JP2007005083A - 色素増感型太陽電池および色素増感型太陽電池の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた光電変換効率を発揮する色素増感型太陽電池およびその製造方法を提供する。
【解決手段】光電極5と、対向電極10と、対向電極上に設けられた触媒層7とを含み、この触媒層がプロトン酸もしくはヨウ素をドーパントとした還元ドープ状態またはプロトン酸もしくはヨウ素をドーパントとした酸化ドープ状態のポリアニリンを含む色素増感型太陽電池であって、所定の測定条件で得た当該電池の光電変換効率を、触媒層の代わりに白金膜が形成された従来型の色素増感型太陽電池から同一の測定条件で得た光電変換効率で除算した値が、0.6以上である色素増感型太陽電池とする。
【選択図】図1
【解決手段】光電極5と、対向電極10と、対向電極上に設けられた触媒層7とを含み、この触媒層がプロトン酸もしくはヨウ素をドーパントとした還元ドープ状態またはプロトン酸もしくはヨウ素をドーパントとした酸化ドープ状態のポリアニリンを含む色素増感型太陽電池であって、所定の測定条件で得た当該電池の光電変換効率を、触媒層の代わりに白金膜が形成された従来型の色素増感型太陽電池から同一の測定条件で得た光電変換効率で除算した値が、0.6以上である色素増感型太陽電池とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、電解質の酸化還元触媒に導電性高分子を用いた、色素増感型太陽電池およびその製造方法に関する。
近年、エネルギー問題や環境問題から、化石燃料に代わるエネルギー源として太陽光発電が注目されており、これまでにシリコン系の太陽電池が実用化されている。しかし、シリコン系の太陽電池は、その製造コストが高く、また原料の確保がさほど容易ではない。
このため、原料の入手が比較的容易であり、シリコン系に比してその製造コストを低下させ得るものとして、メソポーラス構造の二酸化チタン膜の表面に光増感色素を担持させた発電体を構成要素とする、色素増感型太陽電池の研究開発が盛んである。
従来型の色素増感型太陽電池では、電解質の酸化還元反応を触媒させる目的から、その対向電極と電解質層との間に白金製の触媒層が設けられている。しかし、このような白金製の触媒層は複雑かつ大きな製造設備を必要とする真空蒸着法を用いて形成する必要があるとともに、白金自体が高価であるために、色素増感型太陽電池の製造コストを高止まりさせる要因となっている。さらに、使用時に白金が溶け出してしまう場合があるため、環境問題の観点からも、白金に代わる触媒層材料が求められている。
白金の代替材料としては、ポリアニリンやポリピロールなどの導電性高分子化合物を用いる技術(特許文献1または2参照)や、種々の態様の炭素材料を用いる技術(特許文献3〜7参照)がある。なかでも、ポリアニリンは、自然環境に対する毒性が低く、また、その合成や取り扱いが容易である。さらに、ポリアニリンを還元状態とすると、その触媒活性が向上するとの報告もある(非特許文献1参照)。それゆえ代替材料として特に期待されている。
しかしながら、本発明者らが検討したところ、単に、白金触媒の代替に還元状態のポリアニリンを用いただけでは、代替えに伴った光電変換効率の低下が著しくなり、実用に好適な光電変換効率を得ることが難しい。
そこで、本発明は、ポリアニリン被膜を用いて触媒層の部材コストを引き下げるとともに、実用に好適な光電変換効率を発揮する色素増感型太陽電池を提供することを目的とする。また、この色素増感型太陽電池の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、ポリアニリン被膜の状態を制御することにより、電解質の酸化還元に対する触媒活性が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、光電極と、前記光電極に対向して配置された対向電極と、前記対向電極の内側主面上に設けられた触媒層とを含む色素増感型太陽電池であって、前記触媒層が還元ドープ状態のポリアニリンを含み、前記ポリアニリンのドーパントがプロトン酸であり、光電変換効率比が0.6以上である、色素増感型太陽電池を提供する。ただし、前記光電変換効率比は、前記触媒層の代わりに白金層を配してあること以外は前記色素増感型太陽電池と同じ構成を有する比較用色素増感型太陽電池に対して、当該比較用色素増感型太陽電池の光電極側から100mW/cm2、AM1.5の光を照射した場合に得られる光電変換効率を基準値とし、当該基準値により、前記色素増感型太陽電池に対してその光電極側から100mW/cm2、AM1.5の光を照射した場合に得られる光電変換効率を除算して求められる値とする。
なお、上記『プロトン酸』とは、1つ以上のプロトン源として、すなわちプロトン供与体として働くことができる化学種を意味する。ブレンステッド酸とも呼ばれるものである。
また、本発明は、光電極と、前記光電極に対向して配置された対向電極と、前記対向電極の内側主面上に設けられた触媒層とを含む色素増感型太陽電池であって、前記触媒層が、還元ドープ状態または酸化ドープ状態のポリアニリンを含み、前記触媒層が前記還元ドープ状態にあるときの前記ポリアニリンのドーパントがヨウ素であり、前記触媒層が前記酸化ドープ状態にあるときの前記ポリアニリンのドーパントがヨウ素またはプロトン酸であり、前記光電極側から100mW/cm2、AM1.5の光を少なくとも2.5分間照射した後の光電変換効率比が0.6以上である、色素増感型太陽電池を提供する。ただし、前記光電変換効率比は、前記触媒層の代わりに白金層を配してあること以外は前記色素増感型太陽電池と同じ構成を有する比較用色素増感型太陽電池に対して、当該比較用色素増感型太陽電池の光電極側から100mW/cm2、AM1.5の光を少なくとも2.5分間照射した後に、当該光を前記光電極側から照射した場合に得られる光電変換効率を基準値とし、当該基準値により、前記色素増感型太陽電池に対してその光電極側から100mW/cm2、AM1.5の光を少なくとも2.5分間照射した後に、当該光を前記光電極側から照射した場合に得られる光電変換効率を除算して求められる値とする。
また、本発明は、上記色素増感型太陽電池の製造に適した方法として、光電極と、前記光電極に対向して配置された対向電極と、前記対向電極の内側主面上に設けられた触媒層とを含む色素増感型太陽電池の製造方法であって、前記触媒層を形成する工程が、下記a)またはb)に示す工程を含む色素増感型太陽電池の製造方法を提供する。
a)前記対向電極の内側主面上に酸化状態のポリアニリンの溶液を塗布し、当該酸化状態のポリアニリンの被膜を形成する工程、および、ヨウ素を含む溶液またはプロトン酸を含む溶液に前記被膜を浸漬して、前記被膜中の前記酸化状態のポリアニリンの少なくとも一部を、ヨウ素またはプロトン酸をドーパントとする酸化ドープ状態のポリアニリンに転換する工程。
b)前記対向電極の内側主面上に還元状態のポリアニリンの溶液を塗布し、当該還元状態のポリアニリンの被膜を形成する工程、および、ヨウ素を含む溶液に前記被膜を浸漬して、前記被膜中の前記還元状態のポリアニリンの少なくとも一部を、ヨウ素をドーパントとする還元ドープ状態のポリアニリンに転換する工程。
a)前記対向電極の内側主面上に酸化状態のポリアニリンの溶液を塗布し、当該酸化状態のポリアニリンの被膜を形成する工程、および、ヨウ素を含む溶液またはプロトン酸を含む溶液に前記被膜を浸漬して、前記被膜中の前記酸化状態のポリアニリンの少なくとも一部を、ヨウ素またはプロトン酸をドーパントとする酸化ドープ状態のポリアニリンに転換する工程。
