スチレン・アルキレンブロック共重合体(B)における、スチレン単位の総含有量が50質量%以上の場合、タイヤのドライハンドリング性を更に向上させることができる。
また、上記スチレン・アルキレンブロック共重合体(B)は、特に限定されるものではないが、スチレン単位の総含有量が60質量%以下であることが好ましい。
なお、本発明において、スチレン・アルキレンブロック共重合体(B)のスチレン単位の(総)含有量と、後述するアルキレン単位の(総)含有量は、1H−NMRの積分比により求める。
本発明のゴム組成物において、上記スチレン・アルキレンブロック共重合体(B)は、ガラス転移温度(Tg)が−30℃以下であることが好ましい。スチレン・アルキレンブロック共重合体(B)のガラス転移温度(Tg)が−30℃以下の場合、タイヤの低ロス性を更に向上させることができる。
上記スチレン・アルキレンブロック共重合体(B)のスチレンブロックは、スチレン系モノマーに由来する(スチレン系モノマーを重合した)単位を有する。このようなスチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。これらの中でも、スチレン系モノマーとしては、スチレンが好ましい。
上記スチレン・アルキレンブロック共重合体(B)のアルキレンブロックは、アルキレン(二価の飽和炭化水素基)単位を有する。このようなアルキレン単位としては、例えば、炭素数1〜20のアルキレン基が挙げられる。アルキレン単位は、直鎖構造でもよいし、分岐構造でもよいし、これらの組み合わせでもよい。直鎖構造のアルキレン単位としては、例えば、−(CH2−CH2)−単位(エチレン単位)、−(CH2−CH2−CH2−CH2)−単位(ブチレン単位)などが挙げられる。分岐構造のアルキレン単位としては、例えば、−[CH2−CH(C25)]−単位(ブチレン単位)、−[CH2−CH(CH3)]−単位(プロピレン単位)などが挙げられる。これらのうち、アルキレン単位としては、−[CH2−CH(C25)]−単位を有することが好ましい。
上記スチレン・アルキレンブロック共重合体(B)におけるアルキレン単位の含有量は、適宜調節すればよいが、例えば、スチレン・アルキレンブロック共重合体(B)の総質量に対して、40〜70質量%であることが好ましい。また、本発明のゴム組成物においては、上記スチレン・アルキレンブロック共重合体(B)のアルキレンブロックが−[CH2−CH(C25)]−単位(ブチレン単位)と、−(CH2−CH2)−単位(エチレン単位)とを有し、前記ブチレン単位の含有量が、前記ブチレン単位及び前記エチレン単位の総質量に対して50質量%以上であることが好ましい。上記含有量が50質量%以上の場合、タイヤのドライハンドリング性をより高めつつ、低ロス性及びウェット性能を更に向上させることができる。同様の観点から、スチレン・アルキレンブロック共重合体(B)における、前記ブチレン単位及び前記エチレン単位の総質量に対する前記ブチレン単位の含有量は、55質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることが更に好ましく、65質量%以上であることが一層好ましい。また、スチレン・アルキレンブロック共重合体(B)における、前記ブチレン単位及び前記エチレン単位の総質量に対する前記ブチレン単位の含有量は、90質量%以下であることが好ましく、85質量%以下であることがより好ましく、80質量%以下であることが更に好ましい。
上記スチレン・アルキレンブロック共重合体(B)としては、スチレン・エチレンブチレン・スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン・エチレンプロピレン・スチレンブロック共重合体(SEPS)等が挙げられ、これらの中でも、スチレン・エチレンブチレン・スチレンブロック共重合体が好ましい。スチレン・アルキレンブロック共重合体(B)がスチレン・エチレンブチレン・スチレンブロック共重合体の場合、タイヤのドライハンドリング性を更に向上させることができる。
なお、上記スチレン・エチレンブチレン・スチレンブロック共重合体のエチレンブチレンブロックは、上述したエチレン単位とブチレン単位を有するブロックである。
また、上記スチレン・アルキレンブロック共重合体(B)は、上記スチレンブロックとアルキレンブロック以外のその他の構成単位を含んでいてもよい。このようなその他の構成単位としては、例えば、−[CH2−CH(CH=CH2)]−単位などの不飽和結合を有する構成単位などが挙げられる。
