JP6315796B2 - 色素増感太陽電池用電解液及びそれを用いた色素増感太陽電池 - Google Patents

色素増感太陽電池用電解液及びそれを用いた色素増感太陽電池 Download PDF

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Description

本発明は、色素増感太陽電池用電解液と、高い光電変換効率を有する色素増感太陽電池に関する。
近年、可視光域を吸収する増感色素を半導体層に担持させた色素増感太陽電池について検討が行われている。この色素増感太陽電池は、使用する材料が安価であることや比較的シンプルなプロセスで製造できること等の利点を有しており、その実用化が期待されている。
色素増感太陽電池は、一般に、透明導電膜付き透明基体上に金属酸化物半導体の多孔質膜を形成させ、その表面に増感色素を吸着担持させたアノード電極(半導体電極)と、導電性基体に触媒層を形成させたカソード電極(対極)とが対向して配置され、その間に電解液が封止された構造となっている。半導体電極に光が入射すると、増感色素が可視光を吸収して励起状態となり、増感色素から半導体電極に電子が注入され、集電体を通して外部に電流が取り出される。一方、増感色素の酸化体は電解液中の酸化還元対により還元されて再生する。酸化された酸化還元対は、半導体電極に対向して設置された対極表面の触媒層で還元されてサイクルが一周する。
従来、色素増感太陽電池用の電解液として、ヨウ化リチウムやヨウ化物塩とヨウ素をメトキシアセトニトリルやアセトニトリルに溶解させたものが一般的に用いられている(特許文献1)。しかしながら、ニトリル溶媒は、初期の光電変換効率はある程度高いものの、長期に渡り光電変換効率が得られないという問題点があった(特許文献1)。
発明者らは、特許文献2にて、電解質としてイミダゾリウムのヨウ化物を用い、溶媒として鎖状スルホンを用いた色素増感太陽電池を開示している。鎖状スルホンを用いることで、高い光電変換効率(以降変換効率と略する場合あり)を有しながら、従来よりも長期に渡り光電変換効率を維持することに成功しているが、光電変換効率については更なる向上が必要であった。
そこで、鎖状スルホンと相性のよい電解質を用いた色素増感太陽電池用電解液及びそれを用いた高い光電変換効率を有する色素増感太陽電池が求められていた。
特開2005−347176号公報 再表2011−093253号公報
高い光電変換効率を有する色素増感太陽電池及びそれを製造することのできる色素増感太陽電池用電解液を提供することである。
本発明者らは鋭意検討した結果、特定のイミダゾリウムカチオンを有するハロゲン化合物を用いることで、高い光電変換効率を有する色素増感太陽電池を製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
第一の発明は、増感色素として少なくともルテニウム錯体又はポルフィリン金属錯体を含有させてなる半導体電極と、酸化還元対となる電解質を含む電解質層と、前記電解質層を介して前記半導体電極に対向配置された対極とを少なくとも具備する色素増感太陽電池における、
前記電解質層に含有される色素増感太陽電池用電解液であって、
溶媒として下記一般式(1)で表される鎖状スルホン化合物に、酸化還元性の電解質として、少なくとも下記化合物(A)で表されるハロゲン化合物とハロゲン分子とを溶解させてなることを特徴とする色素増感太陽電池用電解液である。
Figure 0006315796
(式中、R、Rは独立して、ハロゲン、アルコキシ基若しくは芳香環で一部置換されていても良い炭素数1〜12のアルキル基を表す。)
Figure 0006315796
(化合物(A)中、Xはハロゲンアニオンを表す。)
第二の発明は、一般式(1)で表される鎖状スルホン化合物中、R、Rのそれぞれのアルキル基の炭素数の合計が3以上であることを特徴とする第一の発明に記載の色素増感太陽電池用電解液である。
第三の発明は、ハロゲン化合物の濃度が0.05〜4.0mol/Lである第一又は第二の発明に記載の色素増感太陽電池用電解液である。
第四の発明は、ハロゲン化合物がヨウ化物塩で、ハロゲン分子がヨウ素である第一から第三の発明のいずれか一項に記載の色素増感太陽電池用電解液である。
第五の発明は、ハロゲン化合物が臭化物塩で、ハロゲン分子が臭素である第一から第三の発明のいずれか一項に記載の色素増感太陽電池用電解液である。
第六の発明は、第一から第五の発明のいずれか一項に記載の色素増感太陽電池用電解液を含有することを特徴とする色素増感太陽電池である。
本発明の色素増感太陽電池は、高い光電変換効率を有するものである。
本発明の色素増感太陽電池の構成の一例を示す断面模式図である。
本願発明は、増感色素として少なくともルテニウム錯体又はポルフィリン金属錯体を含有させてなる半導体電極と、酸化還元対となる電解質を含む電解質層と、前記電解質層を介して前記半導体電極に対向配置された対極とを少なくとも具備する色素増感太陽電池における、前記電解質層に含有される色素増感太陽電池用電解液であって、溶媒として下記一般式(1)で表される鎖状スルホン化合物に、酸化還元性の電解質として、少なくとも下記化合物(A)で表されるハロゲン化合物とハロゲン分子とを溶解させてなることを特徴とする色素増感太陽電池用電解液である。
