JP2012028200A - 光電変換素子用対向電極及びその製造方法、並びに光電変換素子 - Google Patents

光電変換素子用対向電極及びその製造方法、並びに光電変換素子 Download PDF

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Abstract

【課題】400℃以上の高温焼成処理及び樹脂バインダーが必須とされず、これにより生産性及び経済性が高められた光電変換素子用対向電極及びその製造方法並びに光電変換効率に優れる光電変換素子等を提供する。
【解決手段】導電性表面を有する基体と、該導電性表面上の少なくとも一部に設けられたカーボン触媒層とを備え、前記カーボン触媒層は、カーボンブラック、ケッチェンブラック及びグラファイトよりなる群から選択される少なくとも1種の導電性炭素粒子と酸化亜鉛粒子とを含有し、該グラファイトの含有量が固形分換算で該カーボン触媒層の総量に対して30wt%以下であり、該導電性炭素粒子と該酸化亜鉛粒子との重量比が固形分換算で25:75〜85:15の範囲内にある、光電変換素子用対向電極。前記カーボン触媒層は、非焼成であることが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、光電変換素子用対向電極及びその製造方法、並びに光電変換素子に関する。
従来、太陽光等の光エネルギーを電気エネルギーに変換する光電変換素子として、色素を光増感剤として用いた色素増感型太陽電池等が知られている。色素増感型太陽電池は、理論的に高い効率が期待でき、また、一般に普及しているシリコン半導体を用いた太陽電池よりもコスト的に非常に有利であると考えられている。そのため、次世代の光電変換素子として注目され、近年、実用化に向けた開発が進められている。
この種の色素増感型光電変換素子は、色素が光を吸収して電子を放出する性質を利用して発電を行うものであり、電解質を介して電子移動を行う電気化学的なセル構造を有するのが特徴である。具体的には、酸化チタン等の多孔質の金属酸化物層(金属酸化物半導体層)に色素を担持(吸着)させた色素担持金属酸化物層を有する作用電極と、その対極となる対向電極とを、電解質を介して貼り合わせた構造を有している。
対向電極としては、一般的に、導電性ガラス板や金属板の表面にスパッタリングにより白金の薄膜を形成したものが知られている。しかしながら、貴金属である白金Ptの使用は、コスト面で大きな問題があり、また、近年では価格変動が大きいため安定供給において不安視されている。そこで、より安価な原料への代替を目的として、導電性高分子や炭素材料を触媒として用いることが検討されている。具体的には、導電性高分子であるポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)や、カーボンブラック或いはグラファイト等の炭素材料を用いる試みがなされている(特許文献1乃至3参照)。
特開2004−241228号公報 特開2005−158380号公報 特開2004−127849号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたPEDOTのような導電性高分子は、白金に比べてその酸化還元反応の触媒能が低く、また、カーボンブラック等の炭素材料に比べて高価なため、現時点では実用に供するものではなかった。また、PEDOTは、強酸性であり、親水性であり、耐湿性が悪いため、取扱性及び応用性に乏しいという問題もあった。
一方、カーボンブラック等の炭素材料を用いる場合、通常は、ポリエチレングリコール等の樹脂バインダーを添加したペースト又はスラリー等の塗布液を調製し、この塗布液を基板の導電性表面上に塗布し、しかる後、400℃以上の高温で長時間焼成することにより触媒層を製膜することが一般的であった。しかしながら、このように高温焼成処理を行うものは、昇温及び冷却に時間を要するため生産性が低下するとともに高コスト化するという問題があった。また、適用可能な基板は、ガラス基板等の耐熱性に優れるものに限定されるという問題もあった。
上記において、高温焼成処理を施すことなく、すなわち、カーボンブラック等の炭素材料及び樹脂バインダーを含む塗布液を比較的低温で熱処理することにより、触媒層を製膜する試みもなされている。しかしながら、このようにすると、触媒層中に樹脂バインダーが残留し、その残留バインダーにより内部抵抗が増えるとともに触媒機能が大きく低下する等した結果、光電変換効率等の素子特性が大きく低下するという問題があった。
一方、特許文献2には、樹脂バインダーを使用せずにグラファイトやカーボンナノチューブを塗布して触媒層を形成する方法が開示されているが、このようにして作製される触媒層は、耐久性に劣るものであった。さらに、触媒能が低いグラファイトやカーボンナノチューブを含み、また、触媒層の導電性が過度に高くなり短絡が生じる等した結果、十分な光電変換効率を得ることができなかった。
他方、特許文献3に記載の対向電極は、アセチルアセトン、イオン交換水及び界面活性剤の他に、質量比で20:100:15のカーボンブラック状粒子、グラファイト状粒子及びSbドープSnO2粒子を含むスラリーの塗布と焼結を繰り返すことにより作製されている。そのため、特許文献3に記載された技術においては、高温焼成処理が必須とされる問題は解決されていない。また、この特許文献3に記載の対向電極は、炭素材料として触媒能が低いグラファイトを含み、また、導電性が過度に高くなり短絡が生じる等した結果、十分な光電変換効率を得ることができなかった。
本発明は、かかる実情を鑑みてなされたものであり、その目的は、400℃以上の高温焼成処理及び樹脂バインダーが必須とされず、これにより生産性及び経済性が高められた光電変換素子用対向電極及びその製造方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、光電変換効率に優れる光電変換素子を実現し得る、生産性及び経済性に優れる光電変換素子用対向電極及びその製造方法を提供することにある。さらに、本発明の他の目的は、光電変換効率に優れる光電変換素子を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、カーボンブラック、ケッチェンブラック及びグラファイトよりなる群から選択される少なくとも1種の導電性炭素粒子と酸化亜鉛粒子とを特定の重量割合で用いてカーボン触媒層を構成することにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の光電変換素子用対向電極は、導電性表面を有する基体と、該導電性表面上の少なくとも一部に設けられたカーボン触媒層とを備え、前記カーボン触媒層は、カーボンブラック、ケッチェンブラック及びグラファイトよりなる群から選択される少なくとも1種の導電性炭素粒子と酸化亜鉛粒子とを含有し、該グラファイトの含有量が固形分換算で該カーボン触媒層の総量に対して30wt%以下であり、該導電性炭素粒子と該酸化亜鉛粒子との重量比が固形分換算で25:75〜85:15の範囲内にあるものである。
本発明者らが、このように構成された光電変換素子用対向電極と、導電性表面を有する基体と該導電性表面上の少なくとも一部に設けられた色素担持金属酸化物層とを有する作用電極(光電変換電極)とを対向配置し、両者の間に電解質を設けた光電変換素子(色素増感型太陽電池)の特性を測定したところ、優れた光電変換効率が発揮されていることが判明した。かかる効果が奏される作用機構の詳細は、未だ明らかではないものの、例えば、以下のとおり推定される。