上記スチレン・アルキレンブロック共重合体(B)の合成方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、スチレン等のスチレン系モノマーと、1,3−ブタジエン等の共役ジエン化合物又はブテン等のオレフィンと、を共重合させ、前駆共重合体を得て、この前駆共重合体を水素添加することによって、スチレン・アルキレンブロック共重合体(B)を得ることができる。より具体的には、スチレン・エチレンブチレン・スチレンブロック共重合体(SEBS)は、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)の水素添加によって得られ、スチレン・エチレンプロピレン・スチレンブロック共重合体(SEPS)は、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SBS)の水素添加によって得られる。
また、上記スチレン・アルキレンブロック共重合体(B)としては、市販品を用いてもよい。このような市販品としては、例えば、JSR社のJSR DYNARON(登録商標)8903P、9901P等が挙げられる。
本発明のゴム組成物におけるスチレン・アルキレンブロック共重合体(B)の配合量は、特に限定されず、適宜調節すればよい。例えば、スチレン・アルキレンブロック共重合体(B)の配合量は、上記ゴム成分(A)100質量部に対して、5〜30質量部の範囲が好ましい。スチレン・アルキレンブロック共重合体(B)の配合量が、ゴム成分(A)100質量部に対して、5質量部以上であれば、ゴム組成物を適用したタイヤの弾性率を更に向上させ、タイヤのドライハンドリング性を更に向上させることができ、また、30質量部以下であれば、タイヤの低ロス性を更に向上させることができる。同様の観点から、スチレン・アルキレンブロック共重合体(B)の配合量は、上記ゴム成分(A)100質量部に対して、10質量部以上がより好ましく、また、25質量部以下がより好ましい。
(充填剤(C))
本発明のゴム組成物は、カーボンブラック及びシリカから選択され、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)吸着比表面積が110m2/g以下である充填剤(C)を含む。ゴム組成物が充填剤(C)を含むことにより、ゴム組成物の低ロス性を向上させることができる。充填剤(C)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、充填剤(C)としては、カーボンブラック及びシリカの両方を用いてもよい。
上記シリカとしては、例えば、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられ、これらの中でも、湿式シリカが好ましい。これらシリカは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上記カーボンブラックとしては、特に限定されず、例えば、IISAF、N339、HAF、FEF、GPF、SRFグレードなどのカーボンブラックが挙げられる。これらカーボンブラックは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のゴム組成物は、充填剤(C)としてシリカを含み、上記シリカは、BET比表面積が40〜140m2/gで、且つセチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)吸着比表面積が88〜110m2/gであることが好ましい。この場合、タイヤの低ロス性を更に向上させることができる。同様の観点から、充填剤(C)としてのシリカは、BET比表面積が60m2/g以上であることがより好ましく、79m2/g以上であることが更に好ましく、また、120m2/g以下であることがより好ましく、109m2/g以下であることが更に好ましい。
なお、本発明においては、BET比表面積及びセチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)吸着比表面積は、JIS K6430に準拠して測定する。
また、本発明のゴム組成物は、充填剤(C)としてカーボンブラックを含み、上記カーボンブラックは、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)吸着比表面積が30〜100m2/gであることが好ましい。この場合、タイヤの低ロス性を更に向上させることができる。同様の観点から、充填剤(C)としてのカーボンブラックは、CTAB吸着比表面積が60m2/g以下であることがより好ましく、40m2/g以下であることがより好ましく、また、グレードとしては、HAF、FEF、GPF、SRFグレードのカーボンブラックがより好ましく、GPF、SRFグレードのカーボンブラックが更に好ましい。