前期色素増感太陽電池用電解液は、下記一般式(1)で表される鎖状スルホン化合物を溶媒として含有する。このような鎖状スルホン化合物を用いることにより、太陽電池の色素増感太陽電池の光電変換効率を向上させ、かつ、低温においても使用可能となる。
Figure 0006315796
上記式中、R及びRは独立して、ハロゲン、アルコキシ基若しくは芳香環で一部置換されていても良い炭素数1〜12のアルキル基を表す。
一般式(1)の鎖状スルホン化合物として、例えば、一般式(1)中のR及びRがいずれも、ハロゲン、アルコキシ基若しくは芳香環で一部置換されていても良い炭素数1〜12のアルキル基である化合物が挙げられる。具体的には、ジメチルスルホン、エチルメチルスルホン、メチルイソプロピルスルホン、エチルイソプロピルスルホン、エチルイソブチルスルホン、イソブチルイソプロピルスルホン、メチルフェニルスルホン、エチルフェニルスルホン、メトキシエチルイソプロピルスルホン、フルオロエチルイソプロピルスルホン等が例示できる。これらの中でも、エチルイソプロピルスルホン、エチルイソブチルスルホン、イソブチルイソプロピルスルホン、メトキシエチルイソプロピルスルホン、フルオロエチルイソプロピルスルホン等のR及びRの炭素数の合計が3以上、好ましくは3〜10である化合物は、広範な温度で使用でき、耐久性に優れるため特に好適に使用できる。これらの中でも特にエチルイソプロピルスルホンが好ましく挙げられる。また、R及びRの炭素数の合計が3であるエチルメチルスルホンのように、室温よりやや高い融点を有する鎖状スルホンも含まれるが、電解質を溶解させることによる凝固点降下により幅広い温度で溶液状態になり電解液として使用することができるため、好ましく使用することができる。
該鎖状スルホンを単独でもよいし、2種類以上混合させて用いてもよい。2種類以上混合させて用いる場合は、上記式中R及びRの炭素数の合計が2以上、好ましくは2〜10である化合物を溶媒全体の30質量%以上、より好ましくは50質量%以上有することが好ましく挙げられる。
よって、具体的には、用いる鎖状スルホンは、エチルイソプロピルスルホン単独若しくは、エチルイソプロピルスルホンを50質量%以上好ましくは65質量%以上有する鎖状スルホンが好ましく挙げられる。
特にエチルイソプロピルスルホンと他の鎖状スルホンを混合する場合、エチルイソプロピルスルホンが氷点下まで液状を呈することから、室温で固体のジメチルスルホン、エチルメチルスルホンなどを含め、R及びRの炭素数の合計が3以下の化合物も好適に使用することができる。
本発明の電解液には、上記一般式(1)の鎖状スルホン化合物の他に、本発明の効果を損ねない範囲において他の溶媒を併用することができる。併用溶媒としては、非プロトン性有機溶媒、イオン液体等を用いることができ、粘度が低く、十分なイオン伝導性を有するものであることが好ましい。非プロトン性有機溶媒の例としては、スルホラン、メチルスルホラン等の環状スルホン、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル等のエーテル類、またN−メチルキサゾリジノン、ジメチルイミダゾリジノンなどが挙げられる。また、耐久性を低下させない範囲少量であれば、従来の溶媒であるニトリル化合物やラクトン類なども使用することができる。
イオン液体の好ましい例としては、例えば、カチオンが、1−メチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウム、1−メチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ヘキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−オクチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム等のイミダゾリウム系、1−メチル−ピリジウム、1−ブチル−ピリジウム、1−ヘキシル−ピリジウム、1−ブチル−3−メチルピリジニウム等のピリジウム系、N−メチル−N−プロピルピロリジニウムなどのピロリジニウム系、ピラゾリウム系、脂肪族アミン系であるもの、アニオンが、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロボレート、トリフルオロメタンスルホネートなどのフッ素化スルホン酸、トリフルオロ酢酸等のフッ素化カルボン酸、シアネート系、チオシアネート系、ジシアナミド系、また、ビスフルオロスルホニルイミドやビストリフルオロメタンスルホニルイミドなどのスルホニルイミド系であるもの等を挙げることができる。これらの物質は、いずれか一種を単独で用いても良いし、複数を混合して用いても良い。本発明の電解液の溶媒全体における併用溶媒の含有量は、50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。
本発明の電解液には、酸化還元性の電解質、すなわち酸化還元対を含有するが、このような酸化還元対として、化合物(A)で表されるハロゲン化合物、ハロゲン分子が好適である。具体的には、ヨウ素とヨウ化物イオンを対イオンとするヨウ化物塩の組合せ、臭素と臭化物イオンを対イオンとする臭化物塩の組合せ、もしくはそれらの混合物が挙げられる。特に、ヨウ素とヨウ化物塩の組合せが、変換効率が高く好ましい。
本発明に用いるハロゲン化合物、具体的にはヨウ化物塩や臭化物塩等のハロゲン化物塩としては、高い変換効率を有することから、下記化合物(A)で表されるハロゲン化合物が挙げられる。