b)前記対向電極の内側主面上に還元状態のポリアニリンの溶液を塗布し、当該還元状態のポリアニリンの被膜を形成する工程、および、ヨウ素を含む溶液に前記被膜を浸漬して、前記被膜中の前記還元状態のポリアニリンの少なくとも一部を、ヨウ素をドーパントとする還元ドープ状態のポリアニリンに転換する工程。
また、本発明は、上記色素増感型太陽電池の製造に適した方法として、光電極と、前記光電極に対向して配置された対向電極と、前記対向電極の内側主面上に設けられた触媒層とを含む色素増感型太陽電池の製造方法であって、前記触媒層を形成する工程が、下記a)またはb)に示す工程と、前記色素増感型太陽電池の前記光電極側から、光を照射し、前記ヨウ素もしくはプロトン酸をドーパントとする酸化ドープ状態のポリアニリンまたはヨウ素をドーパントとする還元ドープ状態のポリアニリンの少なくとも一部を、プロトン酸をドーパントとする還元ドープ状態のポリアニリンに転換する工程と、を含む、色素増感型太陽電池の製造方法を提供する。
a)前記対向電極の内側主面上に酸化状態のポリアニリンの溶液を塗布し、当該酸化状態のポリアニリンの被膜を形成する工程、および、ヨウ素を含む溶液またはプロトン酸を含む溶液に前記被膜を浸漬して、前記被膜中の前記酸化状態のポリアニリンの少なくとも一部を、ヨウ素またはプロトン酸をドーパントとする酸化ドープ状態のポリアニリンに転換する工程。
b)前記対向電極の内側主面上に還元状態のポリアニリンの溶液を塗布し、当該還元状態のポリアニリンの被膜を形成する工程、および、ヨウ素を含む溶液に前記被膜を浸漬して、前記被膜中の前記還元状態のポリアニリンの少なくとも一部を、ヨウ素をドーパントとする還元ドープ状態のポリアニリンに転換する工程。
a)前記対向電極の内側主面上に酸化状態のポリアニリンの溶液を塗布し、当該酸化状態のポリアニリンの被膜を形成する工程、および、ヨウ素を含む溶液またはプロトン酸を含む溶液に前記被膜を浸漬して、前記被膜中の前記酸化状態のポリアニリンの少なくとも一部を、ヨウ素またはプロトン酸をドーパントとする酸化ドープ状態のポリアニリンに転換する工程。
b)前記対向電極の内側主面上に還元状態のポリアニリンの溶液を塗布し、当該還元状態のポリアニリンの被膜を形成する工程、および、ヨウ素を含む溶液に前記被膜を浸漬して、前記被膜中の前記還元状態のポリアニリンの少なくとも一部を、ヨウ素をドーパントとする還元ドープ状態のポリアニリンに転換する工程。
また、本発明は、上記色素増感型太陽電池の製造に適した方法として、光電極と、前記光電極に対向して配置された対向電極と、前記対向電極の内側主面上に設けられた触媒層とを含む色素増感型太陽電池の製造方法であって、前記触媒層を形成する工程が、前記対向電極の内側主面上に還元状態のポリアニリンの溶液を塗布して当該還元状態のポリアニリンの被膜を形成する工程と、プロトン酸を含む溶液に前記被膜を浸漬して、前記被膜中の前記還元状態のポリアニリンの少なくとも一部を、プロトン酸をドーパントとする還元ドープ状態のポリアニリンに転換する工程とを含む、色素増感型太陽電池の製造方法を提供する。
なお、本明細書中では、所定の測定条件(その詳細は後述する)によって0.6以上の光電変換効率比が得られるものであれば、初期の光電変換効率が低いものも、色素増感型太陽電池として扱う。
本発明によれば、構成部品のコストが引き下げられるとともに、優れた光電変換効率を発揮する色素増感型太陽電池を提供することができる。また、その製造に適した方法を提供することができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について説明する。
図1の断面図で示すように、本発明の色素増感型太陽電池は、対向する一対の光電極5および対向電極10と、対向電極10の内側に設けられた触媒層7と、この触媒層7と光電極5とに挟まれた電解質層6とを含んでいる。
上記光電極5は、光電極用基板1と、この光電極用基板1の内側の主面に接して設けられた導電膜2と、この導電膜2に接して設けられたバリアー層3と、このバリアー層3に接して設けられた酸化物半導体多孔膜4とを含んでいる。
上記対向電極10は、対向電極用基板9と、この対向電極用基板9の内側の主面に接して設けられた導電膜8とを含んでいる。さらに、この導電膜8に接して上記触媒層7が設けられている。
上記光電極用基板1の材料は、当該基板の光透過性を高くできるものほど好ましい。例えば、ガラス板や、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレンスルフィド、ポリイミドなどの樹脂シートを用いることができる。他方、上記対向電極用基板9は、金属板などの光透過性の低い基板としてもよいし、樹脂シートなどの光透過性の高い基板としてもよい。
上記導電膜2の材料としては、光透過性が高く、電気抵抗率が低いものが好ましい。例えば、酸化スズ、酸化亜鉛、ITO(スズドープ酸化インジウム)、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)などを用いることができる。他方、導電膜8の材料としては、導電膜2と同様の光透過性の高い材料を用いてもよいし、例えば、銅、ニッケル、銀、金、白金、タンタル、チタン、ルテニウム、カーボンなどの光透過性の低い導電材料を用いてもよい。
なお、この導電膜2および8は、蒸着法、スパッタリング法、化学気相成長法(CVD法)、塗工法、ゾルゲル法などの公知の方法によって形成できる。また、基板と導電膜との間には、透明性を損なわない程度で、例えば、銅、ニッケル、銀、金、白金、タンタル、チタン、ルテニウム、カーボンなどの光透過性の低い導電材料からなる導電性薄膜を配してもよい。基板9を金属板とする場合には、導電膜8を省略してもよい。
上記酸化物半導体多孔膜4は、内部に無数の微細な空孔を有し、表面に微細な凹凸構造を有した多孔質構造体(厚さ:約0.1〜100μm)である。この多孔膜4の材料としては、例えば、酸化チタン、酸化スズ、酸化タングステン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸化インジウム、酸化イットリウム、酸化ランタン、酸化タンタルなどの金属酸化物微粒子(体積平均粒径:約1〜500nm)を用いることができる。
この酸化物半導体多孔膜4は、上記金属酸化物微粒子を分散させたコロイド液や分散液等を、例えばスクリーンプリント、インクジェットプリント、ロールコート、ドクターコート、スピンコート、スプレーコートなどの塗布手段によりバリアー層3の表面に塗布した後、焼成して得ることができる。ただし、ここにおける焼成温度は600℃以下、好ましくは350℃から500℃の範囲にあるため、基板を樹脂フィルムとする場合には、これに代えて、100〜150℃の低温度帯で焼成できる金属酸化物ペーストを用いたり、マイクロ波による焼成方法を用いたりして、基板の熱変形を防止することが好ましい。
また、この酸化物半導体多孔膜4には、電池の光電変換効率を高めるため、可視光領域や赤外領域の吸収波長を有する顔料や染料等の公知の光増感色素を、単独で、または混合したものを担持させる。
上記電解質層6は電解液を含んでいる。当該電解液は、電解質を溶媒に溶解させて生成する。この電解質としては、酸化体と還元体からなる一対の酸化還元系構成物質が溶媒中に含まれていれば、特に限定されない。例えば、酸化体と還元体が同一電荷を持つ酸化還元系構成物質を用いることができる。ここで、この酸化還元系構成物質とは、酸化還元反応において、可逆的に酸化体及び還元体の形で存在する一対の物質を意味し、例えば塩素化合物−塩素、ヨウ素化合物−ヨウ素、臭素化合物−臭素、タリウムイオン(III)−タリウムイオン(I)、水銀イオン(II)−水銀イオン(I)、ルテニウムイオン(III)−ルテニウムイオン(II)、銅イオン(II)−銅イオン(I)、鉄イオン(III)−鉄イオン(II)、バナジウムイオン(III)−バナジウムイオン(II)、マンガン酸イオン−過マンガン酸イオン、フェリシアン化物−フェロシアン化物、キノン−ヒドロキノン、フマル酸−コハク酸などがあげられるが、ヨウ素化合物−ヨウ素を用いることが特に好ましい。