上記充填剤(C)の配合量は、上記ゴム成分(A)100質量部に対して3質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましく、10質量部以上が更に好ましく、また、80質量部以下が好ましく、60質量部以下がより好ましく、40質量部以下が更に好ましい。シリカの配合量がゴム成分(A)100質量部に対して3質量部以上であれば、ゴム組成物の60℃付近におけるtanδが低下して、該ゴム組成物を適用したタイヤの転がり抵抗を更に低減でき、また、80質量部以下であれば、ゴム組成物の柔軟性が高く、該ゴム組成物をタイヤのトレッドゴムに適用することで、トレッドゴムの変形体積が大きくなって、タイヤのウェット性能を更に向上させることができる。
(充填剤(C)以外の充填剤)
本発明のゴム組成物は、充填剤(C)以外の充填剤(以下、単に「充填剤」という。)を含んでもよい。かかる充填剤としては、例えば、酸化アルミニウム、クレー、アルミナ、タルク、マイカ、カオリン、ガラスバルーン、ガラスビーズ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、チタン酸カリウム、硫酸バリウム等が挙げられる。或いは、充填剤(C)以外の充填剤として、CTAB吸着比表面積が110m2/g超のカーボンブラック又はシリカも挙げられる。充填剤(C)以外の充填剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。ただし、所望の効果を得る観点から、本発明のゴム組成物は、充填剤(C)以外の充填剤を含まないことが好ましい。
(シランカップリング剤)
また、本発明のゴム組成物は、上記充填剤(C)としてシリカを含む場合には、当該シリカの配合効果を向上させるために、シランカップリング剤を含むことが好ましい。シランカップリング剤としては、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(例えば、エボニック社製の商品名「Si69」等)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(例えば、エボニック社製の商品名「Si75」等)、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3−オクタノイルチオ−プロピルトリエトキシシラン(例えば、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製の商品名「NXT」等)、3−[エトキシビス(3,6,9,12,15−ペンタオキサオクタコサン−1−イルオキシ)シリル]−1−プロパンチオール(例えば、エボニック・デグッサ社製の商品名「Si363」等)等が挙げられ、これらの中でも、シランカップリング剤としては、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(「Si69」等)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(「Si75」等)、3−オクタノイルチオ−プロピルトリエトキシシラン(「NXT」等)、及び3−[エトキシビス(3,6,9,12,15−ペンタオキサオクタコサン−1−イルオキシ)シリル]−1−プロパンチオール(「Si363」等)から選択される1種以上を含むことがより好ましい。
また、上記シランカップリング剤の配合量は、シリカの分散性を向上させる観点から、上記シリカ100質量部に対して1質量部以上が好ましく、4質量部以上がより好ましく、また、20質量部以下が好ましく、12質量部以下がより好ましい。
(樹脂(D))
本発明のゴム組成物は、更に、C5系樹脂、C5−C9系樹脂、C9系樹脂、テルペン系樹脂、テルペン−芳香族化合物系樹脂、ロジン系樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂及びアルキルフェノール系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂(D)を含むことが好ましい。ゴム組成物が樹脂(D)を含む場合、タイヤのウェット性能を更に向上させることができる。
上記樹脂(D)の配合量は、上記ゴム成分(A)100質量部に対して、5質量部以上、40質量部以下の範囲が好ましい。樹脂(D)の配合量がこの範囲の場合、タイヤのウェット性能を更に向上させることができる。同様の観点から、上記樹脂(D)の配合量は、上記ゴム成分(A)100質量部に対して、10質量部以上がより好ましく、また、30質量部以下がより好ましい。
上記C5系樹脂は、C5系合成石油樹脂を指し、C5留分を、AlCl3やBF3などのフリーデルクラフツ型触媒を用いて重合して得られる樹脂を意味する。具体的には、イソプレン、シクロペンタジエン、1,3−ペンタジエン及び1−ペンテンなどを主成分とする共重合体、2−ペンテンとジシクロペンタジエンとの共重合体、1,3−ペンタジエンを主体とする重合体などが挙げられる。
