JP2007317446A - 色素増感太陽電池 - Google Patents

色素増感太陽電池 Download PDF

Info

Publication number
JP2007317446A
JP2007317446A JP2006144589A JP2006144589A JP2007317446A JP 2007317446 A JP2007317446 A JP 2007317446A JP 2006144589 A JP2006144589 A JP 2006144589A JP 2006144589 A JP2006144589 A JP 2006144589A JP 2007317446 A JP2007317446 A JP 2007317446A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dye
solar cell
electrode
sensitized solar
counter electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2006144589A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasuteru Saito
恭輝 齊藤
Shinji Nakayama
真志 中山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
DKS Co Ltd
Original Assignee
Dai Ichi Kogyo Seiyaku Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Ichi Kogyo Seiyaku Co Ltd filed Critical Dai Ichi Kogyo Seiyaku Co Ltd
Priority to JP2006144589A priority Critical patent/JP2007317446A/ja
Publication of JP2007317446A publication Critical patent/JP2007317446A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/542Dye sensitized solar cells

Landscapes

  • Photovoltaic Devices (AREA)
  • Hybrid Cells (AREA)

Abstract

【課題】光電変換効率、高温耐久性に優れた低コスト色素増感太陽電池を提供する。
【解決手段】電極基体8上に、光増感作用を有する色素4を含む光透過性の半導体電極と、酸化還元対となる化学種を含む電解質層5と、前記半導体電極に対向配置される対向電極9を有する色素増感太陽電池10であって、前記対向電極9が前記酸化還元対に対する触媒活性を有する導電性高分子触媒層6を有しているとともに、前記電解質層5が1%以上の非プロトン性極性溶媒を含む疎水性イオン性液体の混合溶媒から構成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、色素増感太陽電池に関するものであり、詳しくは導電性高分子対極およびイオン性液体電解質を用いた色素増感太陽電池に関する。
近年、光エネルギーを電気エネルギーに変換する光電変換素子として、種々の太陽電池が提案されている。その中で、1991年にスイスのローザンヌ大学のグレッツェルらによって「Nature」1991,353,p737−740等で発表された色素増感太陽電池は、使用する材料・プロセスが安価であることから低コスト太陽電池としてその実用化が期待されている。
色素増感太陽電池は、一般に導電性基材上に色素を吸着した半導体からなる光電変換層を持つ半導体電極と、該半導体電極に対向して設けられた導電性基材上に触媒層を設けた対向電極と、これら半導体電極と対向電極との間に保持された電解質層から構成されている。
色素増感太陽電池の電解質にはヨウ素系酸化還元対をアセトニトリル等の有機溶媒に溶かしたものが一般的に使用されているが、有機溶媒であるために電解液の漏洩、揮発などによる耐久性低下が問題となっている。それに対し、揮発性の低いイオン性液体を溶媒として用いる事が解決法の一つとして提案されている。(例えば、非特許文献1、特許文献1〜4参照)
Journal of Electrochemical Society.(1996)、143,10,p3099〜3108 Sol.Eng.Mat.Cels(2000),63,p267〜273 特開2000−319260号公報 特開平8−259543号公報 特表2001−527505号公報 特開2005−085587号公報 特開2003−317814号公報
しかしながら、イオン性液体は一般的に通常使用される有機溶媒に比べて粘度が高く、色素増感太陽電池の溶媒に使用した際、性能が低下する問題があった。それに対して、特許文献3、4のようなより低粘度なイオン性液体も提案されているが、有機溶媒を使用した素子と同等以上の性能を示すイオン性液体はまだ知られていない。
また、色素増感太陽電池において、電解液中に水分が存在すると半導体電極から色素が脱離しやすくなり、耐久性低下の原因となっている。それに対し、特許文献2、3などに開示されているイオン性液体は極性が高いにも関わらず疎水性を有しており、大気中の水分を吸収しにくいため、より耐久性に優れた太陽電池素子を作製することができる。
また、色素増感太陽電池に従来用いられている代表的な対向電極としては、電極基体上に、白金触媒を蒸着等の方法で形成したものが挙げられる。しかし、白金は高価である上、形成のためには真空もしくは高温プロセスが必要であるため製造コストも安価とはいえない。また白金は水・酸素の存在下、80℃以上の高温でヨウ素を含む溶液中に溶解する事が報告されており(非特許文献2)、白金材料に替わる対極材料が求められている。
特許文献5には、モノマーを重合させると同時に形成される有機膜からなる触媒電極を使用した色素増感太陽電池が開示されている。この文献によると、対極材料としてポリ(エチレンジオキシチオフェン)を使用することで、従来の触媒電極形成方法に比べ、簡潔な工程で安価に対向電極を作製でき、また従来の白金を用いた触媒電極を使用した太陽電池と同程度の性能を示すとある。このような導電性高分子を対向電極材料に用いる試みもいくつか提案されている。
しかし、これらの導電性高分子対向電極を前記の疎水性イオン性液体を使用した色素増感太陽電池素子に使用した場合、白金対極を使用した素子に比べて素子性能が大きく低下し、使用することができなかった。
