JP6770686B2 - 樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Description
に関する。
このため、EVOH系樹脂及びナイロン6を含有する樹脂組成物のロングラン成形性の改善が求められるようになっている。
トルク型レオメータでの測定は、二軸スクリュでせん断を与えた場合の粘度挙動に対応し、単軸スクリュによる押出機を用いる樹脂組成物の溶融成形時の粘度挙動とは相違するため、トルク変動による粘度挙動の安定性と実際のロングラン成形性では一致しない場合があったのではないかと考えられる。特に、EVOH系樹脂とポリアミド系樹脂とを含有する樹脂組成物では、連続的な溶融成形でネットワーク構造物が発達してゲル化する場合もあるため、粘度挙動はより複雑となることが想定される。
本発明者は、この点について、回転型レオメータを用いる測定であれば、単軸スクリュの押出に近いせん断を与えることができ、ロングラン成形性の判定として有用であるとの結論に達した。
ナイロン6は、通常、水を介してε−カプロラクタムを開環重合させることにより合成される。従って、樹脂組成物に含有されるε−カプロラクタムは、ナイロン6の残留モノマーとしてのε−カプロラクタムである可能性が高い。
i)エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物とナイロン6系ポリアミドとの混合前;
ii)エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物とナイロン6系ポリアミドとの混合時;
iii)エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物とナイロン6系ポリアミドとの混合後;
iv)i)〜iii)のいずれか2つ以上の組み合わせ。
本発明のロングラン成形性の改善方法は、樹脂組成物またはその構成成分であるナイロン6系ポリアミドの水洗処理といった簡便な方法で達成することができるので、有用である。
本発明の樹脂組成物は、EVOH系樹脂及びナイロン6系ポリアミドを含有する樹脂組成物において、ε−カプロラクタム含有量を200ppm以下としたところに特徴がある。
〔EVOH系樹脂〕
本発明で用いられるEVOH系樹脂は、通常、エチレンとビニルエステル系モノマーの共重合体(エチレン−ビニルエステル系共重合体)をケン化させることにより得られる樹脂であり、非水溶性の熱可塑性樹脂である。すなわち、EVOH系樹脂は、エチレン構造単位とビニルアルコール構造単位を主とし、場合によってはケン化されずに残存した若干量のビニルエステル構造単位を含むものである。
かかる共重合に用いられる溶媒としては、通常、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の低級アルコールやアセトン、メチルエチルケトン等のケトン類等が挙げられ、工業的には、メタノールが好適に使用される。
ケン化に使用される触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート、リチウムメチラート等のアルカリ金属の水酸化物やアルコラートの如きアルカリ触媒、硫酸、塩酸、硝酸、メタスルフォン酸、ゼオライト、カチオン交換樹脂等の酸触媒が挙げられる。
前記コモノマーとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等のオレフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいは炭素数1〜18のモノまたはジアルキルエステル類、アクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等のアクリルアミド類、メタクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、2−メタクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等のメタクリルアミド類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニルアミド類、アクリルニトリル、メタクリルニトリル等のシアン化ビニル類、炭素数1〜18のアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、アルコキシアルキルビニルエーテル等のビニルエーテル類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル類、ビニルシラン類、酢酸アリル、塩化アリル、アリルアルコール、ジメチルアリルアルコール、トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロリド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルエチレンカーボネート、エチレンカーボネート等が挙げられる。
