JPWO2017110676A1 - エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
水洗処理を施すことにより、水洗処理を施さない場合と比べて、フィッシュアイの発生が抑制できたことが開示されている(実施例、表1)。
ホウ素による架橋は、図1に示すように、ホウ素の3配位(平面3配位)による場合と4配位(4面体型4配位)による場合とがある。
本発明者らは、ホウ酸類を含有するEVOH系樹脂組成物について鋭意検討した結果、4配位構造のホウ素が存在することが、EVOH系樹脂の粘度上昇に有利であることを見出した。ホウ酸は、通常、樹脂組成物中において、ホウ素が3配位構造の状態で存在しているが、本発明者らは、3配位の状態で含有されているホウ素を、4配位構造に変換できる方法を見出し、本発明を完成した。
伸長歪速度が100sec-1での210℃における伸長粘度は、1.0×102〜1.0×106Pa・sであることが好ましい。
ホウ酸類を含有するエチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物のペーストを、加温・加圧下で、ホウ酸類及びアルカリ金属塩を含有する水溶液と接触させることにより、前記ペーストに含まれるホウ酸類中のホウ素の少なくとも一部を4配位構造に変換させる工程を含み、
前記水溶液は、前記エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物組成物中の該エチレン−ビニルエステル系共重合体あたりのホウ酸類の含有量がホウ素換算で1〜350ppmで、該エチレン−ビニルエステル系共重合体あたりのアルカリ金属塩の含有量が金属換算で300〜1000ppmとなるように、ホウ酸類及びアルカリ金属塩を含有している水溶液である。
また、前記接触は、前記エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物のペーストを、前記水溶液と混錬しながら行うことが好ましい。
また、前記水溶液中のホウ酸類の濃度は、ホウ素換算で1〜50ppm、アルカリ金属塩濃度は金属換算で50〜1500ppmであることが好ましい。
また、本発明のEVOH系樹脂組成物の製造方法は、従来の製造方法において、EVOH系樹脂ペーストの処理液の組成を変えるだけで対応可能であり、生産上、有利である。
(1)EVOH系樹脂
本発明のEVOH系樹脂組成物に用いられるEVOH系樹脂は、通常、エチレンとビニルエステル系モノマーとの共重合体(エチレン−ビニルエステル系共重合体)をケン化させることにより得られる樹脂であり、非水溶性の熱可塑性樹脂である。上記モノマーの共重合は、公知の任意の重合法、例えば、溶液重合、懸濁重合、エマルジョン重合を用いて行うことができるが、一般的にはメタノール等の低級アルコール、特に好ましくはメタノールを溶媒とする溶液重合が用いられる。得られたエチレン−ビニルエステル系共重合体のケン化も公知の方法で行い得る。
このようにして製造されるEVOH系樹脂は、エチレン由来の構造単位とビニルアルコール構造単位を主とし、場合によっては、ケン化されずに残存した若干量のビニルエステル構造単位を含む。
かかる共重合に用いられる溶媒としては、通常、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の低級アルコールやアセトン、メチルエチルケトン等のケトン類等が挙げられ、工業的には、メタノールが好適に使用される。
ケン化に使用される触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート、リチウムメチラート等のアルカリ金属の水酸化物やアルコラートの如きアルカリ触媒、硫酸、塩酸、硝酸、メタンスルフォン酸、ゼオライト、カチオン交換樹脂等の酸触媒が挙げられる。
