JP6770686B2 - 樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物(以下、「EVOH系樹脂」と称することがある)とナイロン6等のナイロン6系ポリアミドを含有する樹脂組成物及びその製造方法に関し、更に詳しくは、ロングラン成形性が改善された、EVOH系樹脂とナイロン6系ポリアミドを含有する樹脂組成物及びその製造方法、さらには当該樹脂組成物のロングラン成形性の改善方法
に関する。
EVOH系樹脂は、透明性、ガスバリア性、保香性、耐溶剤性、耐油性などに優れていることから、食品包装材料、医薬品包装材料、工業薬品包装材料、農薬包装材料等として、フィルムやシート、或いはボトルやカップ等の容器に成形されて利用されている。
EVOH系樹脂フィルムは、その優れたガスバリア性を活かして、レトルト用途に用いられている。しかしながら、レトルト処理のように長時間、熱水処理すると、ガスバリア性が低下したり、フィルムが白化したり、形態を保持できないという欠点がある。
熱水処理後でも形態を保持できる包装用フィルムを提供できる樹脂組成物として、EVOH系樹脂にポリアミド系樹脂を配合した樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の実施例では、ポリアミド系樹脂として、ナイロン6を用いている。
一般に、EVOH系樹脂にポリアミド系樹脂を配合した樹脂組成物の場合、ポリアミド系樹脂中のアミド結合がEVOH系樹脂のOH基及び/又はエステル基と相互作用して、ネットワーク構造を形成することがある。形成された架橋構造物は、溶融混練機内に滞留し、ゲル状物となって、成形フィルムの外観不良の原因となる。また、連続して溶融成形を行う場合、溶融粘度が増大し、ロングラン成形性の低下の原因となる。
上記特許文献1では、特定の無機塩を配合することにより、ガスバリア性の低下を抑制するとともに、粘度挙動の安定性を図っている。尚、特許文献1では、粘度挙動の安定性は、プラスチコーダを用いてトルク変動を測定し、トルク値の経時変化が小さいほど、具体的は混錬開始から15秒後のトルクT1と混錬1時間後のトルクT2の比率が1に近い程、ロングラン成形性に優れていると判断している。
特開2009−191255号公報
近年、包装材料に対する外観評価は厳しくなっており、これに伴って、ロングラン成形性の評価も厳しくなっている。このため、特許文献1で採用されているようなトルク変動に基づく評価によれば、粘度挙動が安定であると評価できる場合であっても、長時間の連続溶融成形によりゲル状物が発生する場合があり、ロングラン成形性が不良とされる場合があることがわかった。
このため、EVOH系樹脂及びナイロン6を含有する樹脂組成物のロングラン成形性の改善が求められるようになっている。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ロングラン成形性のより的確な評価方法を確立し、それに基づき、EVOH系樹脂及びナイロン6系ポリアミドを含有する樹脂組成物のロングラン成形性を改善すること、ひいては改善された樹脂組成物を提供することにある。
本発明者は、樹脂組成物のロングラン成形性を、より的確に判定する手法として、回転型レオメータで測定される複素粘度の経時変化に着目した。
トルク型レオメータでの測定は、二軸スクリュでせん断を与えた場合の粘度挙動に対応し、単軸スクリュによる押出機を用いる樹脂組成物の溶融成形時の粘度挙動とは相違するため、トルク変動による粘度挙動の安定性と実際のロングラン成形性では一致しない場合があったのではないかと考えられる。特に、EVOH系樹脂とポリアミド系樹脂とを含有する樹脂組成物では、連続的な溶融成形でネットワーク構造物が発達してゲル化する場合もあるため、粘度挙動はより複雑となることが想定される。
本発明者は、この点について、回転型レオメータを用いる測定であれば、単軸スクリュの押出に近いせん断を与えることができ、ロングラン成形性の判定として有用であるとの結論に達した。
かかる結論の下、EVOH系樹脂とナイロン6を含有する樹脂組成物のロングラン成形性について、種々検討としたところ、ε−カプロラクタムの含有量がロングラン成形性に関係することを見出した。
ナイロン6は、通常、水を介してε−カプロラクタムを開環重合させることにより合成される。従って、樹脂組成物に含有されるε−カプロラクタムは、ナイロン6の残留モノマーとしてのε−カプロラクタムである可能性が高い。
ところで、溶融混錬、溶融成形は、100℃以上の高温で行われるため、混練機や溶融成形機内、さらには混錬時、成形時の樹脂組成物中に水分が含まれるといった状態は通常考えられない。従って、ε−カプロラクタムが含有されていたとしても、ε−カプロラクタムの開環重合は開始しないと考えられることから、従来、EVOH系樹脂とナイロン6を含有する樹脂組成物において、たとえε−カプロラクタムが存在していても、ロングラン成形性に影響を及ぼすとは考えられていなかった。
ところが、驚くべきことに、発明者による検討の結果、ε‐カプロラクタム含有量が、ロングラン成形性に影響を及ぼすことが明らかとなった。本発明者は、ε−カプロラクタムの含有量が、ナイロン6及びEVOH系樹脂を含有する樹脂組成物のロングラン成形性に影響を及ぼすとの認識の下、樹脂組成物中のε−カプロラクタム量を低減することで、ロングラン成形性を改善することができた。
すなわち、本発明の樹脂組成物は、エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物及びナイロン6系ポリアミドを含有する樹脂組成物において、ε−カプロラクタムの含有量が200ppm以下、好ましくは100ppm以下であることを特徴とする。前記ナイロン6系ポリアミドは、ナイロン6であることが好ましい。
エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物とナイロン6系ポリアミドの混合重量比率(エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物:ナイロン6系ポリアミド)は、50:50〜90:10である。
本発明の樹脂組成物の製造方法は、エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物及びナイロン6系ポリアミドを含有する、上記本発明の樹脂組成物ペレットの製造方法であって、前記ナイロン6系ポリアミドが水と接触する工程を含むことを特徴とする。
前記接触工程は、下記i)〜iv)のいずれかにおいて行われることが好ましい。
i)エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物とナイロン6系ポリアミドとの混合前;
ii)エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物とナイロン6系ポリアミドとの混合時;
iii)エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物とナイロン6系ポリアミドとの混合後;
iv)i)〜iii)のいずれか2つ以上の組み合わせ。
前記接触工程により、樹脂組成物中のε−カプロラクタムの含有量を200ppm以下とすることが好ましい。
