JP6702179B2 - エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物ペレットおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献2の、ホウ素化合物処理は、EVOH樹脂溶液または分散液にホウ素化合物を添加することにより行われ、ホウ素成分を含有したEVOH樹脂ペレットを押出成形原料として用いている。
特許文献3では、EVOH樹脂にホウ素化合物を含有させる処理を行って得られるホウ素含有EVOH樹脂ペレットについて、ペレットの含水率が0.1mm未満のフィッシュアイの発生と関係があることを見出し、含水率0.0001〜2重量%に乾燥させた後、水と接触させることにより、0.1mm未満のフィッシュアイの発生を抑制できることが開示されている。
なお、本発明は、単層膜であっても成形性に優れ、外観に優れているので、耐水性、強度等の観点から、他の樹脂層を積層した多層構造体の成形性や外観においても、当然に適用できるものである。
また、「ペレット表層部のホウ素化合物含有量」は、ホウ素化合物およびアルカリ土類金属含有EVOH樹脂ペレット中に含有されているホウ素含有量(「ペレットのホウ素全含有量」)とは区別されるものである。
本発明のホウ素化合物およびアルカリ土類金属含有EVOH樹脂ペレットを構成するEVOH樹脂は、通常、エチレンとビニルエステル系モノマーとの共重合体(エチレン−ビニルエステル系共重合体)をケン化させることにより得られる樹脂であり、非水溶性の熱可塑性樹脂である。重合法も公知の任意の重合法、例えば、溶液重合、懸濁重合、エマルジョン重合を用いて行うことができるが、一般的にはメタノール等の低級アルコール、特に好ましくはメタノールを溶媒とする溶液重合が用いられる。得られたエチレン−ビニルエステル系共重合体のケン化も公知の方法で行い得る。
このようにして製造されるEVOH樹脂は、エチレン由来の構造単位とビニルアルコール構造単位を主とし、必要に応じてケン化されずに残存した若干量のビニルエステル構造単位を通常含む。
かかる1,2−ジオール構造を側鎖に有するEVOH樹脂は、側鎖に1,2−ジオール構造単位を含むものである。かかる1,2−ジオール構造単位とは、具体的には下記一般式(1)で示される構造単位である。
R1〜R3は、通常炭素数1〜30、特には炭素数1〜15、さらには炭素数1〜4の飽和炭化水素基または水素原子が好ましく、水素原子が最も好ましい。R4〜R6は、通常炭素数1〜30、特には炭素数1〜15、さらには炭素数1〜4のアルキル基または水素原子が好ましく、水素原子が最も好ましい。特に、R1〜R6がすべて水素原子であるものが最も好ましい。
なお、本発明の効果を阻害しない範囲であればXは、結合鎖であってもよい。かかる結合鎖としては特に限定されないが、例えば、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、フェニレン、ナフチレン等の炭化水素鎖(これらの炭化水素はフッ素、塩素、臭素等のハロゲン等で置換されていてもよい)の他、−O−、−(CH2O)m−、−(OCH2)m−、−(CH2O)mCH2−等のエーテル結合部位を含む構造;−CO−、−COCO−、−CO(CH2)mCO−、−CO(C6H4)CO−等のカルボニル基を含む構造;−S−、−CS−、−SO−、−SO2−等の硫黄原子を含む構造;−NR−、−CONR−、−NRCO−、−CSNR−、−NRCS−、−NRNR−等の窒素原子を含む構造;−HPO4−等のリン原子を含む構造等のヘテロ原子を含む構造;−Si(OR)2−、−OSi(OR)2−、−OSi(OR)2O−等の珪素原子を含む構造;−Ti(OR)2−、−OTi(OR)2−、−OTi(OR)2O−等のチタン原子を含む構造;−Al(OR)−、−OAl(OR)−、−OAl(OR)O−等のアルミニウム原子を含む構造等の金属原子を含む構造等があげられる。