上記構成の光電変換素子では、色素が担持された金属酸化物層(色素担持金属酸化物層)に光があたると、その光を吸収して励起した色素が電子を金属酸化物層へ注入し、その電子が外部回路へ移動する。一方、電解質においては、その電子の移動に伴い、酸化された色素を基底状態に戻す(還元する)ように酸化還元反応が繰り返される。これにより、電子が光電変換素子内を連続的に移動し、定常的に光電変換が行われる。
ここで、上記構成の光電変換素子用対向電極においては、色素担持金属酸化物層に向かい合って配置されるカーボン触媒層として、カーボンブラック、ケッチェンブラック及びグラファイトよりなる群から選択される少なくとも1種の導電性炭素粒子と酸化亜鉛粒子とを含有し、カーボン触媒層の総量に対するグラファイトの含有量が固形分換算で30wt%以下であり、且つ、導電性炭素粒子と酸化亜鉛粒子との重量比が固形分換算で25:75〜85:15の範囲内にあるカーボン触媒層が採用されている。かかる構成のカーボン触媒層は、電解質との接触面積や内部抵抗が高められることにより対向電極に白金を用いた場合と同等のレベルまで触媒能が向上されており、上記従来の導電性高分子や樹脂バインダーを用いたカーボン触媒層に比べて、触媒能の低下や電気的な損失が抑制されている。とりわけ、カーボンブラック、ケッチェンブラック及びグラファイトよりなる群から選択される少なくとも1種の導電性炭素粒子を用い、これらの中でも導電性が過度に高く且つ触媒能が劣るグラファイトの含有量をカーボン触媒層の総量に対する固形分換算で30wt%以下に設定したことにより、短絡の発生が効果的に抑制されるとともに、光電変換効率が効果的に高められる。しかも、樹脂バインダーを必須としないので、その添加にともなう触媒能の損失及び電気的な損失が抑制される。しかも、製膜性が高められているため、製膜ムラの発生による電子移動性の低下も抑制される。これらの作用が相まった結果、励起した色素から金属酸化物半導体層への電子の注入が効率よく行われ、金属酸化物半導体層から外部回路へと速やかに電子が移動し、光電変換効率が格別に高められたものと考えられる。但し、作用はこれらに限定されない。
また、上記構成の光電変換素子用対向電極においては、カーボン触媒層を作製するために400℃以上の高温焼成処理が必須とされず、かかる高温焼成処理を省略することにより、生産性及び経済性が格別に高められる。さらに、この場合は、カーボン触媒層を付与する基体として、ガラス基板等の耐熱性に優れるもののみならず、プラスチック基板や金属基板等も適用可能となるため、汎用性が高められる。また、例えば、可撓性を有するプラスチック基板を採用することで、湾曲形状やフレキシブル形状の光電変換素子を実現することもできる。
上記において、カーボン触媒層は、非焼成であることが好ましい。カーボン触媒層の製膜工程を効率化することができるので、生産性及び経済性が格別に高められる。また、カーボン触媒層を付与する基体として、ガラス基板等の耐熱性に優れるもののみならず、熱で溶融・変形し易いプラスチック基板や金属基板等も幅広く適用することが可能となるため、汎用性が高められる。
一方、本発明の光電変換素子用対向電極の製造方法は、上記本発明の色素増感型太陽電池用対向電極を有効に製造可能なものであって、導電性表面を有する基体を準備する工程と、前記導電性表面上の少なくとも一部に、カーボンブラック、ケッチェンブラック及びグラファイトよりなる群から選択される少なくとも1種の導電性炭素粒子と酸化亜鉛粒子とを含有し、該グラファイトの含有量が固形分換算で該カーボン触媒層の総量に対して30wt%以下であり、該導電性炭素粒子と該酸化亜鉛粒子との重量比が固形分換算で25:75〜85:15の範囲内にある調合物を付与して、カーボン触媒層前駆体を作製する工程と、前記カーボン触媒層前駆体を温水で処理する工程と、を有するものである。この製造方法によれば、製膜ムラのない高効率なカーボン触媒層を有する対向電極を簡易且つ低コストで再現性よく安定して製造可能となる。
他方、本発明の光電変換素子は、上記本発明の色素増感型太陽電池用対向電極及びその製造方法を有効に利用可能なものであって、導電性表面を有する基体と該導電性表面上の少なくとも一部に設けられた色素担持金属酸化物層とを有する作用電極、導電性表面を有する基体と該導電性表面上の少なくとも一部に設けられたカーボン触媒層とを有する対向電極、及び、前記作用電極と前記対向電極との間に設けられた電解質、を備え、前記カーボン触媒層は、カーボンブラック、ケッチェンブラック及びグラファイトよりなる群から選択される少なくとも1種の導電性炭素粒子と酸化亜鉛粒子とを含有し、該グラファイトの含有量が固形分換算で該カーボン触媒層の総量に対して30wt%以下であり、該導電性炭素粒子と該酸化亜鉛粒子との重量比が固形分換算で25:75〜85:15の範囲内にあるものである。生産性及び経済性に優れるのみならず、光電変換効率に優れる光電変換素子が実現される。
本発明の光電変換素子用対向電極及びその製造方法によれば、400℃以上の高温焼成処理が必須とされないので、生産性及び経済性が格別に高められる。また、高温焼成処理を省略することにより、対向電極を構成する基体に過度の耐熱性が要求されなくなるので、汎用性が高められる。また、製膜ムラのない高効率なカーボン触媒層を簡易且つ低コストで再現性よく安定して製造可能であり、しかも、グラファイト及び樹脂バインダーが必須とされないので、低コストで光電変換効率に優れる光電変換素子を容易に実現することができる。
色素増感型太陽電池100及び対向電極14の概略構成を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。また、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はその実施の形態のみに限定されるものではない。
図1は、本実施形態の光電変換素子の概略構成を示す断面図である。光電変換素子である色素増感型太陽電池100は、作用電極11(色素担持電極、光電変換電極)と、対向電極21(対極)と、これら作用電極11及び対向電極21の間に設けられた電解質31を備える。作用電極11と対向電極21とは、スペーサー41を介して対向配置され、これら作用電極11、対向電極21及びスペーサー41並びに図示しない封止部材によって画成される封止空間内に、電解質31が封入されている。
作用電極11は、少なくとも一部又は全面に導電性表面12aを有する基体12と、導電性表面12a上の少なくも一部又は全面に形成された多孔質構造を有する金属酸化物層13とを備え、金属酸化物層13に色素が担持(吸着)されることにより、色素担持金属酸化物層14が形成されている。換言すれば、本実施形態の作用電極11は、色素担持金属酸化物層14、すなわち、色素が金属酸化物の表面に担持(吸着)された複合構造体が、基体12の導電性表面12a上に積層された構成となっている。