前記コモノマーとしては、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等のオレフィン類、3−ブテン−1−オール、3−ブテン−1,2−ジオール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1,2−ジオール等のヒドロキシ基含有α−オレフィン類やそのエステル化物、アシル化物などの誘導体;2−メチレンプロパン−1,3−ジオール、3−メチレンペンタン−1,5−ジオール等のヒドロキシアルキルビニリデン類;1,3−ジアセトキシ−2−メチレンプロパン、1,3−ジプロピオニルオキシ−2−メチレンプロパン、1,3−ジブチロニルオキシ−2−メチレンプロパン等のヒドロキシアルキルビニリデンジアセテート類;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいは炭素数1〜18のモノまたはジアルキルエステル類;アクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等のアクリルアミド類;メタアクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、2−メタクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等のメタクリルアミド類;N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニルアミド類;アクリルニトリル、メタクリルニトリル等のシアン化ビニル類;炭素数1〜18のアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、アルコキシアルキルビニルエーテル等のビニルエーテル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル化合物類;トリメトキシビニルシラン等のビニルシラン類;酢酸アリル、塩化アリル等のハロゲン化アリル化合物類;アリルアルコール、ジメトキシアリルアルコール等のアリルアルコール類;トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロリド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のコモノマーが挙げられる。
かかる1,2−ジオール構造を側鎖に有するEVOH系樹脂は、側鎖に1,2−ジオール構造単位を含むものである。かかる1,2−ジオール構造単位とは、具体的には下記一般式(1)で示される構造単位である。
R1〜R3は、通常炭素数1〜30、特には炭素数1〜15、さらには炭素数1〜4の飽和炭化水素基または水素原子が好ましく、水素原子が最も好ましい。R4〜R6は、通常炭素数1〜30、特には炭素数1〜15、さらには炭素数1〜4のアルキル基または水素原子が好ましく、水素原子が最も好ましい。特に、R1〜R6がすべて水素であるものが最も好ましい。
なお、本発明の効果を阻害しない範囲であれば結合鎖であってもよい。かかる結合鎖としては特に限定されないが、例えば、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、フェニレン、ナフチレン等の炭化水素鎖(これらの炭化水素はフッ素、塩素、臭素等のハロゲン等で置換されていても良い)の他、−O−、−(CH2O)m−、−(OCH2)m−、−(CH2O)mCH2−等のエーテル結合部位を含む構造;−CO−、−COCO−、−CO(CH2)mCO−、−CO(C6H4)CO−等のカルボニル基を含む構造;−S−、−CS−、−SO−、−SO2−等の硫黄原子を含む構造;−NR−、−CONR−、−NRCO−、−CSNR−、−NRCS−、−NRNR−等の窒素原子を含む構造;−HPO4−等のリン原子を含む構造などのヘテロ原子を含む構造;−Si(OR)2−、−OSi(OR)2−、−OSi(OR)2O−等の珪素原子を含む構造;−Ti(OR)2−、−OTi(OR)2−、−OTi(OR)2O−等のチタン原子を含む構造;−Al(OR)−、−OAl(OR)−、−OAl(OR)O−等のアルミニウム原子を含む構造などの金属原子を含む構造等が挙げられる。なお、Rは各々独立して任意の置換基であり、水素原子、アルキル基が好ましく、またmは自然数であり、通常1〜30、好ましくは1〜15、さらに好ましくは1〜10である。その中でも製造時あるいは使用時の安定性の点で−CH2OCH2−、および炭素数1〜10の炭化水素鎖が好ましく、さらには炭素数1〜6の炭化水素鎖、特には炭素数1であることが好ましい。