なお、mは自然数であり、通常1〜30、好ましくは1〜15、さらに好ましくは1〜10である。その中でも製造時あるいは使用時の安定性の点で−CH2OCH2−、および炭素数1〜10の炭化水素鎖が好ましく、さらには炭素数1〜6の炭化水素鎖、特には炭素数1であることが好ましい。
本発明のEVOH樹脂ペレットに含有させるホウ素化合物としては、ホウ酸またはその金属塩、例えば、ホウ酸ナトリウム(メタホウ酸ナトリウム、二ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、五ホウ酸ナトリウム、六ホウ酸ナトリウム、八ホウ酸ナトリウム等)、ホウ酸カリウム(メタホウ酸カリウム、四ホウ酸カリウム、五ホウ酸カリウム、六ホウ酸カリウム、八ホウ酸カリウム等)、ホウ酸リチウム(メタホウ酸リチウム、四ホウ酸リチウム、五ホウ酸リチウム等)、ホウ酸カルシウム、ホウ酸バリウム(オルトホウ酸バリウム、メタホウ酸バリウム、二ホウ酸バリウム、四ホウ酸バリウム等)、ホウ酸マグネシウム(オルトホウ酸マグネシウム、二ホウ酸マグネシウム、メタホウ酸マグネシウム、四ホウ酸三マグネシウム、四ホウ酸五マグネシウム等)、ホウ酸マンガン(ホウ酸第1マンガン、メタホウ酸マンガン、四ホウ酸マンガン等)、ホウ酸コバルト、ホウ酸亜鉛(四ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛等)、ホウ酸カドミウム(オルトホウ酸カドミウム、四ホウ酸カドミウム等)、ホウ酸銀(メタホウ酸銀、四ホウ酸銀等)、ホウ酸銅(ホウ酸第2銅、メタホウ酸銅、四ホウ酸銅等)、ホウ酸ニッケル(オルトホウ酸ニッケル、二ホウ酸ニッケル、四ホウ酸ニッケル、八ホウ酸ニッケル等)、ホウ酸アルミニウム・カリウム、ホウ酸アンモニウム(メタホウ酸アンモニウム、四ホウ酸アンモニウム、五ホウ酸アンモニウム、八ホウ酸アンモニウム等)、ホウ酸鉛(メタホウ酸鉛、六ホウ酸鉛等)、ホウ酸ビスマス、等の他、ホウ砂、カーナイト、インヨーアイト、コトウ石、スイアン石、ザイベリ石等のホウ酸塩鉱物等があげられ、好適にはホウ砂、ホウ酸があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。ここでホウ素化合物のアルカリ土類金属塩を含有した場合、本発明のホウ素化合物およびアルカリ土類金属含有EVOH樹脂ペレット中のアルカリ土類金属の含有量に算入される。
本発明のホウ素化合物およびアルカリ土類金属含有EVOH樹脂ペレットに含有させるアルカリ土類金属としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウムがあげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。これらのうち、好ましくはカルシウムである。
EVOH樹脂からペレットを製造する方法としては、従来公知の方法を採用でき、例えば、
a)溶融状態のEVOH樹脂を押出機の吐出口から押出し、溶融状態でカットした後、冷却固化してペレットを作製するホットカット方式、
b)EVOH樹脂溶液またはスラリー(EVOH樹脂含水組成物)を凝固浴中に押出し、冷却固化により得られたEVOH樹脂ストランドをカットするストランドカット方式、
等があげられ、具体的には、次の通りである。
EVOH樹脂含水組成物をホットカット方式で製造するペレット原料として押出機に投入する場合、押出機内でのEVOH樹脂含水組成物の温度は、70〜170℃が好ましく、より好ましくは80〜170℃、さらに好ましくは90〜170℃である。EVOH樹脂含水組成物の温度が低すぎる場合は、EVOH樹脂が完全に溶融しない傾向があり、高すぎる場合は、EVOH樹脂が熱劣化を受けやすくなる傾向がある。乾燥EVOH樹脂をペレット原料として使用する場合の押出機内でのEVOH樹脂の温度は150〜300℃が好ましく、より好ましくは160〜280℃、さらに好ましくは170〜250℃である。なお、樹脂組成物の温度は、押出機シリンダーに設置した温度センサーにより押出機先端部吐出口付近で検出した温度をいう。
