JPWO2015098348A1 - アニオン交換体、アニオン交換体とカチオン交換体の混合物、アニオン交換体とカチオン交換体とからなる混合床、それらの製造方法、及び過酸化水素水の精製方法 - Google Patents

アニオン交換体、アニオン交換体とカチオン交換体の混合物、アニオン交換体とカチオン交換体とからなる混合床、それらの製造方法、及び過酸化水素水の精製方法 Download PDF

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Abstract

アニオン交換体(B)とカチオン交換体の混合物に、純水又は超純水に炭酸ガスを溶解させて得られる二酸化炭素溶解水を接触させることにより、該アニオン交換体(B)を、重炭酸イオン形又は重炭酸イオン形と炭酸イオン形を有するアニオン交換体(A)に変換して、該アニオン交換体(A)と該カチオン交換体の混合物を得るアニオン交換体変換工程(1)を有することを特徴とするアニオン交換体とカチオン交換体の混合物の製造方法。本発明によれば、アニオン交換体とカチオン交換体の混合物中のアニオン交換体を、混合物の状態のままで、重炭酸イオン形又は重炭酸イオン形と炭酸イオン形に変換することができる。

Description

本発明は、アニオン交換体、アニオン交換体とカチオン交換体の混合物、アニオン交換体とカチオン交換体とからなる混合床及びそれらの製造方法、並びに過酸化水素水の精製方法に関する。
過酸化水素水は、紙やパルプの漂白や、工業用酸化剤、排水処理用、半導体の製造工程における洗浄剤として、幅広い分野で利用されている。なかでも、半導体製造工程におけるウエット洗浄の分野において、粒子状汚染を除去するアンモニア−過酸化水素水(RCA:SC−1)洗浄や、金属汚染をイオン化して除去する塩酸−過酸化水素水(RCA:SC−2)洗浄等において、過酸化水素水は多量に利用されている。
このような汚染の除去を行うための超純水及び試薬には、高純度化が求められており、過酸化水素水においても、種々の不純物を極力低減した品質が要求されている。特に、鉄、アルミニウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウムなどの金属成分が存在すると、半導体の歩留まりを低下させる原因となることが指摘されている。
過酸化水素水中の不純物を低減させる方法としては、イオン交換樹脂を用いた方法や、逆浸透膜を利用した方法が提案されている。イオン交換樹脂を用いる場合、アニオン交換樹脂をOH形の状態で利用すると、過酸化水素の分解反応が進行し発熱が生じたり、酸素ガスが発生するため、危険であり安全な運転ができないことから、予め炭酸イオン形や重炭酸イオン形に調整した後に、利用されている。
特許文献1には、混床型イオン交換樹脂+吸着剤装置+混床型イオン交換樹脂を用いることで、過酸化水素水中のメタル濃度が0.1ppb以下、且つ、全有機炭素の濃度が10ppm以下である高純度の過酸化水素水が得られることが記載されている。
特許文献2には、水素型カチオン交換樹脂+フッ素イオン型イオン交換樹脂+炭酸イオン型又は炭酸水素イオン型アニオン交換樹脂+水素型カチオン交換樹脂の順に接触させることで、過酸化水素水を高純度に精製できることが記載されている。
特許文献3には、イオン交換樹脂を予め各金属成分濃度が0.1重量ppb以下である高純度鉱酸水溶液と接触させ、更に各金属成分濃度が0.1重量ppb以下である超純水と接触させることで、高純度の過酸化水素水が得られることが記載されている。
特許文献4には、粗過酸化水素水を炭酸アンモニウムを用いて炭酸形としたアニオン交換樹脂又は重炭酸アンモニウムを用いて重炭酸形としたアニオン交換樹脂と接触させる方法が記載されている。
特許文献5には、ポリアミド系又はポリビニルアルコール系の複合膜からなる逆浸透膜を用いる精製過酸化水素水の製造方法が記載されている。
特許第3715371号公報 特許第4056695号公報 特許第3171058号公報 特許第3608211号公報 特開2011−68533号公報
特許文献1〜3では、アニオン交換樹脂を重炭酸イオン形を有するアニオン交換樹脂にする場合、炭酸塩又は炭酸水素塩水溶液が一般的に用いられている。しかし、アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂の混合物や、アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂とからなる混合床の場合は、カチオン交換樹脂が存在するので、アニオン交換樹脂を重炭酸イオン形を有するアニオン交換樹脂にするために、炭酸塩又は炭酸水素塩水溶液を用いることができない。カチオン交換樹脂のカチオンが、炭酸塩又は炭酸水素塩のカチオンで交換されてしまうからである。
特許文献4では、アニオン交換樹脂を炭酸イオン形又は重炭酸イオン形にするのに、炭酸アンモニウム又は重炭酸アンモニウムを用いているが、上記と同様、アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂の混合物や、アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂とからなる混合床の場合は、カチオン交換樹脂のカチオンが、アンモニウムイオンで交換されてしまう。また、予めアニオン交換樹脂のみを樹脂塔に充填し炭酸形又は重炭酸形とし、続いてカチオン交換樹脂と混合するのでは、作業性が悪く、また、作業時に不純物がコンタミする可能性がある。
また、特許文献1〜3では、アニオン交換樹脂を炭酸イオン形又は重炭酸イオン形にする場合に、塩濃度は5〜15重量%と非常に高濃度の炭酸塩又は炭酸水素塩水溶液が用いられるのが一般的であるため、過酸化水素水中の不純物を除去し高濃度に精製したにも拘わらず、高濃度の塩を含む水溶液をイオン交換体に接触させるため、再生後十分に水洗を行っても過酸化水素水と接触させることによりナトリウム等のイオンが樹脂から溶出することになる。また、水洗に使用する純水又は超純水も多量に必要となる。
特許文献5では、逆浸透膜を利用した方法が提案されているが、高濃度の過酸化水素水に常時接触することで、膜が劣化し、阻止率が低下するという問題がある。
特許文献4では、上記問題を解決するため、炭酸アンモニウム又は重炭酸アンモニウムを用いているが、どちらの薬品においても、不純物である金属類等の明確な規格値が定められておらず、また、一部の金属種で規格値があったとしても、その濃度が高いといった問題点がある。更に、廃液が排出されるため、その処理も必要となる。
そして、過酸化水素水以外でも、アニオン交換樹脂を用いて種々の機能水の精製が行われている。また、アニオン交換樹脂は、様々な用途に使用可能であるため、従来にない新規なアニオン交換体や、従来にない新規なアニオン交換体とカチオン交換体との混合物又は混合床が潜在的に求められている。
従って、本発明は、アニオン交換体とカチオン交換体の混合物、又はアニオン交換体とカチオン交換体とからなる混合床中のアニオン交換体を、混合物又は混合床の状態のままで、重炭酸イオン形又は重炭酸イオン形と炭酸イオン形を有するアニオン交換体に変換することができるアニオン交換体とカチオン交換体の混合物の製造方法、及びアニオン交換体とカチオン交換体とからなる混合床の製造方法を提供することにある。
また、本発明は、過酸化水素水及びその他アニオン交換体を用いて精製される水、水溶液又は有機溶媒の精製性能が高いアニオン交換体、そのようなアニオン交換体とカチオン交換体との混合物又は混合床、及びそれらの製造方法を提供することにある。
また、本発明は、効率的な過酸化水素水の精製方法を提供することにある。
このような上記課題は、以下の本発明によって解決される。すなわち、
(1)アニオン交換体(A)とカチオン交換体の混合物であり、
該アニオン交換体(A)が、重炭酸イオン形(−HCO)を有するアニオン交換体、又は重炭酸イオン形(−HCO)と炭酸イオン形(−CO)とを有するアニオン交換体であること、
を特徴とするアニオン交換体とカチオン交換体の混合物。
(2)アニオン交換体(B)とカチオン交換体の混合物に、純水又は超純水に炭酸ガスを溶解させて得られる二酸化炭素溶解水を接触させることにより、該アニオン交換体(B)を、重炭酸イオン形又は重炭酸イオン形と炭酸イオン形を有するアニオン交換体(A)に変換して、該アニオン交換体(A)と該カチオン交換体の混合物を得るアニオン交換体変換工程(1)を行い得られたものであることを特徴とするアニオン交換体とカチオン交換体の混合物。
(3)前記アニオン交換体(A)が、重炭酸イオン形及び炭酸イオン形の交換容量の合計に対する重炭酸イオン形の交換容量の割合が70当量%以上であるアニオン交換体であることを特徴とする(1)又は(2)いずれかのアニオン交換体とカチオン交換体の混合物。
(4)イオン交換塔に充填されているアニオン交換体(A)とカチオン交換体とからなる混合床であり、
該アニオン交換体(A)が、重炭酸イオン形(−HCO)を有するアニオン交換体、又は重炭酸イオン形(−HCO)と炭酸イオン形(−CO)とを有するアニオン交換体であること、
を特徴とするアニオン交換体とカチオン交換体とからなる混合床。
(5)前記アニオン交換体(A)が、重炭酸イオン形及び炭酸イオン形の交換容量の合計に対する重炭酸イオン形の交換容量の割合が70当量%以上であるアニオン交換体であることを特徴とする(4)のアニオン交換体とカチオン交換体の混合床。
(6)アニオン交換体(B)とカチオン交換体の混合物に、純水又は超純水に炭酸ガスを溶解させて得られる二酸化炭素溶解水を接触させることにより、該アニオン交換体(B)を、重炭酸イオン形又は重炭酸イオン形と炭酸イオン形を有するアニオン交換体(A)に変換して、該アニオン交換体(A)と該カチオン交換体の混合物を得るアニオン交換体変換工程(1)を有することを特徴とするアニオン交換体とカチオン交換体の混合物の製造方法。
(7)前記アニオン交換体(A)が、重炭酸イオン形及び炭酸イオン形の交換容量の合計に対する重炭酸イオン形の交換容量の割合が70当量%以上であるアニオン交換体であることを特徴とする(6)のアニオン交換体とカチオン交換体の混合物の製造方法。
(8)前記アニオン交換体変換工程(1)において、前記アニオン交換体(B)とカチオン交換体の混合物に接触させる前の二酸化炭素溶解水の導電率に対する前記アニオン交換体(B)とカチオン交換体の混合物に接触させた後の二酸化炭素溶解水の導電率の割合((接触後の導電率/接触前の導電率)×100))が、90%以上となるまで、前記アニオン交換体(B)とカチオン交換体の混合物に前記二酸化炭素溶解水を接触させることを特徴とする(6)又は(7)のアニオン交換体とカチオン交換体の混合物の製造方法。
(9)イオン交換塔に充填されているアニオン交換体(B)とカチオン交換体とからなる混合床に、純水又は超純水に炭酸ガスを溶解させて得られる二酸化炭素溶解水を接触させることにより、該アニオン交換体(B)を、重炭酸イオン形又は重炭酸イオン形と炭酸イオン形を有するアニオン交換体(A)に変換して、該アニオン交換体(A)と該カチオン交換体とからなる混合床を得るアニオン交換体変換工程(2)を有することを特徴とするアニオン交換体とカチオン交換体とからなる混合床の製造方法。
(10)前記アニオン交換体(A)が、重炭酸イオン形及び炭酸イオン形の交換容量の合計に対する重炭酸イオン形の交換容量の割合が70当量%以上であるアニオン交換体であることを特徴とする(9)のアニオン交換体とカチオン交換体とからなる混合床の製造方法。
(11)前記アニオン交換体変換工程(2)において、前記イオン交換塔の入口の二酸化炭素溶解水の導電率に対する前記イオン交換塔の出口の二酸化炭素溶解水の導電率の割合((出口導電率/入口導電率)×100))が、90%以上となるまで、前記イオン交換塔に前記二酸化炭素溶解水の供給を行うことを特徴とする(9)又は(10)のアニオン交換体とカチオン交換体とからなる混合床の製造方法。
(12)イオン交換塔に充填されているアニオン交換体(B)とカチオン交換体とからなる混合床に、純水又は超純水に炭酸ガスを溶解させて得られる二酸化炭素溶解水を接触させることにより、該アニオン交換体(B)を、重炭酸イオン形又は重炭酸イオン形と炭酸イオン形を有するアニオン交換体(A)に変換して、該アニオン交換体(A)と該カチオン交換体とからなる混合床を得るアニオン交換体変換工程(2)と、
該イオン交換塔に、粗過酸化水素水を供給して、該アニオン交換体(A)と該カチオン交換体とからなる混合床に該粗過酸化水素水を接触させることにより、精製過酸化水素水を得る過酸化水素水精製工程と、
を有することを特徴とする過酸化水素水の精製方法。
(13)前記アニオン交換体変換工程(2)において、前記イオン交換塔の入口の二酸化炭素溶解水の導電率に対する前記イオン交換塔の出口の二酸化炭素溶解水の導電率の割合((出口導電率/入口導電率)×100))が、90%以上となるまで、前記イオン交換塔に前記二酸化炭素溶解水の供給を行うことを特徴とする(12)の過酸化水素水の精製方法。
(14)重炭酸イオン形(−HCO)を有するアニオン交換体、又は重炭酸イオン形(−HCO)と炭酸イオン形(−CO)とを有するアニオン交換体であることを特徴とするアニオン交換体。
(15)OH形アニオン交換体に、純水又は超純水に炭酸ガスを溶解させて得られる二酸化炭素溶解水を接触させて得られるアニオン交換体。
(16)前記アニオン交換体中、重炭酸イオン形及び炭酸イオン形の交換容量の合計に対する重炭酸イオン形の交換容量の割合が70当量%以上であることを特徴とする(14)又は(15)のアニオン交換体。
