JP7288861B2 - ゴム組成物及びタイヤ - Google Patents
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Description
また、車両の安全性を向上させる見地から、湿潤路面での制動性能(以下、「ウェット性能」という。)を確保することも重要であり、タイヤの燃費性能を向上させると共にウェット性能を向上させることも求められている。これに対して、従来、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)と、シリカとを配合したゴム組成物を使用することで、ウェット性能と低ロス性とを両立したタイヤが主流であったが、昨今、ゴム成分として主として天然ゴム(NR)を使用し、熱可塑性樹脂や軟化剤を従来よりも多量に配合したゴム組成物をタイヤに使用することで、ウェット性能と低ロス性を更に向上させたタイヤが提案されている(下記特許文献1及び2)。
また、本発明は、低ロス性と、ウェット性能と、ドライハンドリング性と、を高度にバランスさせたタイヤを提供することを更なる課題とする。
前記スチレン・アルキレンブロック共重合体(B)は、スチレン単位の総含有量が30質量%以上であり、
加硫後の発泡率が、5~30%であることを特徴とする。
かかる本発明のゴム組成物によれば、タイヤのトレッドゴムに適用することで、タイヤの低ロス性と、ウェット性能と、ドライハンドリング性と、を高度にバランスさせることができる。
また、本発明によれば、低ロス性と、ウェット性能と、ドライハンドリング性と、を高度にバランスさせたタイヤを提供することができる。
本発明のゴム組成物は、ゴム成分(A)と、スチレン・アルキレンブロック共重合体(B)と、を含み、前記スチレン・アルキレンブロック共重合体(B)は、スチレン単位の総含有量が30質量%以上であり、加硫後の発泡率が、5~30%であることを特徴とする。また、換言すれば、本発明のゴム組成物を加硫して得られる加硫ゴムは、ゴム成分(A)と、スチレン単位の総含有量が30質量%以上であるスチレン・アルキレンブロック共重合体(B)と、を含むゴム組成物を加硫してなり、発泡率が5~30%であることを特徴とする。
そのため、本発明のゴム組成物によれば、タイヤのトレッドゴムに適用することで、タイヤの低ロス性と、ウェット性能と、ドライハンドリング性と、を高度にバランスさせることができる。
ここで、前記ゴム組成物の加硫後の発泡率(加硫ゴムの発泡率)とは、平均発泡率Vsを意味し、具体的には次式(1)により算出される値を意味する。
Vs=(ρ0/ρ1-1)×100(%) ・・・ (1)
式(1)中、ρ1は加硫後のゴム組成物(発泡ゴム)の密度(g/cm3)を示し、ρ0は加硫後のゴム組成物(発泡ゴム)における固相部の密度(g/cm3)を示す。なお、加硫後のゴム組成物の密度及び加硫後のゴム組成物の固相部の密度は、エタノール中の質量と空気中の質量を測定し、これから算出される。また、発泡率は、例えば、発泡剤や発泡助剤の種類、量等により適宜変化させることができる。
前記ゴム成分(A)中における天然ゴム(A1)の含有率は、20質量%以上が好ましく、30質量%以上が更に好ましく、また、60質量%以下が好ましく、50質量%以下が更に好ましい。ゴム成分(A)中における天然ゴム(A1)の含有率が20質量%以上であれば、タイヤの低ロス性を更に向上させることができる。
前記ゴム成分(A)中におけるブタジエンゴム(A2)の含有率は、20質量%以上が好ましく、30質量%以上が更に好ましく、また、60質量%以下が好ましく、50質量%以下が更に好ましい。ゴム成分(A)中におけるブタジエンゴム(A2)の含有率が20質量%以上であれば、タイヤの低ロス性を更に向上させることができる。
前記ゴム成分(A)中に天然ゴム(A1)及びブタジエンゴム(A2)をそれぞれ含む場合の含有比率は、天然ゴム(A1):ブタジエンゴム(A2)=1:2~2:1が好ましい。
なお、本明細書において、ガラス転移温度は、ISO 22768:2006に従い、所定の温度範囲で昇温しながらDSC曲線を記録し、DSC微分曲線のピークトップ(Inflection point)とする。
この変性共役ジエン系重合体(A3)は、重量平均分子量が20×104以上300×104以下であって、該変性共役ジエン系重合体(A3)の総量に対して、分子量が200×104以上500×104以下である変性共役ジエン系重合体を、0.25質量%以上30質量%以下含み、収縮因子(g’)が0.64未満である。ゴム組成物が該変性共役ジエン系重合体(A3)を含むことにより、タイヤの低ロス性を更に向上させることができる。