本発明のEVOH系樹脂組成物に含有されるホウ素は、通常、ホウ酸類、すなわちホウ酸又はその塩として含有されている。かかるホウ酸塩としては、例えばホウ酸カルシウム、ホウ酸コバルト、ホウ酸亜鉛(四ホウ酸亜鉛,メタホウ酸亜鉛等)、ホウ酸アルミニウム・カリウム、ホウ酸アンモニウム(メタホウ酸アンモニウム、四ホウ酸アンモニウム、五ホウ酸アンモニウム、八ホウ酸アンモニウム等)、ホウ酸カドミウム(オルトホウ酸カドミウム、四ホウ酸カドミウム等)、ホウ酸カリウム(メタホウ酸カリウム、四ホウ酸カリウム、五ホウ酸カリウム、六ホウ酸カリウム、八ホウ酸カリウム等)、ホウ酸銀(メタホウ酸銀、四ホウ酸銀等)、ホウ酸銅(ホウ酸第2銅、メタホウ酸銅、四ホウ酸銅等)、ホウ酸ナトリウム(メタホウ酸ナトリウム、二ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、五ホウ酸ナトリウム、六ホウ酸ナトリウム、八ホウ酸ナトリウム等)、ホウ酸鉛(メタホウ酸鉛、六ホウ酸鉛等)、ホウ酸ニッケル(オルトホウ酸ニッケル、二ホウ酸ニッケル、四ホウ酸ニッケル、八ホウ酸ニッケル等)、ホウ酸バリウム(オルトホウ酸バリウム、メタホウ酸バリウム、二ホウ酸バリウム、四ホウ酸バリウム等)、ホウ酸ビスマス、ホウ酸マグネシウム(オルトホウ酸マグネシウム、二ホウ酸マグネシウム、メタホウ酸マグネシウム、四ホウ酸三マグネシウム、四ホウ酸五マグネシウム等)、ホウ酸マンガン(ホウ酸第1マンガン、メタホウ酸マンガン、四ホウ酸マンガン等)、ホウ酸リチウム(メタホウ酸リチウム、四ホウ酸リチウム、五ホウ酸リチウム等)などの他、ホウ砂、カーナイト、インヨーアイト、コトウ石、スイアン石、ザイベリ石等のホウ酸塩鉱物などが挙げられ、好適にはホウ砂、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム(メタホウ酸ナトリウム、二ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、五ホウ酸ナトリウム、六ホウ酸ナトリウム、八ホウ酸ナトリウム等)が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、アルカリ金属塩を含有することが好ましい。アルカリ金属塩は、ケン化反応時に用いたアルカリ触媒の残存物として、あるいは、熱安定化剤として添加されることにより、従来より、通常、樹脂組成物中に含有されている。一方、ホウ酸類は、EVOH系樹脂の架橋剤として知られている。そして、EVOH系樹脂組成物におけるホウ素の配位構造は、共存するアルカリ金属の含有比率の影響を受けることが判明した。本発明の樹脂組成物においては、ホウ酸類のホウ素が安定的に4配位構造で存在できるような濃度で、アルカリ金属塩が含有されていることが好ましい。よって、アルカリ触媒を用いない場合、熱安定化剤としてアルカリ金属塩以外の熱安定化剤が用いられた場合であっても、本発明の樹脂組成物では、後述する本発明の組成物の製造方法において、アルカリ金属塩の含有量が所定濃度となるような含有処理により、添加されることが好ましい。
これらのうち、ケン化工程で発生する副生物と同じであるとの観点から、酢酸のアルカリ金属塩が好ましい。また、金属の種類としては、ナトリウム塩、カリウム塩が好ましく用いられ、より好ましくはナトリウム塩である。
また、アルカリ金属塩がナトリウム塩の場合、ナトリウム塩の含有量は特に限定しないが、EVOH系樹脂あたり、ナトリウム換算で300ppm以上とすることが好ましく、より好ましくは300〜1000ppm、さらに好ましくは310〜1000ppm、特に好ましくは320〜800ppmである。
ホウ酸類による架橋構造は、ナトリウムやカリウムのようなアルカリ金属又はカルシウムやマグネシウム等のアルカリ土類金属の影響をうける。これらの金属塩のうち、塩基性が強いアルカリ金属を用いる場合にホウ素が4配位構造を形成しやすく、特にナトリウム塩である場合にホウ素が4配位構造を形成しやすいので、好ましく用いられる。
本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲(通常、樹脂組成物中の5重量%以下)において、一般にEVOH系樹脂に配合する配合剤などを含有してもよい。
伸長粘度は、一定の歪速度、一定温度下での粘度を溶融樹脂の進行変形下の粘度で表され、流路の縮小部や多層合流部など、樹脂の流速が加減速する箇所の樹脂流動を支配している。従って、伸長粘度は、溶融紡糸、フィルム成形、ブロー成型などの溶融成形性、加工性の評価指標として用いることができる。伸長粘度が高いほど、成形加工性は良好である。
本発明の樹脂組成物、すなわち、4配位構造のホウ素を含有するEVOH系樹脂組成物は、以下のようにして製造できる。
