JPWO2014148598A1 - 色素増感太陽電池素子 - Google Patents

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Abstract

本発明は、電極基板上に、色素が担持された金属酸化物半導体多孔質膜を有する半導体電極と、この半導体電極に対向して配置された対向電極とを備え、前記半導体電極と前記対向電極との間に電解質層を有する色素増感太陽電池素子であって、前記対向電極が、ナノカーボン材料を含有するものであり、前記電解質層が、特定のオニウムイオン構造の繰り返し単位を有するポリエーテル化合物を含有するものであることを特徴とする色素増感太陽電池素子である。本発明によれば、従来の色素増感太陽電池素子よりも高い光電変換効率が得られる色素増感太陽電池素子が提供される。

Description

本発明は、色素増感太陽電池素子に関し、さらに詳細には、高い光電変換効率が得られる色素増感太陽電池素子に関する。
近年、可視光域を吸収する増感色素を半導体層に担持させた色素増感太陽電池素子について検討が行われている。この色素増感太陽電池素子は、使用する材料が安価であることや比較的シンプルなプロセスで製造できること等の利点を有しており、その実用化が期待されている。
色素増感太陽電池素子は、ITO等の透明導電膜を形成したガラス等の透明基体上に、酸化チタン等の金属酸化物半導体の多孔質膜層を形成し、その金属半導体粒子表面にルテニウム系色素等の増感色素を吸着させたアノード電極(半導体電極)と、ITO等の透明導電膜を形成したガラス等の基体上に触媒層を形成したカソード電極(対向電極)とが、多孔質膜層と触媒層が対向するように配置され、その間にヨウ化リチウム等のイオン性電解質及びヨウ素等の電荷キャリアを溶解した電解質層成分を封止した構造となっている。
半導体電極に可視光を照射すると、増感色素分子が光を吸収して励起され、増感色素分子から金属酸化物半導体を経由して半導体電極に電子が流入し、外部に電流が取り出される。
一方、電子を失った増感色素分子の酸化体は、電解質溶液中の電解質のヨウ化物イオン等より電子を受け取り還元されて再生する。酸化された電解質イオンは、対向電極表面の触媒層で還元されてサイクルが一周する。対向電極の触媒層材料としては、電子をヨウ化物イオンに授受するために適切なバンドギャップをもつ材料が好ましく、通常、白金が用いられる。電解質溶液中のヨウ化物塩及びヨウ素は電解質溶液中でI及びI を形成し、両電極間の電荷キャリアとして機能している。
また、電解質溶液の溶媒としては、メトキシアセトニトリルやアセトニトリル等の極性溶媒が一般的に用いられている。
近年、イオン液体を電解質として用いることで、高性能の色素増感太陽電池素子が得られている。イオン液体としては、有機カチオンとしてオニウムカチオンを有し、対アニオンとしてヨウ化物イオンや3ヨウ化物イオンを有する塩化合物であって、室温にて液体である塩化合物が用いられる。
電解質としてイオン液体を用いた場合には、光電変換効率等の基本性能は比較的良好であるが、性状が液体であるため、漏洩等のリスクを伴う。そのため、イオン液体とポリマーを電解質層成分として用い、電解質層がゲル状態となるようにして漏洩等を抑止する検討がされている(特許文献1)。
しかしながら、電解質層がゲル状態になると、イオン移動度が低下し、光電変換効率が低下し易いという問題があった。
また、カチオン性ポリマーを電解質として用いることも検討がされている(特許文献2、特許文献3)。しかしながら、光電変換効率が低いため、更なる光電変換効率の向上が望まれている。
一方、性能の経時低下を抑制する目的で、対向電極の触媒層として、カーボンナノチューブに代表される線状又は筒状の炭素材料を用いることも検討されている(特許文献4)。
特開2004−319197号公報 特開2002−246066号公報 国際公開2004/112184号パンフレット 特開2008−71605号公報
上述のように、これまでにも色素増感太陽電池素子を構成する各要素の改良検討が行われているものの、十分な光電変換効率を発揮する実用的な色素増感太陽電池素子が提供されているとは言い難い状況にある。
本発明は、かかる状況の下になされたものであって、従来の色素増感太陽電池素子よりも高い光電変換効率が得られる色素増感太陽電池素子を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、ナノカーボン材料を含有する対向電極を用い、オニウムイオン構造を有するポリエーテル化合物を電解質として用いることにより、従来の色素増感太陽電池素子よりも高い光電変換効率を発揮する色素増感太陽電池素子が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば、以下の色素増感太陽電池素子が提供される。
電極基板上に、色素が担持された金属酸化物半導体多孔質膜を有する半導体電極と、この半導体電極に対向して配置された対向電極とを備え、前記半導体電極と前記対向電極との間に電解質層を有する色素増感太陽電池素子であって、前記対向電極が、ナノカーボン材料を含有するものであり、前記電解質層が、下記式(1)で表される繰り返し単位を有するポリエーテル化合物を含有するものであることを特徴とする色素増感太陽電池素子。
Figure 2014148598
(式中、Aはカチオン性の窒素原子を含有するオニウムイオン構造を有する基であり、Xはその対アニオンである。)
本発明によれば、従来の色素増感太陽電池素子よりも高い光電変換効率を発揮する色素増感太陽電池素子が提供される。
本発明の色素増感太陽電池素子は、電極基板上に、色素が担持された金属酸化物半導体多孔質膜を有する半導体電極と、この半導体電極に対向して配置された対向電極とを備え、前記半導体電極と前記対向電極との間に電解質層を有する色素増感太陽電池素子であって、前記対向電極がナノカーボン材料を含有するものであり、前記電解質層が、下記式(1)で表される繰り返し単位を有するポリエーテル化合物を含有するものであることを特徴とする。
Figure 2014148598
(式中、Aはカチオン性の窒素原子を含有するオニウムイオン構造を有する基であり、Xはその対アニオンである。)
以下、要素毎に詳細に説明する。
1)半導体電極(アノード電極)
本発明で用いる半導体電極は、電極基板上に、色素が担持された金属酸化物半導体多孔質膜を有するものである。電極基板は、色素が担持された金属酸化物半導体多孔質膜にまで、外部の光を透過させる必要があることから、通常、透明基体表面に透明導電膜が形成されたものが使用される。
(透明基体)
透明基体としては、可視光(波長が380nm〜810nm程度の光、以下にて同じ。)を透過するものが使用でき、全光線透過率が80%以上のものが好ましい。透明基体としては、透明なガラス、透明なプラスチック板や透明なプラスチックフィルム等が好適に利用できる。また、ガラス表面を加工して入射光を散乱させるようにしたもの、半透明なすりガラス状のもの、半透明なプラスチック板やプラスチックフィルム等も使用できる。