上記C5−C9系樹脂は、C5−C9系合成石油樹脂を指し、C5〜C11留分を、AlCl3やBF3などのフリーデルクラフツ型触媒を用いて重合して得られる樹脂を意味する。例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、インデン等を主成分とする共重合体などが挙げられる。これらの中でも、C9以上の成分の少ないC5−C9系樹脂は、ゴム成分との相溶性が優れるため好ましい。具体的には、C5−C9系樹脂におけるC9以上の成分の割合が50質量%未満の樹脂が好ましく、40質量%以下の樹脂がより好ましい。
上記C9系樹脂は、C9系合成石油樹脂を指し、C9留分をAlCl3やBF3などのフリーデルクラフツ型触媒を用いて重合して得られる樹脂を意味する。例えば、インデン、メチルインデン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどを主成分とする共重合体などが挙げられる。
上記テルペン系樹脂は、松属の木からロジンを得る際に同時に得られるテレビン油又はこれから分離した重合成分を配合し、フリーデルクラフツ型触媒を用いて重合して得ることができる。例えば、β−ピネン樹脂、α−ピネン樹脂などが挙げられる。
上記テルペン−芳香族化合物系樹脂は、テルペン類と種々のフェノール類とを、フリーデルクラフツ型触媒を用いて反応させたり、或いは更にホルムアルデヒドで縮合することで得ることができる。例えば、テルペン−フェノール樹脂などが挙げられる。上記テルペン−フェノール樹脂のなかでも、テルペン−フェノール樹脂中のフェノール成分が50質量%未満の樹脂が好ましく、40質量%以下の樹脂がより好ましい。
原料のテルペン類としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、α−ピネン、リモネンなどのモノテルペン炭化水素などが挙げられる。これらの中でも、α−ピネンを含むものが好ましく、α−ピネンがより好ましい。
上記ロジン系樹脂としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、生松ヤニやトール油に含まれるガムロジン、トール油レジン、ウッドロジンなどの天然樹脂ロジン;変性ロジン;変性ロジン誘導体などが挙げられる。上記変性ロジン誘導体は、具体的には、重合ロジン、その部分水添ロジン;グリセリンエステルロジン、その部分水添ロジンや完全水添ロジン;ペンタエリスリトールエステルロジン、その部分水添ロジンや完全水添ロジンなどが挙げられる。
上記ジシクロペンタジエン樹脂は、ジシクロペンタジエンを、AlCl3やBF3などのフリーデルクラフツ型触媒などを用いて重合して得ることができる。ジシクロペンタジエン樹脂の市販品の具体例としては、クイントン1920(日本ゼオン社製)、クイントン1105(日本ゼオン社製)、マルカレッツM−890A(丸善石油化学社製)などが挙げられる。
上記アルキルフェノール系樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、p−tert−ブチルフェノール−アセチレン樹脂などのアルキルフェノール−アセチレン樹脂、低重合度のアルキルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂などが挙げられる。
上記樹脂(D)は、分子内の不飽和結合が部分的に又は完全に水素添加されていてもよい。樹脂(D)の分子内の不飽和結合が部分的に又は完全に水素添加されている場合、タイヤのウェット性能を更に向上させることができる。また、上記樹脂(D)としては、部分的に又は完全に水素添加されたC5系樹脂、部分的に又は完全に水素添加されたC5−C9系樹脂、部分的に又は完全に水素添加されたC9系樹脂が好ましい。この場合、タイヤのウェット性能を更に向上させることができる。
上記部分的に又は完全に水素添加された樹脂としては、市販品を好適に使用することができ、具体的には、出光興産株式会社製の商品名「アイマーブP100」、「アイマーブP125」、「アイマーブP140」、「アイマーブS100」、「アイマーブS110」、荒川化学工業株式会社製の商品名「アルコンP−90」、「アルコンP−100」、「アルコンP−115」、「アルコンP−125」、「アルコン−P140」、「アルコンM−90」、「アルコンM−100」、「アルコンM−115」、「アルコンM−135」、東燃ゼネラル石油株式会社製の商品名「T−REZ OP501」、「T−REZ PR801」、「T−REZ HA125」、「T−REZ HB125」等が挙げられる。