電解質を溶解する溶媒としては、酸化還元系構成物質を溶解できるとともに、イオン伝導性に優れた化合物が好ましい。水性溶媒、有機溶媒、常温溶融塩(イオン性液体)などを使用できるが、酸化還元系構成物質をより安定する側面からは、有機溶媒や常温溶融塩を用いることが好ましい。有機溶媒としては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネ−ト化合物、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、ガンマーブチロラクトン等のエステル化合物、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジオキソシラン、テトラヒドロフラン、2−メチルーテトラヒドラフラン等のエーテル化合物、3−メチル−2−オキサゾジリノン、2−メチルピロリドン等の複素環化合物、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル化合物、スルフォラン、ジジメチルスルフォキシド、ジメチルフォルムアミド等の非プロトン性極性化合物などがあげられる。また、常温溶融塩としては、例えば、ヨウ化1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、ヨウ化1−n−プロピル−3−メチルイミダゾリウム、ヨウ化1−n−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、ヨウ化1−n−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムなどのイミダゾリウム塩などがあげられる。これらはそれぞれ単独で用いることもできるし、また、2種類以上を混合して用いることもできる。
導電膜2と電解質層6とが接触すると、漏れ電流が増大して光電変換効率が低下してしまう場合がある。そのため、上記構造のようにバリアー層3を設けておくことが好ましい。このバリアー層3の材料としては、酸化チタンや絶縁性高分子などを用いることができる。ただし、その厚みは、光増感色素と酸化物半導体多孔膜との間で電荷分離した電子が当該バリアー層を通過できる程度の薄さとしておく必要がある。具体的には10〜500nm、好ましくは50〜200nmの範囲とする。なお、このバリアー層3は、ゾルゲル法、スパッタリング法、真空蒸着法、スピンコート法などを用いて形成できる。
上記触媒層7の材料には、プロトン酸をドーパントとする還元ドープ状態のポリアニリンが用いられている。この還元ドープ状態のポリアニリンは、後述するように、例えば還元状態のポリアニリンにプロトン酸をドーピングすることにより合成することができる。また、酸化状態のポリアニリンにプロトン酸もしくはヨウ素をドーピングした酸化ドープ状態のポリアニリン、または、還元状態のポリアニリンにヨウ素をドーピングした還元ドープ状態のポリアニリンから、後述する所定の工程によって合成することもできる。
上記還元状態または酸化状態のポリアニリンは、例えば特許2739148号等に示される公知の方法で合成してもよいし、市販のものを用いてもよい。これらは、例えば日東電工株式会社から入手できる。
ポリアニリンが還元状態にあるか、酸化状態にあるかについては、当該ポリアニリンを有機溶剤に溶解させた溶液から吸収スペクトルを測定し、(酸化度指数:ODI(Oxidation Degree Index))を算出することにより判別することもできる。当該酸化度指数(ODI)とは、図2で示すように、測定した吸収スペクトルのうち、640nm付近の吸収極大の吸光度をA640とし、340nm付近の吸収極大の吸光度をA340とした場合に、A640/A340で表される値をいう。
このODI値が0に近いほど、ポリアニリンが完全な還元脱ドープ状態(フェニレンジアミン構造のみからなる状態)に近いことを意味し、0.8に近いほど、溶解しているポリアニリンが酸化脱ドープ状態(フェニレンジアミン構造とキノンジイミン構造とが1:1の比率にある状態)に近いことを意味する。なお、還元状態のポリアニリンとは、このODI値が0以上0.2以下の範囲内にあるものをいう。
還元状態:m=0、n=1
酸化状態:m=0.5、n=0.5
還元状態:m=0、n=1
酸化状態:m=0.5、n=0.5
ポリアニリンは、上述したように、フェニレンジアミン構造の含有率が増加すると還元状態へとシフトし、キノンジイミン構造の含有率が増加すると酸化状態へとシフトするが、このシフトの度合いは、例えばフェニルヒドラジン等の還元剤の添加量を調整することにより制御することができる(例えば、日東技法Vol.32、No.1、p75−p85、1994 参照)。
この触媒層7は、例えば、還元状態または酸化状態のポリアニリンを、その濃度が0.05〜4質量%、好ましくは0.1〜3質量%となるように有機溶剤に溶解させて調製したポリアニリン溶液(スラリー)を用い、次のようにして形成することができる。なお、この有機溶剤としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラン等を用いることができる。なかでも、N−メチル−2−ピロリドンは、上記ポリアニリンの溶解性が特に高いため好ましい。
まず、上記ポリアニリンのスラリーを、スピンコート法、ドクターブレード法、スクリーン印刷法などによって、対向電極用基板の上に塗布した後、これを乾燥させて還元状態または酸化状態のポリアニリン被膜を形成する。
ポリアニリンを乾燥させる際は、その乾燥温度を低温から徐々に高温に上げて行くことが好ましい。具体的には、乾燥初期の温度を80℃以下、時間を4時間、好ましくは60℃以下、2時間とし、乾燥後期の温度を150℃以下、時間を1時間、好ましくは120℃以下、2時間とする。なお、乾燥初期から高い乾燥温度で急激に乾燥させると、内部に溶剤を残したままポリアニリン被膜が形成されてしまうことがある。他方、乾燥温度150℃での乾燥時間が6時間を超えると、被膜が劣化してしまう場合がある。しかし、上記した乾燥条件であればこのような不具合は起こり難い。なお、ポリアニリン膜は、電気化学的手法を用いて基板上に直接成膜することもできるが、当該スラリーを用いる方が一層容易に成膜できるため好ましい。
ポリアニリン被膜の乾燥に伴って、被膜中の還元状態のポリアニリンの一部が酸化状態に変化する場合がある。このような変化は、薄い被膜においてほど顕著に発生しうる。それゆえ、できる限り完全な還元状態のポリアニリン膜を作製する場合には、例えばフェニルヒドラジンなどの還元剤を含む溶液に、当該乾燥後のポリアニリン被膜を浸漬する工程をさらに設けて、酸化状態に変化したポリアニリンを還元状態へと戻しておくことが好ましい。
続いて、ヨウ素を含む溶液またはプロトン酸を含む溶液に上記ポリアニリン被膜を浸漬して、当該被膜にドーパント(ヨウ素またはプロトン酸)をドーピングする。プロトン酸としては、特にその種類は限定されず、例えば、p−トルエンスルホン酸やフェノールスルホン酸などのスルホン酸、酢酸やプロピオン酸などのカルボン酸、リン酸、塩酸、硫酸、硝酸、ホウフッ化水素酸、過塩素酸、アミド硫酸などを用いることができる。ヨウ素を含む溶液におけるヨウ素濃度は0.2mol・dm-3(M)以上が好ましく、0.5M以上がより好ましい。なお、このヨウ素濃度は、電解液中に含まれ得るヨウ素(ただし、ヨウ素化合物を除く)の濃度に比して高濃度であり、具体的には1桁オーダー以上濃い。
