JP2015141955A - 光電変換素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】色彩性を損なわず、色素本来の色を反映することができるデザイン性に優れた光電変換素子を提供する。
【解決手段】半導体電極と、対向電極と、前記両極間に保持された電解質層とを備えた光電変換素子であって、半導体電極が特定の文字、記号または図形のパターンを形成し、前記電解質層はベンゾキノン誘導体とヒドロキノン誘導体とアンモニウム塩を含有する。前記アンモニウム塩(NH )が、下記一般式(III)で表される基本骨格を有することが好ましい。
NH ・・・(III)
【選択図】図1

Description

本発明は、色素増感太陽電池用の光電変換素子に関する。
次世代の太陽電池として、有機系太陽電池は低温でより低コストで製造が可能な次世代太陽電池としての開発されてきた。しかし近年、従来のシリコンベースの太陽電池の普及拡大においては、高いコストが最も大きな障害となっていたが、材料の下落や、市場の拡大などにより、発電コストは大幅に低減している。そのため、有機系太陽電池は、有機色素の特徴である、色彩性に富んでいることや、低照度でも高い効率を発現することから、室内インテリア用途や、意匠性太陽電池セルのような従来太陽電池では達成できない用途への展開が期待されている。色素増感太陽電池は、色素本来の色を太陽電池セルに、ほぼ反映することが可能であるため、前記用途の太陽電池セルに特に適している。
色素増感太陽電池は、一般に導電性基材上に色素を吸着した半導体からなる光電変換層を持つ半導体電極と、対向して設けられた導電性基材上に触媒層を設けた対向電極と、これら半導体電極と対向電極との間に保持された電解質層から構成されている。
色素増感太陽電池の電解質にはヨウ素系酸化還元対を有機溶媒に溶かしたものが一般的に使用されている。ヨウ素系酸化還元対はイオン伝導度が高く、また酸化状態の色素を還元する速度が速い一方、作用極の導電性ガラス表面や酸化チタン表面での反応性が低いなど、優れた性能を有しており、ヨウ素系酸化還元対を封入した意匠性を備えた色素増感太陽電池に関する発明は従来から発明されている。(特許文献1、2)
特開2006−179380号公報 特開2009−172039号公報
しかしながら、色素増感太陽電池セルをヨウ素系酸化還元対で作製した場合、ヨウ素系酸化還元対は可視光領域に非常に大きい吸光度係数を示すため、太陽電池の意匠性を強調する場合、ヨウ素の色が妨げとなり色素の鮮やかさを十分に生かすことができない問題点がある。
このように、意匠性を備えた色素増感太陽電池に関して言えば、ヨウ素系酸化還元対は酸化還元対としての性能は高いものの、適しているとは言い難く、ヨウ素系に替わる薄色酸化還元対が求められており、例として硫黄系、セレン系、鉄錯体系、コバルト錯体系、ベンゾキノン/ヒドロキノン系、(SCN)/(SCN)系、(SeCN)/(SeCN)、ニトロキシラジカル系、などの検討がなされている。
しかし、いずれも変換効率が低い、安定性、安全性に問題がある、ヨウ素系ほどではないが吸光度が高いため実用性が高いとは言い難い。
そこで、本発明は、これらの問題を解決できる酸化還元対を封入した、色彩性を損なわず、色素本来の色を反映することができるデザイン性に優れた光電変換素子を提供する。
前記課題を解決するため、本発明による意匠性を備えた光電変換素子は、半導体電極と、対向電極と、前記両極間に保持された電解質層とを備えた光電変換素子であって、半導体電極が特定の文字、記号または図形のパターンを形成し、前記電解質層はベンゾキノン誘導体とヒドロキノン誘導体とアンモニウム塩を含有する。前記アンモニウム塩(NH )が、下記一般式(III)で表される基本骨格を有することが好ましい。
NH ・・・(III)
(式中、XはCl、Br、I等の無機アニオン、もしくは酢酸イオン、プロピオン酸イオン、安息香酸イオンに代表される有機アニオンを示している)