Figure 0006315796
化合物(A)中、Xはハロゲンアニオンを表す。
上記化合物(A)で表されるハロゲン化合物を用いた色素増感太陽電池は、これまでのイミダゾリウムカチオンを有するハロゲン化合物を用いた色素増感太陽電池よりも高い光電変換効率を得ることができる。
上記化合物(A)で表されるハロゲン化合物としては、特にヨウ化物塩が望ましい。ハロゲン化合物の濃度は、太陽電池として用いる際の入射光量などによって発生する電流量が異なるため最適な濃度は必ずしも一定ではないが、好ましくは0.05〜4.0mol/Lであり、特に好ましくは0.5〜2.0mol/Lである。濃度が0.05mol/Lより小さいと十分な性能が得られない場合があり、一方、濃度が4.0mol/Lより大きいと溶媒に溶解しにくい場合がある。
本発明の色素増感太陽電池用電解液には酸化還元対として作用させるためハロゲン分子が用いられる。具体的にはヨウ素(I)又は臭素(Br)が好ましい。特に、ハロゲン化合物としてヨウ化物塩を用いる場合にはハロゲン分子としてヨウ素を用いることが望ましい。この場合ヨウ化物塩とともに、I/I の酸化還元対として作用する。電解液中のハロゲン分子の含有量は、太陽電池として用いる際の入射光量などによって発生する電流量が異なるため最適な含有量は必ずしも一定ではないが、イオン導電性及び光エネルギー変換効率の観点から、好ましくは0.005〜0.5mol/Lであり、特に0.01〜0.2mol/Lが好ましく挙げられる。
また、本発明の色素増感太陽電池用電解液には、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン等のポリマーや低分子のゲル化剤などを溶媒中に添加や、エチレン性不飽和基を有した多官能性モノマーを溶媒中で重合させる等の方法でこれらの溶媒をゲル化することで、電解質層をゲル電解質として形成しても構わない。溶媒をゲル化させるためのポリマーはイオン性を有していても構わないが、電解質の移動を妨げる場合にはイオン性を有さないことが望ましい。
また、ポリマーではなく、粒子を添加させてチクソトロピー性を持たせることで、セルに構成した際に固体状・ペースト性状・ゲル性状を持たせても構わない。このような粒子の材料としては、特には限定されず公知の材料を使用することができる。例えば、酸化インジウム、酸化スズと酸化インジウムの混合体(以下、「ITO」と略記する。)、シリカ等の無機酸化物、ケッチェンブラックやカーボンブラック、カーボンナノチューブ等のカーボン材料、また、カオリナイトやモンモリロナイト等の層状無機化合物、すなわち粘土鉱物でも構わない。
また、本発明の電解液には添加剤として、4−t−ブチルピリジン等のアルキルピリジン類、メチルイミダゾール等のイミダゾール類、N−メチルベンズイミダゾールなどのベンズイミダゾール類、3,5−ジメチルピラゾール等のピラゾール類、また、トリアゾール類、N−メチルピロリドンやジメチルプロピレン尿素などの塩基性材料を添加することができる。その他の任意成分としては、例えば、界面活性剤、防食材等が例示できる。
本発明の色素増感太陽電池用電解液は、常法に従って上記鎖状スルホン化合物を含む溶媒中に上記ヨウ化物塩等のハロゲン化合物やヨウ素等のハロゲン分子を添加・溶解させることによって得ることができる。一方、本発明の色素増感太陽電池は、この電解液を用いたものであるが、電解液以外は、一般的な色素増感太陽電池の構成を採用すればよい。図1に本発明の色素増感太陽電池の構成の一例を示す。図1中、1は電極基体、2は透明基体、3は透明導電膜、4は多孔質金属酸化物半導体層、5は増感色素層、6は半導体電極、7は本発明の電解液を含む電解質層、8は対極、9は電極基体、10は触媒活性層、11はスペーサー、12は周縁シール部をそれぞれ示す。
電極基体1は、透明基板2に透明導電膜3を形成させた、導電性ガラス等の透明電極基体である。透明導電膜3には多孔質金属酸化物半導体層4が形成されており、金属酸化物半導体の表面に色素を吸着担持させた増感色素層5を有している。これらから、アノード電極である半導体電極6が構成される。
<透明基体>
電極基体1を構成する透明基体2は、可視光を透過するものが使用でき、透明なガラスが好適に利用できる。また、ガラス表面を加工して入射光を散乱させるようにしたもの、半透明なすりガラス状のものも使用できる。また、ガラスに限らず、光を透過するものであればプラスチック板やプラスチックフィルム等も使用できる。
透明基体2の厚さは、太陽電池の形状や使用条件により異なるため特に限定はされないが、例えばガラスやプラスチック等を用いた場合では、使用時の耐久性を考慮して1mm〜1cm程度であり、フレキシブル性が必要とされ、プラスチックフィルム等を使用した場合は、25μm〜1mm程度である。また、必要に応じて耐候性を高めるハードコートやUVカット、反射防止処理等の表面処理を施しても構わない。
<透明導電膜>
透明導電膜3としては、可視光を透過して、かつ導電性を有するものが使用でき、このような材料としては、例えば金属酸化物が挙げられる。特に限定はされないが、例えばフッ素をドープした酸化スズ(以下、「FTO」と略記する。)や、酸化インジウム、ITO、アンチモンをドープした酸化スズ(以下、「ATO」と略記する。)、酸化亜鉛等を好適に用いることができる。