透明基体の厚みは、太陽電池の形状や使用条件により異なるため、特に限定はされない。透明基体の厚みは、例えば、ガラスやプラスチック等を用いた場合では、使用時の耐久性を考慮して1mm〜1cm程度であり、フレキシブル性が必要とされ、プラスチックフィルム等を使用した場合は、25μm〜1mm程度である。また、透明基体は、必要に応じて、耐候性を高めるハードコート等の表面処理がされたものであってもよい。
(透明導電膜)
透明導電膜としては、可視光を透過して、かつ導電性を有するものが使用できる。このような透明導電膜の形成材料としては、金属酸化物や透明な導電性ポリマー材料が挙げられる。好ましい具体例としては、フッ素をドープした酸化スズ(以下、「FTO」と略記する場合がある。)、アンチモンをドープした酸化スズ(以下、「ATO」と略記する場合がある。)、酸化インジウム、ITO、酸化亜鉛、PEDOT/PSS(Poly(3,4−ethylenedioxythiophene):poly(4−styrenesulfonic acid)等が挙げられる。
また、導電性材料を分散担持させる等の処理方法や、メッシュ形状のような細線状の導電性材料を透明基体上に形成することによって、電極基板全体として透光率を高めることができていれば、不透明な導電性材料を用いることもできる。このような導電性材料としては炭素材料や金属が挙げられる。炭素材料としては、特に限定はされないが、例えばナノカーボン材料等が挙げられる。また、金属としては、特に限定はされないが、例えば白金、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、コバルト、クロム、鉄、モリブデン、チタン、タンタル、ニオブ又はそれらの合金等が挙げられる。
金属酸化物を用いて透明基体表面に透明導電膜を形成する方法としては、ゾルゲル法、スパッタ法やCVD等の気相法、分散ペーストのコーティング等が挙げられる。また、不透明な導電性材料を用いる場合には、粉体等を透明なバインダー等とともに固着させる方法が採用できる。
透明導電膜の厚みは、用いる材料により導電性が異なるため、特には限定されない。例えば、一般的に使用されるFTO被膜付ガラスの場合、FTO被膜の膜厚は、0.01〜5μm、好ましくは0.1〜1μmである。また、必要とされる導電性は、使用する電極基板の面積により異なり、大面積電極基板ほど低抵抗であることが求められる。一般的には、100Ω/□以下、好ましくは10Ω/□以下、より好ましくは5Ω/□以下である。100Ω/□を超えると、太陽電池の内部抵抗が上昇するため好ましくない。
(色素が担持された金属酸化物半導体多孔質膜)
金属酸化物半導体多孔質膜を構成する金属酸化物半導体としては、従来公知のものが使用できる。例えば、Ti、Nb、Zn、Sn、Zr、Y、La、Ta等の遷移金属の酸化物;SrTiO、CaTiO等のペロブスカイト系酸化物;等が挙げられる。なかでも、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ等が好ましく、二酸化チタンがより好ましく、アナターゼ型二酸化チタンが特に好ましい。
金属酸化物半導体多孔質膜は、公知の方法により、電極基板の透明導電膜上に形成することができる。金属酸化物半導体多孔質膜の形成方法としては、ゾルゲル法や、金属酸化物半導体粒子の分散体ペーストの塗布、また、電析や電着させる方法等が挙げられる。
金属酸化物半導体多孔質膜は、電気抵抗値を下げるため、金属酸化物の粒界は少ないことが好ましく、塗布した金属酸化物半導体粒子を焼結させることが望ましい。焼結条件は、用いる金属酸化物半導体の種類や形成方法、電極基板の耐熱温度により異なるため、適宜選択することができる。
また、金属酸化物半導体粒子を用いる場合、色素の吸光量を増加させるため、使用する金属酸化物半導体粒子の粒径に幅を持たせて光を散乱しやすくすることが望ましい。
金属酸化物半導体多孔質膜の比表面積は、色素をより多く担持できるよう、10〜200m/gであることが好ましい。
金属酸化物半導体多孔質膜の厚みは、用いる金属酸化物半導体の種類やその性状によって最適値が異なるため、特には限定されないが、好ましくは0.1〜50μm、より好ましくは5〜30μmである。
(色素)
用いる色素(「増感色素」と表記する場合がある。)としては、太陽光により励起されて、金属酸化物半導体層に電子を注入できるものであればよく、色素増感太陽電池に通常用いられているものを用いることができる。光電変換効率を向上させるためには、その吸収スペクトルが太陽光スペクトルと広波長域で重なっているものが好ましい。また、耐久性の観点からは、耐光性が高い色素が好ましい。
用いる色素としては、特に限定はされないが、ルテニウム錯体が好ましく、ルテニウムポリピリジン系錯体がより好ましく、式:Ru(L)(L’)(X)で表されるルテニウム錯体がさらに好ましい。ここで、Lは、4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン、その4級アンモニウム塩、又はカルボキシル基が導入されたポリピリジン系配位子であり、L’は、Lと同一、又は4,4’−置換2,2’−ビピリジンである。L’の4,4’位の置換基としては、長鎖アルキル基(炭素数6〜20のアルキル基)、アルキル置換ビニルチエニル基、アルキル又はアルコキシ置換スチリル基、チエニル基誘導体等が挙げられる。また、Xは、SCN、Cl、又はCNである。より具体的には、ビス(4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ジイソチオシアネートルテニウム錯体等が挙げられる。
また、色素として、鉄錯体色素、銅錯体色素等のルテニウム以外の金属錯体色素;シアン系色素、ポルフィリン系色素、ポリエン系色素、クマリン系色素、シアニン系色素、スクアリリウム系色素、スチリル系色素、エオシン系色素等の有機色素;等のその他の色素を用いることもできる。
これらの色素は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
また、これらの色素は、金属酸化物半導体への電子注入効率を向上させるため、該金属酸化物半導体との結合基を有していることが好ましい。該結合基としては、特に限定はされないが、カルボキシル基、スルホニル基等が挙げられる。
色素を前記金属酸化物半導体に担持させる方法は、特に限定されない。例えば、室温で、大気圧下、色素を溶解させた溶液中に、透明導電膜上に形成させた金属酸化物半導体多孔質膜を浸漬する方法が挙げられる。浸漬する時間は、金属酸化物半導体や、色素及び溶媒の種類、色素濃度等に応じて、金属酸化物半導体の表面に均一に色素の単分子膜が形成されるよう、適宜調整される。なお、担持を効果的に行なう目的で、加温下で、浸漬を行なうこともできる。
色素分子は、金属酸化物半導体の表面で会合していないことが好ましい。色素を単独で担持させると会合が起きる場合には、必要に応じて、共吸着剤を用いることができる。用いる共吸着剤としては、用いる色素により最適な種類や濃度が変わるため、特に限定されないが、例えば、デオキシコール酸等の有機カルボン酸が挙げられる。共吸着剤を用いる場合、特には限定されないが、色素を溶解させる溶媒に、色素とともに共吸着剤を溶解させてから、金属酸化物半導体多孔質膜を浸漬させることで、色素の担持と同時に共吸着剤を吸着させることができる。