ただし、乾燥EVOH樹脂を原料とする場合、EVOH樹脂含水組成物を原料として用いる場合よりも凝固しやすいことから、水中カット方式における冷却水の温度は、EVOH樹脂含水組成物を原料とする場合よりも高く、通常0〜90℃であり、好ましくは20〜70℃である。
ストランドカット方式の場合も、ホットカット方式と同様に、ペレット原料として、EVOH樹脂含水組成物、乾燥EVOH樹脂を用いることができる。
ただし、凝固浴に押し出すEVOH樹脂含水組成物の温度は、通常、10〜100℃である。また、凝固浴の温度は、押し出されたEVOH樹脂が冷却固化できる温度で、通常、−10〜40℃であり、滞留時間は、通常、10〜400秒間程度である。凝固浴に乾燥EVOHが押し出される温度は、通常、150〜300℃であり、凝固浴の温度は通常0〜90℃で、滞留時間は2〜400秒程度である。
EVOH樹脂ペレットの形状は、通常、ペレットの製造方法に依存し、円柱状、球状、ラグビーボール状、立方体、直方体、不定形等、種々の形状のものを用いることができる。
ペレットのサイズ、形状は、使用する押出機のノズルの口径、カッター刃の枚数、カッター刃の回転数等を適宜調整することにより、調製することができる。
本発明のホウ素化合物およびアルカリ土類金属含有EVOH樹脂ペレットは、下記ホウ素含有EVOH樹脂ペレットの製造、およびアルカリ土類金属含有EVOH樹脂ペレットの製造を経ることにより得ることができる。これらの工程は、どちらの工程を先に行ってもよく、また同時に行ってもよい。上記工程を同時に行う際は、例えば、ホウ素化合物とアルカリ土類金属が溶解した溶液を用いる等により行うことができる。
なかでも、作業効率の点から、ホウ素化合物含有EVOH樹脂ペレットの製造、アルカリ土類金属含有EVOH樹脂ペレットの製造の順に行うことが好ましい。
上記ホウ素化合物含有EVOH樹脂ペレットは、
(I)ホウ素化合物含有EVOH樹脂ペレット(洗浄前)を製造する工程、
(II)上記洗浄前ホウ素化合物含有EVOH樹脂ペレットを洗浄処理する工程、
により製造することができる。
以下、工程(I)により製造されたホウ素化合物含有EVOH樹脂ペレット(洗浄前)を、「洗浄前ホウ素化合物含有EVOH樹脂ペレット」と称し、工程(II)の洗浄処理を経たホウ素化合物含有EVOH樹脂ペレットを「ホウ素化合物含有EVOH樹脂ペレット」と称して、両者を区別する。
上記工程(I)の洗浄前ホウ素化合物含有EVOH樹脂ペレットの製造、すなわちホウ素化合物をEVOH樹脂ペレットに含有させる処理は、上記EVOH樹脂ペレットとホウ素化合物とを接触させることにより行う。
i)ペレット製造段階でEVOH樹脂とホウ素化合物とを接触させる方法、
ii)予め作製したEVOH樹脂ペレットとホウ素化合物とを接触させる方法、
等により行うことができる。
原料としてEVOH樹脂含水組成物を用いる場合には、当該含水組成物にホウ素化合物を添加すればよい。乾燥EVOH樹脂ペレットを溶融し、かかる溶融状態のEVOH樹脂を原料として用いる場合、乾燥EVOH樹脂に予めホウ素化合物を含有させればよい。
好ましくは、ホウ素化合物を添加したEVOH樹脂含水組成物を、凝固液中にストランド状に押出し、得られたストランドを切断する方法である。
洗浄前ホウ素化合物含有EVOH樹脂ペレットは、当該ペレットに含まれるホウ素化合物の全含有量、ペレット表層部のホウ素化合物の含有量にもよるが、洗浄処理によって、上記工程(I)の洗浄前ホウ素化合物含有EVOH樹脂ペレットの、ホウ素含有量を調整することができる。
上記アルカリ土類金属含有EVOH樹脂ペレットは、前記EVOH樹脂ペレットにアルカリ土類金属を含有させることにより製造することができる。
iii)ペレット製造段階でアルカリ土類金属と接触させる方法、
iv)予め作製したEVOH樹脂ペレットとアルカリ土類金属とを接触させる方法、