また、上記水素添加は、例えば、分子内に不飽和結合を有する樹脂を、有機カルボン酸ニッケル、有機カルボン酸コバルト、1〜3族の有機金属化合物からなる水素化触媒;カーボン、シリカ、珪藻土等に担持したニッケル、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム金属触媒;コバルト、ニッケル、ロジウム、ルテニウム錯体等から選択される1種を触媒として、1〜100気圧の加圧水素下で水素化することで実施できる。
(その他の成分)
本発明のゴム組成物は、上述した成分以外に、加硫剤を含むことが好ましい。該加硫剤としては、硫黄等が挙げられる。該加硫剤の配合量は、上記ゴム成分(A)100質量部に対し、硫黄分として0.1〜10質量部の範囲が好ましく、1〜4質量部の範囲がより好ましい。加硫剤の配合量が硫黄分として0.1質量部以上であれば、加硫ゴムの破壊強度、耐摩耗性等を確保でき、また、10質量部以下であれば、ゴム弾性を十分に確保できる。特に、加硫剤の配合量を硫黄分として4質量部以下とすることで、タイヤのウェット性能を更に向上させることができる。
本発明のゴム組成物は、上述した成分以外に、加硫促進剤を含むことが好ましい。該加硫促進剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール(M)、ジベンゾチアジルジスルフィド(DM)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(CZ)、N−(tert−ブチル)−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(NS)等のチアゾール系加硫促進剤、1,3−ジフェニルグアニジン(DPG)等のグアニジン系加硫促進剤等が挙げられる。
上記加硫促進剤の配合量は、上記ゴム成分(A)100質量部に対して0.1〜7質量部の範囲が好ましく、0.2〜5質量部の範囲がより好ましい。
本発明のゴム組成物には、その他、ゴム工業界で通常使用される配合剤、例えば、軟化剤、ステアリン酸、老化防止剤、酸化亜鉛(亜鉛華)等を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して配合してもよい。これら配合剤としては、市販品を好適に使用することができる。
本発明のゴム組成物は、タイヤを始めとする種々のゴム製品に利用できる。特には、本発明のゴム組成物は、タイヤのトレッドゴムとして好適である。
<タイヤ>
本発明のタイヤは、上記のゴム組成物をトレッドゴムに用いたことを特徴とする。本発明のタイヤは、上記ゴム組成物がトレッドゴムに用いられているため、低ロス性とウェット性能とを両立しつつ、ドライハンドリング性に優れる。また、本発明のタイヤは、各種車輌向けのタイヤとして利用できるが、乗用車用タイヤとして好ましい。
本発明のタイヤは、適用するタイヤの種類に応じ、未加硫のゴム組成物を用いて成形後に加硫して得てもよく、又は予備加硫工程等を経た半加硫ゴムを用いて成形後、更に本加硫して得てもよい。なお、本発明のタイヤは、好ましくは空気入りタイヤであり、空気入りタイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、これらの実施例は、本発明の例示を目的とするものであり、本発明を何ら限定するものではない。
<変性ブタジエンゴム(BR2)の調製>
乾燥し、窒素置換した内容積約900mlの耐圧ガラス容器に、シクロヘキサン283g、1,3−ブタジエン50g、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.0057mmol、及びヘキサメチレンイミン0.513mmolをそれぞれシクロヘキサン溶液として注入し、これに0.57mmolのn−ブチルリチウム(BuLi)を加えた後、撹拌装置を備えた50℃の温水浴中で4.5時間重合を行った。重合転化率はほぼ100%であった。この重合系に四塩化錫0.100mmolをシクロヘキサン溶液として加え、50℃において30分撹拌した。その後更に、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5質量%溶液0.5mlを加えて反応を停止させ、常法に従い乾燥して、変性ブタジエンゴム(BR2)を得た。なお、BR2のブタジエン部のビニル結合量は14%、カップリング効率は65%であった。
<変性スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR2)の調製>