本発明のEVOH系樹脂組成物の製造方法は、ホウ酸類を含有するEVOH系樹脂組成物のペースト(以下「ホウ酸類含有EVOH系樹脂ペースト(II)」という)を、加温・加圧下で、ホウ酸類及びアルカリ金属塩を含有する水溶液(処理液)と接触させることにより、前記ペーストに含有されるホウ酸類中のホウ素の少なくとも一部を4配位構造に変換させる工程(以下、「4配位化処理工程」と称することがある)を含むところに特徴があり、前記4配位化処理工程における、
(1)4配位化処理前EVOH系樹脂ペーストの組成;
(2)4配位化処理前EVOH系樹脂ペーストの温度;
(3)4配位化処理液の組成;
(4)4配位化処理液の温度;
(5)4配位化処理容器内の圧力;
(6)4配位化処理時間;
(7)4配位化処理後EVOHペーストのアルカリ金属含有量;又は
(8)上記(1)〜(7)から選ばれる2以上の組み合わせ
により、4配位構造に変換させることができる。
EVOH系樹脂含水ペースト(I)は、ホウ酸類含有処理に供されるペースト状のEVOH系樹脂(又はEVOH系樹脂組成物)で、4配位化処理工程に供されるEVOH系樹脂ペーストとは区別される。
EVOH系樹脂含水ペースト(I)は、通常、水及びアルコールを含有したゴム状またはゼリー状の、柔らかく流動性がある状態のEVOH系樹脂含水組成物である。
ケン化により生じたカルボン酸の一部は残存している。このため、ケン化触媒がアルカリ触媒の場合、カルボン酸金属塩となって副生される場合がある。例えば、上記ビニルエステルとして酢酸ビニルを用い、水酸化ナトリウムを触媒として用いた場合、アルカリ金属塩である酢酸ナトリウムが副生物として、EVOH系樹脂含水ペースト(I)中に含まれ得る。
かかるEVOH系樹脂含水ペースト(I)中に含まれ得るアルカリ金属塩の含有量は、EVOH系樹脂あたりのアルカリ金属換算で、通常1000〜4000ppm残存し得る。
上記棚段塔式では、その理論段数は通常2〜20段であり、好ましくは5〜15段である。また、充填塔式でも、それに準じて充填物量が設定される。このような塔型容器に、EVOH系樹脂のアルコール溶液と水蒸気および/または水とが導入され、両者が接触することによってEVOH系樹脂溶液中のアルコールの一部が水に置換され、EVOH系樹脂含水ペースト(I)が導出される。
ホウ酸類含有EVOH系樹脂ペースト(II)は、上記で調製したEVOH系樹脂含水ペースト(I)にホウ酸類を含有させることにより調製される。
ホウ酸類含有液におけるホウ酸類の濃度は、最終的に得ようとするEVOH系樹脂組成物の濃度により適宜選択される。通常、水に対するホウ酸類の含有量は、ホウ素換算にて、1〜350ppmとすることが好ましく、より好ましくは10〜330ppm、さらに好ましくは15〜300ppmである。
かかる配合剤としては、例えば、アルカリ金属塩以外の熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、滑剤、可塑剤、光安定剤、界面活性剤、抗菌剤、乾燥剤、アンチブロッキング剤、難燃剤、架橋剤、硬化剤、発泡剤、結晶核剤、防曇剤、生分解用添加剤、シランカップリング剤、酸素吸収剤などが挙げられる。
ホウ酸類含有EVOH系樹脂ペースト(II)において、ホウ酸類濃度、アルカリ金属塩濃度を上記範囲に調節しておくことにより、次に行うホウ素4配位化変換が効率的に行うことができる。
ホウ酸類含有EVOH系樹脂ペースト(II)を、加温・加圧下で、処理液と接触させることにより、含有されているホウ素を4配位化する。4配位化処理を行うと同時に、ホウ酸類濃度、及びアルカリ金属塩濃度を、最終的に得ようとするEVOH系樹脂組成物におけるこれらの濃度への調節を行うことが好ましい。
処理液の組成は、最終的に得ようとするEVOH系樹脂組成物の組成、使用するホウ酸類含有EVOH系樹脂ペースト(II)の組成に応じて、適宜設定される。すなわち、4配位化処理に用いる処理液は、ホウ酸類含有EVOH系樹脂ペースト(II)のホウ酸類及びアルカリ金属塩の含有量を、最終的に得ようとするEVOH系樹脂組成物の組成(ホウ酸類濃度、アルカリ金属塩濃度)に調節するために用いられる水溶液である。
また、リン酸化合物を添加する場合、処理後に得られる4配位ホウ素含有EVOH系樹脂ペースト(III)中のリン酸化合物の含有量は、EVOH系樹脂ペーストに対してリン酸根換算で(イオンクロマトグラフィーにて分析)で通常、リン酸根換算で1〜1000ppmである。上記含有量が少なすぎると溶融成形時が着色しやすくなる傾向が見られ、逆に多すぎると成形物のゲルやフィッシュアイが発生しやすくなる場合がある。従って、処理液におけるリン酸化合物の濃度は、通常1〜3000ppmであり、好ましくは10〜1000ppm、さらに好ましくは20〜500ppmである。