さらに、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドエチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、2−アクリロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−メタクリロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、メタアリルトリメチルアンモニウムクロライド、3−ブテントリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、ジエチルジアリルアンモニウムクロライド等のカチオン基含有単量体、アセトアセチル基含有単量体等も挙げられる。
さらにビニルシラン類としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルイソブチルジメトキシシラン、ビニルエチルジメトキシシラン、ビニルメトキシジブトキシシラン、ビニルジメトキシブトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルメトキシジヘキシロキシシラン、ビニルジメトキシヘキシロキシシラン、ビニルトリヘキシロキシシラン、ビニルメトキシジオクチロキシシラン、ビニルジメトキシオクチロキシシラン、ビニルトリオクチロキシシラン、ビニルメトキシジラウリロキシシラン、ビニルジメトキシラウリロキシシラン、ビニルメトキシジオレイロキシシラン、ビニルジメトキシオレイロキシシラン等を挙げることができる。
以上のような変性物の中でも、共重合によって一級水酸基が側鎖に導入されたEVOH系樹脂は、延伸処理や真空・圧空成形などの二次成形性が良好になる点で好ましく、中でも下記(1)式で表される側鎖1,2−ジオール構造単位を有するEVOH系樹脂が好ましい。
R1〜R6は通常炭素数1〜30、特には炭素数1〜15、さらには炭素数1〜4の飽和炭化水素基または水素原子が好ましく、水素原子が最も好ましい。特に、R1〜R6がすべて水素であるものが最も好ましい。
本発明で用いるナイロン6系ポリアミドとは、ポリマー分子の構成単位としてε−カプロラクタム由来の構成単位を有するポリアミドを意味する。かかるナイロン6系ポリアミドとしては、ε−カプロラクタムの単独重合体の他、ε−カプロラクタムと他のラクタム、あるいはε−カプロラクタムと他のジアミン及びジカルボン酸の組み合わせとの共重合体(共重合ナイロン6)が含まれ、好ましくは熱水処理に対する耐レトルト性能の点から、ε−カプロラクタムの単独重合体である。
ε−カプロラクタムのホモポリマーであるナイロン6は、ε−カプロラクタムの開環重合、アニオン重合などにより合成される。
ナイロン6系ポリアミドとしては、相対粘度が異なるものを複数用いることができる。
ナイロン6系ポリアミドの含有量比率が高くなりすぎると、相対的にEVOH系樹脂の含有割合が減少するため、ガスバリア性が低下する傾向にあり、低くなりすぎると、熱水処理後のEVOH系樹脂の溶出抑制が不十分となる傾向がある。また、ナイロン6系ポリアミドの含有量が増大すると、ロングラン成形性が低下する傾向があるが、本発明では、ロングラン成形性低下の原因であるε−カプロラクタム量を低減することで、上述のEVOH系樹脂:ナイロン6系ポリアミドの重量比において、ナイロン6系ポリアミドの含有比が増大しても、ロングラン成形性の要求を充足することができる。
本発明の樹脂組成物には、ナイロン6系ポリアミド由来の残留モノマーとしてのε−カプロラクタムが含有され得るが、その含有量が200ppm以下であるところに特徴がある。好ましくは150ppm以下、より好ましくは100ppm以下である。なお、下限としては小さければ小さいほどよいが、生産効率の点から、下限値は、通常10ppm程度である。
すなわち、EVOH系樹脂は水酸基を豊富に有するため、ポリオレフィンやポリスチレン等の他の代表的な熱可塑性樹脂に比べて樹脂中に水分子を保持する傾向がある。EVOH系樹脂及びポリアミドを含有する樹脂組成物のペレットを作成する場合、樹脂組成物を100℃以上の高温で溶融してペレット化して製造されることから、一般に原料樹脂中に存在していた水分は蒸発していると考えられるが、得られる樹脂組成物のペレットは通常0.1〜0.2重量%程度の水分を有する。
