JP5609800B2 - 色素増感型太陽電池 - Google Patents

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Description

本発明は、色素増感型太陽電池に関する。
色素増感型太陽電池は、可視領域の光の利用が可能であって、理論変換効率が高く、人体に無害とされる酸化チタンなどを用いる、新しい太陽電池としてすでに知られている(特許文献1、特許文献2など参照)。
図6は、この色素増感型太陽電池の構成を示す概念図である。たとえば板ガラスなどの2枚の透明基板1の内側に、それぞれ透明導電膜2を形成して電極基板とする。透明導電膜2には、たとえば、酸化インジウム、ITO(スズ添加酸化インジウム)、FTO(フッ素添加酸化スズ)、ATO(アンチモン添加酸化スズ)などが用いられている。
一方の電極基板の透明導電膜2の表面に、触媒となる白金もしくは炭素をコーティングして(図示せず)、カソード電極とする。他方の電極基板には、たとえば酸化チタンなどの多孔質金属酸化物膜4を形成して、その細孔表面に色素6を吸着、担持してアノード電極とする。この多孔質金属酸化物膜4は、表面積を大きくするために、たとえば焼結した金属酸化物微粒子5で形成される。これら電極間には、電解液や固体電解質からなる酸化還元電解質3を挟み込むことで、酸化還元電解質中の酸化還元対が、両電極間の電子の移動に寄与する。
酸化チタンなどの金属酸化物は、短波長の光しか吸収しないので、太陽光を効率よく電気エネルギに変換するための増感剤として色素が用いられている。この色素は、光吸収剤として機能し、太陽光を吸収して電子を多孔質金属酸化物膜に注入することにより、発電が行われる。たとえば、色素のルテニウム錯体は、太陽光の可視領域の光を吸収し、ルテニウム金属・配位子軌道遷移により励起された電子が、多孔質金属酸化物の伝導帯に移り、光電流となる。このようにして、光を吸収すると両電極間に電圧が発生する太陽電池が構成される。この型の太陽電池は、このように色素を増感剤として用いることから、色素増感型太陽電池と呼ばれている。
すでに量産されているシリコン太陽電池では、シリコンのpn接合によってバンドの勾配が形成され、光照射によって生成した電子と正孔とが内部電界によって分離され、起電力が発生する。これに対して、酸化チタンなどの多孔質金属酸化物膜を利用した色素増感型太陽電池では、太陽光で励起された色素の電子のみが金属酸化物の微粒子に注入され、電子と正孔の再結合による損失がほとんどない。そして、電子注入により酸化された色素は、酸化還元電解質中に存在するドナーによって速やかに還元され、初期状態へ戻る。したがって、シリコン太陽電池において、光エネルギの吸収と電子の伝達が、同じシリコン半導体の中で行われているのとは異なり、金属酸化物を用いた色素増感型太陽電池では、光エネルギの吸収と電子の伝達が別々のところで行われている。これは、植物がクロロフィルで光エネルギを吸収し、細胞膜中のメディエータで電子を伝達しているのとよく似た構造である。
グレッツェル(Michael Gratzel)らは、ナノスケールの酸化チタン微粒子を焼結した多孔質の酸化チタン膜を用いることにより、表面積を投影面積の約1000倍とし、色素として、酸化チタンなどの薄膜と相性がよく、太陽光を効率よく吸収する、ルテニウム錯体(たとえば、RuL2(NCS)2,L=4,4’−ジカルボキシ−2,2’ビピリジン;以下、この種のルテニウム錯体からなるルテニウム系色素を「Ru色素」という)を用い、酸化還元電解質に、アセトニトリル(90体積%)と、3メチル2オキサゾリジノン(10体積%)の混合溶媒に、ヨウ素とヨウ化リチウムを加えた電解液を用いて、I-/I3 -を酸化還元対としたときに、AM1.5(エアマス1.5:地球の中緯度における太陽スペクトルの太陽光)に対して10%の光電変換効率が得られることを報告している(非特許文献1参照)。
すでに広く用いられているシリコン太陽電池の光電変換効率は20%を超えるものもあるため、色素増感型太陽電池には、さらなる光電変換効率の向上が望まれている。
その1つとして、色素増感型太陽電池において、銀または金の金属微粒子を用いることで、表面プラズモンによる増強効果が得られることが知られている(特許文献3参照)。しかし、ハロゲン系の酸化還元電解質が、これら金属微粒子と反応して、金属微粒子を溶解してしまう。たとえ金であっても、微粒子、薄膜の状態では室温で容易に溶解される。
本発明者は、特許文献4において、白金、白金合金、パラジウム、パラジウム合金に注目し、ガラス基板にPtAg系合金微粒子溶液を、塗布、乾燥して、PtAg系合金微粒子膜を形成し、その上にRu色素を担持させることにより、Ru色素のみの吸光度に比べて、PtAg系微粒子膜上のRu色素の光吸収を、可視領域から近赤外領域にわたって増強させることを提案している。しかしながら、PtAg系合金微粒子膜上にRu色素を担持させた場合、可視領域での吸光度は高いものの、近赤外領域において吸光度が漸減し、波長1300nmを超える領域では0.01未満となる(特許文献4、図2参照)。このように、近赤外領域における増強効果については、いまだ十分なものとはいえず、近赤外領域における光電変換効率のさらなる向上が望まれている。
色素増感型太陽電池において、光電変換層である多孔質金属酸化物膜(多孔性半導体層)のトータルの、近赤外領域におけるヘイズ率を60%以上95%以下とし、特に多孔質金属酸化物膜が複数の層からなる場合、光の入射側から最も遠い層の近赤外領域におけるヘイズ率を60%以上95%以下とすることにより、光電変換効率を向上させることが提案されている(特許文献5参照)。この技術では、近赤外領域における所定のヘイズ率を持つ多孔質金属酸化物膜を得るために、主として、酸化チタンや酸化亜鉛などの半導体粒子の粒径、分散条件、懸濁液の塗布条件・乾燥条件・焼成条件(すなわち温度と時間)、および懸濁液に加える添加剤や増粘剤の種類(たとえば分子量)や添加量などを規定するとしているが、これらの1つだけを規定しても、作製後の多孔質金属酸化物膜のヘイズ率は一義的に定まることはなく、必ずしも高い光電変換効率が得られるとは限らない。
さらに、特許文献8では、多孔質金属酸化物膜に導電性物質を混在させることにより、その電気伝導性を上げて、光電変換効率を向上させることが開示されているが、その変換効率は2.4%程度に過ぎず、さらなる光電変換効率の向上が望まれている。
特開平1−220380号公報 特表平5−504023号公報 特開平9−259943号公報 特開2001−35551号公報 特許第3954085号公報 特許第4096205号公報 特許第3262098号公報 特開平11−283682号公報
M.K.Nazeeruddin etal.,J.Am.Chem.Soc.1993,115,6382
