JPWO2017115757A1 - ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物、及び金属複合部品 - Google Patents

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Abstract

(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂と、(B)ポリエチレンテレフタレート樹脂と、(c−1)α−オレフィン由来の構成単位及び(c−2)α,β−不飽和酸のグリシジルエステル由来の構成単位を含む(C)エポキシ基含有オレフィン系共重合体と、を含み、成形温度260℃、金型温度80℃、及び保圧力80MPaの条件で成形した、ISO3167(Type A試験片)に準じた成形品の表面粗さが0.50μm以下であり、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物全体に対し、(C)エポキシ基含有オレフィン系共重合体中のエポキシ基の含有量が0.01質量%以上0.35質量%以下、及び、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物全体に対し、(メタ)アクリル酸エステル構造の含有量が1.5質量%以下である、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。

Description

本発明の実施形態は、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物に関する。さらに、本発明の実施形態は、当該ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を用いた金属複合部品に関する。
インサート成形、アウトサート成形、フープ成形等の成形方法により、熱可塑性樹脂と金属部品とを複合化して製造した金属複合部品が、家電製品、情報通信機器、自動車部品等に幅広く利用されている。このような金属複合部品に用いる熱可塑性樹脂としては、射出成形等の方法により溶融成形可能であり、また、機械的特性、耐熱性、電気的特性、耐候性、耐水性、耐薬品性、耐溶剤等の諸特性に優れたポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の使用が検討されている。
ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を用いて金属端子等の金属部品をインサート成形する場合、樹脂組成物から形成される樹脂部と金属部品との密着性が不十分であると、界面の気密性の不足や、密着不良部を起点とした剥離や破壊が起こるといった問題がある。このため、樹脂部と金属部品との密着性の向上が求められる。また、落下時の割れ対策が求められる携帯端末筐体等の多くの用途において、金属との密着性に加えて耐衝撃性も要求される。さらに、携帯端末筐体等の通信機器部品に用いられる材料においては、通信特性を阻害しないよう、伝送損失を低く抑えられる、誘電正接の低い材料であることも求められる。
金属部品と樹脂部との密着性を向上させる手法としては、金属部品に機械的/化学的な表面処理を施して金属表面に凹凸等のアンカーを設けたり、官能基を導入したり、接着剤層を介在させたりする手法が検討されている。例えば、特開2006−027018号公報には、金属形状物に微細凹凸層を形成し、水溶性アルコール溶液に浸漬した後、当該金属形状物と樹脂組成物とを射出成形により複合化する方法が記載されている。
一方、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物についても、金属への密着性を向上するための検討が行われている。例えば、国際公開第2011/155289号パンフレットには、100℃以下の金型温度においても金属部品との密着性に優れるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物として、ポリブチレンテレフタレート樹脂と、所定量の変性ポリエチレンテレフタレート樹脂とを含む樹脂組成物が記載されている。また、国際公開第2009/081549号パンフレットには、100℃以下の金型温度で成形可能な樹脂組成物として、繊維状強化剤と熱可塑性エラストマーを含むポリブチレンテレフタレート樹脂組成物、あるいは所定の変性ポリブチレンテレフタレート樹脂と繊維状強化剤とを含む変性ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物が記載されている。
特開2006−027018号公報 国際公開第2011/155289号パンフレット 国際公開第2009/081549号パンフレット
上述のとおり様々な検討が行われているが、金属との密着性に優れ、かつ、良好な耐衝撃性及び低い誘電正接を有するポリブチレンテレフタレート樹脂組成物のさらなる開発が求められている。
従って、本発明の実施形態は、金属密着性と耐衝撃性及び誘電正接のバランスに優れたポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明の実施形態は、以下の事項に関する。
〔1〕 (A)ポリブチレンテレフタレート樹脂と、(B)ポリエチレンテレフタレート樹脂と、(c−1)α−オレフィン由来の構成単位及び(c−2)α,β−不飽和酸のグリシジルエステル由来の構成単位を含む(C)エポキシ基含有オレフィン系共重合体と、を含み、
成形温度260℃、金型温度80℃、及び保圧力80MPaの条件で成形した、ISO3167(Type A試験片)に準じた成形品の表面粗さが、算術平均粗さとして、0.50μm以下であり、
ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物全体に対し、(C)エポキシ基含有オレフィン系共重合体中のエポキシ基の含有量が0.01質量%以上0.35質量%以下、及び、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物全体に対し、(メタ)アクリル酸エステル構造の含有量が1.5質量%以下である、
ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
〔2〕 空洞共振器摂動法で測定した2GHzにおける誘電正接が0.01以下である、上記〔1〕に記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
〔3〕 さらに(D)ガラス繊維を含む、上記〔1〕又は〔2〕に記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
〔4〕 成形品のISO179/1eAに準拠する方法で測定したシャルピー衝撃強度が7kJ/m以上である、上記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
〔5〕 (C)エポキシ基含有オレフィン系共重合体が、(メタ)アクリル酸エステル由来の構成単位を含まない、上記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
〔6〕 成形温度260℃、金型温度80℃、及び保圧力80MPaの条件で成形した、ISO3167(Type A試験片)に準じた成形品の収縮率が0.20以下である、上記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
〔7〕 金属複合部品用である、上記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
〔8〕 上記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物からなる樹脂部と、金属部品とを含む、金属複合部品。
〔9〕 前記金属部品は微細凹凸処理表面を有する、上記〔8〕に記載の金属複合部品。