EVOH系樹脂及びナイロン6系ポリアミドを含有する樹脂組成物の溶融混錬時、溶融成形時には、高温、せん断力が樹脂組成物にかかるため、樹脂組成物中にε−カプロラクタムが含有されていると、上記のような原料由来の水分や樹脂組成物中に存在する水分により加水分解し、生成されたカルボキシル基(-COOH)、アミノ基(-NH2)が、溶融混錬中に、EVOH系樹脂の水酸基(-OH)と反応して、増粘の原因となるような架橋構造を形成しやすくなると推測される。特に、樹脂組成物ペレットの製造後、高湿度条件下で放置されたり、空気中で長期間放置されるなどにより、樹脂組成物が湿分を吸湿した場合、さらにε−カプロラクタムによる増粘の影響が表れやすいと考えられる。
本発明においては、原因と考えられるε−カプロラクタムを低減することにより増粘傾向を抑制しているので、樹脂組成物が上述のように水分を少量保持していた場合に、本発明の効果がより効果的に得られる傾向がある。
本発明の樹脂組成物は、EVOH系樹脂、ナイロン6系ポリアミド以外の熱可塑性樹脂を、本発明の趣旨を阻害しない範囲(例えば30重量%以下)であれば含有してもよい。
具体的には、例えば、ナイロン6系ポリアミド以外のポリアミド系樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のポリエチレン類、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン(ブロックおよびランダム)共重合体、プロピレン−α−オレフィン(炭素数4〜20のα−オレフィン)共重合体、ポリブテン、ポリペンテン等のポリオレフィン類、これらポリオレフィン類を不飽和カルボン酸又はそのエステルでグラフト変性したグラフト化ポリオレフィン類、アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、ポリスチレン、ビニルエステル系樹脂、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等のハロゲン化ポリオレフィン、芳香族または脂肪族ポリケトン、更にこれらを還元して得られるポリアルコール類等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、本発明の趣旨を阻害しない範囲(例えば5重量%以下)において、上記成分以外に公知の添加剤を適宜配合することができる。
かかる添加剤としては、具体的には、飽和脂肪族アミド(例えばステアリン酸アミド等)、不飽和脂肪酸アミド(例えばオレイン酸アミド等)、ビス脂肪酸アミド(例えばエチレンビスステアリン酸アミド等)、脂肪酸金属塩(例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等)、低分子量ポリオレフィン(例えば分子量500〜10,000程度の低分子量ポリエチレン、又は低分子量ポリプロピレン等)などの滑剤;無機塩(例えばハイドロタルサイト等);可塑剤(例えばエチレングリコール、グリセリン、ヘキサンジオール等の脂肪族多価アルコールなど);酸素吸収剤(例えば無機系酸素吸収剤として、還元鉄粉類又はこれに吸水性物質や電解質等を加えたもの、アルミニウム粉、亜硫酸カリウム、光触媒酸化チタン等;有機化合物系酸素吸収剤として、アスコルビン酸又はその脂肪酸エステルや金属塩、ハイドロキノン、没食子酸、水酸基含有フェノールアルデヒド樹脂等の多価フェノール類、ビス−サリチルアルデヒド−イミンコバルト、テトラエチレンペンタミンコバルト、コバルト−シッフ塩基錯体、ポルフィリン、大環状ポリアミン錯体、ポリエチレンイミン−コバルト錯体等の含窒素化合物と、遷移金属との配位結合体、テルペン化合物、アミノ酸類とヒドロキシル基含有還元性物質の反応物、トリフェニルメチル化合物等;高分子系酸素吸収剤として、窒素含有樹脂と遷移金属との配位結合体(例えばMXDナイロンとコバルトの組合せ)、三級水素含有樹脂と遷移金属とのブレンド物(例えばポリプロピレンとコバルトの組合せ)、炭素−炭素不飽和結合含有樹脂と遷移金属とのブレンド物(例えばポリブタジエンとコバルトの組合せ));光酸化崩壊性樹脂(例えばポリケトン);アントラキノン重合体(例えばポリビニルアントラキノン)又はこれらの配合物に、光開始剤(ベンゾフェノン等),過酸化物補足剤(市販の酸化防止剤等),消臭剤(活性炭等)を添加したものなど;熱安定剤;光安定剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;着色剤;帯電防止剤;界面活性剤;抗菌剤;アンチブロッキング剤;スリップ剤;充填材(例えば無機フィラー等)等が挙げられる。