本発明は、可視領域のみならず近赤外領域における色素の光吸収の増強を行うことにより、光電変換効率が従来に比べてより一層向上した色素増感型太陽電池を提供することを目的としている。
本発明者は、一方の透明基板の内側に透明導電膜が形成され、該透明導電膜の表面に白金もしくは炭素がコーティングされているカソード電極と、他方の透明基板の内側に透明導電膜および多孔質金属酸化物膜が順次形成され、この多孔質金属酸化物を構成する金属酸化物微粒子の表面に色素が担持されているアノード電極とが、酸化還元電解質を介して対向し、光の吸収によりこれら電極間に電圧が発生するように構成されている色素増感型太陽電池において、前記金属酸化物微粒子の表面に担持されている色素の表面または近傍にあって、可視領域のみならず近赤外領域における、該色素の光吸収を増強する材料について検討し、複合タングステン酸化物微粒子、金属六ホウ化物微粒子に注目して、研究を進めた結果、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は、一方の透明基板の内側に透明導電膜が形成され、該透明導電膜の表面に白金もしくは炭素がコーティングされているカソード電極と、他方の透明基板の内側に透明導電膜および多孔質金属酸化物膜が順次形成され、この多孔質金属酸化物膜を構成する金属酸化物微粒子の表面に色素が担持されているアノード電極とが、酸化還元電解質を介して対向し、光の吸収によりこれら電極間に電圧が発生するように構成されている色素増感型太陽電池に関する。
特に、本発明の色素増感型太陽電池は、前記色素の表面または近傍に、複合タングステン酸化物微粒子および金属六ホウ化物微粒子から選ばれる1種以上の微粒子がさらに配されていることを特徴とする。
前記複合タングステン酸化物微粒子および金属六ホウ化物微粒子から選ばれる1種以上の微粒子の粒子径は、1nmから100nm、好ましくは1nmから30nmである。
また、前記色素の表面または近傍に、酸化ルテニウム微粒子および窒化チタン微粒子から選ばれる1種以上の微粒子がさらに配されていることが好ましい。
なお、前記複合タングステン酸化物微粒子および金属六ホウ化物微粒子から選ばれる1種以上の微粒子、もしくは、前記複合タングステン酸化物微粒子および金属六ホウ化物微粒子から選ばれる1種以上の微粒子および酸化ルテニウム微粒子および窒化チタン微粒子から選ばれる1種以上の微粒子の含有量は、前記多孔質金属酸化物膜、前記色素、前記複合タングステン酸化物微粒子、前記金属六ホウ化物微粒子、前記酸化ルテニウム微粒子および前記窒化チタン微粒子の合計量に対して、1質量%から50質量%、好ましくは5質量%から30質量%である。
前記多孔質金属酸化物膜は、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ニオブ(Nb25)、酸化スズ(SnO2)、酸化タングステン(WO3)、およびチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)から選ばれる1種以上の金属酸化物で形成されていることが好ましい。
また、前記色素は、ルテニウム系色素、アゾ系色素、キノン系色素、キノンイミン系色素、キナクリドン系色素、スクアリリウム系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、トリフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、ポルフィリン系色素、フタロシアニン系色素、ペリレン系色素、インジゴ系色素、およびナフタロシアニン系色素から選ばれる1種以上の色素であることが好ましい。
さらに、前記酸化還元電解質は、ヨウ素、臭素、または塩素からなるハロゲンを含む電解液または固体電解質であることが好ましい。
本発明の色素増感型太陽電池に適用される、前記複合タングステン酸化物微粒子としては、一般式:Mxyz(ただし、Mは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、およびIから選択される1種以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、2.2≦z/y≦3.0)で表されるタングステン酸化物からなる微粒子をあげることができる。
また、本発明の色素増感型太陽電池に適用される、前記金属六ホウ化物微粒子としては、La、Pr、Nd、Ce、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、およびWから選択される1種以上の金属六ホウ化物からなる微粒子をあげることができる。
本発明の色素増感型太陽電池は、アノード電極の多孔質金属酸化物膜を構成する金属酸化物粒子の表面に担持されている色素の表面または近傍に、可視領域のみならず近赤外領域における該色素の光吸収を増強させるための複合タングステン酸化物微粒子、金属六ホウ化物微粒子から選ばれる1種以上をさらに配することにより、該色素の光吸収を増強している。
これらの複合タングステン酸化物微粒子および金属六ホウ化物微粒子は、微粒子状態においてもハロゲン系の酸化還元電解質との反応によって溶解することはないため、本発明の色素増感型太陽電池では、ハロゲン系の酸化還元電解質を用いることができ、これにより大きな光電流が容易に取り出せるため、その光電変換効率を著しく向上させることが可能となる。
本発明にかかる色素増感型太陽電池の構成を示す概念図である。 可視領域から近赤外領域における、複合タングステン酸化物(セリウム添加タングステン酸化物;Cs0.33WO3)微粒子によるRu色素の吸光度の増強を示す、吸光度−波長曲線グラフである。 可視領域から近赤外領域における、金属六ホウ化物(ホウ化ランタン;LaB6)微粒子によるRu色素の吸光度の増強を示す、吸光度−波長曲線グラフである。 可視領域から近赤外領域における、酸化ルテニウム微粒子によるRu色素の吸光度の増強を示す、吸光度−波長曲線グラフである。 可視領域から近赤外領域における、窒化チタン微粒子によるRu色素の吸光度の増強を示す、吸光度−波長曲線グラフである。 従来の色素増感型太陽電池の構成を示す概念図である。
本発明者は、色素増感型太陽電池における色素の光吸収を、可視領域のみならず近赤外領域においても、増強しうる新たな材料を検討し、複合タングステン酸化物微粒子と金属六ホウ化物微粒子に着目したものである。