(17)アニオン交換体(B)に、純水又は超純水に炭酸ガスを溶解させて得られる二酸化炭素溶解水を接触させることにより、該アニオン交換体(B)を、重炭酸イオン形又は重炭酸イオン形と炭酸イオン形を有するアニオン交換体(A)に変換して、該アニオン交換体(A)を得るアニオン交換体変換工程(3)を有することを特徴とするアニオン交換体の製造方法。
(18)前記アニオン交換体(A)が、重炭酸イオン形及び炭酸イオン形の交換容量の合計に対する重炭酸イオン形の交換容量の割合が70当量%以上であることを特徴とする(17)のアニオン交換体の製造方法。
(19)前記アニオン交換体変換工程(3)において、前記アニオン交換体(B)に接触させる前の二酸化炭素溶解水の導電率に対する前記アニオン交換体(B)に接触させた後の二酸化炭素溶解水の導電率の割合((接触後の導電率/接触前の導電率)×100))が、90%以上となるまで、前記アニオン交換体(B)に前記二酸化炭素溶解水を接触させることを特徴とする(17)又は(18)のアニオン交換体の製造方法。
(20)イオン交換塔に充填されているアニオン交換体(B)に、純水又は超純水に炭酸ガスを溶解させて得られる二酸化炭素溶解水を接触させることにより、該アニオン交換体(B)を、重炭酸イオン形又は重炭酸イオン形と炭酸イオン形を有するアニオン交換体(A)に変換するアニオン交換体変換工程(4)と、
該イオン交換塔に、粗過酸化水素水を供給して、該アニオン交換体(A)に該粗過酸化水素水を接触させることにより、精製過酸化水素水を得る過酸化水素水精製工程と、
を有することを特徴とする過酸化水素水の精製方法。
(21)前記アニオン交換体変換工程(4)と前記過酸化水素水精製工程とを、交互に繰り返すことを特徴とする(20)の過酸化水素水の精製方法。
(22)前記アニオン交換体変換工程(4)において、前記イオン交換塔の入口の二酸化炭素溶解水の導電率に対する前記イオン交換塔の出口の二酸化炭素溶解水の導電率の割合((出口導電率/入口導電率)×100))が、90%以上となるまで、前記イオン交換塔に前記二酸化炭素溶解水の供給を行うことを特徴とする(20)又は(21)の過酸化水素水の精製方法。
本発明によれば、アニオン交換体とカチオン交換体の混合物、又はアニオン交換体とカチオン交換体とからなる混合床中のアニオン交換体を、混合物又は混合床の状態のままで、重炭酸イオン形又は重炭酸イオン形と炭酸イオン形を有するアニオン交換体に変換することができるアニオン交換体とカチオン交換体の混合物の製造方法、及びアニオン交換体とカチオン交換体とからなる混合床の製造方法を提供することができる。
また、本発明は、過酸化水素水及びその他アニオン交換体を用いて精製される水、水溶液又は有機溶媒の精製性能が高いアニオン交換体、そのようなアニオン交換体とカチオン交換体との混合物又は混合床、及びそれらの製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、効率的な過酸化水素水の精製方法を提供することができる。
実施例のフロー図である。 実施例における塔入口及び塔出口の二酸化炭素溶解水の導電率の変化を示すグラフである。 実施例及び比較例の酢酸除去の経時変化を示すグラフである。
本発明のアニオン交換体とカチオン交換体の混合物は、アニオン交換体(A)とカチオン交換体の混合物であり、
該アニオン交換体(A)が、重炭酸イオン形(−HCO)を有するアニオン交換体、又は重炭酸イオン形(−HCO)と炭酸イオン形(−CO)とを有するアニオン交換体であること、
を特徴とするアニオン交換体とカチオン交換体の混合物である。
また、本発明のアニオン交換体とカチオン交換体の混合床は、イオン交換塔に充填されているアニオン交換体(A)とカチオン交換体とからなる混合床であり、
該アニオン交換体(A)が、重炭酸イオン形(−HCO)を有するアニオン交換体、又は重炭酸イオン形(−HCO)と炭酸イオン形(−CO)とを有するアニオン交換体であること、
を特徴とするアニオン交換体とカチオン交換体とからなる混合床である。
本発明のアニオン交換体とカチオン交換体の混合物又は本発明のアニオン交換体とカチオン交換体とからなる混合床に係るアニオン交換体(A)は、重炭酸イオン形(−HCO)を有するアニオン交換体、又は重炭酸イオン形(−HCO)と炭酸イオン形(−CO)とを有するアニオン交換体、すなわち、対アニオンが重炭酸イオン(−HCOイオン)であるアニオン交換基を有するアニオン交換体、又は対アニオンが重炭酸イオン(−HCOイオン)であるアニオン交換基と対アニオンが炭酸イオン(−COイオン)であるアニオン交換基とを有するアニオン交換体である。アニオン交換体(A)は、基体が樹脂であり、その樹脂にアニオン交換基が導入されているアニオン交換体であり、スチレン系のゲル形又はMR形のアニオン交換樹脂、有機多孔質アニオン交換体である。なお、本明細書中では、重炭酸イオン形(R−HCO)、炭酸イオン形(R−CO)との表記をしているが、実際の使用状況においては、重炭酸イオン形はR−HCO と、炭酸イオン形はR−CO 2−と解離している。
本発明のアニオン交換体とカチオン交換体の混合物又は本発明のアニオン交換体とカチオン交換体とからなる混合床に係るアニオン交換体(A)中、重炭酸イオン形及び炭酸イオン形の交換容量の合計に対する重炭酸イオン形の交換容量の割合((重炭酸形アニオン交換基の当量数/(重炭酸形のアニオン交換基の当量数+炭酸形アニオン交換基の当量数))×100)は、好ましくは70当量%以上、特に好ましくは75当量%以上、より好ましくは80当量%以上である。重炭酸イオン形及び炭酸イオン形の合計に対する重炭酸イオン形の交換容量の割合が上記範囲にあることにより、過酸化水素水及びその他アニオン交換体を用いて精製される水、水溶液又は有機溶媒の精製性能が高くなる点で好ましい。
本発明のアニオン交換体とカチオン交換体の混合物又は本発明のアニオン交換体とカチオン交換体とからなる混合床に係るアニオン交換体(A)は、精製に悪影響を及ぼさない程度であれば、重炭酸イオン形及び炭酸イオン形以外のイオン形を有していてもよく、アニオン交換体の総交換容量に対する重炭酸イオン形及び炭酸イオン形の交換容量の合計の割合(((重炭酸形のアニオン交換基の当量数+炭酸形アニオン交換基の当量数)/総アニオン交換基の当量数)×100)が、50当量%以上であることが好ましく、60当量%以上であることが特に好ましく、70当量%以上であることがより好ましく、80当量%以上であることが更に好ましく、95当量%以上であることが更に好ましく、99当量%以上であることが更に好ましく、100当量%であることが更に好ましい。総交換容量に対する重炭酸イオン形及び炭酸イオン形の交換容量の合計の割合が上記範囲にあることにより、過酸化水素水及びその他アニオン交換体を用いて精製される水、水溶液又は有機溶媒の精製性能が高くなる点で、好ましい。
本発明のアニオン交換体とカチオン交換体の混合物又は本発明のアニオン交換体とカチオン交換体とからなる混合床に係るアニオン交換体(A)が重炭酸イオン形及び炭酸イオン形以外のイオン形を有する場合、そのようなイオン形としては、Cl形、OH形等が挙げられる。なお、アニオン交換体(A)中のOH形の存在量が多過ぎると、過酸化水素水を精製するときに、過酸化水素の分解反応が進行し易くなるため、アニオン交換体(A)が過酸化水素の精製用に用いられる場合は、アニオン交換体(A)中、総交換容量に対するOH形の交換容量の割合は、好ましくは1当量%以下、特に好ましくは0.1当量%以下、より好ましくは0当量%である。
本発明のアニオン交換体とカチオン交換体の混合物又は本発明のアニオン交換体とカチオン交換体とからなる混合床に係るアニオン交換体(A)において、アニオン交換基が導入されている樹脂としては、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体が好ましい。
本発明のアニオン交換体とカチオン交換体の混合物又は本発明のアニオン交換体とカチオン交換体とからなる混合床に係るアニオン交換体(A)としては、4級アンモニウム基を官能基として有し、そのアンモニウム基の窒素原子に結合する基がアルキル基だけの強塩基性I型、4級アンモニウム基を官能基として有し、そのアンモニウム基の窒素原子に結合する基がアルキル基及びアルカノール基である強塩基性II型、第1〜第3アミノ基を官能基として有する弱塩基性が挙げられ、これらのうち、強塩基性I型アニオン交換体が好ましい。
本発明のアニオン交換体とカチオン交換体の混合物又は本発明のアニオン交換体とカチオン交換体とからなる混合床に係るアニオン交換体(A)が粒状のアニオン交換樹脂である場合は、アニオン交換樹脂の平均粒径は、好ましくは0.2〜1.0mm、特に好ましくは0.4〜0.8mmである。また、本発明のアニオン交換体とカチオン交換体の混合物又は本発明のアニオン交換体とカチオン交換体とからなる混合床に係るアニオン交換体(A)が有機多孔質アニオン交換体である場合には、有機多孔質アニオン交換体の構造は、多数の気泡状のマクロポア同士が重なり合い、この重なる部分が開口となっている連通孔が、樹脂からなる骨格中に形成されている構造、すなわち、連続マクロポア構造である。
本発明のアニオン交換体とカチオン交換体の混合物及び本発明のアニオン交換体とカチオン交換体とからなる混合床に係るカチオン交換体は、基体が樹脂であり、その樹脂にカチオン交換基が導入されているカチオン交換体であり、スチレン系のゲル形又はMR形のカチオン交換樹脂、有機多孔質イオン交換体である。カチオン交換体において、カチオン交換基が導入されている樹脂としては、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体が好ましい。
本発明のアニオン交換体とカチオン交換体の混合物及び本発明のアニオン交換体とカチオン交換体とからなる混合床に係るカチオン交換体において、樹脂に導入されているカチオン交換基としては、スルホン酸基が挙げられる。
本発明のアニオン交換体とカチオン交換体の混合物及び本発明のアニオン交換体とカチオン交換体とからなる混合床に係るカチオン交換体が粒状のカチオン交換樹脂の場合、カチオン交換樹脂の平均粒径は、好ましくは0.2〜1.0mm、特に好ましくは0.4〜0.8mmである。また、本発明のアニオン交換体とカチオン交換体の混合物及び本発明のアニオン交換体とカチオン交換体とからなる混合床に係るカチオン交換体が有機多孔質カチオン交換体の場合、有機多孔質アニオン交換体の構造は、多数の気泡状のマクロポア同士が重なり合い、この重なる部分が開口となっている連通孔が、樹脂からなる骨格中に形成されている構造、すなわち、連続マクロポア構造である。
本発明のアニオン交換体とカチオン交換体の混合物において、アニオン交換体(A)とカチオン交換体の混合物とは、粒状のアニオン交換樹脂(A)と粒状のカチオン交換樹脂とが混ざり合ったものを指す。
本発明のアニオン交換体とカチオン交換体とからなる混合床において、アニオン交換体(A)とカチオン交換体からなる混合床には、(i)粒状のアニオン交換樹脂(A)と粒状のカチオン交換樹脂とが混ざり合った混合物で1つの床が形成されているもの、すなわち、混床と、(ii)粒状のアニオン交換樹脂(A)、有機多孔質アニオン交換体(A)等のアニオン交換体(A)で形成されている層と、粒状のカチオン交換樹脂、有機多孔質カチオン交換体等のカチオン交換体で形成されている層と、からなるもの、すなわち、アニオン交換体(A)層とカチオン交換体層とからなる複層床と、がある。
本発明のアニオン交換体とカチオン交換体の混合物の製造方法は、アニオン交換体(B)とカチオン交換体の混合物に、純水又は超純水に炭酸ガスを溶解させて得られる二酸化炭素溶解水を接触させることにより、該アニオン交換体(B)を、重炭酸イオン形又は重炭酸イオン形と炭酸イオン形を有するアニオン交換体(A)に変換して、該アニオン交換体(A)と該カチオン交換体の混合物を得るアニオン交換体変換工程(1)を有することを特徴とするアニオン交換体とカチオン交換体の混合物の製造方法である。
また、本発明のアニオン交換体とカチオン交換体とからなる混合床の製造方法は、イオン交換塔に充填されているアニオン交換体(B)とカチオン交換体とからなる混合床に、純水又は超純水に炭酸ガスを溶解させて得られる二酸化炭素溶解水を接触させることにより、該アニオン交換体(B)を、重炭酸イオン形又は重炭酸イオン形と炭酸イオン形を有するアニオン交換体(A)に変換して、該アニオン交換体(A)と該カチオン交換体とからなる混合床を得るアニオン交換体変換工程(2)を有することを特徴とするアニオン交換体とカチオン交換体とからなる混合床の製造方法である。
本発明のアニオン交換体とカチオン交換体の混合物の製造方法と、本発明のアニオン交換体とカチオン交換体とからなる混合床の製造方法とでは、二酸化炭素溶解水を接触させるのが、前者は、アニオン交換体(B)とカチオン交換体の混合物であるのに対し、後者は、イオン交換塔に充填されているアニオン交換体(B)とカチオン交換体とからなる混合床である点で異なるものの、カチオン交換体がアニオン交換体(B)と共に存在している状態で、アニオン交換体(B)に二酸化炭素溶解水を接触させて、アニオン交換体(B)を、重炭酸イオン形又は重炭酸イオン形と炭酸イオン形を有するアニオン交換体(A)に変換する点は同様である。