色素を溶解するために用いる溶媒としては、エタノール、t−ブチルアルコール等のアルコール類;アセトニトリル等のニトリル類;アセトン等のケトン類;ジエチルエーテル等のエーテル類;クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類;n−ヘキサン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン等の芳香族炭化水素類;酢酸エチル等のエステル類;等が挙げられる。溶液中の色素濃度は、使用する色素及び溶媒の種類により適宜調整することが望ましく、5×10−5mol/L以上の濃度が好ましい。
2.対向電極(カソード電極)
本発明で用いる対向電極は、ナノカーボン材料を含有するものである。通常、対向電極は、支持基体、導電層及び触媒層が、この順に積層された構造を有する。
(支持基体)
支持基体としては、特に限定されないが、例えば、透明性を求める場合にはガラスや透明なプラスチック樹脂板を用いることができる。また、軽量性を求める場合にはプラスチック樹脂板を、フレキシブル性を求める場合にはプラスチック樹脂フィルム等を用いることができる。
支持基体の厚みは、対向電極の形状や使用条件により異なるため、特に限定はされない。例えば、ガラスやプラスチック等を用いた場合では、実使用時の耐久性を考慮して、1mm〜1cm程度であり、フレキシブル性が必要とされ、プラスチックフィルム等を使用した場合は、25μm〜1mm程度である。また、必要に応じて、耐候性を高めるハードコート等の処理や、フィルム添付処理を施してもよい。
(導電層)
導電層を構成する材料は、太陽電池の内部抵抗を小さくするために、電気伝導度が高いものを用いることが好ましい。
このような材料としては、表面に酸化皮膜が形成された、クロムやニッケル、チタン、タンタル、ニオブ、それらの合金であるステンレス、アルミニウム等の金属又は合金;ITO、FTO、ATO等の導電性金属酸化物;が挙げられる。
金属酸化物を用いて、支持基体表面に導電膜を形成する方法としては、ゾルゲル法、スパッタ法やCVD等の気相法、分散ペーストのコーティング等がある。また、不透明な導電性材料を使用する場合は、粉体等を透明なバインダー等とともに固着させる方法が挙げられる。
導電層の厚みは、用いる材料の種類や、電極として用いる際の形状、使用条件に応じて適宜選択される。支持基体を用いることで、実用上の強度が保持される場合には、電極として使用する上で必要な電導度が確保できていれば、100nm程度の厚みでも構わない。
また、導電層の材料として金属や合金を用いて、例えば、1〜10mm程度の厚みにすることで、その導電層のみでも実用上の強度が保持される場合は、支持基体を用いることなく電極を構成することもできる。
このときに必要とされる導電性は、使用する電極の面積により異なり、大面積電極ほど低抵抗であることが求められる。必要とされる導電性は、通常、100Ω/□以下、好ましくは5Ω/□以下、より好ましくは1Ω/□以下である。100Ω/□を超えると、太陽電池の内部抵抗が増大するため、好ましくない。
(触媒層)
触媒層は、従来、白金で構成されていたが、本発明においては、ナノカーボン材料で構成する。
(ナノカーボン材料)
本発明で用いるナノカーボン材料は、酸化還元対の酸化体を還元する触媒能を有する炭素系材料であれば特に限定されないが、例えば、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、ナノグラフェン等を挙げることができるが、これらのなかでも、光電変換効率に優れる点で、カーボンナノチューブ(以下、「CNT」と略記することがある)が好適に用いられる。
カーボンナノチューブは、グラフェンシートが筒形に巻かれた構造を有するナノカーボン材料であり、その周壁の構成数から単層ナノチューブおよび多層ナノチューブに大別され、グラフェンシートの構造の違いによる分類として、カイラル型、ジグザグ型、アームチェア型などがある。
本発明では、いずれのカーボンナノチューブもナノカーボン材料として使用可能であるが、なかでも、スーパーグロース法で得られる単層カーボンナノチューブ(国際公開2006/011655号に開示される方法に従って得られる単層カーボンナノチューブ;平均直径(Av)および直径の標準偏差(σ)が、0.60>3σ/Av>0.20を満たすことを特徴とする。)が特に好適に用いられる。
触媒層は、通常、前記導電層の上に形成される。ナノカーボン材料を含有する触媒層を、導電層の上に形成する方法としては、従来公知の方法を採用できるが、例えば、ナノカーボン材料を水やエタノール等の極性溶媒へ分散した分散液を、導電層表面に塗布した後、乾燥する方法が採用できる。
ナノカーボン材料の分散液には、フッ素系バインダー、カルボキシメチルセルロース系バインダー、ポリエーテル系バインダーを混合することもできる。
但し、ナノカーボン材料から構成される触媒層は、触媒能を有すると共に、導電性も有するため、別途、導電層を設けることなく、支持基体表面に設けることも可能である。
3.電解質層
本発明の色素増感太陽電池素子は、前記半導体電極と前記対向電極との間に電解質層を有し、当該電解質層が特定構造の繰り返し単位を含むポリエーテル化合物を含有するものである。
ここで、前記半導体電極と前記対向電極は、半導体電極における色素担持された金属酸化物半導体多孔質膜と、対向電極における触媒層とが対向するように配置されている。
(特定のポリエーテル化合物)
本発明において電解質層として用いられる特定のポリエーテル化合物は、下記式(1)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(1)」ということがある。)を含む化合物である。
Figure 2014148598
上記式(I)中、Aはカチオン性の窒素原子を含有するオニウムイオン構造を有する基であり、Xはその対アニオンである。
式(1)中、カチオン性の窒素原子を含有するオニウムイオン構造としては、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、n−ブチルジメチルアンモニウム、n−オクチルジメチルアンモニウム、n−ステアリルジメチルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、トリビニルアンモニウム、トリエタノールアンモニウム、1−ピロリジニウム、イミダゾリウム、N,N’−ジメチルエタノールアンモニウム、トリ(2−エトキシエチル)アンモニウム、N,N’−ジメチルアニリニウム等の、式:N(R、R、Rは互いに独立して、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基を表す。)で示される4級アンモニウムイオン構造;1−メチルイミダソリウム、1−エチルイミダソリウム、ピリジニウム、2,6−ジメチルピリジニウム、キノリニウム、チアゾリウム等の、含窒素複素環を有するオニウムイオン構造;が挙げられる。なかでも、光電変換効率に優れる点で、含窒素複素環を有するオニウムイオン構造が好ましく、イミダソリウム環構造を有するオニウムイオン構造がより好ましい。