図2は、複合タングステン酸化物微粒子(セリウム添加タングステン酸化物;Cs0.33WO3)微粒子によるRu色素の光吸収の増強効果を示す。図2中、横軸の波長(単位:nm)に対して、縦軸は吸光度(無次元数)を示し、「△」は、ガラス基板にRu色素のみを担持した場合、「○」は、ガラス基板に複合タングステン微粒子溶液を、塗布、乾燥して複合タングステン酸化物微粒子膜を形成し、Ru色素を担持した場合である。Ru色素のみの吸光度に比べ、複合タングステン酸化物微粒子膜上のRu色素の光吸収が、可視領域(380nm〜800nm程度)から近赤外領域(800nm以上)にかけて、増強されていることが理解される。なお、吸光度は、分光法において、ある物体を光が通った際に強度がどの程度弱まるかを示す無次元量である。波長λにおける吸光度Aは、A=−log10(I/I0)と定義される。つまり、入射光強度I0と透過光強度Iの比(透過率)の常用対数をとり、吸収のある場合を正とするために負号を付けたものである。透過率は、分光光度計で測定することができる。
複合タングステン酸化物微粒子は、太陽光の照射により表面プラズモン吸収による光エネルギの吸収が起こり、色素との共鳴や色素への電荷移動により、可視領域から近赤外領域において色素の光吸収への増強効果があると考えられる。この色素の光吸収の増強効果により光電流の増加が引き起こされ、光電変換効率を向上させることができる。
図3は、金属六ホウ化物(ホウ化ランタン;LaB6)微粒子によるRu色素の光吸収の増強効果を示す。複合タングステン酸化物の場合と同様に、金属六ホウ化物微粒子についても色素の光吸収に対する増強効果が得られていることが理解される。
なお、特許文献6、7において、複合タングステン酸化物微粒子、金属六ホウ化物微粒子のプラズモン吸収による赤外線遮蔽効果を利用した熱線遮蔽膜についての開示があるが、本発明は、プラズモン吸収によりプラズモン粒子近傍において電場増強が得られ、これによりその近傍における色素などの光吸収を増大させるという新たな知見に基づくものである点で、特許文献6、7の技術とは全く異なるものである。
また、本発明では、Ru色素の光吸収の増強効果を示すものとして、酸化ルテニウム微粒子、窒化チタン微粒子をさらに配することができる。これらについても、図4、図5に示すように、色素の光吸収に対する増強効果が得られることが確認されている。
さらに、これらの複合タングステン酸化物微粒子、金属六ホウ化物微粒子、酸化ルテニウム微粒子、窒化チタン微粒子は、微粒子状態でもハロゲン系の酸化還元電解質によっては溶解されないことが確認されている。
本発明者は、これらの事実に基づき、本発明を完成するに至ったものである。
図1は、本発明の色素増感型太陽電池の構成を示す概念図である。本発明の色素増感型太陽電池は、基本構造としては従来と同様に、一方の透明基板1の内側に透明導電膜2が形成され、該透明導電膜2の表面に白金もしくは炭素がコーティング(図示せず)されているカソード電極と、他方の透明基板1の内側に透明導電膜2および多孔質金属酸化物膜4が順次形成され、この多孔質金属酸化物膜4の表面に色素6が担持されているアノード電極とが、酸化還元電解質3を介して対向し、光の吸収によりこれら電極間に電圧が発生するように構成されている。特に、本発明では、アノード電極(光電極)として、透明導電膜2のついたガラス基板1上に多孔質金属酸化物膜4を形成し、多孔質金属酸化物膜4を構成する金属酸化物微粒子5の表面に色素6を担持し、色素6の表面または近傍に複合タングステン酸化物微粒子および金属六ホウ化物微粒子から選ばれる1種以上の微粒子7を担持する構造を採用している。以下、それぞれの要素ごとに詳述する。
(1)カソード電極
カソード電極は、透明基板1と、透明基板1のアノード電極側の表面に形成された透明導電膜2とにより構成され、かつ、透明導電膜2の表面に白金または炭素がコーティング(図示せず)されている構造である。
本発明において、透明基板としては、ガラス基板、プラスチック基板、金属基板などを使用することができ、これらの中では、光透過性のよい透明のガラス基板が特に好ましい。ガラス基板の厚さなどについては、透明性を妨げない範囲で任意に選択される。
透明基板上に形成する透明導電膜は、電極として用いるために成膜するものである。このような電極として使用するために形成する透明導電膜は、特に限定されるものではなく、従来用いられている材料を用いることができる。光透過性の観点から、ITO、酸化スズ(SnO2)、FTO、酸化亜鉛(ZnO)などの材料を用いた透明導電膜が好ましい。この透明導電膜の作製方法については、スパッタリング法、真空蒸着法など、当該分野で公知のものを適宜選択して用いることができる。また、透明導電膜の膜厚についても、透明性を阻害しない範囲で、要求される特性に応じて任意に選択される。
また、この透明導電膜の表面に形成される白金または炭素は、スパッタリング法などの成膜方法を用いてコーティングされる。
(2)アノード電極
アノード電極は、透明基板1と、透明基板1のカソード電極側の表面に順次、形成された透明導電膜2および多孔質金属酸化物膜4とからなり、多孔質金属酸化物膜4を構成する金属酸化物微粒子5の表面に色素6が担持され、色素6の表面または近傍に複合タングステン酸化物微粒子、金属六ホウ化物微粒子から選ばれる1種以上の微粒子7が担持されている構造である。透明基板、透明導電膜には、カソード電極と同様のものが用いられる。
1)多孔質金属酸化物膜
多孔質金属酸化物膜は、一般に光電変換材料用に使用されるものであれば、特に限定されるものではなく、たとえば、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛、酸化ニオブ(Nb25)、酸化スズ、酸化タングステン(WO3)、およびチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)から選ばれる1種以上を用いることが、光電変換効率の観点から好ましい。特に、安定性、安全性の観点から酸化チタンが好ましい。なお、本発明で使用される酸化チタンは、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、無定形酸化チタン、メタチタン酸、オルソチタン酸などの種々の酸化チタン、あるいは水酸化チタン、含水酸化チタンなどがあげられる。励起された色素のエネルギ準位(LUMOと記す場合がある。)から電子を受け取るTiO2の伝導帯の状態密度が大きいほど効率的に電子を受け取ることができるので、これらの中では、アナターゼ型の酸化チタンが特に好ましい。
多孔質金属酸化物膜は、透明導電膜上に形成された膜状の多孔性半導体である。ただし、多孔質金属酸化物膜は、種々の形態の半導体材料を用いることができ、たとえば、粒子状などの半導体を用いて作製することもできる。
多孔質金属酸化物膜を、電極基板を構成する透明導電膜の上に形成する方法としては、公知の種々の手段を使用することができる。具体的には、a)電極基板上に金属酸化物粒子を含有する懸濁液を塗布し、乾燥および焼成する方法、b)電極基板上に所望の原料ガスを用いたCVD法、MOCVD法などにより成膜する方法、あるいはc)原料固体を用いたPVD法、蒸着法、スパッタリング法、ゾル−ゲル法などにより形成する方法があげられる。