また、分散させるなどの処理により可視光が透過すれば、不透明な導電性材料を用いることもできる。このような材料としては炭素材料や金属が挙げられる。炭素材料としては、特に限定はされないが、例えば黒鉛(グラファイト)、カーボンブラック、グラッシーカーボン、カーボンナノチューブやフラーレン等が挙げられる。また、金属としては、特に限定はされないが、例えば白金、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、コバルト、クロム、鉄、モリブデン、チタン又はそれらの合金等が挙げられる。
ここで、電解液中に含まれる酸化還元対として、ハロゲン分子とハロゲン化合物、より具体的にはヨウ素とヨウ化物塩や臭素と臭化物塩を用いる場合には、透明導電膜に使用する導電性材料は電解液に対する耐蝕性が高いことが望ましい。したがって、特に金属酸化物、中でもFTOやITOが特に好適である。
透明導電膜3としては、上記の導電性材料のうち少なくとも1種類以上からなるものを、透明基体1の表面に設けて形成することができる。あるいは透明基体2を構成する材料の中へ上記導電性材料を組み込んで、透明基体と透明導電膜を一体化して電極基体1とすることも可能である。
透明基体2上に透明導電膜3を形成する方法として、金属酸化物を形成する場合は、ゾルゲル法や、スパッタやCVD等の気相法、分散ペーストのコーティング等がある。また、不透明な導電性材料を使用する場合は、粉体等を、透明なバインダー等とともに固着させる方法が挙げられる。
透明基体と透明導電膜を一体化させるには、透明基体の成形時に導電性のフィラーとして上記導電膜材料を混合させる方法などがある。
透明導電膜3の厚さは、用いる材料により導電性が異なるため特には限定されないが、一般的に使用されるFTO被膜付ガラスでは、0.01μm〜5μmであり、好ましくは0.1μm〜1μmである。また、必要とされる導電性は、使用する電極の面積により異なり、大面積電極ほど低抵抗であることが求められるが、一般的に100Ω/□以下、好ましくは10Ω/□以下、より好ましくは5Ω/□以下である。100Ω/□を超えると太陽電池の内部抵抗が上がるため好ましくない。
透明基体及び透明導電膜から構成される電極基体1、又は透明基体と透明導電膜とを一体化した電極基体1の厚さは、上記のように太陽電池の形状や使用条件により異なるため特に限定はされないが、一般的に1μm〜1cm程度である。
<多孔質金属酸化物半導体>
多孔質金属酸化物半導体層4を形成する金属酸化物半導体としては、従来公知のものが使用できる。即ち、Ti、Nb、Zn、Sn、Zr、Y、La、Ta等の遷移金属の酸化物の他、SrTiO、CaTiO等のペロブスカイト系酸化物等が挙げられる。特に限定はされないが、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ等が挙げられ、特に二酸化チタン、さらにはアナターゼ型二酸化チタンが好適である。
このような金属酸化物半導体を用いて、多孔質金属酸化物半導体層4は、特に限定されず既知の方法で透明導電膜3上に設けることができる。例えば、ゾルゲル法や、分散体ペーストの塗布、また、電析や電着させる方法がある。さらに、電気抵抗値を下げるため、金属酸化物の粒界は少ないことが望ましく、塗布した金属酸化物を焼結させることが望ましい。焼結条件は用いる金属酸化物半導体の種類や形成方法、基板の耐熱温度により異なるため、適宜変更して構わないが、二酸化チタンを用いた場合、450〜550℃で焼結させることが望ましい。また、エアロゾルデポジション法など、半導体粒子に強力な運動エネルギーを付与することで、透明導電膜上に多孔質形状で半導体層を接合形成させる方法により焼結させずに製膜する方法も好適に使用できる。
また、増感色素をより多く吸着させるために、当該半導体層4は多孔質になっていることが望ましい。半導体の種類により密度が異なるうえ、太陽電池の使用環境により適切な光電流が異なるため特には限定されないが、具体的には比表面積が10〜200m/gであることが望ましい。また、増感色素の吸光量を増加させるため、使用する金属酸化物の粒径に幅を持たせて光を散乱させることが望ましい。前記半導体層4の厚さは、用いる金属酸化物及びその性状により最適値が異なるため特には限定されないが、0.1〜50μm、好ましくは5〜30μmである。
<増感色素>
本発明に用いる増感色素はルテニウム錯体又はポルフィリン金属錯体である。
ルテニウム錯体としては、ルテニウムポリピリジン系錯体が望ましく、さらに望ましいのは、Ru(L)(L’)(X)2で表されるルテニウム錯体である。ここでLは4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン、もしくはその4級アンモニウム塩及びカルボキシル基が導入されたポリピリジン系配位子であり、L’はLと同一、もしくは4,4’−置換2,2’−ビピリジンであり、L’の4,4’位の置換基は、長鎖アルキル基、アルキル置換ビニルチエニル基、アルキル又はアルコキシ置換スチリル基、長鎖アルキル置換されたチオフェンなどのチエニル基誘導体などが挙げられる。また、XはSCN、Cl、CNである。例えば、通称N3やN719として知られるビス(4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ジイソチオシアネートルテニウム錯体や、通称Z907、C101、C106、CYCB1やCYCB11等として知られる、種々の(4,4’−置換−2,2’−ビピリジン)(4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ジイソチオシアネートルテニウム錯体等が挙げられる。また、ブラックダイやDX1、DX2の通称で知られるターピリジル配位子を有するルテニウム錯体等が挙げられる。