基体12としては、少なくとも金属酸化物層13を支持可能なものであればその種類や寸法形状は特に制限されず、例えば、板状或いはシート状(フィルム状)の物が好適に用いられる。その具体例としては、例えば、ガラス基板、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のプラスチック基板、金属基板或いは合金基板、セラミックス基板又はこれらの積層体等が挙げられる。また、基体12は、透光性を有する(すなわち、透明基体である)ことが好ましく、可視光領域における透光性に優れるものがより好ましい。典型的な透明基体としては、ガラス基板や、ガラス基板のガラス表面を加工して入射光を散乱させるようにしたもの、プラスチック板やプラスチックフィルム等が挙げられる。さらに、基体12は、可撓性を有することが好ましい。この場合、その可撓性を生かした種々の形態の構造物を提供できる。
基体12の厚さは、色素増感型太陽電池100の形状や使用条件により異なり、特に限定されないが、例えば、基体12としてガラスやプラスチック等を用いる場合には、実使用時の耐久性を考慮して1mm〜1cm程度が好ましく、フレキシブル性が必要とされ、プラスチックフィルム等を用いる場合には、1μm〜1mm程度が好ましい。また、基体12の形状は、色素増感太陽電池10の形状に応じて変更することができ、特に限定されない。
導電性表面12aは、例えば、導電性PETフィルムのように基体12上の一部に又は全面に透明導電膜を形成する等して、基体12に付与することができる。このように基体12上の一部に又は全面に透明導電膜を形成する場合、基体12として、ガラスやプラスチック等の絶縁体を用いることができる。一方、導電性を有する基体12を用いることで、基体12に導電性表面12aを付与する処理を省略することができる。
好ましい透明導電膜の具体例としては、可視光を透過する導電性材料であり、より具体的には、例えば、金属酸化物が挙げられる。透明又は半透明の透明導電膜を採用することにより、色素への入射光量を増加させることができる。例えば、FTO被膜付ガラス、ITO膜付PET、ITO膜付PENフィルム等が市販されている。このような金属酸化物の具体例としては、例えば、酸化亜鉛、酸化アンチモン、インジウム−スズ酸化物(ITO)、インジウム−亜鉛酸化物(IZO)、アンチモンをドープしたSnO2、InO3、SnO2の他、SnO2にフッ素をドープした酸化スズ(FTO)等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらは、各々を単独で用いても、複数を組み合わせて用いてもよい。
また、薄膜化や分散処理等によって可視光が導電性表面12aを有する基体12を透過する限り、不透明な導電性材料を用いることもできる。このような材料としては、例えば、炭素材料や金属等が挙げられる。炭素材料の具体例としては、特に限定されないが、例えば、黒鉛(グラファイト)、カーボンブラック、グラッシーカーボン、カーボンナノチューブやフラーレン等が挙げられる。また、金属の具体例としては、特に限定されないが、例えば、白金、金、銀、ルテニウム、銅、アルミニウム、ニッケル、コバルト、クロム、鉄、モリブデン、チタン、タンタル、及びそれらの合金等が挙げられる。
したがって、導電性表面12aを有する基体12は、上述の導電性材料のうち少なくとも1種類以上からなる導電材料を基体12の表面の一部又は全面に付与することによって得ることができる。或いは、基体12を構成する材料の中へ上記導電性材料を組み込んで、基体12と透明導電膜12aとを一体化して導電性表面12aを有する基体12を構成することも可能である。
透明導電膜の形成方法は、特に限定されず、例えば、蒸着法、CVD法、スパッタリング法等の気相法;スプレーコート法、スピンコート法等の各種コート法、ゾルゲル法等の液層法又は浸漬法等、公知の手法を適用できる。また、半透明或いは不透明な導電性材料を使用する場合、例えば、導電性材料の粉体等を透明なバインダー等とともに固着させる方法の他、ゾルゲル法等の液層法又は浸漬法等、メッキや電析等の溶液法、スパッタリング法や真空蒸着等の気相法等を適用することができる。さらに、基体12と透明導電膜12aとを一体化して導電性表面12aを有する基体12を構成する方法も、特に限定されず、公知の手法を適用できる。例えば、基体12の成形時に上記導電膜材料を導電性フィラーとして混合させる方法等がある。
透明導電膜の厚さは、用いる材料により導電性が異なるため、特に限定されず、適宜設定可能であるが、一般的に使用されるFTO被膜付ガラスでは、0.01μm〜5μmが好ましく、より好ましくは0.1μm〜1μmである。また、必要とされる導電性は、使用する電極の面積により異なり、広い電極ほど低抵抗であることが求められるが、一般的には、100Ω/□以下が好ましく、より好ましくは10Ω/□以下、さらに好ましくは5Ω/□以下である。
導電性表面12aを有する基体12の厚さは、上述のように色素増感型太陽電池100の形状や使用条件により異なり、特に限定されないが、一般的には1μm〜1cm程度である。
なお、基体12の導電性表面12aは、必要に応じて、適宜の表面改質処理が施されていてもよい。その具体的としては、例えば、界面活性剤、有機溶剤又はアルカリ性水溶液等による脱脂処理、機械的研磨処理、水溶液への浸漬処理、電解液による予備電解処理、水洗処理、乾燥処理等公知の表面処理が挙げられるが、これらに特に限定されない。
金属酸化物層13は、TiO2、ZnO、SnO2、ZrO2、SiO2、Al23、WO3、Nb25等の金属酸化物を主成分とする多孔性の半導体層である。金属酸化物層13は、TiO2又はZnOを主成分とするものが好ましく、ZnOを主成分とするものがより好ましい。また、金属酸化物層13は、チタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、カドミウム、鉛、アンチモン、ビスマス等の金属、これらの金属酸化物及びこれらの金属カルコゲニドを含んでいてもよい。
上記の金属酸化物粒子を含有する調合物は、分散媒を含む調合液(例えば、分散液、ゾル液又はスラリー液等)であることが好ましい。分散媒の具体例としては、特に限定されないが、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ジクロロメタン、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル、トルエン、ジメチルホルムアミド、エトキシエタノール、シクロヘキサノン等の各種の有機溶媒が挙げられる。なお、これらは、各々を単独で用いても、複数を組み合わせて用いてもよい。また、必要に応じて、他の界面活性剤、酸、キレート剤等の助剤を含むものであってもよい。
また、電気抵抗値を下げるため、金属酸化物層13の金属酸化物の粒界は少ないことが望ましい。また、色素をより多く吸着させるために、金属酸化物層13は比表面積の大きなものが好ましく、具体的には10〜200m2/gが好ましい。さらに、色素の光吸収量を増加させるため、使用する金属酸化物の粒径に幅を持たせて光を散乱させることが望ましい。
上述した金属酸化物層13の形成方法は、特に限定されず、公知の手法が適用可能であり、例えば、ゾルゲル法や、分散体ペーストの塗布、また、電析や電着させる方法等が広く知られている。好ましい形成方法としては、例えば、金属酸化物粒子を含有する調合物(スラリーやゾル等)を基体12の導電性表面12a上に付与した後に焼結する方法や、かかる調合物を基体12の導電性表面12a上に付与した後に50〜150℃程度、好ましくは70〜150℃程度の低温処理を行う方法が挙げられる。これらの手法によると、金属酸化物の粒子が凝集及び/又は結合した多孔質構造を有する金属酸化物層13を簡易に得ることができる。これらの中でも、樹脂を含む基体が使用可能となるとともに印加エネルギー量を減らして環境負荷を低減できる観点から、後者の50〜150℃程度の低温処理を行う方法が好ましい。なお、調合物の基体12の導電性表面12aへの付与方法は、特に限定されず、従来公知の塗布法等が適用可能である。