本発明は、エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物及びナイロン6系ポリアミドを、エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物:ナイロン6系ポリアミド=50:50〜90:10の割合で含有する樹脂組成物のロングラン成形性の改善方法も包含する。当該改善方法は、ナイロン6系ポリアミドを水と接触させることにより、ε−カプロラクタムの含有量を200ppm以下とする方法である。

本発明の樹脂組成物は、ナイロン6系ポリアミドの残留モノマーであるε−カプロラクタム量が低減されているので、ロングラン成形性に優れる。本発明の製造方法によれば、ロングラン成形性に優れた本発明の樹脂組成物を効率よく製造することができる。
本発明のロングラン成形性の改善方法は、樹脂組成物またはその構成成分であるナイロン6系ポリアミドの水洗処理といった簡便な方法で達成することができるので、有用である。
図1は、樹脂組成物No.1及びNo.2について測定した複素粘度の経時変化を表したグラフである。
以下、本発明の構成につき詳細に説明するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものであり、これらの内容に特定されるものではない。
<樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物は、EVOH系樹脂及びナイロン6系ポリアミドを含有する樹脂組成物において、ε−カプロラクタム含有量を200ppm以下としたところに特徴がある。
〔EVOH系樹脂〕
本発明で用いられるEVOH系樹脂は、通常、エチレンとビニルエステル系モノマーの共重合体(エチレン−ビニルエステル系共重合体)をケン化させることにより得られる樹脂であり、非水溶性の熱可塑性樹脂である。すなわち、EVOH系樹脂は、エチレン構造単位とビニルアルコール構造単位を主とし、場合によってはケン化されずに残存した若干量のビニルエステル構造単位を含むものである。
上記ビニルエステル系モノマーとしては、市場入手性や製造時の不純物処理効率がよい点から、代表的には酢酸ビニルが用いられる。この他、例えばギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等の脂肪族ビニルエステル、安息香酸ビニル等の芳香族ビニルエステル等を用いることができる。ビニルエステル系モノマーとしては、通常炭素数3〜20、好ましくは炭素数4〜10、特に好ましくは炭素数4〜7の脂肪族ビニルエステルが挙げられ、これらは通常単独で用いるが、必要に応じて複数種を同時に用いてもよい。
エチレンとビニルエステル系モノマーとの共重合は、公知の任意の重合法、例えば、溶液重合、懸濁重合、エマルジョン重合を用いて行うことができる。
かかる共重合に用いられる溶媒としては、通常、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の低級アルコールやアセトン、メチルエチルケトン等のケトン類等が挙げられ、工業的には、メタノールが好適に使用される。
得られたエチレン−ビニルエステル系共重合体のケン化も公知の方法で行い得る。
ケン化に使用される触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート、リチウムメチラート等のアルカリ金属の水酸化物やアルコラートの如きアルカリ触媒、硫酸、塩酸、硝酸、メタスルフォン酸、ゼオライト、カチオン交換樹脂等の酸触媒が挙げられる。
EVOH系樹脂におけるエチレン構造単位の含有量は、ISO14663に基づいて測定した値で、通常20〜60モル%、好ましくは25〜50モル%、特に好ましくは25〜35モル%である。かかる含有量が低すぎる場合は、高湿度条件下でのガスバリア性、溶融成形性が低下する傾向があり、逆に高すぎる場合は、ガスバリア性が低下する傾向がある。
EVOH系樹脂におけるビニルエステル成分のケン化度は、JIS K6726(ただし、EVOH系樹脂は水/メタノール溶媒に均一に溶解した溶液にて)に基づいて測定した値で、通常90〜100モル%、好ましくは95〜100モル%、特に好ましくは99〜99.9モル%である。かかるケン化度が低すぎる場合にはガスバリア性、熱安定性、耐湿性等が低下する傾向がある。
また、EVOH系樹脂のメルトフローレート(MFR)(210℃、荷重2,160g)は、特に限定はされないが、0.1〜100g/10分、さらには0.5〜50g/10分、特には1〜30g/10分が好ましい。該メルトフローレートが該範囲よりも小さすぎる場合、成形時に押出機内が高トルク状態となって押出加工が困難となる傾向にあり、また該範囲よりも大きすぎる場合、成形品の外観性やガスバリア性が低下する傾向にある。
本発明に用いられるEVOH系樹脂には、エチレン構造単位、ビニルアルコール構造単位(未ケン化のビニルエステル構造単位を含む)の他、本発明の効果を阻害しない範囲(例えば10モル%以下)で、以下に示すコモノマーに由来する構造単位が、さらに含まれていてもよい。
前記コモノマーとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等のオレフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいは炭素数1〜18のモノまたはジアルキルエステル類、アクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等のアクリルアミド類、メタクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、2−メタクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等のメタクリルアミド類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニルアミド類、アクリルニトリル、メタクリルニトリル等のシアン化ビニル類、炭素数1〜18のアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、アルコキシアルキルビニルエーテル等のビニルエーテル類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル類、ビニルシラン類、酢酸アリル、塩化アリル、アリルアルコール、ジメチルアリルアルコール、トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロリド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルエチレンカーボネート、エチレンカーボネート等が挙げられる。
さらに、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドエチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、2−アクリロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−メタクリロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、メタアリルトリメチルアンモニウムクロライド、3−ブテントリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、ジエチルジアリルアンモニウムクロライド等のカチオン基含有単量体、アセトアセチル基含有単量体等も挙げられる。