本発明の意匠性を備えた光電変換素子は、色彩性を損なわず、色素本来の色を反映することができるデザイン性に優れている。
本発明の一例であるパターンが印刷された光電変換素子を用いた太陽電池セルの概略平面図である。 図1の概略平面図のA−B断面図である。 本発明の小粒径ペーストを塗布した状態の平面図である。 本発明の大粒径ペーストを塗布した状態の平面図である。
以下、図1、2を例として、本発明の意匠性を備えた光電変換素子の態様、各構成材料について、好適な形態を説明する。
図1は、パターンが印刷された光電変換素子を用いた太陽電池セルの概略平面図であり、図2は、図1の概略平面図中のA−B線断面図である。
概略平面図において色がついている部分が発電部位であり、濃い色の部分は2種類の粒径の金属酸化物半導体が積層構造となっている部分、薄い色の部位は、金属酸化物半導体が単層となっている部位である。
図2の光電変換素子13は、半導体電極12と、対向電極10と、前記両極間に保持された電解質層6とを備えた光電変換素子13であって、半導体電極が特定の文字、記号または図形のパターンを形成している。透明基体1の一方の面には透明導電膜2が形成され、透明基体1と透明導電膜2で電極基体9を構成している。更に透明導電膜2の表面に半導体層11が形成され、電極基体9と半導体層11にて半導体電極12を構成している。半導体層11は、金属酸化物半導体3、4の粒子からなる層が積層した積層膜で構成され、透明導電膜2に近い層ほど平均粒子径が小さくなるように積層されている。
続いて、各構成材料について説明する。
[透明基体1]
電極基体9を構成する透明基体1は、可視光を透過するものが使用でき、透明なガラスが好適に利用できる。また、ガラス表面を加工して入射光を散乱させることで高効率で入射光を使用できる。また、ガラスに限らず、光を透過するものであればプラスチック板やプラスチックフィルム等も使用できる。透明基体1の厚さは、光電変換素子13の形状や使用条件により異なるため特に限定はされないが、例えばガラスやプラスチックなどを用いた場合では、実使用時の耐久性を考慮して1mm〜1cm程度が好ましく、フレキシブル性が必要とされ、プラスチックフィルムなどを使用した場合は、1μm〜1mm程度が好ましい。
[透明導電膜2]
透明導電膜2としては、可視光を透過して、かつ導電性を有するものが使用できる。このような材料としては、例えば金属酸化物が挙げられる。特に限定はされないが、例えばフッ素をドープした酸化スズ(以下、「FTO」と略記する。)や、酸化インジウム、酸化スズと酸化インジウムの混合体(以下、「ITO」と略記する。)、アンチモンをドープした酸化スズ、酸化亜鉛などが好適に用いることができる。
また、分散させるなどの処理により可視光が透過すれば、不透明な導電性材料を用いることもできる。このような材料としては炭素材料や金属が挙げられる。炭素材料としては、特に限定はされないが、例えば黒鉛(グラファイト)、カーボンブラック、グラッシーカーボン、カーボンナノチューブやフラーレンなどが挙げられる。また、金属としては、特に限定はされないが、例えば白金、金、銀、ルテニウム、銅、アルミニウム、ニッケル、コバルト、クロム、鉄、モリブデン、チタン、タンタル、およびそれらの合金などが挙げられる。
透明導電膜2の厚さは、用いる材料により導電性が異なるため特には限定されないが、一般的に使用されるFTO被膜付ガラスでは、0.01μm〜5μmであり、好ましくは0.1μm〜1μmである。また、必要とされる導電性は、使用する電極の面積により異なり、広い電極ほど低抵抗であることが求められるが、一般的にシート抵抗(面抵抗率)で100Ω/□以下、好ましくは10Ω/□以下、より好ましくは5Ω/□以下である。このシート抵抗は、薄膜やフィルム状物質の電気抵抗値であり、単位はΩであるが、シートであることを示すため慣用的に「Ω/□(ohm/square)」と記述している。