等により行うことができる。
原料としてEVOH樹脂含水組成物を用いる場合には、当該含水組成物にアルカリ土類金属を分散させEVOH樹脂に添加させることができる。一方、溶融EVOH樹脂を用いる場合には、乾燥EVOH樹脂ペレットを溶融し、かかる溶融状態のEVOH樹脂とアルカリ土類金属とを押出機で溶融混練しEVOH樹脂の内部に添加させることができる。
好ましくは、EVOH樹脂含水組成物にアルカリ土類金属を分散させEVOH樹脂に添加する方法である。
ホウ素化合物およびアルカリ土類金属含有EVOH樹脂ペレットにおける、ホウ素化合物の全含有量は、ホウ素換算で当該ペレット重量あたり、10〜1000ppmであることが好ましく、より好ましくは20〜500ppm、さらに好ましくは30〜100ppmである。なお、上記ホウ素化合物およびアルカリ土類金属含有EVOH樹脂ペレットにおけるホウ素化合物の全含有量は、上記洗浄前ホウ素化合物含有EVOH樹脂ペレット中に含有されるホウ素化合物の量と同様の方法で測定することができる。
表層部のホウ素化合物含有量(ホウ素換算)が多くなりすぎると、フィッシュアイ等が発生しやすくなり、フィルム外観が低下することとなり、また、製膜性も低下することとなる。
本発明のホウ素化合物およびアルカリ土類金属含有EVOH樹脂ペレットには、本発明の効果を阻害しない範囲において、一般にEVOH樹脂に配合する配合剤、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、可塑剤、光安定剤、界面活性剤、抗菌剤、乾燥剤、アンチブロッキング剤、難燃剤、架橋剤、硬化剤、発泡剤、結晶核剤、防曇剤、生分解用添加剤、シランカップリング剤、酸素吸収剤等が含有されていてもよい。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
その他の成分の配合方法は特に限定しないが、通常、これらの配合剤を含有する溶液にEVOH樹脂ペレットを接触させることにより行うことができる。したがって、ホウ素化合物またはアルカリ土類金属との接触処理前であれば、得られたEVOH樹脂ペレットを上記配合物の水溶液に含浸することにより、あるいはホウ素化合物またはアルカリ土類金属の溶液に上記配合剤も含有させた溶液を用いることにより、配合することができる。
本発明のホウ素化合物およびアルカリ土類金属含有EVOH樹脂ペレットは、溶融成形法により、例えば、フィルム、シート、カップやボトル等に成形することができる。かかる溶融成形方法としては、例えば、押出成形法(T−ダイ押出、インフレーション押出、ブロー成形、溶融紡糸、異型押出等)、射出成形法等があげられる。溶融成形温度は、通常150〜300℃の範囲から選ぶことが多い。
なお、例中「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。
(1)ペレット中のホウ素化合物全含有量(ホウ素換算)
EVOH樹脂ペレット0.1gを濃硝酸とともにマイクロウェーブ分解法にて処理して得られる溶液を純水にて定容(0.75mg/mL)したものを検液とし、誘導結合プラズマ発光分析計(ICP−AES)(アジレント・テクノロジー社製、720−ES型)で測定した。当該測定されるホウ素含有量は、ホウ素化合物に由来するホウ素量に該当する。なお、かかる測定評価方法は、洗浄前ホウ素化合物含有EVOH樹脂ペレットおよび、ホウ素化合物およびアルカリ土類金属含有EVOH樹脂ペレットに適用する。
ホウ素化合物およびアルカリ土類金属含有EVOH樹脂ペレット4gを、メタノール(30℃)20mLに6時間静置浸漬し、得られたメタノール溶液を測定用試料として用いた。この測定用試料について、誘導結合プラズマ質量分析計(ICP−MS)(パーキンエルマー社製、ELAN DRCII)を用いてホウ素含有量を測定し、上記EVOH樹脂ペレット重量(4g)で除してペレット表層部のホウ素含有量を求めた。当該測定されるホウ素含有量は、ホウ素化合物に由来するホウ素量に該当する。