金属酸化物層13の厚みは、使用する金属酸化物により最適値が異なり、特には限定されないが、一般的には、0.1μm〜50μm程度が好ましく、より好ましくは3〜30μmである。
金属酸化物層13に担持(吸着)させる色素は、光により励起されて金属酸化物層13に電子注入できるものであればよく、特に限定されない。光電変換素子或いは色素増感太陽電池において一般的に用いられている色素を好適に用いることができる。太陽光に対する光電変換効率を向上させるためには、色素の吸収スペクトルが太陽光スペクトルと広波長域で重なっていて、耐光性が高いものが望ましい。
したがって、金属酸化物層13に担持(吸着)させる色素は、水溶性色素、非水溶性色素、油溶性色素のいずれであっても構わない。光電変換素子として要求される性能に応じて、所望の光吸収帯・吸収スペクトルを有するものを適宜選択できる。色素の具体例としては、例えば、キサンテン系色素、クマリン系色素、トリフェニルメタン系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、無金属フタロシアニン系色素、ポルフィリン系色素、無金属ポルフィリン系色素、ポリピリジン金属錯体色素等の他、ルテニウムビピリジウム系色素、アゾ色素、トリスアゾ系色素、ジフェニルメタン系色素、トリメチルメタン系色素、キノリン系色素、ベンゾフェノン系色素、ナフトキノン系色素、キノン系色素、キノンイミン系色素、キナクリドン系色素、スクアリウム系色素、ペリレン系色素、アントラキノン系色素、多環キノン系色素、インジゴ系色素、フルオレノン系色素、アズレニウム系色素、ペリノン系色素、オキソノール系色素、ポリメチン系色素、リボフラビン系色素等が挙げられるが、これらに特に限定されない。なお、これらは、各々を単独で用いても、複数を組み合わせて用いてもよい。
色素の具体例としては、例えば、下記式(1)で表されるD102色素(三菱製紙株式会社製)が挙げられ、その他に、例えば、エオシンY、ジブロモフルオレセイン、フルオレセイン、ローダミンB、ピロガロール、ジクロロフルオレセイン、エリスロシンB(エリスロシンは登録商標)、フルオレシン或いはマーキュロクロム等が挙げられる。また、金属酸化物層13が酸化チタンの場合は、ルテニウム錯体、特にルテニウムポリピリジン系錯体が好ましく、より好ましくは、Ru(L)2(X)2で表されるルテニウム錯体である。ここで、Lは4,4'−ジカルボキシ−2,2'−ビピリジン、もしくはその4級アンモニウム塩、及びカルボキシル基が導入されたポリピリジン系配位子であり、また、XはSCN、Cl、CNである。特に好ましいルテニウム錯体としては、例えば、ビス(4,4'−ジカルボキシ−2,2'−ビピリジン)ジイソチオシアネートルテニウム錯体等が挙げられる。
他の色素としては、ルテニウム以外の金属錯体色素、例えば、鉄錯体、銅錯体等が挙げられる。
上述した色素は、色素担持量を増大させるとともに金属酸化物層13への電子注入効率を向上させる観点から、金属酸化物層13の表面と相互作用する吸着性基を有することが好ましい。吸着性基の具体例としては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、リン酸基等が挙げられるが、これらに特に限定されない。
色素を金属酸化物層13に担持(吸着)させる方法は、特に限定されず、公知の形成方法を適用することができる。例えば、室温条件、大気圧下において、色素を含む溶液(色素含有溶液)中に金属酸化物層13を浸漬する方法や、色素を含む溶液を金属酸化物層13に塗布する方法等を適宜可能である。前者における浸漬時間は、使用する金属酸化物、色素、溶媒の種類、色素の濃度等を考慮し、金属酸化物層13表面に均一に色素の単分子膜が形成されるよう、適宜調節すればよい。なお、色素の担持(吸着)を効果的に行うために、加熱下や高圧下で浸漬等してもよい。
上記色素を分散或いは溶解等するための溶媒は、使用する増感色素の溶解性又は相溶性等に応じて、例えば、水、エタノール系溶媒、ニトリル系溶媒、ケトン系溶媒等の公知の溶媒から適宜選定することができる。より具体的には、例えば、エタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、クロロホルム等のハロゲン化脂肪族炭化水素、酢酸エチル等のエステル類、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、トルエン等の芳香族炭化水素、クロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素、アセトニトリル、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、スルホラン或いは3−メトキシプロピオニトリル等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらは、各々を単独で用いても、複数を組み合わせて用いてもよい。色素の種類によって溶解する溶媒を選ぶ必要があり、色素を半導体表面に十分吸着させるためには、ある程度色素が高濃度である方が好ましく、例えば、4×10-5mol/L以上の濃度が好ましい。
なお、作用電極11は、基体12の導電性表面12aと金属酸化物層13(色素担持金属酸化物層14)との間に、中間層を有していてもよい。中間層の材料は、特に限定されないが、例えば、上記の導電性表面12aの透明導電膜で説明した金属酸化物等が好ましい。中間層は、例えば、蒸着法、CVD法、スプレー法、スピンコート法、浸漬法或いは電析法等の公知の手法によって、基体12の導電性表面12aに金属酸化物を析出或いは堆積することで形成することができる。なお、中間層は、透光性を有することが好ましく、さらに導電性を有することが好ましい。また、中間層の厚みは、特に限定されるものではないが、0.1〜5μm程度が好ましい。
対向電極21は、導電性表面22aを有する基体22と、導電性表面22a上に形成された、カーボン触媒層23とを備える。カーボン触媒層23は、作用電極11の金属酸化物層13(色素担持金属酸化物層14)と対面するように対向配置されている。本実施形態において、導電性表面22aを有する基体22は、カーボン触媒層23の支持体兼集電体として用いられている。
基体22及び導電性表面22aは、上述した基体12及び導電性表面12aに対応するものであり、これらと同様に公知のものを適宜採用することができ、また、基体12及び導電性表面12aにおいて説明したものを好適に用いることができる。
導電性表面22aを有する基体22の好適例としては、例えば、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)モリブデン(Mo)或いはインジウム(In)、チタン(Ti)等の金属、炭素(C)又はその他の導電性ポリマー等から構成された導電性を有する基体12の他、透明導電膜を形成する等して基体12上の一部に又は全面に導電性表面12aを有するもの、さらに、基体12の導電性表面12a上にさらに導電層として、白金、金、銀、銅、アルミニウム、インジウム、モリブデン、チタン等の金属、導電性ポリマー等の膜を形成したもの等が挙げられる。