なお、この多孔質金属酸化物膜の膜厚は、特に限定されるものではないが、光吸収の観点からは0.1μm〜50μm程度の範囲内とすることが好ましい。さらに、光電変換効率を向上させるためには、色素を多孔質金属酸化物膜により多く吸着させることが必要である。このため、多孔質金属酸化物膜は比表面積が大きなものが好ましく、10m2/g〜200m2/g程度の範囲の比表面積を具備することが好ましい。
塗布法で、粒子状材料として用いられる金属酸化物粒子としては、たとえば1nm〜2000nm程度の範囲内の平均粒径を有する粒子があげられる。また、この金属酸化物粒子を懸濁するために使用される溶媒は、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのグライム系溶媒、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶媒、イソプロピルアルコール/トルエンなどのアルコール系混合溶媒、水などがあげられる。
成膜ないしは塗布後に、金属酸化物膜を自然乾燥し、その後、焼成により金属酸化物を微粒子の状態で焼結させることで、多孔性を膜に付与する。多孔質金属酸化物膜の乾燥および焼成は、使用する基板や金属酸化物粒子の種類により、温度、時間、雰囲気などを適宜調整することができる。
2)色素
本発明では、多孔質金属酸化物膜上に、光増感剤として機能する色素を吸着させるが、この色素を吸着させる方法としては、たとえば電極基板上に形成された多孔質金属酸化物膜を、色素を溶解した1種または2種以上の非プロトン性溶液、疎水性溶液または非プロトン性かつ疎水性溶液に浸漬して、この多孔質金属酸化物膜に色素を担持させる方法があげられる。たとえば、Ru色素の場合、溶媒としてエタノールを用い、3×10-4mol/L程度の濃度のRu色素溶液を作製し、20℃〜40℃で2時間〜10時間の環流を行いつつ、多孔質金属酸化物膜をRu色素溶液に浸漬させる。
ここで使用可能な色素は、種々の可視領域および近赤外領域に吸収を持つものであって、かつ、多孔質金属酸化物に強固に吸着させるために、色素分子中にカルボキシル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、スルホン酸基、エステル基、メルカプト基、ホスホニル基などのインターロック基を有するものが好ましい。インターロック基は、励起状態の色素と多孔質金属酸化物半導体の伝導帯との間の電子移動を容易にする電気的結合を提供するものである。
このような色素として、たとえば、ルテニウムビピリジン系色素を含むルテニウム系色素(Ru色素)、アゾ系色素、キノン系色素、キノンイミン系色素、キナクリドン系色素、スクアリリウム系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、トリフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、ポリフィリン系色素、フタロシアニン系色素、ペリレン系色素、インジゴ系色素、ナフタロシアニン系色素などがあげられる。これらの中では、光電変換効率の高さから、Ru色素、キサンテン系色素が特に好ましい。
色素に、たとえば、Ru色素を用いると、太陽光の可視領域から近赤外領域にかけての光を吸収して、ルテニウム金属・配位子軌道遷移により励起された電子が、多孔質金属酸化物である、たとえば酸化チタンの伝導帯に移り光電流となる。
なお、Ru色素の具体例としては、RuL2(NCS)2,L=4,4’−ジカルボキシ−2,2’ビピリジン(N−3)のほか、[RuL2(NCS)2]:2TBA,L=4,4’−ジカルボキシ−2,2’ビピリジン,TBA=テトラ−n−ブチルアンモニウム(N−719)、RuLL′(NCS)2,L=4,4’−ジカルボキシ−2,2’ビピリジン,L′=4,4’−ジノニル−2,2’ビピリジン(Z−097)などのルテニウム錯体をあげることができる。
色素の粒径は、Ru色素の場合、1nm程度であることが必要である。たとえば、面積1cm2(=1014nm2)の電極を考えた場合、上記粒径程度であれば、吸着可能な色素量は1014(個/cm2)程度となり、単位面積あたりのmol数では、1014(個/cm2)/6.0221×1023(個/mol)=1.66×10-10(mol/cm2)となる。ナノチタニアを用いることで幾何面積に対して実効表面積が1000倍に増えたと仮定すると、吸着可能な色素量は1000倍に増え、1.66×10-7(mol/cm2)と計算できるが、実際にはもっと少ない量が吸着しているものと推定される。
3)複合タングステン酸化物微粒子、金属六ホウ化物微粒子
本発明の色素増感型太陽電池のアノード電極における、透明基板上に形成された透明導電膜上には、多孔質金属酸化物膜が形成されるが、多孔質金属酸化物膜を構成する金属酸化物微粒子の表面には、色素が担持され、この色素の表面または近傍に、複合タングステン酸化物微粒子、金属六ホウ化物微粒子から選ばれる1種以上の微粒子を担持している。
複合タングステン酸化物微粒子は、他の元素が添加されたタングステン酸化物をいい、原則として、タングステン酸化物に自由電子を付与しうる元素であれば添加元素は任意に選択される。具体的には、一般式:Mxyz(ただし、Mは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、およびIから選択される1種以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、2.2≦z/y≦3.0)で表記されるタングステン酸化物微粒子があげられる。これらのうちで、近赤外領域でのプラズモン吸収特性が大きい、セシウム添加タングステン酸化物(Cs0.33WO3)を用いることが特に好ましい。
また、金属六ホウ化物微粒子は、金属元素とホウ素からなる六ホウ化物で構成され、多量の自由電子を保有するものである。具体的には、La、Pr、Nd、Ce、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、およびWから選択される1種以上の金属とホウ素の六ホウ化物からなる微粒子をあげることができる。このうち、近赤外領域でのプラズモン吸収特性が大きい、六ホウ化ランタン(LaB6)を用いることが好ましい。
複合タングステン酸化物微粒子、金属六ホウ化物微粒子から選ばれる1種以上の微粒子を用いると、ハロゲン系の酸化還元電解質に対して溶解および消失させることなく、これらの微粒子を色素近傍に配することができる。複合タングステン酸化物微粒子、金属六ホウ化物微粒子から選ばれる1種以上の微粒子は、色素に化学結合や吸着により直接配してもよく、多孔質金属酸化物である酸化チタンなどの金属酸化物に化学結合や吸着した結果として、多孔質金属酸化物で酸化チタンに担持された色素の近傍に配するようにしてもよい。