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、疎水性イオン性液体を含む電解質と導電性高分子を用いた対向電極を使用した色素増感太陽電池において、光電変換効率および高温耐久性に優れた太陽電池素子を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、電解質溶媒の特性(疎水性/親水性)が導電性高分子からなる対向電極の性能に影響することを見出し、前記の疎水性イオン性液体に高沸点の非プロトン性極性溶媒を一定量混合することで、従来の白金対極を使用した素子と同等の素子性能を示すとともに、十分な耐久性を示す色素増感太陽電池素子を作製できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の色素増感太陽電池は、電極基体上に、光増感作用を有する色素を含む光透過性の半導体電極と、酸化還元対となる化学種を含む電解質層と、前記半導体電極に対向配置される対向電極を有する色素増感太陽電池であって、前記対向電極が前記酸化還元対に対する触媒活性を有する導電性高分子触媒層から構成されているとともに、前記電解質層が非プロトン性極性溶媒を含む疎水性イオン性液体の混合溶媒から構成されることを特徴とする。
本発明に係る色素増感太陽電池において、前記電解質層が1%以上の非プロトン性極性溶媒を含む疎水性イオン性液体の混合溶媒から構成されることが好ましい。
本発明に係る色素増感太陽電池において、前記導電性高分子が3,4−エチレンジオキシチオフェン又はその誘導体の重合物から構成されていることが好ましい。
前記疎水性イオン性液体がアニオンとして下記式(1)で表されるビス(フルオロスルホニル)イミド、又は下記式(2)で表されるビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを有していることが好ましい。
Figure 2007317446
Figure 2007317446
また、本発明に係る色素増感太陽電池において、前記非プロトン性溶媒の沸点が100℃以上であることが好ましい。
本発明によれば、本発明に係る電解液を、導電性高分子対極を使用した色素増感太陽電池素子に用いることにより、優れた光電変換効率と熱耐久性、耐湿度性を有し、さらにコスト的にも優れた色素増感太陽電池素子を作製することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面をもとに詳細に説明する。
図1は、本発明の色素増感太陽電池10の一例を表す模式断面図である。
図1において、符号1は透明基体、符号2は透明導電膜、符号3は多孔質金属酸化物半導体層、符号4は増感色素、符号5は電解質層、符号6は導電性高分子触媒層、符号7は符号6を担持する電極基材、符号8は電極基体、符号9は対向電極をそれぞれ示す。
図に示すように、透明基体1とその上に形成された透明導電膜2からなる電極基体8の表面に、多孔質金属酸化物半導体層3が形成され、さらに該多孔質金属酸化物半導体3の表面には、増感色素4が吸着されている。そして、本発明の電解質層5を介して、電極基材7の表面に本発明の導電性高分子触媒層6が形成された対向電極9が配置され色素増感太陽電池10を形成している。
以下、本発明の色素増感太陽電池(以下、単に「太陽電池」と略記することがある。)10の各構成材料について、好適な形態を説明する。
[透明基体]
電極基体8を構成する透明基体1は、可視光を透過するものが使用でき、透明なガラスが好適に利用できる。また、ガラス表面を加工して入射光を散乱させるようにしたものも使用できる。また、ガラスに限らず、光を透過するものであればプラスチック板やプラスチックフィルム等も使用できる。
透明基体1の厚さは、太陽電池10の形状や使用条件により異なるため特に限定はされないが、例えばガラスやプラスチックなどを用いた場合では、実使用時の耐久性を考慮して1mm〜1cm程度が好ましく、フレキシブル性が必要とされ、プラスチックフィルムなどを使用した場合は、1μm〜1mm程度が好ましい。
[透明導電膜]
透明導電膜2としては、可視光を透過して、かつ導電性を有するものが使用できる。このような材料としては、例えば金属酸化物が挙げられる。特に限定はされないが、例えばフッ素をドープした酸化スズ(以下、「FTO」と略記する。)や、酸化インジウム、酸化スズと酸化インジウムの混合体(以下、「ITO」と略記する。)、アンチモンをドープした酸化スズ、酸化亜鉛などが好適に用いることができる。
また、分散させるなどの処理により可視光が透過すれば、不透明な導電性材料を用いることもできる。このような材料としては炭素材料や金属が挙げられる。炭素材料としては、特に限定はされないが、例えば黒鉛(グラファイト)、カーボンブラック、グラッシーカーボン、カーボンナノチューブやフラーレンなどが挙げられる。また、金属としては、特に限定はされないが、例えば白金、金、銀、ルテニウム、銅、アルミニウム、ニッケル、コバルト、クロム、鉄、モリブデン、チタン、タンタル、およびそれらの合金などが挙げられる。
したがって、電極基体8としては、上述の導電性材料のうち少なくとも1種類以上からなる導電材料を、透明基体1の表面に設けて形成することができる。あるいは透明基体1を構成する材料の中へ上記導電性材料を組み込んで、透明基体1と透明導電膜2を一体化して電極基体8とすることも可能である。
透明基体1上に透明導電膜2を形成する方法として、金属酸化物を使用する場合は、ゾルゲル法などの液層法や、スパッタやCVDなどの気相法、分散ペーストのコーティングなどがある。また、不透明な導電性材料を使用する場合は、粉体などを、透明なバインダーなどとともに固着させる方法が挙げられる。
また、透明基体1と透明導電膜2を一体化させるには、透明基体1の成型時に導電性のフィラーとして上記導電膜材料を混合させる方法などがある。
透明導電膜2の厚さは、用いる材料により導電性が異なるため特には限定されないが、一般的に使用されるFTO被膜付ガラスでは、0.01μm〜5μmであり、好ましくは0.1μm〜1μmである。また、必要とされる導電性は、使用する電極の面積により異なり、広い電極ほど低抵抗であることが求められるが、一般的に100Ω/□以下、好ましくは10Ω/□以下、より好ましくは5Ω/□以下である。
透明基体1及び透明導電膜2から構成される電極基体8、又は透明基体1と透明導電膜2とを一体化した電極基体8の厚さは、上述のように太陽電池10の形状や使用条件により異なるため特に限定はされないが、一般的に1μm〜1cm程度である。
[多孔質金属酸化物半導体]
多孔質金属酸化物半導体3としては、特に限定はされないが、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズなどが挙げられ、特に二酸化チタン、さらにはアナターゼ型二酸化チタンが好適である。
また、電気抵抗値を下げるため、金属酸化物の粒界は少ないことが望ましい。また、増感色素4をより多く吸着させるために、当該半導体層3は比表面積の大きなものが望ましく、具体的には10〜200m/gが望ましい。また、増感色素4の光吸収量を増加させるため、使用する酸化物の粒径に幅を持たせて光を散乱させることが望ましい。
このような多孔質金属酸化物半導体層3は、特に限定されず既知の方法で透明導電膜2上に設けることができる。例えば、ゾルゲル法や、分散体ペーストの塗布、また、電析や電着させる方法がある。
このような半導体層3の厚さは、用いる酸化物により最適値が異なるため特には限定されないが、0.1μm〜50μm、好ましくは3〜30μmである。