さらにビニルシラン類としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルイソブチルジメトキシシラン、ビニルエチルジメトキシシラン、ビニルメトキシジブトキシシラン、ビニルジメトキシブトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルメトキシジヘキシロキシシラン、ビニルジメトキシヘキシロキシシラン、ビニルトリヘキシロキシシラン、ビニルメトキシジオクチロキシシラン、ビニルジメトキシオクチロキシシラン、ビニルトリオクチロキシシラン、ビニルメトキシジラウリロキシシラン、ビニルジメトキシラウリロキシシラン、ビニルメトキシジオレイロキシシラン、ビニルジメトキシオレイロキシシラン等を挙げることができる。
本発明で用いるEVOH系樹脂は、さらに、ウレタン化、アセタール化、シアノエチル化、オキシアルキレン化等の「後変性」されたEVOH系樹脂であってもよい。
以上のような変性物の中でも、共重合によって一級水酸基が側鎖に導入されたEVOH系樹脂は、延伸処理や真空・圧空成形などの二次成形性が良好になる点で好ましく、中でも下記(1)式で表される側鎖1,2−ジオール構造単位を有するEVOH系樹脂が好ましい。
Figure 0006770686
一般式(1)において、R1、R2、及びR3はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示し、Xは単結合または結合鎖を示し、R4、R5、及びR6はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示す。
上記一般式(1)で表される1,2−ジオール構造単位における有機基としては、特に限定されず、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の飽和炭化水素基、フェニル基、ベンジル基等の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子、水酸基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、スルホン酸基等が挙げられる。
1〜R6は通常炭素数1〜30、特には炭素数1〜15、さらには炭素数1〜4の飽和炭化水素基または水素原子が好ましく、水素原子が最も好ましい。特に、R1〜R6がすべて水素であるものが最も好ましい。
一般式(1)中のXは、代表的には単結合であるが、結合鎖であってもよい。かかる結合鎖としては特に限定されないが、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、フェニレン、ナフチレン等の炭化水素鎖(これらの炭化水素はフッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子等で置換されていてもよい)の他、−O−、−(CH2O)m−、−(OCH2m−、−(CH2O)mCH2−等のエーテル結合部位を含む構造;−CO−、−COCO−、−CO(CH2mCO−、−CO(C64)CO−等のカルボニル基を含む構造;−S−、−CS−、−SO−、−SO2−等の硫黄原子を含む構造;−NR−、−CONR−、−NRCO−、−CSNR−、−NRCS−、−NRNR−等の窒素原子を含む構造;−HPO4−等のリン原子を含む構造などのヘテロ原子を含む構造;−Si(OR)2−、−OSi(OR)2−、−OSi(OR)2O−等の珪素原子を含む構造;−Ti(OR)2−、−OTi(OR)2−、−OTi(OR)2O−等のチタン原子を含む構造;−Al(OR)−、−OAl(OR)−、−OAl(OR)O−等のアルミニウム原子を含む構造などの金属原子を含む構造等が挙げられる。なお、Rは各々独立して任意の置換基であり、水素原子、アルキル基が好ましく、またmは自然数であり、通常1〜30、好ましくは1〜15、さらに好ましくは1〜10である。その中でも製造時あるいは使用時の安定性の点で−CH2OCH2−、および炭素数1〜10の炭化水素鎖が好ましく、さらには炭素数1〜6の炭化水素鎖、特には炭素数1であることが好ましい。
上記一般式(1)で表わされる1,2−ジオール構造単位を含有する場合、その含有量は通常0.1〜20モル%、さらには0.1〜15モル%、特には0.1〜10モル%のものが好ましい。
上記一般式(1)で表わされる1,2−ジオール構造単位における最も好ましい構造は、R1〜R6がすべて水素原子であり、Xが単結合のものである。すなわち、下記構造式(1a)で示される構造単位が最も好ましい。
Figure 0006770686
尚、一般式(1)又は(1a)で表される1,2−ジオール構造単位を含むEVOH系樹脂の場合、EVOH系樹脂の製造に用いるモノマーの種類に応じて、以下のようなモノマー又はそのケン化物が残留し得る。残留し得るモノマー又はそのケン化物としては、3,4−ジオール−1−ブテン、3,4−ジアシロキシ−1−ブテン、3−アシロキシ−4−オール−1−ブテン、4−アシロキシ−3−オール−1−ブテン、4,5−ジオール−1−ペンテン、4,5−ジアシロキシ−1−ペンテン、4,5−ジオール−3−メチル−1−ペンテン、4,5−ジオール−3−メチル−1−ペンテン、5,6−ジオール−1−ヘキセン、5,6−ジアシロキシ−1−ヘキセン、4,5−ジアシロキシ−2−メチル−1−ブテン等が挙げられる。
〔ナイロン6系ポリアミド〕
本発明で用いるナイロン6系ポリアミドとは、ポリマー分子の構成単位としてε−カプロラクタム由来の構成単位を有するポリアミドを意味する。かかるナイロン6系ポリアミドとしては、ε−カプロラクタムの単独重合体の他、ε−カプロラクタムと他のラクタム、あるいはε−カプロラクタムと他のジアミン及びジカルボン酸の組み合わせとの共重合体(共重合ナイロン6)が含まれ、好ましくは熱水処理に対する耐レトルト性能の点から、ε−カプロラクタムの単独重合体である。
ε−カプロラクタムの単独重合体は、代表的にナイロン6である。
ε−カプロラクタムのホモポリマーであるナイロン6は、ε−カプロラクタムの開環重合、アニオン重合などにより合成される。
共重合ナイロン6としては、例えば、ε−カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミンおよびアジピン酸からなる共重合ポリアミド(6/66ナイロン)、ε−カプロラクタムとω−ラウロラクタムとの縮重合体(6/12ナイロン)、ε−カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸およびω−ラウロラクタムの共重合ポリアミド(6/66/12ナイロン)などが挙げられる。
ポリアミドの重合方法については特に制限はなく、公知のいかなる方法、例えば熱溶融重縮合、ラクタムの開環重合、溶液重合などの方法を用いることができる。また、重合に際して酢酸や安息香酸などの一塩基酸、あるいはヘキシルアミン、アニリンなどの一酸塩基を分子量調節剤として加えることができる。さらに、必要に応じ、亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム、亜リン酸、次亜リン酸や、ヒンダードフェノールに代表される熱安定剤や重合添加剤を加えることができる。