これらの複合タングステン酸化物微粒子や金属六ホウ化物微粒子は、多量の自由電子を保有することによって、色素の光吸収を増強することを可能とし、また、酸化物やホウ化物であるため、接触による電気伝導性は低く、逆電子移動による開放電圧の低下を抑制できる点で、PtAg系金属微粒子やその他の導電性物質などとは異なる機能を有する。
複合タングステン酸化物微粒子、金属六ホウ化物微粒子から選ばれる1種以上の微粒子の粒径は1nmから100nmであることが好ましく、1nmから30nmであることがより好ましく、1nmから10nmであることがさらに好ましい。これらの微粒子で粒径が1nm未満のものは作製が困難であり、100nmを超えると色素との接触面積が減少するという問題が生じる。担持方法としては、後述するとおり、複合タングステン酸化物微粒子、金属六ホウ化物微粒子から選ばれる1種以上の微粒子の分散液に、色素を担持した多孔質金属酸化物である酸化チタン膜を浸漬する方法などがある。
また、前記複合タングステン酸化物微粒子および金属六ホウ化物微粒子から選ばれる1種以上の微粒子の担持量は、前記多孔質金属酸化物膜を構成する金属酸化物粒子、色素、およびこれらの微粒子を含む合計量に対して、1質量%から50質量%であることが好ましく、5質量%から30質量%であることがより好ましい。これらの微粒子の担持量が、その合計量に対して1質量%未満の場合は効果が発揮されず、50質量%を超える場合には、実質的に色素と酸化チタンの量が減り、光電変換効率が低下してしまう。
ここで、複合タングステン酸化物微粒子としてセシウム添加タングステン酸化物(Cs0.33WO3)微粒子を配した場合、金属六ホウ化物微粒子としてホウ化ランタン微粒子を配した場合のそれぞれについて、Ru色素(RuL2(NCS)2,L=4,4’−ジカルボキシ−2,2’ビピリジン)の光吸収の増強効果について具体的に説明する。
図2に示すとおり、セシウム添加タングステン酸化物微粒子が表面または近傍に配されたRu色素の吸光度は、Ru色素のみの場合における吸光度に比べて、可視領域から近赤外領域にかけて増強されている。特に、波長900nm以上の近赤外領域のほとんどの領域において、Ru色素の吸光度が0.01を超えており、白金、パラジウム、これらの合金からなる金属微粒子との比較でも、近赤外領域において、色素の光吸収の増強効果が大きい。
また、図3に、Ru色素の表面や近傍にホウ化ランタン微粒子を配した場合のRu色素の光吸収の増強効果を示す。この場合も、可視領域と近赤外領域の境界付近を除き、Ru色素のみの場合における吸光度に比べて、ホウ化ランタン微粒子が表面または近傍に配されたRu色素の吸光度が、可視光から近赤外領域にかけて増強されている。特に、波長1000nm〜1800nmの近赤外領域において、Ru色素の吸光度が0.01を超えており、白金、パラジウム、これらの合金からなる金属微粒子との比較でも、近赤外領域において、色素の光吸収の増強効果が大きい。
上記複合タングステン酸化物微粒子、金属六ホウ化物微粒子について、その増強効果を比較してみると、ホウ化ランタン微粒子は近赤外領域に増強のピークを持つが、複合タングステン酸化物微粒子はより長波長まで増強効果が増加する、という特徴を有している。
このように、複合タングステン酸化物微粒子、金属六ホウ化物微粒子は、太陽光の照射により表面プラズモン吸収による光エネルギの吸収が起こり、色素との共鳴や色素への電荷移動により、可視領域から近赤外領域において、特に近赤外領域において、色素の光吸収の増強効果が得られるのである。この色素の光吸収の増強効果により光電流の増加が引き起こされ、光電変換効率を向上させることができるのである。
4)酸化ルテニウム微粒子、窒化チタン微粒子
本発明の色素増感型太陽電池のアノード電極の好ましい実施形態においては、酸化ルテニウム微粒子、窒化チタン微粒子から選ばれる1種以上の微粒子をさらに担持させることが好ましい。
酸化ルテニウム微粒子、窒化チタン微粒子から選ばれる1種以上の微粒子の粒径についても、複合タングステン酸化物微粒子や金属六ホウ化物微粒子と同様に、1nm〜100nmであることが好ましく、1nm〜10nmであることがより好ましい。担持方法については、複合タングステン酸化物微粒子、金属六ホウ化物微粒子の場合と同様である。
また、これらの酸化ルテニウム微粒子や窒化チタン微粒子を含む場合には、これらの粒子と複合タングステン酸化物微粒子や金属六ホウ化物微粒子との合計の担持量を、前記多孔質金属酸化物膜を構成する金属酸化物粒子、色素、およびこれらの微粒子を含む合計量に対して、1質量%から50質量%、好ましくは5質量%から30質量%とする。
図4および図5に示すように、Ru色素(RuL2(NCS)2,L=4,4’−ジカルボキシ−2,2’ビピリジン)の表面や近傍に酸化ルテニウム微粒子または窒化チタン微粒子を配した場合、可視領域と近赤外領域のほとんどの領域においてRu色素の吸光度が0.01を超えており、可視領域から近赤外領域にかけて、特に、白金、パラジウム、これらの合金からなる金属微粒子との比較では、近赤外領域において、色素の光吸収の増強効果が大きい。
このように、酸化ルテニウム微粒子、窒化チタン微粒子についても、太陽光の照射により表面プラズモン吸収による光エネルギの吸収が起こり、色素との共鳴や色素への電荷移動により、可視領域から近赤外領域において広く色素の光吸収の増強効果がある。したがって、本発明の場合、複合タングステン酸化物微粒子、金属六ホウ化物微粒子による色素の光吸収の増強効果と共に、これらによる色素の光吸収の増強効果により、さらに色素増感型太陽電池の光電変換効率を向上させることが好ましい。
なお、本発明においては、色素の光吸収の増強効果を向上させるために、複合タングステン酸化物微粒子、金属六ホウ化物微粒子から選ばれる1種以上、および追加的に、酸化ルテニウム微粒子、窒化チタン微粒子から選ばれる1種以上の担持を提案するものであるが、さらに追加的に、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、これらの合金、その他の増強効果を促進する微粒子材料を、本発明の効果を損なわない範囲内で担持させることは妨げられるものではない。
(3)酸化還元電解質
本発明の色素増感型太陽電池の酸化還元電解質には、ヨウ素、臭素、または塩素からなるハロゲンを含む電解液もしくは固体電解質が用いられる。また、最近は、ヨウ素フリーのコバルト錯体電解液、導電性低分子のホールコンダクタ(spiro−OMeTAD、[TMFDS]2+/TMTU)などの開発も行われているが、一般には、特性面でヨウ素が用いられている。