[増感色素]
増感色素4としては、太陽光により励起されて前記金属酸化物半導体3に電子注入できるものであればよく、一般的に色素増感太陽電池に用いられている色素を用いることができるが、変換効率を向上させるためには、その吸収スペクトルが太陽光スペクトルと広波長域で重なっていて、耐光性が高いことが望ましい。
増感色素4としては、特に限定はされないが、ルテニウム錯体、特にルテニウムポリピリジン系錯体が望ましく、さらに望ましいのは、Ru(L)2(X)2で表されるルテニウム錯体が望ましい。ここで、Lは4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン、もしくはその4級アンモニウム塩、およびカルボキシル基が導入されたポリピリジン系配位子であり、また、XはSCN、Cl、CNであり、例えばビス(4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ジイソチオシアネートルテニウム錯体などが挙げられる。
他の色素としては、ルテニウム以外の金属錯体色素、例えば鉄錯体、銅錯体などが挙げられる。さらに、シアン系色素、ポルフィリン系色素、ポリエン系色素、クマリン系色素、シアニン系色素、スクアリン酸系色素、スチリル系色素、エオシン系色素などの有機色素が挙げられる。
これらの色素には、金属酸化物半導体3への電子注入効率を向上させるため、該金属酸化物半導体3との結合基を有していることが望ましい。該結合基としては、特に限定はされないが、カルボキシル基、スルホン酸基、ヒドロキシル基などが望ましい。
上記色素を溶解するために用いる溶媒の例としては、エタノールなどのアルコール類、アセトニトリルなどの窒素化合物、アセトンなどのケトン類、ジエチルエーテルなどのエーテル類、クロロホルムなどのハロゲン化脂肪族炭化水素、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼンなどの芳香族炭化水素、酢酸エチルなどのエステル類などが上げられる。溶液中の色素濃度は、使用する色素及び溶媒の種類により適宜調整することができ、半導体表面に十分吸着させるためには、ある程度高濃度である方が望ましい。例えば、4×10−5mol/L以上の濃度が望ましい。
多孔質金属酸化物半導体3へ増感色素4を吸着させる方法は、特には限定されるものではなく、例としては室温条件、大気圧下において、色素を溶解させた溶液中に前記多孔質金属酸化物半導体3を形成させた電極基体8を浸漬する方法が挙げられる。浸漬時間は使用する半導体、色素、溶媒の種類、色素の濃度により、半導体層3に均一に色素の単分子膜が形成されるよう、適宜調節することが好ましい。なお、吸着を効果的に行うには加熱下での浸漬を行えばよい。
[電解質層]
電解質層5は、本発明においては疎水性のイオン性液体と非プロトン性極性溶媒の混合溶媒に酸化還元対を溶かしたものである。
疎水性イオン性液体の具体例としては、アニオンもしくはカチオン、あるいはアニオン、カチオン双方にフッ素を有する化合物が挙げられ、例えばアニオンとしてビス(フルオロスルホニル)イミド、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ビス(パーフルオロエタンスルホニル)イミド、ビス(フルオロスルホニル)メチリド、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)メチリド、ビス(パーフルオロエタンスルホニル)メチリド、ビス(トリフルオロアセチル)イミド、ビス(トリフルオロアセチル)メチリド等が挙げられる。中でもビス(フルオロスルホニル)イミド、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンが好ましく使用できる。なおこれらアニオンは単独で用いられる他、2種以上を組合せても良い。
前記イオン性液体のカチオンとしては、具体的には、アンモニウム、イミダゾリウム、オキサゾリウム、チアゾリウム、オキサジアゾリウム、トリアゾリウム、ピロリジニウム、ピリジニウム、ピペリジニウム、ピラゾリウム、ピリミジニウム、ピラジニウム、トリアジニウム、ホスホニウム、スルホニウム、カルバゾリウム、インドリウム及びこれらのフッ素誘導体が挙げられ、中でもアンモニウム、イミダゾリウム、ピリジニウム、ピペリジニウム、ピラゾリウム、スルホニウムが好ましい。さらに低粘度化の点においてはイミダゾリウムが特に好ましい。
また、電解質層5を構成する酸化還元対としては、一般に電池や太陽電池などにおいて使用することのできるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ハロゲン二原子分子とハロゲン化物塩との組み合わせ、チオシアン酸アニオンとチオシアン酸二分子の組み合わせ、ポリピリジルコバルト錯体やハイドロキノンなどの有機レドックスが挙げられる。この中では特にヨウ素分子とヨウ化物との組み合わせが好適である。酸化還元対の濃度は通常0.1〜10mol/Lであり、より好ましくは0.1〜5mol/Lである。
前記疎水性イオン性液体に混合する非プロトン性極性溶媒としては、酸化還元対を溶解でき、また前記疎水性イオン性液体と相溶するものであれば特に制限されないが、素子の高温耐久性を保持することを考慮すると高沸点の有機溶媒が望ましい。
具体的には、メトキシプロピオニトリルなどのニトリル化合物、γ−ブチルラクトンなどのラクトン化合物、エチレンカーボネートやプロピレンカーボネートなどのカーボネート化合物、さらにはジメチルホルムアミドやジメチルスルホキシドなどが挙げられ、中でもメトキシプロピオニトリル、プロピレンカーボネートなどが好ましく使用することができる。なお、これらはそれぞれ単独で、又は2種以上混合して用いることができる。
また、前記非プロトン性有機溶媒としては、イオン性液体を使用することもできる。イオン性液体としては、疎水性を持たず、室温(25℃)より低い融点を有する塩か、または室温よりも高い融点を有しても、他の溶融塩や溶融塩以外の添加物を溶解させることにより室温で液状化する塩であれば特に限定されないが、素子性能を向上させるためにはできるだけ粘度が低いものが望ましい。
前記非プロトン性有機溶媒の混合量としては、1%以上が好ましく、素子の耐久性も考慮すると1%以上20%以下が特に好ましい。また、混合する前記非プロトン性有機溶媒の沸点は100℃以上が好ましく、150℃以上が特に好ましい。屋外使用を想定した場合、太陽電池素子は65〜85℃条件で安定であることが求められており、混合溶媒の沸点が低すぎると、高温条件での安定性が低下し、主溶媒であるイオン性液体の特長が失われてしまうため適切ではない。
前記電解質層5にはさらに支持電解質として、リチウム塩やイミダゾリウム塩、4級アンモニウム塩など、添加剤として、t−ブチルピリジン、n−メチルイミダゾールなどの塩基やグアニジウムチオシアネート等のチオシアネート類や水等を添加することができる。これらの添加剤は電解質層の特性を損ねない程度に添加することができる。また、適当なゲル化剤を添加することで物理的、化学的にゲル化することもできる。