〔10〕 前記ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物からなる樹脂部と、金属部品との接合強度が30MPa以上である、上記〔8〕又は〔9〕に記載の金属複合部品。
〔11〕 前記金属複合部品が、通信機器部品である、上記〔8〕〜〔10〕のいずれかに記載の金属複合部品。
本発明の実施形態によれば、金属密着性と耐衝撃性及び誘電正接とのバランスに優れたポリブチレンフタレート樹脂組成物を提供することができる。
非円形断面を有するガラス繊維の一例の断面模式図である。 非円形断面を有するガラス繊維の一例の断面模式図である。 非円形断面を有するガラス繊維の一例の断面模式図である。 表面粗さ及び収縮率の評価に用いる試験片の上面模式図である。図中に各部の金型寸法を示す。図中の符号「h」は試験片の厚みを示す。
以下に本発明の好ましい実施形態を説明するが、本発明が下記の実施形態に限定されることはない。
<ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物>
本発明者らは、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂と、(B)ポリエチレンテレフタレート樹脂と、(c−1)α−オレフィン由来の構成単位及び(c−2)α,β−不飽和酸のグリシジルエステル由来の構成単位を含む(C)エポキシ基含有オレフィン系共重合体と、を含み、その成形物の表面粗さ(Ra)と、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物全体に対するエポキシ基含有オレフィン系共重合体中のエポキシ基の含有量(質量%)、及びポリブチレンテレフタレート樹脂組成物全体に対する(メタ)アクリル酸エステル構造の含有量(質量%)が特定の範囲内にあると、金属密着性と耐衝撃性及び誘電正接のバランスに優れたポリブチレンテレフタレート樹脂組成物が得られることを見出した。
すなわち、本発明の一実施形態に係るポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、
(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂と、(B)ポリエチレンテレフタレート樹脂と、(c−1)α−オレフィン由来の構成単位及び(c−2)α,β−不飽和酸のグリシジルエステル由来の構成単位を含む(C)エポキシ基含有オレフィン系共重合体と、を含み、
その成形物の表面粗さ(Ra)が0.50μm以下であり、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物全体に対し、(C)エポキシ基含有オレフィン系共重合体に由来するエポキシ基の含有量が0.01質量%以上0.35質量%以下、及びポリブチレンテレフタレート樹脂組成物全体に対する(メタ)アクリル酸エステル構造の含有量が1.5質量%以下であることを特徴とするものである。
<表面粗さ(Ra)>
本明細書において、「表面粗さ(Ra)」は、本実施形態に係るポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を用いて形成された成形品の表面特性の指標であり、具体的には、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を用いて形成された成形品の算術平均粗さRaである。表面粗さRaは、
(1)ISO3167(Type A試験片)に準じた試験片を作製し、
(2)試験片の所定の部位の表面粗さを、表面粗さ測定機を用いて測定する
ことにより測定することができる。測定条件の例を実施例に詳述する。図2に試験片を例示する。試験片は、実施例に記載されるように、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を、成形温度260℃、金型温度80℃、保圧力80MPaで、成形して作製することができる。
本実施形態に係るポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、その成形品の表面粗さ(Ra)が0.50μm以下であることが好ましく、0.48μm以下であることがより好ましく、0.46μm以下であることがさらに好ましい。成形品の表面粗さ(Ra)が0.50μm以下であるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を用いると、金属複合部品の樹脂部と金属部品との界面の気密性を高めることができる。
<収縮率>
本明細書において、「収縮率」は、本実施形態に係るポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の成形時の寸法安定性の指標であり、
(1)ISO3167(Type A試験片)に準じた試験片を作製し、
(2)試験片の所定の部位の寸法を測定し、
(3)(式) 収縮率(%)={1−(l/l)}×100(%)
(式中、lは試験片の所定の部位の寸法(mm)、lは当該部位の金型寸法(mm)を表す)
に従って算出することができる。測定条件の例を実施例に詳述する。
図2に試験片を例示する。試験片は、実施例に記載されるように、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を、成形温度260℃、金型温度80℃、保圧力80MPaで、成形して作製することができる。
本実施形態に係るポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、その成形時の収縮率が0.20%以下であることが好ましく、0.19%以下であることがより好ましく、0.18%以下であることがさらに好ましい。成形時の収縮率が0.20%以下であるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を用いると、成形時の冷却による樹脂部と金属部品との界面剥離を抑制し易い。
<シャルピー衝撃強度>
さらに、好ましい実施形態では、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、その成形品のISO179/1eAに準拠する方法で測定したシャルピー衝撃強度が7kJ/m以上であることが好ましく、10kJ/m以上であることがより好ましく、12kJ/m以上であることがさらに好ましい。
次いで、各成分の例を説明する。
(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂
(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂は、少なくともテレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体(C1−6のアルキルエステルや酸ハロゲン化物等)を含むジカルボン酸成分と、少なくとも炭素原子数4のアルキレングリコール(1,4−ブタンジオール)又はそのエステル形成性誘導体(アセチル化物等)を含むグリコール成分とを重縮合して得られるポリブチレンテレフタレート系樹脂である。(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂はホモポリブチレンテレフタレート樹脂に限らず、ブチレンテレフタレート単位を60モル%以上(特に75モル%以上95モル%以下)含有する共重合体であってもよい。
(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂の末端カルボキシル基量は、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されない。(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂の末端カルボキシル基量は、30meq/kg以下が好ましく、25meq/kg以下がより好ましい。かかる範囲の末端カルボキルシル基量のポリブチレンテレフタレート樹脂を用いる場合には、得られる金属複合部品が湿熱環境下での加水分解による強度低下を受けにくくなる。