前記式(1)中、Xは、前記式(1)中のオニウムイオン(カチオン)の対アニオンである。この対アニオンとしては、特に限定されないが、その具体例としては、Cl、Br、I、I 等のハロゲン化物イオンや、OH、SCN、BF 、PF 、ClO 、(FSO、(CFSO、(CFCFSO、CHSO 、CFSO 、CFCOO、PhCOO等が挙げられる。なかでも、光電変換効率に優れる点で、ハロゲン化物イオンが好ましく、ヨウ化物イオン(I)がより好ましい。
本発明で用いるポリエーテル化合物は繰り返し単位(1)を有するものであれば、特に限定されず、繰り返し単位(1)以外の繰り返し単位を有していてもよい。ポリエーテル化合物中の繰り返し単位(1)の含有割合は、全繰り返し単位に対して、好ましくは1モル%以上、より好ましくは10モル%以上である。この割合が低すぎると、光電変換効率が低下する傾向にある。
繰り返し単位(1)以外の繰り返し単位としては、ノニオン性(主鎖及び側鎖に、カチオン性基もアニオン性基も有さない。)のオキシラン単量体単位が挙げられる。ノニオン性のオキシラン単量体単位としては、架橋性基を有するオキシラン単量体単位と架橋性基を有さないオキシラン単量体単位に分けることができる。
架橋性基は、架橋剤や熱等の作用によって分子間の架橋構造を形成できる基であれば特に限定されず、例えば、ビニル基やアリル基等のエチレン性炭素−炭素不飽和結合含有基を挙げることができる。
架橋性基を有するノニオン性のオキシラン単量体単位としては、例えば、グリシジルメタクリレート単位、グリシジルアクリレート単位、ビニルグリシジルエーテル単位、アリルグリシジルエーテル単位等のエチレン性不飽和グリシジルエーテル単位;ブタジエンモノエポキシド単位、クロロプレンモノエポキシド単位等の共役ジエンモノエポキシド単位;1,2−エポキシ−5−ヘキセン単位等のアルケニルエポキシド単位等が挙げられる。これらの中でもポリエーテル化合物の合成を容易にする観点からは、エチレン性不飽和グリシジルエーテル単位が好ましく、中でもグリシジルメタクリレート単位、グリシジルアクリレート単位及びアリルグリシジルエーテル単位が特に好ましい。
架橋性基を有するノニオン性のオキシラン単量体単位を含有することで、ポリエーテル化合物が架橋構造を形成して、電解質層からの溶媒の揮散や破損による漏洩等を防止する効果を奏する。
架橋性基を有するノニオン性のオキシラン単量体単位の含有割合は、ポリエーテル化合物中の全繰り返し単位に対して、好ましくは1〜30モル%である。
架橋性基を有さないノニオン性のオキシラン単量体単位としては、エチレンオキシド単位、プロピレンオキシド単位、1,2−ブチレンオキシド単位等のアルキレンオキシド単位、シクロヘキセンオキシド単位等の脂肪族環構造を含有するオキシラン単量体単位、メトキシエトキシエチルグリシジルエーテル単位等の、エーテル鎖を含有するグリシジルエーテル単量体単位等を挙げることができる。架橋性基を有さないノニオン性のオキシラン単量体単位の含有量は、ポリエーテル化合物中の全繰り返し単位に対して、好ましくは10〜89モル%である。
ポリエーテル化合物がノニオン性のオキシラン単量体単位を含有する場合、残部が繰り返し単位(1)で構成されることになる。また、この場合、各繰り返し単位の結合様式は、ブロック状であっても、ランダム状であってもよいが、ランダム状であるのが好ましい。
本発明で用いるポリエーテル化合物の数平均分子量は、特に限定されないが、1,000〜1,000,000であることが好ましく、1,000〜200,000であることがより好ましい。また、ポリエーテル化合物の数平均分子量に対する重量平均分子量の比として求められる分子量分布も、特に限定されるものではないが、1.0〜4.0であることが好ましく、1.0〜3.0であることがより好ましい。
ポリエーテル化合物の、数平均分子量、重量平均分子量、及び分子量分布は、ポリエーテル化合物を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定し、ポリスチレン換算により求めることができる。
本発明で用いるポリエーテル化合物の合成方法は、目的のポリエーテル化合物を得られるものであれば特に限定されない。より容易に目的のポリエーテル化合物を得られる観点から、まず、ハロゲン基を含有するポリエーテル化合物を合成し、次いで、イミダゾール化合物等のオニウム化合物を反応させることにより、ハロゲン基(ハロゲン原子)をオニウムハライド基に変換して、さらに、オニウムハライド基のハロゲン化物イオンをアニオン交換反応により任意のアニオンに変換する方法が好適である。この方法は、特開2012−133786号公報等に開示されている。アニオン交換反応は、常法に従って行えばよく、例えば、オニウムクロライド基を有するポリエーテル化合物に、ヨウ化物塩を接触させることにより、オニウムクロライド基をオニウムアイオダイド基に変換することができる。
本発明で用いるポリエーテル化合物が架橋性基を有する場合、該ポリエーテル化合物に架橋剤を配合することができる。架橋剤としては、架橋性基の特性に合致するよう選択できる。例えば、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄等の硫黄;一塩化硫黄、二塩化硫黄、モルホリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、ジベンゾチアジルジスルフィド、N,N’−ジチオ−ビス(ヘキサヒドロ−2H−アゼノピン−2)、含リンポリスルフィド、高分子多硫化物等の含硫黄化合物;ジクミルペルオキシド、ジターシャリブチルペルオキシド等の有機過酸化物;p−キノンジオキシム、p,p’−ジベンゾイルキノンジオキシム等のキノンジオキシム;2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン等のアルキルフェノン型光重合開始剤等の各種紫外線架橋剤等が挙げられる。これらの架橋剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。架橋剤の配合割合は、適宜選択すればよい。
(電解質層)
本発明における電解質層は、前記特定のポリエーテル化合物のみで構成されていてもよいが、イオン易動性の観点と色素増感太陽電池素子の作製しやすさの観点から、溶媒を含むことが好ましい。
溶媒としては、本発明で用いるポリエーテル化合物を溶解でき、イオン伝導性を妨げない溶媒であれば特に限定されず、公知の電解質溶媒を用いることができる。
用いる溶媒としては、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、メトキシプロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;炭酸エチレン、炭酸プロピレン等の環状カーボネート類;炭酸ジメチル、炭酸ジエチル等の鎖状カーボネート類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル等のエーテル類;エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル等のアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコール類;ジメチルスルホキシド、スルホラン、メチルスルホラン等の含硫黄化合物類;N,N’−ジメチルイミダゾリジノン;N−メチルオキサゾリジノン;等が挙げられる。 これらは一種単独で、あるいは二種以上を混合して用いることができる。