乾燥し、窒素置換した800mLの耐圧ガラス容器に、1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液及びスチレンのシクロヘキサン溶液を、1,3−ブタジエン70.2g及びスチレン39.5gになるように加え、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.6mmolを加え、0.8mmolのn−ブチルリチウムを加えた後、50℃で1.5時間重合を行った。この際の重合転化率がほぼ100%となった重合反応系に対し、変性剤としてN−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−トリエトキシシリル−1−プロパンアミンを0.72mmol添加し、50℃で30分間変性反応を行った。その後、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5質量%溶液2mLを加えて反応を停止させ、常法に従い乾燥して、(A)成分としての変性スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR2)を得た。なお、SBR2のスチレン量は35質量%であった。
<シリカBの調製>
撹拌機を備えた180Lのジャケット付きステンレス反応槽に、水65Lとケイ酸ナトリウム水溶液(SiO2:160g/L、SiO2/Na2Oモル比:3.3)1.25Lを入れ、96℃に加熱した。生成した溶液中のNa2O濃度は、0.015mol/Lであった。
この溶液の温度を96℃に維持しながら、上記と同様のケイ酸ナトリウム水溶液を流量750mL/分で、硫酸(18mol/L)を流量33mL/分で、同時に滴下した。流量を調整しつつ、反応溶液中のNa2O濃度を0.005〜0.035mol/Lの範囲に維持しながら、中和反応を行った。反応途中から反応溶液は白濁をはじめ、30分目に粘度が上昇してゲル状溶液となった。更に添加を続け、100分で反応を停止した。生じた溶液中のシリカ濃度は、85g/Lであった。引き続いて、上記と同様の硫酸を溶液のpHが3になるまで添加して、ケイ酸スラリーを得た。得られたケイ酸スラリーをフィルタープレスで濾過、水洗を行って湿潤ケーキを得た。次いで、湿潤ケーキを乳化装置を用いてスラリーとして、噴霧式乾燥機で乾燥し、シリカB(含水ケイ酸)を得た。シリカBのCTAB吸着比表面積は、95m2/gであった。また、シリカBのBET比表面積は、110m2/gであった。
<タイヤの作製及び評価>
表1に示す配合処方に従い、通常のバンバリーミキサーを用いてゴム組成物を製造する。次いで、得られたゴム組成物をトレッドゴムに用いて、常法に従ってサイズ:195/65R15の乗用車用ラジアルタイヤを作製する。得られた供試タイヤに対して、下記の方法で、転がり抵抗、ウェット性能、ドライハンドリング性を評価する。予測結果を表1に示す。
(1)転がり抵抗
供試タイヤを、回転ドラムにより80km/hrの速度で回転させ、荷重を4.82kNとして、転がり抵抗を測定し、比較例1のタイヤの転がり抵抗の逆数を100として指数表示する。指数値が大きい程、転がり抵抗が低く、低ロス性に優れることを示す。
(2)ウェット性能
各供試タイヤにつき、湿潤路面での実車試験にて、テストドライバーによるフィーリングに基づき、ウェット性能を評価し、比較例1のウェット性能を100として指数表示する。指数値が大きい程、タイヤのウェット性能に優れることを示す。
(3)ドライハンドリング性
各供試タイヤにつき、乾燥路面での実車試験にて、テストドライバーによるフィーリングに基づき、ドライハンドリング性を評価し、比較例1のドライハンドリング性を100として指数表示する。指数値が大きい程、タイヤのドライハンドリング性に優れることを示す。
Figure 2019117093
*1 NR:天然ゴム、RSS#4
*2 BR1:ブタジエンゴム、JSR株式会社製、「BR01」
*3 SBR1:スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、JSR株式会社製、「#1500」
*4 SEBS1:スチレン・エチレンブチレン・スチレンブロック共重合体、JSR社製、商品名「DYNARON(登録商標)9901P」、スチレン単位の総含有量=53質量%、ブチレン単位及びエチレン単位の総質量に対するブチレン単位の含有量=70質量%
*5 SEBS2:スチレン・エチレンブチレン・スチレンブロック共重合体、JSR社製、商品名「DYNARON(登録商標)8903P」、スチレン単位の総含有量=35質量%、ブチレン単位及びエチレン単位の総質量に対するブチレン単位の含有量=70質量%
*6 SEBS3:スチレン・エチレンブチレン・スチレンブロック共重合体、クラレ社製、商品名「SEPTON(登録商標)8007」、スチレン単位の総含有量=32質量%、ブチレン単位及びエチレン単位の総質量に対するブチレン単位の含有量=41質量%
*7 C5系樹脂:東燃化学社製、商品名「T−REZ RA100」