ヨウ素を含む溶液に還元状態のポリアニリン被膜を浸漬した場合、またはヨウ素ないしはプロトン酸を含む溶液に酸化状態のポリアニリン被膜を浸漬して、ヨウ素をドーパントとする還元ドープ状態のポリアニリンまたはヨウ素もしくはプロトン酸をドーパントとする酸化ドープ状態のポリアニリンを含む触媒層を形成した場合には、さらに以下の転換工程を行うことが好ましい。他方、プロトン酸を含む溶液に還元状態のポリアニリン被膜を浸漬した場合には、当該転換工程を経ずに、プロトン酸をドーパントとする還元ドープ状態のポリアニリンを含む触媒層を形成することができるため、電池の作製にかかる工程数を削減できるとともに、その電池特性が一層優れる(その詳細は後述する)。なお、被膜の浸漬後は、余分な溶媒成分を表面から洗い流した後、大気圧下の室温で乾燥させて、触媒層を形成する。
[転換工程]
触媒層を形成した対向電極と、光電極と、を所定の距離をおいて対向させ、その隙間に上記電解液を注入して組み立てた太陽電池に対し、光電極側から光を照射する転換照射(初期照射)を行い、触媒層中のポリアニリンを、プロトン酸をドーパントとした還元ドープ状態のポリアニリンへと転換させる。なお、上記転換照射としては、例えば、100mW/cm2、AM1.5の疑似太陽光を少なくとも2.5分間照射すればよい。
触媒層を形成した対向電極と、光電極と、を所定の距離をおいて対向させ、その隙間に上記電解液を注入して組み立てた太陽電池に対し、光電極側から光を照射する転換照射(初期照射)を行い、触媒層中のポリアニリンを、プロトン酸をドーパントとした還元ドープ状態のポリアニリンへと転換させる。なお、上記転換照射としては、例えば、100mW/cm2、AM1.5の疑似太陽光を少なくとも2.5分間照射すればよい。
還元ドープ状態のポリアニリンは、その他の状態のポリアニリンに比して特徴的な吸収スペクトルを示す。図3で示すように、酸化状態のポリアニリンの吸収スペクトルは340nm付近と600nm付近に吸収極大を有し、還元状態のポリアニリンの吸収スペクトルは340nm付近のみに吸収極大を有している。また、酸化ドープ状態(ドーパント:プロトン酸)のポリアニリンの吸収スペクトルは400nm付近と900nm以上とに吸収極大を有する。これに対し、還元ドープ状態(ドーパント:プロトン酸)のポリアニリンの吸収スペクトルは、350nm付近および900nm以上に吸収極大を有する以外に、450nm付近に、より詳しくは420nm以上460nm以下の範囲にも吸収極大を有する。なお、上記転換工程を経て作製した太陽電池の触媒層中のポリアニリンも、同様に450nm付近にも吸収極大を有する。なお、酸化状態のポリアニリンは青色を呈しており、還元ドープ状態のポリアニリンは黄色を呈している。ドーパントがヨウ素である場合には、350nm以下と900nm以上とに吸収極大が観察される。
上記触媒層の層厚は、50nm以上900nm以下の範囲にあることが好ましい(その理由は後述する)。
本実施形態にかかる色素増感型太陽電池であると、光電極側から100mW/cm2、AM1.5の光を照射した場合に、または、光電極側から100mW/cm2、AM1.5の光を少なくとも2.5分間照射した後で、当該光を再度照射した場合に、0.6以上の光電変換効率比を得ることができる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
<実施例1>
まず、FTO膜がその表面に形成されたガラス基板(日本板硝子社製OTE)の上に、ゾルゲル法を用いてバリアー層としての酸化チタン薄膜(膜厚:20nm)を形成した。次に、市販の二酸化チタン粉末(日本エアロジル社製P25、体積平均一次粒径21nm)に、アセチルアセトン、純水、および界面活性剤(和光純薬社製TritonX100)を加えて混練して作製したペーストを、この酸化チタン薄膜上に塗布し、これを乾燥させた後、450℃で30分間焼成して、膜厚8.8μmのメソポーラス二酸化チタン多孔質膜を形成した。続いて、このメソポーラス二酸化チタン多孔質膜を0.3mMのルテニウム色素のエタノール溶液に浸漬して、多孔質膜の表面に光増感色素を吸着させ、光電極(厚さ:8.8μm)を作製した。
まず、FTO膜がその表面に形成されたガラス基板(日本板硝子社製OTE)の上に、ゾルゲル法を用いてバリアー層としての酸化チタン薄膜(膜厚:20nm)を形成した。次に、市販の二酸化チタン粉末(日本エアロジル社製P25、体積平均一次粒径21nm)に、アセチルアセトン、純水、および界面活性剤(和光純薬社製TritonX100)を加えて混練して作製したペーストを、この酸化チタン薄膜上に塗布し、これを乾燥させた後、450℃で30分間焼成して、膜厚8.8μmのメソポーラス二酸化チタン多孔質膜を形成した。続いて、このメソポーラス二酸化チタン多孔質膜を0.3mMのルテニウム色素のエタノール溶液に浸漬して、多孔質膜の表面に光増感色素を吸着させ、光電極(厚さ:8.8μm)を作製した。
次に、触媒層を形成するため、酸化状態のポリアニリンを次のようにして準備した。最初に、攪拌装置、温度計および直管アダプターを備えたセパラブル・フラスコ(容量:10リットル)に、蒸留水6000g、36%塩酸360mLおよびアニリン400g(4.295モル)をこの順序にて投入して、アニリンを溶解させた。
これと並行して、氷水にて冷却しながら、ビーカー中の蒸留水1493gに97%濃硫酸434g(4.295モル)を加えて、硫酸水溶液を調製した。この硫酸水溶液を上記セパラブル・フラスコ内に加えてアニリン塩の酸性水溶液とするとともに、低温恒温槽を用いてフラスコ全体を−4℃まで冷却した。
また、ペルオキソ二硫酸アンモニウム980g(4.295モル)を蒸留水2293gに溶解させた酸化剤水溶液を別に調製した。
低温恒温槽を用いてフラスコ内の反応混合物の温度を−3℃以下に保持しつつ、攪拌下のアニリン塩の酸性水溶液に、チュービングポンプを用いて、上記ペルオキソ二硫酸アンモニウム水溶液を1ミリリットル/分以下の割合で滴下した。これにより析出される重合体粉末を濾別し、水洗、アセトン洗浄し、室温で真空乾燥して、ポリアニリン粉末430gを得た。
上記ポリアニリン粉末350gを、2Nのアンモニア水4リットル中に加え、オートホモミキサーを用い回転数5000rpmにて5時間攪拌した。続いて、ブフナー漏斗を用いて粉末を濾別し、ビーカー中で攪拌しながら、濾液が中性になるまで蒸留水にて洗浄した後、濾液が無色になるまでアセトンにて洗浄した。次に、粉末を室温にて10時間真空乾燥して、酸化状態(酸化脱ドープ状態)のポリアニリン粉末280gを得た。
この酸化状態のポリアニリン粉末を、2wt%の濃度となるように、N−メチル−2−ピロリドンに溶解させて触媒層形成用の溶液を調製した。なお、この溶液からODI値を計測したところ、その値は0.8であり、これにより当該ポリアニリンが酸化状態にあることを確認した。
ガラス基板の表面にITO膜が形成された対向電極上に、この触媒層形成用の溶液をスピンコートした後、120℃で乾燥させ、酸化状態のポリアニリンの被膜を形成した。続いて、当該被膜を0.5Mヨウ素/アセトニトリル溶液中に10秒間浸漬してヨウ素処理した後、余分なヨウ素をアセトニトリルで洗浄し、大気圧(101325Pa)下の室温(23℃)で乾燥させることにより、対向電極上に、ヨウ素をドーパントとした酸化ドープ状態のポリアニリンを含む触媒層(層厚:180nm)を形成した。この触媒層の吸収スペクトルを調べたところ、350nm以下と900nm以上とに吸収極大を有すること、すなわちヨウ素をドーパントとした酸化ドープ状態のポリアニリンにおける典型的な吸収スペクトルのパターンを示すことが確認された。