前記収縮因子(g’)は、0.64未満であり、好ましくは0.63以下であり、より好ましくは0.60以下であり、さらに好ましくは0.59以下であり、より一層好ましくは0.57以下である。また、収縮因子(g’)の下限は特に限定されず、検出限界値以下であってもよいが、好ましくは0.30以上であり、より好ましくは0.33以上であり、さらに好ましくは0.35以上であり、より一層好ましくは0.45以上である。収縮因子(g’)がこの範囲である変性共役ジエン系重合体(A3)を使用することで、ゴム組成物の加工性が向上する。
収縮因子(g’)は分岐度に依存する傾向にあるため、例えば、分岐度を指標として収縮因子(g’)を制御することができる。具体的には、分岐度が6である変性共役ジエン系重合体とした場合には、その収縮因子(g’)は0.59以上0.63以下となる傾向にあり、分岐度が8である変性共役ジエン系重合体とした場合には、その収縮因子(g’)は0.45以上0.59以下となる傾向にある。
前記変性共役ジエン系重合体(A3)は、特定の高分子量成分を、好ましくは1.0質量%以上含み、より好ましくは1.4質量%以上含み、さらに好ましくは1.75質量%以上含み、より一層好ましくは2.0質量%以上含み、特に好ましくは2.15質量%以上含み、極めて好ましくは2.5質量%以上含む。また、変性共役ジエン系重合体(A3)は、特定の高分子量成分を、好ましくは28質量%以下含み、より好ましくは25質量%以下含み、さらに好ましくは20質量%以下含み、より一層好ましくは18質量%以下含む。
なお、本明細書において「分子量」とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によって得られる、標準ポリスチレン換算分子量である。特定の高分子量成分の含有量がこのような範囲にある変性共役ジエン系重合体(A3)を得るためには、重合工程と反応工程とにおける反応条件を制御することが好ましい。例えば、重合工程においては、後述する有機モノリチウム化合物の重合開始剤としての使用量を調整すればよい。また、重合工程において、連続式、及び回分式のいずれの重合様式においても、滞留時間分布を有する方法を用いる、すなわち、成長反応の時間分布を広げるとよい。
前記一般式(III)中、B2は、単結合又は炭素数1~20の炭化水素基を示し、B3は、炭素数1~20のアルキル基を示し、aは、1~10の整数を示し、それぞれ複数存在する場合のB2及びB3は、各々独立している。
前記一般式(IV)中、B4は、単結合又は炭素数1~20の炭化水素基を示し、aは、1~10の整数を示し、複数存在する場合のB4は、各々独立している。
前記一般式(V)中、B5は、単結合又は炭素数1~20の炭化水素基を示し、aは、1~10の整数を示し、複数存在する場合のB5は、各々独立している。
なお、前記一般式(II)~(V)中のB1、B2、B4、B5に関して、炭素数1~20の炭化水素基としては、炭素数1~20のアルキレン基等が挙げられる。
なお、上記一般式(VI)で表されるカップリング剤と、共役ジエン系重合体とを反応させてなる変性共役ジエン系重合体は、例えば、上記一般式(I)で表される。
前記共役ジエン化合物としては、炭素数4~12の共役ジエン化合物が好ましく、より好ましくは炭素数4~8の共役ジエン化合物である。このような共役ジエン化合物としては、例えば、1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、3-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、及び1,3-ヘプタジエンが挙げられる。これらの中でも、工業的入手の容易さの観点から、1,3-ブタジエン、及びイソプレンが好ましい。これら共役ジエン化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、前記ビニル置換芳香族化合物としては、モノビニル芳香族化合物が好ましい。該モノビニル芳香族化合物としては、例えば、スチレン、p-メチルスチレン、α-メチルスチレン、ビニルエチルベンゼン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン、及びジフェニルエチレンが挙げられる。これらの中でも、工業的入手の容易さの観点から、スチレンが好ましい。これらビニル置換芳香族化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、前記共役ジエン系重合体又は変性共役ジエン系重合体(A3)中の結合芳香族ビニル量は、特に限定されないが、0質量%以上60質量%以下であることが好ましく、20質量%以上45質量%以下であることがより好ましい。