アニオン交換体変換工程(1)は、アニオン交換体(B)とカチオン交換体の混合物に、二酸化炭素溶解水を接触させることにより、混合物中のアニオン交換体(B)を重炭酸イオン形又は重炭酸イオン形と炭酸イオン形を有するアニオン交換体(A)に変換する工程である。また、アニオン交換体変換工程(2)は、イオン交換塔に充填されているアニオン交換体(B)とカチオン交換体とからなる混合床に、二酸化炭素溶解水を接触させることにより、混合床中のアニオン交換体(B)をアニオン交換体(A)に変換する工程である。なお、アニオン交換体(B)とカチオン交換体の混合物とは、粒状のアニオン交換樹脂(B)と粒状のカチオン交換樹脂とが混ざり合ったものを指す。また、アニオン交換体(B)とカチオン交換体からなる混合床には、(i)粒状のアニオン交換樹脂(B)と粒状のカチオン交換樹脂とが混ざり合った混合物で1つの床が形成されているもの、すなわち、混床と、(ii)粒状のアニオン交換樹脂(B)、有機多孔質アニオン交換体(B)等のアニオン交換体(B)で形成されている層と、粒状のカチオン交換樹脂、有機多孔質カチオン交換体等のカチオン交換体で形成されている層と、からなるもの、すなわち、アニオン交換体(B)層とカチオン交換体層とからなる複層床と、がある。
アニオン交換体変換工程(1)又はアニオン交換体変換工程(2)に係るアニオン交換体(B)は、重炭酸イオン形又は重炭酸イオン形と炭酸イオン形を有するアニオン交換体(A)に変換する前のアニオン交換体である。粗過酸化水素水の精製を強塩基性のアニオン交換体であるOHイオン形アニオン交換体(アニオン交換基の対アニオンがOHイオンであるアニオン交換体)を用いて行うと、OHイオン形アニオン交換体との接触中に過酸化水素の分解が起こってしまう。また、粗過酸化水素水の精製をClイオン形アニオン交換体(アニオン交換基の対アニオンがClイオンであるアニオン交換体)を用いて行おうとしても、対象イオンとのイオン交換反応により処理液中にClイオンが流出するため、精製を行うことができない。そのため、本発明のアニオン交換体とカチオン交換体の混合物の製造方法又は本発明のアニオン交換体とカチオン交換体とからなる混合床の製造方法では、アニオン交換体を、重炭酸イオン形又は重炭酸イオン形と炭酸イオン形を有するアニオン交換体(A)に変換する。
そして、アニオン交換体変換工程(1)では、OHイオン形、Clイオン形等のアニオン交換体、つまり、重炭酸イオン形又は重炭酸イオン形と炭酸イオン形を有するアニオン交換体(A)への変換前のアニオン交換体(アニオン交換体(B))とカチオン交換体の混合物に、二酸化炭素溶解水を接触させて、混合物中のアニオン交換体(B)を、重炭酸イオン形又は重炭酸イオン形と炭酸イオン形を有するアニオン交換体(A)に変換する。また、重炭酸イオン形又は重炭酸イオン形と炭酸イオン形を有するアニオン交換体(A)とカチオン交換体の混合物を用いて、被処理水(過酸化水素水又はその他のアニオン交換体とカチオン交換体の混合物を用いて精製される水又は水溶液)の精製を続けると、混合物中のアニオン交換体(A)の重炭酸イオンが、被処理水中の不純物アニオンに交換される。そのため、ある程度、被処理水の精製を続けた後は、不純物アニオンでイオン交換されたアニオン交換体を、重炭酸イオン形又は重炭酸イオン形と炭酸イオン形を有するアニオン交換体(A)に再生することもできる。本発明においては、このような、最初の被処理水の精製を行う前に、重炭酸イオン形又は重炭酸イオン形と炭酸イオン形を有するアニオン交換体(A)を得るために行うアニオン交換体変換工程(1)において、アニオン交換体(A)へ変換される前のアニオン交換体と、ある程度、過酸化水素水等の被処理水の精製を行うことにより、被処理水中の不純物イオンでイオン交換され、再度、アニオン交換体変換工程(1)に供せられるアニオン交換体の両方を、重炭酸イオン形又は重炭酸イオン形と炭酸イオン形を有するアニオン交換体(A)への変換前のアニオン交換体(B)とする。
また、アニオン交換体変換工程(2)では、イオン交換塔に充填されており、OHイオン形、Clイオン形等のアニオン交換体、つまり、重炭酸イオン形又は重炭酸イオン形と炭酸イオン形を有するアニオン交換体(A)への変換前のアニオン交換体(アニオン交換体(B))とカチオン交換体とからなる混合床に、二酸化炭素溶解水を接触させて、混合床中のアニオン交換体(B)を、重炭酸イオン形又は重炭酸イオン形と炭酸イオン形を有するアニオン交換体(A)に変換する。また、重炭酸イオン形又は重炭酸イオン形と炭酸イオン形を有するアニオン交換体(A)とカチオン交換体とからなる混合床を用いて、被処理水(過酸化水素水又はその他のアニオン交換体とカチオン交換体とからなる混合床を用いて精製される水又は水溶液)の精製を続けると、混合床中のアニオン交換体(A)の重炭酸イオンが、被処理水中の不純物アニオンに交換される。そのため、ある程度、被処理水の精製を続けた後は、不純物アニオンでイオン交換されたアニオン交換体を、重炭酸イオン形又は重炭酸イオン形と炭酸イオン形を有するアニオン交換体(A)に再生する必要がある。本発明においては、このような、最初の被処理水の精製を行う前に、重炭酸イオン形又は重炭酸イオン形と炭酸イオン形を有するアニオン交換体(A)を得るために行うアニオン交換体変換工程(2)において、アニオン交換体(A)へ変換される前のアニオン交換体と、ある程度、過酸化水素水等の被処理水の精製を行うことにより、被処理水中の不純物イオンでイオン交換され、再度、アニオン交換体変換工程(2)に供せられるアニオン交換体の両方を、重炭酸イオン形又は重炭酸イオン形と炭酸イオン形を有するアニオン交換体(A)への変換前のアニオン交換体(B)とする。
アニオン交換体変換工程(1)又はアニオン交換体変換工程(2)に係るアニオン交換体(A)は、重炭酸イオン形(−HCO)を有するアニオン交換体であるか、又は重炭酸イオン形(−HCO)と炭酸イオン形(−CO)とを有するアニオン交換体である。アニオン交換体(A)の総交換容量に対する重炭酸イオン形及び炭酸イオン形の交換容量の合計の割合は、特に制限されないが、好ましくは50当量%以上、特に好ましくは60当量%以上、より特に好ましくは70当量%以上、更に好ましくは80当量%以上、更に好ましくは95当量%以上、更に好ましくは99当量%以上、更に好ましくは100当量%であり、アニオン交換体(A)の重炭酸イオン形及び炭酸イオン形の交換容量の合計に対する重炭酸イオン形の交換容量の割合は、好ましくは70当量%以上、特に好ましくは75当量%以上、より好ましくは80当量%以上である。
アニオン交換体変換工程(1)又はアニオン交換体変換工程(2)に係るアニオン交換体(B)は、基体が樹脂であり、その樹脂にアニオン交換基が導入されているアニオン交換体であり、スチレン系のゲル形又はMR形のアニオン交換樹脂、有機多孔質アニオン交換体である。アニオン交換体(B)において、アニオン交換基が導入されている樹脂としては、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体が好ましい。
アニオン交換体変換工程(1)又はアニオン交換体変換工程(2)に係るアニオン交換体(B)としては、4級アンモニウム基を官能基として有し、そのアンモニウム基の窒素原子に結合する基がアルキル基だけの強塩基性I型、4級アンモニウム基を官能基として有し、そのアンモニウム基の窒素原子に結合する基がアルキル基及びアルカノール基である強塩基性II型、第1〜第3アミノ基を官能基として有する弱塩基性が挙げられ、これらのうち、強塩基性I型アニオン交換体が好ましい。また、アニオン交換体変換工程(1)又はアニオン交換体変換工程(2)に係るアニオン交換体(B)としては、OH形が好ましい。
アニオン交換体変換工程(1)又はアニオン交換体変換工程(2)に係るアニオン交換体(B)が粒状のアニオン交換樹脂の場合は、アニオン交換樹脂の平均粒径は、好ましくは0.2〜1.0mm、特に好ましくは0.4〜0.8mmである。アニオン交換体変換工程(1)又はアニオン交換体変換工程(2)に係るアニオン交換樹脂(B)が有機多孔質アニオン交換体の場合、有機多孔質アニオン交換体の構造は、多数の気泡状のマクロポア同士が重なり合い、この重なる部分が開口となっている連通孔が、樹脂からなる骨格中に形成されている構造、すなわち、連続マクロポア構造である。
アニオン交換体変換工程(1)又はアニオン交換体変換工程(2)に係るカチオン交換体は、基体が樹脂であり、その樹脂にカチオン交換基が導入されているカチオン交換体であり、スチレン系のゲル形又はMR形のカチオン交換体である。カチオン交換体において、カチオン交換基が導入されている樹脂としては、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体が好ましい。
アニオン交換体変換工程(1)又はアニオン交換体変換工程(2)に係るカチオン交換体において、樹脂に導入されているカチオン交換基としては、スルホン酸基が挙げられる。
アニオン交換体変換工程(1)又はアニオン交換体変換工程(2)に係るカチオン交換体が粒状のカチオン交換樹脂の場合は、カチオン交換樹脂の平均粒径は、好ましくは0.2〜1.0mm、特に好ましくは0.4〜0.8mmである。アニオン交換体変換工程(1)又はアニオン交換体変換工程(2)に係るカチオン交換樹脂が有機多孔質カチオン交換体の場合、有機多孔質カチオン交換体の構造は、多数の気泡状のマクロポア同士が重なり合い、この重なる部分が開口となっている連通孔が、樹脂からなる骨格中に形成されている構造、すなわち、連続マクロポア構造である。
アニオン交換体変換工程(1)又はアニオン交換体変換工程(2)に係る二酸化炭素溶解水は、純水又は超純水に炭酸ガスを溶解させて得られたものである。純水又は超純水は、原水からイオン及び非イオン性物質を除去する純水製造装置又は超純水製造装置により原水を処理して得られる純水又は超純水であり、抵抗率1.0MΩ・cm以上の純水、好ましくは抵抗率10MΩ・cm以上の超純水、特に好ましくは抵抗率18MΩ・cm以上の超純水が好適である。
アニオン交換体変換工程(1)又はアニオン交換体変換工程(2)に係る二酸化炭素溶解水中の炭酸ガス濃度は、純水または超純水中に炭酸ガスが溶解できる濃度であれば良いが、好ましくは1〜2000mg/L、特に好ましくは20〜2000mg/Lである。二酸化炭素の溶解濃度が高いほど、短時間での処理が可能となり、使用水量も低減させることができる。
二酸化炭素溶解水を得る方法、すなわち、純水又は超純水に炭酸ガスを溶解させる方法としては、特に制限されず、電子部品部材類の洗浄用途向けに利用されている機能水の製造方法が挙げられる。例えば、中空糸膜を用いて炭酸ガスを溶解させる方法、配管内に直接炭酸ガスをバブリングする方法、炭酸ガスを注入後にスタティックミキサーなどの分散手段を用いて溶解させる方法、ガス溶解槽に超純水を供給するポンプの上流側に炭酸ガスを供給し、ポンプ内の撹拌によって溶解させる方法等が挙げられる。二酸化炭素を飽和濃度まで効率よく溶解させるために、中空糸膜を用いて炭酸ガスを溶解させることが好ましい。炭酸ガスの供給のために、ガスボンベを用いる場合、ガス供給配管中に、0.5μm以下の微粒子を除去するための微粒子除去フィルターを設けることが好ましく、0.2μm以下の微粒子を除去するための微粒子除去フィルターを設けることが特に好ましい。
二酸化炭素溶解水の調製において、純水又は超純水に溶解させる炭酸ガスの供給量は、ガス用マスフローコントローラーにより制御される。また、二酸化炭素濃度は、導電率計を用いることにより、連続的に監視される。
アニオン交換体変換工程(1)又はアニオン交換体変換工程(2)で、アニオン交換体(B)とカチオン交換体の混合物又はアニオン交換体(B)とカチオン交換体とからなる混合床に、二酸化炭素溶解水を接触させるときの温度は、低温であればある程二酸化炭素の溶解度が高くなるので好ましい、ただ、エネルギー消費の観点から、好ましくは5〜40℃、特に好ましくは10〜30℃である。また、アニオン交換体変換工程(2)で、アニオン交換体(B)とカチオン交換体とからなる混合床が充填されているイオン交換塔に、二酸化炭素溶解水を通水する場合は、ワンパスでイオン交換塔に二酸化炭素溶解水を供給しても良いが、純水又は超純水の使用量を低減させるため、循環用のタンク及びポンプをイオン交換塔の後段に設け、使用後の水を再び二酸化炭素溶解水の調製用の原水として循環利用することができる。また、使用する水を循環させて利用する場合は、導電率計の値をフィードバックし、炭酸ガス供給量を制御することで、炭酸ガス供給量を削減することができる。
そして、アニオン交換体変換工程(1)を行うことにより、アニオン交換体(B)とカチオン交換体の混合物中のアニオン交換体(B)の対アニオンの全部又は一部が重炭酸イオン(−HCO)又は炭酸イオン(−CO)に交換されて、重炭酸イオン形又は重炭酸イオン形と炭酸イオン形を有するアニオン交換体(A)に変換される。また、アニオン交換体変換工程(2)を行うことにより、アニオン交換体(B)とカチオン交換体とからなる混合床中のアニオン交換体(B)の対アニオンの全部又は一部が重炭酸イオン(−HCO)又は炭酸イオン(−CO)に交換されて、重炭酸イオン形又は重炭酸イオン形と炭酸イオン形を有するアニオン交換体(A)に変換される。
アニオン交換体変換工程(1)又はアニオン交換体変換工程(2)に係るアニオン交換体(A)は、重炭酸イオン形(−HCO)を有するアニオン交換体であるか、又は重炭酸イオン形(−HCO)と炭酸イオン形(−CO)とを有するアニオン交換体、すなわち、対アニオンが重炭酸イオン(−HCOイオン)であるアニオン交換基を有するアニオン交換体、又は対アニオンが重炭酸イオン(−HCOイオン)であるアニオン交換基と対アニオンが炭酸イオン(−COイオン)であるアニオン交換基とを有するアニオン交換体である。なお、本明細書中では、重炭酸イオン形(R−HCO)、炭酸イオン形(R−CO)との表記をしているが、実際の使用状況においては、重炭酸イオン形はR−HCO と、炭酸イオン形はR−CO 2−と解離している。