さらには、本発明の目的を阻害しない範囲において、本発明の樹脂組成物に酢酸、リン酸等の酸類やそのアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属等の金属塩、ホウ素化合物としてのホウ酸またはその金属塩を添加してもよい。これらは樹脂の熱安定性を向上させることができる。
本発明の樹脂組成物は、以上のような成分を混合することによって調製できる。かかる混合方法としては、溶融混合法、溶液混合法等が挙げられる。中でも生産性の点からは溶融混合法が好ましい。
EVOH系樹脂とナイロン6系ポリアミドを同時に溶融混練する方法;EVOH系樹脂(又はナイロン6系ポリアミド)を予め溶融したところに、ナイロン6系ポリアミド(又はEVOH系樹脂)を配合し、溶融混練する方法;EVOH系樹脂にナイロン6系ポリアミドを過剰量含有させてブレンドした高濃度組成物(一般にマスターバッチとも呼ばれる)を製造しておき、かかる組成物に、所望の混合比率にしたがって、EVOH系樹脂又はナイロン6系ポリアミドを加えてブレンドし、希釈する方法が挙げられる。
ペレットの製造方法としては、従来より公知の方法、すなわち、溶融状態の樹脂組成物を吐出口からストランド状に押出し、溶融状態でカットした後、冷却固化してペレットを作製するホットカット方式;樹脂組成物の溶液又はスラリーを凝固浴中に押出し、冷却固化により得られた樹脂組成物のストランドをカットするストランドカット方式が挙げられる。
溶融混錬法により樹脂組成物を調製する場合、ホットカット方式が好ましく採用される。
ペレットのサイズ、形状は、使用する押出機のノズルの口径、カッター刃の枚数、カッター刃の回転数等を適宜調整することにより、調整することができる。
本発明の樹脂組成物は、ε-カプロラクタムの含有量が200ppm以下、好ましくは150ppm以下、より好ましくは100ppm以下である。
一般に市販のナイロン6系ポリアミドでは、グレードにもよるが、残留モノマーとしてε−カプロラクタムが5000ppm以上含有されている。従って、樹脂組成物におけるε-カプロラクタムの含有量を200ppm以下に調整するためには、ε−カプロラクタムの含有量を低減するための処理が必要となる。
i)エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物とナイロン6系ポリアミドとの混合前;
ii)エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物とナイロン6系ポリアミドとの混合時;
iii)エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物とナイロン6系ポリアミドとの混合後;
iv)i)〜iii)のいずれか2つ以上の組み合わせ。
具体的には、予めナイロン6系ポリアミドについて、水との接触処理を施した後、EVOH系樹脂と混合する;EVOH系樹脂とナイロン6系ポリアミドのドライブレンド物を水との接触処理に供する;EVOH系樹脂とナイロン6系ポリアミドの溶融混錬物を、水との接触処理に供する;樹脂組成物のペレットを成形機に供給する前に水との接触処理に供する;これらのいずれかの組み合わせなどにより、水との接触処理を行うことが好ましい。
一方、EVOH系樹脂とナイロン6系ポリアミドの混合物の状態で行う場合には、EVOH系樹脂に含まれる残留モノマー等の不純物の低減処理も図ることができ、ひいては最終成形品の品質向上に役立つという点で好ましい。
また、樹脂組成物中のε−カプロラクタム量を低減することで、たとえ樹脂組成物ペレットの保存中にEVOH樹脂が吸湿するようなことがあっても、かかる吸湿によるペレットの増粘傾向が抑制されることを期待できる。
従って、上記比の差が1程度であっても、1週間後(168時間後)の粘度差は大きくなり、溶融成形性に関して大きな差となって現れる。
アルミカップにペレットを10gとり、アルミカップ単体(重量:C1)、ペレット(重量:P1)を入れたアルミカップの重量(C1+P1)をそれぞれ測定する。そして、ペレットを入れたアルミカップを窒素置換、真空引きがなされていない市販の乾燥機(タバイエスペック株式会社製『SAFETY OVEN SPH-100』)にて150℃、5時間加熱処理を行なう。加熱処理後は乾燥機よりペレットを入れたアルミカップを取り出し、乾燥剤の入ったデシケーター内にて30分間静置してペレットの温度を室温まで戻し、加熱処理後のペレット(重量:P2)を入れたアルミカップの重量(C1+P2)を測定し、下記数式により、含水率(重量%)を算出する。