基体22及び導電性表面22aは、透明、半透明、不透明のいずれであっても構わないが、色素への入射光量を増加させる観点から、透明又は半透明であることが好ましい。透明又は半透明の基体22及び導電性表面22aを用いることにより、意匠性を向上させることもできる。
カーボン触媒層23は、導電性炭素粒子及び酸化亜鉛粒子を含有する。導電性炭素粒子及び酸化亜鉛粒子は電解質に含まれる酸化還元対に対して触媒活性を有するため、これらを併用することにより、高効率なカーボン触媒層23が得られる。また、カーボン触媒層23は、多孔質構造を有することが好ましい。多孔質構造を有するカーボン触媒層23は、表面積が大きく、機械強度及び密着強度に優れる傾向にあり、これを用いることにより、得られる色素増感型太陽電池100の光電変換効率が格別に高められる。カーボン触媒層23を構成する導電性炭素粒子及び酸化亜鉛粒子としては、電解質中の酸化還元対(例えば、I3 -/I-等)の酸化体を還元体に変化させる還元反応(例えば、I3 -をI-に還元する反応)を速やかに進行させることが可能なものであれば、特に制限なく用いることができる。以下、さらに詳述する。
カーボン触媒層23は、光電変換効率に優れる色素増感型太陽電池100を実現するために、導電性炭素粒子としてカーボンブラック、ケッチェンブラック及びグラファイト(黒鉛)よりなる群から選択される少なくとも1種を含むことが必要とされる。ここで、カーボン触媒層23が導電性炭素粒子としてグラファイトを含む場合、グラファイトの含有量は、固形分換算で該カーボン触媒層の総量に対して30wt%以下であることが必要とされる。上述したように、グラファイトは、導電性が過度に高く触媒能も比較的に低いため、カーボン触媒層23がグラファイトを多量に含む場合には、十分な光電変換効率を得ることが困難な傾向にある。したがって、カーボン触媒層23中のグラファイトの含有量は、カーボン触媒層23の固形分換算の総量に対して30wt%以下である必要があり、好ましくは5wt%未満、より好ましくは3wt%未満、さらに好ましくは1wt%未満である。なお、カーボン触媒層23がグラファイトを含まない態様は、好ましい一態様である。
また、カーボン触媒層23は、他の導電性炭素粒子を含んでいてもよい。他の導電性炭素粒子の具体例としては、例えば、ガラス炭素、アモルファスカーボン、ハードカーボン、ソフトカーボン、カーボンホイスカー、グラッシーカーボン、カーボンナノチューブ、フラーレン等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらは、各々を単独で用いても、複数を組み合わせて用いてもよい。
導電性炭素粒子の粒子形状は、特に限定されない。一般的には、略球状(長軸及び短軸のアスペクト比が1〜10程度のもの)のものを用いることが好ましいが、例えば、矩形状、針状、楕円球状、角錐状、円錐状或いはチューブ状のほか、角柱状又は円柱状の一部が変形して凸状或いは鋭角を有する構造体となった不定形状等、種々の形態の導電性炭素粒子を用いることができる。
上記の導電性炭素粒子の粒径(平均粒径D50)は、使用する導電性炭素粒子の種類によって最適値が異なるため、特に限定されない。例えば、カーボンブラックの場合、一般的には、10nm〜1μm程度が好ましく、より好ましくは20〜100nmである。また、アモルファスカーボンの場合、一般的には、300nm〜2μm程度が好ましく、より好ましくは400nm〜1μmである。さらに、カーボンナノチューブの場合、一般的には、10nm〜1mm程度が好ましく、より好ましくは20nm〜500nmである。
カーボン触媒層23に含まれる導電性炭素粒子の含有量は、特に限定されないが、カーボン触媒層23の製膜性を高めるとともに、得られる色素増感型太陽電池100の光電変換効率を高める観点から、カーボン触媒層23の固形分換算の総量に対し、20〜90%であることが好ましい。
カーボン触媒層23に含まれる酸化亜鉛粒子は、電解質に含まれる酸化還元対に対して優れた触媒活性を有する。また、かかる酸化亜鉛粒子を、導電性炭素粒子とともに用いることにより、酸化亜鉛粒子を併用しない場合に比して、得られるカーボン触媒層23の製膜性が高められる。
酸化亜鉛粉末の粒子形状は、特に限定されない。一般的には、略球状(長軸及び短軸のアスペクト比が1〜10程度のもの)のものを用いることが好ましいが、例えば、矩形状、針状、楕円球状、角錐状或いは円錐状のほか、角柱状又は円柱状の一部が変形して凸状或いは鋭角を有する構造体となった不定形状等、種々の形態の酸化亜鉛粉末を用いることができる。
酸化亜鉛粉末の粒径(平均粒径D50)は、特に限定されないが、5nm〜500nm程度が好ましく、より好ましくは10〜100nmである。使用する導電性炭素粒子の種類・粒径・粒子形状等によって異なるが、比較的に微細な酸化亜鉛粉末を用いることにより、得られるカーボン触媒層23の製膜性が高められる傾向にある。
カーボン触媒層23に含まれる酸化亜鉛粒子の含有量は、特に限定されないが、カーボン触媒層23の製膜性を高めるとともに、得られる色素増感型太陽電池100の光電変換効率を高める観点から、カーボン触媒層23の固形分換算の総量に対し、10〜80wt%であることが好ましい。
カーボン触媒層23は、得られる色素増感型太陽電池100の光電変換効率を高める観点から、実質的に導電性炭素粒子及び酸化亜鉛粒子から構成されていることが好ましい。ここで、実質的に導電性炭素粒子及び酸化亜鉛粒子から構成されているは、導電性炭素粒子及び酸化亜鉛粒子を主たる構成成分とし、両者の総量が、カーボン触媒層23の固形分換算の総量に対し、90wt%以上であることを意味する。光電変換効率をより一層高める観点から、導電性炭素粒子及び酸化亜鉛粒子の総量は、カーボン触媒層23の固形分換算の総量に対し、95wt%以上であることが好ましく、より好ましくは98wt%以上である。
上述した導電性炭素粒子及び酸化亜鉛粒子として、市販品を使用することができる。例えば、導電性炭素粒子としては、ケッチェンブラックEC-600JD(ライオン社製)、Printex XE2(エボニックデグサ社製)等が市販されている。また、酸化亜鉛粒子として、Zincox super F-3(ハクスイテック社製)やMZ−500(テイカ株式会社製)等が市販されており、酸化亜鉛粒子の分散液としては、SPD-Z3(信越化学社製)等が市販されている。
カーボン触媒層23の厚みは、使用する導電性炭素粒子及び酸化亜鉛粒子により最適値が異なり、特に限定されないが、一般的には、5nm〜10μmが好ましく、より好ましくは50nm〜5μmである。
カーボン触媒層23は、光電変換効率に優れるのみならず製膜性に優れる色素増感型太陽電池100を実現するために、上述した導電性炭素粒子と酸化亜鉛粒子との重量比が固形分換算で25:75〜85:15の範囲内にあることが必要とされる。