これらのナイロン6系ポリアミドの末端は、カルボン酸またはアミンで封止されていてもよい。封止する場合は炭素数6〜22のカルボン酸またはアミンを用いるのが好ましい。封止に用いるカルボン酸としては、例えば、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸などの脂肪族モノカルボン酸が挙げられる。封止に用いるアミンとしては、例えば、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、パルミチルアミン、ステアリルアミン、ベヘニルアミン等の脂肪族第一級アミン、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン、メタキシレンジアミン等の芳香族ジアミン等が挙げられる。
JIS K6810に従って測定されるナイロン6系ポリアミドの相対粘度は、特に限定しないが、98%硫酸中濃度1%、温度25℃で測定した相対粘度で、2.0〜6.5のものが好ましく用いられる。相対粘度が低すぎると成形品の強度が損なわれる傾向があり、高すぎると射出溶着強度が低下する傾向がある。ナイロン6系ポリアミドの相対粘度は、より好ましくは2.2〜3.5である。
ナイロン6系ポリアミドとしては、相対粘度が異なるものを複数用いることができる。
以上のようなナイロン6系ポリアミドには、通常、残留モノマーとしてε−カプロラクタムが含有されている。含有量は、ナイロン6系ポリアミドの種類、グレードにより異なるが、一般に市販されているナイロン6系ポリアミドでは、残留モノマーとしてε−カプロラクタムが5000ppm以上含有されている。本発明の樹脂組成物では、後述のε−カプロラクタム量低減処理により、従来からフィルム分野で用いられていたナイロン6系ポリアミドに含まれていた残存ε−カプロラクタム量よりも少なくなっている。
樹脂組成物中のナイロン6系ポリアミドの含有率は、樹脂組成物の所望の物性に応じて適宜選択できるが、通常、EVOH系樹脂:ナイロン6系ポリアミドの重量比で、50:50〜99:1、好ましくは60:40〜97:3、より好ましくは70:30〜95:5、特に好ましくは70:30〜90:10である。
ナイロン6系ポリアミドの含有量比率が高くなりすぎると、相対的にEVOH系樹脂の含有割合が減少するため、ガスバリア性が低下する傾向にあり、低くなりすぎると、熱水処理後のEVOH系樹脂の溶出抑制が不十分となる傾向がある。また、ナイロン6系ポリアミドの含有量が増大すると、ロングラン成形性が低下する傾向があるが、本発明では、ロングラン成形性低下の原因であるε−カプロラクタム量を低減することで、上述のEVOH系樹脂:ナイロン6系ポリアミドの重量比において、ナイロン6系ポリアミドの含有比が増大しても、ロングラン成形性の要求を充足することができる。
〔ε−カプロラクタム〕
本発明の樹脂組成物には、ナイロン6系ポリアミド由来の残留モノマーとしてのε−カプロラクタムが含有され得るが、その含有量が200ppm以下であるところに特徴がある。好ましくは150ppm以下、より好ましくは100ppm以下である。なお、下限としては小さければ小さいほどよいが、生産効率の点から、下限値は、通常10ppm程度である。
EVOH系樹脂及びナイロン6系ポリアミドを含有する樹脂組成物において、ε−カプロラクタムの含有量が多すぎると、ロングラン成形性が悪化する。ロングラン成形性悪化の理由、機構は、以下のように推測される。
すなわち、EVOH系樹脂は水酸基を豊富に有するため、ポリオレフィンやポリスチレン等の他の代表的な熱可塑性樹脂に比べて樹脂中に水分子を保持する傾向がある。EVOH系樹脂及びポリアミドを含有する樹脂組成物のペレットを作成する場合、樹脂組成物を100℃以上の高温で溶融してペレット化して製造されることから、一般に原料樹脂中に存在していた水分は蒸発していると考えられるが、得られる樹脂組成物のペレットは通常0.1〜0.2重量%程度の水分を有する。
EVOH系樹脂及びナイロン6系ポリアミドを含有する樹脂組成物の溶融混錬時、溶融成形時には、高温、せん断力が樹脂組成物にかかるため、樹脂組成物中にε−カプロラクタムが含有されていると、上記のような原料由来の水分や樹脂組成物中に存在する水分により加水分解し、生成されたカルボキシル基(-COOH)、アミノ基(-NH)が、溶融混錬中に、EVOH系樹脂の水酸基(-OH)と反応して、増粘の原因となるような架橋構造を形成しやすくなると推測される。特に、樹脂組成物ペレットの製造後、高湿度条件下で放置されたり、空気中で長期間放置されるなどにより、樹脂組成物が湿分を吸湿した場合、さらにε−カプロラクタムによる増粘の影響が表れやすいと考えられる。
本発明においては、原因と考えられるε−カプロラクタムを低減することにより増粘傾向を抑制しているので、樹脂組成物が上述のように水分を少量保持していた場合に、本発明の効果がより効果的に得られる傾向がある。
〔その他の熱可塑性樹脂〕
本発明の樹脂組成物は、EVOH系樹脂、ナイロン6系ポリアミド以外の熱可塑性樹脂を、本発明の趣旨を阻害しない範囲(例えば30重量%以下)であれば含有してもよい。
具体的には、例えば、ナイロン6系ポリアミド以外のポリアミド系樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のポリエチレン類、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン(ブロックおよびランダム)共重合体、プロピレン−α−オレフィン(炭素数4〜20のα−オレフィン)共重合体、ポリブテン、ポリペンテン等のポリオレフィン類、これらポリオレフィン類を不飽和カルボン酸又はそのエステルでグラフト変性したグラフト化ポリオレフィン類、アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、ポリスチレン、ビニルエステル系樹脂、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等のハロゲン化ポリオレフィン、芳香族または脂肪族ポリケトン、更にこれらを還元して得られるポリアルコール類等が挙げられる。
〔その他の添加物〕
本発明の樹脂組成物は、本発明の趣旨を阻害しない範囲(例えば5重量%以下)において、上記成分以外に公知の添加剤を適宜配合することができる。