本発明の樹脂組成物は、EVOH系樹脂とナイロン6系ポリアミドを含有しており、ガスバリア性に優れているので、食品包装材料、医薬品包装材料、工業薬品包装材料、農薬包装材料等として好適に用いられる。特に耐レトルト性に優れているので、食品包装材料としてのフィルムやシート或いはボトルやカップ等の容器に成形されて利用されることが好ましい。
かかる溶融成形方法としては、押出成形法(T−ダイ押出、インフレーション押出、ブロー成形、溶融紡糸、異型押出等)、射出成形法を採用することができる。溶融成形温度は、樹脂組成物の組成に応じて、通常150〜300℃の範囲から選択される。
尚、例中「部」とあるのは、重量基準を意味する。
樹脂組成物のペレットをヘキサフルオロイソプロパノールにて溶解した後、メタノールに再沈殿させ、ポリマーを除去し、高速液体クロマトグラフ分析により、ε-カプロラクタムを定量した。
尚、高速液体クロマトグラフ分析には、装置:日本分光社製 PU− 2085Plus 型、カラム:Imtakt製Unison UK−C18(4.6mmID×150mm,3m)を用いた。
樹脂組成物のペレットの複素粘度(Pa・s)を、回転型レオメータ(アントンパール社製、『MCR301』)を用い、下記条件にてせん断を与えた状態で、せん断付与開始から所定時間後の複素粘度を測定した。
(測定条件)
窒素雰囲気下、測定温度:240℃、歪み:5%、各周波数:1rad/sec
(1)EVOH系樹脂
EVOH系樹脂として、エチレン含有量29モル%、ケン化度99.7モル%、MFR4g/10分(210℃、荷重2160g)のEVOH樹脂を用いた。
DSM社製「ノバミッド1028EN」(ナイロン6)を用いた。
上記ナイロン6を、60℃の水中で12時間撹拌することにより、ε−カプロラクタムの低減処理を行った。水洗による低減処理を行ったナイロン6の10部とEVOH系樹脂90部とをドライブレンドした後、フィーダーに仕込み、ミキシングゾーンを2箇所有する2軸押出機にて下記条件で溶融混練し、ストランド状に押出してドラム式ペレタイザーで切断し、樹脂組成物No.1のペレットを得た。
・2軸押出機:直径32mm
・押出機設定温度:
C2/C3/C4/C5/C6/C7/C8/C9/C10/C11/C12/C13/C14/C15/C16/H/D=120/180/180/200/230/230/以降220 ℃
この樹脂組成物No.1のペレットについて、上記複素粘度の測定方法に基づき、5分間隔で480分間、複素粘度を測定した。480分間の複素粘度変化を図1(点線)に示す。得られた粘度曲線から、7日(168時間)後の複素粘度を外挿により求め(図1の一点鎖線)、さらに下記式で示す経時変化率△1、△2を算出した。得られた結果を表1に示す。
経時変化率△1=η(8hr)/η(5min)
経時変化率△2=η(7day)/η(5min)
経時変化率が大きいほど、ロングラン成形性が劣ることを意味する。
洗浄処理を行わなかったナイロン6を用いた以外は、No.1と同様にして樹脂組成物のペレットを製造した。得られたペレットのε−カプロラクタム量を測定したところ、240ppmであった。このペレットについて、複素粘度を測定し、ロングラン成形性を評価した。480分間の複素粘度変化を図1(実線)に示す。得られた粘度曲線から、7日後の複素粘度を外挿により求め(図1の二点鎖線)、さらに経時変化率△1、△2を算出した。得られた結果を表1に示す。
そして、図1からわかるように、せん断付与から約200分後までは、No.1とNo.2の複素粘度はほとんど差異が認められなかったが、その後、徐々に差が認められるようになった。
経時変化△1が73以上であるNo.2の樹脂組成物のペレットでは、7日の経時変化△2は3000近くになると予測されるのに対して、経時変化△1が73未満のNo.1の樹脂組成物のペレットでは、7日後の経時変化△2は2910程度となることが予測される。
したがって、ε−カプロラクタム含有量を200ppm以下とすることで、樹脂組成物のロングラン成形性を改善できることがわかる。
(1)ペレットNo.11
上記で製造した樹脂組成物No.1のペレット(ペレットNo.11)について、上記複素粘度の測定方法に基づき、せん断付与開始から20分後、6時間後の複素粘度を測定した。測定結果、及び下記式により、複素粘度の経時変化率△3を求めた。
経時変化率△3=η(6hr)/η(20min)
上記で製造した樹脂組成物No.2のペレット(ペレットNo.12)について、No.11と同様にして、せん断付与開始から20分後、6時間後の複素粘度を測定し、さらに上記で定義される複素粘度の経時変化率△3を求めた。
かかる測定に用いた樹脂組成物ペレットNo.12の含水率は、0.5重量%であった。No.12とNo.2とは、同一の組成を有する樹脂組成物を原料として作製されたペレットであるが、湿分が高めになっていた。