なお、カーボン触媒層23は、目的とする光電変換効率を過度に損なわない限りにおいて、導電性炭素粒子及び酸化亜鉛粒子以外に、他の成分を含んでいても構わない。例えば、ごく少量、より具体的には5wt%未満、好ましくは3wt%未満の樹脂バインダーを含むものであっても、高温焼成処理を施すことなく、光電変換効率に優れる色素増感型太陽電池100を実現することができる。しかも、得られるカーボン触媒層23の基体22の導電性表面22aへの密着性が高められ得る。なお、カーボン触媒層23が樹脂バインダーを含まない場合、樹脂バインダーに起因する光電変換効率の低下を防止することが可能である。また、カーボン触媒層23に含まれてもよい他の成分としては、例えば、フオスフアノールRL−310(東邦化学工業製)のような界面活性剤等が挙げられる。
カーボン触媒層23の形成方法は、公知の手法を適用することができ、特に限定されない。例えば、分散媒中に導電性炭素粒子及び酸化亜鉛粒子を含む調合液(例えば、分散液、ゾル液又はスラリー液等)を、スクリーン等の印刷法、スキージ法、スプレーコート法、スピンコート法等の各種コート法、ゾルゲル法等の液層法又は浸漬法等、公知の手法で基体22の導電性表面22a上の一部又は全面に塗布し乾燥することにより、カーボン触媒層23を形成することができる。また、塗布乾燥時或いは塗布乾燥後に50〜300℃程度の熱処理(加温処理、温水処理等)を施すことにより、得られるカーボン触媒層23の基体22の導電性表面22aへの密着性が高められる傾向にある。
電解質31としては、酸化還元対を有するレドックス電解質やこれをゲル化した半固体電解質或いはp型半導体固体ホール輸送材料を成膜したもの等、一般に電池や太陽電池等において使用されているものを適宜用いることができ、特に限定されない。色素増感型太陽電池の代表的な電解質としては、例えば、ヨウ素及びヨウ化物又は臭素及び臭化物を含む、アセトニトリル溶液、エチレンカーボネート溶液、又はプロピレンカーボネート溶液、及びそれらの混合溶液等が挙げられる。
酸化還元対を有するレドックス電解質としては、一般に電池や太陽電池等において公知のものを適宜使用することができ、特に限定されないが、例えば、I-/I3 -系、Br-/Br3 -系、又は、キノン/ハイドロキノン系等のレドックス電解質塩を含むものが挙げられる。具体的には、ヨウ化物塩とヨウ素単体とを組み合わせたもの、又は、臭化物塩と臭素とを組み合わせたもの等、ハロゲン化物塩とハロゲン単体とを組み合わせたもの等である。このようなレドックス電解質塩としては、例えば、ハロゲン化セシウム、ハロゲン化四級アルキルアンモニウム類、ハロゲン化イミダゾリウム類、ハロゲン化チアゾリウム類、ハロゲン化オキサゾリウム類、ハロゲン化キノリニウム類、ハロゲン化ピリジニウム類から選択される1種以上とハロゲン単体との組み合わせ等を用いることができる。具体的には、ヨウ化セシウムや、四級アルキルアンモニウムヨージド類としてテトラエチルアンモニウムヨージド、テトラプロピルアンモニウムヨージド、テトラブチルアンモニウムヨージド、テトラペンチルアンモニウムヨージド、テトラヘキシルアンモニウムヨージド、テトラへプチルアンモニウムヨージド或いはトリメチルフェニルアンモニウムヨージドや、イミダゾリウムヨージド類として3−メチルイミダゾリウムヨージド或いは1−プロピル−2,3−ジメチルイミダゾリウムヨージドや、チアゾリウムヨージド類として3−エチル−2−メチル−2−チアゾリウムヨージド、3−エチル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウムヨージド或いは3−エチル−2−メチルベンゾチアゾリウムヨージドや、オキサゾリウムヨージド類として3−エチル−2−メチル−ベンゾオキサゾリウムヨージドや、キノリニウムヨージド類として1−エチル−2−メチルキノリニウムヨージドや、ピリジニウムヨージド類から選択される1種以上とヨウ素との組み合わせ、又は四級アルキルアンモニウムブロミドと臭素との組み合わせ等を用いることができる。ハロゲン化物塩とハロゲン単体とを組み合わせたものの中でも、上記したヨウ化物塩のうちの少なくとも1種とヨウ素単体との組み合わせが好ましい。なお、酸化還元対の濃度は、特に限定されないが、通常、0.1〜10mol/Lであり、より好ましくは0.1〜5mol/Lである。
また、レドックス電解質は、例えば、イオン性液体とハロゲン単体とを組み合わせたものでもよい。この場合には、さらに上記したハロゲン化物塩などを含んでいてもよい。イオン性液体は、一般に電池や太陽電池等において使用されているものを適宜用いることができ、特に限定されない。イオン性液体の具体例としては、例えば、「Inorg.Chem.」1996,35,p1168〜1178、「Electrochemistry」2002,2,p130〜136、特表平9−507334号公報、或いは、特開平8−259543号公報等に開示されているものが挙げられる。
イオン性液体は、特に限定されないが、室温(25℃)より低い融点を有する塩、又は、室温よりも高い融点を有していても他の溶融塩等と溶解することにより室温で液状化する塩が好ましい。素子性能を向上させるためにはできるだけ粘度が低いものが好ましい。このようなイオン性液体の具体例としては、以下に示したアニオン及びカチオン等が挙げられる。
イオン性液体のカチオンとしては、例えば、アンモニウム、イミダゾリウム、オキサゾリウム、チアゾリウム、オキサジアゾリウム、トリアゾリウム、ピロリジニウム、ピリジニウム、ピペリジニウム、ピラゾリウム、ピリミジニウム、ピラジニウム、トリアジニウム、ホスホニウム、スルホニウム、カルバゾリウム、インドリウム及びそれらの誘導体が挙げられる。これらは、各々を単独で用いても、複数組み合わせて用いてもよい。これらのなかでも、アンモニウム、イミダゾリウム、ピリジニウム、ピペリジニウム、ピラゾリウム、スルホニウムが好ましく、低粘度化の観点から、イミダゾリウムがより好ましい。イミダゾリウムの具体例としては、例えば、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウム或いは1−エチル−3−メチルイミダゾリウム等が挙げられるが、これらに特に限定されない。
イオン性液体のアニオンとしては、例えば、AlCl4 -或いはAl2Cl7 -等の金属塩化物や、PF6 -、BF4 -、CF3SO3 -、N(CF3SO22 -、F(HF)n -或いはCF3COO-等のフッ素含有物イオンや、NO3 -、CH3COO-、C611COO-、CH3OSO3 -、CH3OSO2 -、CH3SO3 -、CH3SO2 -、(CH3O)2PO2 -、N(CN)2 -或いはSCN-等の非フッ素化合物イオンや、ヨウ化物イオン或いは臭化物イオン等のハロゲン化物イオンが挙げられる。これらは、各々を単独で用いても、複数組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、イオン性液体のアニオンとしては、ヨウ化物イオンが好ましい。
電解質31は、上記したレドックス電解質を溶媒に対して溶解、分散或いは懸濁させた液状の電解質(電解液)であっても、上記したレドックス電解質を高分子物質中に保持させた固体高分子電解質であってもよい。また、レドックス電解質とカーボンブラック等の粒子状の導電性炭素材料とを含む擬固体状(ペースト状)の電解質であってもよい。なお、導電性炭素材料を含む擬固体状の電解質では、導電性炭素材料が酸化還元反応を触媒する機能を有するため、電解質中にハロゲン単体を含まなくてもよい。