前記結合共役ジエン量及び結合芳香族ビニル量が上記範囲であると、ゴム組成物をタイヤに適用した際に、低ロス性と、ウェット性能と、ドライハンドリング性とを、更に高度にバランスすることが可能となる。
なお、結合芳香族ビニル量は、フェニル基の紫外吸光によって測定でき、ここから結合共役ジエン量も求めることができる。
なお、変性共役ジエン系重合体(A3)がブタジエンとスチレンとの共重合体である場合には、ハンプトンの方法[R.R.Hampton,Analytical Chemistry,21,923(1949)]により、ブタジエン結合単位中のビニル結合量(1,2-結合量)を求めることができる。
前記ゴム成分(A)中における低TgSBR(A4)の含有率は、5質量%以上が好ましく、10質量%以上が好ましく、20質量%以上が好ましく、40質量%以上が更に好ましく、また、80質量%以下が好ましく、70質量%以下が更に好ましい。ゴム成分(A)中における低TgSBR(A4)の含有率が5質量%以上であれば、タイヤの発熱を更に低減できる。
なお、スチレン・アルキレンブロック共重合体(B)における、スチレン単位の総含有量が30質量%未満では、ゴム組成物をタイヤに適用した際に、タイヤの弾性率が十分に向上せず、タイヤのドライハンドリング性を十分に向上させることができない。
また、前記スチレン・アルキレンブロック共重合体(B)は、特に限定されるものではないが、スチレン単位の総含有量が60質量%以下であることが好ましい。
なお、本発明において、スチレン・アルキレンブロック共重合体(B)のスチレン単位の(総)含有量と、後述するアルキレン単位の(総)含有量は、1H-NMRの積分比により求める。
なお、本明細書において、ガラス転移温度(Tg)は、ISO 22768:2006に従い、所定の温度範囲で昇温しながらDSC曲線を記録し、DSC微分曲線のピークトップ(Inflection point)とする。
なお、前記スチレン・エチレンブチレン・スチレンブロック共重合体のエチレンブチレンブロックは、上述したエチレン単位とブチレン単位を有するブロックである。
また、前記スチレン・アルキレンブロック共重合体(B)としては、市販品を用いてもよい。このような市販品としては、例えば、JSR社のJSR DYNARON(登録商標)8903P、9901P等が挙げられる。
前記シリカ(C)は、BET表面積が好ましくは80~300m2/g、より好ましくは150~280m2/g、更に好ましくは200~270m2/g、より一層好ましくは220~270m2/gであり、また、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積(CTAB)が好ましくは80~260m2/g、より好ましくは150~260m2/g、より一層好ましくは150~210m2/g、特に好ましくは176~206m2/gである。また、前記シリカ(C)は、BET表面積が220~270m2/gで、且つセチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積(CTAB)が176~206m2/gであることが特に好ましい。この場合、ゴム組成物の低ロス性が更に向上する。
なお、本発明においては、BET表面積及びセチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積(CTAB)は、JIS K6430に準拠して測定する。
また、前記シランカップリング剤の配合量は、シリカの分散性を向上させる観点から、前記シリカ(C)100質量部に対して1質量部以上が好ましく、4質量部以上が更に好ましく、また、20質量部以下が好ましく、12質量部以下が更に好ましい。