上記触媒層が内側に配されるように上記光電極と対向電極とを重ね合わせた後、その隙間に電解液を注入し、周縁をポリオレフィン系樹脂のホットメルト剤(三井化学社製ハイミラン)で封止して、色素増感型太陽電池を作製した。なお、この電解液は、0.1M ヨウ化リチウム、0.3M ヨウ化1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウム、0.05M ヨウ素および0.5M t−ブチルピリジンを溶質とし、溶媒としてのメトキシアセトニトリルに溶解させて生成した。
上記色素増感型太陽電池に対して、光電極側から100mW/cm2、AM1.5の疑似太陽光を2.5分間照射して、触媒層中のヨウ素処理した酸化状態のポリアニリンを、プロトン酸をドーパントとした還元ドープ状態のポリアニリンへと転換した。なお、同様にして作製した色素増感型太陽電池の製造ロットの一部の電池を分解して、触媒層の吸収スペクトルを調べたところ、350nm付近および900nm以上に加えて、450nm付近にも吸収極大を有すること、すなわちプロトン酸をドーパントとした還元ドープ状態のポリアニリンにおける典型的な吸収スペクトルのパターンを示すことが確認された。同様にして、後述する実施例2〜11、比較例7〜9においても、初期照射(含む転換照射)後に、それぞれの触媒層が、プロトン酸をドーパントとした還元ドープ状態のポリアニリンにおける典型的な吸収スペクトルを示すことを確認した。
<実施例2>
厚さ10.4μmの光電極を用いたことと、以下のようにして調製した触媒層形成用の溶液を用い、転換工程を経て層厚130nmの触媒層を形成したこと以外は、上記実施例1と同様にして作製した色素増感型太陽電池である。
厚さ10.4μmの光電極を用いたことと、以下のようにして調製した触媒層形成用の溶液を用い、転換工程を経て層厚130nmの触媒層を形成したこと以外は、上記実施例1と同様にして作製した色素増感型太陽電池である。
上記実施例1と同様にして調製した酸化状態のポリアニリン粉末100gを、エチルエーテル1リットル中に加え、ビーカー中で懸濁させながら、還元剤としてのフェニルヒドラジンを、ポリアニリンの色が酸化状態を反映した青色から還元状態を反映した灰色に変化するまで、徐々に滴下した。続いて粉末を濾別し、室温にて10時間真空乾燥して、還元状態(還元脱ドープ状態)のポリアニリン粉末90gを得た。
この還元状態のポリアニリン粉末を、2wt%の濃度となるように、N−メチル−2−ピロリドンに溶解させて触媒層形成用の溶液を調製した。なお、この溶液からODI値を計測したところ、その値は0.15であり、これにより当該ポリアニリンが還元状態にあることを確認した。
この触媒層形成用の溶液を、上記実施例1と同様にして、対向電極上にスピンコートし、120℃で乾燥させてポリアニリン被膜を形成した後、当該被膜を10質量%のフェニルヒドラジンのエチルエーテル溶液に3時間浸漬して、還元状態のポリアニリンの被膜を形成した。続いて、当該被膜を0.5Mヨウ素/アセトニトリル溶液中に10秒間浸漬してヨウ素処理した後、余分なヨウ素をアセトニトリルで洗浄し、大気圧下の室温で乾燥させることにより、対向電極上に、ヨウ素をドーパントとした還元ドープ状態のポリアニリンを含む触媒層(層厚:130nm)を形成した。この触媒層の吸収スペクトルを調べたところ、350nm以下と900nm以上とに吸収極大を有すること、すなわちヨウ素をドーパントとした還元ドープ状態のポリアニリンにおける典型的な吸収スペクトルのパターンを示すことが確認された。
その後、上記実施例1と同様にして、光電極と対向電極とを重ね合わせた後、その隙間に電解液を封入するとともに、疑似太陽光を所定時間照射して、触媒層中のヨウ素処理した還元状態のポリアニリンを、プロトン酸をドーパントとした還元ドープ状態のポリアニリンへと転換した。
<実施例3>
厚さ12.2μmの光電極を用いたことと、酸化状態のポリアニリンの被膜を、2質量%のp−トルエンスルホン酸のエタノール溶液中に24時間浸漬してプロトン酸処理した後、余分なp−トルエンスルホン酸をエタノールで洗浄し、大気圧下の室温で乾燥させることにより、対向電極上に、プロトン酸をドーパントとした酸化ドープ状態のポリアニリンを含む触媒層(層厚:180nm)を形成した後に、上記転換工程を行ったこと以外は、上記実施例1と同様にして作製した色素増感型太陽電池である。なお、転換工程前の触媒層の吸収スペクトルを調べたところ、400nm付近と900nm以上とに吸収極大を有すること、すなわちプロトン酸をドーパントとした酸化ドープ状態のポリアニリンにおける典型的な吸収スペクトルのパターンを示すことが確認された。
厚さ12.2μmの光電極を用いたことと、酸化状態のポリアニリンの被膜を、2質量%のp−トルエンスルホン酸のエタノール溶液中に24時間浸漬してプロトン酸処理した後、余分なp−トルエンスルホン酸をエタノールで洗浄し、大気圧下の室温で乾燥させることにより、対向電極上に、プロトン酸をドーパントとした酸化ドープ状態のポリアニリンを含む触媒層(層厚:180nm)を形成した後に、上記転換工程を行ったこと以外は、上記実施例1と同様にして作製した色素増感型太陽電池である。なお、転換工程前の触媒層の吸収スペクトルを調べたところ、400nm付近と900nm以上とに吸収極大を有すること、すなわちプロトン酸をドーパントとした酸化ドープ状態のポリアニリンにおける典型的な吸収スペクトルのパターンを示すことが確認された。
<実施例4>
厚さ12.2μmの光電極を用いたこと以外は、上記実施例1と同様にして作製した色素増感型太陽電池である。
厚さ12.2μmの光電極を用いたこと以外は、上記実施例1と同様にして作製した色素増感型太陽電池である。
<実施例5>
厚さ12.1μmの光電極を用いたことと、酸化状態のポリアニリンの被膜を、10質量%のフェノールスルホン酸ノボラック樹脂(小西化学工業株式会社製)の水溶液中に1時間浸漬してプロトン酸処理した後、余分なフェノールスルホン酸ノボラック樹脂を純水およびエタノールで洗浄し、大気圧下の室温で乾燥させることにより、対向電極上に、プロトン酸をドーパントとした酸化ドープ状態のポリアニリンを含む触媒層(層厚:140nm)を形成した後に、上記転換工程を行ったこと以外は、上記実施例1と同様にして作製した色素増感型太陽電池である。なお、転換工程前の触媒層の吸収スペクトルを調べたところ、実施例3と同様にプロトン酸をドーパントとした酸化ドープ状態のポリアニリンにおける典型的な吸収スペクトルのパターンを示すことが確認された。
厚さ12.1μmの光電極を用いたことと、酸化状態のポリアニリンの被膜を、10質量%のフェノールスルホン酸ノボラック樹脂(小西化学工業株式会社製)の水溶液中に1時間浸漬してプロトン酸処理した後、余分なフェノールスルホン酸ノボラック樹脂を純水およびエタノールで洗浄し、大気圧下の室温で乾燥させることにより、対向電極上に、プロトン酸をドーパントとした酸化ドープ状態のポリアニリンを含む触媒層(層厚:140nm)を形成した後に、上記転換工程を行ったこと以外は、上記実施例1と同様にして作製した色素増感型太陽電池である。なお、転換工程前の触媒層の吸収スペクトルを調べたところ、実施例3と同様にプロトン酸をドーパントとした酸化ドープ状態のポリアニリンにおける典型的な吸収スペクトルのパターンを示すことが確認された。
<実施例6>
厚さ12.1μmの光電極を用いたことと、転換工程を経ずに、以下のようにして層厚140nmの触媒層を形成したこと以外は、上記実施例2と同様にして作製した色素増感型太陽電池である。