(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂の固有粘度は本発明の目的を阻害しない範囲で特に制限されない。(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂の固有粘度(IV)は0.60dL/g以上1.2dL/g以下であるのが好ましい。さらに好ましくは0.65dL/g以上0.9dL/g以下である。かかる範囲の固有粘度のポリブチレンテレフタレート樹脂を用いる場合には、得られるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物が特に成形性に優れたものとなる。また、異なる固有粘度を有するポリブチレンテレフタレート樹脂をブレンドして、固有粘度を調整することもできる。例えば、固有粘度1.0dL/gのポリブチレンテレフタレート樹脂と固有粘度0.7dL/gのポリブチレンテレフタレート樹脂とをブレンドすることにより、固有粘度0.9dL/gのポリブチレンテレフタレート樹脂を調製することができる。(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂の固有粘度(IV)は、例えば、o−クロロフェノール中で温度35℃の条件で測定することができる。
(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂において、テレフタル酸及びそのエステル形成性誘導体以外のジカルボン酸成分(コモノマー成分)としては、例えば、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル等のC8−14の芳香族ジカルボン酸;コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等のC4−16のアルカンジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等のC5−10のシクロアルカンジカルボン酸;これらのジカルボン酸成分のエステル形成性誘導体(C1−6のアルキルエステル誘導体や酸ハロゲン化物等)が挙げられる。これらのジカルボン酸成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
これらのジカルボン酸成分の中では、イソフタル酸等のC8−12の芳香族ジカルボン酸、及び、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等のC6−12のアルカンジカルボン酸がより好ましい。
(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂において、1,4−ブタンジオール以外のグリコール成分(コモノマー成分)としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−オクタンジオール等のC2−10のアルキレングリコール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のポリオキシアルキレングリコール;シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA等の脂環式ジオール;ビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシビフェニル等の芳香族ジオール;ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加体、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド3モル付加体等の、ビスフェノールAのC2−4のアルキレンオキサイド付加体;又はこれらのグリコールのエステル形成性誘導体(アセチル化物等)が挙げられる。これらのグリコール成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
これらのグリコール成分の中では、エチレングリコール、トリメチレングリコール等のC2−6のアルキレングリコール、ジエチレングリコール等のポリオキシアルキレングリコール、又は、シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール等がより好ましい。
ジカルボン酸成分及びグリコール成分の他に使用できるコモノマー成分としては、例えば、4−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、4−カルボキシ−4’−ヒドロキシビフェニル等の芳香族ヒドロキシカルボン酸;グリコール酸、ヒドロキシカプロン酸等の脂肪族ヒドロキシカルボン酸;プロピオラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン、カプロラクトン(ε−カプロラクトン等)等のC3−12ラクトン;これらのコモノマー成分のエステル形成性誘導体(C1−6のアルキルエステル誘導体、酸ハロゲン化物、アセチル化物等)が挙げられる。
以上説明したコモノマー成分を共重合したポリブチレンテレフタレート共重合体は、いずれも(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂として好適に使用できる。また、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂として、ホモポリブチレンテレフタレート重合体とポリブチレンテレフタレート共重合体とを組み合わせて使用してもよい。
(B)ポリエチレンテレフタレート樹脂
(B)ポリエチレンテレフタレート樹脂は、テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体(C1−6アルキルエステルや酸ハロゲン化物等)、及び、エチレングリコール又はそのエステル形成性誘導体(アセチル化物等)を、公知の方法に従って重縮合して得られるポリエステル樹脂である。
(B)ポリエチレンテレフタレート樹脂は、本発明の目的を阻害しない範囲で、テレフタロイル単位及びエチレンジオキシ単位以外の繰り返し単位を与える変性成分を少量共重合して変性されたものであってもよい。ポリエチレンテレフタレート樹脂に含まれるテレフタロイル単位及びエチレンジオキシ単位の以外の繰り返し単位の量は、ポリエチレンテレフタレート樹脂の全繰り返し単位中、4モル%未満が好ましく、3モル%以下がより好ましく、2モル%以下がさらに好ましい。
また、(B)ポリエチレンテレフタレート樹脂は、上述の変性成分に由来する繰り返し単位を、(B)ポリエチレンテレフタレート樹脂の全繰り返し単位中4モル%以上含むものであってもよい。本明細書において、このようなポリエチレンテレフタレート樹脂を「変性ポリエチレンテレフタレート樹脂」と記載することもある。
変性ポリエチレンテレフタレート樹脂は、本発明の目的を阻害しない範囲で、テレフタル酸の他のジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体(C1−6アルキルエステルや酸ハロゲン化物等)に由来するジカルボニル単位を含んでいてもよい。変性ポリエチレンテレフタレート樹脂に含まれるテレフタロイル単位の他のジカルボニル単位の量は、全ジカルボニル単位中、5モル%以上50モル%以下が好ましく、7モル%以上30モル%以下がより好ましく、10モル%以上25モル%以下が特に好ましい。