透明基体1及び透明導電膜2から構成される電極基体9、又は透明基体1と透明導電膜2とを一体化した電極基体9の厚さは、上述のように光電変換素子13の形状や使用条件により異なるため特に限定はされないが、一般的に1μm〜1cm程度である。
[金属酸化物半導体3、4]
金属酸化物半導体の種類としては、特に限定はされないが、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズなどが挙げられ、特に二酸化チタン、さらにはアナターゼ型二酸化チタンが好適である。
また、電気抵抗値を下げるため、金属酸化物の粒界は少ないことが望ましい。
また、2種類以上の平均粒子径の異なる金属酸化物を積層した構造を形成してもよいが、その場合、平均粒子径は透明導電膜から離れるに従い、段階的に大きくなることが好ましい。
具体的には、透明導電膜に最も近い部位の金属酸化物の平均粒子径としては、100nm以下であることが好ましく、透明導電膜より最も離れた部位の金属酸化物の平均粒子径としては、200nm〜700nmが好ましい。
透明導電膜に最も近い部位の金属酸化物の平均粒子径が100nmより大きい場合、色素が吸着可能な表面積が少なくなるため性能が低くなる。透明導電膜より最も離れた部位の金属酸化物の平均粒子径が200nmより小さい場合、金属酸化物の光散乱効果が小さくなり変換効率の向上はほとんど見られない。一方、平均粒子径が700nmより大きい場合は、色素が吸着可能な表面積が著しく少なくなり、性能が低くなるだけではなく、製膜性が悪くなり均一な膜が得られない。
また、増感色素をより多く吸着させるために、当該半導体層は比表面積の大きい多孔質のものが望ましく、具体的には透明導電膜に最も近い部位では比表面積が50〜200m2/g、透明導電膜から最も遠い部位では比表面積が5〜20m/gであることが望ましい。
このような積層金属酸化物半導体層は、特に限定されず既知の方法を段階的に行うことで透明導電膜上に設けることができる。既知の方法の例として、ゾルゲル法や、分散体ペーストの塗布、また、電析や電着が挙げられる。
このような半導体層の厚さは、用いる酸化物、平均粒子径により最適値が異なり、透明導電膜に最も近い小粒径金属酸化物半導体膜の膜厚は5um以上、透明導電膜から最も離れた金属酸化物粒子の厚さが、3um以上であることが好ましい。
[増感色素5]
増感色素5としては、太陽光により励起されて前記金属酸化物半導体3、4に電子注入できるものであればよく、一般的に光電変換素子に用いられている色素を用いることができるが、変換効率を向上させるためには、その吸収スペクトルが太陽光スペクトルと広波長域で重なっていて、耐光性が高いことが望ましい。
増感色素としては、金属錯体色素、例えば、ルテニウム錯体、鉄錯体、銅錯体などが挙げられる。さらに、シアン系色素、チオフェン系色素、ポルフィリン系色素、ポリエン系色素、クマリン系色素、シアニン系色素、スクアリン酸系色素、メチン系色素、キサンテン系色素、インドリン系色素などの有機色素が挙げられる。
また、有機色素は種類によって大きく異なり、色相が鮮やかな色調のセルを作製することができるため本発明における増感色素は有機色素であることがより好ましい。
本発明においては、1種類の色素で染色を行っているが、前記金属酸化物半導体の上に、開口部を有するマスク、数種類の色素を用い、染色操作を繰り返すことで、2種類以上の色素での染色が可能である。
[電解質層6]
電解質層6は、本発明においては電解質層6が酸化還元対としてヒドロキノン誘導体:一般式(I)、ベンゾキノン誘導体:一般式(II)、アンモニウム塩:一般式(III)を混合した組成となっている。
Figure 2015141955
ヒドロキノン誘導体、ベンゾキノン誘導体(一般式:(I)、(II))における、式中のRはアルキル基、アリール基を示しており、添字のnは置換基を0個以上有することを示す。