該ポルフィリン金属錯体は、ポルフィリンと金属との錯体である。このポルフィリン金属錯体は、半導体層に化学吸着できるよう、カルボキシル基やリン酸基を有することが望ましい。具体的には、通称YD2、YD9やYD10、YD2−o−c8等のZnやNiを中心金属とするポルフィリン金属錯体が望ましい。
該増感色素を増感色素層に用いることで、太陽光により励起されて金属酸化物半導体層に電子を注入させることができる。光電変換効率を向上させるためには、増感色素の吸収スペクトルが太陽光スペクトルと広波長域で重なっていて、耐光性が高いことが望ましい。
増感色素を前記多孔質金属酸化物半導体層4に吸着させる方法は、特には限定されるものではなく、例としては、室温条件、大気圧下において、色素を溶解させた溶液中に、透明導電膜2上に形成させた金属酸化物半導体層4を浸漬する方法が挙げられる。浸漬時間は、使用する半導体、色素、溶媒の種類、色素の濃度により、半導体層4に均一に色素の単分子膜が形成されるよう、適宜調整することが望ましい。なお、吸着を効果的に行なうには加熱下での浸漬を行なえばよい。
増感色素は多孔質金属酸化物半導体層4の表面上で会合しないことが望ましい。色素単独で吸着させると会合が起きる場合には、必要に応じて、共吸着剤を吸着させても構わない。このような吸着剤としては、用いる色素により最適な種類や濃度が変わるため特には限定されないが、例えばデオキシコール酸等の有機カルボン酸が挙げられる。共吸着剤を吸着させる方法としては、特には限定されないが、増感色素を溶解させる溶媒に、増感色素とともに共吸着剤を溶解させてから金属酸化物半導体層4を浸漬させることで、色素の吸着工程と同時に共吸着剤を吸着させることができる。
増感色素を溶解するために用いる溶媒の例としては、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール類、アセトニトリル等の窒素化合物、アセトン等のケトン類、ジエチルエーテルやテトラヒドロフラン等の鎖状または環状エーテル類、クロロホルム等のハロゲン化脂肪族炭化水素、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素、酢酸エチル等のエステル類等が挙げられる。溶液中の色素濃度は、使用する色素及び溶媒の種類により適宜調整することが望ましい。例えば、5×10−5mol/L以上の濃度が望ましい。
上記ルテニウム錯体又はポリフィリン金属錯体を少なくとも増感色素とした色素極と、本発明の電解液を組み合わせることにより、長期の耐久性と優れた変換効率が両立できる。
<対極>
上記電極基体1、多孔質金属酸化物半導体層4及び増感色素層5から構成される半導体電極6に対向して、カソード電極である対極8が電解質層7およびスペーサー11を介して配置される。
<対極−基体>
色素増感太陽電池の内部抵抗を小さくするため対極の基体9は電気伝導度が高いことが望ましい。また、上記のように電解質中に酸化還元対としてハロゲン分子及びハロゲン化合物を用いているため、該導電性の電極基体9には電解液に対する耐蝕性が高い材質を用いることが望ましい。
このような導電性基体9の材質としては、具体的には、表面に酸化皮膜を形成し耐蝕性が良好なクロム、ニッケルや、チタン、タンタル、ニオブ、及びそれらの合金であるステンレスや、表面に酸化皮膜を形成して耐蝕性を高めたアルミニウム等が挙げられる。
また、他の好適な材料としては、導電性金属酸化物が挙げられる。特に限定はされないが、例えばITOやFTO、ATO、また、酸化亜鉛や酸化チタン等が好適に用いることができる。中でもFTO、ITOを好適に用いることができる。
上記導電性の電極基体9は、耐久性やハンドリング性を高めること等を目的として支持体を備えていてもよい。例えば、透明性を求める場合にはガラスや透明なプラスチック樹脂板を用いることができる。また、軽量性を求める場合にはプラスチック樹脂板、フレキシブル性を求める場合にはプラスチック樹脂フィルム等を用いることができる。また、強度を高める場合には、金属板等を用いることもできる。
支持体の配置方法は特には限定されないが、導電性の電極基体9の表面には対極の作用部分として触媒活性層10が形成されるため、支持体は該触媒活性層10が担持されない部分、特に電極基体9の裏面に配置することが好ましい。また、支持体表面に導電性材料の粉末やフィラーを埋め込む等の方法で担持することにより、導電性の電極基体と支持体を一体化することもできる。
支持体の厚さは、対極の形状や使用条件により異なるため特に限定はされないが、例えばガラスやプラスチック等を用いた場合では、実使用時の耐久性を考慮して1mm〜1cm程度であり、フレキシブル性が必要とされ、プラスチックフィルム等を使用した場合は、25μm〜1mm程度である。また、必要に応じて耐候性を高めるハードコート等の処理や、フィルム添付処理を用いても構わない。また、金属材料を支持体にした場合には、10μm〜1cm程度である。