変性成分に含まれるジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体として好適な化合物としては、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル等のC8−14の芳香族ジカルボン酸;コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等のC4−16のアルカンジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等のC5−10のシクロアルカンジカルボン酸;これらのジカルボン酸成分のエステル形成性誘導体(C1−6のアルキルエステル誘導体や酸ハロゲン化物等)が挙げられる。これらのジカルボン酸は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
これらのジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体の中では、イソフタル酸等のC8−12の芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体、並びに、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等のC6−12のアルカンジカルボン酸又はそのエステル形成誘導体がより好ましい。また、得られるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物が金属密着性及び機械的特性に優れることから、変性成分中のジカルボン酸又はそのエステル形成誘導体として、イソフタル酸、又はイソフタル酸のエステル形成性誘導体(イソフタル酸ジメチルエステル、イソフタル酸ジエチルエステル、イソフタル酸ジクロリド等)が特に好ましい。
変性ポリエチレンテレフタレート樹脂の製造に使用される変性成分は、本発明の目的を阻害しない範囲で、所定の量のジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体の他に、エチレングリコール及びそのエステル形成性誘導体の他のグリコール成分、ヒドロキシカルボン酸成分、ラクトン成分等を含んでいてもよい。変性ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物において、これらグリコール成分、ヒドロキシカルボン酸成分、ラクトン成分といった変性成分に由来する繰り返し単位の量は、変性ポリエチレンテレフタレート樹脂中の全繰り返し単位中、30モル%以下が好ましく、25モル%以下がより好ましく、20モル%以下が特に好ましい。
変性成分に含まれるグリコール成分としては、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−オクタンジオール等のC2−10のアルキレングリコール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のポリオキシアルキレングリコール;シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA等の脂環式ジオール;ビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシビフェニル等の芳香族ジオール;ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加体、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド3モル付加体等の、ビスフェノールAのC2−4のアルキレンオキサイド付加体;又はこれらのグリコールのエステル形成性誘導体(アセチル化物等)が挙げられる。これらのグリコール成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
変性成分に含まれるヒドロキシカルボン酸成分としては、4−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、4−カルボキシ−4’−ヒドロキシビフェニル等の芳香族ヒドロキシカルボン酸;グリコール酸、ヒドロキシカプロン酸等の脂肪族ヒドロキシカルボン酸;又はこれらのヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体(C1−6のアルキルエステル誘導体、酸ハロゲン化物、アセチル化物等)が挙げられる。これらのヒドロキシカルボン酸成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
変性成分に含まれるラクトン成分としては、プロピオラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン、カプロラクトン(ε−カプロラクトン等)等のC3−12ラクトンが挙げられる。これらのラクトン成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
(B)ポリエチレンテレフタレート樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。接合強度向上の観点では、上述の変性成分に由来する繰り返し単位が全繰り返し単位中4モル%未満(0モル%を含む)であるポリエチレンテレフタレート樹脂(「非変性ポリエチレンテレフタレート樹脂」と記載することもある)を含むことがより好ましい。
上述のようなポリエチレンテレフタレート樹脂は、本実施形態に係るポリブチレンテレフタレート樹脂組成物において、成形時のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の流動性を向上させ、金属部品表面の微細凹凸部に樹脂組成物を侵入し易くさせる効果を有するものと推測される。また、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の結晶化速度を低下させることにより収縮率を低下させ、冷却後に凹部で固化した樹脂が凹部から容易に離脱することを抑制する効果を奏するものと推測される。このような効果により、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の金属への密着性の向上に寄与するものと推測される。
本実施形態において、(B)ポリエチレンテレフタレート樹脂の含有量は、金属への密着性向上の効果を高める観点から、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂と(B)ポリエチレンテレフタレート樹脂の合計質量に対して1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上がより好ましく、また、機械特性や耐薬品性等の低下をより抑制する観点からは50質量%以下であることが好ましい。ポリエチレンテレフタレート樹脂の含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂とポリエチレンテレフタレート樹脂の合計質量に対して、40質量%以下であることがより好ましく、35質量%以下であることがさらに好ましく、30質量%以下であることが特に好ましい。さらに、10質量%以上25質量%以上であることが特に好ましい。
(C)エポキシ基含有オレフィン系共重合体
本実施形態のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、(c−1)α−オレフィン由来の構成単位と、(c−2)α,β−不飽和酸のグリシジルエステル由来の構成単位とを含む(C)エポキシ基含有オレフィン系共重合体を含む。特に、得られるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の誘電正接を低くできることから、通信機器部品用の材料に添加するエポキシ基含有オレフィン系共重合体としては、(メタ)アクリル酸エステル由来の構成単位を含まないオレフィン系共重合体が好ましい。なお、以下、(メタ)アクリル酸エステルを(メタ)アクリレートともいう。例えば、(メタ)アクリル酸グリシジルエステルをグリシジル(メタ)アクリレートともいう。また、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸とメタクリル酸との両方を意味し、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートとの両方を意味する。