上記4配位化処理液との接触は、加温・加圧下で行う。さらにはせん断力を付与した状態で、行うことが好ましい。
連続処理方法としては、ホウ酸類含有EVOH系樹脂ペースト(II)に連続的に処理液を供給して晒す方法;処理液中に連続的にホウ酸類含有EVOH系樹脂ペースト(II)を容器内に導入する方法;容器内に処理液、ホウ酸類含有EVOH系樹脂ペースト(II)の双方を導入する方法などが挙げられる。
また、導入されるホウ酸類含有EVOH系樹脂ペースト(II)の温度は、通常50〜120℃であり、好ましくは60〜120℃である。
上記導入されたペーストと濃度調整処理液との接触は向流、並流のいずれでも可能であるが、置換効率の観点から向流で接触させることが好ましい。
処理液とホウ酸類含有EVOH系樹脂ペースト(II)との接触処理は、せん断力を付与しながら行うことが好ましい。具体的には、処理液中でホウ酸類含有EVOH系樹脂ペースト(II)にせん断力を付与しながら接触させることが好ましい。以下、かかる操作を液相混錬と称することがある。
上記液相混錬は、ホウ酸類含有EVOH系樹脂ペースト(II)をスクリュー等により混錬しながら表面更新し、かつ処理液を連続的に供給し、当該EVOH系樹脂ペースト(II)内部まで、均一に処理液と接触させるものである。
また、処理水の滞留時間は、通常0.5〜20時間であり、好ましくは0.5〜15時間である。
4配位ホウ素含有EVOH系樹脂ペースト(III)のペレット化方法は、特に限定しないが、以下の方法で行うことが好ましい。
4配位ホウ素含有EVOH系樹脂ペースト(III)を、孔又はスリットを通して押出し、カットしてペレットを得る方法(例えばホットカットやアンダーウォーターカット等)や、シート状またはストランド状に押し出して冷却固化し、得られたストランドまたはシートをカットしてペレットを得る方法があげられる。得られたペレットを各種の公知の乾燥方法にて乾燥すればよい。
従って、本発明の製造方法により得られるEVOH系樹脂ペレットは、ホウ素換算で、ホウ酸類の量が従来よりも低減しているにもかかわらず、対応するホウ素換算濃度を含有するEVOH系樹脂組成物と比べて、高い伸長粘度を有する。
伸長粘度は、流路の縮小部や多層合流部など、樹脂の流速が加減速する箇所の樹脂流動を支配しており、従来の溶融粘度評価ではわからない成形性の違いを評価できる。
尚、例中「部」とあるのは、重量基準を意味する。また、単位「MPaG」は、ゲージ値における単位であり、絶対圧と大気圧の差を示すものである。
(1)EVOH系樹脂組成物中のホウ酸類量(ホウ素換算)
EVOH系樹脂組成物(ペレット)0.1gを濃硝酸と共にマイクロウェーブ分解法にて処理して得られる溶液を純水にて定容(0.75mg/ml)したものを検液とし、ICP発光分析法(ICP−AES)(測定器:アジレント・テクノロジー社の720−ES型を使用)で測定した。当該測定されるホウ素含有量は、ホウ酸類に由来するホウ素量に該当する。
固体NMRを使用してホウ素核の構造を測定した。サンプルを液体窒素雰囲気下で冷凍粉砕にて細かく粉砕し、それを外径4mmのジルコニアローターに充填した。図3に示すパルスシーケンスにより、下記測定条件にて室温で測定した。
得られたスペクトルを図4に示す。2次元スペクトルはEVOH系樹脂が有するホウ酸類のホウ素部分の構造で3配位と4配位の構造が存在している。上側の1次元スペクトルはMAS軸のスペクトル、左側の四角で囲んだスペクトルは等方軸スペクトルである。4配位ホウ素は等方軸スペクトルをガウス関数にて波形分離し、各々の面積から、下記式により算出した。
11B (B0=128MHz; I=3/2)
観測核種(主なパラメータ)
11Bパルス HP1 : 4.15μs, HP2 : 1.38μs, SP1 : 30.00μs
FID信号取込時間:10ms
デカップルシーケンス:tppm15
積算回数(×FID):840×12
観測中心:0ppm
観測幅:232ppm
待ち時間:5sec
EVOH系樹脂の含溶剤試料を乾燥し、硫酸を加え炭化・灰化した後、硝酸を加えて加熱溶解し、得られた溶液に含有されるナトリウム量を原子吸光分光光度計(日立製作所製、Z−5310)を用いて原子吸光分析法により分析した。