前記発泡剤としては、アゾジカルボンアミド(ADCA)、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DNPT)、ジニトロソペンタスチレンテトラミンやベンゼンスルホニルヒドラジド誘導体、p,p’-オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)、重炭酸アンモニウム、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、ニトロソスルホニルアゾ化合物、N,N’-ジメチル-N,N’-ジニトロソフタルアミド、トルエンスルホニルヒドラジド、p-トルエンスルホニルセミカルバジド、p,p’-オキシビスベンゼンスルホニルセミカルバジド等が挙げられる。これら発泡剤の中でも、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DNPT)が好ましい。これら発泡剤は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
また、該発泡剤の配合量は、特に限定されるものではないが、前記ゴム成分(A)100質量部に対して0.1~30質量部の範囲が好ましく、1~20質量部の範囲が更に好ましい。
また、該発泡助剤の配合量は、特に限定されるものではないが、前記ゴム成分(A)100質量部に対して1~30質量部の範囲が好ましい。
前記加硫促進剤の配合量は、前記ゴム成分(A)100質量部に対して0.1~7質量部の範囲が好ましく、0.2~5質量部の範囲が更に好ましい。
本発明のタイヤは、上記のゴム組成物をトレッドゴムに用いたことを特徴とする。本発明のタイヤは、前記ゴム組成物がトレッドゴムに用いられているため、低ロス性とウェット性能とを両立しつつ、ドライハンドリング性に優れる。また、本発明のタイヤは、各種車輌向けのタイヤとして利用できるが、乗用車用タイヤとして好ましい。
表1に示す配合処方に従い、通常のバンバリーミキサーを用いて、混練第1工程、混練第2工程の順に混合を行って、ゴム組成物を製造する。なお、混練第1工程の終了後、混合物をバンバリーミキサーから一旦取り出し、その後、再度混合物をバンバリーミキサーに投入して、混練第2工程を実施する。また、混練第1工程における混合物の最高温度は170℃とし、混練第2工程におけるゴム組成物の最高温度は110℃とする。
得られたゴム組成物に対して、下記の方法で損失正接(tanδ)及び貯蔵弾性率(E’)を測定する。予測結果を表1に示す。
ゴム組成物を145℃で33分間加硫して得られた加硫ゴムに対して、株式会社上島製作所製スペクトロメーターを用いて、初期歪2%、動歪1%、周波数52Hzの条件下で、0℃及び30℃におけるtanδ(損失正接)、並びに、0℃における貯蔵弾性率(E’)を測定する。
上記のようして得られたゴム組成物をトレッドゴムに用いて、常法に従ってサイズ:195/65R15の乗用車用ラジアルタイヤを作製し、トレッドの発泡率を上記式(1)に従って算出する。次に、得られたタイヤに対して、下記の方法で、ドライハンドリング性、ウェット性能、転がり抵抗を評価する。結果を表1に示す。
各供試タイヤにつき、乾燥路面での実車試験にて、テストドライバーによるフィーリングに基づき、ドライハンドリング性を評価し、比較例1のドライハンドリング性を100として指数表示する。指数値が大きい程、タイヤのドライハンドリング性に優れることを示す。
各供試タイヤにつき、湿潤路面での実車試験にて、テストドライバーによるフィーリングに基づき、ウェット性能を評価し、比較例1のウェット性能を100として指数表示する。指数値が大きい程、タイヤのウェット性能に優れることを示す。
供試タイヤを、回転ドラムにより80km/hrの速度で回転させ、荷重を4.82kNとして、転がり抵抗を測定し、比較例1のタイヤの転がり抵抗の逆数を100として指数表示する。指数値が大きい程、転がり抵抗が低く、低ロス性に優れることを示す。
上記のようにして算出したドライハンドリング性の指数と、ウェット性能の指数と、転がり抵抗の指数と、の合計を算出して、総合的にタイヤを評価する。総合評価の指数が大きい程、低ロス性と、ウェット性能と、ドライハンドリング性とのバランスに優れることを示す。
*2 SBR1: 以下の方法で合成した変性スチレン-ブタジエン共重合体ゴム、ガラス転移温度(Tg)=-70℃
乾燥し、窒素置換した800mLの耐圧ガラス容器に、1,3-ブタジエンのシクロヘキサン溶液およびスチレンのシクロヘキサン溶液を、1,3-ブタジエン67.5gおよびスチレン7.5gになるように加え、2,2-ジテトラヒドロフリルプロパン0.6mmolを加え、0.8mmolのn-ブチルリチウムを加えた後、50℃で1.5時間重合を行った。この際の重合転化率がほぼ100%となった重合反応系に対し、変性剤としてN,N-ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシランを0.72mmol添加し、50℃で30分間変性反応を行った。その後、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール(BHT)のイソプロパノール5質量%溶液2mLを加えて反応を停止させ、常法に従い乾燥して変性スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(1)を得た。得られた変性スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(1)のミクロ構造(ビニル結合量)をモレロ法で測定した結果、結合スチレン量が10質量%、ブタジエン部分のビニル結合量が40%であった。