溶液系電解質では、たとえば、ヨウ素酸化還元対I-/I3 -の相互変換とこれらの拡散を伴うイオン伝導による導電が支配的と考えられている。一方、固体電解質は、室温下で一定の形状を保持しうるゲル状態を用いる「擬固体」に分類されるものである。ゲルは溶液を内包した状態であり、厳密には固体ではないが、色素増感型太陽電池のメソポーラス膜中で流動性がない電解質の状態を得られることから固体電解質に含まれる。したがって、電解質のイオン伝導性を保持したままの固体ということができる。
たとえば、ヨウ素系の酸化還元電解質としては、アセトニトリル(90体積%)と3メチル2オキサゾリジノン(10体積%)の混合溶媒に、ヨウ素とヨウ化リチウムを加えたものがあげられる。このヨウ素系の酸化還元電解質では、ヨウ素酸化還元対(I3 -/I-)として機能し、カソード電極とアノード電極間の電子移動に寄与している。
(4)太陽電池の作製方法
標準的な色素増感型太陽電池は、ガラス基板とその上に成膜された透明導電膜(たとえばFTO膜)からなる電極基板の該透明導電膜上に、白金もしくは炭素を、真空蒸着法、スパッタリング法、塗布法などでコーティングして、カソード電極を作製する。
次に、同様の電極基板の透明導電膜(たとえばFTO膜)上に、多孔質金属酸化物膜(たとえば酸化チタン膜)を、膜厚が数μm〜数十μmの範囲となるように成膜する。成膜方法としては、たとえば、酸化チタンなどの金属酸化物からなる微粒子を用いて分散液を作製し、この分散液を透明導電膜上に塗布する。その後、300℃〜600℃程度の大気中で焼成することにより、多孔質金属酸化物膜付きの電極基板を得る。
さらに、得られた多孔質金属酸化物膜付きの電極基板を、色素(たとえば、RuL2(NCS)2,L=4,4’−ジカルボキシ−2,2’ビピリジン)の溶液(溶媒として、たとえばエタノール)に浸漬して、色素を多孔質金属酸化物表面に担時して、アノード電極を作製する。
本発明の色素増感型太陽電池では、さらに次のような方法により、色素の表面または近傍に、色素の光吸収を増強させるための複合タングステン酸化物微粒子、金属六ホウ化物微粒子から選ばれる1種以上をさらに配しており、好ましくは、酸化ルテニウム微粒子、窒化チタン微粒子から選ばれる1種以上を追加的に配している。
1)多孔質金属酸化物膜の作製時において、金属酸化物微粒子の分散液中に、複合タングステン酸化物微粒子、金属六ホウ化物微粒子、酸化ルテニウム微粒子、窒化チタン微粒子から選ばれる1種以上の微粒子を混合する。
2)多孔質金属酸化物膜の塗布後に、複合タングステン酸化物微粒子、金属六ホウ化物微粒子、酸化ルテニウム微粒子、窒化チタン微粒子から選ばれる1種以上の微粒子を、金属酸化物と同様に塗布し、その後、300℃〜600℃程度の大気中で焼成を施し、多孔質金属酸化物膜付ガラス基板を作製する。
3)色素を多孔質金属酸化物表面に担時してアノード電極を作製した後、複合タングステン酸化物微粒子、金属六ホウ化物微粒子、酸化ルテニウム微粒子、窒化チタン微粒子から選ばれる1種以上の微粒子を、金属酸化物と同様にして、塗布する。
4)複合タングステン酸化物を担持させる場合、多孔質金属酸化物膜の作製後、この膜をタングステン塩化物(たとえば、WCl2)のエタノール溶液を含浸させ、その後に熱処理を行い、多孔質金属酸化物膜の細孔内に、複合タングステン酸化物微粒子を析出させることもできる。なお、酸化ルテニウム微粒子を担持させる場合も、塩化ルテニウム(RuCl3)のエタノール溶液を用いて、同様に酸化ルテニウム微粒子を析出させることができる。
このようにして、カソード電極とアノード電極が作製できたら、これらのカソード電極とアノード電極を数十μmの間隔で対向させて、周辺を封止剤で固定する。最後に、カソード電極とアノード電極の間に酸化還元電解質であるハロゲンを含む電解液または固体電解質を充填して、色素増感型太陽電池を作製する。
以下、実施例によって、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
(実施例1、比較例1)
透明導電膜が形成された透明基板として、市販のFTO膜付きガラス(日本板硝子株式会社製、導電層膜厚450nm)を用いた。金属酸化物として酸化チタンを用い、その成膜材料としては、平均粒径15nmの酸化チタンペースト(Solaronix社製)を用いた。なお、この酸化チタンは、アナターゼ型の酸化チタンである。
酸化チタン11%ペーストを、FTO膜付きガラス上に塗布し、自然乾燥後、500℃で30分間、電気炉で焼成を行った。1回の塗布で約2μm厚の酸化チタン多孔質膜が形成された。
次に、酸化チタン多孔質膜を、Ru色素(RuL2(NCS)2,L=4,4’−ジカルボキシ−2,2’ビピリジン)溶液に浸漬し、80℃で2時間の還流を行い、酸化チタン多孔質膜の表面にRu色素を担持した。Ru色素溶液は、エタノールに3×10-4mol/LのRu色素(Solaronix社製、Ruthenium535)を溶解させることにより作製した。
複合タングステン酸化物微粒子の形成材料として、平均粒径30nmのセシウム添加タングステン酸化物(Cs0.33WO3)微粒子の1%エタノール分散液を用いた。Ru色素が担持された酸化チタン多孔質膜に、このセシウム添加タングステン酸化物微粒子分散液を塗布し、自然乾燥させた。セシウム添加タングステン酸化物微粒子の担持量は、酸化チタン、色素およびこの微粒子の合計量に対して、15質量%となるようにした。
以上のようにして、光電極であるアノード電極を形成した。一方、カソード電極は、フッ素添加酸化スズのガラス表面に、スパッタリング法で白金をコーティングして形成した。
カソード電極とアノード電極とを対向させて電池構造を形成し、隙間に酸化還元電解質として、ヨウ素系電解液を注入した。このヨウ素系電解液は、アセトニトリル(90体積%)と3メチル2オキサゾリジノン(10体積%)の混合溶媒に、ヨウ素とヨウ化リチウムを加えたものである。以上により、実施例1の色素増感型太陽電池を作製した。
一方、参照用として、セシウム添加タングステン酸化物微粒子を添加せずに酸化チタン多孔質膜を形成したこと以外は同様のプロセスで、比較例1の色素増感型太陽電池を作製した。
上記2つの色素増感型太陽電池に対して、AM1.5のソーラーシミュレータで1000W/m2の疑似太陽光を照射して電流電圧特性を測定した。その結果、比較例1の太陽電池の光電変換効率が5%であったのに対し、セシウム添加タングステン酸化物微粒子を色素近傍に配した本発明の色素増感型太陽電池では、光電変換効率が7%と、約40%向上した。
(実施例2)
質量比で2倍のセシウム添加タングステン酸化物微粒子1%エタノール分散液を塗布し、自然乾燥させたこと以外は、実施例1と同様にして、色素増感型太陽電池を作製し、測定評価を行った。セシウム添加タングステン酸化物微粒子の担持量は、酸化チタン、色素およびこの微粒子の合計量に対して、26質量%であった。