そして、アニオン交換体変換工程(1)又はアニオン交換体変換工程(2)に係るアニオン交換体(A)中、アニオン交換体の総交換容量に対する重炭酸イオン形及び炭酸イオン形の交換容量の合計の割合は、特に制限されないが、好ましくは50当量%以上、特に好ましくは60当量%以上、より好ましくは70当量%以上、更に好ましくは80当量%以上、更に好ましくは95当量%以上、更に好ましくは99当量%以上、更に好ましくは100当量%である。つまり、アニオン交換体変換工程(1)又はアニオン交換体変換工程(2)では、アニオン交換体(A)の総交換容量に対する重炭酸イオン形及び炭酸イオン形の交換容量の合計の割合が、好ましくは50当量%以上、特に好ましくは60当量%以上、より好ましくは70当量%以上、更に好ましくは80当量%以上、更に好ましくは95当量%以上、更に好ましくは99当量%以上、更に好ましくは100当量%となるまで、アニオン交換体(B)とカチオン交換体の混合物又はアニオン交換体(B)とカチオン交換体とからなる混合床に、純水又は超純水に炭酸ガスを溶解させて得られる二酸化炭素溶解水を接触させる。
アニオン交換体変換工程(1)又はアニオン交換体変換工程(2)に係るアニオン交換体(A)中、重炭酸イオン形及び炭酸イオン形の交換容量の合計に対する重炭酸イオン形の交換容量の割合は、好ましくは70当量%以上、特に好ましくは75当量%以上、より好ましくは80当量%以上である。重炭酸イオン形は、炭酸イオン形より選択係数が低いため、特に選択性が低い陰イオンや、低濃度のイオン交換負荷に対する処理性能の向上において効果があり、アニオン交換体中の重炭酸イオン形の割合が多い程、過酸化水素水及びその他の被処理水の精製性能が高くなる。つまり、アニオン交換体(A)中の重炭酸イオン形及び炭酸イオン形の交換容量の合計に対する重炭酸イオン形の交換容量の割合が上記範囲にあることにより、過酸化水素水又はその他の被処理水の精製性能が高くなる点で好ましい。
アニオン交換体変換工程(1)では、例えば、アニオン交換体(B)とカチオン交換体の混合物を、二酸化炭素溶解水の供給管と排出管が付設されている容器内に入れ、容器内に二酸化炭素溶解水を供給しながら、容器内の水を容器外へ排出すること等により、連続的に、アニオン交換体(B)とカチオン交換体の混合物に、二酸化炭素溶解水を接触させることができるが、この場合において、二酸化炭素溶解水の供給管と排出管のそれぞれに導電率計を設置等により、アニオン交換体(B)とカチオン交換体の混合物に接触させる前後の二酸化炭素溶解水の導電率を測定し、アニオン交換体(B)とカチオン交換体の混合物に接触させる前の二酸化炭素溶解水の導電率に対するアニオン交換体(B)とカチオン交換体の混合物に接触させた後の二酸化炭素溶解水の導電率の割合((接触後の導電率/接触前の導電率)×100))が、90%以上となるまで、好ましくは95%以上となるまで、アニオン交換体(B)とカチオン交換体の混合物に二酸化炭素溶解水を接触させる。アニオン交換体(B)とカチオン交換体の混合物への接触前後の二酸化炭素溶解水の導電率の比の変化を求めながら、アニオン交換体(B)とカチオン交換体の混合物に二酸化炭素溶解水を接触させることにより、アニオン交換体変換工程(1)の終了時点を把握し易くなる。アニオン交換体変換工程(1)では、アニオン交換体(B)とカチオン交換体の混合物への二酸化炭素溶解水の接触を開始してからしばらくの間は、アニオン交換体(B)の重炭酸イオン形又は炭酸イオン形へのイオン交換に、二酸化炭素溶解水中の二酸化炭素(二酸化炭素が水に溶解して生成する重炭酸イオン又は炭酸イオン)の大部分が消費されるため、二酸化炭素溶解水中の重炭酸イオン又は炭酸イオンの濃度が非常に低くなる。そのため、アニオン交換体(B)とカチオン交換体の混合物への二酸化炭素溶解水の接触を開始してからしばらくの間は、アニオン交換体(B)とカチオン交換体の混合物に接触後の二酸化炭素溶解水の導電率は非常に低い。その後、重炭酸イオン形又は炭酸イオン形へのイオン交換を続けて、アニオン交換体中に、重炭酸イオン形又は炭酸イオン形にイオン交換されたアニオン交換基が多くなってくると、重炭酸イオン形又は炭酸イオン形へのイオン交換のために消費される二酸化炭素の量が徐々に減ってくる。そのため、アニオン交換体(B)とカチオン交換体の混合物に接触後の二酸化炭素溶解水中の重炭酸イオン又は炭酸イオンの濃度が徐々に高くなってくるので、アニオン交換体(B)とカチオン交換体の混合物に接触後の二酸化炭素溶解水の導電率は徐々に高くなってくる。そして、アニオン交換体(B)とカチオン交換体の混合物に接触させる前の二酸化炭素溶解水の導電率に対するアニオン交換体(B)とカチオン交換体の混合物に接触させた後の二酸化炭素溶解水の導電率の割合((接触後の導電率/接触前の導電率)×100))が上記範囲となった時点で、アニオン交換体(B)中のアニオン交換基の大部分が重炭酸イオン形又は炭酸イオン形に変換された、すなわち、アニオン交換樹脂(A)が得られたと判断できる。本発明においては、アニオン交換体(B)とカチオン交換体の混合物に対してある程度の時間二酸化炭素溶解水を接触させた後に、ほとんど変動がなくなり、ほぼ一定となったときの導電率を、アニオン交換樹脂変換工程におけるアニオン交換体(B)とカチオン交換体の混合物に接触させる前の二酸化炭素溶解水の導電率とする。
アニオン交換体変換工程(2)では、イオン交換塔の入口と出口のそれぞれに導電率計を設置して、イオン交換塔の入口の二酸化炭素溶解水の導電率に対するイオン交換塔の出口の二酸化炭素溶解水の導電率の割合((出口導電率/入口導電率)×100))が、90%以上となるまで、好ましくは95%以上となるまで、イオン交換塔に二酸化炭素溶解水の供給を行うことができる。イオン交換塔の入口と出口の二酸化炭素溶解水の導電率の比の変化を求めながら、イオン交換塔に二酸化炭素溶解水を供給することにより、アニオン交換体変換工程(2)の終了時点を把握し易くなる。アニオン交換体変換工程(2)では、アニオン交換体(B)とカチオン交換体とからなる混合床への二酸化炭素溶解水の接触を開始してからしばらくの間は、アニオン交換体(B)の重炭酸イオン形又は炭酸イオン形へのイオン交換に、二酸化炭素溶解水中の二酸化炭素(二酸化炭素が水に溶解して生成する重炭酸イオン又は炭酸イオン)の大部分が消費されるため、二酸化炭素溶解水中の重炭酸イオン又は炭酸イオンの濃度が非常に低くなる。そのため、アニオン交換体(B)とカチオン交換体とからなる混合床への二酸化炭素溶解水の接触を開始してからしばらくの間は、イオン交換塔の出口の二酸化炭素溶解水の導電率は非常に低い。その後、重炭酸イオン形又は炭酸イオン形へのイオン交換を続けて、アニオン交換体中に、重炭酸イオン形又は炭酸イオン形にイオン交換されたアニオン交換基が多くなってくると、重炭酸イオン形又は炭酸イオン形へのイオン交換のために消費される二酸化炭素の量が徐々に減ってくる。そのため、イオン交換塔の出口の二酸化炭素溶解水中の重炭酸イオン又は炭酸イオンの濃度が徐々に高くなってくるので、イオン交換塔の出口の二酸化炭素溶解水の導電率は徐々に高くなってくる。そして、イオン交換塔の入口の二酸化炭素溶解水の導電率に対するイオン交換塔の出口の二酸化炭素溶解水の導電率の割合((出口導電率/入口導電率)×100))が上記範囲となった時点で、アニオン交換体(B)中のアニオン交換基の大部分が重炭酸イオン形又は炭酸イオン形に変換された、すなわち、アニオン交換樹脂(A)が得られたと判断できる。本発明においては、アニオン交換体(B)とカチオン交換体とからなる混合床に対してある程度の時間二酸化炭素溶解水を接触させた後に、ほとんど変動がなくなり、ほぼ一定となったときの導電率を、アニオン交換樹脂変換工程におけるイオン交換塔の入口の導電率とする。
アニオン交換体(B)とカチオン交換体の混合物又はアニオン交換体(B)とカチオン交換体とからなる混合床に、連続的に二酸化炭素溶解水を接触させて、アニオン交換体(B)をアニオン交換体(A)に変換する場合に、アニオン交換体中に存在する全アニオン交換基のうち、重炭酸イオン形又は炭酸イオン形に変換されるアニオン交換基の数が多い程性能が高くなる。そのため、アニオン交換体(B)をアニオン交換体(A)に変換する場合に、アニオン交換体中のアニオン交換基の総交換容量に対する重炭酸イオン形及び炭酸イオン形の交換容量の合計の割合が、好ましくは80当量%以上となるまで、特に好ましくは95当量%以上となるまで、アニオン交換体(B)とカチオン交換体の混合物又はアニオン交換体(B)とカチオン交換体とからなる混合床に、二酸化炭素溶解水を接触させることが好ましい。
二酸化炭素溶解水への接触前のアニオン交換体中の全アニオン交換基のうち、重炭酸イオン形又は炭酸イオン形でないアニオン交換基の交換容量は、接触前にアニオン交換体の分析をすれば求められる。そして、供給された二酸化炭素の全てがイオン交換に使用されるならば、「二酸化炭素溶解水中の二酸化炭素濃度(当量/l)×空間速度(SV)(l/l−アニオン交換体)×通液時間(h))」の式(式(1))で計算される量(当量/l−アニオン交換体)が、アニオン交換体中の全アニオン交換基のうち、重炭酸イオン形又は炭酸イオン形でないアニオン交換基の交換容量(当量/l−アニオン交換体)になるまで、二酸化炭素溶解水をアニオン交換体に供給すれば、アニオン交換基の総交換容量に対する重炭酸イオン形及び炭酸イオン形の交換容量の合計の割合が100当量%であるアニオン交換体が得られる。しかし、実際は、供給した二酸化炭素が十分に溶解されず、規定の濃度に到達しない場合や、イオン交換平衡により一部の二酸化炭素溶解水が漏出する等の理由で、供給された二酸化炭素の全てがイオン交換に使用されることはなく、必ず、イオン交換に用いられずに排出される二酸化炭素が存在する。そのため、アニオン交換体変換工程(1)又はアニオン交換体変換工程(2)において、アニオン交換体中のアニオン交換基の総交換容量に対する重炭酸イオン形及び炭酸イオン形の交換容量の合計の割合が、80当量%以上、好ましくは95当量%以上となるようにするためには、二酸化炭素溶解水の供給量を、上記式(1)で計算される値が重炭酸イオン形又は炭酸イオン形でないアニオン交換基の交換容量になるときの二酸化炭素溶解水の供給量より過剰にする必要がある。
ところが、アニオン交換体変換工程(1)又はアニオン交換体変換工程(2)を行っている最中に、アニオン交換体を取り出して、重炭酸イオン形及び炭酸イオン形の量の分析を行うようなことができないため、二酸化炭素溶解水の供給量による管理だけでは、どの程度、過剰量の二酸化炭素溶解水を供給すれば、丁度、アニオン交換体中のアニオン交換基の総交換容量に対する重炭酸イオン形及び炭酸イオン形の交換容量の合計の割合が、80当量%以上、好ましくは95当量%以上となるかを判断することができない。このようなことから、実際にアニオン交換基の変換を行うときには、確実にアニオン交換基の変換が行われるように、かなり過剰の二酸化炭素溶解水を供給しなければならず、多過ぎた分だけ、二酸化炭素溶解水が無駄になる。
そこで、前述したように、アニオン交換体への二酸化炭素溶解水の接触前後の導電率を測定し、接触前に対する接触後の二酸化炭素溶解水の導電率の割合を求め、その導電率の割合の推移を観察して、90%以上となるまで、好ましくは95%以上となるまで、二酸化炭素溶解水を供給すれば、アニオン交換体中のアニオン交換基の総交換容量に対する重炭酸イオン形及び炭酸イオン形の交換容量の合計の割合が80当量%以上、好ましくは95当量%以上となる時点を把握することができ、また、多過ぎない量の二酸化炭素溶解水の供給量で、アニオン交換体中のアニオン交換基の総交換容量に対する重炭酸イオン形及び炭酸イオン形の交換容量の合計の割合を、80当量%以上、好ましくは95当量%以上とすることができ、二酸化炭素溶解水が無駄になることを防ぐことができる。
このようにして、本発明のアニオン交換体とカチオン交換体の混合物の製造方法では、アニオン交換体変換工程(1)を行うことにより、アニオン交換体(A)とカチオン交換体の混合物を得、また、本発明のアニオン交換体とカチオン交換体とからなる混合床の製造方法では、アニオン交換体変換工程(2)を行うことにより、アニオン交換体(A)とカチオン交換体とからなる混合床を得る。そして、本発明のアニオン交換体とカチオン交換体の混合物の製造方法又は本発明のアニオン交換体とカチオン交換体とからなる混合床の製造方法では、アニオン交換体(B)中のアニオン交換基を重炭酸イオン形又は炭酸イオン形に変換するのに、炭酸塩又は炭酸水素塩水溶液を用いずに、二酸化炭素溶解水を用いるので、アニオン交換体と共に存在しているカチオン交換体のカチオン交換基のカチオンが、炭酸塩又は炭酸水素塩のカチオンで交換されることがない。
本発明のアニオン交換体とカチオン交換体の混合物は、アニオン交換体変換工程(1)を行うことにより得られた、アニオン交換体(A)とカチオン交換体の混合物である。また、本発明のアニオン交換体とカチオン交換体とからなる混合床は、アニオン交換体変換工程(2)を行うことにより得られた、アニオン交換体(A)とカチオン交換体とからなる混合床である。