ホウ素化合物およびアルカリ土類金属含有EVOH樹脂ペレット中のアルカリ土類金属の含有量について、アルカリ土類金属をEVOH樹脂ペレット表面に直接添加する場合は添加量を含有量に算入することができるが、アルカリ土類金属がEVOH樹脂ペレットの内部に存在する場合は、EVOH樹脂ペレット 2gを白金皿に採取し、硫酸を数mL添加してガスバーナーで加熱した。ペレットが炭化して硫酸白煙がなくなるのを確認したら、数滴硫酸を添加して再び加熱した。この操作を有機物がなくなるまで繰り返し、完全に灰化させた。灰化が終わった容器を放冷し、塩酸を1mL添加して溶解させた。この塩酸溶液を超純水で洗いこんで、50mLに定容した。このサンプル溶液中のアルカリ土類金属含有量を誘導結合プラズマ発光分析計(ICP−AES)(アジレント・テクノロジー社製、720−ES型)によって測定した。最終的に、溶液中のアルカリ土類金属濃度から、試料のEVOH樹脂ペレット中のアルカリ金属土類含有量として換算した。
乾燥前のEVOH樹脂ペレットの重量と、温度150℃、5時間乾燥後のEVOH樹脂ペレットの重量から揮発分を求め、これをEVOH樹脂ペレットの含水率とした。具体的には含水率は、下記式で表わされる。なお、かかる測定評価方法は、EVOH樹脂ペレット、洗浄前ホウ素化合物含有EVOH樹脂ペレットおよび、ホウ素化合物およびアルカリ土類金属含有EVOH樹脂ペレットに適用する。
含水率(%)=(乾燥前のEVOH樹脂ペレット重量−乾燥後のEVOH樹脂ペレット重量)/乾燥前のEVOH樹脂ペレット重量×100
ホウ素化合物およびアルカリ土類金属含有EVOH樹脂ペレットを用いて下記条件で、厚み30μmの単層フィルムを製膜した。
(製膜条件)
押出機:直径(D)40mm、L/D=28
スクリュー:フルフライトタイプ圧縮比=2.5
スクリーンパック:60/90/60メッシュ
ダイ:幅450mm、コートハンガータイプ
設定温度:C1/C2/C3/C4/A/D=190/200/210/210/210/210℃
スクリュー回転数:20rpm
ロール温度:80℃
厚み30μmの単層フィルムについて、デジタル欠陥検査装置(マミヤオーピー社製、GX−70LT)を用いて、フィッシュアイを計測した。
フィッシュアイの計測は、単層フィルムの下面から光を当て、光透過しなかった部分(直径0.1〜0.2mm)をフィッシュアイ1個として、100cm2(サイズ:10cm×10cm)のあたりのフィッシュアイ個数をカウントすることにより行った。なお、計測時の読み取り速度:3m/分である。
〈実施例1〉
EVOH樹脂〔エチレン含有量:44モル%、ケン化度:99.6モル%、MFR:3.8g/10分(210℃、荷重2160g)〕を水/メタノール混合溶媒〔水/メタノール=20/80(重量比)〕に溶解した溶液(60℃、EVOH樹脂濃度40%)を、5℃に維持した水を収容した水槽内にストランド状に押出して凝固させた後、カッターで切断して、円柱状(直径4mm、長さ4mm、)のペレットを得た。次いで、このEVOH樹脂ペレットを、30℃の温水に投入し、約4時間撹拌して、含水率50%の多孔質のEVOH樹脂ペレットを得た。
この洗浄前ホウ素化合物含有EVOH樹脂ペレットを、回分式塔型流動層乾燥器にて、75℃の窒素ガスを3時間通過させることにより、含水率20%まで乾燥させた。
次いで、回分式箱型通気式乾燥器を用いて、125℃の窒素ガスを18時間通過させて、含水率0.3%にまで乾燥させた。
上記のようにして得られた洗浄前ホウ素化合物含有EVOH樹脂ペレットを、以下の洗浄処理に供した。
得られたホウ素化合物およびアルカリ土類金属含有量調整済EVOH樹脂ペレットを、上記測定評価方法によりホウ素化合物全含有量、表層部のホウ素化合物含有量、アルカリ土類金属含有量、含水率を測定した。ホウ素化合物全含有量(ホウ素換算)は128.8ppm、表層部のホウ素化合物含有量(ホウ素換算)は1.1ppm、アルカリ土類金属の含有量は30ppm、含水率は0.10重量%であった。