変性共役ジエン系重合体を試料として、試料100mgを、クロロホルムで100mLにメスアップし、溶解して測定サンプルとした。スチレンのフェニル基による紫外線吸収波長(254nm付近)の吸収量により、試料100質量%に対しての結合スチレン量(質量%)を測定した(島津製作所社製の分光光度計「UV-2450」)。
変性共役ジエン系重合体を試料として、試料50mgを、10mLの二硫化炭素に溶解して測定サンプルとした。溶液セルを用いて、赤外線スペクトルを600~1000cm-1の範囲で測定して、所定の波数における吸光度によりハンプトンの方法(R.R.Hampton,Analytical Chemistry 21,923(1949)に記載の方法)の計算式に従い、ブタジエン部分のミクロ構造、すなわち、1,2-ビニル結合量(mol%)を求めた(日本分光社製のフーリエ変換赤外分光光度計「FT-IR230」)。
共役ジエン系重合体又は変性共役ジエン系重合体を試料として、ポリスチレン系ゲルを充填剤としたカラムを3本連結したGPC測定装置(東ソー社製の商品名「HLC-8320GPC」)を使用して、RI検出器(東ソー社製の商品名「HLC8020」)を用いてクロマトグラムを測定し、標準ポリスチレンを使用して得られる検量線に基づいて、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)と分子量分布(Mw/Mn)と、変性共役ジエン系重合体のピークトップ分子量(Mp1)と共役ジエン系重合体のピークトップ分子量(Mp2)と、分子量200×104以上500×104以下の割合と、を求めた。溶離液は5mmol/Lのトリエチルアミン入りTHF(テトラヒドロフラン)を使用した。カラムは、東ソー社製の商品名「TSKgel SuperMultiporeHZ-H」を3本接続し、その前段にガードカラムとして東ソー社製の商品名「TSKguardcolumn SuperMP(HZ)-H」を接続して使用した。測定用の試料10mgを10mLのTHFに溶解して測定溶液とし、測定溶液10μLをGPC測定装置に注入して、オーブン温度40℃、THF流量0.35mL/分の条件で測定した。
上記のピークトップ分子量(Mp1及びMp2)は、次のようにして求めた。測定して得られるGPC曲線において、最も高分子量の成分として検出されるピークを選択した。その選択したピークについて、そのピークの極大値に相当する分子量を算出し、ピークトップ分子量とした。
また、上記の分子量200×104以上500×104以下の割合は、積分分子量分布曲線から分子量500×104以下が全体に占める割合から分子量200×104未満が占める割合を差し引くことで算出した。
変性共役ジエン系重合体を試料として、ポリスチレン系ゲルを充填剤としたカラムを3本連結したGPC測定装置(Malvern社製の商品名「GPCmax VE-2001」)を使用して、光散乱検出器、RI検出器、粘度検出器(Malvern社製の商品名「TDA305」)の順番に接続されている3つの検出器を用いて測定し、標準ポリスチレンに基づいて、光散乱検出器とRI検出器結果から絶対分子量を、RI検出器と粘度検出器の結果から固有粘度を求めた。直鎖ポリマーは、固有粘度[η]=-3.883M0.771に従うものとして用い、各分子量に対応する固有粘度の比としての収縮因子(g’)を算出した。溶離液は5mmol/Lのトリエチルアミン入りTHFを使用した。カラムは、東ソー社製の商品名「TSKgel G4000HXL」、「TSKgel G5000HXL」、及び「TSKgel G6000HXL」を接続して使用した。測定用の試料20mgを10mLのTHFに溶解して測定溶液とし、測定溶液100μLをGPC測定装置に注入して、オーブン温度40℃、THF流量1mL/分の条件で測定した。