[対向電極]
対向電極9は、電極基材7の表面に導電性高分子触媒層6が形成された構造をしている。該電極基材7は、導電性高分子触媒層6の支持体兼集電体として用いられるため、表面部分に導電性を有していることが好ましい。
このような材質としては、例えば導電性を有する金属や金属酸化物、炭素材料や導電性高分子などが好適に用いられる。金属としては、例えば白金、金、銀、ルテニウム、銅、アルミニウム、ニッケル、コバルト、クロム、鉄、モリブデン、チタン、タンタル、およびそれらの合金などが挙げられる。炭素材料としては、特に限定はされないが、例えば黒鉛(グラファイト)、カーボンブラック、グラッシーカーボン、カーボンナノチューブ、フラーレンなどが挙げられる。また、FTO、ITO、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化アンチモンなどの金属酸化物を用いた場合、透明または半透明であるため増感色素層への入射光量を増加させることができ、好適に用いることができる。
また、少なくとも該電極基材7の表面が導電性を有するように処理すれば、例えばガラスやプラスチックなどの絶縁体を用いても構わない。このような絶縁体に導電性を付与する処理方法としては、前記の導電性材料にて、該絶縁性材料表面の一部もしくは全面を被覆する方法、例えば金属を用いる場合、メッキや電析などの溶液法、また、スパッタ法や真空蒸着等の気相法が挙げられ、金属酸化物を用いる場合はゾルゲル法などが用いることができる。また、前記導電性材料の粉末などを一種もしくは複数用いて絶縁性材料と混和させるなどの方法が挙げられる。
さらに、対向電極9の基材7として絶縁性材料を用いた場合でも、該基材7上に導電性の高い導電性高分子触媒層6を設けることで、該触媒層6が単独で集電体と触媒との双方の機能を果たすことができ、対向電極9として使用することができる。
また、該電極基材7の形状は、触媒電極として用いる色素増感太陽電池10の形状に応じて変更することができるため特には限定されず、板状としてもフィルム状で湾曲できるものでも構わない。
さらに、該電極基材7は透明でも不透明でも構わないが、増感色素4への入射光量を増加させることができるため、また、場合によっては意匠性が向上できるため透明または半透明であることが望ましい。
電極基材7として一般的には、FTO被膜付ガラスやITO膜付PET、ITO膜付PENフィルムが用いられているが、用いる材料により導電性が異なるため、導電層の厚さについて特には限定されない。例えば、FTO被膜付ガラスでは、0.01μm〜5μmであり、好ましくは0.1μm〜1μmである。また、必要とされる導電性は、使用する電極の面積により異なり、広い電極ほど低抵抗であることが求められるが、一般的に100Ω/□以下、好ましくは10Ω/□以下、より好ましくは5Ω/□以下である。
電極基材7の厚さは、上述のように太陽電池の形状や使用条件により異なるため特に限定はされないが、一般的に1μm〜1cm程度である。
導電性高分子触媒層6としては、電解質中の酸化還元対(例えば、I /I等)の酸化体を還元体に変化させる還元反応(例えば、I をIに還元する反応)を速やかに進行させることが可能な電極特性を有する導電性高分子であれば使用することができるが、使用する導電性高分子を構成するモノマーの具体例として、下記一般式(3)で示されるチオフェン化合物が挙げられる。
Figure 2007317446
(式(1)中、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基又はアルコキシ基、炭素原子数6〜12のアリール基、シアノ基、チオシアノ基、ハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、カルボキシル基、スルホ基、又はホスホニウム基を示し、RとRは連結して環を形成していてもよい。)
中でも、チオフェン、テトラデシルチオフェン、イソチアナフテン、3−フェニルチオフェン、3,4−エチレンジオキシチオフェン及びそれらの誘導体などが好ましく使用でき、特に3,4−エチレンジオキシチオフェン、ヒドロキシメチル−3,4−エチレンジオキシチオフェン、アミノメチル−3,4−エチレンジオキシチオフェン等を好ましく使用することができる。なお、チオフェン化合物を1種又は2種以上用いて導電性高分子触媒層6を形成してもよい。
導電性高分子触媒層6を形成するのに用いるモノマーは、重合した膜としての電導度が10−9s/cm以上を示すものが望ましい。
また、導電性高分子触媒層6には、電導度を向上させるためにドーパントを添加することが望ましい。このドーパントとしては、公知の材料が使用できる。ドーパントの具体例として、ヨウ素、臭素、塩素等のハロゲンアニオン、ヘキサフロロリン、ヘキサフロロヒ素、ヘキサフロロアンチモン、テトラフロロホウ素、過塩素酸等のハロゲン化物アニオン、メタンスルホン酸、ドデシルスルホン酸等のアルキル基置換有機スルホン酸アニオン、カンファースルホン酸等の環状スルホン酸アニオン、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ベンゼンジスルホン酸等のアルキル基置換または無置換のベンゼンモノまたはジスルホン酸アニオン、2−ナフタレンスルホン酸、1,7−ナフタレンジスルホン酸等のスルホン酸基を置換させたナフタレンスルホン酸のアルキル基置換または無置換アニオン、アントラセンスルホン酸、アントラキノンスルホン酸、アルキルビフェニルスルホン酸、ビフェニルジスルホン酸等のアルキル基置換または無置換のビフェニルスルホン酸イオン、ポリスチレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合体等の高分子スルホン酸アニオン、置換または無置換の芳香族スルホン酸アニオン、ビスサルチレートホウ素、ビスカテコレートホウ素等のホウ素化合物アニオン、あるいはモリブドリン酸、タングストリン酸、タングストモリブドリン酸等のヘテロポリ酸アニオン等が挙げられる。ドーパントは1種あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
ドーパントの脱離を抑制するため、無機アニオンよりも有機酸アニオンであることが望ましく、熱分解などが起きにくいことが望ましい。また高分子化合物のドーパントよりも低分子化合物のドーパントである方が膜形成後の電気伝導性が高くなるため望ましい。
導電性高分子触媒層6におけるドーパントの使用量は、使用するドーパント種により最適値が異なるため特に限定されないが、好ましくは5〜60質量%、さらに好ましくは10〜45質量%である。
このようなドーパントは導電性高分子触媒層6を形成させる際に、導電性高分子のモノマーと共存させておくことができる。
前記導電性高分子触媒層6は、電極基材7上に形成される。形成方法は特に限定されないが、例えば、導電性高分子を溶融状態もしくは溶解させた溶液から成膜する方法が挙げられる。
また、より大きな表面積を有する多孔質状態であることが望ましいため、導電性高分子のモノマーを含む溶液と電極基材7を接触させた状態で、モノマーを化学的もしくは電気化学的に酸化重合する方法が挙げられる。