導電性の電極基体9の形態や厚みについては、電極として用いる際の形状や使用条件、また、用いる材料により導電性が異なるため特には限定されず、任意の形態を選択することができる。例えば、上記支持体を用いることで実用上の強度が保持される場合、電極として使用する上で必要な電導度が確保できていれば、100nm程度の厚みでも構わない。また、支持体を用いず、導電性の電極基体9のみにて強度を確保する場合は、1mm程度以上の厚さが好ましい。
また、必要とされる導電性は、使用する電極の面積により異なり、大面積電極ほど低抵抗であることが求められるが、一般的に100Ω/□以下、好ましくは5Ω/□以下、より好ましくは1Ω/□以下である。100Ω/□を超えると太陽電池の内部抵抗が増大するため、好ましくない。
<触媒活性層>
導電性の電極基体9の表面に担持される触媒材料は、電解質層7中に含まれる酸化還元対として含まれるハロゲン化合物等の酸化体を還元体に十分な速度で還元することができればよく、具体的には、例えば三ヨウ化物アニオン(I )をヨウ化物アニオン(I)に、もしくは臭化物アニオン(Br)を三臭化物アニオン(Br )に還元することができれば特に限定はされず、既知の物質が使用できるが、例えば、遷移金属、導電性高分子材料、又は炭素材料等を好適に用いることができる。
その形状は、用いる触媒の種類により異なるため特には限定されない。上述の触媒材料のうち少なくとも1種類以上からなる触媒材料を、電極基体9の表面に設けて触媒活性層10を形成することができる。あるいは電極基体9を構成する材料の中へ上記触媒材料を組み込むことも可能である。
触媒となる遷移金属としては、白金やパラジウム、ルテニウム、ロジウム等が好適に利用でき、また、それらを合金としても構わない。それらの中でも特に白金、もしくは白金合金が好適である。遷移金属の導電性基体9上への担持は既知の方法により行うことができる。例えば、スパッタや蒸着、電析により直接形成する方法や、塩化白金酸等の前駆体を熱分解する方法等を用いて導電性基体9上へ遷移金属を担持させ、触媒活性層10を形成することができる。
導電性高分子のモノマーとして、ピロール、アニリン、チオフェン、及びそれらの誘導体の中から、少なくとも1種類以上のモノマーを重合してなる導電性高分子を触媒として使用することができる。特に、ポリアニリンやポリ(エチレンジオキシチオフェン)であることが望ましい。導電性高分子の電極基体9への担持は、既知の方法を用いることができる。例えば、前記導電性基体9を、前記モノマーを含有する溶液中に浸漬して電気化学的に重合する方法や、Fe(III)イオンや過硫酸アンモニウム等の酸化剤と前記モノマーを含む溶液とを、該電極基体9上で反応させる化学重合法、導電性高分子を溶融状態もしくは溶解させた溶液から成膜する方法、また、導電性高分子の粒体をペースト状、もしくはエマルジョン状、もしくは高分子溶液及びバインダーを含む混合物形態に処理した後に、該電極基体9上へスクリーン印刷、スプレー塗布、刷毛塗り等により形成させる方法が挙げられる。
また、炭素材料としては特に制限されず、酸化還元対の酸化体である三ヨウ化物アニオン(I )もしくは三臭化物アニオン(Br )を還元する触媒能を有する、従来公知の炭素材料を使用することができるが、中でもカーボンナノチューブやカーボンブラック、活性炭等が望ましい。炭素材料の導電性基体9への担持方法としては、フッ素系のバインダー等を用いたペーストを塗布・乾燥する方法等、既知の方法を用いることができる。
半導体電極6と対極8の間にはスペーサー11が配置され、その空間に電解液が充填されて電解質層7が形成され、周縁シール部12によって封止されている。
<スペーサー>
スペーサー11は、半導体電極と対極が接触して短絡することのないように電極間距離を制御・固定するものであり、電解液、または熱・光等により劣化しない材質であれば特には限定されず既知の材料を任意の形状で用いることができる。材質としては例えば、ガラスやセラミック材料、フッ素系樹脂や光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂等が挙げられる。また、周辺シール部12中に、微小なガラスやセラミック材料等を混合するなどの方法で周辺シール部がスペーサーを兼ねることもできる。
<周辺シール>
周辺シール部12は、本発明の電解液が漏洩しないよう、半導体電極と対極を貼合せて封止するものであり、電解液、または熱・光等により劣化しない材質であれば特に制限されない。熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂、金属、ゴム等を例示することができる。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらは本発明を何ら限定するものではない。なお、実施例に用いた増感色素(CYC−B11、N719、Z907、YD2)は以下の化合物である。
Figure 0006315796
Figure 0006315796
(実施例1)
以下のようにして電解液の調製及び色素増感太陽電池の作製を行った。
<電解液の調製>
1,2−ジメチル−3−エチルイミダゾリウムカチオン1.0mol/l、4−tert−ブチルピリジン0.5mol/l、メチルイミダゾール0.05mol/l、ヨウ素0.15mol/lの割合でエチルイソプロピルスルホンに溶解して電解液を調製した。
<多孔質金属酸化物半導体層の形成>