本発明の第一の形態の過酸化水素水の精製方法は、イオン交換塔に充填されているアニオン交換体(B)とカチオン交換体とからなる混合床に、純水又は超純水に炭酸ガスを溶解させて得られる二酸化炭素溶解水を接触させることにより、該アニオン交換体(B)を、重炭酸イオン形又は重炭酸イオン形と炭酸イオン形を有するアニオン交換体(A)に変換して、該アニオン交換体(A)と該カチオン交換体とからなる混合床を得るアニオン交換体変換工程(2)と、
該イオン交換塔に、粗過酸化水素水を供給して、該アニオン交換体(A)と該カチオン交換体とからなる混合床に該粗過酸化水素水を接触させることにより、精製過酸化水素水を得る過酸化水素水精製工程と、
を有することを特徴とする過酸化水素水の精製方法である。
つまり、本発明の第一の形態の過酸化水素水の精製方法では、カチオン交換体がアニオン交換体(B)と共に存在している状態で、アニオン交換体(B)に二酸化炭素溶解水を接触させて、アニオン交換体(B)を、重炭酸イオン形又は重炭酸イオン形と炭酸イオン形を有するアニオン交換体(A)に変換するアニオン交換体変換工程を行い、次いで、イオン交換塔に粗過酸化水素水を供給して、粗過酸化水素水の精製を行う。
本発明の第一の形態の過酸化水素水の精製方法に係るアニオン交換体変換工程(2)は、本発明のアニオン交換体とカチオン交換体とからなる混合床の製造方法に係るアニオン交換体変換工程(2)と同様である。よって、本発明の第一の形態の過酸化水素水の精製方法に係るアニオン交換体(B)、アニオン交換体(A)、カチオン交換体、純水、超純水、炭酸ガス、二酸化炭素溶解水、アニオン交換体(B)とカチオン交換体とからなる混合床、アニオン交換体(A)とカチオン交換体とからなる混合床は、本発明のアニオン交換体とカチオン交換体とからなる混合床の製造方法に係るアニオン交換体(B)、アニオン交換体(A)、カチオン交換体、純水、超純水、炭酸ガス、二酸化炭素溶解水、アニオン交換体(B)とカチオン交換体とからなる混合床、アニオン交換体(A)とカチオン交換体とからなる混合床と同様である。
本発明の第一の形態の過酸化水素水の精製方法では、先ず、アニオン交換体変換工程(2)を行う。アニオン交換体変換工程(2)は、イオン交換塔に充填されているアニオン交換体(B)とカチオン交換体とからなる混合床に、二酸化炭素溶解水を接触させることにより、イオン交換塔に充填されている混合床中のアニオン交換体(B)をアニオン交換体(A)に変換する工程である。
本発明の第一の形態の過酸化水素水の精製方法では、アニオン交換体変換工程(2)に次いで、過酸化水素水精製工程を行う。過酸化水素水精製工程は、アニオン交換体(A)とカチオン交換体とからなる混合床が充填されているイオン交換塔に、粗過酸化水素水を供給して、アニオン交換体(A)とカチオン交換体とからなる混合床に粗過酸化水素水を接触させることにより、精製過酸化水素水を得る工程である。
過酸化水素水精製工程で、アニオン交換体(A)とカチオン交換体とからなる混合床に、粗過酸化水素水を接触させるときの温度は、好ましくは−10〜25℃、特に好ましくは−5〜10℃である。また、過酸化水素水精製工程で、イオン交換塔へ供給する粗過酸化水素水の空間速度(SV)は、好ましくは1〜30h−1、特に好ましくは1〜15h−1である。
このようにして、本発明の第一の形態の過酸化水素水の精製方法では、粗過酸化水素水の精製を行う。
また、本発明の第一の形態の過酸化水素水の精製方法に係る過酸化水素水精製工程を続けることにより、アニオン交換体(A)の対アニオンである重炭酸イオンの多くが、粗過酸化水素水中の不純物アニオンに交換されたときは、再び、アニオン交換体変換工程(2)を行い、イオン交換塔に充填されているアニオン交換体とカチオン交換体とからなる混合床中のアニオン交換体(アニオン交換体(B))をアニオン交換体(A)に変換し、次いで、過酸化水素水精製工程を行うこともできる。すなわち、本発明の第一の形態の過酸化水素水の精製方法では、アニオン交換体変換工程(2)と過酸化水素水精製工程とを、交互に繰り返すことができる。
また、本発明の第一の形態の過酸化水素水の精製方法では、アニオン交換体変換工程(2)において、アニオン交換体(A)中、重炭酸イオン形及び炭酸イオン形の交換容量の合計に対する重炭酸イオン形の交換容量の割合は、好ましくは70当量%以上、特に好ましくは75当量%以上、より好ましくは80当量%以上である。また、本発明の第一の形態の過酸化水素水の精製方法では、アニオン交換体変換工程(2)において、アニオン交換体(A)の総交換容量に対する重炭酸イオン形及び炭酸イオン形の交換容量の合計の割合が、好ましくは50当量%以上、特に好ましくは60当量%以上、より好ましくは70当量%以上、更に好ましくは80当量%以上、更に好ましくは95当量%以上、更に好ましくは99当量%以上、更に好ましくは100当量%となるまで、アニオン交換体(B)とカチオン交換体とからなる混合床に、純水又は超純水に炭酸ガスを溶解させて得られる二酸化炭素溶解水を接触させる。
また、本発明の第一の形態の過酸化水素水の精製方法では、アニオン交換体変換工程(2)において、イオン交換塔の入口と出口のそれぞれに導電率計を設置して、イオン交換塔の入口の二酸化炭素溶解水の導電率に対するイオン交換塔の出口の二酸化炭素溶解水の導電率の割合((出口導電率/入口導電率)×100))が、90%以上となるまで、好ましくは95%以上となるまで、イオン交換塔に二酸化炭素溶解水の供給を行うことができる。
そして、前述したように、アニオン交換体への二酸化炭素溶解水の接触前後の導電率を測定し、接触前に対する接触後の二酸化炭素溶解水の導電率の割合を求め、その導電率の割合の推移を観察して、90%以上となるまで、好ましくは95%以上となるまで、二酸化炭素溶解水を供給すれば、アニオン交換体中のアニオン交換基の総交換容量に対する重炭酸イオン形及び炭酸イオン形の交換容量の合計の割合が80当量%以上、好ましくは95当量%以上となる時点を把握することができ、また、多過ぎない量の二酸化炭素溶解水の供給量で、アニオン交換体中のアニオン交換基の総交換容量に対する重炭酸イオン形及び炭酸イオン形の交換容量の合計の割合を、80当量%以上、好ましくは95当量%以上とすることができ、二酸化炭素溶解水が無駄になることを防ぐことができる。
本発明のアニオン交換体は、重炭酸イオン形(−HCO)を有するアニオン交換体、又は重炭酸イオン形(−HCO)と炭酸イオン形(−CO)とを有するアニオン交換体であることを特徴とするアニオン交換体である。つまり、本発明のアニオン交換体は、前述した本発明のアニオン交換体とカチオン交換体の混合物又は本発明のアニオン交換体とカチオン交換体とからなる混合床に係るアニオン交換体(A)と同様である。以下、本発明のアニオン交換体を、アニオン交換体(A)とも記載する。
本発明のアニオン交換体(アニオン交換体(A))は、重炭酸イオン形(−HCO)を有するアニオン交換体、又は重炭酸イオン形(−HCO)と炭酸イオン形(−CO)とを有するアニオン交換体、すなわち、対アニオンが重炭酸イオン(−HCOイオン)であるアニオン交換基を有するアニオン交換体、又は対アニオンが重炭酸イオン(−HCOイオン)であるアニオン交換基と対アニオンが炭酸イオン(−COイオン)であるアニオン交換基とを有するアニオン交換体である。アニオン交換体(A)は、基体が樹脂であり、その樹脂にアニオン交換基が導入されているアニオン交換体であり、スチレン系のゲル形又はMR形のアニオン交換樹脂、有機多孔質アニオン交換体である。なお、本明細書中では、重炭酸イオン形(R−HCO)、炭酸イオン形(R−CO)との表記をしているが、実際の使用状況においては、重炭酸イオン形はR−HCO と、炭酸イオン形はR−CO 2−と解離している。
本発明のアニオン交換体(アニオン交換体(A))中、重炭酸イオン形及び炭酸イオン形の交換容量の合計に対する重炭酸イオン形の交換容量の割合は、好ましくは70当量%以上、特に好ましくは75当量%以上、より好ましくは80当量%以上である。重炭酸イオン形及び炭酸イオン形の合計に対する重炭酸イオン形の交換容量の割合が上記範囲にあることにより、過酸化水素水及びその他アニオン交換体を用いて精製される水、水溶液又は有機溶媒の精製性能が高くなる点で好ましい。
本発明のアニオン交換体(アニオン交換体(A))は、精製に悪影響を及ぼさない程度であれば、重炭酸イオン形及び炭酸イオン形以外のイオン形を有していてもよく、アニオン交換体中のアニオン交換基の総交換容量に対する重炭酸イオン形及び炭酸イオン形の交換容量の合計の割合が、50当量%以上であることが好ましく、60当量%以上であることが特に好ましく、70当量%以上であることがよりこのましく、80当量%以上であることが更に好ましく、95当量%以上であることが更に好ましく、99当量%以上であることが更に好ましく、100当量%であることが更に好ましい。総交換容量に対する重炭酸イオン形及び炭酸イオン形の交換容量の合計の割合が上記範囲にあることにより、過酸化水素水及びその他アニオン交換体を用いて精製される水、水溶液又は有機溶媒の精製性能が高くなる点で、好ましい。
本発明のアニオン交換体(アニオン交換体(A))が重炭酸イオン形及び炭酸イオン形以外のイオン形を有する場合、そのようなイオン形としては、Cl形、OH形等が挙げられる。なお、アニオン交換体(A)中のOH形の存在量が多過ぎると、過酸化水素水を精製するときに、過酸化水素の分解反応が進行し易くなるため、アニオン交換体(A)が過酸化水素の精製用に用いられる場合は、アニオン交換体(A)中、総交換容量に対するOH形の交換容量の割合は、好ましくは1当量%以下、特に好ましくは0.1当量%以下、より好ましくは0当量%である。
本発明のアニオン交換体(アニオン交換体(A))において、アニオン交換基が導入されている樹脂としては、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体が好ましい。
本発明のアニオン交換体(アニオン交換体(A))としては、4級アンモニウム基を官能基として有し、そのアンモニウム基の窒素原子に結合する基がアルキル基だけの強塩基性I型、4級アンモニウム基を官能基として有し、そのアンモニウム基の窒素原子に結合する基がアルキル基及びアルカノール基である強塩基性II型、第1〜第3アミノ基を官能基として有する弱塩基性が挙げられ、これらのうち、強塩基性I型アニオン交換体が好ましい。
本発明のアニオン交換体(アニオン交換体(A))が粒状のアニオン交換樹脂である場合は、アニオン交換樹脂の平均粒径は、好ましくは0.2〜1.0mm、特に好ましくは0.4〜0.8mmである。また、本発明のアニオン交換体(アニオン交換体(A))が有機多孔質アニオン交換体である場合には、有機多孔質アニオン交換体の構造は、多数の気泡状のマクロポア同士が重なり合い、この重なる部分が開口となっている連通孔が、樹脂からなる骨格中に形成されている構造、すなわち、連続マクロポア構造である。
本発明のアニオン交換体の製造方法は、アニオン交換体(B)に、純水又は超純水に炭酸ガスを溶解させて得られる二酸化炭素溶解水を接触させることにより、該アニオン交換体(B)を、重炭酸イオン形又は重炭酸イオン形と炭酸イオン形を有するアニオン交換体(A)に変換して、該アニオン交換体(A)を得るアニオン交換体変換工程(3)を有することを特徴とするアニオン交換体の製造方法である。
本発明のアニオン交換体の製造方法に係るアニオン交換体変換工程(3)は、アニオン交換体(B)に、二酸化炭素溶解水を接触させることにより、アニオン交換体(B)を重炭酸イオン形又は重炭酸イオン形と炭酸イオン形を有するアニオン交換体(A)に変換する工程である。
アニオン交換体変換工程(3)に係るアニオン交換体(B)は、重炭酸イオン形又は重炭酸イオン形と炭酸イオン形を有するアニオン交換体(A)に変換する前のアニオン交換体である。粗過酸化水素水の精製を強塩基性のアニオン交換体であるOHイオン形アニオン交換体(アニオン交換基の対アニオンがOHイオンであるアニオン交換体)を用いて行うと、OHイオン形アニオン交換体との接触中に過酸化水素の分解が起こってしまう。また、粗過酸化水素水の精製をClイオン形アニオン交換体(アニオン交換基の対アニオンがClイオンであるアニオン交換体)を用いて行おうとしても、対象イオンとのイオン交換反応により処理液中にClイオンが流出するため、精製を行うことができない。そのため、本発明のアニオン交換体の製造方法では、アニオン交換体を、重炭酸イオン形又は重炭酸イオン形と炭酸イオン形を有するアニオン交換体(A)に変換する。
そして、アニオン交換体変換工程(3)では、OHイオン形、Clイオン形等のアニオン交換体、好ましくはOH形のアニオン交換体、つまり、重炭酸イオン形又は重炭酸イオン形と炭酸イオン形を有するアニオン交換体(A)への変換前のアニオン交換体(アニオン交換体(B))に、二酸化炭素溶解水を接触させて、アニオン交換体(B)を、重炭酸イオン形又は重炭酸イオン形と炭酸イオン形を有するアニオン交換体(A)に変換する。また、重炭酸イオン形又は重炭酸イオン形と炭酸イオン形を有するアニオン交換体(A)を用いて、被処理水(過酸化水素水又はその他のアニオン交換体を用いて精製される水又は水溶液)の精製を続けると、アニオン交換体(A)の重炭酸イオンが、被処理水中の不純物アニオンに交換される。そのため、ある程度、被処理水の精製を続けた後は、不純物アニオンでイオン交換されたアニオン交換体を、重炭酸イオン形又は重炭酸イオン形と炭酸イオン形を有するアニオン交換体(A)に再生することもできる。本発明においては、このような、最初の被処理水の精製を行う前に、重炭酸イオン形又は重炭酸イオン形と炭酸イオン形を有するアニオン交換体(A)を得るために行うアニオン交換体変換工程(3)において、アニオン交換体(A)へ変換される前のアニオン交換体と、ある程度、過酸化水素水等の被処理水の精製を行うことにより、被処理水中の不純物イオンでイオン交換され、再度、アニオン交換体変換工程(3)に供せられるアニオン交換体の両方を、重炭酸イオン形又は重炭酸イオン形と炭酸イオン形を有するアニオン交換体(A)への変換前のアニオン交換体(B)とする。