また、導電性高分子粉末を、ペースト状、もしくはエマルジョン状、もしくは高分子溶液およびバインダーを含む混合物形態に処理した後に、該電極基材7上へスクリーン印刷、スプレー塗布、刷毛塗りなどにより形成させる方法も可能である。
前記導電性高分子触媒層6の形成方法としては、前記の中でも電解重合法もしくは化学重合法が好ましく、特に化学重合法が好ましい。化学重合法は、酸化剤を用いて重合モノマーを酸化重合させる方法である。一方、電解重合法は、重合モノマーを含む溶液中で電解酸化を行うことにより金属などの電極上に導電性高分子の膜を形成する方法である。
化学重合法に用いられる酸化剤としては、ヨウ素、臭素、ヨウ化臭素、二酸化塩素、ヨウ素酸、過ヨウ素酸、亜塩素酸等のハロゲン化物、五フッ化アンチモン、五塩化リン、五フッ化リン、塩化アルミニウム、塩化モリブデン等の金属ハロゲン化物、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、無水クロム酸、第二鉄塩、第二銅塩等の高原子価金属塩、硫酸、硝酸、トリフルオロメタン硫酸等のプロトン酸、三酸化硫黄、二酸化窒素等の酸素化合物、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過ホウ酸ナトリウム等のペルオキソ酸またはその塩、あるいはモリブドリン酸、タングストリン酸、タングストモリブドリン酸等のヘテロポリ酸またはその塩などがあり、これらの少なくとも1種を用いることができる。
前記の化学重合法は大量生産向きであるものの、芳香族化合物モノマーを含有する溶液中で酸化剤と作用させると、得られる高分子は粒子状もしくは塊状の形態になってしまい、所望の多孔性を発現させる電極形状に成型することは困難である。したがって、電極基材7を芳香族化合物モノマーもしくは酸化剤のどちらかを含む溶液に浸漬するか、それらに該溶液を塗布した後、続いてもう一方の成分を溶解させた溶液に浸漬もしくは塗布するなどして、前記電極基材7表面で重合が進行するようにし、導電性高分子を形成させることが望ましい。
もしくは、モノマーと重合開始剤を混ぜた溶液に重合速度を低下させる添加剤を加え、室温で重合が起こらない条件下で膜化した後、加熱反応させることで多孔質導電性高分子膜を作製することができる。膜化の方法については特に限定されないが、例としてスピンコート法、キャスト法、スキージ法、スクリーンプリント法などが挙げられる。
重合速度を低下させる添加剤については、公知文献「Synthetic Metals」66,(1994)263によると、重合開始剤が高原子価金属塩、例えばFe(III)塩の場合、Fe(III)塩の酸化電位がpHによって変化するため、塩基を加えることで重合速度を遅らせることができる。塩基の例としては、イミダゾールやジメチルスルホキシドなどが挙げられる。
前記モノマーと重合開始剤、添加剤を溶解・混合させる溶媒は用いる化合物を溶解し、電極基材7および重合物を溶かさないものであれば特に制限はないが、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ノルマルブタノールなどのアルコール類が挙げられる。
前記モノマーと重合開始剤、添加剤の混合比は用いる化合物、目的とする重合度、重合速度により変化するが、モル比でモノマー:重合開始剤で1:0.3〜1:3、重合開始剤:添加剤で1:0.05〜1:4の間が好ましい。
また、前記混合溶液を塗布した後加熱重合する場合の加熱条件は用いるモノマー、重合触媒、添加剤の種類およびそれらの混合比、濃度、塗布膜厚などにより異なるが、好適な条件としては空気中加熱で加熱温度が25〜120℃、加熱時間が1分〜12時間の間である。
また、別途作製した導電性高分子粒子分散液やペーストなどを用いて、電極基材7もしくは導電膜付きの電極基材表面に導電性高分子膜を形成後、前記化学重合を行って導電性高分子粒子を成長させる方法を行うこともできる。
対向電極9における導電性高分子触媒層6の厚さは、5nm〜5μmが適当であり、特に好ましくは50nm〜2μmである。
以上説明したような各構成要素材料を準備した後、従来公知の方法で金属酸化物半導体電極と触媒電極とを電解質層5を介して対向させるように組み上げ、色素増感太陽電池10を完成させる。
以下、本発明を実施例に基づいて、より詳細に説明するが、本発明はこれらによりなんら限定されるものではない。
以下、本発明を実施例に基づいて、より詳細に説明するが、本発明はこれらによりなんら限定されるものではない。
〈実施例1〉
[多孔質金属酸化物半導体の作製]
ガラスからなる透明基体1上にフッ素をドープしたSnOからなる透明導電膜を真空蒸着により形成した透明導電膜2上に、以下の方法で多孔質金属酸化物半導体層3を形成した。
透明基体1上に透明導電膜2が形成された電極基体8として、FTOガラス(日本板ガラス株式会社製)を用い、その表面に市販の酸化チタンペースト(触媒化成株式会社製、商品名TSP−18NR、粒子サイズ20nm)をスクリーン印刷法で10μm程度の膜厚、5mm×10mm程度の面積で、透明導電膜2側に印刷し、さらにその上に同面積で、市販の酸化チタンペースト(触媒化成株式会社製、商品名TSP−400C、粒子サイズ400nm)をスクリーン印刷法で、5μm程度の膜厚に塗布し、500℃で30分間、大気中で焼成した。その結果、膜厚が15μm程度の酸化チタン膜(多孔質金属酸化物半導体膜3)が得られた。
[増感色素の吸着]
増感色素4として、一般にN719dyeと呼ばれるビス(4−カルボキシ−4’−テトラブチルアンモニウムカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ジイソチオシアネートルテニウム錯体(Solaronix社製)を使用した。前記多孔質酸化チタン半導体電極を色素濃度0.4mmol/Lの無水エタノール溶液中に浸漬し、遮光下1晩静置した。その後無水エタノールにて余分な色素を洗浄してから風乾することで太陽電池10の半導体電極を作製した。
[電解液の調整]
次に、電解質層5を構成する実施例1〜12および比較例1〜8の電解液を調製した。溶媒として表1に示す配合の溶媒を用い、それに0.2mol/Lのヨウ素、2.0mol/Lの1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイド、0.5mol/Lの4−t−ブチルピリジンを溶かすことにより作製した。なお、表1において、用いた略号の意味は以下の通りである。
EMImTFSI:1−エチル−3−メチルイミダゾリウム−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド
EMImFSI:1−エチル−3−メチルイミダゾリウム−ビス(フルオロスルホニル)イミド
EMImSCN:1−エチル−3−メチルイミダゾリウム−チオシアネート
EMImDCA:1−エチル−3−メチルイミダゾリウム−ジシアノアミド
PC:プロピレンカーボネート(沸点:242℃)
MPN:3−メトキシプロピオニトリル(沸点:168℃)
AN:アセトニトリル(沸点:81.6℃)