(c−1)α−オレフィン由来の構成単位となるα−オレフィンとしては、特に限定されず、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン等が挙げられ、特にエチレンが好ましい。α−オレフィンは、1種単独で使用することも、2種以上を併用することもできる。(C)エポキシ基含有オレフィン系共重合体が(c−1)α−オレフィン由来の構成単位を含むことで、本実施形態に係るポリブチレンフタレート樹脂組成物から形成される樹脂部に可撓性が付与されやすい。可撓性の付与により樹脂部が軟らかくなることは、金属部品と樹脂部との間の接合強度の改善に寄与する。また、このようなエポキシ基含有オレフィン系共重合体を含むことにより、耐衝撃性向上の効果が得られやすい。
(c−2)α,β−不飽和酸のグリシジルエステル由来の構成単位となるα,β−不飽和酸のグリシジルエステルとしては、特に限定されず、例えば、アクリル酸グリシジルエステル、メタクリル酸グリシジルエステル、エタクリル酸グリシジルエステル等が挙げられ、特にメタクリル酸グリシジルエステルが好ましい。(c−2)α,β−不飽和酸のグリシジルエステルは、1種単独で使用することも、2種以上を併用することもできる。(C)エポキシ基含有オレフィン系共重合体がα,β−不飽和酸のグリシジルエステルを含むことで、金属部品と樹脂部との間の接合強度が向上する効果が得られやすい。
本実施形態においては、得られるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を、より誘電正接の低いものとするため、(C)エポキシ基含有オレフィン系共重合体が、(メタ)アクリル酸エステル由来の構成単位を含まない方が好ましいが、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、これを含んでもよい。(メタ)アクリル酸エステルとしては、特に限定されず、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−n−ヘキシル、アクリル酸−n−オクチル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸−n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−n−アミル、メタクリル酸−n−オクチル等のメタクリル酸エステルが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルは、1種単独で使用することも、2種以上を併用することもできる。得られるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の誘電正接を低くする観点からは、(メタ)アクリル酸エステル由来の構成単位を過剰に含まないほうが好ましい。なお、α,β−不飽和酸のグリシジルエステル由来の構成単位中にも、(メタ)アクリル酸エステル構造が含まれるため、α,β−不飽和酸のグリシジルエステル由来の構成単位を過剰に含む場合も、誘電正接が高くなる。そのため、本実施形態におけるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物全体に対する(メタ)アクリル酸エステル構造の含有量は、(メタ)アクリル酸エステル由来の構成単位として存在するもののみでなく、α,β−不飽和酸のグリシジルエステル由来の構成単位中に存在するものも含む量を指す。なお、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物全体に対する(メタ)アクリル酸エステル構造の含有量は、(C)エポキシ基含有オレフィン系共重合体に含まれる(メタ)アクリル酸エステル構造の含有量に限らず、他の成分にも(メタ)アクリル酸エステル構造が含まれる場合には、その含有量も含む合計値である。ただし、誘電正接を低く抑える観点では、他の成分としては(メタ)アクリル酸エステル構造を含むものを添加しないことが好ましい。ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物全体に対する(メタ)アクリル酸エステル構造の含有量は、1.5質量%以下が好ましく、1.0質量%以下がより好ましく、0.7質量%以下がさらに好ましく、0.5質量%以下が特に好ましい。
α−オレフィン由来の構成単位とα,β−不飽和酸のグリシジルエステル由来の構成単位とを含むオレフィン系共重合体、及び、更に(メタ)アクリル酸エステル由来の構成単位を含むオレフィン系共重合体は、従来公知の方法で共重合を行うことにより製造することができる。例えば、通常よく知られたラジカル重合反応により共重合を行うことによって、上記共重合体を得ることができる。共重合体の種類は、特に問われず、例えば、ランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよい。また、上記オレフィン系共重合体に、例えば、ポリメタアクリル酸メチル、ポリメタアクリル酸エチル、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリアクリル酸−2エチルヘキシル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル・スチレン共重合体、アクリル酸ブチル・スチレン共重合体等が、分岐状に又は架橋構造的に化学結合したオレフィン系グラフト共重合体であってもよい。
また、本実施形態において、(C)エポキシ基含有オレフィン系共重合体は、本発明の効果を害さない範囲で、他の共重合成分由来の構成単位を含有することもできる。
より具体的には、(C)エポキシ基含有オレフィン系共重合体としては、例えば、グリシジルメタクリレート変性エチレン系共重合体、グリシジルエーテル変性エチレン共重合体等が挙げられ、中でも、グリシジルメタクリレート変性エチレン系共重合体が好ましい。
グリシジルメタクリレート変性エチレン系共重合体としては、グリシジルメタクリレートグラフト変性エチレン重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート−アクリル酸メチル共重合体を挙げることができる。中でも、特に誘電正接に優れた金属樹脂複合成形体が得られることから、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体が好ましい。エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体の具体例としては、「ボンドファースト」(住友化学(株)製)等が挙げられる。
グリシジルエーテル変性エチレン共重合体としては、例えば、グリシジルエーテルグラフト変性エチレン共重合体、グリシジルエーテル−エチレン共重合体を挙げることができる。
(C)エポキシ基含有オレフィン系共重合体は、(C)エポキシ基含有オレフィン系共重合体中のエポキシ基含有量が(C)エポキシ基含有オレフィン系共重合体中0.1〜10.0質量%であることが好ましく、0.5〜4.0質量%であることがより好ましく、1.0〜3.0質量%であることがさらに好ましい。
(C)エポキシ基含有オレフィン系共重合体の含有量は、そのエポキシ基含有量にも依るが、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物全体に対し、0質量%超9質量%以下であることが好ましく、1.5質量%以上7質量%以下であることがより好ましく、3質量%以上6質量%以下であることがさらに好ましい。
ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物全体に対する、(C)エポキシ基含有オレフィン系共重合体中のエポキシ基の含有量は、0.01質量%以上0.35質量%未満が好ましく、0.02質量%以上0.30質量%以下であることがより好ましく、0.03質量%以上0.20質量%以下であることがさらに好ましく、0.05質量%以上0.25質量%以下であることが特に好ましい。
(C)エポキシ基含有オレフィン系共重合体の含有量、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物中の(C)エポキシ基含有オレフィン系共重合体由来のエポキシ基の含有量、又は(C)エポキシ基含有オレフィン系共重合体中のエポキシ基含有量が上記範囲内であると、良好な耐衝撃性を維持し易く、また、樹脂部と金属部品との間の良好な接合強度が得られ易い。
(D)ガラス繊維
本実施形態に係るポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、さらに、ガラス繊維を含むことができる。
(D)ガラス繊維としては、公知のガラス繊維をいずれも好ましく用いることができる。ガラス繊維径、ガラス繊維断面形状(円筒、繭形、長円断面等)、ストランド又はロービングを切断してチョップドストランド等を製造する際の長さ及びガラスカットの方法等は特に限定されない。本実施形態において、ガラス繊維の原料となるガラスの種類は特に限定されないが、品質上、Eガラスや、組成中にジルコニウム元素を含む耐腐食ガラスが好ましく用いられる。
一実施形態では、(D)ガラス繊維が、断面が長手形状である非円形断面を有することが好ましい。非円形断面を有するガラス繊維を用いることにより、成形品の成形収縮率及び線膨張係数を低下させ、寸法安定性を向上させることができ、また、耐衝撃性をより高めることができる。このような非円形断面を有するガラス繊維としては、図1A〜Cに示すような繭形(図1A)、長円形(図1B)、楕円形(図1C)、等の断面のものを使用することができる。これらの断面の異形比(図1のa:b)は1.5:1〜6:1であることが好ましく、2:1〜5:1であることがより好ましく、2.5:1〜4:1であることがさらに好ましい。異形比が上記範囲内であると、断面を扁平にした効果をより高めることができるとともに、繊維が扁平になりすぎ割れやすくなることによる強度の低下をより抑制することができる。
また、(D)ガラス繊維と、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂、(B)ポリエチレンテレフタレート樹脂、及び(C)エポキシ基含有オレフィン系共重合体からなる樹脂マトリックスとの界面特性を向上させる目的で、ガラス繊維を、シラン化合物やエポキシ化合物等の有機処理剤で表面処理することもできる。シラン化合物やエポキシ化合物の種類は特に限定されず、公知のものをいずれも好ましく用いることができる。
(D)ガラス繊維を含む場合、(D)ガラス繊維の含有量は、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂と(B)ポリエチレンテレフタレート樹脂の合計100質量部に対し、20質量部以上100質量部以下であることが好ましく、30質量部以上90質量部以下であることがより好ましく、40質量部以上80質量部以下であることがさらに好ましい。(D)ガラス繊維の含有量が(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂と(B)ポリエチレンテレフタレート樹脂の合計100質量部に対し20質量部以上であると、耐衝撃性をより高めることができ、また80質量部以下であると、成形時の樹脂組成物の流動性の低下をより抑制することができる。
(E)その他の成分
本実施形態に係るポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、目的に応じて、上述の(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂、(B)ポリエチレンテレフタレート樹脂、(C)エポキシ基含有オレフィン系共重合体、及び(D)ガラス繊維以外の成分を任意に含んでもよい。(E)その他の成分としては、酸化防止剤、耐熱安定剤、分子量調整剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、染料、顔料、潤滑剤、離型剤、結晶化促進剤、結晶核剤、近赤外線吸収剤、難燃剤、難燃助剤、ガラス繊維以外の充填剤等が挙げられるがこれらに限定されない。
なお、本実施形態に係るポリブチレンテレフタレート樹脂組成物において、上記(A)〜(D)成分の含有量の合計が、全組成物中の70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。上限は特に限定されず100質量%であってもよい。上記(A)〜(D)成分の含有量の合計を上記範囲内とすることにより、より優れた金属との密着性及び誘電正接を得ることができる。
本実施形態に係るポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の形態は、上記(A)〜(C)成分を少なくとも含み、好ましくは上記(A)〜(D)成分を少なくとも含むものであれば特に限定されない。例えば、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の全成分が、溶融混練、又は溶融成形等の方法により一体化された、ペレット、フレーク、又は粉末の形態とすることができる。
(ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法)
ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、熱可塑性樹脂組成物の製造方法として知られる種々の方法によって製造することができる。好適な方法としては、例えば、1軸又は2軸押出機等の溶融混練装置を用いて、各成分を混練して押出しペレットとする方法が挙げられる。
本実施形態に係るポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、空洞共振器摂動法で測定した2GHzにおける誘電正接が0.01以下であることが好ましい。空洞共振器摂動法で測定した2GHzにおける誘電正接は、成形温度260℃、金型温度80℃で射出成形して作製した所定の形状(断面1.8mm×1.8mm、長さ80mm)の試験片を用い、2GHzにおける誘電正接を空洞共振器摂動法により23℃で測定した値である。
<ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の成形品>
本実施形態に係るポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の成形品を得る方法としては、特に限定はなく、公知の方法を採用することができる。例えば、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物のペレットを所定の金型を装備した射出成形機に投入し、射出成形することで製造することができる。
<金属複合部品>
上述のとおり、本実施形態に係るポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は金属への密着性に優れるため、金属複合部品に好適に用いることができる。従って、本発明の一実施形態は、上述の実施形態に係るポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の成形品からなる樹脂部と、金属部品とを含む金属複合部品に関する。
本実施形態に係る金属複合部品は、樹脂部と金属部品との接合強度が25MPa以上であることが好ましく、30MPa以上であることがより好ましく、32MPa以上であることがさらに好ましい。