洗浄用処理液の組成を下記表1のように変更し、アルカリ土類金属含有量を下記表1の含有量に調整した以外は、実施例1の場合と同様にして、ホウ素化合物およびアルカリ土類金属含有EVOH樹脂ペレットを作製した。得られたホウ素化合物およびアルカリ土類金属含有EVOH樹脂ペレットのホウ素化合物全含有量、表層部のホウ素化合物含有量、アルカリ土類金属含有量を測定した(含水率は0.13%)。
次いで、このペレットを用いて、実施例1と同様にして単層フィルムを作製し、フィッシュアイの発生について評価した。結果を表1に示す。
Claims (5)
- ホウ素化合物およびアルカリ土類金属を含有するエチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物ペレットであって、
当該ペレット表層部のホウ素化合物含有量が、ホウ素換算で当該ペレット重量あたり1.7ppm以下であり、かつ当該ペレット重量あたりのアルカリ土類金属含有量が100ppm以下であることを特徴とするエチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物ペレット。 - 上記ホウ素化合物およびアルカリ土類金属を含有するエチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物ペレット全体のホウ素化合物全含有量が、ホウ素換算で上記ペレット重量あたり10〜1000ppmであることを特徴とする請求項1記載のエチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物ペレット。
- 上記ホウ素化合物およびアルカリ土類金属を含有するエチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物ペレット全体のホウ素化合物全含有量(ホウ素換算)に対する上記ペレット表層部のホウ素化合物含有量(ホウ素換算)の重量比(表層部ホウ素化合物含有量/ホウ素化合物全含有量)が、1.38×10-2以下であることを特徴とする請求項1または2記載のエチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物ペレット。
- 上記ホウ素化合物およびアルカリ土類金属を含有するエチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物ペレットの含水率が0.01〜1重量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のエチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物ペレット。
- エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物ペレットをホウ素化合物と接触させることによりホウ素化合物を含有させる工程、上記工程により得られたペレットを洗浄する工程、およびアルカリ土類金属を含有させる工程を備えたエチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物ペレットの製造方法であって、
上記洗浄する工程の洗浄が、乾燥後のペレットと、水のアルコールに対する重量比(水/アルコール)が80/20〜0/100の水/アルコール混合溶液またはアルコールとを接触させることであり、
上記アルカリ土類金属を含有させる工程が、アルカリ土類金属を当該ペレット重量あたり100ppm以下となるように含有させることを特徴とするエチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物ペレットの製造方法。
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