アルキル基、アリール基の種類に関しては特別限定されないが、有機溶媒への溶解性、共役長が伸びることで可視光の吸収が起こることを考慮すると、アルキル基のほうが好ましい。
ヒドロキノン誘導体、ベンゾキノン誘導体の組合せは、一般式(I)、(II)中のRnは同じ置換基である組合せが好ましい。
また、アンモニウム塩(一般式:(III))における、式中X-は無機アニオン、有機アニオンを示しているが、有機溶媒への溶解性を考慮すると、有機アニオンが好ましい。有機アニオンの種類に関しては、特別限定はされないが、酸解離定数が大きく、NH4+が安定に存在できる、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、安息香酸イオンなどに代表されるカルボン酸イオンが好ましい。
酸化還元組成物中のヒドロキノン誘導体の濃度としては、溶媒に対して1.0mM〜1.0Mの範囲である。濃度が1.0mMより小さい場合、添加効果がほとんど得られなくなり、変換効率の向上はほとんど見られない。一方、濃度を1.0Mより大きくしても、変換効率の向上はほとんど見られないだけではなく、ヒドロキノン誘導体の溶解度の問題から、ヒドロキノン誘導体が溶液中で析出してしまう虞がある。
酸化還元組成物中のベンゾキノン誘導体の濃度としては、溶媒に対して1.0mM〜1.0Mの範囲である。濃度が1.0mMより小さい場合、添加効果がほとんど得られなくなり、変換効率の向上はほとんど見られない。一方、濃度を1.0Mより大きくしても、変換効率の向上はほとんど見られないだけではなく、ベンゾキノン誘導体の溶解度の問題から、ベンゾキノン誘導体が溶液中で析出してしまう虞がある。
ヒドロキノン誘導体、ベンゾキノン誘導体の組合せは、一般式(I)、(II)中のRnは同じ置換基である組合せが好ましい。
酸化還元組成物中のアンモニウム塩の濃度としては、溶媒に対して1.0mM〜2.0Mの範囲である。濃度が1mMより小さい場合、アンモニウム塩の添加効果がほとんど得られなくなり、変換効率の向上はほとんど見られない。一方、濃度が2.0Mより大きくしても、変換効率の向上はほとんど見られないだけではなく、溶解度の問題から、アンモニウム塩が溶液中で析出してしまう虞がある。
上記酸化還元対を溶解させる溶媒としては、酸化還元対を溶解できる化合物であれば特に制限はなく、非水性有機溶媒、常温溶融塩、プロトン性有機溶媒などから任意に選択できる。また、アンモニウム塩は有機溶媒に難溶であることがあるが、その場合は、溶媒にカルボン酸を添加することで、溶解させることができる。
例えば有機溶媒として、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、バレロニトリル、3−メトキシプロピオニトリルなどのニトリル化合物、γ−ブチルラクトンやバレロラクトンなどのラクトン化合物、エチレンカーボネートやプロピレンカーボネートなどのカーボネート化合物、ジオキサンやジエチルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、低重合度ポリエチレングリコールなどのエーテル類、メタノール、エタノール等のアルコール類、さらにはジメチルホルムアミドやイミダゾール類などが挙げられ、中でもアセトニトリル、バレロニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、プロピレンカーボネート、低重合度ポリエチレングリコールなどを好適に用いることができる。
カルボン酸としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ヘキサン酸を代表とする飽和カルボン酸、アクリル酸、メタクリル酸、2-エチルプロペン酸を代表とする不飽和カルボン酸、安息香酸、フタル酸などを代表とする、芳香族カルボン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸などのヒドロキシ酸などが例として挙げられる。