アニオン交換体変換工程(3)に係るアニオン交換体(A)、つまり、アニオン交換体変換工程(3)を行い得られるアニオン交換体は、重炭酸イオン形(−HCO)を有するアニオン交換体であるか、又は重炭酸イオン形(−HCO)と炭酸イオン形(−CO)とを有するアニオン交換体である。アニオン交換体(A)のアニオン交換基の総交換容量に対する重炭酸イオン形及び炭酸イオン形の交換容量の合計の割合は、特に制限されないが、好ましくは50当量%以上、特に好ましくは60当量%以上、より好ましくは70当量%以上、更に好ましくは80当量%以上、更に好ましくは95当量%以上、更に好ましくは99当量%以上、更に好ましくは100当量%であり、アニオン交換体(A)の重炭酸イオン形及び炭酸イオン形の交換容量の合計に対する重炭酸イオン形の交換容量の割合は、好ましくは70当量%以上、特に好ましくは75当量%以上、より好ましくは80当量%以上であるアニオン交換体である。
アニオン交換体変換工程(3)に係るアニオン交換体(B)体は、基体が樹脂であり、その樹脂にアニオン交換基が導入されているアニオン交換体であり、スチレン系のゲル形又はMR形のアニオン交換樹脂、有機多孔質アニオン交換体である。アニオン交換体(B)において、アニオン交換基が導入されている樹脂としては、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体が好ましい。
アニオン交換体変換工程(3)に係るアニオン交換体(B)としては、4級アンモニウム基を官能基として有し、そのアンモニウム基の窒素原子に結合する基がアルキル基だけの強塩基性I型、4級アンモニウム基を官能基として有し、そのアンモニウム基の窒素原子に結合する基がアルキル基及びアルカノール基である強塩基性II型、第1〜第3アミノ基を官能基として有する弱塩基性が挙げられ、これらのうち、強塩基性I型アニオン交換体が好ましい。アニオン交換体変換工程(3)に係るアニオン交換体(B)は、OH形が好ましい。
アニオン交換体変換工程(3)に係るアニオン交換体(B)が粒状のアニオン交換樹脂の場合は、アニオン交換樹脂の平均粒径は、好ましくは0.2〜1.0mm、特に好ましくは0.4〜0.8mmである。アニオン交換体変換工程(3)に係るアニオン交換樹脂(B)が有機多孔質アニオン交換体の場合、有機多孔質アニオン交換体の構造は、多数の気泡状のマクロポア同士が重なり合い、この重なる部分が開口となっている連通孔が、樹脂からなる骨格中に形成されている構造、すなわち、連続マクロポア構造である。
アニオン交換体変換工程(3)に係る二酸化炭素溶解水は、純水又は超純水に炭酸ガスを溶解させて得られたものである。純水又は超純水は、原水からイオン及び非イオン性物質を除去する純水製造装置又は超純水製造装置により原水を処理して得られる純水又は超純水であり、抵抗率1.0MΩ・cm以上の純水、好ましくは抵抗率10MΩ・cm以上の超純水、特に好ましくは抵抗率18MΩ・cm以上の超純水が好適である。
アニオン交換体変換工程(3)に係る二酸化炭素溶解水中の炭酸ガス濃度は、純水または超純水中に炭酸ガスが溶解できる濃度であれば良いが、好ましくは1〜2000mg/L、特に好ましくは20〜2000mg/Lである。二酸化炭素の溶解濃度が高いほど、短時間での処理が可能となり、使用水量も低減させることができる。
二酸化炭素溶解水を得る方法、すなわち、純水又は超純水に炭酸ガスを溶解させる方法としては、特に制限されず、電子部品部材類の洗浄用途向けに利用されている機能水の製造方法が挙げられる。例えば、中空糸膜を用いて炭酸ガスを溶解させる方法、配管内に直接炭酸ガスをバブリングする方法、炭酸ガスを注入後にスタティックミキサーなどの分散手段を用いて溶解させる方法、ガス溶解槽に超純水を供給するポンプの上流側に炭酸ガスを供給し、ポンプ内の撹拌によって溶解させる方法等が挙げられる。二酸化炭素を飽和濃度まで効率よく溶解させるために、中空糸膜を用いて炭酸ガスを溶解させることが好ましい。炭酸ガスの供給のために、ガスボンベを用いる場合、ガス供給配管中に、0.5μm以下の微粒子を除去するための微粒子除去フィルターを設けることが好ましく、0.2μm以下の微粒子を除去するための微粒子除去フィルターを設けることが特に好ましい。
二酸化炭素溶解水の調製において、純水又は超純水に溶解させる炭酸ガスの供給量は、ガス用マスフローコントローラーにより制御される。また、二酸化炭素濃度は、導電率計を用いることにより、連続的に監視される。
アニオン交換体変換工程(3)において、アニオン交換体(B)に二酸化炭素溶解水を接触させる方法としては、特に制限されず、例えば、アニオン交換体(B)を二酸化炭素溶解水に投入して撹拌する方法、アニオン交換体(B)を、二酸化炭素溶解水の供給管及び排出管が付設された接触用の容器に入れ、その容器内に二酸化炭素溶解水を供給しつつ、容器内の水を容器外へ排出する方法、イオン交換塔に充填し、そのイオン交換塔に二酸化炭素溶解水を供給する方法等が挙げられる。アニオン交換体変換工程(3)において、アニオン交換体(B)に、二酸化炭素溶解水を接触させるときの温度は、低温であればある程二酸化炭素の溶解度が高くなるので好ましい、ただ、エネルギー消費の観点から、好ましくは5〜40℃、特に好ましくは10〜30℃である。また、アニオン交換体変換工程(3)で、アニオン交換体(B)が充填されているイオン交換塔に、二酸化炭素溶解水を通水する場合は、ワンパスでイオン交換塔に二酸化炭素溶解水を供給しても良いが、純水又は超純水の使用量を低減させるため、循環用のタンク及びポンプをイオン交換塔の後段に設け、使用後の水を再び二酸化炭素溶解水の調製用の原水として循環利用することができる。また、使用する水を循環させて利用する場合は、導電率計の値をフィードバックし、炭酸ガス供給量を制御することで、炭酸ガス供給量を削減することができる。
そして、アニオン交換体変換工程(3)を行うことにより、アニオン交換体(B)の対アニオンの全部又は一部が重炭酸イオン(−HCO)又は炭酸イオン(−CO)に交換されて、重炭酸イオン形又は重炭酸イオン形と炭酸イオン形を有するアニオン交換体(A)に変換される。
アニオン交換体変換工程(3)に係るアニオン交換体(A)は、重炭酸イオン形(−HCO)を有するアニオン交換体であるか、又は重炭酸イオン形(−HCO)と炭酸イオン形(−CO)とを有するアニオン交換体、すなわち、対アニオンが重炭酸イオン(−HCOイオン)であるアニオン交換基を有するアニオン交換体、又は対アニオンが重炭酸イオン(−HCOイオン)であるアニオン交換基と対アニオンが炭酸イオン(−COイオン)であるアニオン交換基とを有するアニオン交換体である。なお、本明細書中では、重炭酸イオン形(R−HCO)、炭酸イオン形(R−CO)との表記をしているが、実際の使用状況においては、重炭酸イオン形はR−HCO と、炭酸イオン形はR−CO 2−と解離している。
そして、アニオン交換体変換工程(3)に係るアニオン交換体(A)中、アニオン交換基の総交換容量に対する重炭酸イオン形及び炭酸イオン形の交換容量の合計の割合は、特に制限されないが、好ましくは50当量%以上、特に好ましくは60当量%以上、より好ましくは70当量%以上、更に好ましくは80当量%以上、更に好ましくは95当量%以上、更に好ましくは99当量%以上、更に好ましくは100当量%である。つまり、アニオン交換体変換工程(3)では、アニオン交換体(A)中のアニオン交換基の総交換容量に対する重炭酸イオン形及び炭酸イオン形の交換容量の合計の割合が、好ましくは50当量%以上、特に好ましくは60当量%以上、より好ましくは70当量%以上、更に好ましくは80当量%以上、更に好ましくは95当量%以上、更に好ましくは99当量%以上、更に好ましくは100当量%となるまで、アニオン交換体(B)に、純水又は超純水に炭酸ガスを溶解させて得られる二酸化炭素溶解水を接触させる。
アニオン交換体変換工程(3)に係るアニオン交換体(A)中、重炭酸イオン形及び炭酸イオン形の交換容量の合計に対する重炭酸イオン形の交換容量の割合が、好ましくは70当量%以上、特に好ましくは75当量%以上、より好ましくは80当量%以上である。重炭酸イオン形は、炭酸イオン形より選択係数が低いため、特に選択性が低い陰イオンや、低濃度のイオン交換負荷に対する処理性能の向上において効果があり、アニオン交換体中の重炭酸イオン形の割合が多い程、過酸化水素水及びその他の被処理水の精製性能が高くなる。つまり、アニオン交換体(A)中の重炭酸イオン形及び炭酸イオン形の合計に対する重炭酸イオン形の交換容量の割合が上記範囲にあることにより、過酸化水素水又はその他の被処理水の精製性能が高くなる点で好ましい。
アニオン交換体変換工程(3)では、アニオン交換体(B)を、二酸化炭素溶解水の供給管と排出管が付設されている容器内に入れ、容器内に二酸化炭素溶解水を供給しながら、容器内の水を容器外へ排出することや、イオン交換塔にアニオン交換体(B)を充填し、イオン交換塔に二酸化炭素溶解水を供給しながら、イオン交換塔内の水を塔外へ排出すること等により、連続的に、アニオン交換体(B)に、二酸化炭素溶解水を接触させることができるが、この場合において、アニオン交換体(B)に接触させる前と接触させた後の二酸化炭素溶解水の導電率を測定して、アニオン交換体(B)に接触させる前の二酸化炭素溶解水の導電率に対するアニオン交換体(B)に接触させた後の二酸化炭素溶解水の導電率の割合((接触後の導電率/接触前の導電率)×100))が、90%以上となるまで、好ましくは95%以上となるまで、アニオン交換体(B)に二酸化炭素溶解水を接触させる。アニオン交換体(B)への接触前後の二酸化炭素溶解水の導電率の比の変化を求めながら、アニオン交換体(B)に二酸化炭素溶解水を接触させることにより、アニオン交換体変換工程(3)の終了時点を把握し易くなる。アニオン交換体変換工程(3)では、アニオン交換体(B)への二酸化炭素溶解水の接触を開始してからしばらくの間は、アニオン交換樹脂(B)の重炭酸イオン形又は炭酸イオン形へのイオン交換に、二酸化炭素溶解水中の二酸化炭素(二酸化炭素が水に溶解して生成する重炭酸イオン又は炭酸イオン)の大部分が消費されるため、二酸化炭素溶解水中の重炭酸イオン又は炭酸イオンの濃度が非常に低くなる。そのため、アニオン交換体(B)への二酸化炭素溶解水の接触を開始してからしばらくの間は、アニオン交換体(B)に接触後の二酸化炭素溶解水の導電率は非常に低い。その後、重炭酸イオン形又は炭酸イオン形へのイオン交換を続けて、アニオン交換樹脂中に、重炭酸イオン形又は炭酸イオン形にイオン交換されたアニオン交換基が多くなってくると、重炭酸イオン形又は炭酸イオン形へのイオン交換のために消費される二酸化炭素の量が徐々に減ってくる。そのため、アニオン交換体(B)に接触後の二酸化炭素溶解水中の重炭酸イオン又は炭酸イオンの濃度が徐々に高くなってくるので、アニオン交換体(B)に接触後の二酸化炭素溶解水の導電率は徐々に高くなってくる。そして、アニオン交換体(B)に接触させる前の二酸化炭素溶解水の導電率に対するアニオン交換体(B)に接触させた後の二酸化炭素溶解水の導電率の割合((接触後の導電率/接触前の導電率)×100))が上記範囲となった時点で、アニオン交換体(B)中のアニオン交換基の大部分が重炭酸イオン形又は炭酸イオン形に変換された、すなわち、アニオン交換樹脂(A)が得られたと判断できる。本発明においては、アニオン交換体(B)に対してある程度の時間二酸化炭素溶解水を接触させた後に、ほとんど変動がなくなり、ほぼ一定となったときの導電率を、アニオン交換樹脂変換工程(3)におけるアニオン交換体(B)に接触させる前の二酸化炭素溶解水の導電率とする。
アニオン交換体(B)に、連続的に二酸化炭素溶解水を接触させて、アニオン交換体(B)をアニオン交換体(A)に変換する場合に、アニオン交換体変換工程(1)又はアニオン交換体変換工程(2)と同様に、アニオン交換体中に存在する全アニオン交換基のうち、重炭酸イオン形又は炭酸イオン形に変換されるアニオン交換基の数が多い程性能が高くなるので、アニオン交換体(B)をアニオン交換体(A)に変換する場合に、アニオン交換体中のアニオン交換基の総交換容量に対する重炭酸イオン形及び炭酸イオン形の合計の交換容量の割合が、好ましくは80当量%以上、特に好ましくは95当量%以上となるまで、アニオン交換体(B)に、二酸化炭素溶解水を接触させることが好ましい。
前述したように、二酸化炭素溶解水への接触前のアニオン交換体中の全アニオン交換基のうち、重炭酸イオン形又は炭酸イオン形でないアニオン交換基の交換容量は、接触前にアニオン交換体の分析をすれば求められる。そして、供給された二酸化炭素の全てがイオン交換に使用されるならば、「二酸化炭素溶解水中の二酸化炭素濃度(当量/l)×空間速度(SV)(l/l−アニオン交換体)×通液時間(h))」の式(式(1))で計算される量(当量/l−アニオン交換体)が、アニオン交換体中の全アニオン交換基のうち、重炭酸イオン形又は炭酸イオン形でないアニオン交換基の交換容量(当量/l−アニオン交換体)になるまで、二酸化炭素溶解水をアニオン交換体に供給すれば、アニオン交換基の総交換容量に対する重炭酸イオン形及び炭酸イオン形の交換容量の合計の割合が100当量%であるアニオン交換体が得られる。しかし、実際は、供給した二酸化炭素が十分に溶解されず、規定の濃度に到達しない場合や、イオン交換平衡により一部の二酸化炭素溶解水が漏出する等の理由で、供給された二酸化炭素の全てがイオン交換に使用されることはなく、必ず、イオン交換に用いられずに排出される二酸化炭素が存在する。そのため、アニオン交換体変換工程(3)において、アニオン交換体中のアニオン交換基の総交換容量に対する重炭酸イオン形及び炭酸イオン形の交換容量の合計の割合が、80当量%以上、好ましくは95当量%以上となるようにするためには、二酸化炭素溶解水の供給量を、上記式(1)で計算される値が重炭酸イオン形又は炭酸イオン形でないアニオン交換基の交換容量になるときの二酸化炭素溶解水の供給量より過剰にする必要がある。