本発明における電解質層中のポリエーテル化合物濃度は、太陽電池として用いる際の入射光量等によって発生する電流量が異なるため、最適な濃度は必ずしも一定ではなく、イオン濃度により適切な濃度を規定することができる。ここでイオン濃度とは、電解質層中における、一般式(1)で示される繰り返し単位のモル濃度である。イオン濃度は、好ましくは0.05mol/L以上、より好ましくは0.1〜4.0mol/L、さらに好ましくは0.3〜3.0mol/Lである。イオン濃度が低すぎると光電変換効率が低下する傾向にある。
本発明における電解質層は、イオン液体を含有してもよい。イオン液体としては、例えば、カチオンが、1−メチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウム、1−メチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ヘキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−オクチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム等のイミダゾリウム系カチオン;1−メチル−ピリジニウム、1−ブチル−ピリジニウム、1−ヘキシル−ピリジニウム等のピリジニウム系カチオン;ピラゾリウム系カチオン;脂肪族アミン系カチオン;のいずれかであり、アニオンが、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロボレート、トリフルオロメタンスルホネート等のフッ素化スルホン酸;トリフルオロ酢酸等のフッ素化カルボン酸;チオシアネート;ジシアナミド;テトラシアノボレート;ビスフルオロスルホニルイミドやビストリフルオロメタンスルホニルイミド等のスルホニルイミド;であるもの等を挙げることができる。これらは一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明における電解質層は、光電変換効率を向上する観点から、酸化還元対を形成できる添加剤や、ポリエーテル化合物中の対アニオンとレドックス対を形成できる添加剤を含有してもよい。
酸化還元対としては、色素増感太陽電池素子において一般的に使用されているものを、本発明の目的を損なわない範囲で用いることができる。例えば、ヨウ素/ヨウ化物イオン、臭素/臭化物イオン等が挙げられる。より具体的には、ヨウ素とLiI、NaI、KI等の金属ヨウ化物、ヨウ素と4級イミダゾリウム化合物のヨウ化物塩、ヨウ素と4級ピリジニウム化合物のヨウ化物塩、ヨウ素とテトラアルキルアンモニウム化合物のヨウ化物塩等のヨウ素/ヨウ化物イオン対;臭素とLiBr、NaBr、KBr等の金属臭化物、臭素と4級イミダゾリウム化合物の臭化物塩、臭素と4級ピリジニウム化合物の臭化物塩、臭素とテトラアルキルアンモニウム化合物の臭化物塩等の臭素/臭化物イオン;フェロシアン酸塩−フェリシアン酸塩、フェロセン−フェリシニウム塩等の金属錯体;ジスルフィド化合物とメルカプト化合物;ヒドロキノン;キノン;等が挙げられる。これらは一種単独で、あるいは二種以上を併用することができる。これらのうち、ヨウ素/ヨウ化物イオン、臭素/臭素化物イオンが好ましい。
ポリエーテル化合物の対アニオンとレドックス対を形成できる添加剤としては、ヨウ素、臭素等が挙げられる。
本発明における電解質層は、短絡電流を向上させ光電変換効率を向上する観点から、無機塩及び/又は有機塩を含有してもよい。
無機塩及び有機塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等を挙げることができ、具体的には、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化マグネシウム、ヨウ化カルシウム、トリフルオロ酢酸リチウム、トリフルオロ酢酸ナトリウム、チオシアン酸リチウム、四フッ化ホウ酸リチウム、六フッ化リン酸リチウム、過塩素酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、グアニジンチオシアネート等のグアニジン塩等が挙げられる。これらは一種単独で、あるいは二種以上を併用することができる。
無機塩、有機塩の添加量は、特に限定されず、本発明の目的を損なわない限り、適宜選択される。
本発明における電解質層は、開放電圧を向上させる観点から、ピリジン類、ベンズイミダゾール類を含有してもよい。
これら化合物の具体例としては、メチルピリジン、エチルピリジン、プロピルピリジン、ブチルピリジン等のアルキルピリジン類;メチルイミダゾール、エチルイミダゾール、プロピルイミダゾール等のアルキルイミダゾール類;メチルベンズイミダゾール、エチルベンズイミダゾール、ブチルベンズイミダゾール、プロピルベンズイミダゾール等のアルキルベンズイミダゾール類;等が挙げられる。これらは一種単独で、あるいは二種以上を併用することができる。
これらピリジン類及びベンズイミダゾール類の添加量は、特に限定されず、本発明の目的を損なわない限り、適宜選択される。
本発明における電解質層は微粒子を含有してもよい。微粒子を含有することで、チクソトロピー性が発現し、色素増感太陽電池素子を作製した後、電解質層が固体状、ペースト状又はゲル状の性状となり、電解質層からの溶媒の揮散や破損による漏洩等を防止する効果を奏する。
微粒子としては、特には限定されず、公知の材料を使用することができる。例えば、酸化インジウム、酸化スズと酸化インジウムの混合体(以下、「ITO」と略記する。)、シリカ等の無機酸化物、ケッチェンブラック、カーボンブラック、ナノカーボン材料等のカーボン材料、カオリナイトやモンモリロナイト等の層状無機化合物等が挙げられる。
以上のように構成された本発明の色素増感太陽電池素子は、直列及び/又は並列に接続され、太陽電池モジュールに構成される。
色素増感太陽電池素子の数は、用途に応じて、適宜決定される。通常、色素増感太陽電池素子間には非導電性の隔壁が設けられ、各素子の半導体電極や対向電極は、導電性部材で接続され、太陽電池モジュールに構成される。
なお、色素増感太陽電池素子の構造は、特に限定されない。通常用いられる構造としてはZ型、W型、対向型、モノシリック型等がある。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって、何ら限定するものではない。
[電解質(ポリエーテル化合物1)の合成]
(製造例A)
(プロピレンオキシドとエピクロロヒドリンのリビングアニオン共重合)