変性共役ジエン系重合体を試料として、ISO 22768:2006に準拠して、マックサイエンス社製の示差走査熱量計「DSC3200S」を用い、ヘリウム50mL/分の流通下、-100℃から20℃/分で昇温しながらDSC曲線を記録し、DSC微分曲線のピークトップ(Inflection point)をガラス転移温度とした。
内容積が10Lで、内部の高さ(L)と直径(D)との比(L/D)が4.0であり、底部に入口、頂部に出口を有し、攪拌機付槽型反応器である攪拌機及び温度制御用のジャケットを有する槽型圧力容器を重合反応器とした。予め水分除去した、1,3-ブタジエンを17.2g/分、スチレンを10.5g/分、n-ヘキサンを145.3g/分の条件で混合した。この混合溶液を反応器の入口に供給する配管の途中に設けたスタティックミキサーにおいて、残存不純物不活性処理用のn-ブチルリチウムを0.117mmol/分で添加、混合した後、反応器の底部に連続的に供給した。更に、極性物質として2,2-ビス(2-オキソラニル)プロパンを0.019g/分の速度で、重合開始剤としてn-ブチルリチウムを0.242mmol/分の速度で、攪拌機で激しく混合する重合反応器の底部へ供給し、連続的に重合反応を継続させた。反応器頂部出口における重合溶液の温度が75℃となるように温度を制御した。重合が十分に安定したところで、反応器頂部出口より、カップリング剤添加前の重合体溶液を少量抜出し、酸化防止剤(BHT)を重合体100gあたり0.2gとなるように添加した後に溶媒を除去し、各種の分子量を測定した。
次に、反応器の出口より流出した重合体溶液に、カップリング剤として2.74mmol/Lに希釈したテトラキス(3-トリメトキシシリルプロピル)-1,3-プロパンジアミンを0.0302mmol/分(水分5.2ppm含有n-ヘキサン溶液)の速度で連続的に添加し、カップリング剤を添加された重合体溶液はスタティックミキサーを通ることで混合されカップリング反応した。このとき、反応器の出口より流出した重合溶液にカップリング剤が添加されるまでの時間は4.8分、温度は68℃であり、重合工程における温度と、カップリング剤を添加するまでの温度との差は7℃であった。カップリング反応した重合体溶液に、酸化防止剤(BHT)を重合体100gあたり0.2gとなるように0.055g/分(n-ヘキサン溶液)で連続的に添加し、カップリング反応を終了した。酸化防止剤と同時に、重合体100gに対してオイル(JX日鉱日石エネルギー社製 JOMOプロセスNC140)が10.0gとなるように連続的に添加し、スタティックミキサーで混合した。スチームストリッピングにより溶媒を除去して、変性スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(2)を得た。
なお、得られた変性スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(2)は、カップリング剤の官能基数と添加量から想定される分岐数に相当する「分岐度」は8であり(収縮因子の値からも確認できる)、カップリング剤1分子が有するSiORの総数から反応により減じたSiOR数を引いた値に相当する「SiOR残基数」は4である。
また、得られた変性スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(2)は、ゴム成分100質量部に対してオイル分10.0質量部を含み、重量平均分子量(Mw)が85.2×104、分子量200×104以上500×104以下の割合が4.6%、収縮因子(g’)が0.59である。なお、表1中には、ゴム成分としての配合量を示す。
*5 カーボンブラック: 旭カーボン株式会社製、商品名「#80」
*6 シリカ: 以下の方法で合成したシリカ
撹拌機を備えた180リットルのジャケット付きステンレス反応槽に、水89リットルとケイ酸ナトリウム水溶液(SiO2160g/リットル、SiO2/Na2Oモル比3.3)1.70リットルを入れ、75℃に加熱した。生成した溶液中のNa2O濃度は0.015mol/リットルであった。
この溶液の温度を75℃に維持しながら、上記と同様のケイ酸ナトリウム水溶液を流量520ミリリットル/分で、硫酸(18mol/リットル)を流量23ミリリットル/分で、同時に滴下した。流量を調整しつつ、反応溶液中のNa2O濃度を0.005~0.035mol/リットルの範囲に維持しながら中和反応を行った。反応途中から反応溶液は白濁をはじめ、46分目に粘度が上昇してゲル状溶液となった。さらに、添加を続けて100分で反応を停止した。生じた溶液中のシリカ濃度は60g/リットルであった。引き続いて、上記と同様の硫酸を溶液のpHが3になるまで添加してケイ酸スラリーを得た。得られたケイ酸スラリーをフィルタープレスで濾過、水洗を行って湿潤ケーキを得た。次いで湿潤ケーキを乳化装置を用いてスラリーとして、噴霧式乾燥機で乾燥し、シリカを得た。