本明細書において、樹脂部と金属部品との接合強度は、例えば、以下のように測定することができる。測定条件の例を実施例に詳述する。
(1)ISO19095に規定される形状を有する金属複合部品試験片を作製し、
(2)ISO19095に規定されるように、金属部品を固定した状態で、金属部品から樹脂部を押し剥がすように加重し、
(3)金属部品から樹脂部が剥がれた時点での荷重(N)を測定し、接合強度(MPa)を算出する。
本実施形態に係る金属複合部品を構成する金属部品の材料は特に制限されず、例えば、アルミニウム、銅、鉄、マグネシウム、ニッケル、チタン等の金属;アルミニウム合金、燐青銅、ステンレス等の合金;異種の金属の貼合わせ体等が挙げられる。また、金属部品を構成する材料は金属に限定されず、表面に金属層を有する部品であればよい。表面に金属層を有する部品の例としては、ニッケル、クロム、金等の金属によりメッキ処理された部品等が挙げられる。
金属部品の形状は、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物と複合化できるものであれば特に制限されず、板状、筒状、棒状等の種々の形状の部品を使用できる。金属部品は、ネジ止めするためのボスや、補強のためのリブ、歯車等の部品を取り付けるための挿入孔等、電気・電子製品等の最終製品を組み立てるために必要な種々の構成要素を有していてもよい。金属部品と樹脂部とが接触する部分の形状は特に制限されず、四角形、円形、楕円形等の任意の形状を選択すればよい。また、金属部品と樹脂部とが接触する面の形状は特に制限されず、平面でも曲面であってもよい。金属部品と樹脂部とが接触する面は、単一の平面又は曲面には制限されず、金属板の平面又は曲面の内部に凸部や凹部を有していてもよい。金属部品と樹脂部とが接触する部分の面積は特に制限されない。
金属部品は、樹脂部と接触する部分の少なくとも一部が予め粗化処理(微細凹凸処理)されたものであることが好ましい。
金属部品の表面に微細な凹凸を形成する粗化処理の方法は特に限定されず、金属の材質や形状、要求特性等に応じて、従来から行われている金属粗化処理方法から適宜選択できる。金属表面に微細凹凸を形成する処理としては、例えばケミカルエッチングやアルミニウムへのアルマイト処理、液体ホーニングやサンドブラスト等の物理処理の他、無電解メッキ等による加工が挙げられる。ケミカルエッチングは、金属表面を化学薬品等で処理する方法であり、金属の種類や処理する目的に応じて種々の方法が知られ、様々な産業分野で利用されている。金属部品の粗化処理方法としてケミカルエッチングを行う場合、ケミカルエッチング方法は特に限定されず、従来の方法からいずれも選択できる。ケミカルエッチング方法の具体例としては、例えば特開平10−96088号公報や特開平10−56263号公報に記載される方法等が挙げられる。
例えば金属部品の材料がアルミニウム又はアルミニウム合金である場合、(1)酸性水溶液及び/又は塩基性水溶液による微細エッチング、又は(2)、金属部品表面に酸化皮膜を形成した後、酸化皮膜を除去し、次いでアンモニア、ヒドラジン、水溶性アミン化合物等により金属部品表面を処理する方法が好ましい。具体的には、特開2006−001216号公報記載の方法によって処理されたものを用いることができる。
また、アルミニウムに対して施す一般的な表面処理法であるアルマイト処理によれば、酸を用いてアルミニウムを陽極で電気分解させることにより、数十nm〜数十μmオーダーの多孔質を形成することが可能である。また、表面に凹部を形成するばかりではなく、逆に凸部を形成する方法としてTRI処理等が知られている。
このように、化学的、あるいは物理的、電気的な手法等を用いて、あるいはこれらを組み合わせることにより、金属部品の表面に数十nm〜数十μmサイズの凹凸を形成することで、金属部品とポリブチレンテレフタレート樹脂組成物との密着性をより優れたものとできる。
(金属複合部品の製造方法)
本実施形態に係る金属複合部品の製造方法は特に限定されないが、例えば、金属部品を金型に載置した後、成形機によりポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を供給し、インサート成形により製造することができる。金属複合部品の製造に用いる成形機は、金属部品とポリブチレンテレフタレート樹脂組成物との複合成形体を形成できれば特に限定されず、射出成形機、押出し成形機、圧縮成形機等の従来金属複合部品の成形に使用される種々の成形機を使用できる。金属部品の金型への設置の容易さや装置の簡便さ、金属複合部品の生産性に優れる点で射出成形機を用いることが好ましい。その他の方法としては、予め射出成形法等の一般的な成形方法で樹脂組成物の成形品を製造し、金属部品と上記樹脂成形品とを、所望の接合位置で当接させ、当接面に熱を与えることで、樹脂成形品の接合面付近を溶融させて金属複合部品を製造する方法等が挙げられる。
本実施形態に係る金属複合部品は、金属部品と樹脂部との密着性に優れるものである。このため、本実施形態の金属複合部品は、例えば、種々の電気・電子製品の部品として好適に使用される。本発明の方法により得られた金属複合部品を用いる好適な電気・電子製品の例としては、携帯電話機、デジタルカメラ、携帯情報端末(PDA)、携帯ゲーム端末、電子書籍リーダー等の携帯端末、ノート型パーソナルコンピュータ、卓上型パーソナルコンピュータ等のコンピュータ、複写機、プリンタ、ファクシミリ等のOA機器が挙げられる。本実施形態の金属複合部品は、耐衝撃性等の強度、軽量性、及び意匠性等にも優れるため、携帯端末、コンピュータ、OA機器等の筐体として特に好適に使用することができる。さらに本実施形態の金属複合部品は、低誘電率に基づく通信特性にも優れるため、通信機器部品として好適に使用することができる。
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の製造>
各成分の詳細は以下の通りである。
PBT:固有粘度0.69のポリブチレンテレフタレート樹脂(ウィンテックポリマー株式会社製 ジュラネックス(登録商標))
PET:固有粘度0.68の非変性ポリエチレンテレフタレート樹脂
変性PET:固有粘度0.64の12.5モル%イソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレート樹脂
PC:数平均分子量20000のポリカーボネート樹脂
EGMA系エラストマー1:エチレン・メチルアクリレート・グリシジルメタクリレート共重合体(エポキシ基含有量1質量%、メチルアクリレート単位含有量27質量%、グリシジルメタクリレート単位含有量3質量%)
EGMA系エラストマー2:エチレン・メチルアクリレート・グリシジルメタクリレート共重合体(エポキシ基含有量2質量%、メチルアクリレート単位含有量27質量%、グリシジルメタクリレート単位含有量6質量%)
EGMA系エラストマー3:エチレン・グリシジルメタクリレート共重合体(エポキシ基含有量4質量%、メチルアクリレート単位含有量0質量%、グリシジルメタクリレート単位含有量12質量%)
EGMA系エラストマー4:エチレン・グリシジルメタクリレート共重合体(エポキシ基含有量2質量%、メチルアクリレート単位含有量0質量%、グリシジルメタクリレート単位含有量6質量%)
コアシェル(グリシジル基不含):アクリル酸アルキル・メタクリル酸アルキル共重合体
エチレン−オクテン共重合体:エチレン−オクテン−1共重合体(ダウ・ケミカル日本株式会社製 エンゲージ 8440)
EEA:エチレン・エチルアクリレート共重合体(株式会社NUC製 NUC−6570)
エチレン−ブテン共重合体:(株式会社プライムポリマー製 ネオゼックス20201J)
ガラス繊維1:円形断面を有するガラス繊維(日東紡績株式会社製 CSF3PE−941、断面形状:円形(異形比1)、断面の直径13μm、長さ3.8mm)