溶媒の組成は、アンモニウム塩を溶解することができればよいが、カルボン酸成分の添加量が多くなるほど変換効率が低下する傾向があるため、カルボン酸成分の添加量は可能な限り少ないことが好ましい。なお、アンモニウム塩が使用する有機溶媒に溶解する場合は、カルボン酸成分を添加する必要はない。
前記電解質層6にはさらに支持電解質として、リチウム塩やイミダゾリウム塩、4級アンモニウム塩、常温溶融塩などを添加することができる。これらの添加剤は電解質層の特性を損ねない程度に添加することができる。また、適当なゲル化剤を添加することで物理的、化学的にゲル化することもできる。
[対向電極10]
対向電極10は、電極基材8の表面に触媒層7’が形成された構造をしている。該電極基材8は、触媒層7’の支持体兼集電体として用いられるため、表面部分に導電膜7を有していることが好ましく、例えば、金属として白金、金、銀、ルテニウム、銅、アルミニウム、ニッケル、コバルト、クロム、鉄、モリブデン、チタン、タンタル、およびそれらの合金や、炭素材料として、例えば黒鉛(グラファイト)、カーボンブラック、グラッシーカーボン、カーボンナノチューブ、フラーレンなど、金属酸化物として、FTO、ITO、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化アンチモンなどを用いることができる。また、表面が導電性を有するように処理すれば、ガラスやプラスチックなどの絶縁体も用いることができる。
触媒層7’としては、電解質中の酸化還元対の酸化体を還元体に還元する還元反応を速やかに進行させることが可能な電極特性を有するものであれば特に限定されないが、塩化白金酸を塗布、熱処理したものや、白金を蒸着した白金触媒電極、活性炭、グラッシーカーボン、カーボンナノチューブのような炭素材料、硫化コバルトなどの無機硫黄化合物、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性高分子などが使用できる。
これらの触媒層は、求めるセルの外観によって適宜選択することができる。
例えば、白金触媒を蒸着すると、対向電極が鏡面になるため、パブミラー型のセルを作製することができる。一方、導電性高分子を触媒層に用いた場合は、対向電極はほぼ無色透明となるため、シースルー型のセルを作製することができる。
対向電極10における触媒層7’の厚さは、5nm〜5umが適当であり、特に好ましくは50nm〜2umである。
以上説明したような各構成要素材料を準備した後、金属酸化物半導体電極と触媒電極とを電解質を介して対向させるように組み上げ、光電変換素子を完成させる。
[第一の実施形態]
意匠性を備えたイラスト付き光電変換素子を用いた太陽電池セルの作製方法を説明する。
まず、光電変換素子における使用部材を以下に示す。
・透明電極基板8、9:DYESOL社製、FTO膜付きガラス(TEC8)
・酸化チタン3:DYESOL社製DSL18NR−T
・酸化チタン4:DYESOL社製DSL18NT−AO
・四塩化チタン水溶液:和光純薬工業株式会社製
・色素5
N719:和光純薬工業株式会社製
MK−2:アルドリッチ社製
t−ブチルアルコール:和光純薬工業株式会社製 特級
トルエン:純正化学株式会社製 特級
・電解質層6
BzONH4(安息香酸アンモニウム):和光純薬工業株式会社製
t−DBHQ(2、5−ジ−t−ブチルヒドロキノン):和光純薬工業株式会社製
t−DBBQ(2、5−ジ−t−ブチルベンゾキノン):和光純薬工業株式会社製
ヨウ素:和光純薬工業株式会社製
ヨウ化リチウム:純正化学株式会社製
DMPII(ヨウ化1、2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウム):和光純薬工業株式会社製
TBP(t−ブチルピリジン):東京化成工業株式会社製
アセトニトリル:和光純薬工業株式会社製 特級
酢酸:和光純薬工業株式会社製
・導電性高分子材料7’