ペレット約35gをバレルに詰め、バレル温度210℃にて5分間予熱を行った後に溶融樹脂を押し出し、伸長歪速度が100sec-1での伸長粘度を測定した。
なお、伸長粘度の測定には、GOTTFERT製ツインキャピラリーレオメーター「RG20」を用いた。
(1)EVOH系樹脂の合成
冷却コイルを備えた重合容器に酢酸ビニル420重量部、メタノール90重量部、アセチルパーオキシド180ppm(対酢酸ビニル)を仕込み、系内を窒素ガスで置換した。次に、系内をエチレンで置換し、エチレン圧が4.7MPaGとなるまで、エチレンを圧入した。
その後、撹拌しながら、67℃まで昇温し、酢酸ビニルとエチレンの共重合反応を開始させた。6時間後、重合反応を停止した。酢酸ビニルの重合率は、酢酸ビニルの仕込む量に対して63重量%であり、エチレン含有量38モル%のエチレン−酢酸ビニル共重合体が得られた。得られたエチレン−酢酸ビニル共重合体の溶液を蒸留塔に供給し、塔下部からメタノール蒸気を導入することにより、未反応の酢酸ビニルを除去し、エチレン−酢酸ビニル共重合体のメタノール溶液(樹脂分濃度48重量%)を得た。
上記で得られたEVOH系樹脂のメタノール溶液を、80重量部/時間で、塔型洗浄容器(10段の棚段塔)の塔頂から2段目の棚板に供給し、130℃の水蒸気を20重量部/時間で最下段の棚板から連続的に供給することにより、EVOH系樹脂のメタノール溶液と水蒸気とを、棚段塔内で向流で接触させ、塔型洗浄容器底部のペースト導出口より、EVOH系樹脂含水ペースト(I)を導出した。EVOH系樹脂の含水処理時の塔型洗浄容器内の温度は100〜105℃で、該容器内の圧力は0.15MPaGであった。
調製したEVOH系樹脂含水ペースト(I)は、EVOH系樹脂100重量部に対し、メタノール92重量部、水40重量部であった。含水ペースト(I)全体に対するEVOH系樹脂分は43重量%であり、EVOH系樹脂含水ペースト中に3460ppm(EVOH系樹脂分に対して8050ppm)の酢酸ナトリウムが含有されていた。
EVOH系樹脂含水ペースト(I)に対して、ホウ酸(1200ppm)及び酢酸(3000ppm)を含有する水溶液を添加して、ラインミキサーを用いて、ホウ酸類含有EVOH系樹脂ペースト(II)を調製した。
得られたホウ酸類含有EVOH系樹脂ペースト(II)は、樹脂分24重量%であり、EVOH系樹脂100重量部に対して、メタノール92重量部、水220重量部であった。また、EVOH系樹脂分に対して、酢酸3000ppm、酢酸ナトリウム8050ppm、ホウ酸1200ppm(ホウ素換算210ppm)であった。
ホウ酸類含有EVOH系樹脂ペースト(II)を、混錬装置を備えた横型容器の上流部から供給し、下流部から下記組成を有する処理液を供給して、処理液との接触処理を行った。
スクリュー回転数:60rpm
スクリューと槽内壁との間のクリアランス:8mm
槽内温度(排出口前の水温):120℃
酢酸:230ppm
酢酸ナトリウム:400ppm
ホウ酸:122ppm(ホウ素換算:21ppm)
リン酸2水素ナトリウム:190ppm
リン酸カルシウム:28ppm
EVOH系樹脂ペースト(II)の導入量:26重量部/時間
導入時のEVOH系樹脂ペースト(II)の温度:80℃
EVOH系樹脂ペースト(II)滞留時間:4時間
処理液導入量:30重量部/時間
導出量:10重量部/時間
圧力:0.20MPaG
浴比(処理液重量/仕込みEVOH系樹脂分):4.8
この4配位ホウ素含有EVOH系樹脂ペースト(III)は、EVOH系樹脂分60重量%であり、EVOH系樹脂100重量部に対して、水67重量部、メタノール0重量部であった。また、EVOH系樹脂に対する酢酸1220ppm、ホウ酸1546ppm(ホウ素換算270ppm)、ナトリウム分435ppm、リン酸分55ppm、カルシウム分8ppmであった。
得られた4配位ホウ素含有EVOH系樹脂ペースト(III)を、スリットから溶融押出し、冷却固化して、EVOH系樹脂ペーストのシートを得た。このシートを短冊状に裁断後、乾燥して、EVOH系樹脂ペレットを得た。
こうして得られたペレットを、上記方法にて伸長粘度及びホウ素配位構造を測定した。結果を表1に示す。
(1)ホウ酸類含有EVOH系樹脂ペースト(II)の調製
実施例1と同様にして、EVOH系樹脂を合成し、EVOH系樹脂含水ペースト(I)を調製した。
EVOH系樹脂含水ペースト(I)に対して、ホウ酸(1200ppm)及び酢酸(3000ppm)を含有する水/メタノール溶液(水/メタノール=30/70:重量比)を添加して、ラインミキサーを用いて、ホウ酸類含有EVOH系樹脂ペースト(II’)を調製した。