なお、本実施例で使用した各材料は市販の材料もしくは公知の方法により合成したものを用いた。
Figure 2007317446
[対向電極(対極)の作製]
対向電極9として、白金スパッタガラス(以下、Pt対極)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)塗布導電性ガラス(以下、PEDOT対極)、ポリ(ヒドロキシメチル−3,4−エチレンジオキシチオフェン)(以下、PEDOT−MeOH対極)の三種を各電解液についてそれぞれ用いた。
Pt対極は電極基材7としてITO導電性ガラスを用い、その上にスパッタ法によりPtを蒸着したPt対極(ジオマテック製)を使用した。PEDOT、PEDOT−MeOH対極は電極基材7としてFTO被膜付きガラス(旭硝子製、〜10Ω/□)を用いた。
PEDOT、PEDOT−MeOH対極は、有機溶媒中で超音波洗浄した電極基材7に、モノマーである3,4−エチレンジオキシチオフェンあるいはヒドロキシメチル−3,4−エチレンジオキシチオフェントリス−p−トルエンスルホン酸鉄(III)、ジメチルスルホキシドを8:1:1の重量比でn−ブタノールに溶解させた反応溶液をスピンコート法にて塗布した。スピンコートの回転条件は2000rpmで30秒の条件で行い、溶液における3,4−エチレンジオキシチオフェンの濃度は0.48Mであった。続いて、溶液を塗布した電極基材7を110℃に保持した恒温槽に入れ、5分間加熱させることで重合を行い、PEDOT、PEDOT−MeOH対極を作成した。形成したPEDOT、PEDOT−MeOH薄膜の膜厚はそれぞれ約0.3μm、0.4μmであった。
[太陽電池セルの組み立て]
前記のように作製した対向電極9に電気ドリルで1mmφの電解液注入孔を適当な位置に2個設けたのち、前記のように作製した透明導電膜2を具備した透明基体1上の酸化チタン膜3からなる電極基体8(作用極)と、対向電極9の間に熱可塑性シート(ハイミラン1652:三井・デュポンポリケミカル製、膜厚30μm)を挟み、熱圧着する事により両電極を接着した。次に、前記のように作製した電解液を電解液注入孔から毛管現象にて両電極間に含浸させた後、電解液注入孔上に1mm厚のガラス板を置き、その上にUVシール剤(スリーボンド社製の試作品 31X−101)を塗布し、UV光を100mW/cmの強度で30秒照射することで封止を実施し、太陽電池素子を作製した。
[太陽電池の光電変換効率・耐久性評価]
表1の電解液、三種の対極を用いて作成した太陽電池の評価を以下の手法で実施した。 性能評価には、AMフィルターを具備したキセノンランプのソーラーシュミレーターXES−502S(関西科学機械株式会社製)にて、AM1.5Gのスペクトル調整後、100mW/cmの照射条件下で、ポテンシオスタットによる負荷特性(I−V特性)を評価した。太陽電池の評価値は、開放電圧Voc(V)、短絡電流密度Jsc(mA/vcm)、形状因子FF(−)、変換効率η(%)が挙げられるが、最終的な太陽電池の性能の良否は、変換効率ηの大小で評価した。
熱耐久性評価は、セル作成直後の初期の変換効率と、85℃・85%RHに保持した恒温恒湿度槽中で500時間保持後、室温まで冷却した素子の変換効率ηを再度測定することで太陽電池性能保持率を算出した。なお、恒温恒湿度槽中に保持した太陽電池の状態は、開放状態とした。光電変換効率・耐久性評価の結果を表2に示す。
Figure 2007317446
表2の通り、電解液の溶媒にEMImTFSIやEMImFSIなどの疎水性イオン液体に非プロトン性極性溶媒を1〜50%混合した実施例1〜12、比較例3は疎水性イオン性液体のみを用いた比較例1、2と比べてPEDOT、PEDOT−MeOH対極を使用した素子の性能が向上し、Pt対極素子と同等の性能を示した。また、比較例4〜8のように非疎水性のイオン性液体や有機溶媒およびそれらの組み合わせを使用した電解液ではこのような挙動が見られなかった。
このような挙動の理由として、疎水性イオン性液体と極性基を多く持つPEDOT、PEDOT−MeOH対極のような有機導電性高分子対極表面との濡れ性が悪いために電解質と対極間の電荷移動が妨げられ対極性能が低下していたが、極性溶媒を添加することにより濡れ性が改善し、性能が向上した事が挙げられる。なおこの現象はインピーダンス測定における電解液/対極間の界面抵抗の変化からも確認できた。
素子性能、耐久性双方の観点から比較すると、PEDOT対極を使用した系において、実施例1〜10のようにPCを疎水性イオン性液体に混合した場合、PC混合量が高くなるにつれて素子性能は向上し、比較例4のPCのみの値に近づいていき、一方素子性能保持率は疎水性イオン性液体のみの比較例1、2に比べて低下していくが、少なくとも80%以上の保持率を示しており、比較例4に比べると高い。また同様に、MPNを混合した実施例11もMPN単独の比較例5と比べて性能保持率は大きく向上している。一方、比較例3のアセトニトリルを混合した場合、同じ混合率の実施例3、8、11、12と比べると性能保持率が劣っている。これはアセトニトリルの沸点が81.6℃と低いためであり、実用を考えると主溶媒、混合溶媒としては適していないといえる。
なお、比較例、実施例において、PEDOT系対極を使用した素子はPt対極を使用した素子に比べて耐久性が高くなっており、特に溶媒の疎水性が低いほど顕著に見られている。これは耐久性試験中に電解液が水分を吸収し、スパッタPt対極が水分存在下でヨウ素電解液に溶解していることが原因として考えられる。よって、PEDOT系対極素子の方が耐湿度性が高い素子と言える。
非疎水性のイオン性液体であるEMImDCAを主溶媒として使用した比較例7、8については、素子性能は高いものの、性能保持率は疎水性イオン性液体を使用した実施例1〜12に対して劣っている。これは比較例7、8のイオン性液体は疎水性ではないため水分を吸収しやすく、長期間の高温・高湿度状態での耐久性が低下する原因となっていると言える。
以上のように、PEDOTなどの有機対極を使用した素子において、疎水性イオン性液体と高沸点の非プロトン性極性溶媒の混合溶媒を電解液に使用することにより、イオン性液体系のみを使用した場合と比べて十分な耐久性と高い素子性能を両立させることができる。また、有機対極を使用することにより、素子全体のコスト低下、製造プロセスの簡略化が可能となるとともに、素子の耐湿性が向上する。また、適切な封止剤を選択するともに、使用条件や用途によって非プロトン性極性溶媒の混合比率を変えることで、使用条件下で十分な耐久性を保ちつつ、素子性能を向上させることもできる。
本発明にかかる光電変換素子は、屋内外使用に耐えうる高温耐久性を有する色素増感太陽電池として好適に用いられるものであり、さらに太陽電池だけでなく、光センサーなどとしても利用することができる。
実施形態の色素増感太陽電池の基本構造を示す模式断面図である。
符号の説明
1・・・透明基体
2・・・透明導電膜
3・・・多孔質金属酸化物半導体(層)
4・・・増感色素
5・・・電解質層
6・・・導電性高分子触媒層
7・・・電極基材
8・・・電極基体
9・・・対向電極
10・・・色素増感太陽電池