内部をアルゴンで置換した攪拌機付きガラス反応器に、テトラノルマルブチルアンモニウムブロミド(以下、「TBAB」と略記する。)3.22gと、トルエン50mlを添加し、これを0℃に冷却した。そこへ、トリエチルアルミニウム1.370g(TBABに対して1.2当量)をトルエン10mlに溶解したものを添加し、全容を0℃で15分間撹拌して触媒組成物を調製した。得られた触媒組成物に、プロピレンオキシド8.0g及びエピクロロヒドリン2.0gを添加し、0℃において重合反応を行った。重合反応開始後、徐々に溶液の粘度が上昇した。12時間反応させた後、重合反応液に少量のイソプロピルアルコールを注いで反応を停止させた。得られた反応混合物を0.1Nの塩酸水溶液で洗浄することにより、触媒残渣の脱灰処理を行い、さらにイオン交換水で洗浄した後に、有機層を50℃で12時間減圧乾燥して、無色透明のオイル状物質を9.9g得た。得られたオイル状物質のGPCによる数平均分子量(Mn)は1,500、分子量分布は1.28(ポリスチレン換算)であった。また、このもののH−NMR測定を行ったところ、このオイル状物質は、プロピレンオキシド単位86.4モル%及びエピクロロヒドリン単位13.6モル%を含むものであることが確認された。以上より、得られたオイル状物質は、重合開始末端にブロモメチル基を持ち、重合停止末端に水酸基を持つ、プロピレンオキシド単位及びエピクロロヒドリン単位により構成されたオリゴマー(平均でプロピレンオキシド単位21個とエピクロロヒドリン単位3個とからなる24量体)であると同定された。
(製造例B)
(共重合体中のエピクロロヒドリン単位の1−メチルイミダゾールによる4級化)
内部をアルゴンで置換した攪拌機付きガラス反応器に、製造例Aで得たオリゴマー9.0gと、1−メチルイミダゾール8.0gとを添加し、100℃で48時間反応させた。反応終了後、反応液を室温に冷却して反応を停止させた。得られた反応物を50℃で120時間減圧乾燥することにより、黄褐色の粘性液状物質を10.9g得た。この粘性液状物質について、H−NMR測定及び元素分析を行ったところ、出発原料のオリゴマー中の全てのエピクロロヒドリン単位におけるクロロ基が、1−メチルイミダゾリウムクロリド基に、全ての重合開始末端のブロモメチル基のブロモ基が、1−メチルイミダゾリウムブロミド基に、それぞれ置換された、ポリエーテル化合物であると同定された。
(製造例C)
(1−メチルイミダゾリウムクロリド基を有するポリエーテル化合物のヨウ化カリウムによるアニオン交換)
攪拌機付きガラス反応器に、製造例Bで得たポリエーテル化合物5.6g、ヨウ化カリウム4.0g、メタノール10ml、及び精製水10mlを添加し、全容を室温(25℃)で30分間撹拌した。反応終了後、反応液を50℃で1時間減圧乾燥し、固液混合物を得た。得られた固液混合物をエタノールに溶解させて濾過を行い、不溶物である無機塩を除去した。得られた濾液を50℃で12時間減圧乾燥することにより、黄褐色の粘性液状物質を6.3g得た。得られた粘性液状物質について、H−NMR測定及び元素分析を行ったところ、出発原料であるポリエーテル化合物の繰り返し単位中の1−メチルイミダゾリウムクロリド基の塩化物イオンと重合開始末端の1−メチルイミダゾリウムブロミド基の臭化物イオンの全てがヨウ化物イオンに交換された、対アニオンとしてヨウ化物イオンを有するイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物であると同定された。
この化合物を、ポリエーテル化合物1とする。
(実施例1)
(電解質溶液の調製)
ポリエーテル化合物1を0.52g秤量し、それを1mLのγ―ブチロラクトンに溶解させて、ポリエーテル化合物1の濃度が0.30mol/Lである、電解質溶液を調製した。
(酸化チタン半導体多孔質膜の形成)
透明導電膜付きの透明基体として、ITO膜付きポリエチレンナフタレートフィルム(ITO−PEN、シート抵抗15Ω/□、基板厚み=200μm)を用い、その表面に低温製膜酸化チタンペーストを塗布し、塗膜を150℃で焼成して、低温製膜酸化チタン膜(平均膜厚 5.5μm)を形成することで、酸化チタン半導体多孔質膜を作成した。
(色素の担持)
色素として、ビス(4−カルボキシ−4’−テトラブチルアンモニウムカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ジイソチオシアネートルテニウム錯体(立山化成社製、N719dye)を使用した。40℃に加熱した前記酸化チタン半導体多孔質膜付き透明基体を、遮光下で、色素濃度0.3mmol/Lの、アセトニトリル・エタノール・t−ブチルアルコール(2:1:1の体積比)混合溶液中でゆっくりと振盪させながら、90分間浸漬させた。その後、脱水アセトニトリルにて余分な色素を洗浄除去した後、風乾して、太陽電池のアノード電極として調製した。
(対向電極)
水5g、エタノール1g、及びスーパーグロース法カーボンナノチューブ(スーパーグロース法で得られる単層カーボンナノチューブ、すなわち、国際公開第2006/011655号パンフレットに開示される方法に従って得られる単層カーボンナノチューブであって、平均直径(Av)および直径の標準偏差(σ)が、0.60>3σ/Av>0.20を満たす。以下、「SGCNT」と略す。)0.0025gをガラス製の容器に入れ、超音波により2時間の分散処理を行い、カーボンナノチューブの水性分散液を得た。次に、FTO−ガラス(シート抵抗10Ω/□)のFTO膜表面に、上記水性分散液を22.9μmの厚さになるように塗布した後、気温22℃、湿度60%の雰囲気で2時間乾燥し、カーボンナノチューブからなる触媒層を形成したカソード電極(対向電極)を調製した。
(色素増感太陽電池素子の組み立て)
上記で作成したアノード電極を、色素を担持させた酸化チタン半導体多孔質膜側を上にして水平に設置し、その上に、スペーサーとして膜厚25μmの、ポリテトラフルオロエチレン製樹脂シートを載置した。次いで、前記のように調製した電解質溶液を、色素を担持させた酸化チタン半導体多孔質膜上に、静かに滴下した。その後、カソード電極の触媒層側を電解質溶液に対向するよう載置して、太陽電池素子を作製した。
(試験1)
(色素増感太陽電池素子の光電変換特性の測定)
実施例及び比較例で作製した色素増感太陽電池素子に対し、25℃にて、150Wキセノンランプ光源に、AM1.5Gのフィルターを掛け、10mm角の窓をつけた光照射面積規定用マスクを装着させた上で、光量100,000ルクス(がら、ソースメータ(Keithley社製、2400型ソースメータ)を用いて光電変100mW/cm)の条件となるように、光源の照射強度を調整した擬似光を照射しながら、変換効率を評価した。
光電変換効率の値が大きいほど、色素増感太陽電池素子の性能として好ましいことを表す。結果を表1に示す。
(実施例2)
(電解質溶液の調製)
ポリエーテル化合物1を0.52g、及びヨウ素0.00762gを、1mLのγ―ブチロラクトンに溶解し、ポリエーテル化合物1の濃度が0.30mol/Lである電解質溶液を調製した。なお、この溶液のヨウ素濃度は、0.03mol/Lである。
この電解質溶液を用いて、色素増感太陽電池素子を作製する以外は、実施例1と同様に行い、光電変換効率を評価した。結果を表1に示す。