かかる添加剤としては、具体的には、飽和脂肪族アミド(例えばステアリン酸アミド等)、不飽和脂肪酸アミド(例えばオレイン酸アミド等)、ビス脂肪酸アミド(例えばエチレンビスステアリン酸アミド等)、脂肪酸金属塩(例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等)、低分子量ポリオレフィン(例えば分子量500〜10,000程度の低分子量ポリエチレン、又は低分子量ポリプロピレン等)などの滑剤;無機塩(例えばハイドロタルサイト等);可塑剤(例えばエチレングリコール、グリセリン、ヘキサンジオール等の脂肪族多価アルコールなど);酸素吸収剤(例えば無機系酸素吸収剤として、還元鉄粉類又はこれに吸水性物質や電解質等を加えたもの、アルミニウム粉、亜硫酸カリウム、光触媒酸化チタン等;有機化合物系酸素吸収剤として、アスコルビン酸又はその脂肪酸エステルや金属塩、ハイドロキノン、没食子酸、水酸基含有フェノールアルデヒド樹脂等の多価フェノール類、ビス−サリチルアルデヒド−イミンコバルト、テトラエチレンペンタミンコバルト、コバルト−シッフ塩基錯体、ポルフィリン、大環状ポリアミン錯体、ポリエチレンイミン−コバルト錯体等の含窒素化合物と、遷移金属との配位結合体、テルペン化合物、アミノ酸類とヒドロキシル基含有還元性物質の反応物、トリフェニルメチル化合物等;高分子系酸素吸収剤として、窒素含有樹脂と遷移金属との配位結合体(例えばMXDナイロンとコバルトの組合せ)、三級水素含有樹脂と遷移金属とのブレンド物(例えばポリプロピレンとコバルトの組合せ)、炭素−炭素不飽和結合含有樹脂と遷移金属とのブレンド物(例えばポリブタジエンとコバルトの組合せ));光酸化崩壊性樹脂(例えばポリケトン);アントラキノン重合体(例えばポリビニルアントラキノン)又はこれらの配合物に、光開始剤(ベンゾフェノン等),過酸化物補足剤(市販の酸化防止剤等),消臭剤(活性炭等)を添加したものなど;熱安定剤;光安定剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;着色剤;帯電防止剤;界面活性剤;抗菌剤;アンチブロッキング剤;スリップ剤;充填材(例えば無機フィラー等)等が挙げられる。
さらには、本発明の目的を阻害しない範囲において、本発明の樹脂組成物に酢酸、リン酸等の酸類やそのアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属等の金属塩、ホウ素化合物としてのホウ酸またはその金属塩を添加してもよい。これらは樹脂の熱安定性を向上させることができる。
〔樹脂組成物の調製〕
本発明の樹脂組成物は、以上のような成分を混合することによって調製できる。かかる混合方法としては、溶融混合法、溶液混合法等が挙げられる。中でも生産性の点からは溶融混合法が好ましい。
溶融混合法の場合、EVOH系樹脂とナイロン6系ポリアミドの混合順序は特に限定しない。
EVOH系樹脂とナイロン6系ポリアミドを同時に溶融混練する方法;EVOH系樹脂(又はナイロン6系ポリアミド)を予め溶融したところに、ナイロン6系ポリアミド(又はEVOH系樹脂)を配合し、溶融混練する方法;EVOH系樹脂にナイロン6系ポリアミドを過剰量含有させてブレンドした高濃度組成物(一般にマスターバッチとも呼ばれる)を製造しておき、かかる組成物に、所望の混合比率にしたがって、EVOH系樹脂又はナイロン6系ポリアミドを加えてブレンドし、希釈する方法が挙げられる。
溶融混練に用いる装置は特に限定せず、公知の溶融混練機を用いることができる。例えば、ニーダールーダー、ミキシングロール、バンバリーミキサー、プラストミル、押出機等が挙げられる。押出機の場合、単軸または二軸の押出機のいずれを用いてもよく、必要に応じて、ベント吸引装置、ギヤポンプ装置、スクリーン装置等を設けられていてもよい。上記溶融混練における樹脂温度は、樹脂組成物の組成にもよるが、通常150〜300℃、好ましくは220〜280℃である。
溶液混合法の場合、溶媒としては、水、アルコール、または水/アルコール混合溶液を用いることができる。アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール等の炭素数1〜8、特には1〜5、更には1〜3のアルコールを用いることが好ましく、これらのうち、入手が容易でかつ安価な点で、メタノールが特に好ましく用いられる。
以上のようにして調製される樹脂組成物は、通常ペレットの形態で提供される。
ペレットの製造方法としては、従来より公知の方法、すなわち、溶融状態の樹脂組成物を吐出口からストランド状に押出し、溶融状態でカットした後、冷却固化してペレットを作製するホットカット方式;樹脂組成物の溶液又はスラリーを凝固浴中に押出し、冷却固化により得られた樹脂組成物のストランドをカットするストランドカット方式が挙げられる。
ホットカット方式は、大気中でカット(空中ホットカット方式)、冷却水で満たされたカッター設置容器内に押出され、冷却水中でカット(水中カット方式)のいずれでもよい。
溶融混錬法により樹脂組成物を調製する場合、ホットカット方式が好ましく採用される。
水中カット方式における冷却水の温度は、溶融状態で押し出された樹脂組成物が瞬時に固化(凝固)しない程度の温度であり、カット前に冷却水と接触する場合には、冷却水の温度は−20〜50℃とすることが好ましく、より好ましくは−5〜30℃である。
冷却水は、水に限定しない。水/アルコール混合液;ベンゼン等の芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジプロピルエーテル等のエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル等の有機エステル類なども用いることができる。これらのうち、取扱い性が容易という点から、水、又は水/アルコール混合溶液が用いられる。水/アルコール混合溶液において、水/アルコール(重量比)は通常90/10〜99/1である。なお、上記アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール等の低級アルコール、具体的には炭素数1〜3のアルコールを用いることができ、工業上、メタノールが好ましく用いられる。
ペレットの形状は、通常、ペレットの製造方法に依存し、円柱状、球状、ラグビーボール状、立方体、直方体、不定形など、種々の形状のものを用いることができる。
ペレットのサイズ、形状は、使用する押出機のノズルの口径、カッター刃の枚数、カッター刃の回転数等を適宜調整することにより、調整することができる。
通常、ペレットサイズとしては、例えば、円柱状の場合は底面の直径が1〜10mm、特には1.5〜4mmが好ましく、長さが1〜10mm、特には1.5〜3mmが好ましく、球状の場合は直径が1〜10mm、特には2〜7mmが好ましい。
〔ε-カプロラクタムの含有量の調整〕
本発明の樹脂組成物は、ε-カプロラクタムの含有量が200ppm以下、好ましくは150ppm以下、より好ましくは100ppm以下である。
一般に市販のナイロン6系ポリアミドでは、グレードにもよるが、残留モノマーとしてε−カプロラクタムが5000ppm以上含有されている。従って、樹脂組成物におけるε-カプロラクタムの含有量を200ppm以下に調整するためには、ε−カプロラクタムの含有量を低減するための処理が必要となる。
ε−カプロラクタムの含有量低減のための処理は、特に限定しないが、水との接触処理が好ましく採用される。ε−カプロラクタムの水に対する溶解度が高く、水洗により効率的に除去できること、水洗処理後、乾燥することで、ε−カプロラクタムの低減処理による樹脂組成物に影響はほとんどなくて済むことなどの理由が挙げられる。
ε−カプロラクタムの低減処理は、樹脂組成物の調製段階、樹脂組成物のペレット製造段階、樹脂組成物のペレット段階のいずれで行ってもよい。すなわち、水との接触処理は、下記i)〜iv)のいずれかにおいて行われることが好ましい。
i)エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物とナイロン6系ポリアミドとの混合前;