ところが、アニオン交換体変換工程(3)を行っている最中に、アニオン交換体を取り出して、重炭酸イオン形及び炭酸イオン形の量の分析を行うようなことができないため、二酸化炭素溶解水の供給量による管理だけでは、どの程度、過剰量の二酸化炭素溶解水を供給すれば、丁度、アニオン交換体中のアニオン交換基の総交換容量に対する重炭酸イオン形及び炭酸イオン形の交換容量の合計の割合が、80当量%以上、好ましくは95当量%以上となるかを判断することができない。このようなことから、実際にアニオン交換基の変換を行うときには、確実にアニオン交換基の変換が行われるように、かなり過剰の二酸化炭素溶解水を供給しなければならず、多過ぎた分だけ、二酸化炭素溶解水が無駄になる。
そこで、前述したように、アニオン交換体への二酸化炭素溶解水の接触前後の導電率を測定し、接触前に対する接触後の二酸化炭素溶解水の導電率の割合を求め、その導電率の割合の推移を観察して、90%以上となるまで、好ましくは95%以上となるまで、二酸化炭素溶解水を供給すれば、アニオン交換体中のアニオン交換基の総交換容量に対する重炭酸イオン形及び炭酸イオン形の交換容量の合計の割合が80当量%以上、好ましくは95当量%以上となる時点を把握することができ、また、多過ぎない量の二酸化炭素溶解水の供給量で、アニオン交換体中のアニオン交換基の総交換容量に対する重炭酸イオン形及び炭酸イオン形の交換容量の合計の割合を、80当量%以上、好ましくは95当量%以上とすることができ、二酸化炭素溶解水が無駄になることを防ぐことができる。
本発明の第二の形態の過酸化水素水の精製方法は、イオン交換塔に充填されているアニオン交換体(B)に、純水又は超純水に炭酸ガスを溶解させて得られる二酸化炭素溶解水を接触させることにより、該アニオン交換体(B)を、重炭酸イオン形又は重炭酸イオン形と炭酸イオン形を有するアニオン交換体(A)に変換して、該アニオン交換体(A)を得るアニオン交換体変換工程(4)と、
該イオン交換塔に、粗過酸化水素水を供給して、該アニオン交換体(A)に該粗過酸化水素水を接触させることにより、精製過酸化水素水を得る過酸化水素水精製工程と、
を有することを特徴とする過酸化水素水の精製方法である。
本発明の第二の形態の過酸化水素水の精製方法に係るアニオン交換体変換工程(4)のアニオン交換体(B)、アニオン交換体(A)、純水、超純水、炭酸ガス、二酸化炭素溶解水は、本発明のアニオン交換体の製造方法に係るアニオン交換体変換工程(3)のアニオン交換体(B)、アニオン交換体(A)、純水、超純水、炭酸ガス、二酸化炭素溶解水と同様である。
本発明の第二の形態の過酸化水素水の精製方法では、先ず、アニオン交換体変換工程(4)を行う。アニオン交換体変換工程(4)は、イオン交換塔に充填されているアニオン交換体(B)に、二酸化炭素溶解水を接触させることにより、イオン交換塔に充填されているアニオン交換体(B)をアニオン交換体(A)に変換する工程である。アニオン交換体変換工程(4)は、アニオン変換工程(3)のアニオン交換体(B)への二酸化炭素溶解水の接触方法のうち、イオン交換塔にアニオン交換体(B)を充填し、アニオン交換体(B)が充填されているイオン交換塔に、二酸化炭素溶解水を供給することにより、アニオン交換体(B)への二酸化炭素溶解水の接触を行う方法である。
本発明の第二の形態の過酸化水素水の精製方法では、アニオン交換体変換工程(4)に次いで、過酸化水素水精製工程を行う。過酸化水素水精製工程は、アニオン交換体(A)が充填されているイオン交換塔に、粗過酸化水素水を供給して、アニオン交換体(A)に粗過酸化水素水を接触させることにより、精製過酸化水素水を得る工程である。
過酸化水素水精製工程で、アニオン交換体(A)に、粗過酸化水素水を接触させるときの温度は、好ましくは−10〜25℃、特に好ましくは−5〜10℃である。また、過酸化水素水精製工程で、イオン交換塔へ供給する粗過酸化水素水の空間速度(SV)は、好ましくは1〜30h−1、特に好ましくは1〜15h−1である。
このようにして、本発明の第二の形態の過酸化水素水の精製方法では、粗過酸化水素水の精製を行う。
また、本発明の第二の形態の過酸化水素水の精製方法に係る過酸化水素水精製工程を続けることにより、アニオン交換体(A)の対アニオンである重炭酸イオンの多くが、粗過酸化水素水中の不純物アニオンに交換されたときは、再び、アニオン交換体変換工程(4)を行い、イオン交換塔に充填されているアニオン交換体(アニオン交換体(B))をアニオン交換体(A)に変換し、次いで、過酸化水素水精製工程を行うこともできる。すなわち、本発明の過酸化水素水の精製方法では、アニオン交換体変換工程(4)と過酸化水素水精製工程とを、交互に繰り返すことができる。
また、本発明の第二の形態の過酸化水素水の精製方法では、アニオン交換体変換工程(4)において、アニオン交換体(A)中、重炭酸イオン形及び炭酸イオン形の交換容量の合計に対する重炭酸イオン形の交換容量の割合は、好ましくは70当量%以上、特に好ましくは75当量%以上、より好ましくは80当量%以上である。また、本発明の第二の形態の過酸化水素水の精製方法では、アニオン交換体変換工程(4)において、アニオン交換体(A)のアニオン交換基の総交換容量に対する重炭酸イオン形及び炭酸イオン形の交換容量の合計の割合が、好ましくは50当量%以上、特に好ましくは60当量%以上、より好ましくは70当量%以上、更に好ましくは80当量%以上、更に好ましくは95当量%以上、更に好ましくは99当量%以上、更に好ましくは100当量%となるまで、アニオン交換体(B)に、純水又は超純水に炭酸ガスを溶解させて得られる二酸化炭素溶解水を接触させる。
また、本発明の第二の形態の過酸化水素水の精製方法では、アニオン交換体変換工程(4)において、イオン交換塔の入口と出口のそれぞれに導電率計を設置して、イオン交換塔の入口の二酸化炭素溶解水の導電率に対するイオン交換塔の出口の二酸化炭素溶解水の導電率の割合((出口導電率/入口導電率)×100))が、90%以上となるまで、好ましくは95%以上となるまで、イオン交換塔に二酸化炭素溶解水の供給を行うことができる。
そして、前述したように、アニオン交換体への二酸化炭素溶解水の接触前後の導電率を測定し、接触前に対する接触後の二酸化炭素溶解水の導電率の割合を求め、その導電率の割合の推移を観察して、90%以上となるまで、好ましくは95%以上となるまで、二酸化炭素溶解水を供給すれば、アニオン交換体中のアニオン交換基の総交換容量に対する重炭酸イオン形及び炭酸イオン形の交換容量の合計の割合が80当量%以上、好ましくは95当量%以上となる時点を把握することができ、また、多過ぎない量の二酸化炭素溶解水の供給量で、アニオン交換体中のアニオン交換基の総交換容量に対する重炭酸イオン形及び炭酸イオン形の交換容量の合計の割合を、80当量%以上、好ましくは95当量%以上とすることができ、二酸化炭素溶解水が無駄になることを防ぐことができる。
本発明では、アニオン交換体変換工程で、アニオン交換体(B)の対アニオンを、重炭酸イオンに交換するために、二酸化炭素が溶解している二酸化炭素溶解水を用いている。この二酸化炭素溶解水は弱酸性であるため、二酸化炭素溶解水中には1価の重炭酸イオンの割合が多い。そのため、アニオン交換体変換工程では、重炭酸イオン形の割合が非常に高いアニオン交換体、すなわち、アニオン交換体(A)中の重炭酸イオン形及び炭酸イオン形の合計に対する重炭酸イオン形の交換容量の割合が、70当量%以上、好ましくは75当量%以上、特に好ましくは80当量%以上であるアニオン交換体が得られる。
一方、従来法では、アニオン交換体の対アニオンの交換に、炭酸水素塩水溶液が用いられていたが、炭酸水素塩水溶液は弱アルカリ性であるため、炭酸水素塩水溶液中には2価の炭酸イオンの割合が多くなる。そのため、従来法では、重炭酸イオン形の割合がそれほど高くなかった。
そして、重炭酸イオン形は、炭酸イオン形に比べ、イオン交換し易いので、重炭酸イオン形の割合が多いアニオン交換体は、重炭酸イオン形の割合が低いアニオン交換体に比べ、過酸化水素水又はその他の被処理水の精製性能が高く、特に選択性が低い陰イオンや、低濃度のイオン交換負荷に対する処理性能の向上において効果が期待される。そうすると、本発明では、アニオン交換体変換工程を行うことにより、重炭酸イオン形及び炭酸イオン形の交換容量の合計に対して、70当量%以上、好ましくは75当量%以上、特に好ましくは80当量%以上と、重炭酸イオン形の割合が非常に高いアニオン交換体(A)が得られるので、被処理水(過酸化水素水又はその他のアニオン交換体やアニオン交換体とカチオン交換体の混合物又は混合床を用いて精製される水、水溶液又は有機溶媒)の精製性能が高い、特に選択性が低い陰イオンや、低濃度のイオン交換負荷に対する処理性能が高いアニオン交換体が得られる。
このようなことから、次のアニオン交換体変換工程を行うまでに処理することができる被処理水の量を多くすることができる。よって、本発明の過酸化水素水の精製方法において、アニオン交換体変換工程と過酸化水素水精製工程とを繰り返す場合、アニオン交換体変換工程を行う頻度を少なくすることができるので、効率的に過酸化水素水の精製を行うことができる。
また、本発明の過酸化水素水の精製方法では、粗過酸化水素水の精製に用いるアニオン交換体(A)を、二酸化炭素溶解水を用いて調製している。二酸化炭素溶解水には、重炭酸アンモニウムのような塩は溶解していないので、従来の重炭酸アンモニウム水溶液を用いる方法のように、アニオン交換体を重炭酸イオン形に変換した後に、アンモニウムイオンを除去する洗浄は必要ない。つまり、本発明の過酸化水素水の精製方法では、アニオン交換体変換工程を行った後、アニオン交換体(A)の洗浄を行うことなく、速やかに、過酸化水素水精製工程を行うことができる。よって、本発明の過酸化水素水の精製方法は、効率的に、過酸化水素水の精製を行うことができる。
以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に制限されるものではない。
(実施例1)
図1に示すように、内径16mm、高さ30cmのPFA(テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルの共重合体)製イオン交換塔に、下部にPFAメッシュを取り付け、塔内に強塩基性アニオン交換体(OH形)と強酸性カチオン交換体(H形)の混床であるESP−1(比率1:1混床、オルガノ社製)を50mL充填した。次いで、超純水と、ガス用マスフローを用いて炭酸ガスとを、ガス溶解用中空糸膜に供給し、炭酸ガスを超純水に溶解させて、二酸化炭素溶解水を得た。次いで、得られた二酸化炭素溶解水を、PFA製イオン交換塔内に供給し、ESP−1充填層に通液させた。その際、PFA製イオン交換塔での通液流速を1.5L/時間とし、塔入口の導電率が38μS/cmとなるように、ガス溶解用中空糸膜への炭酸ガスの供給量を調節した。そして、出口の導電率が塔入口の導電率と同等(38μS/cm)となるまで、二酸化炭素溶解水の通液を続け(約90分間)、アニオン交換体とカチオン交換体とからなる混床Aを得た。そのときの塔入口の二酸化炭素溶解水の導電率と塔出口の二酸化炭素溶解水の導電率の変化を、図2に示す。なお、図2では、塔への二酸化炭素溶解水の供給を開始してからしばらくの間は、塔入口の二酸化炭素水の導電率が上下に少し変動していたものの、供給開始後45分程度経過後は、38μS/cmで一定となった。
次いで、PFA製イオン交換塔内に超純水を10分間供給し、排出水をサンプリングした。排出水中のアンモニウムイオンの含有量を測定したところ、アンモニウムイオンは0.1mg/L未満と検出下限未満であった。
次いで、アニオン交換体とカチオン交換体とからなる混床A中のアニオン交換体の炭酸形又は重炭酸形へのイオン変換率(%)を求めるために、硝酸ナトリウム水溶液を充填層に通液し、得られた処理液を水酸化ナトリウム(指示薬:フェノールフタレイン及びメチルレッド混合指示薬)を用いて、中和滴定を行った。その結果を表1に示す。
また、図2における塔入口の二酸化炭素溶解水の導電率及び塔出口の二酸化炭素溶解水の導電率と、アニオン交換樹脂の重炭酸イオン形又は重炭酸イオン形と炭酸イオン形への変換率との関係を求めたところ、塔出口の二酸化炭素溶解水の導電率が34μS/cmとなった時点では、塔入口の二酸化炭素溶解水の導電率は38μS/cm、塔入口の導電率に対する塔出口の導電率の割合は90%、アニオン交換樹脂の重炭酸イオン形又は重炭酸イオン形と炭酸イオン形への変換率は99.3%であり、塔出口の二酸化炭素溶解水の導電率が36μS/cmとなった時点では、塔入口の二酸化炭素溶解水の導電率は38μS/cm、塔入口の導電率に対する塔出口の導電率の割合は95%、アニオン交換樹脂の重炭酸イオン形又は重炭酸イオン形と炭酸イオン形への変換率は99.9%であった。なお、アニオン交換樹脂の重炭酸イオン形又は重炭酸イオン形と炭酸イオン形への変換率は、以下の通り求めた。まず、塔入口及び塔出口の導電率の差から、アニオン交換樹脂に対する単位時間あたりの二酸化炭素の負荷量を求め、それを通水時間分積算することにより、二酸化炭素の負荷量を求めた。次いで、塔入口と塔出口の導電率が同じ値となった時点の二酸化炭素の総負荷量を求め、(二酸化炭素の負荷量/二酸化炭素の総負荷量)×100(%)により求めた。