Claims (5)

  1. 電極基体上に、光増感作用を有する色素を含む光透過性の半導体電極と、酸化還元対となる化学種を含む電解質層と、前記半導体電極に対向配置される対向電極を有する色素増感太陽電池であって、前記対向電極が前記酸化還元対に対する触媒活性を有する導電性高分子触媒層から構成されているとともに、前記電解質層が非プロトン性極性溶媒を含む疎水性イオン性液体の混合溶媒から構成されることを特徴とする色素増感太陽電池。
  2. 前記電解質層が1%以上の非プロトン性極性溶媒を含む疎水性イオン性液体の混合溶媒から構成されることを特徴とする請求項1に記載の色素増感太陽電池。
  3. 前記導電性高分子が3,4−エチレンジオキシチオフェン又はその誘導体の重合物から構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の色素増感太陽電池。
  4. 前記疎水性イオン性液体がアニオンとして下記式(1)で表されるビス(フルオロスルホニル)イミド、又は下記式(2)で表されるビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の色素増感太陽電池。
    Figure 2007317446
    Figure 2007317446
  5. 前記非プロトン性溶媒の沸点が100℃以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の色素増感太陽電池。
JP2006144589A 2006-05-24 2006-05-24 色素増感太陽電池 Pending JP2007317446A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006144589A JP2007317446A (ja) 2006-05-24 2006-05-24 色素増感太陽電池