ii)エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物とナイロン6系ポリアミドとの混合時;
iii)エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物とナイロン6系ポリアミドとの混合後;
iv)i)〜iii)のいずれか2つ以上の組み合わせ。
具体的には、予めナイロン6系ポリアミドについて、水との接触処理を施した後、EVOH系樹脂と混合する;EVOH系樹脂とナイロン6系ポリアミドのドライブレンド物を水との接触処理に供する;EVOH系樹脂とナイロン6系ポリアミドの溶融混錬物を、水との接触処理に供する;樹脂組成物のペレットを成形機に供給する前に水との接触処理に供する;これらのいずれかの組み合わせなどにより、水との接触処理を行うことが好ましい。
水との接触方法としては、例えば水中に浸漬させて撹拌したり、水中で樹脂組成物(好ましくはペレット)を循環させたり、樹脂組成物を流水にさらしたり、或いは樹脂組成物(好ましくはペレット)に洗浄用処理液を吹き付けたりする方法により行うことができる。更に浸漬中に超音波等の振動を与えたりすることも有効であるが、工業上、好適にはペレットを水中に浸漬させて撹拌したり、水中でペレットを循環させたりする方法が用いられる。
水との接触時間は5分〜48時間、更には10分〜24時間が好ましく、水の温度10〜80℃、更には20〜60℃とすることが好ましい。接触時間が短すぎるとε―カプロラクタムを十分に低減できない傾向があり、長すぎるとポリアミドが加水分解する傾向がある。また、水の温度が低すぎるとε―カプロラクタムを十分に低減できない傾向があり、高すぎるとポリアミドが加水分解する傾向がある。
水洗処理に使用する容器としては、多孔板塔,泡鐘塔などの棚段塔や充填塔等の塔型容器を備えたものやビーカーやフラスコ等の容器を用いることができる。塔型容器を用いる場合、樹脂組成物と水との接触は、向流、並流のいずれでも可能であるが、置換効率の観点から、向流で接触させることが好ましい。また、ビーカーやフラスコなどの容器を用いる場合、樹脂組成物と水との接触は、スターラーや撹拌翼等により、水を撹拌させることが好ましい。
上記水との接触処理後、乾燥することが好ましい。具体的には、通常、含水率0.01〜1%程度、好ましくは0.05〜0.5%程度まで乾燥することが好ましい。本発明の樹脂組成物は、ε−カプロラクタムの含有量が低減されているので、含水率の増大が、樹脂組成物の溶融混錬、溶融成形時の増粘、更にはロングラン成形性の重大な低下をもたらすわけではない。しかしながら、含水率が高くなりすぎると、ペレット製造時、あるいは溶融成形時に発泡する虞があるので、含水率は低い方が好ましい。
かかる乾燥方法としては、種々の乾燥方法を採用することが可能である。例えば、樹脂組成物のペレットが機械的にもしくは熱風により撹拌分散されながら行われる流動乾燥や、樹脂組成物のペレットが撹拌、分散などの動的な作用を与えられずに行われる静置乾燥が挙げられる。特に限定しないが、流動乾燥を行うための乾燥器としては、例えば、円筒・溝型撹拌乾燥器、円管乾燥器、回転乾燥器、流動層乾燥器、振動流動層乾燥器、円錐回転型乾燥器等が挙げられる。また、静置乾燥を行うための乾燥器としては、材料静置型である回分式箱型乾燥器、材料移送型であるバンド乾燥器、トンネル乾燥器、竪型乾燥器等を挙げることができる。流動乾燥と静置乾燥を組み合わせて行うことも可能である。
上記乾燥処理時には、空気または不活性ガス(窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等)の加熱ガスが用いられ、該加熱ガスの温度は40〜150℃とすることが、生産性とEVOH系樹脂の熱劣化防止の点で好ましい。該乾燥処理の時間としては、EVOH系樹脂の含水量やその処理量にもよるが、通常は15分〜72時間程度が、生産性とEVOH系樹脂の熱劣化防止の点で好ましい。
ε−カプロラクタムの低減処理、すなわち水とナイロン6系ポリアミドとの接触処理は、ナイロン6系ポリアミド単独の場合に限定されず、前述のように、EVOH系樹脂との混合後、さらにはペレットの状態で行うことも可能である。しかしながら、EVOH系樹脂との混合前のナイロン6系ポリアミドの状態で、水との接触処理を行うことが好ましい。混合前の洗浄処理は、ε−カプロラクタムの除去効率に優れているからである。かかる段階でε−カプロラクタムを十分に除去しておくことで、EVOH系樹脂との混合後の水洗を簡略化することが可能となり、これにより、最終生産物となる樹脂組成物ペレットの含水率の増大を抑制することが可能となる。
一方、EVOH系樹脂とナイロン6系ポリアミドの混合物の状態で行う場合には、EVOH系樹脂に含まれる残留モノマー等の不純物の低減処理も図ることができ、ひいては最終成形品の品質向上に役立つという点で好ましい。
以上のようにして製造される樹脂組成物は、ε−カプロラクタムから形成されるナイロン6系ポリアミドを構成成分として含有しているにもかかわらず、残留モノマーとしてのε−カプロラクタム含有量が200ppm以下と低くなっている。このため、連続的に行う溶融押出成形においても、溶融粘度の増加、特に複素粘度の経時的増大が抑制されていて、優れたロングラン成形性を有する。
また、樹脂組成物中のε−カプロラクタム量を低減することで、たとえ樹脂組成物ペレットの保存中にEVOH樹脂が吸湿するようなことがあっても、かかる吸湿によるペレットの増粘傾向が抑制されることを期待できる。
具体的には、回転型レオメータで、周波数1rad/s、ひずみ5%で測定されるせん断をかけたときの複素粘度の経時変化(増加率)を抑制することができる。例えば、240℃で測定して、5分後の複素粘度(η(5min))に対する8時間後の複素粘度(η(8hr))の比(η(8hr)/η(5min))を73未満とすることができる。また、別の見地において、例えば、240℃で測定して、20分後の複素粘度(η(20min))に対する6時間後の複素粘度(η(6hr))の比(η(6hr)/η(20min))を35未満、好ましくは33未満、より好ましくは30未満とすることができる。
樹脂組成物の複素粘度は、通常、図1に示すような非ニュートン挙動を示し、200分を超える頃からの粘度上昇率が増大する。
従って、上記比の差が1程度であっても、1週間後(168時間後)の粘度差は大きくなり、溶融成形性に関して大きな差となって現れる。
従って、EVOH系樹脂とナイロン6系ポリアミドを含む樹脂組成物の製造において、ナイロン6系ポリアミドが水と接触する工程を含む。これにより、樹脂組成物中のε−カプロラクタム含有量を200ppm、好ましくは150ppm以下、より好ましくは100ppm以下とすることが可能となり、ひいては、ロングラン成形性を改善することができる。
本発明の樹脂組成物は上記の方法によりペレットとすることができる。かかるペレットサイズとしては、例えば、円柱状の場合は底面の直径が1〜10mm、特には1.5〜4mmが好ましく、長さが1〜10mm、特には1.5〜3mmが好ましく、球状の場合は直径が1〜10mm、特には2〜7mmが好ましい。かかるペレットの含水率は、通常0.01〜1%程度、好ましくは0.05〜0.5%、特に好ましくは0.05〜0.3%である。本発明の樹脂組成物は、ε−カプロラクタムの含有量が低減されているので、含水率の増大が、樹脂組成物の溶融混錬、溶融成形時の増粘、更にはロングラン成形性の重大な低下をもたらすわけではない。しかしながら、含水率が高くなりすぎると、ペレット製造時、あるいは溶融成形時に発泡する虞があるので、含水率は低い方が好ましい。