(比較例1)
内径16mm、高さ30cmのPFA製イオン交換塔に、下部にPFAメッシュを取り付け、塔内にI型強塩基性アニオン交換体であるESG4002(OH形、オルガノ社製)を50mL充填した。次いで、超純水に重炭酸アンモニウムを溶解させて、5%重炭酸アンモニウム水溶液を得た。次いで、得られた重炭酸アンモニウム水溶液を、通液流速0.25L/時間でPFA製イオン交換塔内に供給し、ESG4002層に3時間通液させて、アニオン交換体aを得た。
次いで、実施例1と同様の方法で、アニオン交換体aの炭酸形又は重炭酸形へのイオン変換率(%)を求めた。その結果を表1に示す。
(比較例2)
重炭酸アンモニウム水溶液の濃度を5%とすることに代えて0.8%とすること、及び通液流速0.25L/時間で3時間通液することに代えて通液流速0.50L/時間で6時間通液すること以外は、比較例1と同様の方法で行い、アニオン交換体bを得た。
次いで、PFA製イオン交換塔内に超純水を5分間供給し、排出水をサンプリングした。排出水中のアンモニウムイオン濃度を測定したところ、アンモニウムイオン濃度は、770mg/Lであった。また、同様に超純水を10分間供給した際の排出水中のアンモニウムイオン濃度を測定したところ、6.6mg/Lであった。
次いで、実施例1と同様の方法で、アニオン交換体bの炭酸形又は重炭酸形へのイオン変換率(%)を求めた。その結果を表1に示す。
Figure 2015098348
(実施例2)
<過酸化水素水の精製試験>
実施例1で得られたアニオン交換体とカチオン交換体とからなる混床Aを用いて、過酸化水素水の精製試験を行った。精製対象試料として、金属類を10ppb含む35重量%過酸化水素水を用い、該過酸化水素水を混床Aに、下向流にて、5℃、0.5L/時間で、4時間通液した。充填塔下部から流出する過酸化水素水を捕集し、金属類の含有量をICP−MS法にて分析した。その結果を表2に示す。
Figure 2015098348
(実施例3)
図1に示すように、内径16mm、高さ30cmのPFA(テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルの共重合体)製イオン交換塔に、下部にPFAメッシュを取り付け、塔内にI型強塩基性アニオン交換樹脂であるESG4002(OH形、オルガノ社製)を50mL充填した。次いで、超純水と、ガス用マスフローを用いて炭酸ガスとを、ガス溶解用中空糸膜に供給し、炭酸ガスを超純水に溶解させて、二酸化炭素溶解水を得た。次いで、得られた二酸化炭素溶解水を、PFA製イオン交換塔内に供給し、ESG4002充填層に通液させた。その際、PFA製イオン交換塔での通液流速を3.0L/時間とし、塔入口の導電率が38μS/cmとなるように、ガス溶解用中空糸膜への炭酸ガスの供給量を調節した。そして、出口の導電率が塔入口の導電率と同等(38μS/cm)となるまで、二酸化炭素溶解水の通液を続け(約90分間)、アニオン交換樹脂Aを得た。
次いで、アニオン交換樹脂Aの炭酸形又は重炭酸形へのイオン変換率(%)を求めるために、硝酸ナトリウム水溶液を充填層に通液し、得られた処理液を水酸化ナトリウム(指示薬:フェノールフタレイン及びメチルレッド混合指示薬)を用いて、中和滴定を行った。その結果を表3に示す。
Figure 2015098348
(実施例4)
実施例3と同様の条件にて調整したアニオン交換樹脂Aに通液ポンプを用いて1.5L/時間にて酢酸水溶液を通液し、その際の酢酸除去性能を確認した。入口および出口の酢酸濃度は、TOC計(GE社製:Sievers900)を用いて測定した。なお、入口TOC濃度は24.9ppmで一定とした。その結果を図3に示す。
(比較例3)
比較例1と同様の条件にて調整したアニオン交換樹脂aを用いたことを除いて、実施例4と同様の条件にて酢酸除去性能を確認した。その結果を図3に示す。
実施例4と比較して、酢酸がブレークするまでの時間が短く、処理性能が低い結果となった。
(実施例5)
<過酸化水素水の精製試験>
実施例3で得られたアニオン交換樹脂Aを用いて、過酸化水素水の精製試験を行った。精製対象試料として、過酸化水素水中でアニオン形態の金属として存在するCr、Feを10ppb含む35重量%過酸化水素水を用い、該過酸化水素水を該アニオン交換樹脂に、下向流にて、5℃、0.5L/時間で、4時間通液した。充填塔下部から流出する過酸化水素水を捕集し、Cr、Feの含有量をICP−MS法にて分析した。その結果、Cr、Fe共に出口濃度が0.01ppb未満であることを確認した。
1 PFA製イオン交換塔
2 ガス溶解用中空糸膜
3 ガス用マスフロー
4 炭酸ガスボンベ
5 超純水
6 導電率計
7、8 弁

Claims (22)

  1. アニオン交換体(A)とカチオン交換体の混合物であり、
    該アニオン交換体(A)が、重炭酸イオン形(−HCO)を有するアニオン交換体、又は重炭酸イオン形(−HCO)と炭酸イオン形(−CO)とを有するアニオン交換体であること、
    を特徴とするアニオン交換体とカチオン交換体の混合物。
  2. アニオン交換体(B)とカチオン交換体の混合物に、純水又は超純水に炭酸ガスを溶解させて得られる二酸化炭素溶解水を接触させることにより、該アニオン交換体(B)を、重炭酸イオン形又は重炭酸イオン形と炭酸イオン形を有するアニオン交換体(A)に変換して、該アニオン交換体(A)と該カチオン交換体の混合物を得るアニオン交換体変換工程(1)を行い得られたものであることを特徴とするアニオン交換体とカチオン交換体の混合物。
  3. 前記アニオン交換体(A)が、重炭酸イオン形及び炭酸イオン形の交換容量の合計に対する重炭酸イオン形の交換容量の割合が70当量%以上であるアニオン交換体であることを特徴とする請求項1又は2いずれか1項記載のアニオン交換体とカチオン交換体の混合物。
  4. イオン交換塔に充填されているアニオン交換体(A)とカチオン交換体とからなる混合床であり、
    該アニオン交換体(A)が、重炭酸イオン形(−HCO)を有するアニオン交換体、又は重炭酸イオン形(−HCO)と炭酸イオン形(−CO)とを有するアニオン交換体であること、
    を特徴とするアニオン交換体とカチオン交換体とからなる混合床。
  5. 前記アニオン交換体(A)が、重炭酸イオン形及び炭酸イオン形の交換容量の合計に対する重炭酸イオン形の交換容量の割合が70当量%以上であるアニオン交換体であることを特徴とする請求項4記載のアニオン交換体とカチオン交換体の混合床。
  6. アニオン交換体(B)とカチオン交換体の混合物に、純水又は超純水に炭酸ガスを溶解させて得られる二酸化炭素溶解水を接触させることにより、該アニオン交換体(B)を、重炭酸イオン形又は重炭酸イオン形と炭酸イオン形を有するアニオン交換体(A)に変換して、該アニオン交換体(A)と該カチオン交換体の混合物を得るアニオン交換体変換工程(1)を有することを特徴とするアニオン交換体とカチオン交換体の混合物の製造方法。
  7. 前記アニオン交換体(A)が、重炭酸イオン形及び炭酸イオン形の交換容量の合計に対する重炭酸イオン形の交換容量の割合が70当量%以上であるアニオン交換体であることを特徴とする請求項6記載のアニオン交換体とカチオン交換体の混合物の製造方法。
  8. 前記アニオン交換体変換工程(1)において、前記アニオン交換体(B)とカチオン交換体の混合物に接触させる前の二酸化炭素溶解水の導電率に対する前記アニオン交換体(B)とカチオン交換体の混合物に接触させた後の二酸化炭素溶解水の導電率の割合((接触後の導電率/接触前の導電率)×100))が、90%以上となるまで、前記アニオン交換体(B)とカチオン交換体の混合物に前記二酸化炭素溶解水を接触させることを特徴とする請求項6又は7いずれか1項記載のアニオン交換体とカチオン交換体の混合物の製造方法。
  9. イオン交換塔に充填されているアニオン交換体(B)とカチオン交換体とからなる混合床に、純水又は超純水に炭酸ガスを溶解させて得られる二酸化炭素溶解水を接触させることにより、該アニオン交換体(B)を、重炭酸イオン形又は重炭酸イオン形と炭酸イオン形を有するアニオン交換体(A)に変換して、該アニオン交換体(A)と該カチオン交換体とからなる混合床を得るアニオン交換体変換工程(2)を有することを特徴とするアニオン交換体とカチオン交換体とからなる混合床の製造方法。
  10. 前記アニオン交換体(A)が、重炭酸イオン形及び炭酸イオン形の交換容量の合計に対する重炭酸イオン形の交換容量の割合が70当量%以上であるアニオン交換体であることを特徴とする請求項9記載のアニオン交換体とカチオン交換体とからなる混合床の製造方法。
  11. 前記アニオン交換体変換工程(2)において、前記イオン交換塔の入口の二酸化炭素溶解水の導電率に対する前記イオン交換塔の出口の二酸化炭素溶解水の導電率の割合((出口導電率/入口導電率)×100))が、90%以上となるまで、前記イオン交換塔に前記二酸化炭素溶解水の供給を行うことを特徴とする請求項9又は10いずれか1項記載のアニオン交換体とカチオン交換体とからなる混合床の製造方法。
  12. イオン交換塔に充填されているアニオン交換体(B)とカチオン交換体とからなる混合床に、純水又は超純水に炭酸ガスを溶解させて得られる二酸化炭素溶解水を接触させることにより、該アニオン交換体(B)を、重炭酸イオン形又は重炭酸イオン形と炭酸イオン形を有するアニオン交換体(A)に変換して、該アニオン交換体(A)と該カチオン交換体とからなる混合床を得るアニオン交換体変換工程(2)と、
    該イオン交換塔に、粗過酸化水素水を供給して、該アニオン交換体(A)と該カチオン交換体とからなる混合床に該粗過酸化水素水を接触させることにより、精製過酸化水素水を得る過酸化水素水精製工程と、
    を有することを特徴とする過酸化水素水の精製方法。
  13. 前記アニオン交換体変換工程(2)において、前記イオン交換塔の入口の二酸化炭素溶解水の導電率に対する前記イオン交換塔の出口の二酸化炭素溶解水の導電率の割合((出口導電率/入口導電率)×100))が、90%以上となるまで、前記イオン交換塔に前記二酸化炭素溶解水の供給を行うことを特徴とする請求項12記載の過酸化水素水の精製方法。
  14. 重炭酸イオン形(−HCO)を有するアニオン交換体、又は重炭酸イオン形(−HCO)と炭酸イオン形(−CO)とを有するアニオン交換体であることを特徴とするアニオン交換体。
  15. OH形アニオン交換体に、純水又は超純水に炭酸ガスを溶解させて得られる二酸化炭素溶解水を接触させて得られるアニオン交換体。
  16. 前記アニオン交換体中、重炭酸イオン形及び炭酸イオン形の交換容量の合計に対する重炭酸イオン形の交換容量の割合が70当量%以上であることを特徴とする請求項14又は15いずれか1項記載のアニオン交換体。
  17. アニオン交換体(B)に、純水又は超純水に炭酸ガスを溶解させて得られる二酸化炭素溶解水を接触させることにより、該アニオン交換体(B)を、重炭酸イオン形又は重炭酸イオン形と炭酸イオン形を有するアニオン交換体(A)に変換して、該アニオン交換体(A)を得るアニオン交換体変換工程(3)を有することを特徴とするアニオン交換体の製造方法。
  18. 前記アニオン交換体(A)が、重炭酸イオン形及び炭酸イオン形の交換容量の合計に対する重炭酸イオン形の交換容量の割合が70当量%以上であることを特徴とする請求項17記載のアニオン交換体の製造方法。
  19. 前記アニオン交換体変換工程(3)において、前記アニオン交換体(B)に接触させる前の二酸化炭素溶解水の導電率に対する前記アニオン交換体(B)に接触させた後の二酸化炭素溶解水の導電率の割合((接触後の導電率/接触前の導電率)×100))が、90%以上となるまで、前記アニオン交換体(B)に前記二酸化炭素溶解水を接触させることを特徴とする請求項17又は18いずれか1項記載のアニオン交換体の製造方法。
  20. イオン交換塔に充填されているアニオン交換体(B)に、純水又は超純水に炭酸ガスを溶解させて得られる二酸化炭素溶解水を接触させることにより、該アニオン交換体(B)を、重炭酸イオン形又は重炭酸イオン形と炭酸イオン形を有するアニオン交換体(A)に変換するアニオン交換体変換工程(4)と、
    該イオン交換塔に、粗過酸化水素水を供給して、該アニオン交換体(A)に該粗過酸化水素水を接触させることにより、精製過酸化水素水を得る過酸化水素水精製工程と、
    を有することを特徴とする過酸化水素水の精製方法。
  21. 前記アニオン交換体変換工程(4)と前記過酸化水素水精製工程とを、交互に繰り返すことを特徴とする請求項20記載の過酸化水素水の精製方法。
  22. 前記アニオン交換体変換工程(4)において、前記イオン交換塔の入口の二酸化炭素溶解水の導電率に対する前記イオン交換塔の出口の二酸化炭素溶解水の導電率の割合((出口導電率/入口導電率)×100))が、90%以上となるまで、前記イオン交換塔に前記二酸化炭素溶解水の供給を行うことを特徴とする請求項20又は21いずれか1項記載の過酸化水素水の精製方法。
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