(実施例3)
(対向電極)
SGCNT0.0025gを、市販の単層カーボンナノチューブ〔HiPco(登録商標);NanoIntegris Inc.社製;平均直径Avが1.1nm、直径の標準偏差σ0.067nmであり、3σ/Av=0.18;「CNT」と略する。〕0.0025gに代えた以外は、実施例1と同様に行い、光電変換効率を評価した。結果を表1に示す。
(実施例4)
[電解質(ポリエーテル化合物2)の合成]
(製造例D)
(共重合体中のエピクロロヒドリン単位のピリジンによる4級化)
内部をアルゴンで置換した攪拌機付きガラス反応器に、製造例Aで得たオリゴマー4.0g、及び、ピリジン8.0gを添加し、100℃に加熱し、同温度で48時間反応させた。反応終了後、反応液を室温(25℃)に冷却して反応を停止させた。得られた反応物を50℃で120時間減圧乾燥することにより、黄褐色の粘性液状物質を4.6g得た。この粘性液状物質について、H−NMR測定及び元素分析を行ったところ、出発原料のオリゴマー中の全てのエピクロロヒドリン単位におけるクロロ基が、ピリジニウムクロリド基に、全ての重合開始末端のブロモメチル基のブロモ基が、ピリジニウムブロミド基に、それぞれ置換された、ポリエーテル化合物であると同定された。
(製造例E)
(ピリジニウムクロリド基を有するポリエーテル化合物のヨウ化カリウムによるアニオン交換)
攪拌機付きガラス反応器に、製造例Dで得たポリエーテル化合物4.0g、ヨウ化カリウム3.0g、メタノール10ml、及び、精製水10mlを添加し、室温(25℃)で30分間反応させた。反応終了後、反応混合物を50℃で1時間減圧乾燥して、固液混合物を得た。このものをエタノールに溶解させて濾過を行い、不溶物である無機塩を除去した。得られた濾液を50℃で12時間減圧乾燥することにより、黄褐色の粘性液状物質を4.5g得た。得られた粘性液状物質について、H−NMR測定及び元素分析を行ったところ、出発原料であるポリエーテル化合物の繰り返し単位中のピリジニウムクロリド基の塩化物イオンと重合開始末端のピリジニウムブロミド基の臭化物イオンの全てがヨウ化物イオンに交換された、対アニオンとしてヨウ化物イオンを有するピリジニウム構造含有ポリエーテル化合物であると同定された。この化合物を、ポリエーテル化合物2とする。
(電解質溶液の調製)
ポリエーテル化合物1 0.52gを、ポリエーテル化合物2 0.52gに代えた以外は、実施例1と同様に行い、光電変換効率を評価した。結果を表1に示す。
(実施例5)
[電解質(ポリエーテル化合物3)の合成]
(製造例F)
(プロピレンオキシドとエピクロロヒドリンのリビングアニオン共重合)
内部をアルゴンで置換した攪拌機付きガラス反応器に、TBAB3.22gとトルエン50mlを添加し、これを0℃に冷却した。そこへ、トリエチルアルミニウム1.370g(TBABに対して1.2当量)をトルエン10mlに溶解したものを添加して、15分間反応させることにより触媒組成物を調製した。得られた触媒組成物に、プロピレンオキシド6.0g及びエピクロロヒドリン4.0gを添加し、0℃で重合反応を行った。重合反応開始後、徐々に溶液の粘度が上昇した。12時間反応させた後、重合反応液に少量のイソプロピルアルコールを注いで反応を停止させた。得られた重合反応液を0.1Nの塩酸水溶液で洗浄することにより、触媒残渣の脱灰処理を行い、さらにイオン交換水で洗浄した。得られた有機層を50℃で12時間減圧乾燥することにより、無色透明のオイル状物質を9.9g得た。また、得られたオイル状物質のGPCによる数平均分子量(Mn)は1,400、分子量分布は1.36(ポリスチレン換算)であった。さらに得られたオイル状物質について、H−NMR測定を行ったところ、このオイル状物質は、プロピレンオキシド単位70.5モル%及びエピクロロヒドリン単位29.5モル%を含むものであることが確認できた。以上より、得られたオイル状物質は、重合開始末端にブロモメチル基を持ち、重合停止末端に水酸基を持つ、プロピレンオキシド単位及びエピクロロヒドリン単位により構成されたオリゴマー(平均でプロピレンオキシド単位15個とエピクロロヒドリン単位6個とからなる21量体)であると同定した。
(製造例G)
(共重合体中のエピクロロヒドリン単位の1−メチルイミダゾールによる4級化)
内部をアルゴンで置換した攪拌機付きガラス反応器に、製造例Fで得たオリゴマー5.0g、及び、1−メチルイミダゾール9.0gを添加した。全容を100℃に加熱し、同温度で72時間反応させた後、反応物を室温に冷却して反応を停止させた。反応溶液を大量の酢酸エチル中に注ぎ、得られた粘性固体を50℃で120時間減圧乾燥することにより、黄色の粉末状固体を6.6g得た。この粉末状固体について、H−NMR測定及び元素分析を行ったところ、出発原料のオリゴマー中の全てのエピクロロヒドリン単位におけるクロロ基(塩素原子)が、1−メチルイミダゾリウムクロリド基に、全ての重合開始末端のブロモメチル基のブロモ基(臭素原子)が、1−メチルイミダゾリウムブロミド基に、それぞれ置換された、ポリエーテル化合物であると同定された。
(製造例H)
(1−メチルイミダゾリウムクロリド基を有するポリエーテル化合物のヨウ化カリウムによるアニオン交換)
攪拌機付きガラス反応器に、製造例Gで得られたポリエーテル化合物3.0g、ヨウ化カリウム4.3g、及び、精製水10mlを添加し、室温(25℃)で30分間反応させた。反応終了後、反応物を50℃で1時間減圧乾燥した。得られた固体をエタノールに溶解させて濾過を行い、不溶物である無機塩を除去した。得られた濾液を50℃で12時間減圧乾燥することにより、黄褐色の粉末状固体を3.3g得た。得られた粉末状固体について、H−NMR測定及び元素分析を行ったところ、出発原料であるポリエーテル化合物の繰り返し単位中の1−メチルイミダゾリウムクロリド基の塩化物イオンと重合開始末端の1−メチルイミダゾリウムブロミド基の臭化物イオンの全てがヨウ化物イオンに交換された、対アニオンとしてヨウ化物イオンを有するイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物であると同定された。この化合物をポリエーテル化合物3とする。
(電解質溶液の調製)
ポリエーテル化合物3の0.30gを0.5mLのγ―ブチロラクトンに溶解し、ポリエーテル化合物3の濃度が0.30mol/Lの電解質溶液を調製した。ポリエーテル化合物1を含有する電解質溶液に代えて、この電解質溶液を用いた以外は、実施例1と同様に行い、光電変換効率を評価した。結果を表1に示す。
(実施例6)
[電解質(ポリエーテル化合物4)の合成]
(製造例I)
(プロピレンオキシド、エピクロロヒドリン及びグリシジルメタクリレートのリビングアニオン共重合)