ガラス繊維2:非円形断面を有するガラス繊維(日東紡績株式会社製 CSH3PA−860、断面形状:繭形(異形比2)、断面の長径20μm、断面の短径10μm、長さ3.0mm)
ガラス繊維3:非円形断面を有するガラス繊維(日東紡績株式会社製 CSG3PA−830、断面形状:長円形(異形比4)、断面の長径28μm、断面の短径7μm、長さ3.0mm)
表1に示す成分を、表1〜4に示す含量(質量部)の比率でドライブレンドし、2軸押出機((株)日本製鋼所製TEX−30α)を用いて、シリンダー温度260℃、吐出量15kg/hr、スクリュー回転数130rpmの条件で溶融混練してポリブチレンテレフタレート樹脂組成物のペレットを製造した。
<評価>
得られたペレットを用いて、以下の評価を行った。結果を表1〜5に示す。
(1)表面粗さ(Ra)
得られた樹脂組成物のペレットを、成形温度260℃、金型温度80℃、保圧力80MPaで、ISO3167(Type A試験片)に準じた試験片に成形した。試験片の形状を図2に示す。表面粗さ測定機(株式会社ミツトヨ製 サーフテストエクストリーム SV−3000)を用いて、環境条件下(通常約23℃)で、図2中の点Aと点A’を結ぶ直線上の任意の5点(各点の測定長:0.8mm)の算術表面粗さ(Ra)を測定し、その平均値を算出した。
(2)収縮率(%)
得られた樹脂組成物のペレットを、成形温度260℃、金型温度80℃、保圧力80MPaで、ISO3167(Type A試験片)に準じた試験片に成形した。試験片の形状を図2に示す。デジタルノギス(株式会社ミツトヨ製 CD−45C)を用いて、環境条件下(通常約23℃)で、図2中のlの長さ(mm)を測定し、当該箇所の金型寸法(180mm)で除して、下式に従って収縮率を算出した:
(式) 収縮率(%)={1−(l/180)}×100(%)
(3)シャルピー衝撃強度
得られた樹脂組成物のペレットを、成形温度260℃、金型温度80℃で、射出成形し、シャルピー衝撃試験片を作製し、ISO179/1eAに定められている評価基準に従い、23℃の条件で評価した。
(4)接合強度
(4−1)試験片作製
以下、樹脂組成物の金属への密着性の評価方法として、ISO19095に準拠して樹脂部と金属部品との接合強度を測定した。射出成形機(ソディック社製、TR−40VR)を用いて、金型温度を140℃に設定して、金型内に金属部品を載置した後に、以下の条件にて、密着性評価用の試験片を射出成形した。なお、金属部品は、ケミカルエッチングの類として知られる“大成プラス社のNMT処理”を施し表面を粗化されたアルミニウム(A5052)の板を用いた。
射出成形条件
シリンダー(樹脂)温度:260℃
射出速度 :100mm/秒
保圧力 :98MPa
(4−2)評価
まず、ISO19095に準拠して、樹脂部とアルミニウム板とを剥離させた時の最大荷重(N)を測定した。密着性の評価には、(株)オリエンテック社製、テンシロンUTA−50KNを用い、環境条件下(通常約23℃)で行った。表1〜4中、A〜Dは下記の通りである。
A: ≧30MPa
B: 25MPa以上30MPa未満
C: 20MPa以上25MPa未満
D: 20MPa未満
(5)誘電正接
Agilent社製ネットワークアナライザー8757D及び関東電子株式会社製空洞共振器複素誘電率測定装置を用い、2GHzにおける誘電正接を空洞共振器摂動法により23℃で測定した。なお、測定には、成形温度260℃、金型温度80℃で射出成形して作製した所定の形状(断面1.8mm×1.8mm、長さ80mm)の試験片を用いた。
Figure 2017115757
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実施例1〜8に示されるとおり、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂と、(B)ポリエチレンテレフタレート樹脂と、(c−1)α−オレフィン由来の構成単位及び(c−2)α,β−不飽和酸のグリシジルエステル由来の構成単位を含む(C)エポキシ基含有オレフィン系樹脂とを含み、成形品の表面粗さが0.50μm以下であり、かつポリブチレンテレフタレート樹脂組成物全体に対し、(C)エポキシ基含有オレフィン系共重合体に由来するエポキシ基の含有量が0.01質量%以上0.35質量%以下、及び(メタ)アクリル酸エステル構造の含有量が1.5質量%以下である樹脂組成物を用いた場合に、接合強度が30MPa以上、誘電正接が0.010以下となり、樹脂部と金属部との密着性及び誘電正接に優れる金属複合部品が得られることが判明した。また、これらの実施例では良好なシャルピー衝撃強度が維持されており、金属密着性と耐衝撃性のバランスに優れた樹脂組成物が得られることが分かる。
日本国特許出願第2015−256281号の開示はその全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書に参照により取り込まれる。

Claims (11)

  1. (A)ポリブチレンテレフタレート樹脂と、(B)ポリエチレンテレフタレート樹脂と、(c−1)α−オレフィン由来の構成単位及び(c−2)α,β−不飽和酸のグリシジルエステル由来の構成単位を含む(C)エポキシ基含有オレフィン系共重合体と、を含み、
    成形温度260℃、金型温度80℃、及び保圧力80MPaの条件で成形した、ISO3167 Type A試験片に準じた成形品の表面粗さが0.50μm以下であり、
    ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物全体に対し、(C)エポキシ基含有オレフィン系共重合体中のエポキシ基の含有量が0.01質量%以上0.35質量%以下、及び、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物全体に対し、(メタ)アクリル酸エステル構造の含有量が1.5質量%以下である、
    ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
  2. 空洞共振器摂動法で測定した2GHzにおける誘電正接が0.01以下である、請求項1に記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
  3. さらに(D)ガラス繊維を含む、請求項1又は2に記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
  4. 成形品のISO179/1eAに準拠する方法で測定したシャルピー衝撃強度が7kJ/m以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
  5. (C)エポキシ基含有オレフィン系共重合体が、(メタ)アクリル酸エステル由来の構成単位を含まない、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
  6. 成形温度260℃、金型温度80℃、及び保圧力80MPaの条件で成形した、ISO3167 Type A試験片に準じた成形品の収縮率が0.20以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
  7. 金属複合部品用である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物からなる樹脂部と、金属部品とを含む、金属複合部品。
  9. 前記金属部品は微細凹凸処理表面を有する、請求項8に記載の金属複合部品。
  10. 前記ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物からなる樹脂部と、金属部品との接合強度が30MPa以上である、請求項8又は9に記載の金属複合部品。
  11. 前記金属複合部品が、通信機器部品である、請求項8〜10のいずれか1項に記載の金属複合部品。
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