透明導電膜付きの透明基体としてFTOガラス(日本板硝子製25mm×20mm)を用い、その表面に酸化チタンペースト(日揮触媒化成工業株式会社製チタニアペースト PST-18NR)を、スクリーン印刷による印刷工程と90℃30分の乾燥工程とを3回繰り返して重ね塗りした後、大気雰囲気下500℃で60分間焼成することで15μm前後の厚さの多孔質酸化チタン層を形成させた。さらに、前記多孔質酸化チタン層の上に、酸化チタンペースト(日揮触媒化成工業株式会社製チタニアペースト PST-400C)をスクリーン印刷で重ね塗りした後、同様に焼成を行なって、20μm前後の厚さとした多孔質金属酸化物半導体層を完成させ、多孔質酸化チタン半導体電極とした。
<増感色素の吸着>
増感色素として、一般にCYC−B11と呼ばれるルテニウム錯体(田中貴金属製)を使用した。80℃にした前記多孔質酸化チタン半導体電極を、ドライルーム内にて、色素濃度0.5mmol/Lのアセトニトリル・t−ブチルアルコール(1:1)混合溶液中でゆっくりと振盪させながら遮光下24時間浸漬させた。その後脱水アセトニトリルにて余分な色素を洗浄してから風乾することで、太陽電池の光電極(アノード電極)として完成させた。
<対極>
対極として、アンカー層として、スパッタ法によりITOガラス基板上にTi(膜厚50nm)を成膜したのち、該Ti層上にスパッタ法によりPt(膜厚150nm)を成膜させた白金対極を使用した。
<太陽電池セルの組み立て>
前記のように作製した光電極と、電気ドリルで0.6mmφの電解液注入孔を2個設けた対極を対向するよう設置し、両電極間に、スペーサーとして厚み50μmのFEP樹脂シートと、スペーサーの外周に熱可塑性シート(Dupont製 bynel、膜厚50μm)を重ならないように挟み、熱圧着する事により両電極を接着した。次に、前記のように作製した電解液を電解液注入孔から毛管現象にて両電極間に含浸させたうえで減圧デシケータ中で脱泡・真空含浸処理を行った。減圧解除後、電解液注入孔上に熱可塑性シートを挟んで1mm厚のガラス板を置き、再度加熱圧着することで封止を実施し、色素増感太陽電池を作製した。
<太陽電池セルの光電変換効率の測定>
色素増感太陽電池に対し、5mm角の窓をつけた光照射面積規定用マスクを装着させた上で、分光計器製ソーラシュミレータを用い、光量100mW/cm2、AM1.5の条件で光源の照射強度を調整した擬似太陽光を照射しながら、エーディーシー製直流電圧電流発生装置を用いて初期の光電変換効率を評価した。その後、85℃85%RHの条件下にて1000h保管後、25℃まで除冷してから光電変換効率を測定した。
(比較例1〜6)
表1に対応するように、増感色素、溶媒、ハロゲン化合物を代えた以外は、実施例1と同様にして色素増感太陽電池を作製し、光電変換効率を測定した。
実施例1及び比較例1〜6における色素増感太陽電池の光電変換効率を表1に示す。なお、増感色素としてCYC−B11、溶媒としてエチルイソプロピルスルホンを用いた色素増感太陽電池における好ましい光電変換効率は、6.50%以上が好ましく挙げられる。
Figure 0006315796
(実施例2、比較例7〜12)
表2に対応するように、増感色素、溶媒、ハロゲン化合物を代えた以外は、実施例1と同様にして色素増感太陽電池を作製し、光電変換効率を測定した。なお、増感色素としてCYC−B11、溶媒としてエチルイソブチルスルホンを用いた色素増感太陽電池における好ましい光電変換効率は、5.50%以上が好ましく挙げられる。
Figure 0006315796
(実施例3、比較例13〜18)
表3に対応するように、増感色素、溶媒、ハロゲン化合物を代えた以外は、実施例1と同様にして色素増感太陽電池を作製し、光電変換効率を測定した。なお、増感色素としてCYC−B11、溶媒としてエチルメチルスルホンを用いた色素増感太陽電池における好ましい光電変換効率は、6.50%以上が好ましく挙げられる。
Figure 0006315796
(実施例4、比較例19〜24)
表4に対応するように、増感色素、溶媒、ハロゲン化合物を代え、色素吸着時間を48時間とした以外は、実施例1と同様にして色素増感太陽電池を作製し、光電変換効率を測定した。なお、増感色素としてN719、溶媒としてエチルイソプロピルスルホンを用いた色素増感太陽電池における好ましい光電変換効率は、5.10%以上が好ましく挙げられる。
Figure 0006315796
(実施例5、比較例25〜30)
表5に対応するように、増感色素、溶媒、ハロゲン化合物を代え、色素吸着時間を48時間とした以外は、実施例1と同様にして色素増感太陽電池を作製し、光電変換効率を測定した。なお、増感色素としてN719、溶媒としてエチルメチルスルホンを用いた色素増感太陽電池における好ましい光電変換効率は、5.10%以上が好ましく挙げられる。
Figure 0006315796
(実施例6、比較例31〜34)
表6に対応するように、増感色素、溶媒、ハロゲン化合物を代え、色素吸着時間を48時間とした以外は、実施例1と同様にして色素増感太陽電池を作製し、光電変換効率を測定した。なお、増感色素としてN719、溶媒としてエチルイソプロピルスルホンとメチルフェニルスルホンを質量比3:7で混合した混合溶媒を用いた色素増感太陽電池における好ましい光電変換効率は、4.50%以上が好ましく挙げられる。
Figure 0006315796