電解質31は、上記したハロゲン化物塩やイオン性液体等を溶解或いは分散する有機溶媒を含んでいてもよい。この有機溶媒としては、電気化学的に不活性なものが挙げられ、例えば、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キノリン、ジエチルエーテル、クロロホルム、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、アセトン、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、ベンゾニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、バレロニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、酢酸、ギ酸、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、ペンタノール、メチルエチルケトン、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ジオキサン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル、N−メチルピロリドン、γ‐ブチロラクトン、α‐メチル‐γ‐ブチロラクトン、β‐メチル‐γ‐ブチロラクトン、γ‐バレロラクトン、3‐メチル‐γ‐バレロラクトン等が挙げられる。
有機溶媒は、電気化学的に不活性なものであって、高い電気伝導率を有するものが好ましい。高い電気伝導率であることにより、高い光電変換効率が得られるからである。このような有機溶媒としては、例えば、アセトニトリル、3-メトキシプロピオニトリル、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド又はスルホラン等が挙げられる。これらは各々を単独で用いても、複数種を混合して用いてもよい。これらのなかでも、高い耐久性を有し、安定した光電変換効率が得られる観点から、3-メトキシプロピオニトリル、プロピレンカーボネート及びエチレンカーボネートが好ましい。
電解質31に有機溶媒の混合する場合、混合量としては、1%以上が好ましく、素子の耐久性を考慮すると1%以上20%以下が好ましい。また、混合する有機溶媒の沸点は80℃以上が好ましく、150℃以上がより好ましい。屋外使用を想定した場合、得られる色素増感型太陽電池100は65〜85℃条件で安定であることが求められており、混合する有機溶媒の沸点が低すぎると、高温条件での安定性が低下し、イオン性液体を併用した場合に、イオン性液体の特長を損なうことがある。
電解質31は、要求性能に応じて、分散剤;界面活性剤;安定化剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。添加剤は、一般に電池や太陽電池等において使用されているものを適宜用いることができる。例えば、支持電解質として、リチウム塩やイミダゾリウム塩、4級アンモニウム塩等、添加剤として、t−ブチルピリジン、n−メチルイミダゾール等の塩基やグアニジウムチオシアネート等のチオシアネート類や水等を含んでいてもよい。また、ゲル化剤やオイルゲル化剤を添加することで、物理的或いは化学的にゲル化することもできる。
以上説明したような各構成要素材料を準備した後、従来公知の方法で作用電極11と対向電極21とを電解質31を介して対向させるように組み上げることにより、色素増感型太陽電池100が得られる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
以下の手順で、対向電極及び色素増感型太陽電池を作製した。
<作用電極の作製>
まず、透明導電膜としてF−SnO2が形成された縦2.5cm×2.5cm×厚さ1.1mmの導電性ガラス基板を準備し、その透明導電膜上にマスクを置き、マスク内の透明導電膜上に、市販の酸化亜鉛粒子(商品名:nano ZINC100、本荘ケミカル製)をトルエンに対して30wt%添加し、さらにポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸(商品名:フオスフアノール RL−310、東邦化学工業製)を酸化亜鉛重量に対し4wt%添加し、ペイントシェーカーを用いて30分間分散処理を行うことで得た分散液をスプレー塗布することにより、横0.5cm×縦2cm×厚み12μmの金属酸化物層を製膜した。次いで、得られた金属酸化物層を、下記式で表される色素0.1mmol/lのメタノール/アセトニトリル=1/1溶液に、15分浸漬し、金属酸化物層に色素を吸着させて、色素担持金属酸化物層を作製した。
以上の操作により、作用電極を得た。
<対向電極の作製>
まず、導電性炭素粒子としてのカーボンブラック17g(ライオン社製、ケッチェンブラック)と、酸化亜鉛粒子3g(ハクスイテック社製、Zincox super F-3、平均粒径50nm)と、エタノール180gとを混合し、超音波装置を用いて10分間処理して粉砕・分散させることにより、分散液を得た。次に、得られた分散液を2センチ角、厚さ1mmのチタン板上にスプレーを用いて均一に塗布した後、室温で10分間放置することにより、チタン板上に微粒子膜が形成された電極前駆体を20枚得た。そして、得られた電極前駆体を80℃の温水に10分間静かに浸漬した後、100℃に設定したホットプレート上で30分間乾燥することにより、チタン板上に未焼成のカーボン触媒層が形成された、実施例1の対向電極を得た。得られた実施例1の対向電極の膜厚は10〜20μmの範囲であった。
<電解質の作製>
アセトニトリル中に、テトラプロピルアンモニウムヨージド(0.5M)、ヨウ素(0.05M)の濃度になるように各々を溶解させることにより、電解液を得た。
<色素増感型太陽電池の作製>
上記のようにして得られた作用電極の色素担持金属酸化物層の周囲を囲うように、スペーサーとして厚さ50μのマスキングテープを貼り付けた後、実施例1の対向電極のカーボン触媒層を色素担持金属酸化物層と向き合うように配置し、両者の間に上記の電解質を封入し、周囲をクリップで固定することにより、実施例1の色素増感型太陽電池を作製した。
(実施例2)
カーボンブラック及び酸化亜鉛粒子の配合量を、各々、15g及び5gに変更すること以外は、実施例1と同様に行ない、実施例2の対向電極及び実施例2の色素増感型太陽電池を作製した。
(実施例3)
カーボンブラック及び酸化亜鉛粒子の配合量を、各々、10g及び10gに変更すること以外は、実施例1と同様に行ない、実施例3の対向電極及び実施例3の色素増感型太陽電池を作製した。
(実施例4)
カーボンブラック及び酸化亜鉛粒子の配合量を、各々、5g及び15gに変更すること以外は、実施例1と同様に行ない、実施例4の対向電極及び実施例4の色素増感型太陽電池を作製した。
(実施例5)
カーボンブラックに代えて混合物(カーボンブラック:グラファイト(平均粒径:5μm)=1:4)を用いること以外は、実施例3と同様に行ない、実施例5の対向電極及び実施例5の色素増感型太陽電池を作製した。
(実施例6)
カーボンブラックに代えて混合物(カーボンブラック:グラファイト(平均粒径:5μm)=1:99)を用いること以外は、実施例3と同様に行ない、実施例6の対向電極及び実施例6の色素増感型太陽電池を作製した。
(比較例1)
カーボンブラックの配合量を20gとし、酸化亜鉛粒子を配合しないこと以外は、実施例1と同様に行ない、比較例1の対向電極及び比較例1の色素増感型太陽電池を作製した。