*8 C5−C9系樹脂:エクソンモービルケミカル社製、商品名「ECR213」
*9 シリカA:東ソー・シリカ株式会社製、商品名「Nipsil AQ」、CTAB吸着比表面積:165m2/g
*10 ISAF級カーボンブラック:東海カーボン株式会社製、「シースト7HM(N234)」
*11 GPF級カーボンブラック:旭カーボン株式会社製、「旭#55(N660)」
*12 老化防止剤6PPD:N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン、大内新興化学工業社製、商品名「ノクラック6C」
*13 老化防止剤TMDQ:2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体、精工化学社製、商品名「ノンフレックスRD−S」
*14 ワックス:マイクロクリスタリンワックス、日本精蝋社製、商品名「オゾエース0701」
*15 加硫促進剤DPG:1,3−ジフェニルグアニジン、大内新興化学工業社製、商品名「ノクセラーD」
*16 加硫促進剤MBTS:ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、大内新興化学工業社製、商品名「ノクセラーDM」
*17 加硫促進剤CBS:N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、三新化学工業社製、商品名「サンセラーCM−G」
表1から、本発明に従う実施例のタイヤは、低ロス性と、ウェット性能と、ドライハンドリング性とが高度にバランスされていることが分かる。
本発明によれば、タイヤの低ロス性と、ウェット性能と、ドライハンドリング性とを高度にバランスさせることが可能なゴム組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、低ロス性と、ウェット性能と、ドライハンドリング性とが高度にバランスしたタイヤを提供することができる。

Claims (8)

  1. ゴム成分(A)と、スチレン・アルキレンブロック共重合体(B)と、カーボンブラック及びシリカから選択される充填剤(C)とを含み、
    前記スチレン・アルキレンブロック共重合体(B)は、スチレン単位の総含有量が30質量%以上であり、
    前記充填剤(C)は、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)吸着比表面積が110m2/g以下である、ことを特徴とする、ゴム組成物。
  2. 前記スチレン・アルキレンブロック共重合体(B)のアルキレンブロックが、−[CH2−CH(C25)]−単位(ブチレン単位)と、−(CH2−CH2)−単位(エチレン単位)とを有し、前記ブチレン単位の含有量が、前記ブチレン単位及び前記エチレン単位の総質量に対して50質量%以上である、請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 前記充填剤(C)としてシリカを含み、前記シリカは、BET比表面積が40〜140m2/gで、且つセチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)吸着比表面積が88〜110m2/gである、請求項1又は2に記載のゴム組成物。
  4. 前記充填剤(C)としてカーボンブラックを含み、前記カーボンブラックは、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)吸着比表面積が30〜100m2/gである、請求項1〜3のいずれかに記載のゴム組成物。
  5. 更に、C5系樹脂、C5−C9系樹脂、C9系樹脂、テルペン系樹脂、テルペン−芳香族化合物系樹脂、ロジン系樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂及びアルキルフェノール系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂(D)を含む、請求項1〜4のいずれかに記載のゴム組成物。
  6. 前記スチレン・アルキレンブロック共重合体(B)は、スチレン単位の総含有量が50質量%以上である、請求項1〜5のいずれかに記載のゴム組成物。
  7. 前記スチレン・アルキレンブロック共重合体(B)が、スチレン・エチレンブチレン・スチレンブロック共重合体である、請求項1〜6のいずれかに記載のゴム組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のゴム組成物をトレッドゴムに用いたことを特徴とする、タイヤ。
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