厚さ12.1μmの光電極を用いたことと、転換工程を経ずに、以下のようにして層厚140nmの触媒層を形成したこと以外は、上記実施例2と同様にして作製した色素増感型太陽電池である。
上記実施例2と同様にして形成した還元状態のポリアニリンの被膜を、10質量%のフェノールスルホン酸ノボラック樹脂(小西化学工業株式会社製)の水溶液中に1時間浸漬してプロトン酸処理した後、余分なフェノールスルホン酸ノボラック樹脂を純水およびエタノールで洗浄し、大気圧下の室温で乾燥させることにより、対向電極上に、プロトン酸をドーパントとした還元ドープ状態のポリアニリンを含む触媒層(層厚:140nm)を形成させた。
<実施例7>
厚さ10.9μmの光電極を用いたことと、触媒層の層厚を70nmとしたこと以外は、上記実施例2と同様にして作製した色素増感型太陽電池である。
厚さ10.9μmの光電極を用いたことと、触媒層の層厚を70nmとしたこと以外は、上記実施例2と同様にして作製した色素増感型太陽電池である。
<実施例8>
触媒層の層厚を110nmとしたこと以外は、上記実施例7と同様にして作製した色素増感型太陽電池である。
触媒層の層厚を110nmとしたこと以外は、上記実施例7と同様にして作製した色素増感型太陽電池である。
<実施例9>
触媒層の層厚を190nmとしたこと以外は、上記実施例7と同様にして作製した色素増感型太陽電池である。
触媒層の層厚を190nmとしたこと以外は、上記実施例7と同様にして作製した色素増感型太陽電池である。
<実施例10>
触媒層の層厚を310nmとしたこと以外は、上記実施例7と同様にして作製した色素増感型太陽電池である。
触媒層の層厚を310nmとしたこと以外は、上記実施例7と同様にして作製した色素増感型太陽電池である。
<実施例11>
触媒層の層厚を820nmとしたこと以外は、上記実施例7と同様にして作製した色素増感型太陽電池である。
触媒層の層厚を820nmとしたこと以外は、上記実施例7と同様にして作製した色素増感型太陽電池である。
<比較例1>
触媒層形成用の溶液に代えて以下のポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)溶液を用い、以下のようにして層厚100nmの触媒層を形成したことと、当該触媒層にヨウ素処理を施さないこと以外は、上記実施例1と同様にして作製した色素増感型太陽電池である。
触媒層形成用の溶液に代えて以下のポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)溶液を用い、以下のようにして層厚100nmの触媒層を形成したことと、当該触媒層にヨウ素処理を施さないこと以外は、上記実施例1と同様にして作製した色素増感型太陽電池である。
PEDOT溶液(ナガセケムテックス株式会社製デナトロンP−502S)を用い、対向電極上にスピンコートした後、100℃で乾燥させて触媒層を形成した。なお、当該触媒層はヨウ素処理が施されていないため、触媒層中のPEDOTにはドーパントとしてヨウ素が含有されてはいないものの、内在的にポリスチレンスルホン酸(PSS)がドーパントとして含有されている。
<比較例2>
触媒層形成用の溶液に代えて以下のポリ(3−ヘキシルチオフェン)のクロロフォルム溶液を用い、以下のようにして層厚100nmの触媒層を形成したこと以外は、上記実施例1と同様にして作製した色素増感型太陽電池である。
触媒層形成用の溶液に代えて以下のポリ(3−ヘキシルチオフェン)のクロロフォルム溶液を用い、以下のようにして層厚100nmの触媒層を形成したこと以外は、上記実施例1と同様にして作製した色素増感型太陽電池である。
0.1質量%のポリ(3−ヘキシルチオフェン)(アルドリッチ社製)のクロロフォルム溶液を用い、対向電極上にスピンコートした後、室温で乾燥させて触媒層を形成した。なお、当該触媒層はヨウ素処理が施されているため、触媒層中のポリ(3−ヘキシルチオフェン)には、ドーパントとしてヨウ素が含有されている。
<比較例3>
厚さ10.4μmの光電極を用いたことと、ヨウ素処理を施さずに、ドーパントがドープされていない、酸化状態のポリアニリンを含む触媒層(層厚:110nm)を形成したこと以外は、上記実施例1と同様にして作製した色素増感型太陽電池である。
厚さ10.4μmの光電極を用いたことと、ヨウ素処理を施さずに、ドーパントがドープされていない、酸化状態のポリアニリンを含む触媒層(層厚:110nm)を形成したこと以外は、上記実施例1と同様にして作製した色素増感型太陽電池である。
<比較例4>
ヨウ素処理を施さずに、ドーパントがドープされていない、還元状態のポリアニリンを含む触媒層を形成したこと以外は、上記実施例2と同様にして作製した色素増感型太陽電池である。
ヨウ素処理を施さずに、ドーパントがドープされていない、還元状態のポリアニリンを含む触媒層を形成したこと以外は、上記実施例2と同様にして作製した色素増感型太陽電池である。
<比較例5>
厚さ12.2μmの光電極を用いたことと、ヨウ素処理を施さずに、ドーパントがドープされていない、酸化状態のポリアニリンを含む触媒層を形成したこと以外は、上記実施例1と同様にして作製した色素増感型太陽電池である。
厚さ12.2μmの光電極を用いたことと、ヨウ素処理を施さずに、ドーパントがドープされていない、酸化状態のポリアニリンを含む触媒層を形成したこと以外は、上記実施例1と同様にして作製した色素増感型太陽電池である。
<比較例6>
厚さ12.2μmの光電極を用いたことと、触媒層を形成しないで対向電極を作製したこと以外は、上記実施例1と同様にして作製した色素増感型太陽電池である。
厚さ12.2μmの光電極を用いたことと、触媒層を形成しないで対向電極を作製したこと以外は、上記実施例1と同様にして作製した色素増感型太陽電池である。
<比較例7>
厚さ9.2μmの光電極を用いたことと、触媒層の層厚を4nmとしたこと以外は、上記実施例1と同様にして作製した色素増感型太陽電池である。
厚さ9.2μmの光電極を用いたことと、触媒層の層厚を4nmとしたこと以外は、上記実施例1と同様にして作製した色素増感型太陽電池である。
<比較例8>
厚さ9.2μmの光電極を用いたことと、触媒層の層厚を23nmとしたこと以外は、上記実施例1と同様にして作製した色素増感型太陽電池である。
厚さ9.2μmの光電極を用いたことと、触媒層の層厚を23nmとしたこと以外は、上記実施例1と同様にして作製した色素増感型太陽電池である。
<比較例9>
厚さ9.2μmの光電極を用いたことと、触媒層の層厚を35nmとしたこと以外は、上記実施例1と同様にして作製した色素増感型太陽電池である。
厚さ9.2μmの光電極を用いたことと、触媒層の層厚を35nmとしたこと以外は、上記実施例1と同様にして作製した色素増感型太陽電池である。
〔光電変換効率比の測定〕
まず、実施例1〜11および比較例1〜9の太陽電池に擬似太陽光(100mW/cm2、AM1.5)を照射してそれぞれの電流電圧曲線を測定し、これに基づいて各電池の光電変換効率を算出した。また、同様にして、対向電極に厚さ14nmの白金層を設けたこと以外は、対応させるそれぞれの実施例および比較例と同じ構成を有する比較用色素増感型太陽電池から、光電変換効率の基準値を算出した。この基準値に対する上記各電池の光電変換効率の比を算出した。その結果を下記表1〜4にまとめて示す。
まず、実施例1〜11および比較例1〜9の太陽電池に擬似太陽光(100mW/cm2、AM1.5)を照射してそれぞれの電流電圧曲線を測定し、これに基づいて各電池の光電変換効率を算出した。また、同様にして、対向電極に厚さ14nmの白金層を設けたこと以外は、対応させるそれぞれの実施例および比較例と同じ構成を有する比較用色素増感型太陽電池から、光電変換効率の基準値を算出した。この基準値に対する上記各電池の光電変換効率の比を算出した。その結果を下記表1〜4にまとめて示す。