(比較例2〜4)
酸化亜鉛粒子に代えて酸化チタン粒子(日本エアロジル社製 TiO2 P25)を用いること以外は、実施例2〜4と同様に行ない、比較例2〜4の対向電極及び比較例2〜4の色素増感型太陽電池を作製した。
(比較例5)
カーボンブラックを配合せず、酸化亜鉛粒子に代えて酸化チタン粒子20g(日本エアロジル社製 TiO2 P25)にすること以外は、実施例1と同様に行ない、比較例5の対向電極及び比較例5の色素増感型太陽電池を作製した。
(比較例6)
実施例1の分散液に代えてカーボンペースト(東洋紡社製、DY-150H-30、カーボンブラック:グラファイト=9:16)を用い、これをチタン板上に厚み約10μm塗布すること以外は、実施例1と同様に行ない、比較例6の対向電極及び比較例6の色素増感型太陽電池を作製した。
(比較例7)
カーボンブラックに代えて混合物(カーボンブラック:グラファイト(平均粒径:5μm)=1:5)を用いること以外は、実施例3と同様に行ない、比較例7の対向電極及び比較例7の色素増感型太陽電池を作製した。
(比較例8)
カーボンブラック及び酸化亜鉛粒子の配合量を、各々、19g及び1gにすること以外は、実施例1と同様に行ない、比較例8の対向電極及び比較例8の色素増感型太陽電池を作製した。
(比較例9)
カーボンブラック及び酸化亜鉛粒子の配合量を、各々、3g及び17gにすること以外は、実施例1と同様に行ない、比較例9の対向電極及び比較例9の色素増感型太陽電池を作製した。
(比較例10)
カーボンブラック及び酸化亜鉛粒子の配合量を、各々、2g及び18gにすること以外は、実施例1と同様に行ない、比較例10の対向電極及び比較例10の色素増感型太陽電池を作製した。
(比較例11)
酸化亜鉛粒子の配合量を20gとし、カーボンブラックを配合しないこと以外は、実施例1と同様に行ない、比較例11の対向電極及び比較例11の色素増感型太陽電池を作製した。
(実施例7〜12、及び、比較例12〜22)
実施例1の電解液に代えて下記の半固体状のカーボン電解質を用いること以外は、実施例1〜6及び比較例1〜11と各々同様に行ない、実施例7〜12及び比較例12〜22の対向電極並びに実施例7〜12及び比較例12〜22の色素増感型太陽電池を作製した。
半固体状のカーボン電解質は、テトラプロピルアンモニウムヨージド(0.25M)のメトキシプロピオ溶液中に、カーボンブラック(ライオン社製、ケッチェンブラック)を10w%の割合で混合し、乳鉢で10分間混練することにより、作製した。
<光電変換効率の測定>
得られた実施例1〜12並びに比較例1〜22の色素増感型太陽電池の電池特性を、AM−1.5(1000W/m2)のソーラーシミュレーターを用いて測定した。なお、光電変換効率(η)は、光電変換素子の電圧をソースメータにて掃引して応答電流を測定することで得られる、電圧と電流との積である最大出力を1cm2あたりの光強度で除した値に100を乗じてパーセント表示したものであり、(最大出力/1cm2あたりの光強度)×100で表される。評価結果を、表1及び2に示す。
(対向電極のカーボン触媒層の膜状態の観察)
得られた実施例1〜12並びに比較例1〜22の対向電極のカーボン触媒層の外観を、目視により観察し、以下の評価基準に基づいて、評価した。評価結果を、表1及び2に示す。
○ ・・・ 均一に製膜されている
△ ・・・ 剥離がある
× ・・・ ほとんど製膜されない
実施例1〜12から明らかなように、導電性炭素粒子と酸化亜鉛粒子との重量比が25:75〜85:15の範囲内にあるカーボン触媒層を用いたものは、光電変換効率に優れるとともに、製膜性に優れることが確認された。また、比較例1〜5や比較例12〜16との対比から、優れた光電変換効率と優れた製膜性とを両立するためには、導電性炭素粒子と酸化亜鉛粒子との併用が効果的であることが確認された。
一方、実施例5及び6と比較例6及び7との対比、並びに、実施例11及び12と比較例17及び18との対比から、導電性炭素粒子としてグラファイトを併用する場合、グラファイトの含有量がカーボン触媒層の総量に対して30wt%を超えると、光電変換効率が著しく低下することが確認された。
また、実施例1〜4と比較例8〜11との対比、並びに、実施例7〜10と比較例19〜22との対比から、導電性炭素粒子と酸化亜鉛粒子との重量比が25:75〜85:15の範囲外であると、光電変換効率が大きく低下することが確認された。
なお、上述したとおり、本発明は、上記実施形態及び実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更を加えることが可能である。
以上説明した通り、本発明の光電変換素子用対向電極及びその製造方法並びに光電変換素子は、上記の色素増感太陽電池のみならず、各種太陽電池や光センサー等の光電変換素子一般において広く且つ有効に利用可能である。
11…作用電極、12…基体、12a…導電性表面、13…金属酸化物層、14…色素担持金属酸化物層、21…対向電極、22…基体、22a…導電性表面、23…カーボン触媒層、31…電解質、41…スペーサー、100…色素増感型太陽電池。

Claims (4)

  1. 導電性表面を有する基体と、該導電性表面上の少なくとも一部に設けられたカーボン触媒層とを備え、
    前記カーボン触媒層は、カーボンブラック、ケッチェンブラック及びグラファイトよりなる群から選択される少なくとも1種の導電性炭素粒子と酸化亜鉛粒子とを含有し、該グラファイトの含有量が固形分換算で該カーボン触媒層の総量に対して30wt%以下であり、該導電性炭素粒子と該酸化亜鉛粒子との重量比が固形分換算で25:75〜85:15の範囲内にある、
    光電変換素子用対向電極。
  2. 前記カーボン触媒層は、非焼成である、
    請求項1に記載の光電変換素子用対向電極。
  3. 導電性表面を有する基体を準備する工程と、
    前記導電性表面上の少なくとも一部に、カーボンブラック、ケッチェンブラック及びグラファイトよりなる群から選択される少なくとも1種の導電性炭素粒子と酸化亜鉛粒子とを含有し、該グラファイトの含有量が固形分換算で該カーボン触媒層の総量に対して30wt%以下であり、該導電性炭素粒子と該酸化亜鉛粒子との重量比が固形分換算で25:75〜85:15の範囲内にある調合物を付与して、カーボン触媒層前駆体を作製する工程と、
    前記カーボン触媒層前駆体を温水で処理する工程と、を有する、
    光電変換素子用対向電極の製造方法。
  4. 導電性表面を有する基体と該導電性表面上の少なくとも一部に設けられた色素担持金属酸化物層とを有する作用電極、
    導電性表面を有する基体と該導電性表面上の少なくとも一部に設けられたカーボン触媒層とを有する対向電極、及び、
    前記作用電極と前記対向電極との間に設けられた電解質、を備え、
    前記カーボン触媒層は、カーボンブラック、ケッチェンブラック及びグラファイトよりなる群から選択される少なくとも1種の導電性炭素粒子と酸化亜鉛粒子とを含有し、該グラファイトの含有量が固形分換算で該カーボン触媒層の総量に対して30wt%以下であり、該導電性炭素粒子と該酸化亜鉛粒子との重量比が固形分換算で25:75〜85:15の範囲内にある、
    光電変換素子。
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