その結果、比較例1の色素増感型太陽電池の光電変換効率が5%であったのに対し、実施例2の色素増感型太陽電池では、光電変換効率が6%と、約20%向上したが、セシウム添加タングステン酸化物量を増やすことにより、太陽光の遮蔽が大きくなり、実施例1との比較では、光電変換効率が低下していた。
(実施例3)
平均粒径100nmのセシウム添加タングステン酸化物(Cs0.33WO3)微粒子の1%エタノール分散液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、色素増感型太陽電池を作製し、測定評価を行った。セシウム添加タングステン酸化物微粒子の担持量は、酸化チタン、色素およびこの微粒子の合計量に対して、15質量%であった。
その結果、比較例1の色素増感型太陽電池の光電変換効率が5%であったのに対し、実施例3の色素増感型太陽電池では、光電変換効率が6%と、約20%向上したが、セシウム添加タングステン酸化物の粒子径を増加させることにより、色素との接触面積が減少し、実施例1との比較では、光電変換効率が低下していた。
(比較例2)
平均粒径200nmのセシウム添加タングステン酸化物(Cs0.33WO3)微粒子の1%エタノール分散液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、色素増感型太陽電池を作製し、測定評価を行った。セシウム添加タングステン酸化物微粒子の担持量は、酸化チタン、色素およびこの微粒子の合計量に対して、15質量%であった。
その結果、比較例1の色素増感型太陽電池の光電変換効率が5%であったのに対し、比較例2の色素増感型太陽電池では、光電変換効率が4%と、比較例1に比べて約20%減少していた。セシウム添加タングステン酸化物の粒子径を増加させることにより色素との接触面積が減少し、太陽光の遮蔽効果が増強を上回り、比較例1に比べて光電変換効率が低下したものと考えられる。
(実施例4)
光電極であるアノード電極を、最初に酸化チタン11%ペーストと、質量比で2倍のセシウム添加タングステン酸化物微粒子1%エタノール分散液とを混合したペーストを作製し、この混合ペーストをFTO膜付きガラス上に塗布し、その後は同様にして約2μm厚のセシウム添加タングステン酸化物微粒子を含む酸化チタン多孔質膜を形成し、その後、Ru色素の担持を行うことにより作製したこと以外は、実施例1と同様にして、色素増感型太陽電池を作製し、測定評価を行った。セシウム添加タングステン酸化物微粒子の担持量は、酸化チタン、色素およびこの微粒子の合計量に対して、26質量%であった。
その結果、比較例1の色素増感型太陽電池の光電変換効率が5%であったのに対し、実施例4の色素増感型太陽電池では、光電変換効率が7%と、約40%向上した。
(実施例5)
光電極であるアノード電極を、最初に酸化チタン11%ペーストをFTO膜付きガラス上に塗布し、自然乾燥後、セシウム添加タングステン酸化物微粒子1%エタノール分散液を塗布し、自然乾燥後、その後は同様にして約2μm厚のセシウム添加タングステン酸化物微粒子を含む酸化チタン多孔質膜を形成し、その後、Ru色素の担持を行うことにより作製したこと以外は、実施例1と同様にして、色素増感型太陽電池を作製し、測定評価を行った。セシウム添加タングステン酸化物微粒子の担持量は、酸化チタン、色素およびこの微粒子の合計量に対して、15質量%であった。
その結果、比較例1の色素増感型太陽電池の光電変換効率が5%であったのに対し、実施例5の色素増感型太陽電池では光電変換効率が6%と、約20%向上した。
(実施例6)
セシウム添加タングステン酸化物微粒子を担持させる代わりに、金属六ホウ化物微粒子の形成材料として、平均粒径30nmの六ホウ化ランタン(LaB6)微粒子の1%エタノール分散液を用いて、Ru色素が担持された酸化チタン多孔質膜に、この六ホウ化ランタン微粒子分散液を塗布し、自然乾燥させたこと以外は、実施例1と同様にして、六ホウ化ランタンが担持された酸化チタン多孔質膜を含む色素増感型太陽電池を作製し、測定評価を行った。六ホウ化ランタン微粒子の担持量は、酸化チタン、色素およびこの微粒子の合計量に対して、6質量%となるようにした。
その結果、比較例1の色素増感型太陽電池の光電変換効率が5%であったのに対し、実施例6の色素増感型太陽電池では、光電変換効率が7%と、約40%向上した。
(実施例7)
質量比で2倍の六ホウ化ランタン微粒子1%エタノール分散液を塗布し、自然乾燥させたこと以外は、実施例6と同様にして、色素増感型太陽電池を作製し、測定評価を行った。六ホウ化ランタン微粒子の担持量は、酸化チタン、色素およびこの微粒子の合計量に対して、11質量%であった。
その結果、比較例1の色素増感型太陽電池の光電変換効率が5%であったのに対し、実施例7の色素増感型太陽電池では、光電変換効率が6%と、約20%向上したが、六ホウ化ランタン量を増やすことにより、太陽光の遮蔽が大きくなり、実施例6との比較では光電変換効率が低下していた。
(実施例8)
平均粒径100nmの六ホウ化ランタン微粒子の1%エタノール分散液を用いたこと以外は、実施例6と同様にして、色素増感型太陽電池を作製し、測定評価を行った。六ホウ化ランタン微粒子の担持量は、酸化チタン、色素およびこの微粒子の合計量に対して、6質量%であった。
その結果、比較例1の色素増感型太陽電池の光電変換効率が5%であったのに対し、実施例8の色素増感型太陽電池では光電変換効率が6%と、約20%向上したが、六ホウ化ランタンの粒子径を増加させることにより、色素との接触面積が減少し、実施例6との比較では光電変換効率が低下していた。
(比較例3)
平均粒径200nmの六ホウ化ランタン微粒子の1%エタノール分散液を用いたこと以外は、実施例6と同様にして、色素増感型太陽電池を作製し、測定評価を行った。六ホウ化ランタン微粒子の担持量は、酸化チタン、色素およびこの微粒子の合計量に対して、6質量%であった。
その結果、比較例1の色素増感型太陽電池の光電変換効率が5%であったのに対し、比較例3の色素増感型太陽電池では、光電変換効率が4%と、比較例1に比べて約20%減少した。六ホウ化ランタンの粒子径を増加させることにより、色素との接触面積が減少し、太陽光の遮蔽効果が増強を上回り、比較例1に比べて減少したものと考えられる。
(実施例9)
光電極であるアノード電極を、最初に酸化チタン11%ペーストと、質量比で2倍の六ホウ化ランタン微粒子1%エタノール分散液とを混合したペーストを作製し、この混合ペーストをFTO膜付きガラス上に塗布し、その後は同様にして約2μm厚のホウ化ランタン微粒子を含む酸化チタン多孔質膜を形成し、その後、Ru色素の担持を行うことにより作製したこと以外は、実施例6と同様にして、色素増感型太陽電池を作製し、測定評価を行った。六ホウ化ランタン微粒子の担持量は、酸化チタン、色素およびこの微粒子の合計量に対して、11質量%であった。