得られたホウ酸類含有EVOH系樹脂ペースト(II’)は、樹脂分42重量%であり、EVOH系樹脂100重量部に対して、メタノール95重量部、水41重量部であった。また、EVOH系樹脂分に対して、酢酸3000ppm、酢酸ナトリウム8050ppm、ホウ酸1200ppm(ホウ素換算210ppm)であった。
含水率を調整したホウ酸類含有EVOH系樹脂ペースト(II’)を、5℃の冷却水中にストランド状に押出し、カッティングして、EVOH系樹脂ペレットを製造した。
上記で製造したEVOH系樹脂ペレットを、塔型洗浄槽の上部から、下記条件で供給し、実施例1で用いた処理液と同様の組成を有する洗浄液を用いて、以下の条件で洗浄処理を行い、洗浄槽の底部から、ペレットを連続的に抜き取った。
撹拌なし
塔内温度(排出口前の水温):30℃
実施例1と同じ
EVOH系樹脂ペレットの導入量:12重量部/時間
導入されるEVOH系樹脂ペレットの温度:30℃
EVOH系樹脂ペレットの滞留時間:4時間
洗浄液の導入量:24重量部/時間
ペレット導出量:12重量部/時間
圧力:常圧
浴比(洗浄水重量/仕込みEVOH系樹脂分):4.8
(1)ホウ素含有EVOH系樹脂ペースト(II)の調製
実施例1と同様にして、EVOH系樹脂を合成し、EVOH系樹脂含水ペースト(I)を調製後、ホウ酸含有処理を行って、実施例1と同様のホウ酸類含有EVOH系樹脂ペースト(II)を調製した。
ホウ酸類含有EVOH系樹脂ペースト(II)を、横型洗浄槽の上流部から供給し、下流部から下記組成を有する洗浄液を供給して、液相混錬による洗浄処理を行った。
スクリュー回転数:60rpm
スクリューと槽内壁との間のクリアランス:8mm
槽内温度(排出口前の水温):120℃
実施例1と同じ
EVOH系樹脂ペースト導入量:26重量部/時間
導入時のEVOH系樹脂ペーストの温度:120℃
EVOH系樹脂ペースト滞留時間:16時間
洗浄液導入量:30重量部/時間
導出量:10重量部/時間
圧力:0.2MPa
浴比(洗浄液重量/仕込みEVOH系樹脂分):4.8
このホウ酸類含有EVOH系樹脂ペースト(II”)は、EVOH系樹脂分60重量%であり、EVOH系樹脂100重量部に対して、水67重量部、メタノール0重量部、EVOH系樹脂分に対する酢酸580ppm、ホウ酸1290ppm(ホウ素換算225ppm)、ナトリウム分105ppm、リン酸分56ppm、カルシウム分11ppmであった。
洗浄されたホウ酸類含有EVOH系樹脂ペースト(II”)を、実施例1と同様の方法でペレット化して、短冊状のEVOH系樹脂ペレットを得た。
こうして得られたペレットを、上記方法にて伸長粘度及びホウ素配位構造を測定した。結果を表1に示す。
一方、実施例1と同じ組成を有する処理液を洗浄液として用いても、従来のように、EVOH系樹脂ペレットを洗浄する方法(比較例1)では、ホウ素の4配位化は生じず、伸長粘度は、実施例1の60%程度であった。
尚、比較例2で使用した処理液の組成は実施例1と同じであったが、処理時間が長すぎたために、共存するナトリウム濃度が下がりすぎて、3配位構造に戻ってしまったと考えられる。
(1)ホウ酸類含有EVOH系樹脂ペースト(II)の調製
実施例1と同様にして、EVOH系樹脂を合成し、EVOH系樹脂含水ペースト(I)を調製後、ホウ酸含有処理を行って、実施例1と同様のホウ酸類含有EVOH系樹脂ペースト(II)を調製した。
ホウ酸類を含有するエチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物のペーストを、加温・加圧下で、ホウ酸類及びアルカリ金属塩を含有する水溶液と接触させることにより、前記ペーストに含まれるホウ酸類中のホウ素の少なくとも一部を4配位構造に変換させる工程を含み、
前記水溶液は、前記エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物組成物中の該エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物あたりのホウ酸類の含有量がホウ素換算で1〜350ppmで、該エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物あたりのアルカリ金属塩の含有量が金属換算で300〜1000ppmとなるように、ホウ酸類及びアルカリ金属塩を含有している水溶液である。