内部をアルゴンで置換した攪拌機付きガラス反応器に、TBAB3.03gとトルエン50mlを添加し、これを0℃に冷却した。そこへ、トリエチルアルミニウム1.290g(TBABに対して1.2当量)をトルエン10mlに溶解したものを添加して、0℃で15分間反応させることにより、触媒組成物を調製した。得られた触媒組成物に、プロピレンオキシド4.5g、グリシジルメタクリレート1.5g、及び、エピクロロヒドリン3.4gを添加し、0℃で重合反応を行った。重合反応開始後、徐々に溶液の粘度が上昇した。12時間反応させた後、重合反応液に少量のイソプロピルアルコールを注いで反応を停止させた。得られた反応混合物を、0.1Nの塩酸水溶液で洗浄することにより触媒残渣の脱灰処理を行い、さらにイオン交換水で洗浄した。得られた有機層を50℃で12時間減圧乾燥することにより、無色透明のオイル状物質を9.9g得た。また得られた物質のGPCによる数平均分子量(Mn)は1,500、分子量分布は1.29(ポリスチレン換算)であった。さらに得られたオイル状物質について、H−NMR測定を行ったところ、このオイル状物質は、プロピレンオキシド単位62.1モル%及びグリシジルメタクリレート単位8.4モル%、エピクロロヒドリン単位29.5モル%を含むものであることが確認できた。以上より、得られたオイル状物質は、重合開始末端にブロモメチル基を持ち、重合停止末端に水酸基を持つ、プロピレンオキシド単位及びグリシジルメタクリレート単位、エピクロロヒドリン単位により構成されたオリゴマー(平均でプロピレンオキシド単位13個とグリシジルメタクリレート単位2個、エピクロロヒドリン単位6個とからなる21量体)であると同定された。
(製造例J)
(共重合体中のエピクロロヒドリン単位の1−メチルイミダゾールによる4級化)
内部をアルゴンで置換した攪拌機付きガラス反応器に、製造例Iで得たオリゴマー5.0g、1−メチルイミダゾール9.0gを添加し、60℃に加熱した。60℃で120時間反応させた後、反応液を室温に冷却して反応を停止させた。反応溶液を大量の酢酸エチル中に注ぎ、得られた粘性固体を50℃で120時間減圧乾燥することにより、褐色の粉末状固体を6.5g得た。この粉末状固体について、H−NMR測定及び元素分析を行ったところ、出発原料のオリゴマー中の全てのエピクロロヒドリン単位におけるクロロ基(塩素原子)が、1−メチルイミダゾリウムクロリド基に、全ての重合開始末端のブロモメチル基のブロモ基(臭素原子)が、1−メチルイミダゾリウムブロミド基に、それぞれ置換された、ポリエーテル化合物であると同定された。
(製造例K)
(1−メチルイミダゾリウムクロリド基を有するポリエーテル化合物のヨウ化カリウムによるアニオン交換)
攪拌機付きガラス反応器に、製造例Jで得たポリエーテル化合物3.0g、ヨウ化カリウム4.5g、及び、精製水10mlを添加し、室温(25℃)で30分間反応させた。反応終了後、50℃で1時間減圧乾燥して得られた固体をエタノールに溶解させて濾過を行い、不溶物である無機塩を除去した。得られた濾液を50℃で12時間減圧乾燥することにより、褐色の粉末状固体を3.4g得た。得られた粉末状固体について、H‐NMR測定及び元素分析を行ったところ、出発原料であるポリエーテル化合物の繰り返し単位中の1−メチルイミダゾリウムクロリド基の塩化物イオンと重合開始末端の1−メチルイミダゾリウムブロミド基の臭化物イオンの全てがヨウ化物イオンに交換された、対アニオンとしてヨウ化物イオンを有するイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物であると同定された。この化合物を、ポリエーテル化合物4とする。
(電解質溶液の調製)
ポリエーテル化合物4の0.30gを0.5mLのγ―ブチロラクトンに溶解し、ポリエーテル化合物4の濃度が0.30mol/Lの電解質溶液を調製した。ポリエーテル化合物1を含有する電解質溶液に代えて、電解質溶液を用いる以外は、実施例1と同様に色素増感太陽電池素子を作製した。その後、この色素増感太陽電池素子を、80℃で5時間保持し、ポリエーテル化合物4を架橋させた。最終的に得られた色素増感太陽電池素子の光電変換効率を評価した。結果を表1に示す。
(比較例1)
(電解質溶液の調製)
電解質として、1,3−メチルプロピルイミダゾリウムヨージド(「MPImI」と表記する。)を用い、MPImIの濃度が0.30モル/Lになるようにγ―ブチロラクトンに溶解し、電解質溶液を調製した。
電解質溶液を上記のものに代える以外は、実施例1と同様に行い、光電変換効率を評価した。結果を表1に示す。
(比較例2)
(対向電極)
FTO−ガラス(シート抵抗0.16Ω/□)のFTO表面に、スパッタ法により白金(「Pt」と表記する。)の層(触媒層)を形成したものをカソード電極とした。
対向電極を上記のものに代える以外は、実施例1と同様に行い、光電変換効率を評価した。結果を表1に示す。
Figure 2014148598
電解質として、本発明で規定するポリエーテル化合物を用い、対向電極の触媒層を構成する材料をナノカーボン材料とした実施例1〜6の色素増感太陽電池素子の光電変換効率は優れていた。
また、電解質層に、ヨウ素を添加した実施例2の色素増感太陽電池素子の光電変換効率は、実施例1のものに比して、大幅な向上が見られた。
さらに、架橋性基を導入したポリエーテル化合物4を用いた実施例6の色素増感太陽電池素子は、ポリエーテル化合物4の架橋により、電解質層がゲル化して、溶媒の揮発や、色素増感太陽電池素子の破壊の際の電解質層の漏洩を防止する効果がある。
一方、対向電極の触媒層を構成する材料をナノカーボン材料としたものの、電解質としてイオン性液体を用いた比較例1と、電解質として、本発明で規定するポリエーテル化合物を用いたものの、対向電極の触媒層を構成する材料が白金である比較例2の色素増感太陽電池素子の光電変換効率は不十分な結果であった。

Claims (5)

  1. 電極基板上に、色素が担持された金属酸化物半導体多孔質膜を有する半導体電極と、この半導体電極に対向して配置された対向電極とを備え、前記半導体電極と前記対向電極との間に電解質層を有する色素増感太陽電池素子であって、前記対向電極が、ナノカーボン材料を含有するものであり、前記電解質層が、下記式(1)で表される繰り返し単位を有するポリエーテル化合物を含有することを特徴とする色素増感太陽電池素子。
    Figure 2014148598
    (式中、Aはカチオン性の窒素原子を含有するオニウムイオン構造を有する基であり、Xはその対アニオンである。)
  2. 前記ナノカーボン材料が、カーボンナノチューブである請求項1に記載の色素増感太陽電池素子。
  3. 前記カーボンナノチューブの平均直径(Av)および直径の標準偏差(σ)が、0.60>3σ/Av>0.20を満たすものである請求項2に記載の色素増感太陽電池素子。
  4. 前記電解質層が、式(1)において、Xで表される対アニオンがヨウ化物イオンである繰り返し単位を有する、ポリエーテル化合物を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の色素増感太陽電池素子。
  5. 前記電解質層が、式(1)において、Aで表される基がイミダゾリウム環構造を有するオニウムイオン構造を有する基である繰り返し単位を有する、ポリエーテル化合物を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の色素増感太陽電池素子。
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