EDOT(3、4−ジオキシチオフェン):和光純薬工業株式会社製
LiClO4:和光純薬工業株式会社製
アセトニトリル:和光純薬工業株式会社製 特級
[多孔質金属酸化物半導体の作製]
透明電極基板を必要なサイズに切り出し、ガラス洗浄剤でよく手洗いする。洗浄剤を純水で洗い流した後、アセトン、ヘキサン、アセトン、純水、純水の順番で各5分ずつ超音波洗浄を行う。
乾燥後、UVオゾン洗浄機を用いて10分間仕上洗浄を行った後、70℃100mMのTiCl4水溶液中に30分間浸漬する。続いて、TiCl4に浸漬した透明電極基板を純水で洗浄し、よく乾燥させた後、まず、小粒系TiOペースト(DSL−18NR)をスクリーン印刷装置(東海商事製)で50um程度の厚さに図3のように塗布した。120℃で3分間乾燥させた後、80
℃、30min、450℃、30minの順に大気中で焼成し、厚5um程度の小粒径半導体膜を形成することができた。より膜厚の厚い小粒径半導体膜を形成するには、焼成後同様の手順を繰り返すことで作製できる。その後、図4の形のスクリーン印刷版を用いて、大粒径TiOペースト(DSL−400C)を小粒径TiOペーストの上にスクリーン印刷装置(東海商事製)で30um程度の厚さに塗布した。120℃で3分間乾燥させた後、80
℃、30min、450℃、30minの順に大気中で焼成し、厚さ10um程度の多孔質金属酸化物半導体を得た。なお、今回の実施例では2種類の粒径の微粒子を用いた積層半導体膜の作製について示しているが、3種類以上の粒径の微粒子を積層する場合も、同様な手順の繰返しで作製することができる。
[増感色素の吸着]
増感色素5としては、N719と呼ばれるジ−テトラブチルアンモニウムシス−ビス(イソチオシアナート)ビス(2、2‘−ビピリジル−4、4’−ジカルボキシラート)ルテニウム(II)(和光純薬工業株式会社製)、または、MK−2色素と呼ばれる2−シアノ−3−[5’’’−(9−エチル−9H−カルバゾル−3−イル)−3'、3''、3'''、4−テトラ−n−ヘキシル−[2、2’、5’、2’’、5’’、2’’’]−クォーター
チオフェン−5−イル]アクリル酸を用いた。
色素溶液は、N719色素は0.3mMのアセトニトリル/t−ブタノール(体積比1:1)、MK−2色素は0.3mMのトルエン溶液とした。
前記、多孔質酸化チタン半導体膜を色素溶液に浸漬し、遮光下40℃程度で18時間静置した。
その後それぞれの色素を溶かした溶媒で余分な色素を洗浄、風乾し、色素増感酸化物半導体電極を形成した。
[対向電極の作製]
対向電極10は導電膜付ガラス基板の上に白金薄膜層、もしくは導電性高分子(PEDOT)7’が形成された構造となっている。白金薄膜は、真空蒸着法により作製し、得られた白金薄膜の厚さは約200nmであった。
また、導電性高分子(PEDOT)膜は以下の手順により作製した。
・モノマー溶液の調製
モノマー溶液に用いたアセトニトリルは凍結脱気をしたアセトニトリルを用い、過塩素酸リチウムはエタノールで再結晶したものを用いた。なお、3、4−ジオキシチオフェンは特別な精製は行わず用いた。乾燥させた100mLメスフラスコに3、4−ジオキシチオフェン284mg(2mmol)に、アセトニトリルを50mL程度加え、溶解させた。その後、過塩素酸リチウム1.06g(10mmol)を加え、固体が溶けるまで振り混ぜた。最後に全量が100mLになるようアセトニトリルを加えモノマー溶液を調製した。
・基体の洗浄
透明電極基板を必要なサイズに切り出し、ガラス洗浄剤でよく手洗いした。洗浄剤を純水で洗い流した後、アセトン、ヘキサン、アセトン、純水、純水の順番で各5分ずつ超音波洗浄を行った。
・電解重合
前記モノマー溶液中に、作用極として4cmの面積を有するFTO電極、対極として10cmの面積を有する、白金薄膜電極を配置し、ポテンシオスタットSP−150(BioLogic社製)を用いて、40uAで定電流電解重合を行った。重合後の作用極をアセトニトリルで洗浄した後、70℃、30分乾燥し、FTO電極上に導電性高分子層(PEDOT膜)を形成した。