表1で示すように、比較例1では0.47、比較例2および3では0.03、比較例4では0.56と、いずれも0.56以下の光電変換効率比しか得られなかったのに対し、実施例1では0.65、実施例2では0.79と、いずれも0.6以上の優れた光電変換効率比が得られた。
ここで、実施例1および2と、比較例1および2との比較により、触媒層の材料として可溶性の導電性高分子を用いる場合には、酸化ドープ状態または還元ドープ状態のポリアニリンを用いることにより、PEDOTやポリ(3−ヘキシルチオフェン)などを用いた場合に比して、高い光電変換効率比が得られることが判った。
また、実施例1および2と比較例3および4との比較から、触媒層の材料としてポリアニリンを用いたとしても、当該ポリアニリンにドーパントを含有させるための処理がなされていないと、高い光電変換効率比が得られないことが判った。この理由としては次のように考えられる。まず、プロトン酸をドーパントとする還元ドープ状態のポリアニリンでは、ドーパントを含有することによって、ポリアニリンの価電子帯と伝導体との間、すなわちバンドギャップ内にポーラロン/バイポーラロン準位が対象な位置に2組形成される。ここで、太陽電池の発電時には、下側のポーラロン/バイポーラロン準位を通って電子が伝導するが、プロトン酸をドーパントとする還元ドープ状態のポリアニリンにおける当該準位が、ヨウ素の酸化還元準位よりもわずかに高い位置に存在することにより、ポリアニリンからヨウ素へと電子が円滑に受け渡されることになる。それゆえ、このようなドーパントを含有したポリアニリンであると、電解質中のヨウ素を有効に還元することができるため、優れた触媒作用が発揮されて高い光電変換効率比が得られるものと考えられる。
表2で示すように、比較例5および6では0.02の光電変換効率比しか得られなかったのに対し、実施例3では0.78、実施例4では0.69と、いずれも0.6以上の優れた光電変換効率比が得られた。
ここで、実施例3および4と、比較例5との比較により、触媒層のポリアニリンに含有させるドーパントの種類がプロトン酸であってもヨウ素であっても、触媒層の材料としてドーパントを含有するポリアニリンを用いた場合には、ドーパントを含有しないポリアニリンを用いた場合に比して、高い光電変換効率比が得られることが判った。
また、実施例3および4と、比較例6との比較により、電池に触媒層が設けられていない場合には、光電変換効率比が著しく劣ることが判った。触媒層が設けられていないと、対向電極と電解質との間における、電子の円滑な受け渡しが困難になるためと考えられる。
また、実施例3と実施例4との比較により、実施例3の方がより優れた光電変換効率比が得られたことから、触媒層の材料を酸化ドープ状態のポリアニリンとする場合には、ヨウ素溶液を用いてヨウ素をドーパントとする処理に比して、プロトン酸溶液を用いてプロトン酸をドーパントとする処理を行う方が、一層優れた光電変換効率比が得られることが判った。この理由としては、転換照射によってドーパントをヨウ素からプロトン酸へと変換させる場合には、膜深部のドーパントをプロトン酸へと転換させることが難しいためと考えられる。なお、ドーパントがヨウ素よりもプロトン酸である方が触媒作用に優れることは実験的に明らかではあるが、そのメカニズムは定かではない。
表3で示すように、実施例5では0.62、実施例6では0.70と、いずれも0.6以上の優れた光電変換効率比が得られた。
ここで、実施例5と実施例6との比較により、実施例6の方がより優れた光電変換効率比が得られたことから、ポリアニリン中にドーパントを含有させる処理としてプロトン酸溶液を用いたとしても、転換工程を経て太陽電池を作製した場合には、還元ドープ状態の触媒層を直接的に形成して太陽電池を作製した場合に比して、光電変換効率比が若干劣ることが判った。このことはすなわち、ポリアニリン中にドーパントを含有させる処理としてプロトン酸を用いるとともに、還元ドープ状態の触媒層を直接的に形成して太陽電池を作製する態様とすると、特に優れた光電変換効率比が得られることを意味するものと考えられる。
表4で示すように、実施例7では0.75、実施例8では0.78、実施例9では0.88、実施例10では0.75、実施例11では0.63と、いずれも0.6以上の優れた光電変換効率比が得られた。他方、比較例7では0.04、比較例8では0.07、比較例9では0.21と、いずれも低い光電変換効率比を示していた。
ここで、実施例7〜11から、触媒層の層厚を70nm〜820nmの範囲とすることにより、優れた光電変換効率比が得られることが判った。一方、比較例7〜8は実施例7〜11と異なり、転換工程を経て太陽電池を作製しているため厳密には比較することが難しいものの、触媒層の層厚を4nm〜35nmの範囲とした場合には、優れた光電変換効率比が得られないことが判った。なお、優れた光電変換効率比を得るには、触媒層の層厚の絶対値ではなく、光電極および触媒層の双方の厚みを相関的に制御する必要があるものの、上記表4で示された結果は、少なくとも触媒層の層厚は50nm以上900nm以下の範囲にあるのが好ましいことを示唆すると考えられる。
なお、転換照射によって、ドーパントがプロトン酸またはヨウ素である酸化ドープ状態のポリアニリンや、ドーパントがヨウ素である還元ドープ状態のポリアニリンが、ドーパントがプロトン酸である還元ドープ状態のポリアニリンへと転換される理由は定かではないが、例えば次のようなメカニズムによるのではないかと考えられる。
まず、発電状態の太陽電池では、電解質としての酸化還元系構成物質(例えばヨウ素)と対向電極との間で電子の受け渡しが行われている。ここで、ポリアニリンが酸化状態にあると、対向電極に注入されてきた電子によって還元され、当該酸化状態から還元状態へと転換される。さらに、微量ながらも電解液中に含まれる水分からは、受け渡される電子と酸化還元系構成物質とによってプロトン酸が生成するため、発電時の電子の受け渡しに伴ってポリアニリンに当該プロトン酸がドーピングされることで、ドーパントがプロトン酸である還元ドープ状態のポリアニリンが転換生成されるものと考えられる。ただし、当該転換反応は、触媒層中の全てのポリアニリンを転換させるほどに激しいものではないため、転換照射を経て作製した太陽電池において、ドーパントがプロトン酸である還元ドープ状態のポリアニリンが触媒層中に占める割合、および達成される光電変換効率は、初期照射(転換照射)前のポリアニリンの状態に依存するところが大きいものと考えられる。
本発明は、触媒層を構成する部品のコストを引き下げるとともに、優れた光電変換効率を発揮する色素増感型太陽電池およびその製造方法の提供に適用できる。
1 光電極用基板
2 導電膜
3 バリアー層
4 酸化物半導体膜
5 光電極
6 電解質層
7 触媒層
8 導電膜
9 対向電極用基板
10 対向電極
2 導電膜
3 バリアー層
4 酸化物半導体膜
5 光電極
6 電解質層
7 触媒層
8 導電膜
9 対向電極用基板
10 対向電極
Claims (13)
- 光電極と、前記光電極に対向して配置された対向電極と、前記対向電極の内側主面上に設けられた触媒層とを含む色素増感型太陽電池であって、
前記触媒層が還元ドープ状態のポリアニリンを含み、
前記ポリアニリンのドーパントがプロトン酸であり、
光電変換効率比が0.6以上である、
色素増感型太陽電池。