かかる含水率は、例えば下記の方法により測定することが可能である。
アルミカップにペレットを10gとり、アルミカップ単体(重量:C1)、ペレット(重量:P1)を入れたアルミカップの重量(C1+P1)をそれぞれ測定する。そして、ペレットを入れたアルミカップを窒素置換、真空引きがなされていない市販の乾燥機(タバイエスペック株式会社製『SAFETY OVEN SPH-100』)にて150℃、5時間加熱処理を行なう。加熱処理後は乾燥機よりペレットを入れたアルミカップを取り出し、乾燥剤の入ったデシケーター内にて30分間静置してペレットの温度を室温まで戻し、加熱処理後のペレット(重量:P2)を入れたアルミカップの重量(C1+P2)を測定し、下記数式により、含水率(重量%)を算出する。
Figure 0006770686

<樹脂組成物の用途>
本発明の樹脂組成物は、EVOH系樹脂とナイロン6系ポリアミドを含有しており、ガスバリア性に優れているので、食品包装材料、医薬品包装材料、工業薬品包装材料、農薬包装材料等として好適に用いられる。特に耐レトルト性に優れているので、食品包装材料としてのフィルムやシート或いはボトルやカップ等の容器に成形されて利用されることが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、ロングラン成形性に優れているので、連続溶融成形である、押出成形、射出成形を好適に採用できる。長時間、連続的に溶融成形しても、安定的に成形機を運転することが可能であり、さらに得られる成形物もゲル状物の発生などが抑制されているので、外観に優れた成形品を連続して安定的に製造できることから、生産性に優れている。
かかる溶融成形方法としては、押出成形法(T−ダイ押出、インフレーション押出、ブロー成形、溶融紡糸、異型押出等)、射出成形法を採用することができる。溶融成形温度は、樹脂組成物の組成に応じて、通常150〜300℃の範囲から選択される。
本発明の樹脂組成物を単独で成形した成形品を、各種用途に供してもよいが、さらに強度を上げたり他の機能を付与したりするために他の基材を積層した積層体として好ましく用いられる。
積層体としては、本発明に係る樹脂組成物の層を少なくとも1層有するものが挙げられ、好ましくは、本発明の樹脂組成物層の少なくとも一面に、接着性樹脂層を介して、EVOH系樹脂や本発明の樹脂組成物以外の熱可塑性樹脂(例えば、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂など)の層が積層されている。
本発明に係る樹脂組成物層と基材樹脂(層)との積層は公知の方法にて行うことができる。例えば、本発明の樹脂組成物のフィルム、シート等に基材樹脂を溶融押出ラミネートする方法;基材樹脂のフィルム、シートに、本発明の樹脂組成物を溶融押出ラミネートする方法;本発明の樹脂組成物と基材樹脂とを共押出する方法;本発明の樹脂組成物(層)と基材樹脂(層)とを有機チタン化合物、イソシアネート化合物、ポリエステル系化合物、ポリウレタン化合物等の公知の接着剤を用いてドライラミネートする方法;基材樹脂のフィルム又はシート上に本発明の樹脂組成物の溶液を塗工してから溶媒を除去する方法等が挙げられる。中でも、コストや環境の観点から考慮して共押出しする方法が好ましい。
本発明の樹脂組成物は、ロングラン成形性に優れているので、熱可塑性樹脂と共押出しする方法を好適に採用できる。よって、上記のような積層体の生産性向上を図ることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、実施例の記載に限定されるものではない。
尚、例中「部」とあるのは、重量基準を意味する。
〔ε−カプロラクタム量の測定〕
樹脂組成物のペレットをヘキサフルオロイソプロパノールにて溶解した後、メタノールに再沈殿させ、ポリマーを除去し、高速液体クロマトグラフ分析により、ε-カプロラクタムを定量した。
尚、高速液体クマトグラフ分析には、装置:日本分光社製 PU− 2085Plus 型、カラム:Imtakt製Unison UK−C18(4.6mmID×150mm,3m)を用いた。
〔複素粘度の測定〕
樹脂組成物のペレットの複素粘度(Pa・s)を、回転型レオメータ(アントンパール社製、『MCR301』)を用い、下記条件にてせん断を与えた状態で、せん断付与開始から所定時間後の複素粘度を測定した。
(測定条件)
窒素雰囲気下、測定温度:240℃、歪み:5%、各周波数:1rad/sec
〔樹脂組成物の構成成分〕
(1)EVOH系樹脂
EVOH系樹脂として、エチレン含有量29モル%、ケン化度99.7モル%、MFR4g/10分(210℃、荷重2160g)のEVOH樹脂を用いた。
(2)ナイロン6系ポリアミド
DSM社製「ノバミッド1028EN」(ナイロン6)を用いた。
〔ε-カプロラクタム量とロングラン成形性の関係その1〕
(1)樹脂組成物No.1:
上記ナイロン6を、60℃の水中で12時間撹拌することにより、ε−カプロラクタムの低減処理を行った。水洗による低減処理を行ったナイロン6の10部とEVOH系樹脂90部とをドライブレンドした後、フィーダーに仕込み、ミキシングゾーンを2箇所有する2軸押出機にて下記条件で溶融混練し、ストランド状に押出してドラム式ペレタイザーで切断し、樹脂組成物No.1のペレットを得た。
・2軸押出機:直径32mm
・押出機設定温度:
C2/C3/C4/C5/C6/C7/C8/C9/C10/C11/C12/C13/C14/C15/C16/H/D=120/180/180/200/230/230/以降220 ℃
得られた樹脂組成物No.1のペレット中のε−カプロラクタム量を上記方法に基づいて測定したところ、61ppmであった。
この樹脂組成物No.1のペレットについて、上記複素粘度の測定方法に基づき、5分間隔で480分間、複素粘度を測定した。480分間の複素粘度変化を図1(点線)に示す。得られた粘度曲線から、7日(168時間)後の複素粘度を外挿により求め(図1の一点鎖線)、さらに下記式で示す経時変化率△1、△2を算出した。得られた結果を表1に示す。
5分後の複素粘度:η(5min)、480分(8時間)後の複素粘度:η(8hr)、7日後の複素粘度:η(7day)として、下記式により、複素粘度の経時変化率△1、△2を求めた。
経時変化率△1=η(8hr)/η(5min)
経時変化率△2=η(7day)/η(5min)
経時変化率が大きいほど、ロングラン成形性が劣ることを意味する。
(2)樹脂組成物No.2
洗浄処理を行わなかったナイロン6を用いた以外は、No.1と同様にして樹脂組成物のペレットを製造した。得られたペレットのε−カプロラクタム量を測定したところ、240ppmであった。このペレットについて、複素粘度を測定し、ロングラン成形性を評価した。480分間の複素粘度変化を図1(実線)に示す。得られた粘度曲線から、7日後の複素粘度を外挿により求め(図1の二点鎖線)、さらに経時変化率△1、△2を算出した。得られた結果を表1に示す。