得られたシリカは、CTAB(セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積)が191(m2/g)であり、BET表面積が245(m2/g)であった。
*8 ワックス: マイクロクリスタリンワックス、日本精蝋社製、商品名「オゾエース0701」
*9 老化防止剤6PPD: N-フェニル-N’-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン、大内新興化学工業社製、商品名「ノクラック6C」
*10 老化防止剤TMQ: 2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン重合体、精工化学社製、商品名「ノンフレックスRD-S」
*11 SEBS: スチレン・エチレンブチレン・スチレンブロック共重合体、JSR社製、商品名「DYNARON(登録商標)9901P」、スチレン単位の総含有量=53質量%、ガラス転移温度(Tg)=-50℃、全アルキレンブロック[単位(a)+単位(b)]の総質量中の-[CH2-CH(C2H5)]-単位(a)の含有量=70質量%
*12 C5系樹脂: 東燃化学社製、商品名「T-REZ RA100」
*13 水添C9系樹脂: 荒川化学工業社製、商品名「アルコンP-140」
*14 加硫促進剤DPG: 1,3-ジフェニルグアニジン、大内新興化学工業社製、商品名「ノクセラーD」
*15 加硫促進剤MBTS: ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド、大内新興化学工業社製、商品名「ノクセラーDM」
*16 加硫促進剤TBBS: N-(tert-ブチル)-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、三新化学工業株式会社製、商品名「サンセラーNS-G」
*17 発泡剤: ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DNPT)
Claims (7)
- ゴム成分(A)と、スチレン・アルキレンブロック共重合体(B)と、シリカ(C)と、加硫剤と、を含み、
前記スチレン・アルキレンブロック共重合体(B)は、スチレン単位の総含有量が30質量%以上であり、
前記シリカ(C)は、BET表面積が80~300m 2 /gで、且つセチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積(CTAB)が80~260m 2 /gであり、
加硫後の発泡率が、5~30%であることを特徴とする、ゴム組成物。 - 前記スチレン・アルキレンブロック共重合体(B)は、ガラス転移温度(Tg)が-30℃以下である、請求項1に記載のゴム組成物。
- 前記スチレン・アルキレンブロック共重合体(B)のアルキレンブロックが、-[CH2-CH(C2H5)]-単位(a)と、-(CH2-CH2)-単位(b)と、を有し、前記単位(a)の含有量が、全アルキレンブロック[単位(a)+単位(b)]の総質量に対して、50質量%以上である、請求項1又は2に記載のゴム組成物。
- 前記スチレン・アルキレンブロック共重合体(B)は、スチレン単位の総含有量が50質量%以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載のゴム組成物。
- 前記スチレン・アルキレンブロック共重合体(B)が、スチレン・エチレンブチレン・スチレンブロック共重合体である、請求項1~4のいずれか一項に記載のゴム組成物。
- 更に、C5系樹脂、C5-C9系樹脂、C9系樹脂、テルペン系樹脂、テルペン-芳香族化合物系樹脂、ロジン系樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂及びアルキルフェノール系樹脂からなる群から選択される少なくとも一種の樹脂(D)を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のゴム組成物。
- 請求項1~6のいずれか一項に記載のゴム組成物をトレッドゴムに用いたことを特徴とする、タイヤ。
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