(実施例7、比較例35〜39)
表7に対応するように、増感色素、溶媒、ハロゲン化合物を代え、色素吸着時間を48時間とした以外は、実施例1と同様にして色素増感太陽電池を作製し、光電変換効率を測定した。なお、増感色素としてZ907、溶媒としてエチルイソプロピルスルホンを用いた色素増感太陽電池における好ましい光電変換効率は、4.60%以上が好ましく挙げられる。
Figure 0006315796
(実施例8、比較例40〜44)
表8に対応するように、増感色素、溶媒、ハロゲン化合物を代え、色素吸着時間を48時間とした以外は、実施例1と同様にして色素増感太陽電池を作製し、光電変換効率を測定した。なお、増感色素としてZ907、溶媒としてエチルメチルスルホンを用いた色素増感太陽電池における好ましい光電変換効率は、4.60%以上が好ましく挙げられる。
Figure 0006315796
(実施例9、比較例45〜49)
表9に対応するように、増感色素、溶媒、ハロゲン化合物を代え、半導体への吸着に用いる溶媒を脱水エタノールとし、色素濃度を0.2mmol/Lとして12時間吸着させた以外は、実施例1と同様にして色素増感太陽電池を作製し、光電変換効率を測定した。なお、増感色素としてYD2、溶媒としてエチルイソプロピルスルホンを用いた色素増感太陽電池における好ましい光電変換効率は、4.60%以上が好ましく挙げられる。
Figure 0006315796
(実施例10、比較例50〜54)
表10に対応するように、増感色素、溶媒、ハロゲン化合物を代え、半導体への吸着に用いる溶媒を脱水エタノールとし、色素濃度を0.2mmol/Lとして12時間吸着させた以外は、実施例1と同様にして色素増感太陽電池を作製し、光電変換効率を測定した。なお、増感色素としてYD2、溶媒としてエチルメチルスルホンを用いた色素増感太陽電池における好ましい光電変換効率は、4.70%以上が好ましく挙げられる。
Figure 0006315796
表1〜10中の略語を以下に示す。
(溶媒)
EiPS:エチルイソプロピルスルホン
EiBS:エチルイソブチルスルホン
EMS:エチルメチルスルホン
MPhS:メチルフェニルスルホン
(ハロゲン化合物)
DMEImI:1,2−ジメチル−3−エチルイミダゾリウムヨウ化物
TMImI:1,2,3−トリメチルイミダゾリウムヨウ化物
DMImI:1,3−ジメチルイミダゾリウムヨウ化物
EMImI:1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヨウ化物
MPImI:1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムヨウ化物
HMImI:1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムヨウ化物
DMPImI:1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムヨウ化物
比較例1、7、13、19、25において、ヨウ化トリメチルイミダゾリウムはそれぞれの溶媒に対して25℃で1.0mol/L溶解しきらなかったため、電解液を濾過し、ヨウ化物塩が飽和状態の電解液を用いて評価した。
表1〜10より、いずれの条件においても、比較例より実施例の方が高い光電変換効率であることがわかる。
1 電極基体
2 透明基体
3 透明導電膜
4 多孔質金属酸化物半導体層
5 増感色素層
6 半導体電極
7 電解質層
8 対極
9 電極基体
10 触媒活性層
11 スペーサー
12 周縁シール部

Claims (6)

  1. 増感色素として少なくともルテニウム錯体又はポルフィリン金属錯体を含有させてなる半導体電極と、酸化還元対となる電解質を含む電解質層と、前記電解質層を介して前記半導体電極に対向配置された対極とを少なくとも具備する色素増感太陽電池における、
    前記電解質層に含有される色素増感太陽電池用電解液であって、
    溶媒として下記一般式(1)で表される鎖状スルホン化合物に、酸化還元性の電解質として、少なくとも下記化合物(A)で表されるハロゲン化合物とハロゲン分子とを溶解させてなることを特徴とする色素増感太陽電池用電解液。
    Figure 0006315796
    (式中、R、Rは独立して、ハロゲン、アルコキシ基若しくは芳香環で一部置換されていても良い炭素数1〜12のアルキル基を表す。)
    Figure 0006315796
    (化合物(A)中、Xはハロゲンアニオンを表す。)
  2. 一般式(1)で表される鎖状スルホン化合物中、R、Rのそれぞれのアルキル基の炭素数の合計が3以上であることを特徴とする請求項1に記載の色素増感太陽電池用電解液。
  3. ハロゲン化合物の濃度が0.05〜4.0mol/Lである請求項1又は2に記載の色素増感太陽電池用電解液。
  4. ハロゲン化合物がヨウ化物塩で、ハロゲン分子がヨウ素である請求項1から3のいずれか一項に記載の色素増感太陽電池用電解液。
  5. ハロゲン化合物が臭化物塩で、ハロゲン分子が臭素である請求項1から3のいずれか一項に記載の色素増感太陽電池用電解液。
  6. 請求項1から5のいずれか一項に記載の色素増感太陽電池用電解液を含有することを特徴とする色素増感太陽電池。
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