Figure 0006770686
水との接触処理を施した樹脂組成物No.1のペレットは、ε−カプロラクタム量が低減されていたことがわかる。
そして、図1からわかるように、せん断付与から約200分後までは、No.1とNo.2の複素粘度はほとんど差異が認められなかったが、その後、徐々に差が認められるようになった。
経時変化△1が73以上であるNo.2の樹脂組成物のペレットでは、7日の経時変化△2は3000近くになると予測されるのに対して、経時変化△1が73未満のNo.1の樹脂組成物のペレットでは、7日後の経時変化△2は2910程度となることが予測される。
したがって、ε−カプロラクタム含有量を200ppm以下とすることで、樹脂組成物のロングラン成形性を改善できることがわかる。
〔ε-カプロラクタム量とロングラン成形性の関係その2〕
(1)ペレットNo.11
上記で製造した樹脂組成物No.1のペレット(ペレットNo.11)について、上記複素粘度の測定方法に基づき、せん断付与開始から20分後、6時間後の複素粘度を測定した。測定結果、及び下記式により、複素粘度の経時変化率△3を求めた。
経時変化率△3=η(6hr)/η(20min)
(2)ペレットNo.12
上記で製造した樹脂組成物No.2のペレット(ペレットNo.12)について、No.11と同様にして、せん断付与開始から20分後、6時間後の複素粘度を測定し、さらに上記で定義される複素粘度の経時変化率△3を求めた。
かかる測定に用いた樹脂組成物ペレットNo.12の含水率は、0.5重量%であった。No.12とNo.2とは、同一の組成を有する樹脂組成物を原料として作製されたペレットであるが、湿分が高めになっていた。
(3)ペレットNo.13
上記ナイロン6のε−カプロラクタムの低減処理について、水洗処理温度を60℃、水中での撹拌時間を4時間に変更した。低減処理後のナイロン6の10部とEVOH系樹脂90部とをドライブレンドして得られた樹脂組成物を用いて、No.1と同様にペレット化した(ペレットNo.13)。
こうして得られたペレットNo.13中のε−カプロラクタム量を上記方法に基づいて測定したところ、120ppmであった。この樹脂組成物ペレットNo.13について、No.11と同様にして、複素粘度を測定し、さらに上記で定義される複素粘度の経時変化率△3を求めた。
(4)ペレットNo.14
上記ナイロン6のε−カプロラクタムの低減処理について、水洗処理温度を20℃、水中での撹拌時間を4時間に変更した。かかる低減処理を行ったナイロン6の10部とEVOH系樹脂90部とをドライブレンドして得られた樹脂組成物を用いて、No.1と同様にペレット化した(ペレットNo.14)。
得られたペレットNo.14中のε−カプロラクタム量を上記方法に基づいて測定したところ、145ppmであった。このペレットNo.14について、No.11と同様にして、複素粘度を測定し、さらに上記で定義される複素粘度の経時変化率△3を求めた。
樹脂組成物ペレットNo.11−14の複素粘度、ロングラン成形性(複素粘度の経時変化率)を表2にまとめて示す。
Figure 0006770686
表2から、樹脂組成物中のε−カプロラクタムの含有率に関わらず、時間の経過とともに複素粘度が増大することがわかる。そして、ε−カプロラクタムの含有率が200ppm以下である場合、経時変化率(△3)の増大が抑制され、100ppm以下である場合にはさらに抑制されることがわかる。
従って、樹脂組成物ペレット中のε−カプロラクタム量を低減すること、すなわち200ppm以下、好ましくは100ppm以下に低減することは、ロングラン成形性の改善に有効であることがわかる。
熱処理後でも形態保持性、ガスバリア性に優れた包装用材料として好適なEVOH系樹脂とナイロン6系ポリアミドを含有する樹脂組成物のロングラン成形性を、ε−カプロラクタム含有量を調製することで改善することができる。ε−カプロラクタム含有量の調整は、水洗処理といった簡便な追加作業で実現することができるので、本発明によれば、従来のEVOH系樹脂とナイロン6系ポリアミドを含有する樹脂組成物のロングラン成形性を効率的に改善できる。

Claims (6)

  1. エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物及びナイロン6系ポリアミドを含有する樹脂組成物において、
    ε−カプロラクタムの含有量が200ppm以下であり、
    前記エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物と前記ナイロン6系ポリアミドの混合重量比率(エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物:ナイロン6系ポリアミド)は、50:50〜90:10であることを特徴とする樹脂組成物。
  2. 前記ナイロン6系ポリアミドは、ナイロン6であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物及びナイロン6系ポリアミドを含有する樹脂組成物ペレットの製造方法であって、
    前記樹脂組成物は、ε−カプロラクタムの含有量が200ppm以下であり、前記エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物と前記ナイロン6系ポリアミドの混合重量比率(エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物:ナイロン6系ポリアミド)が50:50〜90:10であり、
    前記ナイロン6系ポリアミドが水と接触する工程を含むことを特徴とする樹脂組成物の製造方法。
  4. 前記接触工程は、下記i)〜iv)のいずれかにおいて行われることを特徴とする請求項に記載の樹脂組成物の製造方法。
    i)エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物とナイロン6系ポリアミドとの混合前;
    ii)エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物とナイロン6系ポリアミドとの混合時;
    iii)エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物とナイロン6系ポリアミドとの混合後;
    iv)i)〜iii)のいずれか2つ以上の組み合わせ。
  5. 前記接触工程により、樹脂組成物中のε−カプロラクタムの含有量を200ppm以下とすることを特徴とする請求項またはに記載の樹脂組成物の製造方法。
  6. エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物及びナイロン6系ポリアミドを、エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物:ナイロン6系ポリアミド=50:50〜90:10の割合で含有する樹脂組成物ペレットのロングラン成形性の改善方法であって、
    前記ナイロン6系ポリアミドと水を接触させることにより、前記樹脂組成物ペレット中のε−カプロラクタムの含有量を200ppm以下とする改善方法。
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