[電解質層の調製]
電解質層6は溶媒として、凍結脱気をした酢酸、アセトニトリルを用いた。実施例の無色系電解質層、比較例のヨウ素系電解質層は、表1の組成で調製した。
Figure 2015141955
[光電変換素子の組立]
前記、色素増感酸化物半導体電極と、対向電極との間に電解質層を注入し、側面をエポキシ系接着剤でシールした。なお、この作業はアルゴン置換されたグローブボックス内にて行った。
[光電変換素子評価]
得られた色素増感型の光電変換素子の光電変換特性は、ソーラーシミュレーターを用いて評価した。擬似太陽光はAM1.5条件下で100mW/cm、10mW/cmの強度の光を用いた。10mW/cm2の強度の光は、100mW/cm2の擬似太陽光の一部をフィルターでカットし、調整した。また、裏面照射変換効率は、対極側から100mW/cm2の擬似太陽光を照射した時の変換効率を示している。特性評価は、開放電圧、短絡電流、フィルファクターから変換効率を算出することで行った。酸化還元対、対極の種類を変化させて光電変換素子の変換特性、外観を評価した結果を、表2に示す。
Figure 2015141955
[実施例]
実施例に、無色系酸化還元対を用いた意匠性を備えた光電変換素子を用いた太陽電池セルの光電変換特性、セル外観の結果を示す。一方、比較例には、ヨウ素系酸化還元対を用いた意匠性を備えた光電変換素子を用いた太陽電池セルの光電変換特性、セル外観の結果を示す。
実施例のセルは、比較例のセルより低い効率であった。しかし、発電部位の外観は色素本来の色をセルに反映することができており、さらに、酸化還元対の光吸収が小さいため、PEDOT対極を用いた際の、裏面照射変換効率は、比較例より高い効率を示している。
また、電解質層が、ほぼ無色透明であるため、非発電部位の外観は、比較例が、黄色に着色しているのに対し、実施例は無色鏡状、無色透明である。
以上のように、本発明の意匠性を備えた光電変換素子は、従来の光電変換素子と比較し、より高い意匠性、デザイン性、シースルー性を付与することが可能であり、実用性が高い。また、本発明の光電変換素子について詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
1 透明基体
2 透明導電膜
3、4 金属酸化物半導体
5 増感色素
6 電解質層
7 導電膜
7‘ 触媒層
8 電極基材
9 電極基体
10 対向電極
11 半導体層
12 半導体電極
13 光電変換素子

Claims (2)

  1. 半導体電極と、対向電極と、前記両極間に保持された電解質層とを備えた光電変換素子であって、半導体電極が特定の文字、記号または図形のパターンを形成し、前記電解質層はベンゾキノン誘導体とヒドロキノン誘導体とアンモニウム塩を含有することを特徴とする光電変換素子。
  2. 前記アンモニウム塩(NH )が、下記一般式(III)で表される基本骨格を有することを特徴とする請求項1記載の光電変換素子。
    NH ・・・(III)
    (式中、XはCl、Br、I等の無機アニオン、もしくは酢酸イオン、プロピオン酸イオン、安息香酸イオンに代表される有機アニオンを示している)
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017069335A (ja) * 2015-09-29 2017-04-06 日本精工株式会社 無線センサ送信装置
JP2017220509A (ja) * 2016-06-06 2017-12-14 日本精工株式会社 光電変換素子
CN110678946A (zh) * 2017-05-31 2020-01-10 松下知识产权经营株式会社 电解电容器及其制造方法

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