上記ナイロン6のε−カプロラクタムの低減処理について、水洗処理温度を60℃、水中での撹拌時間を4時間に変更した。低減処理後のナイロン6の10部とEVOH系樹脂90部とをドライブレンドして得られた樹脂組成物を用いて、No.1と同様にペレット化した(ペレットNo.13)。
こうして得られたペレットNo.13中のε−カプロラクタム量を上記方法に基づいて測定したところ、120ppmであった。この樹脂組成物ペレットNo.13について、No.11と同様にして、複素粘度を測定し、さらに上記で定義される複素粘度の経時変化率△3を求めた。
上記ナイロン6のε−カプロラクタムの低減処理について、水洗処理温度を20℃、水中での撹拌時間を4時間に変更した。かかる低減処理を行ったナイロン6の10部とEVOH系樹脂90部とをドライブレンドして得られた樹脂組成物を用いて、No.1と同様にペレット化した(ペレットNo.14)。
得られたペレットNo.14中のε−カプロラクタム量を上記方法に基づいて測定したところ、145ppmであった。このペレットNo.14について、No.11と同様にして、複素粘度を測定し、さらに上記で定義される複素粘度の経時変化率△3を求めた。
従って、樹脂組成物ペレット中のε−カプロラクタム量を低減すること、すなわち200ppm以下、好ましくは100ppm以下に低減することは、ロングラン成形性の改善に有効であることがわかる。
Claims (6)
- エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物及びナイロン6系ポリアミドを含有する樹脂組成物において、
ε−カプロラクタムの含有量が200ppm以下であり、
前記エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物と前記ナイロン6系ポリアミドの混合重量比率(エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物:ナイロン6系ポリアミド)は、50:50〜90:10であることを特徴とする樹脂組成物。 - 前記ナイロン6系ポリアミドは、ナイロン6であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
- エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物及びナイロン6系ポリアミドを含有する樹脂組成物ペレットの製造方法であって、
前記樹脂組成物は、ε−カプロラクタムの含有量が200ppm以下であり、前記エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物と前記ナイロン6系ポリアミドの混合重量比率(エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物:ナイロン6系ポリアミド)が50:50〜90:10であり、
前記ナイロン6系ポリアミドが水と接触する工程を含むことを特徴とする樹脂組成物の製造方法。 - 前記接触工程は、下記i)〜iv)のいずれかにおいて行われることを特徴とする請求項3に記載の樹脂組成物の製造方法。
i)エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物とナイロン6系ポリアミドとの混合前;
ii)エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物とナイロン6系ポリアミドとの混合時;
iii)エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物とナイロン6系ポリアミドとの混合後;
iv)i)〜iii)のいずれか2つ以上の組み合わせ。 - 前記接触工程により、樹脂組成物中のε−カプロラクタムの含有量を200ppm以下とすることを特徴とする請求項3または4に記載の樹脂組成物の製造方法。
- エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物及びナイロン6系ポリアミドを、エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物:ナイロン6系ポリアミド=50:50〜90:10の割合で含有する樹脂組成物ペレットのロングラン成形性の改善方法であって、
前記ナイロン6系ポリアミドと水を接触させることにより、前記樹脂組成物ペレット中のε−カプロラクタムの含有量を200ppm以下とする改善方法。
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