JP2014154498A - 光電変換素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】半導体電極と、対向電極と、前記電極間に保持された電解質層とを備えた光電変換素子であって、前記対向電極は、導電性基材の前記電解質層側の面に、3位及び4位に置換基を有するポリチオフェンにドーパントを導入した導電性高分子からなる触媒層を厚さ20nm〜20μmで形成してなり、前記電解質層がベンゾキノン誘導体及びヒドロキノン誘導体をそれぞれ5〜100mM、アンモニウム塩を5〜200mM含有する。
【選択図】図1
Description
(1)半導体電極と、対向電極と、前記電極間に保持された電解質層とを備えた光電変換素子であって、
前記対向電極は、導電性基材の前記電解質層側の面に、3位及び4位に置換基を有するポリチオフェンにドーパントを導入した導電性高分子からなる触媒層を厚さ20nm〜20μmで形成してなり、
前記電解質層がベンゾキノン誘導体及びヒドロキノン誘導体をそれぞれ5〜100mM、アンモニウム塩を5〜200mM含有することを特徴とする光電変換素子。
(2)ヒドロキノン誘導体量をxmM、ベンゾキノン誘導体量をymM、アンモニウム塩量をzmMとするとき、
0.05≦x/y≦20で、0.5≦(x+y)/z≦2.0
を満足することを特徴とする上記(1)記載の光電変換素子。
(3)アンモニウム塩が、一般式「NH4 +X−:X−は無機アニオンまたは有機アニオン」で表される基本骨格を有することを特徴とする上記(1)または(2)記載の光電変換素子。
透明基体1は、可視光を透過するものが使用でき、透明なガラスが好適に利用できる。また、透明導電膜2が形成される側の表面を加工して入射光を散乱させることで、高効率で入射光を利用することができる。また、ガラスに限らず、光を透過するものであればプラスチック板やプラスチックフィルム等も使用できる。
透明導電膜2には、可視光を透過して、かつ導電性を有する材料が使用できる。このような材料としては、例えば金属酸化物が挙げられる。特に限定はされないが、例えばフッ素をドープした酸化スズ(以下、「FTO」と略記する。)や、酸化スズと酸化インジウムの混合体(以下、「ITO」と略記する。)、アンチモンをドープした酸化スズ、酸化亜鉛などが好適に用いることができる。
半導体層3は、増感色素4を吸着しやすいように多孔質の金属酸化物半導体からなる。金属酸化物半導体は特に限定はされないが、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズなどが挙げられ、特に二酸化チタン、さらにはアナターゼ型二酸化チタンが好適である。また、電気抵抗値を下げるため、金属酸化物の粒界は少ないことが望ましい。また、増感色素4をより多く吸着させるために、金属酸化物は比表面積の大きなものが望ましく、具体的には10〜200m2/gが望ましい。
増感色素4は半導体層3の金属酸化物に吸着、担持される。増感色素4としては、太陽光により励起されて半導体層3に電子注入できるものであればよく、一般的に光電変換素子に用いられている色素を用いることができるが、変換効率を向上させるためには、その吸収スペクトルが太陽光スペクトルと広波長域で重なっていて、耐光性が高いことが望ましい。増感色素4としては、金属錯体色素、例えば、ルテニウム錯体、鉄錯体、銅錯体などが挙げられる。さらに、シアン系色素、ポルフィリン系色素、ポリエン系色素、クマリン系色素、シアニン系色素、スクアリン酸系色素、メチン系色素、キサンテン系色素、インドリン系色素などが挙げられる。
電解質層5は、本発明では酸化還元対としてヒドロキノン誘導体と、ベンゾキノン誘導体と、アンモニウム塩とを含有する。
NH4 +X−・・・・(III)
式中、X−は無機アニオン、有機アニオンであるが、有機溶媒への溶解性を考慮すると有機アニオンが好ましい。有機アニオンの種類に関しては、特別限定はされないが、酸解離定数が小さく、NH4 +が安定に存在できることから酢酸イオン、プロピオン酸イオン、安息香酸イオンなどに代表されるカルボン酸イオンが好ましい。また、無機アニオンとしては塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等が挙げられる。
0.05≦x/y≦20で、0.5≦(x+y)/z≦2.0 ・・・(A)
触媒層6として本発明では、3位及び4位に置換基を有するポリチオフェンにドーパントを導入した導電性高分子からなる。置換基は、チオフェン環の3位及び4位の炭素を環員に含む環を形成していてもよく、膜の安定性や成膜性、入手法から好ましい。このような3位及び4位に置換基を有するポリチオフェンとしては、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(EDOT)、ポリ(3,4−プロピレンジオキシチオフェン)(PrDOT)、ポリ(3,4−ブチレンジオキシチオフェン)(BuDOT)等が挙げられるが、EDOTは安定性、光透過性に優れる導電性高分子層が得られるため、特に好ましい。