また、前記水溶液中のホウ酸類の濃度は、ホウ素換算で1〜50ppm、アルカリ金属塩濃度は金属換算で50〜1500ppmであることが好ましい。
Claims (12)
- エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物とホウ酸類を含有する樹脂組成物において、
前記ホウ酸類は、4配位構造のホウ素を含有していることを特徴とする樹脂組成物。 - 前記ホウ酸類の含有量は、前記エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物あたり、ホウ素換算で1〜350ppmであることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記ホウ酸類中のホウ素における4配位構造のホウ素の割合は、10〜99モル%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
- アルカリ金属塩を、エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物あたり、金属換算で、300〜1000ppm含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 前記アルカリ金属塩は、ナトリウム塩であることを特徴とする請求項4に記載の樹脂組成物。
- 前記ホウ酸類に対する前記アルカリ金属塩の含有量は、重量比率(アルカリ金属塩のアルカリ金属換算量/ホウ酸類のホウ素換算量)として、0.8〜10であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 伸長歪速度が100sec-1での210℃における伸長粘度が1.0×102〜1.0×106Pa・sであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 4配位構造のホウ素を含有するエチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物組成物の製造方法であって、
ホウ酸類を含有するエチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物のペーストを、加温・加圧下で、ホウ酸類及びアルカリ金属塩を含有する水溶液と接触させることにより、前記ペーストに含まれるホウ酸類中のホウ素の少なくとも一部を4配位構造に変換させる工程を含み、
前記水溶液は、前記エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物組成物中の該エチレン−ビニルエステル系共重合体あたりのホウ酸類の含有量がホウ素換算で1〜350ppmで、該エチレン−ビニルエステル系共重合体あたりのアルカリ金属塩の含有量が金属換算で300〜1000ppmとなるように、ホウ酸類及びアルカリ金属塩を含有している水溶液であることを特徴とするエチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物組成物の製造方法。 - 前記加温・加圧は、前記変換処理工程が行われる系内の温度として、50〜150℃であり、該系内の圧力と大気圧の差として0.01〜1MPaGであることを特徴とする請求項8に記載の製造方法。
- 前記接触は、前記エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物のペーストを、前記水溶液と混錬しながら行う請求項8又は9に記載の製造方法。
- 前記エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物のペーストは、エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物あたり、ホウ酸類をホウ素換算で1〜350ppm、前記アルカリ金属塩を金属換算で1000〜4000ppm含有していることを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の製造方法。
- 前記水溶液中のホウ酸類の濃度は、ホウ素換算で1〜50ppm、アルカリ金属塩濃度は金属換算で50〜1500ppmであることを特徴とする請求項8〜11のいずれかに記載の製造方法。
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