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006144589A JP2007317446A (ja) 2006-05-24 2006-05-24 色素増感太陽電池

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2007317446A true JP2007317446A (ja) 2007-12-06

Family

ID=38851133

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006144589A Pending JP2007317446A (ja) 2006-05-24 2006-05-24 色素増感太陽電池

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2007317446A (ja)

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010125953A1 (ja) * 2009-04-30 2010-11-04 横浜ゴム株式会社 光電変換素子用電解質ならびにその電解質を用いた光電変換素子および色素増感太陽電池
JP2012084374A (ja) * 2010-10-12 2012-04-26 Sony Corp 光電変換素子、光電変換素子の製造方法、光電変換素子用電解質層および電子機器
EP2458605A1 (en) 2008-11-26 2012-05-30 Sony Corporation Functional device and method for producing the same
WO2012051452A3 (en) * 2010-10-13 2012-06-07 Akamai Technologies, Inc. Protecting websites and website users by obscuring urls
WO2012117867A1 (ja) * 2011-03-02 2012-09-07 ソニー株式会社 光電変換素子、光電変換素子の製造方法および電子機器
WO2013035207A1 (en) * 2011-09-05 2013-03-14 Nec Corporation Graphene counter electrode for dye sensitized solar cell
CN103004012A (zh) * 2010-08-25 2013-03-27 横滨橡胶株式会社 光电转换元件用电解质、以及使用该电解质的光电转换元件和染料敏化太阳能电池
CN103155269A (zh) * 2010-10-29 2013-06-12 横滨橡胶株式会社 光电转换元件用电解质以及使用该电解质的光电转换元件和染料敏化太阳能电池
JP2013131477A (ja) * 2011-12-22 2013-07-04 Merck Ltd コバルト電解質、電解液、色素増感太陽電池およびコバルト電解質の製造方法
JP2013149491A (ja) * 2012-01-19 2013-08-01 Osaka Gas Co Ltd 電解液及び光電変換素子
JP2020126965A (ja) * 2019-02-06 2020-08-20 株式会社豊田中央研究所 電解質、太陽電池、太陽電池モジュール及び太陽電池の製造方法

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2458605A1 (en) 2008-11-26 2012-05-30 Sony Corporation Functional device and method for producing the same
CN102379059A (zh) * 2009-04-30 2012-03-14 横滨橡胶株式会社 光电转换元件用电解质、以及使用了该电解质的光电转换元件和染料敏化太阳能电池
WO2010125953A1 (ja) * 2009-04-30 2010-11-04 横浜ゴム株式会社 光電変換素子用電解質ならびにその電解質を用いた光電変換素子および色素増感太陽電池
CN103004012A (zh) * 2010-08-25 2013-03-27 横滨橡胶株式会社 光电转换元件用电解质、以及使用该电解质的光电转换元件和染料敏化太阳能电池
JP2012084374A (ja) * 2010-10-12 2012-04-26 Sony Corp 光電変換素子、光電変換素子の製造方法、光電変換素子用電解質層および電子機器
WO2012051452A3 (en) * 2010-10-13 2012-06-07 Akamai Technologies, Inc. Protecting websites and website users by obscuring urls
CN103155269A (zh) * 2010-10-29 2013-06-12 横滨橡胶株式会社 光电转换元件用电解质以及使用该电解质的光电转换元件和染料敏化太阳能电池
WO2012117867A1 (ja) * 2011-03-02 2012-09-07 ソニー株式会社 光電変換素子、光電変換素子の製造方法および電子機器
WO2013035207A1 (en) * 2011-09-05 2013-03-14 Nec Corporation Graphene counter electrode for dye sensitized solar cell
JP2013131477A (ja) * 2011-12-22 2013-07-04 Merck Ltd コバルト電解質、電解液、色素増感太陽電池およびコバルト電解質の製造方法
JP2013149491A (ja) * 2012-01-19 2013-08-01 Osaka Gas Co Ltd 電解液及び光電変換素子
JP2020126965A (ja) * 2019-02-06 2020-08-20 株式会社豊田中央研究所 電解質、太陽電池、太陽電池モジュール及び太陽電池の製造方法
JP7290954B2 (ja) 2019-02-06 2023-06-14 株式会社豊田中央研究所 電解質、太陽電池、太陽電池モジュール及び太陽電池の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5215314B2 (ja) 導電性高分子電極の製造方法及びそれを備えた色素増感太陽電池
JP5143476B2 (ja) 光電変換素子
JP2007317446A (ja) 色素増感太陽電池
KR101781062B1 (ko) 색소 증감 태양전지용 전해액 및 이를 이용한 색소 증감 태양전지, 색소 증감 태양전지의 제조방법, 및 색소 증감 태양전지용 전해액의 광전 변환효율 향상방법
JP5475145B2 (ja) 光電変換素子
JP4895361B2 (ja) 色素増感太陽電池用の電解質−触媒複合電極、及びその製造方法並びにこれを備えた色素増感太陽電池
JP5006573B2 (ja) 色素増感太陽電池
JP2007128757A (ja) 色素増感太陽電池
JP2013020789A (ja) 色素増感太陽電池用電解液およびそれを用いた色素増感太陽電池
JP5355645B2 (ja) 色素増感太陽電池用電解液およびそれを用いた色素増感太陽電池
JP2013058400A (ja) 色素増感太陽電池用電解液およびそれを用いた色素増感太陽電池
JP5960033B2 (ja) 酸化還元対およびそれを用いた光電変換素子
JP5881151B2 (ja) 色素増感太陽電池用電解液およびそれを用いた色素増感太陽電池
JP5701633B2 (ja) 色素増感太陽電池用電解液およびこれを利用した色素増感太陽電池
JP2007005083A (ja) 色素増感型太陽電池および色素増感型太陽電池の製造方法
JP2014192111A (ja) 色素増感太陽電池用電解液およびこれを利用した色素増感太陽電池
JP2006318771A (ja) 色素増感型太陽電池の触媒電極、及びそれを備えた色素増感型太陽電池
JP5607439B2 (ja) 色素増感太陽電池用電解液及びそれを備えた色素増感太陽電池
JP6315796B2 (ja) 色素増感太陽電池用電解液及びそれを用いた色素増感太陽電池
WO2007125852A1 (ja) 導電性高分子電極の製造方法、及びそれを備えた色素増感太陽電池
JP2013097909A (ja) 色素増感太陽電池用電解液及びそれを用いた色素増感太陽電池