電極基材7は、触媒層6の支持体兼集電体として用いられるため、表面部分に導電性を有していることが好ましく例えば、金属として白金、金、銀、ルテニウム、銅、アルミニウム、ニッケル、コバルト、クロム、鉄、モリブデン、チタン、タンタル、およびそれらの合金や、炭素材料として、例えば黒鉛(グラファイト)、カーボンブラック、グラッシーカーボン、カーボンナノチューブ、フラーレンなど、金属酸化物として、FTO、ITO、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化アンチモンなどを用いることができる。また、表面が導電性を有するように処理すれば、ガラスやプラスチックなどの絶縁体も用いることができる。
以下のようにして、実施例5以外は図1に示す構造の光電変換素子を作製した。また、実施例5については、図2に示すように、大径及び小径の金属酸化物からなる2層構造の半導体層を備える光電変換素子を作製した。
DYESOL社製のFTO膜付きガラス「TEC8」を必要なサイズに切り出し、ガラス洗浄剤で洗い、洗浄剤を純水で洗い流した後、アセトン、ヘキサン、アセトン、純水、純水の順番で各5分ずつ超音波洗浄を行った。乾燥後、UVオゾン洗浄機を用いて10分間仕上洗浄を行った後、70℃の四塩化チタン水溶液(和光純薬(株)製)中に30分間浸漬した。浸漬後、純水で洗浄し、よく乾燥させた。そして、実施例5以外では、FTO膜表面に、酸化チタンDYESOL社製「DSL 18NR−T」ペースト(実施例5以外)をKコントロールコーター(松尾製作所製)で塗布し、30分程静置、乾燥させた。尚、膜厚は表記の通りである。また、実施例5では、更にその上に、酸化チタンDYESOL社製「DSL 18NT−AO」ペーストをKコントロールコーター(松尾製作所製)で塗布し、30分程静置、乾燥させた。尚、膜厚は表記の通りである。その後、80℃で30分、450℃で30分の順に大気中で焼成して半導体電極を作製した。
増感色素として和光純薬(株)製「N719」(ビス(テトラブチルアンモニウム)〔シス−ジ(チオシアナト)−ビス(2,2´−ビピリジル−4−カルボキシラート−4´−カルボン酸)−ルテニウム(II)〕)を用い、エタノール/t−ブチルアルコール(体積比1:1)の混合溶媒に溶解し、0.3mM色素溶液とした。そして、色素溶液に上記の半導体電極を浸漬し、遮光下40℃程度で3時間静置した。その後、エタノールで余分な増感色素を洗浄し、風乾した。
DYESOL社製のFTO膜付きガラス「TEC8」を必要なサイズに切り出し、ガラス洗浄剤でよく手洗いした後、洗浄剤を純水で洗い流し、アセトン、ヘキサン、アセトン、純水、純水の順で各5分ずつ超音波洗浄を行った。
乾燥させた10mLメスフラスコに、和光純薬(株)製の安息香酸アンモニウムを130mg(1mmol)入れ、凍結脱気した和光純薬(株)製の酢酸を0.5mLを加えた。次いで、少量の和光純薬(株)製のアセトニトリルを加え、固体が溶けきるまで振り混ぜた後、和光純薬(株)製の2,5−ジ−t−ブチルベンゾキノン110.1mg(0.5mmol)と2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン111.1mg(0.5mmol)を加えた後、全量が10mLになるようにアセトニトリルを加えた。
半導体電極と、対向電極との間に電解質層を介在させ、側面をエポキシ系接着剤でシールした。尚、この作業はアルゴン置換されたグローブボックス内にて行った。
得られた各光電変換素子について、三永電気製作所(株)製のソーラーシミュレーター「XES−40S1」を用いて評価した。擬似太陽光は、AM1.5条件下で100mW/cm2の光を用い、開放電圧、短絡電流、フィルファクターから変換効率を算出することで行った。
1 透明基体
2 透明導電膜
3,3´ 半導体層
4 増感色素
6 触媒層
7 電極基材
8 半導体電極
9 対向電極
Claims (3)
- 半導体電極と、対向電極と、前記電極間に保持された電解質層とを備えた光電変換素子であって、
前記対向電極は、導電性基材の前記電解質層側の面に、3位及び4位に置換基を有するポリチオフェンにドーパントを導入した導電性高分子からなる触媒層を厚さ20nm〜20μmで形成してなり、
前記電解質層がベンゾキノン誘導体及びヒドロキノン誘導体をそれぞれ5〜100mM、アンモニウム塩を5〜200mM含有することを特徴とする光電変換素子。 - ヒドロキノン誘導体量をxmM、ベンゾキノン誘導体量をymM、アンモニウム塩量をzmMとするとき、
0.05≦x/y≦20で、0.5≦(x+y)/z≦2.0
を満足することを特徴とする請求項1記載の光電変換素子。 - アンモニウム塩が、一般式「NH4 +X−:X−は無機アニオンまたは有機アニオン」で表される基本骨格を有することを特徴とする上記(1)または(2)記載の光電変換素子。
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