ただし、前記光電変換効率比は、前記触媒層の代わりに白金層を配してあること以外は前記色素増感型太陽電池と同じ構成を有する比較用色素増感型太陽電池に対して、当該比較用色素増感型太陽電池の光電極側から100mW/cm2、AM1.5の光を照射した場合に得られる光電変換効率を基準値とし、当該基準値により、前記色素増感型太陽電池に対してその光電極側から100mW/cm2、AM1.5の光を照射した場合に得られる光電変換効率を除算して求められる値とする。 - 前記触媒層の層厚が50nm以上900nm以下の範囲にある、請求項1に記載の色素増感型太陽電池。
- 前記還元ドープ状態のポリアニリンの吸収スペクトルが、420nm以上460nm以下の範囲に吸収極大を含む請求項1に記載の色素増感型太陽電池。
- 光電極と、前記光電極に対向して配置された対向電極と、前記対向電極の内側主面上に設けられた触媒層とを含む色素増感型太陽電池であって、
前記触媒層が、還元ドープ状態または酸化ドープ状態のポリアニリンを含み、
前記触媒層が前記還元ドープ状態にあるときの前記ポリアニリンのドーパントがヨウ素であり、
前記触媒層が前記酸化ドープ状態にあるときの前記ポリアニリンのドーパントがヨウ素またはプロトン酸であり、
前記光電極側から100mW/cm2、AM1.5の光を少なくとも2.5分間照射した後の光電変換効率比が0.6以上である、
色素増感型太陽電池。
ただし、前記光電変換効率比は、前記触媒層の代わりに白金層を配してあること以外は前記色素増感型太陽電池と同じ構成を有する比較用色素増感型太陽電池に対して、当該比較用色素増感型太陽電池の光電極側から100mW/cm2、AM1.5の光を少なくとも2.5分間照射した後に、当該光を前記光電極側から照射した場合に得られる光電変換効率を基準値とし、当該基準値により、前記色素増感型太陽電池に対してその光電極側から100mW/cm2、AM1.5の光を少なくとも2.5分間照射した後に、当該光を前記光電極側から照射した場合に得られる光電変換効率を除算して求められる値とする。 - 前記触媒層の層厚が50nm以上900nm以下の範囲にある、請求項4に記載の色素増感型太陽電池。
- 光電極と、前記光電極に対向して配置された対向電極と、前記対向電極の内側主面上に設けられた触媒層とを含む色素増感型太陽電池の製造方法であって、
前記触媒層を形成する工程が、下記a)またはb)に示す工程を含む色素増感型太陽電池の製造方法。
a)前記対向電極の内側主面上に酸化状態のポリアニリンの溶液を塗布し、当該酸化状態のポリアニリンの被膜を形成する工程、および、ヨウ素を含む溶液またはプロトン酸を含む溶液に前記被膜を浸漬して、前記被膜中の前記酸化状態のポリアニリンの少なくとも一部を、ヨウ素またはプロトン酸をドーパントとする酸化ドープ状態のポリアニリンに転換する工程。
b)前記対向電極の内側主面上に還元状態のポリアニリンの溶液を塗布し、当該還元状態のポリアニリンの被膜を形成する工程、および、ヨウ素を含む溶液に前記被膜を浸漬して、前記被膜中の前記還元状態のポリアニリンの少なくとも一部を、ヨウ素をドーパントとする還元ドープ状態のポリアニリンに転換する工程。 - 前記ヨウ素を含む溶液のヨウ素濃度が0.2mol・dm-3以上である、請求項6に記載の色素増感型太陽電池の製造方法。
- 前記還元状態のポリアニリンの被膜を形成する工程が、前記還元状態のポリアニリンの溶液を塗布する塗布工程と、前記塗布工程後に前記ポリアニリンの溶液を乾燥させて被膜を形成する工程と、還元剤を含む溶液に前記被膜を浸漬する工程とを含む請求項6に記載の色素増感型太陽電池の製造方法。
- 光電極と、前記光電極に対向して配置された対向電極と、前記対向電極の内側主面上に設けられた触媒層とを含む色素増感型太陽電池の製造方法であって、
前記触媒層を形成する工程が、下記a)またはb)に示す工程と、前記色素増感型太陽電池の前記光電極側から、光を照射し、ヨウ素もしくはプロトン酸をドーパントとする酸化ドープ状態のポリアニリンまたはヨウ素をドーパントとする還元ドープ状態のポリアニリンの少なくとも一部を、プロトン酸をドーパントとする還元ドープ状態のポリアニリンに転換する工程と、を含む、
色素増感型太陽電池の製造方法。
a)前記対向電極の内側主面上に酸化状態のポリアニリンの溶液を塗布し、当該酸化状態のポリアニリンの被膜を形成する工程、および、ヨウ素を含む溶液またはプロトン酸を含む溶液に前記被膜を浸漬して、前記被膜中の前記酸化状態のポリアニリンの少なくとも一部を、ヨウ素またはプロトン酸をドーパントとする酸化ドープ状態のポリアニリンに転換する工程。
b)前記対向電極の内側主面上に還元状態のポリアニリンの溶液を塗布し、当該還元状態のポリアニリンの被膜を形成する工程、および、ヨウ素を含む溶液に前記被膜を浸漬して、前記被膜中の前記還元状態のポリアニリンの少なくとも一部を、ヨウ素をドーパントとする還元ドープ状態のポリアニリンに転換する工程。 - 前記ヨウ素を含む溶液のヨウ素濃度が0.2mol・dm-3以上である、請求項9に記載の色素増感型太陽電池の製造方法。
- 前記還元状態のポリアニリンの被膜を形成する工程が、前記還元状態のポリアニリンの溶液を塗布する塗布工程と、前記塗布工程後に前記ポリアニリンの溶液を乾燥させて被膜を形成する工程と、還元剤を含む溶液に前記被膜を浸漬する工程とを含む請求項9に記載の色素増感型太陽電池の製造方法。
- 光電極と、前記光電極に対向して配置された対向電極と、前記対向電極の内側主面上に設けられた触媒層とを含む色素増感型太陽電池の製造方法であって、
前記触媒層を形成する工程が、前記対向電極の内側主面上に還元状態のポリアニリンの溶液を塗布して当該還元状態のポリアニリンの被膜を形成する工程と、プロトン酸を含む溶液に前記被膜を浸漬して、前記被膜中の前記還元状態のポリアニリンの少なくとも一部を、プロトン酸をドーパントとする還元ドープ状態のポリアニリンに転換する工程とを含む、
色素増感型太陽電池の製造方法。 - 前記還元状態のポリアニリンの被膜を形成する工程が、前記還元状態のポリアニリンの溶液を塗布する塗布工程と、前記塗布工程後に前記ポリアニリンの溶液を乾燥させて被膜を形成する工程と、還元剤を含む溶液に前記被膜を浸漬する工程とを含む請求項12に記載の色素増感型太陽電池の製造方法。
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JP2005182258A JP2007005083A (ja) | 2005-06-22 | 2005-06-22 | 色素増感型太陽電池および色素増感型太陽電池の製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008257948A (ja) * | 2007-04-03 | 2008-10-23 | Oike Ind Co Ltd | 電極材料及び該材料を用いた導電性フィルム、及び太陽電池並びに光電極 |
WO2011053250A1 (en) * | 2009-10-26 | 2011-05-05 | Agency For Science, Technology And Research | Photoelectrode with a polymer layer |
KR101403708B1 (ko) | 2012-09-19 | 2014-06-13 | 국민대학교산학협력단 | 염료감응형 태양전지 및 그 제조방법 |
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2005
- 2005-06-22 JP JP2005182258A patent/JP2007005083A/ja active Pending
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