その結果、比較例1の色素増感型太陽電池の光電変換効率が5%であったのに対し、実施例9の色素増感型太陽電池では、光電変換効率が7%と、約40%向上した。
(実施例10)
光電極であるアノード電極を、最初に酸化チタン11%ペーストをFTO膜付きガラス上に塗布し、自然乾燥後、六ホウ化ランタン微粒子1%エタノール分散液を塗布し、自然乾燥後、その後は同様にして約2μm厚の六ホウ化ランタン微粒子を含む酸化チタン多孔質膜を形成し、その後、Ru色素の担持を行うことにより作製したこと以外は、実施例6と同様にして、色素増感型太陽電池を作製し、測定評価を行った。六ホウ化ランタン微粒子の担持量は、酸化チタン、色素およびこの微粒子の合計量に対して、6質量%であった。
その結果、比較例1の色素増感型太陽電池の光電変換効率が5%であったのに対し、実施例10の色素増感型太陽電池では、光電変換効率が6%と、約20%向上した。
(実施例11)
平均粒径30nmのセシウム添加タングステン酸化物(Cs0.33WO3)微粒子の1%エタノール分散液と平均粒径30nmの窒化チタン(TiN)微粒子の1%エタノール分散液を交互に塗布したこと以外は、実施例1と同様にして、色素増感型太陽電池を作製し、測定評価を行った。セシウム添加タングステン酸化物微粒子の担持量および窒化チタン微粒子の担持量は、酸化チタン、色素およびこれらの微粒子の合計量に対して、それぞれ8質量%とした。
その結果、比較例1の色素増感型太陽電池の光電変換効率が5%であったのに対し、実施例11の色素増感型太陽電池では、光電変換効率が8%と、約60%向上した。
Figure 0005609800
1 透明基板
2 透明導電膜
3 酸化還元電解質
4 多孔質金属酸化物膜
5 金属酸化物微粒子
6 色素
7 複合タングステン酸化物微粒子、金属六ホウ化物微粒子から選ばれる1種以上を含む微粒子

Claims (10)

  1. 一方の透明基板の内側に透明導電膜が形成され、該透明導電膜の表面に白金もしくは炭素がコーティングされているカソード電極と、他方の透明基板の内側に透明導電膜および多孔質金属酸化物膜が順次形成され、この多孔質金属酸化物膜を構成する金属酸化物微粒子の表面に色素が担持されているアノード電極とが、酸化還元電解質を介して対向し、光の吸収によりこれら電極間に電圧が発生するように構成されている色素増感型太陽電池であって、
    前記色素の表面または前記金属酸化物微粒子の表面に、複合タングステン酸化物微粒子および金属六ホウ化物微粒子から選ばれる1種以上の微粒子がさらに配されており、

    前記複合タングステン酸化物微粒子が、一般式:M x y z (ただし、Mは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、およびIから選択される1種以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、2.2≦z/y≦3.0)で表されるタングステン酸化物の微粒子からなり、
    前記金属六ホウ化物微粒子が、La、Pr、Nd、Ce、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、およびWから選択される1種以上の金属六ホウ化物の微粒子からなる、
    ことを特徴とする、色素増感型太陽電池。
  2. 前記複合タングステン酸化物微粒子および金属六ホウ化物微粒子から選ばれる1種以上の微粒子の粒子径が1nmから100nmである、請求項1に記載の色素増感型太陽電池。
  3. 前記複合タングステン酸化物微粒子および金属六ホウ化物微粒子から選ばれる1種以上の微粒子の粒子径が1nmから30nmである、請求項2に記載の色素増感型太陽電池。
  4. 前記色素の表面または前記金属酸化物微粒子の表面に、酸化ルテニウム微粒子および窒化チタン微粒子から選ばれる1種以上の微粒子がさらに配されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の色素増感型太陽電池。
  5. 前記複合タングステン酸化物微粒子および金属六ホウ化物微粒子から選ばれる1種以上の微粒子、もしくは、前記複合タングステン酸化物微粒子および金属六ホウ化物微粒子から選ばれる1種以上の微粒子および酸化ルテニウム微粒子および窒化チタン微粒子から選ばれる1種以上の微粒子の含有量は、前記多孔質金属酸化物膜、前記色素、前記複合タングステン酸化物微粒子、前記金属六ホウ化物微粒子、前記酸化ルテニウム微粒子および前記窒化チタン微粒子の合計量に対して、1質量%から50質量%である、請求項1〜4のいずれかに記載の色素増感型太陽電池。
  6. 前記複合タングステン酸化物微粒子および金属六ホウ化物微粒子から選ばれる1種以上の微粒子、もしくは、前記複合タングステン酸化物微粒子および金属六ホウ化物微粒子から選ばれる1種以上の微粒子および酸化ルテニウム微粒子および窒化チタン微粒子から選ばれる1種以上の微粒子の含有量は、前記多孔質金属酸化物膜、前記色素、前記複合タングステン酸化物微粒子、前記金属六ホウ化物微粒子、前記酸化ルテニウム微粒子および前記窒化チタン微粒子の合計量に対して、5質量%から30質量%である、請求項5に記載の色素増感型太陽電池。
  7. 前記多孔質金属酸化物膜が、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ニオブ、酸化スズ、酸化タングステン、およびチタン酸ストロンチウムから選ばれる1種以上の金属酸化物で形成される、請求項1〜6のいずれかに記載の色素増感型太陽電池。
  8. 前記色素が、ルテニウム系色素、アゾ系色素、キノン系色素、キノンイミン系色素、キナクリドン系色素、スクアリリウム系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、トリフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、ポルフィリン系色素、フタロシアニン系色素、ペリレン系色素、インジゴ系色素、およびナフタロシアニン系色素から選ばれる1種以上の色素からなる、請求項1〜7のいずれかに記載の色素増感型太陽電池。
  9. 前記酸化還元電解質が、ヨウ素、臭素、または塩素からなるハロゲンを含む電解液である、請求項1〜8のいずれかに記載の色素増感型太陽電池。
  10. 前記酸化還元電解質が、ヨウ素、臭素、または塩素からなるハロゲンを含む固体電解質である、請求項1〜8のいずれかに記載の色素増感型太陽電池。
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